JP2004172061A - 陰極線管 - Google Patents
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Abstract
【課題】抵抗器に起因するスパークやグロー放電を抑制し、耐電圧特性の良好な抵抗器を内蔵した電子銃構体を具備する陰極線管を提供することを目的とする。
【解決手段】内面に蛍光体スクリーンが配置されたパネルを含む外囲器と、外囲器における径小部に対応するネック内に封入され蛍光体スクリーンに向けて電子ビームを放出する複数個の電極を備えた電子銃構体と、外囲器内における電子銃構体近傍に配置され複数個の電極の少なくとも1つに高電圧を分圧した分圧電圧を供給するための抵抗器100と、を備えた陰極線管において、抵抗器100は、その少なくとも一部に配置されたSiO2を基体とする薄膜110を有することを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】内面に蛍光体スクリーンが配置されたパネルを含む外囲器と、外囲器における径小部に対応するネック内に封入され蛍光体スクリーンに向けて電子ビームを放出する複数個の電極を備えた電子銃構体と、外囲器内における電子銃構体近傍に配置され複数個の電極の少なくとも1つに高電圧を分圧した分圧電圧を供給するための抵抗器100と、を備えた陰極線管において、抵抗器100は、その少なくとも一部に配置されたSiO2を基体とする薄膜110を有することを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、陰極線管に係り、特に、耐電圧特性を向上させるための陰極線管構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラー陰極線管は、外囲器の径小部に相当するネック内に封入されたインライン型電子銃構体を備えている。この電子銃構体は、一列配置された3電子ビームを発生する電子ビーム発生部と、これらの電子ビームを画面上に集束するための主レンズ部とにより構成されており、これらの電極はそれぞれ所定の間隔で配置され、少なくとも2本の絶縁支持体によって支持・固定されている。
【0003】
主レンズ部は、少なくとも2つ以上の電極によって構成される。すなわち、主レンズ部を構成する最終加速電極には、ネック内面に塗布された内部導電膜を介して25〜30kV程度の陽極高電圧が供給される。また、主レンズ部を構成する集束電極には、ステムピンを介して陽極高電圧の20〜40%程度の集束電圧が供給される。
【0004】
通常、最終加速電極及び集束電極は、それぞれの電子ビーム通過孔が1mm程度の間隔を置いて対向するように配置されるのが一般的である。また、近年の高解像度のフォーカス性能を要求される電子銃構体では、集束電極と最終加速電極との間に少なくとも1個の中間電極を設け、陽極高電圧を管内に内蔵した抵抗器によって分圧して中間電極に供給する構造が多く採用されている。
【0005】
このような構造の電子銃構体は、直径20〜40mm程度の円筒状のネック内に封入されている。このため、管内に内蔵された抵抗器とネック内壁との間隔が非常に接近している。また、電子銃構体の各電極を支持する絶縁支持体と抵抗器との間隔も非常に接近している。このため、ネック内壁の電位と抵抗器の電位との差、または絶縁支持体の電位と抵抗器の電位との差によって起こるリーク電流が問題となる。特に、このリーク電流が抵抗器の抵抗素子に流れ込むと、中間電極に供給する電圧が変動してしまい、解像度の劣化を招く。
【0006】
また、抵抗器の絶縁性基板としてアルミナ基板を採用したことも上述したリーク電流を引き起すきっかけとなる。すなわち、アルミナ基板は、陰極から放出された電子の一部が漏れて衝突すると2次電子を放出する。この2次電子放出は、アルミナ基板の電位を上昇させ、さらに漏れ電子の衝突を促す。この悪循環によって、アルミナ基板の電位が極端に上昇し、リーク電流に発展する場合が多い。
【0007】
このような現象は、アルミナ基板の2次電子放出係数が比較的大きいことも要因の一つである。このため、通常、抵抗器は、アルミナ基板上に所定パターンの抵抗素子を形成した後、絶縁ガラス層によって抵抗素子を含めてアルミナ基板の大部分を覆うようにコーティングされた構造のものが主流である。
【0008】
しかしながら、抵抗器において、中間電極に電圧を供給するための端子近傍には、この端子と中間電極とを接続するための金属製の引出しタブが設けられている。この引出しタブに絶縁ガラス層が接触すると、抵抗器の製造工程で加わる熱によって引出しタブと絶縁ガラス層との熱膨張差が原因となって絶縁ガラス層にクラックが発生してしまうという問題がある。このため、引出しタブと絶縁ガラス層との間には隙間を形成する必要があり、このような隙間から少なからずアルミナ基板が露出してしまう。
【0009】
カラー陰極線管の動作中に強電界中にさらされる抵抗器にとって、2次電子放出係数が比較的高いアルミナ基板が露出しているということは、上述したように陰極等からの漏れ電子がアルミナ基板に衝突することによって2次電子を放出し、アルミナ基板の電位を極端に上昇させる。このアルミナ基板の電位の上昇が更に電子を引き寄せ、最終的には、スパークやグロー放電を引き起こし、リーク電流を発生するといった問題につながる。
【0010】
このような問題を改善するために、金属製のワイヤーを電子銃の各電極を支持する絶縁支持体を取り囲むように配置し、カラー陰極線管の製造工程において高周波を与えて加熱することによって、絶縁支持体及びこれに対向するネック内壁に金属膜を蒸着して、ネック電位及び絶縁支持体電位を安定させる手法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。しかしながら、この手法は、一部の漏れ電子を金属膜によってある程度捕捉することができ、アルミナ基板に衝突する電子を減少させることができるが、完全に漏れ電子を捉えることはできず、根本的な解決策とはならない。
【0011】
また、抵抗器表面の帯電を防止するために、絶縁ガラス層上に、低電位側から高電位側に向かって互いに分離された複数の導電膜を設ける手法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この手法でも、この引出しタブに絶縁ガラス層を接触させることができず、引出しタブと絶縁ガラス層との間から少なからずアルミナ基板が露出してしまう。このため、上述したように、アルミナ基板の露出に伴ったアルミナ基板の電位上場を招くとともに、不所望な放電やリーク電流の発生といった問題が生ずる。
【0012】
【特許文献1】
特公昭63−10859号公報
【0013】
【特許文献2】
特開2001−297717号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平11−176347号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、抵抗器に起因するスパークやグロー放電を抑制し、耐電圧特性の良好な抵抗器を内蔵した電子銃構体を具備する陰極線管を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明の様態による陰極線管は、
内面に蛍光体スクリーンが配置されたパネルを含む外囲器と、
前記外囲器における径小部に対応するネック内に封入され、前記蛍光体スクリーンに向けて電子ビームを放出する複数個の電極を備えた電子銃構体と、
前記外囲器内における前記電子銃構体近傍に配置され、前記複数個の電極の少なくとも1つに高電圧を分圧した分圧電圧を供給するための抵抗器と、を備えた陰極線管において、
