JP2000217600A - レジオネラ・ニューモフィラに由来する核酸の検出方法 - Google Patents

レジオネラ・ニューモフィラに由来する核酸の検出方法

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JP2000217600A
JP2000217600A JP11021839A JP2183999A JP2000217600A JP 2000217600 A JP2000217600 A JP 2000217600A JP 11021839 A JP11021839 A JP 11021839A JP 2183999 A JP2183999 A JP 2183999A JP 2000217600 A JP2000217600 A JP 2000217600A
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legionella pneumophila
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legionella
dna
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Takaaki Fujii
貴章 藤井
Hiroshi Goda
浩志 郷田
Sadayori Hoshina
定頼 保科
Makoto Tsuruoka
誠 鶴岡
Masao Karube
征夫 軽部
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Towa Kagaku KK
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Towa Kagaku KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】レジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophila)
に由来する核酸の簡便で迅速な検出方法を提供する。 【解決手段】L. pneumophilaに由来する核酸を増幅し、
その生成物を蛍光偏光法によって検出する。標識プロー
ブには16SリボゾームDNA配列と23SリボゾームDNA配列の
間に位置するスペーサー領域から選択された、L. pneum
ophila特異的な塩基配列にハイブリダイズすることがで
きるオリゴヌクレオチドが有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レジオネラ・ニュ
ーモフィラ(Legionella pneumophila)に由来する核酸の
検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レジオネラ・ニューモフィラは水中に繁
殖するグラム陰性好気性桿菌で、在郷軍人病やポンティ
アック熱の病原菌である。レジオネラ・ニューモフィラ
は、水道パイプ、空調システム、浴槽、加湿器、あるい
は冷却塔といった生活に密着した水系に繁殖する。レジ
オネラ・ニューモフィラの繁殖した水がエアロゾルとな
り、ヒトに吸引されることによって上記疾患の感染ルー
トが成立することが明らかにされている。そのため、こ
れらの水系において、レジオネラ・ニューモフィラを選
択的かつ高感度に検出する方法が必要とされている。
【0003】細菌の一般的な分析方法は適当な培養基に
よる分離培養である。しかしレジオネラ・ニューモフィ
ラは、特殊な寒天および成分の培養基を用いなければ十
分な培養成績を期待できない細菌である。また生育速度
が遅いため分離培養には数日間が必要となる。更にフク
シン等での通常の染色が困難で、一般の微生物に比べて
細菌学的手法に基づくレジオネラ・ニューモフィラの検
出は容易ではない。
【0004】そのためレジオネラ・ニューモフィラ検出
のためには、パルスフィールド電気泳動法、サザンブロ
ット法、DNA-DNAハイブリダイゼーション法、PCR法、間
接免疫蛍光法、炭水化物利用性試験法等が用いられる。
中でもPCR法は、レジオネラ・ニューモフィラに特異的
な配列をプライマーに用いることで、少量のレジオネラ
・ニューモフィラのDNAを増幅することができ、手順も
比較的単純であるため、よく用いられ、既に該方法によ
る検出キットも製造販売されている。ところでPCR法に
よる増幅産物の確認には、一般に電気泳動法が用いられ
る。しかし電気泳動法はDNAのサイズ(長さ)による判
定法である。そのためPCRの非特異的な増幅産物(擬陽
性)と、レジオネラ・ニューモフィラに由来する増幅産
物(真の陽性)とを区別できない恐れがある。現実に実
施例で確認したように、レジオネラ・ニューモフィラに
特異的といわれているプライマーセットを用いた場合で
あっても、レジオネラ・ニューモフィラに由来する増幅
産物と同様のバンドが他の微生物においても観察される
ことがある。つまり、電気泳動法ではレジオネラ・ニュ
ーモフィラに特異的なDNAの増幅を確定することはでき
ない。
【0005】一方これらの公知技術を分析手法として見
た場合、操作性の点でも改善の余地が残されている。す
なわち、一般的なDNAハイブリダイゼーションアッセイ
においては、プローブに放射性物質や酵素を標識し、試
料と混合し反応させた後、未反応のプローブを洗浄など
により分離、除去した後、標識に由来する信号を計測す
る。このような分離操作を通常B/F分離と呼ぶ。B/F分離
の方法としては、反応容器やフィルター等に固定化され
たDNA試薬を用いる方法、磁性微粒子を用いる方法また
は電気泳動を用いる方法などがあるが、いずれの場合も
煩雑なあるいは長時間の作業を必要とする。
【0006】蛍光偏光法は、B/F分離が不要な分析手法
として核酸の測定方法としても応用可能であると考えら
れている(特開平5−123196号公報など)。しかしレジオ
ネラ・ニューモフィラ由来の核酸について蛍光偏光法に
よる検出を試みた報告は無い。また蛍光標識したオリゴ
ヌクレオチドをPCR増幅用のプライマーに用い、増幅の
進行と共に蛍光偏光度が増大することを利用して核酸を
測定する方法も報告されている(Tamiya,E. and Karub
e,I.(1993)New Functionality Materials B, 99-104.
