JP2000035416A - 酸素センサ素子 - Google Patents

酸素センサ素子

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JP2000035416A
JP2000035416A JP10167606A JP16760698A JP2000035416A JP 2000035416 A JP2000035416 A JP 2000035416A JP 10167606 A JP10167606 A JP 10167606A JP 16760698 A JP16760698 A JP 16760698A JP 2000035416 A JP2000035416 A JP 2000035416A
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atmosphere chamber
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白井  誠
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気室に設けた積層板状型のセラミックヒー
タが損傷し難い,酸素センサ素子を提供すること。 【解決手段】 コップ型の固体電解質体10と,その内
部に設けた大気室100とよりなり,上記固体電解質体
10の外側面101には外側電極11を,上記大気室1
00に面する内側面102には内側電極12を設け,か
つ上記大気室100には積層板状型のセラミックヒータ
2を配設してなる。上記セラミックヒータ2の先端部2
00は上記大気室100の底部109に当接している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,例えば,内燃機関の排気系に設
置され,空燃比制御に使用される酸素センサ素子に関す
る。
【0002】
【従来技術】従来,自動車エンジンの排気系には,空燃
比を検知する空燃比センサが設置され,該空燃比センサ
にて検知された空燃比を元に上記自動車エンジンの燃焼
制御を行っている。これにより,上記自動車エンジンの
排気系に設けた三元触媒コンバータにおける排気ガスの
浄化効率を高めることができる。そして,上記空燃比セ
ンサとしては,酸素イオン導電性を有する固体電解質よ
りなる酸素センサ素子を内蔵した酸素センサが使用され
ている。
【0003】上記酸素センサ素子は,コップ型の固体電
解質体とその内部に設けた大気室とよりなり,かつ上記
固体電解質体の外側面には外側電極を,上記大気室に面
する内側面には内側電極を設けてなる。上記大気室には
酸素センサ素子を活性化温度まで速やかに加熱するため
のセラミックヒータが設けてある。そして,上記セラミ
ックヒータとしては,断面略円形の丸棒状ヒータが広く
使用されていた。
【0004】しかしながら,近年は製造コストを下げる
ために,積層板状型のセラミックヒータを使用すること
が提案されている(特開平7−35723号,特公平5
−2101号,特表平7−503550号)。かかる積
層板状型のセラミックヒータは,軸方向と直角方向の断
面が四角形状である。上記積層板状型のセラミックヒー
タとは,発熱層と該発熱層に通電するためのリード層と
を形成してなるヒータ基板を複数枚積層することにより
構成されたヒータである。
【0005】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記積層板状
型のセラミックヒータは丸棒状セラミックヒータと比較
して面積の広い発熱層を確保し難い。従って,所望のヒ
ータ抵抗値と信頼性を有する発熱層を設計するために,
積層板状型セラミックヒータの形状は縦横比が大きい薄
板状の断面形状(後述の図4参照)を採用せざるをえな
かった。
【0006】そして,後述の図3に示すごとく,上記セ
ラミックヒータはコップ型の固体電解質体の上部に設け
たヒータホルダによって大気室内に配置されている。こ
のため,外部から加わる衝撃,振動等によりセラミック
ヒータが大気室内で振り子様に振動,揺動し,セラミッ
