WO2024116988A1 - 異方性導電フィルム、接続構造体および接続構造体の製造方法 - Google Patents

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高い接着強度を有する異方性導電フィルムを提供する。本発明の異方性導電フィルムは、エポキシ化合物と成膜用成分を含有するバインダ組成物と、前記エポキシ化合物を硬化するアニオン系潜在性硬化剤と、1分子中に2以上のメルカプト基を有し、主鎖が有機鎖であるシランカップリング剤と、導電性粒子と、を含む。

Description

異方性導電フィルム、接続構造体および接続構造体の製造方法
 本発明は、異方性導電フィルム、接続構造体および接続構造体の製造方法に関する。
 電子部品と回路基板等とを接着する手段として、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)や異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)などの異方性導電フィルムやそのフィルム状物(接着フィルム)が広く用いられている。例えば、異方性導電フィルムは、フレキシブルプリント基板(FPC)の端子と、FPDパネルのガラス基板の端子とを接続する場合(所謂、FOG)をはじめとして、種々の端子同士を接着すると共に電気的に接続する場合に用いられている。
 FPCとガラス基板等の異なる基材を接合する場合、接着力に優れるエポキシ化合物とアニオン系硬化剤を含む異方性導電フィルムが使用されている。また、接着力を保持しながら、低温での接着を可能とするために、エポキシ樹脂とラジカル重合性(メタ)アクリル化合物を併用する異方性導電フィルムも提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
特開2007-224228号公報 特開2021-93357号公報 特開2021-88645号公報
 特許文献1~3では、エポキシ樹脂とラジカル重合性(メタ)アクリル化合物を併用することにより低温での接着を可能としているが、低温で接着可能であって、より接着強度に優れる異方性導電フィルムが希求されている。
 本発明の課題は、低温接着が可能であって、接着強度に優れる異方性導電フィルムを提供することにある。
 本発明者らは、上記課題につき鋭意検討した結果、下記構成を有する異方性導電フィルムによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] エポキシ化合物と成膜用成分を含有するバインダ組成物と、
 前記エポキシ化合物を硬化するアニオン系潜在性硬化剤と、
 1分子中に2以上のメルカプト基を有し、主鎖が有機鎖であるシランカップリング剤と、
 導電性粒子と、を含む異方性導電フィルム。
[2] 前記シランカップリング剤の配合量は、0.5質量%以上2.0質量%以下である、請求項1に記載の異方性導電フィルム。
[3] 前記シランカップリング剤の配合量は、1.2質量%以上1.8質量%以下である、請求項1に記載の異方性導電フィルム。
[4] 第1の電子部品と第2の電子部品とが請求項1に記載の異方性導電フィルムにより接続されている接続構造体。
[5] 第1の電子部品と第2の電子部品とを、請求項1に記載の異方性導電フィルムを介在させて、圧着する工程を含む、接続構造体の製造方法。
 本発明によれば、FPCをガラス基板に実装するFOG実装等の高い接着強度が必要とされる接合にも使用可能であり、低温で接着した場合でも高い接着性を有する異方性導電フィルムを提供することができる。
 以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
 [異方性導電フィルム]
 本発明の異方性導電フィルムは、エポキシ化合物と成膜用成分を含有するバインダ組成物と、エポキシ化合物を硬化するアニオン系潜在性硬化剤と、1分子中に2以上のメルカプト基を有し、主鎖が有機鎖であるシランカップリング剤と、導電性粒子と、を含むことを特徴とする。
 以下、各構成について詳細に説明する。
 <バインダ組成物>
 本発明の異方性導電フィルムは、エポキシ化合物と成膜用成分を含有するバインダ組成物を含む。
 (エポキシ化合物)
 本発明の異方性導電フィルムで使用するエポキシ化合物は、ビスフェノールA型液状エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物を例示することができる。エポキシ化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
 本発明の異方性導電フィルムで使用するエポキシ化合物の重量平均分子量は、150~6000であることが好ましく、200~2000であることがさらに好ましい。
