JP2000036401A - 抵抗素子及びその製造方法 - Google Patents

抵抗素子及びその製造方法

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JP2000036401A
JP2000036401A JP10205626A JP20562698A JP2000036401A JP 2000036401 A JP2000036401 A JP 2000036401A JP 10205626 A JP10205626 A JP 10205626A JP 20562698 A JP20562698 A JP 20562698A JP 2000036401 A JP2000036401 A JP 2000036401A
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film
electrode film
surface electrodes
electrodes
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Mitsuaki Fujimoto
光章 藤本
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抵抗値のばらつきが少ないチップ型サーミス
タ素子を提供する。 【解決手段】 抵抗素体としてのサーミスタ素体2の第
1の主面2a上におて、第1,第2の表面電極3,4が
互いに対向するように形成されており、第1,第2の表
面電極3,4が、少なくとも2層の電極膜3A,3B,
4A,4Bを積層することにより構成されており、最上
層の電極膜3B,4Bの外周縁が、最下層の電極膜3
A,4Aの外周縁よりも内側となるように形成されてい
る、抵抗素子としてのチップ型サーミスタ素子1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばチップ型サ
ーミスタ素子のような抵抗素子及びその製造方法に関
し、より詳細には、抵抗素体の一方主面において対向さ
れた第1,第2の表面電極を有する抵抗素子及びその製
造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、温度補償回路や温度検出器にチッ
プ型サーミスタ素子が広く用いられている。
【0003】図15は、従来のチップ型サーミスタ素子
の一例を示す断面図である。チップ型サーミスタ素子5
1は、半導体セラミックスよりなるサーミスタ素体52
を用いて構成されている。サーミスタ素体52の一方端
面52aを覆うように第1の外部電極53aが形成され
ている。サーミスタ素体52の他方端面52bを覆うよ
うに第2の外部電極53bが形成されている。
【0004】外部電極53a,53bは、サーミスタ素
体52の端部を導電ペーストに浸漬し、しかる後、焼き
付けることにより形成されている。従って、外部電極5
3a,53bのサーミスタ素体52aの上面、下面及び
両側面に至る部分の長さにばらつきが生じがちであっ
た。加えて、サーミスタ素体52の比抵抗自体もばらつ
きがちであった。従って、サーミスタ素子51では、抵
抗値のばらつきが大きいという問題があった。
【0005】上記のような問題を解決するようなものと
して、特開平3−250603号公報には、図16に示
すサーミスタ素子54が開示されている。サーミスタ素
子54では、サーミスタ素体55の上面、下面及び両側
面を覆うようにガラス被覆層56が形成されている。サ
ーミスタ素体55の一方端面55aを覆うように第1の
外部電極57aが形成されており、他方端面55bを覆
うように外部電極57bが形成されている。
【0006】サーミスタ素子54では、ガラス被覆層5
6が形成されているため、抵抗値は、外部電極57a,
57bの端面55a,55b上に存在する部分間で決定
される。従って、外部電極57a,57bの、サーミス
タ素体55の上面、下面及び側面に至っている部分の長
さのばらつきにより抵抗値が影響されない。よって、抵
抗値のばらつきが低減される。
【0007】しかしながら、外部電極57a,57bを
導電ペーストの塗布・焼付けにより形成した場合、ガラ
ス被覆層56を構成している材料と、外部電極57a,
57bを構成している材料とが互いに拡散しがちであっ
た。そのため、図16にAで示す部分を拡大して右側に
示すように、相互拡散により、ガラス被覆層56の一部
が欠落し、外部電極57bがサーミスタ素体55の下面
等において直接サーミスタ素体55に接触することがあ
った。
【0008】上記相互拡散を制御することは困難であ
り、従って、やはり、抵抗値が設計値からずれがちであ
るという問題があった。加えて、サーミスタ素体55自
体の抵抗値ばらつきは依然として存在し、従って所望の
抵抗値のサーミスタ素子54を高精度に得ることは非常
に困難であった。
【0009】さらに、様々な抵抗値のサーミスタ素子5
4を製造しようとした場合、目的とする抵抗値ごとに、
異なる比抵抗を有するサーミスタ素体55を用意しなけ
ればならなかった。従って、様々な抵抗値のサーミスタ
素子54を供給することが困難であった。
【0010】そこで、特開平4−130702号公報に
は、図17(a),(b)に示すチップ型サーミスタ素
子58が提案されている。チップ型サーミスタ素子58
では、サーミスタ素体59内に、第1,第2の内部電極
60,61が配置されている。内部電極60,61は同
じ高さ位置に形成されており、かつそれぞれの先端60
aと先端61aとが互いに所定距離を隔てて対向されて
いる。内部電極60,61は、それぞれ、端面59a,
59bに引き出されており、かつ外部電極62a,62
bにそれぞれ電気的に接続されている。
【0011】チップ型サーミスタ素子58は、周知の積
層セラミックス一体焼成技術を用いて得られる。この場
合、第1,第2の内部電極60,61は、同一セラミッ
クグリーンシート上に導電ペーストを印刷することによ
り形成される。従って、第1の内部電極60の先端60
aと、第2の内部電極61の先端61aとの間隔は、ス
クリーン印刷により容易に制御することができる。従っ
て、同じサーミスタ素体59を用いて、上記間隔を制御
することにより、様々な抵抗値のサーミスタ素子58を
容易に実現することができる。
【0012】しかしながら、実際には、図17(b)中
の矢印Bで示す楕円部分を拡大して下方に示すように、
導電ペーストの滲みにより内部電極60,61の端縁が
歪むことがあった。
【0013】また、導電ペーストが印刷されたセラミッ
クグリーンシートと、導電ペーストが印刷されていない
複数枚のセラミックグリーンシートとを積層し、一体焼
成しているため、焼成に際しての収縮ばらつきによって
