JP2000000963A - 印刷装置 - Google Patents

印刷装置

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JP2000000963A
JP2000000963A JP16874798A JP16874798A JP2000000963A JP 2000000963 A JP2000000963 A JP 2000000963A JP 16874798 A JP16874798 A JP 16874798A JP 16874798 A JP16874798 A JP 16874798A JP 2000000963 A JP2000000963 A JP 2000000963A
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head
nozzles
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Atsuyuki Ninomiya
敬幸 二宮
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘッドの組み立て時における高精度な位置調
整を必要とせず設計の裕度をもたせ、製造コストおよび
作業性に優れ、良質な画像を形成する。 【解決手段】 複数の印刷ヘッドの取り付け角度が、用
紙搬送方向Vに直交な直線に対してある一定以上の角度
θ1,θ2で取り付けられた場合、その取付け角度に応
じて、複数のヘッド間のヒートタイミングの調整、およ
び、1ヘッド内でのノズル数、セット数の調整を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のラインヘッ
ドを有する複写機、ワープロ、ファクシミリ等の印刷装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、複写機、ファクシミリなどの
機能を有する印刷装置、あるいは、コンピュータやワー
ドプロセッサーなどを含む複合電子機器や、ワークステ
ーションの出力機器として用いられる記録装置は、画像
情報に基づいて用紙やプラスチック薄板などの記憶媒体
に画像を記録していくように構成されている。このよう
な記録装置は、記録方式により、インクジェット方式、
ワイヤードット方式、サーマル方式、レーザー方式など
に分けることができる。
【0003】これらの各種方式の中で、インクジェット
方式の記録装置(インクジェット記録装置)は、記録手
段(記録ヘッド)から記録媒体にインクを吐出して記録
を行うものであり、以下の利点を有する。すなわち、記
録手段のコンパクト化が容易な点、高精彩な画像を高速
で記録することが可能な点、普通紙に特別な処理を必要
とせず記録をとることが可能な点、ランニングコストが
安い点、ノンインパクト方式であるため騒音が少ない
点、多色のインクを使用してカラー画像を記録するのが
容易な点等の利点を有する。特に、熱エネルギーを利用
してインクを吐出するインクジェット方式の記録手段
(記録ヘッド)はエッチング、蒸着、スパッタリングな
どの半導体製造プロセスにより、高密度の液路配置(吐
出口配置)を有するものを容易に製造することができ、
一層のコンパクト化を図ることができる。また、サーマ
ル方式の記録装置においても、インクジェット記録装置
と同様に、一層のコンパクト化を図ることが可能であ
る。
【0004】また、印刷装置を使用するホストコンピュ
ータの環境においても、アプリケーションソフトウェア
のカラー化対応が急速に進み、文書のカラー化、カラー
写真画像の印刷、カラーグラフィックの使用と印刷デー
タ量が増大し、印刷装置においても高速で多量の印刷が
可能な印刷装置が求められてきた。しかし、印刷装置の
場合は、ブラックの他に、イエロー、マゼンタ、シアン
のインクが必要になるため、カラー印刷を行うにはモノ
クロ印刷を行う場合の約4倍のデータが必要になること
が一般的である。
【0005】このような要求により、インクジェット記
録装置では、印刷を高速で行うための手段として、印刷
ヘッドを複数用意し、カラーデータの高速印刷に対応で
きる構成の印刷装置が開発されてきた。その代表的なイ
ンクジェット記録装置の印刷ヘッド部の構成例を、図1
7〜図19に示す。
【0006】図17は、印刷を高速に行うために、互い
に並列に配置された4色の印刷ヘッドを有するヘッドカ
ートリッジ1404である。インク液滴を吐出するノズ
ル1400〜1403は、ノズル列方向Hに対して全て
平行に配置されている。印刷時は、ヘッドカートリッジ
1404は、ノズル列方向Hに直交する方向Vに移動し
ながら、ノズル1400〜1403よりインク液滴を吐
出して画像を生成する。
【0007】インクカートリッジ1404は、大別する
と、図18に示すように、インクタンク部1406と、
インク液室1407と、ノズル部1409との3ブロッ
クに分けられる。インクはインクタンク1406内に充
填され、インクの吐出に伴いインク液室1407に移動
する。インク液室1407に移動したインクは、ヒータ
1408による発熱で発生する気泡により、ノズル14
09から吐出される。また、ヒータ1408は、電気的
な手段により短い時間の電圧パルスが印加され発熱する
が、多数のノズルを通電する場合は一般的に任意の小ブ
ロックに分割して通電を行う方法がとられている。これ
は、インク液室1407とインク吐出量との関係より、
同時吐出を行うとノズル周辺のインクリフィルが間に合
わず、不吐出になることを避けるためであり、安定した
インク吐出を得る手段である。また、印刷装置の電源容
量上も同時吐出を行うと、一時的に大電流がヘッドに流
れ、ヘッドに電源を供給する配線抵抗による電圧降下が
発生し、ヒータ1408に対してインク吐出に必要な電
圧が供給されないことが起きてくる。さらに、電源コス
ト上から見ても、瞬時に大電流を供給するよりも、低電
流で安定した電流を供給する電源の方が安価に製造可能
である。
【0008】以上の理由により、図17に示すような複
数のノズル1400〜1403を駆動する場合は、任意
