JP2000002620A - ドーム状樹脂成形品の品質検査方法と装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 １８０度半球面を有する透明なドーム状樹脂
成形品の品質を的確、かつ正確に把握する。 【解決手段】 ドーム状樹脂成形品１１をその半球面の
中心を通る垂直軸１５を中心に回転させながら、レーザ
装置２１からレーザビームを半球面の中心に向けて照射
し、半球面を透過したレーザビームをスクリーン２３に
投影する。水平方向の走査が終了して、走査開始点に戻
ると、今度は成形品１１を水平軸１３により僅かに垂直
方向に回転させて同様に水平方向の走査を繰り返し、ス
クリーン２３上の受光点の変移を検出することにより成
形品の品質を検査する。スクリーン２３はＣＣＤ装置で
もよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、監視カメラ等に使
用されて、１８０度の透明で高精度な半球面を有するド
ーム状樹脂成形品の品質を検査するための方法と装置に
関する。

【０００２】店舗や銀行等において使用される監視カメ
ラは、従来は、カメラの方向を固定して、ある決められ
た範囲を監視するように設定されていたが、死角が大き
く十分な監視ができないため、１台のカメラを水平方向
に回動させるパン動作や垂直方向に回動させるチルト動
作を組み合わせて、１つの地点から広範囲に渡って監視
できるように改良されてきた。しかしながら、従来の監
視カメラは、明らかに監視カメラと分かる形状および状
態で天井等に取り付けられていたため、善意の者に威圧
感を与えるばかりでなく、デザイン的にも好ましいもの
ではなかった。そこで最近では、装置全体を目立たない
ように小型化するとともに、内部のカメラ部、チルト機
構部およびパン機構部を防塵用のドームカバーで覆った
監視カメラが提供されている。

【０００３】図３はこのような従来のドーム型監視カメ
ラを示している。図３において、１は監視カメラのカメ
ラ本体部であり、２は取付金具、３は透明なドームカバ
ーである。４はドームカバー３の内側に配置された不透
明または半透明のインナーカバーであり、５はインナー
カバー４の開口部４ａから覗くカメラレンズである。６
はカメラ本体部１のカメラ部、チルト機構部およびパン
機構部に電力を供給するための電源コード、７はカメラ
本体部１のカメラ部からの映像信号の出力および制御信
号の授受を行うための同軸ケーブルである。このような
監視カメラにおけるドームカバー３は、アクリル樹脂等
により射出成形により形成されるが、カメラ部で撮影す
る必要上、その表面が滑らかで肉厚が均一であること、
およびカメラレンズ５をチルト機構部により垂直方向に
９０度、およびパン機構部により水平方向に３６０度回
転させる必要から、完全に近い半球面を有することが要
件となる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなドームカバーを成形するための金型は、最先端の
技術を使用しても、装置の誤差等によりわずかな凹凸が
あったり、スプルーの位置により湯の流れが不均一にな
ったりして、成形されたドームカバーに歪みを生じさせ
ることがある。ドームカバーに歪みがあると、その部分
を通ってカメラに入射した光が屈折して、撮影した映像
が歪んでしまうことになる。そこで、従来においても、
成形されたドームカバーをレンズを通して拡大して検査
することにより、歪みの箇所を検査していたが、歪みが
発見されても、レンズを通して検査するためその位置が
金型のどの位置に相当するかを具体的、かつ正確に把握
することが困難なため、金型の修正に手間がかかってい
た。

