JP3911340B2 - オリゴヌクレオチドおよびベロ毒素遺伝子の検出試薬 - Google Patents

オリゴヌクレオチドおよびベロ毒素遺伝子の検出試薬 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、ベロ(Vero)毒素遺伝子の検出試薬に関し、更に詳しくは病原性大腸菌O-157:H7(以下、単にO-157ともいう)に代表されるベロ毒素2型遺伝子を有する細菌等を迅速かつ高感度で検出する試薬に関する。
【0001】
【従来の技術】
病原性大腸O-157は、1990年浦和市で300人近い患者が発生し、死者2名を出した。その後、1996年には5月以降、全国で爆発的な集団発生を起こし、多くの死者と1万人近い患者を発生させ、大きな社会問題になった。O-157は腸管出血性大腸菌の一種であり、極めて感染力が大きい。わずかでもこれを含んでいる食物を哺乳動物が摂取すると、腸内で爆発的に増殖し、ベロ毒素という猛毒を量産する。潜伏期は4〜8日と長く、赤痢のような症状を呈する。5歳以下の乳幼児や病弱な高齢者の場合は死に至ることが少なくない。
【0002】
現在、 O-157等による腸管出血症に対しては、食物の加熱処理、手洗いの励行などの予防法が重要視されている。しかし、一般の人々の予防措置だけでは、自ずから限界があり、抜本的な解決策の確立が強く要望されている。「腸管出血症の疑いあり」と確認されれば、O-157等の感染の有無の確認、感染源の特定が迅速に行われなければならない。
【0003】
生物はそれぞれ特有の遺伝子を含んだ核酸をその細胞内に持っている。特定の病原菌の有無はその固有の核酸を検出することで調べることができる。こうした方法は既にO-157などでも応用されている。たとえば、放射線標識法や酵素標識法などが既に知られている。
次のような方法である。放射性標識や酵素標識を付し、測定に用いる試薬(測定試薬)を予め調製する。その測定試薬と検査対象試料とを混合し、両者を反応させる。測定試薬が感応して反応する物質がその検査対象試料の中にあれば、反応した分の測定試薬をその他の未反応の測定試薬または検査対象試料の中から選択的に分離(B/F分離と呼ばれる方法である)し、標識に起因して発生する信号を計測する。しかし、一般にこれらの放射性標識法や酵素標識法では、煩雑なあるいは長時間の操作が必要なB/F分離が必須であるという欠点がある。
【0004】
簡便かつ迅速な測定法としては蛍光偏光法がある。検出しようとする核酸の塩基配列と相補的な関係にある塩基配列を含む1本鎖の核酸を取得し、これに蛍光物質を付して標識プローブとよぶ蛍光標識試薬を調製する。測定すべき試料にその蛍光標識試薬を加える。該試料中に標的とする塩基配列を含む核酸(以下、標的核酸とよぶ)が存在する場合、ある反応時間で該試薬が標的とする塩基配列を有する部位と、互いに相補的な配列同士が会合し結合する。この反応をハイブリダイゼーションとよぶ。ここで試料中の標的核酸は温度あるいは薬品等の処理によって1本鎖の状態に前処理されているものとする。ハイブリダイゼーションにより、蛍光標識試薬が標的核酸と結合すると該試薬の見かけ上の分子量は結合前より増大する。一般に溶液中での分子運動は分子量が大きいほど緩慢である。そこで反応前後の蛍光偏光度をモニターすると、ハイブリダイゼーションによる結合後の値は結合前より大きくなる。これは標的核酸とのハイブリダイゼーションにより、蛍光標識試薬の見かけ上の分子量が増大するからである。蛍光標識試薬の量を一定とすれば、この変化の程度は標的核酸の量に対応する。そこで反応前後の蛍光偏光度の変化により、標的核酸の量を測定することができる。
【0005】
通常、蛍光偏光度は、励起側、蛍光側ともに偏光素子をセットし、蛍光側の偏光素子を回転させ励起光の偏光面と平行および垂直の偏光面を有する蛍光を測定することによって得られるので、1分以内の短時間で1回の測定を終了することができる。
以上説明したように、蛍光偏光法はB/F分離操作が不要であり、迅速・簡便な核酸測定法に応用することが可能である。
【0006】
なお、同法の測定感度は、基本的に蛍光標識物質(ラベル)の検出感度に依存しているため、高いとは言い難い。たとえば患者からの検体や食品中の微生物の核酸を測定する場合、その量は微量である。よって蛍光偏光法によると感度的に測定困難な場合がある。
また、病原性大腸菌O-157は、食物中に僅かしか含まれていなくても、大腸菌である故に、哺乳動物の腸内で爆発的に増殖する場合がある。よって、食物中に僅かに含まれているベロ毒素遺伝子の核酸を正確かつ高感度に検出することが要求される。
【0007】
