JP2000000401A - 撥水処理をした油水分離フィルターとその製造方法 - Google Patents

撥水処理をした油水分離フィルターとその製造方法

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JP2000000401A JP18339498A JP18339498A JP2000000401A JP 2000000401 A JP2000000401 A JP 2000000401A JP 18339498 A JP18339498 A JP 18339498A JP 18339498 A JP18339498 A JP 18339498A JP 2000000401 A JP2000000401 A JP 2000000401A
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water separation
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博史 垰田
Toru Nonami
野浪  亨
Kenji Yano
賢司 矢野
Shinji Kato
真示 加藤
Misao Iwata
美佐男 岩田
Hirokazu Matsunaga
博和 松永
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Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィルターの洗浄回数を低減し、保守しやすい
と共に、使用中におけるシリコーン系のオイルの脱離に
よるフィルターの目詰まりがない油水分離フィルター及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】窒化ホウ素粉末を捕集した実質的に非晶質
のシリカ繊維の凝集体を含む成形体を、1300℃で
1.5時間焼成して比表面積が0.6m2/gの高気孔
体を得て、前記高気孔体の水酸基にメチルトリメトキシ
シランを結合して、前記高気孔体にメチルトリメトキシ
シランの被覆膜を形成して油水分離フィルターを得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油水混合液から油
(特に、水分含有率の低い油)を効率よく回収するため
に用いられる油水分離フィルター及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】食品製造、繊維処理、機械加工、石油精
製などの廃液処理、また事故などによる河川、海洋など
への油の流出による油回収作業として、油水混合液を油
と水とに分離する処理が行われている。
【0003】従来の分離方法としては、比重分離、加圧
浮上分離、遠心分離、吸着分離、電気的方法などが行わ
れてきた。また、最近では高濃度分離が可能であり且つ
省エネルギーの点で有利な逆浸透法、限外濾過法、精密
濾過法が注目されている。特にセラミック質材料の化学
的、機械的安定性から以下のような様々な方法が開示さ
れている。
【0004】特開平1−139107号公報には、アル
ミナ製の多孔質セラミックスから成る筒状多層構造体の
フィルタを用いた油水分離装置が開示されている。特開
平6−15164号公報には、シリコーン系のオイル等
を用いて撥水処理をした中空セラミック粒よりなる吸油
材が開示されており、前記中空セラミック粒は、ポリス
チロールの球形発泡体にシリカ、アルミナ等の粘土質を
含む無機質を被覆し、造粒、乾燥、焼成して得る旨が記
載されている。
【0005】特開平7−60277号公報には、汚水に
浮かべて水面の汚れや油膜を処理する汚水浄化用中空セ
ラミックボールが開示されている。特開平8−5230
5号公報には、多数の細孔を有するセラミックスから成
ると共にカップリング剤から成る撥水親油膜が形成され
た濾過膜を備えて、油水混合液から水分含有率の低い油
を回収するために用いられる油水分離用濾過器が開示さ
れている。
【0006】また、これまで油水分離用として用いられ
るセラミックフィルターには、セラミック粒子を焼結
し、気孔を残して得られるフィルター、あるいは、セラ
ミック粒子が含まれるスラリーを樹脂製のスポンジに含
浸し焼結して得られるセラミックフォームがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のセラミックフィ
ルターのうちで撥水処理をしていないものは、濾過され
た液体の中に油の微粒子が混入することを防止すること
ができなかったので、水分含有率の低い油を回収するこ
とが極めて困難であり、油水分離フィルターとして十分
に使用することはできなかった。
【0008】また、特開平6−15164号公報や特開
平8−52305号公報に記載のセラミックフィルター
は、撥水処理をしたフィルターであるが、フィルター内
部への水の微粒子が侵入しやすいので、目詰まりを起こ
しやすい。そのため、目詰まりを起こした場合の洗浄や
目詰まりを起こす前のフィルターの定期的な洗浄の回数
が多く、フィルターの保守が煩雑になる、という問題点
があった。さらに、シリコーン系のオイル等で撥水処理
をしたフィルターの中には、使用中に前記オイルがフィ
ルターから脱離して、フィルターが目詰まりするという
問題点があった。
【0009】本発明は、上記従来のセラミックフィルタ
ーとは全く異なる新規な油水分離フィルター及びその製
造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、
上記従来技術の問題点を解消し、フィルターの洗浄回数
を低減し、保守しやすいと共に、使用中におけるシリコ
ーン系のオイルの脱離によるフィルターの目詰まりがな
い油水分離フィルター及びその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、次の〜
の知見により本発明を完成するに至った。 従来のフィルターは、表面積が小さく、気孔率が40
%程度と低いため、油水混合液から油を十分に分離する
ことができないこと。 無機質結合剤形成原料粉末(例えば、窒化ホウ素粉
末)を捕集した無機質繊維(例えば、実質的に非晶質の
シリカ繊維)の凝集体を含む成形体を、前記無機質結合
剤形成原料粉末と前記無機質繊維が反応する最低温度以
上の温度で焼成することにより、比表面積が高く、撥水
剤に対して結合性を有する反応基の数が多い(単位体積
あたりの例えば−OH基の数が多い)高気孔焼成体を得
ることができること。
【0011】前記高気孔焼成体の前記反応基に撥水剤
を結合することにより、油を通過させ水を遮断するのに
十分な親油性を有する部分(油水混合液との接触部分)
を形成して得られたフィルターは、フィルターの濾過方
向内部へ水の微粒子が進入しにくいと共に油を良好に通
過させることができ目詰まりしにくく洗浄回数を著しく
低減することができること。
【0012】即ち、本発明の第1の視点によれば、無機
質繊維と前記無機質繊維を結合する無機質結合剤を含有
して成る高気孔体を有し、少なくとも油水混合液との接
触部分は、撥水剤に対して結合性を有する前記高気孔体
の反応基に結合する撥水剤を、油を通過させ水を遮断す
るのに十分な程度有する油水分離フィルターにより、上
記目的を達成することができる。この油水分離フィルタ
ーは、次のようにすることができる。
【0013】前記反応基を水酸基にし、前記撥水剤をシ
ランカップリング剤にすることができる。前記シランカ
ップリング剤は、メチルトリメトキシシラン、ポリジメ
チルシロキサン、フルオロアルキルシラン、テトラエト
キシシラン、フルオロアルキルシラン、ヘキサメチルジ
シラザン、トリメトキシシラン、ジメチルエトキシシラ
ンのうちの1種以上にすることができる。前記高気孔体
は、3次元網目構造の高気孔体にすることができる。前
記接触部分の撥水剤が結合する高気孔体の部分は、前記