クヒータの角部が大気室の内側面に衝突するおそれがあ
った。この場合,薄板状の形状を有するセラミックヒー
タの機械的強度は弱いことから,角部等が損傷するおそ
れがあった。
【0007】以上のように角部が損傷した場合,セラミ
ックヒータの外側を構成するヒータ基板だけでなく発熱
層,リード層等が共に損傷し,これらの断線が生じるお
それがある。また,損傷した部分より空気が侵入し,発
熱層,リード層を酸化させるおそれもある。
【0008】本発明は,かかる問題点に鑑み,大気室に
設けた積層板状型のセラミックヒータが損傷し難い,酸
素センサ素子を提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,コップ型の固体
電解質体と,その内部に設けた大気室とよりなり,上記
固体電解質体の外側面には外側電極を,上記大気室に面
する内側面には内側電極を設け,かつ上記大気室には積
層板状型のセラミックヒータを配設してなる酸素センサ
素子であって,上記セラミックヒータの先端部は上記大
気室の底部に当接していることを特徴とする酸素センサ
素子にある。
【0010】上記積層板状型のセラミックヒータとして
は,後述する実施形態例1等に示すごとく,例えば導電
性物質を含有する発熱抵抗体よりなる発熱層と該発熱層
に通電するためのリード層とを形成してなるヒータ基板
を複数枚積層することにより構成されている。また,ヒ
ータ基板に対して被覆基板を設けることもある。
【0011】また,積層板状型のセラミックヒータの断
面形状としては,長方形,正方形の他,楕円,樽状,ま
た面取りされた長方形,正方形等が挙げられる(図13
参照)。また,上記積層板状型のセラミックヒータは,
大気室の上部に設けたヒータホルダ等により大気室内に
係止されている。
【0012】本発明の作用につき,以下に説明する。本
発明にかかる酸素センサ素子において,大気室に配設し
たセラミックヒータの先端部は,大気室の底部に当接し
ている。また,この大気室の底部は,弧状凹部を呈して
いる(図1,図7参照)。このため,上記セラミックヒ
ータは,上記当接によりその先端部において固定される
こととなる。よって,上記セラミックヒータの大気室内
における振動,揺動等を防止することができる。従っ
て,セラミックヒータの角部の損傷を防止することがで
きる。
【0013】以上のように,本発明によれば,大気室に
設けた積層板状型のセラミックヒータが損傷し難い,酸
素センサ素子を提供することができる。
【0014】次に,請求項2の発明のように,上記セラ
ミックヒータの先端部は少なくとも四点当接しているこ
とが好ましい(図7,図8参照)。これにより,確実に
セラミックヒータを大気室内に固定することができる。
【0015】次に,請求項3の発明のように,上記セラ
ミックヒータの先端部における角部はテーパー状である
ことが好ましい。これにより,セラミックヒータと大気
室の底部との接触部分を増やすことができ,セラミック
ヒータによる酸素センサ素子の速熱性を高めることがで
きる(後述の図11参照)。
【0016】また,セラミックヒータの鋭角な角部によ
る内側電極の損傷を防止することができる。仮に内側電
極が損傷した場合には,電極面積が減少することから,
酸素センサ素子の出力特性が変化し,正確な空燃比の測
定が困難となるおそれがある。また,出力が低下するお
それがある。また,上記テーパーとしては線状や平面状
(後述の図8,図12参照),曲面状(後述の図9参
照)のものを挙げることができる。
【0017】次に,請求項4の発明のように,上記セラ
ミックヒータの先端部は大気室の底部の形状に沿った曲
面状であることが好ましい。これにより,セラミックヒ
ータの外側面と大気室の内側面との距離が近くなり,セ
ラミックヒータによる内側電極の加熱効率を高めること
ができる。よって,酸素センサ素子の速熱性を高めるこ
とができる(後述の図11参照)。また,セラミックヒ
ータによる内側電極の損傷を防止することができる。な
お,上記大気室の底部の形状に沿った曲面状とは,大気
室の底部と同様の曲率半径を有する曲面を意味している
(後述の図4,図10参照)。