そこで、微量に含まれる標的核酸を高感度に測定するためには、予めPCR(たとえば、Erlich,H.A.,Gelfand,D.H.and Saiki,R.K.(1988)Specific DNA amplification.Nature 331,461-462参照)等の遺伝子増幅法により、該遺伝子(核酸)の量を増幅させておき、これを蛍光偏光法によって測定すればよいだろうということは容易に想像される。また、すでに、蛍光標識したオリゴDNAを遺伝子の増幅用プライマーとして用い、増幅の進行とともに蛍光偏光度が増大することを利用して、核酸を測定する方法も提唱されている(Tamiya,E. and Karube,I(1993)New Functionality Materials B, 99-104.参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前項の従来の技術に記したように、微量の標的核酸を測定する場合、感度上の理由から、あらかじめ遺伝子増幅法により該標的核酸の量を増幅し、この増幅産物を蛍光偏光法により測定することが想像される。
また、ベロ毒素2型遺伝子と特異的にハイブリダイゼーションを行う蛍光標識試薬として、配列表の配列番号6に示す塩基配列を有するものを用いることが、Tsuruoka,M.,Fukuhara,K.,Murano,S.,Okada,M.,Honda,T.,Karube,I.(1997)Rapid detection of the Escherichia coli verotoxin(VT2)gene using fluorescence polarization. Int. Cyber Cong. Anal. BioSciences(CCAB97),Pharm.Soc. Jpn.で開示された。
【0009】
しかしながら、O-157等陽性試料中のベロ毒素遺伝子の核酸を測定した実験によると、測定試料に対して通常のPCR操作(たとえば、Erlich,H.A.,Gelfand,D.H.and Saiki,R.K.(1988)Specific DNA amplification.Nature 331,461-462参照)を行い、該産物中の核酸をそのまま、公知の配列の蛍光標識試薬を用いて測定した場合、未だに検出感度が不十分であったり、結果の再現性が低い等の問題が見られることが本発明者らによって発見された。
従って、本発明は、従来の技術の欠点を克服し、O-157等陽性試料中の核酸の測定において、遺伝子増幅法により増幅した産物を、蛍光偏光法を利用して再現性良く、正確かつ迅速に測定する技術、詳細にはO-157等のベロ毒素2型産生菌の有無を迅速に検出するための試薬を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は以下の通りである。
本発明者らは鋭意検討の結果、ベロ毒素2型遺伝子と特異的にハイブリダイゼーションを行う蛍光標識試薬として、特定の配列を有するものを適用することにより、高感度で再現性よく該遺伝子を検出できることを見出した。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
【0011】
(1)配列表の配列番号5に示す配列または配列番号5に示す配列と相補的な配列からなることを特徴とするオリゴヌクレオチド。
(2)蛍光標識を有することを特徴とする前記(1)のオリゴヌクレオチド。
(3)5’末端に蛍光標識を有することを特徴とする前記(2)のオリゴヌクレオチド。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドを有することを特徴とするベロ毒素2型遺伝子の検出試薬。
【0012】
本発明のオリゴヌクレオチドまたは検出試薬は、O-157等検査試料の核酸増幅産物をそのまま蛍光偏光法による測定に適用できるのであり、これにより検出の感度や再現性を向上できるものである。
