WO2024070755A1 - ガラス製蓋部材の製造方法、ガラス製蓋部材、及びこの蓋部材を備えたパッケージ - Google Patents

ガラス製蓋部材の製造方法、ガラス製蓋部材、及びこの蓋部材を備えたパッケージ Download PDF

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Abstract

ガラス製蓋部材4の製造方法は、マスキング部材25を用いた成膜処理で枠部6の一方の表面6cにメタライズ層9を形成する成膜工程S122を備える。成膜工程S122で、枠部6の一方の表面6cと、その内側で連続する接続部8の一方の表面8aとに向かい合う位置にマスキング部材25の開口部26を配置し、かつ開口部26よりも外側でガラス製蓋部材4と向かい合う位置にマスキング部材25の第一マスキング部27、開口部26よりも内側でガラス製蓋部材4と向かい合う位置にマスキング部材25の第二マスキング部28をそれぞれ配置した状態で成膜処理を行う。

Description

ガラス製蓋部材の製造方法、ガラス製蓋部材、及びこの蓋部材を備えたパッケージ
 本発明は、ガラス製蓋部材の製造方法、ガラス製蓋部材、及びこの蓋部材を備えたパッケージに関し、特にガラス製蓋部材に対する成膜技術に関する。
 例えばLEDなどの発光素子を周囲の環境から保護する目的で、基板と、基板上の所定位置に配設される発光素子と、基板との間に発光素子を収容可能な空間を形成する蓋部材とを備えたパッケージと呼ばれる構造体が知られている。この種の構造体においては、発光素子が発した光を効率よく取り出すために、ガラス製の蓋部材をドーム形状に形成している(例えば、特許文献1を参照)。
 一方で、ガラスは、他の物質との密着性に乏しいことから、接合面となるガラス製の蓋部材の表面と基板の表面にそれぞれメタライズ層(金属層)を設け、メタライズ層同士をはんだ等の接合材で接合してなる接合構造が提案されている(特許文献2を参照)。
国際公開2022/130799号公報 国際公開2020/012974号公報
 ところで、上述した構造のパッケージについては、ガラス製の蓋部材と基板との間に形成される発光素子の収容空間を今まで以上に大きくとりたいといった要望が出てきている。その一方で、パッケージ全体のサイズは従来通りであるから、例えばドーム状をなすガラス製の蓋部材を基板に接合してなるパッケージの場合、蓋部材のドーム状をなす部分(ドーム部)を大きくする代わりに、ドーム部の周縁部を囲う枠部の幅方向寸法を縮小する必要が生じる(なお、ここでいう幅方向とは、枠部の長手方向及び厚み方向に直交する向きをいうものとする。以下、本明細書において同じ。)。上述したように一対の金属層間にはんだ層を介在させた接合構造をとる場合、枠部の表面に金属層を形成する必要があるが、あまりに枠部の幅方向寸法が小さいと、必要な大きさ(幅方向寸法)の金属層が形成できず、パッケージ内の気密性が低下するおそれが生じる。
 以上の事情に鑑み、本発明は、発光素子の収容空間を従来よりも大きくしつつ、収容空間に対して良好な気密性を付与可能なガラス製蓋部材を提供することを、解決すべき技術課題とする。
 前記課題の解決は、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法により達成される。すなわち、この製造方法は、発光素子を収容する空間を基体との間に形成するガラス製蓋部材であって、板状をなす枠部と、枠部の内側に位置しドーム状をなすドーム部と、枠部とドーム部とを接続する接続部とを一体に有するガラス製蓋部材の製造方法であって、マスキング部材を用いた成膜処理で枠部の一方の表面にメタライズ層を形成する成膜工程を備え、成膜工程で、平坦な形状をなす枠部の一方の表面と、その内側で連続する接続部の一方の表面とに向かい合う位置にマスキング部材の開口部を配置し、かつ開口部よりも外側でガラス製蓋部材と向かい合う位置にマスキング部材の第一マスキング部、開口部よりも内側でガラス製蓋部材と向かい合う位置にマスキング部材の第二マスキング部をそれぞれ配置した状態で成膜処理を行う点をもって特徴付けられる。
 なお、本明細書でいう「接続部」とは、枠部の一方の表面と接する平坦面の法線方向に沿った断面で見た場合に、その内面が凸曲面状をなしている部分を意味する。また、本明細書でいう「ドーム部」とは、上記断面で見た場合に、その内面が全体として凹曲面状をなしている部分を意味する。また、本明細書でいう「平坦な形状をなす」とは、対象となる面の平面度が50μm以下であることを意味する。
 このように、本発明では、ガラス製蓋部材の枠部に対するメタライズ層の成膜処理に際し、枠部の一方の表面と、その内側で連続する接続部の一方の表面とに向かい合う位置にマスキング部材の開口部を配置した状態で、成膜処理を行うようにしたので、メタライズ層が枠部の表面からその内側で連続する接続部の表面にわたって形成される。これにより、枠部の幅方向寸法が所要のメタライズ層の形成に必要な幅方向寸法に足らない場合であっても、必要な幅方向寸法を確保することができる。よって、ドーム部を拡大して発光素子の収容空間を大きくした場合においても、良好な気密性を発光素子の収容空間に付与することが可能となる。
 また、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法において、第二マスキング部からガラス製蓋部材に向けて突出した突出部を有するマスキング部材を用いて成膜処理を行ってもよい。
 上述のようにガラス製蓋部材の枠部と接続部とに向かい合う位置にマスキング部材の開口部を配置した状態で成膜処理を行うことで、枠部の一方の表面だけでなく当該表面とその内側で連続する接続部の一方の表面にもメタライズ層が形成される。その一方で、開口部よりも内側でガラス製蓋部材と向かい合う位置には第二マスキング部が配置されるので、接続部の一方の表面のうち開口部と向かい合う領域のみにメタライズ層が形成されることが期待される。しかしながら、接続部の内面(一方の表面)は凸曲面状をなしていることから、上述のようにマスキング部材を配置した状態において、第二マスキング部28の外側端部と接続部8の内面8aとの間に無視できない大きさの隙間yが生じる(図13を参照)。これでは、開口部を通じて接続部の一方の表面に供給された成膜材が第二マスキング部と接続部との隙間を介してドーム部の内側空間に侵入する事態が起こり得る。その結果、接続部の内面だけでなくこの接続部の内面と内側で連続するドーム部の内面にまで成膜材が付着する事態が懸念される。接続部の内面に比べてドーム部の内面は発光素子の光の取り出し効率により大きな影響を及ぼす部分であるから、ドーム部の内面にまで成膜材が付着することは光の取り出し効率の低下(例えば90%未満)を招きかねない。
 上述した問題点に対し、第二マスキング部からガラス製蓋部材に向けて突出した突出部を有するマスキング部材を用いて成膜処理を行うことによって、接続部と第二マスキング部の外側端部との隙間を介した成膜材の上記内側空間への侵入が突出部(特にその側面)によって阻まれる。よって、ドーム部の内面への成膜材の付着を可及的に防止して、ガラス製蓋部材(ドーム部)を介した光の取り出し効率を改善することが可能となる。
 また、突出部を設ける場合、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法において、接続部の一方の表面と、その内側で連続するドーム部の一方の表面との境界又は当該境界よりも外側で突出部がガラス製蓋部材に最も接近するように、突出部を設けたマスキング部材を用いて成膜処理を行ってもよい。
 このように突出部を設けることで、蓋部材と突出部との間に形成される隙間が最小となる部分を開口部に近づけることができるので、ドーム部の内側空間への成膜材の侵入をより効果的に防止できる。よって、ドーム部の内面に成膜材が付着する事態をより高確率で防止して、光の取り出し効率をさらに改善することが可能となる。
 また、突出部を設ける場合、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法において、ドーム部と接続部の何れに対しても、突出部との間に隙間が生じるように、突出部を設けたマスキング部材を用いて成膜処理を行ってもよい。
