WO2024069817A1 - 巻線用ボビン - Google Patents

巻線用ボビン Download PDF

Info

Publication number
WO2024069817A1
WO2024069817A1 PCT/JP2022/036291 JP2022036291W WO2024069817A1 WO 2024069817 A1 WO2024069817 A1 WO 2024069817A1 JP 2022036291 W JP2022036291 W JP 2022036291W WO 2024069817 A1 WO2024069817 A1 WO 2024069817A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
wire
winding bobbin
polyamide
winding
resin composition
Prior art date
Application number
PCT/JP2022/036291
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
大基 馬場
雄平 志治
裕示 杉本
Original Assignee
住友電工ウインテック株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 住友電工ウインテック株式会社 filed Critical 住友電工ウインテック株式会社
Priority to PCT/JP2022/036291 priority Critical patent/WO2024069817A1/ja
Publication of WO2024069817A1 publication Critical patent/WO2024069817A1/ja

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65HHANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL, e.g. SHEETS, WEBS, CABLES
    • B65H75/00Storing webs, tapes, or filamentary material, e.g. on reels
    • B65H75/02Cores, formers, supports, or holders for coiled, wound, or folded material, e.g. reels, spindles, bobbins, cop tubes, cans, mandrels or chucks
    • B65H75/04Kinds or types
    • B65H75/08Kinds or types of circular or polygonal cross-section
    • B65H75/14Kinds or types of circular or polygonal cross-section with two end flanges
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/04Reinforcing macromolecular compounds with loose or coherent fibrous material

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Storage Of Web-Like Or Filamentary Materials (AREA)

Abstract

本開示の一態様に係る巻線用ボビンは、円筒状の胴部及び上記胴部の両端部に配置された鍔部を備え、主成分樹脂及びガラス繊維を含有する樹脂組成物から構成されており、上記主成分樹脂がポリアミド、ポリカーボネート又はこれらの組み合わせであり、上記樹脂組成物の曲げ弾性率が8000MPa以上18000MPa以下であり、上記樹脂組成物の線膨張係数が12ppm/℃以上25ppm/℃以下である。