の小ブロックに分割され駆動(分割駆動)される。イン
クリフィル時間を考えると、全ノズルを同時吐出するこ
とはノズル数が多くなるに従い不可能に近くなり、ノズ
ル内で最初に吐出するノズルと最後に吐出するノズルと
の間には、時間差が生じてくる。
【0009】このように1列に並んだノズル列を用い
て、移動しながら印刷用紙に連続的に用紙搬送方向に平
行な線分を描画するには、図19に示すように、その1
列をインク吐出するに必要な時間との間に、印刷ヘッド
が移動する距離分の傾きを有するノズル構成が必要があ
る。このノズル傾き角θは全て同じである必要がある。
【0010】何故なら、インクジェット印刷装置では、
イエロー、マゼンタ、シアンの2色のインクの混合によ
り生成するレッド、グリーン、ブルーは、上記3色のイ
ンクの打ち込み位置が一致していないと生成することは
できない。したがって、各ヘッドの基準となるノズルの
用紙搬送方向に直交な方向に対する位置合わせと、各ヘ
ッドのノズル列の傾き角θとを合わせるために、インク
カートリッジ1404の製造行程上、各々のヘッドは、
インクカートリッジ1404に取り付けられた状態で微
小な位置調整を行う必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インク
カートリッジ内の複数のヘッドの傾き角、基準ノズル位
置の平行性を製造行程で合わせ込むことは、非常に高度
な技術と時間とを必要とする。
【0012】ヘッドの位置調整はインクカートリッジ内
で合わせることになるが、位置合わせを行った後、ヘッ
ドをインクカートリッジに固定するための接着剤が凝固
するまでの間はヘッドを移動できない。一般的に、接着
剤は瞬間的に固まらないので、4個のヘッドの位置が完
成するまでには多くの時間を費やしてしまう。また、メ
カニカルな接続と固定では、部品精度や取り付け作業者
のばらつきが発生する。
【0013】このようなことから、従来の位置調整の手
法では、以下の(1)〜(3)に列挙するような製造上
の規制がある。
【0014】(1)各ヘッド毎の基準となるノズルを用
紙搬送方向に直交な直線上に整列させて固定する必要が
ある点。
【0015】(2)各ヘッドのノズル列を用紙搬送方向
と平行な直線に対し、任意の一定の角度をもって取り付
ける必要がある点。
【0016】(3)ヘッドの位置合わせを行い、ヘッド
を固定するためには、ヘッドを固定する接着剤の凝固時
間が必要になる点。又は、接着剤を使用しないメカニカ
ル接続の場合において、組み立て時の部材交差によるば
らつき、組み立て作業者の熟練度などを考慮したうえ
で、上記2点の位置精度を作り込まなければならない
点。
【0017】本発明の目的は、ヘッドの組み立て時にお
ける高精度な位置調整を必要とせず設計の裕度をもた
せ、製造コストおよび作業性に優れ、良質な画像を形成
する印刷装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、印刷媒体の搬
送方向に対して直交する方向に沿ってドット単位で印刷
を行う印刷装置であって、前記印刷媒体の搬送方向に対
して各々一定の取付け角度をもって配置され、複数のノ
ズルが直線上に形成された複数の印刷ヘッドと、前記複
数の印刷ヘッドの取付け角度を計測する計測手段と、前
記計測された取付け角度に応じて、前記各印刷ヘッドの
各ノズル位置に対応して印刷されるドットが同一位置に
重なるように、各印刷ヘッドのノズルを駆動するタイミ
ングを制御する第1制御手段と、前記各印刷ヘッド内で
の印刷開始ノズルと印刷終了ノズルとの間の前記搬送方
向に対して直交する方向への距離をXとし、前記印刷開
始ノズルの駆動時点から前記印刷終了ノズルの駆動時点
までの時間の間に前記印刷ヘッドの前記搬送方向への相
対的移動距離をYとし、Y/X≦tanθの条件で表わ
される取付け角度θを有するとき、前記印刷開始ノズル
から前記印刷終了ノズルまでの印刷周期T内のノズル数
と、当該印刷周期でノズル数を均等に分配したセット数
とを算出する第2制御手段とを具えることによって、印
刷装置を構成する。
【0019】ここで、前記第1制御手段は、前記複数の
印刷ヘッドの中から、印刷開始の基準となる基準ヘッド
を決定する決定手段と、前記基準ヘッドの印刷開始ノズ
ルの印刷開始時間から、当該基準ヘッド以外の各印刷ヘ
ッドの印刷開始ノズルの印刷開始時間までの遅延時間を
算出する算出手段とを具え、該算出された各遅延時間に
基づいて前記各印刷ヘッドの印刷開始ノズルから印刷を
開始することができる。
【0020】前記第1制御手段は、前記搬送方向に対し
て直交する方向へ印刷されるドットのラインと前記各印
刷ヘッドのラインとの交点を検出し、当該交点上、又
は、前記搬送方向に対して当該交点に最も近い位置のド
ットに対応した各印刷ヘッドのノズルを印刷開始ノズル
に決定する決定手段を具え、該決定された各印刷ヘッド
の印刷開始ノズルを各々基準として印刷を開始すること
ができる。
【0021】前記第2制御手段は、1個の印刷ヘッド内
に複数のセットが存在する場合、基準となるセットに対
して、他のセットの印刷開始ノズルを駆動する遅れ時間
を算出する手段を具えることができる。
【0022】また、本発明は、印刷媒体の搬送方向に対
して直交する方向に沿ってドット単位で印刷を行う印刷
方法であって、前記印刷媒体の搬送方向に対して各々一
定の取付け角度をもって配置され、複数のノズルを有す
る複数の印刷ヘッドを用い、前記複数の印刷ヘッドの取
付け角度を計測する工程と、前記計測された取付け角度
に応じて、前記各印刷ヘッドの各ノズル位置に対応して
印刷されるドットが同一位置に重なるように、各印刷ヘ
ッドのノズルを駆動するタイミングを制御する第1制御
工程と、前記各印刷ヘッド内での印刷開始ノズルと印刷
終了ノズルとの間の前記搬送方向に対して直交する方向
への距離をXとし、前記印刷開始ノズルの駆動時点から
前記印刷終了ノズルの駆動時点までの時間の間に前記印
刷ヘッドの前記搬送方向への相対的移動距離をYとし、
Y/X≦tanθの条件で表わされる取付け角度θを有
するとき、前記印刷開始ノズルから前記印刷終了ノズル
