JP2000026197A - シリコン単結晶の製造方法および装置 - Google Patents

シリコン単結晶の製造方法および装置

Info

Publication number
JP2000026197A
JP2000026197A JP10192850A JP19285098A JP2000026197A JP 2000026197 A JP2000026197 A JP 2000026197A JP 10192850 A JP10192850 A JP 10192850A JP 19285098 A JP19285098 A JP 19285098A JP 2000026197 A JP2000026197 A JP 2000026197A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
melt
temperature
crystal
silicon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10192850A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Maeda
秋穂 前田
Yukinobu Takeyasu
志信 竹安
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Handotai Co Ltd filed Critical Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority to JP10192850A priority Critical patent/JP2000026197A/ja
Publication of JP2000026197A publication Critical patent/JP2000026197A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 単結晶棒と融液との離間識別を自動化して、
テール部形成工程の後半での単結晶棒を融液から離間す
る作業を自動化し、無人自動制御による単結晶製造を可
能とする単結晶の製造方法と装置を提供する。 【解決手段】 本発明のシリコン単結晶の製造方法は、
石英ルツボ1a内のシリコン融液6に種結晶15を接液
または着液してネッキングを行い、結晶径を徐々に増大
させてコーン部20を形成し、その後所定の直径で単結
晶を引上げ所定の長さの直胴部22を形成した後、結晶
径を徐々に減少させてテール部23を形成し、単結晶3
を融液から切り離すチョクラルスキー法による単結晶の
製造において、育成されたシリコン単結晶3のテール部
23が融液から離間したことを融液表面の温度変化から
検出することにある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョクラルスキー
法(Czochraski Method 、略してCZ法、または引上げ
法とも称する)により単結晶を育成するシリコン単結晶
の製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の単結晶引上げ装置の一般的な構成
例を図4に示す。CZ法で用いられている単結晶の引上
げ装置の主な構成は、原料である多結晶シリコンを溶融
充填したルツボ1を収容するチャンバーを備え、このチ
ャンバーは、ルツボ1を収容するメインチャンバー2
と、単結晶棒3を引き上げ取り出すためのプルチャンバ
ー4からなっている。ルツボ1の周囲には黒鉛材からな
る発熱体5が配設されている。ルツボ1は、内側にシリ
コン融液6を満たした石英ルツボ1aと、この外側に石
英ルツボを保護する黒鉛材で形成された黒鉛ルツボ1b
とからなり、メインチャンバー2内のテーブル7上に載
置され、テーブル7の下方に設けられたルツボ回転機構
8のルツボ回転軸9により回転自在となっている。さら
に、ルツボ1の下方には、上下駆動機構(昇降装置、図
示せず)が設けられ、単結晶の成長にともなって原料融
液が減り、融液面10が下がるのに合わせてルツボ1を
上昇させることで、単結晶育成中の融液面10のレベル
を一定に保ち、育成中の単結晶棒の直径が所定の直径と
