WO2024143053A1 - 液化水素ポンプのガス置換方法 - Google Patents

液化水素ポンプのガス置換方法

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裕也 山根
慶介 川邊田
亮悟 松代
直也 荻山
恭平 竹下
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川崎重工業株式会社
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液化水素ポンプ(1)内に残留している液化水素(10)を置換ガスを用いて排出する方法を提供する。この方法は、液化水素ポンプ(1)の内部に水素ガスを供給し、供給した当該水素ガスによって液化水素ポンプ(1)の内部から外部に液化水素(10)を押し出す第1パージを行うこと、及び、当該第1パージの後、液化水素ポンプ(1)の内部に窒素ガスを供給し、供給した当該窒素ガスによって液化水素ポンプ(1)の内部から外部に水素ガス(10)を押し出す第2パージを行うこと、を含む。

Description

液化水素ポンプのガス置換方法
 本開示は、液化水素を送り出す液化水素ポンプ内に残留している液化水素を置換ガスを用いて排出する技術に関する。
 液化水素ポンプとして、例えば下記特許文献1のものが公知である。この特許文献1に記載の液化水素ポンプは、外槽と、外槽の内部に配置された内槽と、内槽の内部に配置されたポンプ本体とを備える。内槽には液化水素が貯留され、内槽内の液化水素はポンプ本体によって外部に送り出される。内槽と外槽の間には、内槽内の液化水素を保冷するための真空断熱層が形成されている。
 前記のような液化水素ポンプをメンテナンスする際には、安全性の確保等のため、液化水素ポンプ(内槽)の内部に残留している液化水素を事前に排出しておく必要がある。しかしながら、液化水素は非常に低温であるため、取り扱い次第では、液化水素に触れた窒素等の置換ガスが固化し、その固化成分によって何らかの不具合が引き起こされるおそれがある。
特開2018-80801号公報
 本開示は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、置換ガスの固化を伴うことなく液化水素ポンプから液化水素を排出することが可能な方法を提供することを目的とする。
 前記課題を解決するためのものとして、本開示の一局面に係る液化水素ポンプのガス置換方法は、液化水素を送り出す液化水素ポンプ内に残留している液化水素を置換ガスを用いて排出する方法であって、前記液化水素ポンプの内部に水素ガスを供給し、供給した当該水素ガスによって前記液化水素ポンプの内部から外部に液化水素を押し出す第1パージを行うこと、及び、前記第1パージの後、前記液化水素ポンプの内部に窒素ガスを供給し、供給した当該窒素ガスによって前記液化水素ポンプの内部から外部に水素ガスを押し出す第2パージを行うこと、を含むものである。
 本開示の液化水素ポンプのガス置換方法によれば、置換ガスの固化を伴うことなく液化水素ポンプから液化水素を排出することができる。
本開示の一実施形態に係るガス置換方法が適用される液化水素ポンプを含む設備の概略構成を示すシステム図である。 前記液化水素ポンプを単体で示す拡大模式図である。 前記液化水素ポンプの内部をガス置換するイナーティング処理の手順を示すフローチャートである。 前記イナーティング処理の前半部の動作説明図である。 前記イナーティング処理の後半部の動作説明図である。
 [液化水素ポンプの構成]
 図1は、本開示の一実施形態に係るガス置換方法が適用される液化水素ポンプ1を含む設備の概略構成を示すシステム図である。液化水素ポンプ1は、液化水素10を貯蔵する液化水素タンク100から液化水素10を払い出す際に使用されるポンプである。液化水素タンク100は、本実施形態では二重殻の球形タンクであり、液化水素10の貯蔵空間を画成する球状のタンク内槽101と、タンク内槽101を収容する球状のタンク外槽102と、タンク外槽102を地盤上に支持する支柱103とを備える。タンク内槽101とタンク外槽102との間には、液化水素10を保冷するための真空断熱層104が形成されている。液化水素ポンプ1は、液化水素タンク100の外部に設置されている。液化水素ポンプ1は、例えば液化水素10を運搬船等のキャリアに荷役する荷役時に駆動されて、液化水素タンク100から液化水素10を引き込んで前記キャリアに送り出す。
