JP2000008043A - コークス炉の燃焼室構造及び燃焼方法、燃焼装置 - Google Patents
コークス炉の燃焼室構造及び燃焼方法、燃焼装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 コークス炉において、燃焼室炉高方向の温度
分布を、炭化室上下方向のコークス火落ち時間が一定と
なる理想的な温度分布とし、コークス生産性とコークス
品質を向上させ、窒素酸化物の発生を抑制する。 【解決手段】 燃料ガス出口５と燃焼用空気出口６の各
一つを組として、燃焼室の各フリューの底部にコークス
炉の炉長方向に二組設ける。必要に応じ、二組の出口の
中間位置に開口面積比が調節自在な部分隔壁を炉高方向
に数箇所設置する。この燃焼室構造を有するコークス炉
に、燃料ガス及び燃焼用空気を強制的に送風する送風装
置を備え、コークス炉の燃焼に際しては、一組の燃料ガ
ス出口５と燃焼用空気出口６からは燃料ガス及び燃焼用
空気を高速で吐出、燃焼させ、その間もう一組の燃料ガ
ス出口と燃焼用空気出口からは燃焼ガスを排気し、この
二組の出口の吐出及び排気の切り替えを短時間に行う。
分布を、炭化室上下方向のコークス火落ち時間が一定と
なる理想的な温度分布とし、コークス生産性とコークス
品質を向上させ、窒素酸化物の発生を抑制する。 【解決手段】 燃料ガス出口５と燃焼用空気出口６の各
一つを組として、燃焼室の各フリューの底部にコークス
炉の炉長方向に二組設ける。必要に応じ、二組の出口の
中間位置に開口面積比が調節自在な部分隔壁を炉高方向
に数箇所設置する。この燃焼室構造を有するコークス炉
に、燃料ガス及び燃焼用空気を強制的に送風する送風装
置を備え、コークス炉の燃焼に際しては、一組の燃料ガ
ス出口５と燃焼用空気出口６からは燃料ガス及び燃焼用
空気を高速で吐出、燃焼させ、その間もう一組の燃料ガ
ス出口と燃焼用空気出口からは燃焼ガスを排気し、この
二組の出口の吐出及び排気の切り替えを短時間に行う。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、室炉式コークス炉
の燃焼室構造及び燃焼方法、燃焼装置に関するものであ
る。
の燃焼室構造及び燃焼方法、燃焼装置に関するものであ
る。
【０００２】
【従来の技術】室炉式コークス炉は、炉体の下部に蓄熱
室があり、その上部に炉長方向に２４〜８０余のフリュ
ーに分割された燃焼室と炭化室とが炉団方向に交互に配
置されている。燃料ガス及び燃焼用空気は、下部の蓄熱
室で予熱された後、図４に示すように、上部の燃焼室の
燃焼フリュー１で燃焼後、フリュー間隔壁９の上部開口
から引落としフリュー２を経て隣接する蓄熱室に導入さ
れて熱回収され、煙道を経て煙突から排出される。
室があり、その上部に炉長方向に２４〜８０余のフリュ
ーに分割された燃焼室と炭化室とが炉団方向に交互に配
置されている。燃料ガス及び燃焼用空気は、下部の蓄熱
室で予熱された後、図４に示すように、上部の燃焼室の
燃焼フリュー１で燃焼後、フリュー間隔壁９の上部開口
から引落としフリュー２を経て隣接する蓄熱室に導入さ
れて熱回収され、煙道を経て煙突から排出される。
【０００３】室炉式コークス炉における燃焼管理は、コ
ークス品質の確保、熱量原単位の低減、炉操業の安定
化、炉体の損傷防止の観点から最も重要である。コーク
ス炉の炉温管理においては、炉団全体の温度レベルを稼
働率に対応した温度に安定維持すること、及び石炭の乾
留が均一に進行するよう炉長、炉高、炉団方向の温度分
布を均一に維持することが重要である。
ークス品質の確保、熱量原単位の低減、炉操業の安定
化、炉体の損傷防止の観点から最も重要である。コーク
ス炉の炉温管理においては、炉団全体の温度レベルを稼
働率に対応した温度に安定維持すること、及び石炭の乾
留が均一に進行するよう炉長、炉高、炉団方向の温度分
布を均一に維持することが重要である。
