JP2000034615A - 溶融紡糸装置 - Google Patents
溶融紡糸装置Info
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- JP2000034615A JP2000034615A JP10201693A JP20169398A JP2000034615A JP 2000034615 A JP2000034615 A JP 2000034615A JP 10201693 A JP10201693 A JP 10201693A JP 20169398 A JP20169398 A JP 20169398A JP 2000034615 A JP2000034615 A JP 2000034615A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 紡出糸条の細化仮定において、繊度斑や紡糸
不調が生じない溶融紡糸装置を提供する。 【解決手段】 多数本の熱可塑性合成単繊維からなる糸
条(Y)を紡出するための多ホール紡糸口金(2)、該紡出糸
条を徐冷するための徐冷ゾーン、該紡出糸条が走行する
ための開口を残して下部からの冷却風の流入を遮断する
冷却風遮断部材(3)、及び該紡出糸条(Y)を横切るように
吹出された冷却風によって該紡出糸条を冷却する冷却装
置((4),(5),(6),(6′)等からなる)をこの順に設け、そ
の際該紡出糸条(Y)が走行する走行空間の下端開口面が
該冷却風遮断部材(3)の開口に略重なる走行空間を形成
した筒状のスペーサ(7)を、該紡糸口金(2)と該冷却風遮
断部材(3)との間に該紡出糸条(Y)に近接させて、該徐冷
ゾーンに付設した溶融紡糸装置である。
不調が生じない溶融紡糸装置を提供する。 【解決手段】 多数本の熱可塑性合成単繊維からなる糸
条(Y)を紡出するための多ホール紡糸口金(2)、該紡出糸
条を徐冷するための徐冷ゾーン、該紡出糸条が走行する
ための開口を残して下部からの冷却風の流入を遮断する
冷却風遮断部材(3)、及び該紡出糸条(Y)を横切るように
吹出された冷却風によって該紡出糸条を冷却する冷却装
置((4),(5),(6),(6′)等からなる)をこの順に設け、そ
の際該紡出糸条(Y)が走行する走行空間の下端開口面が
該冷却風遮断部材(3)の開口に略重なる走行空間を形成
した筒状のスペーサ(7)を、該紡糸口金(2)と該冷却風遮
断部材(3)との間に該紡出糸条(Y)に近接させて、該徐冷
ゾーンに付設した溶融紡糸装置である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性合成繊維
の溶融紡糸において、デニール斑(繊度斑)や不均一冷
却が生じない溶融紡糸装置に関し、特に単繊維繊度が
0.6デニール以下のマルチフィラメントからなる極細
単繊維糸条を溶融紡糸するための溶融紡糸装置に関す
る。
の溶融紡糸において、デニール斑(繊度斑)や不均一冷
却が生じない溶融紡糸装置に関し、特に単繊維繊度が
0.6デニール以下のマルチフィラメントからなる極細
単繊維糸条を溶融紡糸するための溶融紡糸装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリエステルやナイロン等の熱
可塑性合成樹脂からなる繊維を溶融紡糸するに当たっ
て、溶融した熱可塑性ポリマーを紡糸口金から吐出さ
せ、紡出糸条群を横切る方向に流れる冷却風により冷却
した後、延伸して引き取ることが行われている。
可塑性合成樹脂からなる繊維を溶融紡糸するに当たっ
て、溶融した熱可塑性ポリマーを紡糸口金から吐出さ
せ、紡出糸条群を横切る方向に流れる冷却風により冷却
した後、延伸して引き取ることが行われている。
【0003】このような溶融紡糸によって得られる単繊
維鮮度が0.6デニール以下の極細繊維は、人工皮革や
高級衣料等の高付加価値製品の素材として用いられてい
る。このような用途に用いられる極細繊維としては、単
繊維繊度として少なくとも1.0デニール以下であっ