前記抵抗器は、その少なくとも一部に配置されたSiO2を基体とする薄膜を有することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態に係る陰極線管について図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、陰極線管装置の一例としてのカラー陰極線管装置は、真空外囲器30を備えている。この真空外囲器30は、パネル20、及びこのパネル20に一体に接合されたファンネル21を有している。このパネル20は、その内面に、青、緑、赤にそれぞれ発光するドット状またはストライプ状の3色の蛍光体層を有した蛍光体スクリーン22を備えている。シャドウマスク23は、蛍光体スクリーン22に対向して配置され、その内側に多数の電子ビーム通過孔を有している。
【0019】
インライン型電子銃構体26は、ファンネル21の径小部に相当する直径20〜40mm程度の円筒状のネック24内に配置されている。この電子銃構体26は、管軸方向すなわちZ軸方向に沿って蛍光体スクリーン22に向けて3電子ビーム25B、25G、25Rを放出する。この電子銃構体26から放出された3電子ビームは、同一平面上の水平方向すなわちH軸方向に一列に配列されたセンタービーム25G及び一対のサイドビーム25B、25Rからなる。
【0020】
ファンネル21には、陽極端子27が設けられているとともに、ファンネル21の内面には、グラファイト製の内部導電膜28が形成されている。ファンネル21の外側には、電子銃構体26から放出された3電子ビーム25B、25G、25Rを偏向するための非斉一な偏向磁界を形成する偏向ヨーク29が設けられている。この偏向ヨーク29は、ピンクッション型の水平偏向磁界を発生する水平偏向コイル、及び、バレル型の垂直偏向磁界を発生する垂直偏向コイルを備えている。
【0021】
このような構成のカラー陰極線管装置では、電子銃構体26から放出された3電子ビーム25B、25G、25Rは、セルフコンバージェンスしつつ蛍光体スクリーン22の対応する蛍光体層上にフォーカスされる。また、これらの3電子ビーム25B、25G、25Rは、偏向ヨーク29が発生する非斉一磁界によって蛍光体スクリーン22上を偏向され、蛍光体スクリーン22上を水平方向H及び垂直方向Vに走査する。これにより、蛍光体スクリーン22上にカラー画像が表示される。
【0022】
図2に示すように、電子銃構体26は、水平方向Hに一列に配置された3個の陰極K(B、G、R)、及び、管軸方向Zに沿って同軸上に配置された複数の電極を備えている。複数の電極、すなわち、第1グリッド電極G1、第2グリッド電極G2、第3グリッド電極G3、第4グリッド電極G4、第5グリッド電極(集束電極)G5、第6グリッド電極(中間電極)G6、第7グリッド電極(最終加速電極)G7、及びコンバージェンス電極CGは、陰極K(R、G、B)から蛍光体スクリーン22に向かって順次配置されている。
【0023】
これらの3個の陰極K(B、G、R)は、それぞれヒータH(R、G、B)を内装している。また、3個の陰極K(R、G、B)、及び、第1乃至第7グリッド電極G1乃至G7は、相互に所定の位置関係を維持して、一対の絶縁支持体すなわちビードガラス2によって垂直方向Vから挟持されることにより一体的に保持されている。コンバージェンス電極CGは、第7グリッド電極G7に溶接され、電気的に接続されている。
【0024】
このような構成の電子銃構体26は、ネック24端部に溶着された円形ガラス部すなわちステム部500を気密に貫通する金属製の複数のステムピン400によって保持・固定される。また、このステムピン400は、管外と管内との電気的導通をとるためにも利用される。
【0025】
3個の陰極K(R、G、B)は、それぞれ約5mmの間隔で水平方向Hに等間隔に配置されている。また、第1グリッド電極G1及び第2グリッド電極G2は、0.5mm以下の非常に狭い間隔で対向して配置されている。また、第2グリッド電極G2乃至第7グリッド電極G7は、それぞれ0.5〜1mm程度の間隔で対向して配置されている。
【0026】
第1グリッド電極G1及び第2グリッド電極G2は、それぞれ比較的板厚の薄い板状電極によって形成されている。また、第3グリッド電極G3、第4グリッド電極G4、第5グリッド電極G5、及び第7グリッド電極G7は、それぞれ複数のカップ状電極を付け合わせて構成された一体構造の筒状電極によって形成されている。第6グリッド電極G6は、比較的板厚の厚い板状電極によって形成されている。
【0027】
これらの各電極は、3個の陰極K(R、G、B)に対応して3電子ビームをそれぞれ通過するための3個の電子ビーム通過孔を有している。すなわち、第1グリッド電極G1及び第2グリッド電極G2は、直径1mm以下の小さな電子ビーム通過孔を有している。第3グリッド電極G3は、その第2グリッド電極G2に対向する端面に直径約2mm程度の電子ビーム通過孔を有している。第3グリッド電極G3の第4グリッド電極G4側端面、第4グリッド電極G4の両端面、第5グリッド電極G5の両端面、第6グリッド電極G6、及び、第7グリッド電極G7の両端面には、直径約4乃至6mm程度の比較的大きな電子ビーム通過孔が形成されている。
【0028】
また、この電子銃構体26の近傍には、電子銃構体用抵抗器100が配置されている。この抵抗器100は、電子銃構体26に備えられたグリッド電極に対して高電圧を所定の抵抗分割比で分圧するために適用され、分圧された電圧が所定のグリッド電極に印加される。
【0029】
この抵抗器100の一端部に設けられた高圧端子は、第7グリッド電極G7及びコンバージェンス電極CGに接続されている。また、抵抗器100の他端部に設けられた接地端子は、ネック端部を封止しているステムピン400に接続されている。このステムピン400は、直接接地又は管外で可変抵抗器を介して接地されている。また、この抵抗器100は、その中間部において、少なくとも1つの中間端子101を備えている。この中間端子101は、第6グリッド電極G6と接続されている。
【0030】
この電子銃構体26の陰極K(R、G、B)及び各グリッド電極には、ステムピン400を介して所定の電圧が供給される。すなわち、陰極K(B、G、R)には、直流電圧に画像信号の重畳された百数十ボルトの電圧が印加される。また、第1グリッド電極G1は、ステムピン400を介して接地されている。第2グリッド電極G2及び第4グリッド電極G4は、導線3Aを介して管内で接続されている。これらのグリッド電極には、ステムピン400を介して数百ボルトの直流電圧が印加される。第3グリッド電極G3及び第5グリッド電極G5は、導線3Bを介して管内で電気的に接続されている。これらのグリッド電極には、ステムピン400を介して陽極電圧の20乃至40%程度の電圧が印加される。
【0031】
第7グリッド電極G7には、約25乃至30kV程度の陽極電圧が印加される。すなわち、第7グリッド電極G7に溶接されたコンバージェンス電極CGは、内部導電膜28に圧接された複数個の接触子10を備えている。陽極電圧は、ファンネル21に設けられた陽極端子27、内部導電膜28、及び、接触子10を介して、コンバージェンス電極CG及び第7グリッド電極G7に供給される。
【0032】
また、この陽極電圧は、コンバージェンス電極CGに電気的に接続された高圧端子を介して抵抗器100に供給される。第6グリッド電極G6には、抵抗器100の中間端子101を介して、所定の抵抗分割比に分圧された所定の分圧電圧が印加される。
【0033】
このような電子銃構体26の各グリッド電極に、上述したような電圧をそれぞれ印加することにより、陰極K(B、G、R)、第1グリッド電極G1、及び第2グリッド電極G2は、電子ビームを発生する電子ビーム発生部を構成する。また、第2グリッド電極G2及び第3グリッド電極G3は、電子ビーム発生部から発生された電子ビームをプリフォーカスするプリフォーカスレンズを構成する。
【0034】