 枠部とドーム部とを有するガラス製蓋部材は、通常、加熱軟化による変形でドーム部を成形する。そのため、どうしても量産品においては、ドーム部や接続部の形状精度に相応のばらつきが生じる。この点、突出部を、ドーム部と接続部の何れに対しても突出部との間に隙間が生じるように突出部を設けることによって、ドーム部や接続部と突出部との干渉を回避して、特にドーム部の内面が傷つく事態を防止することが可能となる。
 また、ドーム部及び接続部との間に隙間が生じるように突出部を設ける場合、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法においては、ドーム部と突出部との隙間と、接続部と突出部との隙間のうち最も小さい箇所の大きさが、ドーム部の内面高さの5%以上でかつ30%以下であってもよい。
 このように、上記隙間のうち最も小さい箇所の大きさを、ドーム部の内面高さの5%以上とすることで、ドーム部や接続部の形状精度のばらつきに関係なく、突出部との干渉を確実に回避することができる。また、上記隙間の最小値をドーム部の内面高さの30%以下とすることで、上記隙間を介した成膜材の侵入を効果的に防止することができる。
 また、突出部を設ける場合、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法においては、ドーム部を平面視した場合に、第二マスキング部の面積に対して突出部の面積が占める割合が50%以上でかつ90%以下であってもよい。
 また、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法において、突出部は、第二マスキング部から立設する側面と、先端面とを有し、かつ側面と先端面との間に面取り部が設けられてもよい。
 このように、突出部を構成する側面と先端面との間に面取り部を設けることによって、突出部の角部がガラス製蓋部材(接続部又はドーム部)と干渉する事態を回避できるので、突出部との隙間をより狭く設定することができる。よって、この構成によっても、ドーム部の内側空間への成膜材の侵入をより高確率で防止して、光の取り出し効率の更なる改善を図ることが可能となる。
 また、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法において、突出部は、第二マスキング部から立設する側面と、先端面とを有し、かつ側面は、第二マスキング部から遠ざかるにつれてガラス製蓋部材の内側に移行する向きに傾斜してもよい。
 このように、突出部を傾斜した側面と先端面とで構成することによって、接続部及びドーム部の内面と側面との隙間をその突出方向全域にわたって極力小さくすることができる。よって、この構成によっても、ドーム部の内側空間への成膜材の侵入をより高確率で防止して、光の取り出し効率の更なる改善を図ることが可能となる。
 また、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法において、ドーム部を平面視した場合に、突出部は、ドーム部に倣った形状をなしてもよい。
 このように突出部を構成することによって、突出部とガラス製蓋部材(接続部又はドーム部)との隙間をその全周にわたって詰めることができる。よって、ドーム部の内側空間への成膜材の侵入を漏れなく防止して、光の取り出し効率の改善を均等に図ることが可能となる。
 また、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法において、突出部は、環状の壁部で構成されてもよい。
 上述したように、第二マスキング部に突出部を設けるに際し、重要となるのは、突出部の側面で如何にして成膜材の内側空間への侵入を阻止するかという点にある。そのため、突出部を、環状の壁部で構成しても特に問題はない。
 また、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法において、突出部は、突出部本体と、突出部本体よりも軟質の材料で形成され、突出部とドーム部との隙間と、突出部と接続部との隙間のうち最も小さい部分を構成する軟質部とを有してもよい。
 このように突出部を構成することで、単一材料で突出部を含むマスキング部材を形成する場合よりも、突出部とガラス製蓋部材との最小隙間を小さくすることができる。よって、ドーム部の内側空間への成膜材の侵入をより高確率に防止して、光の取り出し効率の更なる改善を図ることが可能となる。また、上記構成によれば、ドーム部又は接続部と接触し得る部分はマスキング部材の本体(突出部本体)よりも軟らかい軟質部となるので、ドーム部又は接続部と突出部とが接触したとしても、ドーム部又は接続部を傷付けるおそれは極めて低い。また、仮に軟質部の一部がドーム部又は接続部に付着したとしても、洗浄することで容易に取り除くことができるため、特に問題はない。
 また、本発明に係るガラス製蓋部材の製造方法において、メタライズ層は、互いに線膨張係数の異なる複数の金属層を積層してなるもので、枠部に近い金属層ほど線膨張係数が小さくなるように、成膜処理を行ってもよい。
 このように、メタライズ層を複数の金属層を積層してなる構造とし、かつ枠部に近い金属層ほど線膨張係数が小さくなるようにすることで、例えばメタライズ層同士をはんだ等の接合材で接合して蓋部材と基体とを接合する際に枠部に生じる応力を効果的に緩和することが可能となる。
 また、この場合、複数の金属層のうち最も枠部から遠い金属層の幅方向寸法が、残りの金属層の幅方向寸法よりも小さくなるように、成膜処理を行ってもよい。
 このように、各金属層の幅方向寸法を調整することによっても、枠部に生じる応力を効果的に緩和することが可能となる。
 また、前記課題の解決は、本発明に係るガラス製蓋部材によっても達成され得る。すなわち、この蓋部材は、発光素子を収容する空間を基体との間に形成するガラス製の蓋部材であって、板状をなす枠部と、枠部の内側に位置しドーム状をなすドーム部と、枠部とドーム部とを接続する接続部とを一体に有し、枠部の一方の表面と、その内側で連続する接続部の一方の表面とに跨ってメタライズ層が形成されている点をもって特徴付けられる。
 このように、本発明では、ガラス製蓋部材の枠部に形成されるメタライズ層に関し、枠部の一方の表面と、その内側で連続する接続部の一方の表面とに跨ってメタライズ層が形成されるようにしたので、枠部の幅方向寸法が所要のメタライズ層の形成に必要な幅方向寸法に足らない場合であっても、メタライズ層の形成に必要な幅方向寸法を確保することができる。よって、ドーム部を拡大して発光素子の収容空間を大きくした場合においても、良好な気密性を発光素子の収容空間に付与することが可能となる。
 本発明は、発光素子の収容空間を従来よりも大きくしつつ、収容空間に対して良好な気密性を付与可能なガラス製蓋部材を提供することを可能とするものであるから、例えば蓋部材と、発光素子と、基体とを備えたパッケージとして好適である。
 以上より、本発明によれば、発光素子の収容空間を従来よりも大きくしつつ、収容空間に対して良好な気密性を付与可能なガラス製蓋部材を提供することが可能となる。
本発明の第一実施形態に係るガラス製蓋部材を備えたパッケージの斜視図である。 図1に示すパッケージの平面図である。 図1中のA-A断面図である。 図3中の矢印Bで示した部分の拡大断面図である。 図1に示すパッケージを構成するガラス製蓋部材の断面図である。 図5中の矢印Cで示した部分の拡大断面図である。 図5に示すガラス製蓋部材のドーム部を成形するための工程の一例を説明するための断面図である。 ドーム部の成形工程の他の例を説明するための断面図である。 ドーム部を成形した後のガラス製蓋部材の一例に係る平面図である。 図9に示すガラス製蓋部材の成膜工程に使用されるマスキング部材の一例に係る平面図である。 図10中の矢印Dで示した部分の拡大図である。 図11中のE-E断面図である。 図12中の矢印Fで示した部分の拡大図である。 本発明の第二実施形態に係るマスキング部材とガラス製蓋部材の断面図である。 本発明の第三実施形態に係るマスキング部材とガラス製蓋部材の断面図である。 本発明の第四実施形態に係るマスキング部材とガラス製蓋部材の断面図である。 本発明の第五実施形態に係るマスキング部材の平面図である。 本発明の第六実施形態に係るマスキング部材の平面図である。 本発明の第七実施形態に係るマスキング部材とガラス製蓋部材の要部拡大断面図である。 本発明の第八実施形態に係るマスキング部材とガラス製蓋部材の断面図である。 図20に示すマスキング部材とガラス製蓋部材の要部拡大断面図である。 本発明の第九実施形態に係るマスキング部材とガラス製蓋部材の断面図である。 本発明の第十実施形態に係るマスキング部材とガラス製蓋部材の断面図である。 本発明の第十一実施形態に係るマスキング部材とガラス製蓋部材の要部拡大断面図である。
