JP2000000096A - オリゴヌクレオチドおよびベロ毒素1型遺伝子の検出試薬 - Google Patents

オリゴヌクレオチドおよびベロ毒素1型遺伝子の検出試薬

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JP2000000096A JP10167452A JP16745298A JP2000000096A JP 2000000096 A JP2000000096 A JP 2000000096A JP 10167452 A JP10167452 A JP 10167452A JP 16745298 A JP16745298 A JP 16745298A JP 2000000096 A JP2000000096 A JP 2000000096A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 O-157等陽性試料中の核酸の測定において、
遺伝子増幅法により増幅した産物を、蛍光偏光法を利用
して再現性良く、正確かつ迅速に測定する技術、詳細に
はO-157等のベロ毒素産生菌の有無を迅速に検出するた
めの試薬を提供する。 【解決手段】 配列 ATAGATCCAGAGGAAGGGCGGまたはこれ
と相補的な配列に含まれる、少なくとも10塩基以上の
配列からなることを特徴とするオリゴヌクレオチド、お
よび該オリゴヌクレオチを有することを特徴とするベロ
毒素1型遺伝子の検出試薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベロ(Vero)毒素
遺伝子の検出試薬に関し、更に詳しくは病原性大腸菌O-
157 (以下、単にO-157ともいう)に代表されるベロ毒
素1型遺伝子を有する細菌等を迅速かつ高感度で検出す
る試薬に関する。
【0001】
【従来の技術】病原性大腸菌O-157は、1990年浦和
市で300人近い患者が発生し、死者2名を出した。そ
の後、1996年には5月以降、全国で爆発的な集団発
生を起こし、多くの死者と1万人近い患者を発生させ、
大きな社会問題になった。O-157は腸管出血性大腸菌の
一種であり、極めて感染力が大きい。わずかでもこれを
含んでいる食物を哺乳動物が摂取すると、腸内で爆発的
に増殖し、ベロ毒素という猛毒を量産する。潜伏期は4
〜8日と長く、赤痢のような症状を呈する。5歳以下の
乳幼児や病弱な高齢者の場合は死に至ることが少なくな
い。また、ベロ毒素を産生する大腸菌は、O-157以外に
も存在することが知られている(例えばO-111、O-26な
ど) 。
【0002】現在、 O-157等による腸管出血症に対して
は、食物の加熱処理、手洗いの励行などの予防法が重要
視されている。しかし、一般の人々の予防措置だけで
は、自ずから限界があり、抜本的な解決策の確立が強く
要望されている。「腸管出血症の疑いあり」と確認され
れば、O-157等の感染の有無の確認、感染源の特定が迅
速に行われなければならない。
【0003】生物はそれぞれ特有の遺伝子を含んだ核酸
をその細胞内に持っている。特定の病原菌の有無はその
固有の核酸を検出することで調べることができる。こう
した方法は既にO-157などにも応用されている。たとえ
ば、放射線標識法や酵素標識法などが既に知られてい
る。次のような方法である。放射性標識や酵素標識を付
し、測定に用いる試薬(測定試薬)を予め調製する。そ
の測定試薬と検査対象試料とを混合する。測定試薬が感
応して結合する物質がその検査対象試料の中にあれば、
測定試薬と結合した結合体(複合体)をその他の未結合
の測定試薬または検査対象試料の中から選択的に分離
(B/F分離と呼ばれる方法である)し、標識に起因し
て発生する信号を計測する。しかし、一般にこれらの放
射性標識法や酵素標識法では、煩雑なあるいは長時間の
操作が必要なB/F分離が必須であるという欠点があ
る。
【0004】簡便かつ迅速な測定法としては蛍光偏光法
がある。検出しようとする核酸の塩基配列と相補的な関
係にある塩基配列を含む1本鎖の核酸を取得し、これに
蛍光物質を付して標識プローブとよぶ蛍光標識試薬を調
製する。測定すべき試料にその蛍光標識試薬を加える。
該試料中に標的とする塩基配列を含む核酸(以下、標的
核酸とよぶ)が存在する場合、ある反応時間で該試薬が
標的とする塩基配列を有する部位と、互いに相補的な配
列同士が会合し結合する。この反応をハイブリダイゼー
ションとよぶ。ここで試料中の標的核酸は温度あるいは
薬品等の処理によって1本鎖の状態に前処理されている
ものとする。ハイブリダイゼーションにより、蛍光標識
試薬が標的核酸と結合すると該試薬の見かけ上の分子量
は結合前より増大する。一般に溶液中での分子運動は分
