WO2023199919A1 - フローサイトメータ、判別方法、及びプログラム - Google Patents

フローサイトメータ、判別方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

フローサイトメータは、蛍光染色剤によって標識されていない測定対象を流体とともに流通させる流路と、照明光を照射する光源と、光源が照射する照明光を、流路における照射位置において流路の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について集光させた照明光であるスポット光として流路を流通する測定対象に照射する照明光学系と、測定対象が固有に有する分子から照明光学系によるスポット光の照射によって発出される蛍光を検出する光検出器と、蛍光を光検出器に伝搬させる検出光学系と、光検出器によって検出された蛍光の情報に基づいて、当該測定対象が目的の対象か否かについて判別を行う判別部とを備える。

Description

フローサイトメータ、判別方法、及びプログラム
 本発明は、フローサイトメータ、判別方法、及びプログラムに関する。
 本願は、2022年4月15日に、日本に出願された特願2022-067776号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 顕微鏡や内視鏡による観察において自家蛍光を用いた観察が診断上の有用な指標として機能することが知られている。例えば、蛍光診断において組織の自家蛍光スペクトルの変化から組織構造、病状(癌化の状態)等の診断を非侵襲に行なうことが知られている(非特許文献1、2)。また、自家蛍光を用いた観察は、細胞における特定の現象の観察に有用であることが知られている。
 例えば、内視鏡による観察において自家蛍光を用いることによって、従来の内視鏡では見つけることが難しかったがん組織や微小がんを検出する応用例が知られている。また、反射顕微鏡法により細胞の位置および形態情報を取得するとともに、共焦点レーザー顕微鏡法により細胞の自家蛍光情報を取得し細胞を個体毎に画像解析を行ない、各細胞の自家蛍光情報を自家蛍光シグネチャーとして再構築する共焦点顕微鏡による一細胞内在性蛍光分析法が知られている(特許文献1)。
 また、自家蛍光のイメージングにより、活性化したT細胞を分離特定できることが知られている(非特許文献3、4)。
 一方、iPS細胞などの幹細胞による再生医療やCARTによる免疫療法の進展に伴い、大量の細胞について高速で単細胞解析を行えるフローサイトメトリー技術に、創薬などのヘルスケア分野を中心に強い需要がある。フローサイトメータにおける測定では、流路を移動する測定対象である細胞から、感度良く短時間で細胞に発現するタンパク質量などの情報を読み取る必要があるため、測定対象を蛍光標識して測定する方法が広く流布している。当該方法では、測定対象の細胞の特定の構造を可視化するために蛍光を発する染色剤(蛍光ラベルされた抗体など)を計測試料に加えて、機能的に細胞観察する。
 蛍光色素で標識した抗体を用いるフローサイトメータによる測定では、生体由来の自家蛍光シグナルは、興味のあるマーカー物質由来の蛍光シグナルの検出を妨げるバックグランドノイズとなる。さらに、他のチャネルへの自家蛍光シグナルの漏れ込みも、発現量の低い特定タンパク質由来のシグナルを隠してしまう阻害要因となる。そのため、蛍光色素で標識した抗体を用いるフローサイトメータによる測定では、測定対象の自家蛍光は、蛍光標識を施す測定を阻害する要因として、その影響を最小化するための方策をとって測定が行われてきた。
 このように、従来のフローサイトメータでは、細胞由来の自家蛍光をいかに抑えバックグランドノイズを防止するかという観点での取組が多く行われ、測定対象自体の自家蛍光を利用して測定を行なうことは行われてこなかった。上述の顕微鏡や内視鏡による観察のように、フローサイトメータにおいても、細胞自体の自家蛍光を用いて測定することができれば、細胞を蛍光染色剤によって標識することなく非侵襲の状態で細胞の状態や細胞の特定を行なうことが期待できる。しかしながら、フローサイトメータにおいて流路を移動する細胞から、短時間で判別に必要な感度と精度で細胞自体の自家蛍光を測定することは困難であった。
国際公開第2018/117273号
"蛍光診断"、[online]、株式会社光響、[2021年12月20日検索]、インターネット〈URL: https://optipedia.info/laser/handbook/laser-handbook-9th-section/38-6/〉 "AUTOFLUORESCENCE IMAGING"、[online]、THE UNIVERSITY OF COLUMBIA、[2021年12月20日検索]、インターネット〈URL: https://ophthalmology.med.ubc.ca/patient-care/ophthalmic-photography/autofluorescence-imaging/〉 「NATURE BIOMEDICAL ENGINEERING」、2020年7月27日、第5巻、p.77-88 「JOURNAL OF BIOPHOTONICS」、2019年10月29日、第13巻、第3号
 細胞由来の自家蛍光は強度が弱く、マーカー物質由来の蛍光シグナルに比べて測定の感度が低くなる。測定対象が固定されて観察が行われる顕微鏡や内視鏡では、測定時間を十分に長くすることでSN比(signal-noise ratio)を高め、観察の感度を上げることができる。一方フローサイトメータでは、顕微鏡や内視鏡とは異なり、測定対象である細胞が流路を移動するため、観察時間を長くすることで感度を上げるとのアプローチを取ることができない。従い、フローサイトメータおいて、流路を移動する測定対象から発出された自家蛍光由来の信号を、測定対象の判別に必要な感度と精度が得られるSN比で測定することは難しいと考えられていた。
 しかしながら、細胞を高速かつ非侵襲的に単細胞解析し、特定の現象が発現している目的細胞のみを精度よく取得することについては、創薬などのヘルスケア分野を中心に強い需要がある。そのため、フローサイトメータによる測定においても、自家蛍光に基づいて測定対象の判別ができることが期待されている。
 本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、フローサイトメータによる測定において自家蛍光に基づいて測定対象の判別ができるフローサイトメータ、判別方法、及びプログラムを提供する。
 本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、蛍光染色剤によって標識されていない測定対象を流体とともに流通させる流路と、照明光を照射する光源と、前記光源が照射する前記照明光を、前記流路における照射位置において前記流路の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について集光させた照明光であるスポット光として前記流路を流通する前記測定対象に照射する照明光学系と、前記測定対象が固有に有する分子から前記照明光学系による前記スポット光の照射によって発出される蛍光を検出する光検出器と、前記蛍光を前記光検出器に伝搬させる検出光学系と、前記光検出器によって検出された前記蛍光の情報に基づいて、当該測定対象が目的の対象か否かについて判別を行う判別部と、を備えるフローサイトメータである。
 また、本発明の一態様は、上記のフローサイトメータにおいて、前記照明光学系は、前記光源が照射する前記照明光を、前記照射位置において前記測定対象の大きさに集光させて前記スポット光として前記流路を流通する前記測定対象に照射する。
 また、本発明の一態様は、上記のフローサイトメータにおいて、前記流路を流通する前記測定対象のサンプル流を前記流路の幅方向に所定の範囲に収束させるフォーカシング機構をさらに備え、前記照明光学系は、前記スポット光の幅の前記流路の幅に対する割合を所定の割合以下にして、前記照射位置において前記スポット光を前記測定対象に照射する。
 また、本発明の一態様は、上記のフローサイトメータにおいて、前記流路を流通する前記測定対象のサンプル流を前記流路の深さ方向に所定の範囲に収束させるフォーカシング機構をさらに備え、前記照明光学系は、前記スポット光を前記流路の深さ方向について特定の位置に集光させ、前記照射位置において前記スポット光を前記測定対象に照射する。