 本発明の異方性導電フィルムにおいて、エポキシ化合物の含有量は、異方性導電フィルム中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは18質量%以上、さらにより好ましくは20質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下又は50質量%以下である。
 (成膜用成分)
 成膜用成分は、膜形成能を有する限り特に限定されない。成膜用成分は、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ樹脂(重量平均分子量が10000以上)、ポリビニルアセタール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂が挙げられる。(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリレート系モノマーと、(メタ)アクリレート系モノマーと共重合可能な反応性二重結合を有する化合物および二官能あるいは多官能性モノマーとの共重合体を好ましく使用することができる。成膜用成分は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
 中でも、成膜性、加工性、接続信頼性の観点から、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂を好適に用いることができる。
 成膜性の観点から、成膜用成分のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10000以上、より好ましくは15000以上、さらに好ましくは20000以上である。該Mwの上限は、特に限定されないが、好ましくは80000以下、より好ましくは70000以下、60000以下であってもよい。他の配合物や使用目的に応じて適宜選択すればよい。成膜用成分のポリスチレン換算のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
 異方性導電フィルム中の成膜用成分の含有量は、特に限定されず目的に応じて適宜決定してよいが、異方性導電フィルム中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらにより好ましくは25質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
 <アニオン系潜在性硬化剤>
 本発明の異方性導電フィルムは、エポキシ化合物をアニオン重合させるためのアニオン系潜在性硬化剤を含有する。アニオン系潜在性硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、三フッ素ホウ素-アミン錯体系硬化剤、アミンイミド系硬化剤、ポリアミン塩系硬化剤、ジシアンジアミド系硬化剤、およびこれらを変性したものが挙げられる。これらは2種以上を併用することもできる。また、必要に応じ、常法によりマイクロカプセル化して使用することもできる。硬化剤をマイクロカプセル化したもの(マイクロカプセル型硬化剤)中には、エポキシ化合物とアニオン系硬化剤とが含まれており、加熱によりマイクロカプセルが破裂することで、硬化剤成分とエポキシ化合物との反応が進行する。マイクロカプセル型硬化剤100質量部中に、通常、硬化剤が20~50質量部、エポキシ樹脂が80~50質量部含有されている。
 アニオン系潜在性硬化剤としては、エポキシ化合物とアニオン系硬化剤を含むマイクロカプセル型潜在性硬化剤が好適に使用でき、例えば、ノバキュアHXA3932HP、ノバキュアHX3941HP等が例示される。
 異方性導電フィルム中のアニオン系潜在性硬化剤の含有量は、エポキシ化合物の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
 <シランカップリング剤>
 本発明の異方性導電フィルムは、1分子中に2以上のメルカプト基を有し、主鎖が有機鎖であるシランカップリング剤を含む。
 本発明の異方性導電フィルムで使用するシランカップリング剤は、1分子中に2以上のメルカプト基と、1以上のアルコキシシリル基と、メルカプト基およびアルコキシシリル基を側鎖または末端基として有する有機鎖を有するものであれば特に限定されるものではない。メルカプト基を2以上有するシランカップリング剤は、FPCの金属配線との接着性を向上することができるため、接着強度を向上することができる。
 シランカップリング剤のアルコキシシリル基は、トリアルコキシシリル基であることが好ましく、トリメトキシシリル基がさらに好ましい。
 シランカップリング剤の好適な一実施形態として、下記式(1)で表される化合物を例示することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 