までの印刷周期T内のノズル数と、当該印刷周期でノズ
ル数を均等に分配したセット数とを算出する第2制御工
程とを具えることによって、印刷方法を提供する。
【0023】ここで、前記第1制御工程は、前記複数の
印刷ヘッドの中から、印刷開始の基準となる基準ヘッド
を決定する決定工程と、前記基準ヘッドの印刷開始ノズ
ルの印刷開始時間から、当該基準ヘッド以外の各印刷ヘ
ッドの印刷開始ノズルの印刷開始時間までの遅延時間を
算出する算出工程とを具え、該算出された各遅延時間に
基づいて前記各印刷ヘッドの印刷開始ノズルから印刷を
開始することができる。
【0024】前記第1制御工程は、前記搬送方向に対し
て直交する方向へ印刷されるドットのラインと前記各印
刷ヘッドのラインとの交点を検出し、当該交点上、又
は、前記搬送方向に対して当該交点に最も近い位置のド
ットに対応した各印刷ヘッドのノズルを印刷開始ノズル
に決定する決定工程を具え、該決定された各印刷ヘッド
の印刷開始ノズルを各々基準として印刷を開始すること
ができる。
【0025】前記第2制御工程は、1個の印刷ヘッド内
に複数のセットが存在する場合、基準となるセットに対
して、他のセットの印刷開始ノズルを駆動する遅れ時間
を算出することができる。
【0026】また、前記複数のノズルからなるノズル列
の取付け角度は、ノズルより印刷媒体に印刷を行い、該
印刷媒体を光学的な読み取り装置を用いて計測すること
ができる。
【0027】前記複数のノズルからなるノズル列の取付
け角度は、各印刷ヘッドから1枚の測定媒体に印刷を行
い、該測定媒体を光学的な読み取り装置を用いて計測す
ることができる。
【0028】前記複数の印刷ヘッドは固定された構造で
あり、印刷終了ノズルの位置は、印刷開始ノズルの位置
に対して、搬送方向に移動した位置とすることができ
る。
【0029】前記複数の印刷ヘッドは移動自在な構造で
あり、印刷終了ノズルの位置は、印刷開始ノズルの位置
に対して、ヘッド移動方向と逆の方向に移動した位置と
することができる。
【0030】ノズルの同時駆動するノズル数は、1個、
又は、複数個とすることができる。
【0031】前記印刷ヘッドは、インクを吐出するイン
クジェットヘッドであり、当該インクジェットヘッドか
ら前記印刷媒体にインクを吐出して印刷を行うことがで
きる。
【0032】前記インクジェットヘッドは、熱エネルギ
ーを利用してインクに気泡を生じさせ、該気泡の生成に
伴ってインクを吐出することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態を詳細に説明する。
【0034】第1の実施の形態を、図1〜図13に基づ
いて説明する。
【0035】(技術背景)印刷用紙に描画されるデータ
は、各種のワープロソフトや作表ソフト等により作成さ
れるが、それらのアプリケーションソフトが要求してい
る仕様は、一般的に用紙の搬送方向に対して直交する方
向への画像出力である。印刷装置はそのような画像出力
の要求を満たすため、印刷用紙上に搬送方向と直交な方
向へ描画する機構を持たなければならない。
【0036】印刷用紙が停止した状態で、上記直交な方
向への描画を行うのであれば、複数のノズルを有する印
刷ヘッドを搬送方向に直交な方向に沿って取り付けるこ
とによって、その搬送方向に直交な方向へ描画できる。
また、全てのノズルから同時にインク吐出できれば、同
様に、印刷ヘッドを搬送方向に直交な方向に取り付けれ
ばよい。
【0037】しかし、印刷速度が早い状態では、印刷用
紙は停止することなく、また、ノズル数が多くなると、
全てのノズルからの同時吐出は不可能となる。そこで、
印刷ヘッドを搬送方向に対して一定の角度だけ傾けて取
り付け、用紙の移動に伴って各ノズルからの吐出位置を
順次移動させながら印刷を行うことにより、搬送方向に
直交な方向への印刷を行うことが必要となる。
【0038】(基本構成)図8は、印刷装置としてのペ
ージプリンタの構成例を示すものである。100〜10
3は、複数のノズルがライン状に形成された構造をもつ
印刷ヘッドである。703はスキャナであり、印刷ヘッ
ド100〜103により印刷用紙700上に印刷された
画像の傾きを読み取る。750は、各印刷ヘッド100
〜103の各ノズルからのインクの吐出タイミングを制
御する制御部である。この制御部750は、ホストコン
ピュータ(図示せず)から印刷データが入力され、スキ
ャナ703からの画像の傾きに基づいてインクの吐出タ
イミングを制御する。なお、印刷装置としては、インク
ジェット方式のプリンタに限るものではなく、また、他
の印刷方式、例えば複写機、ワープロ、ファクシミリ等
を用いてもよい。
【0039】そして、印刷装置内の用紙カセットにセッ
トされた印刷用紙700は、ピックアップローラ701
により分離して給紙され、印刷部へ搬送される。搬送さ
れた印刷用紙は、帯電器709により帯電された搬送ベ
ルト708に静電吸着され、複数の印刷ヘッド100〜
103の直下に搬送される。
【0040】複数の印刷ヘッド100〜103は、印刷
用紙700上にヘッドの傾きを測定できるパターンを印
刷する。各印刷ヘッド100〜103のヘッド傾きを測
定するパターンとしては、ヘッド両端ドットの印刷が挙
げられる。各々の印刷ヘッド100〜103により印刷
されたパターンは、印刷ヘッド100〜103の後部に
配置されたスキャナ703により、傾き量が読み取られ
る。すなわち、本システムでは、スキャナ703の直線
を基準にして印刷ヘッド100〜103を測定する構造
となっている。印刷された用紙は、その後、除電ローラ
704により除電され、乾燥器706上を通過し、排紙
ローラ705により印刷装置外部に排紙される。
【0041】図9は、印刷ヘッド100〜103の配置
を示す。印刷用紙108は、矢印のV方向に移動し、印
刷用紙108にインク液滴を吐出し、カラー画像を生成
する。4本の印刷ヘッド100〜103のうち、印刷用
紙700の移動方向Vに対して直交する直線から、印刷
ヘッド100はθ1、印刷ヘッド101はθ2、印刷ヘ
ッド102はθ3、印刷ヘッド103はθ4だけそれぞ
