JP2000013133A - 小型アンテナ及びその共振周波数調整方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 共振周波数のズレや帯域の増減が発生しにく
く、軽量化が可能で、共振周波数の変更にも柔軟に対応
できる小型アンテナを提供する。 【解決手段】 プラスチックシート12の片面に放射導体
パターン13が一体に形成され、プラスチックシート12が
放射導体パターン13のまわりで絞り成型されて箱型にな
っている小型アンテナで、所望の共振周波数を得るため
に、放射導体パターン13の一部をその下のプラスチック
シート12ごと除去することにより、除去部21を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話機等の内
蔵アンテナとして使用される小型アンテナと、その共振
周波数調整方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の小型アンテナの使用状態
を図７に示す。図において、１はプリント回路基板、２
はプリント回路基板１に実装された電子部品を覆うシー
ルドケース、３はシールドケース２上に絶縁部材４を介
して接着等の手段により取り付けられた小型アンテナで
ある。

【０００３】小型アンテナ３は、放射導体部５、給電ラ
イン６及びグランドライン７を有するもので、板金加工
（金属板の打ち抜き、折り曲げ加工）により形成されて
いる。給電ライン６及びグランドライン７は、プリント
回路基板１に実装されたソケット８、９に差し込まれ、
それぞれプリント回路基板１の給電パターン及びグラン
ドパターン（図示せず）に接続されている。プリント回
路基板１のグランドパターンはシールドケース２と導通
しており、これによってシールドケース２がアンテナ３
に対向するグランド部材となっている。アンテナの放射
導体部５をシールドケース２の表面に対して傾斜させて
あるのは、携帯電話機のケースの形に合わせるためであ
る。放射導体部５はシールドケース２の表面と平行であ
る場合もある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の小型アンテナ３
は、絶縁部材４と組み合わせてシールドケース２上に取
り付けるようになっているため、組立時の誤差により共
振周波数のズレや帯域の増減が発生しやすい。また板金
加工された状態でアンテナとしての形状を保持するだけ
の強度が必要であるため、使用する金属板は０．１ｍｍ
程度の厚さが必要であり、軽量化が困難である。さらに
この種の小型アンテナの場合、周囲を他の部品や筐体に
囲まれているため、それらの部品や筐体の仕様変更や位
置変更があると、その影響で共振周波数が変化すること
があるが、そのために共振周波数を変更する必要が生じ
た場合には、板金加工用の金型を変更しなければなら
ず、多額の費用と時間がかかる。

【０００５】本発明の目的は、以上のような問題点に鑑
み、共振周波数のズレや帯域の増減が発生しにくく、軽
量化が可能で、共振周波数の変更にも柔軟に対応できる
小型アンテナと、その共振周波数調整方法を提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る小型アンテ
ナは、プラスチックシートの片面に放射導体パターンが
一体に形成され、前記プラスチックシートが前記放射導
体パターンのまわりで絞り成型されて箱型になっている
小型アンテナであって、所望の共振周波数を得るため
に、前記放射導体パターンの一部がその下のプラスチッ
クシートごと除去されていることを特徴とするものであ
る（請求項１）。

【０００７】この小型アンテナは、放射導体パターン
と、箱型に成型されたプラスチックシート（絶縁部材、
強度部材）とが一体化されているので、共振周波数のズ
レや帯域の増減が発生しにくい。また放射導体パターン
はプラスチックシートにより補強されているため、厚さ
を十分薄くすることができ、また箱型に成型されたプラ
スチックシートは軽量であるので、全体として軽量化が
可能である。さらにプラスチックシート上の放射導体パ
ターンはレジスト印刷、エッチング等の手段で形成でき
るので、放射導体パターンの変更は容易であり、共振周
波数の変更にも柔軟に対応できる。また放射導体パター
ン形成後であっても、放射導体パターンの一部をその下
のプラスチックシートごと打ち抜き又は切断などの手段
で除去することによって、電流経路長を変え、共振周波
数を調整することが可能である。

【０００８】また本発明に係る小型アンテナは、プラス
チックシートの片面に放射導体パターンが一体に形成さ
れ、前記プラスチックシートが前記放射導体パターンの
まわりで絞り成型されて箱型になっている小型アンテナ
であって、前記放射導体パターンに、その放射導体パタ
ーンの一部をその下のプラスチックシートごと除去して
共振周波数を調整するための共振周波数調整部が設けら
れていることを特徴とするものである（請求項２）。

【０００９】共振周波数の調整をする前の小型アンテナ
は、このような共振周波数調整部を設けておくと、共振
周波数の調整が容易である。この小型アンテナは共振周
波数の調整が必要ない場合はそのまま使用される。

