WO2023276657A1 - 中継装置、中継システム、中継方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

中継装置、中継システム、中継方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

イーサネットフレームを中継する車載の中継装置であって、複数の車載装置にそれぞれ対応する複数のPHY部と、前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、前記複数のPHY部の動作状態を監視する制御ユニットと、を備え、前記複数のPHY部は、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含み、前記制御ユニットは、前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替える切替制御を実行する、中継装置。

Description

中継装置、中継システム、中継方法及びコンピュータプログラム
 本開示は、中継装置、中継システム、中継方法及びコンピュータプログラムに関する。
 本出願は、2021年6月30日出願の日本出願第2021-108233号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
 複数のECU(Electronic Control Unit)と、複数のECU間で送受信されるフレームを中継する中継装置と、を含む車載ネットワークが知られている。ECUは、電力の消費を抑えるためにスリープ状態とされる場合がある。スリープ状態にあるECUはフレームを受信できないため、スリープ状態にあるECUを適時にウェイクアップさせる技術が必要とされている。
 例えば、特許文献1には、100Base-T1の通信プロトコルに準拠したネットワークにおいて、スレーブの車載通信装置(中継装置)からスリープ状態にあるマスタの車載通信装置(ECU)をウェイクアップさせる技術が開示されている。マスタの車載通信装置がスリープ状態にある場合、スレーブの車載通信装置からはマスタの車載通信装置をウェイクアップさせるための信号(アイドル信号)が出力されない。
 このため、特許文献1では、スレーブの車載通信装置からアイドル信号とほぼ同一のパターンを有する所定信号をマスタの車載通信装置に送信する。そして、マスタの車載通信装置に含まれ、スリープ状態中も動作を継続している検出回路において当該所定信号が検出された場合に、当該検出回路が所定の給電指示信号を電源回路へ出力する。これにより、マスタの車載通信装置がウェイクアップする。
特開2021-72568号公報
 本開示の中継装置は、イーサネットフレームを中継する車載の中継装置であって、複数の車載装置にそれぞれ対応する複数のPHY部と、前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、前記複数のPHY部の動作状態を監視する制御ユニットと、を備え、前記複数のPHY部は、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含み、前記制御ユニットは、前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替える切替制御を実行する、中継装置である。
 本開示の中継方法は、イーサネットフレームを車載の中継装置が中継する中継方法であって、前記中継装置は、複数の車載装置にそれぞれ対応し、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含む複数のPHY部と、前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、を備え、前記中継方法は、前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出するステップと、当該イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替えるステップと、を備える、中継方法である。
 本開示のコンピュータプログラムは、イーサネットフレームを車載の中継装置が中継するためのコンピュータプログラムであって、前記中継装置は、複数の車載装置にそれぞれ対応し、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含む複数のPHY部と、前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、を備え、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出するステップと、当該イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替えるステップと、を備える、コンピュータプログラムである。
図1は、実施形態に係る中継システムの構成を示すブロック図である。 図2は、実施形態に係る中継方法の一例を示すシーケンス図である。 図3は、実施形態に係る中継方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、変形例に係る中継方法を示すシーケンス図である。 図5は、変形例に係る中継方法を示すフローチャートである。 図6は、変形例に係る中継方法を示すシーケンス図である。 図7は、変形例に係る中継方法を示すフローチャートである。
 [発明が解決しようとする課題]
 中継装置は、複数のECUごとにPHY(Physical Layer)部を有する。PHY部は、例えば、対応するECUがスリープ状態となったことに応じて、稼働状態からスリープ状態に切り替えられる。スリープ状態のPHY部は、フレームを送受信することができないため、従来、中継装置はスリープ状態のECUを宛先とするフレームを中継することができなかった。
 かかる課題に鑑み、本開示は、電力消費を抑えつつ、適時に中継可能とすることができる中継装置、中継システム、中継方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
 [発明の効果]
 本開示によれば、電力消費を抑えつつ、適時に中継可能とすることができる。
 [本開示の実施形態の説明]
 本開示の実施形態には、その要旨として、以下の構成が含まれる。
(1)本開示の中継装置は、イーサネットフレームを中継する車載の中継装置であって、複数の車載装置にそれぞれ対応する複数のPHY部と、前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、前記複数のPHY部の動作状態を監視する制御ユニットと、を備え、前記複数のPHY部は、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含み、前記制御ユニットは、前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替える切替制御を実行する、中継装置である。
 このように構成することで、PHY部が適宜スリープ状態となることで電力消費を抑えつつ、必要な時にPHY部をウェイクアップさせることができるため、適時に中継可能とすることができる。
(2)好ましくは、前記制御ユニットは、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを記憶するフレーム記憶部を有し、前記制御ユニットは、前記切替制御を実行した後に、前記フレーム記憶部に記憶した前記イーサネットフレームを、前記所定のPHY部に出力する転送制御を実行する。
 このように構成することで、車載装置から中継装置へイーサネットフレームを再送する必要がない。このため、イーサネットフレームの再送に掛かる通信負荷を軽減することができる。
(3)好ましくは、前記制御ユニットは、前記切替制御を実行した後に、前記所定のPHY部から送信すべきイーサネットフレームの再送を当該イーサネットフレームの送信元に要求する再送要求制御を実行する。
 このように構成することで、中継装置における処理負荷を少なくすることができる。
(4)好ましくは、前記切替制御及び前記転送制御は、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームが第1の所定条件を満たすことを条件として実行される制御である。
 このように構成することで、例えば転送する必要性が高い場合等、第1の所定条件を満たす場合に限定して、切替制御及び転送制御を実行し、第1の所定条件を満たさない場合には所定のPHY部をスリープ状態のまま維持してイーサネットフレームの転送は行わない。これにより、転送する必要性が低い場合等に、中継装置における電力消費を抑制することができる。
(5)好ましくは、前記第1の所定条件は、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームに含まれるデータの車両の走行安全性に関する優先度が所定の段階以上であることを含む。