 液化水素ポンプ1は、ポンプ本体11と、ポンプ内槽12と、ポンプ外槽13とを備える。ポンプ本体11は、液化水素10を圧送する機能を発揮する機構部である。ポンプ本体11は、例えば、インペラ等の回転要素と、回転要素を回転可能に保持する筐体と、回転要素を駆動する駆動源とを含んだものとすることができる。ポンプ内槽12は、ポンプ本体11を収容する容器である。ポンプ外槽13は、ポンプ内槽12を収容する容器である。ポンプ内槽12とポンプ外槽13との間には、保冷のための真空断熱層14が形成されている。なお、ポンプ内槽12は、本開示における「ポンプポット」に相当する。
 ポンプ内槽12には、タンク内槽101から延びる上流配管51が接続されている。液化水素10の払い出し時、ポンプ内槽12には、タンク内槽101から上流配管51を通じて供給された液化水素10が貯留される。ポンプ本体11は、ポンプ内槽12内に貯留された液化水素10を吸い込んで外部に吐出する。ポンプ本体11には、液化水素10を下流側に送るための下流配管52が接続されている。ポンプ本体11から吐出された液化水素10は、当該下流配管52を通じて払い出し先へと供給される。
 図2は、液化水素ポンプ1を単体で示す拡大模式図である。この図2では、ポンプ本体11とポンプ内槽12のみを図示し、ポンプ外槽13の図示は省略している。本図に示すように、ポンプ内槽12には、ガス置換装置30を接続するための第1接続口21及び第2接続口22が設けられている。ガス置換装置30は、液化水素ポンプ1のメンテナンス時にポンプ内槽12から液化水素を抜くための装置であり、上部配管31及び下部配管32を含む。第1接続口21は、上部配管31が接続されるポートであり、ポンプ内槽12の上面12aに設けられている。第2接続口22は、下部配管32が接続されるポートであり、ポンプ内槽12の下面12bに設けられている。
 上部配管31は、第1接続口21に接続されるベント管41と、ベント管41から分岐するサブベント管42とを含む。ベント管41の途中には、開閉可能な第1バルブ43が設けられている。サブベント管42は、ベント管41における第1バルブ43と第1接続口21との間の部位から分岐している。サブベント管42の途中には、開閉可能な第2バルブ44が設けられている。サブベント管42における液化水素ポンプ1と反対側の端部は、水素ガス(GH)を供給する供給源である水素ガス供給源33に接続されている。本実施形態において、水素ガス供給源33から供給される水素ガスは、常温の水素ガスである。
 下部配管32は、第2接続口22に接続されるドレン管45と、ドレン管45から分岐するサブドレン管46とを含む。ドレン管45の途中には、開閉可能な第3バルブ47が設けられている。サブドレン管46は、ドレン管45における第3バルブ47と第2接続口22との間の部位から分岐している。サブドレン管46の途中には、開閉可能な第4バルブ48が設けられている。サブドレン管46における液化水素ポンプ1と反対側の端部は、窒素ガス(GN)を供給する供給源である窒素ガス供給源34に接続されている。本実施形態において、窒素ガス供給源34から供給される窒素ガスは、常温の窒素ガスである。
 以上のような構成のガス置換装置30は、液化水素ポンプ1のメンテナンス時に、ポンプ内槽12に残留している液化水素10をガス置換によって排出する用途に供される。具体的に、ガス置換装置30は、ポンプ内槽12に水素ガス及び窒素ガスをこの順に供給することにより、ポンプ内槽12から液化水素10を押し出す。言い換えると、ポンプ内槽12内の液化水素10は、まず水素ガス供給源33から供給される水素ガスによって外部に押し出される。その後、窒素ガス供給源34からポンプ内槽12に窒素ガスが供給されることにより、ポンプ内槽12内のガスが水素ガスから窒素ガスに置換される。
 下部配管32のドレン管45には、上述した水素ガスへの置換時にポンプ内槽12から排出される流体の温度を計測する温度計36が設けられている。また、上部配管31のベント管41には、水素ガスから窒素ガスへの置換時にポンプ内槽12から排出される流体に含まれる水素の濃度を計測する水素濃度計35が設けられている。
 ガス置換装置30は、液化水素ポンプ1のメンテナンス時にのみ用意される仮設の装置であってもよく、常設されている必要はない。仮にガス置換装置30が常設される場合、メンテナンス時を除く通常時は、上述した第1~第4バルブ43,44,47,48は全て全閉状態に維持される。
 [液化水素ポンプのイナーティング]