第3グリッド電極G3、第4グリッド電極G4、及び第5グリッド電極G5は、プリフォーカスレンズによってプリフォーカスされた電子ビームをさらにフォーカスするサブレンズを構成する。第5グリッド電極G5、第6グリッド電極G6、及び、第7グリッド電極G7は、サブレンズによってフォーカスされた電子ビームを最終的に蛍光体スクリーン22上にフォーカスする主レンズを構成する。
【0035】
次に、電子銃構体用抵抗器100の構造について、より詳細に説明する。
【0036】
図3乃至図5に示すように、抵抗器100は、絶縁性基板200と、絶縁性基板200上に設けられた複数の端子部106、107、108と、絶縁性基板上に設けられた抵抗素子150と、抵抗素子150を被覆する絶縁被覆層160と、各端子部106、107、108にそれぞれ対応して接続された引出しタブ170、180、190と、を備えている。
【0037】
すなわち、絶縁性基板200は、板状のアルミナ基板などで構成されている。複数の端子部106、107、108は、それぞれ中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103に対応して設けられ、絶縁性基板200上において独立島状に形成されている。抵抗素子150は、各端子部間において所定の抵抗値を得るために所定のパターンを有するように形成されている。抵抗器100の総抵抗値は、約109Ω/□となっている。引出しタブ170、180、190は、金属製であり、各端子部と各電極を接続するのに用いられる。
【0038】
絶縁被覆層160は、ガラス材などで構成され、抵抗素子150を覆うとともに絶縁性基板200のほぼ全体を覆う。中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103近傍においては、絶縁被覆層160は、引出しタブ170、180、190との接触を避け、これらの間に隙間を形成している。絶縁被覆層と引出しタブとが接触すると、熱膨張差が原因となって、抵抗器の製造工程で加わる熱によって絶縁被覆層にクラックが発生するためである。
【0039】
また、この抵抗器100は、その少なくとも一部に配置されたSiO2を基体とする薄膜110を有している。この薄膜110は、少なくとも各端子付近において絶縁性基板200を被覆するように配置されている。これにより、絶縁被覆層160と引出しタブ170、180、190との隙間において、絶縁性基板200が露出されることがない。この実施の形態では、薄膜110は、抵抗器100の最外表面全体を被覆するように配置されている。
【0040】
この薄膜110は、例えばSiO2単体で形成されている。SiO2の2次電子放出係数は最大で約2程度であるのに対して、アルミナの2次電子放出係数は最大で約5程度である。これらの2次電子放出係数は、1次電子の加速電圧に依存する1次電子の衝突エネルギに対して分布を有しており、SiO2及びアルミナの1次電子エネルギに対する2次電子放出係数の分布は、概ね図6に示す通りである。
【0041】
アルミナの2次電子放出係数の分布は、1次電子エネルギが約1300eVで最大値4.8を示し、1300eV以上の1次電子エネルギの上昇に対しては徐々に小さくなっていく傾向にある。一方、SiO2の2次電子放出係数の分布は、1次電子エネルギが約400eVで最大値2.1を示し、同様に400eV以上の1次電子エネルギの上昇に対しては徐々に小さくなっていく傾向にある。
【0042】
これらの特性から、カラー陰極線管内で発生する1次電子エネルギが、陽極高圧以下のあらゆるエネルギ分布を持った1次電子が存在すると仮定すると、2次電子の絶対的な放出量は、図6に示す分布の面積に比例することになる。すなわち、SiO2の2次電子放出量は、アルミナの2次電子放出量に比べて約1/3以下となる。
【0043】
したがって、陰極等から発生した漏れ電子が抵抗器100におけるSiO2からなる薄膜110に衝突しても2次電子の放出量が極めて少なく抑えることができる。このため、絶縁被覆層160によって被覆されていない中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103近傍におけるアルミナ基板をSiO2からなる薄膜110で被覆することにより、これらの部分での2次電子放出量を大幅に減少させることができる。これにより、抵抗器100の電位上昇を抑えることができるので、抵抗器の耐電圧特性を改善することができ、スパークやグロー放電が無く、リーク電流の問題も発生しない抵抗器100を提供することができる。
【0044】
このように、抵抗器100における端子付近の絶縁性基板200を被覆する薄膜110は、SiO2を基体としたものであればSiO2単体であっても良いが、SiO2を基体とした中に導電物質を含有する導電性薄膜であっても良く、導電性の有無は問わない。
【0045】
例えば、薄膜110として、SiO2基体中に酸化スズを分散させた導電性薄膜を適用した場合について説明する。すなわち、この導電性薄膜110は、1μm以下の厚さを有しているとともに、1011〜1014Ω/□程度の抵抗値で導電性を有している。
【0046】
導電性薄膜110の表面抵抗値が1011Ω/□を下回ってしまうと、不所望なリークを生ずるおそれがあり、望ましくない。また、導電性薄膜110の表面抵抗値が1014Ω/□を上回ってしまうと、ほとんど絶縁膜と同等の抵抗値となってしまい、導電性を有することによるメリットを失ってしまうことになり、望ましくない。
【0047】
この導電性薄膜110は、抵抗器100の中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103と電気的に導通しているが、実質的な電気的導通を得ているのは各端子部106、107、108と導電性薄膜110との接触によるものである。
【0048】
導電性薄膜110の膜厚は、1μm以下と極めて薄いため、金属製の引出しタブ170、180、190と抵抗素子150との間に導電性薄膜110が形成される形となり、微視的に見ると、引出しタブ170、180、190と導電性薄膜110とは複数の点接触で接触している状態となる。
【0049】
したがって、抵抗器100の製造工程で加わる熱工程において、導電性薄膜110に引出しタブ170、180、190との熱膨張差による張力はほとんど発生せず、導電性薄膜110にクラックはほとんど発生しない。なお、仮に導電性薄膜110にクラックが発生したとしても、引出しタブ170、180、190と抵抗素子150との間の極めて微少な領域であるため、アルミナ基板200が露出してしまうようなクラックとは成り得ない。
【0050】
また、抵抗器100の総抵抗値が約109Ω/□であるのに対して、導電性薄膜110の抵抗値が1011〜1014Ω/□程度である。すなわち、導電性薄膜110は、抵抗器100の総抵抗値の100倍以上の抵抗値を有することになる。このため、導電性薄膜110の抵抗値は、抵抗器100本来の分圧特性に影響を与えることはない。つまり、抵抗器100は、所定の電極(ここでは第6グリッド電極G6)に対して陽極電圧を所定の抵抗分割比に分圧した電圧を供給するが、導電性薄膜110の存在によって抵抗分割比に影響を与えることがなく、所定の電極に対して確実に所望する分圧電圧を供給することができる。
【0051】
なお、抵抗器100は、カラー陰極線管装置の動作中に自己発熱するため、導電性薄膜110の抵抗値は、温度の変化に対して安定な値を示すことである必要がある。この導電性薄膜110の抵抗値の温度依存性は、導電性薄膜110の導電物質によって決まる。すなわち、導電性薄膜110として、酸化スズを含有したSiO2基体に、抵抗値の温度依存性の少ない導電物質、例えばインジウムやアンチモンを選択してドープすることによって、抵抗値温度特性の安定した導電性薄膜を形成することが可能である。
【0052】