て、単繊維の集合体であるマルチフィラメント糸条とし
た場合の繊度が、20デニール以上であることが要求さ
れる。したがって、このような極細繊維を製造するため
には、多ホールの紡糸口金を使用して紡糸する事が必須
になる。
維鮮度が0.6デニール以下の極細繊維は、人工皮革や
高級衣料等の高付加価値製品の素材として用いられてい
る。このような用途に用いられる極細繊維としては、単
繊維繊度として少なくとも1.0デニール以下であっ
て、単繊維の集合体であるマルチフィラメント糸条とし
た場合の繊度が、20デニール以上であることが要求さ
れる。したがって、このような極細繊維を製造するため
には、多ホールの紡糸口金を使用して紡糸する事が必須
になる。
【0004】しかしながら、このような多ホール紡糸に
おいては、紡出糸条を冷却固化させる過程で冷却の不均
一を生じやすい。この冷却の不均一は、マルチフィラメ
ント糸条を構成する各単繊維間に物性のバラツキを生じ
る原因となって、糸切れ等の工程トラブル、各単繊維に
おける長さ方向の繊度斑、染斑等となって現れ、十分な
品質を持つ極細マルチフィラメント糸条を得る事が難し
かった。特に、紡出された糸条を横切るようにして冷却
風を吹き付ける場合において、紡出糸条がこの冷却風の
影響を受けて揺動する場合にこのような現象が生じる。
おいては、紡出糸条を冷却固化させる過程で冷却の不均
一を生じやすい。この冷却の不均一は、マルチフィラメ
ント糸条を構成する各単繊維間に物性のバラツキを生じ
る原因となって、糸切れ等の工程トラブル、各単繊維に
おける長さ方向の繊度斑、染斑等となって現れ、十分な
品質を持つ極細マルチフィラメント糸条を得る事が難し
かった。特に、紡出された糸条を横切るようにして冷却
風を吹き付ける場合において、紡出糸条がこの冷却風の
影響を受けて揺動する場合にこのような現象が生じる。
【0005】また、生産性を向上させる等の理由のため
に、近年、紡糸速度の高速化が図られるようになってき
たが、このために走行する紡出糸条に随伴する気流が紡
速の増大とともに益々増大することとなり、この随伴気
流が紡出糸条の糸揺れの大きな原因ともなっている。
に、近年、紡糸速度の高速化が図られるようになってき
たが、このために走行する紡出糸条に随伴する気流が紡
速の増大とともに益々増大することとなり、この随伴気
流が紡出糸条の糸揺れの大きな原因ともなっている。
【0006】このような問題を解決するために、従来か
ら種々の検討がなされている。例えば、特開平4−18
107号公報には、紡糸口金に穿設するポリマー吐出孔
の配列を工夫して、冷却風の吹出し側と反吹出し側の紡
出糸条の冷却差を解消すると共に、冷却風が紡出糸条の
間を容易に通過できるように、冷却風の通過性を向上さ
せることで、冷却の不均一を解消することが提案されて
いる。
ら種々の検討がなされている。例えば、特開平4−18
107号公報には、紡糸口金に穿設するポリマー吐出孔
の配列を工夫して、冷却風の吹出し側と反吹出し側の紡
出糸条の冷却差を解消すると共に、冷却風が紡出糸条の
間を容易に通過できるように、冷却風の通過性を向上さ
せることで、冷却の不均一を解消することが提案されて
いる。
【0007】しかしながら、この方法では、多ホール化
や高速化による随伴気流の増大と、これによって誘起さ
れる糸揺れが原因となる繊度斑の発生については何等の
考慮も払われていないため、特に、90ホール以上の多
ホール紡糸や2500m/分以上の高速紡糸において、
前記の糸揺れが顕著となる。
や高速化による随伴気流の増大と、これによって誘起さ
れる糸揺れが原因となる繊度斑の発生については何等の
考慮も払われていないため、特に、90ホール以上の多
ホール紡糸や2500m/分以上の高速紡糸において、
前記の糸揺れが顕著となる。
【0008】したがって、特公昭59−40923号公
報、特開昭63−145407号公報等には、整流板を
糸条群の走行方向に沿って配設したり、冷却風の吹出し
側と対向して設けた整流板を介して外気を吸気すること
で、冷却風の乱れを解消しながら、紡出糸条の冷却の均