Description

巻線用ボビン
 本開示は、巻線用ボビンに関する。
 巻線用ボビンは長尺の巻線の輸送のために用いられ、巻線の使用時に巻線用ボビンに巻回された巻線を巻き戻して使用する。そして、巻線用ボビンから巻線を繰出した後の巻線用ボビンは、一般には回収されて再使用される。
 従来技術においては、例えば線材の巻き始端部を巻線用ボビンの鍔部(フランジ)の外側で係止処理することにより、効率的な線材の巻き付けを可能にする巻線用ボビンが提案されている(特許文献1参照)。
特開2003-321164号公報
 本開示の一態様に係る巻線用ボビンは、円筒状の胴部及び上記胴部の両端部に配置された鍔部を備え、主成分樹脂及びガラス繊維を含有する樹脂組成物から構成されており、上記主成分樹脂がポリアミド、ポリカーボネート又はこれらの組み合わせであり、上記樹脂組成物の曲げ弾性率が8000MPa以上18000MPa以下であり、上記樹脂組成物の線膨張係数が12ppm/℃以上25ppm/℃以下である。
巻線用ボビンに線材を巻き取る工程を示す模式的概略図である。 本開示の一実施形態に係る巻線用ボビンを示す模式的斜視図である。
[本開示が解決しようとする課題]
 線材の製造工程において、線材を巻き取るための巻取装置が一般に用いられる。図1に示す巻取装置100は、巻線用ボビン50に線材25の多層整列巻きを行う巻取装置である。巻線用ボビン50は、胴部51並びに胴部51の両端部に配置された鍔部52及び鍔部53を有する。巻取装置100においては、初めに巻線用ボビン50の鍔部52の貫通孔である始点固定部55に下口線28(巻線用ボビン50に巻き付ける線材25の末端部)が挿入される。そして、巻線用ボビン50を回転させながら、アームガイド20を介して線材25が巻線用ボビン50の胴部51に巻き付けられる。胴部51は、巻線用ボビン50を回転させる図示しない回転機構の回転動力を伝えるスピンドルに装着するための軸受部54を有する。
 巻線が平角形状を有する場合、このような巻取装置では、回転する巻線用ボビンの胴部に軸方向一端側から他端側へと線材を整列して巻き取る。そして、巻線用ボビンの鍔部に接する位置で線材を上層に層上がりさせ、その後層上がりした位置から反転してさらに軸方向に線材を整列して巻き取りを行う。これを繰り返すことにより、巻線用ボビンに線材が多層整列巻きされる。
 上記線材が巻き取られた巻線用ボビンは、輸送時及び保管時に多層整列巻きされた線材の状態が維持されることが製造効率上望ましい。しかしながら、製造環境によっては、高温環境下の海外にて線材を巻き取られた巻線用ボビンが、日本に輸送された後に冬の低温下の環境に晒される場合がある。このように、線材の巻き取り時の巻線用ボビンと、線材巻き取り後の輸送時及び保管時の巻線用ボビンとの温度差が大きい場合、巻線用ボビンと線材との熱収縮の違いから巻き取られた線材が緩み、巻線用ボビンの胴部で空転、移動等が生じやすくなる。これにより、巻き取られた線材の巻始めの末端の部分(以下、下口線ともいう。)が鍔部の始点固定部からさらに鍔部の外側に飛び出す下口線の飛び出しや、巻線用ボビンの胴部での線材の巻崩れが生じ、使用が困難となるおそれがある。ここで、「下口線の飛び出し」とは、より詳細には以下の現象をいう。通常、巻線用ボビンへの巻始めにおいては、下口線が巻線用ボビンの鍔部の始点固定部に引っかける形で固定されている。しかしながら、巻線用ボビンから線材を繰出すに従って、この固定されている下口線がゆるんで伸びることにより巻線用ボビンの外側に下口線が飛び出す場合があるが、この現象を下口線の飛び出しという。
 一方、線材の輸送に用いられる巻線用ボビンは、一般に構造を補強するためにリブが採用されているが、軽量化や製造工程の簡略化を図る上で、このような補強材の数を増大させることなく、高い強度を有することが求められる。
 本開示は、高い強度を有するとともに、線材の巻線用ボビンへの巻き取り時と、線材が巻き取られた巻線用ボビンの輸送時及び保管時とにおける温度変化が大きい条件下においても、線材の下口線の飛び出し及び胴部での線材の巻崩れを抑制できる巻線用ボビンを提供することを目的とする。
[本開示の効果]
 本開示の一態様に係る巻線用ボビンは、高い強度を有するとともに、線材の巻線用ボビンへの巻き取り時と、線材が巻き取られた巻線用ボビンの輸送時及び保管時とにおける温度変化が大きい条件下においても、線材の下口線の飛び出し及び胴部での線材の巻崩れを抑制できる。
[本開示の実施形態の説明]
 本開示の一態様に係る巻線用ボビンは、円筒状の胴部及び上記胴部の両端部に配置された鍔部を備え、主成分樹脂及びガラス繊維を含有する樹脂組成物から構成されており、上記主成分樹脂がポリアミド、ポリカーボネート又はこれらの組み合わせであり、上記樹脂組成物の曲げ弾性率が8000MPa以上18000MPa以下であり、上記樹脂組成物の線膨張係数が12ppm/℃以上25ppm/℃以下である。