接触部分が油を通過させ水を遮断するのに十分な比表面
積を有するものにすることができる。
【0014】前記比表面積を0.6m2/g以上にする
ことができる。前記高気孔体の気孔率を80体積%以上
にすることができる。前記高気孔体の曲げ強度を8kg
f/cm2以上にすることができる。前記無機質繊維
は、実質的に非晶質のシリカ繊維を主たる無機質繊維と
して含むものにすることができる。前記無機質繊維は、
さらに、アルミナ繊維、アルミノシリケート繊維、アル
ミノボロシリケート繊維のうちの1種以上を補強用無機
質繊維として含むものにすることができる。
【0015】前記無機質結合剤は、実質的に非晶質のシ
リカ繊維の結晶化を抑制する結晶化抑制剤の粉末と無機
質繊維との反応生成物を含むものにすることができる。
前記結晶化抑制剤の粉末は、(a)非金属ホウ化物、
(b)ジルコニウムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化
物、(c)クロムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化
物、(d)イットリウムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び
硼化物、(e)バナジウムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及
び硼化物、(f)ランタノイド系元素の窒化物、硝酸
塩、炭酸塩及び硼化物のうちの少なくとも1種を含有す
る粉末にすることができる。
【0016】また、本発明の第2の視点によれば、撥水
剤に対して結合性を有する高気孔体の反応基に撥水剤を
結合して、油を通過させ水を遮断するのに十分な親油性
を有する油水混合液接触部分を形成する撥水剤結合工程
を含み、前記高気孔体として、無機質結合剤形成原料粉
末を捕集した無機質繊維の凝集体を含む成形体を、前記
無機質結合剤形成原料粉末と前記無機質繊維が反応する
最低温度以上の温度で焼成して得られた高気孔体を用い
る油水分離フィルターの製造方法により、上記目的を達
成することができる。この油水分離フィルターの製造方
法は、次のようにすることができる。
【0017】前記反応基を水酸基にし、前記撥水剤とし
てシランカップリング剤を用いることができる。前記シ
ランカップリング剤として、メチルトリメトキシシラ
ン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアルキルシラ
ン、テトラエトキシシラン、フルオロアルキルシラン、
ヘキサメチルジシラザン、トリメトキシシラン、ジメチ
ルエトキシシランのうちの1種以上を用いるができる。
前記凝集体として、無機質結合剤形成原料粉末と無機質
繊維が分散する分散液のpHを調整して得られた凝集体
を用いることができる。前記分散液として、pH3以上
の弱酸性の分散液を用いることができる。
【0018】前記成形体として、前記凝集体を真空成形
して得られる成形体を用いることができる。前記分散液
をpH4〜10に調整し、pH3以上の弱酸性の分散液
に分散していた無機質繊維の凝集の程度を変化させるこ
とによって、焼成後に得られる高気孔体の気孔率を制御
することができる。前記分散液を、前記焼成工程の焼成
後に得られる高気孔体の気孔率に対応するpH4〜10
の範囲内の所定pHに調整することができる。前記無機
質繊維として、実質的に非晶質のシリカ繊維を主原料と
して含有する無機質繊維を用いることができる。
【0019】前記無機質結合剤形成原料粉末として、
(a)ホウ素酸化物形成原料、(b)ジルコニウムの窒
化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(c)クロムの窒化
物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(d)イットリウムの
窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(e)バナジウム
の窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(f)ランタノ
イド系元素の窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物のうち
の少なくとも1種の粉末を用いることができる。
【0020】セラミックスには、撥水剤に対して結合性
を有する反応基(例えば、−OH基等)が存在する。セ
ラミックスの親油性を高めるためには、フィルター表面
に存在する前記反応基を増やしてより多くの撥水剤を結
合させることが考えられるが、セラミックスの表面の前
記反応基は通常ほぼ一定であるため、本発明では高気孔
体であるフィルターの比表面積を高めることにより、単
位体積あたりの前記反応基の数を増加させて撥水剤を結
合し、フィルターの油水混合液との接触部分の親油性を
高めて、フィルターの濾過方向内部への水の進入距離を
小さくしようとするものである。そこで、本発明の油水
分離フィルターは、フィルターの比表面積を高め、気孔
率を高めるため、無機質繊維を用いた上記高気孔体を採
用することにした。なお、本発明において数値範囲の記
載は、両端値のみならず、その中に含まれる全ての任意
の中間値を含むものとする。
【0021】
【発明の実施の形態】〔油水分離フィルター〕本発明の
油水分離フィルターは、無機質繊維と前記無機質繊維を
結合する無機質結合剤を含有して成る高気孔体を含むも
のである。そして、前記高気孔体の少なくとも油水混合
液との接触部分は、撥水剤に対して結合性を有する前記
高気孔体の反応基に結合する撥水剤を、油を通過させ水
を遮断するのに十分な程度有する部分である。
【0022】好ましくは、前記油水混合液との接触部分
は、油を通過させ水を遮断するのに十分な程度で、前記
高気孔体の反応基に結合する撥水剤が、前記高気孔体を
被覆する部分である。より好ましくは、前記油水混合液
との接触部分は、油を通過させ水を遮断するのに十分な
程度で、前記高気孔体の反応基に結合する撥水剤が、前
記高気孔体を被覆する被覆膜を形成している部分であ
る。前記撥水剤の被覆膜の厚さは、好ましくは0.1μ
m以下(より好ましくは0.05μm以下)である。
【0023】特に好ましくは、前記油水混合液との接触
部分は、水との接触角が90°以上(より好ましくは1
00°以上、さらに好ましくは110°以上)の撥水性
を有する部分である。なお、前記高気孔体の形状は、例
えばチューブ状、板状、お椀形にすることができる。
【0024】前記高気孔体は、好ましくは3次元網目構
造(特に、無機質繊維が複雑に絡み合った3次元網目構
造)の高気孔体である。本発明の油水分離フィルター
は、このような高気孔体に撥水剤を結合させて成るもの
のみにすることができるが、必要に応じて前記高気孔体
を保持あるいは保護する支持体を具備することができ
る。前記支持体は、例えば、セラミックス、樹脂及び金
属のうちの1種以上の材料から成るもの(例えば、油水
混合液を通過させない低気孔性ないし実質的に無気孔性
のもの)から適宜選択することができる。
【0025】本発明の油水分離フィルターにおける前記
高気孔体の油水混合液と接触しない部分は、油を通過さ
せ水を遮断するのに十分な親油性にする必要はないが、
油水混合液と接触しない部分を含めた前記高気孔体の全
表面(気孔の内面も含む)を撥水剤で被覆して、油を通
過させ水を遮断するのに十分な親油性にすることができ
る。
【0026】[油水分離フィルターの特性] 〈比表面積〉油水分離フィルターにおける前記接触部分
の撥水剤が結合する前記高気孔体の部分は、好ましく
は、撥水剤の結合により、油を通過させ水を遮断するの
に十分な程度の親油性になる比表面積を有するようにす
る。前記比表面積は、0.05m2/g以上にすること
ができ、好ましくは0.08m2/g以上であり、より
好ましくは0.1m2/g以上(さらに好ましくは0.