一化を図り、マルチフィラメント糸条の繊度斑を解消す
る方法が提案されている。
報、特開昭63−145407号公報等には、整流板を
糸条群の走行方向に沿って配設したり、冷却風の吹出し
側と対向して設けた整流板を介して外気を吸気すること
で、冷却風の乱れを解消しながら、紡出糸条の冷却の均
一化を図り、マルチフィラメント糸条の繊度斑を解消す
る方法が提案されている。
【0009】しかし、この方法においても、前記の多ホ
ール化や高速化による随伴気流の増大によって誘起され
る糸揺れや冷却風の単繊維間への通過容易性に関して
は、何等の配慮もされていないため、糸切れや繊度斑の
発生を減少させるためには十分でない。しかも、前述の
ような極細繊維を高速で紡糸しようとすると、糸条の細
化完了点は通常紡糸の場合と比較して、紡糸口金方向へ
とシフトするため、紡出糸条を徐冷する徐冷ゾーン内で
の気流の乱れが前述のような繊度斑等の問題を惹起す
る。
ール化や高速化による随伴気流の増大によって誘起され
る糸揺れや冷却風の単繊維間への通過容易性に関して
は、何等の配慮もされていないため、糸切れや繊度斑の
発生を減少させるためには十分でない。しかも、前述の
ような極細繊維を高速で紡糸しようとすると、糸条の細
化完了点は通常紡糸の場合と比較して、紡糸口金方向へ
とシフトするため、紡出糸条を徐冷する徐冷ゾーン内で
の気流の乱れが前述のような繊度斑等の問題を惹起す
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に鑑み成されたものであって、本発明が解決しようと
する課題は、以下の通りである。すなわち、紡出された
マルチフィラメント糸条を横切るように冷却風を該糸条
に吹き付けて、溶融したマルチフィラメント糸条を冷却
固化する際に、主として糸条の糸揺れに起因する繊度斑
や不均一冷却を防止できる溶融紡糸装置を提供すること
にある。
点に鑑み成されたものであって、本発明が解決しようと
する課題は、以下の通りである。すなわち、紡出された
マルチフィラメント糸条を横切るように冷却風を該糸条
に吹き付けて、溶融したマルチフィラメント糸条を冷却
固化する際に、主として糸条の糸揺れに起因する繊度斑
や不均一冷却を防止できる溶融紡糸装置を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに、本発明によれば下記のような手段が提供される。
すなわち、「多数本の熱可塑性合成単繊維からなる熱可
塑性合成繊維糸条を紡出するための多ホール紡糸口金、
該紡出糸条を徐冷するための徐冷ゾーン、該紡出糸条が
走行するための開口を残して下部からの冷却風の流入を
遮断する冷却風遮断部材、及び該紡出糸条を横切るよう
に吹出された冷却風によって該紡出糸条を冷却する冷却
装置をこの順に設け、その際、紡出糸条が走行する筒状
の走行空間を有し、該走行空間の下端開口の糸条走行方
向への投影面が冷却風遮断部材の開口に略重なるように
形成した筒状のスペーサを、紡糸口金と冷却風遮断部材
との間の徐冷ゾーンに紡出糸条に近接させて付設した溶
融紡糸装置」が提供される。
めに、本発明によれば下記のような手段が提供される。
すなわち、「多数本の熱可塑性合成単繊維からなる熱可
塑性合成繊維糸条を紡出するための多ホール紡糸口金、
該紡出糸条を徐冷するための徐冷ゾーン、該紡出糸条が
走行するための開口を残して下部からの冷却風の流入を
遮断する冷却風遮断部材、及び該紡出糸条を横切るよう
に吹出された冷却風によって該紡出糸条を冷却する冷却
装置をこの順に設け、その際、紡出糸条が走行する筒状
の走行空間を有し、該走行空間の下端開口の糸条走行方
向への投影面が冷却風遮断部材の開口に略重なるように
形成した筒状のスペーサを、紡糸口金と冷却風遮断部材
との間の徐冷ゾーンに紡出糸条に近接させて付設した溶
融紡糸装置」が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の
実施態様例である、単繊維繊度が0.6デニール以下の