子量が大きいほど緩慢である。そこで反応前後の蛍光偏
光度をモニターすると、ハイブリダイゼーションによる
結合後の値は結合前より大きくなる。これは標的核酸と
のハイブリダイゼーションにより、蛍光標識試薬の見か
け上の分子量が増大するからである。蛍光標識試薬の量
を一定とすれば、この変化の程度は標的核酸の量に対応
する。そこで反応前後の蛍光偏光度の変化により、標的
核酸の量を測定することができる。
【0005】通常、蛍光偏光度は、励起側、蛍光側とも
に偏光素子をセットし、蛍光側の偏光素子を回転させ励
起光の偏光面と平行および垂直の偏光面を有する蛍光を
測定することによって得られるので、1分以内の短時間
で1回の測定を終了することができる。以上説明したよ
うに、蛍光偏光法はB/F分離操作が不要であり、迅速
・簡便な核酸測定法に応用することが可能である。
【0006】なお、同法の測定感度は、基本的に蛍光標
識物質(ラベル)の検出感度に依存しているため、高い
とは言い難い。たとえば患者からの検体や食品中の微生
物の核酸を測定する場合、その量は微量である。よって
蛍光偏光法によると感度的に測定困難な場合がある。ま
た、病原性大腸菌O-157は、食物中に僅かしか含まれて
いなくても、大腸菌である故に、哺乳動物の腸内で爆発
的に増殖する場合がある。よって、食物中に僅かに含ま
れているベロ毒素遺伝子の核酸を正確かつ高感度に検出
することが要求される。
【0007】そこで、微量に含まれる標的核酸を高感度
に測定するためには、予めPCR(たとえば、Erlich,
H.A.,Gelfand, D.H. and Saiki, R.K.(1988)Specific D
NA amplification. Nature 331,461-462 参照)等の遺
伝子増幅法により、該遺伝子(核酸)の量を増幅させて
おき、これを蛍光偏光法によって測定すればよいだろう
ということは容易に想像される。また、すでに、蛍光標
識したオリゴDNAを遺伝子の増幅用プライマーとして
用い、増幅の進行とともに蛍光偏光度が増大することを
利用して、核酸を測定する方法も提唱されている(Tami
ya, E. and Karube, I(1993)New Functionality Materi
als B, 99-104.参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前項の従来の技術に記
したように、微量の標的核酸を測定する場合、感度上の
理由から、あらかじめ遺伝子増幅法により該標的核酸の
量を増幅し、この増幅産物を蛍光偏光法により測定する
ことが想像される。また、ベロ毒素2型遺伝子と特異的
にハイブリダイゼーションを行う蛍光標識試薬として、
配列表の配列番号2に示す塩基配列を有するものを用い
ることが、Tsuruoka,M.,Fukuhara,K.,Murano,S.,Okada,
M.,Honda,T.,Karube,I.(1997)Rapiddetection of the E
scherichia coli verotoxin(VT2)gene using fluoresce
ncepolarization. Int. Cyber Cong. Anal. BioScience
s(CCAB97),Pharm.Soc. Jpn.で開示された。
【0009】しかしながら、O-157等陽性試料中のベロ
毒素遺伝子の核酸を測定した実験によると、測定試料に
対して通常のPCR操作(たとえば、Erlich,H.A., Gel
fand, D.H.and Saiki,R.K.(1988)Specific DNA amplifi
cation.Nature 331,461-462参照)を行い、該産物中の
核酸をそのまま、公知の配列の蛍光標識試薬を用いて測
定した場合、未だに検出感度が不十分であったり、結果
の再現性が低い等の問題が見られることが本発明者らに
よって発見された。また、ベロ毒素は、互いに類似した
1型と2型が存在することが明らかになっており、ベロ
毒素2型遺伝子を標的とするだけでは、ベロ毒素産生菌
の有無を検出するには不十分である。従って、本発明
は、従来の技術の欠点を克服し、O-157等陽性試料中の
核酸の測定において、遺伝子増幅法により増幅した産物
を、蛍光偏光法を利用して再現性良く、正確かつ迅速に
測定する技術、詳細にはO-157等のベロ毒素産生菌の有
無を迅速に検出するための試薬を提供しようとするもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は以下の通
りである。本発明者らは鋭意検討の結果、ベロ毒素1型
遺伝子と特異的にハイブリダイゼーションを行う蛍光標
