WO2024084575A1

WO2024084575A1 - クリップおよびクリップ連結体

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Publication number: WO2024084575A1
Application number: PCT/JP2022/038733
Authority: WO
Inventors: 雄一山下
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2022-10-18
Filing date: 2022-10-18
Publication date: 2024-04-25

Abstract

クリップ（５）は、クッション材に埋設されるシート部（５１）と、表皮材に取り付けられたサスペンダーに係合可能であり、かつ、シート部（５１）に取り付けられたクリップ本体部（５２）と、を備える。クリップ本体部（５２）は、シート部（５１）との接着面（５２１Ａ）を有する基部（５２１）と、基部（５２１）から立設し、かつ、左右方向に互いに対向する一対の脚部（５２２）と、一対の脚部（５２２）に設けられ、かつ、左右方向の互いに近接する方向に突出する一対の爪部（５２５）と、を備える。シート部（５１）の左右方向の寸法（Ｗ３）は、基部（５２１）の接着面（５２１Ａ）の左右方向の寸法（Ｗ１）よりも大きく、基部（５２１）の接着面（５２１Ａ）の左右方向の寸法（Ｗ１）は、一対の脚部（５２２）の左右方向の最大外寸（Ｗ２）よりも小さい。

Description

クリップおよびクリップ連結体

　本発明は、表皮材をクッション材に取り付けるためのクリップおよびクリップ連結体に関する。

　従来、座席や椅子などでは、座面や背当てなど人体に触れる部分にクッション材を設置し、その表面を表皮材で被覆したものが多用されており、表皮材をクッション材に取り付ける手段としての表皮材取付具が知られている。
　例えば、特許文献１の表皮材取付具は、クッション材に埋設されたクリップと、表皮材に取り付けられたサスペンダーとを備えており、サスペンダーをクリップに係止させることで、表皮材をクッション材に取り付けることができる。

国際公開第２０１８／１８６２４５号

　上述したような表皮材取付具では、表皮材からサスペンダーを介してクリップに対して引っ張り力が加わるため、この引っ張り力が過大になるとクリップがクッション材から外れる可能性がある。このため、クッション材に対するクリップの固定強度を向上させることが望まれている。

　本発明は、クッション材に対する固定強度を向上できるクリップおよびクリップ連結体を提供することを目的とする。

（第１態様）
　本発明の第１態様に係るクリップは、クッション材に埋設されるシート部と、表皮材に取り付けられたサスペンダーに係合可能であり、かつ、前記シート部に取り付けられたクリップ本体部と、を備え、前記クリップ本体部は、前記シート部との接着面を有する基部と、前記基部から立設し、かつ、左右方向に互いに対向する一対の脚部と、前記一対の脚部に設けられ、かつ、前記左右方向の互いに近接する方向に突出する一対の爪部と、を備え、前記シート部の前記左右方向の寸法は、前記基部の前記接着面の前記左右方向の寸法よりも大きく、前記基部の前記接着面の前記左右方向の寸法は、前記一対の脚部によって定まる前記クリップ本体部の前記左右方向の外寸のうちの最大外寸よりも小さい。
　このような構成では、クリップ本体部の一対の爪部が一対の脚部の間に挿入されたサスペンダーに対して係合可能であり、クッション材に埋設されたシート部がクッション材に対して密着できる。また、シート部に対する基部の接着面の左右方向の寸法、一対の脚部によるクリップ本体の左右方向の最大外寸、および、シート部の左右方向の寸法について、上述のように設定することで、クッション材に対するシート部の密着面積をクリップ本体部の周囲に大きく確保することができる。これにより、サスペンダーを介してクリップに引っ張り力が加わった場合であっても、シート部がクッション材から剥離し難いため、クリップがクッション材から外れ難い。これにより、クッション材に対するクリップの固定強度を向上させることができる。

