JP2000034118A - 高純度非晶質ケイ酸の製造方法 - Google Patents

高純度非晶質ケイ酸の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不純物が少ない上、白色度が高く、比表面積
が大きいことから、触媒担体や化粧品基材などとして、
また耐酸性であって、ろ過係数が高いことから、特にろ
過助剤として好適な高純度非晶質ケイ酸を効率よく製造
する方法を提供する。 【解決手段】 (1)ケイ酸カルシウムを表面張力低減
剤及び水の存在下に酸処理する、(2)ケイ酸カルシウ
ムを炭酸化処理し、次いで酸処理する際、いずれかの処
理を表面張力低減剤及び水の存在下で行う、又は(3)
ケイ酸カルシウムから得た非晶質ケイ酸を、表面張力低
減剤及び水の混合物で処理する、ことにより高純度非晶
質ケイ酸を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不純物が少ない
上、白色度が高く、比表面積が大きいことから、触媒担
体や化粧品基材などとして、また耐酸性であって、ろ過
係数が高いことから、特にろ過助剤として好適な高純度
非晶質ケイ酸を効率よく製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、分散粒子が粘着なため、ろ材に目
詰まりを起こさせやすい懸濁液や、分散粒子が微細で、
しかも濃度が薄い懸濁液を固液分離する場合には、ろ過
速度の促進や清澄ろ液の分離回収などのために、通常け
いそう土系ろ過助剤が用いられている。そして、このけ
いそう土系ろ過助剤については、けいそう土の種類によ
って、粒子径や結晶形態が異なり、ろ過特性にかなりの
差があるため、ろ過助剤の製造工程例えば粉砕工程や分
級工程などにおいて、厳しい品質管理が要求され、その
結果コスト高になるのを免れなかった。
【0003】しかも、わが国には鉱量が豊富で高品位の
けいそう土鉱床が少なく、安定的な供給が得られない上
に、天然の堆積鉱物であるけいそう土は、有機質や鉄分
などの不純物を含有しており、医薬関係の分野において
けいそう土系ろ過助剤を使用する際には、厳しい条件下
での前処理を施し、有機質によるろ液の汚染を避ける手
段を講じなければならないし、また、食品関係や石油化
学関係の分野において使用すると、鉄分により着色する
のを免れなかった。
【0004】他方、水熱反応によって得られるケイ酸カ
ルシウム粒体は、けいそう土と同様に多孔質体である
が、けいそう土のように目的に応じて粉砕や分級処理を
行わなくても、製造条件によって、粒子径や結晶形態を
コントロールすることができる上、原料の選択により、
有機質や鉄分を含まないろ過助剤の安定供給を得ること
ができるが、このケイ酸カルシウムは一般に耐酸性を欠
くため、ろ過助剤としての使用範囲が制限されるのを免
れない。
【0005】本発明者は、先に上記のような従来のケイ
酸カルシウム系ろ過助剤のもつ欠点を克服し、耐酸性の
良好なろ過助剤を得るために、シリカ原料と石灰原料と
を所定の割合で混合し、水熱反応させたのち、800〜
1200℃で加熱処理する方法(特開平7−20642
3号公報、特開平8−245215号公報)、シリカ原
料と石灰原料とを所定の割合で混合し、水熱反応させた
のち、炭酸化処理し、さらに酸性溶液中で処理する方法
(特開平8−245215号公報、特開平9−2553
23号公報)、シリカ原料と石灰原料との混合物を特定
条件下で水熱反応させ、生成したケイ酸カルシウムスラ
リーに酸を加えて処理する方法(特願平9−14462
号、特願平9−153006号)を提案した。
【0006】他方、水熱反応によって生成したケイ酸カ
ルシウムを炭酸化して非晶質ケイ酸と炭酸カルシウムに
分解したのち、酸処理して炭酸カルシウムを溶解除去
し、固形分として非晶質ケイ酸を得る方法が知られてい
る(特開昭51−125699号公報)。
【0007】しかしながら、この方法によって得られる
非晶質ケイ酸を乾燥すると、著しく収縮して固結し、ケ
イ酸カルシウムの多孔質状態を保持した非晶質ケイ酸を
得ることができないため、これをろ過助剤として用いる
ことはできなかった。これは、ケイ酸カルシウムから酸
化カルシウムが除かれ、非晶質ケイ酸を形成する際、そ
の表面に親水性のシラノール基を生じ、これによって大
量の水が結合される結果、乾燥工程で水が蒸発すると非
晶質ケイ酸の粒子間に表面張力として数100kg/c
2の付着力が働き、非晶質ケイ酸二次粒子同士や二次
粒子中の一次粒子同士が結合し、収縮して固結するため
である。
【0008】したがって、これまでは大量のアセトンに
よる洗浄を繰り返し、乾燥工程での収縮を防止していた
が、これでは、収縮防止が不十分で、特に低結晶質のケ
イ酸カルシウムから得た非晶質ケイ酸の場合は、比表面
積が大きく、完全に収縮を防止することができなかっ
た。しかも、大量のアセトンを必要とすることから、経
済効率が悪く、生産コストの低減化には限界があった。
【0009】また、非晶質ケイ酸の乾燥法としては、ス
プレードライヤーを用いる方法が知られているが、この
場合、スラリー濃度を2〜3重量%程度にしないとノズ
ルが詰まるなどのトラブルが発生し、極めて経済効率が
悪く、製造コストが上昇するのを免れない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の非晶質ケイ酸の製造方法がもつ欠点を克服し、乾
燥時の収縮が極めて小さく、かつ白色度が高い、比表面
積が大きい、耐酸性を有する、ろ過係数が高いなどの性
状を有する高純度非晶質ケイ酸を、経済的にかつ効率よ
く製造する方法を提供することを目的としてなされたも
のである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の好ま
しい性状を有する高純度非晶質ケイ酸の製造方法につい
て鋭意研究を重ねた結果、ケイ酸カルシウムを酸処理し
て非晶質ケイ酸を製造する際に、表面張力低減剤及び水
の存在下に酸処理を行うことにより、また、ケイ酸カル
シウムを炭酸化処理し、次いで酸処理して非晶質ケイ酸
を製造する際に、表面張力低減剤及び水の存在下に炭酸
化処理又は酸処理を行うことにより、あるいはケイ酸カ
ルシウムから得た非晶質ケイ酸を、表面張力及び水の混
合物で処理することにより、その目的を達成しうること
