JP2000001618A - 過電流保護素子用ポリマーptc組成物 - Google Patents

過電流保護素子用ポリマーptc組成物

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JP2000001618A
JP2000001618A JP16662498A JP16662498A JP2000001618A JP 2000001618 A JP2000001618 A JP 2000001618A JP 16662498 A JP16662498 A JP 16662498A JP 16662498 A JP16662498 A JP 16662498A JP 2000001618 A JP2000001618 A JP 2000001618A
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Japan
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resin
coupling agent
overcurrent protection
fine powder
polymer ptc
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JP16662498A
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English (en)
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Hiroshi Hasegawa
洋 長谷川
Koichi Morimoto
光一 森本
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で大電流用途に使用可能な信頼性の高い
過電流保護素子用ポリマーPTC組成物を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 結合用の樹脂と相互作用を有するように
表面処理された導電性非酸化物微粉末を結合用の樹脂中
に分散させたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特定の温度領域で抵
抗値が急激に上昇して電気回路の電流を制限するPTC
素子に関するものであり、特に樹脂中に導電性粉末を分
散させて製造する過電流保護素子用ポリマーPTC組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下、従来の過電流保護素子用ポリマー
PTC組成物について説明する。従来の過電流保護素子
用ポリマーPTC組成物は、例えば特公平1−3322
号公報に示されているように、加熱ロールまたは加熱ニ
ーダ等の混練機を用いてポリエチレンなどの結合用の結
晶性樹脂中にカーボンブラックを分散させて製造してい
た。すなわち、従来の過電流保護素子用ポリマーPTC
組成物は結晶性樹脂とカーボンブラックとを主たる材料
として使用してきた。
【0003】さらに特開平2−86087号公報に示さ
れているように、過電流保護素子用ポリマーPTC組成
物の体積固有抵抗値を下げる目的でカーボンブラックに
代えて炭化チタン等の非酸化物系導電性セラミックスを
導電性材料として使用した組成物も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の過電流保護素子
用ポリマーPTC組成物において、カーボンブラックを
分散させたものは体積固有抵抗値が高いため小型で大電
流を対象とした過電流保護素子には使用できなかった。
一方、非酸化物系導電性セラミックスを使用した過電流
保護素子用ポリマーPTC組成物は体積固有抵抗値が低
いため、最初は大電流を流せるものの、過電流保護動作
に伴う昇温、降温が繰り返し行われた場合、過電流保護
素子の抵抗値が徐々に上昇して初期の抵抗値に復帰しな
いため、信頼性に劣るという課題を有していた。
【0005】本発明は上記課題を解決するもので、小型
で大電流用途に使用可能な信頼性の高い過電流保護素子
用ポリマーPTC組成物を提供することを目的とするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の過電流保護素子用ポリマーPTC組成物
は、結合用の樹脂と相互作用を有するように表面処理さ
れた導電性非酸化物微粉末を結合用の樹脂中に分散させ
たもので、この構成によれば、小型で大電流用途に使用
可能な信頼性の高い過電流保護素子用ポリマーPTC組
成物が得られるものである。
【0007】また、上記目的を達成するために、本発明
の過電流保護素子用ポリマーPTC組成物は、結合用の
樹脂と相互作用を有するように表面処理された導電性非
酸化物微粉末とカーボンブラックとを結合用の樹脂中に
