WO2024142499A1 - 内視鏡用フード - Google Patents

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隆郎 佐藤
透 松永
栞 金田
由佳 高須
圭紀 森田
有策 嶋本
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株式会社シード
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Abstract

防曇性や防汚性に加えて、特に先端部が生体組織を押し分けられるのに十分な強度と弾性力を有する内視鏡用フードを提供する。内視鏡用フード1は、ハイドロゲル製の本体部5と、第2先端部7とを備え、本体部5は、略円筒形状の外装部2と、外装部2の内側面に周接した円盤部3と、外装部2の挿入側端部に連接する第1先端部4とを備え、第2先端部7は、第1先端部4の挿入側端部に連接し、円環状部材6を含む。

Description

内視鏡用フード
 本発明は、内視鏡用フードに関する。
 内視鏡は、複数の通孔が長手方向に貫通して形成されており、それらの通孔に視界確保用のカメラレンズや照明レンズが配されている。
 内視鏡を用いた手術や検査においては、内視鏡の先端部から生体組織までの至適距離の確認及び視野の確保を目的として、ABSやポリカーボネートや塩化ビニル等により形成された透明な内視鏡用フードが、内視鏡の先端部に装着されている。また、近年では、更に生体組織の損傷を防ぐことを目的として、シリコーンゴム等により形成された透明な内視鏡用フードが、内視鏡の先端部に装着されている。
 しかしながら、かかる内視鏡用フードは、内視鏡の先端部から生体組織までの至適距離の確認及び視野の確保を目的として、内視鏡の先端部に装着されるものであり、カメラレンズや照明レンズの部分は、被覆されていないため、かかる内視鏡用フードが装着された内視鏡を用いた検査や手術において、体液や油脂が付着し、視界が不鮮明になるという課題を有していた。
 そこで、カメラレンズや照明レンズの耐汚染性を目的として、レンズ部分も被覆可能な内視鏡用フードを形成し、更に、防曇処理を施した内視鏡用フード(特許文献1や特許文献2を参照)や、親水性コーティングを備えた内視鏡用フード(特許文献3や特許文献4を参照)等が知られている。
 さらには、内視鏡に液体噴霧機構を具備し、レンズ部分を洗浄する技術(特許文献5を参照)も知られている。
特開平11-047081号公報 特開2004-267583号公報 特開2007-151685号公報 特開2009-213631号公報 特開2009-240596号公報
 ところが、内視鏡用フードやレンズは、親油性の高い素材で形成されていることから、体液や油脂との親和性が極めて高く、長時間の使用においては、付着した体液や油脂を除去しきれず、特許文献1~5に記載の防曇防汚技術は、その効果が十分とは言えない。
 また、曇りや汚染が著しい場合は、一度、手術や検査を中断し、内視鏡を抜き取り、汚染を除去した後、再度挿入を行わなければならず、操作の長時間化や、再挿入による患者の負担が問題となっていたため、耐汚染性に優れる内視鏡用フードの開発が求められていた。
 そこで、本願発明者らは、全体をハイドロゲルにより形成することにより、防曇性及び防汚性に優れる内視鏡用フードを開発した。
 ところで、内視鏡用フードの先端付近は、生体組織を押し分けるための機能も有するため、防曇性や防汚性に加えて、生体組織を損傷することがない程度の柔軟性と強度が求められる。
 また、本願発明者は、内視鏡用フードをハイドロゲルにより形成するだけでは、全体が優れた親水性を有することで防曇性や防汚性は著しく改善されるものの、ハイドロゲル特有の高い柔軟性は、生体組織を押し分けることに対しては最適とは言えず、生体組織を押し分けるための機能について、特に、内視鏡用フードの先端部において改良の余地を有していることを確認した。
 そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、防曇性や防汚性に加えて、特に先端部が生体組織を押し分けられるのに十分な強度と弾性力を有する内視鏡用フードを提供することを目的とする。