参照)。しかしながら、レジオネラ・ニューモフィラの
核酸の検出に応用した報告は無い。
【0007】PCR法による増幅産物を塩基配列のレベル
で確認するためには、レジオネラ・ニューモフィラに特
異的なDNA配列を持つプローブによる分析手法を用いる
必要がある。しかしこれまでに報告されたレジオネラ・
ニューモフィラに特異的とされるプローブは、いずれも
感度や特異性の点で満足できるものではなかった。たと
えば、16srDNAの塩基配列をプローブやプライマーとし
て利用し、レジオネラ・ニューモフィラの検出を試みた
報告がある(特開平9−107998、Grimm, D., Mer
kert, H., Ludwig, W., Schlleifer, K., Hacker, J. a
nd Brand,B.C. (1998) Specific Detection of Legione
lla pneumophila, Appl. Environ.Microbiol., 64, 268
6-2690.)。しかし16srDNAには種間で保存された塩基配
列が多く存在するため、この領域にプローブを設定した
のでは種間の識別が困難となることが予想される。ま
た、レジオネラ属に特徴的なmip遺伝子にプライマーを
設定する方法も知られている(特開平5−21189
8)。ところが、mip遺伝子はレジオネラ以外の微生物
においても見出されることがあるので、この領域の塩基
配列をプローブやプライマーに用いた場合には、必ずし
もレジオネラ属に特異的な検出を行えるとは限らない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、レジオネラ
・ニューモフィラに由来する核酸を、より迅速で簡便な
手法によって検出することを課題としている。また本発
明は、単に検出操作を容易とするのみならず、感度と特
異性の改善をもたらすことができるレジオネラ・ニュー
モフィラに特異的な新規な塩基配列の提供をも課題とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、公知のハ
イブリダイゼーションアッセイにおいて操作を複雑なも
のとしていたB/F分離が、蛍光偏光法を応用することに
よって省略できるのではないかと考えた。しかしなが
ら、蛍光偏光法は、たとえば環境試料中にわずかに存在
するレジオネラ・ニューモフィラの検出に利用するに
は、感度の点で不充分となる可能性が心配された。そこ
で、予めPCRなどの核酸増幅反応によってレジオネラ・
ニューモフィラの核酸を増幅し、その増幅生成物を蛍光
偏光法を利用して検出することにより、簡便な操作性と
実用的な感度、並びに特異性を達成できることを見出し
本発明を完成した。更に本発明者らは、公知のレジオネ
ラ・ニューモフィラ検出用のプローブやプライマーとし
て利用されていた塩基配列よりも、更に高度な特異性を
期待できる新たな塩基配列を見出し、これを蛍光偏光法
に組み合わせることにより、より特異性に優れた検出方
法を確立した。すなわち本発明は、以下の検出方法、な
らびに試薬キット、並びにオリゴヌクレオチドに関す
る。
【0010】〔1〕次の工程を含むレジオネラ・ニュー
モフィラに由来する核酸の検出方法。 a)レジオネラ・ニューモフィラに特異的に見出される
塩基配列を含む核酸を増幅する工程 b)その増幅生成物と蛍光標識プローブとをハイブリダ
イゼーション可能な条件で接触させる工程 c)蛍光標識プローブのハイブリダイゼーションを蛍光
偏光度の変化により検出する工程 〔2〕配列番号:4に示す塩基配列を含む領域を増幅
し、配列番号:4に示す塩基配列を含む塩基配列に対し
て特異的にハイブリダイズすることができる少なくとも
15塩基の長さを持つオリゴヌクレオチドを蛍光標識プ
ローブとして用いる〔1〕の検出方法。 〔3〕次の構成要素を含む蛍光偏光法によるレジオネラ
・ニューモフィラに由来する核酸の検出用試薬キット。 a)レジオネラ・ニューモフィラ由来の核酸を増幅する
ためのPCR用プライマー b)PCRによる増幅生成物に特異的にハイブリダイズす
ることができる蛍光標識プローブ 〔4〕配列番号:4に示す塩基配列を含む塩基配列に対
して特異的にハイブリダイズすることができる少なくと
も15塩基の長さを持つオリゴヌクレオチド。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明においては、増幅生成物で
ある核酸とプローブとのハイブリダイゼーションを蛍光
偏光法によって検出することにより、簡便な操作性と十
分な感度を実現する。操作性の点ではメリットの大きい
蛍光偏光法ではあるが、分析の目的によっては感度の点
で必ずしも実用的なレベルにはない。そこで前述のPCR
法によって微生物の核酸の量を増幅し、その生成物を蛍
光偏光法によって測定する事で高感度かつ迅速・簡便な
測定を行う事ができる(Tsuruoka, M., Fukuhara, K.,
Murano, S. and Okada, M. (1998) Rapid detection of
DNA sequences of gene usingfluorescence polarizat
ion, Nucleic Acids Symposium Series,No.39, 115-11
6.)。
【0012】本発明における、蛍光偏光法による検出プ
ロセスの例を以下に示す。まず、レジオネラ・ニューモ
フィラの核酸を任意の手段によって増幅する。このとき
増幅対象とする領域は、後で蛍光標識プローブがハイブ
リダイズすべき領域を含むように設定する。増幅生成物
は、一般的にはDNAとなるが、RNAであることもできる。
次いで増幅生成物に蛍光標識したプローブを加える。増
幅生成物が標的とする塩基配列を含む場合、この塩基配
列部位と蛍光標識プローブとが、互いに相補的な塩基配