 以下、本発明の第一実施形態を図1~図13に基づいて説明する。
 図1は、本実施形態に係るパッケージ1の斜視図である。また、図2は、図1に示すパッケージ1の平面図であり、図3は、図1に示すパッケージ1の断面図である。このパッケージ1は、例えば板状をなす基体2と、基体2上の所定位置に配設される発光素子3と、発光素子3を収容する空間を基体2との間に形成するガラス製の蓋部材4と、基体2と蓋部材4とを封止する封止部5とを備える。
 基体2は、例えば板状をなし、所定の材料で形成される。ここで基体2に使用可能な材料として、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等のセラミックス、これらセラミックスとガラス粉末が混合焼結されてなるガラスセラミックス、Fe-Ni-Co合金、Cu-W合金、Kovar(登録商標)等の合金等を挙げることができる。もちろん、ここに挙げた材料は例示に過ぎず、任意の材料が適用可能である。
 発光素子3は、基体2の第一主面2aに固定されている。本実施形態では、発光素子3として紫外線照射用LEDが用いられている。もちろん、本発明に係る発光素子3は本実施形態に限定されない。
 蓋部材4は、板状をなす枠部6と、枠部6の内側に位置し、枠部6の厚み方向一方側に膨出した形状をなすドーム部7と、枠部6とドーム部7とを接続する接続部8とを一体に有する。本実施形態において、枠部6とドーム部7と接続部8は同一の材料で一体に形成されている。
 枠部6は、ドーム部7の周囲に位置し、総じて一定の厚み寸法を有する。もちろん、必要に応じて枠部6の厚み寸法をその長手方向(周方向)又は幅方向で変化させてもよい。ここで、枠部6の厚み寸法は、例えば0.05mm以上でかつ2.0mm以下である。一方、枠部6の幅方向寸法(ここでは、厚み方向及び枠部6の長手方向に直交する向きをいう。)はその周方向位置によって異なり、本実施形態では、90°位相ごとに幅狭部6aと幅広部6bとが交互に設けられる形態をなしている(図2を参照)。
 枠部6は、パッケージ1の外形、又はドーム部7の外形に準じた外形をなす。本実施形態では、矩形状の外形をなしている(図2を参照)。枠部6は、相対的に面積の大きな第一主面6cと、第一主面6cの反対側に位置する第二主面6dとを有する。ここで、第一主面6cが本発明に係る枠部6の一方の表面に相当する。本実施形態では、第一主面6cと第二主面6dはともに平坦状をなす。第一主面6cの表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、好ましくは1nm以下、より好ましくは0.5nm以下、更に好ましくは0.3nm以下である。第二主面6dの表面粗さRaは、好ましくは1nm以下、より好ましくは0.5nm以下、更に好ましくは0.3nm以下である。
 ドーム部7は、凹曲面状の内面7aと、内面7aに対応した凸曲面状の外面7bとを有する。本実施形態では、ドーム部7は半球状をなし、枠部6の中央位置に形成されている。ドーム部7の厚み寸法は一定であってもよく、位置によって変動してもよい。例えば、ドーム部7の基端部7cから頂部7dに向かうにつれて厚み寸法が減少するように、厚み寸法が変動してもよい。この場合、基端部7cの厚み寸法は、例えば0.19mm以上でかつ1.9mm以下である。頂部7dの厚み寸法は、例えば0.15mm以上でかつ1.0mm以下である。基端部7cの厚み寸法に対する頂部7dの厚み寸法の比は、0.08以上でかつ0.9以下であり、好ましくは0.1以上でかつ0.8以下であり、より好ましくは0.2以上でかつ0.5以下である。
 ドーム部7の外径寸法は、例えば2mm以上でかつ150mm以下である。ドーム部7の高さ寸法(ここでは枠部6の第一主面6cを含む仮想平面からドーム部7の頂部7dまでの最短距離)は、例えば0.5mm以上でかつ80mm以下である。
 内面7aの表面粗さRaは、1nm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5nm以下、さらに好ましくは0.3nm以下である。外面7bの表面粗さRaは、1nm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5nm以下、さらに好ましくは0.3nm以下である。
 接続部8は、凸曲面状の内面8aと、内面8aに対応した凹曲面状の外面8bとを有する。内面8aはその外側(図4でいえば左側)で枠部6の第一主面6cと連続し、その内側(図4でいえば右側)でドーム部7の内面7aと連続している。また、外面8bはその外側で枠部6の第二主面6dと連続し、その内側でドーム部7の外面7bと連続している。
 内面8aの曲率半径は、外面8bの曲率半径よりも大きいことが好ましい。内面8aの曲率半径は、0.5mm以上でかつ5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以上でかつ4.0mm以下である。外面8bの曲率半径は、0.5mm以上でかつ5.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0mm以上でかつ4.0mm以下である。内面8aの表面粗さRaは、好ましくは1.0nm以下、より好ましくは0.5nm以下、さらに好ましくは0.3nm以下である。外面8bの表面粗さRaは、好ましくは1.0nm以下、より好ましくは0.5nm以下、さらに好ましくは0.3nm以下である。
 上記構成の蓋部材4は、例えば平坦なガラス板の一部をドーム状に成形することによって得られる。蓋部材4に使用されるガラスは、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、石英ガラス、結晶化ガラスが好ましい。無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラスであれば、高い透過率と、成型時における高い加工性の両立が可能になる。また、石英ガラスであれば、成形時の加工性を維持しつつ、紫外域において、顕著に高い透過率を有することが可能になる。また、結晶化ガラスであれば、高い透過率と高い破壊強度の両立が可能になる。
 ガラスが、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、又は無アルカリガラスの場合、ガラス組成として、質量%で、SiO2:50~75%、Al23:1~25%、B23:0~30%、Li2O+Na2O+K2O:0~20%、MgO+CaO+SrO+BaO:0~20%を含有することが好ましい。ガラスの組成が上記の組成範囲内であれば、これらのガラス系に該当する。
 結晶化ガラスの場合、ガラス組成として、質量%で、SiO2:60~80%、Al2O3:3~30%、Li2O+Na2O+K2O:1~20%、MgO+CaO+SrO+BaO:5~20%を含有し、β石英固溶体又はβスポジュメンがガラス内部から結晶として析出している低熱膨張結晶化ガラスであることが好ましい。ここで、低熱膨張とは、30~300℃の温度範囲において、熱膨張係数の値が、-10×10-7~20×10-7/℃であることを指す。
 封止部5は、図3に示すように、蓋部材4の枠部6と基体2との間に形成される。本実施形態では、封止部5が枠部6の全周にわたって形成されている(図2を参照)。
 図4に拡大して示すように、封止部5は、一対のメタライズ層9,10と、接合部11とで構成される。このうち一方のメタライズ層9は蓋部材4の枠部6の第一主面6cと、第一主面6cの内側で連続する接続部8の内面8aとに跨って形成され、他方のメタライズ層10は基体2の第一主面2a上に形成される。接合部11をなす接合材11aは、例えば基体2に接合する前の蓋部材4に設けられる(図5及び図6を参照)。この場合、各メタライズ層9,10と接合部11は何れも枠部6の全周にわたって形成される。