多数本の極細単繊維からなる多錘(図の実施態様では4
錘)の熱可塑性合成繊維糸条群Yを紡出するための極細
繊維用溶融紡糸装置を模式的に示した側断面図である。
また、図2はその正断面図である。
て、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の
実施態様例である、単繊維繊度が0.6デニール以下の
多数本の極細単繊維からなる多錘(図の実施態様では4
錘)の熱可塑性合成繊維糸条群Yを紡出するための極細
繊維用溶融紡糸装置を模式的に示した側断面図である。
また、図2はその正断面図である。
【0013】該図において、Yはマルチフィラメントか
らなる紡出糸条、1は紡糸パック、2は多ホールの紡糸
口金、3は冷却風遮断部材、4は冷却風供給室、5は冷
却風の均圧化部材、6は給気整流部材、6′は吸気整流
部材、7は紡出糸条Yがその内部を走行する筒状のスペ
ーサ、8は油剤付与ガイドを兼ねる糸条集束ガイド、そ
して、9は冷却紡糸筒をそれぞれ示す。なお、該紡出糸
条Yを徐冷するために紡糸口金2と冷却風遮断部材3と
の間には、徐冷ゾーンが設けられるが、この徐冷ゾーン
は本発明では明示しないが、通常、加熱されてその内部
雰囲気を一定の温度に維持する保温筒によって囲繞され
ている。
らなる紡出糸条、1は紡糸パック、2は多ホールの紡糸
口金、3は冷却風遮断部材、4は冷却風供給室、5は冷
却風の均圧化部材、6は給気整流部材、6′は吸気整流
部材、7は紡出糸条Yがその内部を走行する筒状のスペ
ーサ、8は油剤付与ガイドを兼ねる糸条集束ガイド、そ
して、9は冷却紡糸筒をそれぞれ示す。なお、該紡出糸
条Yを徐冷するために紡糸口金2と冷却風遮断部材3と
の間には、徐冷ゾーンが設けられるが、この徐冷ゾーン
は本発明では明示しないが、通常、加熱されてその内部
雰囲気を一定の温度に維持する保温筒によって囲繞され
ている。
【0014】ここで、前記の吸気整流部材6′は、紡出
糸条Yを間に挟んで給気整流部材6に対向して設けら
れ、かつ冷却紡糸筒9の外部から内部へ整流された外気
を吸気する役割を果たしている。また、冷却風遮断部材
3は、紡糸口金2直下の徐冷ゾーンへ冷却風が進入しな
いように、紡出糸条Yが走行するための開口を残して下
部からの冷却風の流入を遮断する設けられたものであ
る。なお、本発明で言う「冷却装置」とは、図1の実施
態様では、冷却風供給室4、冷却風の均圧化部材5、給
気整流部材6、吸気整流部材6′、及び冷却紡糸筒9を
含んで構成された装置を指す。
糸条Yを間に挟んで給気整流部材6に対向して設けら
れ、かつ冷却紡糸筒9の外部から内部へ整流された外気
を吸気する役割を果たしている。また、冷却風遮断部材
3は、紡糸口金2直下の徐冷ゾーンへ冷却風が進入しな
いように、紡出糸条Yが走行するための開口を残して下
部からの冷却風の流入を遮断する設けられたものであ
る。なお、本発明で言う「冷却装置」とは、図1の実施
態様では、冷却風供給室4、冷却風の均圧化部材5、給
気整流部材6、吸気整流部材6′、及び冷却紡糸筒9を
含んで構成された装置を指す。
【0015】この時、冷却風の均圧化部材5は、冷却風
が通過する際に圧力損失が生じるような金網フィルタ
ー、通気性の焼結金属等の如き部材で製作することが好
ましい。何故ならば、これによって冷却風供給室4の冷
却風吹出し部においては、冷却風の吹出し圧力、風速、
及び風量等の分布を紡速、紡糸糸条の銘柄等の紡糸条件
に対応したプロファイルに制御できるからである。この
ような好ましいプロファイルに制御された冷却風は、整
流された冷却風を供給する給気整流部材6から冷却紡糸
筒9内の紡出糸条Yを横切る方向へ供給される。
が通過する際に圧力損失が生じるような金網フィルタ
ー、通気性の焼結金属等の如き部材で製作することが好
ましい。何故ならば、これによって冷却風供給室4の冷
却風吹出し部においては、冷却風の吹出し圧力、風速、
及び風量等の分布を紡速、紡糸糸条の銘柄等の紡糸条件
に対応したプロファイルに制御できるからである。この