 このように構成することで、転送する必要性が高いイーサネットフレームを、当該優先度に基づいて判定することができる。
(6)好ましくは、前記制御ユニットは、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームが第2の所定条件を満たす場合には、前記転送制御を実行せずに、当該イーサネットフレームの再送を当該イーサネットフレームの送信元に要求する再送要求制御を実行する。
 このように構成することで、第2の所定条件の成立に応じて、転送制御を行うか、再送要求制御を行うかを切り替えることができるため、より状況に応じた好適なイーサネットフレームの中継を行うことができる。
(7)好ましくは、前記第2の所定条件は、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームに含まれるデータの種類が所定の種類であること、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームのデータ量が所定量を超えていること、又は、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームが複数の分割フレームのひとつであること、を含む。
 イーサネットフレームについて、代理転送よりも再送の方が好適となる条件を第2の所定条件として設定することで、より状況に応じた好適なイーサネットフレームの中継を行うことができる。
(8)好ましくは、前記スイッチ部は、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを、前記スイッチ部から前記制御ユニットに出力するか否かを決定するためのルールが記憶されたルール記憶部を有し、前記制御ユニットは、前記所定のPHY部がスリープ状態である場合に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームが前記制御ユニットに出力されるように前記ルールを変更する。
 ルールの変更により、変更前には制御ユニットに出力されなかったイーサネットフレームが、制御ユニットに出力されるようになる。これにより、制御ユニットは、変更前には監視することができなかったイーサネットフレームの内容を覗き見る(スヌープする)ことが可能となる。
(9)好ましくは、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームは、前記複数の車載装置のうち、前記所定のPHY部と対応する車載装置と同じVLAN(Virtual Local Area Network)に属する車載装置を送信元とするフレームである。
 このような場合、所定のPHY部から送信すべきイーサネットフレームはL2スイッチとしてのスイッチ部により中継可能であり、通常、制御ユニットには当該イーサネットフレームが出力されない。このような場合に、イーサネットフレームの内容に基づいて制御ユニットが切替制御を行うためには、上記(8)のようにルール変更を行うことで制御ユニットがイーサネットフレームの内容を覗き見る必要がある。
(10)好ましくは、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームは、前記複数の車載装置のうち、前記所定のPHY部と対応する車載装置と異なるVLAN(Virtual Local Area Network)に属する車載装置を送信元とするフレームである。
 このような場合、所定のPHY部から送信すべきイーサネットフレームはL3スイッチとしての制御ユニットに出力される。このような場合に、イーサネットフレームの内容に基づいて制御ユニットが切替制御を行うためには、上記(8)のようなルール変更は不要となる。
(11)好ましくは、前記所定のPHY部は、OPEN ALLIANCEのTC10(Tech Committees 10)に準拠している。
 このように構成することで、所定のPHY部において、所定のPHY部に対応する車載装置をウェイクアップさせるための所定の制御信号の生成及び出力がなされるため、制御ユニットが車載装置をウェイクアップさせるための所定の制御信号を生成する必要がなく、制御ユニットにおける処理負荷を少なくすることができる。
(12)本開示の中継システムは、前記(1)から前記(11)のいずれかの中継装置と、前記複数の車載装置と、を備える、中継システムである。
(13)本開示の中継方法は、イーサネットフレームを車載の中継装置が中継する中継方法であって、前記中継装置は、複数の車載装置にそれぞれ対応し、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含む複数のPHY部と、前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、を備え、前記中継方法は、前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出するステップと、当該イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替えるステップと、を備える、中継方法である。
 このように構成することで、PHY部が適宜スリープ状態となることで電力消費を抑えつつ、必要な時にPHY部をウェイクアップさせることができるため、適時に中継可能とすることができる。
(14)本開示のコンピュータプログラムは、イーサネットフレームを車載の中継装置が中継するためのコンピュータプログラムであって、前記中継装置は、複数の車載装置にそれぞれ対応し、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含む複数のPHY部と、前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、を備え、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出するステップと、当該イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替えるステップと、を備える、コンピュータプログラムである。
 このように構成することで、PHY部が適宜スリープ状態となることで電力消費を抑えつつ、必要な時にPHY部をウェイクアップさせることができるため、適時に中継可能とすることができる。
 [1.本開示の実施形態の詳細]
 以下、図面を参照して、本開示の実施形態の詳細を説明する。
 [1.1 中継システムの構成]
 図1は、中継システム10の構成を示すブロック図である。図1において、中継システム10の各部を接続する細線は通信線を意味し、中継システム10の各部を接続する太線は給電線を意味する。
 中継システム10は、自動車等の車両に搭載されている車載システムである。中継システム10は、複数の車載装置20と、中継装置30と、を備える。
 複数の車載装置20は、例えばECU(Electronic Control Unit)である。区別するために、複数の車載装置20に含まれる所定の3個の車載装置20を、第1ECU21、第2ECU22及び第3ECU23と適宜称する。中継システム10に含まれる車載装置20の数は、2個以上であれば特に限定されない。中継システム10において、第1ECU21、第2ECU22及び第3ECU23のうち1つの車載装置20が省略されてもよいし、これら3個の車載装置20に加えて4個目の車載装置20が備えられてもよい。
 中継装置30は、複数の車載装置20とそれぞれ通信可能に接続され、複数の車載装置20の間で送受信されるフレームを中継する。すなわち、複数の車載装置20と、中継装置30とにより車載ネットワークが構成されている。
 中継装置30は、複数の車載装置20を、複数のVLAN(Virtual Local Area Network)により分割している。第1ECU21と第2ECU22は、同じVLANであるグループG1に属している。第3ECU23は、グループG1とは異なるVLANのグループG2に属している。
 [1.1.1 フレームについて]
 中継システム10を流れるフレームについて説明する。フレームには、「スリープ制御フレーム」と「イーサネットフレーム」とが含まれる。中継システム10に含まれる各部の動作状態には、スリープ状態と、稼働状態とが含まれる。当該各部は、電力の消費を抑えるために、適宜、スリープ状態とされる。スリープ状態とは、当該各部の少なくとも一部の機能を停止又は低下させることにより、稼働状態よりも電力の消費を抑制させた状態である。
 スリープ制御フレームは、中継システム10に含まれる各部をスリープ状態にするためのスリープ信号、又は当該各部を稼働状態にするためのウェイクアップ信号を含むフレームである。すなわち、スリープ制御フレームは、当該各部に対して、スリープ制御又はウェイクアップ制御を行う用途のフレームである。ここで、スリープ信号及びウェイクアップ信号は、いずれも本開示の「所定の制御信号」の一例である。