 一方のメタライズ層9は、例えば、互いに線膨張係数の異なる複数の金属層12~14を積層してなる。本実施形態では、積層状態にある三つの金属層12~14でメタライズ層9が構成されている。この場合、枠部6に最も近い第一金属層(下地層)12と、第一金属層12の次に枠部6に近い第二金属層(中間層)13とが、枠部6の第一主面6cと接続部8の内面8aとに跨って形成されている。また、枠部6に近い金属層ほど線膨張係数が小さくなるように、枠部6に最も近い第一金属層(下地層)12、第一金属層12の次に枠部6に近い第二金属層(中間層)13、及び枠部6から最も遠い第三金属層(表層)14の材質がそれぞれ選定される。ガラスは、金属に比べて線膨張係数が低いため、上述のように構成することで、枠部6に近い金属層ほどガラス製である枠部6に近い線膨張係数を示す分布をなす。
 ここで、第一金属層12に用いられる金属としては、Cr、Ta、W、Ti、Mo、Ni、Pt等を挙げることができる。第二金属層13に用いられる金属としては、Ni、Pt、Pd等を挙げることができる。また、第三金属層14に用いられる金属としては、Au、Sn、Ag、Ni、Pt等を挙げることができる。なお、各金属層12~14に用いられる金属は金属単体であってもよいし、合金であってもよい。
 また、本実施形態のように、一方のメタライズ層9が三つの金属層12~14で構成される場合、第二金属層13が最も厚く、第三金属層14が次に厚く、第一金属層12が最も薄いことが好ましい。具体的に、第一金属層12の厚み寸法は、例えば0.01μm以上でかつ0.3μm以下で、第二金属層13の厚み寸法は、例えば0.3μm以上でかつ3.0μm以下で、第三金属層14の厚み寸法は、0.1μm以上でかつ1.0μm以下であることが好ましい。
 また、さらなる応力緩和の観点から、複数の金属層12~14のうち最も枠部6から遠い第一金属層12の幅方向寸法を、残りの金属層(第二金属層13と第三金属層14)の幅方向寸法よりも小さくしてもよい。
 上記構成のメタライズ層9(第一金属層12、第二金属層13、第三金属層14)を枠部6の第一主面6c上に形成する方法として、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト又はイオンプレーティングを用いた真空蒸着法、及びCVD法等の成膜法が挙げることができる。
 以上、一方のメタライズ層9について説明したが、基体2の第一主面2aに設けられる他方のメタライズ層10についても、上記と同じ構成が採用可能である。すなわち、他方のメタライズ層10は、基体2に最も近い第一金属層15と、次に基体2に近い第二金属層16と、基体2から最も遠い第三金属層17とで構成される(図4を参照)。この場合、少なくとも第一金属層15と第二金属層16は、枠部6の第一主面6cと接続部8の内面8aの一部と向かい合う領域に形成される。すなわち、枠部6の第一主面6cと、接続部8の内面8aとに跨って形成される蓋部材4側のメタライズ層9の第一金属層12及び第二金属層13と幅方向で対応する領域に、基体2側のメタライズ層10をなす第一金属層15及び第二金属層16が形成される。
 図3及び図4に示すように、接合部11は、一対のメタライズ層9,10間に層状に形成されている。本実施形態のように、各メタライズ層9が三つの金属層12~14(15~17)で構成される場合、枠部6及び基体2から最も遠い第三金属層14,17にそれぞれ接するように、接合部11が形成される。
 接合部11は、金属系の接合材11a(図6を参照)で形成される。この接合材11aとしては、はんだ材やろう材として市販されるものを用いることができ、例えば、Au-Sn合金、Pb-Sn合金、Au-Ge合金等を挙げることができる。本実施形態では、接合部11は、各メタライズ層9,10の第三金属層14,17の幅方向寸法と同じ大きさに形成される。言い換えると、接合部11の幅方向寸法を、各メタライズ層9,10の第一金属層12,15及び第二金属層13,16の幅方向寸法よりも小さくしている。
 次に、図1に示すパッケージ1の製造方法の一例について説明する。この製造方法は、基体2及び蓋部材4を準備する準備工程S1と、基体2と蓋部材4とを接合する接合工程S2とを備える。
 準備工程S1は、他方のメタライズ層10及び発光素子3を第一主面2aに設けた状態の基体2を準備する基体準備工程S11と、一方のメタライズ層9と接合材11aを枠部6の第一主面6c側に設けた状態の蓋部材4を準備する蓋部材準備工程S12とを有する。
 基体準備工程S11では、基体2の第一主面2aにメタライズ層10を形成した後に、第一主面2aのメタライズ層10で囲まれた領域に発光素子3を搭載する。
 蓋部材準備工程S12は、板状ガラスGにドーム部7を成形して図3に示す形態の蓋部材4を製造する成形工程S121と、枠部6の第一主面6c側に成膜処理を施してメタライズ層9を形成する成膜工程S122と、メタライズ層9に接合材11aを形成する接合材形成工程S123とを有する。
(S121)成形工程
 図7は、蓋部材4にドーム部7を成形するための装置を示す。この成形装置18は、板状ガラスGを支持する支持台19と、支持台19に支持した板状ガラスGに重ねて配置されるマスキング部材20と、板状ガラスGの一部を加熱するための加熱装置21とを備える。さらに、成形装置18は、支持台19とマスキング部材20とを互いに接近させる方向に押圧する押圧部材22と、板状ガラスGの一部に外力を加えるための外力発生装置23とを備える。
 支持台19は、板状ガラスGを支持する支持部19aと、支持部19aに囲まれる開口部19bを有するとともに板状ガラスGの一部の熱変形を許容する空間部19cとを有する。支持台19の支持部19aは、板状ガラスGの主面(ここでは下面)を支持する。本実施形態において、開口部19bは円形状をなしているが、例えば、三角形状、四角形状等の多角形状、楕円形状など成形すべきドーム部7の形状に応じて他の形状を選択することも可能である。
 支持台19の空間部19cは、蓋部材4のドーム部7の全体を非接触の状態で成形可能に構成されている。支持台19を構成する材料としては、例えば、金属、セラミックス等が挙げられる。
 図7に示すように、マスキング部材20は、貫通孔20aを有する。本実施形態において、貫通孔20aは円形状をなしているが、例えば、三角形状、四角形状等の多角形状、楕円形状など成形すべきドーム部7の形状に応じて他の形状を選択することも可能である。
 支持台19及びマスキング部材20は、支持台19の開口部19bよりも内側に、マスキング部材20の貫通孔20aが配置されるように構成されている。
 支持台19の開口部19bの開口面積を100%とした場合、マスキング部材20の貫通孔20aの断面積は、95%以下であることが好ましく、より好ましくは80%である。貫通孔20aの少なくとも一部は、支持台19の開口部19bよりも1mm以上内側となるように配置されることが好ましく、3mm以上内側となるように配置されることがより好ましい。
 マスキング部材20は、600℃において1[W/(m・K)]以下の熱伝導率を有する材料で形成されることが好ましい。マスキング部材20の材料として、例えばセラミックスが好適である。マスキング部材20の厚さは、1mm以上であることが好ましい。
 加熱装置21は、マスキング部材20側から板状ガラスGを加熱するように配置されている。本実施形態において、加熱装置21は、板状ガラスGに向けて過熱蒸気Sを供給する過熱蒸気供給装置である。なお、加熱装置21の加熱方式は原則として任意であり、例えばバーナー等の火炎噴射による加熱であってもよいし、抵抗加熱であってもよいし、レーザー加熱であってもよい。また、加熱装置21は、異なる加熱方式を組み合わせて構成したものであってもよい。
 押圧部材22は、例えば、マスキング部材20を支持台19に向けて押圧するように構成されている。押圧部材22を押圧するための機構としては、例えば、流体シリンダ、直動アクチュエータ等が挙げられる。なお、押圧部材22は、固定されたマスキング部材20に対して支持台19を押圧するように構成されてもよい。
 外力発生装置23としては、例えば、排気装置を用いることができる。排気装置は、支持台19の空間部19cに存在する気体を排出することで、支持台19の空間部19cを負圧にする。これにより、板状ガラスGの一部が支持台19の空間部19c内に吸引され、板状ガラスGの一部の熱変形を促進することができる。排気装置としては、例えば、ベンチュリー機構を用いたポンプが好適である。