ような好ましいプロファイルに制御された冷却風は、整
流された冷却風を供給する給気整流部材6から冷却紡糸
筒9内の紡出糸条Yを横切る方向へ供給される。
【0016】以上のように構成された溶融紡糸装置にお
いて、紡糸パック1に取り付けられた多ホール紡糸口金
2から紡出された糸条Yは、紡糸口金直下の保温筒7に
よって内部雰囲気温度を所定の値に維持された徐冷ゾー
ンL1に導かれる。そして、これに引き続いて、冷却装
置によって冷却される冷却ゾーンL2へと導かれる。こ
の冷却ゾーンL2において、ハニカム等の整流作用を有
する部材で構成された給気整流部材6から紡出糸条Yを
横切る方向へ供給された冷却風によって、冷却固化され
る。更に、油剤付与ガイドを兼ねる糸条集束ガイド8で
油剤が付与されると共に集束され、糸条に交絡処理が施
された後、引き取られる。
いて、紡糸パック1に取り付けられた多ホール紡糸口金
2から紡出された糸条Yは、紡糸口金直下の保温筒7に
よって内部雰囲気温度を所定の値に維持された徐冷ゾー
ンL1に導かれる。そして、これに引き続いて、冷却装
置によって冷却される冷却ゾーンL2へと導かれる。こ
の冷却ゾーンL2において、ハニカム等の整流作用を有
する部材で構成された給気整流部材6から紡出糸条Yを
横切る方向へ供給された冷却風によって、冷却固化され
る。更に、油剤付与ガイドを兼ねる糸条集束ガイド8で
油剤が付与されると共に集束され、糸条に交絡処理が施
された後、引き取られる。
【0017】この時、紡出糸条Yを横切るように供給さ
れる冷却風は、走行糸条Yに随伴する気流と共に下方へ
と流れ、この冷却風の流れによって冷却紡糸筒9内の動
圧は上昇するが、逆に冷却紡糸筒9内の静圧は低下す
る。このため、吸気整流部材6′を介して整流された外
気は、冷却紡糸筒9の内部へと自然に流入し、この方向
からも紡出糸条Yは冷却される。なお、該吸気整流部材
6′の設置長さは、紡糸条件に対応させて、適宜好まし
い条件にすれば良い。例えば、ポリエステルの溶融紡糸
においては、その有効長を紡出糸条Yの走行方向に沿っ
て300〜700mmとすることが好ましい。
れる冷却風は、走行糸条Yに随伴する気流と共に下方へ
と流れ、この冷却風の流れによって冷却紡糸筒9内の動
圧は上昇するが、逆に冷却紡糸筒9内の静圧は低下す
る。このため、吸気整流部材6′を介して整流された外
気は、冷却紡糸筒9の内部へと自然に流入し、この方向
からも紡出糸条Yは冷却される。なお、該吸気整流部材
6′の設置長さは、紡糸条件に対応させて、適宜好まし
い条件にすれば良い。例えば、ポリエステルの溶融紡糸
においては、その有効長を紡出糸条Yの走行方向に沿っ
て300〜700mmとすることが好ましい。
【0018】次に、本発明の一大特徴をなすスペーサ7
について以下に詳細に説明する。紡出糸条Yが走行する
ための開口を残して下部からの冷却風の流入を遮断する
冷却風遮断部材3は、前述のように徐冷ゾーンへ冷却風
が流入して、その雰囲気温度が擾乱されることを防止す
る目的をもって設けられている。このため、紡出糸条Y
が走行するための開口は、紡出糸条Yに近接させて設け
る必要が有る。
について以下に詳細に説明する。紡出糸条Yが走行する
ための開口を残して下部からの冷却風の流入を遮断する
冷却風遮断部材3は、前述のように徐冷ゾーンへ冷却風
が流入して、その雰囲気温度が擾乱されることを防止す
る目的をもって設けられている。このため、紡出糸条Y
が走行するための開口は、紡出糸条Yに近接させて設け
る必要が有る。
【0019】しかしながら、冷却風遮断部材3に接触せ
ずに紡出糸条Yを安定して走行させるためには、紡出糸
条Yに近接させる開口の大きさには限界が有る。しか
も、一般に直列錘配置の多錘紡糸装置では、単繊維同士
の密着防止や繊度斑防止の観点から、冷却装置の上流側
の冷却風の吹出し風速を下流側より速くするという設計
がなされる。このため、どうしても冷却風遮断部材3の
開口から冷却風が徐冷ゾーンへ流入するという現象が発
生する。このような現象に対しては、単繊維デニールが