なるように調整される。
【0003】メインチャンバー2の上方には、育成する
シリコン単結晶の直径を制御して所定の直径とするため
に、育成中の単結晶棒の直径を測定するための光学系1
1を備えた直径測定器が設けられ、この直径測定器の出
力によって単結晶引上げ速度および融液温度が制御され
る。このとき、単結晶の成長による融液面10の低下に
合わせてルツボの上下駆動機構によりルツボ1の高さ位
置も同時に制御され、液位は一定に保たれる。プルチャ
ンバー4は、育成した単結晶棒を取り出すことができる
ように開放可能に構成され、その上部に、育成した単結
晶棒を回転させながらワイヤーで巻き上げる単結晶引上
げ回転機構12が設置されている。
【0004】シリコン単結晶の育成は、先ず、ルツボ1
の中に多結晶シリコンを充填し、チャンバー内をアルゴ
ンガス雰囲気とした後、発熱体5で加熱して融液とす
る。この後、上方より静かにワイヤー13を下降し、ワ
イヤー13下端のホルダー14に吊された、直径あるい
は1辺が10〜20mm程度の円柱または角柱状の種結
晶15を融液面10に着液させる。このとき、熱衝撃に
より種結晶に生じるスリップ転位や種結晶中に存在する
転位を消滅させるため、種結晶15を回転させながら上
方に静かに引上げて徐々に直径を細くするネッキングを
行う。このネッキングでは、最小直径が3〜5mm程度
になるまで絞り込みを行い、ネック部の長さが10〜2
0mm程度に達し、スリップ転移が完全に除去できたら
引上げ速度と融液温度を調整して絞り部分を拡径し、単
結晶棒のコーン部の育成工程に移行する。コーン部の直
径を所定の直径に拡径した後、再度引上げ速度と融液温
度を調整して単結晶棒の直胴部育成工程に移る。
【0005】直胴部は、ウエーハの収率を高めるために
も一定の安定した直径が必要であり、単結晶育成中は、
単結晶と融液との融液面境に生じる輝環(フュージョン
リング)を光学系により測定し、この測定値に基づい
て、直胴部の直径がほぼ一定の値を維持して育成される
ように、発熱体の出力、単結晶の引上げ速度、ルツボの
上昇速度等が制御される。直胴部を所定の長さになるま
で成長させたら、結晶成長界面に存在した融液と単結晶
間の熱平衡が崩れて結晶に急激な熱衝撃が加わり、スリ
ップ転位や異常酸素析出等の品質異常が発生するのを防
止するために、直径を直胴部から徐々に縮径して円錐状
のテール部(丸め部)を形成した後、シリコン融液から
単結晶が切り離される。その後、急激な温度変化が単結
晶に加わらないように、徐々に融液面から距離を取りな
がら単結晶の温度を降下させ、常温付近まで下がったと
ころで単結晶棒をプルチャンバーより取り出し、シリコ
ン単結晶の育成を終了する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】昨今、この一連のシリ
コン単結晶の育成工程において、融液面への種結晶の着
液から単結晶棒の直胴部育成工程を経て、テール部から
丸め工程にいたるまでの工程は自動化され、殆ど作業者
の介入を必要とせずに単結晶棒の育成が可能となってい
る。この自動化に関わる発明としては多くの提案がなさ
れており、特開平6−166590号公報、特公平7−
26817号公報等が挙げられる。しかし、丸め工程
後、最終的に単結晶を融液面から切り離す部分の自動化
は未だ行われておらず、単結晶の育成工程で唯一作業者
による手動操作が必要とされている。
【0007】また、シリコン単結晶のテール部形成から
テール部が融液より離間したことを検出する方法とし
て、単結晶の成長界面に生じる輝環を、CCD(Charge
Coupled Device )カメラなどの2次元カメラを用いた
光学系装置により取り込み、画像を暗部と明部に2値化
する画像処理を施して自動的に検出する方法が提案され
ている。しかしながら、この検出方法では、テール部の
形状が逆円錐形をしているため、チャンバー上部に取付
けられた2次元カメラでは、テール部の形成が進んだ後
半は輝環が単結晶の直胴部に隠れて輝環を撮影すること
ができなくなったり、あるいは成長界面を上方斜めから
透視しているため、輝環が不規則に歪み、正確にテール
部の尾部の形状および尾部が融液面から離間したことを
光学系を用いた制御装置で捉えることは極めて困難であ