【０００４】近年コークス業界においては、特にコーク
ス生産性向上を目的としてコークス炉の大型化が検討さ
れている。このためには、炉高、炉巾の増大が必要とな
るが、炉高を大きくすると炉高方向で温度差が発生し、
炭化室上下方向での火落ち時間のバラツキ発生によるコ
ークス品質の不均一が問題となる。この対策としては、
燃焼室の炉高方向の壁面温度分布を、炭化室の石炭の嵩
密度分布に対応して炭化室上下方向の火落ち時間がほぼ
同じになるよう制御し、最適な温度分布を得ることが重
要である。
ス生産性向上を目的としてコークス炉の大型化が検討さ
れている。このためには、炉高、炉巾の増大が必要とな
るが、炉高を大きくすると炉高方向で温度差が発生し、
炭化室上下方向での火落ち時間のバラツキ発生によるコ
ークス品質の不均一が問題となる。この対策としては、
燃焼室の炉高方向の壁面温度分布を、炭化室の石炭の嵩
密度分布に対応して炭化室上下方向の火落ち時間がほぼ
同じになるよう制御し、最適な温度分布を得ることが重
要である。
【０００５】コークス炉炭化室の上下方向の温度分布を
均一化する燃焼方式としては、ガス燃焼を高さ方向に数
段に分けて行う多段式バーナー方式、燃焼バーナーに高
低２種類のものを使用する高低バーナー方式、廃ガスの
一部を燃焼室内で循環させ、燃焼を遅らせることにより
長炎化を図る燃焼排ガス循環方式、炭化室上部を下部よ
り狭くし、壁厚を薄くする炭化室寸法及び壁厚変更方式
等が知られているが、炉高を８ｍ以上に大型化した場合
に十分対応することはできない。
均一化する燃焼方式としては、ガス燃焼を高さ方向に数
段に分けて行う多段式バーナー方式、燃焼バーナーに高
低２種類のものを使用する高低バーナー方式、廃ガスの
一部を燃焼室内で循環させ、燃焼を遅らせることにより
長炎化を図る燃焼排ガス循環方式、炭化室上部を下部よ
り狭くし、壁厚を薄くする炭化室寸法及び壁厚変更方式
等が知られているが、炉高を８ｍ以上に大型化した場合
に十分対応することはできない。
【０００６】また、他の方法としては、特公昭４４−５
７０３号公報に、加熱炉底部のガスと空気の吐出口のそ
れぞれに仕切煉瓦を設け、それぞれの仕切壁の高さを変
えて下部燃焼室と上部燃焼室とに分離し、底部の燃焼と
上部の燃焼帯の火焔の延長を計る方法が、特公昭５１−
８９２４１号公報に、高さ方向多段バーナーの上位流体
噴出口に開閉自在な調節弁を設けて空気の流量を制御
し、ガスと空気の会合点での火炎帯を制御する、上下方
向均一加熱方法が、特開平７−１１８６４１号公報に、
フリュー間隔壁に設ける空気の噴出口を複数とし、吐出
空気の流速及び吹き出し角度を制御する方法が開示され
ている。
７０３号公報に、加熱炉底部のガスと空気の吐出口のそ
れぞれに仕切煉瓦を設け、それぞれの仕切壁の高さを変
えて下部燃焼室と上部燃焼室とに分離し、底部の燃焼と
上部の燃焼帯の火焔の延長を計る方法が、特公昭５１−
８９２４１号公報に、高さ方向多段バーナーの上位流体
噴出口に開閉自在な調節弁を設けて空気の流量を制御
し、ガスと空気の会合点での火炎帯を制御する、上下方
向均一加熱方法が、特開平７−１１８６４１号公報に、
フリュー間隔壁に設ける空気の噴出口を複数とし、吐出
空気の流速及び吹き出し角度を制御する方法が開示され
ている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】特公昭４４−５７０３
号公報に開示の方法は、一部の空気とガスの早期会合
は、それだけ火焔の引延を犠牲にすることになり、結局
底部における燃焼と長炎化とを矛盾なく同時に満足させ
るものとならず、更に貧ガスだけではなく富ガスをも使
用する複式のコークス炉にあっては、当該仕切煉瓦が殆
ど上記の諸効果を奏しない。特公昭５１−８９２４１号
公報に開示の方法は、上位バーナーの流量調節だけでは
中位、下位バーナーの燃焼率を制御することは難しく、
特にガスカロリー、稼働率の変更に対し、上位バーナー