【００１０】また放射導体パターンに共振周波数調整部
を設ける場合は、共振周波数調整部付近のプラスチック
シートに、切断用具の先端部が挿入可能な開口部を形成
しておくとよい（請求項３）。このようにすると、共振
周波数の調整がより簡単に行える。

【００１１】また本発明に係る小型アンテナの共振周波
数調整方法は、プラスチックシートの片面に放射導体パ
ターンが一体に形成され、前記プラスチックシートが前
記放射導体パターンのまわりで絞り成型されて箱型にな
っている小型アンテナを作製し、所望の共振周波数を得
るために、前記放射導体パターンの一部をその下のプラ
スチックシートごと除去することを特徴とするものであ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。 〔実施形態１〕図１は本発明の一実施形態を示す。
（ａ）、（ｂ）は共振周波数を調整する前の小型アンテ
ナ、（ｃ）、（ｄ）は共振周波数を調整した後の小型ア
ンテナを示す。（ａ）、（ｂ）に示す小型アンテナ１１
は、プラスチックシート１２の片面に放射導体パターン
１３、給電ライン１４及びグランドライン１５が一体に
形成されているものである。

【００１３】プラスチックシート１２は、放射導体パタ
ーン１３のまわりで箱型に絞り成型されて周壁部１２ａ
を有している。またプラスチックシート１２は、その一
部が給電ライン１４及びグランドライン１５と共に突出
して、給電ライン１４及びグランドライン１５の支持片
１２ｂを構成している。支持片１２ｂのある部分では周
壁部１２ａが存在しない。支持片１２ｂは給電ライン１
４及びグランドライン１５と共に先端部が下方へ向くよ
うに屈曲成形されている。またプラスチックシート１２
は周壁部１２ａの縁の部分から外側へ突出する取付け片
１２ｃを有している。取付け片１２ｃには位置決め用の
穴１６が形成されている。

【００１４】このような小型アンテナ１１は、例えば次
のようにして製造することができる。まずプラスチック
シートの片面に銅箔（他の金属箔でも可）を張り付けた
積層板を用意し、銅箔をパターンエッチングして、放射
導体パターン１３、給電ライン１４及びグランドライン
１５を形成する。

【００１５】プラスチックシート１２としては、後述の
真空成型又は金型成型による絞り加工が可能で、箱型に
成型したときにその形状を保てるだけの強度があるもの
を使用する。具体的にはポリエステルフィルム又はポリ
カーボネートフィルム等を使用することができる。また
放射導体パターン１３等は強度をもたせる必要がないの
で、銅箔としては厚さ９μｍ、１８μｍ、３５μｍ程度
の薄いものを使用できる。放射導体パターン１３等の変
更は印刷パターンの変更で対応できるので、従来のよう
に板金加工の金型を変更する場合に比べ、安価に短期間
で対応できる。

【００１６】次にプラスチックシート１２を絞り成型
（真空成型等）して箱型に成型する。絞り成型は、放射
導体パターン１３、給電ライン１４及びグランドライン
１５のない部分、つまり放射導体パターン１３等のまわ
りのプラスチックシート１２のみの部分で行う。したが
ってこの段階では放射導体パターン１３、給電ライン１
４及びグランドライン１５は平面の状態のままである。

【００１７】このあとプラスチックシート１２を、周壁
部１２ａ、支持片１２ｂ、取付け片１２ｃが残るように
外形加工する。このとき穴１６を形成する。さらに支持
片１２ｂを給電ライン１４及びグランドライン１５と共
に屈曲成型すれば、図１（ａ）、（ｂ）のような小型ア
ンテナ１１が得られる。

【００１８】以上のようにして製造された小型アンテナ
１１は、携帯電話機等の組み込まれた場合、周囲を他の
部品や筐体に囲まれるため、それらの部品や筐体の仕様
変更、位置変更があると、その影響で共振周波数が変化
することがある。このような場合、放射導体パターン１
３の寸法を変更してアンテナ全体を作り替えることも可
能であるが、図１（ａ）、（ｂ）の状態の小型アンテナ
１１に加工を施すことで共振周波数の調整が行えれば、
仕様変更等にさらに柔軟に対応できる。

【００１９】図１（ａ）、（ｂ）の小型アンテナ１１の
共振周波数は電流経路の長さＬによって決まる。そこで
図１（ｃ）、（ｄ）に示す小型アンテナは、放射導体パ
ターン１３の給電ライン１４及びグランドライン１５の
付け根から最も遠い角部をその下のプラスチックシート
１２ごと打ち抜いて、除去部２１を形成することによ
り、共振周波数の調整を行ったものである。このように
すると電流経路の長さＬが短くなるので、共振周波数を
高くすることができる。