った。特に、昨今の結晶直径の大口径化にともない、テ
ール部形成においては、ますます輝環の検出が困難とな
ってきている。
【0008】また、単結晶棒のテール部育成のころには
ルツボ内の融液量はかなり少くなり、石英ルツボの壁お
よび逆円錐形に形成されたテール部の尾部それ自体が融
液面に映り込み、融液面に輝環とほぼ同程度の明るい部
分が融液面上に現れる。この影響により2次元カメラで
画像を取り込み2値化処理して制御を行う方法では、融
液面での映り込み像と輝環の区別ができなくなり、制御
不可能な状態に陥りやすいという問題があった。特に、
単結晶を融液面から切り離す際、単結晶棒に加わる熱衝
撃の影響を小さくするために、単結晶テール部の尾部の
直径を十分小さくしてから切り離す必要がある。さら
に、テール部の長さは、この尾部形成に伴う発熱体の熱
の影響で、直胴部に生じる異常な酸素析出を抑制するた
めにも所定の長さが必要とされる。
【0009】これらの問題により、テール部形成工程の
後半からテール部を融液から切り離す工程の間は、作業
者による手動操作が行われ、全工程を通じてシリコン単
結晶育成作業を自動化する大きな妨げとなっていた。従
って、本発明の目的は、単結晶棒と融液との離間識別を
自動化して、テール部形成工程の後半での単結晶棒を融
液から離間する作業を自動化し、無人自動制御による単
結晶製造を可能とする単結晶の製造方法と装置を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】石英ルツボ中の融液は、
その周囲に配置された発熱体によって加熱され、内部に
温度勾配を生じ熱対流が発生する。この熱対流によって
発熱体から供給された熱が単結晶棒の結晶成長界面へと
運ばれる。一方、これと同時に結晶成長界面近傍ではシ
リコン融液の結晶化により固化潜熱が生じており、結晶
成長界面に熱対流によりもたらされる熱と結晶化による
固化潜熱は、育成中のシリコン単結晶棒を通して雰囲気
中へ放散されており、シリコン単結晶の育成中は、結晶
成長界面での融液と単結晶間の熱収支が平衡状態にあ
る。この間、シリコン融液の温度はほぼ一定に保たれて
いるが、単結晶棒が融液から切り離されるとこの熱平衡
は崩れ、融液の温度は発熱体から供給される熱により急
激に上昇する。従って、融液面から単結晶のテール部を
切り離す際、単結晶径を徐々に細らせて逆円錐状のテー
ル部を形成しながら、発熱体への供給電力を制御し、徐
々に融液の温度を上昇させては行くが、それでもテール
部の形成が終了し、テール部が融液から離れると融液の
温度が緩やかな上昇から急激な上昇に変化する。
【0011】本発明者らは、単結晶の育成工程における
融液の結晶成長界面近傍での熱平衡に着目し、単結晶棒
と融液面との離間による熱収支の平衡の崩れからもたら
される融液の急激な温度上昇を、単結晶引上げ終了の判
断に利用することができることを見出し、本発明を達成
した。
【0012】本発明の請求項1に記載したシリコン単結
晶の製造方法は、石英ルツボ内のシリコン融液に種結晶
を接液または着液してネッキングを行い、結晶径を徐々
に増大させてコーン部を形成し、その後所定の直径で単
結晶を引上げ所定の長さの直胴部を形成した後、結晶径
を徐々に減少させてテール部を形成し、単結晶を融液か
ら切り離すチョクラルスキー法による単結晶の製造にお
いて、育成されたシリコン単結晶のテール部が融液から
離間したことを融液表面の温度変化から検出し、単結晶
の製造を行うものである。
【0013】このように、育成した単結晶の融液面から
の離間を融液表面の温度変化により検出する方法とすれ
ば、上記した従来の画像処理による検出方法の問題点が
解消され、確実に融液から結晶が離間したことを検出す
ることができる。これにより単結晶棒のテール部の離間
に際し、作業者が常にチャンバー内を観察して結晶離間
を確認する作業は解消され、融液に種結晶を着液してか
ら育成された単結晶棒が融液から離間するまでの工程を
完全に自動化した単結晶製造を行うことができる。さら
に、結晶離間後も人手を介することなく自動的に次工程
へ引上げ機の設定を移行させることができ、安定した製
造工程の維持と結晶品質の向上を図ることが可能とな
り、さらには作業者の負担を軽減することもできる。