列において会合し結合する。この反応をハイブリダイゼ
ーションという。ハイブリダイゼーションにより、蛍光
標識プローブが標的とする核酸と結合すると該プローブ
の見かけ上の分子量は結合前より増大する。一般に溶液
中の分子運動は分子が大きいほど緩慢である。そこで反
応前後の蛍光偏光度をモニターすると、ハイブリダイゼ
ーションによる結合後の値は結合前より大きくなる。こ
れは標的塩基配列とのハイブリダイゼーションにより、
蛍光標識プローブの見かけ上の分子量が増大するためで
ある。蛍光標識プローブの量を一定にすれば、この変化
の程度は標的とする核酸の量に対応する。そこで反応前
後の蛍光偏光度の変化により、標的塩基配列の量を測定
する事ができる。
【0013】なお通常、蛍光偏光度は、励起側、蛍光側
ともに偏光素子をセットし、蛍光側を偏光回転させ、励
起光の偏光面と平行および垂直の偏光面を有する蛍光を
測定することによって得られるため、1分以内の短時間
で1回の測定を終了することができる。
【0014】以下に蛍光偏光法の原理について簡単に説
明する。光源から出る光はフィルターによって試薬に含
まれる蛍光物質の励起波長にろ光され、偏光板によって
直線偏光とされる。この励起波長の偏光は測定物質(サ
ンプル)を入れたセルに投射され、サンプル中の蛍光物
質を励起する。励起された蛍光物質は、物質に応じた波
長の蛍光を発するが、この際ブラウン運動の激しさに対
応して、該蛍光は偏光面の分散を起こす。該蛍光はその
波長を透過するフィルターを透過し、偏光板を透過し光
検知器によって電気信号に変換される。偏光板を回転す
ることにより、サンプルの蛍光に対して励起偏光と同じ
向きの偏光成分Iaとこれと垂直の偏光成分Ibを求める。
これらの値を用いて、次に示す測定物質の蛍光偏光度P
が求められる。
【0015】
【数1】
【0016】Iaは励起偏光と同じ向きの偏光成分を示
し、Ibは上記Iaに垂直な偏光成分を示す。この場合、蛍
光物質または蛍光物質を結合する物質のブラウン運動が
激しいほど、励起偏光と垂直な向きの偏光成分Ibは大き
く、同時にこれと平行の偏光成分Iaは小さくなり、した
がってPは小さくなる。
【0017】検出用のプローブを蛍光偏光法に用いるに
は、たとえばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)
等の蛍光色素で標識し、0.8M NaClと1mM EDTAを含む10m
M Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に溶解して使用する。蛍光
偏光法を可能とする蛍光色素には、FITC以外にテトラメ
チルローダミンイソチオシアネート、ピレン等が知られ
ている。
【0018】本発明においては、レジオネラ・ニューモ
フィラに由来する核酸を任意の増幅反応によって増幅
し、その生成物を蛍光標識プローブによって検出する。
核酸の増幅には、PCRをはじめとして、RT-PCRやNASBA等
の公知の方法を利用することができる。核酸の増幅方法
として、RT-PCRやNASBAを利用する場合には、リボゾー
ムRNAなどのRNAの塩基配列が増幅対象となる。これらの
増幅反応では、増幅対象領域に対してセンス側とアンチ
センス側のプライマーが設定され、増幅対象領域がDN
A、あるいはRNAとして増幅される。PCRではDNAが標的塩
基配列として選択されることから、レジオネラ・ニュー
モフィラのゲノムにおいて、できるだけ特異的に見出さ
れる塩基配列を増幅対象領域として選択するのが望まし
い。具体的には、リボゾームDNAやmip遺伝子等の領域を
選択することができる。mip(macrophage infectivity p
otenciator)遺伝子はマクロファージへの感染率を高め
る菌側のタンパク質をコードしている。この遺伝子がコ
ードするタンパク質の分子量は約24kDaで細菌の表面に
存在し、その配列は種間では異なっていることが知られ
ている。
【0019】蛍光偏光法において蛍光標識プローブとレ
ジオネラ・ニューモフィラ由来の核酸に基づく増幅産物
をハイブリダイゼーションさせるためには、両者が少な
くともハイブリダイゼーションする領域において1本鎖
である必要がある。一般的には、ハイブリダイゼーショ
ン前に加熱変性することで核酸を1本鎖とする。この
他、増幅生成物がきるだけ1本鎖DNAの状態で生成され
るような特殊なPCRを行うこともできる。通常のPCRで
は、試料に2種類のプライマーを等量添加し、増幅させ
る。この場合増幅生成物の大部分は2本鎖となる。これ
に対し2種類のプライマーの内、1種類のみを添加する
か、あるいは、2種類のプライマーの内の一方を他方よ
りも多く添加して行う非対称PCR(例えば、Proc. Nath.
Acad. Sci. USA85(1988)7652-7656参照)を行うと増幅
産物内の1本鎖の割合が通常より遥かに高くなる。非対
称PCRは、本発明に基づいてPCR生成物を蛍光偏光分析す
るときの望ましい態様を構成する。具体的には、たとえ
ば1種類のプライマーに対し、もう1種類のプライマー
を10倍量加えることにより、レジオネラ・ニューモフィ
ラDNAの非対称PCRが可能である。非対称PCRにおいて
は、センス側とアンチセンス側のいずれかのプライマー
を多く用いることによって、任意の側の塩基配列を1本
鎖として増幅させることができる。
【0020】増幅対象領域として特に望ましいのは、本
発明によって提供される、配列番号:4に示す塩基配列
を含む領域である。配列番号:4に示す塩基配列は、16S
リボゾームDNA配列と23SリボゾームDNA配列の間に位置
するスペーサー領域を構成する塩基配列(配列番号:
5、448bp)から選択されたレジオネラ・ニューモフィ
ラ固有の塩基配列である。原核細胞においては、3種類