 一態様に係る内視鏡用フードは、ハイドロゲル製の本体部と、第2先端部と、を備え、前記本体部は、略円筒形状の外装部と、前記外装部の内側面に周接した円盤部と、前記外装部の挿入側端部に連接する第1先端部と、を備え、前記第2先端部は、前記第1先端部の挿入側端部に連接し、円環状部材を含むことを要旨とする。
 本発明によれば、防曇性や防汚性に加えて、特に先端部が生体組織を押し分けられるのに十分な強度と弾性力を有する内視鏡用フードを提供することができる。
図1は、一実施形態に係る内視鏡用フード1の断面図及び平面図の一例である。 図2は、一実施形態に係る内視鏡用フードが被着された状態の一例を示す図である。
 以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
 なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
<第1実施形態>
 図1~図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る内視鏡用フード1について説明する。図1は、本実施形態に係る内視鏡用フード1の断面図及び平面図の一例であり、図2は、一実施形態に係る内視鏡用フードが被着された状態の一例を示す図である。
 本実施形態に係る内視鏡用フード1は、ハイドロゲル製の内視鏡用フードであり、図1に示すように、本体部5と、第2先端部7とを有する。
 図1に示すように、本体部5は、外装部2と、円盤部3と、第1先端部4とを有する。
 外装部2は、略円筒形状を呈し、内側面において内視鏡の外側面に接し、内視鏡用フード1を内視鏡に固定するように構成されている。
 外装部2の長さbは、内視鏡用フード1を内視鏡に固定するのに十分な長さであれば特に限定されず、5~20mmが好ましく、10~15mmがより好ましい。また、外装部2の厚みcは、0.1~1.0mmが好ましく、0.3~0.5mmがより好ましい。さらに、外装部2の内径eは、使用する内視鏡に合わせ適宜設計され得る。
 円盤部3は、円盤形状を呈し、外装部2の内側面に周接して設けられ、鉗子の出入り口となる鉗子口9及び洗浄水の出口となる送水口10を有する以外は、内視鏡の挿入側端部を覆い、特にカメラレンズが汚染されることを防ぐように構成されている。
 円盤部3は、略平面に形成されており、円盤部3の厚みdは、0.01~1.0mmが好ましく、0.05~0.7mmがより好ましく、0.1~0.5mmが最も好ましい。円盤部3の厚みdが、1.0mmを超過すると、カメラレンズを介して得られる視野に悪影響を及ぼす。また、円盤部3の厚みdが、0.01mmよりも小さい場合、円盤部3の強度が低くなり、使用時の破損が生じることが懸念されるため好ましくない。
 第1先端部4は、外装部2の内径e及び外径fと略同一の寸法で形成される円筒形状を有し、外装部2の挿入側端部に連接して設けられ、先端部8の一部を形成するように構成されている。
 また、第2先端部7も、外装部2の内径e及び外径fと略同一の寸法で形成される円筒形状を有し、第1先端部4の挿入側端部に連接して設けられる。ここで、第2先端部7は、円環状部6を含む。
 第1先端部4及び第2先端部7により形成される先端部8の長さaは、至適距離と視野を確保できる長さであれば特に限定されず、1~10mmが好ましく、2~5mmがより好ましい。ここで、先端部8の長さaが10mmを超過すると、カメラレンズへの先端部の写り込みが大きくなり、視野が狭まるため好ましくない。
 また、先端部8の厚みgは、0.1~1.0mmが好ましく、0.3~0.5mmがより好ましい。
 なお、円環状部6の30%変形圧縮曲げ強さは、本体部5の30%変形圧縮曲げ強さよりも強いことが好ましい。
 かかる構成によれば、円環状部6を含む先端部8(第2先端部7)の強度を本体部5の強度に比べて向上させることにより、本実施形態に係るハイドロゲル製内視鏡用フード1の先端部8に生体組織を押し分けるための適度な強度を付与することが可能になる。
 また、円環状部6の30%変形圧縮曲げ強さは、1.0N~2.0Nであることが好ましい。
 円環状部6の30%変形圧縮曲げ強さが1.0Nより小さい場合、本実施形態に係るハイドロゲル製内視鏡用フード1の先端部8に生体組織を押し分けるための機能が付与されず、円環状部6の30%変形圧縮曲げ強さが2.0Nを超過する場合、本実施形態に係るハイドロゲル製内視鏡用フード1の使用時に、本体の先端部を傷付ける恐れが生じるため好ましくない。