 また、本発明の一態様は、上記のフローサイトメータにおいて、前記流路は、所定の速度未満の速度において前記測定対象を流体とともに流通させる。
 また、本発明の一態様は、上記のフローサイトメータにおいて、前記検出光学系は、前記蛍光をスペクトル成分に分離させ、前記光検出器は、前記検出光学系によってスペクトル成分に分離された前記蛍光を当該スペクトル成分毎に検出し、前記判別部は、前記光検出器によって検出された前記蛍光のスペクトル成分の情報であるスペクトル情報に基づいて当該測定対象について前記判別を行う。
 また、本発明の一態様は、上記のフローサイトメータにおいて、前記測定対象について前記スペクトル情報が入力されると当該測定対象が前記目的の測定対象であるか否かを判別する学習済みモデルを生成する学習部をさらに備え、前記判別部は、前記学習済みモデルに基づいて前記測定対象の前記スペクトル情報から当該測定対象ついて前記判別を行なう。
 また、本発明の一態様は、上記のフローサイトメータにおいて、前記学習部は、前記測定対象として前記目的の測定対象と前記目的の測定対象以外の測定対象とを含む学習サンプルについて、前記光検出器によって検出されたスペクトル成分の情報と、前記目的の測定対象を識別する情報とを組み合わせた学習データを用いて機械学習を行うことによって前記学習済みモデルを生成し、前記判別部は、前記学習部が生成した前記学習済みモデルと、前記流路を流通する前記測定対象について前記光検出器によって検出されたスペクトル成分の情報とに基づいて、当該測定対象について判別を行う。
 また、本発明の一態様は、上記のフローサイトメータにおいて、前記照明光学系あるいは前記検出光学系の少なくとも1つが、空間光変調器を含み、前記光検出器は、前記蛍光を動的ゴーストイメージングシグナルとして検出し、前記判別部は、前記動的ゴーストイメージングシグナルに含まれる前記測定対象の形態情報のうち解像度が所定の解像度よりも高い形態情報を利用して測定対象の判別を行なう。
 また、本発明の一態様は、上記のフローサイトメータにおいて、前記測定対象について、前記動的ゴーストイメージングシグナルが入力されると当該測定対象が前記目的の測定対象であるか否かを判別する学習済みモデルを生成する学習部をさらに備え、前記判別部は、前記学習済みモデルに基づいて前記測定対象の前記動的ゴーストイメージングシグナルから当該測定対象について前記判別を行なう。
 本発明の一態様は、蛍光染色剤によって標識されていない測定対象を流体とともに流通させる流路と、照明光を照射する光源と、前記光源が照射する前記照明光を、前記流路における照射位置において前記流路の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について集光させた照明光であるスポット光として前記流路を流通する前記測定対象に照射する照明光学系と、前記測定対象が固有に有する分子から前記照明光学系による前記スポット光の照射によって発出される蛍光を検出する光検出器と、前記蛍光を前記光検出器に伝搬させる検出光学系と、を備えるフローサイトメータによって検出された結果に基づいて測定対象について判別を行う判別方法であって、前記流路を流通する前記測定対象について前記光検出器によって検出された前記蛍光の強度を示すデータを取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された前記データに基づいて前記蛍光の情報を生成する生成ステップと、前記生成ステップにおいて生成された前記蛍光の情報に基づいて、当該測定対象が目的の対象か否かについて判別を行う判別ステップと、を有する判別方法である。
 本発明の一態様は、蛍光染色剤によって標識されていない測定対象を流体とともに流通させる流路と、照明光を照射する光源と、前記光源が照射する前記照明光を、前記流路における照射位置において前記流路の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について集光させた照明光であるスポット光として前記流路を流通する前記測定対象に照射する照明光学系と、前記測定対象が固有に有する分子から前記照明光学系による前記スポット光の照射によって発出される蛍光を検出する光検出器と、前記蛍光を前記光検出器に伝搬させる検出光学系と、を備えるフローサイトメータによって検出された結果に基づいて情報処理を行うコンピュータに、前記流路を流通する前記測定対象について前記光検出器によって検出された前記蛍光の強度を示すデータを取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された前記データに基づいて前記蛍光の情報を生成する生成ステップと、前記蛍光の情報に基づいて、当該測定対象が目的の対象か否かについて判別を行う判別ステップと、を実行させるためのプログラムである。
 本発明によれば、フローサイトメータによる測定において自家蛍光に基づいて測定対象の判別ができる。
本発明の第1の実施形態に係るフローサイトメータの構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るフローサイトメータでの照射位置における照明光(スポット光)の形状の一例を示す図である。 従来のフローサイトメータでの照射位置における照明光の形状の一例を示す図である。 従来のフローサイトメータによって検出された蛍光の強度の時系列波形の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るフローサイトメータによって検出された蛍光の強度の時系列波形の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る判別処理の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態の変形例に係るスポット光の形状の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るフローサイトメータの構成の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るフローサイトメータの構成の一例を示す図である。 本発明の実施例に係る測定結果のまとまりを示す図である。 本発明の実施例に係る本実施例に係るリンパ球間の判別の方法を説明する図である。
(第1の実施形態)
 以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係るフローサイトメータ1の構成の一例を示す図である。フローサイトメータ1は、マイクロ流体装置2と、光源3と、照明光学系4と、検出光学系5と、光検出器6と、DAC7と、情報処理装置8とを備える。
 マイクロ流体装置2は、流路20と、フォーカシング機構21(不図示)とを備える。流路20は、細胞C1を流体とともに流通させる。流路20は、所定の速度未満の速度において細胞C1を流体とともに流通させる。流路20を流れる流体の流速は、一例として、従来のフローサイトメータにおいて用いられる流速未満である。本実施形態では、流路20を流れる流体の流速は、一例として、流速は5m/s未満である。
 従来のフローサイトメータでは、高速解析のニーズを実現するため流路を流れる流体流速の高速化が図られることが多い。本実施形態に係るマイクロ流体装置2でも、従来のフローサイトメータにおいて用いられる流速と同程度の速度で細胞C1を流体とともに流通させることができる。そのため、マイクロ流体装置2において、流路20を流れる流体の流速は、所定の速度以上であってもよい。ただし、細胞C1から発出される自家蛍光を感度良く検出する目的からは、従来のフローサイトメータにおいて高速解析を意図して用いられる流速と比較すると、流路20を流れる流体の流速は低速であることが好ましい。
 マイクロ流体装置2は、流路20に複数の細胞を逐次流すが、一度に流路20の照射位置を流れる細胞の個数は1個である。
 細胞C1は、蛍光染色剤によって標識されていない。細胞C1は、蛍光染色剤によって標識されていない測定対象の一例である。なお、測定対象は、細胞C1に限られず、他の例として、スフェロイド(細胞塊)、微粒子、または微生物などであってもよい。微粒子には、花粉、マイクロプラスチック、脂質微粒子、またはポリマー微粒子(例えば、フローサイトメータ校正用粒子)などの微粒子が含まれる。微生物には、細菌、菌類、またはウイルス原生動物などが含まれる。