れ傾いた角度で印刷装置に固定される。
【0042】図9の構成では、印刷用紙700の移動に
同期しながら用紙の挿入方向に位置する印刷ヘッド10
3から印刷が開始され、用紙の移動に伴い印刷ヘッド1
02から印刷ヘッド100への順序で印刷が開始され
る。また、インクの吐出順序は、印刷開始ノズル10
4,105,106,107から印刷終了ノズル10
9,110,111,112の各方向に向かって順次移
動して行く。このとき、印刷終了ノズル109,11
0,111,112の位置は、印刷開始ノズル104,
105,106,107に対して搬送方向Vにずれた位
置となる。
【0043】搬送方向Vに対して直交な直線を基準とし
た4本のノズルの傾け角度θ1〜θ4は、機械的な切削
加工技術により決定されるものであるが、いかなる作成
手段を用いてもそれらの角度を完全に等しくすることは
できない。従って、複数の印刷ヘッド100〜103は
必ず異なった取り付け角度になっているとみなせる。
【0044】図10(a)〜(c)は、印刷用紙700
にインク液滴を吐出する印刷ヘッド100〜103の構
造例を示す。この例では、インク液を加熱発泡させ、発
泡時の気泡の膨張によりインク液滴を飛翔させるバブル
ジェット方式の印刷ヘッド100〜103である。
【0045】図10(a)は、印刷ヘッド100〜10
3のノズルのインク吐出面より見た図である。図10
(b)は、印刷ヘッド100〜103の上面より見た図
である。図10(c)は、印刷ヘッド100〜103の
側面より見た図である。
【0046】インク液滴208を飛翔させるための気泡
を発生させる発熱体(ヒータ)205は、一定の間隔を
もって同一ヘッド内に複数配置されている。ヒータ20
5の材質は、電圧・熱変換素子である抵抗体が一般的に
使用される。また、ヒータ205は、ノズル数だけ印刷
ヘッド100〜103内に配置される。210は、イン
ク供給路である。
【0047】ここでは、簡単なヘッドの例として、6ノ
ズル構成のヘッドを例に挙げる。ヒータ205の一方の
端部は、ヒータ205を加熱するための電源、すなわ
ち、VH駆動電源202に接続され、VH駆動電圧が与
えられている。ヒータ205の他方の端部にはパターン
201が接続されている。このパターン201は、駆動
制御用の駆動IC203に接続され、ヒータ205に通
電される電流のオンオフ制御を行う。駆動IC203に
は、ヒータ通電時にヒータ205から流れ込む電流をV
H駆動電源202に返流するためのグランドパターンが
設けられている。ヒータ205とVH駆動電源202と
パターン201との配線は、基材204上の絶縁パター
ンを介して作成され、その配線パターン上にノズルカバ
ー206が接着され、ノズル207が形成される。
【0048】そして、ノズル207の位置とヒータ20
5のパターンの位置とが正確に位置合わせされないと、
ヒータ205の発熱による泡の発泡位置がずれ、インク
の発泡が十分でなくなり、インクの吐出は起きなくな
る。インク液滴208により作成される画像の品質は、
このノズル間隔Pによるところが大きい。すなわち、ノ
ズル間隔Pが狭くなれば、描画される画像解像度が高く
なり、単位面積当たりの画像情報量が多くなる。
【0049】図11(a)は、図10で示した駆動IC
203の内部構造を示す。駆動IC203は、電流のオ
ンオフを行うトランジスタ部と、そのトランジスタ部の
オンオフのタイミングおよびデータを管理する制御ブロ
ックとに大別される。トランジスタ部は、ヒータ205
を構成する抵抗302に対して大電流を供給するトラン
ジスタ303から構成される。制御ブロックは、論理積
回路304と、印字バッファ305と、シフトレジスタ
306とにより構成される。
【0050】制御ブロックには、印刷データを受信する
ために、DI信号線とSCK信号線との2本の信号線が
接続されている。印刷データはDI信号線で転送され、
SCK信号線の立ち上がり時に駆動IC203の内部に
蓄えられる。駆動IC203において、印刷データは連
続して入力されるDI信号の立ち上がりに同期して記憶
素子に順次転送されていく。
【0051】そして、6個のSCK信号の立ち上がりと
それに同期した印刷データとを与えることによって、シ
フトレジスタ306内に印刷データが構成される。この
とき使用される記憶素子は、図11(b)に示すような
一般的に使用されるDタイプフリップフロップ(DF/
F)301である。シフトレジスタ306内の印刷デー
タは印字バッファ305に転送され、シフトレジスタ3
06が次の印刷データを受信できる状態にする。LT信
号線によって、シフトレジスタ306から印字バッファ
305にデータ転送を行う起動をかける。LT信号線の
立ち上がりのタイミングで、シフトレジスタ306の印
字データは、印字バッファ305にデータ転送される。
【0052】印字バッファ305に転送された印字デー
タは、ヒータ205を通電するための時間制御を行うヒ
ート信号との間で論理積回路304によって論理積が取
られ、その論理積の出力はトランジスタ303に接続さ
れている。各ノズル毎にヒート信号は用意されており、
各ノズル毎のヒート制御が行えるようになっている。従
って、各々のノズルに配置されたヒータ205を構成す
る抵抗体302は、トランジスタ303のオンオフに従
い、発熱を行うことになる。
【0053】(基本ヒートタイミング)図12は、上記
ヒート信号のタイミングを示す。ヒート信号HP<1〜
6>の6本の信号線は発泡のタイミングを実質的に制御
する信号であるが、その駆動条件はインク液とノズル形
状およびヘッド温度等によって変化する。インク吐出を
高速で行う場合は、ある一部分のエリアの同時ヒートを
行うとインク液の供給が間に合わなくなり、インクの吐
出ができなくなる。このため、印刷時のヒートタイミン
グとしては、ヒートを順次行う順次ヒート方式となる。
また、高速なインク吐出においても、インクの供給が十
分に間に合うようなときには、印刷の高速化を図るため
にブロック単位でヒートを行うブロックヒート方式とな
る。
【0054】図12は、順次ヒート方式の駆動タイミン
グを示す。t1は、ノズル毎のヒートディレイ時間であ