も、内部電極60,61の形状にばらつきが生じがちで
あった。
【0014】従って、やはり、抵抗値が設計値からずれ
がちであり、設計値どおりの抵抗値を有するチップ型サ
ーミスタ素子58を高精度に得ることは困難であった。
特開平6−61101号公報には、上記のような抵抗値
ばらつきを低減し得るチップ型サーミスタ素子が提案さ
れている。図18(a)及び(b)に示すように、この
チップ型サーミスタ素子63では、サーミスタ素体64
の上面において、矩形の第1,第2の表面電極65,6
6が形成されている。第1,第2の表面電極65,66
の先端は、サーミスタ素体64の上面中央において所定
距離を隔てて対向されている。また、表面電極65,6
6は、それぞれ、サーミスタ素体64の端面64a,6
4bと上面とのなす端縁まで引き出されている。
【0015】外部電極67a、67bは、それぞれ、サ
ーミスタ素体64の端面64a,64bを覆うように、
かつ一対の側面及び上面並びに下面に至るように形成さ
れている。外部電極67aは、第1の表面電極65に、
外部電極67aは第2の表面電極66に電気的に接続さ
れている。
【0016】さらに、第1,第2の表面電極65,66
の対向領域及び先端近傍部分を被覆するように、絶縁層
68が形成されている。上記表面電極65,66は、メ
ッキ、蒸着もしくはスパッタリングなどの薄膜形成法に
よりサーミスタ素体64の上面に形成することができ
る。従って、薄膜形成法を用いるため、表面電極65,
66は正確な形状に形成することができ、サーミスタ素
子63の抵抗値ばらつきを低減することが可能とされて
いる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のチップ型サーミスタ素子51,54,58では、抵抗
値のばらつきを低減することが困難であり、設計値どお
りの抵抗値を有するサーミスタ素子を高精度に得ること
はできなかった。
【0018】他方、チップ型サーミスタ素子は、通常温
度検出や温度補償に用いられるものであるため、その抵
抗値については、非常に高い精度を有することが強く望
まれている。
【0019】そこで、従来、製造された多数のチップ型
サーミスタ素子の抵抗値ばらつきが大きいことに鑑み、
大量に製造されたチップ型サーミスタ素子の抵抗値を測
定し、抵抗値が設計値に近接した値のものを選別すると
いう煩雑な作業が強いられていた。従って、他の電子部
品に比べ、選別作業が必要な分だけ、コストが高くつく
という問題があった。
【0020】他方、図18に示したチップ型サーミスタ
素子63では、表面電極65,66を正確に形成するこ
とができ、表面電極65,66の対向領域及び先端近傍
を被覆するように絶縁層68が形成されているため、デ
ィッピング法を利用して形成される外部電極67a,6
7bに比べて高精度に形成される表面電極65,66に
より抵抗値の大部分が決定される。従って、抵抗値のば
らつきを一応小さくすることが可能とされている。
【0021】しかしながら、表面電極65,66は、矩
形形状を有するため、より低い抵抗値のチップ型サーミ
スタ素子を得ようとした場合には、限界があった。すな
わち、抵抗値が低いチップ型サーミスタ素子63を構成
しようとした場合、表面電極65,66の先端間の対向
面積を小さくする必要がある。しかしながら、表面電極
65の先端と表面電極66の先端との間の間隔が100
μm以下になると、高湿度条件下で電圧が印加され続け
ると、表面電極65,66から金属イオンが流出し、イ
オンマイグレーションが生じるという問題があった。
【0022】逆に、表面電極65,66の先端の対向距
離を100μm以上とし、かつ抵抗値を小さくしようと
した場合には、表面電極65,66の先端の幅方向寸法
を大きくする必要がある。従って、サーミスタ素体64
が大きくならざるを得ず、チップ型サーミスタ素子の小
型化に対応することができない。
【0023】加えて、表面電極65,66を、フォトリ
ソグラフィー法を用いて形成する場合には、エッチング
に際してのオーバーエッチングにより表面電極65,6
6の端縁の形状がばらつき、抵抗値のばらつきが大きく
なることがあった。すなわち、表面電極65,66の膜
厚を厚くした場合、エッチングに際してのエッチング液
の作用によりオーバーエッチングが生じることがあり、
それによって抵抗値のばらつきが大きくなることがあっ
た。表面電極65,66の膜厚を薄くすれば、オーバー
エッチングは避けることができるものの、電極自身の抵
抗値が上昇するため、やはり抵抗値のばらつきの原因と
なる。
【0024】本発明の目的は、抵抗値のばらつきが少な
く、従って製造後に抵抗値を選別する煩雑な作業を簡略
化し得る、チップ型抵抗素子及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0025】本発明の他の目的は、抵抗値のばらつきが
少ないだけでなく、高湿度条件下で使用されたとしても
イオンマイグレーションが生じ難く、低抵抗化及び小型
化に対応可能なチップ型抵抗素子及びその製造方法を提
供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係る抵抗素子は、対向し合う第1,第2の主面と、第
1,第2の主面を結ぶ第1,第2の端面及び一対の側面
を有する抵抗素体と、前記抵抗素体の第1の主面上にお
いて互いに対向するように形成された第1,第2の表面
電極と、前記第1,第2の表面電極にそれぞれ電気的に
接続されており、かつ前記抵抗素体の第1,第2の端面
を覆うようにそれぞれ形成されている第1,第2の外部
電極とを備え、前記第1,第2の表面電極が少なくとも
2層の電極膜を積層することにより構成されており、少
なくとも第1,第2の表面電極が対向している部分にお
いて、少なくとも最上層の電極膜の外周縁が、最下層の
電極膜の外周縁よりも内側となるように形成されている
ことを特徴とする。
【0027】請求項2に記載の発明では、前記第1,第
2の表面電極が複数本の電極指を有するくし歯状電極に
より構成されており、第1,第2の表面電極の互いの電
極指が間挿し合うように配置されて第1,第2の表面電
極が第1の主面上において対向されている。
【0028】請求項3に記載の発明では、前記第1,第
2の表面電極が矩形の平面形状を有し、互いの先端が第
1の主面の中央領域において所定距離を隔てて対向され
ている。
【0029】請求項4に記載の発明では、前記最下層の
電極膜がAgを含まない金属材料により構成されてい
る。請求項5に記載の発明では、前記最下層の電極膜の
厚みが0.01〜1μmの範囲とされている。
【0030】請求項6に記載の発明では、前記抵抗素体
がサーミスタ素体であり、サーミスタ素子とされてい
る。請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れかに
