WO2024070349A1 - 銀粒子 - Google Patents

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Abstract

銀粒子が溶媒中に分散された導電性接着剤であって、良好な流動性と、部材に塗布した後、焼結に供されるまでの形状安定性とに優れた銀粒子を提供する。 溶媒に分散されてなる銀粒子であって、 前記銀粒子の表面にアミン化合物が付着しており、 前記銀粒子の前記溶媒中の濃度を50質量%とした場合、所定条件の光透過式遠心沈降法によって測定される、SPANの値が、0.1以上3.3以下である、銀粒子。 SPAN:(V90-V10)/V50・・・式(1) 沈降速度を累積分布で示した際、 積算値の10%の沈降速度はV10である。 積算値の90%の沈降速度はV90である。 積算値の50%の沈降速度はV50(メジアン沈降速度)である。

Description

銀粒子
 本発明は、銀粒子、導電性接着剤、当該導電性接着剤の焼結体、及び当該焼結体を部材間に備えている電子部品に関する。
 ダイボンド剤等を始めとする導電性接着剤は、半導体、LED、パワー半導体等の電子部品に使われる接合材料である。接合方式として、加圧と加熱による接合、もしくは無加圧で加熱等による焼結によって基材と接合させることが一般に知られている。近年、製造プロセスの簡便さや効率の観点から、無加圧方式の接合材料の開発が進んでいる。
 近年、銀粒子を含む導電性接着剤の開発が進んでいる。銀粒子は、低温で短時間の熱処理で容易に焼結する特徴がある。例えば、特許文献1には、銀粒子からなる固形分と溶媒とを混練してなる金属ペーストにおいて、前記固形分が、粒径100~200nmの銀粒子を粒子数基準で30%以上含む銀粒子で構成されており、更に、固形分を構成する銀粒子は、保護剤として炭素数の総和が4~8のアミン化合物が結合した金属ペーストが開示されている。当該金属ペーストによれば、低温域で銀粒子を焼結させることができ、その上で抵抗の低い焼結体や熱伝導性に優れた焼結体を形成可能とされている。
特開2015-159096号公報
 銀粒子を含む導電性接着剤は、銀粒子が溶媒中に分散されたものであり、部材(例えば、電子部品に使用される基板、半導体チップ等)の表面に塗布し、焼結させることで、部材同士を接着することができる。
 このような導電性接着剤は、ディスペンサーなどを用いて部材表面に塗布することから、導電性接着剤が良好な流動性を備えることが望ましい。
 さらに、部材同士を精度高く接着する観点などから、導電性接着剤は、部材に塗布した後、焼結させる前までの形状安定性に優れていることが望ましい。
 本発明は、銀粒子が溶媒中に分散された導電性接着剤であって、良好な流動性と、部材に塗布した後、焼結に供されるまでの形状安定性とに優れた銀粒子を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該銀粒子を含む導電性接着剤、当該導電性接着剤の焼結体、及び当該焼結体を部材間に備えている電子部品を提供することも目的とする。
 本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。具体的には、本発明者は、銀粒子について、従来検討がなされているものではなく、溶媒に分散された銀粒子の二次粒子の粒度分布に着目した。そして、溶媒に分散された銀粒子について、所定条件の光透過式遠心沈降法によって測定される、SPAN:(V90-V10)/V50の値を特定の範囲内に設定すると、前述した良好な流動性と形状安定性とが両立されるという新規な知見を得た。本発明は、このような知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
 即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 溶媒に分散されてなる銀粒子であって、
 前記銀粒子の表面にアミン化合物が付着しており、
 前記銀粒子の前記溶媒中の濃度を50質量%とした場合、下記条件の光透過式遠心沈降法によって測定される、SPANの値が、0.1以上3.3以下である、銀粒子。
SPAN:(V90-V10)/V50・・・式(1)
沈降速度を累積分布で示した際、
積算値の10%の沈降速度はV10である。
積算値の90%の沈降速度はV90である。
積算値の50%の沈降速度はV50(メジアン沈降速度)である。
(SPANの測定条件)
 前記銀粒子の前記溶媒中の濃度が50質量%である測定用試料を用意する。前記測定用試料の前記溶媒としては、オクタノール/水分配係数(Log Pow)が-2以上4以下であるものを用いる。前記測定用試料0.2mlをガラスセル(光路長2mmのガラスセル)に充填し、25℃条件下、遠心加速度130Gで低速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得したのち、遠心加速度1160Gで高速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得し、前記測定用試料の気液界面(測定用試料の液面)から固液界面(沈降した銀粒子と溶媒の界面)の間を任意に3点選択し、それぞれ3点をノード1mm幅で解析し、粒子の移動距離とその移動に要した時間から沈降速度V90、V10、V50を求め、式(1)によりSPANを算出する。
項2. 前記銀粒子の平均粒子径が50~600nmである、項1に記載の銀粒子。
項3. 銀粒子が溶媒に分散されてなる銀粒子分散液であって、
 前記銀粒子の表面にアミン化合物が付着しており、
 前記銀粒子の前記溶媒中の濃度を50質量%とした場合、下記条件の光透過式遠心沈降法によって測定される、SPANの値が、3.3以下である、銀粒子分散液。
SPAN:(V90-V10)/V50・・・式(1)
沈降速度を累積分布で示した際、
積算値の10%の沈降速度はV10である。
積算値の90%の沈降速度はV90である。
積算値の50%の沈降速度はV50(メジアン沈降速度)である。
(SPANの測定条件)
 前記銀粒子の前記溶媒中の濃度が50質量%である測定用試料を用意する。前記測定用試料の前記溶媒としては、オクタノール/水分配係数(Log Pow)が-2以上4以下であるものを用いる。前記測定用試料0.2mlをガラスセル(光路長2mmのガラスセル)に充填し、25℃条件下、遠心加速度130Gで低速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得したのち、遠心加速度1160Gで高速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得し、前記測定用試料の気液界面(測定用試料の液面)から固液界面(沈降した銀粒子と溶媒の界面)の間を任意に3点選択し、それぞれ3点をノード1mm幅で解析し、粒子の移動距離とその移動に要した時間から沈降速度V90、V10、V50を求め、式(1)によりSPANを算出する。
項4. 前記銀粒子の平均粒子径が50~600nmである、項3に記載の銀粒子分散液。
項5. 項1又は2に記載の銀粒子を含む導電性接着剤。
項6. 項1又は2に記載の銀粒子と、樹脂と、を含む導電性接着剤。
項7. 項5又は6に記載の導電性接着剤の焼結体。
項8. 項7に記載の焼結体によって部材間が接合されてなる電子部品。
 本発明によれば、銀粒子が溶媒中に分散された導電性接着剤であって、良好な流動性と、部材に塗布した後、焼結に供されるまでの形状安定性とに優れた銀粒子を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該銀粒子を含む導電性接着剤、当該導電性接着剤の焼結体、及び当該焼結体を部材間に備えている電子部品を提供することもできる。