を見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0012】すなわち、本発明は、(1)ケイ酸カルシ
ウムを酸処理したのち、固液分離し、固形分を乾燥して
非晶質ケイ酸を製造するに当り、酸処理を表面張力低減
剤及び水の存在下で行うことを特徴とする高純度非晶質
ケイ酸の製造方法(以下、製造方法1と称す)、(2)
ケイ酸カルシウムを炭酸化処理し、次いで酸処理したの
ち、固液分離し、固形分を乾燥して非晶質ケイ酸を製造
するに当り、炭酸化処理又は酸処理を表面張力低減剤及
び水の存在下で行うことを特徴とする高純度非晶質ケイ
酸の製造方法(以下、製造方法2と称す)、及び(3)
ケイ酸カルシウムから得た非晶質ケイ酸を、表面張力低
減剤及び水の混合物で処理することを特徴とする高純度
非晶質ケイ酸の製造方法(以下、製造方法3と称す)、
を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法(製造方法1、
2及び3)における原料のケイ酸カルシウムとしては、
例えばトバモライト、低結晶質ケイ酸カルシウム、ゾノ
トライト、ジャイロライト、ジェナイト、フォシャジャ
イト、ワラストナイト、ヒレプランダイト、トラスコタ
イトなどの天然産鉱物でもよいし、ケイ酸原料と石灰原
料とから得られる合成ケイ酸カルシウム系化合物でもよ
い。さらに建築材料として用いられているケイ酸カルシ
ウム系断熱材、保温材、建材などを利用することもでき
る。
【0014】これらのケイ酸カルシウムは、ケイ酸原料
と石灰原料とを、所定のCaO/SiO2モル比で混合
し、水又は水酸化アルカリ水溶液の存在下で水熱反応さ
せることにより、製造することができる。ここで、ケイ
酸原料としては、例えばけい石、石英、非晶質ケイ酸、
ホワイトカーボン、もみがら灰、フライアッシュ、ケイ
酸ナトリウムなどのケイ酸含有物質が挙げられる。これ
らは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用
いてもよい。このケイ酸原料の粒子径については特に制
限はなく、最終的に得られる非晶質ケイ酸の使用目的に
応じて、適宜選定することができる。一方、石灰原料と
しては、例えば生石灰(酸化カルシウム)、消石灰(水
酸化カルシウム)などが用いられる。これは単独で用い
てもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】前記ケイ酸原料と石灰原料との水熱反応に
おいては、ケイ酸原料と石灰原料は、CaO/SiO2
モル比が0.3〜1.4の範囲になるような割合で用い
るのが望ましい。このモル比が0.3未満ではケイ酸カ
ルシウムの生成が不十分となるおそれがあるし、1.4
を超えると未反応の石灰原料が残存し、最終的に得られ
る非晶質ケイ酸の品質が低下し、好ましくない。
【0016】この水熱反応においては、まず、前記ケイ
酸原料と石灰原料との混合物を水又は水酸化アルカリ水
溶液に懸濁させて水性スラリーを調製する。この場合、
水酸化アルカリ水溶液の濃度としては、0.01〜1.
0規定の範囲が好ましい。そして、水酸化アルカリ水溶
液を用いることにより、生成するケイ酸カルシウムの結
晶形態を変化させる効果と水熱反応を促進させる効果が
発揮される。例えばケイ酸原料が多量のアルミナを含有
している場合、微細粒状結晶であるハイドロガーネット
が析出しやすいが、このハイドロガーネットの微細粒状
結晶の析出が抑制されるとともに、水熱反応が促進され
る。水酸化アルカリの濃度が0.01規定未満では水酸
化アルカリを用いた効果が十分に発揮されないし、1.
0規定を超えると最終的に得られる非晶質ケイ酸の品質
が低下する。水酸化アルカリとしては、例えば水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げ
られ、それらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0017】また、ケイ酸原料と石灰原料を含む水性ス
ラリーの濃度については特に制限はないが、水熱反応性
及び容積効率などを考慮すると、ケイ酸原料と石灰原料
との合計量に対し、水又は水酸化アルカリ水溶液を5〜
50倍重量の割合で用いるのが有利である。
【0018】この水熱反応は、例えばオートクレーブを
用いて、70〜190℃の範囲の温度で行われる。この
水熱反応は自生圧力下で進行するが、必要に応じ適当に
加圧して反応を行ってもよい。また、反応中は、反応速
度を促進させるために撹拌を行ってもよいが、特に必要
ではない。水熱反応温度が70℃未満では反応速度が遅
すぎて長時間を要し、実用的でなく、また190℃を超
えると自生圧力が高くなりすぎ、装置面などにおいて経
済的に不利となる。反応時間は、スラリー濃度、原料の
種類や粒度、反応温度などに左右され、一概に定めるこ
とはできないが、通常は1〜100時間程度で十分であ
る。この水熱反応により、ケイ酸カルシウムスラリーが
得られるが、このスラリーをそのまま後続工程に供して
もよいし、固液分離してケイ酸カルシウムを回収してこ
れを後続工程に供してもよい。
【0019】本発明の製造方法(製造方法1、2及び
3)においては、表面張力低減剤及び水を用いて、各種
処理が施されるが、この表面張力低減剤とは、水の存在
下で粒子間の表面張力を小さくするものを意味する。こ
のようなものとしては、例えばエタノール、メタノー
ル、プロパノール、ブタノール、アセトンなどのエーテ
ル基形成物質及びアシル基形成物質がある。これらは単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。この表面張力低減剤と水との使用割合は、一般的
には、重量比50:1ないし1:4の範囲で選ばれる。
【0020】本発明の製造方法1においては、前記のよ
うにして得られたケイ酸カルシウムを、表面張力低減剤
及び水の存在下で酸処理を行い、ケイ酸カルシウムの形
態をそこなうことなく、ケイ酸カルシウム中から酸化カ
ルシウムを除去することにより、非晶質ケイ酸が得られ
る。この際、表面張力低減剤と水との使用割合は、使用
する酸の種類、得られる非晶質ケイ酸の形態、ケイ酸カ
ルシウム中の水量などを考慮して適宜選定される。
【0021】さらに、使用する酸の種類としては、ケイ
酸カルシウムの結晶性を考慮して適宜選択することがで
き、また、その使用量は、ケイ酸カルシウム中の酸化カ