 当該巻線用ボビンは、ポリアミド、ポリカーボネート又はこれらの組み合わせである主成分樹脂及びガラス繊維を含有する樹脂組成物から構成され、樹脂組成物の曲げ弾性率が8000MPa以上18000MPa以下であることで、当該巻線用ボビンは高い強度を有し、軽量化を図ることができる。また、上記樹脂組成物の線膨張係数が12ppm/℃以上25ppm/℃以下であることで、巻線用ボビンと線材との熱収縮性能の差を軽減できるので、線材の巻き取り時の巻線用ボビンと、線材巻き取り後の輸送時及び保管時の巻線用ボビンとの温度差が大きい場合においても、巻き取られた線材の緩みを抑制できる。従って、当該巻線用ボビンは、線材の巻線用ボビンへの巻き取り時と、線材が巻き取られた巻線用ボビンの輸送時及び保管時とにおける温度変化が大きい条件下においても、線材の下口線の飛び出し及び胴部での線材の巻崩れを抑制できる。これにより、線材が巻き取られた巻線用ボビンの輸送時及び保管時の温度変化に対する対応が容易となり、巻線用ボビンの不具合を軽減できるとともに、品質管理が簡便になる。
 ここで、「線膨張係数」とは、巻線用ボビンの厚さ方向の熱膨張係数であって、レーザー光干渉法を用いた測定装置の-10℃~40℃の測定値から算出した値を意味する。「曲げ弾性率」とは、JIS-K-7171(2016年)に準拠して測定される値である。「主成分」とは、構成する成分のうち最も含有率が高いものをいい、好ましくは含有率が50質量%以上のものをいう。
 上記樹脂組成物の線膨張係数が16ppm/℃以下であってもよい。上記樹脂組成物の線膨張係数が16ppm/℃以下であることで、巻線用ボビンと線材との熱収縮性能の差をより軽減できる。従って、線材の巻線用ボビンへの巻き取り時と、線材が巻き取られた巻線用ボビンの輸送時及び保管時とにおける温度変化が大きい条件下においても、線材の下口線の飛び出し及び胴部での線材の巻崩れをより抑制できる。
 上記主成分樹脂の含有量が50質量%以上75質量%以下であってもよい。上記主成分樹脂の含有量が50質量%以上75質量%以下であることで、当該巻線用ボビンの曲げ弾性率及び熱膨張係数をより向上できる。
 上記主成分樹脂がポリアミドを含んでおり、上記ポリアミドがポリアミド6、ポリアミドMXD6又はこれらの組み合わせであってもよい。上記ポリアミドがポリアミド6、ポリアミドMXD6又はこれらの組み合わせであることで、曲げ弾性率及び熱膨張係数をより向上できる。
 上記樹脂組成物の曲げ弾性率が11000MPa以上であってもよい。上記樹脂組成物の曲げ弾性率が11000MPa以上であることで、当該巻線用ボビンの機械的特性をより向上できる。
[本開示の実施形態の詳細]
 以下、本開示の実施形態に係る巻線用ボビンついて図面を参照しつつ詳説する。
 巻線用ボビンは、例えば平角形状を有する巻線を巻き取るために用いられる。図2は、本開示の一実施形態に係る巻線用ボビンを示す模式的斜視図である。図2に示すように、当該巻線用ボビン10は、外周に線材が巻かれる円筒状の胴部11と、円板状の一対の鍔部12及び鍔部13を備える。鍔部12及び鍔部13は、胴部11の中心軸に沿うように胴部11の両端部に配置されている。胴部11は、図示しない巻線用ボビンを回転させる回転機構の回転動力を伝えるスピンドルに装着するための軸受部14を有する。鍔部12は胴部11の周面に設けられた貫通孔である始点固定部15を有し、この始点固定部15に線材の巻始めの末端の部分が挿入される。始点固定部15は、胴部11の周面の隣接する位置に設けられていてもよい。また、一対の鍔部12及び鍔部13は強度向上を目的として、複数のリブ18及びリブ19を有する。具体的には、一対の鍔部12及び鍔部13の外表面の外周面側には、円周方向に形成される複数リブ19と、この複数の円周方向のリブ19とそれぞれ交差するように半径方向に延びる複数のリブ18とが設けられている。
 巻線用ボビン10に巻き付ける線材は、図1に示すような平角線であっても丸線であってもよいが、平角線を用いることで巻線用ボビン10の効果がより発揮される。線材の種類としては特に限定されるものではないが、例えば銅等の金属導体からなる単芯線に絶縁塗料を焼き付け塗布したエナメル線等の被覆電線が好適に用いられる。また、線材の厚さや幅は特に限定されるものではないが、例えば平均厚さが0.5mm以上5mm以下、平均幅が1mm以上10mm以下のものを好適に巻き取ることができる。ここで、本開示において「平均厚さ」及び「平均幅」とは、任意の十点において測定した値の平均値をいう。