 フローサイトメータにおける測定では、測定対象を蛍光標識して測定する方法が広く流布しているが、細胞C1は蛍光染色剤によって標識されていない。蛍光染色剤は、蛍光を発する染色剤であれば特に限定されないが、一例として、FITC(Fluorescein Isothiocyanate)、Auramine O、Auramine O・Rhodamine B、Acridine orange、DAPI(4’,6-diamino-2-phenylindole)、SYBR Green I、Cy3やCy5などのCyカルボン酸(Cy carboxylic acid)、Texas Red、Ethidium bromideなどの蛍光色素あるいは蛍光プローブである。
 また蛍光染色剤による標識の方法には、蛍光染料試薬による細胞C1の特定成分の染色や、蛍光標識された抗体、遺伝子、レクチンなどと細胞C1を反応させて標識する方法などがある。また、緑色蛍光タンパク質(GFP)やルシフェラーゼなどの蛍光タンパク質を蛍光染色剤として用い細胞C1を標識することもできる。細胞C1は、こうした蛍光染色剤による標識を施されていない細胞であり、人為的な処理によって蛍光標識されていない細胞である。
 ここで図面には適宜、3次元直交座標系として、xyz座標系を示す。本実施形態において、x軸方向は、流路20の幅方向である。また、y軸方向は、流路20の長さ方向である。z軸方向は、流路20と直交する方向であって、流路20の高さあるいは深さ方向である。流路20内の流体の流れは、y軸方向の+y方向に細胞C1を移動させる。流路20の幅方向とは、換言すれば、細胞C1と共に流れる流体の流れの方向と垂直な方向である。
 フォーカシング機構21は、流路20において細胞C1をより細い絞られた層流として流通させる。例えば、フォーカシング機構21は、流路20を流通する細胞C1の流れを流路20の幅方向に所定の範囲に収束させる。フォーカシング機構21は、流路20を流通する細胞C1の流れを流路20の深さ方向にも所定の範囲に収束させる。即ち、フォーカシング機構21は、流路20における細胞C1の流れを絞り込む機構である。フォーカシング機構21により、細胞C1は流路20の所定の範囲に収束されて流通する。以降では、流路20における細胞C1の流れを単にサンプル流と記載する場合がある。
 フォーカシング機構21は、ハイドロダイナミックフォーカシング、またはアコースティックフォーカシングなどの手法を用いてサンプル流を絞る(流路20の流体の流れに垂直な断面において細胞C1が流通する断面積を狭くする)機構である。ハイドロダイナミックフォーカシングは、細胞等の測定対象の流れに対し、シース液を包み込むように配置することにより、測定対象を同じ軸上に一列に配置しておよそ同じ速度で移動させる技術である。ハイドロダイナミックフォーカシングでは、シース液を側面方向あるいは上下方向から合流させることで、流路20におけるサンプル流を流路20の特定の位置に絞り込むことができる。アコースティックフォーカシングは、アコースティック(超音波)を利用してサンプル流を絞る技術である。
 なお、フォーカシング機構21は、ハイドロダイナミックフォーカシングと、アコースティックフォーカシングとの両方を用いてもよい。また、上記以外に、誘電泳動(dielectrophoresis)やイナーシャルフォーカシング(inertial focusing)の手法を利用して流路おけるサンプル流を絞り込む方法が報告されており、こうした手法をフォーカシング機構21において採用することも可能である。以下の説明では、フォーカシング機構21により測定対象である細胞が流路20の中心位置に絞り込まれる例を中心に説明を行うが、フォーカシング機構21によりサンプル流が絞り込まれる位置は、これに限られない。フォーカシング機構21は、その設定により、流路20の所望の特定の位置においてサンプル流を絞り込むことができる。
 光源3は、照明光L1を照射する。光源3は、一例として、レーザー光源である。光源3は、LED光源などの光源であってもよい。照明光L1は、単一波長の光である。照明光L1のピーク波長は350nmから500nmの範囲に含まれることが望ましい。
 光源3は、一例として、1つの光源から構成される。なお、光源3は、後述するように、複数の光源から構成されてもよい。当該複数の光源がそれぞれ照射する照明光の波長は、照明光L1と同様に350nmから500nmの範囲に含まれることが望ましい。
 照明光学系4は、光源3から発出された照明光L1を、流路20を流通する細胞C1に照射するための光学的な機構であり、複数の光学素子により構成される。図1では、照明光学系4は、第1レンズ41と、第2レンズ43と、ダイクロイックミラー44と、対物レンズ45とを備える。第1レンズ41と、第2レンズ43と、ダイクロイックミラー44と、対物レンズ45とは、光源3に近い側からこの順に、光源3と流路20との間の光路上に配置される。なお、照明光学系4は、図1に示される構成に限らない。
 第1レンズ41は、光源3から発出された照明光L1を集光する。
 第2レンズ43は、第1レンズ41によって集光された照明光L1を平行光にする。図1の例では第1レンズ41と第2レンズ43はともに凸レンズである。第2レンズ43の焦点距離は、第1レンズ41の焦点距離よりも長い。他の例として、第1レンズ41を凹レンズとし、第2レンズ43を凸レンズとする構成とすることもできる。また、これらのレンズの代わりに市販のビームエキスパンダーを使用する構成とすることもできる。第1レンズ41と第2レンズ43により、照明光L1は、より一様に広がった平行光としてダイクロイックミラー44に入射される。
 ダイクロイックミラー44は、第2レンズ43から出射された平行化された照明光L1を反射する。ダイクロイックミラー44は、反射した照明光L1を対物レンズ45に入射させる。
 対物レンズ45は、ダイクロイックミラー44によって反射された照明光L1を集光し、流路20の照射位置にスポット光L2を照射する。対物レンズ45によってスポット光L2が流路20の照射位置に照射されることによって、照明光学系4はスポット光L2を当該照射位置に照射する。対物レンズ45は、ドライ対物レンズあっても、液浸対物レンズであってもよい。液浸対物レンズとは、油浸レンズや、水浸レンズなどである。
 照明光学系4は、光源3が照射する照明光L1を、スポット光L2として流路20を流通する細胞C1に照射する。スポット光L2とは、流路20における照射位置において照明光L1を集光させた照明光である。照明光学系4は、照明光L1を流路20における照射位置において流路20の幅方向と深さ方向との両方について集光させてスポット光L2として流路20を流通する細胞C1に照射する。
 ここで図2を参照し、集光される照明光L1(スポット光L2)について説明する。
 図2は、本実施形態に係るフローサイトメータでの照射位置における照明光L1(スポット光L2)の形状の一例を示す図である。図2では、一例として、細胞C1は流路20の幅方向について流路20の中心付近を通過している。細胞C1が流路20の中心を通過するとは、流路20を流れる細胞C1のサンプル流の中心が流路20の中心付近を通過することである。また、図2では、細胞C1は、流路20の深さ方向について流路20の特定の位置付近を通過している。当該特定の位置は、一例として、深さ方向についての流路20の中心であり、図2では、細胞C1は流路20の中心付近を通過している。
 図2(A)は、流路20にスポット光L2が照射される様子を-z方向に向かってみた図である。図2(A)に示すように、照明光L1は、流路の照射位置において流路20の幅方向に集光されたスポット光L2として照射されている。照射位置は流路20を通過する細胞C1をスポット光L2が照射する位置である。照明光L1を流路20の幅方向に集光させるとは、一例として、幅方向(x軸方向)について流路20の側面から流路20の中心へと近づくにつれて、照明光L1を集光させることである。スポット光L2は、流路20の幅方向に、幅が狭くなるように一定の範囲に集光されている。
 ここで流路20において細胞C1が通過する流路20の中心付近において、スポット光L2の流路20の幅方向の幅が測定対象である細胞C1の大きさ(径)程度となるように、照明光L1は集光される。スポット光L2の流路20の幅方向の幅は、測定対象の細胞の大きさや観察したい現象に応じて異なるが、2-100μm程度とすることが好ましく、5-50μm程度とすることがより好ましい。