ルシウムを除去するのに十分な量であればよい。酸とし
ては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、炭酸などの無機酸、酢
酸、酒石酸、シュウ酸などの有機酸を挙げることができ
る。これらの酸は単独で用いてもよいし、2種以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0022】酸処理する際のスラリー濃度としては、表
面張力低減剤の使用量をできるだけ少なくするために、
かきまぜが可能な範囲で高い方が有利であり、これによ
り、表面張力低減剤を回収して再利用するのが容易とな
る。また、酸処理温度については特に制限はなく、室温
でもよいし、所望により40〜95℃程度に加熱しても
よい。加熱することにより、酸化カルシウムの除去速度
が促進されるとともに、非晶質ケイ酸の乾燥時における
収縮防止効果が向上する。なお、室温処理でも酸化カル
シウムの除去は十分に達成される。
【0023】酸処理に用いる酸の濃度については特に制
限はなく、高濃度の酸でも処理することができるし、ま
た、酸の種類によっては水の使用量を調整することによ
って、ケイ酸カルシウムから、酸化カルシウムを溶出量
の調整を行いながら、除去することができる。このよう
にして、酸処理されたスラリーは、所望により水で洗浄
後、ろ過や遠心分離などの公知の手段によって固液分離
したのち、得られた固形物を乾燥処理し、必要ならば粉
砕処理することにより、所望の非晶質ケイ酸が得られ
る。
【0024】次に、本発明の製造方法2においては、ケ
イ酸カルシウムを炭酸化処理したのち、酸処理して非晶
質ケイ酸を製造するが、上記炭酸化処理及び酸処理の少
なくとも一方を表面張力低減剤及び水の存在下で行うも
のである。上記炭酸化処理は、これに続く酸処理の反応
を促進させるために行われるもので、ケイ酸カルシウム
スラリーを二酸化炭素で処理し、ケイ酸カルシウムの少
なくとも一部を非晶質ケイ酸と炭酸カルシウムとに分解
する反応である。この炭酸化処理は、室温、大気圧下で
も進行するが、水熱合成直後のケイ酸カルシウムスラリ
ーを考慮すると、高温、大気圧下でも十分に炭酸化反応
は進行し、加圧することによって、さらに促進される。
【0025】本発明の製造方法2においては、この炭酸
化処理を表面張力低減剤及び水の存在下で行ってもよ
く、これにより、後続の酸処理時間を短縮しうるととも
に、良質な非晶質ケイ酸を得ることができる。
【0026】また、この製造方法2においては、炭酸化
処理に続いて行われる酸処理を、表面張力低減剤及び水
の存在下で行ってもよい。この酸処理により、炭酸化で
生成した炭酸カルシウムが溶解除去されるとともに、未
反応のケイ酸カルシウム(炭酸化されていないケイ酸カ
ルシウム)が存在する場合には、そのケイ酸カルシウム
中の酸化カルシウムが除去される。使用する酸はケイ酸
カルシウムの結晶性、炭酸化の程度、表面張力低減剤の
種類などに応じて、製造方法1の説明において例示した
ものの中から、適宜選択することができる。また、酸の
使用量は、炭酸カルシウム及びケイ酸カルシウム中の酸
化カルシウムを除去するのに十分な量であればよい。な
お、その他の条件については、製造方法1における酸処
理条件と同じである。
【0027】このようにして、炭酸化処理、次いで酸処
理されたスラリーは、所望により水で洗浄後、ろ過や遠
心分離などの公知の手段によって固液分離したのち、得
られた固形物を乾燥処理し、必要ならば粉砕処理するこ
とにより、所望の非晶質ケイ酸が得られる。
【0028】最後に、製造方法3においては、ケイ酸カ
ルシウムから得た非晶質ケイ酸を、表面張力低減剤及び
水の混合物で処理する。この場合、処理される非晶質ケ
イ酸としては、ケイ酸カルシウムから得られたものであ
ればよく、その製造方法については特に制限されず、例
えばケイ酸カルシウムの酸処理により得られたものや、
炭酸化処理、次いで酸処理により得られたものなどが用
いられる。
【0029】この方法においては、表面張力低減剤と水
との使用割合は、非晶質ケイ酸の形態などに応じて適宜
選定される。また、スラリー濃度としては、表面張力低
減剤の使用量をできるだけ少なくするために、かきまぜ
が可能な範囲で高い方が有利であり、これにより、表面
張力低減剤を回収して再利用するのが容易となる。ま
た、処理温度については特に制限はなく、室温でもよい
し、所望により40〜95℃程度に加熱してもよい。加
熱することにより、非晶質ケイ酸の乾燥時における収縮
防止効果が向上する。このようにして処理されたスラリ
ーは、所望により水で洗浄後、ろ過や遠心分離などの公
知の手段によって固液分離したのち、得られた固形物を
乾燥処理し、必要ならば粉砕処理することにより、所望
の非晶質ケイ酸が得られる。なお、表面張力低減剤及び
水の存在下でケイ酸カルシウム又は炭酸化したケイ酸カ
ルシウムとの反応によって得られる反応生成物は、カル
シウム化合物を水洗除去することなく、風力分級するこ
とによって非晶質ケイ酸とカルシウム化合物を分離し、
非晶質ケイ酸を得ることもできる。
【0030】本発明においては、前記製造方法1、2及
び3で得られた非晶質ケイ酸の形態、結晶構造及び比表
面積を変化させたい場合には、所望により200〜14
00℃の範囲の温度において焼成してもよい。本発明方
法による非晶質ケイ酸は、96.5%以上の白色度及び
200m2/g以上、場合によっては600m2/g以上
の比表面積を有し、しかも0.5ないし0.97cm2
/secという高い定圧ろ過係数を示す。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、ケイ酸カルシウムから
非晶質ケイ酸を製造する各工程のいずれかにおいて、表
面張力低減剤及び水を用いて処理することにより、非晶
質ケイ酸の乾燥時の収縮が効果的に防止され、品質に優
れる非晶質ケイ酸が、従来法により簡単な操作で、かつ
短時間に得られる。また、該表面張力低減剤はリサイク
ルが可能である。
【0032】本発明方法で得られた非晶質ケイ酸は、有
機質や鉄分などの不純物を含まず、白色度が高く、かつ
シリカゲルに匹敵する大きな比表面積を有する多孔質体
であるので、例えば触媒担体、吸着剤、吸臭剤、調湿
剤、医薬品や化粧品基材などとして好適である。さら
に、耐酸性であって、ろ過係数が高いことから、特にろ