 本実施形態に係る第2先端部7形成方法として、予め形成しておいた円環状部材6を内視鏡用フード1形成用成形型の所定位置に配した後に、本体部5形成用の重合性組成物を注入し共重合反応に供する第1態様を取り得る。
 第1態様における円環状部材6の形状について、内径e2を外装部2の内径eよりも大きく形成し、かつ、外径f2を外装部2の外径fよりも小さく形成することにより、本体部5形成用の重合性組成物を注入し共重合反応に供する工程において、円環状部材6は、内視鏡用フード1に内包されることとなる。
 かかる構成を有することにより、円環状部材6を含む先端部8(第2先端部7)に耐汚染性が付与されるため好ましい。
 本実施形態に係る内視鏡用フード1形成工程において、円環状部材6を本体部5形成用治具に載置する前に、プラズマ照射やコロナ放電等の前処理を施すことにより、共重合反応において円環状部材6と本体部5との親和性が向上することができる。
 本実施形態に係る第2先端部7形成方法として、内視鏡用フード1形成用成形型の挿入側の端部に重合性組成物を所定量注入し、重合反応に供することにより円環状部材6を形成した後に、連続して本体部5形成用の重合性組成物を注入し、さらなる共重合反応に供する第2態様を取り得る。
 第2態様において、円環状部材6の内径e2及び外径f2は、それぞれ外装部2の内径e及び外径fと同じ値となる。
 第1態様において、本実施形態に係る内視鏡用フード1の円環状部材6を形成する素材としては、ポリスチレン系やオレフィン系やPVC系やポリウレタン系やポリエステル系やポリアミド系やEVA系やアクリル系等の中から選択される熱可塑性エラストマー、及び、加硫ゴム及び樹脂系エラストマー等の中から選択される熱硬化性エラストマーが挙げられる。
 また、第2態様において、本実施形態に係る内視鏡用フード1の円環状部材6を形成する素材としては、架橋親水性ポリマー(ハイドロゲル)が挙げられる。
 また、円環状部材6の成型方法としては、射出成形やキャストモールド成形や切削成形等の公知の方法から、用いる素材に適した成型方法を適宜選択することにより所望の形状に加工され得る。
 円環状部材6の素材として、架橋親水性ポリマー(ハイドロゲル)を選択した場合、円環状部材6形成用の重合性組成物は、後述する本体部5形成用の重合性組成物と同一或いは異なる組成を取り得るが、特に同一の場合においては、円環状部材6形成用の重合性組成物に配合する架橋性モノマーの量を、本体部5形成用の重合性組成物に配合する架橋性モノマーの量よりも多くすることが重要である。
 具体的な配合量については後述するが、このように、架橋性モノマーの量を多くすることにより、円環状部材6の架橋密度が本体部5の架橋密度よりも高くなり強度が向上するため、円環状部材6(第2先端部7)と本体部5とを組み合わせて、本実施形態に係る内視鏡用フード1を形成した際に、先端部8に好ましい強度を付与することを可能にする。
 本発明における円環状部材6の強度について、実施例において詳細を記載しているが、本発明においては、円環状部材6に荷重した際の30%変形圧縮曲げ強さ(N)により評価を行っており、好ましい30%変形圧縮曲げ強さは1.0~2.0(N)であり、1.1~1.9(N)がより好ましく、1.2~1.8(N)が最も好ましい。
 円環状部6の30%変形圧縮曲げ強さが1.0(N)未満の場合、生体組織を押し分けるのに強度が十分ではなく、円環状部6の30%変形圧縮曲げ強さが2.0Nを超過する場合、本実施形態に係るハイドロゲル製内視鏡用フード1の使用時に、本体の先端部を傷付ける恐れが生じるため好ましくない。
 本実施形態に係る内視鏡用フード1において、本体部5は、ハイドロゲルからなる。ハイドロゲルとしては、親水性モノマーのみを用いて形成されたハイドロゲル、親水性モノマーに疎水性モノマー若しくは架橋性モノマー又はその両方を添加して形成されたハイドロゲル等が挙げられる。
 親水性モノマーは、ハイドロゲルの含水率に対して寄与し、疎水性モノマーは、ハイドロゲルの含水率及び膨潤率の調整作用に対して寄与することで、得られる内視鏡用フード1の濡れ性や柔軟性に対して影響を与える。