2m2/g以上、よりさらに好ましくは0.3m2/g以
上、特に好ましくは0.4m2/g以上)であり、0.
6m2/g程度以上までにすることができる。
【0027】このため前記高気孔体の単位体積あたりの
反応基(撥水剤に対して結合性を有する反応基、例えば
−OH基等)の数が多くなっているので、撥水剤の結合
により親油性を高くすることができる。従って、水を通
過させにくくすることができるため、十分な油水分離が
可能となる。なお、セラミック粒子を焼結させて得られ
たフィルターあるいはセラミックフォームの比表面積
は、一般的に0.06m2/g程度までである。
【0028】〈気孔率及び嵩密度〉油水分離フィルター
における前記高気孔体の気孔率は、好ましくは70〜9
7体積%(より好ましくは75〜97体積%、さらに好
ましくは80〜95体積%)にすることができる。気孔
率が80体積%以上と極めて高い場合には、油水分離フ
ィルター体積あたりの処理量は、従来のもの(例えば、
セラミック粒子を焼結して得られたもの等)よりも大き
い。
【0029】また、気孔の径は、数μm以上にすること
ができ、実用上の点から5μm以上、10〜100μm
にすることができ、例えば平均細孔径40〜50μmに
することができる。なお、前記高気孔体は、例えば、水
銀圧入法等の気孔径測定法により測定された場合、気孔
の孔径分布がそろっているものにすることができる。
【0030】油水分離フィルターにおける前記高気孔体
の嵩密度は、好ましくは0.15g/cm3以下(より
好ましくは0.12〜0.08g/cm3、さらに好ま
しくは0.11〜0.09g/cm3)にすることがで
きる。
【0031】〈強度〉油水分離フィルターにおける前記
高気孔体の曲げ強度は、5kgf/cm2以上にするこ
とができ、好ましくは8kgf/cm2以上(より好ま
しくは10kgf/cm2以上)であり、10〜15k
gf/cm2程度までの高い曲げ強度にすることができ
る。このため、板状、円筒状などの形状を油水分離フィ
ルターに付与して、従来の装置の中に組み込んでの連続
使用にも十分耐え得る。
【0032】油水分離フィルターにおける前記高気孔体
の引張り強度は、高さ方向の引張り強度が2.5kgf
/cm2(およそ0.245MPa)以上(好ましくは
0.294MPa以上)である。ここで、高さ方向の引
張り強度における「高さ方向」とは、成形時における加
圧方向のことであり、通常は、成形に用いるプレス装置
の軸方向のことをいう。例えば、プレス装置により得ら
れた成形体のプレス面に対して直交する方向である。
【0033】[無機質繊維]本発明の油水分離フィルタ
ーの前記高気孔体における無機質繊維の全重量の好まし
くは60〜100重量%(より好ましくは60〜90重
量%)を実質的に非晶質のシリカ繊維にすることができ
る。前記高気孔体における実質的に非晶質のシリカ繊維
以外の無機質繊維は、アルミナ繊維、アルミノシリケー
ト繊維、アルミノボロシリケート繊維等のような、実質
的に非晶質のシリカ繊維と併用した場合に前記非晶質の
シリカ繊維を補強することができる無機質補強繊維のう
ちの1種以上の無機質繊維にすることができる。また、
前記高気孔体における無機質繊維に含まれている全ての
シリカ繊維を、実質的に非晶質のシリカ繊維にすること
ができる。
【0034】[無機質結合材]無機質結合材は、無機質
繊維を結合する。無機質結合材は、好ましくは、実質的
に非晶質のシリカ繊維の結晶化を抑制する結晶化抑制剤
の粉末と無機質繊維との反応生成物を含む。実質的に非
晶質とは、X線回折的に非晶質のみから構成されている
ことである。即ち、X線回折法によって結晶が確認でき
ないことである。図2は、非晶質のシリカ繊維を含むフ
ィルターのX線回折法によるパターンであるが、例え
ば、この図2に示すとおりである。前記反応生成物は、
好ましくは、前記結晶化抑制剤の粉末が無機質繊維と反
応して、無機質繊維との界面に生成した反応生成物であ
る。この反応生成物を介して無機質繊維と無機質繊維の
間は融着している。
【0035】より好ましくは、無機質繊維と無機質結合
剤が三次元結節状網状に結合して、即ち、無機質繊維と
無機質繊維の交点ないし接点で無機質結合剤を介して互
いに結合し(少なくとも、接点では必ず結節を有するよ
うに結合し)、三次元結節状網状体を形成している。
【0036】無機質結合剤は、より好ましくは、次の
(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)の
うちの少なくとも1種の粉末と無機質繊維との反応生成
物を含有する。即ち、(a)非金属ホウ化物の粉末、
(b)ジルコニウムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化
物の各粉末、(c)クロムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及
び硼化物の各粉末、(d)イットリウムの窒化物、硝酸
塩、炭酸塩及び硼化物の各粉末、(e)バナジウムの窒
化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物の各粉末、(f)ラン
タノイド系元素の窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物の
各粉末のうちの少なくとも1種の粉末と無機質繊維との
反応生成物である。
【0037】ランタノイド系元素とは、原子番号57の
ランタンと、原子番号58のセリウムから原子番号71
のルテチウムを含めた15元素のことである。前記粉末
は、好ましくは1400℃以下(より好ましくは900
〜1400℃、さらに好ましくは900〜1200℃)
で酸化反応を起こす粒度を有するものである。
【0038】非金属ホウ化物の粉末は、好ましくは水に
溶解しない非金属系のホウ化物であり、より好ましくは
ホウ素酸化物を形成する粉末である。かかる非金属ホウ
化物としては、例えば窒化ホウ素(BN)、炭化ホウ素
(B4C)、ホウ化珪素(SiB4、SiB6)等があ
る。好ましくは、窒化ホウ素を用いる。窒化ホウ素とし
ては、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、正方晶窒
化ホウ素を用いることができるが、好ましくは安価な六
方晶窒化ホウ素を用いる。
【0039】[油水分離フィルターの分離対象]本発明
の油水分離フィルターの分離対象は、油水混合液、即