のリボゾーマルRNA(以下rRNAと省略する)、すなわち1
6S、23S、そして5Sが1つのオペロンを形成している。
一般的に複数コピーがゲノムに散在しており、これを標
的とすることによってより高感度な検出が期待できる。
リボゾームDNAのオペロンには、16S、23S、そして5SのR
NAの構造遺伝子がスペーサーを挟んで並んでいる(生化
学辞典・第2版、東京化学同人)。スペーサー領域の塩
基配列は変異に富むため、種間で保存された塩基配列が
見出されることが希で、レジオネラ・ニューモフィラ特
異的な増幅が期待できる。先に例示したmipは、レジオ
ネラ・ニューモフィラに特徴的な遺伝子とは言え、機能
性遺伝子であるために保存性の高い塩基配列が含まれる
ことから、特異性の点ではスペーサー領域を標的とする
のが有利である。
【0021】配列番号:4に示す塩基配列を含む領域を
利用することよってレジオネラ・ニューモフィラに対す
る十分な特異性が確保できる。したがってこの領域の増
幅さえ達成できれば、任意の範囲を増幅対象領域とする
ことができる。しかしながら、プライマーセットにもレ
ジオネラ・ニューモフィラに特異的なものを組み合わせ
れば、より高度な特異性を期待できることは言うまでも
ない。前記領域を増幅対象領域とするとき、レジオネラ
・ニューモフィラに対する特異性の点で理想的なPCR用
プライマーの組み合わせとしては、たとえば配列番号:
1に対して配列番号:2、あるいは配列番号:3を組み
合わせたプライマーセットを例示することができる。そ
の他に配列番号:7−10として例示した塩基配列も、
レジオネラ・ニューモフィラに特異的な塩基配列を含む
領域の増幅を可能とする組み合わせであれば、プライマ
ーとして利用することができる。
【0022】配列番号:4を含む核酸に対して特異的に
ハイブリダイズすることができる少なくとも15塩基の
鎖長を持つオリゴヌクレオチドは、レジオネラ・ニュー
モフィラに由来する核酸をきわめて特異的に検出するこ
とができる。したがってこの塩基配列に完全な相補的な
塩基配列(配列番号:6)を持つオリゴヌクレオチド
は、本発明におけるプローブとして望ましいオリゴヌク
レオチドの一つである。なお、核酸の増幅方法として非
対称PCRを利用する場合、1本鎖として生成される側の
鎖、すなわちセンス鎖かアンチセンス鎖のいずれかに相
補的な塩基配列をプローブの塩基配列に用いることは言
うまでも無い。したがって、1本鎖の増幅生成物が配列
番号:6に示す塩基配列を含む場合には、配列番号:4
に示す塩基配列をプローブとして用いる。
【0023】本発明において、配列番号:4に対して特
異的にハイブリダイズしうるオリゴヌクレオチドは、ス
トリンジェントな条件下で前記塩基配列を持つDNAに対
して特異的なハイブリダイズを達成することが可能なす
べてのオリゴヌクレオチドを含む。したがって、先に選
択された塩基配列に対して必ずしも完全に相補的な塩基
配列である必要はない。すなわち、選択された塩基配列
に相補的な塩基配列に対して、1つもしくは複数の塩基
が置換、欠失、挿入、および/または付加した塩基配列
によって構成され、レジオネラ・ニューモフィラのゲノ
ムDNAに特異的にハイブリダイゼーションすることがで
きるオリゴヌクレオチドをも含む。また、ハイブリダイ
ズに必要な塩基配列で構成される部分に対して、更に付
加的な領域を持つこともできる。本発明においてストリ
ンジェントな条件とは、具体的には、6×SSC、40%ホル
ムアミド、37℃でのハイブリダイゼーション、0.2×SS
C、55℃での洗浄という条件を示すことができる。これ
らの条件は限定されるものではなく、同様のストリンジ
ェンシーを与える条件は当業者が適宜設定することがで
きる。
【0024】本発明において蛍光標識プローブと増幅生
成物とは、ハイブリダイズが可能な条件下で接触させ
る。ハイブリダイズが可能な条件下とは、融解温度(T
m)よりも低い温度条件下で、両者を接触させることを意
味する。Tmは、相補的な塩基配列を構成する部分の塩基
組成、ハイブリダイゼーション環境の塩濃度、あるいは
共存する各種の成分などによって決定される。Tmに近い
ほどストリンジェンシーが高い条件ということができ、
特異的なハイブリダイズが期待できる。増幅生成物と蛍
光標識プローブとの接触は、核酸の増幅反応後に行うこ
とができる。あるいは蛍光標識プローブの存在下で核酸
の増幅反応を行い、増幅に伴う蛍光偏光度の変化をリア
ルタイムに観察することもできる。
【0025】本発明のオリゴヌクレオチドは、プローブ
のみならずプライマーとして利用することもできる。実
施例に示すように、レジオネラ・ニューモフィラのDNA
を増幅するための公知のプライマーセットでは、他の微
生物においても同じような増幅生成物を与える場合があ
る。しかし本発明によるオリゴヌクレオチドを利用した
プライマーはレジオネラ・ニューモフィラに対する特異
性に優れるために、より特異的な増幅を期待できる。配
列番号:4に示す塩基配列からなるDNAに特異的にハイ
ブリダイズすることができる本発明のオリゴヌクレオチ
ドをプライマーとして用いる場合、16SリボゾームDNA配
列と23SリボゾームDNA配列の間に位置するスペーサー領
域の中の任意の領域を選択して組み合わせることによ
り、このスペーサー領域の特異的な増幅が可能である。
このような組み合わせを実現する領域としては、たとえ
ば、配列番号:2や配列番号:3に示す塩基配列を挙げ
ることができる。更に配列番号:1との組み合わせによ
ってプライマーペアを構成することもできる。ただし、
この組み合わせにおいては配列番号:4に対応する領域
がアンチセンス側のプライマーとなるために、その塩基
配列は配列番号:4の相補配列、すなわち配列番号:6
に示す塩基配列となる。スペーサー領域に占めるこれら