 本発明の銀粒子は、溶媒に分散されてなる銀粒子である。本発明の銀粒子においては、銀粒子の表面にアミン化合物が付着しており、銀粒子の溶媒中の濃度を50質量%とした場合、下記条件の光透過式遠心沈降法によって測定される、SPANの値が、0.1以上3.3以下であることを特徴とする。本発明の銀粒子は、当該特徴を備えることにより、良好な流動性と、部材に塗布した後、焼結に供されるまでの形状安定性とに優れるという特性が発揮される。以下、本発明の銀粒子、導電性接着剤、当該導電性接着剤の焼結体、及び当該焼結体を部材間に備えている電子部品について詳述する。
SPAN:(V90-V10)/V50・・・式(1)
沈降速度を累積分布で示した際、
積算値の10%の沈降速度はV10である。
積算値の90%の沈降速度はV90である。
積算値の50%の沈降速度はV50(メジアン沈降速度)である。
(SPANの測定条件)
 前記銀粒子の前記溶媒中の濃度が50質量%である測定用試料を用意する。前記測定用試料の前記溶媒としては、オクタノール/水分配係数(Log Pow)が-2以上4以下であるものを用いる。前記測定用試料0.2mlをガラスセル(光路長2mmのガラスセル)に充填し、25℃条件下、遠心加速度130Gで低速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得したのち、遠心加速度1160Gで高速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得し、前記測定用試料の気液界面(測定用試料の液面)から固液界面(沈降した銀粒子と溶媒の界面)の間を任意に3点選択し、それぞれ3点をノード1mm幅で解析し、粒子の移動距離とその移動に要した時間から沈降速度V90、V10、V50を求め、式(1)によりSPANを算出する。
 なお、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「~」で結ぶことができるものとする。
1.銀粒子
 本発明の銀粒子は、銀を含む粒子である。銀粒子の表面にアミン化合物が付着している。すなわち、本発明の銀粒子は、銀により構成された粒子の表面にアミン化合物が付着した構造を有している。
 本発明の銀粒子は、前記条件の光透過式遠心沈降法によって測定される、SPAN:(V90-V10)/V50の値が、0.1以上3.3以下である。光透過式遠心沈降法によって測定される、SPAN:(V90-V10)/V50の値は、銀粒子の二次粒子の粒度分布に相関しており、SPAN:(V90-V10)/V50の値が小さい程、銀粒子の二次粒子の粒度分布が狭いといえる。本発明においては、アミン化合物が付着した銀粒子のSPAN:(V90-V10)/V50の値が0.1~3.3という特定範囲内にあることで、銀粒子の二次粒子としての粒度分布が適切な範囲内にあり、二次粒子のさらなる凝集が抑制され溶媒中で適切分散されていると評価することができる。従来、銀粒子の一次粒子を制御することで、銀粒子を含む導電性接着剤の特性を調整する試みはなされてきたが、本発明においては、銀粒子の二次粒子の分散性に着目し、光透過式遠心沈降法によって測定されるSPAN:(V90-V10)/V50の値を特定範囲に制御することで、溶媒に分散した銀粒子の良好な流動性と、部材に塗布した後、焼結に供されるまでの形状安定性とに優れるという特性を両立する。光透過式遠心沈降法の具体的な測定条件については、実施例の記載による。
 本発明の効果を好適に発揮する観点から、本発明の銀粒子の前記SPAN:(V90-V10)/V50の値は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上であり、特に好ましくは0.7以上である。また、好ましくは3.3以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下であり、特に好ましくは2.2以下である。好ましい範囲としては、0.1~3.3、0.3~3.0、0.5~2.5、0.7~2.2などが挙げられる。
 本発明において、銀粒子の前記SPAN:(V90-V10)/V50の値を0.1~3.3という特定範囲内に設定する方法については、特に制限されないが、例えば、後述のように、銀粒子の製造に使用する精製溶媒(洗浄溶媒)やそれを用いた際の洗浄方法、アミン(保護基)置換に使用する溶媒、及び分散溶媒の選択やその分散溶媒への分散方法、濃縮が必要な場合は銀粒子の製造時の遠心分離条件などによって調整することができる。特に、精製溶媒は粒子径や保護基によって選択する必要があり、適切なものを使わない場合は、高濃度分散液とした際の二次粒子の粒度分布が広がったり、極端に大きな二次粒子が発生したりする場合がある。また、遠心分離条件も過度に強い負荷Gをかけると、同様に二次粒子へ影響を与える。加えて、弱すぎる遠心条件では二次粒子としての分布が広がる傾向もあり、粒子径や遠心分離時に用いた溶剤種によって適切な遠心分離条件を規定する必要がある。
 また、本発明の効果を好適に発揮する観点から、銀粒子の平均粒子径(一次粒子径)は、例えば600nm以下、好ましくは580nm以下、より好ましくは560nm以下、さらに好ましくは550nm以下であり、また、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上、さらに好ましくは65nm以上であり、好ましい範囲としては、50~600nm、60~580nm、65~550nmが挙げられる。
 本発明において、銀粒子の平均粒子径(一次粒子径)は、SEM画像について、画像解析ソフト(例えば、Macview(マウンテック社製))を用いて、無作為に選択した200個の粒子について測定した体積基準平均粒子径である。なお、観察にはSEDモード(二次電子検出器)を用いて、加速電圧を20kV、5000~30000倍の観察倍率にて、横幅1~20μmの範囲を観察する。なお、SEM画像の縦方向については、横幅1~20μmの範囲に200個以上(通常、200~300個程度)の銀粒子が含まれる幅とする。また、体積基準平均粒子径は、SEM画像に観察される粒子が、その直径を有する球形であると仮定して測定される値である。具体的な測定方法は、実施例に記載のとおりである。
 また、本発明の効果を好適に発揮する観点から、本発明の銀粒子は、熱重量示差熱分析における発熱ピークが、120~250℃の範囲に少なくとも1つ観察されることが好ましく、120~150℃の範囲に少なくとも1つ観察されることがより好ましく、160~250℃の範囲に少なくとも1つ観察されることがさらに好ましい。なお、これらの発熱ピークは、通常、これらの範囲に1つ観察される。
 また、本発明の銀粒子の乾燥粉末は、熱重量示差熱分析によって30℃から500℃まで加熱したときの重量減少率が1.5重量%以下であることが好ましく、0.05~1.3重量%であることがより好ましい。熱重量示差熱分析の方法は以下の通りである。
<熱重量示差熱分析(TG-DTA)>
 まず、風乾した銀粒子を用意する。例えば、溶媒中の銀粒子を取得して分析する場合には、溶媒に分散された銀粒子1gに対し、メタノール2gを加えてよく分散させたのち、銀粒子をろ取、風乾して銀粒子乾燥粉末を得て、分析対象とする。銀粒子の乾燥粉末のTG-DTAを熱重量示差熱分析装置(例えば、HITACHI G300 AST-2)で測定する。測定条件は、雰囲気:空気、測定温度:30~500℃、昇温速度:10℃/minとする。得られたTG-DTAチャートから、TG-DTA分析における銀粒子の結合に起因する発熱ピークと、熱分析によって30℃から500℃まで加熱したときの重量減少率を得る。
 本発明の銀粒子に含まれる銀の含有量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上である。