【0018】次に,請求項5の発明のように,上記セラ
ミックヒータの先端部は大気室の底部に線接触又は面接
触していることが好ましい。これにより,セラミックヒ
ータの外側面と大気室の内側面との距離が近くなり,セ
ラミックヒータによる内側電極の加熱効率を高めること
ができる。よって,酸素センサ素子の速熱性を高めるこ
とができる(後述の図11参照)。また,セラミックヒ
ータの鋭角な角部による内側電極の損傷を防止すること
ができる。
【0019】次に,請求項6の発明のように,上記セラ
ミックヒータの先端部は,弧状曲面を有し,該弧状曲面
は少なくともその一部分に,上記大気室の底部の曲率半
径よりも小さい曲率半径を有する小曲率半径部分を有す
ることが好ましい。この場合には,セラミックヒータの
先端部における弧状曲面が僅かな加工誤差を生じた場合
でも,確実にセラミックヒータの先端部を大気室の底部
まで挿入し,上記小曲率半径部分を大気室の底部に当接
させることができる。特に,セラミックヒータは,比較
的強度が弱いため,強い力で大気室の底部へ挿入するこ
とができない。そのため,先端部の形成に加工誤差があ
ると,セラミックヒータの先端部が大気室の底部に当接
するまで強く挿入することができない。上記構成によれ
ば,この問題を解決できる。
【0020】次に,請求項7の発明のように,上記セラ
ミックヒータの先端部は,セラミックヒータの本体側に
位置する弧状曲面の第1先端部と,該第1先端部よりも
更に先端に位置する弧状曲面の第2先端部を有し,上記
第1先端部は上記大気室の底部の曲率半径よりも小さい
小曲率半径部分を有することが好ましい。この場合に
は,第1先端部が上記小曲率半径部分を有するので,確
実にセラミックヒータの先端部を大気室の底部へ当接さ
せることができる。
【0021】次に,請求項8の発明のように,上記セラ
ミックヒータの先端部は,セラミックヒータの本体側に
位置する弧状曲面の第1先端部と,該第1先端部よりも
更に先端に位置する弧状曲面の第2先端部を有し,上記
第2先端部は上記第1先端部の曲率半径よりも大きい大
曲率半径部分を有することが好ましい。この場合にも,
確実にセラミックヒータの先端部を大気室の底部へ当接
させることができる。
【0022】次に,請求項9の発明のように,上記セラ
ミックヒータの先端部は,セラミックヒータの本体側に
位置する弧状曲面の第1先端部と,該第1先端部よりも
更に先端に位置する弧状曲面の第2先端部を有し,上記
第2先端部の曲率半径は,上記大気室の底部の曲率半径
以上であることが好ましい。この場合には,セラミック
ヒータの上記第2先端部と大気室の底部との間のクリア
ランスを小さくすることができ,伝熱効率を向上させる
ことができる。
【0023】次に,請求項10の発明のように,上記セ
ラミックヒータの先端部は,セラミックヒータの本体側
に位置する弧状曲面の第1先端部と,該第1先端部より
も更に先端に位置する第2先端部を有し,上記第2先端
部は,平坦面であることが好ましい。この場合には,上
記第2先端部の加工が容易である。また,第2先端部の
削り過ぎを防止することができる。また,セラミックヒ
ータ加工時に第2先端部の形状を常に一定にすることが
できる。
【0024】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる酸素センサ素子につき,図
1〜図3を用いて説明する。 図1に示すごとく,本例
の酸素センサ素子1は,コップ型の固体電解質体10
と,その内部に設けた大気室100とよりなり,上記固
体電解質体10の外側面101には外側電極11を,上
記大気室100に面する内側面102には内側電極12
を設ける。かつ,上記大気室100には積層板状型のセ
ラミックヒータ2を配設してなる。なお,上記セラミッ
クヒータ2の断面形状は図6に示すごとく,縦横比の大
きい長方形である。そして,上記外側電極11の外方に
は,保護層191,被毒トラップ層192が設けてあ
る。
【0025】そして,上記セラミックヒータ2の先端部
20は,後述の実施形態例3にかかる図7(b)に示す
ごとく,上記大気室100の底部109に四点当接して