【００２０】この小型アンテナ１１は、放射導体パター
ン１３の厚さが約１０μｍ程度と非常に薄く、厚さのほ
とんどがプラスチックシート１２であるため、ハンドプ
レス等により簡単に打ち抜くことができる。また抜き型
（刃）の寿命も長い。さらにアンテナとしての強度は実
質的に周壁部１２ａを有する箱型のプラスチックシート
１２で保たれているため、上記のような除去部２１を形
成しても強度の低下がほとんどない。このようなことか
ら上記のような打ち抜きによる共振周波数の調整が可能
となるのである。従来の板金タイプの小型アンテナで
は、放射導体部の厚さが厚いため、打ち抜くためには大
きな圧力が必要であり、打ち抜き作業が大掛かりになる
と共に、抜き型の寿命が短い。また打ち抜きを行うと、
アンテナとしての強度が弱くなり、組立時に破損してし
まうおそれがある。このため上記のような共振周波数調
整方法を採用することが困難である。

【００２１】〔実施形態２〕図２は本発明の他の実施形
態を示す。（ａ）は共振周波数を調整する前の小型アン
テナ、（ｂ）は共振周波数を調整した後の小型アンテナ
を示す。（ａ）の小型アンテナ１１は、放射導体パター
ン１３をエッチング等により形成するときに、給電ライ
ン１４及びグランドライン１５の付け根付近に、共振周
波数調整部としてブリッジ部（バイパス部）２２を形成
したものである。このようなブリッジ部２２を形成した
小型アンテナ１１の共振周波数は、ブリッジ部２２を通
る電流経路の長さＬによって決まる。

【００２２】この小型アンテナ１１で共振周波数の調整
を行うときは、ブリッジ部２２を打ち抜いて、（ｂ）の
ように除去部２１を形成する。すると電流経路の長さＬ
が長くなるので、その分共振周波数を低くすることがで
きる。上記以外の構成は実施形態１と同じであるので、
同一部分には同一符号を付して説明を省略する。

【００２３】〔実施形態３〕図３は本発明のさらに他の
実施形態を示す。（ａ）は共振周波数を調整する前の小
型アンテナ、（ｂ）は共振周波数を調整した後の小型ア
ンテナを示す。（ａ）の小型アンテナ１１は、放射導体
パターン１３をエッチング等により形成するときに、給
電ライン１４及びグランドライン１５の付け根から最も
遠い角部付近に、共振周波数調整部として複数段のブリ
ッジ部（くびれ部）２２を形成したものである。このよ
うな複数段のブリッジ部２２を形成した小型アンテナ１
１の共振周波数は、全てのブリッジ部２２を通る電流経
路の長さＬによって決まる。

【００２４】この小型アンテナ１１で共振周波数の調整
を行うときは、いずれか一つのブリッジ部２２を打ち抜
いて、（ｂ）のように除去部２１を形成する。すると電
流経路の長さＬが短くなるので、その分共振周波数を高
くすることができる。上記以外の構成は実施形態１と同
じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省
略する。なお実施形態３の放射導体パターンと、実施形
態２の放射導体パターンを混在させれば、共振周波数を
高くする方向に調整することも低くする方向に調整する
ことも可能となる。

【００２５】〔実施形態４〕図４は本発明のさらに他の
実施形態を示す。（ａ）は共振周波数を調整する前の小
型アンテナ、（ｂ）は共振周波数を調整した後の小型ア
ンテナを示す。（ａ）の小型アンテナ１１は、放射導体
パターン１３をエッチング等により形成するときに給電
ライン１４及びグランドライン１５の付け根付近に共振
周波数調整部としてブリッジ部２２を形成すると共に、
ブリッジ部２２付近のプラスチックシート１２に切断用
具（ニッパやハサミ等）の先端部が挿入可能な開口部２
３を形成したものである。このようなブリッジ部２２を
形成した小型アンテナ１１の共振周波数は、実施形態２
と同様、ブリッジ部２２を通る電流経路の長さＬによっ
て決まる。

【００２６】この小型アンテナ１１で共振周波数の調整
を行うときは、開口部２３に例えばハサミの先端部を挿
入してブリッジ部２２を切断し、（ｂ）のように除去部
２１を形成する。すると電流経路の長さＬが長くなるの
で、その分共振周波数を低くすることができる。上記以
外の構成は実施形態１と同じであるので、同一部分には
同一符号を付して説明を省略する。

【００２７】〔実施形態５〕図５及び図６は本発明のさ
らに他の実施形態を示す。この小型アンテナ１１は、プ
ラスチックシート１２上には放射導体パターン１３のみ
を形成し、その放射導体パターン１３に端子部材２４を
取り付けるようにしたものである。端子部材２４は、弾
性金属板で、放射導体パターン１３をプラスチックシー
ト１２と共に挟みつけるクリップ部２５と、給電ライン
１４及びグランドライン１５を一体に形成したものであ
る。