 本発明の銀粒子の表面には、アミン化合物が付着している。すなわち、本発明の銀粒子は、アミン化合物を含む処理液により表面処理されたもの(表面処理銀粒子)である。アミン化合物は、銀粒子の表面に付着し、保護層を形成している。
 アミン化合物としては、銀粒子の表面に付着し、かつ、前記SPAN:(V90-V10)/V50の値を前記特定の範囲に設定できるものであれば、特に制限されないが、本発明の効果をより一層好適に奏する観点から、アルキルアミンが好ましい。アルキルアミンとしては、特に制限されないが、好ましくはアルキル基の炭素数が3以上18以下のアルキルアミン、より好ましくはアルキル基の炭素数が4以上12以下のアルキルアミンが挙げられる。
 アルキルアミンの好ましい具体例としては、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、1,2-ジメチルプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、イソアミルアミン、tert-アミルアミン、3-ペンチルアミン、n-アミルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、2-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-ノニルアミン、n-アミノデカン、n-アミノウンデカン、n-ドデシルアミン、n-トリデシルアミン、2-トリデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ペンタデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、n-ヘプタデシルアミン、n-オクタデシルアミン、n-オレイルアミン、N-エチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアミノプロパン、N,N-ジブチルアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジイソブチル-1,3-ジアミノプロパン、N-ラウリルジアミノプロパン等を例示することができる。さらに、2級アミンであるジブチルアミンや環状アルキルアミンであるシクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール等も例示することができる。これらの中でも、本発明の効果をより一層好適に奏する観点から、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、シクロプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、シクロブチルアミン、n-アミルアミン、n-ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-ドデシルアミン、n-オレイルアミン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパンが好ましく、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパンがより好ましく、n-ヘキシルアミンが特に好ましい。アミン化合物は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
 本発明の銀粒子のアミン化合物の付着量としては、特に制限されないが、銀粒子の質量を100質量%として、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.3質量%以下であり、下限については、好ましくは0.05質量%以上である。銀粒子に付着しているアミン化合物の含有量は、熱重量示差熱分析により測定することができる。
 また、銀粒子の表面には、脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸等が付着していてもよい。脂肪酸としては、特に制限されないが、好ましくはアルキル基の炭素数が3以上18以下の脂肪酸、より好ましくはアルキル基の炭素数が4以上18以下の脂肪酸が挙げられる。脂肪酸の好ましい具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸等が挙げられる。また、脂肪酸の具体例としては、シクロヘキサンカルボン酸のような環状アルキルカルボン酸等も挙げられる。また、ヒドロキシ脂肪酸としては、炭素数3~24で、かつ水酸基を1個以上(例えば、1個)有する化合物を使用できる。また、ヒドロキシ脂肪酸として、例えば、2-ヒドロキシデカン酸、2-ヒドロキシドデカン酸、2-ヒドロキシテトラデカン酸、2-ヒドロキシヘキサデカン酸、2-ヒドロキシオクタデカン酸、2-ヒドロキシエイコサン酸、2-ヒドロキシドコサン酸、2-ヒドロキシトリコサン酸、2-ヒドロキシテトラコサン酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシオクタン酸、3-ヒドロキシノナン酸、3-ヒドロキシデカン酸、3-ヒドロキシウンデカン酸、3-ヒドロキシドデカン酸、3-ヒドロキシトリデカン酸、3-ヒドロキシテトラデカン酸、3-ヒドロキシヘキサデカン酸、3-ヒドロキシヘプタデカン酸、3-ヒドロキシオクタデカン酸、ω-ヒドロキシ-2-デセン酸、ω-ヒドロキシペンタデカン酸、ω-ヒドロキシヘプタデカン酸、ω-ヒドロキシエイコサン酸、ω-ヒドロキシドコサン酸、6-ヒドロキシオクタデカン酸、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、[R-(E)]-12-ヒドロキシ-9-オクタデセン酸等が挙げられる。中でも、炭素数4~18で、かつω位以外(特に、12位)に1個の水酸基を有するヒドロキシ脂肪酸が好ましく、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸がより好ましい。脂肪酸及びヒドロキシ脂肪酸は、それぞれ、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
 本発明の銀粒子において、脂肪酸やヒドロキシ脂肪酸の付着量についても、アミン化合物と同様、適宜調整する。具体的な脂肪酸やヒドロキシ脂肪酸の付着量は、特に制限されないが、銀粒子の質量を100質量%として、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.3質量%以下であり、下限については、好ましくは0.01質量%以上である。銀粒子に付着している脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸の含有量は示差熱分析により測定することができる。
 なお、本発明の銀粒子は、表面にアミン化合物が付着し、かつ、前記SPAN:(V90-V10)/V50の値を満たすことを限度として、アミン化合物、脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸は、併用してもよいし、また、これらとは異なる他の化合物が銀粒子の表面に付着していてもよい。
 本発明の銀粒子は、溶媒に分散されてなる。すなわち、銀粒子は、溶媒に分散された状態で存在している。溶媒は、オクタノール/水分配係数(Log Pow)が-2以上4以下のものであれば、特に制限されない。