 巻線用ボビン10を構成する樹脂組成物は、主成分樹脂及びガラス繊維を含有する。上記樹脂組成物は、上記ガラス繊維以外のその他のフィラーとして無機系フィラー、有機系フィラー又はこれらの組み合わせを含有してもよい。無機系フィラーとしては、例えばシリカ、タルク(酸化チタン)が挙げられる。有機系フィラーとしては、例えばカーボン繊維、セルロース繊維、セルロースナノファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)が挙げられる。
 上記主成分樹脂は、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)又はこれらの組み合わせである。上記主成分樹脂は、ポリアミド、ポリカーボネート又はこれらの組み合わせであることで、当該巻線用ボビンの強度を向上でき、軽量化を図ることができる。
 上記ポリアミドとしては、例えばポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド6I(PA6I)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリアミドM5T(PAM5T)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)、ポリアミド6/66共重合体(PA6/66共重合体)、ポリアミド6/12共重合体(PA6/12共重合体)、ポリアミド6/11共重合体(PA6/11共重合体)が挙げられる。これらのポリアミドは、複数の種類を混合して用いてもよい。上記ポリアミドとしては、これらの中でも曲げ弾性率及び熱膨張係数を良好な範囲にする観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド46、ポリアミドMXD6又はこれらの組み合わせが好ましく、ポリアミドMXD6がより好ましい。ここで、「ポリアミド6」とは、カプロラクタム由来の構成単位を主成分とするポリアミドである。「ポリアミド66」とは、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とを重縮合反応して得られるポリアミドである。「ポリアミド610」とは、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸とを重縮合反応して得られるポリアミドである。「ポリアミド46」とは、ブチレンジアミンとアジピン酸とを重縮合反応して得られるポリアミドである。「ポリアミドMXD6」とは、メタキシレンジアミンとアジピン酸とを重縮合反応して得られるポリアミドである。さらに、これらのポリアミドは、本発明の効果を損なわない範囲(例えば、5モル%以下であってもよく、3モル%以下であってもよく、1モル%以下であってもよい。)で、その他の原料モノマー由来の構成単位を含んでいてもよい。
 ポリカーボネートとしては、芳香族ポリカーボネート及び脂肪族ポリカーボネートのいずれかを選択し得るが、強度の観点から芳香族ポリカーボネートであってもよい。芳香族ポリカーボネートとしては、ビスフェノールAポリカーボネートであってもよい。
 上記樹脂組成物における主成分樹脂の含有量の下限としては、50質量%であってもよい。上記樹脂組成物における主成分樹脂の含有量の上限としては、80質量%であってもよく、75質量%であってもよい。また、上記樹脂組成物における主成分樹脂の含有量の範囲としては、50質量%以上80質量%以下であってもよく、50質量%以上75質量%以下であってもよい。上記主成分樹脂の含有量が上記範囲であることで、巻線用ボビン10の曲げ弾性率及び熱膨張係をより向上できる。
 上記樹脂組成物は、本開示の目的を損なわない限りにおいて、上記主成分樹脂以外のその他の樹脂を含有してもよい。その他の樹脂としては、例えば柔軟性向上の観点からアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)を用いてもよい。
 上記樹脂組成物は、ガラス繊維を含む。当該巻線用ボビン10を構成する樹脂組成物が、ガラス繊維を含むことで、当該巻線用ボビン10の強度を向上できる。ガラス繊維としては、例えばJIS-R3410:2006に規定されるEガラス、ECRガラス、ARガラス、Aガラス、Sガラス、Cガラス、Dガラスが挙げられる。
 上記樹脂組成物におけるガラス繊維の含有量の下限としては、20質量%であってもよく、25質量%であってもよい。上記樹脂組成物におけるガラス繊維の含有量の上限としては、50質量%であってもよく、40質量%であってもよい。上記ガラス繊維の含有量が20質量%以上であることで、巻線用ボビン10の強度をより向上できる。上記ガラス繊維の含有量を50質量%以下とすることで、巻線用ボビンの成形性及び軽量化を良好に維持できる。