ち、油と水の混合液であり、特に、食品製造、繊維処
理、機械加工、石油精製などの際の廃液や、事故などに
よる河川水、海洋水などと油の混合物のような、油と水
を含む各種の油水混合液である。ここで、「水」は、水
に溶解する水以外の水溶性媒体を包含する。なお、油及
び水以外の各種の不溶性含有物を含む油水混合液に対し
ても適用できるが、必要であれば、油及び水以外の不溶
性含有物を取り除いた油水混合液に適用することができ
る。
【0040】好適な分離対象は、水の含有率よりも油の
含有率が高い油水混合液であり、油100重量部に対し
て好ましくは水10重量部以下(より好ましくは水5重
量部以下、さらに好ましくは水1重量部以下)を含有す
る油水混合液である。
【0041】本発明の油水分離フィルターは、研削砥石
を用いて金属等を研削する研削加工の際に使用した後
の、極微量の水を含む使用済みの研削油(油水混合液)
から極微量の水を分離して研削油を再生する用途に対し
て特に効果的に適用することができる。
【0042】〔油水分離フィルターの製造方法〕本発明
の油水分離フィルターの製造方法は、撥水剤に対して結
合性を有する高気孔体の反応基に撥水剤を結合して、油
を通過させ水を遮断するのに十分な親油性を有する油水
混合液接触部分を形成する撥水剤結合工程を含む。そし
て、前記高気孔体として、無機質結合剤形成原料粉末を
捕集した無機質繊維の凝集体を含む成形体を、前記無機
質結合剤形成原料粉末と前記無機質繊維が反応する最低
温度以上の温度で焼成して得られた高気孔体を用いる。
本発明の油水分離フィルターの製造方法は、前記撥水剤
結合工程の前に前記高気孔体を得るための焼成工程を設
けることができる。
【0043】[撥水剤結合工程]撥水剤としては、前記
高気孔体の反応基に結合することができるものを用いる
ことができる。好ましくは、撥水剤としては、水との接
触角が90°以上(より好ましくは100°以上、さら
に好ましくは110°以上)の撥水性を有し、前記高気
孔体の反応基に結合することができるものを用いる。
【0044】前記反応基としては例えば水酸基(−OH
基)があり、この水酸基には、撥水剤であるシランカッ
プリング剤を結合させることができる。
【0045】ここで、カップリング剤とは、一般に、共
有結合によって異種物質間の界面を制御して、その異種
物質を相互に結合させるものである。シランカップリン
グ剤は、撥水剤に対して結合性を有する無機材料の反応
基(例えば、水酸基)に結合することができる。前記シ
ランカップリング剤として、好ましくは、メチルトリメ
トキシシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロアル
キルシラン、テトラエトキシシラン、フルオロアルキル
シラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメトキシシラ
ン、ジメチルエトキシシランのうちの1種以上を用い
る。
【0046】前記高気孔体の反応基にシランカップリン
グ剤等の撥水剤を結合する手段としては、例えば、シラ
ンカップリング剤等の撥水剤の加水分解溶液(シランカ
ップリング剤等の撥水剤を水に溶解させ、加水分解させ
て得られた溶液)に、本発明で特定する前記高気孔体を
浸して取り出し、水分を取り除き、乾燥する手段があ
る。前記溶液におけるシランカップリング剤の濃度は、
好ましくは0.1〜10重量%(より好ましくは0.1
〜5重量%)にする。乾燥する際の温度は、好ましくは
100〜130℃(より好ましくは120〜130℃)
にする。上記手段により、前記高気孔体の反応基にシラ
ンカップリング剤等の撥水剤を結合させて厚さが均一で
薄い(0.1μm以下)被覆膜(撥水剤の被覆膜)を形
成することができる。撥水剤は、高気孔体100重量部
に対して、好ましくは0.5〜5重量部(より好ましく
は1〜3重量部)結合させることができる。
【0047】[焼成工程]焼成工程は、無機質結合剤形
成原料粉末を捕集した無機質繊維の凝集体を含む成形体
を、前記無機質結合剤形成原料粉末と前記無機質繊維が
反応する最低温度以上の温度で焼成して高気孔体(無機
質繊維と前記無機質繊維を結合する無機質結合剤を含有
して成る高気孔体)を得る工程である。前記無機質結合
剤形成原料粉末と前記無機質繊維が反応する最低温度以
上の温度は、好ましくは1200℃以上(より好ましく
は1200〜1400℃、さらに好ましくは1200〜
1300℃、特に好ましくは1250〜1350℃)で
ある。
【0048】[成形工程]無機質結合剤形成原料粉末を
捕集した無機質繊維の凝集体を含む成形体は、前記凝集
体(必要であれば、前記凝集体100重量に対して好ま
しくは有機質結合剤0〜50重量部、より好ましくは5
〜30重量部を混合して得られた混合物)を成形して
(好ましくは真空成形して)得ることができる。前記凝
集体における、無機質結合剤形成原料粉末の重量は、無
機質繊維の全重量に対して、好ましくは3〜7.5重量
%(より好ましくは3〜6重量%、さらに好ましくは3
〜5重量%)にする。前記成形体は、そのまま放置して
自然乾燥させることができるが、好ましくは80〜11
0℃(より好ましくは90〜110℃)で強制的に乾燥
することができる。本発明の油水分離フィルターの製造
方法は、このような成形工程及び乾燥工程を前記焼成工
程の前に設けることができる。
【0049】[凝集工程]前記凝集体は、無機質結合剤
形成原料粉末と無機質繊維が分散する分散液(好ましく
は弱酸性の分散液)のpHを調整して得ることができ
る。好ましくは、前記分散液をpH4〜10に調整し、
前記無機質繊維の凝集の程度を変化させることによっ
て、焼成後に得られる高気孔体の気孔率を制御すること
ができる。凝集させる際のpHが高いほど、焼成後に得
られる高気孔体の密度は小さくなる。
【0050】前記分散液をpH4に調整することによ
り、4mm以上(4〜7mm程度)の径の凝集体を得る
ことができる。前記分散液をpH10に調整することに
より、30mm以下(通常は20〜25mm、場合によ
っては30mm程度)の径の凝集体を得ることができ
る。このような凝集体を多数集積し、成形し(好ましく
は真空成形して)、成形体を得ることができる。
【0051】pH4未満の場合は、凝集体の径は4mm
よりも小さくなり凝集体の効果が小さくなる。pH10
を越える場合は、凝集体の径が30mmを越える場合が
多く、凝集体がほぐれすぎる傾向があり凝集体の効果が