このような導電性薄膜110を抵抗器100の最外表面に形成し、導電性薄膜110を高圧端子102と実質的に電気的導通した状態とする。これにより、電子銃構体26の陰極等から漏れ出た不所望な漏れ電子が抵抗器100に衝突しても、これらの電子は、抵抗器表面の薄膜110の導電性により、薄膜110中を移動する。すなわち、抵抗器100の表面に衝突した電子は、導電性薄膜110内を移動して高電圧側に流れ、最終的に高圧端子102に吸収される。したがって、漏れ電子の抵抗器100への衝突によって2次電子放出を抑制することができ、抵抗器100表面の電位上昇を抑制することができる。
【0053】
特に、絶縁被覆層160で覆われていない中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103近傍部分は、通常絶縁性基板200が露出している。この絶縁性基板200は、2次電子放出係数が比較的高い素材であるアルミナによって構成される場合が多い。このため、このようなアルミナ基板200を導電性薄膜110によって被覆することは、2次電子放出抑制効果が極めて高く、アルミナ基板の電位上昇を大幅に抑制できる。また、絶縁被覆層160で覆われている部分も2次電子放出係数が0ではないので、2次電子放出を抑制することで抵抗器100の絶縁被覆層160の電位上昇を抑制できる。
【0054】
したがって、スパークやグロー放電等の発生を防止することができ、耐電圧特性を改善することができる。
【0055】
なお、上述した実施の形態では、抵抗器100の全体に導電性薄膜110を形成する場合について説明したが、この発明はこの例に限定されるものではなく、抵抗器100の一部に導電性薄膜110を形成しても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0056】
例えば、図7に示すように、導電性薄膜110を、抵抗器100の中間端子101及び高圧端子102を覆う程度まで形成しても良いし、図8に示すように、抵抗器100の中間端子101近傍のみに形成しても良い。このような構造の場合でも、陰極等から発生した漏れ電子が中間端子101近傍に衝突した場合、衝突した電子は抵抗器100の抵抗素子150を通って最終的に高圧端子102に吸収されるので、同様の効果を発揮する。なお、この場合の抵抗素子150内を通る電子は一時的なものであり、電子数個レベルの電流であるので、定常的に流れるリーク電流のように抵抗器の抵抗分割比に影響を及ぼすことはない。
【0057】
また、上述した実施の形態では、SiO2を基体とする薄膜110を抵抗器100の最外表面に形成する場合について説明したが、この発明はこの例に限定されるものではなく、アルミナ基板200が露出する部分を覆う構造であれば、SiO2を基体とする薄膜110は必ずしも最外表面に形成する必要はない。
【0058】
例えば、図9に示すように、抵抗器100における絶縁性基板200膳体を被覆するように薄膜110を形成しても良い。このような構造では、薄膜110を形成した後に、各端子部106、107,108や、抵抗素子150などを形成し、その後、絶縁被覆層160で所定の部分を覆う。
【0059】
このような構造とすることにより、絶縁性基板200の表面は確実に薄膜110によって被覆されることになり、露出部が無くなる。したがって、絶縁性基板200が2次電子放出係数の高いアルミナ基板であっても、アルミナ基板200自体に漏れ電子が衝突することを防止することができる。このため、絶縁性基板200からの2次電子放出を抑制することができる。
【0060】
また、このような構造は、SiO2を基体とする薄膜(導電性薄膜も含む)110を用いた場合のみ可能となる。すなわち、SiO2の融点が1500℃以上と極めて高いため、抵抗器100の製造工程で端子部106などの焼成時に加わる温度(約600℃)によってもSiO2を基体とした薄膜110の組成が変化することはない。したがって、端子部106などの形成前に薄膜110を形成しても何ら問題無い。
【0061】
さらに、上述した実施の形態では、抵抗器の少なくとも一部に配置する薄膜として酸化スズを含有する導電性薄膜を例に説明したが、この発明はこれに限らず、基体となるSiO2に含まれる導電物質の元素は問わない。例えば、抵抗値の温度依存性の少ないアンチモンやインジウム等の少なくとも1つの酸化物を導電物質とした含有した導電性薄膜を形成しても良い。
【0062】
また、上述した実施の形態では、電子銃構体26において、主レンズを構成する集束電極と最終加速電極との間に1個の中間電極を配置した場合について説明したが、この発明は抵抗器100を具備する電子銃構体であれば、特に電子銃構体の構造は問わない。
【0063】
さらに、上述した実施の形態では、抵抗器100の総抵抗値が約109Ω/□の場合について説明したが、この発明はこの例に限定されるものではなく、抵抗器100の総抵抗値は問わない。また、導電性薄膜110の抵抗値は、抵抗器100の総抵抗値の100倍以上であればいくらでも良い。
【0064】
以上説明したように、この実施の形態に係る陰極線管によれば、抵抗器の少なくとも一部にSiO2を基体とする薄膜を配置することにより、抵抗器の絶縁性基板からの2次電子の放出を抑制することができ、不所望な抵抗器の電位上昇を抑制することができる。したがって、抵抗器に起因するスパークやグロー放電を抑制することができ、耐電圧特性を改善することができる。
【0065】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合組み合わせによる効果が得られる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、抵抗器に起因するスパークやグロー放電を抑制し、耐電圧特性の良好な抵抗器を内蔵した電子銃構体を具備する陰極線管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係るカラー陰極線管装置の構造を概略的に示す水平断面図である。
【図2】図2は、図1に示したカラー陰極線管装置に適用される電子銃構体の構造を概略的に示す垂直断面図である。
【図3】図3は、図2に示した電子銃構体近傍に配置される抵抗器の構造を概略的に示す平面図である。
【図4】図4は、図3に示した抵抗器における中間端子近傍の構造を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、図3に示した抵抗器の構造を概略的に示す図である。
【図6】図6は、アルミナ及びSiO2の1次電子エネルギに対する2次電子放出係数の分布を示す図である。
【図7】図7は、図2に示した電子銃構体近傍に配置可能な抵抗器の他の構造を概略的に示す平面図である。
【図8】図8は、図2に示した電子銃構体近傍に配置可能な抵抗器の他の構造を概略的に示す平面図である。
【図9】図9は、図2に示した電子銃構体近傍に配置可能な抵抗器の他の構造を概略的に示す平面図である。
【図10】図10は、図9に示した抵抗器の中間端子近傍の構造を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
24…ネック
26…電子銃構体
30…外囲器
100…抵抗器
101…中間端子
102…高圧端子
103…接地端子
106、107、108…端子部
110…薄膜(導電性薄膜)
150…抵抗素子
160…絶縁被覆層
170、180、190…引出しタブ
200…絶縁性基板(アルミナ基板)
【発明の属する技術分野】
この発明は、陰極線管に係り、特に、耐電圧特性を向上させるための陰極線管構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラー陰極線管は、外囲器の径小部に相当するネック内に封入されたインライン型電子銃構体を備えている。この電子銃構体は、一列配置された3電子ビームを発生する電子ビーム発生部と、これらの電子ビームを画面上に集束するための主レンズ部とにより構成されており、これらの電極はそれぞれ所定の間隔で配置され、少なくとも2本の絶縁支持体によって支持・固定されている。