 次に、上述した液化水素ポンプ1のメンテナンス時にポンプ内槽12をガス置換する処理(以下、これをイナーティング処理ともいう)の手順について説明する。液化水素ポンプ1のメンテナンスは、安全の確保等のため、ポンプ内槽12に残留している液化水素10を排出してから行う必要がある。そこで、当該メンテナンスの開始前に、上述したガス置換装置30を用いたガス置換によってポンプ内槽12から液化水素10を排出するイナーティング処理が行われる。イナーティング処理は、プロセッサを含むコントローラによる自動制御によっても行われ得るが、ここでは作業者が手動で行う例について説明する。
 図3は、前記イナーティング処理の手順を示すフローチャートである。イナーティング処理が開始される前提として、ガス置換装置30の第1~第4バルブ43,44,47,48はいずれも全閉状態にあるものとする。図2にはその状態が示される。すなわち、図2において第1~第4バルブ43,44,47,48が黒塗りで表記されているのは、各バルブがいずれも全閉状態にあることを表している。一方、開弁状態にあるバルブは白抜きで表記される(後述する図4及び図5参照)。
 イナーティング処理の開始に伴い、作業者は、まず第2バルブ44を開弁する(ステップS1)。これにより、水素ガス供給源33から送出された常温の水素ガス(GH)がサブベント管42を通じてポンプ内槽12の内部へと供給される。
 次いで、作業者は、第3バルブ47を開弁する(ステップS2)。これにより、図4に示すように、ポンプ内槽12に残留していた液化水素10がドレン管45を通じて外部に排出される。すなわち、前記ステップS1による水素ガスの供給が継続している状態でさらに第3バルブ47が開弁されることにより、供給された水素ガスによってポンプ内槽12内の液化水素10が押し出されてドレン管45から排出される。ドレン管45は、例えば所定の回収ラインにつながっており、当該回収ラインを通じて液化水素10が回収される。
 前記ステップS1,S2の操作がある程度継続されると、ポンプ内槽12から略全ての液化水素10が排出され、ポンプ内槽12の内部が全体的に水素ガスで占められる状態になる。すなわち、ポンプ内槽12の内部流体が液化水素10から水素ガスへと置換される。当該置換が完了したことを確認するため、作業者は、温度計36による計測温度が予め定められた基準温度Trを超えたか否かを判定する(ステップS3)。基準温度Trは、窒素の融点(固化温度)よりも高い温度であり、例えば80K前後に設定され得る。このような温度は、液化水素10の温度よりも十分に高い。したがって、温度計36による計測温度、つまりドレン管45を通過する流体の温度が基準温度Trを超えたということは、ポンプ内槽12から排出される流体が液化水素10ではなく水素ガスであることを意味する。作業者は、当該ステップS3での判定がYESとなるまで、つまり計測温度が基準温度Trを超えるまで、前記ステップS1,S2の操作を継続する。
 なお、本実施形態において、温度計36はポンプ内槽12から排出された直後の流体の温度を計測するものであるから、前記ステップS3で温度計36により計測される温度は、ポンプ内槽12の内部温度と等価である。言い換えると、前記ステップS3での判定は、ポンプ内槽12の内部温度が窒素の融点よりも高い基準温度Trを超えたか否かの判定ということができる。
 前記ステップS3でYESと判定されて温度計36による計測温度が基準温度Trを超えたことが確認された場合、作業者は、第3バルブ47を閉弁する(ステップS4)。
 次いで、作業者は、第1バルブ43を開弁しかつ第2バルブ44を閉弁する(ステップS5)。これにより、水素ガス供給源33からポンプ内槽12への水素ガスの供給が停止される。
 次いで、作業者は、第4バルブ48を開弁する(ステップS6)。これにより、図5に示すように、窒素ガス供給源34から送出された常温の窒素ガス(GN)がサブドレン管46を通じてポンプ内槽12の内部へと供給される。供給された当該窒素ガスは、ポンプ内槽12を占めていた水素ガスをポンプ内槽12から押し出し、ベント管41を通じて外部に排出する。ベント管41は、例えば所定の回収ラインにつながっており、当該回収ラインを通じて水素ガスが回収される。