過助剤として好適である。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0034】なお、非晶質ケイ酸の性能は、以下に示す
方法に従って評価した。 (1)平均粒子径 遠心式自動粒度分布測定装置を用い、試料の平均粒子径
を求めた。 (2)嵩密度 メスシリンダーの中に試料約50mlを入れ、タッピン
グして充填容積が一定になったところを容積として、試
料の重量と容積から嵩密度を算出した。 (3)白色度 三刺激値色彩計を用いて測定した。 (4)BET比表面積 BET比表面積測定装置を用い、200℃で十分に加熱
脱気した試料について、窒素ガスを吸着させる多点法に
より比表面積を求めた。 (5)耐酸性 試料1.0gを、pH1.2の塩酸水溶液200ml中
に浸せきし、50℃に調整した恒温水槽中で1時間かき
まぜたのち、遠心分離機により固液分離し、次いでろ液
中のSiO2量を分光光度計により測定し、耐酸性を求
めた。 (6)ルースの定圧ろ過係数K20 ろ過面積21.9cm2の加圧ろ過器を用い、pH2に
調整した蛙目粘土スラリーに、試料をボディフィードし
て、ルース(Ruth)の定圧ろ過係数K20[cm2
sec](スラリー温度20℃でのK値)を求めた。そ
の際のろ過圧力は0.5kg/cm2、スラリー濃度は
0.5重量%、F/C(非晶質ケイ酸/蛙目粘土)の容
積混合比は0.5である。なお、ルースの定圧ろ過係数
20は、数値が大きいほどろ過速度が大きいことを示
す。 (7)ろ液の清澄度 分光光度計による透過率測定を利用し、遮蔽板を置いて
透過率を0としたときの清澄度を0%、蒸留水の透過率
を100としたときの清澄度を100%とみなし、上記
(6)で得られたろ液の清澄度を評価した。なお、ろ液
はろ過開始から1分後のものを用いた。 (8)ケイ酸含有率 蛍光X線を用い、ケイ酸含有率を測定した。
【0035】実施例1 非晶質のケイ酸粉体(平均粒子径0.03μm)と生石
灰粉体とをCaO/SiO2モル比が0.6になるよう
に混合し、粉体全量に対して、重量比で30倍の水を加
えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラ
リーをオートクレーブ中でかきまぜながら160℃で4
時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得
た。
【0036】次に、このケイ酸カルシウムスラリーをろ
過し、得られた固形物全量に対し、重量比で30倍にな
るように、水とエタノールの混合物を加えた。この際、
水とエタノールの割合は、ケイ酸カルシウム固形物中の
水も考慮して、重量比で30:70であった。次いで、
ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必
要な量の高濃度の酢酸(濃度80重量%)を添加し、8
0℃に加熱しながら5分間かきまぜて酸処理を行った。
酸処理終了後、十分に水洗したのち、スラリー中の固形
物をろ取し、120℃で乾燥処理することにより、非晶
質ケイ酸を得た。
【0037】この非晶質ケイ酸の性状は、平均粒子径:
4.95μm、嵩密度:0.061g/cm3、白色
度:96.88、比表面積:684m2/g、耐酸性:
6.53mg/g、ルースの定圧ろ過係数K20:0.1
352cm2/sec、ろ液の清澄度:99.7%、ケ
イ酸含有率:99.2重量%であった。
【0038】実施例2 非晶質のケイ酸粉体(平均粒子径3.53μm)と生石
灰粉体とをCaO/SiO2モル比が0.6になるよう
に混合し、粉体全量に対して、重量比で30倍の水を加
えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラ
リーをオートクレーブ中でかきまぜながら160℃で4
時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得
た。
【0039】次に、このケイ酸カルシウムスラリーをろ
過し、得られた固形物全量に対し、重量比で30倍にな
るように、水とエタノールの混合物を加えた。この際、
水とエタノールの割合は、ケイ酸カルシウム固形物中の
水も考慮して、重量比で30:70であった。次いで、
50℃に加熱しながら、二酸化炭素で5時間炭酸化処置
したのち、ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去
するのに必要な量の希釈した塩酸(濃度18重量%)を
添加し、60℃で5分間かきまぜて酸処理を行った。
【0040】酸処理終了後、十分に水洗したのち、スラ
リー中の固形物をろ取し、120℃で乾燥処理すること
により、非晶質ケイ酸を得た。この非晶質ケイ酸の性状
は、平均粒子径:6.08μm、嵩密度:0.080g
/cm3、白色度:96.57、比表面積:417m2
g、耐酸性:3.51mg/g、ルースの定圧ろ過係数
20:0.4767cm2/sec、ろ液の清澄度:9
9.5%、ケイ酸含有率:99.6重量%であった。
【0041】実施例3 非晶質のケイ酸粉体(平均粒子径7.77μm)と生石
灰粉体とをCaO/SiO2モル比が0.6になるよう
に混合し、粉体全量に対して、重量比で30倍の水を加
えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラ
リーをオートクレーブ中でかきまぜながら160℃で8
時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得
た。
【0042】次に、このケイ酸カルシウムスラリーに、
ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必
要な量の高濃度の酢酸(濃度80重量%)を添加し、6
0℃に加熱しながら20分間かきまぜて酸処理を行っ
た。酸処理終了後、スラリーをろ過し、得られた固形物
を水洗したのち、この全量に対し、重量比で30倍にな
るように、水とエタノールの混合物を加え、70℃で2
0分間かきまぜた。この際、水とエタノールの割合は、
非晶質ケイ酸固形物中の水も考慮して、重量比で40:
60であった。次いで、スラリー中の固形物をろ取し、
120℃で乾燥処理することにより、非晶質ケイ酸を得
た。この非晶質ケイ酸の性状は、平均粒子径:8.03
μm、嵩密度:0.043g/cm3、白色度:96.