の塩基配列の位置関係を図7としてまとめた。
【0026】本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくと
も15塩基の鎖長を備える。ストリンジェントな条件下
で特異的なハイブリダイゼーションを達成するには、望
ましくは20−300塩基の鎖長とする。本発明のオリ
ゴヌクレオチドは、公知の様々な方法によって得ること
ができる。最も一般的なオリゴヌクレオチドの合成方法
である、化学的な合成による場合、特に50塩基程度ま
での鎖長が収率等の点で有利である。
【0027】本発明に基づくレジオネラ・ニューモフィ
ラの検出方法に必要な成分は、予めセットにした試薬と
して商業的に供給することができる。検出に必要な成分
とは、蛍光偏光法用の蛍光標識プローブ、およびPCR等
の核酸増幅反応に必要なプライマーセットである。更に
は、DNA合成酵素、ヌクレオチド基質、反応液を構成す
る緩衝液成分、そして校正用の標準試料等を挙げること
ができる。これら、核酸試料の分析用試薬類に加えて、
各種生体試料、あるいは環境試料からレジオネラ・ニュ
ーモフィラの核酸を抽出するための界面活性剤や酵素成
分などを前処理用の試薬として更に組み合わせたキット
とすることもできる。
【0028】レジオネラ・ニューモフィラ由来の核酸を
検出することは、レジオネラ・ニューモフィラの存在の
証明に他ならない。本発明に基づくレジオネラ・ニュー
モフィラの検出方法の試料としては、生体材料や環境試
料を利用することができる。より具体的には、生体材料
としては喀痰や生検試料等を挙げることができる。一方
環境試料とは、住環境に存在する各種の水系から採取さ
れた試料を意味する。具体的には、水道パイプ、空調シ
ステム、浴槽、加湿器、あるいは冷却塔等から採取され
た水等を挙げることができる。これら環境試料中には、
レジオネラ・ニューモフィラに由来する核酸が微量しか
含まれない場合がある。また、様々な環境から採取され
た試料が対象となることから、予期し得ない反応妨害成
分が共存する恐れもある。したがって、本発明による検
出方法の実施に先だって環境試料から核酸成分を抽出す
ることによって、高い感度を維持できる。これらの試料
から核酸成分を抽出する方法は公知である。
【0029】本発明において、検出とはある試料中にレ
ジオネラ・ニューモフィラに由来する核酸が一定の基準
を超えて存在しているかどうかを判定するための試験を
意味する。レジオネラ・ニューモフィラの管理基準が設
定されている場合には、その値を基準として、基準を越
えている場合に陽性の結果を得られるように検出系の感
度を設定することは当業者が日常的に行っていることで
ある。感度の調整は、反応サイクルやプライマーセット
の使用量といった核酸増幅反応の条件を一定にすると共
に、反応生成物に対する標識プローブの添加濃度等を適
宜調整することによって経験的に行われる。本発明に基
づくレジオネラ・ニューモフィラの検出方法は、同定に
利用することもできる。同定とは、分離された微生物が
レジオネラ・ニューモフィラであるかどうかを判定する
ための試験である。以下、本発明を実施例によってさら
に詳細に説明する。
【0030】
【実施例】実施例1.レジオネラ・ニューモフィラDNA
の非対称PCR増幅産物の蛍光偏光法による測定 レジオネラ・ニューモフィラとその他の菌のDNAをそれ
ぞれ非対称PCRによって増幅し、その産物を蛍光偏光法
によって測定し、レジオネラ・ニューモフィラとそのほ
かの菌とで蛍光偏光度Pの差を調べた。試料として、レ
ジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophila)の1〜6の
血清型を1株ずつ、並びにレジオネラ・ボゼマニイ(L.b
ozemanii)、 レジオネラ・デュモフィ(L.dumoffii)、
レジオネラ・ゴルマニイ(L.gormanii)、 レジオネラ・
ミカダデイ(L.micdadei)、およびシュードモナス・エル
ギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)をそれぞれ1株づ
つ、合計11菌株を用いて行った。試料は全て菌体から
抽出したDNAを用いた。
【0031】非対称PCR法の条件を以下に示す。 1.使用機器 ASTEC PROGRAM TEMP CONTROL SYSTEM PC-800, IWAKI マ
イクロチューブ(0.5mL) 2. PCRの反応液組成 高温性DNAポリメラーゼであるTakara Ex Taq(Code No.P
R001A)を用い、以下の表1に示す組成でPCRを行った。
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ×10 Ex Taq 緩衝液 10μL dNTP 混合液(各2.5mmol/L) 8 μL 試料 2 μL プライマーa(10pmol/μL) 2 μL プライマーb(100pmol/μL) 2 μL Takara Ex Taq(5units/μL) 0.5μL 蒸留滅菌水 75.5μL ────────────────── 全量 100 μL ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0032】表中のプライマーaには、配列表の配列番
号:1に示す塩基配列を持つオリゴヌクレオチドを用い
た。また、プライマーbには、配列番号:2、または配
列番号:3のオリゴヌクレオチドを用いた。プライマー
に用いたオリゴヌクレオチドのゲノムにおける位置関係
は、図7に示したとおりである。これらのプライマーに
基づく非対称PCRを以下のように区別し、以降は非対
照PCR1または非対照PCR2と記載する。 非対称PCR1 非対称PCR2 プライマー(配列番号) 1/2 1/3 増幅生成物の塩基数 約250bp 約280bp