小さくなる。なお、pH5〜9に調整することにより、
10〜20mmの径の凝集体を得ることができる。
【0052】好ましくは、前記分散液を、前記焼成工程
の焼成後に得られる高気孔体の気孔率に対応するpH4
〜10の範囲内の所定pHに調整する。本発明の油水分
離フィルターの製造方法は、このような凝集工程を前記
成形工程の前に設けることができる。
【0053】[使用する材料]前記無機質繊維として、
好ましくは、実質的に非晶質のシリカ繊維を主原料とし
て(好ましくは60〜100重量%、より好ましくは6
0〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%)
含有する無機質繊維を用いる。実質的に非晶質のシリカ
繊維としては、好ましくはSiO2を99重量%以上含
有するものを用いる。前記無機質繊維は、さらに、アル
ミナ繊維、アルミノシリケート繊維、アルミノボロシリ
ケート繊維等のような、実質的に非晶質のシリカ繊維と
併用した場合に実質的に非晶質のシリカ繊維を補強する
ことができる補強用無機質繊維を副原料として含むこと
ができる。
【0054】無機質結合剤形成原料粉末としては、好ま
しくは、(a)ホウ素酸化物形成原料粉末、(b)ジル
コニウムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(c)
クロムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(d)イ
ットリウムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、
(e)バナジウムの窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化
物、(f)ランタノイド系元素の窒化物、硝酸塩、炭酸
塩及び硼化物のうちの少なくとも1種の粉末を用いる。
ランタノイド系元素とは、既述のものである。
【0055】ホウ素酸化物形成原料粉末としては、水に
溶解しない非金属系のホウ化物を用いることができ、か
かるホウ化物としては例えば窒化ホウ素(BN)、炭化
ホウ素(B4C)、ホウ化珪素(SiB4、SiB6)等
がある。好ましくは、窒化ホウ素を用いる。窒化ホウ素
としては、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、正方
晶窒化ホウ素を用いることができるが、好ましくは安価
な六方晶窒化ホウ素を用いる。
【0056】[好適な製造方法]次に、無機質結合剤形
成原料粉末として非金属系のホウ素化合物粉末を用いる
場合の油水分離用フィルターの好適な製造方法について
説明する。
【0057】本発明の油水分離用フィルターにおける高
気孔体は、好ましくは、無機質繊維とホウ素化合物粉末
を水中で分散、混合して、ホウ素化合物粉末を捕集した
無機質繊維の凝集体を得て、前記凝集体を真空成形し、
乾燥後1200〜1400℃の温度で焼成することで製
造することができる。
【0058】上記無機質繊維は高気孔体への撥水剤結合
量をより高めるという点から、シリカ質の無機質繊維が
選択されるべきである。通常、シリカ繊維は他の無機質
繊維より単位表面積あたりの−OH基が多いためであ
る。また、高温で使用する場合には、ガラス転移点のあ
るシリカガラス質繊維ではなく、好ましくは、シリカ非
晶質繊維(実質的に非晶質のシリカ繊維、以下同様。)
にする。
【0059】しかし、シリカ非晶質繊維は繊維自体の強
度が弱いため、アルミナ繊維、アルミノシリケート繊
維、アルミノボロシリケート繊維のうち1つ又は複数の
繊維を補強用無機質繊維として添加することが強度向上
に好ましい。また、シリカ非晶質繊維は加熱されると結
晶化し、クリストバライトとなり繊維自体がもろくな
る。そのため、焼成後もシリカ非晶質繊維を非晶質のま
ま保持する必要がある場合には、結晶抑制剤としてホウ
素化合物を添加する。ホウ素化合物はシリカ及びアルミ
ナとアルミノボロシリケートを生成することから無機質
繊維間を融着させることを可能とする。
【0060】ホウ素化合物としては様々な化合物がある
が、金属ホウ化物はシリカ非晶質繊維を結晶化させる可
能性があるのみならず、ボロシリケート、アルミノボロ
シリケートのガラス化温度を変化させ、無機質繊維間の
融着を阻害するため望ましくない。非金属系のホウ化物
としては、酸化ホウ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ
化珪素などが知られているが、酸化ホウ素は水溶性があ
り、水中での分散、混合を伴う製造方法には適していな
い。窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ化珪素は、いずれの
ものも使用できるが、入手のしやすさから窒化ホウ素の
方が望ましい。
【0061】無機質繊維の直径は0.65〜10μmが
望ましい。0.65μmよりも細い場合は強度が低くな
り、10μmよりも太すぎるとフィルターにおける高気
孔体の細孔径が大きくなり、油中に分散した水の微粒子
が通りやすくなるため油水分離が困難となる。シリカ非
晶質繊維としては径が例えば1〜2.5μmのものを、
アルミナ繊維等の補強用無機質繊維としては径が例えば
1〜3.5μmのものをそれぞれ用いることができる。
繊維の長さは特に制限はないが、1〜30mm程度が望
ましい。シリカ非晶質繊維と補強用無機質繊維との割合
は、−OH基がより多く付いているシリカ非晶質繊維を
90〜60重量%とすべきである。
【0062】無機質結合剤形成原料粉末として添加する
窒化ホウ素粉末の粒度は、1200〜1400℃で焼成
する際に酸化し、無機質繊維とボロシリケート、又はア
ルミノボロシリケートを生成させ、無機質繊維の界面を
融着させなければならないため、900〜1200℃
(より好ましくは1000〜1200℃、さらに好まし
くは1100〜1200℃)付近で酸化反応を起こす程
度の粒度が望ましい。
【0063】窒化ホウ素粉末が900℃よりも低温で酸
化反応を起こすと、無機質繊維と反応する前に窒化ホウ
素粉末が酸化して生成した酸化ホウ素が昇華し、所定量
よりもホウ素量が不足するため強度低下が起こる。ま
た、1200℃よりも高い温度で酸化する窒化ホウ素粉
末では、窒化ホウ素粉末の酸化が起こる前に、無機質繊
維の結晶化が起こる。窒化ホウ素粉末は扁平な形状をし