 スリープ制御フレームは、例えば所定の通信プロトコルに準拠したNM(Network Management)メッセージである。所定の通信プロトコルは、例えば、車載イーサネット(登録商標)のスリープ及びウェイクアップ制御を行うためのプロトコルである。
 イーサネットフレームは、スリープ信号及びウェイクアップ信号のいずれも含まない(すなわち、所定の制御信号を含まない)フレームである。言い換えると、イーサネットフレームは、スリープ制御フレームとは異なるフレームであり、中継システム10に含まれる各部をスリープ制御又はウェイクアップ制御する以外の用途を有するフレームである。当該各部はイーサネットフレームを受信しても、そのことを直接のトリガーとして、スリープ制御又はウェイクアップ制御されない。イーサネットフレームは、例えば車載イーサネットに準拠したフレームである。イーサネットフレームの具体例については、後述する。
 [1.1.2 車載装置の構成]
 第1ECU21は、例えば車両の状態を計測するセンサ(図示省略)と接続されているECUである。センサは、例えば車載のカメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、超音波センサ又はミリ波センサを含む。第1ECU21は、センサから計測データを取得し、当該計測データ又は当該計測データを加工したデータを含むフレームF12,F13(「イーサネットフレーム」の一例)を生成する。そして、第1ECU21は、第2ECU22へフレームF12を送信し、第3ECU23へフレームF13を送信する。
 第1ECU21は、MCU(Micro Control Unit)21aと、PHY(Physical Layer)部21bと、ポート21cとを有する。MCU21aはPHY部21bと電気的に接続され、PHY部21bはポート21cと電気的に接続されている。MCU21aは、演算処理部とメモリとを有する。演算処理部は、メモリから所定のコンピュータプログラムを読み出して実行することで、第1ECU21における各種の演算及び処理を行う。例えば、MCU21aは、フレームF12,F13を生成して、PHY部21bに出力する。
 PHY部21bは、OPEN ALLIANCEのTC10(Technical Committees 10)に準拠した物理層トランシーバであり、検出回路、送信回路及び受信回路(それぞれ図示省略)を含む。検出回路は、PHY部21bをウェイクアップさせるためのウェイクアップ信号を検出するための回路である。
 送信回路及び受信回路は、所定の通信プロトコルに準拠した通信を行う。所定の通信プロトコルは、例えば100Base-T1(IEEE802.3bw,「IEEE」は登録商標)である。送信回路は、MCU21aから入力されたフレーム(例えば、フレームF12,F13)を3レベルの信号に変換して、ポート21cに出力する。信号化されたフレームは、中継装置30を介して、他の車載装置20(例えば、第2ECU22及び第3ECU23)へ送信される。受信回路は、他の車載装置20から送信され、中継装置30を介してポート21cに入力された信号をフレームに変換して、当該フレームをMCU21aに出力する。
 第2ECU22は、例えば車両を制御するアクチュエータ(図示省略)と接続されているECUである。アクチュエータは、例えばモータ、エンジン又はブレーキを含む。第2ECU22は、第1ECU21から受信したフレームF12に基づいて、アクチュエータを制御する。
 第2ECU22は、MCU22aと、PHY部22bと、ポート22cとを有する。MCU22a、PHY部22b及びポート22cは、第1ECU21のMCU21a、PHY部21b及びポート21cと同様の構成であるため、説明を適宜省略する。例えば、MCU22aは、フレームF12に含まれる計測データに基づいて、アクチュエータの制御信号を生成し、当該制御信号をアクチュエータに出力する。
 第3ECU23は、例えばディスプレイ又はスピーカ等の車載の表示部(図示省略)と接続されているECUである。第3ECU23は、第1ECU21から受信したフレームF13に基づいて、表示部に各種の情報を表示させる。
 第3ECU23は、MCU23aと、PHY部23bと、ポート23cとを有する。MCU23a、PHY部23b及びポート23cは、第1ECU21のMCU21a、PHY部21b及びポート21cと同様の構成であるため、説明を適宜省略する。例えば、MCU23aは、フレームF13に含まれる計測データに基づいて、表示信号を生成し、当該表示信号を表示部に出力する。
 なお、上記した第1ECU21、第2ECU22及び第3ECU23の機能は一例であり、第1ECU21、第2ECU22及び第3ECU23の機能は特に限定されない。例えば、第1ECU21、第2ECU22又は第3ECU23は、中継装置30を介さずに他の車載装置20とさらに接続し、当該他の車載装置20へフレームを中継する中継装置(すなわち、ゲートウェイECU)として機能してもよい。
 [1.1.3 中継装置の構成]
 中継装置30は、複数のPHY部40と、複数のポート50と、スイッチ部60と、制御ユニット70と、電源回路80と、を備える。
 複数のPHY部40は、ポート50を介して複数の車載装置20とそれぞれ接続されている。複数のPHY部40のそれぞれの構成は同様である。
 PHY部40は、第1ECU21のPHY部21bと同様の構成を有するため、適宜説明を省略する。すなわち、PHY部40は、OPEN ALLIANCEのTC10に準拠した物理層トランシーバであり、検出回路、送信回路及び受信回路(それぞれ図示省略)を含む。送信回路は、スイッチ部60から入力されたフレームを3レベルの信号に変換して、ポート50に出力する。受信回路は、ポート50に入力された信号をフレームに変換して、当該フレームをスイッチ部60に出力する。
 以下、区別するために、第1ECU21と対応するPHY部40を「第1PHY部41」と適宜称し、第1ECU21と第1PHY部41の間のポート50を「ポート51」と適宜称する。
 同様に、第2ECU22と対応するPHY部40を「第2PHY部42」、第3ECU23と対応するPHY部40を「第3PHY部43」と適宜称する。ここで、第2PHY部42及び第3PHY部43は、いずれも本開示の「所定のPHY部」の一例である。また、第2ECU22と第2PHY部42の間のポート50を「ポート52」、第3ECU23と第3PHY部43の間のポート50を「ポート53」と適宜称する。
 スイッチ部60は、集積回路(演算回路及び記憶回路を含む回路)を有し、各種の演算及び処理を行うことで、L2スイッチとして機能する部分である。スイッチ部60は、機能的には、フレーム中継部61と、ルール記憶部62とを有する。フレーム中継部61は、演算回路が記憶回路に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで実現される。ルール記憶部62は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。
 スイッチ部60は、複数のPHY部40と電気的に接続されている。ポート50を介してPHY部40に入力されたフレームは、PHY部40からスイッチ部60に入力される。フレーム中継部61は、当該フレームに含まれる宛先のMACアドレス(Media Access Control address)に基づいて、当該フレームの宛先となる車載装置20と接続する他のPHY部40に当該フレームを出力する。
 ルール記憶部62には、PHY部40からスイッチ部60に入力されたフレームを、スイッチ部60から制御ユニット70に出力するか否かを決定するためのルールが記憶されている。当該ルールは、例えばACL(Access Control List)として以下のように記憶されている。
   《ACLの制御例》
 ・送信元「第1ECU21」から宛先「第2ECU22」:出力拒否
 ・送信元「第1ECU21」から宛先「第3ECU23」:出力許可
 ・送信元「第2ECU22」から宛先「第1ECU21」:出力拒否
 ・送信元「第2ECU22」から宛先「第3ECU23」:出力許可
 ・送信元「第3ECU23」から宛先「第1ECU21」:出力許可
 ・送信元「第3ECU23」から宛先「第2ECU22」:出力許可
 上記のACLの場合、第1ECU21から第1PHY部41を介してスイッチ部60に入力された第3ECU23を宛先とするフレームは、スイッチ部60から制御ユニット70には出力される(出力許可)。一方で、第1ECU21からスイッチ部60に入力された第2ECU22を宛先とするフレームは、スイッチ部60から制御ユニット70には出力されない(出力拒否)。
 より具体的には、VLANのグループG1,G2をまたぐ場合(例えば、グループG1の第1ECU21からグループG2の第3ECU23へフレームが送信される場合)には、当該フレームはスイッチ部60から制御ユニット70に出力される。一方で、VLANのグループG1,G2をまたがない場合(例えば、グループG1の第1ECU21から同じくグループG1の第2ECU22へフレームが送信される場合)には、当該フレームはスイッチ部60から制御ユニット70に出力されない。