 上記樹脂組成物の曲げ弾性率の下限としては、8000MPaであり、10000MPaであってもよく、11000MPaであってもよい。一方、上記樹脂組成物の曲げ弾性率の上限としては、18000MPaであり、17000MPaであってもよい。上記樹脂組成物の曲げ弾性率が上記下限より小さいと、巻線用ボビン10の強度等の機械的特性が不十分となるおそれがある。一方、上記樹脂組成物の曲げ弾性率が上記上限を超えると、上記樹脂組成物の成形が困難となるおそれがある。なお、上記樹脂組成物の曲げ弾性率は、ポリアミド又はポリカーボネートの種類、ガラス繊維の含有割合等により調整することができる。
 上記樹脂組成物の線膨張係数の下限としては、12ppm/℃であり、13ppm/℃であってもよい。一方、上記樹脂組成物の線膨張係数の上限としては、25ppm/℃であり、23ppm/℃であってもよく、20ppm/℃であってもよく、18ppm/℃であってもよく、16ppm/℃であってもよい。上記樹脂組成物の線膨張係数が12ppm/℃より小さいと、巻線用ボビン10の製造が困難であるとともに、強度等の機械的特性が低下するおそれがある。一方、上記樹脂組成物の線膨張係数が25ppm/℃を超えると、線材の巻き取り時の巻線用ボビンと、線材巻き取り後の輸送時及び保管時の巻線用ボビンとの温度差が大きい場合に、線材のはみ出し(下口線の飛び出し)や、巻線用ボビン10内での線材の巻崩れが生じやすくなるおそれがある。上記樹脂組成物の線膨張係数が上記範囲であることで、巻線用ボビン10と線材との熱収縮性能の差をより軽減できる。従って、線材の巻線用ボビン10への巻き取り時と、線材が巻き取られた巻線用ボビン10の輸送時及び保管時とにおける温度変化が大きい条件下においても、線材の下口線の飛び出し及び胴部11での線材の巻崩れをより抑制できる。なお、上記樹脂組成物の線膨張係数は、ポリアミド又はポリカーボネートの種類、ガラス繊維の含有割合等により調整することができる。
 樹脂組成物の密度の下限としては、1.40g/cmであってもよく、1.42g/cmであってもよい。一方、上記樹脂組成物の密度の上限としては、1.65g/cmであってもよく、1.64g/cmであってもよい。樹脂組成物の密度が上記範囲であることで、巻線用ボビン10の満巻時の鍔たわみの抑制効果をより良好にしつつ、巻線用ボビン10の質量をより抑えることができる。
 巻線用ボビン10は、上記ポリアミド又はポリカーボネート以外のその他の樹脂を含有してもよい。その他の樹脂の含有量の上限としては、20質量%であってもよく、10質量%であってもよく、5質量%であってもよい。また、巻線用ボビン10は、その他の樹脂を実質的に含有しなくてもよい。
 また、巻線用ボビン10は、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、反射付与剤、隠蔽剤、加工安定剤、可塑剤等の添加剤を含有していてもよい。
[巻線用ボビンの製造方法]
 当該巻線用ボビンは、公知の方法によって製造される。例えば、初めに各構成部品の金型の注入口に内圧をかけた状態で樹脂組成物を注入し、注入された樹脂が硬化した後に成形品を金型から取り出すことにより各構成部品を製造する。そして、この各構成部品を組み立てて巻線用ボビンを製造する。上記組み立て工程では、接着、溶着、ネジ止め等の方法を用いることができる。
 また、当該巻線用ボビンの製造方法では、巻線用ボビンの主成分樹脂を架橋する工程(架橋工程)をさらに備えていてもよい。
 上記架橋は、樹脂組成物への電離放射線の照射により行うことができる。電離放射線としては、例えばγ線、電子線、X線、中性子線、高エネルギーイオン線を用いることができる。また、電離放射線の照射線量の下限としては、10kGyであってもよく、30kGyであってもよい。一方、電離放射線の照射線量の上限としては、300kGyであってもよく、240kGyであってもよい。照射線量が上記下限より小さいと、架橋反応が十分進行しないおそれがある。逆に、照射線量が上記上限を超えると、主成分樹脂の分解が生じるおそれがある。
 当該巻線用ボビンは、高い強度を有するとともに、線材の巻線用ボビンへの巻き取り時と、線材が巻き取られた巻線用ボビンの輸送時及び保管時とにおける温度変化が大きい条件下においても、線材の下口線の飛び出し及び胴部での線材の巻崩れを抑制できる。
 以下、実施例によって開示明の一態様に係る巻線用ボビンをさらに具体的に説明するが、本開示は以下の製造例に限定されるものではない。
[巻線用ボビンNo.1~No.12の作製]
 表1に示す組成の主成分樹脂及びガラス繊維を含有する樹脂組成物を調製した。なお、表1における「-」は、該当する成分を使用しなかったことを示す。
 次に、金型を用いて円筒状の胴部及び1対の鍔部を備える形状を有するNo.1~No.12の巻線用ボビンを作製した。胴部の長さは280mm、胴部の直径は400mmとした。鍔部の表面の直径は600mm、側面の厚さは8mmとした。No.1及びNo.3においては、鍔部の外表面の外周面側に円周方向に形成される3本のリブと、半径方向に延びる48本のリブとが設けられている巻線用ボビンを用いた。No.2及びNo.4~No.12においては、鍔部の外表面の外周面側に円周方向に形成される3本のリブと、半径方向に延びる24本のリブとが設けられている巻線用ボビンを用いた。リブの平均厚さは6mm、平均高さは25mmとした。また、No.1~No.12の巻線用ボビンの質量を表1に示す。