いる。上記底部109は弧状凹部を呈している(図
1)。なお,同図における丸印は先端部20と底部10
9との接触点を示す印である。
【0026】図2に示すごとく,上記セラミックヒータ
2は発熱層と該発熱層に通電するためのリード層とを形
成してなるヒータ基板201と,これらを保護する被覆
基板202とよりなる(後述の実施形態例2参照)。ヒ
ータ基板201,被覆基板202は共にアルミナよりな
る。また,上記発熱層及びリード層は共にタングステン
含有導体よりなる。そして,上記リード層はセラミック
ヒータ2の外部側面28に露出した露出部を有してな
り,該露出部に設けた導体部290により通電用リード
線29が接続されている。
【0027】次に,本例にかかる酸素センサ素子1を設
けた酸素センサ3について説明する。図3に示すごと
く,上記酸素センサ3は,固体電解質体10を配設する
ハウジング30と,該ハウジング30の下部を覆い,被
測定ガス室300を構成する被測定ガス側カバー30
1,302とハウジング30の上部を覆う大気側カバー
331よりなる。
【0028】上記固体電解質体10の大気室100には
上記セラミックヒータ2がヒータホルダ31によって固
定配置されている。なお,符号391,392は酸素セ
ンサ素子1の出力取出用リード線,符号393はセラミ
ックヒータ2に対する通電用リード線である。また,リ
ード線29とリード線393は端子383によって接続
されている。
【0029】次に,本例における作用効果につき説明す
る。本例にかかる酸素センサ素子1において,大気室1
00に配設したセラミックヒータ2の先端部20は,上
記のごとく,大気室100の底部109に四点で当接し
ている(第7(B)参照)。このため,上記セラミック
ヒータ2は,上端部においてはヒータホルダにより固定
され,先端部20においては上記四点当接により固定さ
れることとなる。よって,上記セラミックヒータ2の大
気室100内での振動,揺動を防止することができる。
従って,セラミックヒータ20の角部等の損傷を防止す
ることができる。
【0030】以上のように,本例によれば,大気室に設
けた積層板状型のセラミックヒータが損傷し難い,酸素
センサ素子を提供することができる。
【0031】実施形態例2 本例は,図4,図5に示すごとく,セラミックヒータの
先端部を大気室の底部の形状に沿った曲面状としたもの
である(実施形態例3にかかる図10参照)。即ち,図
4(a),(b)に示すごとく,本例にかかるセラミッ
クヒータ2の先端部209は上記底部109と同様の曲
率半径を有する曲面形状を呈しており,大気室100の
底部109に面接触で突き当てられた状態にある。その
他は,実施形態例1と同様である。
【0032】次に,本例にかかるセラミックヒータの製
造方法について説明する。まず,Al2392wt%,
SiO2及びMgO8wt%よりなる原料粉末よりスラ
リーを作製した。上記スラリーをドクターブレード法に
よって厚さ1.2mmのシートとした。上記シートに打
ち抜きプレスを施し,120mm×120mmの正方形
状のヒータ基板用のグリーンシート41,被覆基板用の
グリーンシート42を作製した。なお,上記ヒータ基板
用のグリーンシート41,被覆基板用のグリーンシート
42の作製に当たっては,押出成形等の別製法を利用す
ることもできる。
【0033】次に,W,Mo等の金属を主成分とした導
電性ペーストを準備し,該導電性ペーストを用いてヒー
タ基板用のグリーンシート41に対し5個のヒータパタ
ーン40を,図5(a)にかかる形状に印刷形成した。
【0034】次に,図5(a)に示すごとく,上記グリ
ーンシート41に対し,被覆基板用のグリーンシート4
2を積層した。そして,図5(b)に示すごとき積層体
43となし,乾燥した。次いで,上記積層体43を,図
5(b)に示す一点鎖線にて切断,図5(c)に示すご
とき,5つの中間体44を作製した。なお,上記積層体
43の端片449(ヒータパターン40が存在しない部
分)は不要材として除去される。
【0035】次いで,上記中間体44の外側側面48に
導電性ペーストを用いて印刷部490を形成する。その