 なお、外力発生装置23は、排気装置に限らず、マスキング部材20側から板状ガラスGに向けて高圧ガスを噴射する高圧ガス発生装置であってもよい。これにより、板状ガラスGが支持台19の空間部19cに向けて加圧されることで、板状ガラスGの熱変形を促進することができる。また、ポンプと高圧ガス発生装置とを併用して、板状ガラスGの熱変形を促進してもよい。
 上記構成の成形装置18による蓋部材4の成形は、例えば以下のようにして行われる。
 図7に示すように、まず支持台19上に板状ガラスGを載置すると共に、載置した板状ガラスG上の所定位置にマスキング部材20を重ねて配置する。然る後、押圧部材22により、支持台19とマスキング部材20とを互いに接近させる向きに押圧する。これにより、支持台19とマスキング部材20との間で挟まれた板状ガラスGの位置ずれを抑えることができる。
 次に、加熱装置21を用いてマスキング部材20側から板状ガラスGを加熱する。具体的には、加熱装置21から過熱蒸気Sを板状ガラスGのうちマスキング部材20でマスキングされていない領域(貫通孔20aから露出している領域)に向けて供給することで、当該領域が加熱されて下方に向けて変形し、ドーム部7が成形される(図7中、二点鎖線で示す状態)。
 また、マスキング部材20の貫通孔20aを、支持台19の開口部19bよりも内側に配置した状態で板状ガラスGを加熱することで、ドーム部7の周囲に接続部8を成形することができる。
 なお、上述のようにして板状ガラスGを熱変形させる際、板状ガラスGの熱変形後の形状に即した成形面24を設けてもよい。すなわち、図8に示すように、例えば成形すべきドーム部7の外面7b及び接続部8の外面8bに準じた形状をなす成形面24を支持台19と一体に設け、板状ガラスGを加熱することにより、板状ガラスGを成形面24に倣った形状に熱変形させてもよい。このようにすることで、ドーム部7及び接続部8の成形精度を高めることが可能となる。
 上述した成形工程S121は、一つの蓋部材4に対応する板状ガラスGに対して個別に実施してもよいし、あるいは、複数の蓋部材4に対応する板状ガラスGに対してまとめて実施してもよい。後者の場合、図9に示すように、一枚の板状ガラスGに対して複数のドーム部7が成形されたものが得られる。この場合、個々の蓋部材4同士は枠部6となる部分を介して互いにつながった状態にある。
(S122)成膜工程
 この工程S122では、蓋部材4の枠部6の第一主面6cと、その内側で連続する接続部8の一方の内面8aとに向かい合う位置にマスキング部材25の開口部を配置した状態で、蓋部材4に対して成膜処理を施すことにより、蓋部材4にメタライズ層9を形成する。
 図10は、本実施形態に係るマスキング部材25の平面図、図11は、図10に示すマスキング部材25の拡大平面図である。これらの図に示すように、本工程S122では、開口部26、第一マスキング部27、第二マスキング部28、及び突出部30を有するマスキング部材25を用いて、蓋部材4の枠部6及び接続部8の一部にメタライズ層9を構成する複数(本実施形態では三つ)の金属層12~14を形成する。
 本実施形態では、マスキング部材25は、成形工程S121で得られた板状ガラスGの形態に応じた形態をなす。すなわち、図9に示すように、成形工程S121を経た後の板状ガラスGが、所定間隔おきに複数のドーム部7を整列配置してなる形態を採る場合、マスキング部材25は、各ドーム部7に対応する位置に複数の開口部26と第二マスキング部28、及び突出部30を整列配置してなる(図10を参照)。
 ここで、一個の蓋部材4に対応する部分(図11を参照)についてみると、開口部26は、成形工程S121で成形したドーム部7の基端部7cの形態に準じた形状をなしている。本実施形態のようにドーム部7が半球状をなす場合、開口部26は真円状をなす。また、開口部26のサイズ(外径寸法)は、ドーム部7の基端部7cの外径寸法に略等しい。開口部26の外側には第一マスキング部27が設けられると共に、開口部26の内側には第二マスキング部28が設けられる。第一マスキング部27と第二マスキング部28とは連結部29を介して連結されている。第二マスキング部28の蓋部材4側には、第二マスキング部28から突出する突出部30が設けられている。
 図12は、一つの蓋部材4に対応する部分について、図10に示す板状ガラスGに図11に示すマスキング部材25を重ねて配置した状態を示している。図12に示すように、開口部26は、枠部6の第一主面6cの一部(内側部分)と、第一主面6cの内側で連続する接続部8の内面8aの一部(外側部分)とに向かい合う位置に配置されている。
 枠部6の第一主面6cのうち開口部26と向かい合う部分よりも外側の領域と向かい合う位置に第一マスキング部27が配置されている。図12では、ともに平坦な第一主面6cと第一マスキング部27の表面とが当接している。接続部8の内面8aのうち開口部26と向かい合う部分よりも内側の領域、及び、ドーム部7の内面7aと向かい合う位置に第二マスキング部28が配置されている。これにより、開口部26と向かい合う部分を除き、枠部6の第一主面6c、接続部8の内面8a、及びドーム部7の内面7aが第一マスキング部27と第二マスキング部28とでマスキングされた状態となる。
 突出部30は、本実施形態では、直方体形状をなし、第二マスキング部28の表面から立設した複数の側面30aと、各側面30aとその先端側で連続し平坦な形状をなす先端面30bとを有する。各側面30aと先端面30bとの間には角部30cが設けられている。
 突出部30が上記構成をとる場合、接続部8の内面8a又はドーム部7の内面7aと突出部30の角部30cとの間に、最小隙間x1が形成される(図13を参照)。本実施形態では、ドーム部7の内面7aと突出部30の角部30cとの間に、最小隙間x1が形成されている。ここで、最小隙間x1は、ドーム部7の内面高さ(ここでは枠部6の第一主面6cと接する仮想平面と頂部7dの内面7aとの最短距離)の5%以上でかつ30%以下であることが好ましい。最小隙間x1が内面高さの5%以上あれば、角部30cとドーム部7又は接続部8との干渉を高確率で防止できる。また、最小隙間x1が内面高さの30%以下であれば、成膜材m(図13を参照)が最小隙間x1を通過する事態を効果的に防止することができる。同様の観点で、ドーム部7を平面視した場合に、第二マスキング部28の面積に対して突出部30の面積が占める割合が50%以上でかつ90%以下であることが好ましい。
 なお、上記実施形態のように、接続部8の内面8aとドーム部7の内面7aとの境界よりも内側で突出部30との間に最小隙間x1が形成されるように、マスキング部材25を配置した場合、角部30cとドーム部7又は接続部8との干渉を防止しやすい。また、突出部30の高さや形状を容易に変更できる。
 上記構成のマスキング部材25を用いた成膜処理(例えばスパッタリング法による成膜処理)により最初に第一金属層12を形成する。この場合、第一金属層12を構成する金属に対応した成膜材mを用いることで、所定金属からなる第一金属層12が、枠部6の第一主面6cと接続部8の内面8aのうち開口部26と向かい合う部分に形成される。
 また、上記成膜処理時、成膜材mは開口部26を通じて枠部6の第一主面6c及び接続部8の内面8aに供給される。この際、凸曲面状をなす接続部8の内面8aと、第二マスキング部28の外側端部の表面との間には、無視できない大きさの隙間yが存在している(図13を参照)。そのため、開口部26を通じて供給された成膜材mがこの隙間yを通じて、より内側の空間に侵入する事態を招き得る。本工程S122において、第二マスキング部28から蓋部材4側に向けて突出部30が突出している。そのため、隙間yを通じて接続部8の内側空間に侵入した成膜材mの更なる内側への侵入は、突出部30によって阻まれる。図13に示す形態の場合、主に突出部30の側面30aによって成膜材mの侵入が防止される。