ある程度大きな繊維では致命的な影響を受けないが、特
に単繊維繊度が0.6デニール以下の極細単繊維におい
ては、その影響を大きく受けることは言うまでもない。
また、多錘の溶融紡糸装置において、その隣接する錘の
糸条同士の相互作用を受け易いことも言うまでもない。
したがって、本発明は、単繊維繊度が0.6デニール以
下の多数本の極細単繊維からなる多錘糸条群を紡糸する
溶融紡糸装置において、より大きな効果を奏する。
ずに紡出糸条Yを安定して走行させるためには、紡出糸
条Yに近接させる開口の大きさには限界が有る。しか
も、一般に直列錘配置の多錘紡糸装置では、単繊維同士
の密着防止や繊度斑防止の観点から、冷却装置の上流側
の冷却風の吹出し風速を下流側より速くするという設計
がなされる。このため、どうしても冷却風遮断部材3の
開口から冷却風が徐冷ゾーンへ流入するという現象が発
生する。このような現象に対しては、単繊維デニールが
ある程度大きな繊維では致命的な影響を受けないが、特
に単繊維繊度が0.6デニール以下の極細単繊維におい
ては、その影響を大きく受けることは言うまでもない。
また、多錘の溶融紡糸装置において、その隣接する錘の
糸条同士の相互作用を受け易いことも言うまでもない。
したがって、本発明は、単繊維繊度が0.6デニール以
下の多数本の極細単繊維からなる多錘糸条群を紡糸する
溶融紡糸装置において、より大きな効果を奏する。
【0020】このため、単に冷却風遮断部材3の開口を
紡出糸条Yに近接させて設けるだけでは、前記の諸問題
を解決できず、このため、図1と図2とにおいて示すよ
うな紡出糸条Yがその内部を走行する筒状のスペーサ7
を紡出糸条に近接して設ける必要がある。このとき、該
筒状のスペーサ7は、紡出糸条Yが走行する筒状の走行
空間を有し、該走行空間の下端開口の糸条走行方向への
投影面が冷却風遮断部材3の開口に略重なるように形成
されていることが好ましい。
紡出糸条Yに近接させて設けるだけでは、前記の諸問題
を解決できず、このため、図1と図2とにおいて示すよ
うな紡出糸条Yがその内部を走行する筒状のスペーサ7
を紡出糸条に近接して設ける必要がある。このとき、該
筒状のスペーサ7は、紡出糸条Yが走行する筒状の走行
空間を有し、該走行空間の下端開口の糸条走行方向への
投影面が冷却風遮断部材3の開口に略重なるように形成
されていることが好ましい。
【0021】ここで、前記のスペーサ7を徐冷ゾーンに
設けない場合には、冷却風遮断部材3の開口部で一旦気
流の流れが急に絞られるため、この部分で気流は急に縮
流して乱れが生じる。しかしながら、前記のようなスペ
ーサ7を設ける本発明の実施態様によれば、紡出糸条Y
が走行する方向に沿って、徐冷ゾーンの走行空間を徐々
に狭めることができ、急な縮流部が現出することを避け
ることができる。したがって、徐冷ゾーン内の気流の流
れを円滑にし、徐冷ゾーン内での気流の乱れを防止する
ことができ、紡出糸条Yの糸揺れを抑制することができ
る。
設けない場合には、冷却風遮断部材3の開口部で一旦気
流の流れが急に絞られるため、この部分で気流は急に縮
流して乱れが生じる。しかしながら、前記のようなスペ
ーサ7を設ける本発明の実施態様によれば、紡出糸条Y
が走行する方向に沿って、徐冷ゾーンの走行空間を徐々
に狭めることができ、急な縮流部が現出することを避け
ることができる。したがって、徐冷ゾーン内の気流の流
れを円滑にし、徐冷ゾーン内での気流の乱れを防止する
ことができ、紡出糸条Yの糸揺れを抑制することができ
る。
【0022】このとき、本発明のスペーサ7は、紡糸口
金2と冷却風遮断部材3とに対してそれぞれ僅かな間隙
(0.2mm〜数mm程度)を開けて非接触に設けることが好
ましい。このようにしてスペーサ7を紡糸口金2と冷却
風遮断部材3とから断熱し、これら紡糸口金2と冷却風
遮断部材3とからスペーサ7への熱伝導によってスペー
サ7の温度が撹乱させられる要因を減少させることがで
きる。そして、これによって徐冷ゾーンの雰囲気温度を
一定値に維持することが容易となり、紡出された各単繊