後,上記中間体44を1400〜1600℃で焼成し,
焼成体45となす。この焼成において,上記印刷部49
0は焼付けられ導体部290となる。
【0036】次に,上記焼成体45の先端部を研磨装置
を使用して研磨する。これにより,図5(d)に示すご
とく,大気室100の底部109と同じ曲率半径を持っ
た曲面状の先端部209を得た。その後,上記導体部2
90に対しCuろう等のロー材を配置し,1100〜1
150℃の高温炉中にてリード線29をろう付けする。
以上により,図5(e)に示すごとく,本例にかかるセ
ラミックヒータ2を得た。
【0037】本例の酸素センサ素子1においては,セラ
ミックヒータ2の外側面と大気室100の内側面102
との距離が近くなり,セラミックヒータ1による内側電
極12の加熱効率を高めることができる(後述の実施形
態例3参照)。また,セラミックヒータ1による内側電
極12の損傷を防止することができる。その他は実施形
態例1と同様の作用効果を有する。
【0038】実施形態例3 本例は図6〜図11に示すごとく,セラミックヒータの
先端部の状態・形状と酸素センサ素子の活性時間との関
係について説明するものである。即ち,本例において
は,各種形状のセラミックヒータを組付けた酸素センサ
素子を準備し,各セラミックヒータに対し通電し,酸素
センサ素子外側先端の温度が300℃に到達した時間を
活性時間とみなした。この結果については図11に記載
した。
【0039】本例にかかる比較試料C1及び試料1〜4
について図6〜図10を用いて説明する。これらの図面
において(a)はセラミックヒータ2の先端部209の
形状を示すための斜視図である。また,(b)はセラミ
ックヒータ2の先端部20の状態を示す平面図であっ
て,特に大気室の底部と点接触するものについては接触
点205を小白丸印として記載した。
【0040】まず,図6(a)に示したセラミックヒー
タ2は従来例にかかる比較試料C1である。このセラミ
ックヒータ2は先端部209に何の加工も施していな
い。また,図6(b)に示すごとく,セラミックヒータ
2の先端部20は大気室の底部に対して非接触である。
【0041】図7(a)に示した試料1にかかるセラミ
ックヒータ2も先端部209には加工を施していない。
ただし,実施形態例1と同様に,先端部209の角部が
大気室の底部に接触するように大気室内にセラミックヒ
ータ2を配置した。図8に示した試料2にかかるセラミ
ックヒータ2の先端部209には4個所の面取りが施し
てある。従って,図8(b)に示すごとく,上記セラミ
ックヒータ2は大気室の底部と8点で接触する。
【0042】図9に示した試料3にかかるセラミックヒ
ータ2の先端部209には曲面状のテーパーが設けてあ
る。図9(b)に示すごとく,このテーパーの部分の全
体が大気室の底部と接触する。なお,接触する部分には
斜線を付した。図10に示した試料4にかかるセラミッ
クヒータ2は,その先端部209が大気室と同曲率半径
の曲面を有する(実施形態例2参照)。図10(b)に
示すごとく,この曲面全体が大気室の底部と接触する。
なお,接触する部分には斜線を付した。
【0043】また,後述の図17(実施形態例8)に示
す弧状曲面の第1先端部と平坦面の第2先端部を有する
試料5(平坦面の直径0.5mm),試料6(平坦面の
直径1.0mm)についても図11に示した。
【0044】図11によれば,セラミックヒータ2と大
気室底部とが非接触である比較試料C1は,本発明にか
かる試料1〜6の酸素センサ素子と比較して著しく活性
時間が長かった。そして,試料1〜6の酸素センサ素子
の中でも先端部20と底部との接触面積が最も多い試料
4,試料5は,その活性時間が最も短いことが分かっ
た。
【0045】ここに,活性時間の短い酸素センサ素子を
設けた酸素センサを内燃機関の排気系に設置し,空燃比
制御に利用することにより,内燃機関始動直後より排ガ
ス中の酸素濃度または空燃比を測定することができる。
よって,空燃比制御を内燃機関の始動直後より精密に行
うことができ,始動直後より排気ガス中の汚染物質を低
減することが可能となる。
【0046】実施形態例4 本例は,図12,図13に示すごとく,各種形状を有す