【0033】3. PCRサイクル 94℃、2分間の熱変性により増幅対象DNAを1本鎖とし、
次いで下記の[1]〜[3]の繰作を40サイクル行った。 [1] 熱変性による1本鎖化;95℃、30秒間 [2] プライマーaおよびbの増幅対象DNAへのアニーリン
グ;60℃、30秒間 [3] TaqポリメラーゼによるDNAの伸長;72℃、1分間 さらに[1]と[2]の操作を1回行った後、反応液を氷冷(4
℃)した。通常のPCRではTaqポリメラーゼによるDNAの
伸長[3]で終えるので、複製されるDNAは2本鎖となる
が、これを熱変性[1]によって1本鎖になったDNAにプラ
イマーをアニーリングする[2]ところでPCRを終了するこ
とで1本鎖DNAの割合を増やしている。
【0034】図1および図2に、非対称PCR1と非対
称PCR2の増幅産物をそれぞれ電気泳動した結果の例
を示す。電気泳動にはアガロースゲルを用い、エチジウ
ムブロマイドで染色した。レジオネラ・ニューモフィラ
の非対称PCR1および2の増幅産物の予想される塩基
数は、それぞれ約250塩基と約280塩基である。どちらに
もレジオネラ・ニューモフィラにおいて、予想される位
置にバンドが現れていることから、目的のDNAが増幅さ
れていることが分かる。また、レジオネラ・ニューモフ
ィラ以外の菌株にもレジオネラ・ニューモフィラと同じ
位置にバンドが現れているものがあることから、電気泳
動のみではレジオネラ・ニューモフィラからのPCR増幅
産物であるかどうかを確定することが困難であることが
分かる。これらPCR増幅産物について、以下のとおり蛍
光偏光分析を行った。
【0035】蛍光偏光度は、前記PCRの反応液80μL
と蛍光標識試薬800μLとを混合し、1分おきに15回測定
した。なお蛍光標識試薬は、以下のように調製した。す
なわちレジオネラ・ニューモフィラの16SリボゾームDNA
と23SリボゾームDNAとの間に存在するスペーサー領域の
一部の塩基配列である、20塩基対のオリゴヌクレオチド
(配列番号:4)を化学合成し、その5'末端をFITC標
識して蛍光標識オリゴヌクレオチドとした。この蛍光標
識オリゴヌクレオチドを、0.8M NaClを含むTE緩衝液
(10mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTA)で濃度0.6nMに
希釈し、蛍光標識試薬として用いた。ネガティブコント
ロールとしてサケ精子の全DNA(800ng/mL)を用い、前
記の条件で蛍光偏光度を測定した。なお、蛍光偏光度測
定は、それぞれ3回行った。
【0036】図3および図5に、それぞれ非対称PCR
1と非対称PCR2の増幅産物における蛍光偏光度の時
間変化グラフを示した。図から明らかなように、いずれ
の場合も測定開始から数分後にはレジオネラ・ニューモ
フィラとそれ以外の検体の蛍光偏光値の差異が明確に現
れ、そのまま15分後まで値は安定し、差異も明確なまま
推移することが確認された。
【0037】図3および図5における、それぞれ10分後
の検体の蛍光偏光値を図4および図6に示した。図から
明らかなように、レジオネラ・ニューモフィラの検体の
蛍光偏光値は高い値を示し、その他のものと大きな差異
が認められる。これらの結果から、我々が設計したプロ
ーブおよびプライマーを用い、非対称PCRと蛍光偏光法
を組み合わせた検出法により、レジオネラ・ニューモフ
ィラを特異的に、しかも迅速に検出できることが明らか
である。
【0038】実施例2.レジオネラ・ニューモフィラDN
Aの蛍光偏光法による測定と他の測定方法の比較 レジオネラ・ニューモフィラ血清型1のDNAを非対称PCR
によって増幅し、その産物を蛍光偏光法とドットブロッ
トハイブリダイゼーションによってそれぞれ検出して、
検出までにかかる時間を比較した。非対称PCRは実施例
1の条件と同様である。使用した溶液の組成を以下に示
した。 20×SSC:3M NaCl、0.3M trisodium citrate 2H2O(pH
7.0) 6×SSC:20×SSCを希釈して作成 APH溶液:5×SSC、5×Denhardt溶液、1%SDS buffer1:0.1M Maleic acid、0.15M NaCl (pH7.5) Blocking stock solution:Blocking剤をbuffer1に終濃
度10%になるように溶かして作成 buffer2:Blocking stock solutionをbuffer1で9対1
に希釈して作成 洗浄buffer:Tween20をbuffer1に終濃度0.3%になるよ
うに加えて作成 検出buffer:100mM Tris-HCl、100mM NaCl、50mM MgCl2
(pH9.5) 発色溶液:10mLの検出bufferに200μLのNBT/BCIP溶液を
加えて作成 SDS(ドデシル硫酸ナトリウム) NBT(ニトロブルーテトラゾリウム) BCIP(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-phosphate)
【0039】1.蛍光偏光法 蛍光偏光度の測定は実施例1と同様の条件で行った。ネ
ガティブコントロールとしてサケ精子の全DNA(800ng/m
L)を用いた。測定開始から数分後にはネガティブコン
トロールとの間にはっきりとした差異が現れ、そのまま
15分後まで値は安定し、差違も明確なまま推移した。
【0040】2.DNAドットブロッティング ドットブロットハイブリダイゼーションは一般に行われ
ている手法を用いた。ナイロンメンブレンを適切な大き
さに切り、6×SSCに10分間浸した。PCR反応液とネガ
ティブコントロールであるサケ精子の全DNA(800ng/m
L)に1N NaOHと200mM EDTA(pH8.2)を加えて最終濃度0.