分散させ、かつカーボンブラックの配合比率を、カーボ
ンブラックと結合用の樹脂との合計量の40重量%以下
としたもので、この構成によれば、さらに小型で大電流
用途に使用可能な信頼性の高い過電流保護素子用ポリマ
ーPTC組成物が得られるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、結合用の樹脂と相互作用を有するように表面処理さ
れた導電性非酸化物微粉末を結合用の樹脂中に分散させ
たもので、この構成によれば、導電性非酸化物微粉末の
存在による低抵抗性を維持しながら、導電性非酸化物微
粉末と結合用の樹脂とが化学結合などにより強固に相互
作用を及ぼすため、過電流保護素子の昇温、降温が繰り
返し行われることによる体積変化に伴うストレスが生じ
ても、導電性非酸化物微粉末の表面と結合用の樹脂との
界面でのはがれが抑制されるため、多数回の繰り返し使
用に際しても抵抗値変化の少ない、安定した信頼性の高
い過電流保護素子用ポリマーPTC組成物が得られるも
のである。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において結合用の樹脂として結晶性樹脂を用いた
もので、この構成によれば、結晶性樹脂が温度の上昇に
伴って急激に融解するため、急峻なPTC特性、すなわ
ち狭い温度領域で急激に電流を遮断することができる性
能の優れた過電流保護素子用ポリマーPTC組成物を提
供できるという作用を有するものである。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において導電性非酸化物微粉末の表面処理をシラ
ンカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウ
ムカップリング剤、有機酸、トリアジン誘導体から選ば
れた少なくとも1種により行うようにしたもので、この
構成によれば、導電性非酸化物微粉末と結合用の樹脂と
が化学結合などにより強固に相互作用を及ぼすため、過
電流保護素子の昇温、降温が繰り返し行われることによ
る体積変化に伴うストレスが生じても、導電性非酸化物
微粉末の表面と結合用の樹脂との界面でのはがれが抑制
されるため、多数回の繰り返し使用に際しても抵抗値変
化の少ない、安定した信頼性の高い過電流保護素子用ポ
リマーPTC組成物を提供できるという作用を有するも
のである。
【0011】請求項4に記載の発明は、結合用の樹脂と
相互作用を有するように表面処理された導電性非酸化物
微粉末とカーボンブラックとを結合用の樹脂中に分散さ
せ、かつカーボンブラックの配合比率を、カーボンブラ
ックと結合用の樹脂との合計量の40重量%以下とした
もので、この構成によれば、導電性非酸化物微粉末同士
の接触経路に加えて結合用の樹脂中のカーボンブラック
が導電性寄与するため、過電流保護素子用ポリマーPT
C組成物の体積固有抵抗値がさらに低くなり、これによ
り、さらに小型で大電流用途に使用可能な信頼性の高い
過電流保護素子用ポリマーPTC組成物が得られるだけ
でなく、多数回の繰り返し使用に際しても抵抗値変化の
さらに少ない、安定した信頼性の高い過電流保護素子用
ポリマーPTC組成物を提供できるという作用を有する
ものである。
【0012】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において結合用の樹脂として結晶性樹脂を用いた
もので、この構成によれば、結晶性樹脂が温度の上昇に
伴って急激に融解するため、低抵抗でありながら急峻な
PTC特性を有する過電流保護素子用ポリマーPTC組
成物を提供できるという作用を有するものである。
【0013】請求項6に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において導電性非酸化物微粉末の表面処理をシラ
ンカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウ
ムカップリング剤、有機酸、トリアジン誘導体から選ば
れた少なくとも1種により行うようにしたもので、この
構成によれば、導電性非酸化物微粉末と結合用の樹脂と
が化学結合などにより強固に相互作用を及ぼすため、過
電流保護素子の昇温、降温が繰り返し行われることによ
る体積変化に伴うストレスが生じても、導電性非酸化物
微粉末の表面と結合用の樹脂との界面でのはがれが抑制
されるため、多数回の繰り返し使用に際しても抵抗値変
化の少ない、安定した信頼性の高い過電流保護素子用ポ
リマーPTC組成物を提供できるという作用を有するも
のである。
【0014】(実施の形態1)以下、本発明の実施の形
態1について説明する。
【0015】本発明の過電流保護素子用ポリマーPTC
組成物の基本構成は結合用の樹脂と相互作用を有するよ
うに表面処理された導電性非酸化物微粉末を結合用の樹