【０００５】本発明は、このような従来の課題を解決す
るものであり、１８０度半球面を有するドーム状樹脂成
形品の品質を的確、かつ正確に把握することのできるド
ーム状樹脂成形品の検査方法およびその装置を提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、ドーム状樹脂成形品を、その半球面の中
心を通る垂直軸および水平軸の回りに順次回転させなが
ら、レーザビームをその半球面の中心に向けて照射し、
半球面を透過したレーザビームをスクリーンで受光し
て、受光点の変移を検出することにより成形品の品質を
検査するようにしたものである。直進性が優れ、細い光
束が得られるレーザビームを使用するため、成形品に歪
みや肉厚の変化があれば、レーザビームは一点に収束す
ることなく振れることになる。そして、半球面の回転に
同期させてスクリーンを移動させたり、ＣＣＤ装置で受
光することにより、歪みや肉厚が変化する位置を特定す
ることができ、その位置に相当する金型の面の修正を的
確、かつ正確に行うことができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、１８０度の半球面を有する透明なドーム状樹脂成形
品を、その半球面の中心を通る垂直軸および水平軸の回
りに順次回転させながら、レーザビームを前記半球面の
中心に向けて照射し、前記半球面を透過したレーザビー
ムをスクリーンで受光して、受光点の変移を検出するこ
とにより成形品の品質を検査するドーム状樹脂成形品の
品質検査方法であり、ドーム状樹脂成形品の品質を的
確、かつ正確に把握できるという作用を有する。

【０００８】本発明の請求項２に記載の発明は、ドーム
状樹脂成形品の回転に同期させてスクリーンを移動させ
ることを特徴とする請求項１記載のドーム状樹脂成形品
の品質検査方法であり、スクリーン上のレーザビームの
受光点の変移を目視により判定して、異常があった場合
にはその時のドーム状樹脂成形品の検査位置を特定する
ことにより、ドーム状樹脂成形品の不良箇所を的確、か
つ正確に把握できるという作用を有する。

【０００９】本発明の請求項３に記載の発明は、スクリ
ーンがＣＣＤ装置であり、ドーム状樹脂成形品の回転に
同期させてＣＣＤ上のレーザビームの受光点の時間的変
化を検出することを特徴とする請求項１記載のドーム状
樹脂成形品の品質検査方法であり、ＣＣＤの出力から自
動的に不良箇所を判定して、その時のドーム状樹脂成形
品の不良箇所を的確、かつ正確に把握できるという作用
を有する。

【００１０】本発明の請求項４に記載の発明は、１８０
度の半球面を有する透明なドーム状樹脂成形品をその半
球面の中心を通る水平軸で回転可能に支持するフレーム
と前記フレームを垂直軸を介して回転可能に支持するフ
レーム台とを備えた検査台と、前記検査台の水平軸およ
び垂直軸をそれぞれ回動させる手段と、レーザビームを
前記ドーム状樹脂成形品の半球面の中心に向けて照射す
る手段と、前記半球面を透過したレーザビームを受光す
るスクリーンと、前記スクリーンを前記検査台の回転に
同期させて移動させる手段と、前記検査台の回転位置を
検出する手段とを備えたドーム状樹脂成形品の品質検査
装置であり、スクリーン上のレーザビームの受光点の変
移を目視により判定して、異常があった場合にはその時
のドーム状樹脂成形品の回転位置を検出することによ
り、ドーム状樹脂成形品の不良箇所を的確、かつ正確に
把握できるという作用を有する。

【００１１】本発明の請求項５に記載の発明は、スクリ
ーンがＣＣＤ装置であり、ＣＣＤ装置の出力が一定値以
下の場合に、その時のドーム状樹脂成形品の回転位置を
検出する手段を備えた請求項４記載のドーム状樹脂成形
品の品質検査装置であり、ＣＣＤの出力から自動的に不
良箇所を判定して、その時のドーム状樹脂成形品の回転
位置を検出することにより、ドーム状樹脂成形品の不良
箇所を的確、かつ正確に把握できるという作用を有す
る。

【００１２】（実施の形態１）図１は本発明の実施の形
態１におけるドーム状樹脂成形品検査装置の概略構成を
示している。図１において、１１は１８０度の半球面を
有する透明なドーム状樹脂成形品であり、１２は成形品
１１をその半球面の中心を通る水平軸１３で回転可能に
支持するフレーム、１４はフレーム１２を垂直軸１５を
介して回転可能に支持するフレーム台、１６は水平軸１
３を回転駆動するＸ軸モータ、１７はＸ軸モータ１６に
設けられて回転角度を検出するロータリエンコーダ、１
８は垂直軸１５を回転駆動するＹ軸モータ、１９はＹ軸
モータ１８に設けられて回転角度を検出するロータリエ
ンコーダであり、これらにより検査台２０を構成してい
る。２１はレーザビームを出射するレーザ装置、２２は
レーザ装置２１を支持する支持台である。２３は平板な
スクリーンであり、２４はスクリーン２３を固定支持す
る直動案内、２５は直動案内２４を駆動するモータ、２
６はモータ２５に設けられて回転角度を検出するロータ
リエンコーダである。