 上記式(1)中、Rは、水酸基、メルカプト基、または下記式(2)で表されるアルコキシルシリル基から選択され、nは1以上100以下の整数である。ただし、Rの少なくとも1つは下記式(2)で表されるアルコキシシリル基であり、Rの少なくとも2つはメルカプト基である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 
 上記式(2)中、R’は炭素数1~6のアルキル基であり、Xは水素原子または炭素数1~4のアルキル基であり、mは1~3の整数である。
 また、シランカップリング剤の好適な一実施形態として、下記式(3)で表される化合物を例示することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 
 上記式(3)中、Rは、水酸基、メルカプト基、または下記式(4)で表されるアルコキシルシリル基から選択され、aは4以上10以下の整数であり、b、cおよびdは0以上10以下の整数である。ただし、Rの少なくとも1つは下記式(4)で表されるアルコキシシリル基であり、Rの少なくとも2つはメルカプト基である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 
 上記式(4)中、R’は炭素数1~6のアルキル基であり、Xは水素原子または炭素数1~4のアルキル基であり、mは1~3の整数である。
 本発明の異方性導電フィルムで使用するシランカップリング剤において、アルコキシシリル基の基数に対するメルカプト基の基数の割合は、2以上であることが好ましく、3以上がより好ましい。また、アルコキシシリル基の基数に対するメルカプト基の基数の割合は、10以下であることが好ましく、7以下がより好ましい。アルコキシシリル基の基数に対するメルカプト基の基数の割合が2以上であることにより、有機成分であるバインダ組成物への相溶性に優れ、バインダ組成物やFPCの絶縁性樹脂と結合することで密着性を向上することができる。一方、アルコキシシリル基の基数に対するメルカプト基の基数の割合が10以下であることにより、ガラス基板等の無機成分への接着強度を向上することができる。
 本発明の異方性導電フィルムで使用するシランカップリング剤は、主鎖が有機鎖であるため、バインダ組成物との相溶性、密着性に優れる。
 本発明の異方性導電フィルムで使用するシランカップリング剤の具体例としては、信越化学工業(株)製造のX-12-1154、X-12-1156等が挙げられる。
 本発明の異方性導電フィルムで使用するシランカップリング剤は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が500~3000であることが好ましい。ポリスチレン換算の重量平均分子量が500未満であると製造が困難となるおそれがあり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が3000より大きくなると、製造の際の作業性が悪くなるおそれがある。
 本発明の異方性導電フィルムにおいて、シランカップリング剤の含有量は、異方性導電フィルム中の不揮発成分を100質量%としたとき、0.5質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量が0.5質量%未満または2.0質量%を超えると、圧痕状態が低下し、導通抵抗が上昇するおそれがある。シランカップリング剤の配合量は、1.2質量%以上1.8質量%以下であることがさらに好ましい。シランカップリング剤の配合量を、1.2質量%以上1.8質量%以下とすることにより、保存安定性が飛躍的に向上する。
 <導電性粒子>
 本発明の異方性導電フィルムは、導電性粒子を含む。導電性粒子としては、異方性導電フィルムにおいて用いられる公知の導電性粒子を用いてよい。導電性粒子としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の金属の粒子;これら金属の合金の粒子;金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、樹脂等の粒子の表面に金属を被覆した被覆粒子等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属を被覆した金属被覆樹脂粒子を用いる場合、樹脂粒子の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。なお、導電性粒子は、接続後の導通性能に支障を来さなければ、端子間でのショートリスクの回避のために、上記粒子の表面に更に絶縁薄膜を被覆したものや、絶縁粒子を表面に付着させたものなど絶縁処理を施したものであってもよい。これら導電性粒子は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