[樹脂組成物の線膨張係数及び曲げ弾性率]
 初めにNo.1~No.12の樹脂組成物からなる試料を作製し、レーザー光干渉法を用いた測定装置(アドバンス理工株式会社のレーザー熱膨張計LIX-2)の20℃~120℃の測定値から線膨張係数を算出した。また、曲げ弾性率は、JIS-K-7171(2016年)に準拠して曲げ試験機を用いて測定した。その結果を表1に示す。
[樹脂組成物のシャルピー衝撃値]
 No.1~No.12の樹脂組成物からなるJIS-Z3111(2005)の4号Vノッチ試験片をシャルピー衝撃試験片とした。この試験片について、JIS-Z2242(2005)に準拠して25℃でシャルピー衝撃試験による衝撃値を測定した。
[満巻時の鍔たわみ]
 No.1~No.12の樹脂組成物からなる巻線用ボビンの満巻時の鍔たわみ[mm]は、以下の手順で測定した。初めに、25℃、湿度50%の環境に十分放置したボビンを巻取装置に設置し、線材を巻き付ける前の巻線用ボビンの鍔間距離を測定した。次に、線材を巻き付けて満量にした後に、巻取装置に設置したままで鍔間距離を測定し、その変化量を算出した。その結果を表1に示す。
[下口線の飛び出し量]
 No.1~No.12の巻線用ボビンの下口線の飛び出し量[mm]は、以下の手順で測定した。初めに、25℃、湿度50%の環境に十分放置した満巻時の巻線用ボビンを巻取装置に設置し、その状態で初期の下口線の長さを測定した。次に、満巻時の巻線用ボビンから線材を繰出し、繰出した線材が1000mに達した時に下口線の長さを測定し、その変化量を算出した。
その結果を表1に示す。
[低温衝撃時の巻崩れ]
 No.1~No.12の巻線用ボビンの低温衝撃時の巻崩れ[%]は、以下の手順で測定した。初めに、少量の線材が巻かれた巻線用ボビンを-30℃の環境下に十分放置した輸送パレットに固定することで、巻線用ボビンの温度を冬場の環境下と同様に0℃~10℃の温度範囲になるように調整した。次に、巻線用ボビンの軸方向から15Gの衝撃を掛けたあとの線材の偏り状態及びほつれ状態を複数回確認し、線材の偏り及びほつれの発生率を算出した。その結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示すように、主成分樹脂がポリアミド、ポリカーボネート又はこれらの組み合わせであり、上記樹脂組成物の曲げ弾性率が8000MPa以上18000MPa以下であり、上記樹脂組成物の線膨張係数が12ppm/℃以上25ppm/℃以下であるNo.4~No.12は、曲げ弾性率及びシャルピー衝撃値が高く、下口線の飛び出し量及び低温衝撃時の巻崩れのいずも大きく低減されていた。また、No.4~No.12は、半径方向のリブの数がNo.1及びNo.3の半径方向のリブの数の半分であるにもかかわらず、満巻時の鍔たわみが大きく低減されるとともに、巻線用ボビンの質量がNo.1及びNo.3と同等であった。
 一方、樹脂組成物がポリアミド又はポリカーボネートとガラス繊維とを含有しないNo.1の巻線用ボビンは、曲げ弾性率が非常に低く、下口線の飛び出し量及び低温衝撃時の巻崩れのいずも高い値となった。樹脂組成物がガラス繊維を含有するが、ポリアミド又はポリカーボネートを含有しないNo.2の巻線用ボビンは、曲げ弾性率が低く下口線の飛び出し量及び低温衝撃時の巻崩れのいずも高い値となった。樹脂組成物がポリアミドを含有するが、ガラス繊維を含有しないNo.3の巻線用ボビンは、曲げ弾性率が非常に低く、下口線の飛び出し量及び低温衝撃時の巻崩れのいずも高い値となった。また、No.1~No.3は満巻時の鍔たわみが大きく、特に、半径方向のリブの数がNo.4~No.12と同じ24本であるNo.2は、満巻時の鍔たわみが特に大きかった。
 以上の結果から、本開示の巻線用ボビンは、高い強度を有するとともに、線材の巻線用ボビンへの巻取時と、線材が巻き取られた巻線用ボビンの輸送時及び保管時とにおける温度変化が大きい条件下においても線材の胴部での線材の巻崩れを抑制できることが示された。
 10、50       巻線用ボビン
 11、51       胴部
 12、13、52、53 鍔部
 14、54       軸受部
 15、55       始点固定部
 18          半径方向のリブ
 19          周方向のリブ
 20          アームガイド
 25          線材
 28          下口線(線材の末端部)
 100         巻取装置