 制御ユニット70は、例えば演算処理部(CPU:Central Processing Unit)とメモリとを有するMCUにより構成されている。制御ユニット70は、機能的には、制御部71と、フレーム中継部72と、フレーム記憶部73とを有する。なお、制御ユニット70は、MCUよりも演算規模の大きいユニットによって構成されてもよい。例えば、制御ユニット70は、GPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。
 制御部71及びフレーム中継部72は、演算処理部がメモリに記憶された所定のコンピュータプログラムを実行することで実現される。当該コンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納された状態で流通され、制御ユニット70に外部からインストールすることができる。
 PHY部40からスイッチ部60に入力されたフレームは、ルール記憶部62に記憶されているACLにおいて「出力許可」の条件に対応する場合に、スイッチ部60から制御ユニット70に出力される。フレーム中継部72は、当該フレームに含まれる宛先のIPアドレス(Internet Protocol address)に基づいて、当該フレームのルーティングを行う。そして、フレーム中継部72は、当該フレームの宛先となる車載装置20と接続するPHY部40に宛てて、スイッチ部60に当該フレームを出力する。すなわち、フレーム中継部72は、L3スイッチとして機能する。
 フレーム記憶部73は、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリである。フレーム記憶部73には、スイッチ部60から制御ユニット70に出力されたフレームが一時的に記憶される。
 制御部71は、各種の制御指令を出力することで、中継装置30の各部を制御する。例えば、制御部71は、複数のPHY部40の動作状態を監視する制御と、PHY部40の動作状態を切り替える制御(切替制御)と、フレーム記憶部73に記憶されたフレームを出力する制御(転送制御)と、ルール記憶部62に記憶されているルールを変更する制御(ルール変更制御)と、車載装置20に対してフレームの再送を要求する制御(再送要求制御)と、を実行する。制御部71の具体的な制御内容については、後述する。
 電源回路80は、電源(図示省略)から供給される電力を変換する回路である。電源回路80において変換された電力は、中継装置30の各部に供給される。電源回路80は、中継装置30の各部への電力の供給及び遮断をさらに行う。
 例えば、PHY部40がスリープ状態になった場合、電源回路80はPHY部40に含まれる送信回路及び受信回路への電力供給を遮断する。一方で、PHY部40がスリープ状態になった場合においても、電源回路80は、PHY部40の検出回路への電力供給を継続する。これにより、スリープ状態においても、PHY部40の検出回路はウェイクアップ信号を検出することができる。
 [1.2 中継方法]
 図1から図3を参照して、本実施形態に係る中継方法を説明する。
 図2は、実施形態に係る中継方法の一例を示すシーケンス図である。
 図3は、実施形態に係る中継方法の一例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、制御ユニット70の動作手順を記載している。
 以下、第2ECU22を宛先とするフレームF12(イーサネットフレーム)が、第1ECU21から中継装置30を経由して第2ECU22に送信される例を説明する。以下の中継方法は、中継システム10に含まれる各種のコンピュータ(MCU21a,22b、スイッチ部60及び制御ユニット70)が、それぞれメモリからコンピュータプログラムを読み取って実行することで、実現される。
 [1.2.1 中継システムの各部が稼働状態である場合]
 はじめに、中継システム10の各部が稼働状態である場合に、フレームF12が送信される様子を説明する。フレームF12は、MCU21aにおいて生成され、MCU21aからPHY部21bに出力される(ステップS101)。そして、フレームF12はPHY部21bにおいて所定の信号に変換され、ポート21c,51を経由して第1PHY部41に入力される(ステップS102)。第1PHY部41は所定の信号をフレームF12に変換して、フレームF12をスイッチ部60に出力する(ステップS103)。
 フレームF12はルール記憶部62のACLにより制御ユニット70への出力が拒否されているフレームであるため、スイッチ部60から制御ユニット70には出力されない。スイッチ部60に入力されたフレームF12は、フレーム中継部61により第2PHY部42へ出力された後(ステップS104)、第2PHY部42からPHY部22bへ送信される(ステップS105)。最後に、フレームF12はPHY部22bからMCU22aへ入力される。
 このように、中継システム10の各部が稼働状態である場合には、フレームF12はステップS101~S106に示すように、特段の障害なく、第1ECU21から中継装置30を経由して第2ECU22に送信される。
 [1.2.2 中継システムの一部がスリープ状態である場合]
 [1.2.2.1 スリープ状態への移行]
 前述のとおり、中継システム10に含まれる各部は、常時は稼働状態とされている一方で、電力の消費を抑えるために、適宜、スリープ状態とされる。本実施形態では、第2ECU22及び第2PHY部42がスリープ状態となる場合を例に挙げて説明する。
 第2ECU22は、所定のスリープ条件の成立に応じて、稼働状態からスリープ状態に切り替わる。スリープ条件は、特に限定されず、例えば、スリープボタン(図示省略)がユーザに押されたこと等の積極的な条件であってもよいし、所定期間継続して第2ECU22がイーサネットフレームを受信しなかったこと等の消極的な条件であってもよい。
 PHY部22bは、TC10に準拠しているため、稼働状態において、第2PHY部42に向けて周期的にウェイクアップ信号を出力している。また、第2PHY部42は、同様に、稼働状態においてPHY部22bに向けて周期的にウェイクアップ信号を出力している。
 第2PHY部42がPHY部22bからウェイクアップ信号を受信すると、第2PHY部42に含まれる検出回路がウェイクアップ信号を検出する。このとき、第2PHY部42が稼働状態であれば、第2PHY部はそのまま稼働状態に保たれる。第2PHY部42がスリープ状態であれば、第2PHY部はスリープ状態から稼働状態に切り替わる。
 一方で、稼働状態にある第2PHY部42が所定期間(例えば、PHY部22bのウェイクアップ信号の出力周期の3倍の期間)継続してウェイクアップ信号を受信しなかった場合、第2PHY部42はスリープ状態に切り替わる。
 同様に、PHY部22bが第2PHY部42からウェイクアップ信号を受信すると、PHY部22bに含まれる検出回路がウェイクアップ信号を検出し、PHY部22bを稼働状態とする。また、稼働状態にあるPHY部22bが所定期間継続してウェイクアップ信号を受信しなかった場合、PHY部22bはスリープ状態に切り替わる。
 所定のスリープ条件が成立すると、スリープ移行準備(ステップS201)が開始される。はじめに、第2ECU22(すなわち、MCU22a及びPHY部22b)がスリープ状態になる。スリープ状態において、PHY部22bはウェイクアップ信号を出力しない。このため、第2PHY部42は所定期間継続してウェイクアップ信号を受信せず、第2PHY部42もスリープ状態に切り替わる。これにより、第2ECU22及び第2PHY部42がスリープ状態となる。図2では、スリープ状態にある期間を「スリープ期間P1」により示している。
 従来、スリープ状態にある第2ECU22へ宛ててフレームが送信されると、第2PHY部42がスリープ状態であるために、中継装置30においてフレームを中継できず、フレームロスが生じていた。これに対し、本実施形態では、フレームロスを防止するために、中継システム10が以下に説明するステップS202~S218を実行する。
 [1.2.2.2 スヌープ開始]
 以下の説明では、図2と図3とを適宜参照する。
 制御ユニット70の制御部71は、常時、複数のPHY部40のうち少なくともひとつのPHY部40の動作状態を監視する(ステップS10)。具体的には、制御部71は、PHY部40がスリープ状態か否かを監視する。いずれのPHY部40もスリープ状態ではない(すなわち、稼働状態である)場合、制御部71は当該監視を継続する(ステップS10の「NO」のルート)。
 いずれかのPHY部40がスリープ状態である場合(ステップS10の「YES」のルート、ステップS202)、制御部71はルール記憶部62に記憶されているルールのうち、スリープ状態にあるPHY部40に関するルールを変更する(ルール変更制御:ステップS11、ステップS203)。