【0003】
主レンズ部は、少なくとも2つ以上の電極によって構成される。すなわち、主レンズ部を構成する最終加速電極には、ネック内面に塗布された内部導電膜を介して25〜30kV程度の陽極高電圧が供給される。また、主レンズ部を構成する集束電極には、ステムピンを介して陽極高電圧の20〜40%程度の集束電圧が供給される。
【0004】
通常、最終加速電極及び集束電極は、それぞれの電子ビーム通過孔が1mm程度の間隔を置いて対向するように配置されるのが一般的である。また、近年の高解像度のフォーカス性能を要求される電子銃構体では、集束電極と最終加速電極との間に少なくとも1個の中間電極を設け、陽極高電圧を管内に内蔵した抵抗器によって分圧して中間電極に供給する構造が多く採用されている。
【0005】
このような構造の電子銃構体は、直径20〜40mm程度の円筒状のネック内に封入されている。このため、管内に内蔵された抵抗器とネック内壁との間隔が非常に接近している。また、電子銃構体の各電極を支持する絶縁支持体と抵抗器との間隔も非常に接近している。このため、ネック内壁の電位と抵抗器の電位との差、または絶縁支持体の電位と抵抗器の電位との差によって起こるリーク電流が問題となる。特に、このリーク電流が抵抗器の抵抗素子に流れ込むと、中間電極に供給する電圧が変動してしまい、解像度の劣化を招く。
【0006】
また、抵抗器の絶縁性基板としてアルミナ基板を採用したことも上述したリーク電流を引き起すきっかけとなる。すなわち、アルミナ基板は、陰極から放出された電子の一部が漏れて衝突すると2次電子を放出する。この2次電子放出は、アルミナ基板の電位を上昇させ、さらに漏れ電子の衝突を促す。この悪循環によって、アルミナ基板の電位が極端に上昇し、リーク電流に発展する場合が多い。
【0007】
このような現象は、アルミナ基板の2次電子放出係数が比較的大きいことも要因の一つである。このため、通常、抵抗器は、アルミナ基板上に所定パターンの抵抗素子を形成した後、絶縁ガラス層によって抵抗素子を含めてアルミナ基板の大部分を覆うようにコーティングされた構造のものが主流である。
【0008】
しかしながら、抵抗器において、中間電極に電圧を供給するための端子近傍には、この端子と中間電極とを接続するための金属製の引出しタブが設けられている。この引出しタブに絶縁ガラス層が接触すると、抵抗器の製造工程で加わる熱によって引出しタブと絶縁ガラス層との熱膨張差が原因となって絶縁ガラス層にクラックが発生してしまうという問題がある。このため、引出しタブと絶縁ガラス層との間には隙間を形成する必要があり、このような隙間から少なからずアルミナ基板が露出してしまう。
【0009】
カラー陰極線管の動作中に強電界中にさらされる抵抗器にとって、2次電子放出係数が比較的高いアルミナ基板が露出しているということは、上述したように陰極等からの漏れ電子がアルミナ基板に衝突することによって2次電子を放出し、アルミナ基板の電位を極端に上昇させる。このアルミナ基板の電位の上昇が更に電子を引き寄せ、最終的には、スパークやグロー放電を引き起こし、リーク電流を発生するといった問題につながる。
【0010】
このような問題を改善するために、金属製のワイヤーを電子銃の各電極を支持する絶縁支持体を取り囲むように配置し、カラー陰極線管の製造工程において高周波を与えて加熱することによって、絶縁支持体及びこれに対向するネック内壁に金属膜を蒸着して、ネック電位及び絶縁支持体電位を安定させる手法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。しかしながら、この手法は、一部の漏れ電子を金属膜によってある程度捕捉することができ、アルミナ基板に衝突する電子を減少させることができるが、完全に漏れ電子を捉えることはできず、根本的な解決策とはならない。
【0011】
また、抵抗器表面の帯電を防止するために、絶縁ガラス層上に、低電位側から高電位側に向かって互いに分離された複数の導電膜を設ける手法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この手法でも、この引出しタブに絶縁ガラス層を接触させることができず、引出しタブと絶縁ガラス層との間から少なからずアルミナ基板が露出してしまう。このため、上述したように、アルミナ基板の露出に伴ったアルミナ基板の電位上場を招くとともに、不所望な放電やリーク電流の発生といった問題が生ずる。
【0012】
【特許文献1】
特公昭63−10859号公報
【0013】
【特許文献2】
特開2001−297717号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平11−176347号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、抵抗器に起因するスパークやグロー放電を抑制し、耐電圧特性の良好な抵抗器を内蔵した電子銃構体を具備する陰極線管を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明の様態による陰極線管は、
内面に蛍光体スクリーンが配置されたパネルを含む外囲器と、
前記外囲器における径小部に対応するネック内に封入され、前記蛍光体スクリーンに向けて電子ビームを放出する複数個の電極を備えた電子銃構体と、
前記外囲器内における前記電子銃構体近傍に配置され、前記複数個の電極の少なくとも1つに高電圧を分圧した分圧電圧を供給するための抵抗器と、を備えた陰極線管において、
前記抵抗器は、その少なくとも一部に配置されたSiO2を基体とする薄膜を有することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態に係る陰極線管について図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、陰極線管装置の一例としてのカラー陰極線管装置は、真空外囲器30を備えている。この真空外囲器30は、パネル20、及びこのパネル20に一体に接合されたファンネル21を有している。このパネル20は、その内面に、青、緑、赤にそれぞれ発光するドット状またはストライプ状の3色の蛍光体層を有した蛍光体スクリーン22を備えている。シャドウマスク23は、蛍光体スクリーン22に対向して配置され、その内側に多数の電子ビーム通過孔を有している。
【0019】
インライン型電子銃構体26は、ファンネル21の径小部に相当する直径20〜40mm程度の円筒状のネック24内に配置されている。この電子銃構体26は、管軸方向すなわちZ軸方向に沿って蛍光体スクリーン22に向けて3電子ビーム25B、25G、25Rを放出する。この電子銃構体26から放出された3電子ビームは、同一平面上の水平方向すなわちH軸方向に一列に配列されたセンタービーム25G及び一対のサイドビーム25B、25Rからなる。
【0020】
ファンネル21には、陽極端子27が設けられているとともに、ファンネル21の内面には、グラファイト製の内部導電膜28が形成されている。ファンネル21の外側には、電子銃構体26から放出された3電子ビーム25B、25G、25Rを偏向するための非斉一な偏向磁界を形成する偏向ヨーク29が設けられている。この偏向ヨーク29は、ピンクッション型の水平偏向磁界を発生する水平偏向コイル、及び、バレル型の垂直偏向磁界を発生する垂直偏向コイルを備えている。
【0021】
このような構成のカラー陰極線管装置では、電子銃構体26から放出された3電子ビーム25B、25G、25Rは、セルフコンバージェンスしつつ蛍光体スクリーン22の対応する蛍光体層上にフォーカスされる。また、これらの3電子ビーム25B、25G、25Rは、偏向ヨーク29が発生する非斉一磁界によって蛍光体スクリーン22上を偏向され、蛍光体スクリーン22上を水平方向H及び垂直方向Vに走査する。これにより、蛍光体スクリーン22上にカラー画像が表示される。