（第２態様）
　本発明の第１態様に係るクリップにおいて、前記一対の脚部のそれぞれは、前記基部から上方に延びつつ前記左右方向の互いに離間する方向に延びる第１延伸部と、前記第１延伸部から前記爪部にかけて前記上方に延伸する第２延伸部と、を含み、前記第１延伸部と前記シート部との間には、前記クッション材の一部が入り込み可能な空間が形成されている、ことが好ましい。
　このような構成によれば、一対の脚部の間にサスペンダーの挿入空間を確保しつつ、クッション材に対するシート部の密着面積をクリップ本体部の周囲に好適に確保することができる。

（第３態様）
　本発明の第１態様または第２態様に係るクリップにおいて、前記シート部の前記左右方向の寸法は、前記一対の脚部によって定まる前記クリップ本体部の前記左右方向の外寸のうちの前記最大外寸の２倍以上かつ３倍以下であることが好ましい。
　このような構成によれば、クッション材の強度を確保しつつ、クッション材に対するクリップの固定強度を向上させることができる。

（第４態様）
　本発明の第１態様から第３態様のいずれかに係るクリップにおいて、前記シート部は、不織布であることが好ましい。
　このような構成では、シート部を構成する不織布に存在する微細な穴により、クッション材に対するシート部の密着性を好適に向上できる。

（第５態様）
　本発明の第５態様に係るクリップ連結体は、第１態様から第４態様のいずれかに記載され、かつ、任意の配置方向に沿って並べられる複数のクリップと、前記複数のクリップを互いに連結しかつ弾性変形可能なクリップ連結部と、を備える。
　このような構成では、上述した第１態様から第５態様のいずれかのクリップと同様の効果を奏することができる。また、クリップ連結体は、クリップごとにシート部を有するため、クリップ連結部を弾性変形させることで、クリップ連結体の全体の形状をクッション材の溝の形状（例えば湾曲形状）に追従させることができる。

（第６態様）
　本発明の第５態様に係るクリップ連結体において、互いに隣り合う前記複数のクリップの前記シート部のそれぞれは、互いの間に間隔を空けて配置されることが好ましい。
　このような構成では、クリップ連結体の様々な配置において、各クリップのシート部が互いに重なり難いため、クッション材に対する各クリップの密着性を好適に保つことができる。

本発明の一実施形態に係るクリップを含む表皮材取付具を示す断面図。前記実施形態に係るクリップ連結体を示す斜視図。前記実施形態に係るクリップを示す側面図。前記実施形態に係るクリップ連結体を湾曲させた状態示す斜視図。前記実施形態に係るクリップに対してサスペンダーを係合させる様子を模式的に示す図。

　以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。
　図１に示すように、本実施形態に係る表皮材取付具１は、車両用座席などのクッション材２に対して表皮材３を取り付けるものである。この表皮材取付具１は、表皮材３に取り付けられるサスペンダー４と、クッション材２の溝２１に設置されるクリップ連結体５０とを備えており、サスペンダー４をクリップ連結体５０に係止させることにより、表皮材３をクッション材２に取り付けることができる。

　クッション材２は、座席の形状に成形された発泡ポリウレタン等の合成樹脂ウレタンフォーム材である。クッション材２には、クリップ５が設置される溝２１が形成されている。溝２１は、クッション材２の表面に開口を形成しつつ、クッション材２の表面の任意の方向に沿って延びている。また、クッション材２には、溝２１により、互いに対向する一対の側壁面２１１，２１２と、底面２１３とが形成されている。
　表皮材３は、クッション材２の表面を覆うシートであり、例えば合成樹脂織物シートである。表皮材３の端縁部３１は、サスペンダー４に対して縫製等により取り付けられる。