また、本発明では、遺伝子増幅法により増幅された核酸中の塩基配列に対し、さらに蛍光標識したDNAプローブをハイブリダイゼーション反応により結合させ、これを蛍光偏光法により測定するので、かかる塩基配列の測定に際し非常に高い特異性を得ることができる(鶴岡誠、本田武司、軽部征夫, (1997)日本臨床, 55, 741-746, および Tsuruoka,M.,Fukuhara,K.,Murano,S.,Okada,M.,Honda,T.,Karube,I.(1997)Rapid detection of the Escherichia coli verotoxin(VT2)gene using fluorescence polarization. Int. Cyber Cong. Anal. BioSciences(CCAB97),Pharm.Soc. Jpn. 参照)。この点は、従来の技術の欄に例示した、蛍光標識したDNAを遺伝子増幅用プライマーとして用いる測定方法( Tamiya,E. and Karube,I.(1993)New Functionality Materials B, 99-104.参照)と著しく異なる点である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明でいう核酸とは、一般的にDNA(デオキシリボ核酸)またはRNA(リボ核酸)を示す。
本発明のオリゴヌクレオチドまたは検出試薬が適用できる核酸増幅産物としては、通常のPCR操作によるものでも構わないが、先に本出願が出願(特願平9ー219744号)した如く、非対称PCRによるものや、通常PCR増幅後にプライマーをアニールさせたものがより効果的である。
非対称増幅法とは、2本鎖からなる鋳型の核酸の、ある1本鎖側の配列のみを選択的に増幅するか、ある1本鎖側の配列を他の1本鎖側の配列よりも多くなるように増幅する方法である。この際のプライマーは、該蛍光標識試薬と相補的な塩基配列を有する部分を複数あるいは少なくとも1つ含む領域を増幅させるものであれば、自由にデザインされてよい。
【0014】
通常のPCR法で得られる核酸増幅産物は、完全な2本鎖がほとんどであり、これに対して、蛍光偏光法で用いる蛍光標識試薬は、基本的には比較的短い1本鎖である。サンプル中の核酸増幅産物である2本鎖核酸を熱処理等により変成させ1本鎖とし、次いで該蛍光標識試薬と、これと相補的な塩基配列を有する側の1本鎖核酸とのハイブリダイゼーションを試みると、該蛍光標識試薬と相補的な塩基配列を有さない側の1本鎖核酸が、該蛍光標識試薬と競合し、ハイブリダイゼーションが困難になると考えられる。
【0015】
しかし、遺伝子増幅に際して非対称増幅法を用い、蛍光標識試薬が相補的に結合する塩基配列を有する側の1本鎖核酸を選択的に増幅することにより、該1本鎖核酸が他方の1本鎖核酸よりも多くなり、該蛍光標識試薬のこれと相補的に結合する塩基配列を有する側の1本鎖核酸へのハイブリダイゼーション効率を向上することができると考えられる。
また、別に、核酸を遺伝子増幅法によって増幅し熱処理等により変成させ1本鎖とした後、該増幅に用いたプライマーのアニール処理を行うことにより、蛍光標識試薬をハイブリダイゼーションさせる時に、変成させた1本鎖核酸同士がハイブリダイゼーションすることを避け、該蛍光標識試薬のハイブリダイゼーション効率を向上することができると考えられる。
【0016】
通常のPCRでは、測定試料に2種類のプライマーを等量添加し、DNAの複製反応を連鎖的に行う。通常、鋳型のDNAは2本鎖であるため、複製されるDNAもほとんどは2本鎖となる。これに対し、非対称増幅法によると、2種類のプライマーのうちの1種のみを添加するか、あるいは、2種類のプライマーのうち1種のプライマーの量をもう1種のプライマーの量より多く添加して行う(例えば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(1988)7652-7656参照)。一例として、2種類のプライマーの量を2〜10倍の比率で変化させることで、非対称増幅法を行うことが望ましい。
【0017】
また、試料中の核酸を遺伝子増幅法によって増幅した後、増幅に用いたプライマーのアニール処理を行うためには、増幅した核酸を変成させ1本鎖とする必要がある。核酸を変性するためには、約100℃の加熱処理やアルカリ剤等による従来公知の方法が挙げられる。
プライマーのアニール条件は、その塩基数の長さによっても異なるが、増幅の操作時に何度も繰り返し行った条件と同様で構わない。
【0018】
核酸を測定する方法としては、下記具体例がある。
A.(1)蛍光標識された1本鎖核酸プローブを(2)試料と混合し、2本鎖形成前の蛍光偏光度に対する該2本鎖形成後の蛍光偏光度の変化を測定することにより、試料中の核酸に存在する、上記1本鎖核酸プローブに相補的に対応する塩基配列を測定する方法。
【0019】
B.(1)試料中の測定対象核酸および(2)該測定対象核酸と相同な塩基配列を有する蛍光標識された1本鎖核酸プローブを、(3)該測定対象核酸と相補的な塩基配列を含む核酸を固定化担体に結合させた固定化試薬に対して競合させて、2本鎖DNAまたはDNA−RNAを形成させ、該2本鎖形成前の蛍光偏光度に対する該2本鎖形成後の蛍光偏光度の変化を測定することにより、試料中の核酸に存在する、上記1本鎖核酸プローブに対応する塩基配列を測定する方法。