【0014】本発明の請求項2に記載した発明は、単結
晶育成中のシリコン融液表面の温度を検出し、時間を
t、融液の表面温度をTで表わしたときに、時間軸に対
する温度変化量dT/dtを演算して求め、dT/dt
の値が急激に増大し始めたときをもって単結晶のテール
部が融液から離間したことを検出するシリコン単結晶の
製造方法である。単結晶棒のテール部は、直胴部から徐
々に縮径して形成されるため、テール部の育成につれて
融液温度を少しずつ上昇させる必要がある。このためテ
ール部育成工程では、シリコン融液の温度は常に上昇傾
向にあるが、テール部の形成が終了しテール部がシリコ
ン融液から切り離されると、結晶成長界面での融液と単
結晶間の熱平衡が崩れ、融液温度が急激に上昇する。こ
の融液の時間軸に対する温度変化量の変曲点を捉らえれ
ば、単結晶棒が融液から離間したことを的確に検出する
ことができる。
【0015】本発明の請求項3に記載した発明は、請求
項2に記載した発明において、単結晶テール部の融液か
らの離間を、好ましくはシリコン融液の温度変化量dT
/dtの値が5〜15℃/分に達したときに、テール部
がシリコン融液から離れたことを判断することにある。
本発明者等は、単結晶棒がシリコン融液から離間する時
の融液表面の温度変化を精査した結果、単結晶のテール
部育成時は、融液表面の温度変化量dT/dt値が0〜
3℃/分であるのに対し、単結晶のテール部が融液から
離間した後は、温度変化量dT/dt値が5〜15℃/
分に急激に増大することを確認した。従って、融液表面
の温度変化量dT/dt値が5〜15℃/分に変化する
点をとららえれば、確実に単結晶のテール部が融液から
離れたことを検出できる。
【0016】さらに、本発明の請求項4に記載した装置
は、原料シリコンを融解する石英ルツボとこれを加熱す
る発熱体を備えた雰囲気制御可能なチャンバーと、該チ
ャンバー上部にワイヤーまたはシャフトを介して単結晶
を回転させる結晶回転手段と、下部に石英ルツボを回転
させるルツボ回転手段およびルツボ昇降手段とを有する
装置であって、チャンバーに設けられた窓を介して融液
表面の温度を検出する放射温度計と、検出した融液表面
の温度を演算処理して単結晶のテール部が融液から離間
したことを検知する制御装置とを備えたシリコン単結晶
の製造装置である。単結晶の製造装置をこのような構成
とすることにより、単結晶棒のシリコン融液からの離間
を確実に検出することが可能となり、画像処理による検
出方法等のような誤認検出の心配もなく、自動的に融液
から単結晶が離間したことを検出することができる。こ
れにより、作業者を介することなく次の工程へ引上げ機
の製造条件を移行させることができ、結晶成長の自動化
をさらに推進することが可能となる。
【0017】請求項5の装置は、請求項4に記載した装
置の放射温度計に二色温度計を用いることにより、融液
表面の温度を高精度で安定的に検出でき、本発明の製造
装置の信頼性をさらに向上させる。
【0018】上記構成からなる本発明の単結晶の製造方
法および装置を用いれば、これまで困難とされてきた融
液からの単結晶の離間を自動的に検出でき、より一層の
作業の省力化と結晶品質の安定化を図ることが可能とな
る。さらに、引上げ工程の自動化が推進され、複数の引
上げ機を一ヶ所で管理する引上げ装置の集中監視システ
ムの導入を推進することができる。また昨今、大口径・
長尺結晶製造のため、引上げ装置周囲に磁石を配置した
MCZ機の導入が進んでいるが、本発明により溶融から
結晶成長終了にいたる全工程の自動化が可能となり、作
業者を長時間、高磁界内に留めることなく単結晶を製造
することができ、作業の安全向上および作業者の身体へ
の負担を軽減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。シリコン単結晶の育成は、先ず、引上機の中にセッ
トされた石英ルツボ中に小塊状または粒状の原料多結晶
シリコンを充填し、チャンバー内をアルゴンガス雰囲気
とした後、発熱体を加熱して原料多結晶シリコンを溶融
する。石英ルツボ中の原料多結晶シリコンの溶融後、予
めチャンバー上端の種ホルダーに取付けておいた種結晶
を静かに融液面の直上まで下ろし、種結晶を加温し、種