るセラミックヒータを例示するものである。一つは,図
12(a),(b)に示すごとく,ヒータ層25を両面
に設けたヒータ基板201と,該ヒータ基板201の両
面に設けた被覆板202とよりなる三層構造であって,
その四辺の角部は面取りされ,更にその先端部209に
は8個所の面取りが施されたセラミックヒータ2であ
る。その他は実施形態例1と同様である。
【0047】このセラミックヒータ2は大気室底部と1
6個所において接触することができる。よって,上記セ
ラミックヒータ2を設けた酸素センサ素子は優れた速熱
性を得ることができる。また,四辺が面取りされている
ため,固体電解質体の内側面を傷つけ難い。その他は実
施形態例1と同様の作用効果を有する。
【0048】また,図13に示すごとく,断面形状が樽
型であるセラミックヒータ2を使用することもできる。
なお,このセラミックヒータ2はヒータ層25を両面に
設けたヒータ基板201と,該ヒータ基板201の両面
に設けた被覆板202とよりなり,上記被覆板202と
して角張った辺を持たない板を使用する。その他は実施
形態例1と同様である。このセラミックヒータ2も,四
辺に角ばった部分が存在しないため,固体電解質体の内
側面を傷つけ難い。その他は実施形態例1と同様の作用
効果を有する。
【0049】実施形態例5 本例は,図14に示すごとく,セラミックヒータ5の先
端部に小曲率半径部分501を有する例である。即ち,
上記セラミックヒータ5の先端部50は弧状曲面を有
し,該弧状曲面はその一部分に,上記大気室の底部10
9の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する小曲率半径
部分501を有する。また,上記小曲率半径部分501
とは反対側(右方)には,それよりも大きい曲率半径を
有する弧状曲面502を有している。
【0050】この場合には,セラミックヒータ5の先端
部における弧状曲面が僅かな加工誤差を生じた場合で
も,確実にセラミックヒータ5の先端部50を大気室の
底部109まで挿入し,上記小曲率半径部分501を大
気室の底部109に当接させることができる。特に,セ
ラミックヒータは,比較的強度が弱いため,強い力で大
気室の底部へ挿入することができない。そのため,先端
部の形成に加工誤差があると,セラミックヒータの先端
部が大気室の底部に当接するまで強く挿入することがで
きない。本例によれば,この問題を解決できる。
【0051】また,本例によれば,セラミックヒータ5
の軸中心と,大気室の軸中心との間にズレを生じても,
弧状凹部の大気室の底部109に確実に上記小曲率半径
部分501が当接する。その他は,実施形態例1と同様
であり,実施形態例1と同様の効果を得ることができ
る。
【0052】実施形態例6 本例は,図15(a),(b)に示すごとく,セラミッ
クヒータ5の先端部に第1先端部51と第2先端部52
とを設け,上記第1先端部51に小曲率半径部分501
を設けた例である。
【0053】即ち,上記セラミックヒータ5の先端部
は,セラミックヒータの本体55側に位置する弧状曲面
の第1先端部51と,該第1先端部51よりも更に先端
に位置する弧状曲面の第2先端部52を有し,上記第1
先端部51は上記大気室の底部109の曲率半径よりも
小さい小曲率半径部分501を有する。この場合には,
第1先端部51が上記小曲率半径部分501を有するの
で,確実にセラミックヒータ5の先端部を大気室の底部
109へ当接させることができる。その他は,実施形態
例5と同様であり,実施形態例5と同様の効果を得るこ
とができる。
【0054】実施形態例7 本例は,図16に示すごとく,セラミックヒータ5の先
端部は,セラミックヒータの本体55側に位置する弧状
曲面の第1先端部51と,該第1先端部51よりも更に
先端に位置する弧状曲面の第2先端部52を有し,上記
第2先端部52の曲率半径は,上記大気室の底部109
の曲率半径と同じか又はそれ以上である例を示してい
る。この場合には,セラミックヒータ5の上記第2先端
部52と大気室の底部109との間のクリアランス52