 導電性粒子の平均粒子径は、特に限定されず目的に応じて適宜決定してよいが、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下、さらにより好ましくは20μm以下である。該平均粒子径の下限は、特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上である。導電性粒子の平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡観察(SEM)により観察し、複数個(n≧10)の導電性粒子について粒子径を測定し、その平均値を算出すればよい。もしくは、画像型粒度分布測定装置(例として、FPIA-3000(マルバーン社))を用いて測定した測定値(N=1000以上)であってもよい。
 異方性導電フィルム中の導電性粒子の含有量は、特に限定されず目的に応じて適宜決定してよいが、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。該含有量の上限は、所期の異方導電性を得る観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは7質量%以下である。
 本発明の異方性導電フィルムは、必要に応じてさらに他の成分を含んでもよい。かかる成分としては、例えば、有機充填材(例えば、ブタジエン系ゴム粒子、アクリル系ゴム粒子、シリコーン系ゴム粒子)、絶縁性無機フィラー(例えば、シリカフィラー)などの導通を阻害しない充填剤、表面改質剤、難燃剤、カップリング剤、着色剤等の、異方性導電フィルムの製造において使用される公知の添加剤が挙げられる。ブタジエン系ゴム粒子等の有機充填材の添加は、接着強度向上の観点で好ましい。ブタジエン系ゴム粒子等の有機充填材を添加する場合、0.1μm~2.0μm程度の粒子径のものが好ましい。
 本発明の異方性導電フィルムは、ラジカル重合性(メタ)アクリル化合物を併用することなく、低い接着温度で高い接着強度を有する。本発明の異方性導電フィルムは、FPCをガラス基板に実装するFOG実装等の基材違いにより高い接着強度が必要とされる接合にも好適に使用することができる。
 [異方性導電フィルムの形態]
 本発明の異方性導電フィルムは、単層からなっても複数層からなってもよい。複数層からなる場合、本発明の異方性導電フィルムからなる第1接着剤層と、該第1接着剤層上に設けられた、本発明の異方性導電フィルムからなる第2接着剤層とを含むものであってもよい。また本発明の異方性導電フィルムからなる第1接着剤層上に、本発明の異方性導電フィルムとは異なる層を設けてもよい。あるいは、本発明とは異なる層の前後を、本発明の異方性導電フィルムからなる第1接着剤層と、本発明の異方性導電フィルムからなる第2接着剤層で挟持してもよい。本発明の異方性導電フィルムと異なる層は、本発明とは異なる異方性導電フィルムからなる層であってもよく、接着剤層ではない(接着に寄与しない)樹脂層であってもよい。本発明とは異なる層は絶縁性であることが好ましい。
 [異方性導電フィルムの製造方法]
 異方性導電フィルムは、例えば、本発明の異方性導電フィルムの材料を、必要に応じて有機溶剤と混合して塗材を調製した後に、剥離基材上に塗布し、更に乾燥させてフィルム層を形成させることにより製造することができる。塗材の塗布は、バーコーター等の塗布装置を用いて実施すればよい。ドクターブレード法など、公知の異方性導電フィルムの塗布方式を用いることができる。複数層からなる異方性導電フィルムを製造する場合、上記塗布、乾燥の工程を繰り返し複数回実施すればよい。もしくは個別に製造し、ラミネートなどで積層すればよい。
 剥離基材は、異方性導電フィルムを支持することができ、所期のタイミングにて異方性導電フィルムから剥離することができるフィルム状物である限り特に限定されない。剥離基材の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ-4-メチルペンテン-1(PMP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のプラスチック材料を用いてよい。剥離基材はまた、接着フィルムと接合する側の表面に剥離層を有する基材であってよく、剥離層は、例えば、シリコーン樹脂やポリオレフィン樹脂等の剥離剤を含んでよい。
 剥離基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。剥離基材の厚さの下限は、特に限定されないが、接着フィルムの製造時、スリット加工時の取り扱い性の観点から、好ましくは8μm以上である。
 本発明の異方性導電フィルムの厚さは、特に限定されず目的に応じて適宜決定してよいが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。接着剤層の厚さの上限は、特に限定されないが、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらにより好ましくは50μm以下、特に好ましくは40μm以下である。複数層で積層している場合は、合計の厚みとする。