 また、架橋性モノマーは、その含有量によって、ハイドロゲルの高分子鎖の密度を制御することが可能となり、ハイドロゲルに機械的強度や形状安定性や耐溶剤性を付与することができる。
 ハイドロゲルの含水率(含水率(重量%)=〔(W-D)/W〕×100(W:含水重量、D:乾燥重量))は、特に限定されないが、例えば、20~70重量%とすることができる。また、必要に応じて、適宜含水率を選択することができる。
 親水性モノマーとしては、1以上の親水基を分子内に有するものが好ましく、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N-ビニルアセトアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルオキシエチルコハク酸、イタコン酸、メタクリルアミドプロピルトリアンモニウムクロライド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中から少なくとも1種或いは2種以上組み合わせて用いてもよい。
 上述の親水性モノマーの中でも2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドンが、取扱い性の観点から、本願発明においては好ましく用いられる。
 親水性モノマーの配合率は、特に限定されないが、得られる内視鏡用フード1の含水率に影響を及ぼすことから、全重合成分中の50重量%以上であることが好ましい。親水性モノマーの配合率が50重量%未満の場合、十分な含水率を有する内視鏡用フード1が得られないことから、内視鏡用フード1の防汚性や防曇性が低下することが懸念されるため好ましくない。
 疎水性モノマーとしては、例えば、シロキサニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、メタクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中から疎水性モノマーを2種以上組み合わせて用いてもよい。
 疎水性モノマーは、配合量に応じて得られる内視鏡用フード1の含水性を変化させることができる。ところが、疎水性モノマーの配合率が高いと含水性が極端に低下し、得られる内視鏡用フード1の柔軟性が低下することから、例えば、モノマー総量に対して30重量%未満であることが好ましい。
 架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、2-ヒドロキシ-1,3-ジメタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられ、これらの中から少なくとも1種、あるいは、2種以上組み合わせて用いてもよい。
 架橋性モノマーの配合量は、得られる内視鏡用フード1の形状調節効果の観点から、モノマー総量に対して0.1~10重量%が好ましい。0.1重量%未満の場合は、内視鏡用フード1の網目構造が不足し、10重量%を超えると逆に網目構造が過剰となるため、内視鏡用フード1が脆くなり、かつ、柔軟性が低下する。
 上述のモノマーの混合物を重合させる際に使用する重合開始剤としては、一般的なラジカル重合開始剤であるラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物やアゾビスバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。重合開始剤の添加量は、モノマー総量に対して100~10000ppm程度が好ましい。
 本実施形態に係る内視鏡用フード1における先端部8の一部となる円環形状部材6の素材に架橋親水性ポリマー(ハイドロゲル)を選択した場合、上述のとおり、円環状部材6形成用の重合性組成物に配合する架橋性モノマーの配合量を、本体部5形成用の重合性組成物に配合する架橋性モノマーの配合量よりも多くすることで、円環状部材6の架橋密度は、本体部5の架橋密度よりも高くなることとなり、円環状部材6(第2先端部7)と本体部5とを組み合わせて、本実施形態に係る内視鏡用フード1を形成した際に先端部8に好ましい強度を付与することを可能にする。
 円環状部材6形成に用いる架橋性モノマーの配合量は、用いる架橋性モノマーの分子量により異なり、低分子量の場合は、本体部5を形成するモノマーの総重量中5重量%~25重量%となることが好ましく、より好ましくは10重量%~20重量%である。また、高分子量の場合は、本体部5を形成するモノマーの総重量中25重量%~50重量%となることが好ましく、より好ましくは30重量%~40重量%である。