 図2(B)は流路20にスポット光L2が照射される様子を-x方向に向かって見た図である。図2(B)に示すように、照明光L1は、流路の照射位置において流路20の深さ方向に集光されたスポット光L2として照射されている。スポット光L2は、照明光学系4により、流路20の照射位置において、深さ方向に特定の位置に集光されるように照射される。照明光L1を流路20の深さ方向(z軸方向)に集光させるとは、一例として、流路20の深さ方向について、流路20の上面から特定の位置へと近づくにつれて、スポット光L2の流路20の深さ方向の幅が狭くなるように照明光L1を集光させることである。また、スポット光L2の流路20の深さ方向の幅は、深さ方向について、特定の位置から流路20の下面へと遠ざかるにつれて広くなる。
 ここで図2(B)では、流路20の深さ方向について、流路20において細胞C1が通過する流路20の中心付近においては、スポット光L2の流路20の深さ方向の幅が最も集光されるように設定されている。スポット光L2の流路20の深さ方向の幅は、測定対象の細胞の大きさや観察したい現象に応じて異なるが、0.2-20μm程度とすることが好ましく、0.1-10μm程度とすることがより好ましい。スポット光L2の流路20の深さ方向の幅は、サブμmから20μm程度となる。
 ここで本実施例との比較のために、従来の一般的なフローサイトメータにおける照明光の形状について図3で説明する。図3は、従来のフローサイトメータでの照射位置における照明光の形状を図式化して示している。図3の照明光L20は従来のフローサイトメータに用いられている照明光である。
 図3(A)に示すように、照明光L20は、流路200の幅方向において流路200より広く、流路を一様に照射できるように設定される。また、その際に、照明光L20の流れの方向(y軸方向)には、流路200と交差する部分において、照明光L20の幅が一定となるように照射される。一方、図3(B)に示すように、照明光L20は、流路200の深さ方向には略平行な光であり、流路200の深さにかかわらず照射される光の強度は一定である。つまり、照明光L20は、照射位置において流路200の幅方向には、流路全体を一様に照射できる広がった形状となっており、流路200の深さ方向にも略平行な一様な光として照射されている。従来の一般的なフローサイトメータでは、照明光L20は、流路200の照射位置に集光されておらず、光源から発出される照明光の強度が同じ場合、照射位置における照明光L20の強度は本実施例に係るフローサイトメータ1に比べて弱くなる。
 フローサイトメータ1では、従来の一般的なフローサイトメータと比較すると、照明光L1は、流路20における照射位置において流路20の幅方向と深さ方向との両方についてより集光されたスポット光L2として流路20を流通する細胞C1に照射されるため、細胞C1に照射されるスポット光L2の強度は、細胞C1が固有に有する分子から発出される蛍光の強度を、上記のように集光させない場合に比べて強くすることができる。
 なお、照明光学系4は、照明光L1を流路20における照射位置において流路20の幅方向のみについて集光させてもよい。また、照明光学系4は、照明光L1を流路20における照射位置において流路20の深さ方向のみについて集光させてもよい。したがって、照明光学系4は、照明光L1を流路20の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について従来の一般的なフローサイトメータに比べより集光させ、流路20における照射位置においてより強度の強いスポット光L2として流路20を流通する細胞C1に照射する。
 なおここで、照明光L1を流路20における照射位置において幅方向に集光させることを、スポット光L2の流路20の幅方向の幅の流路20の幅に対する割合を所定の割合以下にすることであるともいう。細胞C1が流路20の中心を通過する場合には、スポット光L2の流路20の幅方向の幅は、流路20の幅方向の中心において、流路20の幅に対する割合が所定の割合以下に設定される。スポット光L2の流路20の幅方向の幅の流路20の幅に対する割合は、測定対象の大きさにより異なりこれに限定されるものではないが、例えば、1/20から1/2である。
 同様に、照明光L1を流路20における照射位置において深さ方向に集光させることを、スポット光L2の流路20の深さ方向の幅の流路20の深さに対する割合を所定の割合以下にすることであるともいう。細胞C1が流路20の深さ方向の特定の位置を通過する場合には、その流路20の深さ方向の特定の位置において、スポット光L2の流路20の深さ方向の幅は、流路20の深さに対する割合が所定の割合以下に設定される。スポット光L2の流路20の深さ方向の幅の流路20の深さに対する割合は、測定対象の細胞の大きさにより異なりこれに限定されるものではないが、例えば、1/2000から1/10である。
 なお、スポット光L2の流路20の幅方向の幅と、スポット光L2の流路20の深さ方向の幅との一方、またはその両方が、細胞C1の大きさよりも狭くなってもよい。スポット光L2は、十分な強度を有して細胞C1の部分に照射されれば当該部分から蛍光が発出されるため、スポット光L2の幅は、流路20の幅方向あるいは深さ方向の幅(その一方またはその両方)が、細胞C1の大きさよりも狭くなってもよい。
 上述したように、照明光学系4は、光源3が照射する照明光L1を、流路20の照射位置において細胞C1の大きさに集光させてスポット光L2として流路20を流通する細胞C1に照射してもよい。
 また、照明光L1を流路20における照射位置において幅方向に集光させるとは、流路20の幅方向の中心におけるスポット光L2の強度と、流路20の側面付近のスポット光L2の強度との比(つまり、コントラスト)を所定の比より大きくすることであるともいう。
 同様に、照明光L1を流路20における照射位置において深さ方向に集光させるとは、流路20の深さ方向の特定の位置におけるスポット光L2の強度と、流路20の上面及び下面付近のスポット光L2の強度との比(つまり、コントラスト)を所定の比より大きくすることであるともいう。
 上述に加え、フローサイトメータ1では、照明光L1は、照明光学系4により流路20の流れ方向(y軸方向)にも集光されている。スポット光L2は、流路20における照射位置において、流路20の流れ方向(y軸方向)について対物レンズ45の回折限界まで集光されることが望ましい。
 ここで本実施形態に係るフローサイトメータ1におけるSN比について、従来のフローサイトメータと比較しながら説明する。
 図4は、従来のフローサイトメータによって検出された蛍光の強度の時系列波形の一例を示す図である。図5は、本実施形態に係るフローサイトメータによって検出された蛍光の強度の時系列波形の一例を示す図である。従来のフローサイトメータと本実施形態に係るフローサイトメータとのいずれの場合にも、蛍光染色剤によって標識されていない細胞が測定対象として用いられ、それぞれのフローサイトメータを用いて、細胞が固有に発する自家蛍光の強度を時系列波形として検出している。図4及び図5ではそれぞれ、オシロスコープで観察された時系列波形のデータを模式的に示したものである。
 図4に示す蛍光の強度の時系列波形は、図3に示した照明光L20のような照明光を成形して流路の照射位置において測定対象である細胞に照射した場合に検出される蛍光の強度の時系列波形を示す。上述したように照明光L20は、照射位置において流路200の幅方向には、流路全体を一様に照射できる広がった形状となっており、流路200の深さ方向にも略平行な一様な光として照射されている。従来のフローサイトメータでは、照射位置における照明光の分布の一様性が重視されている。照明光の分布の一様性を重視するとは、換言すれば、照明光の分布を一様にし、測定対象の通過位置によるシグナル強度のばらつきを抑えることに相当する。
 従来のフローサイトメータでは、照明光の分布の一様性が重視されているため、測定対象の単位体積当たりの励起光のパワーが弱くなる。その結果、強い強度の蛍光シグナルを得ることができず、SN比が低い蛍光シグナル(図4においてシグナルSG1)しか得られない。ここでSN比は、例えば、測定対象の自家蛍光に起因する蛍光強度に対するバックグランドノイズの強度の標準偏差の比として数値化することができる。図4の例では、SN比は、シグナルSG1のピークの高さに対するノイズN1の強度の標準偏差の比である。