64、比表面積:287m2/g、耐酸性:3.65m
g/g、ルースの定圧ろ過係数K20:0.8961cm
2/sec、ろ液の清澄度:99.2%、ケイ酸含有
率:99.4重量%であった。
【0043】実施例4 非晶質のケイ酸粉体(平均粒子径7.77μm)と生石
灰粉体とを、CaO/SiO2モル比が0.8になるよ
うに混合し、粉体全量に対して、重量比で30倍の水を
加えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このス
ラリーをオートクレーブ中でかきまぜながら180℃で
8時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得
た。
【0044】次に、このケイ酸カルシウムスラリーに、
二酸化炭素を2kg/cm2−Gの圧力で5時間通して
炭酸化処理したのち、スラリーをろ過した。次いで、得
られた固形物全量に対し、重量比で30倍になるよう
に、水とエタノールの混合物を加えた。この際、水とエ
タノールの割合は、ケイ酸カルシウム固形物中の水も考
慮して、重量比で30:70であった。続いて、ケイ酸
カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必要な量
の高濃度の酢酸(濃度80重量%)を添加し、80℃に
加熱しながら20分間かきまぜて酸処理を行った。
【0045】酸処理終了後、十分に水洗したのち、スラ
リー中の固形物をろ取し、120℃で乾燥処理すること
により、非晶質ケイ酸を得た。この非晶質ケイ酸の性状
は、平均粒子径:8.07μm、嵩密度:0.033g
/cm3、白色度:96.97、比表面積:311m2
g、耐酸性:3.15mg/g、ルースの定圧ろ過係数
20:0.9578cm2/sec、ろ液の清澄度:9
9.2%、ケイ酸含有率:99.6重量%であった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年6月9日(1999.6.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 高純度非晶質ケイ酸の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不純物が少ない
上、白色度が高く、比表面積が大きいことから、触媒担
体や化粧品基材などとして、また耐酸性であって、ろ過
係数が高いことから、特にろ過助剤として好適な高純度
非晶質ケイ酸を効率よく製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、分散粒子が粘着なため、ろ材に目
詰まりを起こさせやすい懸濁液や、分散粒子が微細で、
しかも濃度が薄い懸濁液を固液分離する場合には、ろ過
速度の促進や清澄ろ液の分離回収などのために、通常け
いそう土系ろ過助剤が用いられている。そして、このけ
いそう土系ろ過助剤については、けいそう土の種類によ
って、粒子径や結晶形態が異なり、ろ過特性にかなりの
差があるため、ろ過助剤の製造工程例えば粉砕工程や分
級工程などにおいて、厳しい品質管理が要求され、その
結果コスト高になるのを免れなかった。
【0003】しかも、わが国には鉱量が豊富で高品位の
けいそう土鉱床が少なく、安定的な供給が得られない上
に、天然の堆積鉱物であるけいそう土は、有機質や鉄分
などの不純物を含有しており、医薬関係の分野において
けいそう土系ろ過助剤を使用する際には、厳しい条件下
での前処理を施し、有機質によるろ液の汚染を避ける手
段を講じなければならないし、また、食品関係や石油化
学関係の分野において使用すると、鉄分により着色する
のを免れなかった。
【0004】他方、水熱反応によって得られるケイ酸カ
ルシウム粒体は、けいそう土と同様に多孔質体である
が、けいそう土のように目的に応じて粉砕や分級処理を
行わなくても、製造条件によって、粒子径や結晶形態を
コントロールすることができる上、原料の選択により、
有機質や鉄分を含まないろ過助剤の安定供給を得ること
ができるが、このケイ酸カルシウムは一般に耐酸性を欠
くため、ろ過助剤としての使用範囲が制限されるのを免
れない。
【0005】本発明者は、先に上記のような従来のケイ
酸カルシウム系ろ過助剤のもつ欠点を克服し、耐酸性の
良好なろ過助剤を得るために、シリカ原料と石灰原料と
を所定の割合で混合し、水熱反応させたのち、800〜
1200℃で加熱処理する方法(特開平7−20642
3号公報、特開平8−245215号公報)、シリカ原
料と石灰原料とを所定の割合で混合し、水熱反応させた
のち、炭酸化処理し、さらに酸性溶液中で処理する方法
(特開平8−245215号公報、特開平9−2553
23号公報)、シリカ原料と石灰原料との混合物を特定
条件下で水熱反応させ、生成したケイ酸カルシウムスラ
リーに酸を加えて処理する方法(特願平9−14462
号、特願平9−153006号)を提案した。
【0006】他方、水熱反応によって生成したケイ酸カ
ルシウムを炭酸化して非晶質ケイ酸と炭酸カルシウムに
分解したのち、酸処理して炭酸カルシウムを溶解除去
し、固形分として非晶質ケイ酸を得る方法が知られてい
る(特開昭51−125699号公報)。
【0007】しかしながら、この方法によって得られる
非晶質ケイ酸を乾燥すると、著しく収縮して固結し、ケ
イ酸カルシウムの多孔質状態を保持した非晶質ケイ酸を
得ることができないため、これをろ過助剤として用いる
ことはできなかった。これは、ケイ酸カルシウムから酸
化カルシウムが除かれ、非晶質ケイ酸を形成する際、そ
の表面に親水性のシラノール基を生じ、これによって大
量の水が結合される結果、乾燥工程で水が蒸発すると非
晶質ケイ酸の粒子間に表面張力として数100kg/c
の付着力が働き、非晶質ケイ酸二次粒子同士や二次
粒子中の一次粒子同士が結合し、収縮して固結するため
である。
【0008】したがって、これまでは大量のアセトンに
よる洗浄を繰り返し、乾燥工程での収縮を防止していた
が、これでは、収縮防止が不十分で、特に低結晶質のケ
イ酸カルシウムから得た非晶質ケイ酸の場合は、比表面
積が大きく、完全に収縮を防止することができなかっ
た。しかも、大量のアセトンを必要とすることから、経
済効率が悪く、生産コストの低減化には限界があった。
【0009】また、非晶質ケイ酸の乾燥法としては、ス
プレードライヤーを用いる方法が知られているが、この
場合、スラリー濃度を2〜3重量%程度にしないとノズ
ルが詰まるなどのトラブルが発生し、極めて経済効率が
悪く、製造コストが上昇するのを免れない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の非晶質ケイ酸の製造方法がもつ欠点を克服し、乾
燥時の収縮が極めて小さく、かつ白色度が高い、比表面
積が大きい、耐酸性を有する、ろ過係数が高いなどの性
状を有する高純度非晶質ケイ酸を、経済的にかつ効率よ
く製造する方法を提供することを目的としてなされたも
のである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の好ま
しい性状を有する高純度非晶質ケイ酸の製造方法につい
て鋭意研究を重ねた結果、ケイ酸カルシウムを酸処理し
て非晶質ケイ酸を製造する際に、表面張力低減剤と水の
存在下に酸処理を行うことにより、また、ケイ酸カルシ
ウムを炭酸化処理し、次いで酸処理して非晶質ケイ酸を
製造する際に、表面張力低減剤と水の存在下に炭酸化処
理又は酸処理を行うことにより、あるいはケイ酸カルシ
ウムから得た非晶質ケイ酸を、表面張力及び水の混合物
で処理することにより、その目的を達成しうることを見
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、(1)ケイ酸カルシ
ウムを酸処理したのち、固液分離し、固形分を乾燥して
非晶質ケイ酸を製造するに当り、酸処理をエーテル基形
成物質及びアシル基形成物質の中から選ばれる表面張力
低減剤と水の存在下で行うことを特徴とする高純度非晶
質ケイ酸の製造方法(以下、製造方法1と称す)、
(2)ケイ酸カルシウムを炭酸化処理し、次いで酸処理
したのち、固液分離し、固形分を乾燥して非晶質ケイ酸
を製造するに当り、酸処理をエーテル基形成物質及びア
シル基形成物質の中から選ばれる表面張力低減剤と水の
存在下で行うことを特徴とする高純度非晶質ケイ酸の製
造方法(以下、製造方法2と称す)、及び(3)ケイ酸
カルシウムから得た非晶質ケイ酸を、エーテル基形成物
質及びアシル基形成物質の中から選ばれる表面張力低減
剤及び水の混合物で処理することを特徴とする高純度非
晶質ケイ酸の製造方法(以下、製造方法3と称す)、を
提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法(製造方法1、
2及び3)における原料のケイ酸カルシウムとしては、
例えばトバモライト、低結晶質ケイ酸カルシウム、ゾノ
トライト、ジャイロライト、ジェナイト、フォシャジャ
イト、ワラストナイト、ヒレプランダイト、トラスコタ
イトなどの天然産鉱物でもよいし、ケイ酸原料と石灰原
料とから得られる合成ケイ酸カルシウム系化合物でもよ
い。さらに建築材料として用いられているケイ酸カルシ
ウム系断熱材、保温材、建材などを利用することもでき
る。
【0014】これらのケイ酸カルシウムは、ケイ酸原料
と石灰原料とを、所定のCaO/SiOモル比で混合
し、水又は水酸化アルカリ水溶液の存在下で水熱反応さ
せることにより、製造することができる。ここで、ケイ
酸原料としては、例えばけい石、石英、非晶質ケイ酸、
ホワイトカーボン、もみがら灰、フライアッシュ、ケイ
酸ナトリウムなどのケイ酸含有物質が挙げられる。これ
らは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用
いてもよい。このケイ酸原料の粒子径については特に制
限はなく、最終的に得られる非晶質ケイ酸の使用目的に
応じて、適宜選定することができる。一方、石灰原料と
しては、例えば生石灰(酸化カルシウム)、消石灰(水
酸化カルシウム)などが用いられる。これは単独で用い
てもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】前記ケイ酸原料と石灰原料との水熱反応に
おいては、ケイ酸原料と石灰原料は、CaO/SiO
モル比が0.3〜1.4の範囲になるような割合で用い
るのが望ましい。このモル比が0.3未満ではケイ酸カ
ルシウムの生成が不十分となるおそれがあるし、1.4
を超えると未反応の石灰原料が残存し、最終的に得られ
る非晶質ケイ酸の品質が低下し、好ましくない。
【0016】この水熱反応においては、まず、前記ケイ
酸原料と石灰原料との混合物を水又は水酸化アルカリ水
溶液に懸濁させて水性スラリーを調製する。この場合、
水酸化アルカリ水溶液の濃度としては、0.01〜1.