記載の抵抗素子の製造方法であって、前記抵抗素体の第
1の主面上において、前記第1,第2の表面電極を構成
するための複数の電極膜を形成する工程と、複数の電極
膜のうち、最下層の電極膜を除き、少なくとも最上層の
電極膜をエッチングすることにより、少なくとも第1,
第2の表面電極が対向している部分において、少なくと
も最上層の電極膜の外周縁が最下層の電極膜の外周縁よ
りも内側に位置するように、最上層の電極膜を形成する
工程とを備えることを特徴とする。
【0031】請求項8に記載の発明では、前記複数の電
極膜を形成する工程が、複数の金属膜をフォトリソグラ
フィーにより順次積層形成し、積層された複数の金属膜
を同時にエッチングすることにより行われ、次に、エッ
チング後に、少なくとも最上層の電極が再度エッチング
される。
【0032】請求項9に記載の発明では、前記複数の電
極膜を積層形成する工程が、フォトリソグラフィーによ
り金属膜を形成し、エッチングすることにより最下層の
電極膜を形成した後、残りの電極膜を構成する金属膜を
フォトリソグラフィーにより形成することにより行わ
れ、しかる後、上記最下層の電極膜を除き、残りの電極
膜のうち少なくとも最上層の電極膜がエッチングされ
る。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施例を
挙げることにより、本発明をより詳細に説明する。
【0034】図1(a)及び(b)は、本発明の第1の
実施例に係るチップ型サーミスタ素子の側面断面図及び
平面図である。チップ型サーミスタ素子1は、半導体セ
ラミックスよりなるサーミスタ素体2を用いて構成され
ている。
【0035】サーミスタ素体2の上面2a上には、第
1,第2の表面電極3,4が形成されている。表面電極
3,4はくし歯状の形状を有し、それぞれ、複数本の電
極指3a,4aを有する。複数本の電極指3a,4aは
互いに間挿し合うように配置されている。
【0036】従って、表面電極3,4は、上記くし歯状
形状を有するため、対向し合っている部分の長さは、表
面電極3,4の幅方向寸法よりも長くされており、対向
面積が大きくされている。
【0037】本実施例では、表面電極3,4は、それぞ
れ、2層の電極膜を積層した構造を有する。すなわち、
表面電極3は、最下層の電極膜3A上に、電極膜3Bを
積層した構造を有し、同様に、表面電極4は、最下層の
電極膜4A上に、電極膜4Bを積層した構造を有する。
【0038】最下層の電極膜3A,4Aと、上層の電極
膜3B,4Bとは、異なる金属で構成されている。電極
膜3A,4Aは、高湿度条件下におけるイオンマイグレ
ーションが生じ難い金属、例えば、Ni、Cr、Cu、
Ti及びそれらの合金の中の1つより構成されている。
電極膜3B,4Bは、マイグレーションの生じ易さとは
関係なく、電極としての機能、すなわち抵抗が少ない金
属、例えばAgなどから構成されている。
【0039】第1,第2の表面電極3,4の製造方法に
ついては特に限定されるわけではないが、好ましくは、
蒸着、スパッタリングもしくはメッキなどの薄膜形成法
が用いられる。従って、表面電極3,4は、導電ペース
トの塗布・焼付け法に比べて、より正確な形状を有する
ように構成されている。
【0040】表面電極3,4を覆うように、絶縁層5a
が形成されている。また、サーミスタ素体2の下面2b
にも、絶縁層5bが形成されている。絶縁層5a,5b
は、例えばポリイミドなどの耐熱性樹脂を用いて構成さ
れている。ここで、耐熱性樹脂とは、150℃の温度に
耐える程度の耐熱性、具体的には、ASTM法D648
による熱変形温度が150℃以上である耐熱性を有する
樹脂をいうものとする。
【0041】好ましくは、絶縁層5a,5bは、上記耐
熱性樹脂をスピンコートすることにより形成され、それ
によって、絶縁層5a,5bの厚みを均一にすることが
できる。
【0042】サーミスタ素体2の端面2c,2dを覆う
ように、それぞれ、第1,第2の外部電極6,7が形成
されている。外部電極6,7は、端面2b,2cだけで
なく、サーミスタ素体2の上面2a及び下面2bにも至
るように形成されている。
【0043】外部電極6,7は、下地層6a,7aと、
下地層6a,7a上に形成された外側層6b,7bとを
有する。下地層6a,7aは、表面電極3,4との電気
的接続性に優れた導電性材料により構成されている。こ
の下地層6a,7aを構成する導電性材料の種類につい
ては、表面電極3,4の材料に応じて適宜選択される。
例えば、表面電極3,4がNi−Cr合金からなる電極
膜3A,4A上に、Agよりなる電極膜3B,4Bを積
層した構造とした場合には、下地層6a,7aについて
も、Ni−Cr合金膜やAg膜などが用いられる。
【0044】また、外側層6b,7bは、はんだ付性に
優れた材料、例えばSn、Pb、Sn−Pb合金などに
より構成することができる。なお、下地層6a,7a
と、外側層6b,7bとの間に、下地層6a,7aを保
護し、かつ外側層6b,7bとの付着強度に優れた中間
層を介在させてもよい。このような中間層は、例えばN
i膜により形成することができる。
【0045】本実施例のチップ型サーミスタ素子1で
は、第1,第2の表面電極3,4の最下層の電極膜3
A,4Aが対向している部分の対向面積により抵抗値が
決定される。従って、表面電極3,4を正確に形成する
ことができれば、抵抗値のばらつきを低減することがで
きる。
【0046】他方、第1,第2の表面電極3,4は、上
記のように、サーミスタ素体2の上面2a上において、
薄膜形成法により形成することができ、従って、正確な
形状を有するように構成することができる。
【0047】また、第1,第2の表面電極3,4におい
ては、Ni−Cr膜よりなる電極膜3A,4Aの外周縁
よりも、Agよりなる電極膜3B,4Bの外周縁が内側
に位置するように形成されている。従って、最下層の電
極膜3A,4AがAgを含まないため、外部電極の焼付
け等の工程や、高湿度下において、イオンマイグレーシ
ョンが生じ難い。よって、そのことによっても、抵抗値
のばらつきが低減される。
【0048】加えて、Ni−Cr膜よりなる電極膜3
A,4Aだけでは、膜厚が薄く、その電気抵抗は十分に
低くならないため、抵抗値がばらつく恐れがある。そこ
で、本実施例では、2層目として、Agよりなる電極膜
3B,4Bが積層されている。すなわち、Ag膜の積層
により、表面電極3,4の電気抵抗が小さくされ、それ
によって抵抗値のばらつきがより一層低減される。
【0049】さらに、上記のように、電極膜3A,4A
の外周端縁よりも内側に外周端縁が位置するように最上
層の電極膜3B,4Bが積層されているので、後述のフ
ォトリソグラフィー−エッチング法により、このような