 一方、図5に示す蛍光の強度の時系列波形は、図2に示したスポット光L2のような照明光を成形して流路の照射位置において測定対象である細胞に照射した場合に検出される蛍光の強度の時系列波形を示す。上述したようにスポット光L2は、照射位置において流路20の幅方向と深さ方向との両方について集光された形状の照明光として照射されている。本実施形態に係るフローサイトメータ1では、照射位置において測定対象である細胞に集光したスポット光として照明光を照射することができる。これによって、本実施形態に係るフローサイトメータ1では、強い強度の蛍光シグナル(図5においてシグナルSG2)を得ることができるため、SN比が高い蛍光シグナルを得ることができる。図5の例では、SN比は、シグナルSG2のピークの高さに対するノイズN2の強度の標準偏差の比である。
 図1に戻ってフローサイトメータ1の構成の説明を続ける。
 照明光学系4によってスポット光L2が流路20の照射位置に照射されると、流路20を流れる細胞C1は、蛍光を発出する。ここで当該蛍光は、細胞C1が固有に有する分子から照明光学系4によるスポット光L2の照射によって発出される。つまり、当該蛍光は、自家蛍光と呼ばれる細胞C1の生物学的構造がスポット光L2を吸収した際に発出される光の自然放出である。ここで細胞C1の自家蛍光によって発出された蛍光のうち対物レンズ45に入射するものを蛍光F1とする。
 細胞C1から発出された蛍光F1は、対物レンズ45に入射する。対物レンズ45に入射した蛍光F1は、平行光としてダイクロイックミラー44に入射する。ダイクロイックミラー44は、対物レンズ45から平行光として出射された蛍光F1を検出光学系5の側へと透過させる。
 検出光学系5は、細胞C1から発出される蛍光F1を後述の光検出器6に伝搬させる。図1のフローサイトメータ1では、検出光学系5は、細胞C1から発出される蛍光F1をスペクトル成分に分離して光検出器6に伝搬させる。検出光学系5は、対物レンズ45と、ダイクロイックミラー44と、レンズ51と、スリット52と、レンズ53と、回折格子54と、レンズ55とを備える。対物レンズ45と、ダイクロイックミラー44と、レンズ51と、スリット52と、レンズ53と、回折格子54と、レンズ55とは、流路20に近い側からこの順に、流路20と光検出器6との間の光路上に配置される。なお、対物レンズ45とダイクロイックミラー44とは、照明光学系4と検出光学系5のいずれにも含まれる。
 流路20を流れる細胞C1にスポット光L2が照射され、細胞C1から自家蛍光である蛍光F1が発出される。細胞C1から発出された蛍光F1は対物レンズ45に入射する。対物レンズ45に入射した蛍光F1は、ダイクロイックミラー44に入射し、ダイクロイックミラー44を透過した蛍光F1が、レンズ51に伝搬する。
 レンズ51は、両凸レンズである。レンズ51は、ダイクロイックミラー44を透過した平行光である蛍光F1を、スリット52の位置に集光する。
 スリット52は、絞りである。スリット52は、レンズ51の焦点の位置に配置される。当該焦点の位置は、レンズ53の焦点の位置とも一致している。スリット52は、レンズ51によって集光された蛍光F1を発散させてレンズ53に入射させる。
 レンズ53は、両凸レンズである。スリット52から発散されて出射された蛍光F1を平行光にして回折格子54へと入射させる。
 回折格子54は、レンズ53から平行光として出射された蛍光F1を、蛍光F1の波長に応じたスペクトル成分SP1に分離する。回折格子54は、入射する蛍光F1を、回折によって波長毎に分離する。回折格子54は、分離したスペクトル成分SP1をレンズ55に入射させる。
 なお、検出光学系5は、分散、屈折、または反射によって蛍光F1を波長の異なるスペクトル成分に分離させることができれば、他の構成であってもよい。例えば、検出光学系5は、回折格子54に代えて、プリズム、または光学フィルターなどを備えてもよい。
 レンズ55は、回折格子54によって分離されたスペクトル成分SP1を光検出器6へと集光させる。レンズ55は、スペクトル成分SP1が複数の場合、複数のスペクトル成分SP1それぞれを集光させて光検出器6へと入射させる。
 光検出器6は、検出光学系5によってスペクトル成分SP1に分離された蛍光F1を当該スペクトル成分SP1毎に検出する。光検出器6は、スペクトル成分SP1を光信号として検出して電気信号に変換する。光検出器6は、一例として、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)である。光検出器6は、光信号を時系列に検出する。光検出器6は、一例として、マルチセンサーである。
 光検出器6は、一例として、複数のチャネルが配置されたマルチアノードPMTである。当該複数のチャネルはそれぞれ、波長に対する感度が異なる。当該複数のチャネルはそれぞれ、異なる波長の複数のスペクトル成分SP1をそれぞれ検出する。したがって、光検出器6は、検出光学系5によってスペクトル成分SP1に分離された蛍光F1を当該スペクトル成分SP1毎に検出する複数の光検出器(チャネル)を備える。
 なお、光検出器6が備えるチャネルの数は1であってもよい。つまり、光検出器6は、シングルセンサー(シングルPMT)であってもよい。光検出器6がシングルセンサーである場合、光検出器6は、1種類の波長に対応するスペクトル成分SP1を検出する。
 なお、図1では、スペクトル成分SP1は3種類が示されているが、スペクトル成分SP1の数は蛍光F1によって異なる。スペクトル成分SP1は3種類以外の種類であってもよい。
 DAQデバイス7は、光検出器6が出力する電気信号パルスを、パルス毎に電子データに変換する。電子データには、時間と、電気信号パルスの強度との組が含まれる。DAQデバイス7は、一例として、オシロスコープである。
 情報処理装置8は、DAQデバイス7から出力される電子データに基づいて、各種の分析を行う。情報処理装置8は、一例として、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)である。
[情報処理装置8の構成]
 次に図6を参照し、情報処理装置8の構成について説明する。図6は、本実施形態に係る情報処理装置8の構成の一例を示す図である。情報処理装置8は、制御部80と、記憶部85とを備える。
 制御部80は、例えばCPU(Central Processing Unit)や、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)などを備えており、種々の演算や情報の授受を行う。
 制御部80は、信号強度取得部81と、スペクトル情報生成部82と、判別部83と、学習部84とを備える。
 信号強度取得部81は、DAQデバイス7から出力される電子データを取得する。電子データは、光検出器6が検出するスペクトル成分SP1の信号強度を時間ごとに示した電子データである。
 スペクトル情報生成部82は、信号強度取得部81が取得した電子データに基づいてスペクトル情報A1を生成する。スペクトル情報A1は、測定対象である細胞C1についてのスペクトル成分SP1の情報である。
 スペクトル情報A1は、以下の値のうちいずれか1以上が含まれる。
(イ)光検出器6によって検出された個々の励起された蛍光波長における蛍光強度;
(ロ)上記の蛍光強度を特定の波長における蛍光強度で規格化した値(強度比);
(ハ)照明光L1あるいはスポット光L2の光強度(総量、高さ)で規格化した値;(ニ)異なる波長の励起光それぞれによって励起された蛍光波長について、上記の(イ)、(ロ)、(ハ)の処理のいずれか1以上によって得られる値
 上記(イ)において、蛍光強度は、スペクトル成分SP1の強度であり、総量、高さによって示される。蛍光強度を示す総量は、DAQデバイス7から出力される電子データにおいて、スペクトル成分SP1の信号強度を時間について積分して得られる面積である。蛍光強度を示す高さは、当該電子データにおいて、スペクトル成分SP1の信号強度のピーク(最大値)の高さである。
 上記(ロ)には、細胞C1が複数の波長の異なる励起光(スポット光L2)の照射を受ける場合に、それぞれの励起光により発出した蛍光のうち特定波長の蛍光で、発出した蛍光強度を規格化する場合が含まれる。また上記(ロ)には、細胞C1が複数の波長の異なる励起光(スポット光L2)の照射を受ける場合に、それぞれの励起光により発出した蛍光のうち特定波長の蛍光で、その励起光により発出した蛍光強度を規格化する場合も含まれる。