4N NaOH/10mM EDTAとなるようにし、変性させた。湿ら
せたメンブレンをプラスチックの箱(ふたなし)の上に
置き、メンブレンの大半が宙に浮いている状態にした。
メンブレン上に試料を2μLスポットし、風乾した。1.5
M NaCl/0.5M NaOHに浸した濾紙の上にメンブレンを置き
10分間放置した。さらに1.0M NaCl/0.5M Tris-HCl(pH
7.0)に浸した濾紙の上にメンブレンを移し5分間放置し
た。その後メンブレンを乾いた濾紙の上に置き風乾し
た。乾いたメンブレンをラップに包み、DNAを下にしてU
Vトランスイルミネーター上に置いた。3分間UVを照射
して、DNAを固定した。
【0041】3.プレハイブリダイゼーション DNAが固定されているメンブレンを6×SSCで湿らせた。
メンブレンをハイブリダイゼーション用チューブに入れ
APH溶液1mLを加えた後、68℃のウォーターバス中で穏や
かに振とうしながら3時間インキュベーションした。
【0042】4.ハイブリダイゼーション 26塩基対のオリゴヌクレオチド(配列番号:4)を化
学合成し、その3′末端にジゴキシゲニンを標識してプ
ローブとした。チューブ内のAPH溶液を捨て68℃に温
めておいたAPH溶液1mLにプローブ1nmolを混ぜ合わせ、
チューブ内に加えた。チューブを68℃のウォーターバス
中で穏やかに振とうしながら12時間インキュベートし
た。
【0043】5.発色 メンブレン上のスポットは、ベーリンガーマンハイムの
DIG DNA標識及び検出キットを用いて発色させ、検出し
た。メンブレンをチューブから取り出し10mLの洗浄buff
erに浸して室温で10分振とうした。その後メンブレン
を10mLのbuffer2に浸して室温で15分振とうした。bu
ffer2の中にアルカリフォスファターゼ標識−抗ジゴキ
シゲニン抗体(750units/mL)を2μL加えさらに30分
間振とうした。メンブレンを10mLの洗浄bufferに移し室
温で10分振とうした。メンブレンを10mLの検出buff
erに浸した後10mLの発色溶液に移して発色させたとこ
ろ20分後にはPCR反応液のスポットにのみはっきりと
発色した。
【0044】蛍光偏光法ではPCR産物の検出が約5分で
行うことができた。それに対しドットブロットハイブリ
ダイゼーションでは検出までに約17時間30分かかっ
た。この結果から蛍光偏光法が他の方法より遥かに迅速
に目的とする核酸を検出できることが明らかになった。
【0045】
【発明の効果】本発明によって、B/F分離操作が不要で
迅速なレジオネラ・ニューモフィラに由来する核酸の検
出方法を実現することができる。PCRのような核酸増幅
反応と蛍光偏光分析の組み合わせは、検出感度と簡便で
迅速な分析を同時に実現する優れた分析手法である。こ
の組み合わせに本発明に基づくプローブを適用すること
によって、レジオネラ・ニューモフィラの感度と特異性
に優れた分析法が提供される。本発明によってもたらさ
れるレジオネラ・ニューモフィラの簡便な分析手法を利
用すれば、より大量のサンプルを迅速に、また安価に処
理することができる。
【0046】本発明により、レジオネラ・ニューモフィ
ラの特異的な検出が可能となる。本発明によって提供さ
れる新規な塩基配列をプローブに用いて増幅生成物を確
認することにより、最終的にレジオネラ・ニューモフィ
ラ特異的な分析結果を得ることができる。
【0047】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Towa Kagaku Co.,Ltd. <120> Method for detecting nucleic acids of Legionella pneumophila <130> Legionella <140> <141> <160> 10 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence for Legionella pneumophila <400> 1 catcctcctc ggctccacca 20 <210> 2 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence for Legionella pneumophila <400> 2 gcaggattcc acgtcctcct tcg 23 <210> 3 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence for Legionella pneumophila <400> 3 cgctcgtttc cagctcccc 19 <210> 4 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence for Legionella pneumophila <400> 4 ccaatcgctt gtgttacctc ttcttc 26 <210> 5 <211> 448 <212> DNA <213> Legionella pneumophila <400> 5 gcgrmagrat cccytscgga tggatcccct cctcasatag aatggcacag ccggmatcgw 60 agtgcccaca catttwktwk tyattawywa agaacgctgt ccaagtywgg ggtcgwagtt 120 caacccggag agcacctgcs ttscacgcak ggggtcmrsc cttacatcct cctcggctcc 180 accaatagat tgaggggatt gaccagaaca aagtgttttt tgtggagagc attttattct 240 ggtatagccg gagttcatta acaagatggt aaagaagaag aggtaacaca agcgattggt 300 atatgcatca tgtgattttg aggtgattga gattatatgg tcaagaagag aagcgcaaac 360 ggtggatgcc ttggcagtaa gaggcgaaga aggacgtgga atcctgcgaa aagctatggg 420 gagctggaaa cgagcgatga accataat 448 <210> 6 <211> 26 <212> DNA <213> Legionella pneumophila <400> 6 gaagaagagg taacacaagc gattgg 26 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence for Legionella pneumophila <400> 7 ttgaggggat tgaccagaac 20 <210> 8 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence for Legionella pneumophila <400> 8 cttcgcctct tactgccaag 20 <210> 9 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence for Legionella pneumophila <400> 9 tctggtatag ccggagttca tta 23 <210> 10 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence for Legionella pneumophila <400> 10 attatggttc atcgctcgtt tc 22
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における非対称PCR1の各検体の電気泳
動パターンを示した写真。各レーンは以下のサンプルに