 本発明の効果を好適に発揮する観点から、溶媒としては、好ましくは、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(Log Pow:1.7)、テキサノール(Log Pow:3.2)、イソプロピルアルコール(Log Pow:0.05)、α-テルピネオール(Log Pow:2.98)、ジエチレングリコール(Log Pow:-1.98)、エチレングリコール(Log Pow:-1.36)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(Log Pow:1.60)、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(Log Pow:2.23)、ブチルカルビトール(Log Pow:0.56)、ブチルカルビトールアセテート(Log Pow:2.9)、ブタンジオール(Log Pow:-0.34)などが挙げられる。溶媒は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよいが、好ましくは1種類である。
 本発明の効果をより好適に発揮する観点から、本発明の銀粒子の溶媒中の濃度としては、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは88質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下であり、好ましい範囲としては、80~95質量%、85~93質量%、88~92質量%などが挙げられる。なお、本発明の銀粒子について、前記のSPAN:(V90-V10)/V50の値を測定する際には、濃度を50質量%に調整して測定を行う。
2.銀粒子の製造方法
 本発明の銀粒子の製造方法の一例を以下に示す。
 まず、銀粒子を製造するための組成物(銀粒子調製用組成物)を用意する。具体的には、銀粒子の原料となる銀化合物、銀粒子の表面に付着させるアミン化合物、各工程で使用する溶媒(銀粒子の合成時に使用する溶媒、銀粒子の精製溶媒、アミン化合物を置換する際の溶媒など)を準備する。
 銀粒子は、銀化合物からの銀粒子の合成工程、アミン置換工程などを経て合成され、各工程中又は各工程間に銀粒子の分離が含まれ得る。
 本発明の効果をより一層好適に奏する観点から、好ましい銀化合物としては、硝酸銀、シュウ酸銀等が挙げられ、特にシュウ酸銀が好ましい。
 銀化合物から銀粒子を合成する際に使用される溶媒としては、銀粒子が合成されれば、特に制限されないが、極性有機溶媒を含むことが好ましい。極性有機溶媒としては、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類;1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール等のジオール類;グリセロール;炭素数1~5の直鎖又は分岐鎖のアルコール、シクロヘキサノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸エチル、蟻酸エチル、テキサノール等の脂肪酸エステル類;ポリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール又はグリコールエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;テルピネオール等のテルペン類;アセトニトリル;γ-ブチロラクトン;2-ピロリドン;N-メチルピロリドン;N-(2-アミノエチル)ピペラジン等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより一層好適に奏する観点から、炭素数3~5の直鎖又は分岐鎖のアルコール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、テルピネオール、テキサノールが好ましい。
 溶媒は、極性有機溶媒に加えて、さらに非極性又は疎水性溶媒を含んでいてもよい。非極性有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2-エチルヘキサン、シクロヘキサン等の直鎖、分枝、又は環状の飽和炭化水素;炭素数6以上の直鎖又は分岐鎖のアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、ベンゾニトリル等の芳香族化合物;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;メチル-n-アミルケトン;メチルエチルケトンオキシム;トリアセチン等が挙げられる。これらの中でも、飽和炭化水素及び炭素数6以上の直鎖又は分岐鎖のアルコール類が好ましく、ヘキサン、オクタン、デカン、オクタノール、デカノール、ドデカノールがより好ましい。溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
 銀化合物からの銀粒子の合成工程においては、銀化合物、アミン化合物、及び溶媒を混合して銀粒子調製用組成物を得る。当該組成物における各成分の割合は、適宜調整する。例えば、組成物中のシュウ酸銀の含有量は、組成物の全量に対して、20~70質量%程度とすることが好ましい。また、アミン化合物の含有量としては、組成物の全量に対して、5質量%~55質量%程度とすることが好ましい。また、銀粒子の表面に脂肪酸を付着させる場合であれば、脂肪酸の含有量としては、組成物の全量に対して、0.1質量%~20質量%程度とすることが好ましい。銀粒子の表面にヒドロキシ脂肪酸を付着させる場合であれば、ヒドロキシ脂肪酸の含有量としては、組成物の全量に対して、0.1質量%~15質量%程度とすることが好ましい。
 一旦、アミン化合物が付着した銀粒子を合成し、後述する方法によって、アミン化合物等の種類や付着量を調整(アミン化合物を置換)することが可能である。よって、銀化合物からの銀粒子の合成工程において使用するアミン化合物は、最終製品とする銀粒子の表面に付着するアミン化合物と異なっていてもよい。
 また、各成分の混合手段は特に制限されず、例えば、メカニカルスターラー、マグネティックスターラー、ボルテックスミキサー、遊星ミル、ボールミル、三本ロール、ラインミキサー、プラネタリーミキサー、ディゾルバー等の汎用の装置で混合できる。混合時の溶解熱、摩擦熱等の影響で組成物の温度が上昇し、銀粒子の熱分解反応が開始することを回避するために、組成物の温度を、例えば60℃以下、特に40℃以下に抑えながら混合することが好ましい。
 次に、銀粒子調製用組成物を、反応容器内で反応、通常は加熱による反応に供することにより、銀化合物の熱分解反応が起こり、銀粒子が生成する。反応に当たっては、予め加熱しておいた反応容器内に組成物を導入してもよく、組成物を反応容器内に導入した後に加熱してもよい。
 反応温度は、熱分解反応が進行し、銀粒子が生成する温度であればよく、例えば50~250℃程度が挙げられる。また、反応時間は、所望する平均粒子径の大きさや、それに応じた組成物の組成に合せて、適宜選択すればよい。反応時間としては、例えば1分間~100時間が挙げられる。
 熱分解反応により生成した銀粒子は、未反応原料を含む混合物として得られるため、銀粒子を精製することが好ましい。精製方法としては、固液分離方法、銀粒子と有機溶媒等の未反応原料との比重差を利用した沈殿方法等が挙げられる。固液分離方法としては、フィルター濾過、遠心分離、サイクロン式、又はデカンタ等の方法が挙げられる。精製時の取り扱いを容易にするために、アセトン、メタノール等の低沸点溶媒で銀粒子を含有する混合物を希釈して、その粘度を調整してもよい。
 銀粒子製造用組成物の組成や反応条件を調整することにより、得られる銀粒子の平均粒子径(一次粒子径)を調整することができる。また、本発明においては、前記SPAN:(V90-V10)/V50の値を前記特定の範囲に設定する観点から、精製溶媒として、n-プロパノール、1-ブタノールなどを用いることが好ましい。精製溶媒の選択は、本発明の銀粒子の前記SPAN:(V90-V10)/V50の値に影響を与える。
銀粒子表面のアミン化合物を置換・調整する方法