 図2の例では、制御部71は、第2PHY部42がスリープ状態であることを検出する。そして、制御部71は、スリープ状態にある第2PHY部42と接続される第2ECU22を宛先とするイーサネットフレーム(例えば、フレームF12)がスイッチ部60に入力される場合に、当該イーサネットフレームがスイッチ部60から制御ユニット70に出力されるように、ACLの内容を変更する。すなわち、制御ユニット70は、ACLにおいて、宛先が第2ECU22となっている制御を、すべて「出力許可」とする。変更後のACLの制御例を以下に記載する。
   《変更後のACLの制御例》
 ・送信元「第1ECU21」から宛先「第2ECU22」:出力許可(変更あり)
 ・送信元「第1ECU21」から宛先「第3ECU23」:出力許可
 ・送信元「第2ECU22」から宛先「第1ECU21」:出力拒否
 ・送信元「第2ECU22」から宛先「第3ECU23」:出力許可
 ・送信元「第3ECU23」から宛先「第1ECU21」:出力許可
 ・送信元「第3ECU23」から宛先「第2ECU22」:出力許可
 ルールの変更により、変更前には制御ユニット70に出力されなかったフレームF12が、制御ユニット70に出力されるようになる。これにより、制御ユニット70は、変更前には把握することができなかったフレームF12の内容を覗き見る(スヌープする)ことが可能となる。以下、ステップS203のルール変更から、後述のステップS218のルール変更(元のルールに戻す変更)までの期間を、スヌープ期間P2と称する。
 [1.2.2.3 スヌープ期間中のフレーム送信]
 スヌープ期間P2において、フレームF12が第1ECU21から中継装置30に送信される場合を説明する。制御部71は、ルールを変更した後、スリープ状態にあるPHY部40と接続される車載装置20を宛先とする通常フレームが制御ユニット70に入力されたか否かを監視する(ステップS12)。図2の例では、制御部71は第2ECU22を宛先とするイーサネットフレーム(例えば、フレームF12)が制御ユニット70に入力されたか否かを監視する。
 イーサネットフレームの入力がない場合(ステップS12の「NO」のルート)、制御部71はステップS10においてスリープ状態を検出したPHY部40が引き続きスリープ状態にあるか否かを監視する(ステップS18)。ステップS10においてスリープ状態を検出したPHY部40が引き続きスリープ状態である場合(ステップS18の「YES」のルート)、制御部71はステップS12に戻り、再び第2ECU22を宛先とするイーサネットフレームが入力されたか否かを監視する。
 図2の例では、第2PHY部42のスリープ期間P1は後述のステップS211まで継続しているため、制御部71は第2ECU22を宛先とするイーサネットフレームが入力されるまで、ステップS12とステップS18とを繰り返す。
 フレームF12は、MCU21aからPHY部21b及び第1PHY部41を経由してスイッチ部60に入力される(ステップS204,S205,S206)。次に、フレームF12は、スヌープ期間P2であるため、スイッチ部60から制御ユニット70に出力される(ステップS207)。
 制御部71は第2ECU22を宛先とするフレームF12が入力されたことを検出した場合(ステップS12の「YES」のルート)、フレームF12を現在スリープ状態にある第2ECU22に転送する必要があるか否かを判定する(ステップS13)。例えば、制御部71は、第1の所定条件(転送条件)が成立する場合に転送が必要であると判定する。第1の所定条件は、例えば、フレームF12に含まれるデータの優先度が所定の段階以上であること、又は、フレームF12に含まれるデータの種類が所定の種類であること、を含む。
 フレームF12に含まれるデータの優先度が所定の段階以上に高い場合、フレームF12を転送する必要性が高い。このため、この場合には後述のステップS14,S15,S16により、フレームF12をフレーム記憶部73に記憶し、スリープ状態にある第2ECU22をウェイクアップさせてフレームF12を第2ECU22に送信する。一方で、フレームF12に含まれるデータの優先度が所定の段階未満である場合、スリープ状態にある第2ECU22をウェイクアップさせてまでフレームF12を転送する必要性が低い。この場合には、第2PHY部42及び第2ECU22をスリープ状態のまま維持して中継システム10における電力消費を抑制すること優先し、フレームF12の転送は行わない。
 フレームF12に含まれるデータの優先度は、例えば車両の走行安全性に関する優先度であり、その一例としてはISO26262のASIL(Automotive Safety Integrity Level)が挙げられる。
 また、フレームF12に含まれるデータの種類が、優先度の高い所定の種類である場合にも、フレームF12を転送する必要性が高いため、上記と同様にスリープ状態にある第2ECU22をウェイクアップさせてフレームF12を第2ECU22に送信する。優先度の高いデータの種類としては、例えば車両の制御(衝突防止のための自動ブレーキ制御、誤発進又は誤後進の抑制制御、等)に関係する種類、警報に関係する種類が挙げられる。
 フレームF12について第1の所定条件が成立しない場合(ステップS13の「NO」のルート)、制御部71はフレームF12を破棄して(ステップS17)、ステップS12に戻る。
 フレームF12について第1の所定条件が成立する場合(ステップS13の「YES」のルート、ステップS208)、制御部71はフレームF12をフレーム記憶部73に記憶させ(ステップS14、ステップS209)、その後、制御部71はステップS10においてスリープ状態を検出したPHY部40(第2PHY部42)をスリープ状態から稼働状態に切り替える切替制御を実行する(ステップS15)。
 具体的には、制御部71は、ウェイクアップ信号を含むフレームWU1(「スリープ制御フレーム」の一例)を生成して、スイッチ部60に出力する(ステップS210)。次に、スイッチ部60が第2PHY部42にフレームWU1を出力する(ステップS211)。第2PHY部42の検出回路がフレームWU1に含まれるウェイクアップ信号を検出することで、第2PHY部42はスリープ状態から稼働状態に切り替わる。
 続いて、稼働状態となった第2PHY部42は、PHY部22bへウェイクアップ信号を出力する(ステップS212)。これ以降、第2PHY部42は、PHY部22bへウェイクアップ信号を周期的に出力する。
 PHY部22bの検出回路がウェイクアップ信号を検出することで、PHY部22bはスリープ状態から稼働状態に切り替わる。次に、PHY部22bからMCU22aへウェイクアップ信号を含むフレームWU1が出力され(ステップS213)、MCU22aがスリープ状態から稼働状態に切り替わる。以上のステップS210~S213に示す一連のステップは、ステップS201のスリープ移行準備と対となるステップであり、「ウェイクアップ移行準備」とも称する。以上により、第2PHY部42及び第2ECU22のスリープ期間P1が終了する。
 制御部71は、ステップS210にてフレームWU1を出力した後、第2PHY部42が稼働状態にあるか否か(すなわち、第2PHY部42がウェイクアップしたか否か)を監視する(ステップS214)。所定時間が経過した後も、第2PHY部42が稼働状態にない場合には、制御部71はフレームWU1をスイッチ部60に再送する。
 制御部71は、第2PHY部42が稼働状態であることを検出すると、切替制御(ステップS15)を終了して、フレーム記憶部73に記憶されているフレームF12を第2PHY部42に向けて出力する転送制御を実行する(ステップS16)。
 具体的には、制御部71は、フレーム記憶部73に記憶されているフレームF12をスイッチ部60に出力する(ステップS215)。その後、フレームF12は、スイッチ部60から第2PHY部42へ出力され(ステップS216)、第2PHY部42からPHY部22bへ出力され(ステップS217)、PHY部22bからMCU22aへ出力される(ステップS218)。これにより、フレーム記憶部73に記憶されたフレームF12が制御ユニット70から第2ECU22へ転送される。
 フレームF12は、従来、第1ECU21から第2ECU22へ、制御ユニット70を経由せずに送信される(ステップS101~S106)。この場合、第2PHY部42がスリープ状態になると、中継装置30によってフレームF12を中継できず、従来はフレームロスとなっていた。
 これに対し、本実施形態の制御ユニット70は、第2PHY部42がスリープ状態である場合に、ルール記憶部62のACLを変更することで、第2PHY部42から出力される予定の(すなわち、第2ECU22を宛先とする)フレームF12を監視する。そして、スリープ状態となっているPHY部40から送信すべきイーサネットフレームであって、転送の必要性が高いフレームF12が入力された場合に、制御ユニット70は第2PHY部42を稼働状態に切り替える。このように構成することで、PHY部40が適宜スリープ状態となることで電力消費を抑えつつ、必要な時にPHY部40をウェイクアップさせることができるため、適時に中継可能とすることができる。