脂中に分散させたものである。
【0016】上記結合用の樹脂としては、例えばポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエ
ステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化
ビニリデン等の従来から公知の結晶性樹脂材料が挙げら
れる。さらに近年開発されたアイソタクチックポリスチ
レン等の結晶性樹脂も使用可能である。さらに、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の非
結晶性樹脂も使用可能である。ただし、非結晶性樹脂の
場合は結晶性樹脂に比べてPTC特性、すなわち抵抗値
が急激に変化する割合が劣る場合がある。また、ポリエ
チレンなどの低融点の結晶性樹脂を使用する場合、過電
流保護素子の耐熱温度を上げるために、放射線、過酸化
物などを利用して架橋反応させることも公知である。こ
れらの樹脂材料は過電流保護素子の用途、使用温度に応
じて任意に選ぶことができる。
【0017】本発明に使用する導電性非酸化物微粉末の
例としては、クロム、チタン、ジルコニウム、ニオブ
等、金属の炭化物、ホウ化物、窒化物等が挙げられる。
これらの材料が高い導電性を有することは例えば日本化
学会発行の化学便覧に記載されているように公知であ
る。
【0018】本発明にかかる過電流保護素子用ポリマー
PTC組成物は上記公知物質の単なる組み合わせでは得
られない安定した復帰性の良好な、低抵抗の過電流保護
素子用ポリマーPTC組成物であり、その主たる要因は
上記導電性非酸化物微粉末の表面を特定の物質で表面処
理して結合用の樹脂と化学結合させ、または相互作用を
行わせるようにしたところにある。
【0019】本発明に使用される表面処理材料は、導電
性非酸化物微粉末と結合用の樹脂とを化学結合させ、ま
たは相互作用を行わせるために結合用の樹脂に合わせて
適宜選択しうるものであるが、一般的にはシランカップ
リング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップ
リング剤、有機酸、トリアジン誘導体から選ばれた少な
くとも1種を単独で、または必要に応じ2種以上を使用
する。
【0020】ここに述べるシランカップリング剤とは
(化1)に示す構造を有するものであり、市販品として
入手することができる。
【0021】
【化1】
【0022】結合用の樹脂としてポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィンを使用する場合は、R2
炭素数の多い、例えば炭素数6以上のアルキル基を有す
るシランカップリング剤あるいは、官能基であるチオー
ル基を末端または側鎖に有するシランカップリング剤を
使用することがより好ましい。
【0023】表面処理剤としてR2に炭素数6以上のア
ルキル基を有するシランカップリング剤を使用した場合
は、シランカップリング剤のアルキル基とポリオレフィ
ンの分子とが相互に絡み合って導電性非酸化物微粉末の
表面と結合用の樹脂との間に強固な結合力が生じるもの
で、この結果として抵抗値復帰性が改善されるものと推
定される。さらに、過電流保護素子の製造に際して一般
的に行われている電子線照射または過酸化物を使用した
化学架橋反応に際しても、シランカップリング剤のアル
キル基と結合用の樹脂との間に化学結合が生じて導電性
非酸化物微粉末の表面と結合用の樹脂との間にはさらに
強固な結合力が生じるため、抵抗値復帰性の改良に寄与
するものである。
【0024】官能基としてチオール基を有するシランカ
ップリング剤を使用する場合の反応機構は不明である
が、ポリオレフィン樹脂を結合用の樹脂とする過電流保
護素子において導電性非酸化物微粉末の表面処理剤とし
てチオール基を有するシランカップリング剤を使用した
場合は、下記の実施例に見られるように抵抗値復帰性の
改良効果が大きいものである。
【0025】この場合は、ゴム製造における硫黄加硫に
類似した反応機構が推定される。同様に、結合用の樹脂
としてフッ素系樹脂を使用する場合は、表面処理剤とし
ては、上記R2にフロロカーボン構造を有するシランカ
ップリング剤が有効である。
【0026】さらに、結合用の樹脂としてエポキシ樹脂
を使用する場合は、R2に官能基であるオキソラン環
(グリシジル基)やアミノ基を末端に有するシランカッ
プリング剤が有効である。これらの官能基は樹脂や硬化
剤と反応して結合用の樹脂と導電性非酸化物微粉末とを
強固に結合させるものである。
【0027】他の表面処理剤としてはチタネート系カッ
プリング剤やアルミニウムキレート系のカップリング剤
も使用可能であるが、シランカップリング剤に比べて市
販品の種類が少ないため、樹脂の選択範囲は狭いものと
なる。これらの場合も、カップリング剤の官能基ないし