【0020】
C.(1)試料中の測定対象核酸および(2)試料中の測定対象核酸と相同な塩基配列を有する核酸を固定化担体に結合させた固定化試薬を、(3)検体中の測定対象核酸と相補的な塩基配列を有する蛍光標識された核酸プローブに対して競合させて、2本鎖DNAまたはDNA−RNAを形成させ、2本鎖形成前の蛍光偏光度に対する2本鎖形成後の蛍光偏光度の変化を測定して、試料中の核酸に存在する、該核酸プローブに相補的に対応する塩基配列を測定する方法。
【0021】
本発明では、試料中の核酸と蛍光標識試薬とのハイブリダイゼーション反応を行わせるに際し、蛍光標識試薬の混合前あるいは混合後に、無機酸塩または有機酸塩を添加し、ハイブリダイゼーションを、0.01〜5mol/リットル以上、好ましくは0.05〜3mol/リットルの濃度の無機酸塩または有機酸塩を含む溶液中で行う。0.01mol/リットル未満であると、ハイブリダイゼーションが飽和に達するのにおよそ30分以上必要とし、実用に適さない。また多くの場合、無機酸塩または有機酸塩は5mol/リットルを越えて溶解させることは難しい。
【0022】
本発明における無機酸塩としては、塩酸、炭酸またはリン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩などがあり、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛等の塩化物または炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明における有機酸塩としては、酢酸、クエン酸、安息香酸またはフェノールのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩などがある。
【0023】
上記塩は溶液中の塩濃度が0.01〜5mol/リットルとなるように添加する。そのためには、測定試薬または測定試料のいずれかあるいは両方に予め上記塩を添加してもよい。また測定試薬または測定試料を塩を含む緩衝液等によって希釈して用いてもよい。また、測定試薬と測定試料を混合した後、塩を含む溶液等を添加してもよい。なお一般に塩の解離定数は非常に大きいので、これらの塩を溶液に添加した場合、ほとんどが陽イオン、陰イオンに解離した状態で存在する。
【0024】
本発明において使用する蛍光標識としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネートなどがある。核酸に蛍光物質を結合させる方法としては、例えばチオカルバミド結合などの共有結合によるものがある。例えばDNA(21塩基)をホスホアミダイト法によって合成し、蛍光標識、例えばフルオレセインを標識する。
本発明に使用する蛍光標識試薬としては、塩基数は10塩基以上あれば、ある特定の遺伝子を特異的に検出できる。(たとえば、Eur.J.Clin.Microbiol.Infect,Dis.,10(1991)1048-1055;Nei,M.and Li,W.H. Proc.Natl.Acad.Sci.USA.76(1979),5269-5273 参照)。
【0025】
本発明における検査試料としては、調理食品、生鮮食品、飲料水、生活用水、感染者の糞便などがある。
試料中の核酸と蛍光標識試薬とのハイブリダイゼーション反応を行う緩衝液としては、Tris緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液などがある。該緩衝液には無機酸塩または有機酸塩のほかに、アジ化ナトリウムやEDTA等を含んでいてもよい。
【0026】
本発明に使用する担体としては、ポリスチレン、ナイロンなどの合成樹脂のビーズ、ラテックス粒子、ガラスビーズやAu,Agなどの金属粒子などが挙げられる。またタンパク質などの高分子物質を用いることもできる。固定化担体の実効的な分子量は、蛍光偏光法の原理に基づき、蛍光標識核酸の分子量に対して十分に大きくなるように選択される。固定化担体の実効的分子量は蛍光標識核酸の分子量よりも5倍以上であることが好ましい。
核酸を固定化担体に結合させる方法としては、吸着法、共有結合法、アビジンとビオチンとの特異的結合を利用する方法などがある。
【0027】