る。t1時間を長くすると他のノズルへの影響が少なく
なり、安定したインク吐出が行われるが、全ノズルのイ
ンク吐出を行うための時間が多く必要になる。t2は、
インクの吐出を行うための発泡を促すヒータ205の加
熱時間である。t3は、印刷終了ノズルの印刷開始タイ
ミングである。図12に示すように、各ノズルのヒート
タイミングは、印刷開始ノズルHP1の印刷開始時間t
0と、1周期遅れた印刷開始タイミングt5の時間を当
分に分割したタイミングとなる。この一周期の間に、印
刷用紙700の移動量と印刷ヘッド100〜103の傾
き量とにより、搬送方向Vに直交する直線が形成され
る。
【0055】図13は、ブロックヒート方式の駆動タイ
ミングを示す。これは、2つのヒータの同時駆動の例で
あるが、図12に示したヒート時間と同じ時間であるに
もかかわらず、全ノズルの駆動を行うための駆動周期は
約半分にすることができ、高速な印刷が可能な印刷ヘッ
ド100〜103では有効な手段である。
【0056】(ヘッドの取付け角度)以下、本発明に係
るヒートタイミングの制御例を、図1〜図7に基づいて
説明する。
【0057】図1は、印刷用紙700の搬送速度と印刷
ヘッド100〜103の取付け角度との関係を示す。印
刷方向をラスタ方向Vとし、そのときのラスタ間の解像
度から算出されるラスタ間の距離をDとすると、印刷開
始ノズル(第1ノズル)601の印刷用紙700上での
次の印刷位置は現地点よりDだけ搬送方向に移動したA
点600となる。印刷用紙700の搬送速度が一定の条
件下では、第2ノズル602から第6ノズル(印刷終了
ノズル606)の搬送方向Vでのノズル配置位置は、距
離Dを印刷開始ノズル601から印刷終了ノズル606
までのノズル数6で均等割りした位置にそれぞれ配置さ
れる。
【0058】すなわち、一般的に、印刷開始ノズルから
印刷終了ノズルまでのノズル総数をMとすると、第Nド
ットの位置は基準ラスタ位置607より「D×(N−
1)/M」だけ離れた位置となる。したがって、第6ド
ットの位置Yは、
【0059】
【数1】 Y=D×(N−1)/M=5D/6 …(1) だけ基準ラスタ位置607よりラスタ方向Vに離れた位
置となる。
【0060】また、カラム解像度から決定されるノズル
間の距離Cより、各ノズルの基準カラム位置608から
の距離は「(N−1)×C」で表され、第6ドット60
6の基準カラム位置608からのカラム方向Hの距離X
は、
【0061】
【数2】 X=(N−1)×C=5C …(2) だけ離れた位置となる。従って、ヘッドの取り付け角度
θは、
【0062】
【数3】 θ=arc tan(Y/X) =arc tan[((D×(N−1)/M)/((N−1)×C))] =arc tan(D/(M×C)) =arc tan(D/(6×C)) …(3) となる。ラスタ印刷ノズル総数Mを全て印刷する最小時
間をTmin、印刷用紙700の搬送速度Vdとする
と、
【0063】
【数4】 Tmin=D/Vd …(4) となる条件のときのヘッド取り付け角度θが、最小取り
付け角度θminとなる。
【0064】搬送速度Vdが同じ条件下で、この最小取
り付け角度以下の角度で印刷ヘッドが取り付けられた場
合、1ラスタ間に存在するラスタ印刷ノズル総数Mが増
加するため、Tmin時間内にラスタ印刷ノズル総数M
のノズルを全て駆動することができなくなり、画像生成
が不可能となる。逆に、最小取り付け角度以上の角度で
印刷ヘッドが取り付けられた場合は、1ラスタ間に存在
するラスタ印刷ノズル総数Mが減少するため、Tmin
時間内にラスタ印刷ノズル総数Mのノズルは、全て印刷
可能で画像生成が有効である。
【0065】しかし、1ヘッドのノズル数は変化しない
ため、ラスタ印刷ノズル総数Mが減少した分、印刷開始
ノズルと印刷終了ノズル(この間のノズルをセットと総
称する)とが増える結果となる。
【0066】図1において、ヘッド取付け角度がθ1の
ときは、印刷開始ノズルは第1ドット601と第5ドッ
ト605となる。同様に、ヘッド取り付け角度がθ2の
場合は、印刷開始ノズルは第1ドット601と第4ドッ
ト604の2ヶ所となる。このとき、図1の第4ドット
604は正確な次ラスタ位置にレイアウトされていな
い。このため、第4ドット604からスタートするセッ
トに関しては、第1ドット601を印刷するヒートタイ
ミングに対して正規ラスタ位置からのずれ量△Dを印刷
用紙700の搬送速度Vdで除した時間のヒートディレ
イ値(=△D/Vd)をもって駆動を開始しなければな
らない。従って、印刷ヘッドの取り付け角度は、一般的
にθ1を中心とし、最小でもθmin以上となるような
取り付け角度を取らなければならない。
【0067】図2は、15カラムの印刷ノズルをもった
4つの印刷ヘッドの取付け角度を模式的に示した図であ
る。各印刷ヘッドは、Aヘッド、Bヘッド、Cヘッド、
Dヘッドの4つとする。各印刷ヘッドA〜Dのラインと
カラムラインとの交点が印刷ドット位置であり、各印刷
ドット間の距離は同じである。
【0068】なお、本来ならば、Dヘッドの印刷ドット
位置と、Aヘッドの印刷ドット位置とは、ヘッド傾斜の
分、DヘッドがAヘッドより左の位置に来るはずである
が、傾き角が十分小さく、印刷ヘッドの長さが十分長い
として、その差異は無視できるものと仮定する。
【0069】そして、各ヘッドの傾きは、θA<θB<
θC<θDとなっており、また、1カラム目における1
ラスタ目からのずれ量はB<D<A<Cとなっている。
このように印刷ヘッドを取り付けた状態では、各ヘッド
はラスタ方向Vの傾きもまちまちであり、全てが完全に
同じであることはない。なお、図2において、印刷用紙
の搬送方向は、ラスタ数の多い方向(V方向)である。
【0070】(ヒートタイミングの第1の手法)次に、
印刷データのヒートタイミング(すなわち、印刷タイミ
ング)の合わせ方(第1の手法)について説明する。
【0071】(a)まず、スキャナ703を用い、印刷
用紙700に印刷された図2に示したような印刷ドット
位置から、印刷ヘッドの取付け角度を測定する。
【0072】(b)次に、「ラスタ印刷ノズル総数」、