化学構造はシランカップリング剤の場合と同様に、結合
用の樹脂と相互作用を行いうるものを選ぶことが必要で
ある。
【0028】さらに他の表面処理剤としては有機酸とト
リアジン誘導体がある。結合用の樹脂としてポリオレフ
ィンを使用する場合は、有機酸の中でも、特に長鎖の飽
和、不飽和脂肪酸が好ましい。これらの脂肪酸はカルボ
キシル基の部分が導電性非酸化物微粉末の表面に吸着
し、かつ長鎖の炭化水素が結合用の樹脂と相互作用を有
する。トリアジン誘導体は導電性非酸化物微粉末の表面
に吸着するとともに、誘導体の各種官能基が結合用の樹
脂と反応または相互作用をする。
【0029】上記表面処理剤による導電性非酸化物微粉
末の表面処理はスーパーミキサーなどの高速混合機によ
るドライブレンド法や、溶媒に処理剤を溶解した湿式混
合により行われるが、特にシランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤などの場合は単に表面処理剤を粉体表
面に吸着するだけでは効果が少なく、熱処理により粉体
表面と表面処理剤とを化学結合させることが望ましい。
【0030】上記熱処理の温度は表面処理剤の化学構造
によっても変化するが、一般的には空気中で70℃ない
し180℃である。処理温度が70℃以下では反応が遅
いかまたは起こりにくく、180℃以上では酸化により
表面処理剤が劣化して機能を果たさなくなるおそれがあ
る。特に炭素数の多い炭化水素を含むシランカップリン
グ剤の場合は空気中の処理の上限温度は120℃程度で
ある。フロロカーボン構造を有するシランカップリング
剤の場合は180℃程度の加熱も可能である。
【0031】上記のようにして表面処理された導電性非
酸化物微粉末を加熱ロール、ニーダ等の従来公知の手段
で結合用の樹脂中に分散させることにより、従来では得
られなかった抵抗変化率の少ない低抵抗の過電流保護素
子用ポリマーPTC組成物が製造されるものである。
【0032】(実施の形態2)本発明の過電流保護素子
用ポリマーPTC組成物のさらにもう一つの基本構成
は、結合用の樹脂と相互作用を有するように表面処理さ
れた導電性非酸化物微粉末とカーボンブラックとを結合
用の樹脂中に分散させたものである。
【0033】上記実施の形態1で説明したように表面処
理された導電性非酸化物微粉末を結合用の樹脂中に分散
させることにより、従来では得られなかったような抵抗
値変化率の少ない低抵抗の過電流保護素子用ポリマーP
TC組成物が製造されるものであるが、さらに上記組成
中に適当量のカーボンブラックを添加することにより更
に低抵抗で抵抗値の復帰性も良好な過電流保護素子用ポ
リマーPTC組成物が製造されるものである。
【0034】すなわち、結合用の樹脂、表面処理された
導電性非酸化物微粉末およびカーボンブラックからなる
基本的な組み合わせにおいて、カーボンブラックの配合
比率が、カーボンブラックと結合用の樹脂との合計量の
40重量%以下であれば、さらに低抵抗で、繰り返しの
昇温降温試験後においても初期抵抗に対する抵抗変化の
少ない過電流保護素子用ポリマーPTC組成物が製造す
ることができるものである。
【0035】上記配合比率が40重量%を超えると、過
電流保護素子用ポリマーPTC組成物の体積固有抵抗値
が上昇して、カーボンブラックを結合用の樹脂中に単独
で配合した場合と大差がなくなるだけでなく、大量の粉
体を組成物中に混入する困難さが生じるため、導電性非
酸化物微粉末を混入して抵抗値を低下させる意味がなく
なるものである。
【0036】以下、具体的な実施例について説明する。 (実施例1)導電性炭化チタン粉末(平均粒径1μm)
100gをヘキサデシルトリメトキシシラン(炭化水素
の炭素数16、以下HDと称す)の1%エタノール溶液
100ml中に分散し、超音波処理した後、上澄み液を
デカンテーションで除き、100℃で熱処理して表面処
理炭化チタン粉末を製造した。引続き、上記表面処理炭
化チタン粉末60.0gを12.0gの高密度ポリエチ
レンと2本ロールミルを用いて、160℃で混練し、切
り出してPTCシートを製造した。そしてこのPTCシ
ートをニッケル箔で挟んで加熱プレスし、電子線照射し
て測定試料を作成した。
【0037】ここに得られたシートの体積固有抵抗値は
0.083Ω・cmであり、135℃に加熱することに
よって、初期抵抗値に比べて5桁以上の抵抗値上昇を示
した。ここに得られた体積固有抵抗値は従来のカーボン
ブラックを分散した同種材料の0.5Ω・cm程度に比
べて著しく低いものであった。本測定試験から3mm角
の試料を打ち抜き、比較のため上記表面処理をしない導
電性炭化チタン粉末を用いて同じ操作で製造した測定試
料について25℃⇔135℃の昇温降温試験を繰り返し
行った。その結果を(表1)に示す。なお、試験値はサ
ンプル10ヶの平均値である。
【0038】
【表1】
【0039】(表1)から本実施例の試料は、表面処理