　表皮材取付具１の構成について、図１～図３を参照して説明する。
　以下、表皮材取付具１の構成の説明では、サスペンダー４がクリップ連結体５０に係止された状態を基準としてＸＹＺの３軸方向を用いる（図１参照）。例えば、表皮材取付具１の長さ方向をＸ方向とし、表皮材取付具１の左右方向をＹ方向とし、表皮材取付具１の上下方向をＺ方向とする。なお、表皮材取付具１により表皮材３がクッション材２に取り付けられた状態（図１参照）では、Ｘ方向がクッション材２の溝２１の長さ方向に対応し、Ｙ方向が溝２１の幅方向に対応し、Ｚ方向が溝２１の深さ方向に対応する。また、説明の便宜上、Ｚ方向の一方側（上方）に向かう方向を＋Ｚ方向とし、Ｚ方向の他方側（下方）に向かう方向を－Ｚ方向とし、溝２１は、クッション材２において＋Ｚ方向に開口するものとする。

　サスペンダー４は、図１に示すように、表皮材３の端縁部３１が取り付けられる取付部４１と、取付部４１に固定されるサスペンダー本体部４２と、を備える。
　本実施形態において、取付部４１は、ＸＺ面に沿って配置される不織布などのシート部材である。取付部４１には、例えば２枚の表皮材３の端縁部３１が重ねられ、取付部４１および表皮材３の端縁部３１が共に縫製される。

　サスペンダー本体部４２は、取付部４１の－Ｚ側の端部が埋設される基部４２１と、基部４２１のＹ方向両側に設けられる一対の治具用突部４２２と、一対の治具用突部４２２よりも－Ｚ側において基部４２１のＹ方向両側に設けられる一対の係合突部４２３と、を有する。

　一対の治具用突部４２２のそれぞれは、基部４２１からＹ方向外側に突出しており、基部５２１との間に＋Ｚ方向に開口する凹部４２２Ａを形成する。この凹部４２２Ａには、サスペンダー４を操作するための任意の治具が挿入可能である。
　一対の係合突部４２３のそれぞれは、治具用突部４２２よりも－Ｚ側において基部４２１からＹ方向外側に突出しており、クリップ５と係合する錨形状を共に構成する。

　なお、本実施形態において、サスペンダー本体部４２は、取付部４１をインサート品として射出成形される樹脂製品である。また、サスペンダー本体部４２は、クリップ連結体５０の各クリップ５に係合可能であるように、Ｘ方向に連続または断続的に延びた形状を有する。

　クリップ連結体５０は、図２に示すように、複数のクリップ５と、複数のクリップ５を互いに連結するクリップ連結部５３と、を備える。なお、以下では、複数のクリップ５がＸ方向に沿って並べられた状態を基本として説明を行う。また、以下では、１つのクリップ５を例として説明するが、他のクリップ５も同様の構成を有するものとする。

　クリップ５は、図１に示すように、クッション材２に埋設されるシート部５１と、サスペンダー４に係合可能であり、かつ、シート部５１に取り付けられたクリップ本体部５２と、を備える。クリップ５の構成について図３を参照して説明する。

　シート部５１は、ＸＹ面に沿って配置されるシート部材である。シート部５１の具体的な材料は、特に限定されないが、不織布であることが好ましい。シート部５１は、クリップ本体部５２に対するＹ方向両側に延びており、クッション材２の溝２１の底面２１３の下方および溝２１のＹ方向両側においてクッション材２に埋設される。また、図示を省略するが、シート部５１には、１以上の貫通孔が形成されていてもよい。

　クリップ本体部５２は、シート部５１に取り付けられた基部５２１と、基部５２１から立設し、かつ、Ｙ方向に互いに対向する一対の脚部５２２と、一対の脚部５２２に設けられた一対の爪部５２５と、を備える。

　基部５２１は、シート部５１の＋Ｚ側に面する面５１１の一部領域に取り付けられる。具体的には、基部５２１は、シート部５１の面５１１に接着される接着面５２１Ａを有する。ここで、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３は、基部５２１の接着面５２１ＡのＹ方向寸法Ｗ１よりも大きい。
　なお、シート部５１に対する基部５２１の接着方法については、特に限定されないが、任意の接着剤を用いることができる。すなわち、基部５２１の接着面５２１Ａは、接着層５４を介してシート部５１に接着される。