の流量を調整することで各段のバーナー流量を制御して
温度分布を制御することは不可能である。特開平７−１
１８６４１号公報に開示の方法では、燃焼部位が２段に
なっており、上部下部の個別制御は可能であるが、最適
な燃焼分布への調整が複雑であり、また、炉壁に設けた
２段目バーナー周辺の構造が複雑になる。また、この方
法では、空気吹き込み部の燃焼による窒素酸化物発生の
抑制は困難である。
号公報に開示の方法は、一部の空気とガスの早期会合
は、それだけ火焔の引延を犠牲にすることになり、結局
底部における燃焼と長炎化とを矛盾なく同時に満足させ
るものとならず、更に貧ガスだけではなく富ガスをも使
用する複式のコークス炉にあっては、当該仕切煉瓦が殆
ど上記の諸効果を奏しない。特公昭５１−８９２４１号
公報に開示の方法は、上位バーナーの流量調節だけでは
中位、下位バーナーの燃焼率を制御することは難しく、
特にガスカロリー、稼働率の変更に対し、上位バーナー
の流量を調整することで各段のバーナー流量を制御して
温度分布を制御することは不可能である。特開平７−１
１８６４１号公報に開示の方法では、燃焼部位が２段に
なっており、上部下部の個別制御は可能であるが、最適
な燃焼分布への調整が複雑であり、また、炉壁に設けた
２段目バーナー周辺の構造が複雑になる。また、この方
法では、空気吹き込み部の燃焼による窒素酸化物発生の
抑制は困難である。
【０００８】本発明の目的は、コークス炉において、燃
焼室炉高方向の温度分布を、炭化室上下方向のコークス
火落ち時間が一定となる理想的な温度分布とし、コーク
ス生産性とコークス品質を向上でき、窒素酸化物の発生
を抑制できるコークス炉の燃焼室構造及び燃焼方法、燃
焼装置を提供することである。
焼室炉高方向の温度分布を、炭化室上下方向のコークス
火落ち時間が一定となる理想的な温度分布とし、コーク
ス生産性とコークス品質を向上でき、窒素酸化物の発生
を抑制できるコークス炉の燃焼室構造及び燃焼方法、燃
焼装置を提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の（１）〜
（６）の通りである。
（６）の通りである。
【００１０】（１） 燃料ガス出口と燃焼用空気出口の
各一つを組として、燃焼室の各フリューの底部にコーク
ス炉の炉長方向に二組設けたことを特徴とするコークス
炉の燃焼室構造。
各一つを組として、燃焼室の各フリューの底部にコーク
ス炉の炉長方向に二組設けたことを特徴とするコークス
炉の燃焼室構造。
【００１１】（２） 燃料ガス出口と燃焼用空気出口の
各一つを組として、燃焼室の各フリューの底部にコーク
ス炉の炉長方向に二組設け、その二組の出口の中間位置
に部分隔壁を炉高方向に数箇所設置したことを特徴とす
るコークス炉の燃焼室構造。
各一つを組として、燃焼室の各フリューの底部にコーク
ス炉の炉長方向に二組設け、その二組の出口の中間位置
に部分隔壁を炉高方向に数箇所設置したことを特徴とす
るコークス炉の燃焼室構造。
【００１２】（３） 前記（２）の燃焼室構造におい
て、部分隔壁の開口面積比を調節自在としたことを特徴
とするコークス炉の燃焼室構造。
て、部分隔壁の開口面積比を調節自在としたことを特徴
とするコークス炉の燃焼室構造。
【００１３】（４） 前記（１）〜（３）のいずれかの
燃焼室構造を有するコークス炉において、一組の燃料ガ
ス出口と燃焼用空気出口からは燃料ガス及び燃焼用空気
を高速で吐出、燃焼させ、その間もう一組の燃料ガス出
口と燃焼用空気出口からは燃焼ガスを排気し、この二組
の出口の吐出及び排気の切り替えを短時間に行うことを
特徴とするコークス炉の燃焼方法。
燃焼室構造を有するコークス炉において、一組の燃料ガ
ス出口と燃焼用空気出口からは燃料ガス及び燃焼用空気
を高速で吐出、燃焼させ、その間もう一組の燃料ガス出
口と燃焼用空気出口からは燃焼ガスを排気し、この二組