0規定の範囲が好ましい。そして、水酸化アルカリ水溶
液を用いることにより、生成するケイ酸カルシウムの結
晶形態を変化させる効果と水熱反応を促進させる効果が
発揮される。例えばケイ酸原料が多量のアルミナを含有
している場合、微細粒状結晶であるハイドロガーネット
が析出しやすいが、このハイドロガーネットの微細粒状
結晶の析出が抑制されるとともに、水熱反応が促進され
る。水酸化アルカリの濃度が0.01規定未満では水酸
化アルカリを用いた効果が十分に発揮されないし、1.
0規定を超えると最終的に得られる非晶質ケイ酸の品質
が低下する。水酸化アルカリとしては、例えば水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げ
られ、それらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0017】また、ケイ酸原料と石灰原料を含む水性ス
ラリーの濃度については特に制限はないが、水熱反応性
及び容積効率などを考慮すると、ケイ酸原料と石灰原料
との合計量に対し、水又は水酸化アルカリ水溶液を5〜
50倍重量の割合で用いるのが有利である。
【0018】この水熱反応は、例えばオートクレーブを
用いて、70〜190℃の範囲の温度で行われる。この
水熱反応は自生圧力下で進行するが、必要に応じ適当に
加圧して反応を行ってもよい。また、反応中は、反応速
度を促進させるために撹拌を行ってもよいが、特に必要
ではない。水熱反応温度が70℃未満では反応速度が遅
すぎて長時間を要し、実用的でなく、また190℃を超
えると自生圧力が高くなりすぎ、装置面などにおいて経
済的に不利となる。反応時間は、スラリー濃度、原料の
種類や粒度、反応温度などに左右され、一概に定めるこ
とはできないが、通常は1〜100時間程度で十分であ
る。この水熱反応により、ケイ酸カルシウムスラリーが
得られるが、このスラリーをそのまま後続工程に供して
もよいし、固液分離してケイ酸カルシウムを回収してこ
れを後続工程に供してもよい。
【0019】次に、本発明の製造方法(製造方法1、2
及び3)においては、表面張力低減剤として、エーテル
基形成物質及びアシル基形成物質を用いることが必要で
あるが、このようなものとしては、例えばエタノール、
メタノール、プロパノール、ブタノール、アセトンなど
がある。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組
み合わせて用いてもよい。この表面張力低減剤と水との
使用割合は、一般的には、重量比50:1ないし1:4
の範囲で選ばれる。
【0020】本発明の製造方法1においては、前記のよ
うにして得られたケイ酸カルシウムを、表面張力低減剤
と水の存在下で酸処理を行い、ケイ酸カルシウムの形態
をそこなうことなく、ケイ酸カルシウム中から酸化カル
シウムを除去することにより、非晶質ケイ酸が得られ
る。この際、表面張力低減剤と水との使用割合は、使用
する酸の種類、得られる非晶質ケイ酸の形態、ケイ酸カ
ルシウム中の水量などを考慮して適宜選定される。
【0021】さらに、使用する酸の種類としては、ケイ
酸カルシウムの結晶性を考慮して適宜選択することがで
き、また、その使用量は、ケイ酸カルシウム中の酸化カ
ルシウムを除去するのに十分な量であればよい。酸とし
ては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、炭酸などの無機酸、酢
酸、酒石酸、シュウ酸などの有機酸を挙げることができ
る。これらの酸は単独で用いてもよいし、2種以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0022】酸処理する際のスラリー濃度としては、表
面張力低減剤の使用量をできるだけ少なくするために、
かきまぜが可能な範囲で高い方が有利であり、これによ
り、表面張力低減剤を回収して再利用するのが容易とな
る。また、酸処理温度については特に制限はなく、室温
でもよいし、所望により40〜95℃程度に加熱しても
よい。加熱することにより、酸化カルシウムの除去速度
が促進されるとともに、非晶質ケイ酸の乾燥時における
収縮防止効果が向上する。なお、室温処理でも酸化カル
シウムの除去は十分に達成される。
【0023】酸処理に用いる酸の濃度については特に制
限はなく、高濃度の酸でも処理することができるし、ま
た、酸の種類によっては水の使用量を調整することによ
って、ケイ酸カルシウムから、酸化カルシウムを溶出量
の調整を行いながら、除去することができる。このよう
にして、酸処理されたスラリーは、所望により水で洗浄
後、ろ過や遠心分離などの公知の手段によって固液分離
したのち、得られた固形物を乾燥処理し、必要ならば粉
砕処理することにより、所望の非晶質ケイ酸が得られ
る。
【0024】次に、本発明の製造方法2においては、ケ
イ酸カルシウムを炭酸化処理したのち、酸処理して非晶
質ケイ酸を製造するが、上記酸処理を表面張力低減剤と
水の存在下で行うものである。上記炭酸化処理は、これ
に続く酸処理の反応を促進させるために行われるもの
で、ケイ酸カルシウムスラリーを二酸化炭素で処理し、
ケイ酸カルシウムの少なくとも一部を非晶質ケイ酸と炭
酸カルシウムとに分解する反応である。この炭酸化処理
は、室温、大気圧下でも進行するが、水熱合成直後のケ
イ酸カルシウムスラリーを考慮すると、高温、大気圧下
でも十分に炭酸化反応は進行し、加圧することによっ
て、さらに促進される。
【0025】本発明の製造方法2においては、必ずしも
必要ではないがこの炭酸化処理を表面張力低減剤と水の
存在下で行うこともでき、これにより、後続の酸処理時
間を短縮しうるとともに、良質な非晶質ケイ酸を得るこ
とができる。
【0026】また、この製造方法2においては、炭酸化
処理に続いて行われる酸処理を、表面張力低減剤と水の
存在下で行うことが必要である。この酸処理により、炭
酸化で生成した炭酸カルシウムが溶解除去されるととも
に、未反応のケイ酸カルシウム(炭酸化されていないケ
イ酸カルシウム)が存在する場合には、そのケイ酸カル
シウム中の酸化カルシウムが除去される。使用する酸は
ケイ酸カルシウムの結晶性、炭酸化の程度、表面張力低
減剤の種類などに応じて、製造方法1の説明において例
示したものの中から、適宜選択することができる。ま
た、酸の使用量は、炭酸カルシウム及びケイ酸カルシウ
ム中の酸化カルシウムを除去するのに十分な量であれば