ているため測定方法により平均粒径は大きく異なるの
で、使用する窒化ホウ素粉末の粒度は酸化反応を引き起
こす温度から決定すべきである。
【0064】窒化ホウ素粉末は、無機質繊維の全重量に
対して好ましくは約3〜7.5重量%添加する。3重量
%未満では無機質繊維間の融着が悪く、強度が不足する
傾向がある。一方7.5重量%よりも多くの窒化ホウ素
粉末等のホウ素化合物粉末を添加しても強度上昇は確認
できないためである。
【0065】無機繊維質はそのまま水中に分散させるこ
とは困難であるので、一旦、pH1〜2程度の強酸水溶
液中に攪拌モータにて1〜2時間分散させ、無機質繊維
表面に親水基を吸着させる。強酸水溶液を除去した後、
水を加え無機質繊維を15〜30分程度攪拌モータで攪
拌する。その後、加えた水を除去し、再度水を加え無機
質繊維を15〜30分程度攪拌モータで攪拌すれば水中
に均質に分散できる。
【0066】水を加え攪拌した後、一旦水を除去するの
は、無機質繊維、特にシリカ非晶質繊維は強酸水溶液中
に長時間分散させておくと溶解が開始するためであり、
無機質繊維を分散させる水溶液のpHを3〜6程度にす
る必要があるからである。2回の脱水でpHが3より大
きくならない場合pHが3よりも大きくなるまで同様の
操作を行う。この時に用いる水は水道水でも構わないが
脱イオン水の方が好ましい。
【0067】シリカ非晶質繊維を用いる場合には、水道
水中のナトリウム、カリウム、マグネシウムといったア
ルカリ金属及びアルカリ土類金属がシリカ非晶質繊維の
結晶化を促進するため、脱イオン水を使用するべきであ
る。強酸水溶液中及び水中に無機質繊維を分散させる際
には、無機質繊維全体を1〜3重量%程度の含有率にな
るように分散させることが望ましい。分散させる際の無
機質繊維の重量割合を大きくすると、分散させる攪拌モ
ータの出力を大きくすることが必要であり、分散中に無
機質繊維を短く折ってしまい、強度を低下させる可能性
がある。
【0068】窒化ホウ素は攪拌モータと超音波洗浄機を
用いてpH3〜6の水溶液中に分散させておく。これは
1つには窒化ホウ素が弱酸性域で分散が良好であるため
であり、もう一つは分散させた無機質繊維懸濁液に合わ
せるためである。窒化ホウ素の分散は、pH3〜6の水
溶液に対し1.5〜2.0重量%の含有率とすることが
望ましい。このようにpH3〜6の水溶液中に窒化ホウ
素粉末を分散させて得られた窒化ホウ素粉末懸濁液を、
無機質繊維を分散させたpHが3よりも大きい水溶液中
に加え、30分間程度混合する。
【0069】無機質繊維はpH3〜6の弱酸性域で水中
に分散されているが、無機質繊維はpHをアルカリ側に
変化させる(分散時のpHの値よりもpHの値を大きく
する)ことで分散状態から凝集状態へと変化し、窒化ホ
ウ素粉末を捕集した無機質繊維の凝集体を得ることがで
きる。
【0070】凝集した前記無機質繊維は脱水・成形時に
緩衝材料のように抵抗として働くため、前記無機質繊維
の凝集度合いを変化させることにより、成形時の抵抗の
度合いを変化させ、充填の度合いを変化させることがで
きる。この結果、フィルターにおける高気孔体の気孔
率、強度を、希望するものにコントロール(制御)する
ことが可能である。
【0071】また、成形中においては、無機質繊維の凝
集体単位で成形させることができるため、無機質繊維の
配向を抑制できる。通常、抄造といった成形方法を用い
る場合には、加圧方向に繊維が配向してしまい、厚さ方
向の引張強度が低いといった問題点があったが、本発明
では配向を抑制できるため、フィルターにおける高気孔
体の方向性をなくし、強度を高くすることを可能とし
た。
【0072】この様な配向を抑制するには懸濁液を成形
前にpH4以上に調整すればよいが、好ましくはpH4
〜10である。pHを10以上にしても抑制効果は変わ
らないが、廃液の処理等のように工程が煩雑になるため
pHを10以下とすることが好ましい。
【0073】pH調整に用いられるpH調整剤は、アン
モニア水、又は酢酸アンモニウムなどが好ましく、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物はシ
リカ非晶質繊維を結晶化させ、前記高気孔体の強度を著
しく低下させてしまうため望ましくない。
【0074】pH制御を行った無機質繊維とホウ素化合
物粉末の混合懸濁液は、真空成形により脱水、成形す
る。その後、成形体を80〜110℃で乾燥し、窒化ホ
ウ素が酸化し、無機質繊維と反応する温度以上の120
0〜1400℃(好ましくは1300〜1400℃)で
焼成する。昇温速度は成形体内部まで均一な温度になる
ように選択し、1時間で100〜250℃昇温させる程
度、即ち100〜250℃/hr.(好ましくは100
〜200℃/hr.)程度が望ましい。最高温度での保
持時間は1〜2時間程度で良い。焼成時の雰囲気は窒化
ホウ素の酸化を促進するため、酸化雰囲気が好ましい。
【0075】得られた高気孔体にポリジメチルシロキサ
ン、フルオロアルキルシラン、テトラエトキシシランな
どのシランカップリング剤を用いて撥水処理を施す。こ
れらのカップリング材は高気孔体表面に存在する−OH
基と化学結合するため、薄く均一で強固な膜(撥水性を
有する膜)が形成される。ここで撥水性とは水との接触
角が90℃以上であることをいう。
【0076】
【実施例】[実施例1〜4]シリカ非晶質繊維(米国Sh
uller社製Q-Fiber、純度:99.7wt%SiO2、真
比重:2.0g/cm3、繊維の平均径:2μm)60
0gをpH1の塩酸水溶液35l中に攪拌モータを用い
て分散させ、強酸水溶液を除去した。強酸水溶液を除去
したシリカ非晶質繊維に脱イオン交換水を35l加え攪
拌モータで20分間分散し、分散液を除去するという一
連の操作を2回繰り返した。
【0077】アルミナ繊維(英国ICI社製SAFFI
L、純度:96wt%Al23、真比重:3.2g/c
3、繊維の平均径:3μm)150gもpH1の塩酸
水溶液25l中に攪拌モータを用いて分散させ、強酸水
溶液を除去した。強酸水溶液を除去したアルミナ繊維も
シリカ非晶質繊維と同様に脱イオン水を25l加え攪拌
モーターで20分間分散し、分散液を除去するという一
連の操作を2回繰り返した。
【0078】このシリカ非晶質繊維とアルミナ繊維を混
合し、六方晶窒化ホウ素粉末(電気化学工業(株)製デ
ンカボロンナイトライド、平均粒径:7.3μm、酸化
温度:950℃)31.2gを分散させた水溶液を1.