【0022】
図2に示すように、電子銃構体26は、水平方向Hに一列に配置された3個の陰極K(B、G、R)、及び、管軸方向Zに沿って同軸上に配置された複数の電極を備えている。複数の電極、すなわち、第1グリッド電極G1、第2グリッド電極G2、第3グリッド電極G3、第4グリッド電極G4、第5グリッド電極(集束電極)G5、第6グリッド電極(中間電極)G6、第7グリッド電極(最終加速電極)G7、及びコンバージェンス電極CGは、陰極K(R、G、B)から蛍光体スクリーン22に向かって順次配置されている。
【0023】
これらの3個の陰極K(B、G、R)は、それぞれヒータH(R、G、B)を内装している。また、3個の陰極K(R、G、B)、及び、第1乃至第7グリッド電極G1乃至G7は、相互に所定の位置関係を維持して、一対の絶縁支持体すなわちビードガラス2によって垂直方向Vから挟持されることにより一体的に保持されている。コンバージェンス電極CGは、第7グリッド電極G7に溶接され、電気的に接続されている。
【0024】
このような構成の電子銃構体26は、ネック24端部に溶着された円形ガラス部すなわちステム部500を気密に貫通する金属製の複数のステムピン400によって保持・固定される。また、このステムピン400は、管外と管内との電気的導通をとるためにも利用される。
【0025】
3個の陰極K(R、G、B)は、それぞれ約5mmの間隔で水平方向Hに等間隔に配置されている。また、第1グリッド電極G1及び第2グリッド電極G2は、0.5mm以下の非常に狭い間隔で対向して配置されている。また、第2グリッド電極G2乃至第7グリッド電極G7は、それぞれ0.5〜1mm程度の間隔で対向して配置されている。
【0026】
第1グリッド電極G1及び第2グリッド電極G2は、それぞれ比較的板厚の薄い板状電極によって形成されている。また、第3グリッド電極G3、第4グリッド電極G4、第5グリッド電極G5、及び第7グリッド電極G7は、それぞれ複数のカップ状電極を付け合わせて構成された一体構造の筒状電極によって形成されている。第6グリッド電極G6は、比較的板厚の厚い板状電極によって形成されている。
【0027】
これらの各電極は、3個の陰極K(R、G、B)に対応して3電子ビームをそれぞれ通過するための3個の電子ビーム通過孔を有している。すなわち、第1グリッド電極G1及び第2グリッド電極G2は、直径1mm以下の小さな電子ビーム通過孔を有している。第3グリッド電極G3は、その第2グリッド電極G2に対向する端面に直径約2mm程度の電子ビーム通過孔を有している。第3グリッド電極G3の第4グリッド電極G4側端面、第4グリッド電極G4の両端面、第5グリッド電極G5の両端面、第6グリッド電極G6、及び、第7グリッド電極G7の両端面には、直径約4乃至6mm程度の比較的大きな電子ビーム通過孔が形成されている。
【0028】
また、この電子銃構体26の近傍には、電子銃構体用抵抗器100が配置されている。この抵抗器100は、電子銃構体26に備えられたグリッド電極に対して高電圧を所定の抵抗分割比で分圧するために適用され、分圧された電圧が所定のグリッド電極に印加される。
【0029】
この抵抗器100の一端部に設けられた高圧端子は、第7グリッド電極G7及びコンバージェンス電極CGに接続されている。また、抵抗器100の他端部に設けられた接地端子は、ネック端部を封止しているステムピン400に接続されている。このステムピン400は、直接接地又は管外で可変抵抗器を介して接地されている。また、この抵抗器100は、その中間部において、少なくとも1つの中間端子101を備えている。この中間端子101は、第6グリッド電極G6と接続されている。
【0030】
この電子銃構体26の陰極K(R、G、B)及び各グリッド電極には、ステムピン400を介して所定の電圧が供給される。すなわち、陰極K(B、G、R)には、直流電圧に画像信号の重畳された百数十ボルトの電圧が印加される。また、第1グリッド電極G1は、ステムピン400を介して接地されている。第2グリッド電極G2及び第4グリッド電極G4は、導線3Aを介して管内で接続されている。これらのグリッド電極には、ステムピン400を介して数百ボルトの直流電圧が印加される。第3グリッド電極G3及び第5グリッド電極G5は、導線3Bを介して管内で電気的に接続されている。これらのグリッド電極には、ステムピン400を介して陽極電圧の20乃至40%程度の電圧が印加される。
【0031】
第7グリッド電極G7には、約25乃至30kV程度の陽極電圧が印加される。すなわち、第7グリッド電極G7に溶接されたコンバージェンス電極CGは、内部導電膜28に圧接された複数個の接触子10を備えている。陽極電圧は、ファンネル21に設けられた陽極端子27、内部導電膜28、及び、接触子10を介して、コンバージェンス電極CG及び第7グリッド電極G7に供給される。
【0032】
また、この陽極電圧は、コンバージェンス電極CGに電気的に接続された高圧端子を介して抵抗器100に供給される。第6グリッド電極G6には、抵抗器100の中間端子101を介して、所定の抵抗分割比に分圧された所定の分圧電圧が印加される。
【0033】
このような電子銃構体26の各グリッド電極に、上述したような電圧をそれぞれ印加することにより、陰極K(B、G、R)、第1グリッド電極G1、及び第2グリッド電極G2は、電子ビームを発生する電子ビーム発生部を構成する。また、第2グリッド電極G2及び第3グリッド電極G3は、電子ビーム発生部から発生された電子ビームをプリフォーカスするプリフォーカスレンズを構成する。
【0034】
第3グリッド電極G3、第4グリッド電極G4、及び第5グリッド電極G5は、プリフォーカスレンズによってプリフォーカスされた電子ビームをさらにフォーカスするサブレンズを構成する。第5グリッド電極G5、第6グリッド電極G6、及び、第7グリッド電極G7は、サブレンズによってフォーカスされた電子ビームを最終的に蛍光体スクリーン22上にフォーカスする主レンズを構成する。
【0035】
次に、電子銃構体用抵抗器100の構造について、より詳細に説明する。
【0036】
図3乃至図5に示すように、抵抗器100は、絶縁性基板200と、絶縁性基板200上に設けられた複数の端子部106、107、108と、絶縁性基板上に設けられた抵抗素子150と、抵抗素子150を被覆する絶縁被覆層160と、各端子部106、107、108にそれぞれ対応して接続された引出しタブ170、180、190と、を備えている。
【0037】
すなわち、絶縁性基板200は、板状のアルミナ基板などで構成されている。複数の端子部106、107、108は、それぞれ中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103に対応して設けられ、絶縁性基板200上において独立島状に形成されている。抵抗素子150は、各端子部間において所定の抵抗値を得るために所定のパターンを有するように形成されている。抵抗器100の総抵抗値は、約109Ω/□となっている。引出しタブ170、180、190は、金属製であり、各端子部と各電極を接続するのに用いられる。
【0038】
絶縁被覆層160は、ガラス材などで構成され、抵抗素子150を覆うとともに絶縁性基板200のほぼ全体を覆う。中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103近傍においては、絶縁被覆層160は、引出しタブ170、180、190との接触を避け、これらの間に隙間を形成している。絶縁被覆層と引出しタブとが接触すると、熱膨張差が原因となって、抵抗器の製造工程で加わる熱によって絶縁被覆層にクラックが発生するためである。
【0039】