 本実施形態に係る内視鏡用フード1は、上述のモノマーを単一で混合した場合、或いは、上述のモノマーの複数を混合した後、所望の形状に形成するものであり、第1態様においては、単一の材料において形成されるが、第2態様においては、外装部2及び円盤部3を各々異なる材料により形成した後、組み合わせて用いることができる。この場合において、円盤部3の含水率が、外装部2の含水率よりも大きくなるように調製することにより、防曇性及び防汚性は、より効果的に発現する。
 ポリマーを得る工程として、構成成分であるモノマーを混合して得られるモノマー混合液を金属やガラスやプラスチック等の成形型に入れ、密閉し、恒温槽などで段階的又は連続的に25~120℃の範囲で昇温し、5~120時間で共重合反応を完了させることにより、ポリマーを含む成形型を得ることができる。重合に関しては、紫外線や電子線やガンマ線等などを用いることが可能である。
 ハイドロゲルを得る工程として、重合終了後の成形型を室温に冷却し、成形型に入っているポリマーを成形型から剥離し、必要に応じて、切削、研磨した後に、ポリマーを水和膨潤させてハイドロゲルとする。
 使用する液体(膨潤液)としては、例えば、水、生理食塩水、等張性緩衝液及びこれらにエタノール等の有機溶媒を混合した溶液等が挙げられるが、これらに限定されない。膨潤液を60~100℃に加温し、ポリマーを一定時間膨潤液に浸漬させて膨潤状態とする。また、膨潤処理時にポリマーに付着する未反応のモノマーを除去することが好ましい。得られたハイドロゲルは、生理食塩水等の膨潤液に浸漬した状態で、110~130℃、10~60分間の高圧蒸気滅菌に供することにより定形化することができる。
 以下、本発明を、実施例を用いて、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(内視鏡用フード1の作製方法)
<実施例1>
 実施例1に係る内視鏡用フード1の円環部材6は、エラストマーによって形成されるものとする。
 実施例1では、第1に、射出成型により、予め所望の形状に成型したシリコーンゴム製の円環状部材6にコロナ放電処理を行った後に、膨潤後に表1に示す内視鏡用フード1の構造になるように予め設計された内視鏡用フード1形成用成形型の先端部8に載置した。
 第2に、本体部5形成用の親水性モノマーとして、2-ヒドロキシエチルメタクリレート99.0g、架橋性モノマーとして、エチレングリコールジメタクリレート1.0g、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.20gを混合した後、円環状部材6を載置した状態の上述の成形型中に分注し、加熱重合を行った(窒素雰囲気下、室温~100℃に昇温、40時間)。
 第3に、得られた共重合体を生理食塩水中で60℃、30分間加熱することで膨潤させ、高圧蒸気滅菌を施して内視鏡用フード1とした。
<実施例2>
 実施例2に係る内視鏡用フード1の円環部材6は、熱可塑性高分子によって形成されるものとする。
 実施例2では、第1に、射出成型により、予め所望の形状に成型したポリ塩化ビニル(PCV)製の円環状部材にコロナ放電処理を行った後に、膨潤後に表1に示す内視鏡用フード1の構造になるように予め設計された内視鏡用フード1形成用成形型の先端部8に載置した。
 第2に、本体部5形成用の親水性モノマーとして、2-ヒドロキシエチルメタクリレート99.0g、架橋性モノマーとして、エチレングリコールジメタクリレート1.0g、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.30gを混合した後、円環状部材を載置した状態の上述の成形型中に分注し、加熱重合を行った(窒素雰囲気下、室温~100℃に昇温、40時間)。
 第3に、得られた共重合体を生理食塩水中で60℃、30分間加熱することで膨潤させ、高圧蒸気滅菌を施して内視鏡用フード1とした。
<実施例3>
 実施例3に係る内視鏡用フード1の円環部材6は、熱可塑性アクリル樹脂によって形成されるものとする。