電極膜3A,3B,4A,4Bを容易に形成することが
できると共に、Agからなる電極膜3B,4B間のマイ
グレーションも生じ難い。よって、本実施例によれば、
抵抗値のばらつきが少なく、設計値どおりのサーミスタ
素子1を容易に得ることができる。
【0050】次に、チップ型サーミスタ素子1の具体的
な実験例を説明することにより、製造方法及び抵抗値の
ばらつきが低減されることを明らかにする。まず、Mn
酸化物、Ni酸化物及びCo酸化物をバインダーと共に
混練し、セラミックスラリーを得た。このセラミックス
ラリーを用い、ドクターブレード法によりセラミックグ
リーンシートを成形した。次に、得られたセラミックグ
リーンシートを65mm×65mmの平面形状を有する
ようにカットし、矩形のセラミックグリーンシートを得
た。
【0051】次に、図2(a)に略図的に示すように、
複数枚の上記矩形のセラミックグリーンシート11を積
層し、圧着することにより、積層体を得た。この積層体
を、1300℃の温度で1時間焼成し、図2(b)に示
す50×50×0.5mmの寸法を有するサーミスタウ
エハー12を得た。
【0052】次に、上記サーミスタウエハー12の上面
に、最下層の電極膜を構成するために、スパッタリング
により0.5μmのNi−Cr合金膜13を形成した。
続いて、最上層の電極膜を構成するために、スパッタリ
ングにより、0.5μmの厚みのAg膜14を形成し
た。
【0053】次に、Ag膜14上にフォトレジストをス
ピンコートし、厚み1μmのフォトレジスト層15を形
成した。さらに、図2(d)に示すように、フォトレジ
スト層15上に所定形状のマスク16を当接し、露光
し、露光後に溶剤を用いて現像し、フォトレジスト層を
15をパターニングした。パターニングされたフォトレ
ジスト層15Aを図2(e)に示す。
【0054】しかる後、残存しているフォトレジスト層
15Aで被覆されていない電極膜部分を強酸を用いてエ
ッチングして除去し、Ni−Cr膜13及びAg膜14
からなる積層金属膜17をパターニングした。
【0055】パターニングされた積層金属膜17Aを図
3(a)に示す。この積層金属膜17Aでは、パターニ
ングされたNi−Cr膜13Aと、パターニングされた
Ag膜14Aとが積層されている。
【0056】次に、パターニングされた積層金属膜17
A上に残存しているフォトレジスト層15Aを溶剤によ
り剥離した。その結果、図3(b)に示すように、パタ
ーニングされた積層金属膜17Aが形成されたサーミス
タウエハー12を得た。
【0057】そこで、パターニングされた積層金属膜1
7Aは、複数のサーミスタ素子の表面電極を集合した形
状を有する。また、最終的に得られる個々のサーミスタ
素子部分における第1,第2の表面電極間の対向距離は
100μmとした。サーミスタ素子の抵抗値の精度の大
部分は、第1,第2の表面電極間の距離に依存する。本
実施例の製造方法では、フォトリソグラフィー加工の精
度や求める抵抗値を考慮し、第1,第2の表面電極間の
距離は、10〜100μmの範囲とすることが望まし
い。
【0058】次に、図4(a)に示すように、パターニ
ングされた積層金属膜17Aを覆うように、サーミスタ
ウエハー12の上面にフォトレジスト層18を形成し
た。しかる後、図4(b)に示すように、所定の形状の
マスク19をフォトレジスト層18の上面に当接させ、
露光した。露光後、溶剤を用いて現像し、積層金属膜1
7Aのうち、上層のAg膜14Aの最終的に除去される
部分上のフォトレジストを除去した(図4(c))。
【0059】また、最下層の電極膜を構成するためのN
iCr膜13Aを残し、Ag膜14Aのみを強酸でエッ
チングし、Ag膜14Aの除去すべき部分のみをエッチ
ングにより除去した。このようにして、最下層のNi−
Cr膜13Aの外周端縁よりも、最上層のAg膜14A
の外周端縁が内側となるように積層されている電極膜1
7Bを形成した。
【0060】上記エッチングに際しては、NiCr膜が
溶解し難いが、Ag膜を溶解し易い酸を用いることが望
ましく、このような酸としては、例えば硝酸系の溶剤な
どを用いることができ、本実施例では硝酸第2鉄液を用
いた。
【0061】次に、残存しているフォトレジスト層18
Aを溶剤を用いて除去した(図4(e))。しかる後、
図5(a)に示すように、ウエハー12の上面及び下面
に、厚み4μmのポリイミドからなる絶縁層20,21
をスピンコートにより形成した。
【0062】次に、図5(b)に示すように、上記ウエ
ハー12を厚み方向に切断し、短冊状のウエハー分割体
22を複数個得た。この短冊状のウエハー分割体22
は、図5の紙面−紙背方向に伸び、紙面−紙背方向に複
数のチップ型サーミスタ素子が集合されている構造に相
当する。
【0063】上記ウエハー12の分割に際しては、スク
ライブ法により、ウエハー12の上面に互いに直交する
方向に複数のスリットを形成し、しかる後短冊状となる
ように一方の方向に伸びるスリットに沿ってウエハー1
2を分割することにより行った。
【0064】次に、上記のようにして得たウエハー分割
体22の両側面22a,22bに、それぞれ、厚み1μ
mのNi−Cr合金膜及びAg膜をメッキ法により順次
形成した。さらに、このようにして得られたメッキ膜上
に、湿式電解メッキにより、Ni膜及びSn膜をそれぞ
れ2μmの厚みとなるように積層した。
【0065】しかる後、上記ウエハー分割体22を残存
しているスリットに沿って分割し、複数個のチップ型サ
ーミスタ素子1を得た。マスク16,19を変更し、第
1,第2の表面電極における各くし歯電極における電極
指の数、電極指の1層目(Ni−Cr膜)及び2層目
(Ag膜)からなる長さ、電極指の幅並びに第1,第2
の表面電極における最下層の電極膜であるNi−Cr膜
間の間隔(表1では電極間隔と表す。)を下記の表1に
示すように異ならせ、実施例1〜4の各チップ型サーミ
スタ素子を得た。
【0066】比較のために、上記実施例1〜4に用いた
のと同じサーミスタ素体を用い、図15〜図18に示し
た従来のチップ型サーミスタ素子51,54,58,6
3を作製した。
【0067】上記のようにして得た各チップ型サーミス
タ素子の抵抗値及び抵抗値ばらつきを測定した。また、
各チップ型サーミスタ素子について、下記の要領で湿中
連続負荷試験を行い、該負荷試験後のマイグレーション
の有無を目視により評価した。すなわち、各チップ型サ
ーミスタ素子を、40℃及び相対湿度95%の雰囲気下
に置き、直流電圧1.8Vを印加したまま1000時間
放置し、湿中連続負荷試験を行った。
【0068】結果を下記の表1に示す。なお、上記実施
例及び従来例のチップ型サーミスタ素子に用いたサーミ
スタ素体の比抵抗は2kΩ・cm(25℃)であり、サ
ーミスタ素体の寸法は、すべて、1.6×0.8×0.