 上記(ロ)について説明するために、まず、励起光が1つの波長のみの場合を考える。その場合、N個の蛍光波長で検出される蛍光強度をそれぞれa1、a2,…,aNとすると、ある蛍光波長における蛍光強度aiで他の蛍光波長における強度(ax,x=1,…,N)が規格化できる。規格値はax/aiと表される。蛍光強度axはx=1,…,NなのでN個あるため、N個の規格値が得られる。
 次に、複数(M個とする)の励起光が存在し、複数(N個とする)の蛍光波長で検出する場合、N×M個の蛍光強度が検出される。上記(ロ)には、N×M個の蛍光強度の規格化の方法として少なくとも二通りの方法が含まれる。
 1つ目の方法では、波長λi(i=1,…,M)の各励起光についてN個の蛍光波長で検出する蛍光強度をそれぞれa1(λi)、a2(λi),…,aN(λi)とする。このとき、ある波長λiの励起光に対して、ある波長で検出された蛍光強度aj(λi)で、すべて波長の励起光それぞれに対するすべての蛍光波長それぞれで検出された蛍光強度が規格化される。規格値はax(λy)/aj(λi),(x=1,…,N,y=1,…,M)と表される。1つ目の方法では、励起波長の数に蛍光波長の数を乗じた結果に等しいN×M個の規格値が得られる。
 2つ目の方法では、波長λi(i=1,…,M)の各励起光について、一つ選択された蛍光波長で検出された蛍光強度aj(λi)で、他の蛍光波長で検出された蛍光強度ax(λi)が規格化される。規格値はax(λi)/aj(λi),(x=1,…,N)と表される。2つ目の方法では、規格化に用いられる値はM個の励起波長毎に異なる。
 スペクトル情報A1は、スポット光L2の照射により、細胞C1が固有に有する分子から発出される蛍光F1の総量に対応する。スペクトル情報A1が示すスペクトル成分SP1の情報と細胞C1固有の蛍光特性とは対応しており、スペクトル情報A1は細胞C1を判別するために用いることができる。
 判別部83は、学習済みモデルB1と、スペクトル情報A1とに基づいて、測定対象である細胞C1について判別を行う。学習済みモデルB1は、例えば、測定対象についてスペクトル情報A1が入力されると当該測定対象が目的の測定対象であるか否かを判別するモデルである。
 学習部84は、学習済みモデルB1を生成する。学習部84は、学習サンプルについて、スペクトル情報A1と、識別情報とを組み合わせた学習データを用いて機械学習を行うことによって学習済みモデルB1を生成する。学習サンプルは、機械学習に用いるスペクトル情報A1を取得するためのサンプルであり、目的の測定対象と当該目的の測定対象以外の測定対象とが含まれる。識別情報とは、目的の測定対象を識別する情報である。識別情報は、一例として、細胞の種類を示すラベルである。
 学習部84が行う機械学習のアルゴリズムは、サポートベクターマシン(SVM)、決定木分析、ニューラルネットワークなどである。当該機械学習のアルゴリズムは、上記以外の教師あり学習のアルゴリズムであってもよい。学習部84が行う機械学習には、教師あり学習のアルゴリズムと教師なし学習のアルゴリズムを組み合わせて用いてもよい。
 学習部84は、生成した学習済みモデルB1を記憶部85に記憶させる。
 上述したように、学習部84は、目的の測定対象と当該目的の測定対象以外の測定対象とを含む学習サンプルについて、光検出器6によって検出されたスペクトル成分の情報(スペクトル情報A1)と、目的の測定対象を識別する情報(識別情報)とを組み合わせた学習データを用いて機械学習を行うことによって学習済みモデルB1を生成する。学習済みモデルB1の生成方法はこれに限られず、公知の別の方法により学習を行い生成することができる。
 なお、学習済みモデルB1は、フローサイトメータ1の外部の情報処理装置によって予め生成されてもよい。その場合、制御部80は学習部84を含まず、情報処理装置8は、当該外部の情報処理装置によって生成された学習済みモデルB1を取得し、記憶部85に記憶させる。また、学習済みモデルB1は、スペクトル情報A1と、識別情報とを組み合わせた学習データを外部の情報処理装置に送信し、当該情報処理装置に学習済みモデルB1を生成させることもできる。その場合、制御部80は学習部84を含まず、情報処理装置8は生成された学習済みモデルB1を当該外部の情報処理装置から取得し、記憶部85に記憶させて使用する。
 記憶部85は、各種の情報を記憶する。記憶部85が記憶する情報には、スペクトル情報A1、学習済みモデルB1が含まれる。記憶部85は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。
 なお、制御部80が備える各機能部は、一例として、CPUがROM(Read Only Memory)からプログラムを読み込んで処理を実行することにより実現される。また、判別部83は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのPLD(programmable logic device)に設定された学習済みモデルB1に基づいて測定対象の判別を行なってもよい。
[判別処理]
 次に図7を参照し、情報処理装置8が目的の測定対象を判別する処理である判別処理について説明する。図7は、本実施形態に係る判別処理の一例を示す図である。判別処理は、フローサイトメータ1において、流路20に複数の細胞C1が流される最中において、即時に実行される。また、学習済みモデルB1は、学習部84によって生成されて予め記憶部85に記憶されている。判別処理の対象となる測定サンプルには、目的の測定対象と当該目的の測定対象以外の測定対象を含む複数の細胞C1が含まれている。フローサイトメータ1は、流路20に流される複数の細胞C1について、目的の測定対象と当該目的の測定対象以外の測定対象とを学習済みモデルB1を用いて判別する。
ステップS10:信号強度取得部81は、DAQデバイス7から出力される電子データを取得する。
ステップS20:スペクトル情報生成部82は、信号強度取得部81が取得した電子データに基づいてスペクトル情報A1を生成する。
ステップS30:判別部83は、学習済みモデルB1と、スペクトル情報A1とに基づいて、測定対象について判別を行う。ここで判別部83は、学習済みモデルB1と、スペクトル情報A1とに基づいて、測定対象である細胞C1が目的の測定対象か否かを判別する。なお、判別部83は、学習済みモデルB1と、スペクトル情報A1とに基づいて、測定対象である細胞C1が目的の測定対象であるか、または目的の測定対象以外の別の測定対象であるかを判別してもよい。
ステップS40:判別部83は、判別結果を出力装置に出力する。出力装置とは、例えば、ディスプレイである。判別部83は、判別結果を記憶部85に記憶させてもよい。
 以上で、情報処理装置8は、判別処理を終了する。
 なお、図6および図7では、本実施形態に係るフローサイトメータ1において、情報処理装置8が学習部84を備え、学習部84により生成される学習済みモデルに基づいて判別処理が行われる場合の一例について説明したが、これに限らない。本実施形態に係るフローサイトメータ1は、判別処理に学習済みモデルを用いず、情報処理装置8が学習部84を含まない構成とすることもできる。この場合、本実施形態に係るフローサイトメータ1は、スポット光の照射によって測定対象から発出される蛍光についての蛍光情報に基づき、当該測定対象が目的の対象か否かの判別を行なう。
(変形例1)
 照明光学系4は、流路20の照射位置に複数の光点が形成されるようにスポット光L2を照射してもよい。例えば、図8に示すように、照明光学系4は、流路20の照射位置に流路の流れ方向(+y方向)に複数の光点が直線状に配置されるようにスポット光L2を照射する。図8では、直線パターンLP1は、複数の光点が、流路20の幅方向(図8のx軸方向)について同じ位置(一例として、細胞C1が通過する流路20の中心付近)に、流路の流れ方向に相互に適当に間隔(一例として、等間隔)を空けて、直線状に配置されている。それにより流路20の幅方向(図8のx軸方向)の同じ位置を通過する細胞を、直線状に配置される複数の光点により連続的に照射することができる。
 流路20の照射位置に複数の光点を形成するために、光源3は、複数の光源から構成されてもよい。光源3が複数の光源から構成される場合、当該複数の光源それぞれが照射する照明光のピーク波長は、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、複数の光点が異なる波長の励起光を発する光源により構成されている場合には、異なる波長の励起光に対する細胞の自家蛍光スペクトルを同時に取得することができ、スペクトル情報A1を豊富な情報として取り出すことが可能になる。