5l加え攪拌モータで30分混合した後、濃アンモニア
水(28%NH3)で4.3〜9.0の各pH(pH
9.0、7.0、5.0及び4.3)に調整し、シリカ
非晶質繊維、アルミナ繊維及び窒化ホウ素粉末から成る
凝集体を得た。
【0079】pH調整後、有効口径36cm×36cm
の真空成型機で脱水して縦36cm×横36cmの成形
体を得て、この成形体をさらに高さ8.5cmまで加圧
し、得られた成形体を100℃で乾燥した。乾燥後、成
形体を大気雰囲気中で1300℃、1.5時間焼成し、
実施例1〜4の高気孔体を得た。得られた実施例1〜4
の各々の高気孔体の気孔率(体積%)及び曲げ強度(k
gf/cm2)を表1に示す。また、各々の高気孔体の
気孔径は、実施例1のものが58μmであり、実施例2
のものが56μmであり、実施例3のものが56μmで
あり、実施例4のものが54μmであった。
【0080】
【表1】
【0081】表1には、シリカ非晶質繊維76.8重量
%、アルミナ繊維19.2重量%、窒化ホウ素4重量%
で調合し、成形直前のpHを変えて得られた各高気孔体
の気孔率と曲げ強度を示している。通常、多孔質体のフ
ィルターの気孔率を変化させるためには、調合の変更、
成形時の加圧力の変更により行っていたが、本発明の方
法によれば、pHのみを変化させるだけで原料の調合、
製造方法を変えることなく気孔率を所望の値に変更する
ことができる。
【0082】実施例1の多孔質体のXRD(X線回折
法)パターンを図2に示す。補強用に用いたアルミナ繊
維のコランダムのピークは確認できるが、クリストバラ
イトのピークは確認できなかった。
【0083】pH3.5〜4.0の水に可溶であるシラ
ンカップリング剤を、pH3.5の水に0.5重量%溶
液となるように溶解させ、加水分解させた。この溶液に
表1に示した実施例1〜4の高気孔体を浸し、水分を十
分取り除いた後、130℃で乾燥した。これにより、本
発明の撥水処理を施した油水分離フィルターを得た。得
られたフィルターは、使用してもカップリング剤による
目詰まりのないものであった。使用したシランカップリ
ング剤は、メチルトリメトキシシラン(東レ・ダウ・コ
ーニングシリコーン(株)、品番SZ6070)であ
る。
【0084】[比較例]比較例として、アルミナ粒子
(#320)をホウ珪酸ガラスで結合させた粒子結合型
フィルターを作製した。このフィルターは、気孔率が4
0%、平均細孔径が10μmであった。このフィルター
に実施例と同様にして撥水処理を施した。
【0085】〈水進入距離の測定〉撥水処理をしたフィ
ルター(実施例、比較例とも)を50mm×100mm
×20mmの板状に加工した。また、サラダ油100m
lに青く着色したイオン交換水10mlを加え、攪拌機
で十分攪拌させ、油水混合液を作製した。使用したサラ
ダ油の粘度は、4.12cP(B型粘度計による測定)
であった。
【0086】加工したフィルターを油水混合液に1cm
入れ、真空デシケータの中に入れ、減圧することで強制
的にフィルターへ油水混合液を吸着させた。約1時間減
圧後、水が含まれている部分の距離を測定した。水進入
距離の測定結果は、図3に示すように、実施例1が1.
0mm、実施例2が1.1mm、実施例3が1.2m
m、実施例4が1.2mm、比較例が4.7mmであ
る。
【0087】油水混合液に前記フィルターを入れた場
合、若干の水分がフィルター内部に侵入するが、従来の
フィルターは表面積が低いため、撥水処理を施しても、
単位体積あたりの撥水基が本発明品(実施例1〜4)よ
り少なく、気孔率が低い。従って、従来のフィルターと
本発明品とを比較すると、図1に示すように水分の進入
する距離が異なってくる。
【0088】本発明は、比表面積を高め、気孔率を高め
た高気孔体を撥水処理することにより、フィルター内部
へ水が進入する距離を極めて小さくしようとするもので
ある。このため、本発明では、上述のように無機質繊維
を用い、前記繊維が複雑に絡み合った3次元網目構造の
高気孔体を使用した。前記高気孔体の比表面積は、0.
6m2/gであり、粒子を焼結させたフィルターあるい
はセラミックフォームの0.06m2/gよりはるかに
大きい。また、気孔率は80体積%以上となり、従来の
40%より大きい。したがって、水をほとんど吸収する
ことがないため、油水分離が可能となる。また、このよ
うに気孔率が高いため、セラミックフィルター体積あた
りの処理量も従来より大きい。
【0089】さらに、従来から無機繊維のフェルト、マ
ットの成形体は存在するが、本発明のフィルターは、3
次元網目構造を有するため、高い気孔率を持つにもかか
わらず、曲げ強度で10kgf/cm2以上と高い強度
を持つ。このため、板状、円筒状などの形状を付与し
て、従来の装置の中に組み込んで連続使用する場合にも
十分耐えうる。
【0090】
【発明の効果】請求項1〜12の油水分離フィルター
は、無機質繊維と前記無機質繊維を結合する無機質結合
剤を含有して成る高気孔体を有し、少なくとも油水混合
液との接触部分は、撥水剤に対して結合性を有する前記
高気孔体の反応基に結合する撥水剤を、油を通過させ水
を遮断するのに十分な程度有するので、次の基本的効果
を奏することができる。
【0091】油水混合液を良好に分離することができ
る。即ち、油水混合液(特に、水の含有率が油の含有率
よりも著しく小さい油水混合液)を水と油に良好に分離
することができる。特に、濾過された液体(油性成分)
の中に水の微粒子が混入することを防止して、油水混合
液から油を良好に分離して、水分含有率が著しく低いか
又は水分を実質的に含有しない油を得ることができる。
【0092】また、フィルターの濾過方向内部に水が進
入しにくい(水の進入する距離が小さい)ので、油水混
合液の分離能力が高いと共に、高い分離能力を発揮する
期間が長いので、フィルターの洗浄回数を低減すること
ができ、保守しやすい。特に、本発明のフィルターをク
ロスフロー方式の濾過装置に設置した場合、逆洗等の洗
浄回数を減らすことが可能となり、能率よく油水混合液
を分離処理することができる。
【0093】さらに、前記高気孔体を含有するので、気
孔率が高いため油水混合液の処理能力(油水分離能力)
が高く、短時間で大量の油水混合液を処理することがで
きる。よって、油(特に、水分含有率が著しく低い油、
あるいは水分を実質的に含有しない油)を極めて効率よ
く回収することができる。従って、本発明の油水分離フ
ィルターを使用する装置をコンパクトにすることも可能
である。
【0094】その上、使用中におけるシリコーン系のオ
イル等の撥水剤の脱離によるフィルターの目詰まりなし
に油水混合液を分離することができる。
【0095】請求項2〜12の油水分離フィルターは、
請求項1の構成に加えてそれぞれの各請求項に記載の構
成をさらに具備するので、上記基本的な効果がより一層
顕著である。
【0096】請求項13〜22の油水分離フィルターの
製造方法は、撥水剤に対して結合性を有する高気孔体の
反応基に撥水剤を結合して、油を通過させ水を遮断する
のに十分な親油性を有する油水混合液接触部分を形成す
る撥水剤結合工程を含み、前記高気孔体として、無機質
結合剤形成原料粉末を捕集した無機質繊維の凝集体を含
む成形体を、前記無機質結合剤形成原料粉末と前記無機
質繊維が反応する最低温度以上の温度で焼成して得られ
た高気孔体を用いるので、本発明の油水分離フィルター
を簡単に製造することができるという基本的な効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルターと比較例のフィルターにつ
いての、水の進入している距離の比較を示す模式図であ
る。
【図2】非晶質のシリカ繊維を含む本発明の実施例のフ
ィルターのX線回折法によるパターンを示す図である。
【図3】本発明の実施例と比較例のフィルターの水進入
距離の測定結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000004293 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 愛知県名古屋市西区則武新町3丁目1番36 号 (74)上記3名の代理人 100080816 弁理士 加藤 朝道 (72)発明者 垰田 博史 愛知県名古屋市名東区平和が丘1丁目70番 地猪子石住宅4棟301号 (72)発明者 野浪 亨 愛知県名古屋市名東区平和が丘1丁目70番 地猪子石住宅1棟302号 (72)発明者 矢野 賢司 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 加藤 真示 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 岩田 美佐男 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 松永 博和 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 Fターム(参考) 4H020 BA32 BA34 BA36