を行わないで製造した試料(比較例)に比べて初期の抵
抗は高いものの、試験において抵抗変化率の少ない安定
したものであることがわかる。
【0040】本実施例においてヘキサデシルトリメトキ
シシランに代えて表面処理剤中の炭化水素の炭素数を変
化させて表面処理の効果を調べたところ、(表2)に示
すように炭素数6以上で抵抗値の変化が少なく、効果が
大きいことが確認された。
【0041】
【表2】
【0042】(実施例2)実施例1と同様の操作で導電
性炭化チタン粉末(平均粒径1μm)をHD、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン(以下SHと称す)
およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(以下MOと称す)でそれぞれ表面処理した。引続き、
上記表面処理炭化チタン粉末60.0gを高密度ポリエ
チレン10.0gおよび1.2gのカーボンブラックと
2本ロールミルを用いて、160℃で混練し、この混練
の最後に0.05gのジクミルパーオキサイドを添加し
て再度混練した後、切り出してPTCシートを製造し
た。そしてこのPTCシートをニッケル箔で挟んで18
5℃30分加熱プレスして測定試料を作成した。
【0043】ここに得られたシートの体積固有抵抗値は
それぞれ0.058Ω・cm、0.052Ω・cmおよ
び0.048Ω・cmであり、そして135℃に加熱す
ることによって、初期抵抗値に比べて5桁以上の抵抗値
上昇を示した。本測定試料から3mm角の試料を打ち抜
き25℃⇔135℃の昇温降温試験を繰り返し行った。
その結果を(表3)に示す。なお、試験値はサンプル1
0ヶの平均値である。
【0044】
【表3】
【0045】(表3)と(表1)との比較から、本実施
例にかかるカーボンを混合した試料は初期抵抗が低く、
かつ試験における低抵抗変化が小さいものであることが
わかる。
【0046】(実施例3)実施例3は、実施例2におけ
るHD処理した導電性炭化チタン粉末の配合量を組成物
全体量に対し50重量%に固定し、カーボンブラックの
配合量を変化させた場合の実施例を示したもので、その
試験結果を図1に示す。
【0047】図1から明らかなように、カーボンブラッ
クの配合量が、カーボンブラックと結合用の樹脂との合
計量の40重量%以下であれば、カーボンブラックを単
独で結合用の樹脂中に分散させた場合よりも低い体積固
有抵抗値が得られることがわかった。また、この組成範
囲では、過電流保護素子用ポリマーPTC組成物は全て
135℃の加熱で抵抗値が5桁以上上昇して良好なPT
C特性を示し、かつ抵抗値の復帰性も良好であった。
【0048】(実施例4)導電性炭化チタン粉末(平均
粒径1μm)を実施例1と同様にγ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシランで表面処理した後、これに、テ
トラフルフリルアクリレート/グリシジルメタクリレー
ト共重合体(グリシジルメタクリレート含有率5重量
%)溶液と、硬化剤であるオクタメチレンジアミンを添
加した。この添加量は上記共重合体溶液の固形分に対し
10%とした。その後、3本ロールミルで混練してPT
C組成物ペーストを製造した。上記組成物中の表面処理
導電性炭化チタン粉末の量は83.0重量%とした。
【0049】そしてこのPTC組成物ペーストを、アル
ミナ基板上に高温焼成型銀ペーストを塗布して800℃
で焼成することにより製造した電極上に塗布し、200
℃で15分間硬化させて厚さ100μmのPTC層を形
成した。さらに、上記PTC層上に、上記共重合体をバ
インダ樹脂とし、かつ燐片状銀粉と、樹脂状銀粉とをそ
れぞれ重量で40%ずつ添加し、さらに硬化剤としてジ
アミノジフェニルメタンを添加して製造した銀ペースト
を塗布し、200℃で15分硬化させてサンドイッチ型
の過電流保護素子を製造した。
【0050】本実施例4の過電流保護素子は体積固有抵
抗値が0.13Ω・cmで、75℃付近から抵抗値の増
加が始まり、100℃で2桁、150℃で3.5桁の抵
抗値上昇が得られた。150℃から室温まで低下させた
ところ、10%以下の抵抗値変化であった。
【0051】(実施例5)実施例5は、実施例1におけ
るHDに代えて、オレイン酸を使用したものである。本
実施例5においては80℃で溶剤の乾燥のみを行った。
本実施例5の過電流保護素子は体積固有抵抗値が0.1
1Ω・cmであり、135℃に加熱することによって、
初期抵抗値に比べて5桁以上の抵抗値上昇を示し、良好
な抵抗値復帰性が得られた。
【0052】なお、上記実施例においては主としてシラ
ンカップリング剤と有機酸について述べてきたが、これ
以外のチタンカップリング剤、アルミニウムカップリン
グ剤、トリアジン誘導体においても実施例と同様の効果