8mmである。また、表1における抵抗値は、サンプル
数n=100の場合の抵抗値の平均値を示し、抵抗値ば
らつき3CVは、サンプル数n=100の場合の抵抗値
ばらつきを示す。また、上記湿中連続負荷試験について
は、サンプル数n=20とし、20個のチップ型サーミ
スタ素子においてマイグレーションが発生したか否かを
評価した。
【0069】
【表1】
【0070】表1から明らかなように、実施例1〜4に
おいては、第1,第2の表面電極の電極指の数、長さ及
び幅並びに第1,第2の表面電極の間隔を変更すること
により、2.5kΩから33.2kΩの範囲の様々な抵
抗値のチップ型サーミスタ素子を得ることができること
がわかる。
【0071】また、従来例のチップ型サーミスタ素子に
比べて、より低い抵抗値のチップ型サーミスタ素子を容
易に構成し得ることがわかる(実施例1,2参照)。さ
らに、従来のチップ型サーミスタ素子では、抵抗値のば
らつきが大きいのに対し、実施例1〜4のチップ型サー
ミスタ素子では、抵抗値のばらつきが小さく、抵抗値ば
らつき3CVが1.6%以下と小さくなることがわか
る。
【0072】さらに、実施例1〜4のチップ型サーミス
タ素子では、最上層の電極膜の外周端縁が、最下層の電
極膜の外周縁により内側に配置しているため、従来の第
1,第2の表面電極を有するチップ型サーミスタ素子6
3に比べて、湿中負荷試験におけるマイグレーションが
生じ難いことがわかる。
【0073】(第1の実施例の変形例)図6〜図8は、
本発明の第1の実施例に係るチップ型サーミスタ素子1
の変形例を示す。
【0074】図6(a)及び(b)に示すチップ型サー
ミスタ素子23では、第1,第2の表面電極3,4が、
3層の電極膜を積層することにより構成されている。す
なわち、表面電極3は、最下層の電極膜3A1 上に、電
極膜3A2 及び電極膜3Bが積層されている構造を有す
る。同様に、表面電極4は、最下層の電極膜4A1
に、電極膜4A2 及び電極膜4Bが積層されている構造
を有する。
【0075】ここでは、中央の電極膜3A2 ,4A2
外周端縁が、最下層の電極膜3A1,4A1 と等しくさ
れている。最上層の電極膜3B,4Bの外周端縁は、最
下層の電極膜3A1 ,4A1 の外周端縁よりも内側とな
るように形成されている。
【0076】図7(a)及び(b)に示すチップ型サー
ミスタ素子24では、表面電極3,4がチップ型サーミ
スタ素子23と同様に3層の電極膜を積層することによ
り構成されている。もっとも、チップ型サーミスタ素子
24では、最下層の電極膜3A,4A上に、電極膜3B
1 ,4B1 及び電極膜3B2 ,4B2 が積層されてい
る。ここでは、中央の電極膜4B1 ,4B2 の外周端縁
は、それぞれ、最上層の電極膜4B2 ,4B2 と同じ形
状とされている。
【0077】図8(a),(b)に示すチップ型サーミ
スタ素子25では、第1,第2の表面電極3,4は、や
はり3層の電極膜を積層することにより構成されてい
る。ここでは、最下層の電極膜3A,4A上に、電極膜
3A,4Aの外周端縁よりも外周端縁が内側となるよう
に、中央の電極膜3C,4Cが積層されている。さら
に、電極膜3C,4C上に、外周端縁が電極膜3C,4
Cの外周端縁よりも内側となるように、最上層の電極膜
3B,4Bが積層されている。
【0078】すなわち、図6〜図8に示したように、第
1,第2の表面電極3,4は3層以上の電極膜を積層し
た構造であってもよく、その場合、最上層の電極膜の外
周端縁が、最下層の電極膜の外周端縁よりも内側に位置
する限り、中間に配置される電極膜の形状についても、
種々変更することができる。
【0079】(第2の実施例)図9(a)〜(c)は、
本発明の第2の実施例に係るチップ型サーミスタ素子を
説明するための平面図、側面図及び側面断面図である。
【0080】本発明のチップ型サーミスタ素子31で
は、直方体状のサーミスタ素体32が用いられている。
サーミスタ素体32の上面32a上には、矩形の平面形
状を有する第1,第2の表面電極33,34が形成され
ている。表面電極33,34は、最下層の電極膜33
A,34A上に、電極膜33B,34Bを積層した構造
を有する。本実施例においても、最上層の電極膜である
電極膜33B,34Bの外周端縁が、最下層の電極膜で
ある電極膜33A,34Aの内側に位置するように形成
されている。
【0081】また、サーミスタ素体32の上面32a上
においては、絶縁層35aが、下面32b上にも、絶縁
層35bが形成されている。さらに、端面32c,32
dを覆うように、それぞれ、外部電極36,37が形成
されている。
【0082】外部電極36は表面電極33に、外部電極
37は表面電極34に電気的に接続されている。外部電
極36,37は、端面32c,32d上を覆うだけでな
く、サーミスタ素体32の上面32a上及び下面32b
上にも至っている。もっとも、外部電極36,37のサ
ーミスタ素体32の上面32a及び下面32b上に至っ
ている部分では、サーミスタ素体32との間に絶縁層3
5a,35bが介在されている。
【0083】すなわち、本実施例のチップ型サーミスタ
素子31は、第1の実施例のチップ型サーミスタ素子1
に対し、表面電極33,34の平面形状が矩形の形状と
されていること、並びに外部電極36,37が単一層の
電極膜により形成されていることを除いては、第1の実
施例のチップ型サーミスタ素子1と同様に構成されてい
る。
【0084】本実施例のように、第1,第2の表面電極
33,34の平面形状は、矩形とされていてもよく、す
なわち、本発明において、第1,第2の表面電極の平面
形状についてはくし歯状のものに限らず、矩形形状及び
その他の適宜の形状とすることができる。
【0085】もっとも、第1の実施例のように、くし歯
状の形状とした場合には、第1,第2の表面電極の対向
面積を大きくすることができ、より低抵抗化を図ること
ができ、好ましい。
【0086】もっとも、本実施例のように矩形の表面電
極33,34を形成した場合には、電極の平面形状が単
純であるため、より高精度にかつ容易に表面電極を形成
することができる。
【0087】本実施例においても、表面電極33,34