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機質繊維と前記無機質繊維を結合する無
    機質結合剤を含有して成る高気孔体を有し、 少なくとも油水混合液との接触部分は、撥水剤に対して
    結合性を有する前記高気孔体の反応基に結合する撥水剤
    を、油を通過させ水を遮断するのに十分な程度有するこ
    とを特徴とする油水分離フィルター。
  2. 【請求項2】前記反応基は水酸基であり、前記撥水剤は
    シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1
    に記載の油水分離フィルター。
  3. 【請求項3】前記シランカップリング剤は、メチルトリ
    メトキシシラン、ポリジメチルシロキサン、フルオロア
    ルキルシラン、テトラエトキシシラン、フルオロアルキ
    ルシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメトキシシラ
    ン、ジメチルエトキシシランのうちの1種以上であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の油水分離フィルター。
  4. 【請求項4】前記高気孔体は、3次元網目構造の高気孔
    体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の油水分離フィルター。
  5. 【請求項5】前記接触部分の撥水剤が結合する高気孔体
    の部分は、前記接触部分が油を通過させ水を遮断するの
    に十分な比表面積を有することを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の油水分離フィルター。
  6. 【請求項6】前記比表面積は、0.6m2/g以上であ
    ることを特徴とする請求項5に記載の油水分離フィルタ
    ー。
  7. 【請求項7】前記高気孔体は、気孔率が80体積%以上
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    の油水分離フィルター。
  8. 【請求項8】前記高気孔体は、曲げ強度が8kgf/c
    2以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    かに記載の油水分離フィルター。
  9. 【請求項9】前記無機質繊維は、実質的に非晶質のシリ
    カ繊維を主たる無機質繊維として含むことを特徴とする
    請求項1〜8のいずれかに記載の油水分離フィルター。
  10. 【請求項10】前記無機質繊維は、さらに、アルミナ繊
    維、アルミノシリケート繊維、アルミノボロシリケート
    繊維のうちの1種以上を補強用無機質繊維として含むこ
    とを特徴とする請求項9に記載の油水分離フィルター。
  11. 【請求項11】前記無機質結合剤は、実質的に非晶質の
    シリカ繊維の結晶化を抑制する結晶化抑制剤の粉末と無
    機質繊維との反応生成物を含むことを特徴とする請求項
    9〜10のいずれかに記載の油水分離フィルター。
  12. 【請求項12】前記結晶化抑制剤の粉末は、(a)非金
    属ホウ化物、(b)ジルコニウムの窒化物、硝酸塩、炭
    酸塩及び硼化物、(c)クロムの窒化物、硝酸塩、炭酸
    塩及び硼化物、(d)イットリウムの窒化物、硝酸塩、
    炭酸塩及び硼化物、(e)バナジウムの窒化物、硝酸
    塩、炭酸塩及び硼化物、(f)ランタノイド系元素の窒
    化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物のうちの少なくとも1
    種を含有する粉末であることを特徴とする請求項11に
    記載の油水分離フィルター。
  13. 【請求項13】撥水剤に対して結合性を有する高気孔体
    の反応基に撥水剤を結合して、油を通過させ水を遮断す
    るのに十分な親油性を有する油水混合液接触部分を形成
    する撥水剤結合工程を含み、 前記高気孔体として、無機質結合剤形成原料粉末を捕集
    した無機質繊維の凝集体を含む成形体を、前記無機質結
    合剤形成原料粉末と前記無機質繊維が反応する最低温度
    以上の温度で焼成して得られた高気孔体を用いることを
    特徴とする油水分離フィルターの製造方法。
  14. 【請求項14】前記反応基は水酸基であり、前記撥水剤
    としてシランカップリング剤を用いることを特徴とする
    請求項13に記載の油水分離フィルターの製造方法。
  15. 【請求項15】前記シランカップリング剤として、メチ
    ルトリメトキシシラン、ポリジメチルシロキサン、フル
    オロアルキルシラン、テトラエトキシシラン、フルオロ
    アルキルシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメトキ
    シシラン、ジメチルエトキシシランのうちの1種以上を
    用いることを特徴とする請求項14に記載の油水分離フ
    ィルターの製造方法。
  16. 【請求項16】前記凝集体として、無機質結合剤形成原
    料粉末と無機質繊維が分散する分散液のpHを調整して
    得られた凝集体を用いることを特徴とする請求項13に
    記載の油水分離フィルターの製造方法。
  17. 【請求項17】前記分散液として、pH3以上の弱酸性
    の分散液を用いることを特徴とする請求項16に記載の
    油水分離フィルターの製造方法。
  18. 【請求項18】前記成形体として、前記凝集体を真空成
    形して得られる成形体を用いることを特徴とする請求項
    13〜17のいずれかに記載の油水分離フィルターの製
    造方法。
  19. 【請求項19】前記分散液をpH4〜10に調整し、p
    H3以上の弱酸性の分散液に分散していた無機質繊維の
    凝集の程度を変化させることによって、焼成後に得られ
    る高気孔体の気孔率を制御することを特徴とする請求項
    16〜18のいずれかに記載の油水分離フィルターの製
    造方法。
  20. 【請求項20】前記分散液を、前記焼成工程の焼成後に
    得られる高気孔体の気孔率に対応するpH4〜10の範
    囲内の所定pHに調整することを特徴とする請求項16
    〜19のいずれかに記載の油水分離フィルターの製造方
    法。
  21. 【請求項21】前記無機質繊維として、実質的に非晶質
    のシリカ繊維を主原料として含有する無機質繊維を用い
    ることを特徴とする請求項16〜20のいずれかに記載
    の油水分離フィルターの製造方法。
  22. 【請求項22】前記無機質結合剤形成原料粉末として、
    (a)ホウ素酸化物形成原料、(b)ジルコニウムの窒
    化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(c)クロムの窒化
    物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(d)イットリウムの
    窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(e)バナジウム
    の窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物、(f)ランタノ
    イド系元素の窒化物、硝酸塩、炭酸塩及び硼化物のうち
    の少なくとも1種の粉末を用いることを特徴とする請求
    項13〜21のいずれかに記載の油水分離フィルターの
    製造方法。
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