識試薬として、特定の配列を有するものを適用すること
により、高感度で再現性よくベロ毒素1型遺伝子を検出
できることを見出した。すなわち本発明は、以下のとお
りである。
【0011】(1)配列表の配列番号1に示す配列又は
配列番号1と相補的な配列に含まれる、少なくとも10
塩基以上の配列からなることを特徴とするオリゴヌクレ
オチド。 (2)蛍光標識を有することを特徴とする前記(1)の
オリゴヌクレオチド。 (3)5’末端に蛍光標識を有することを特徴とする前
記(2)のオリゴヌクレオチド。 (4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のオリゴヌ
クレオチドを有することを特徴とするベロ毒素1型遺伝
子の検出試薬。
【0012】本発明のオリゴヌクレオチドまたは検出試
薬は、O-157等検査試料の核酸増幅産物をそのまま蛍光
偏光法による測定に適用できるのであり、これにより検
出の感度や再現性を向上できるものである。また、本発
明では、遺伝子増幅法により増幅された核酸中の塩基配
列に対し、さらに蛍光標識したDNAプローブをハイブリ
ダイゼーション反応により結合させ、これを蛍光偏光法
により測定するので、かかる塩基配列の測定に際し非常
に高い特異性を得ることができる(鶴岡誠、本田武司、
軽部征夫, (1997)日本臨床,55, 741-746, および Tsur
uoka,M.,Fukuhara,K.,Murano,S.,Okada,M.,Honda,T.,Ka
rube,I.(1997)Rapid detection of the Escherichia co
li verotoxin(VT2)gene using fluorescence polarizat
ion. Int. Cyber Cong. Anal. BioSciences(CCAB97),Ph
arm.Soc. Jpn. 参照)。この点は、従来の技術の欄に例
示した、蛍光標識したDNAを遺伝子増幅用プライマーと
して用いる測定方法( Tamiya,E. andKarube,I.(1993)N
ew Functionality Materials B, 99-104.参照)と著し
く異なる点である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明でいう核酸とは、一般的に
DNA(デオキシリボ核酸)またはRNA(リボ核酸)を示
す。本発明のオリゴヌクレオチドまたは検出試薬が適用
できる核酸増幅産物としては、通常のPCR操作による
ものでも構わないが、先に本出願が出願(特願平9ー2
19744号)した如く、非対称PCRによるものや、
通常PCR増幅後にプライマーをアニールさせたものが
より効果的である。非対称増幅法とは、2本鎖からなる
鋳型の核酸の、ある1本鎖側の配列のみを選択的に増幅
するか、ある1本鎖側の配列を他の1本鎖側の配列より
も多くなるように増幅する方法である。この際のプライ
マーは、該蛍光標識試薬と相補的な塩基配列を有する部
分を複数あるいは少なくとも1つ含む領域を増幅させる
ものであれば、自由にデザインされてよい。
【0014】通常のPCR法で得られる核酸増幅産物
は、完全な2本鎖がほとんどであり、これに対して、蛍
光偏光法で用いる蛍光標識試薬は、基本的には比較的短
い1本鎖である。サンプル中の核酸増幅産物である2本
鎖核酸を熱処理等により変成させ1本鎖とし、次いで該
蛍光標識試薬と、これと相補的な塩基配列を有する側の
1本鎖核酸とのハイブリダイゼーションを試みると、該
蛍光標識試薬と相補的な塩基配列を有さない側の1本鎖
核酸が、該蛍光標識試薬と競合し、ハイブリダイゼーシ
ョンが困難になると考えられる。
【0015】しかし、遺伝子増幅に際して非対称増幅法
を用い、蛍光標識試薬が相補的に結合する塩基配列を有
する側の1本鎖核酸を選択的に増幅することにより、該
1本鎖核酸が他方の1本鎖核酸よりも多くなり、該蛍光
標識試薬のこれと相補的に結合する塩基配列を有する側
の1本鎖核酸へのハイブリダイゼーション効率を向上す
ることができると考えられる。また、別に、核酸を遺伝
子増幅法によって増幅し熱処理等により変成させ1本鎖
とした後、該増幅に用いたプライマーのアニール処理を
行うことにより、蛍光標識試薬をハイブリダイゼーショ
ンさせる時に、変成させた1本鎖核酸同士がハイブリダ
イゼーションすることを避け、該蛍光標識試薬のハイブ
リダイゼーション効率を向上することができると考えら
れる。
【0016】通常のPCRでは、測定試料に2種類のプ
ライマーを等量添加し、DNAの複製反応を連鎖的に行
う。通常、鋳型のDNAは2本鎖であるため、複製され
るDNAもほとんどは2本鎖となる。これに対し、非対