 異方性導電フィルムは、所期の幅を有するようにスリット加工してよい。スリット加工の際、切削屑等によりフィルム層が汚染されるのを防止すべく、その露出表面にカバーフィルムを設けてよい。この場合の厚みは、目的に応じて適宜選択すればよい。カバーフィルムは、異方性導電フィルムのスリット加工時に使用される公知のフィルムを用いてよい。カバーフィルムはスリットなどの製造工程の他、接続使用に用いる製品として、使用時の汚染防止のために剥離基材とは別に設けられていてもよい。この場合、カバーフィルムは剥離性があることが好ましく、厚みは剥離基材と同じか、より薄いことが好ましい。
 [接続構造体]
 本発明の異方性導電フィルムを用いて、電子部品同士を接着した接続構造体を製造することができる。本発明は、第1の電子部品と第2の電子部品とが本発明の異方性導電フィルムにより接続されている接続構造体を包含する。
 第1の電子部品としては、例えば、一般的なプリント基板でよく、リジッド基板、ガラス基板、セラミック基板、プラスチック基板、FPC等が挙げられ、また、第2の電子部品としては、FPC、ICチップ、ICチップ以外の半導体素子等が挙げられる。電子部品の制約は特になく、接続構造体の用途も特に制限はない。例えば、携帯情報端末に使用してもよく、車載用の電気的実装に用いてもよい。本発明においては、一例として、FOB、FOG、FOP、FOF、COG、COP等の多用な接続構造体を製造し得る。特に、FOG、FOPに好ましく適用できる。
 [接続構造体の製造方法]
 本発明の接続構造体の製造方法は、本発明の異方性導電フィルムにより第1の電子部品と第2の電子部品とが接続されている接続構造体を製造し得る限り特に限定されない。以下、本発明の接続構造体を製造する方法について一例を示す。
 一実施形態において、本発明の接続構造体の製造方法は、第1の電子部品と第2の電子部品とを、本発明の異方性導電フィルムを介在させて、圧着する工程を含む。
 はじめに第1の電子部品をステージに載置し、その上に本発明の異方性導電フィルム又は接着フィルムを設け、次いで第2の電子部品を載置する。ここで、ステージに載置した第1の電子部品上に本発明の異方性導電フィルムを設けた後、第1の電子部品の電極と第2の電子部品の電極が対向するように位置合わせし、第2の電子部品側から圧着ツールにて仮圧着を実施する。仮圧着時の温度、圧力及び時間は、具体的な設計に応じて適宜決定してよく、例えば60~80℃、0.5~2MPa、0.5~2秒間とし得る。後述する本圧着を実施するに先立ち、斯かる仮圧着を実施することにより、電子部品同士(それぞれの部品の導通部同士)をより精確に位置合わせして接続することができ好適である。仮圧着を行うことで、より高圧力で押圧する本圧着時の位置ずれの抑制が期待できる。
 仮圧着の後、第2の電子部品側から圧着ツールにて本圧着を実施する。本圧着時の温度、圧力及び時間は、接着フィルムを用いて電子部品を接着する際に用いられる公知の任意の条件としてよく、具体的な設計に応じて適宜決定してよい。例えば、低温(例えば、200℃以下、180℃以下)かつ短時間(例えば、10秒間以下、8秒間以下)の圧着であっても、第1の電子部品と第2の電子部品を良好に接着することが可能である。
 なお、仮圧着、本圧着の別を問わず、第2の電子部品と圧着ツールの間に緩衝材(例えば緩衝シート)を設けてよい。緩衝材は、その使用の有無も含めて、電子部品の組み合わせに応じて適宜調整、決定すればよい。
 本発明の異方性導電フィルムは、低い接着温度でも高い接着強度を有する。例えば、180℃、3MPa、8秒間という接着条件にて接着した場合に、本発明の異方性導電フィルムを用いて製造されたFPCとガラス基板との接続構造体は、製造直後の異方性導電フィルム(接着フィルム)を用いたか常温・冷蔵環境下で一定期間保管した異方性導電フィルム(接着フィルム)を用いたかによらず、90度剥離試験において10N/cm以上の接着強度を呈することができる。
 以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
 [実施例1]
 -異方性導電フィルムの調製-