【００１３】ドーム状樹脂成形品１１は、その半球部分
の中心を水平軸１３および垂直軸１５が通るように、水
平軸１３に垂直に支持される。この状態から、成形品１
１をＹ軸モータ１８により一旦９０度左方向に回転さ
せ、その位置を走査開始位置とし、レーザ装置２１から
レーザビームを照射しながら右方向に１８０度回転させ
る。成形品１１を透過したレーザビームは、スクリーン
２３に投影される。スクリーン２３は、モータ２５およ
びロータリエンコーダ２６により、Ｙ軸モータ１８の回
転に同期して移動するので、成形品１１を透過したレー
ザビームのスクリーン２３上の受光点は、線状の軌跡を
描くことになる。そして、成形品１１に歪み等がある場
合には、成形品１１を透過したレーザビームが直進せず
に屈折してスクリーン２３上の受光点が変移するので、
成形品１１に歪み等があることが分かり、その時の成形
品１１の回転位置をＹ軸モータ１８に取り付けられたロ
ータリエンコーダ１９からの信号により読み取る。成形
品１１が垂直軸１５を中心に１８０度回転して走査が終
了すると、Ｙ軸モータ１８が１８０度逆転して最初の走
査開始位置に戻る。そして、今度はＸ軸モータ１６によ
り成形品１１をレーザビームの直径分だけ回転させてか
ら、同様にして１８０度正転させて走査し、同様にスク
リーン２３上の受光点の変移を観察する。Ｘ軸モータ１
６により９０度の範囲を走査したら、今度は反対側の９
０度の範囲を同様にして検査する。なお、スクリーン２
３は上下方向に移動させてもよい。

【００１４】図２は上記装置の制御系の概略構成を示し
ている。図２において、３１は上記Ｘ軸モータ１６に相
当する検査台Ｘ軸モータ、３２は上記Ｙ軸モータ１８に
相当する検査台Ｙ軸モータ、３３は上記モータ２５に相
当するスクリーンモータ、３４、３５、３６は上記ロー
タリエンコーダ１７、１９、２６に相当する位置検出
部、３７、３８、３９はそれぞれのモータを駆動制御す
るモータ制御部、４０は各位置検出部３４、３５、３６
からの信号を基に各モータ制御部３７、３８、３９を制
御するＣＰＵ、４１は検査データや検査結果を表示する
表示部、４２は操作の指示を入力する操作部、４３はレ
ーザ制御部である。

【００１５】検査台に検査対象となるドーム状樹脂成形
品を固定し、検査台Ｘ軸モータ３１により走査開始位置
から水平方向に走査し、走査終了位置から再び走査開始
位置に戻り、次いで検査台Ｙ軸モータ３２により垂直方
向に位置をずらして走査を繰り返す。この一連の動作
を、ＣＰＵ４０がすべて制御する。そして、成形品に歪
み等が検出された場合には、ＣＰＵ４０は、その時の成
形品の検査位置を位置検出部３４、３５から得て、表示
部４１に表示する。なお、検査位置の表示は角度でも座
標でもよい。

【００１６】（実施の形態２）本実施の形態２では、ス
クリーンをＣＣＤ装置とすることにより、スクリーン上
のレーザビームの受光点の変移を自動的に検出するよう
にしたものである。検査装置は、図１および図２とほぼ
同様な構成を有する。レーザビームがＣＣＤ装置に受光
されると、光電作用により電流が発生し、受光した光の
強さに応じて電圧が変化する。したがって、成形品に歪
みがなく直進したレーザビームを受光した場合と、成形
品に歪みがあって屈折したレーザビームを受光した場合
とでは受光量が異なるので、その受光量の変化により歪
みの有無を判定する。受光量すなわちＣＣＤ装置の出力
が一定のしきい値以下の場合には、その信号からＣＰＵ
がその時における成形品の検査位置を割り出し、表示部
に表示する。なお、ＣＣＤ装置からの信号基づいて、レ
ーザビームの軌跡を陰極線管等に表示するようにしても
よい。