よい。なお、その他の条件については、製造方法1にお
ける酸処理条件と同じである。
【0027】このようにして、炭酸化処理、次いで酸処
理されたスラリーは、所望により水で洗浄後、ろ過や遠
心分離などの公知の手段によって固液分離したのち、得
られた固形物を乾燥処理し、必要ならば粉砕処理するこ
とにより、所望の非晶質ケイ酸が得られる。
【0028】最後に、製造方法3においては、ケイ酸カ
ルシウムから得た非晶質ケイ酸を、表面張力低減剤及び
水の混合物で処理する。この場合、処理される非晶質ケ
イ酸としては、ケイ酸カルシウムから得られたものであ
ればよく、その製造方法については特に制限はない。例
えばケイ酸カルシウムの酸処理により得られたものや、
炭酸化処理、次いで酸処理により得られたものなどが用
いられる。
【0029】この方法においては、表面張力低減剤と水
との使用割合は、非晶質ケイ酸の形態などに応じて適宜
選定される。また、スラリー濃度としては、表面張力低
減剤の使用量をできるだけ少なくするために、かきまぜ
が可能な範囲で高い方が有利であり、これにより、表面
張力低減剤を回収して再利用するのが容易となる。ま
た、処理温度については特に制限はなく、室温でもよい
し、所望により40〜95℃程度に加熱してもよい。加
熱することにより、非晶質ケイ酸の乾燥時における収縮
防止効果が向上する。このようにして処理されたスラリ
ーは、所望により水で洗浄後、ろ過や遠心分離などの公
知の手段によって固液分離したのち、得られた固形物を
乾燥処理し、必要ならば粉砕処理することにより、所望
の非晶質ケイ酸が得られる。なお、表面張力低減剤と水
の存在下でケイ酸カルシウム又は炭酸化したケイ酸カル
シウムとの反応によって得られる反応生成物は、カルシ
ウム化合物を水洗除去することなく、風力分級すること
によって非晶質ケイ酸とカルシウム化合物を分離し、非
晶質ケイ酸を得ることもできる。
【0030】本発明においては、前記製造方法1、2及
び3で得られた非晶質ケイ酸の形態、結晶構造及び比表
面積を変化させたい場合には、所望により200〜14
00℃の範囲の温度において焼成してもよい。本発明方
法による非晶質ケイ酸は、96.5%以上の白色度及び
200m/g以上、場合によっては600m/g以
上の比表面積を有し、しかも0.5ないし0.97cm
/secという高い定圧ろ過係数を示す。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、ケイ酸カルシウムから
非晶質ケイ酸を製造する各工程のいずれかにおいて、表
面張力低減剤と水を用いて処理することにより、非晶質
ケイ酸の乾燥時の収縮が効果的に防止され、品質に優れ
る非晶質ケイ酸が、従来法により簡単な操作で、かつ短
時間に得られる。また、該表面張力低減剤はリサイクル
が可能である。
【0032】本発明方法で得られた非晶質ケイ酸は、有
機質や鉄分などの不純物を含まず、白色度が高く、かつ
シリカゲルに匹敵する大きな比表面積を有する多孔質体
であるので、例えば触媒担体、吸着剤、吸臭剤、調湿
剤、医薬品や化粧品基材などとして好適である。さら
に、耐酸性であって、ろ過係数が高いことから、特にろ
過助剤として好適である。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0034】なお、非晶質ケイ酸の性能は、以下に示す
方法に従って評価した。 (1)平均粒子径 遠心式自動粒度分布測定装置を用い、試料の平均粒子径
を求めた。 (2)嵩密度 メスシリンダーの中に試料約50mlを入れ、タッピン
グして充填容積が一定になったところを容積として、試
料の重量と容積から嵩密度を算出した。 (3)白色度 三刺激値色彩計を用いて測定した。 (4)BET比表面積 BET比表面積測定装置を用い、200℃で十分に加熱
脱気した試料について、窒素ガスを吸着させる多点法に
より比表面積を求めた。 (5)耐酸性 試料1.0gを、pH1.2の塩酸水溶液200ml中
に浸せきし、50℃に調整した恒温水槽中で1時間かき
まぜたのち、遠心分離機により固液分離し、次いでろ液
中のSiO量を分光光度計により測定し、耐酸性を求
めた。 (6)ルースの定圧ろ過係数K20 ろ過面積21.9cmの加圧ろ過器を用い、pH2に
調整した蛙目粘土スラリーに、試料をボディフィードし
て、ルース(Ruth)の定圧ろ過係数K20[cm
/sec](スラリー温度20℃でのK値)を求めた。
その際のろ過圧力は0.5kg/cm、スラリー濃度
は0.5重量%、F/C(非晶質ケイ酸/蛙目粘土)の
容積混合比は0.5である。なお、ルースの定圧ろ過係
数K20は、数値が大きいほどろ過速度が大きいことを
示す。 (7)ろ液の清澄度 分光光度計による透過率測定を利用し、遮蔽板を置いて
透過率を0としたときの清澄度を0%、蒸留水の透過率
を100としたときの清澄度を100%とみなし、上記
(6)で得られたろ液の清澄度を評価した。なお、ろ液
はろ過開始から1分後のものを用いた。 (8)ケイ酸含有率 蛍光X線を用い、ケイ酸含有率を測定した。
【0035】実施例1 非晶質のケイ酸粉体(平均粒子径0.03μm)と生石
灰粉体とをCaO/SiOモル比が0.6になるよう
に混合し、粉体全量に対して、重量比で30倍の水を加
えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラ
リーをオートクレーブ中でかきまぜながら160℃で4
時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得
た。
【0036】次に、このケイ酸カルシウムスラリーをろ
過し、得られた固形物全量に対し、重量比で30倍にな
るように、水とエタノールの混合物を加えた。この際、
水とエタノールの割合は、ケイ酸カルシウム固形物中の
水も考慮して、重量比で30:70であった。次いで、
ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必
要な量の高濃度の酢酸(濃度80重量%)を添加し、8
0℃に加熱しながら5分間かきまぜて酸処理を行った。
酸処理終了後、十分に水洗したのち、スラリー中の固形
物をろ取し、120℃で乾燥処理することにより、非晶
質ケイ酸を得た。
【0037】この非晶質ケイ酸の性状は、平均粒子径:
4.95μm、嵩密度:0.061g/cm、白色
度:96.88、比表面積:684m/g、耐酸性:
6.53mg/g、ルースの定圧ろ過係数K20:0.