5を小さくすることができ,伝熱効率を向上させること
ができる。その他は,実施形態例5と同様であり,実施
形態例5と同様の効果を得ることができる。
【0055】実施形態例8 本例は,図17(a),(b)に示すごとく,セラミッ
クヒータ5の先端部は,セラミックヒータ5の本体55
側に位置する第1先端部51と,該第1先端部51より
も更に先端に位置する第2先端部52を有し,該第2先
端部52は,平坦面である。この場合には,上記第2先
端部52の加工が容易である。また,第2先端部52の
削り過ぎを防止することができる。また,セラミックヒ
ータ加工時に第2先端部52の形状を常に一定にするこ
とができる。また,上記第2先端部52と大気室の底部
109との間のクリアランス526を小さくすることが
できる。
【0056】また,本例のセラミックヒータにおいて,
上記第2先端部52の平坦面の直径を0.5mm(試料
5),1.0mm(試料6)とした試料について,実施
形態例3に示したごとく,活性時間を測定した。その結
果を図11に示す(実施形態例3参照)。その他は,実
施形態例5と同様であり,実施形態例5と同様の効果を
得ることができる。
【0057】実施形態例9 本例は,図18(a)〜(c)に示すごとく,セラミッ
クヒータ5の先端部を,大気室の底部109に当接させ
た場合の,両者の接触状態を示す例である。即ち,図1
8(a)は,セラミックヒータ5の先端部57の底面図
である。そして,このセラミックヒータ5の先端部57
を固体電解質の大気室の底部109に当接させたとき
(例えば図16参照),それが線接触の場合は,図18
(b)に示すごとき,接触状態となる。また,それが面
接触の場合は,図18(c)に示すごとき,接触状態と
なる。
【0058】実施形態例10 本例は,図19に示すごとく,セラミックヒータ5の本
体55と弧状曲面の先端部54との間に段部541を設
けた例である。この場合には,先端部54の最先端部
を,弧状凹部の大気室の底部109に確実に当接させる
ことができる。その他実施形態例5と同様の効果を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1にかかる,酸素センサ素子の要部
断面説明図。
【図2】実施形態例1にかかる,セラミックヒータの斜
視図。
【図3】実施形態例1にかかる,酸素センサの断面説明
図。
【図4】実施形態例2にかかる,酸素センサ素子の
(a)右断面説明図,(b)左断面説明図。
【図5】実施形態例2にかかる,セラミックヒータの製
造工程を示す説明図。
【図6】実施形態例3にかかる,比較試料C1にかかる
セラミックヒータの,(a)先端部の斜視図,(b)先
端部の平面図。
【図7】実施形態例3にかかる,先端部が未加工で,大
気室の底部と四点当接した試料1にかかるセラミックヒ
ータの,(a)先端部の斜視図,(b)先端部の平面
図。
【図8】実施形態例3にかかる,先端部に平面状のテー
パを設け,大気室の底部と八点当接した試料2にかかる
セラミックヒータの,(a)先端部の斜視図,(b)先
端部の平面図。
【図9】実施形態例3にかかる,先端部に曲面状のテー
パーを設け,大気室底部と面接触した試料3にかかるセ
ラミックヒータの,(a)先端部の斜視図,(b)先端
部の平面図。
【図10】実施形態例3にかかる,先端部を大気室の底
部と同曲率半径を有する曲面状に構成した試料4にかか
るセラミックヒータの,(a)先端部の斜視図,(b)
先端部の平面図。
【図11】実施形態例3にかかる,比較試料C1,試料
1〜6にかかるセラミックヒータの活性時間を示す線
図。
【図12】実施形態例4にかかる,四辺を面取りし,先
端部に8個所の面取りを施したセラミックヒータの,
(a)先端部の平面図,(b)断面説明図。
【図13】実施形態例4にかかる,断面形状が樽型のセ
ラミックヒータの断面説明図。
【図14】実施形態例5にかかる,セラミックヒータの
説明図。
【図15】実施形態例6にかかる,セラミックヒータ
の,(a)先端部の斜視図,(b)説明図。
【図16】実施形態例7にかかる,セラミックヒータの
説明図。
【図17】実施形態例8にかかる,セラミックヒータ