結晶と融液温度がほぼ同じ温度に達したところで、種結
晶をシリコン融液に着液させ、その後種結晶とルツボを
回転させながら徐々に引上機のワイヤーを巻き上げ、単
結晶を育成する。なお、育成する単結晶が大型、高重量
の場合には、単結晶の引上げにワイヤーを用いるワイヤ
ー型のものに代えて、引上げ軸にシャフト(棒)を用い
るシャフト型の引上げ装置を用いてもよい。
【0020】単結晶の育成にあたっては、先ず、種結晶
を回転させながら引上げ、種結晶の径を3〜6mm程度
の径まで細く絞り込んで5〜20cmの長さまで結晶を
引上げ、ネック部を形成する。このネッキング(ダッシ
ュネッキング法とも言う)により種結晶中の転位は除去
される。ネック部形成後は、単結晶棒のコーン部育成工
程に移行し、融液温度と結晶引上げ速度を調整して急激
に結晶径を拡大する。コーン部の直径が所定の直径に達
したところで再度結晶の引上げ速度と融液温度を調整
し、単結晶棒の直胴部育成工程に移行する。直胴部育成
工程では、一定の直径を保つように、単結晶棒の引上げ
速度と融液温度およびルツボの回転数等を調整し単結晶
の育成を行なう。直胴部の長さは、融液の量・結晶の品
質に合せて目標とする長さまで単結晶棒を引上げ育成す
る。目標の長さに達したら単結晶育成条件を変更し、テ
ール部(丸め部)育成工程へ移行する。
【0021】テール部育成工程では、直胴部の径を徐々
に細らせていくことにより逆円錐形のテール部が形成さ
れる。この縮径は、引上げ速度と融液温度を上げること
により行われる。融液と単結晶棒のテール部の着液点が
逆円錐形の頂点付近に達した時点で、単結晶棒は融液か
ら切り離される。その後、単結晶棒が急激に冷却される
と、単結晶棒内にスリップ転位が生じたり、単結晶棒の
品質が劣化してウエーハ加工後の熱処理で酸素が異常に
析出する虞れがあるため、単結晶棒を融液から徐々に遠
ざけ、温度を静かに下げる。単結晶棒の温度が装置から
取出し可能な温度まで下がったところで、単結晶棒を引
上機から取出し単結晶の製造を終了する。
【0022】この一連の単結晶の製造工程において、単
結晶棒のテール部が融液から離間すると、融液と単結晶
棒との間の温度平衡は崩れ、それまで緩やかに上昇して
いた融液温度が単結晶棒が融液から切り離されたこと
で、融液温度は急激な上昇に転じる。この様子を図1に
示す。図1の縦軸は融液面温度の温度変化量|dT/d
t|(Tは融液表面の温度、tは時間を表わす)であ
り、横軸は時間tである。図1において、時刻t
間の温度変化は単結晶のコーン部育成工程におけ
る融液表面の温度変化であり、単結晶の引上速度を制御
しながら融液の温度を下げることでコーン部の径の拡大
を図り、単結晶棒のコーン部が形成される。この間、融
液温度の温度変化量|dT/dt|は徐々に減少する。
コーン部が所定の直径に達したら、シリコン融液の温度
をさらに下げ、単結晶の引上速度を急激に上昇させて単
結晶棒の肩部を形成し、直胴部の育成工程へと移行す
る。時刻t −t 間においてこの肩部の育成が行わ
れる。なお、時刻t −t および時刻t −t
間でのdT/dt値は負となる。
【0023】その後、時刻t −t 間は直胴部の育
成工程であり、単結晶棒の引上げ速度および融液温度を
制御して直胴部を形成し、所定の長さに達するまで育成
される。この間の温度変化量|dT/dt|値は極めて
小さい。時刻t −t 間はテール部育成工程であ
り、ここでは引き上げ速度と融液温度を上げ、直胴部の
径を徐々に細らせていくことにより逆円錐形のテール部
が形成される。この間、|dT/dt|値は次第に増大
し、時刻t において単結晶のテール部は融液から離
間する。テール部の形成が終了しテール部がシリコン融
液から切り離されると、結晶成長界面での融液と単結晶
間の熱平衡が崩れ、融液面温度の温度変化量|dT/d
t|値は急激に増大する。
【0024】本発明は、時刻t における融液面温度
の温度変化量|dT/dt|値曲線の変曲点を単結晶棒
と融液とが離間した瞬間とみなすものである。単結晶棒
は、融液面から離間した後、徐々に融液面から距離を取
り、急激な温度変化を避けながら単結晶の温度を降下さ
せ、常温付近まで下がったところで、単結晶棒をプルチ
ャンバーから取り出し、単結晶の育成を終了する。