 前記の方法で、一旦合成された銀粒子(表面にアミン化合物が付着)を用意し、これを溶媒中に分散させる。溶媒としては、銀粒子の合成工程で使用される溶媒として例示したものと同じものが例示されるが、n-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノールなどを用いることが好ましい。銀粒子表面のアミン化合物を置換・調整する際に使用する溶媒の選択は、本発明の銀粒子の前記SPAN:(V90-V10)/V50の値に影響を与える。次に、他のアミン化合物を銀粒子の質量に対して、0.1~5倍量の範囲で添加し、室温~80℃で、1分~24時間撹拌を行う工程に付することで、銀粒子の表面に付着しているアミン化合物の種類を置換したり、付着量を調整したりすることができる。アミン化合物を置換した銀粒子は、前記の固液分離法等によって回収することができる。この固液分離の際に使用する溶媒としては、n-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノールなどを用いることが好ましい。当該溶媒の選択についても、本発明の銀粒子の前記SPAN:(V90-V10)/V50の値に影響を与える。
3.導電性接着剤
 本発明の導電性接着剤は、本発明の銀粒子を含むことを特徴としている。すなわち、本発明の導電性接着剤は、銀粒子と溶媒を含んでいる。本発明の銀粒子及び溶媒の詳細については、前述の通りである。
 本発明の導電性接着剤は、本発明の銀粒子、溶媒に加えて、さらに樹脂を含んでいてもよい。樹脂としては、特に制限されず、銀粒子を含む公知の導電性接着剤に使用される樹脂が本発明でも使用することができ、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオルガノシロキサン系樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられ、それらの混合物であっても良い。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。本発明において、好ましい溶媒の具体例としては、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(Log Pow:1.7)、テキサノール(Log Pow:3.2)、イソプロピルアルコール(Log Pow:0.05)、α-テルピネオール(Log Pow:2.98)、ジエチレングリコール(Log Pow:-1.98)、エチレングリコール(Log Pow:-1.36)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(Log Pow:1.60)、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(Log Pow:2.23)、ブチルカルビトール(Log Pow:0.56)、ブチルカルビトールアセテート(Log Pow:2.9)、ブタンジオール(Log Pow:-0.34)などが挙げられる。特に好ましい溶媒は、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(Log Pow:2.23)、テキサノール(Log Pow:3.2)である。本発明の導電性接着剤が溶媒をさらに含む場合、導電性接着剤に含まれる溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
 本発明の導電性接着剤における銀粒子の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは88質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下であり、好ましい範囲としては、80~95質量%、85~93質量%、88~92質量%などが挙げられる。また、本発明の導電性接着剤が樹脂を含む場合、本発明の導電性接着剤における樹脂の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下であり、好ましい範囲としては、0.001~10質量%、0.005~7質量%、0.01~3質量%などが挙げられる。
4.導電性接着剤の焼結体
 本発明の導電性接着剤の焼結体は、前述の「3.導電性接着剤」で詳述した本発明の導電性接着剤を焼結することにより得られる。本発明の導電性接着剤の焼結体においては、銀粒子の表面に付着している成分(アミン化合物等)、溶媒、樹脂は、焼結の際の高熱により、ほとんどが離脱しており、焼結体は、実質的に銀により構成されている。
 焼結温度としては、特に制限されないが、例えば250℃以下、好ましくは150℃~250℃程度、より好ましくは200℃~250℃程度が挙げられる。焼結時間としては、好ましくは0.4時間~2.0時間程度、より好ましくは0.5時間~1.2時間程度が挙げられる。本発明の導電性接着剤の焼結の際に加圧してもよいし、加圧しなくてもよい。加圧する場合の圧力は例えば10~30MPa程度である。焼結は、大気、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)等の雰囲気下で行うことができる。焼結手段としては、特に制限されず、オーブン、熱風式乾燥炉、赤外線乾燥炉、レーザー照射、フラッシュランプ照射、マイクロウェーブ等が挙げられる。
5.電子部品
 本発明の電子部品は、本発明の焼結体により部材間が接着された部分を備えている。すなわち、本発明の電子部品は、前述の「3.導電性接着剤」で詳述した本発明の導電性接着剤を、電子部品の部材間(例えば、回路に含まれる部材間)に配置し、導電性接着剤を焼結させて、部材間を接着したものである。
 以下の実施例において本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
 実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は、以下の通りである。
・シュウ酸銀((COOAg)2)は、特許第5574761号公報に記載の方法で合成した。
・N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・n-ヘキシルアミン(炭素数6、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール(東京化成工業株式会社製)
・リシノール酸(東京化成工業株式会社製)
・n-プロパノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・イソプロピルアルコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・1-ブタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・メタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(富士フイルム和光純薬株式会社製)
 以下の手順で銀粒子を製造した。評価で数量が必要な際は、同様の方法で試行回数を増やすことで必要サンプル量を用意した。
<実施例1:銀粒子1の合成>