また、この抵抗器100は、その少なくとも一部に配置されたSiO2を基体とする薄膜110を有している。この薄膜110は、少なくとも各端子付近において絶縁性基板200を被覆するように配置されている。これにより、絶縁被覆層160と引出しタブ170、180、190との隙間において、絶縁性基板200が露出されることがない。この実施の形態では、薄膜110は、抵抗器100の最外表面全体を被覆するように配置されている。
【0040】
この薄膜110は、例えばSiO2単体で形成されている。SiO2の2次電子放出係数は最大で約2程度であるのに対して、アルミナの2次電子放出係数は最大で約5程度である。これらの2次電子放出係数は、1次電子の加速電圧に依存する1次電子の衝突エネルギに対して分布を有しており、SiO2及びアルミナの1次電子エネルギに対する2次電子放出係数の分布は、概ね図6に示す通りである。
【0041】
アルミナの2次電子放出係数の分布は、1次電子エネルギが約1300eVで最大値4.8を示し、1300eV以上の1次電子エネルギの上昇に対しては徐々に小さくなっていく傾向にある。一方、SiO2の2次電子放出係数の分布は、1次電子エネルギが約400eVで最大値2.1を示し、同様に400eV以上の1次電子エネルギの上昇に対しては徐々に小さくなっていく傾向にある。
【0042】
これらの特性から、カラー陰極線管内で発生する1次電子エネルギが、陽極高圧以下のあらゆるエネルギ分布を持った1次電子が存在すると仮定すると、2次電子の絶対的な放出量は、図6に示す分布の面積に比例することになる。すなわち、SiO2の2次電子放出量は、アルミナの2次電子放出量に比べて約1/3以下となる。
【0043】
したがって、陰極等から発生した漏れ電子が抵抗器100におけるSiO2からなる薄膜110に衝突しても2次電子の放出量が極めて少なく抑えることができる。このため、絶縁被覆層160によって被覆されていない中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103近傍におけるアルミナ基板をSiO2からなる薄膜110で被覆することにより、これらの部分での2次電子放出量を大幅に減少させることができる。これにより、抵抗器100の電位上昇を抑えることができるので、抵抗器の耐電圧特性を改善することができ、スパークやグロー放電が無く、リーク電流の問題も発生しない抵抗器100を提供することができる。
【0044】
このように、抵抗器100における端子付近の絶縁性基板200を被覆する薄膜110は、SiO2を基体としたものであればSiO2単体であっても良いが、SiO2を基体とした中に導電物質を含有する導電性薄膜であっても良く、導電性の有無は問わない。
【0045】
例えば、薄膜110として、SiO2基体中に酸化スズを分散させた導電性薄膜を適用した場合について説明する。すなわち、この導電性薄膜110は、1μm以下の厚さを有しているとともに、1011〜1014Ω/□程度の抵抗値で導電性を有している。
【0046】
導電性薄膜110の表面抵抗値が1011Ω/□を下回ってしまうと、不所望なリークを生ずるおそれがあり、望ましくない。また、導電性薄膜110の表面抵抗値が1014Ω/□を上回ってしまうと、ほとんど絶縁膜と同等の抵抗値となってしまい、導電性を有することによるメリットを失ってしまうことになり、望ましくない。
【0047】
この導電性薄膜110は、抵抗器100の中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103と電気的に導通しているが、実質的な電気的導通を得ているのは各端子部106、107、108と導電性薄膜110との接触によるものである。
【0048】
導電性薄膜110の膜厚は、1μm以下と極めて薄いため、金属製の引出しタブ170、180、190と抵抗素子150との間に導電性薄膜110が形成される形となり、微視的に見ると、引出しタブ170、180、190と導電性薄膜110とは複数の点接触で接触している状態となる。
【0049】
したがって、抵抗器100の製造工程で加わる熱工程において、導電性薄膜110に引出しタブ170、180、190との熱膨張差による張力はほとんど発生せず、導電性薄膜110にクラックはほとんど発生しない。なお、仮に導電性薄膜110にクラックが発生したとしても、引出しタブ170、180、190と抵抗素子150との間の極めて微少な領域であるため、アルミナ基板200が露出してしまうようなクラックとは成り得ない。
【0050】
また、抵抗器100の総抵抗値が約109Ω/□であるのに対して、導電性薄膜110の抵抗値が1011〜1014Ω/□程度である。すなわち、導電性薄膜110は、抵抗器100の総抵抗値の100倍以上の抵抗値を有することになる。このため、導電性薄膜110の抵抗値は、抵抗器100本来の分圧特性に影響を与えることはない。つまり、抵抗器100は、所定の電極(ここでは第6グリッド電極G6)に対して陽極電圧を所定の抵抗分割比に分圧した電圧を供給するが、導電性薄膜110の存在によって抵抗分割比に影響を与えることがなく、所定の電極に対して確実に所望する分圧電圧を供給することができる。
【0051】
なお、抵抗器100は、カラー陰極線管装置の動作中に自己発熱するため、導電性薄膜110の抵抗値は、温度の変化に対して安定な値を示すことである必要がある。この導電性薄膜110の抵抗値の温度依存性は、導電性薄膜110の導電物質によって決まる。すなわち、導電性薄膜110として、酸化スズを含有したSiO2基体に、抵抗値の温度依存性の少ない導電物質、例えばインジウムやアンチモンを選択してドープすることによって、抵抗値温度特性の安定した導電性薄膜を形成することが可能である。
【0052】
このような導電性薄膜110を抵抗器100の最外表面に形成し、導電性薄膜110を高圧端子102と実質的に電気的導通した状態とする。これにより、電子銃構体26の陰極等から漏れ出た不所望な漏れ電子が抵抗器100に衝突しても、これらの電子は、抵抗器表面の薄膜110の導電性により、薄膜110中を移動する。すなわち、抵抗器100の表面に衝突した電子は、導電性薄膜110内を移動して高電圧側に流れ、最終的に高圧端子102に吸収される。したがって、漏れ電子の抵抗器100への衝突によって2次電子放出を抑制することができ、抵抗器100表面の電位上昇を抑制することができる。
【0053】
特に、絶縁被覆層160で覆われていない中間端子101、高圧端子102、及び接地端子103近傍部分は、通常絶縁性基板200が露出している。この絶縁性基板200は、2次電子放出係数が比較的高い素材であるアルミナによって構成される場合が多い。このため、このようなアルミナ基板200を導電性薄膜110によって被覆することは、2次電子放出抑制効果が極めて高く、アルミナ基板の電位上昇を大幅に抑制できる。また、絶縁被覆層160で覆われている部分も2次電子放出係数が0ではないので、2次電子放出を抑制することで抵抗器100の絶縁被覆層160の電位上昇を抑制できる。
【0054】
したがって、スパークやグロー放電等の発生を防止することができ、耐電圧特性を改善することができる。
【0055】
なお、上述した実施の形態では、抵抗器100の全体に導電性薄膜110を形成する場合について説明したが、この発明はこの例に限定されるものではなく、抵抗器100の一部に導電性薄膜110を形成しても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0056】
例えば、図7に示すように、導電性薄膜110を、抵抗器100の中間端子101及び高圧端子102を覆う程度まで形成しても良いし、図8に示すように、抵抗器100の中間端子101近傍のみに形成しても良い。このような構造の場合でも、陰極等から発生した漏れ電子が中間端子101近傍に衝突した場合、衝突した電子は抵抗器100の抵抗素子150を通って最終的に高圧端子102に吸収されるので、同様の効果を発揮する。なお、この場合の抵抗素子150内を通る電子は一時的なものであり、電子数個レベルの電流であるので、定常的に流れるリーク電流のように抵抗器の抵抗分割比に影響を及ぼすことはない。