 また、制御ユニット70は、フレームF12を一時的にストックし、第2PHY部42がウェイクアップしてフレームF12の転送が可能となった後に、第1ECU21の代わりにフレームF12を第2ECU22へ転送する(代理転送する)。このため、フレームロスを抑制することができる。
 また、制御ユニット70は、第2PHY部42がウェイクアップした後に、フレーム記憶部73に記憶されたフレームF12を第2ECU22へ転送するため、第1ECU21から中継装置30へフレームF12を再送する必要がない。このため、フレームF12の再送に掛かる通信負荷を軽減することができる。
 また、第1ECU21から中継装置30へフレームF12を再送する場合、タイミングによってはフレームF12の送信が後回しになり、フレームF12が第2ECU22に受信されるまで時間が掛かるおそれがある。これに対し、本実施形態では、制御ユニット70がフレームF12を第2ECU22へ転送するため、フレームF12が第2ECU22に受信されるまで時間をより短縮することができる。
 転送制御(ステップS16)の後、制御部71はステップS10においてスリープ状態を検出したPHY部40(図2の例の場合、第2PHY部42)が引き続きスリープ状態にあるか否かを監視する(ステップS18)。
 制御部71は、ステップS18において監視対象のPHY部40(第2PHY部42)がスリープ状態ではないこと(すなわち、稼働状態であること)を検出した場合(ステップS18の「NO」のルート)、ルール記憶部62に記憶されているルールを変更する(ステップS19、ステップS219)。具体的には、制御部71は、ステップS18においてスリープ状態ではないことを検出したPHY部40(第2PHY部42)に関するルールを、ステップS11の変更前の状態に戻す。
 ステップS19,S218のルール変更により、スイッチ部60に入力されたフレームF12は、制御ユニット70に出力されなくなる。これにより、制御ユニット70によるフレームF12の内容の覗き見(スヌープ)が終了する。すなわち、スヌープ期間P2が終了する。
 [1.2.3 スヌープ期間終了後のフレーム送信]
 スヌープ期間P2の終了後に、第1ECU21からフレームF12が出力されると、フレームF12は上記のステップS101~S106と同じルートをたどって(すなわち、制御ユニット70を経由することなく)第2ECU22へ送信される。
 すなわち、フレームF12は、MCU21aからPHY部21bへ出力され(ステップS111)、第1PHY部41、スイッチ部60及び第2PHY部42を経由して(ステップS112,S113,S114)、PHY部22bに送信され(ステップS115)、最後にPHY部22bからMCU22aに出力される(ステップS116)。
 [2. 第1変形例:再送制御]
 以下、実施形態の第1変形例について説明する。第1変形例において、上記の実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。第1変形例において、中継システム10のハードウェア構成は、上記の実施形態と同じである。
 図4は、第1変形例に係る中継方法を示すシーケンス図である。
 図5は、第1変形例に係る中継方法を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、制御ユニット70の動作手順を記載している。
 第1変形例の中継方法は、制御ユニット70が切替制御を実行するところまで(ステップS10~S15,S17、ステップS201~S213)上記の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
 上記の実施形態では、制御ユニット70が第2PHY部42をウェイクアップさせた後、制御ユニット70がフレーム記憶部73に記憶されたフレームF12を第2ECU22に向けて出力する転送制御を行う。これに対し、第1変形例では、ステップS15にて制御ユニット70が第2PHY部42をウェイクアップさせた後、まず、ルール記憶部62に記憶されているルールを元に戻す(ステップS20、ステップS219)。これにより、スヌープ期間P2が終了し、スイッチ部60に入力されるフレームF12は、制御ユニット70に出力されなくなる。
 続いて、制御ユニット70が第1ECU21からフレームF12を再送する必要があるか否かの判定を行い(ステップS21)、当該判定に応じて、制御ユニット70は転送制御(ステップS16)又は再送要求制御(ステップS22)を行う。
 より具体的には、制御ユニット70は、第2の所定条件(再送条件)が成立するか否かの判定を行い、第2の所定条件が成立する場合には、フレームF12の再送が必要であると判定する。第2の所定条件は、例えば、以下の(A)、(B)又は(C)を含む。なお、以下の条件は例示であり、第2の所定条件はその他の条件を含んでもよい。
  《第2の所定条件の一例》
(A)フレームF12に含まれるデータの種類が所定の種類であること
(B)フレームF12のデータ量が所定量を超えていること
(C)フレームF12が複数の分割フレームのひとつであること
 上記の実施形態にて説明したように、中継装置30から第2ECU22へフレームF12の代理転送(ステップS16、ステップS215~S218)を行うと、第1ECU21からフレームF12を再送する場合と比べて、通信負荷を低減しつつ、短時間でフレームF12を第2ECU22へ届けることができる。
 一方で、代理転送を行うには、フレーム記憶部73にフレームF12を一時的に記憶する必要があるため、フレームF12のデータ量がフレーム記憶部73の空き容量を超える場合には、代理転送を行うことができない。また、代理転送すべきフレームが複数、中継装置30に入力されるような場合には、優先度の高いフレームをより短時間で代理転送するために、優先度の低いフレームF12を再送に回すことが好適である。このため、フレームF12について、代理転送よりも再送の方が好適となる条件を第2の所定条件として設定する。
 具体的には、上記(A)が成立する場合、フレームF12を代理転送する必要性が低いため、制御ユニット70は第1ECU21に対してフレームF12の再送要求を行う。また、上記(B)が成立する場合、フレーム記憶部73にフレームF12の全部を記憶することができず、代理転送を行うことができない。このため、この場合にも制御ユニット70は第1ECU21に対して再送要求を行う。
 フレームF12が複数の分割フレームのひとつである場合、分割前のデータ量が大容量であり、フレーム記憶部73に複数の分割フレームのすべてを記憶できないおそれが高い。複数の分割フレームは、送信先において結合させる必要があるため、まとめて送信することが好適である。このため、上記(C)が成立する場合にも、制御ユニット70は第1ECU21に対して再送要求を行う。フレームF12は、例えば、複数の分割フレームのうち最初に中継装置30に到達する先頭フレームである。
 フレームF12について第2の所定条件が成立する場合(ステップS21の「YES」のルート、ステップS301)、制御部71は第1ECU21にフレームF12の再送を要求する再送要求制御を行う(ステップS22)。具体的には、制御部71は再送要求信号を含むフレームR1を生成し、フレームR1を第1ECU21に向けて出力する。
 フレームR1は、制御ユニット70からスイッチ部60に出力され(ステップS302)、スイッチ部60から第1PHY部41及びPHY部21bを経由して(ステップS303,S304)、MCU21aに入力される(ステップS305)。
 MCU21aは、フレームR1に基づいて、フレームF12を再び第2ECU22に向けて出力する。フレームF12は、MCU21aからPHY部21b、第1PHY部41、スイッチ部60、第2PHY部42及びPHY部22bを経由して、MCU22aに入力される(ステップS306~S311)。
 本変形例によれば、第2の所定条件の成立に応じて、転送制御を行うか、再送要求制御を行うかを切り替えることができるため、より状況に応じた好適なフレームの中継を行うことができる。
 なお、本変形例において、第2の所定条件の成立判定(ステップS21)及び転送制御(ステップS16)を行わず、ルール変更制御(ステップS20)の後、すぐに再送要求制御(ステップS22)を行ってもよい。例えば、中継システム10において、代理転送の必要性が低い場合には、転送制御及び再送要求制御の選択を行わずに再送要求制御のみを行う方が、中継装置30における処理負荷を少なくすることができるため好適である。
 [3. 第2変形例:ルール変更なし]
 以下、実施形態の第2変形例について説明する。第2変形例において、上記の実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。第2変形例において、中継システム10のハードウェア構成は、上記の実施形態と同じである。
 図6は、第2変形例に係る中継方法を示すシーケンス図である。