称増幅法によると、2種類のプライマーのうちの1種の
みを添加するか、あるいは、2種類のプライマーのうち
1種のプライマーの量をもう1種のプライマーの量より
多く添加して行う(例えば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8
5(1988)7652-7656参照)。一例として、2種類のプライ
マーの量を2〜10倍の比率で変化させることで、非対
称増幅法を行うことが望ましい。
【0017】また、試料中の核酸を遺伝子増幅法によっ
て増幅した後、増幅に用いたプライマーのアニール処理
を行うためには、増幅した核酸を変成させ1本鎖とする
必要がある。核酸を変性するためには、約100℃の加
熱処理やアルカリ剤等による従来公知の方法が挙げられ
る。プライマーのアニール条件は、その塩基数の長さに
よっても異なるが、増幅の操作時に何度も繰り返し行っ
た条件と同様で構わない。
【0018】核酸を測定する方法としては、下記の具体
例が既に知られている。 A.(1)蛍光標識された1本鎖核酸プローブを(2)
試料と混合し、2本鎖形成前の蛍光偏光度に対する該2
本鎖形成後の蛍光偏光度の変化を測定することにより、
試料中の核酸に存在する、上記1本鎖核酸プローブに相
補的に対応する塩基配列を測定する方法。
【0019】B.(1)試料中の測定対象核酸および
(2)該測定対象核酸と相同な塩基配列を有する蛍光標
識された1本鎖核酸プローブを、(3)該測定対象核酸
と相補的な塩基配列を含む核酸を固定化担体に結合させ
た固定化試薬に対して競合させて、2本鎖DNAまたは
DNA−RNAを形成させ、該2本鎖形成前の蛍光偏光
度に対する該2本鎖形成後の蛍光偏光度の変化を測定す
ることにより、試料中の核酸に存在する、上記1本鎖核
酸プローブに対応する塩基配列を測定する方法。
【0020】C.(1)試料中の測定対象核酸および
(2)試料中の測定対象核酸と相同な塩基配列を有する
核酸を固定化担体に結合させた固定化試薬を、(3)検
体中の測定対象核酸と相補的な塩基配列を有する蛍光標
識された核酸プローブに対して競合させて、2本鎖DN
AまたはDNA−RNAを形成させ、2本鎖形成前の蛍
光偏光度に対する2本鎖形成後の蛍光偏光度の変化を測
定して、試料中の核酸に存在する、該核酸プローブに相
補的に対応する塩基配列を測定する方法。
【0021】本発明では、試料中の核酸と蛍光標識試薬
とのハイブリダイゼーション反応を行わせるに際し、蛍
光標識試薬の混合前あるいは混合後に、無機酸塩または
有機酸塩を添加し、ハイブリダイゼーションを、0.01〜
5mol/リットル以上、好ましくは0.05〜3mol/リットル
の濃度の無機酸塩または有機酸塩を含む溶液中で行う。
0.01mol/リットル未満であると、ハイブリダイゼーショ
ンが飽和に達するのにおよそ30分以上必要とし、実用
に適さない。また多くの場合、無機酸塩または有機酸塩
は5mol/リットルを超えて溶解させることは難しい。(T
suruoka,M., Yano,K., Ikebukuro,K., Nakayama,H., Ma
suda,Y. and Karube,I.(1996) Optimization of the ra
te of DNA hybridization and rapid detection of met
hichillin resistant Staphylococcus aureus DNA usin
g fluorescence polarization. J. Biotechnol. 48, 20
1-208 参照)
【0022】本発明における無機酸塩としては、塩酸、
炭酸またはリン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩またはアンモニウム塩などがあり、例えば塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛等の
塩化物または炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムまたはリ
ン酸ナトリウムなどが挙げられる。本発明における有機
酸塩としては、酢酸、クエン酸、安息香酸またはフェノ
ールのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモ
ニウム塩などがある。
【0023】上記塩は溶液中の塩濃度が0.01〜5mol/リ
ットルとなるように添加する。そのためには、測定試薬
または測定試料のいずれかあるいは両方に予め上記塩を
添加してもよい。また測定試薬または測定試料を、塩を
含む緩衝液等によって希釈して用いてもよい。また、測
定試薬と測定試料を混合した後、塩を含む溶液等を添加