 前記ステップS4~S6の操作がある程度継続されると、ポンプ内槽12から略全ての水素ガスが排出され、ポンプ内槽12の内部が全体的に窒素ガスで占められる状態になる。すなわち、ポンプ内槽12の内部ガスが水素ガスから窒素ガスへと置換される。当該置換が完了したことを確認するため、作業者は、水素濃度計35による計測濃度が予め定められた基準濃度Crを下回ったか否かを判定する(ステップS7)。基準濃度Crは、水素の燃焼が起きる濃度の下限値である燃焼下限濃度よりも十分に小さい値に設定される。水素濃度計35による計測濃度、つまりベント管41を通過するガス中の水素濃度が基準濃度Crを下回るということは、ポンプ内槽12から排出されるガスにほとんど水素ガスが含有されていないことを意味する。作業者は、当該ステップS7での判定がYESとなるまで、つまり計測濃度が基準濃度Crを下回るまで、前記ステップS4~S6の操作を継続する。これにより、水素ガスから窒素ガスへの置換が完了し、ポンプ内槽12の内部が全体的に窒素ガスで占められるようになる。
 なお、以上のようなイナーティング処理の手順(図3)において、前記ステップS1,S2の操作は本開示における「第1パージ」に相当し、前記ステップS3の判定は本開示における「温度判定」に相当し、前記ステップS4~S6の操作は本開示における「第2パージ」に相当する。
 [作用効果]
 以上説明したとおり、本実施形態では、液化水素ポンプ1のメンテナンス時に、ポンプ内槽12内に残留している液化水素10がガス置換によって外部に排出される。具体的には、まず水素ガス供給源33からポンプ内槽12に水素ガスが供給されることにより、当該水素ガスにより液化水素10が押し出されて、ポンプ内槽12から液化水素10が排出される。その後、窒素ガス供給源34からポンプ内槽12に窒素ガスが供給されることにより、ポンプ内槽12内のガスが水素ガスから窒素ガスへと置換される。このような方法によれば、置換ガスの固化を伴うことなくポンプ内槽12から液化水素10を排出できる等の利点がある。
 仮に、液化水素10の排出のためにいきなり窒素ガスを供給した場合には、ポンプ内槽12内に残留している極低温の液化水素10に窒素ガスが接触することにより、窒素ガスが固化する可能性がある。窒素ガスが固化すると、その固化成分(氷塊)が配管に詰まる等により、液化水素10の排出が阻害されるような事態が起こり得る。これに対し、本実施形態では、液化水素10を押し出すための置換ガスとして、窒素ガスではなく水素ガスが供給されるので、前記のような置換ガスの固化による不具合を防止することができる。すなわち、水素ガスは、これが液化した液化水素10の温度では当然に固化しないから、液化水素10に接触しても固化することはない。このため、置換ガスの固化成分が配管詰まり等を起こす前記のような不具合を防止することができる。また、供給された水素ガスは、その後に窒素ガスへと置換されるので、メンテナンスに伴い水素ガスが外気に飛散するのを防止することができ、メンテナンスの安全性を確保することができる。
 もちろん、窒素ガスよりも融点の低い不活性ガス、例えばヘリウムガスを置換ガスとして用いれば、1回のガス置換によって液化水素10を不活性ガスに置換し得ると考えられる。しかしながら、ヘリウムガスは窒素ガスに比べてかなり高価であるため、メンテナンスに要する費用が増大するという問題がある。これに対し、本実施形態では、置換ガスとして、安価な窒素ガスと、液化水素10の蒸発成分から豊富に入手可能な水素ガスとが用いられるので、メンテナンスに要する費用を効果的に抑制することができる。
 また、本実施形態では、ポンプ内槽12への水素ガスの供給開始後、ドレン管45に設けられた温度計36による計測温度、換言すればポンプ内槽12の内部温度が調べられ、当該温度が窒素の融点よりも高い基準温度Trを超えたことが確認された後に、ポンプ内槽12への窒素ガスの供給が開始される。このような方法によれば、ポンプ内槽12に供給された窒素ガスが固化するのを的確に防止することができる。
 また、本実施形態では、ポンプ内槽12に供給される水素ガスが常温の水素ガスとされるので、当該水素ガスの供給によってポンプ内槽12の温度が上昇し易くなる。これにより、水素ガスの供給が開始されてからポンプ内槽12の内部温度が基準温度Trを超えるまでに要する時間が短縮されるので、窒素ガスの供給を開始するタイミングを早めて作業効率を向上させることができる。
 また、本実施形態では、ポンプ内槽12の上面12aに接続された上部配管31からポンプ内槽12に水素ガスが供給されるとともに、ポンプ内槽12の下面12bに接続された下部配管32を通じてポンプ内槽12から液化水素10が排出されるので、ポンプ内槽12から効率よく液化水素10を排出することができる。すなわち、相対的に比重の小さい水素ガスが上部配管31からポンプ内槽12の上部に供給されるとともに、相対的に比重の大きい液化水素10がポンプ内槽12の底部から下部配管32を通じて外部に排出されるので、ポンプ内槽12から液化水素10を効率よく排出することができ、作業効率を向上させることができる。