 図7は、第2変形例に係る中継方法を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、制御ユニット70の動作手順を記載している。
 上記の実施形態では、第1ECU21から第2ECU22へフレームF12が送信される場合を例に挙げている。第2変形例では、第1ECU21から第3ECU23へフレームF13が送信される場合を説明する。
 第1ECU21と第2ECU22は、同じVLANのグループG1に属するため、フレームF12はL2スイッチとしてのスイッチ部60により中継可能であり、ステップS203によってスヌープを開始するまで制御ユニット70にはフレームF12が出力されない。これに対し、第1ECU21と第3ECU23は、異なるVLANのグループG1,G2にそれぞれ属するため、フレームF13はL3スイッチとしてのフレーム中継部72により中継される必要があり、ステップS203によってスヌープを開始しなくても制御ユニット70にはフレームF13が出力される。
 このため、第2変形例の中継方法では、上記の実施形態におけるルール変更のステップS11,S19に相当するステップを省略する。これにより、フレームF13のロスを抑制しつつ、中継装置30における処理負荷を軽減する。
 [3.1 中継システムの各部が稼働状態である場合]
 中継システム10の各部が稼働状態である場合に、フレームF13が送信される様子を説明する。フレームF13は、フレームF12と同様に、MCU21aから出力され、PHY部21b及び第1PHY部41を経由して、スイッチ部60に入力される(ステップS121,S122,S123)。
 ルール記憶部62のACLにおいて、第1ECU21から第3ECU23に送信されるフレームF13は、制御ユニット70へ「出力許可」されているため、スイッチ部60は制御ユニット70へフレームF13を出力する(ステップS124)。
 そして、制御ユニット70のフレーム中継部72がルーティングを行い、フレームF13は制御ユニット70からスイッチ部60に出力された後(ステップS125)、スイッチ部60から第3PHY部43に出力される(ステップS126)。フレームF13は、第3PHY部43からPHY部23bを経由して(ステップS127)、MCU23aに入力される(ステップS128)。
 このように、中継システム10の各部が稼働状態である場合、フレームF13はステップS121~S128に示すように、特段の障害なく、第1ECU21から中継装置30(スイッチ部60及び制御ユニット70)を経由して第3ECU23に送信される。
 [3.2 中継システムの一部がスリープ状態である場合]
 第3ECU23及び第3PHY部43は、第2ECU22及び第2PHY部42と同様に、スリープ移行準備(ステップS201)を行う。すなわち、所定のスリープ条件の成立に応じて、第3ECU23がスリープ状態となり、PHY部23bから第3PHY部43へのウェイクアップ信号の出力が停止する。そして、第3PHY部43におけるウェイクアップ信号の受信が所定期間継続して行われないため、第3PHY部43もスリープ状態に切り替わる。これにより、第3ECU23及び第3PHY部43のスリープ期間P1が開始される。
 上記の実施形態と同じく、制御部71は、常時、PHY部40がスリープ状態か否かを監視している(ステップS10)。そして、本変形例では、制御部71は第3PHY部43がスリープ状態であることを検出する(ステップS10の「YES」のルート、ステップS202)。
 その後、制御部71は、上記の実施形態におけるルール変更制御(ステップS11,S203)を行わずに、ステップS12の通常フレームの監視を実行する。すなわち、制御部71は、制御ユニット70に第3PHY部43と接続される第3ECU23を宛先とするイーサネットフレーム(例えば、フレームF13)が入力されたか否かを監視する。
 フレームF13は、MCU21aからPHY部21b及び第1PHY部41を経由してスイッチ部60に入力された後(ステップS404,S405,S406)、スイッチ部60から制御ユニット70に出力される(ステップS407)。
 続いて、制御部71は上記の実施形態と同じく、ステップS13~S18を実行する。すなわち、制御部71は、第3ECU23を宛先とするフレームF13が入力されたことを検出した場合(ステップS12の「YES」のルート)、制御部71はフレームF13を、現在スリープ状態にある第3ECU23に転送する必要があるか否かを判定する(ステップS13)。転送が不要な場合には(ステップS13の「NO」のルート)、制御部71はフレームF13を破棄して(ステップS17)、ステップS12に戻る。
 フレームF13の転送が必要な場合(ステップS13の「YES」のルート、ステップS408)、制御部71は、フレームF13をフレーム記憶部73に記憶させる(ステップS14、ステップS409)。続いて、制御部71はステップS10においてスリープ状態を検出したPHY部40(第3PHY部43)をスリープ状態から稼働状態に切り替える切替制御を実行する(ステップS15)。
 具体的には、制御部71は、ウェイクアップ信号を含むフレームWU1(「スリープ制御フレーム」の一例)を生成する。フレームWU1は、制御ユニット70から出力され、スイッチ部60を経由して第3PHY部43に入力されることで、第3PHY部43が稼働状態に切り替わる(ステップS410,S411)。
 そして、第3PHY部43はPHY部23bへウェイクアップ信号を出力し(ステップS412)、PHY部23bは稼働状態に切り替わる。次に、PHY部23bからMCU32aへウェイクアップ信号を含むフレームWU1が出力され(ステップS413)、MCU23aが稼働状態に切り替わる。以上により、第3PHY部43及び第3ECU23のスリープ期間P1が終了する。
 制御部71は、ステップS410にてフレームWU1を出力した後、第3PHY部43が稼働状態にあるか否か(すなわち、第3PHY部43がウェイクアップしたか否か)を監視する(ステップS414)。所定時間が経過した後も、第3PHY部43が稼働状態にない場合には、制御部71はフレームWU1をスイッチ部60に再送する。
 制御部71は、第3PHY部43が稼働状態であることを検出すると、切替制御(ステップS15)を終了して、フレーム記憶部73に記憶されているフレームF13を第3PHY部43に向けて出力する転送制御を実行する(ステップS16)。フレームF13は、制御ユニット70からスイッチ部60、第3PHY部43及びPHY部23bを経由して、MCU23aに入力される(ステップS415~S418)。
 このように、制御ユニット70は、フレームF13を一時的にストックし、第3PHY部43がウェイクアップしてフレームF13の転送が可能となった後に、第1ECU21の代わりにフレームF13を第3ECU23へ転送する(代理転送する)。このため、第1ECU21から中継装置30へフレームF13を再送する必要がなく、フレームF13の再送に掛かる通信負荷を軽減しつつ、フレームロスを抑制することができる。
 転送制御(ステップS16)の後、制御部71はステップS10においてスリープ状態を検出したPHY部40(第3PHY部43)が引き続きスリープ状態にあるか否かを監視する(ステップS18)。
 当該PHY部40(第3PHY部43)がスリープ状態ではないこと(すなわち、稼働状態であること)を検出した場合(ステップS18の「NO」のルート)、上記の実施形態におけるルール変更制御(ステップS19、ステップS219)は行わずに、規定の中継方法を終了する。
 以上に説明したように、第2変形例の中継方法では、上記の実施形態におけるルール変更のステップS11,S19に相当するステップを省略しているため、フレームF13のロスを抑制しつつ、中継装置30における処理負荷を軽減することができる。
 [4. その他の変形例]
 [4.1 各ステップの順序について]
 上記の実施形態及び各種の変形例において説明した中継方法は一例であり、上記の中継方法における各ステップは、適宜前後してもよい。例えば、上記の実施形態において、制御ユニット70によるフレームF12の代理転送(ステップS215~S218)は、制御ユニット70によるルール変更(ステップS219)よりも先に実行されている。
 しかしながら、制御ユニット70による代理転送(ステップS215~S218)は、制御ユニット70によるルール変更(ステップS219)よりも後に実行されてもよい。例えば、第2PHY部42へのフレームWU1の出力と並行して、制御ユニット70によるルール変更(ステップS219)が実行されてもよい。
 [4.2 スリープ制御フレームの変形例]
 上記の実施形態では、PHY部40は、所定期間継続してウェイクアップ信号を受信しないことをトリガーに、稼働状態からスリープ状態に切り替わる。すなわち、スリープ制御フレームには、ウェイクアップ信号が含まれており、PHY部40はスリープ制御フレームを「受信しないこと」を理由に、スリープ状態となる。