　一対の脚部５２２のそれぞれは、基部５２１から＋Ｚ方向に延びつつＹ方向外側（すなわちＹ方向の互いに離間する方向）に延びる第１延伸部５２３と、第１延伸部５２３から爪部５２５にかけて＋Ｚ方向に延びる第２延伸部５２４と、を有する。
　ここで、第１延伸部５２３は、基部５２１から＋Ｚ方向に延びつつＹ方向外側に向かう湾曲形状を描いている。この第１延伸部５２３は、シート部５１に面しており、シート部５１との間にクッション材２の一部が入り込み可能な空間Ｓを形成している。また、本実施形態において、一対の脚部５２２によって定まるクリップ本体部５２のＹ方向外寸のうちの最大外寸Ｗ２は、一対の脚部５２２の各第２延伸部５２４のＹ方向外側面同士の間の寸法に相当する。
　一対の爪部５２５のそれぞれは、一対の脚部５２２の各第２延伸部５２４の先端からＹ方向内側および－Ｚ方向に向かって突出している。一対の爪部５２５の間には、サスペンダー４が差込可能な隙間が形成される。

　以上のクリップ５において、基部５２１の接着面５２１ＡのＹ方向寸法Ｗ１は、一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２よりも小さい。
　また、クリップ５において、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３は、一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２よりも大きいことが好ましい。具体的には、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３は、一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２の２倍以上かつ３倍以下であることが好ましい。

　なお、以上のクリップ５において、各要素のＸ方向寸法は、任意に設定可能である。なお、図２に示すように、シート部５１のＸ方向寸法は、クリップ本体部５２のＸ方向寸法と同程度であることが好ましい。

　クリップ連結部５３は、任意の方向に並べられた複数のクリップ５を連結するものである。具体的には、クリップ連結部５３は、隣り合うクリップ５の基部５２１同士の間にそれぞれ配置される複数の基部連結部５３１と、複数のクリップ５および複数の基部連結部５３１を連続的に貫通する線状部材５３２と、を備える。
　基部連結部５３１は、隣り合うクリップ５の基部５２１同士を連結するようにＸ方向に沿って延びる棒形状を有する。
　線状部材５３２は、例えば金属ワイヤーである。この線状部材５３２をインサート品とすることで、複数のクリップ５および複数の基部連結部５３１を一体的に射出成形してもよい。

　以上に説明したクリップ連結体５０において、クリップ連結部５３は、ある程度の柔軟性を有している。例えば、図４に示すように、クリップ連結部５３を湾曲させることにより、複数のクリップ５を湾曲方向に沿って並べることができる。

（クリップ連結体の設置方法）
　本実施形態のクリップ連結体５０をクッション材２に設置する方法の一例について簡単に説明する。
　まず、クッション材２の型に設置されたトレンチに対してクリップ連結体５０をセットする。このトレンチは、クッション材２の溝２１を成す型であり、当該溝２１に対応する位置に配置されている。

　次に、クッション材２の型内にクッション材２の材料を注入し、発泡固化させることで、クッション材２が成形される。このとき、クッション材２の材料は、各クリップ５の空間Ｓを含めたクリップ連結体５０の周囲空間に充填される。

　その後、クッション材２からトレンチおよび型を取り外す。このとき、クッション材２の型内でトレンチが存在していた範囲が溝２１として現れる。これにより、図１に示すように、クリップ連結体５０の各クリップ５が溝２１内に設置された状態となる。

（表皮材取付方法）
　本実施形態の表皮材取付具１を用いた表皮材取付方法について簡単に説明する。
　まず、作業者は、表皮材３が装着されたサスペンダー４と、クリップ連結体５０が溝２１内に設置されたクッション材２とを準備し、クッション材２を覆うように表皮材３を配置する。
　その後、サスペンダー４をクッション材２の溝２１に挿入し、任意の押圧手段（治具または自動機など）によりサスペンダー４に対して－Ｚ方向の押圧を加える。