【００２８】この小型アンテナ１１も、実施形態１と同
様に、放射導体パターン１３の端子部材取付け部から最
も遠い角部をその下のプラスチックシート１２ごと打ち
抜いて除去部２１を形成することにより、共振周波数の
調整を行ったものである。上記以外の構成は実施形態１
とと同じであるので、同一部分には同一符号を付して説
明を省略する。なお、この実施形態のような端子部材２
４を使用した小型アンテナにも、実施形態２、３又は４
の構成を適用することができる。また上記いずれの実施
形態においても、プラスチックシート１２の両面に放射
導体パターンを形成してもよいことは言うまでもない。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る小型ア
ンテナは、放射導体パターンとその絶縁支持体である箱
型のプラスチックシートとが一体に形成されているた
め、共振周波数のズレや帯域の増減が発生しにくい。ま
た放射導体パターン、給電ライン及びグランドラインの
厚さを十分薄くできることと、それらの絶縁支持体が軽
量なプラスチックシートで構成されていることから、全
体を軽量化することができる。また共振周波数の変更に
は、放射導体パターンの印刷パターンを変更することで
対応できるので、金型の変更より安価に短期間で対応で
きる。また放射導体パターンを形成した後においても、
放射導体パターンの一部をその下のプラスチックシート
と共に除去することで共振周波数の調整が可能であるの
で、設計変更等にきわめて柔軟に対応できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る小型アンテナの共振周波数調整
方法と、共振周波数を調整された小型アンテナの一実施
形態を示すもので、（ａ）は共振周波数調整前の小型ア
ンテナの上面側斜視図、（ｂ）は同じく下面側斜視図、
（ｃ）は共振周波数調整後の小型アンテナの上面側斜視
図、（ｄ）は同じく下面側斜視図。

【図２】 本発明に係る小型アンテナの他の実施形態を
示すもので、（ａ）は共振周波数調整前の上面側斜視
図、（ｂ）共振周波数調整後の上面側斜視図。

【図３】 本発明に係る小型アンテナのさらに他の実施
形態を示すもので、（ａ）は共振周波数調整前の上面側
斜視図、（ｂ）共振周波数調整後の上面側斜視図。

【図４】 本発明に係る小型アンテナのさらに他の実施
形態を示すもので、（ａ）は共振周波数調整前の上面側
斜視図、（ｂ）共振周波数調整後の上面側斜視図。

【図５】 本発明に係る小型アンテナのさらに他の実施
形態を示す分解斜視図。

【図６】 図５の小型アンテナの組立状態における要部
を示す断面図。

【図７】 従来の小型アンテナの使用状態を示す斜視
図。

【符号の説明】

１１：小型アンテナ １２：プラスチックシート １２ａ：周壁部 １２ｂ：支持片 １２ｃ：取付け片 １３：放射導体パターン １４：給電ライン １５：グランドライン ２１：除去部 ２２：ブリッジ部 ２３：開口部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 5J014 CA03 CA06 CA09 CA12 CA42 CA53 5J045 AA01 AA04 AB06 DA10 EA08 EA13 FA02 HA03 JA02 LA03 MA02 5J046 AA02 AA19 AB03 BA03 PA07 5J047 AA02 AA19 AB03 FB12 FD01

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プラスチックシートの片面に放射導体パタ
   ーンが一体に形成され、前記プラスチックシートが前記
   放射導体パターンのまわりで絞り成型されて箱型になっ
   ている小型アンテナであって、所望の共振周波数を得る
   ために、前記放射導体パターンの一部がその下のプラス
   チックシートごと除去されていることを特徴とする小型
   アンテナ。
2. 【請求項２】プラスチックシートの片面に放射導体パタ
   ーンが一体に形成され、前記プラスチックシートが前記
   放射導体パターンのまわりで絞り成型されて箱型になっ
   ている小型アンテナであって、前記放射導体パターン
   に、その放射導体パターンの一部をその下のプラスチッ
   クシートごと除去して共振周波数を調整するための共振
   周波数調整部が設けられていることを特徴とする小型ア
   ンテナ。
3. 【請求項３】放射導体パターンの共振周波数調整部付近
   のプラスチックシートに、切断用具の先端部が挿入可能
   な開口部が形成されていることを特徴とする請求項２記
   載の小型アンテナ。
4. 【請求項４】プラスチックシートの片面に放射導体パタ
   ーンが一体に形成され、前記プラスチックシートが前記
   放射導体パターンのまわりで絞り成型されて箱型になっ
   ている小型アンテナを作製し、所望の共振周波数を得る
   ために、前記放射導体パターンの一部をその下のプラス
   チックシートごと除去することを特徴とする小型アンテ
   ナの共振周波数調整方法。