以下に蛍光偏光測定の原理について簡単に説明する。光源から出る光はフィルターによって試薬に含まれる蛍光物質の励起波長に濾過され、偏光板によって直線偏光とされる。この励起波長の偏光は測定物質(サンプル)を入れたセルに投射され、サンプル中の蛍光物質を励起する。励起された蛍光物質は、物質に応じた波長の蛍光を発するが、この際ブラウン運動の激しさに対応して、該蛍光は偏光面の分散を起こす。該蛍光はその波長を透過するフィルターを透過し、偏光板を透過し、光検知器によって電気信号に変換される。偏光板を回転することにより、サンプルの蛍光に対して励起偏光と同じ向きの偏光成分Iaとこれに垂直な偏光成分Ibを求める。これらの値を用いて、次に示す測定物質の蛍光偏光度Pが求められる。
【0028】
【数1】
Figure 0003911340
【0029】
Iaは励起偏光と同じ向きの偏光成分を示す。Ibは上記Iaに垂直な偏光成分を示す。この場合、蛍光物質または蛍光物質を結合する物質のブラウン運動が激しいほど、励起偏光と垂直な向きの偏光成分Ibは大きく、同時にこれと平行の偏光成分Iaは小さくなり、したがってPは小さくなる。ただし、Ia、Ibの測定に際しては、試料のブランク信号を補正する必要があることを指摘しておく。また、測定装置の偏光面に対する感度補正が必要な場合もある。
【0030】
本発明では、サンプルセルに蛍光標識(蛍光標識相補)核酸を含む溶液を入れ、測定対象核酸を含む溶液を加え、続いて必要により固定化相補(固定化)核酸断片を含む溶液を加える。ただし、これらの2種(必要により3種)の溶液を加える順序は限定しない。しかし試料中の核酸と蛍光標識試薬とのハイブリダイゼーション反応を行わせるに際し、蛍光標識試薬の混合前、同時あるいは混合後に、無機酸塩または有機酸塩を添加する。加える蛍光標識核酸および固定化核酸(必要により)の濃度は、測定対象核酸の測定濃度範囲に応じて適切に選択される

【0031】
また本発明においては、蛍光標識(蛍光標識相補)核酸は、測定対象の核酸に特異的に結合させるために用いられるのであり、同様に、核酸に対して特異的に結合する性質を有する物質、例えばPNA(peptide nucleic acid, PerSeptive Biosystems,U.S.A)等に蛍光物質を標識し、これを蛍光標識核酸の代替として用いることも原理的に可能である。 蛍光偏光法は蛍光偏光解消法とよばれることもあるが、事実上同じ方法を意味すると考えてよい。また、多くの場合それぞれの指標として用いられる蛍光偏光度および蛍光偏光解消度に関しても同様である。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1〕
検体試料として、広島市中央卸売市場において採取され、腸管出血性大腸菌O-157が検出されたとされる牛由来のサンプルを、42℃ブイヨン培地にて約24時間培養した後、100℃にて熱処理したものの核酸を非対称PCR法を用いて増幅したものと、陰性コントロールとして検体試料核酸量と同等量のサケ精子DNAを含む溶液を前記と同条件で非対称PCRを行い、配列表の配列番号1に示す塩基配列の蛍光標識試薬を用いてそれぞれ蛍光偏光法によって測定し、そのデータを比較した。核酸増幅用のプライマーの塩基配列は、配列番号7および配列番号8にそれぞれ示すものとした。増幅区間の長さは189塩基である。その結果を図1に示す。
【0033】
参考例2〕
蛍光標識試薬として配列番号2に示すものを用い、プライマーとして配列番号9および配列番号10に示すものを用いて、〔参考例1〕と同様に、核酸の増幅および蛍光偏光法による測定を行った。核酸の増幅区間の長さは290塩基である。蛍光標識試薬およびプライマーの塩基配列以外の条件は、すべて〔参考例1〕と同じである。測定結果を図2に示す。
参考例3〕
蛍光標識試薬として配列番号3に示すものを用い、プライマーとして配列番号11および配列番号12に示すものを用いて、[参考例1]と同様に、核酸の増幅および蛍光偏光法による測定を行った。核酸の増幅区間の長さは304塩基である。蛍光標識試薬およびプライマーの塩基配列以外の条件は、すべて〔参考例1〕と同じである。測定結果を図3に示す。
【0034】
参考例4〕
蛍光標識試薬として配列番号4に示すものを用い、プライマーとして配列番号13および配列番号14に示すものを用いて、〔参考例1〕と同様に、核酸の増幅および蛍光偏光法による測定を行った。核酸の増幅区間の長さは829塩基である。蛍光標識試薬およびプライマーの塩基配列以外の条件は、すべて[参考例1]と同じである。測定結果を図4に示す。
〔実施例
蛍光標識試薬として配列番号5に示すものを用い、プライマーとして配列番号15および配列番号16に示すものを用いて、〔参考例1〕と同様に、核酸の増幅および蛍光偏光法による測定を行った。核酸の増幅区間の長さは791塩基である。蛍光標識試薬およびプライマーの塩基配列以外の条件は、すべて〔参考例1〕と同じである。測定結果を図5に示す。