および、「セット数」の決定を行う。これらの値は、測
定された印刷ヘッドの取付け角度によって一義的に決定
される。ここで、印刷開始ノズルと印刷終了ノズルとの
間のノズル数をラスタ印刷ノズル総数と定義する。印刷
開始ノズルと印刷終了ノズルとの間のノズルをセットと
総称する。
【0073】(c)次に、基準となるドットに対応した
各印刷ヘッド全てのドットが重なるように、各印刷ヘッ
ドの「ヒートディレイ値」を調整する。ここで、ヒート
ディレイ値とは、基準となる印刷ヘッド(基準ヘッド)
の基準カラム位置のノズルの印刷開始時間から、遅れて
印刷を開始する他の印刷ヘッドの基準カラム位置のノズ
ルの印刷開始時間までの遅れ時間をいう。
【0074】以下、ヒートタイミングの具体例を挙げて
説明する。
【0075】図2に示すヘッド配列において、ラスタ方
向Vへのドット位置のずれは、ヒートディレイ値を調整
することによって補正することが可能である。
【0076】例えば、図2において、基準ヘッドをBヘ
ッドとし、基準カラム位置を1カラム目とし、また、C
ヘッドの1カラム目のラスタ方向VにおけるBヘッドと
の距離をdC、1ラスタ分の用紙搬送に必要な時間をt
とする。これにより、Cヘッドの1カラム目の印刷開始
時間をBヘッドの印刷開始時間よりもt×dC/Yだけ
遅らせることにより、同一位置への印刷が可能となる。
この作業を各印刷ヘッドについて行うことにより、全て
のヘッドの基準位置の印刷ドットの位置合わせを行うこ
とが可能となる。
【0077】図3は、Bヘッドの1カラム目を基準とし
て、ヒートディレイ値を他の各ヘッドA,C,Dに施し
て補正した場合の例である。
【0078】ヒートディレイ値の調整を行うことによ
り、1ラスタ目、1カラム目の印刷ドットの位置は同じ
になる。図3において、各ラスタ間に存在する印刷ドッ
トのセットを、nラスタ≦第nセット<(n+1)ラス
タと定義する。従って、Aヘッドは第1セットでの印
刷、Bヘッドは第1セットと第2セットでの印刷、Cヘ
ッドは第1セットと第2セットと第3セットでの印刷、
Dヘッドは第1セット〜第5セットでの印刷となる。す
なわち、このようなヘッドでは、ヒートタイミングは各
々異なることになる。
【0079】図4、図5は、図3に示した印刷ヘッドの
ヒートタイミングを示す。
【0080】ヒートタイミングの基本的な法則は、印刷
周期Tに相当する各セット内に存在する印刷ドット数を
均等に配分することである。図4、図5の場合は、Aへ
ッドでのセット内に存在する印刷ドット数は15、Bヘ
ッドでのセット内に存在する印刷ドット数は7又は8、
Cヘッドでのセット内に存在する印刷ドット数は5、D
ヘッドでのセット内に存在する印刷ドット数は3とな
る。
【0081】また、セット数は、Aセットを1セット、
基準ヘッドとなるBセットを2セット、Cヘッドを3セ
ット、Dヘッドを5セットとすることによって、各セッ
ト内に存在する印刷ドット数を均等に配分することがで
きる。このように、図4、図5のヒートタイミングで印
刷を行うことにより、Bヘッドを基準とした正確なラス
タが、他の各ヘッドA,C,Dともに描画できる。
【0082】しかし、実際には、印刷ノズルのラスタ方
向のずれを吸収するためのヒートディレイ値が存在す
る。このため、実際のヒートタイミングは、図4、図5
ではなく、図6、図7に示すヒートディレイ値を有する
ようなタイミング波形になる。
【0083】図6、図7において、ヘッドBを基準ヘッ
ドとし、その第1ノズルおよび第9ノズルを基準となる
印刷開始ノズルとする。この基準ヘッドの印刷開始ノズ
ルから、他のヘッドA,C,Dの各印刷開始ノズルまで
の遅延時間を各々算出する。この場合、各遅延時間は、
ヘッドAがディレイA、ヘッドCがディレイC、ヘッド
DがディレイDとなる。これらの各遅延時間A,C,D
をもって、各ヘッドA,C,Dは各印刷開始ノズルから
印刷周期Tで印刷を開始する。
【0084】上述したように、印刷ヘッドがある一定以
上の取り付け角度をもって取り付けられている場合、そ
の取り付け角度を計測し、その計測値に基づいて、1ヘ
ッド内でのノズル数やセット数の調整、また、基準ヘッ
ドに対する他の複数のヘッドとの間でのヒートタイミン
グの調整を行うようにしたので、1ヘッド内およびヘッ
ド間での時間的なズレを簡単に補正することができ、こ
れにより、ヘッド組み立て時に取付け角度のズレがあっ
ても、直線性に優れた良質な画像を得ることが可能とな
る。
【0085】(ヒートタイミングの第2の手法)次に、
本発明の第2の実施の形態を、図14〜図16に基づい
て説明する。
【0086】本例では、図2に基づいて測定されたデー
タを用い、印刷データのヒートタイミングの合わせ方の
他の手法(第2の手法)について説明する。
【0087】(a)まず、スキャナ703を用い、印刷
用紙700に印刷された図2に示したような印刷ドット
位置から、印刷ヘッドの取付け角度を測定する。
【0088】(b)次に、ラスタ印刷ノズル総数、およ
び、セット数の決定を行う。これらの値は、印刷ヘッド
の取付け角度により一義的に決定される。なお、(a)
(b)の項目については、前述した第1の手法と同じで
あるため、ここでの説明は省略する。
【0089】(c)次に、各印刷ヘッドのラインと各ラ
スタ位置との交点を検出し、その交点上、或いは、その
交点に近い搬送方向に位置するドットに対応するノズル
を、各印刷ヘッドの印刷開始ノズルと規定する。この印
刷開始ノズルによるドットとラスタとの位置より、ヒー
トディレイ値の調整を行う。すなわち、ラスタ間隔の整
数倍離れたラスタ位置に印刷を行うノズルを、各印刷ヘ
ッドにおける印刷開始ノズルとすることによって、ヒー
トディレイ値の調整を行う。
【0090】以下、(c)の項目を中心に、ヒートタイ
ミングの具体例を挙げて説明する。
【0091】第1の手法では、基準ヘッドの印刷開始ノ
ズルからのヒートディレイ値によってヒートタイミング
を合わせ込んだのに対して、本例の第2の手法では、各
ラスタ位置に最も近い搬送方向Vのドットを検出し、そ
のドットに対応した各印刷ヘッドのノズルを印刷開始ノ