してもよい。なお一般に塩の解離定数は非常に大きいの
で、これらの塩を溶液に添加した場合、ほとんどが陽イ
オン、陰イオンに解離した状態で存在する。
【0024】本発明において使用する蛍光標識として
は、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネー
ト、テトラメチルローダミンイソチオシアネートなどが
ある。核酸に蛍光物質を結合させる方法としては、例え
ばチオカルバミド結合などの共有結合によるものがあ
る。例えばDNA(21塩基)をホスホアミダイト法に
よって合成し、蛍光標識、例えばフルオレセインを標識
する。本発明に使用する蛍光標識試薬としては、塩基数
は10塩基以上あれば、ある特定の遺伝子を特異的に検
出できる。(たとえば、Eur.J.Clin.Microbiol.Infect,
Dis.,10(1991)1048-1055;Nei,M.and Li,W.H. Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA.76(1979),5269-5273 参照)。
【0025】本発明における検査試料としては、調理食
品、生鮮食品、飲料水、生活用水、感染者の糞便などが
ある。試料中の核酸と蛍光標識試薬とのハイブリダイゼ
ーション反応を行う緩衝液としては、Tris緩衝液、リン
酸緩衝液、クエン酸緩衝液などがある。該緩衝液には無
機酸塩または有機酸塩のほかに、アジ化ナトリウムやE
DTA等を含んでいてもよい。
【0026】以下に蛍光偏光測定の原理について簡単に
説明する。光源から出る光はフィルターによって試薬に
含まれる蛍光物質の励起波長に濾過され、偏光板によっ
て直線偏光とされる。この励起波長の偏光は測定物質
(サンプル)を入れたセルに投射され、サンプル中の蛍
光物質を励起する。励起された蛍光物質は、物質に応じ
た波長の蛍光を発するが、この際ブラウン運動の激しさ
に対応して、該蛍光は偏光面の分散を起こす。該蛍光は
その波長を透過するフィルターを透過し、偏光板を透過
し、光検知器によって電気信号に変換される。偏光板を
回転することにより、サンプルの蛍光に対して励起偏光
と同じ向きの偏光成分Iaとこれに垂直な偏光成分Ib
を求める。これらの値を用いて、次に示す測定物質の蛍
光偏光度Pが求められる。
【0027】
【数1】
【0028】Iaは励起偏光と同じ向きの偏光成分を示
す。Ibは上記Iaに垂直な偏光成分を示す。この場
合、蛍光物質または蛍光物質を結合する物質のブラウン
運動が激しいほど、励起偏光と垂直な向きの偏光成分I
bは大きく、同時にこれと平行の偏光成分Iaは小さく
なり、したがってPは小さくなる。ただし、Ia、Ib
の測定に際しては、試料のブランク信号を補正する必要
があることを指摘しておく。また、測定装置の偏光面に
対する感度補正が必要な場合もある。
【0029】また本発明においては、蛍光標識(蛍光標
識相補)核酸は、測定対象の核酸に特異的に結合させる
ために用いられるのであり、同様に、核酸に対して特異
的に結合する性質を有する物質、例えばPNA(peptid
e nucleic acid, PerSeptiveBiosystems,U.S.A)等に蛍
光物質を標識し、これを蛍光標識核酸の代替として用い
ることも原理的に可能である。 蛍光偏光法は蛍光偏光
解消法とよばれることもあるが、事実上同じ方法を意味
すると考えてよい。また、多くの場合それぞれの指標と
して用いられる蛍光偏光度および蛍光偏光解消度に関し
ても同様である。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。検体試料として、広島市衛生研究所において、腸
管出血性大腸菌O-111(ベロ毒素1型産生)の存在が確
認されたヒト由来のサンプルを、42℃ノボビオシン加
mEC培地にて18時間培養した後、100℃にて熱処
理したものの核酸を非対称PCR法を用いて増幅したもの
と、陰性コントロールとして検体試料核酸量と同等量の
サケ精子DNAを含む溶液を前記と同条件で非対称PCRを行
い、配列表の配列番号1に示す塩基配列の蛍光標識試薬
を用いてそれぞれ蛍光偏光法によって測定し、そのデー
タを比較した。ベロ毒素1型遺伝子を増幅するためのプ
ライマーとしては、Karch,M. and Meyer,T.(1989) J. C
lin. Microbiol. 27, 2751-2757にて報告され既に公知
である配列番号3および配列番号4にそれぞれ示すもの
を使用した。増幅区間の長さは228塩基である。その
結果を図1に示す。
【0031】実施例にて用いた非対称PCR法の条件を
以下に示す。 1.使用機器 PERKIN ELMER Gene Amp PCR System 9600,MicroAmp R