 実施例3では、第1に、円環状部材6形成用のモノマーとして、メチルメタクリレート90.0g、架橋性モノマーとして、PEG#200ジメタクリレート(4EG)10.0g、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.30gを混合した後、内視鏡用フード形成用成形型中に分注し、加熱重合を行った(窒素雰囲気下、室温~100℃に昇温、40時間)。得られたポリメチルメタクリレート(PMMA)製の円環状部材にコロナ放電処理を行った後に、膨潤後に表1に示す内視鏡用フード1の構造になるように予め設計された内視鏡用フード1形成用成形型の先端部8に載置した。
 第2に、本体部5形成用の親水性モノマーとして、2-ヒドロキシエチルメタクリレート99.5g、架橋性モノマーとして、エチレングリコールジメタクリレート0.5g、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.30gを混合した後、円環状部材が共重合された状態の上記成形型中に分注し、新たに加熱重合を行った(窒素雰囲気下、室温~100℃に昇温、40時間)。
 第3に、得られた共重合体を生理食塩水中で60℃、30分間加熱することで膨潤させ、高圧蒸気滅菌を施して内視鏡用フード13とした。
<実施例4>
 実施例4に係る内視鏡用フード1の円環部材6は、本体部5と同一素材のハイドロゲルによって形成されるものとする。
 実施例3では、第1に、円環状部材6形成用の親水性モノマーとして、2-ヒドロキシエチルメタクリレート80.0g、架橋性モノマーとして、PEG#200ジメタクリレート(4EG)20.0g、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.30gを混合した後、膨潤後に表1に示す外装部2の構造になるように予め設計された内視鏡用フード1形成用成形型中に分注し、加熱重合を行った(窒素雰囲気下、室温~100℃に昇温、40時間)。
 第2に、本体部5形成用の親水性モノマーとして、2-ヒドロキシエチルメタクリレート96.5g、架橋性モノマーとして、PEG#200ジメタクリレート(4EG)3.5g、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.15gを混合した後、円環状部材が共重合された状態の上記成形型中に分注し、新たに加熱重合を行った(窒素雰囲気下、室温~100℃に昇温、40時間)。
 第3に、得られた共重合体を生理食塩水中で60℃、30分間加熱することで膨潤させ、高圧蒸気滅菌を施して内視鏡用フード14とした。
<実施例5>
 実施例5に係る内視鏡用フード1の円環部材6は、本体部5と異なる素材のハイドロゲルによって形成されるものとする。
 実施例4では、第1に、円環状部材6形成用の親水性モノマーとして、2-ヒドロキシエチルメタクリレート70.0g、架橋性モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)30.0g、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.30gを混合した後、膨潤後に表1に示す内視鏡用フード1の構造になるように予め設計された内視鏡用フード1形成用成形型中に分注し、加熱重合を行った(窒素雰囲気下、室温~100℃に昇温、40時間)。
 第2に、本体部5形成用の親水性モノマーとして、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド67.5g、および、N-ビニルピロリドン27.5g、架橋性モノマーとして、PEG#200ジメタクリレート(4EG)5.0g、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.15gを混合した後に円環状部材が共重合された状態の上記成形型中に分注し、新たに加熱重合を行った(窒素雰囲気下、室温~100℃に昇温、40時間)。
 第3に、得られた共重合体を生理食塩水中で60℃、30分間加熱することで膨潤させ、高圧蒸気滅菌を施して内視鏡用フード15とした。
<比較例1>
 比較例1に係る内視鏡用フード1には、円環部材6が設けられていないものとする。