は、サーミスタ素体32の上面32a上に形成されてい
るので、スパッタ、蒸着、メッキ等の薄膜形成法により
高精度に形成することができる。また、フォトリソグラ
フィー及びエッチング技術を用いることにより、最上層
の電極膜33B,34Bの外側端縁が、最下層の電極膜
33A,34Aの外周端縁よりも内側に位置するように
電極膜33A〜34Bを容易にかつ高精度に形成するこ
とができる。従って、本実施例においても、抵抗値のば
らつきの少ないチップ型サーミスタ素子31を提供する
ことができる。
【0088】(第2の実施例の変形例)図10(a)及
び(b)は、第2の実施例のチップ型サーミスタ素子3
1の変形例である。このチップ型サーミスタ素子38で
は、第1,第2の表面電極39,40が、中央領域に向
かって突出された突出部39a,40aを有する形状と
されている。その他の点については、チップ型サーミス
タ素子38は、チップ型サーミスタ素子31と同様に構
成されている。このように、第1,第2の表面電極の平
面形状については、矩形の他様々な形状とすることがで
きる。
【0089】(第2の実施例のチップ型サーミスタ素子
の製造方法)図11〜図14を参照して、第2の実施例
に係るチップ型サーミスタ素子31の製造方法をより具
体的に説明すると共に、具体的な実験例を挙げることに
より、その効果を明らかにする。
【0090】まず、チップ型サーミスタ素子1の製造に
際して用いたのと同じ65×65mmの矩形形状のセラ
ミックグリーンシートを用意した。次に、図11(a)
に示すように、上記セラミックグリーンシート41を複
数枚積層し、圧着して積層体を得た。この積層体を13
00℃の温度で1時間焼成し、50×50×0.6mm
のサーミスタウエハー42を得た。
【0091】次に、サーミスタウエハー42の上面の全
面に厚さ0.05μmのNi−Cr膜43を形成した。
さらに、上記Ni−Cr膜43上に、スピンコート法に
より厚さ1.5μmのフォトレジスト層44を形成した
(図11(d))。
【0092】上記フォトレジスト層44上に、マスク4
5を当接し、露光した(図12(a))。次に、溶剤で
現像し、フォトレジスト層44をパターニングした。こ
のようにして、図12(b)に示すように、パターニン
グされたフォトレジスト層44Aを形成した。
【0093】次に、それを用いてNi−Cr膜43をエ
ッチングした。その結果、図12(c)に示すように、
パターニングされたNi−Cr膜43Aを形成した。次
に、パターニングされたNi−Cr膜43上のフォトレ
ジスト層44Aを溶剤を用いて除去した。上記のように
して、図12(d)に示すようにパターニングされたN
i−Cr膜43Aが形成されたサーミスタウエハー42
を得た。ここで、サーミスタウエハー42上における隣
接するNi−Cr膜43A間の対向距離Lは100μm
とした。このNi−Cr膜43Aは、最終的に分割され
て個々のサーミスタ素子の表面電極を構成するものであ
り、上記隣接するNi−Cr膜43A間の対向距離L
が、最終的に得られるチップ型サーミスタ素子31にお
ける第1,第2の表面電極間の対向距離に相当する。
【0094】図13(a)に示すように、サーミスタウ
エハー42の上面において、全面に、すなわちNi−C
r膜43Aをも被覆するようにAg膜46をスパッタリ
ングにより1μmの厚みとなるように形成した。
【0095】しかる後、Ag膜46上にスピンコート法
により厚さ1.5μmのフォトレジスト層47を形成し
た(図13(b))。しかる後、フォトレジスト層47
上にマスク48を当接し、露光し、溶剤より現像した
(図13(c)参照)。この場合、マスク48として
は、パターニングされたNi−Cr膜43Aの外周端縁
よりも外周端縁が内側となるようにフォトレジスト層4
7を残存させるマスクを用いた。その結果、図13
(d)に示すように、上記現像後には、Ni−Cr膜4
3Aの外周端縁よりも外周端縁が内側に位置するように
パターニングされたフォトレジスト層47Aが積層され
ている。
【0096】しかる後、Ag膜46を先のエッチングで
用いたのと異なるエッチング液、例えば硝酸第2鉄液を
用いてエッチングした(図13(e))。しかる後、残
存しているフォトレジスト層47Aを溶剤を用いて除去
し、図14(a)に示すように、パターニングされたN
i−Cr膜43A及びAg膜46Aが積層されたサーミ
スタウエハー42を得た。
【0097】次に、図14(b)に示すように、上記サ
ーミスタウエハー42の上面及び下面を被覆するように
絶縁層を構成するためのポリイミド膜48a,48bを
形成した。
【0098】しかる後、上記サーミスタウエハー42
を、1.6mm幅の短冊状となるようにダイシングし、
図14(c)に示すように短冊型のウエハー分割体49
を複数得た。このウエハー分割体49は、図14の紙面
−紙背方向に延びる形状を有しており、該方向において
複数のチップ型サーミスタ素子が複数個集合された構造
に相当する。
【0099】しかる後、図14(d)に平面図で示すよ
うに、上記短冊型ウエハー49の両側面に、Ni−Cr
膜をスパッタリングにより付与し、さらに湿式電解メッ
キによりNi膜及びSn膜を順次形成し、外部電極49
a,49bを形成した。
【0100】さらに、図14(e)に示すように、上記
ウエハー分割体49を0.8mm幅にダイシングし、チ
ップ型サーミスタ素子31を得た。本実施例において
も、最終的な抵抗値は、表面電極の形状、サーミスタ素
体42の厚み、各ダイシングに際してのカット精度によ
り決定される。この場合、サーミスタウエハーを得る工
程及びダイシング工程は従来のサーミスタ素子の製造方
法と同様であるが、表面電極については、上記のように
フォトリソグラフィー−湿式エッチングにより形成され
ている。湿式エッチングを用いた場合、電極膜の膜厚を
薄くした場合、オーバーエッチングの量が少なくなり、
加工精度が向上する。従って、上記製造方法では、1層
目のNi−Cr膜43Aについては、0.05μmの厚
みとし、750μm×600μmの矩形形状の表面電極
を形成した場合、その形状のばらつきは、端縁の位置を
基準として0.5μm以下とすることができる。
【0101】他方、Ni−Cr膜43Aだけでは、膜厚