　例えば、作業者が治具を使用する場合、サスペンダー４のいずれか一方の治具用突部４２２による凹部４２２Ａに治具を差し入れることで、サスペンダー４に対して－Ｚ方向の押圧を加えることができる。

　あるいは、任意の自動機が使用される場合、自動機の操作部７１は、クッション材２の溝２１の底面２１３のうち、隣り合うクリップ５同士の間の間隙に対応する領域に形成された穴部２２に挿入される（図５参照）。そして、操作部７１は、サスペンダー４の治具用突部４２２を保持し、サスペンダー４に対して－Ｚ方向の押圧を加えることができる。

　任意の押圧手段により押圧されたサスペンダー４は、各クリップ５のクリップ本体部５２に押し付けられる。そして、サスペンダー４は、一対の脚部５２２を弾性変形させながら一対の爪部５２５に案内される。サスペンダー４の一対の係合突部４２３が一対の爪部５２５の間を挿通すると、一対の脚部５２２が元の形状に戻り、一対の係合突部４２３が一対の爪部５２５に係合する。このとき、一対の爪部５２５のそれぞれは、サスペンダー４の治具用突部４２２と係合突部４２３との間の空間に入り込んだ状態となる。
　以上により、サスペンダー４がクリップ５に係止される。これにより、表皮材３をクッション材２に取り付けることができる。

（本実施形態の効果）
　本実施形態のクリップ５では、上述したように、クッション材２に埋設されるシート部５１と、表皮材３に取り付けられたサスペンダー４に係合可能であり、かつ、シート部５１に取り付けられたクリップ本体部５２と、を備え、クリップ本体部５２は、シート部５１との接着面５２１Ａを有する基部５２１と、基部５２１から立設し、かつ、左右方向（Ｙ方向）に互いに対向する一対の脚部５２２と、一対の脚部５２２に設けられ、左右方向の互いに近接する方向（Ｙ方向内側）に突出する爪部５２５と、を備える。シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３は、基部５２１の接着面５２１ＡのＹ方向寸法Ｗ１よりも大きく、基部５２１の接着面５２１ＡのＹ方向寸法Ｗ１は、一対の脚部５２２によって定まるクリップ本体部５２のＹ方向外寸のうちの最大外寸Ｗ２よりも小さい。
　このような構成では、クリップ本体部５２の一対の爪部５２５が一対の脚部５２２の間に挿入されたサスペンダー４に対して係合可能であり、クッション材２に埋設されたシート部５１がクッション材２に密着できる。また、シート部５１に対する基部５２１の接着面５２１ＡのＹ方向寸法Ｗ１、一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２、および、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３について、上述のように設定することで、クッション材２に対するシート部５１の密着面積を、クリップ本体部５２の周囲に大きく確保することができる。これにより、サスペンダー４を介してクリップ５に引っ張り力が加わった場合であっても、シート部５１がクッション材２から剥離し難いため、クリップ５がクッション材２から外れ難い。これにより、クッション材２に対するクリップ５の固定強度を向上させることができる。

　なお、本実施形態では、基部５２１に対するシート部５１の密着面積が抑えられることで、クッション材２に対するシート部５１の密着面積がクリップ本体部５２の周囲に大きく確保される。ここで、一般的な接着剤による接着強度は、クッション材２を構成する発泡樹脂による密着強度よりも強い。このため、基部５２１に対するシート部５１の接着面積を小さく抑えても、クリップ５全体の強度に影響が生じ難く、クリップ５の固定強度を問題なく向上させることができる。

　本実施形態のクリップ５において、一対の脚部５２２のそれぞれは、基部５２１から上方（＋Ｚ側）に延びつつ左右方向の互いに離間する方向（Ｙ方向外側）に延びる第１延伸部５２３と、第１延伸部５２３から爪部５２５にかけて＋Ｚ側に延びる第２延伸部５２４と、を含み、第１延伸部５２３とシート部５１との間には、クッション材２の一部が入り込み可能な空間Ｓが形成されている。このような構成によれば、一対の脚部５２２の間にサスペンダー４の挿入空間を確保しつつ、クッション材２に対するシート部５１の密着面積をクリップ本体部５２の周囲に好適に確保することができる。