 上述のようにして、枠部6の第一主面6c及び接続部8の内面8aに第一金属層12を形成した後、上記構成のマスキング部材25を用いた成膜処理により第二金属層13を形成する。この場合、第二金属層13を構成する金属に対応した成膜材mを用いることで、所定金属からなる第二金属層13が、第一金属層12の露出表面(蓋部材4とは反対側の表面)に形成される。この際、例えば第一金属層12の成膜処理時と同じ幅方向寸法の開口部26を有するマスキング部材25を用いることで、第一金属層12と同じ幅方向寸法でかつ第一金属層12とその幅方向全域で重なり合った状態の第二金属層13が形成される(図6を参照)。
 また、第二金属層13の成膜処理時においても、成膜材mが接続部8と第二マスキング部28との隙間yを通じて、より内側の空間に侵入する事態が懸念されるが、第二マスキング部28から蓋部材4側に向けて突出部30が突出していることにより、成膜材mの更なる内側への侵入は、突出部30によって阻まれる。
 上述のようにして第一金属層12の表面に第二金属層13を形成した後、上記構成のマスキング部材25を用いた成膜処理により第三金属層14を形成する。この場合、第三金属層14を構成する金属に対応した成膜材mを用いることで、所定金属からなる第三金属層14が、第二金属層13の露出表面(第一金属層12とは反対側の表面)に形成される。この際、例えば第二金属層13の成膜処理時よりも幅方向寸法の小さい開口部26を有するマスキング部材25を用いることで、第二金属層13とその幅方向一部で重なり合った状態の第三金属層14が形成され、これにより三つの金属層12~14が積層された状態の一方のメタライズ層9が形成される(図6を参照)。
 また、第三金属層14の成膜処理時においても、第二マスキング部28から蓋部材4側に向けて突出部30が突出していることにより、成膜材mの更なる内側への侵入は、突出部30によって阻まれる。
(S123)接合材形成工程
 この工程S123では、成膜工程S122で形成した一方のメタライズ層9の表面に接合部11(図3を参照)の接合材11aを形成する。本実施形態では、一方のメタライズ層9を構成する三つの金属層12~14のうち最も枠部6から遠い位置の第三金属層14の露出表面(第二金属層13と反対側の表面)に接合材11aを形成する(図6を参照)。接合材11aは、例えばペーストの状態で第三金属層14に重ねるように塗布することで形成される。この際、塗布の具体的手段として、マスクを用いた印刷法(スクリーン印刷法)、ディスペンサを用いた塗布法等が挙げられる。接合材11aは、上記の方法に限らず、例えば、予め金属系接合材を所定の枠形状に形成したものを、第三金属層14に重なるように配置してもよい。以上より、複数の蓋部材4に対応する枠部6の第一主面6cに対して第一金属層12、第二金属層13、第三金属層14、及び接合材11aが形成された状態の板状ガラスGが得られる。
 なお、図示は省略するが、第一金属層12の成膜処理の前に、枠部6の第一主面6cに対し、酸化シリコン膜と酸化ハフニウム膜とが交互に積層形成されてなる緩衝膜を形成してもよい。これにより、枠部6の第一主面6cに近い方から緩衝膜、第一金属層12、第二金属層13、及び第三金属層14が形成された蓋部材4(板状ガラスG)が得られる。なお、緩衝膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンアシスト又はイオンプレーティングを用いた真空蒸着法、及びCVD法の成膜法が適用可能である。
(S2)接合工程
 接合工程S2は、一方のメタライズ層9(第三金属層14)の表面に枠状に形成された接合材11aを加熱する加熱工程S21と、加熱後の接合材11aを冷却する冷却工程S22とを有する。
(S21)加熱工程
 加熱工程S21では、複数の蓋部材4を有する板状ガラスGをリフロー炉等の加熱装置を用いて加熱することで、接合材11aを溶融させる。この加熱処理は、基体2上に形成された第三金属層17(図4を参照)を、蓋部材4側に形成した接合材11aに当接させた状態で、好ましくは圧接させた状態で行われる。加熱工程S21は、例えば、加熱装置内の空間に窒素を充填した状態で実施してもよい。蓋部材4(板状ガラスG)は、例えば300℃以上の温度に加熱される。
(S22)冷却工程
 冷却工程S22では、加熱工程S21で溶融させた接合材11aを冷却する。これにより、接合材11aが蓋部材4側の第三金属層14と基体2側の第三金属層17の双方に密着した状態で固化し、第三金属層14,17同士を接合する接合部11が形成される(図6を参照)。また、この接合部11が枠部6の全周にわたって形成されることで、封止部5が形成される。
 本実施形態では、最後に、板状ガラスGを所定の切断線(図示は省略)に沿って切断することにより、気密性が保たれた複数のパッケージ1が完成する。
 以上述べたように、本実施形態に係るガラス製の蓋部材4及びその製造方法では、蓋部材4の枠部6に対する一方のメタライズ層9の成膜処理に際し、一方のメタライズ層9が枠部6の第一主面6cからその内側で連続する接続部8の内面8aにわたって形成されるようにした。これにより、幅狭部6aのように枠部6の幅方向寸法が所要のメタライズ層9の形成に必要な幅方向寸法に足らない場合であっても、接続部8側にメタライズ層9を延長することによって、必要な幅方向寸法を確保することができる。よって、ドーム部7を拡大して発光素子3の収容空間を大きくした場合においても、良好な気密性を発光素子3の収容空間に付与することが可能となる。
 また、本実施形態では、第二マスキング部28から蓋部材4に向けて突出した突出部30を有するマスキング部材25を用いて成膜処理を行うようにしたので、接続部8と第二マスキング部28の外側端部との隙間yを介した成膜材mの内側空間への侵入が突出部30(特にその側面30a)によって阻まれる(図13を参照)。よって、ドーム部7の内面7aへの成膜材mの付着を可及的に防止して、ガラス製蓋部材4(の特にドーム部7)を介した光の取り出し効率を改善することが可能となる。本実施形態に係る蓋部材4を備えたパッケージ1における光の取り出し効率は、例えば92%以上である。なお、光の取り出し効率は、光の全放射束の比率とした。具体的には、光源に蓋部材を被せない状態で測定した全放射束を100%とした場合に対し、蓋部材を被せた状態で測定した全放射束の百分率として光の取り出し効率を評価した。全放射束は、積分球により集光した光を分光器に取り出すことで測定を行った。
 以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明に係る蓋部材とこの蓋部材を備えたパッケージ、並びに蓋部材の製造方法とこの蓋部材を備えたパッケージの製造方法は、上記実施形態には限定されることなく、本発明の範囲内で種々の形態を採ることが可能である。
 図14は、本発明の第二実施形態に係るマスキング部材25の断面図を示している。この図に示すように、本実施形態に係る突出部40は、第一実施形態に係る突出部30とは異なる形態をなしている。具体的に、この突出部40は、第二マスキング部28から立設する側面40aと、先端面40bとを有するもので、側面40aは、第二マスキング部28から遠ざかるにつれて蓋部材4の内側に移行する向きに傾斜している。このように突出部40を構成することで、第二マスキング部28から側面30aが垂直に立設している場合(図12を参照)と比べて、側面40a全体を蓋部材4側に近づけることができる。これにより接続部8の内面8a及びドーム部7の内面7aと側面40aとの隙間をその突出方向全域にわたって極力小さくすることができるので、ドーム部7の内側空間への成膜材mの侵入をより高確率で防止して、光の取り出し効率の更なる改善を図ることが可能となる。
 また、上述した実施形態においては、突出部30,40の側面30a,40aと、先端面30b,40bとの間に角部30c,40cが設けられた場合を例示したが、もちろん、これには限られない。図15は、その一例(本発明の第三実施形態)に係るマスキング部材25の断面図を示している。この図に示すように、本実施形態に係る突出部50は、第二マスキング部28から立設する側面50aと、先端面50bとを有し、かつ側面50aと先端面50bとの間に面取り部50cが設けられている。
 このように、突出部50を構成する側面50aと先端面50bとの間に面取り部50cを設けることによって、突出部50の角部がガラス製の蓋部材4(接続部8又はドーム部7)と干渉する事態を回避できるので、蓋部材4と突出部50との最小隙間(この場合、ドーム部7の内面7aと突出部50の面取り部50cとの隙間)をより狭く設定することができる。よって、ドーム部7の内側空間への成膜材mの侵入をより高確率で防止して、光の取り出し効率の更なる改善を図ることが可能となる。