が薄く、その電気的抵抗が十分に低くならないため、抵
抗値がばらつく要因となる。そこで、本製造方法では、
上記Ni−Cr膜43A上に、2層目として、Ag膜4
6Aが積層されている。すなわち、Ag膜を積層するこ
とにより、表面電極全体の電気的抵抗を小さくすること
ができ、それによって抵抗値ばらつきを効果的に低減す
ることが可能とされている。上記のようにして得た第2
の実施例のチップ型サーミスタ素子の抵抗値及び抵抗値
のばらつき3CVを下記の表2において実施例5として
示す。また、比較のために、図15〜図18に示した従
来のチップ型サーミスタ素子51,54,58,63に
おける抵抗値及び抵抗値のばらつき3CVを下記の表2
に併せて示す。
【0102】
【表2】
【0103】表2から明らかなように、実施例5のチッ
プ型サーミスタ素子によれば、従来のチップ型サーミス
タ素子に比べて、抵抗値のばらつき3CVを効果的に低
減し得ることがわかる。
【0104】なお、上述した第1,第2の実施例では、
チップ型サーミスタ素子についての例を示したが、この
場合チップ型サーミスタ素子は、正特性サーミスタ素子
及び負特性サーミスタ素子の何れであってもよい。ま
た、サーミスタ素子に限定されず、固定抵抗値を有する
抵抗素子など他の抵抗素子にも本発明を適用することが
できる。
【0105】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係る抵抗素子で
は、抵抗素体の第1の主面上において、対向するように
形成された第1,第2の表面電極が、少なくとも2層の
電極膜を積層することにより構成されており、少なくと
も第1,第2の表面電極が対向している部分において、
少なくとも最上層の電極膜の外周縁が最下層の電極膜の
外周縁よりも内側となるように形成されているので、フ
ォトリソグラフィー−エッチングにより、第1,第2の
表面電極を正確な形状に形成することができる。
【0106】従って、抵抗値のばらつきの少ない抵抗素
子を提供することが可能となる。請求項2に記載の発明
では、第1,第2の表面電極がくし歯状電極により構成
されており、第1,第2の表面電極の互いの電極指が間
挿し合うように配置されているので、第1,第2の表面
電極の対向面積を増大することができ、それによって抵
抗値のばらつきが少ない、しかも低抵抗の抵抗素子を提
供することができる。
【0107】請求項3に記載の発明では、第1,第2の
表面電極が矩形の形状を有し、互いの先端が第1の主面
の中央領域において対向されているので、抵抗値のばら
つきが少なく、かつ比較的単純な形状を有するため表面
電極を高精度に容易に形成し得る抵抗素子を提供するこ
とができる。
【0108】請求項4に記載の発明では、最下層の電極
膜Agを含まない金属材料により構成されているので、
高湿度下で使用されたとしても、第1,第2の表面電極
間のマイグレーションが生じ難い抵抗素子を提供するこ
とができる。
【0109】請求項5に記載の発明では、最下層の電極
膜の厚みが0.01〜1μmの範囲とされているので、
第1,第2の表面電極間の短絡が生じ難く、かつ低抵抗
の抵抗素子を提供することができる。
【0110】請求項6に記載の発明では、抵抗素体がサ
ーミスタ素体を用いて構成されており、従って、抵抗値
のばらつきが少ない、サーミスタ素子を提供することが
可能となる。
【0111】請求項7に記載の発明に係る抵抗素子の製
造方法では、第1,第2の表面電極を構成するための複
数の電極膜を形成した後、複数の電極膜のうち、最下層
の電極膜を除き、少なくとも最上層の電極膜をエッチン
グすることにより、少なくとも第1,第2の表面電極が
対向している部分において、少なくとも最上層の電極膜
の外周縁が最下層の電極膜の外周縁よりも内側に位置さ
れる。従って、本発明に係る抵抗素子をフォトリソグラ
フィー−エッチング法により容易に提供することができ
る。
【0112】請求項8に記載の発明では、積層された金
属膜をフォトリソグラフィーにより順次形成した後、複
数の金属膜を同時にエッチングした後に、少なくとも最
上層の電極膜を再度エッチングすることにより、容易
に、最上層の電極膜の外周縁を最下層の電極膜の外周縁
の内側に位置させることができる。
【0113】請求項9に記載の発明では、複数の電極膜
を積層形成するにあたり、フォトリソグラフィーにより
金属膜を形成し、エッチングすることにより、まず最下
層の電極膜が形成される。しかる後、残りの電極膜を構
成する金属膜をフォトリソグラフィーにより形成し、残
りの電極膜のうち少なくとも最上層の電極膜をエッチン
グすることにより、容易に最上層の電極膜の外周縁を最
下層の電極膜の外周縁よりも内側に位置させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施例に
係る抵抗素子としてのチップ型サーミスタ素子を示す側
面断面図及び平面図。
【図2】(a)〜(e)は、第1の実施例に係るチップ
型サーミスタ素子を製造する工程を説明するための各側
面図であり、但し、(d)においてマスクは断面を示
す。
【図3】(a)及び(b)は、第1の実施例に係るチッ
プ型サーミスタ素子を製造する工程を説明するための各
側面図。
【図4】(a)〜(e)は、第1の実施例に係るチップ
型サーミスタ素子を製造する工程を説明するための各側
面図であり、但し、(b)のマスクは断面で示す。
【図5】(a)及び(b)は、第1の実施例のチップ型
サーミスタ素子を得る工程を説明するための図であり、
(a)はサーミスタウエハーの側面図、(b)はスクラ
イブ法により分割された短冊状ウエハー分割体を説明す
るための側面図。
【図6】(a)及び(b)は、第1の実施例に係るチッ
プ型サーミスタ素子の変形例を説明するための側面断面
図及び平面図。
【図7】(a)及び(b)は、第1の実施例のチップ型
サーミスタ素子の他の変形例を説明するための側面断面
図及び平面図。
【図8】(a)及び(b)は、第1の実施例に係るチッ
プ型サーミスタ素子のさらに他の変形例を説明するため
の側面断面図及び平面図。
【図9】(a)〜(c)は、それぞれ、本発明の第2の
実施例に係るチップ型サーミスタ素子を説明するための