　本実施形態のクリップ５において、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３は、一対の脚部５２２によって定まるクリップ本体部５２のＹ方向外寸のうちの最大外寸Ｗ２の２倍以上かつ３倍以下である。
　このような構成では、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３が一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２の２倍以上であることにより、クッション材２に対するシート部５１の密着面積を十分に確保できる。
　また、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３が一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２の３倍以下であることにより、クッション材２の強度を確保できる。
　仮にシート部５１のＹ方向寸法Ｗ３が一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２の３倍よりも大きい場合、クッション材２に対するシート部５１の密着面積がより大きくなる。しかしながら、このような大きさのシート部５１の周囲にクッション材２を発泡形成する際、クッション材２の材料がシート部５１に多く引き寄せられることで、クッション材２のボイド（気泡）が発生し易くなる。その結果、クッション材２の強度が低下する。
　本実施形態では、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３を単に大きくするのではなく、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３を一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２の３倍以下に抑えた上で、クッション材２に対するシート部５１の密着面積を確保している。このため、クッション材２の強度を確保しつつ、クッション材２に対するクリップ５の固定強度を向上させることができる。

　本実施形態のクリップ５において、シート部５１は、不織布である。このような構成では、シート部５１を構成する不織布に存在する微細な穴により、クッション材２に対するシート部５１の密着性を好適に向上できる。

　本実施形態のクリップ連結体５０は、任意の配置方向に沿って並べられる複数のクリップ５と、複数のクリップ５を互いに連結しかつ弾性変形可能なクリップ連結部５３と、を備える。
　このような構成では、上述したクリップ５と同様の効果を奏することができる。また、クリップ連結体５０は、クリップ５ごとにシート部５１を有するため、クリップ連結部５３を弾性変形させることで、クリップ連結体５０の全体の形状をクッション材２の溝２１の形状（例えば湾曲形状）に追従させることができる。

　本実施形態のクリップ連結体５０では、互いに隣り合うクリップ５のシート部５１のそれぞれは、互いの間に間隔を空けて配置される。このような構成では、クリップ連結体５０の様々な配置において、各クリップ５のシート部５１が互いに重なり難いため、クッション材２に対する各クリップ５の密着性を好適に保つことができる。

（変形例）
　前記実施形態では、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３の好ましい範囲を説明しているが、本発明はこれに限られない。すなわち、シート部５１のＹ方向寸法Ｗ３は、基部５２１の接着面５２１ＡのＹ方向寸法Ｗ１よりも大きい範囲で任意に設定可能である。
　また、シート部５１は、不織布ではなく、ファブリックなどの任意のシート部材であってもよい。

　前記実施形態のクリップ連結体５０では、各クリップ５がシート部５１を備えているが、複数のクリップ５が１つのシート部５１を共有していてもよい。
　また、前記実施形態では、複数のクリップ５が連結されたクリップ連結体５０について説明しているが、複数のクリップ５が個々に分割された状態で使用されてもよい。

　前記実施形態では、クリップ連結部５３が複数の基部連結部５３１および線状部材５３２を有するが、本発明はこれに限定されない。例えば、クリップ連結部５３は、複数の基部連結部５３１を有さず、ワイヤーなどの線状部材５３２によって構成されてもよい。あるいは、線状部材５３２は、線状部材５３２を有さず、複数の基部連結部５３１によって構成されてもよい。また、クリップ連結体５０は、各クリップ５の基部５２１以外の部位同士を連結してもよい。