【0035】
参考例および実施例にて用いた非対称PCR法の条件を以下に示す。
1.使用機器PERKIN ELMER Gene Amp PCR System 9600,MicroAmp Reaction Tube(0.2ml)
2.PCR反応液組成耐熱性DNAポリメラーゼであるTakara Ex Taq(Code No.PR001A)を用い、以下の表1に示す組成で非対称PCR反応を行った。
【0036】
【表1】
Figure 0003911340
【0037】
なお、プライマーaおよびbの配列を、配列表の配列番号7および8、配列番号9および10、配列番号11および12、配列番号13および14、配列番号15および16にそれぞれ示す。3.PCR反応サイクル
94℃、1分間の熱変性により増幅対象DNAの1本鎖化を行い、次いで下記の▲1▼〜▲3▼の操作を40サイクル行った後、氷冷(4℃)した。
▲1▼熱変性による1本鎖化;94℃、30秒間
▲2▼プライマーaおよびbの増幅対象DNAへのアニーリング;45℃、30秒間▲3▼TaqポリメラーゼによるDNAの伸張;72℃、1分間
【0038】
蛍光偏光度の測定は、前記の増幅法により得られた遺伝子増幅サンプル80μlと蛍光標識試薬800μlとを混合し、10分後の蛍光偏光度を測定した。
なお、蛍光標識試薬は、以下のように調製した。
腸管出血性大腸菌の有するベロ毒素2型の遺伝子の一部の塩基配列である、21〜23塩基長のオリゴヌクレオチド(配列表の配列番号1〜6に示す)をDNA合成装置により合成し、各合成オリゴヌクレオチドの5’末端にフルオレセイン標識を行った。この蛍光標識オリゴヌクレオチドを、TE緩衝液(10mM Tris-HCl(pH8.0), 1mM EDTA, 0.8M NaCl)で濃度0.5nMに希釈し、蛍光標識試薬を調製した。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、これによる集団感染が社会的問題となったO-157を中心とする病原性大腸菌(ベロ毒素2型産生菌)等の迅速かつ正確な検知ができる。遺伝子増幅法に非対称PCR法を用いれば極めて感度および再現性がよく、通常のPCR法を用いても十分な検査ができる。
【0040】
【配列表】
Figure 0003911340
【0041】
Figure 0003911340
【0042】
Figure 0003911340
【0043】
Figure 0003911340
【0044】
Figure 0003911340
【0045】
Figure 0003911340
【0046】
Figure 0003911340
【0047】
Figure 0003911340
【0048】
Figure 0003911340
【0049】
Figure 0003911340
【0050】
Figure 0003911340
【0051】
Figure 0003911340
【0052】
Figure 0003911340
【0053】
Figure 0003911340
【0054】
Figure 0003911340
【0055】
Figure 0003911340

【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1におけるO−157陽性サンプルと同陰性サンプルの蛍光偏光度の時間変化を示したグラフ。
【図2】 参考例2におけるO−157陽性サンプルと同陰性サンプルの蛍光偏光度の時間変化を示したグラフ。
【図3】 参考例3におけるO−157陽性サンプルと同陰性サンプルの蛍光偏光度の時間変化を示したグラフ。
【図4】 参考例4におけるO−157陽性サンプルと同陰性サンプルの蛍光偏光度の時間変化を示したグラフ。
【図5】 実施例におけるO−157陽性サンプルと同陰性サンプルの蛍光偏光度の時間変化を示したグラフ。

Claims (4)

  1. 配列表の配列番号5に示す配列または配列番号5に示す配列と相補的な配列からなることを特徴とするオリゴヌクレオチド。
  2. 蛍光標識を有することを特徴とする請求項1記載のオリゴヌクレオチド。
  3. 5’末端に蛍光標識を有することを特徴とする請求項2記載のオリゴヌクレオチド
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドを有することを特徴とするベロ毒素2型遺伝子の検出試薬
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