の出口の吐出及び排気の切り替えを短時間に行うことを
特徴とするコークス炉の燃焼方法。
【００１４】（５） 前記（１）〜（３）のいずれかの
燃焼室構造を有するコークス炉に、燃料ガス及び燃焼用
空気を強制的に送風する送風装置を備えたことを特徴と
するコークス炉の燃焼装置。
燃焼室構造を有するコークス炉に、燃料ガス及び燃焼用
空気を強制的に送風する送風装置を備えたことを特徴と
するコークス炉の燃焼装置。
【００１５】（６） 前記（１）〜（３）のいずれかの
燃焼室構造を有するコークス炉に、燃料ガス及び燃焼用
空気を強制的に送風する送風装置と燃焼排ガスを強制的
に排気する送風装置を備えたことを特徴とするコークス
炉の燃焼装置。
燃焼室構造を有するコークス炉に、燃料ガス及び燃焼用
空気を強制的に送風する送風装置と燃焼排ガスを強制的
に排気する送風装置を備えたことを特徴とするコークス
炉の燃焼装置。
【００１６】本発明者は、種々試験研究を重ねた結果、
フリュー底部から燃料ガス及び燃焼用空気を高速で吐出
燃焼させた場合、燃焼反応は高速気流により分散化し、
炉高方向での燃焼率分布が均一化し、また、燃焼排ガス
が高速気流により発生した流れにより燃焼部に巻き込ま
れ、その部位の燃焼空気比が低下して窒素酸化物が低減
することを究明し、本発明に到達した。
フリュー底部から燃料ガス及び燃焼用空気を高速で吐出
燃焼させた場合、燃焼反応は高速気流により分散化し、
炉高方向での燃焼率分布が均一化し、また、燃焼排ガス
が高速気流により発生した流れにより燃焼部に巻き込ま
れ、その部位の燃焼空気比が低下して窒素酸化物が低減
することを究明し、本発明に到達した。
【００１７】フリューの底部に設けた一組の燃焼ガス出
口と燃焼用空気出口から燃料ガス及び燃焼用空気を従来
の数ｍ／ｓから、２０ｍ／ｓ以上の高速で吐出させるこ
とにより、燃料ガス及び燃焼用空気を炉高方向で均一に
分散させ、燃焼反応を炉高方向で広範囲且つ均一に行わ
せることができる。これにより、燃焼室内の炉高方向温
度分布を均一化し、炭化室上下方向の火落ち時間をほぼ
均一にすることが可能となる。また、高速噴流であるた
め、従来問題となった燃焼排ガス引落とし部への燃料ガ
ス及び燃焼用空気のショートパスが回避できるため、従
来のフリュー間隔壁を設置する必要はなく、一つのフリ
ューの底部に燃料ガス出口と燃焼用空気出口の各一つを
組として、コークス炉の炉長方向に二組設ければよい。
さらに、燃焼排ガスの燃焼部への巻き込みを調整する場
合には、二組の出口の中間位置に部分隔壁を設置し、そ
の開口面積比を調整すれば良い。
口と燃焼用空気出口から燃料ガス及び燃焼用空気を従来
の数ｍ／ｓから、２０ｍ／ｓ以上の高速で吐出させるこ
とにより、燃料ガス及び燃焼用空気を炉高方向で均一に
分散させ、燃焼反応を炉高方向で広範囲且つ均一に行わ
せることができる。これにより、燃焼室内の炉高方向温
度分布を均一化し、炭化室上下方向の火落ち時間をほぼ
均一にすることが可能となる。また、高速噴流であるた
め、従来問題となった燃焼排ガス引落とし部への燃料ガ
ス及び燃焼用空気のショートパスが回避できるため、従
来のフリュー間隔壁を設置する必要はなく、一つのフリ
ューの底部に燃料ガス出口と燃焼用空気出口の各一つを
組として、コークス炉の炉長方向に二組設ければよい。
さらに、燃焼排ガスの燃焼部への巻き込みを調整する場
合には、二組の出口の中間位置に部分隔壁を設置し、そ
の開口面積比を調整すれば良い。
【００１８】燃料ガス及び燃焼用空気を強制送風して燃
焼の切り替え時間を従来の２０分以上から例えば５分以
下の短時間にすることにより、従来燃料ガス及び燃焼用
空気の温度が切り替え初期から末期にかけて変化幅５０
〜１５０℃ほど低下していたのを回避し、燃料ガス及び
燃焼用空気の温度を切り替え時間末期にも高温に保った
まま燃焼反応を行わせることができ、火炎温度を高温に
保つことができる。また、切り替え時間を短縮すること