 また、流路20の照射位置に複数の光点を形成するために、1つの光源から照射される照明光を複数の照明光に分割して使用することができる。照明光が複数の照明光に分割される場合には、ミラー、レンズなどの光学素子によって当該照明光の光路が複数の光路に分割されてもよいし、空間光変調器によって当該照明光が分割されてもよい。
 照射位置に配置される複数の光点の数は、任意の数であってよい。1つの光源からの照明光を分割する場合には、当該1つの光源につき当該複数の光点の数は5個以内とすることが照明光L1の強度を確保するためには好ましい。
(第2の実施形態)
 以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
 上記第1の実施形態では、フローサイトメータ1は、細胞C1から発出される蛍光F1のスペクトル成分SP1を検出する場合について説明をした。本実施形態では、フローサイトメータが、蛍光F1とともに、蛍光F1以外に散乱光を検出する場合について説明をする。本実施形態に係るフローサイトメータをフローサイトメータ1aという。
 なお、上述した第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、同一の構成及び動作についてはその説明を省略する場合がある。
 図9は、本実施形態に係るフローサイトメータ1aの構成の一例を示す図である。フローサイトメータ1aは、マイクロ流体装置2と、光源3と、照明光学系4aと、検出光学系5と、光検出器6と、DAC7と、情報処理装置8と、FSC検出光学系9と、PMT10と、BSC検出光学系11と、PMT12とを備える。
 本実施形態に係るフローサイトメータ1a(図9)と第1の実施形態に係るフローサイトメータ1(図1)とを比較すると、フローサイトメータ1aでは、FSC検出光学系9、PMT10、BSC検出光学系11、及びPMT12を備える点が異なる。FSC検出光学系9、及びPMT10は、前方散乱光(Forward Scatter:FSC)を検出するための構成である。BSC検出光学系11、及びPMT12は、後方散乱光(Backward Scatter:BSC)を検出するための構成である。またフローサイトメータ1aでは、FSC検出及びBSC検出を自家蛍光検出と同時に行なうため、照明光学系として照明光学系4aを備える点がフローサイトメータ1とは異なる。
 照明光学系4aは、第3レンズ41aと、第4レンズ42aと、第5レンズ43aと、ダイクロイックミラー44と、対物レンズ45とを備える。第3レンズ41aと、第4レンズ42aと、第5レンズ43aと、ダイクロイックミラー44と、対物レンズ45とは、光源3に近い側からこの順に、光源3と流路20との間の光路上に配置される。
 第3レンズ41aは、シリンドリカルレンズである。第3レンズ41aは、光源3から発出された照明光L1を一方向にのみ集光する。第3レンズ41aは、図9の構成例において、y軸方向を見た場合に、照明光L1が平行光となるように照明光L1を第4レンズ42aに入射させる。一方、第3レンズ41aは、図9の構成例において、z軸方向を見た場合に、照明光L1が発散するように照明光L1を第4レンズ42aに入射させる。
 第4レンズ42aは、両凸レンズである。第4レンズ42aは、図9の構成例において、y軸方向を見た場合に、平行光となるように第3レンズ41aから出射する照明光L1を、z軸方向について第4レンズ42aの焦点の位置に集光させた後、発散させて第5レンズ43aに入射させる。一方、図9の構成例においてz軸方向を見た場合に、照明光学系4aに含まれる第4レンズ42aは、第3レンズ41aが出射する照明光L1を、照明光L1が平行光となるようにして第5レンズ43aに入射させる。
 第5レンズ43aは、シリンドリカルレンズである。第5レンズ43aは、y軸方向を見た場合に、平面側が光源3の側となりかつ凸面側が流路20の側となる向きに配置される。第5レンズ43aは、第4レンズ42aから発散して出射された照明光L1をz軸方向について集光してダイクロイックミラー44に入射させる。一方、照明光学系4aをz軸方向を見た場合に、第5レンズ43aは、第4レンズ42aを通過して出射された照明光L1を、照明光L1の幅が第4レンズ42aから出射されたときのままとなるように、ダイクロイックミラー44に入射させる。
 ダイクロイックミラー44は、第5レンズ43aから出射され平行光とされた照明光L1を反射する。ダイクロイックミラー44は、反射した照明光L1を対物レンズ45に入射させる。
 FSC検出光学系9は、対物レンズ91と、空間フィルター92と、バンドパスフィルター93と、レンズ94と、対物レンズ45と、ダイクロイックミラー44とを備える。対物レンズ91と、空間フィルター92と、バンドパスフィルター93と、レンズ94とは、流路20に近い側からこの順に、流路20とPMT10との間の光路上に配置される。
 対物レンズ91は、前方散乱光FS1を集光して空間フィルター92へと入射させる。前方散乱光FS1は、流路20を流れる細胞C1に照射されたスポット光L2が、細胞C1によってスポット光L2の照射方向(図9において-z方向)に散乱された散乱光である。
 空間フィルター92は、入射する光のうち、直接光を遮断し、前方方向に伝搬する前方散乱光FS1を透過させる。
 バンドパスフィルター93は、FSC検出を行うための所定の波長域に含まれる波長の光を透過させ、この波長域に含まれない波長の光を透過させない。
 レンズ94は、平凸レンズである。レンズ94は平面側がPMT10の側に、凸面側が流路20の側となる向きに配置される。レンズ94は、空間フィルター92及びバンドパスフィルター93を透過した前方散乱光FS1をPMT10へと集光する。
 PMT10は、前方散乱光FS1を検出する。
 BSC検出光学系11は、ミラー111と、レンズ112と、スリット113と、レンズ114と、バンドパスフィルター115と、レンズ116と、対物レンズ45と、ダイクロイックミラー44とを備える。ミラー111と、レンズ112と、スリット113と、レンズ114と、バンドパスフィルター115と、レンズ116とは、流路20に近い側からこの順に、流路20とPMT12との間の光路上に配置される。
 後方散乱光BS1は、流路20を流れる細胞C1に照射されたスポット光L2が、細胞C1によってスポット光L2の照射方向とは反対の方向(図9において+z方向)に散乱された散乱光である。後方散乱光BS1は、対物レンズ45に入射する。対物レンズ45に入射した後方散乱光BS1は、平行光としてダイクロイックミラー44に入射する。ダイクロイックミラー44は、対物レンズ45から平行光として出射された後方散乱光BS1をミラー111の側へと反射させる。
 ミラー111は、後方散乱光BS1をレンズ112の側へと反射する。
 レンズ112は、平凸レンズである。レンズ112は凸面側がミラー111の側に、平面側がPMT12の側となる向きに配置される。レンズ112は、ミラー111によって反射された後方散乱光BS1をスリット113へと集光する。スリット113は、絞りである。スリット113は、レンズ112の焦点の位置に配置される。当該焦点の位置は、レンズ114の焦点の位置と一致している。スリット113は、レンズ112によって集光された後方散乱光BS1を発散させてレンズ114に入射させる。
 レンズ114は、平凸レンズである。レンズ112は平面側がミラー111の側に、凸面側がPMT12の側となる向きに配置される。レンズ114は、スリット113から発散されて出射された後方散乱光BS1を平行光にしてバンドパスフィルター115へと入射させる。
 バンドパスフィルター115は、BSC検出を行うための所定の波長域に含まれる波長の光を透過させ、この波長域に含まれない波長の光を透過させない。
 レンズ116は、平凸レンズである。レンズ116は凸面側がミラー111の側に、凸面側がPMT12の側となる向きに配置される。レンズ116は、バンドパスフィルター115を透過した後方散乱光BS1をPMT12へと集光する。
 PMT12は、後方散乱光BS1を検出する。