 なお、図15では、直方体形状(断面矩形状)をなす突出部50の角部に面取り部50cを設けた場合を示したが、もちろんこれは例示に過ぎない。例えば図14に示すように、側面40aが第二マスキング部28から遠ざかるにつれて蓋部材4の内側に移行するように傾斜する突出部40の角部40cに面取り部を設けてもよい。要は、所定の角度をもって隣接する側面と先端面との間の角部であれば、突出部全体としての形状に関係なく面取り部を設けることが可能である。
 また、上述したように、突出部が複数の平面で構成される場合、三つの平面で構成される角部に面取り部を設けてもよい。本発明の第一実施形態に係る突出部30の場合であれば、図示は省略するが、周方向で隣接し互いに直交する側面30a,30aと、先端面30bとの間に形成される角部(点状の角部)に面取り部を設けてもよい。
 また、以上の説明では、突出部30~50は、何れも中実の柱状をなす場合を例示したが、もちろん、突出部の形態はこれには限られない。例えば図16に示すように、突出部60を、環状の壁部61で構成してもよい(本発明の第四実施形態)。
 図17は、本発明の第五実施形態に係るマスキング部材25の要部拡大平面図を示している。このマスキング部材25には、平面視した状態で、ドーム部7に倣った形状をなす突出部70が設けられている。図17に示す突出部70は、平面視した状態でその外形が真円状をなすドーム部7に倣って真円柱状をなしている。
 あるいは、図示は省略するが、ドーム部7が、平面視した状態で、互いに平行又は直交する直線状の四つの辺部を有し、各辺部の間を円弧状の角部でつないだ形態をなす場合、突出部80を、図18に示すように、上述したドーム部7の外形に倣った形状としてもよい。
 このように突出部70,80を構成することによって、突出部70,80と蓋部材4の接続部8又はドーム部7との隙間をその全周にわたって詰めることができる。よって、ドーム部7の内側空間への成膜材mの侵入を漏れなく防止して、光の取り出し効率の改善を均等に図ることが可能となる。
 また、上記実施形態では、接続部8の内面8aとドーム部7の内面7aとの境界よりも内側で突出部30との間に最小隙間x1が形成されるように、マスキング部材25を配置した場合を例示したが(図12、図13を参照)、もちろん、これ以外の形態をとることも可能である。図19は、本発明の第七実施形態に係るマスキング部材25の要部拡大断面図を示している。このマスキング部材25は、接続部8の内面8aとドーム部7の内面7aとの境界(図19でいえば接続部8の内面8aを表す曲線と、ドーム部7の内面7aを表す曲線との変曲点)よりも外側で突出部80との間に最小隙間x2が形成されるように構成されている。より具体的には、ドーム部7の内面7aと、突出部80の側面80aと先端面80bとの間の角部80cとの間に最小隙間x2が形成されるように、マスキング部材25が構成並びに配置されている。
 このように突出部80を設けることで、ドーム部7の内側空間への成膜材mの侵入をより効果的に防止できるので、ドーム部7の内面7aに成膜材mが付着する事態をより高確率で防止して、光の取り出し効率をさらに改善することが可能となる。
 もちろん、図示は省略するが、接続部8の内面8aとドーム部7の内面7aとの境界で、蓋部材4と突出部30との間に最小隙間が形成されるように、マスキング部材25を配置(構成)してもよい。
 また、以上の説明では、突出部30~80をマスキング部材25の一部としてマスキング部材25の残部と同じ材料で一体的に形成した場合を例示したが、もちろんこれ以外の形態をとることも可能である。図20は、本発明の第八実施形態に係るマスキング部材25の断面図を示している。このマスキング部材25は、突出部90を有し、突出部90は、突出部本体95と、少なくとも突出部本体95とドーム部7又は接続部8との間に配設される軟質部100とを有する。ここで、軟質部100は、突出部本体95よりも軟質(硬度が低い)材料で形成される。通常、突出部本体95を含むマスキング部材25は、ステンレスやYEF42などの金属で形成される。これに対して、軟質部100は、例えば金属よりも硬度の低い材料である樹脂(合成樹脂)で形成され、好ましくは、成膜処理時の温度環境を考慮して、耐熱性を有する樹脂で形成される。具体例としてシリコーンを挙げることができる。
 本実施形態では、突出部本体95は柱形状をなし、軟質部100は、突出部90が全体として錐台(円錐や角錐などの錐体から当該錐体に相似な小錐体を取り除いたもの)形状となるように突出部本体95の側面95aを覆うように配設される。この場合、軟質部100は、突出部90の斜面90aを構成している。本実施形態では、接続部8の内面8aとの間に最小隙間x1が形成されるように、軟質部100で形成された斜面90aの位置及び角度が設定される(図21を参照)。言い換えると、突出部90のうち少なくとも接続部8の内面8aとの距離が最小となる部分が軟質部100で構成されている。
 このように突出部90を構成することで、単一材料で突出部30~80を含むマスキング部材25を形成する場合よりも、最小隙間x1を小さくすることができる。よって、ドーム部7の内側空間への成膜材mの侵入をより高確率に防止して、光の取り出し効率の更なる改善を図ることが可能となる。本実施形態に係る蓋部材4を備えたパッケージにおける光の取り出し効率を第一実施形態と同じ手法で検証したところ、光の取り出し効率は93.5%であった。
 また、この場合、ドーム部7又は接続部8と接触し得る部分は軟質部100となるので、ドーム部7又は接続部8と突出部90とが接触したとしても、ドーム部7又は接続部8を傷付けるおそれは極めて低い。また、仮に軟質部100の一部がドーム部7又は接続部8に付着したとしても、洗浄することで容易に取り除くことができるため、特に問題はない。
 また、上述のように軟質部100を設ける場合、軟質部100の形状は任意である。図22は、本発明の第九実施形態に係るマスキング部材25の断面図を示している。このマスキング部材25において、突出部110を構成する軟質部120は、柱状をなす突出部本体95の角部95bを覆うように形成されている。このように軟質部120を設けることで、確実に突出部本体95とドーム部7又は接続部8との接触を回避することができると共に、ドーム部7の内側空間への成膜材mの侵入をより高確率に防止することが可能となる。
 図23は、本発明の第十実施形態に係るマスキング部材25の断面図を示している。このマスキング部材25において、突出部130を構成する軟質部140は、柱状をなす突出部本体95の側面95aと角部95bを覆うと共に、突出部本体95の先端面95cを覆うように形成されている。このように軟質部140を設けることで、より確実に突出部本体95とドーム部7との接触を回避することができると共に、ドーム部7の内側空間への成膜材mの侵入をさらに高確率に防止することが可能となる。
 もちろん、図示は省略するが、突出部90,110,130全体を軟質部で構成してもかまわない。すなわち、成膜処理時の耐熱性が問題ない範囲内である限りにおいて、軟質部の形態は任意である。さらに、突出部だけでなく、マスキング部材25全体を軟質部で構成してもかまわない。また、ガラス製蓋部材4と当接した際にガラス製蓋部材4を傷付けない程度の軟らかさである限りにおいて、軟質部は樹脂以外にも任意の材料で形成することが可能である。
 上記実施形態では、蓋部材準備工程S12において、成形工程S121を行った後に成膜工程S122を行う場合を説明したが、この順序には限定されない。既に板状ガラスGにドーム部7を成形されたものを他社から購入等することで、成形工程S121を省略してもよい。
 また、上記実施形態では、接合部11が枠部6側に設けられている形態を説明したが、接合部11は、基体2側に設けられていてもよい。また、接合部11は、枠部6側、及び、基体2側の双方に設けられていてもよい。
 また、上記実施形態では、第三金属層14の成膜時に、突出部30を形成したマスキング部材25を使用したが、これには限定されない。例えば、第三金属層14の成膜時に幅方向寸法の小さい開口部26を有するマスキング部材25を使用することで、隙間yが無視できる大きさ以下(隙間yがなくなる場合も含む)になる場合については、マスキング部材25の突出部30を省略することができる。