により、炉長方向での燃焼室内の温度を均一化でき、炭
化室炉長方向の温度分布を低減することにより、火落ち
時間の短縮化を図るとともに、コークス品質を向上させ
ることができる。
焼の切り替え時間を従来の２０分以上から例えば５分以
下の短時間にすることにより、従来燃料ガス及び燃焼用
空気の温度が切り替え初期から末期にかけて変化幅５０
〜１５０℃ほど低下していたのを回避し、燃料ガス及び
燃焼用空気の温度を切り替え時間末期にも高温に保った
まま燃焼反応を行わせることができ、火炎温度を高温に
保つことができる。また、切り替え時間を短縮すること
により、炉長方向での燃焼室内の温度を均一化でき、炭
化室炉長方向の温度分布を低減することにより、火落ち
時間の短縮化を図るとともに、コークス品質を向上させ
ることができる。
【００１９】コークス炉燃焼室中で形成される窒素酸化
物は燃焼部の高温部で生成する熱的ＮＯｘであって、そ
の生成率は火炎中の酸素濃度と窒素濃度の積に比例し、
かつ火炎温度に指数関数的に依存することが知られてい
る。従来は、ＮＯｘ生成を低減させるために、燃焼ガス
を再循環させることによって火炎温度を低下させるか、
または部分的に燃焼させることによって酸素及び窒素濃
度を減少させていたが、本発明においては、高速噴流中
で燃焼させることにより、燃焼排ガスを火炎内に再循環
させ、火炎温度を低下させることにより、窒素酸化物の
生成率を低減させることが可能となる。さらに、コーク
ス炉炉高方向の温度分布を均一化することによって、こ
れまで火落ち不良防止のため高目に設定していた炉温を
下げる、すなわち最大火炎温度を低下させることによ
り、窒素酸化物の生成率を低減することができる。こう
して、本発明により窒素酸化物を従来の３００〜５００
ｐｐｍから２００ｐｐｍ以下に低減させることが可能と
なる。
物は燃焼部の高温部で生成する熱的ＮＯｘであって、そ
の生成率は火炎中の酸素濃度と窒素濃度の積に比例し、
かつ火炎温度に指数関数的に依存することが知られてい
る。従来は、ＮＯｘ生成を低減させるために、燃焼ガス
を再循環させることによって火炎温度を低下させるか、
または部分的に燃焼させることによって酸素及び窒素濃
度を減少させていたが、本発明においては、高速噴流中
で燃焼させることにより、燃焼排ガスを火炎内に再循環
させ、火炎温度を低下させることにより、窒素酸化物の
生成率を低減させることが可能となる。さらに、コーク
ス炉炉高方向の温度分布を均一化することによって、こ
れまで火落ち不良防止のため高目に設定していた炉温を
下げる、すなわち最大火炎温度を低下させることによ
り、窒素酸化物の生成率を低減することができる。こう
して、本発明により窒素酸化物を従来の３００〜５００
ｐｐｍから２００ｐｐｍ以下に低減させることが可能と
なる。
【００２０】
【実施例】図１は本発明の燃焼室構造の例を示す断面図
であり、図２は、部分隔壁を設置した本発明の燃焼室構
造の例を示す断面図であり、図３はフリュー中央部の部
分隔壁の詳細を示す図である。
であり、図２は、部分隔壁を設置した本発明の燃焼室構
造の例を示す断面図であり、図３はフリュー中央部の部
分隔壁の詳細を示す図である。
【００２１】燃焼フリュー１に供給される燃料ガス及び
燃焼用空気の吐出流速は、ダンパー弁７、８によって燃
料ガス出口５と燃焼用空気出口６との開口度を調節する
ことにより制御される。燃焼フリュー１で燃焼した排ガ
スは、上部で旋回して引落としフリュー２の底部の燃料
ガス出口５、燃焼用空気出口６を経て燃料ガス供給配管
３及び燃焼用空気供給配管４を経由して蓄熱室に導か
れ、熱回収されたのち煙道に至り、大気中に排出され
る。また、燃焼フリュー１と引落としフリュー２は短時
間で切り替えられ、燃焼フリュー１が引落としフリュー
に、引落としフリュー２が燃焼フリューとなる。
燃焼用空気の吐出流速は、ダンパー弁７、８によって燃
料ガス出口５と燃焼用空気出口６との開口度を調節する