維関に不均一加熱による品質斑の発生が生ずるのを防止
できる。また、紡糸口金2とスペーサ7との間に間隙を
形成することで、この間隙から加熱気流が糸条の走行域
へ流入させることができ、より一層徐冷ゾーン内の気流
の流れを円滑にすることができる。
金2と冷却風遮断部材3とに対してそれぞれ僅かな間隙
(0.2mm〜数mm程度)を開けて非接触に設けることが好
ましい。このようにしてスペーサ7を紡糸口金2と冷却
風遮断部材3とから断熱し、これら紡糸口金2と冷却風
遮断部材3とからスペーサ7への熱伝導によってスペー
サ7の温度が撹乱させられる要因を減少させることがで
きる。そして、これによって徐冷ゾーンの雰囲気温度を
一定値に維持することが容易となり、紡出された各単繊
維関に不均一加熱による品質斑の発生が生ずるのを防止
できる。また、紡糸口金2とスペーサ7との間に間隙を
形成することで、この間隙から加熱気流が糸条の走行域
へ流入させることができ、より一層徐冷ゾーン内の気流
の流れを円滑にすることができる。
【0023】更に、本発明のスペーサ7においては、徐
冷ゾーンの紡出糸条の走行方向に沿って保温筒との間で
中空部を形成させることが好ましい。このようにスペー
サ7を構成することで中空部の雰囲気を加熱でき、該加
熱された雰囲気や該中空部に新たに加熱気体を導入する
ことによって、スペーサ7を一定温度に制御することが
できる。
冷ゾーンの紡出糸条の走行方向に沿って保温筒との間で
中空部を形成させることが好ましい。このようにスペー
サ7を構成することで中空部の雰囲気を加熱でき、該加
熱された雰囲気や該中空部に新たに加熱気体を導入する
ことによって、スペーサ7を一定温度に制御することが
できる。
【0024】また、本発明のスペーサ7においては、紡
出糸条Yが出入りする両端部にそれぞれ鍔を設けること
が好ましい。この様にすることで、スペーサ7と冷却風
遮断部材3との間隙から冷却風が前記の中空部へ侵入す
る際の気流の流入抵抗を大きくすることができる。
出糸条Yが出入りする両端部にそれぞれ鍔を設けること
が好ましい。この様にすることで、スペーサ7と冷却風
遮断部材3との間隙から冷却風が前記の中空部へ侵入す
る際の気流の流入抵抗を大きくすることができる。
【0025】
【発明の効果】以上に述べた本発明によれば、紡出され
たマルチフィラメント糸条を横切るように冷却風を該糸
条に吹き付けて、溶融したマルチフィラメント糸条を冷
却固化する際に、主として糸揺れに起因する繊度斑や不
均一冷却を防止できる。この場合、特に、単繊維繊度が
0.6デニール以下の多数本の極細単繊維からなる多錘
の糸条群を紡糸する溶融紡糸装置において、より大きな
効果を奏する。
たマルチフィラメント糸条を横切るように冷却風を該糸
条に吹き付けて、溶融したマルチフィラメント糸条を冷
却固化する際に、主として糸揺れに起因する繊度斑や不
均一冷却を防止できる。この場合、特に、単繊維繊度が
0.6デニール以下の多数本の極細単繊維からなる多錘
の糸条群を紡糸する溶融紡糸装置において、より大きな
効果を奏する。
【0026】このように本発明によれば、冷却の不均一
や冷却風の乱れによる糸揺れの発生等を解消することが
でき、繊度斑、染斑、及び、断糸のない良好な糸条、特
に単繊維繊度が0.6デニール以下の多数本の極細単繊
維からなるマルチフィラメント糸条を多錘紡糸によって
得ることができるという極めて大きな効果を奏する。
や冷却風の乱れによる糸揺れの発生等を解消することが
でき、繊度斑、染斑、及び、断糸のない良好な糸条、特
に単繊維繊度が0.6デニール以下の多数本の極細単繊
維からなるマルチフィラメント糸条を多錘紡糸によって
得ることができるという極めて大きな効果を奏する。
【図1】本発明の溶融紡糸装置を模式的に例示した側断
面図である。
面図である。
【図2】本発明の溶融紡糸装置を模式的に例示した正断
面図である。
面図である。
1 紡糸パック 2 紡糸口金 3 冷却風遮断部材 4 冷却風供給室 5 冷却風の均圧化部材 6 給気整流部材 6′ 吸気整流部材 7 スペーサ Y 紡出糸条