 以下の手順により、溶媒中に分散された銀粒子1を製造した。 磁気撹拌子を入れた50mLガラス製遠沈管に、リシノール酸(0.05g)、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(4.1g)、及び1-ブタノール(7.5g)を投入し、1分間程度攪拌したのち、シュウ酸銀(5g)を投入し、約10分間攪拌することで、銀粒子1調製用組成物を得た。その後、アルミブロックを備えたホットスターラー(小池精密機器製作所製HHE-19G-U)上に、これらのガラス製遠沈管を立てて設置し、40℃で30分間攪拌し、さらに、90℃で30分間攪拌した。放冷後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にn-プロパノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(遠心加速度約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。n-プロパノール15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子を回収した。次に、得られた銀粒子の分散液(n-プロパノール溶液)を用いて、n-ヘキシルアミンを銀粒子の質量の3倍量を添加し、室温で4時間撹拌した。撹拌後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にn-プロパノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(遠心加速度約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。次に、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子1を回収した。
<実施例2:銀粒子2の合成>
 以下の手順により、溶媒中に分散された銀粒子2を製造した。磁気撹拌子を入れた50mLガラス製遠沈管に、リシノール酸(0.05g)、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(4.1g)、及び1-ブタノール(7.5g)を投入し、1分間程度攪拌したのち、シュウ酸銀(5g)を投入し、約10分間攪拌することで、銀粒子2調製用組成物を得た。その後、アルミブロックを備えたホットスターラー(小池精密機器製作所製HHE-19G-U)上に、これらのガラス製遠沈管を立てて設置し、40℃で30分間攪拌し、さらに、90℃で30分間攪拌した。放冷後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にイソプロピルアルコール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(遠心加速度約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。イソプロピルアルコール15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子を回収した。次に、得られた銀粒子の分散液(イソプロピルアルコール溶液)を用いて、n-ヘキシルアミンを銀粒子の質量の3倍量を添加し、室温で4時間撹拌した。撹拌後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にイソプロピルアルコール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(遠心加速度約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。次に、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子2を回収した。
<実施例3:銀粒子3の合成>
 以下の手順により、溶媒中に分散された銀粒子3を製造した。磁気撹拌子を入れた50mLガラス製遠沈管に、リシノール酸(0.05g)、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(4.1g)、及び1-ブタノール(7.5g)を投入し、1分間程度攪拌したのち、シュウ酸銀(5g)を投入し、約10分間攪拌することで、銀粒子3調製用組成物を得た。その後、アルミブロックを備えたホットスターラー(小池精密機器製作所製HHE-19G-U)上に、これらのガラス製遠沈管を立てて設置し、40℃で30分間攪拌し、さらに、90℃で30分間攪拌した。放冷後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物に1-ブタノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(遠心加速度約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。1-ブタノール15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子を回収した。次に、得られた銀粒子の分散液(1-ブタノール溶液)を用いて、n-ヘキシルアミンを銀粒子の質量の3倍量を添加し、室温で4時間撹拌した。撹拌後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物に1-ブタノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(遠心加速度約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。次に、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子3を回収した。
<実施例4:銀粒子4の合成>
 以下の手順により、溶媒中に分散された銀粒子4を製造した。磁気撹拌子を入れた50mLガラス製遠沈管に、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール(1.74g)、及び1-ブタノール(7.5g)を投入し、1分間程度攪拌したのち、シュウ酸銀(5g)を投入し、約10分間攪拌することで、銀粒子4調製用組成物を得た。その後、アルミブロックを備えたホットスターラー(小池精密機器製作所製HHE-19G-U)上に、これらのガラス製遠沈管を立てて設置し、40℃で30分間攪拌し、さらに、90℃で30分間攪拌した。放冷後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にメタノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(遠心加速度約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。メタノール15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子を回収した。次に、得られた銀粒子の分散液(メタノール溶液)を用いて、n-ヘキシルアミンを銀粒子の質量の3倍量を添加し、室温で4時間撹拌した。撹拌後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にメタノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(遠心加速度約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。次に、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子4を回収した。
<実施例5:銀粒子5の合成>