ことにより制御される。燃焼フリュー１で燃焼した排ガ
スは、上部で旋回して引落としフリュー２の底部の燃料
ガス出口５、燃焼用空気出口６を経て燃料ガス供給配管
３及び燃焼用空気供給配管４を経由して蓄熱室に導か
れ、熱回収されたのち煙道に至り、大気中に排出され
る。また、燃焼フリュー１と引落としフリュー２は短時
間で切り替えられ、燃焼フリュー１が引落としフリュー
に、引落としフリュー２が燃焼フリューとなる。
【００２２】燃焼フリュー１の底部の燃料ガス出口５か
ら高速で吹込まれた燃料ガスは燃焼用空気出口６より高
速で吹き込まれた燃焼用空気と混合燃焼する。この混合
ガスは高速であるため、燃焼反応は炉下部から上部まで
の全域にわたって行われ、炉内の炉壁温度分布は均ーと
なる。
ら高速で吹込まれた燃料ガスは燃焼用空気出口６より高
速で吹き込まれた燃焼用空気と混合燃焼する。この混合
ガスは高速であるため、燃焼反応は炉下部から上部まで
の全域にわたって行われ、炉内の炉壁温度分布は均ーと
なる。
【００２３】ダンパー弁７、８は、ガスカロリーや負荷
率（流入ガス量）に応じて炉上部から長い棒を使って容
易に変更できる。同様に、図３に示す部分隔壁１０のガ
ス通風口調節板１２も、ガスカロリーや負荷率（流入ガ
ス量）、排ガスＮＯｘ量に応じて、炉上部から長い棒を
使って容易に変更できる。
率（流入ガス量）に応じて炉上部から長い棒を使って容
易に変更できる。同様に、図３に示す部分隔壁１０のガ
ス通風口調節板１２も、ガスカロリーや負荷率（流入ガ
ス量）、排ガスＮＯｘ量に応じて、炉上部から長い棒を
使って容易に変更できる。
【００２４】図５は、本発明のコークス炉の燃焼装置を
示す図である。燃料ガス送風装置１４から燃料ガス配管
１７を通って供給された燃料ガスは蓄熱帯２０で予熱さ
れ、燃料ガス供給配管２３からフリュー２２に吹き込ま
れる。また、燃焼用空気送風装置１５から燃焼用空気配
管１８を通って供給された燃焼用空気も蓄熱帯２０で予
熱され、燃焼用空気供給配管２４からフリュー２２に吹
き込まれる。なお、排気ガス送風装置１６は強制排気が
必要な場合にのみ備えればよい。
示す図である。燃料ガス送風装置１４から燃料ガス配管
１７を通って供給された燃料ガスは蓄熱帯２０で予熱さ
れ、燃料ガス供給配管２３からフリュー２２に吹き込ま
れる。また、燃焼用空気送風装置１５から燃焼用空気配
管１８を通って供給された燃焼用空気も蓄熱帯２０で予
熱され、燃焼用空気供給配管２４からフリュー２２に吹
き込まれる。なお、排気ガス送風装置１６は強制排気が
必要な場合にのみ備えればよい。
【００２５】従来の燃焼室構造と本発明の燃焼室構造の
それぞれについて、炉高６ｍのコークス炉稼働率１００
％の場合におけるフリュー内炉高方向壁面温度分布を測
定した結果を図６に示す。また、表１に本発明の部分隔
壁のない燃焼室構造の本発明例１と部分隔壁のある燃焼
室構造の本発明例２、従来の燃焼室構造の従来例の操業
条件及び操業結果について示す。なお、部分隔壁の炉団
方向断面積にしめる開口率は５０％とした。
それぞれについて、炉高６ｍのコークス炉稼働率１００
％の場合におけるフリュー内炉高方向壁面温度分布を測
定した結果を図６に示す。また、表１に本発明の部分隔
壁のない燃焼室構造の本発明例１と部分隔壁のある燃焼
室構造の本発明例２、従来の燃焼室構造の従来例の操業
条件及び操業結果について示す。なお、部分隔壁の炉団
方向断面積にしめる開口率は５０％とした。
【００２６】
【表１】
【００２７】図６に示すとおり、本発明によれば、コー
クス炉の炉高方向温度分布を破線のように制御すること
ができ、炭化室上下方向の乾留温度、火落ち時間が均一
となり、コークス生産性と品質の向上が可能となった。
また、表１に示した切り替え時間及び吐出流速で操業し
たところ、燃焼側、引落とし側の炉壁温度、燃焼用空気
温度を高温化させ、また、燃焼排気ガス内の窒素酸化物
濃度を低減することができた。