Claims (5)

  1.  円筒状の胴部及び上記胴部の両端部に配置された鍔部を備え、
     主成分樹脂及びガラス繊維を含有する樹脂組成物から構成されており、
     上記主成分樹脂がポリアミド、ポリカーボネート又はこれらの組み合わせであり、
     上記樹脂組成物の曲げ弾性率が8000MPa以上18000MPa以下であり、
     上記樹脂組成物の線膨張係数が12ppm/℃以上25ppm/℃以下である巻線用ボビン。
  2.  上記樹脂組成物の線膨張係数が16ppm/℃以下である請求項1に記載の巻線用ボビン。
  3.  上記主成分樹脂の含有量が50質量%以上75質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の巻線用ボビン。
  4.  上記主成分樹脂がポリアミドを含んでおり、
     上記ポリアミドがポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド46、ポリアミドMXD6又はこれらの組み合わせである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の巻線用ボビン。
  5.  上記樹脂組成物の曲げ弾性率が11000MPa以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の巻線用ボビン。
PCT/JP2022/036291 2022-09-28 2022-09-28 巻線用ボビン WO2024069817A1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2022/036291 WO2024069817A1 (ja) 2022-09-28 2022-09-28 巻線用ボビン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2022/036291 WO2024069817A1 (ja) 2022-09-28 2022-09-28 巻線用ボビン