ズルとして印刷を行うものである。
【0092】図14、図15は、第2の手法を用いて印
刷を行う場合のヒートタイミングを示す。
【0093】図3において、Bヘッドの傾き角は、15
ノズルを8ノズルと7ノズルの2セットに分離するデー
タ処理構成となる。従って、このBヘッド内において
は、2種類のヒートタイミングの制御を必要とする。同
様に、図3から、Aヘッドは1セット、Cヘッドは3セ
ット、Dヘッドは5セットに各々分離され、各々に対応
したヒートタイミングの制御を必要とする。
【0094】また、Bヘッドでは、第1,第9ノズルが
ラスタ位置に最も近い用紙搬送方向のドットに対応した
ノズルであるとみなし、これらノズルを印刷開始ノズル
とする。同様に、Aヘッドでは第9ノズルを、Cヘッド
では第2ノズル,第7ノズル,第12ノズルを、Dヘッ
ドでは第1ノズル,第4ノズル,第7ノズル,第10ノ
ズル,第13ノズルを各々印刷開始ノズルとする。
【0095】図16は、Bヘッドにおけるヒートタイミ
ングの詳細を示す。
【0096】BHP1〜BHP8は第1セット目での駆
動であり、BHP9〜BHP15は第2セット目での駆
動となる。図3に示したように、第9ドットは第2ラス
タ位置に対して若干印刷位置が搬送方向Vに移動してい
る。従って、第9ノズルのヒートタイミングにおいて、
印刷位置を第1ノズルと合わせるために、1ヘッド内で
ヒートディレイ値を設ける必要がある。図16は、その
ヒートディレイ値を考慮した場合の波形であって、BH
P1のヒートタイミングに対して、BHP9のヒートタ
イミングは、セット間ディレイ値Dを含んだ状態となっ
ている。
【0097】上述したように、各ラスタ位置に最も近い
搬送方向Vのドット位置に対応した各印刷ヘッドのノズ
ルを印刷開始ノズルとし、各印刷ヘッドにおけるヒート
タイミングの調整、および、1ヘッド内でのノズル数や
セット数の調整を行うようにしたので、前述した例と同
様に、印刷ヘッド間および1ヘッド内での時間的なズレ
を簡単に補正することができる。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数の印刷ヘッドの取り付け角度が用紙搬送方向に直交
な直線に対してある一定以上の角度で取り付けられてい
る場合、その取付け角度に応じて、複数のヘッド間のヒ
ートタイミングの調整や、1ヘッド内でのノズル数やセ
ット数の調整を行うようにしたので、印刷用紙での印刷
位置合わせを容易に行うことが可能となり、これによ
り、製造コストを低減させ、信頼性の高い画像形成を行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である用紙搬送速度
とヘッド角度との関係を模式的に示す説明図である。
【図2】ヘッド取付け時における用紙搬送速度とヘッド
角度との関係を模式的に示す説明図である。
【図3】補正後における用紙搬送速度とヘッド角度との
関係を模式的に示す説明図である。
【図4】ヘッドAのヒートタイミングを示すタイミング
チャートである。
【図5】図4に対応したヘッドB〜Dのヒートタイミン
グを示すタイミングチャートである。
【図6】ディレイ値を含むヘッドAの実際のヒートタイ
ミングを示すタイミングチャートである。
【図7】図6に対応したディレイ値を含むヘッドB〜D
の実際のヒートタイミングを示すタイミングチャートで
ある。
【図8】印刷装置の構成例を示す断面図である。
【図9】印刷ヘッドの配置構成を示す平面図である。
【図10】印刷ヘッドの構造を示すものであり、(a)
は正面図、(b)は平面図、(c)は縦断側面図であ
る。
【図11】(a)はヒート回路の内部構成を示す回路
図、(b)は記憶素子の構成を示すブロック図である。
【図12】順次ヒート方式のヒートタイミングを示すタ
イミングチャートである。
【図13】ブロックヒート方式のヒートタイミングを示
すタイミングチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態を示すものであ
り、ヘッドAのヒートタイミングを示すタイミングチャ
ートである。
【図15】図14に対応したヘッドB〜Dのヒートタイ
ミングを示すタイミングチャートである。
【図16】セット間ディレイ値を含むヘッドBのヒート
タイミングを示すタイミングチャートである。
【図17】従来の印刷ヘッドの構成を示す斜視図であ
る。
【図18】従来の印刷ヘッドの断面図である。
【図19】従来のノズル列の傾きを示す平面図である。
【符号の説明】
100〜103 印刷ヘッド 700 印刷媒体 703 計測手段

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷媒体の搬送方向に対して直交する方
    向に沿ってドット単位で印刷を行う印刷装置であって、 前記印刷媒体の搬送方向に対して各々一定の取付け角度
    をもって配置され、複数のノズルが直線上に形成された
    複数の印刷ヘッドと、 前記複数の印刷ヘッドの取付け角度を計測する計測手段
    と、 前記計測された取付け角度に応じて、前記各印刷ヘッド
    の各ノズル位置に対応して印刷されるドットが同一位置
    に重なるように、各印刷ヘッドのノズルを駆動するタイ
    ミングを制御する第1制御手段と、 前記各印刷ヘッド内での印刷開始ノズルと印刷終了ノズ
    ルとの間の前記搬送方向に対して直交する方向への距離
    をXとし、前記印刷開始ノズルの駆動時点から前記印刷
    終了ノズルの駆動時点までの時間の間に前記印刷ヘッド
    の前記搬送方向への相対的移動距離をYとし、Y/X≦
    tanθの条件で表わされる取付け角度θを有すると
    き、前記印刷開始ノズルから前記印刷終了ノズルまでの
    印刷周期T内のノズル数と、当該印刷周期でノズル数を
    均等に分配したセット数とを算出する第2制御手段とを
    具えたことを特徴とする印刷装置。
  2. 【請求項2】 前記第1制御手段は、 前記複数の印刷ヘッドの中から、印刷開始の基準となる
    基準ヘッドを決定する決定手段と、 前記基準ヘッドの印刷開始ノズルの印刷開始時間から、