 また、本実施形態では、下部配管32からポンプ内槽12に窒素ガスが供給されるとともに、上部配管31を通じてポンプ内槽12から水素ガスが排出されるので、水素ガスから窒素ガスへの置換を効率よく行うことができる。すなわち、相対的に比重の大きい窒素ガスが下部配管32からポンプ内槽12の底部に供給されるとともに、相対的に比重の小さい水素ガスがポンプ内槽12の上部から上部配管31を通じて外部に排出されるので、ポンプ内槽12内のガスを水素ガスから窒素ガスに効率よく置換することができ、作業効率を向上させることができる。
 [変形例]
 以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示はこれに限定されるわけではなく、例えば次のような変形が可能である。
 前記実施形態では、上部配管31が接続される第1接続口21をポンプ内槽12の上面12aに設けたが、第1接続口21が設けられる位置はポンプ内槽12の上部であればよく、上面12aに限られない。例えば、ポンプ内槽12の上部側面に第1接続口21を設けてもよい。
 同様に、前記実施形態では、下部配管32が接続される第2接続口22をポンプ内槽12の下面12bに設けたが、第2接続口22が設けられる位置はポンプ内槽12の下部であればよく、下面12bに限られない。例えば、ポンプ内槽12の下部側面に第2接続口22を設けてもよい。
 前記実施形態では、下部配管32のドレン管45の途中に温度計36を設けたが、温度計36は、ポンプ内槽12から液化水素10を排出する操作の完了時、つまり液化水素10から水素ガスへの置換完了時に有意な温度上昇がみられる場所に設けられていればよく、その限りにおいて温度計36の場所は適宜変更することが可能である。例えば、温度計36は、ポンプ内槽12の底部の温度を計測できるように当該ポンプ内槽12に取り付けられていてもよい。この場合、ポンプ内槽12の底部の計測温度が所定の基準温度を超えたときに、ポンプ内槽12の底部から液化水素10が存在しなくなった、つまり液化水素10の排出が完了したとみなすことができる。
 前記実施形態では、液化水素10を貯留可能なポンプ内槽12(ポンプポット)内にポンプ本体11が収容されるタイプの液化水素ポンプ1に本開示を適用した例について説明したが、本開示のガス置換方法は、内部のどこかの場所に液化水素が残留し得る液化水素ポンプに広く適用可能である。すなわち、本開示のガス置換方法は、液化水素ポンプの内部に残留した液化水素をガス置換によって排出するために使用可能であり、ガス置換が行われる場所はポンプポットの内部に限られない。
 前記実施形態では、球形の液化水素タンク100から液化水素10を払い出す液化水素ポンプ1に本開示のガス置換方法を適用した例について説明したが、液化水素ポンプ1は、他のタイプの液化水素タンク、例えば円筒平底型の液化水素タンクから液化水素を払い出すポンプであってもよい。いずれにせよ、本開示のガス置換方法は、液化水素を送り出す用途に用いられる種々のポンプに広く適用可能である。
 [まとめ]
 前記実施形態及びその変形例には、以下の開示が含まれる。
 本開示の一局面に係る液化水素ポンプのガス置換方法は、液化水素を送り出す液化水素ポンプ内に残留している液化水素を置換ガスを用いて排出する方法であって、前記液化水素ポンプの内部に水素ガスを供給し、供給した当該水素ガスによって前記液化水素ポンプの内部から外部に液化水素を押し出す第1パージ行うこと、及び、前記第1パージの後、前記液化水素ポンプの内部に窒素ガスを供給し、供給した当該窒素ガスによって前記液化水素ポンプの内部から外部に水素ガスを押し出す第2パージを行うこと、を含む。
 本開示によれば、液化水素を押し出すための置換ガスとして、まず水素ガスが供給される。水素ガスは、これが液化した液化水素の温度では当然に固化しないから、液化水素に接触しても固化することはない。このため、置換ガスが固化することによる不具合、例えば置換ガスの固化成分が配管に詰まる等の不具合を防止することができる。また、供給された水素ガスは、その後に窒素ガスへと置換されるので、液化水素ポンプのメンテナンスに伴い水素ガスが外気に飛散するのを防止することができ、メンテナンスの安全性を確保することができる。