クス炉の炉高方向温度分布を破線のように制御すること
ができ、炭化室上下方向の乾留温度、火落ち時間が均一
となり、コークス生産性と品質の向上が可能となった。
また、表１に示した切り替え時間及び吐出流速で操業し
たところ、燃焼側、引落とし側の炉壁温度、燃焼用空気
温度を高温化させ、また、燃焼排気ガス内の窒素酸化物
濃度を低減することができた。
【００２８】
【発明の効果】本発明によれば、コークス炉炉高方向及
び炉長方向の温度分布を均一にでき、炭化室内上下方向
及び炉長方向での火落ち時間が均一化し、過加熱するこ
となく最大温度を下げることが可能となり、熱効率とコ
ークス品質が向上し、著しく生産性を高めることができ
る。同時に排ガス中のＮＯｘの発生も減少し、高品質の
コークスを効率よく製造することができる。
び炉長方向の温度分布を均一にでき、炭化室内上下方向
及び炉長方向での火落ち時間が均一化し、過加熱するこ
となく最大温度を下げることが可能となり、熱効率とコ
ークス品質が向上し、著しく生産性を高めることができ
る。同時に排ガス中のＮＯｘの発生も減少し、高品質の
コークスを効率よく製造することができる。
【図１】本発明の燃焼室構造の例を示す炉団方向から見
た断面図である。
た断面図である。
【図２】本発明の燃焼室構造の他の例を示す炉団方向か
ら見た断面図である。
ら見た断面図である。
【図３】部分隔壁の詳細を示す図である。
【図４】従来の燃焼室構造の例を示す炉団方向から見た
断面図である。
断面図である。
【図５】本発明のコークス炉の燃焼装置の例を示す炉団
方向から見た断面図である。
方向から見た断面図である。
【図６】実施例における炉高方向の壁面温度分布を示す
図である。
図である。
１ 燃焼フリュー ２ 引落としフリュー ３ 燃料ガス供給配管 ４ 燃焼用空気供給配管 ５ 燃料ガス出口 ６ 燃焼用空気出口 ７ ダンパー弁 ８ ダンパー弁 ９ フリュー間隔壁 １０ 部分隔壁 １１ ガス通風口 １２ ガス通風口調節板 １３ コークス炉体 １４ 燃料ガス送風装置 １５ 燃焼用空気送風装置 １６ 排気ガス送風装置 １７ 燃料ガス配管 １８ 燃焼用空気配管 １９ 排気ガス配管 ２０ 蓄熱帯 ２１ 煙突 ２２ フリュー ２３ 燃料ガス供給配管 ２４ 燃焼用空気供給配管
Claims (6)
- 【請求項１】 燃料ガス出口と燃焼用空気出口の各一つ
を組として、燃焼室の各フリューの底部にコークス炉の
炉長方向に二組設けたことを特徴とするコークス炉の燃
焼室構造。 - 【請求項２】 燃料ガス出口と燃焼用空気出口の各一つ
を組として、燃焼室の各フリューの底部にコークス炉の
炉長方向に二組設け、その二組の出口の中間位置に部分
隔壁を炉高方向に数箇所設置したことを特徴とするコー
クス炉の燃焼室構造。 - 【請求項３】 請求項２記載の燃焼室構造において、部
分隔壁の開口面積比を調節自在としたことを特徴とする
コークス炉の燃焼室構造。 - 【請求項４】 請求項１〜３のいずれか記載の燃焼室構
造を有するコークス炉において、一組の燃料ガス出口と
燃焼用空気出口からは燃料ガス及び燃焼用空気を高速で
吐出、燃焼させ、その間もう一組の燃料ガス出口と燃焼
用空気出口からは燃焼ガスを排気し、この二組の出口の
吐出及び排気の切り替えを短時間に行うことを特徴とす
るコークス炉の燃焼方法。 - 【請求項５】 請求項１〜３のいずれか記載の燃焼室構
造を有するコークス炉に、燃料ガス及び燃焼用空気を強
制的に送風する送風装置を備えたことを特徴とするコー
クス炉の燃焼装置。 - 【請求項６】 請求項１〜３のいずれか記載の燃焼室構
造を有するコークス炉に、燃料ガス及び燃焼用空気を強
制的に送風する送風装置と燃焼排ガスを強制的に排気す
る送風装置を備えたことを特徴とするコークス炉の燃焼