 図24は、本発明の第十一実施形態に係るマスキング部材150の要部拡大断面図を示している。このマスキング部材150は、上述したマスキング部材25のような突出部30~90,110,130を有していない。一方で、接続部8の内面8aのうち開口部26と向かい合う部分よりも内側の領域、及び、ドーム部7の内面7aと向かい合う位置に配置される第二マスキング部160の厚み寸法t2を、枠部6の第一主面6cのうち開口部26と向かい合う部分よりも外側の領域に配置される第一マスキング部170の厚み寸法t1よりも大きくしている。これにより、隙間yをより小さくして、ドーム部7の内側空間への成膜材mの侵入を防止することが可能となる。
 もちろん図示は省略するが、例えば第二マスキング部160のうち開口部26に隣接する部位を第一マスキング部170よりもドーム部7に近い側(図22でいえば上側)に配置して、隙間yを小さくすることで、第二マスキング部160を第一マスキング部170と同じ厚み寸法に形成することも可能である。また、マスキング部材170を可及的に薄くすることにより、成膜材mを枠部6の第一主面6c及び接続部8の内面8aにより確実に供給できるため、開口部26の間隔をより狭くして、ドーム部7の内側空間への成膜材mの侵入を抑制することも可能である。
1   パッケージ
2   基体
2a  第一主面
3   発光素子
4   蓋部材
5   封止部
6   枠部
6a  幅狭部
6b  幅広部
6c  第一主面
6d  第二主面
7   ドーム部
7a  内面
7b  外面
7c  基端部
7d  頂部
8   接続部
8a  内面
8b  外面
9   一方のメタライズ層(蓋部材)
10  他方のメタライズ層(基体)
11  接合部
11a 接合材
12  第一金属層(蓋部材)
13  第二金属層(蓋部材)
14  第三金属層(蓋部材)
15  第一金属層(基体)
16  第二金属層(基体)
17  第三金属層(基体)
18  成形装置
19  支持台
19a 支持部
19b 開口部
19c 空間部
20  マスキング部材
20a 貫通孔
21  加熱装置
22  押圧部材
23  外力発生装置
24  成形面
25,150 マスキング部材
26  開口部
27,170 第一マスキング部
28,160 第二マスキング部
29  連結部
30,40,50,60,70,80,90,110,130 突出部
30a,40a,50a,80a 側面
30b,40b,50b,80b 先端面
30c,40c,80c 角部
95  突出部本体
100,120,140 軟質部
50c 面取り部
61  壁部
G   板状ガラス
m   成膜材
S   過熱蒸気
S1  準備工程
S11 基体準備工程
S12 蓋部材準備工程
S121 成形工程
S122 成膜工程
S123 接合材形成工程
S2  接合工程
S21 加熱工程
S22 冷却工程
x1,x2 最小隙間(蓋部材と突出部との間)
y   隙間(接続部と第二マスキング部との間)

Claims (15)

  1.  発光素子を収容する空間を基体との間に形成するガラス製蓋部材であって、板状をなす枠部と、前記枠部の内側に位置しドーム状をなすドーム部と、前記枠部と前記ドーム部とを接続する接続部とを一体に有するガラス製蓋部材の製造方法であって、
     マスキング部材を用いた成膜処理で前記枠部の一方の表面にメタライズ層を形成する成膜工程を備え、
     前記成膜工程で、前記枠部の一方の表面と、その内側で連続する前記接続部の一方の表面とに向かい合う位置にマスキング部材の開口部を配置し、かつ
     前記開口部よりも外側で前記ガラス製蓋部材と向かい合う位置に前記マスキング部材の第一マスキング部、前記開口部よりも内側で前記ガラス製蓋部材と向かい合う位置に前記マスキング部材の第二マスキング部をそれぞれ配置した状態で前記成膜処理を行う、ガラス製蓋部材の製造方法。
  2.  前記第二マスキング部から前記ガラス製蓋部材に向けて突出した突出部を有する前記マスキング部材を用いて前記成膜処理を行う請求項1に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  3.  前記接続部の一方の表面と、その内側で連続する前記ドーム部の一方の表面との境界又は前記境界よりも外側で前記突出部が前記ガラス製蓋部材に最も接近するように、前記突出部を設けた前記マスキング部材を用いて前記成膜処理を行う請求項2に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  4.  前記ドーム部と前記接続部の何れに対しても、前記突出部との間に隙間が生じるように、前記突出部を設けた前記マスキング部材を用いて前記成膜処理を行う請求項2又は3に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  5.  前記ドーム部と前記突出部との隙間と、前記接続部と前記突出部との隙間のうち最も小さい箇所の大きさが、前記ドーム部の内面高さの5%以上でかつ30%以下である請求項4に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  6.  前記ドーム部を平面視した場合に、前記第二マスキング部の面積に対して前記突出部の面積が占める割合が50%以上でかつ90%以下である請求項2又は3に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  7.  前記突出部は、前記第二マスキング部から立設する側面と、先端面とを有し、かつ前記側面と前記先端面との間に面取り部が設けられている請求項2又は3に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  8.  前記突出部は、前記第二マスキング部から立設する側面と、先端面とを有し、かつ前記側面は、前記第二マスキング部から遠ざかるにつれて前記ガラス製蓋部材の内側に移行する向きに傾斜している請求項2又は3に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  9.  前記ドーム部を平面視した場合に、前記突出部は、前記ドーム部に倣った形状をなしている請求項2又は3に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  10.  前記突出部は、環状の壁部で構成されている請求項2又は3に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  11.  前記突出部は、突出部本体と、前記突出部本体よりも軟質の材料で形成され、前記突出部と前記ドーム部との隙間と、前記突出部と前記接続部との隙間のうち最も小さい部分を構成する軟質部とを有する請求項2又は3に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  12.  前記メタライズ層は、互いに線膨張係数の異なる複数の金属層を積層してなるもので、前記枠部に近い金属層ほど線膨張係数が小さくなるように、前記成膜処理を行う請求項1~3の何れか一項に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  13.  前記複数の金属層のうち最も前記枠部から遠い金属層の幅方向寸法が、残りの金属層の幅方向寸法よりも小さくなるように、前記成膜処理を行う請求項12に記載のガラス製蓋部材の製造方法。
  14.  発光素子を収容する空間を基体との間に形成するガラス製の蓋部材であって、
     板状をなす枠部と、前記枠部の内側に位置しドーム状をなすドーム部と、前記枠部と前記ドーム部とを接続する接続部とを一体に有し、
     前記枠部の一方の表面と、その内側で連続する前記接続部の一方の表面とに跨ってメタライズ層が形成されている、ガラス製蓋部材。
  15.  請求項14に記載の蓋部材と、前記発光素子と、前記基体とを備えたパッケージ。
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