【0025】なお、単結晶の育成中、融液表面の温度は
外乱などによって多少のゆらぎが存在する。この融液表
面の温度のゆらぎを融液と単結晶との離間と誤認識する
のを防止するため、本発明においては、検出温度入力回
路にフィルターをかけ、温度変化量|dT/dt|値
が、5〜15(℃/分)に達したとき単結晶の成長終了
と認識するように設定される。このように本発明の単結
晶の製造方法においては、融液表面の温度を放射温度
計、好ましくは二色温度計で測定し、コンピュータ内蔵
制御装置により温度変化量|dT/dt|値を演算さ
せ、この値が5〜15(℃/分)に達したとき単結晶の
引上げ終了とし、次のプロセスに移行するようにプログ
ラミングすることによって無人自動制御による単結晶の
製造を可能としたものである。なお、二色温度計は融液
の放射エネルギーを、2波長で輝度測定し、その比から
温度を求めるものであり、周囲からの放射率の影響が小
さく、精度の高い温度が測定される。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を図2、図3を用いて
説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは
なく、さまざまな態様が可能である。なお、図2は単結
晶引上げ装置を示し、図3は、二色温度計17に接続さ
れた制御装置と信号の処理フローを示している。ルツボ
中に原料多結晶シリコンを充填し加熱、溶融後、ワイヤ
ー13の下端に保持された種結晶15を融液6に着液
し、種結晶の温度が融液温度と同程度になったら、融液
の温度、引き上げ速度を調整してネック部19、コーン
部20、肩部21を順に育成した。その後、融液面10
の温度、引上げ速度を調整してほぼ直径の一定な直胴部
22を形成する。直胴部が所定の長さに達した後、引上
げ速度、温度を上げ結晶径を徐々に減少させてテール部
23を形成した。この間、図2に示すように、CCDカ
メラ(光学系)16により撮影された画像情報で単結晶
棒3の直径を求め、この情報を引き上げ速度、温度等の
制御系にフィードバックすることにより、各育成工程に
おいて単結晶棒3の直径を所定の値に制御した。なお、
融液の温度は、融液面10の上方に配設された二色温度
計17により測定し、融液の温度管理を行った。
【0027】テール部育成工程においては、二色温度計
17に接続されたコンピュータ内蔵制御装置により演算
されて温度変化量dT/dt値が求められる。演算値は
検出温度入力回路にかけられたフィルターの設定値P=
5〜15(℃/分)と比較され、設定値Pに達したとき
単結晶のテール部23と融液6との離間すなわち単結晶
棒3の成長終了と判定し、設定値Pに達していないとき
は単結晶棒3のテール部23と融液6とはいまだ離間し
ていないと判定する。制御装置が単結晶棒3のテール部
23と融液6との離間を認識すると、単結晶棒3は、融
液面から徐々に距離を取り、急激な温度変化を避けなが
ら単結晶の温度を降下させ、常温付近まで下がったとこ
ろで、単結晶棒3をプルチャンバー4から取り出し、単
結晶の育成を終了した。このように、融液への種結晶の
着液から単結晶の育成を終了し、単結晶棒を装置から取
り出すまでの全工程にわたって無人自動制御が可能とな
り、製造された単結晶棒は高品質でウエーハ収率の高い
ものであった。
【0028】
【発明の効果】本発明は、上記したように単結晶と融液
との離間を、融液表面の温度を検出し演算して温度変化
量dT/dtを求め、この値が急激に変化し始めたとき
をもって、すなわち時間軸に対する温度変化量曲線の変
曲点によって単結晶の引上げ終了を正確に検知するもの
であり、従来、作業者による目視に頼っていた離間識別
作業が解消され、単結晶製造の全プロセスに亙って無人
自動制御による製造を可能とし、完全な引上げ工程の自
動化を達成し、安定した製造工程の維持と結晶品質の向
上をもたらした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の単結晶の製造方法をモデル的に説明
する融液表面温度の変化量−時間曲線図である。
【図2】 本発明の単結晶の製造に用いる装置の一例を
説明する概略断面図である。
【図3】 本発明の単結晶の製造方法をモデル的に説明