 アニオン性潜在性硬化剤を35質量%、ビスフェノールF型エポキシ化合物およびビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を合計で65質量%の割合で含むマイクロカプセル型硬化剤(商品名:ノバキュアHXA3932HP、旭化成(株)製)を40.84質量部、ナフタレン型エポキシ化合物(HP商品名:HP4032D、DIC(株)製)を7.21質量部、フェノキシ樹脂(商品名:YP-50、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製、Mw=60,000~80,000)21.12質量部、(メタ)アクリレート樹脂(商品名:SG-80H、ナガセケムテックス(株)製)7.40質量部、ブタジエン系ゴム粒子(商品名:RKB5515B、レジナス化成(株)製、平均粒径0.5μm)17.41質量部、シランカップリング剤(商品名:X-12-1154、信越化学工業(株)製)1.50質量部、導電性粒子(商品名、:ブライト、日本化学工業(株)製、平均粒径4μm)4.52質量部を、溶媒としてPMAを全体の固形分が43.4%になるよう加え、均一に混合して、異方性導電フィルムの塗材を得た。
 -異方性導電フィルムの作製-
 剥離基材として、PETフィルム(厚さ50μm)を用意した。この剥離基材上に、乾燥後の接着フィルム(接着剤層)の厚さが18μmとなるように、異方性導電フィルムを均一に塗布した。その後、70℃のオーブン中で5分間乾燥させて、剥離基材上に接着剤層を形成した。次いで、接着剤層の露出面に、カバーフィルムを45℃でラミネート処理した。
 [実施例2~6および比較例1~2]
 シランカップリング剤等の配合量を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして塗材を調製し、異方性導電フィルムを作製した。
 [比較例3~5]
 シランカップリング剤を、1分子中にエポキシ基を2以上有するもの(商品名:X-12-981S、信越化学工業(株)製)、1分子中にエポキシ基を1つ有するもの(商品名:A187、東レ・ダウコーニング(株)製)、1分子中にイソシアネート基を2以上有するもの(商品名:X-12-1159L、信越化学工業(株)製)に変更し、各成分の配合量を表1に示す通り変更した以外は、実施例1と同様にして、塗材を調製し、異方性導電フィルムを作製した。
 [比較例6]
 シランカップリング剤に代えて4官能チオール化合物(商品名:カレンズMTPE1、昭和電工(株)製)を配合し、各成分の配合量を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、塗材を調製し、異方性導電フィルムを作製した。
 以下、試験・評価方法について説明する。
<仮貼り評価>
 ガラス基板のエッジに作製した異方性導電フィルムを貼り、45℃のホットプレート上で均一に力を加えた後、剥離基材であるPETフィルムを剥離した(工程1)。異方性導電フィルムの露出面が完全に覆われるようにフレキシブルプリント基板(厚さ50μm)の金配線部分を接続し貼り合わせた(工程2)。評価は、「○」、「△」、「×」の3段階で評価した。実用上は「△」以上であれば良く、「○」であれば好ましい。
 「〇」・・・下記の両条件を満たす。
 工程1において常温で剥離基材を剥離し、異方性導電フィルムを綺麗にガラス基板に貼ることができる。
 工程2において常温で異方性導電フィルムへのFPCの金配線部分の接続、貼り合わせが可能。
 「△」・・・下記の両条件を満たす。
 工程1において常温では剥離基材を剥離することができないが、ホットプレート上で剥離することができ、異方性導電フィルムを綺麗にガラス基板に貼ることができる。
 工程2において常温では異方性導電フィルムにFPCの金配線部分に接続できないが、ホットプレート上で金配線部分に接続し貼り合わすことができる。
 「×」・・・下記のいずれか一方を満たす。
 工程1においてホットプレート上でも異方性導電フィルムをガラス基板に貼ることができない。
 工程2においてホットプレート上でも異方性導電フィルムにFPCの金配線部分を接続できない。
 <導通抵抗の評価>
 -接続構造体の作製-
 実施例及び比較例で作製した接着フィルムを幅1.0mmにスリット加工した後、カバーフィルムを剥離した。次いで、異方性導電フィルムの露出面がITOガラス基板(厚さ各0.7mm)と接合するように、異方性導電フィルムをガラス基板のエッジに貼り、45℃のホットプレート上で均一に力を加えた。その後、剥離基材を剥離し、異方性導電フィルムの露出面が完全に覆われるようにフレキシブルプリント基板(FPC;厚さ50μm)の金配線部分を接続し貼り合わせた。異方性導電フィルムを介在させてFPCとガラス基板とを熱圧着し、FPCとガラス基板の対向した導通部を全て接着剤層の硬化物により接着することで接続された接続構造体を得た。熱圧着の条件は、180℃、3MPa、8秒間であった。
 得られた接続構造体について、接着直後と、プレッシャークッカー装置(110℃、85%RH)内に32時間保持した後に、導通抵抗を測定した。
<圧痕信頼性>
 ガラス基板に替えて接着剤層の露出面がAlMoIZOガラス基板(厚さ0.7mm)と接合するように、接着フィルムをガラス基板のエッジに貼り、45℃のホットプレート上で均一に力を加えた。その後、剥離基材を剥離し、接着剤層の露出面が完全に覆われるようにフレキシブルプリント基板(FPC;厚さ50μm)の金配線部分を接続し貼り合わせた。接着剤層を介在させてFPCとガラス基板とを180℃、3MPa、8秒間、熱圧着し、FPCとガラス基板の対向した導通部を全て接着剤層の硬化物により接着することで接続された接続構造体を得た。