が得られるものである。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明の過電流保護素子用
ポリマーPTC組成物は、結合用の樹脂と相互作用を有
するように表面処理された導電性非酸化物微粉末を結合
用の樹脂中に分散させたもので、この構成によれば、導
電性非酸化物微粉末の存在による低抵抗性を維持しなが
ら、導電性非酸化物微粉末と結合用の樹脂とが化学結合
などにより強固に相互作用を及ぼすため、過電流保護微
粉末と結合用の樹脂とが化学結合などにより強固に相互
作用を及ぼすため、過電流保護素子の昇温、降温が繰り
返し行われることによる体積変化に伴いストレスが生じ
ても、導電性非酸化物微粉末の表面と結合用の樹脂との
界面でのはがれが抑制されるため、多数回の繰り返し使
用に際しても抵抗値変化の少ない、安定した信頼性の高
い過電流保護素子用ポリマーPTC組成物が得られるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例3における過電流保護素子用ポ
リマーPTC組成物のカーボンブラック配合量と体積固
有抵抗値の関係を示す特性図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 3/14 H05B 3/14 A Fターム(参考) 3K092 PP20 QB14 QB17 UA06 VV04 VV30 VV40 4J002 BB031 BB121 BB171 BC031 BD141 BG031 BG041 BG051 CD001 CF001 CF211 CN021 DA037 DB016 DF016 DK006 FB086 FB096 FB116 FB126 FB136 FB146 FB166 FB236 GQ00 4J037 AA04 AA08 CA02 CB09 CB19 CB23 CB26 CC12 CC13 CC14 CC16 CC23 CC24 CC30 DD13 EE02 EE28 FF11 5E034 AA07 AB01 AC10 DA02 DE01 DE20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合用の樹脂と相互作用を有するように
    表面処理された導電性非酸化物微粉末を結合用の樹脂中
    に分散させた過電流保護素子用ポリマーPTC組成物。
  2. 【請求項2】 結合用の樹脂として結晶性樹脂を用いた
    請求項1記載の過電流保護素子用ポリマーPTC組成
    物。
  3. 【請求項3】 導電性非酸化物微粉末の表面処理をシラ
    ンカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウ
    ムカップリング剤、有機酸、トリアジン誘導体から選ば
    れた少なくとも1種により行うようにした請求項1記載
    の過電流保護素子用ポリマーPTC組成物。
  4. 【請求項4】 結合用の樹脂と相互作用を有するように
    表面処理された導電性非酸化物微粉末とカーボンブラッ
    クとを結合用の樹脂中に分散させ、かつカーボンブラッ
    クの配合比率を、カーボンブラックと結合用の樹脂との
    合計量の40重量%以下とした過電流保護素子用ポリマ
    ーPTC組成物。
  5. 【請求項5】 結合用の樹脂として結晶性樹脂を用いた
    請求項4記載の過電流保護素子用ポリマーPTC組成
    物。
  6. 【請求項6】 導電性非酸化物微粉末の表面処理をシラ
    ンカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウ
    ムカップリング剤、有機酸、トリアジン誘導体から選ば
    れた少なくとも1種により行うようにした請求項4記載
    の過電流保護素子用ポリマーPTC組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002035557A1 (fr) * 2000-10-26 2002-05-02 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Polymère électro-conducteur, élément de protection anti-surintensité et procédés de production correspondants
US6778062B2 (en) 2001-11-15 2004-08-17 Tdk Corporation Organic PTC thermistor and making method
CN109836823A (zh) * 2019-02-25 2019-06-04 清华大学 一种绝缘材料温阻特性的调控方法

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