の,(a)先端部の斜視図,(b)説明図。
【図18】実施形態例9にかかる,セラミックヒータの
先端部の接触状態の説明図。
【図19】実施形態例10にかかる,セラミックヒータ
の先端部の斜視図。
【符号の説明】
1...酸素センサ素子, 10...固体電解質体, 100...大気室, 101...外側面, 102...内側面, 109...底部, 11...外側電極, 12...内側電極, 2,5...セラミックヒータ, 20,209...先端部, 51...第1先端部, 52...第2先端部, 501...小曲率半径部分,

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コップ型の固体電解質体と,その内部に
    設けた大気室とよりなり,上記固体電解質体の外側面に
    は外側電極を,上記大気室に面する内側面には内側電極
    を設け,かつ上記大気室には積層板状型のセラミックヒ
    ータを配設してなる酸素センサ素子であって, 上記セ
    ラミックヒータの先端部は上記大気室の底部に当接して
    いることを特徴とする酸素センサ素子。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記セラミックヒー
    タの先端部は少なくとも四点当接していることを特徴と
    する酸素センサ素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において,上記セラミ
    ックヒータの先端部における角部はテーパー状であるこ
    とを特徴とする酸素センサ素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記セラミックヒータの先端部は大気室の底部の形状に
    沿った曲面状であることを特徴とする酸素センサ素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項において,
    上記セラミックヒータの先端部は大気室の底部に,線接
    触又は面接触していることを特徴とする酸素センサ素
    子。
  6. 【請求項6】 請求項1において,上記セラミックヒー
    タの先端部は,弧状曲面を有し,該弧状曲面は少なくと
    もその一部分に,上記大気室の底部の曲率半径よりも小
    さい曲率半径を有する小曲率半径部分を有することを特
    徴とする酸素センサ素子。
  7. 【請求項7】 請求項1において,上記セラミックヒー
    タの先端部は,セラミックヒータの本体側に位置する弧
    状曲面の第1先端部と,該第1先端部よりも更に先端に
    位置する弧状曲面の第2先端部を有し,上記第1先端部
    は上記大気室の底部の曲率半径よりも小さい小曲率半径
    部分を有することを特徴とする酸素センサ素子。
  8. 【請求項8】 請求項1において,上記セラミックヒー
    タの先端部は,セラミックヒータの本体側に位置する弧
    状曲面の第1先端部と,該第1先端部よりも更に先端に
    位置する弧状曲面の第2先端部を有し,上記第2先端部
    は上記第1先端部の曲率半径よりも大きい大曲率半径部
    分を有することを特徴とする酸素センサ素子。
  9. 【請求項9】 請求項1において,上記セラミックヒー
    タの先端部は,セラミックヒータの本体側に位置する弧
    状曲面の第1先端部と,該第1先端部よりも更に先端に
    位置する弧状曲面の第2先端部を有し,上記第2先端部
    の曲率半径は,上記大気室の底部の曲率半径以上である
    ことを特徴とする酸素センサ素子。
  10. 【請求項10】 請求項1において,上記セラミックヒ
    ータの先端部は,セラミックヒータの本体側に位置する
    弧状曲面の第1先端部と,該第1先端部よりも更に先端
    に位置する第2先端部を有し,上記第2先端部は,平坦
    面であることを特徴とする酸素センサ素子。
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