する概念図である。
【図4】 従来の単結晶の製造装置を説明する概略断面
図である。
【符号の説明】
1・・・・・・ルツボ 1a・・・・石英ルツボ 1b・・・・黒鉛ルツボ 2・・・・・・メインチャンバー 3・・・・・・単結晶棒 4・・・・・・プルチャンバー 5・・・・・・発熱体 6・・・・・・融液 7・・・・・・テーブル 8・・・・・・ルツボ回転機構 9・・・・・・ルツボ回転軸 10・・・・・・融液面 11・・・・・・光学系 12・・・・・・結晶引き上げ回転機構 13・・・・・・ワイヤー 14・・・・・・ホルダー 15・・・・・・種結晶 16・・・・・・CCDカメラ(光学系) 17・・・・・・二色温度計 19・・・・・・ネック部 20・・・・・・コーン部 21・・・・・・肩部 22・・・・・・直胴部 23・・・・・・テール部 P・・・・・・・・設定値
フロントページの続き Fターム(参考) 2G040 AB02 AB08 BA02 BA18 BA24 CA02 CA03 CA12 CA17 CA23 CB03 DA05 DA12 EA02 EA11 EB02 EC09 GC01 HA16 ZA08 4G050 FF09 FF16 4G077 AA02 BA04 CF00 EH07 HA12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英ルツボ内のシリコン融液に種結晶を
    接液または着液してネッキングを行い、結晶径を徐々に
    増大させてコーン部を形成し、その後所定の直径で単結
    晶を引上げ所定の長さの直胴部を形成した後、結晶径を
    徐々に減少させてテール部を形成し、単結晶を融液から
    切り離すチョクラルスキー法による単結晶の製造におい
    て、育成されたシリコン単結晶のテール部が融液から離
    間したことを融液表面の温度変化から検出することを特
    徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 シリコン融液表面の温度を検出し、時間
    軸に対する温度変化量dT/dt(Tは融液表面の温
    度、tは時間である)を演算して求め、dT/dtの値
    が急激に増大し始めたときをもって単結晶のテール部が
    融液から離間したことを検出する請求項1に記載のシリ
    コン単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記温度変化量dT/dtの値が5〜1
    5℃/分に達したときに、単結晶が融液から離間したと
    判断する請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 原料シリコンを融解する石英ルツボとこ
    れを加熱する発熱体を備えた雰囲気制御可能なチャンバ
    ーと、該チャンバー上部にワイヤーまたはシャフトを介
    して単結晶を回転させる結晶回転手段と、下部に石英ル
    ツボを回転させるルツボ回転手段およびルツボ昇降手段
    とを有する装置であって、チャンバーに設けられた窓を
    介して融液表面の温度を検出する放射温度計と、検出し
    た融液表面の温度を演算処理して単結晶のテール部が融
    液から離間したことを検知する制御装置とを備えたシリ
    コン単結晶の製造装置。
  5. 【請求項5】 前記放射温度計が二色温度計である請求
    項4に記載のシリコン単結晶の製造装置。
JP10192850A 1998-07-08 1998-07-08 シリコン単結晶の製造方法および装置 Pending JP2000026197A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10192850A JP2000026197A (ja) 1998-07-08 1998-07-08 シリコン単結晶の製造方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10192850A JP2000026197A (ja) 1998-07-08 1998-07-08 シリコン単結晶の製造方法および装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000026197A true JP2000026197A (ja) 2000-01-25