 以下の手順により、溶媒中に分散された銀粒子5を製造した。磁気撹拌子を入れた50mLガラス製遠沈管に、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール(1.74g)、及び1-ブタノール(7.5g)を投入し、1分間程度攪拌したのち、シュウ酸銀(5g)を投入し、約10分間攪拌することで、銀粒子5調製用組成物を得た。その後、アルミブロックを備えたホットスターラー(小池精密機器製作所製HHE-19G-U)上に、これらのガラス製遠沈管を立てて設置し、40℃で30分間攪拌し、さらに、90℃で30分間攪拌した。放冷後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にn-プロパノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。n-プロパノール15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子を回収した。次に、得られた銀粒子の分散液(メタノール溶液)を用いて、n-ヘキシルアミンを銀粒子の質量の3倍量を添加し、室温で4時間撹拌した。撹拌後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にn-プロパノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて2500rpm(遠心加速度約1110×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。次に、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子5を回収した。
<比較例1:銀粒子6の合成>
 以下の手順により、溶媒中に分散された銀粒子6を製造した。磁気撹拌子を入れた50mLガラス製遠沈管に、リシノール酸(0.05g)、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(4.1g)、及び1-ブタノール(7.5g)を投入し、1分間程度攪拌したのち、シュウ酸銀(5g)を投入し、約10分間攪拌することで、銀粒子6調製用組成物を得た。その後、アルミブロックを備えたホットスターラー(小池精密機器製作所製HHE-19G-U)上に、これらのガラス製遠沈管を立てて設置し、40℃で30分間攪拌し、さらに、90℃で30分間攪拌した。放冷後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にメタノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて3000rpm(遠心加速度約1600×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。メタノール15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子を回収した。次に、得られた銀粒子の分散液(メタノール溶液)を用いて、n-ヘキシルアミンを銀粒子の質量の3倍量を添加し、室温で4時間撹拌した。撹拌後、磁気撹拌子を取り出し、各組成物にメタノール15gを添加してボルテックスミキサーで攪拌した後、遠心分離機(日立工機製CF7D2)にて3000rpm(遠心加速度約1600×G)で1分間の遠沈操作を実施し、遠沈管を傾けることにより上澄みを除去した。次に、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル15gの添加、撹拌、遠心分離、及び上澄み除去の工程を2回繰り返し、銀粒子6を回収した。
 得られた各銀粒子1~6について、それぞれ、走査型電子顕微鏡による観察(SEM画像の取得)、平均粒子径(体積基準平均粒子径)の測定、粒度分布の測定、TG-DTAの測定を以下の条件にて行った。
<電子顕微鏡による観察>
 得られた各銀粒子1~6について、走査型電子顕微鏡(SEM(日本電子製JSM-IT500HR))を用いて、SEM画像を取得した。
<平均粒子径(体積基準平均粒子径)の測定>
 前記<電子顕微鏡による観察>で取得した各SEM画像(横幅1~20μm)について、画像解析ソフト(マックビュー(マウンテック社製))を用いて、無作為に選択した200個の粒子の体積基準平均粒子径(一次粒子径)を測定した。SEM画像の縦方向については、横幅1~20μmの範囲を観察する。なお、SEM画像の縦方向については、横幅1~20μmの範囲に200個以上(通常、200~300個程度)の銀粒子が含まれる幅とする。なお、体積基準平均粒子径は、SEM画像に観察される粒子が、その直径を有する球形であると仮定して測定される値である。結果を表1に示す。
<光透過式遠心沈降法>
 得られた各銀粒子1~6について、光透過式遠心沈降法により、以下のSPANの値を求めた。
SPAN:(V90-V10)/V50・・・式(1)
沈降速度を累積分布で示した際、
積算値の10%の沈降速度はV10である。
積算値の90%の沈降速度はV90である。
積算値の50%の沈降速度はV50(メジアン沈降速度)である。
(SPANの測定条件)
 銀粒子の溶媒中の濃度が50質量%である測定用試料を用意した。測定用試料の溶媒は、オクタノール/水分配係数(Log Pow)が-2以上4以下である溶剤を用いた。50mlバイアル瓶に各銀粒子(1~6)を分取し、ジエチレングリコールモノ-2ーエチルヘキシルエーテルを用いて、銀分が50質量%、溶剤が50質量%の計100%となるように希釈した。混錬にはボルテックスミキサーを用い、2000rpmで2分間分散させた。この時、目に見えて分散していない(固形分が残る)ようであれば、スパチュラ等を用いた粗混錬や自転公転式ミキサー等を用いて分散させても良い。自転公転式ミキサーを用いる際は、自転と公転のバランスをとり、粒子が沈降しないように攪拌すること。また、銀粒子が分散されてなる銀粒子分散液を測定対象とし、測定用試料を作成する際は、その銀粒子を分散させている溶剤を希釈液として用い、測定用試料を作成すること。その分散液に複数の溶剤が用いられている場合は、複数の溶剤を用いてもよく、その分散液と等量の比率で希釈すること。SPAN((V90-V10)/V50)の測定はLUMJapan製 分散性評価・粒子径分布装置LS-610型により測定した。具体的には、測定用試料0.2mlをガラスセル(光路長2mmのガラスセル)に充填し、25℃条件下、遠心加速度130G(1000rpm)で低速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得したのち、遠心加速度1160G(3000rpm)で高速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得し、前記測定用試料の気液界面(測定用試料の液面)から固液界面(沈降した銀粒子と溶媒の界面)の間を任意に3点選択し、それぞれ3点をノード1mm幅で解析し、粒子の移動距離と時間から沈降速度V90、V10、V50を求め、式(1)によりSPANを算出した。測定時のLightFactorは6に設定した。なお、測定の際にガラスセルを用いないと銀粒子が固着し、遮光することで正確な光度(吸光度)を測定出来ない。また、LightFactorを6に設定しないと、高濃度の金属粒子分散液という測定物の性質上、光の強度が不足する。そのため、高濃度の粒子分散液の二次粒子状態を計測するためには6に設定する必要がある。同様の原理によって二次粒子の形態を測定する際は、測定装置の光源について留意する必要がある。そして、ノード(解析幅)同士を重ねると測定プロファイル数(測定点数)として妥当な点数が得られないため、ノードは重ならないように解析する必要がある。測定結果を表1に示す。
<流動性評価>
 得られた各銀粒子1~6について、以下の方法により流動性を評価した。結果を表1に示す。なお、銀粒子7(平均粒子径1.88μm)として、DOWAエレクトロニクス株式会社製の製品名AG3-1Fを用いた。
(銀ペーストの調製方法)