【0057】
また、上述した実施の形態では、SiO2を基体とする薄膜110を抵抗器100の最外表面に形成する場合について説明したが、この発明はこの例に限定されるものではなく、アルミナ基板200が露出する部分を覆う構造であれば、SiO2を基体とする薄膜110は必ずしも最外表面に形成する必要はない。
【0058】
例えば、図9に示すように、抵抗器100における絶縁性基板200膳体を被覆するように薄膜110を形成しても良い。このような構造では、薄膜110を形成した後に、各端子部106、107,108や、抵抗素子150などを形成し、その後、絶縁被覆層160で所定の部分を覆う。
【0059】
このような構造とすることにより、絶縁性基板200の表面は確実に薄膜110によって被覆されることになり、露出部が無くなる。したがって、絶縁性基板200が2次電子放出係数の高いアルミナ基板であっても、アルミナ基板200自体に漏れ電子が衝突することを防止することができる。このため、絶縁性基板200からの2次電子放出を抑制することができる。
【0060】
また、このような構造は、SiO2を基体とする薄膜(導電性薄膜も含む)110を用いた場合のみ可能となる。すなわち、SiO2の融点が1500℃以上と極めて高いため、抵抗器100の製造工程で端子部106などの焼成時に加わる温度(約600℃)によってもSiO2を基体とした薄膜110の組成が変化することはない。したがって、端子部106などの形成前に薄膜110を形成しても何ら問題無い。
【0061】
さらに、上述した実施の形態では、抵抗器の少なくとも一部に配置する薄膜として酸化スズを含有する導電性薄膜を例に説明したが、この発明はこれに限らず、基体となるSiO2に含まれる導電物質の元素は問わない。例えば、抵抗値の温度依存性の少ないアンチモンやインジウム等の少なくとも1つの酸化物を導電物質とした含有した導電性薄膜を形成しても良い。
【0062】
また、上述した実施の形態では、電子銃構体26において、主レンズを構成する集束電極と最終加速電極との間に1個の中間電極を配置した場合について説明したが、この発明は抵抗器100を具備する電子銃構体であれば、特に電子銃構体の構造は問わない。
【0063】
さらに、上述した実施の形態では、抵抗器100の総抵抗値が約109Ω/□の場合について説明したが、この発明はこの例に限定されるものではなく、抵抗器100の総抵抗値は問わない。また、導電性薄膜110の抵抗値は、抵抗器100の総抵抗値の100倍以上であればいくらでも良い。
【0064】
以上説明したように、この実施の形態に係る陰極線管によれば、抵抗器の少なくとも一部にSiO2を基体とする薄膜を配置することにより、抵抗器の絶縁性基板からの2次電子の放出を抑制することができ、不所望な抵抗器の電位上昇を抑制することができる。したがって、抵抗器に起因するスパークやグロー放電を抑制することができ、耐電圧特性を改善することができる。
【0065】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合組み合わせによる効果が得られる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、抵抗器に起因するスパークやグロー放電を抑制し、耐電圧特性の良好な抵抗器を内蔵した電子銃構体を具備する陰極線管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係るカラー陰極線管装置の構造を概略的に示す水平断面図である。
【図2】図2は、図1に示したカラー陰極線管装置に適用される電子銃構体の構造を概略的に示す垂直断面図である。
【図3】図3は、図2に示した電子銃構体近傍に配置される抵抗器の構造を概略的に示す平面図である。
【図4】図4は、図3に示した抵抗器における中間端子近傍の構造を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、図3に示した抵抗器の構造を概略的に示す図である。
【図6】図6は、アルミナ及びSiO2の1次電子エネルギに対する2次電子放出係数の分布を示す図である。
【図7】図7は、図2に示した電子銃構体近傍に配置可能な抵抗器の他の構造を概略的に示す平面図である。
【図8】図8は、図2に示した電子銃構体近傍に配置可能な抵抗器の他の構造を概略的に示す平面図である。
【図9】図9は、図2に示した電子銃構体近傍に配置可能な抵抗器の他の構造を概略的に示す平面図である。
【図10】図10は、図9に示した抵抗器の中間端子近傍の構造を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
24…ネック
26…電子銃構体
30…外囲器
100…抵抗器
101…中間端子
102…高圧端子
103…接地端子
106、107、108…端子部
110…薄膜(導電性薄膜)
150…抵抗素子
160…絶縁被覆層
170、180、190…引出しタブ
200…絶縁性基板(アルミナ基板)
Claims (10)
- 内面に蛍光体スクリーンが配置されたパネルを含む外囲器と、
前記外囲器における径小部に対応するネック内に封入され、前記蛍光体スクリーンに向けて電子ビームを放出する複数個の電極を備えた電子銃構体と、
前記外囲器内における前記電子銃構体近傍に配置され、前記複数個の電極の少なくとも1つに高電圧を分圧した分圧電圧を供給するための抵抗器と、を備えた陰極線管において、
前記抵抗器は、その少なくとも一部に配置されたSiO2を基体とする薄膜を有することを特徴とする陰極線管。 - 前記抵抗器は、
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上に設けられた複数の端子部と、
前記絶縁性基板上に設けられ、前記端子部間において所定の抵抗値を得るためのパターンを有する抵抗素子と、
前記抵抗素子を被覆する絶縁被覆層と、
前記各端子部にそれぞれ対応して接続された引出しタブと、を備え、
前記薄膜は、前記各端子部付近において前記絶縁性基板を被覆するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。 - 前記薄膜は、SiO2に導電物質を含有する導電性薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。
- 前記導電性薄膜の表面抵抗値は、1011〜1014Ω/□であることを特徴とする請求項3に記載の陰極線管。
- 前記導電性薄膜は、スズ、アンチモン、インジウムの少なくとも1つの酸化物を含有することを特徴とする請求項3に記載の陰極線管。
- 前記抵抗器において、隣接する前記端子部間に形成された前記導電性薄膜の抵抗値が、前記端子部間における抵抗素子の抵抗値の100倍以上であることを特徴とする請求項3に記載の陰極線管。
- 前記導電性薄膜の厚さは、1μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の陰極線管。
- 前記薄膜は、前記抵抗器の表面全体を被覆するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。
- 前記薄膜は、前記抵抗器における高圧側に位置する端子部周辺の表面を被覆するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。
- 前記薄膜は、前記抵抗器の前記絶縁性基板全体を被覆するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の陰極線管。
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