【００１７】

【発明の効果】本発明は、上記実施の形態から明らかな
ように、１８０度の半球面を有する透明なドーム状樹脂
成形品を、その半球面の中心を通る垂直軸および水平軸
の回りに順次回転させながら、レーザビームをその半球
面の中心に向けて照射し、半球面を透過したレーザビー
ムをスクリーンで受光して、受光点の変移を検出するこ
とにより成形品の品質を検査するようにしたので、歪み
や肉厚が変化する位置を容易に検出することができ、そ
の位置に相当する金型の面の修正を的確、かつ正確に行
うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態におけるドーム状樹脂成形
品検査装置の概略構成を示す斜視図

【図２】同装置における制御系の概略構成を示すブロッ
ク図

【図３】ドームカバーを有する監視カメラの例を示す斜
視図

【符号の説明】

１１ ドーム状樹脂成形品 １２ フレーム １３ 水平軸 １４ フレーム台 １５ 垂直軸 １６ Ｘ軸モータ １７ ロータリエンコーダ １８ Ｙ軸モータ １９ ロータリエンコーダ ２０ 検査台 ２１ レーザ装置 ２２ 支持台 ２３ スクリーン ２４ 直動案内 ２５ モータ ２６ ロータリエンコーダ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2F065 AA00 AA30 BB05 BB07 BB22 CC21 FF00 FF66 GG04 HH04 HH15 JJ03 JJ14 JJ26 MM04 MM22 MM23 PP01 PP13 QQ25 QQ28 RR08 SS01 SS04 SS13 2G051 AA90 AB20 BA10 CA03 CA04 CB02 CC20 DA08 EB01 EB02 2G086 EE12 FF01

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 １８０度の半球面を有する透明なドーム
   状樹脂成形品を、その半球面の中心を通る垂直軸および
   水平軸の回りに順次回転させながら、レーザビームを前
   記半球面の中心に向けて照射し、前記半球面を透過した
   レーザビームをスクリーンで受光して、受光点の変移を
   検出することにより成形品の品質を検査するドーム状樹
   脂成形品の品質検査方法。
2. 【請求項２】 ドーム状樹脂成形品の回転に同期させて
   スクリーンを移動させることを特徴とする請求項１記載
   のドーム状樹脂成形品用の品質検査方法。
3. 【請求項３】 スクリーンがＣＣＤ装置であり、ドーム
   状樹脂成形品の回転に同期させてＣＣＤ上のレーザビー
   ムの受光点の時間的変化を検出することを特徴とする請
   求項１記載のドーム状樹脂成形品用の品質検査方法。
4. 【請求項４】 １８０度の半球面を有する透明なドーム
   状樹脂成形品をその半球面の中心を通る水平軸で回転可
   能に支持するフレームと前記フレームを垂直軸を介して
   回転可能に支持するフレーム台とを備えた検査台と、前
   記検査台の水平軸および垂直軸をそれぞれ回動させる手
   段と、レーザビームを前記ドーム状樹脂成形品の半球面
   の中心に向けて照射する手段と、前記半球面を透過した
   レーザビームを受光するスクリーンと、前記スクリーン
   を前記検査台の回転に同期させて移動させる手段と、前
   記検査台の回転位置を検出する手段とを備えたドーム状
   樹脂成形品の品質検査装置。
5. 【請求項５】 スクリーンがＣＣＤ装置であり、ＣＣＤ
   装置の出力が一定値以下の場合に、その時のドーム状樹
   脂成形品の回転位置を検出する手段を備えた請求項４記
   載のドーム状樹脂成形品の品質検査装置。