　前記実施形態では、脚部５２２の第１延伸部５２３が湾曲形状を有するが、本発明はこれに限定されない。例えば、当該第１延伸部５２３は、基部５２１から＋Ｚ方向に延びつつＹ方向外側に向かう直線的な形状を有してもよい。
　また、前記実施形態では、一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２は、一対の脚部５２２の第２延伸部５２４のＹ方向外側面同士の間の寸法に相当するが、本発明はこれに限られない。すなわち、一対の脚部５２２によるクリップ本体部５２のＹ方向の最大外寸Ｗ２は、一対の脚部５２２の任意の部位のＹ方向外側面同士の間の寸法のうち、最大となる寸法であればよい。

　前記実施形態において、サスペンダー４は、上述で説明した構成に限定されず、クリップ連結体５０またはクリップ５に対して係合する任意の構成を有すればよい。

　１…表皮材取付具、２…クッション材、２１…溝、２１１…側壁面、２１２…側壁面、２１３…底面、２２…穴部、３…表皮材、３１…端縁部、４…サスペンダー、４１…取付部、４２…サスペンダー本体部、４２１…基部、４２２…治具用突部、４２２Ａ…凹部、４２３…係合突部、５…クリップ、５０…クリップ連結体、５１…シート部、５１１…面、５２…クリップ本体部、５２１…基部、５２１Ａ…接着面、５２２…脚部、５２３…第１延伸部、５２４…第２延伸部、５２５…爪部、５３…クリップ連結部、５３１…基部連結部、５３２…線状部材、５４…接着層、７１…操作部、Ｓ…空間。

Claims

　クッション材（２）に埋設されるシート部（５１）と、
　表皮材（３）に取り付けられたサスペンダー（４）に係合可能であり、かつ、前記シート部（５１）に取り付けられたクリップ本体部（５２）と、を備え、
　前記クリップ本体部（５２）は、
　　前記シート部（５１）との接着面（５２１Ａ）を有する基部（５２１）と、
　　前記基部（５２１）から立設し、かつ、左右方向に互いに対向する一対の脚部（５２２）と、
　前記一対の脚部（５２２）に設けられ、かつ、前記左右方向の互いに近接する方向に突出する一対の爪部（５２５）と、を備え、
　前記シート部（５１）の前記左右方向の寸法（Ｗ３）は、前記基部（５２１）の前記接着面（５２１Ａ）の前記左右方向の寸法（Ｗ１）よりも大きく、
　前記基部（５２１）の前記接着面（５２１Ａ）の前記左右方向の寸法（Ｗ１）は、前記一対の脚部（５２２）によって定まる前記クリップ本体部（５２）の前記左右方向の外寸のうちの最大外寸（Ｗ２）よりも小さい、クリップ。
　前記一対の脚部（５２２）のそれぞれは、
　　前記基部（５２１）から上方に延びつつ、前記左右方向の互いに離間する方向に延びる第１延伸部（５２３）と、
　前記第１延伸部（５２３）から前記爪部（５２５）にかけて前記上方に延伸する第２延伸部（５２４）と、を含み、
　前記第１延伸部（５２３）と前記シート部（５１）との間には、前記クッション材（２）の一部が入り込み可能な空間（Ｓ）が形成されている、請求項１に記載のクリップ。
　前記シート部（５１）の前記左右方向の寸法（Ｗ３）は、前記一対の脚部（５２２）によって定まる前記クリップ本体部（５２）の前記左右方向の外寸のうちの前記最大外寸（Ｗ２）の２倍以上かつ３倍以下である、請求項１または請求項２に記載のクリップ。
　前記シート部（５１）は、不織布である、請求項１から請求項３のいずれか一項に記載のクリップ。
　請求項１から請求項４のいずれか一項に記載され、かつ、任意の配置方向に沿って並べられる複数のクリップ（５）と、
　前記複数のクリップ（５）を互いに連結しかつ弾性変形可能なクリップ連結部（５３）と、を備える、クリップ連結体。
　互いに隣り合う前記複数のクリップ（５）の前記シート部（５１）のそれぞれは、互いの間に間隔を空けて配置される、請求項５に記載のクリップ連結体。