 接続条件はガラス基板を使用した接続体と同じ条件である。微分干渉顕微鏡を用いて接続体のバンプに捕捉されている粒子の圧痕強度を確認した。圧痕がより明瞭に観察されている場合を「○」、明瞭に観察されている場合を「△」、圧痕が明瞭に観察されていない場合を「×」と評価した。実用上は「△」以上であれば良く、「○」であれば好ましい。
 <異方性導電層の浮き>
 -接続構造体の作製-
 実施例及び比較例で作製した異方性導電フィルムを幅1.0mmにスリット加工した後、カバーフィルムを剥離した。次いで、接着剤層の露出面がSiNガラス基板またはITOガラス基板(厚さ各0.7mm)と接合するように、接着フィルムをガラス基板のエッジに貼り、45℃のホットプレート上で均一に力を加えた。その後、剥離基材を剥離し、接着剤層の露出面が完全に覆われるようにフレキシブルプリント基板(FPC;厚さ50μm)の金配線部分を接続し貼り合わせた。異方性導電フィルムを介在させてFPCとガラス基板とを熱圧着し、FPCとガラス基板の対向した導通部を全て異方性導電フィルムの硬化物により接着することで接続された接続構造体を得た。熱圧着の条件は、180℃、3MPa、8秒間であった。
 得られた接続構造体について、接着直後と、プレッシャークッカー装置(110℃、85%RH)内に32時間保持した後に、視認により異方性導電層の浮き状態を確認した。評価は、浮きがない(〇)、わずかに浮きあり(△)、浮きあり(×)の3段階で行った。
 <接着強度の評価>
 圧着状態を評価した接続構造体について、90度剥離試験により接着強度を測定した。詳細には、FPCおよび硬化物を長さ1.0cmになるよう切り込み、その長さ1.0cmのFPCをつかみ具で掴み、室温(25℃)下、50mm/分の速度で垂直方向にFPCがガラス基板から剥離するまで引き剥がした時の荷重(N/cm)を測定した。なお、測定には、テンシロン試験機(株式会社オリエンテック製:STA-1150)を使用した。プレッシャークッカー装置(110℃、85%RH)内に32時間保持した接続構造体、また、オーブン(55℃)内に12時間保持させた異方性導電フィルムを用いた接続構造体についても、同様に接着強度について評価した。
 実施例及び比較例の構成成分および評価結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 
 表1の結果から、1分子中に2以上のメルカプト基を有し、主鎖が有機鎖であるシランカップリング剤を使用した場合、低温での接着でも高い接着強度を有するとともに、導通も良好であることが確認された。また、1分子中に2以上のメルカプト基を有し、主鎖が有機鎖であるシランカップリング剤を1.2質量%以上1.8質量%以下配合する実施例1、4および5では、プレッシャークッカー試験後およびフィルムエージング後においても高い接着強度を有し、極めて高い保存安定を有することが確認された。
 また、比較例3~5によれば、主鎖が有機鎖であって、メルカプト基以外の反応基、例えば、エポキシ基、イソシアネート基を1分子中に1または2以上有するシランカップリング剤を使用した場合、仮貼り性に問題を有し、導通抵抗、圧痕、浮きの問題が発生するものがあることが確認された。
 さらに、メルカプト基の影響を確認するために4官能チオール化合物を配合した異方性導電フィルム(比較例6)では、仮貼り性、導通抵抗、圧痕、浮きの問題が発生することが確認された。

Claims (5)

  1.  エポキシ化合物と成膜用成分を含有するバインダ組成物と、
     前記エポキシ化合物を硬化するアニオン系潜在性硬化剤と、
     1分子中に2以上のメルカプト基を有し、主鎖が有機鎖であるシランカップリング剤と、
     導電性粒子と、を含む異方性導電フィルム。
  2.  前記シランカップリング剤の配合量は、0.5質量%以上2.0質量%以下である、請求項1に記載の異方性導電フィルム。
  3.  前記シランカップリング剤の配合量は、1.2質量%以上1.8質量%以下である、請求項1に記載の異方性導電フィルム。
  4.  第1の電子部品と第2の電子部品とが請求項1に記載の異方性導電フィルムにより接続されている接続構造体。
  5.  第1の電子部品と第2の電子部品とを、請求項1に記載の異方性導電フィルムを介在させて、圧着する工程を含む、接続構造体の製造方法。
PCT/JP2023/041947 2022-11-30 2023-11-22 異方性導電フィルム、接続構造体および接続構造体の製造方法 WO2024116988A1 (ja)

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