 しかしながら、PHY部40は、スリープ信号を受信したことをトリガーに、稼働状態からスリープ状態に切り替わってもよい。すなわち、スリープ制御フレームには、スリープ信号が含まれており、PHY部40はスリープ制御フレームを「受信したこと」を理由に、スリープ状態となる。この場合、PHY部40は、所定期間継続してスリープ信号を受信しないことをトリガーに、スリープ状態から稼働状態に切り替わってもよいし、ウェイクアップ信号を受信したことをトリガーに、スリープ状態から稼働状態に切り替わってもよい。
 《補記》
 なお、上記の実施形態及び各種の変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。また、今回開示された実施形態及び変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
 10 中継システム
 20 車載装置
 21 第1ECU
 21a MCU
 21b PHY部
 21c ポート
 22 第2ECU
 22a MCU
 22b PHY部
 22c ポート
 23 第3ECU
 23a MCU
 23b PHY部
 23c ポート
 30 中継装置
 40 PHY部
 41 第1PHY部
 42 第2PHY部(所定のPHY部の一例)
 43 第3PHY部(所定のPHY部の一例)
 50 ポート
 51 ポート
 52 ポート
 53 ポート
 60 スイッチ部
 61 フレーム中継部
 62 ルール記憶部
 70 制御ユニット
 71 制御部
 72 フレーム中継部
 73 フレーム記憶部
 80 電源回路
 G1 グループ
 G2 グループ
 F12 フレーム(イーサネットフレームの一例)
 F13 フレーム(イーサネットフレームの一例)
 WU1 フレーム(スリープ制御フレームの一例)
 R1 フレーム
 P1 スリープ期間
 P2 スヌープ期間
 

Claims (14)

  1.  イーサネットフレームを中継する車載の中継装置であって、
     複数の車載装置にそれぞれ対応する複数のPHY部と、
     前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、
     前記複数のPHY部の動作状態を監視する制御ユニットと、
    を備え、
     前記複数のPHY部は、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含み、
     前記制御ユニットは、前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替える切替制御を実行する、中継装置。
  2.  前記制御ユニットは、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを記憶するフレーム記憶部を有し、
     前記制御ユニットは、前記切替制御を実行した後に、前記フレーム記憶部に記憶した前記イーサネットフレームを、前記所定のPHY部に出力する転送制御を実行する、
    請求項1に記載の中継装置。
  3.  前記制御ユニットは、前記切替制御を実行した後に、前記所定のPHY部から送信すべきイーサネットフレームの再送を当該イーサネットフレームの送信元に要求する再送要求制御を実行する、
    請求項1に記載の中継装置。
  4.  前記切替制御及び前記転送制御は、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームが第1の所定条件を満たすことを条件として実行される制御である、
    請求項2又は請求項3に記載の中継装置。
  5.  前記第1の所定条件は、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームに含まれるデータの車両の走行安全性に関する優先度が所定の段階以上であることを含む、
    請求項4に記載の中継装置。
  6.  前記制御ユニットは、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームが第2の所定条件を満たす場合には、前記転送制御を実行せずに、当該イーサネットフレームの再送を当該イーサネットフレームの送信元に要求する再送要求制御を実行する、
    請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の中継装置。
  7.  前記第2の所定条件は、
      前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームに含まれるデータの種類が所定の種類であること、
      前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームのデータ量が所定量を超えていること、又は、
      前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームが複数の分割フレームのひとつであること、
    を含む、
    請求項6に記載の中継装置。
  8.  前記スイッチ部は、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを、前記スイッチ部から前記制御ユニットに出力するか否かを決定するためのルールが記憶されたルール記憶部を有し、
     前記制御ユニットは、前記所定のPHY部がスリープ状態である場合に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームが前記制御ユニットに出力されるように前記ルールを変更する、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の中継装置。
  9.  前記所定のPHY部から送信すべきイーサネットフレームは、前記複数の車載装置のうち、前記所定のPHY部と対応する車載装置と同じVLAN(Virtual Local Area Network)に属する車載装置を送信元とするフレームである、
    請求項8に記載の中継装置。
  10.  前記所定のPHY部から送信すべきイーサネットフレームは、前記複数の車載装置のうち、前記所定のPHY部と対応する車載装置と異なるVLAN(Virtual Local Area Network)に属する車載装置を送信元とするフレームである、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の中継装置。
  11.  前記所定のPHY部は、OPEN ALLIANCEのTC10(Technical Committees 10)に準拠している、
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の中継装置。
  12.  請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の中継装置と、
     前記複数の車載装置と、
    を備える、中継システム。
  13.  イーサネットフレームを車載の中継装置が中継する中継方法であって、
     前記中継装置は、
      複数の車載装置にそれぞれ対応し、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含む複数のPHY部と、
      前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、
    を備え、
     前記中継方法は、
      前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出するステップと、
      当該イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替えるステップと、
    を備える、中継方法。
  14.  イーサネットフレームを車載の中継装置が中継するためのコンピュータプログラムであって、
     前記中継装置は、
      複数の車載装置にそれぞれ対応し、前記イーサネットフレームとは異なる所定の制御信号の受信に応じて、スリープ状態と稼働状態との間で動作状態が切り替わる所定のPHY部を含む複数のPHY部と、
      前記複数のPHY部が接続されるスイッチ部と、
    を備え、
     前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、
      前記所定のPHY部がスリープ状態である期間中に、前記所定のPHY部から送信すべき前記イーサネットフレームを検出するステップと、
      当該イーサネットフレームを検出した場合に、前記所定のPHY部を稼働状態に切り替えるステップと、
    を備える、コンピュータプログラム。
     
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