装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10188091A JP2000008043A (ja) | 1998-06-19 | 1998-06-19 | コークス炉の燃焼室構造及び燃焼方法、燃焼装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10188091A JP2000008043A (ja) | 1998-06-19 | 1998-06-19 | コークス炉の燃焼室構造及び燃焼方法、燃焼装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000008043A true JP2000008043A (ja) | 2000-01-11 |
Family
ID=16217555
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10188091A Withdrawn JP2000008043A (ja) | 1998-06-19 | 1998-06-19 | コークス炉の燃焼室構造及び燃焼方法、燃焼装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000008043A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN108774537A (zh) * | 2018-07-31 | 2018-11-09 | 中冶焦耐(大连)工程技术有限公司 | 一种低氮排放的复热式焦炉加热系统及其调节方法 |
| WO2019053103A1 (de) * | 2017-09-15 | 2019-03-21 | Thyssenkrupp Industrial Solutions Ag | Koksofenvorrichtung mit umströmtem kreisstrompfad zum herstellen von koks und verfahren zum betreiben der koksofenvorrichtung sowie steuerungseinrichtung und verwendung |
-
1998
- 1998-06-19 JP JP10188091A patent/JP2000008043A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2019053103A1 (de) * | 2017-09-15 | 2019-03-21 | Thyssenkrupp Industrial Solutions Ag | Koksofenvorrichtung mit umströmtem kreisstrompfad zum herstellen von koks und verfahren zum betreiben der koksofenvorrichtung sowie steuerungseinrichtung und verwendung |
| CN111436202A (zh) * | 2017-09-15 | 2020-07-21 | 蒂森克虏伯工业解决方案股份公司 | 用于生产焦炭的、具有被环流的循环流动路径的焦炉装置及运行该焦炉装置的方法以及控制装置和用途 |
| CN108774537A (zh) * | 2018-07-31 | 2018-11-09 | 中冶焦耐(大连)工程技术有限公司 | 一种低氮排放的复热式焦炉加热系统及其调节方法 |
| CN108774537B (zh) * | 2018-07-31 | 2023-08-25 | 中冶焦耐(大连)工程技术有限公司 | 一种低氮排放的复热式焦炉加热系统及其调节方法 |
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|---|---|---|---|
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