対応している。 レーン1:レジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophil
a)血清型1 レーン2:レジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophil
a)血清型2 レーン3:レジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophil
a)血清型3 レーン4:レジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophil
a)血清型4 レーン5:レジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophil
a)血清型5 レーン6:レジオネラ・ニューモフィラ(L. pneumophil
a)血清型6 レーン7:レジオネラ・ボゼマニイ(L.bozemanii) レーン8:レジオネラ・デュモフィ(L.dumoffii) レーン9レジオネラ・ゴルマニイ(L.gormanii) レーン10:レジオネラ・ミカダデイ(L.micdadei) レーン11:シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomon
as aeruginosa) レーンM:100bpラダーマーカー
【図2】実施例における非対称PCR2の各検体の電気泳
動パターンを示した写真。各レーンは以下のサンプルに
対応している。 レーン1:レジオネラ・ニューモフィラ血清型1 レーン2:レジオネラ・ニューモフィラ血清型2 レーン3:レジオネラ・ニューモフィラ血清型3 レーン4:レジオネラ・ニューモフィラ血清型4 レーン5:レジオネラ・ニューモフィラ血清型5 レーン6:レジオネラ・ニューモフィラ血清型6 レーン7:レジオネラ・ボゼマニイ レーン8:レジオネラ・デュモフィ レーン9レジオネラ・ゴルマニイレーン10:レジオネ
ラ・ミカダデイ レーン11:シュードモナス・エルギノーザ レーンM:100bpラダーマーカー
【図3】実施例における非対称PCR1の各検体の蛍光偏
光値の時間変化を示したグラフ。縦軸は偏光度Pを、横
軸は反応時間(分)を示す。また各プロットは以下のサ
ンプルに対応する。 N.C.:ネガティブコントロール LP1:レジオネラ・ニューモフィラの血清型1 LP2:レジオネラ・ニューモフィラの血清型2 LP3:レジオネラ・ニューモフィラの血清型3 LP4:レジオネラ・ニューモフィラの血清型4 LP5:レジオネラ・ニューモフィラの血清型5 LP6:レジオネラ・ニューモフィラの血清型6 LB:レジオネラ・ボゼマニイ LD:レジオネラ・デュモフィ LG:レジオネラ・ゴルマニイ LM:レジオネラ・ミカダデイ PA:シュードモナス エルギノーザ
【図4】実施例における非対称PCR1の各検体の測定開
始から10分後の蛍光偏光値を示したグラフ。縦軸は蛍光
偏光度を、横軸は以下のサンプルに対応する。 N.C.:ネガティブコントロール LP1:レジオネラ・ニューモフィラの血清型1 LP2:レジオネラ・ニューモフィラの血清型2 LP3:レジオネラ・ニューモフィラの血清型3 LP4:レジオネラ・ニューモフィラの血清型4 LP5:レジオネラ・ニューモフィラの血清型5 LP6:レジオネラ・ニューモフィラの血清型6 LB:レジオネラ・ボゼマニイ LD:レジオネラ・デュモフィ LG:レジオネラ・ゴルマニイ LM:レジオネラ・ミカダデイ PA:シュードモナス エルギノーザ
【図5】実施例における非対称PCR2の各検体の蛍光偏
光値の時間変化を示したグラフ。縦軸は偏光度Pを、横
軸は反応時間(分)を示す。また各プロットは以下のサ
ンプルに対応する。 N.C.:ネガティブコントロール LP1:レジオネラ・ニューモフィラの血清型1 LP2:レジオネラ・ニューモフィラの血清型2 LP3:レジオネラ・ニューモフィラの血清型3 LP4:レジオネラ・ニューモフィラの血清型4 LP5:レジオネラ・ニューモフィラの血清型5 LP6:レジオネラ・ニューモフィラの血清型6 LB:レジオネラ・ボゼマニイ LD:レジオネラ・デュモフィ LG:レジオネラ・ゴルマニイ LM:レジオネラ・ミカダデイ PA:シュードモナス エルギノーザ
【図6】実施例における非対称PCR1の各検体の測定開
始から10分後の蛍光偏光値を示したグラフ。縦軸は蛍光
偏光度を、横軸は以下のサンプルに対応する。 N.C.:ネガティブコントロール LP1:レジオネラ・ニューモフィラの血清型1 LP2:レジオネラ・ニューモフィラの血清型2 LP3:レジオネラ・ニューモフィラの血清型3 LP4:レジオネラ・ニューモフィラの血清型4 LP5:レジオネラ・ニューモフィラの血清型5 LP6:レジオネラ・ニューモフィラの血清型6 LB:レジオネラ・ボゼマニイ LD:レジオネラ・デュモフィ LG:レジオネラ・ゴルマニイ LM:レジオネラ・ミカダデイ PA:シュードモナス エルギノーザ
【図7】プライマーに用いたオリゴヌクレオチドの、ゲ
ノムにおける位置関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 貴章 広島県広島市中区舟入町6番5号 東和科 学株式会社内 (72)発明者 郷田 浩志 東京都中央区日本橋箱崎町10番2号 東和 科学株式会社内 (72)発明者 保科 定頼 東京都港区新橋3−25−8 東京慈恵会医 科大学内 (72)発明者 鶴岡 誠 広島県広島市安佐南区沼田町大塚7024番地 (72)発明者 軽部 征夫 神奈川県川崎市宮前区東有馬1−3−16 Fターム(参考) 4B024 AA13 CA01 CA09 CA11 DA05 HA08 HA11 HA12 HA14 4B063 QA01 QQ03 QQ06 QQ18 QQ42 QQ52 QR31 QR56 QR62 QR66 QS02 QS25 QS34 QX02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程を含むレジオネラ・ニューモフィ
    ラに由来する核酸の検出方法。 a)レジオネラ・ニューモフィラに特異的に見出される
    塩基配列を含む核酸を増幅する工程 b)その増幅生成物と蛍光標識プローブとをハイブリダ
    イゼーション可能な条件で接触させる工程 c)蛍光標識プローブのハイブリダイゼーションを蛍光
    偏光度の変化により検出する工程
  2. 【請求項2】配列番号:4に示す塩基配列を含む領域を
    増幅し、配列番号:4に示す塩基配列を含む塩基配列に
    対して特異的にハイブリダイズすることができる少なく
    とも15塩基の長さを持つオリゴヌクレオチドを蛍光標
    識プローブとして用いる請求項1の検出方法。
  3. 【請求項3】次の構成要素を含む蛍光偏光法によるレジ
    オネラ・ニューモフィラに由来する核酸の検出用試薬キ
    ット。 a)レジオネラ・ニューモフィラ由来の核酸を増幅する
    ためのPCR用プライマー b)PCRによる増幅生成物に特異的にハイブリダイズす
    ることができる蛍光標識プローブ
  4. 【請求項4】配列番号:4に示す塩基配列を含む塩基配
    列に対して特異的にハイブリダイズすることができる少
    なくとも15塩基の長さを持つオリゴヌクレオチド。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002272475A (ja) * 2001-03-22 2002-09-24 Eiken Chem Co Ltd 蛍光偏光法による核酸増幅産物の検出方法
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JP2020099214A (ja) * 2018-12-20 2020-07-02 東ソー株式会社 レジオネラ属菌検出に用いるオリゴヌクレオチド及びその検出方法

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