eaction Tube(0.2ml) 2.PCR反応液組成 耐熱性DNAポリメラーゼであるGene Taq(和光純薬工
業(株))を用い、以下の表1に示す組成で非対称PC
R反応を行った。
【0032】
【表1】
【0033】なお、プライマーaおよびbの配列を、配
列表の配列番号3および4に示す。 3.PCR反応サイクル 94℃、1分間の熱変性により増幅対象DNAの1本鎖
化を行い、次いで下記の〜の操作を35サイクル行
った後、氷冷(4℃)した。 熱変性による1本鎖化;94℃、30秒間 プライマーaおよびbの増幅対象DNAへのアニーリ
ング;48℃、30秒間 TaqポリメラーゼによるDNAの伸張;72℃、60
秒間
【0034】蛍光偏光度の測定は、前記の増幅法により
得られた遺伝子増幅サンプル40μlと蛍光標識試薬8
00μlとを混合し、10分後の蛍光偏光度を測定し
た。なお、蛍光標識試薬は、以下のように調製した。腸
管出血性大腸菌の有するベロ毒素1型の遺伝子の一部の
塩基配列である、21塩基長のオリゴヌクレオチド(配
列表の配列番号1)をDNA合成装置により合成し、こ
の合成オリゴヌクレオチドの5’末端にフルオレセイン
標識を行った。この蛍光標識オリゴヌクレオチドを、T
E緩衝液(10mM Tris-HCl(pH8.0), 1mM EDTA, 0.8M Na
Cl)で濃度0.6nMに希釈し、蛍光標識試薬を調製し
た。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、これによる集団感染が
社会的問題となったO-157を中心とする病原性大腸菌
(ベロ毒素1型産生菌)等の迅速かつ正確な検知ができ
る。遺伝子増幅法に非対称PCR法を用いれば極めて感
度および再現性がよく、通常のPCR法を用いても十分
な検査ができる。
【0036】
【配列表】 配列番号: 1 配列の長さ:21 配列の形:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 ATAGATCCAG AGGAAGGGCG G 21
【0037】 配列番号: 2 配列の長さ:23 配列の形:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 AGTATCGGGG AGAGGATGGT GTC 23
【0038】 配列番号: 3 配列の長さ:20 配列の形:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TTTACGATAG ACTTCTCGAC 20
【0039】 配列番号: 4 配列の長さ:21 配列の形:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CACATATAAA TTATTTCGCT C 21
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるO−111陽性サンプルと同陰
性サンプルの蛍光偏光度の時間変化を示したグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 G01N 33/566 Fターム(参考) 2G045 AA28 AA35 CB21 DA12 DA13 FB02 FB07 FB12 GC15 4B024 AA01 AA11 BA38 CA01 CA09 CA20 GA19 HA13 HA14 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ06 QQ43 QR08 QR32 QR39 QR56 QR62 QS25 QS32 QX02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号1に示す配列または配
    列番号1と相補的な配列に含まれる、少なくとも10塩
    基以上の配列からなることを特徴とするオリゴヌクレオ
    チド。
  2. 【請求項2】 蛍光標識を有することを特徴とする請求
    項1記載のオリゴヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 5’末端に蛍光標識を有することを特徴
    とする請求項2記載のオリゴヌクレオチド
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のオリゴ
    ヌクレオチドを有することを特徴とするベロ毒素1型遺
    伝子の検出試薬 【0001】
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