 50mlバイアルに各銀粒子(1~6)を分取し、銀分として等量となるように銀粒子7を加えた。それをジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテルで銀分90質量%と溶剤10質量%で計100%となるように調整し、各ペーストを得た。そのペーストを自転/公転式混錬機(クラボウ社製マゼルスターKK-400W)を用い、1340/1340rpmの条件で30秒混錬した。なお、銀粒子及び銀粒子分散液の状態によっては、スパチュラ等を用いた手作業によって粗混錬を実施しても良い。これを目開き100μmのメッシュでろ過し、バレル(岩下エンジニアリング製PS05N)に10g充填して密栓した。上記混錬機を用いて、銀ペーストが充填されたバレルを同条件で60秒間攪拌脱泡し、さらに攪拌後12時間放置することで、流動性試験用試料を得た。銀ペーストの流動性の評価はエアパルス式ディスペンサー(岩下エンジニアリング製AD3300C)を用いて実施した。吐出圧はレギュレーターで調整し、20kPa~100kPaの範囲で調整した。また、試験はいずれも温調を用い、バレル温度(ペースト温度)が25℃となるように調整した上で実施した。10gの銀ペーストが充填されたバレル(岩下エンジニアリング製PS05N)に0.27mmφのノズル径の精密ノズルをセットし、ディスペンサーにセットした。印刷条件として、ノズル先端から被印刷体(ガラス基板)までの距離を100μmとした。被印刷体上に5mmのラインパターンを等間隔で印刷した。ラインパターンの印刷が終わってから、1秒経過すると、次のラインパターンの印刷が始まるように設定した。このようにして、100点ラインパターンをうつ毎に次の被印刷体へと移行し、1時間印刷した。
(吐出重量維持率)
 印刷初期の被印刷体上のラインパターンの重量A(100点分の銀ペースト重量g)と1時間経過後の最後の被印刷体上のラインパターンの重量B(100点分の銀ペースト重量g)から吐出重量維持率=B/A * 100質量%を算出した。これが50%を下回っているものは×、50%以上のものを〇、70%以上のものを◎とした。
(連続印刷性評価)
 1時間吐出した全てのラインパターンのうち、未塗布の箇所が5%以上存在するものを×とした。未塗布の箇所が発生しない、あるいは5%未満のものを〇とした。
<形状安定性評価>
 得られた各銀粒子1~6について、以下の方法により形状安定性を評価した。結果を表1に示す。銀ペーストの形状安定性の評価は流動性試験と同様に試料を用意し、エアパルス式ディスペンサー(岩下エンジニアリング製AD3300C)を用いて実施した。吐出圧はレギュレーターで調整し、20kPa~100kPaの範囲で調整した。また、試験はいずれも温調を用い、バレル温度(ペースト温度)が25℃となるように調整した上で実施した。10gの銀ペーストが充填されたバレル(岩下エンジニアリング製PS05N)に0.27mmφのノズル径の精密ノズルをセットし、ディスペンサーにセットした。印刷条件として、ノズル先端から被印刷体(ガラス基板)までの距離を100μmとした。被印刷体上に5mmのラインパターンを等間隔で印刷した。ラインパターンの印刷が終わってから、1秒経過すると、次のラインパターンの印刷が始まるように設定した。このようにして、100点ラインパターンをうつ毎に次の被印刷体へと移行し、1時間印刷した。1時間吐出した全てのラインパターンにおいて、目視観察にて、ライン状に塗布出来ず、糸引きしているもの、太さや細さが著しく異なる印刷物が多量に発生した場合を×とした。ライン状に塗布出来たものしかない、あるいは形状が異なるラインパターンがある場合でも著しく目立たないものを〇とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001

Claims (8)

  1.  溶媒に分散されてなる銀粒子であって、
     前記銀粒子の表面にアミン化合物が付着しており、
     前記銀粒子の前記溶媒中の濃度を50質量%とした場合、下記条件の光透過式遠心沈降法によって測定される、SPANの値が、0.1以上3.3以下である、銀粒子。
    SPAN:(V90-V10)/V50・・・式(1)
    沈降速度を累積分布で示した際、
    積算値の10%の沈降速度はV10である。
    積算値の90%の沈降速度はV90である。
    積算値の50%の沈降速度はV50(メジアン沈降速度)である。
    (SPANの測定条件)
     前記銀粒子の前記溶媒中の濃度が50質量%である測定用試料を用意する。前記測定用試料の前記溶媒としては、オクタノール/水分配係数(Log Pow)が-2以上4以下であるものを用いる。前記測定用試料0.2mlをガラスセル(光路長2mmのガラスセル)に充填し、25℃条件下、遠心加速度130Gで低速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得したのち、遠心加速度1160Gで高速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得し、前記測定用試料の気液界面(測定用試料の液面)から固液界面(沈降した銀粒子と溶媒の界面)の間を任意に3点選択し、それぞれ3点をノード1mm幅で解析し、粒子の移動距離とその移動に要した時間から沈降速度V90、V10、V50を求め、式(1)によりSPANを算出する。
  2.  前記銀粒子の平均粒子径が50~600nmである、請求項1に記載の銀粒子。
  3.  銀粒子が溶媒に分散されてなる銀粒子分散液であって、
     前記銀粒子の表面にアミン化合物が付着しており、
     前記銀粒子の前記溶媒中の濃度を50質量%とした場合、下記条件の光透過式遠心沈降法によって測定される、SPANの値が、3.3以下である、銀粒子分散液。
    SPAN:(V90-V10)/V50・・・式(1)
    沈降速度を累積分布で示した際、
    積算値の10%の沈降速度はV10である。
    積算値の90%の沈降速度はV90である。
    積算値の50%の沈降速度はV50(メジアン沈降速度)である。
    (SPANの測定条件)
     前記銀粒子の前記溶媒中の濃度が50質量%である測定用試料を用意する。前記測定用試料の前記溶媒としては、オクタノール/水分配係数(Log Pow)が-2以上4以下であるものを用いる。前記測定用試料0.2mlをガラスセル(光路長2mmのガラスセル)に充填し、25℃条件下、遠心加速度130Gで低速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得したのち、遠心加速度1160Gで高速回転させ、インターバル5秒で500点分データを取得し、前記測定用試料の気液界面(測定用試料の液面)から固液界面(沈降した銀粒子と溶媒の界面)の間を任意に3点選択し、それぞれ3点をノード1mm幅で解析し、粒子の移動距離とその移動に要した時間から沈降速度V90、V10、V50を求め、式(1)によりSPANを算出する。
  4.  前記銀粒子の平均粒子径が50~600nmである、請求項3に記載の銀粒子分散液。
  5.  請求項1又は2に記載の銀粒子を含む導電性接着剤。
  6.  請求項1又は2に記載の銀粒子と、樹脂と、を含む導電性接着剤。
  7.  請求項5に記載の導電性接着剤の焼結体。
  8.  請求項7に記載の焼結体によって部材間が接合されてなる電子部品。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004047856A (ja) * 2002-07-15 2004-02-12 Sumitomo Metal Electronics Devices Inc 導体ペースト及び印刷方法並びにセラミック多層回路基板の製造方法
JP2016164312A (ja) * 2014-06-11 2016-09-08 バンドー化学株式会社 銀微粒子分散体、銀微粒子及びその製造方法
JP2019087396A (ja) * 2017-11-07 2019-06-06 三菱マテリアル株式会社 銀ペースト、接合体及び接合体の製造方法

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