平面図、側面図及び側面断面図。
【図10】(a)及び(b)は、第2の実施例に係るチ
ップ型サーミスタ素子の変形例を説明するための平面図
及び側面断面図。
【図11】(a)〜(d)は、第2の実施例のチップ型
サーミスタ素子を製造する工程を説明するための各側面
図。
【図12】(a)〜(d)は、第2の実施例のチップ型
サーミスタ素子を製造する工程を説明するための各側面
図であり、但し、(a)のマスクは断面で示す。
【図13】(a)〜(e)は、第2の実施例のチップ型
サーミスタ素子を製造する工程を説明するための各側面
図であり、但し、(c)のマスクは断面で示す。
【図14】(a)〜(e)は、本発明の第2の実施例に
係るチップ型サーミスタ素子の製造工程を説明するため
の図であり、(a)〜(c)は、側面図、(d),
(e)は、平面図。
【図15】従来のチップ型サーミスタ素子の一例を示す
断面図。
【図16】従来のチップ型サーミスタ素子の他の例を示
す断面図。
【図17】(a)及び(b)は、それぞれ、従来のチッ
プ型サーミスタ素子のさらに他の例を示す側面断面図及
び平面断面図。
【図18】(a)及び(b)は、従来のチップ型サーミ
スタ素子の他の例を示す平面図及び側面断面図。
【符号の説明】
1…チップ型サーミスタ素子 2…サーミスタ素体 2a…上面 2b…下面 2c,2d…端面 3,4…第1,第2の表面電極 3A,3B,4A,4B…電極膜 3a,4a…電極指 5a,5b…絶縁層 6,7…外部電極 31…チップ型サーミスタ素子 32…サーミスタ素体 32a…上面、32b…下面 32c,32d…第1,第2の端面 33,34…第1,第2の表面電極 33A,33B,34A,34B…電極膜 35a,35b…絶縁層 36,37…外部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E028 AA06 AA10 BA23 BB01 BB08 CA02 EA01 EB01 JC01 JC05 JC12 5E032 AB10 BA23 BB01 BB08 CA02 CC03 CC14 DA02 5E034 AA09 AA10 AB01 AC01 BA09 BA10 BB01 BC02 DA02 DB05 DC01 DC03 DC09 DC10 DE17

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向し合う第1,第2の主面と、第1,
    第2の主面を結ぶ第1,第2の端面及び一対の側面を有
    する抵抗素体と、 前記抵抗素体の第1の主面上において互いに対向するよ
    うに形成された第1,第2の表面電極と、 前記第1,第2の表面電極にそれぞれ電気的に接続され
    ており、かつ前記抵抗素体の第1,第2の端面を覆うよ
    うにそれぞれ形成されている第1,第2の外部電極とを
    備え、 前記第1,第2の表面電極が少なくとも2層の電極膜を
    積層することにより構成されており、少なくとも第1,
    第2の表面電極が対向している部分において、少なくと
    も最上層の電極膜の外周縁が、最下層の電極膜の外周縁
    よりも内側となるように形成されていることを特徴とす
    る、抵抗素子。
  2. 【請求項2】 前記第1,第2の表面電極が複数本の電
    極指を有するくし歯状電極により構成されており、第
    1,第2の表面電極の互いの電極指が間挿し合うように
    配置されて第1,第2の表面電極が第1の主面上におい
    て対向されている、請求項1に記載の抵抗素子。
  3. 【請求項3】 前記第1,第2の表面電極が矩形の平面
    形状を有し、互いの先端が第1の主面の中央領域におい
    て所定距離を隔てて対向されている、請求項1に記載の
    抵抗素子。
  4. 【請求項4】 前記最下層の電極膜がAgを含まない金
    属材料により構成されている、請求項1〜3の何れかに
    記載の抵抗素子。
  5. 【請求項5】 前記最下層の電極膜の厚みが0.01〜
    1μmの範囲とされている、請求項1〜4の何れかに記
    載の抵抗素子。
  6. 【請求項6】 前記抵抗素体がサーミスタ素体であり、
    サーミスタ素子とされている、請求項1〜5の何れかに
    記載の抵抗素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載の抵抗素子
    の製造方法であって、 前記抵抗素体の第1の主面上において、前記第1,第2
    の表面電極を構成するための複数の電極膜を形成する工
    程と、 複数の電極膜のうち、最下層の電極膜を除き、少なくと
    も最上層の電極膜をエッチングすることにより、少なく
    とも第1,第2の表面電極が対向している部分におい
    て、少なくとも最上層の電極膜の外周縁が最下層の電極
    膜の外周縁よりも内側に位置するように、最上層の電極
    膜を形成する工程とを備えることを特徴とする、抵抗素
    子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記複数の電極膜を形成する工程が、複
    数の金属膜をフォトリソグラフィーにより順次積層形成
    し、積層された複数の金属膜を同時にエッチングするこ
    とにより行われ、 前記エッチング後に、少なくとも最上層の電極膜を再度
    エッチングする、請求項7に記載の抵抗素子の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記複数の電極膜を積層形成する工程
    が、フォトリソグラフィーにより金属膜を形成し、エッ
    チングすることにより最下層の電極膜を形成した後、残
    りの電極膜を構成する金属膜をフォトリソグラフィーに
    より形成することにより行われ、 前記最下層の電極膜を除いて、残りの電極膜のうち少な
    くとも最上層の電極膜をエッチングすることを特徴とす
    る、請求項7に記載の抵抗素子の製造方法。
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