Family

ID=16298020

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10192850A Pending JP2000026197A (ja) 1998-07-08 1998-07-08 シリコン単結晶の製造方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000026197A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110230092A (zh) * 2019-07-01 2019-09-13 新疆晶科能源有限公司 一种单晶硅生产工艺
CN116288646A (zh) * 2023-03-28 2023-06-23 中国科学院理化技术研究所 提笼机构及晶体生长装置、晶体生长方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110230092A (zh) * 2019-07-01 2019-09-13 新疆晶科能源有限公司 一种单晶硅生产工艺
CN116288646A (zh) * 2023-03-28 2023-06-23 中国科学院理化技术研究所 提笼机构及晶体生长装置、晶体生长方法
CN116288646B (zh) * 2023-03-28 2023-11-07 中国科学院理化技术研究所 提笼机构及晶体生长装置、晶体生长方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102157388B1 (ko) 실리콘 단결정 제조 방법 및 장치
JP4784401B2 (ja) シリコン単結晶の育成プロセスにおける融液の液面位置監視装置
JP4287657B2 (ja) 多結晶シリコン装入物から溶融させて溶融シリコンを用意するための方法および装置
KR101391514B1 (ko) 단결정 인상 장치 및 단결정 인상 방법
US6960254B2 (en) Method to monitor and control the crystal cooling or quenching rate by measuring crystal surface temperature
US10584426B2 (en) Method for producing single crystal
JP3704710B2 (ja) 種結晶着液温度の設定方法及びシリコン単結晶の製造装置
JP6341291B2 (ja) 半導体単結晶の再溶融方法
JP2019214486A (ja) 融液面と種結晶の間隔測定方法、種結晶の予熱方法、及び単結晶の製造方法
JP2000026197A (ja) シリコン単結晶の製造方法および装置
JP2979462B2 (ja) 単結晶引き上げ方法
JPH09249492A (ja) 単結晶引き上げ用種結晶及び該種結晶を用いた単結晶引き上げ方法
CN116536751A (zh) 直拉单晶的制备方法以及单晶炉
US5800612A (en) Single-crystal semiconductor pulling apparatus
KR20230051263A (ko) 단결정의 제조 방법
JP4056206B2 (ja) リボン結晶の成長方法及び装置
JP2004224585A (ja) 単結晶の製造方法及び製造装置
JP4785762B2 (ja) 単結晶の製造方法
JPH09118585A (ja) 単結晶引上装置および単結晶の引上方法
WO2022185789A1 (ja) 原料融液の表面の状態の検出方法、単結晶の製造方法、及びcz単結晶製造装置
KR101758983B1 (ko) 잉곳 성장장치 및 그 성장방법
WO2024079934A1 (ja) 単結晶引上装置および単結晶引上方法
JP3655355B2 (ja) 半導体単結晶製造工程における最適溶融液温度の検知方法
JP5125983B2 (ja) シリコン単結晶の製造方法
JP5018670B2 (ja) 単結晶の育成方法