 比較例1では、第1に、本体部5形成用の親水性モノマーとして、2-ヒドロキシエチルメタクリレート99.0g、架橋性モノマーとして、エチレングリコールジメタクリレート1.0g、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.30gを混合した後、円環状部材6がない状態の上述の成形型中に分注し、加熱重合を行った(窒素雰囲気下、室温~100℃に昇温、40時間)。
 第2に、得られた共重合体を生理食塩水中で60℃、30分間加熱することで膨潤させ、高圧蒸気滅菌を施して内視鏡用フード1とした。
(物性の評価)
 実施例1~5及び比較例1について、以下の基準に従い評価した。
(円環状部の強度)
 実施例1~5については、上記に従い形成した円環状部材について、比較例1については、実施例3と同様の方法により形成した円環状部6について、以下に従い圧縮応力を算出した。
 表1に示す形状に形成した、実施例1~5、および、比較例1の円環状部6を、圧縮曲げ試験機(株式会社島津製作所製/型番EZ-SX50N)に開口部が手前になる様にセットした後に荷重を開始し、試験片(円環状部材)の元の外径の30%分が圧縮された時点での荷重量を計測し、圧縮応力とした。
(評価方法)
 各々10サンプルの圧縮応力を測定し、10サンプルの平均値を、実施例1~5、および、比較例1の30%変形圧縮曲げ強さ(N)として算出して、以下の基準に従い評価した。
○: 圧縮応力が1.0N~2.0Nである
△: 圧縮応力が1.0N未満、又は、圧縮応力が2.0N超である
×: 測定不可能である
 先端部の弾性についての評価方法は、以下の通りである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 本実施形態に係る内視鏡用フード1によれば、防曇性や防汚性に優れることから、手術や検査時において、内視鏡のレンズ部分に付着した体液や油脂を内視鏡に供えた送水機構から噴出される水により容易に除去することが可能であり、さらには、曇りも抑止することが可能になる。
 また、本実施形態に係る内視鏡用フード1によれば、先端部が生体組織を押し分けるのに十分な強度と弾性を備えることから、内視鏡を用いた際の操作性が向上する。
 上述のように、本発明について、上述した実施形態によって説明したが、かかる実施形態における開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。かかる開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
1…内視鏡用フード
2…外装部
3…円盤部
4…第1先端部
5…本体部
6…円環状部材
7…第2先端部
8…先端部
9…鉗子口
10…送水口
a…先端部の長さ
b…外装部の長さ
c…外装部の厚み
d:円盤部の厚み
e:外装部の内径
e2:円環状部材の内径
f:外装部の外径
f2:円環状部材の外径
g:先端部の厚み

Claims (5)

  1.  ハイドロゲル製の本体部と、
     第2先端部と、を備え、
     前記本体部は、
      略円筒形状の外装部と、
      前記外装部の内側面に周接した円盤部と、
      前記外装部の挿入側端部に連接する第1先端部と、を備え、
     前記第2先端部は、前記第1先端部の挿入側端部に連接し、円環状部材を含む、内視鏡用フード。
  2.  前記円環状部材の30%変形圧縮曲げ強さは、前記本体部の30%変形圧縮曲げ強さよりも強い、請求項1に記載の内視鏡用フード。
  3.  前記円環状部は、スチレン系、オレフィン系、PVC系、EVA系及びウレタン系、アクリル系の中から選択される熱可塑性エラストマー、及び、加硫ゴム及び樹脂系エラストマーの中から選択される熱硬化性エラストマーの中から選択される、請求項1に記載の内視鏡用フード。
  4.  前記円環状部は、弾性を有する熱硬化性高分子の中から選択される、請求項1に記載の内視鏡用フード。
  5.  前記円環状部の30%変形圧縮曲げ強さは、1.0N~2.0Nである、請求項1~4のいずれか一項に記載の内視鏡用フード。
PCT/JP2023/033063 2022-12-27 2023-09-11 内視鏡用フード WO2024142499A1 (ja)

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