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2024069817A1 true WO2024069817A1 (ja) 2024-04-04

Family

ID=90476838

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2022/036291 WO2024069817A1 (ja) 2022-09-28 2022-09-28 巻線用ボビン

Country Status (1)

Country Link
WO (1) WO2024069817A1 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5278447A (en) * 1975-12-25 1977-07-01 Furukawa Electric Co Ltd:The Winding drum for light transmitting fiber
JPS55136748U (ja) * 1979-03-16 1980-09-29
JPS5887757U (ja) * 1981-12-08 1983-06-14 住友金属鉱山株式会社 極細金線巻取りスプ−ル
JPH08225251A (ja) * 1994-12-20 1996-09-03 Asahi Chem Ind Co Ltd ボビン及びその製造方法
JP2003282624A (ja) * 2002-03-25 2003-10-03 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ボンディングワイヤ用スプール
JP2009161330A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Allied Material Corp 金属線材貯蔵体
JP2012211270A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Toray Ind Inc コイルハウジング用樹脂組成物
WO2022085584A1 (ja) * 2020-10-20 2022-04-28 ユニチカ株式会社 ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体、車載カメラ用部品

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5278447A (en) * 1975-12-25 1977-07-01 Furukawa Electric Co Ltd:The Winding drum for light transmitting fiber
JPS55136748U (ja) * 1979-03-16 1980-09-29
JPS5887757U (ja) * 1981-12-08 1983-06-14 住友金属鉱山株式会社 極細金線巻取りスプ−ル
JPH08225251A (ja) * 1994-12-20 1996-09-03 Asahi Chem Ind Co Ltd ボビン及びその製造方法
JP2003282624A (ja) * 2002-03-25 2003-10-03 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ボンディングワイヤ用スプール
JP2009161330A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Allied Material Corp 金属線材貯蔵体
JP2012211270A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Toray Ind Inc コイルハウジング用樹脂組成物
WO2022085584A1 (ja) * 2020-10-20 2022-04-28 ユニチカ株式会社 ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体、車載カメラ用部品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6652087B2 (ja) ガスタンクおよびその製造方法
JP6017689B2 (ja) 複合コイルばね
WO2024069817A1 (ja) 巻線用ボビン
JP2015526661A5 (ja)
JP2018128116A5 (ja)
US20180001165A1 (en) Tubular carbon fiber reinforced composite material and golf club shaft
US20180163925A1 (en) High-pressure tank
JP2008126615A (ja) Frp部材の製造方法
JP5330073B2 (ja) 搬送用シャフトの製造方法
US11958948B2 (en) Rotary member and method for manufacturing same
EP3418039B1 (en) Preparation method and preparation apparatus of carbon fiber sheet molding compound
US20240009943A1 (en) Process for manufacturing a shaped object through filament winding
JP2018039162A (ja) 繊維強化プラスチック成形物
JP2011245139A (ja) ゴルフクラブ用シャフト及びゴルフクラブ
JP2006070153A (ja) 炭素繊維強化プラスチック成形体およびその製造方法
KR101396257B1 (ko) 폴리아미드 필름의 권취 방법
KR100301360B1 (ko) 필라멘트·와인딩 성형품의 제조방법
JP2009016638A (ja) 高圧トランスおよびその製造方法
JP2011140966A (ja) 複合容器
JP5713577B2 (ja) 樹脂製軸端フランジ用金型、この金型を用いて成形した樹脂製軸端フランジを用いたoaローラ
JP6638623B2 (ja) タンクの製造方法
US20060177244A1 (en) Image forming roller
JPH11213757A (ja) マイカテープ
JP5088066B2 (ja) ホース用樹脂マンドレル
JP2018010429A (ja) 高圧タンクにおける繊維堆積含有率の計算方法