    当該基準ヘッド以外の各印刷ヘッドの印刷開始ノズルの
    印刷開始時間までの遅延時間を算出する算出手段とを具
    え、該算出された各遅延時間に基づいて前記各印刷ヘッ
    ドの印刷開始ノズルから印刷を開始することを特徴とす
    る請求項1記載の印刷装置。
  3. 【請求項3】 前記第1制御手段は、 前記搬送方向に対して直交する方向へ印刷されるドット
    のラインと前記各印刷ヘッドのラインとの交点を検出
    し、当該交点上、又は、前記搬送方向に対して当該交点
    に最も近い位置のドットに対応した各印刷ヘッドのノズ
    ルを印刷開始ノズルに決定する決定手段を具え、該決定
    された各印刷ヘッドの印刷開始ノズルを各々基準として
    印刷を開始することを特徴とする請求項1記載の印刷装
    置。
  4. 【請求項4】 前記第2制御手段は、 1個の印刷ヘッド内に複数のセットが存在する場合、基
    準となるセットに対して、他のセットの印刷開始ノズル
    を駆動する遅れ時間を算出する手段を具えたことを特徴
    とする請求項1記載の印刷装置。
  5. 【請求項5】 前記複数のノズルからなるノズル列の取
    付け角度は、ノズルより印刷媒体に印刷を行い、該印刷
    媒体を光学的な読み取り装置を用いて計測することを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷装
    置。
  6. 【請求項6】 前記複数のノズルからなるノズル列の取
    付け角度は、各印刷ヘッドから1枚の測定媒体に印刷を
    行い、該測定媒体を光学的な読み取り装置を用いて計測
    することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記
    載の印刷装置。
  7. 【請求項7】 前記複数の印刷ヘッドは固定された構造
    であり、印刷終了ノズルの位置は、印刷開始ノズルの位
    置に対して、搬送方向に移動した位置であることを特徴
    とする請求項1ないし6のいずれかに記載の印刷装置。
  8. 【請求項8】 前記複数の印刷ヘッドは移動自在な構造
    であり、印刷終了ノズルの位置は、印刷開始ノズルの位
    置に対して、ヘッド移動方向と逆の方向に移動した位置
    であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに
    記載の印刷装置。
  9. 【請求項9】 前記ノズルの同時駆動するノズル数は、
    1個、又は、複数個であることを特徴とする請求項1な
    いし8のいずれかに記載の印刷装置。
  10. 【請求項10】 前記印刷ヘッドは、インクを吐出する
    インクジェットヘッドであり、当該インクジェットヘッ
    ドから前記印刷媒体にインクを吐出して印刷を行うこと
    を特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の印刷
    装置。
  11. 【請求項11】 前記インクジェットヘッドは、熱エネ
    ルギーを利用してインクに気泡を生じさせ、該気泡の生
    成に伴ってインクを吐出することを特徴とする請求項1
    0記載の印刷装置。
  12. 【請求項12】 印刷媒体の搬送方向に対して直交する
    方向に沿ってドット単位で印刷を行う印刷方法であっ
    て、 前記印刷媒体の搬送方向に対して各々一定の取付け角度
    をもって配置され、複数のノズルを有する複数の印刷ヘ
    ッドを用い、 前記複数の印刷ヘッドの取付け角度を計測する工程と、 前記計測された取付け角度に応じて、前記各印刷ヘッド
    の各ノズル位置に対応して印刷されるドットが同一位置
    に重なるように、各印刷ヘッドのノズルを駆動するタイ
    ミングを制御する第1制御工程と、 前記各印刷ヘッド内での印刷開始ノズルと印刷終了ノズ
    ルとの間の前記搬送方向に対して直交する方向への距離
    をXとし、前記印刷開始ノズルの駆動時点から前記印刷
    終了ノズルの駆動時点までの時間の間に前記印刷ヘッド
    の前記搬送方向への相対的移動距離をYとし、Y/X≦
    tanθの条件で表わされる取付け角度θを有すると
    き、前記印刷開始ノズルから前記印刷終了ノズルまでの
    印刷周期T内のノズル数と、当該印刷周期でノズル数を
    均等に分配したセット数とを算出する第2制御工程とを
    具えたことを特徴とする印刷方法。
  13. 【請求項13】 前記第1制御工程は、 前記複数の印刷ヘッドの中から、印刷開始の基準となる
    基準ヘッドを決定する決定工程と、 前記基準ヘッドの印刷開始ノズルの印刷開始時間から、
    当該基準ヘッド以外の各印刷ヘッドの印刷開始ノズルの
    印刷開始時間までの遅延時間を算出する算出工程とを具
    え、該算出された各遅延時間に基づいて前記各印刷ヘッ
    ドの印刷開始ノズルから印刷を開始することを特徴とす
    る請求項12記載の印刷方法。
  14. 【請求項14】 前記第1制御工程は、 前記搬送方向に対して直交する方向へ印刷されるドット
    のラインと前記各印刷ヘッドのラインとの交点を検出
    し、当該交点上、又は、前記搬送方向に対して当該交点
    に最も近い位置のドットに対応した各印刷ヘッドのノズ
    ルを印刷開始ノズルに決定する決定工程を具え、該決定
    された各印刷ヘッドの印刷開始ノズルを各々基準として
    印刷を開始することを特徴とする請求項12記載の印刷
    方法。
  15. 【請求項15】 前記第2制御工程は、 1個の印刷ヘッド内に複数のセットが存在する場合、基
    準となるセットに対して、他のセットの印刷開始ノズル
    を駆動する遅れ時間を算出することを特徴とする請求項
    12記載の印刷方法。
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