 好ましくは、前記ガス置換方法は、前記第1パージの開始後、前記液化水素ポンプの内部温度が窒素の融点(固化温度)を超えたか否かを判定する温度判定を行うことをさらに含む。前記第2パージは、前記温度判定により前記液化水素ポンプの内部温度が前記融点を超えたことが確認された後に開始される。
 この態様では、液化水素ポンプの内部に供給された窒素ガスが固化するのを的確に防止することができる。
 好ましくは、前記第1パージでは、常温の水素ガスを前記液化水素ポンプの内部に供給する。
 この態様では、水素ガスの供給が開始されてから液化水素ポンプの内部温度が窒素の融点を超えるまでに要する時間を短縮できる。これにより、窒素ガスの供給を開始するタイミングを早めて作業効率を向上させることができる。
 好ましくは、前記第1パージでは、前記液化水素ポンプの上部から内部に水素ガスを供給し、かつ前記液化水素ポンプの底部から外部に液化水素を排出する。
 この態様では、液化水素ポンプから液化水素を効率よく排出することができ、作業効率を向上させることができる。
 好ましくは、前記第2パージでは、前記液化水素ポンプの底部から内部に窒素ガスを供給し、かつ前記液化水素ポンプの上部から外部に水素ガスを排出する。
 この態様では、液化水素ポンプ内のガスを水素ガスから窒素ガスに効率よく置換することができ、作業効率を向上させることができる。
 前記液化水素ポンプは、上流側から供給された液化水素を受け入れるポンプポットと、当該ポンプポット内に配置されかつ当該ポンプポット内の液化水素を下流側に吐出するポンプ本体とを含むものとすることができる。この場合、前記第1パージでは、前記水素ガスを前記ポンプポットの内部に供給し、前記第2パージでは、前記窒素ガスを前記ポンプポットの内部に供給することが好ましい。
 この態様では、ポンプポットに残留している液化水素をガス置換によって適切に外部に排出することができる。
 1 液化水素ポンプ
 10 液化水素
 11 ポンプ本体
 12 ポンプ内槽(ポンプポット)

Claims (6)

  1.  液化水素を送り出す液化水素ポンプ内に残留している液化水素を置換ガスを用いて排出する方法であって、
     前記液化水素ポンプの内部に水素ガスを供給し、供給した当該水素ガスによって前記液化水素ポンプの内部から外部に液化水素を押し出す第1パージを行うこと、及び、
     前記第1パージの後、前記液化水素ポンプの内部に窒素ガスを供給し、供給した当該窒素ガスによって前記液化水素ポンプの内部から外部に水素ガスを押し出す第2パージを行うことを含む、液化水素ポンプのガス置換方法。
  2.  請求項1に記載の液化水素ポンプのガス置換方法において、
     前記第1パージの開始後、前記液化水素ポンプの内部温度が窒素の融点を超えたか否かを判定する温度判定を行うことをさらに含み、
     前記第2パージは、前記温度判定により前記液化水素ポンプの内部温度が前記融点を超えたことが確認された後に開始される、液化水素ポンプのガス置換方法。
  3.  請求項2に記載の液化水素ポンプのガス置換方法において、
     前記第1パージでは、常温の水素ガスを前記液化水素ポンプの内部に供給する、液化水素ポンプのガス置換方法。
  4.  請求項1~3のいずれか1項に記載の液化水素ポンプのガス置換方法において、
     前記第1パージでは、前記液化水素ポンプの上部から内部に水素ガスを供給し、かつ前記液化水素ポンプの底部から外部に液化水素を排出する、液化水素ポンプのガス置換方法。
  5.  請求項1~3のいずれか1項に記載の液化水素ポンプのガス置換方法において、
     前記第2パージでは、前記液化水素ポンプの底部から内部に窒素ガスを供給し、かつ前記液化水素ポンプの上部から外部に水素ガスを排出する、液化水素ポンプのガス置換方法。
  6.  請求項1~3のいずれか1項に記載の液化水素ポンプのガス置換方法において、
     前記液化水素ポンプは、上流側から供給された液化水素を受け入れるポンプポットと、当該ポンプポット内に配置されかつ当該ポンプポット内の液化水素を下流側に吐出するポンプ本体とを含み、
     前記第1パージでは、前記水素ガスを前記ポンプポットの内部に供給し、
     前記第2パージでは、前記窒素ガスを前記ポンプポットの内部に供給する、液化水素ポンプのガス置換方法。

     
PCT/JP2023/045381 2022-12-28 2023-12-18 液化水素ポンプのガス置換方法 WO2024143053A1 (ja)

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