1352cm/sec、ろ液の清澄度:99.7%、
ケイ酸含有率:99.2重量%であった。
【0038】実施例2 結晶質のケイ酸粉体(平均粒子径3.53μm)と生石
灰粉体とをCaO/SiOモル比が0.6になるよう
に混合し、粉体全量に対して、重量比で30倍の水を加
えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラ
リーをオートクレーブ中でかきまぜながら160℃で4
時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得
た。
【0039】次に、このケイ酸カルシウムスラリーをろ
過し、得られた固形物全量に対し、重量比で30倍にな
るように、水とエタノールの混合物を加えた。この際、
水とエタノールの割合は、ケイ酸カルシウム固形物中の
水も考慮して、重量比で30:70であった。次いで、
50℃に加熱しながら、二酸化炭素で5時間炭酸化処置
したのち、ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去
するのに必要な量の希釈した塩酸(濃度18重量%)を
添加し、60℃で5分間かきまぜて酸処理を行った。
【0040】酸処理終了後、十分に水洗したのち、スラ
リー中の固形物をろ取し、120℃で乾燥処理すること
により、非晶質ケイ酸を得た。この非晶質ケイ酸の性状
は、平均粒子径:6.08μm、嵩密度:0.080g
/cm、白色度:96.57、比表面積:417m
/g、耐酸性:3.51mg/g、ルースの定圧ろ過係
数K20:0.4767cm/sec、ろ液の清澄
度:99.5%、ケイ酸含有率:99.6重量%であっ
た。
【0041】実施例3 結晶質のケイ酸粉体(平均粒子径7.77μm)と生石
灰粉体とをCaO/SiOモル比が0.6になるよう
に混合し、粉体全量に対して、重量比で30倍の水を加
えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラ
リーをオートクレーブ中でかきまぜながら160℃で8
時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得
た。
【0042】次に、このケイ酸カルシウムスラリーに、
ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必
要な量の高濃度の酢酸(濃度80重量%)を添加し、6
0℃に加熱しながら20分間かきまぜて酸処理を行っ
た。酸処理終了後、スラリーをろ過し、得られた固形物
を水洗したのち、この全量に対し、重量比で30倍にな
るように、水とエタノールの混合物を加え、70℃で2
0分間かきまぜた。この際、水とエタノールの割合は、
非晶質ケイ酸固形物中の水も考慮して、重量比で40:
60であった。次いで、スラリー中の固形物をろ取し、
120℃で乾燥処理することにより、非晶質ケイ酸を得
た。この非晶質ケイ酸の性状は、平均粒子径:8.03
μm、嵩密度:0.043g/cm、白色度:96.
64、比表面積:287m/g、耐酸性:3.65m
g/g、ルースの定圧ろ過係数K20:0.8961c
/sec、ろ液の清澄度:99.2%、ケイ酸含有
率:99.4重量%であった。
【0043】実施例4 結晶質のケイ酸粉体(平均粒子径7.77μm)と生石
灰粉体とを、CaO/SiOモル比が0.8になるよ
うに混合し、粉体全量に対して、重量比で30倍の水を
加えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このス
ラリーをオートクレーブ中でかきまぜながら180℃で
8時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得
た。
【0044】次に、このケイ酸カルシウムスラリーに、
二酸化炭素を2kg/cm−Gの圧力で5時間通して
炭酸化処理したのち、スラリーをろ過した。次いで、得
られた固形物全量に対し、重量比で30倍になるよう
に、水とエタノールの混合物を加えた。この際、水とエ
タノールの割合は、ケイ酸カルシウム固形物中の水も考
慮して、重量比で30:70であった。続いて、ケイ酸
カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必要な量
の高濃度の酢酸(濃度80重量%)を添加し、80℃に
加熱しながら20分間かきまぜて酸処理を行った。
【0045】酸処理終了後、十分に水洗したのち、スラ
リー中の固形物をろ取し、120℃で乾燥処理すること
により、非晶質ケイ酸を得た。この非晶質ケイ酸の性状
は、平均粒子径:8.07μm、嵩密度:0.033g
/cm、白色度:96.97、比表面積:311m
/g、耐酸性:3.15mg/g、ルースの定圧ろ過係
数K20:0.9578cm/sec、ろ液の清澄
度:99.2%、ケイ酸含有率:99.6重量%であっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D066 BA01 CA01 4G072 AA25 BB13 GG03 HH16 HH23 JJ13 JJ26 JJ41 LL06 LL11 MM01 MM21 MM22 MM23 MM31 RR06 RR19 UU17 UU30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ酸カルシウムを酸処理したのち、固
    液分離し、固形分を乾燥して非晶質ケイ酸を製造するに
    当り、酸処理を表面張力低減剤及び水の存在下で行うこ
    とを特徴とする高純度非晶質ケイ酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 ケイ酸カルシウムを炭酸化処理し、次い
    で酸処理したのち、固液分離し、固形分を乾燥して非晶
    質ケイ酸を製造するに当り、炭酸化処理又は酸処理を表
    面張力低減剤及び水の存在下で行うことを特徴とする高
    純度非晶質ケイ酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 ケイ酸カルシウムから得た非晶質ケイ酸
    を、表面張力低減剤及び水の混合物で処理することを特
    徴とする高純度非晶質ケイ酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 表面張力低減剤と水との使用割合が、重
    量比で50:1ないし1:4の範囲にある請求項1、2
    又は3記載の高純度非晶質ケイ酸の製造方法。
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