Claims (6)
- 【請求項1】 多数本の熱可塑性合成単繊維からなる糸
条を紡出するための多ホール紡糸口金、該紡出糸条を徐
冷するための徐冷ゾーン、紡出糸条が走行するための開
口を残して下部からの冷却風の流入を遮断する冷却風遮
断部材、及び該紡出糸条を横切るように吹出された冷却
風によって該紡出糸条を冷却する冷却装置をこの順に設
け、その際、 該紡出糸条が走行する走行空間の下端開口面が該冷却風
遮断部材の開口に略重なる走行空間を形成した筒状のス
ペーサを、該紡糸口金と該冷却風遮断部材との間に該紡
出糸条に近接させて、該徐冷ゾーンに付設した溶融紡糸
装置。 - 【請求項2】 前記の紡糸口金と前記の冷却風遮断部材
とに対してそれぞれ僅かな間隙を開けて、前記のスペー
サを非接触に設けたことを特徴とする請求項1記載の溶
融紡糸装置。 - 【請求項3】 前記の徐冷ゾーンに筒状のスペーサによ
って紡出糸条の走行方向に沿って中空部を形成させたこ
とを特徴とする請求項1又は請求項2記載の溶融紡糸装
置。 - 【請求項4】 前記の筒状のスペーサの両端部にそれぞ
れ鍔を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一
項に記載の溶融紡糸装置。 - 【請求項5】 単繊維繊度が0.6デニール以下の多数
本の極細単繊維からなる熱可塑性合成繊維糸条を紡出す
る極細繊維用溶融紡糸装置である請求項1〜4の何れか
一項に記載の溶融紡糸装置。 - 【請求項6】 多錘の糸条群を紡糸するための溶融紡糸
装置であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項
に記載の溶融紡糸装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20169398A JP3668004B2 (ja) | 1998-07-16 | 1998-07-16 | 溶融紡糸装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20169398A JP3668004B2 (ja) | 1998-07-16 | 1998-07-16 | 溶融紡糸装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000034615A true JP2000034615A (ja) | 2000-02-02 |
JP3668004B2 JP3668004B2 (ja) | 2005-07-06 |
Family
ID=16445353
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20169398A Expired - Fee Related JP3668004B2 (ja) | 1998-07-16 | 1998-07-16 | 溶融紡糸装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3668004B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012223670A (ja) * | 2011-04-15 | 2012-11-15 | Sharp Corp | 水浄化装置 |
-
1998
- 1998-07-16 JP JP20169398A patent/JP3668004B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012223670A (ja) * | 2011-04-15 | 2012-11-15 | Sharp Corp | 水浄化装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3668004B2 (ja) | 2005-07-06 |
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