 本実施形態に係るフローサイトメータ1aでは、前方散乱光FS1を検出するための構成(FSC検出光学系9、PMT10)と、後方散乱光BS1を検出するための構成(BSC検出光学系11、PMT12)とを備えるため、蛍光F1とともに、前方散乱光FS1と、後方散乱光BS1とを検出できるため、測定対象に関する複数の種類の光学的情報を同時に取得することができる。したがって、フローサイトメータ1aでは、上述した第1の実施形態に係るフローサイトメータ1に比べて、1回の測定において測定対象について取得できる情報の量を増やすことができる。即ち、フローサイトメータ1aでは、測定対象の自家蛍光(蛍光F1)の情報に加え、前方散乱光FS1と、後方散乱光BS1の情報を適宜用いて、測定対象の判別を行うことができる。
(第3の実施形態)
 上述した各実施形態に係るフローサイトメータにおいて、ゴーストサイトメトリー技術を用いて細胞C1から発出される蛍光F1を検出することができる。ゴーストサイトメトリー技術では、動的ゴーストイメージング(GMI:Ghost Motion Imaging)法を利用して、細胞C1の形態情報を含むGMIシグナルとして測定対象に照射された光が検出される。ゴーストサイトメトリー技術では、細胞C1の形態情報を含むGMIシグナルを直接機械学習させて生成した判別器を用いて細胞C1の判別を行なうため、測定対象をより解像度の高い形態情報に基づいて判別あるいは分別することができる。本実施形態では、上述した各実施形態に係るフローサイトメータにゴーストサイトメトリー技術を組み合わせた実施形態について説明する。本実施形態に係るフローサイトメータは、上述した各実施形態に係るフローサイトメータに比べて、細胞C1由来の自家蛍光に基づいて細胞C1の形態情報をより解像度の高い情報として取得できる。
 なお、GMI法を用いてGMIシグナルとして蛍光を検出する方法は、上述した各実施形態に係るフローサイトメータの照明光学系に照明光を構造化する構造化照明の構成を追加する方法と、各実施形態に係るフローサイトメータの検出光学系に自家蛍光を構造化して検出する構造化検出の構成を追加する方法とが知られているが、以下の説明では構造化照明の構成を追加した実施形態を中心に説明する。
 以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。本実施形態に係るフローサイトメータをフローサイトメータ1bという。上述した第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、同一の構成及び動作についてはその説明を省略する場合がある。
 図10は、本実施形態に係るフローサイトメータ1bの構成の一例を示す図である。フローサイトメータ1bは、マイクロ流体装置2と、光源3と、照明光学系4bと、検出光学系5bと、光検出器6bと、DAC7と、情報処理装置8とを備える。本実施形態に係るフローサイトメータ1b(図10)と第1の実施形態に係るフローサイトメータ1(図1)及び第2の実施形態に係るフローサイトメータ1a(図10)とを比較すると、フローサイトメータ1bでは、照明光学系4bと、検出光学系5bと、光検出器6bとを備える点が異なる。
 図10の例では、照明光学系4bは、空間光変調器46b、第1レンズ41と、空間フィルター42bと、第2レンズ43と、ダイクロイックミラー44と、対物レンズ45とを備える。空間光変調器46bは、光源3から照射される照明光L1を構造化する。照明光学系4bは、照明光L1を構造化し、流路20の照射位置において集光して構造化されたスポット光L2bとして細胞C1に照射する。図10では、空間光変調器46b、第1レンズ41と、空間フィルター42bと、第2レンズ43と、ダイクロイックミラー44と、対物レンズ45とは、光源3に近い側からこの順に、光源3と流路20との間の光路上に配置されているが、空間光変調器46bは、光源3と流路20との間の光路上に配置されていれば、照明光学系4bの他の場所に配置されてもよい。
 第1レンズ41は、空間光変調器46bから発出された構造化された照明光L1を空間フィルター42bに集光する。空間フィルター42bは、第1レンズ41によって集光された照明光L1を、空間的に変化する雑音に相当する成分を除去することによって、照明光L1の強度分布をガウス分布に近づける。第2レンズ43は、空間フィルター42bによって雑音が除去された照明光L1を平行光にする。
 照明光L1を構造化するとは、照明光L1の入射面に含まれる複数の領域ごとに照明光L1の光学特性を変調することである。空間光変調器46bは、入射される光の空間的な分布を、計算された微細構造によって変化させ入射光の光学特性を変調する光学素子である。空間光変調器46bの光が入射する面は、複数の領域を有しており、照明光L1の光学特性は通過する複数の領域でそれぞれ個別に変調される。すなわち、照明光L1の光学特性は、空間光変調器46bを通過させることにより、その光学特性が複数の領域で互いに異なるように変化している。空間光変調器46bは、複数の領域で光学特性を変化させることにより、照明光L1にパターンを付与して構造化された照明光として照射することを可能にする。
 ここで光学特性とは、例えば、強度、波長、位相、及び偏光状態のいずれか1つ以上に関する光の特性であるが、光学特性は、これらに限定されない。空間光変調器46bは、一例として、光の回折現象を利用して照明光L1を空間的に分岐させ、流路の照射部位において複数の光点を形成する構造照明光として照射されるように照明光L1の光学特性を変調する。
 空間光変調器46bは、例えば、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)である。空間光変調器46bは、空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)、またはデジタルミラーデバイス(DMD:Digital Micromirror Device)などであってもよい。なお、光源3が発する照明光L1がインコヒーレント光である場合、空間光変調器46bは、DMDである。
 照明光学系4bは、流路20の照射位置に構造化されたスポット光L2bを照射する。構造化されたスポット光L2bは、例えば、流路20の照射位置に、複数の光点によるパターンを形成するように照射される。構造化されたスポット光L2bの形成するパターンは、流路20の照射位置において、例えば、複数の光点が不規則に配置される。また、好適な1つの光点のサイズは測定対象の大きさに依存するが、測定対象が細胞の場合には、数μm-10μm程度の大きさが望ましい。
 照明光学系4bは、構造化されたスポット光L2bを、第1の実施形態におけるスポット光L2と同様の範囲に集光して照射する。例えば、構造化されたスポット光L2bは、流路20の幅方向に、幅が狭くなるように一定の範囲に集光される。また、構造化されたスポット光L2bは、流路20の深さ方向に、特定の位置から一定の範囲に集光して照射することもできる。構造化されたスポット光L2bが流路20において集光されて照射される位置と範囲は、第1の実施形態においてスポット光L2について説明されている位置と範囲と同様である。
 本構成では、照明光学系4bに包含された空間光変調器46bにより、細胞C1に照射される光量が減弱化される可能性がある。そのため、流路20の照射位置において構造化されたスポット光L2bを集光して細胞C1に照射する機構を有することは、細胞C1から発出される自家蛍光(蛍光F1)を感度良く取得するために効果的である。
 なお、図10では、構造化照明の構成を、照明光学系4bが空間光変調器46bを含む構成により説明したが、これに限らない。変形例1のように流路20の照射位置に複数の光点が形成されるようにスポット光L2を照射する構成を、構造化照明の構成として利用することもできる。流路20の照射位置に複数の光点が形成されるようにスポット光L2を照射する構成は、例えば、流路20の照射位置に複数の光源から照明光を照射することによって構成することができる。
 フローサイトメータ1bでは、検出光学系5bは、対物レンズ45と、ダイクロイックミラー44と、結像光学系51bとを備える。結像光学系51bは、細胞C1からの蛍光F1のGMIシグナルを光検出器6に集光させるための光学的な仕組みであり、結像レンズを構成に含む。なお、当該結像レンズは、細胞C1からのGMIシグナルを光検出器6の位置に集光しさえすれば結像させなくてもよいが、信号光LSを光検出器6の位置に結像させる位置に配置されるのがより好ましい。また、検出光学系5bは、さらにダイクロイックミラーや波長選択的なフィルターを備えてもよい。
 対物レンズ45とダイクロイックミラー44を透過した蛍光F1は、結像光学系51bを介してGMIシグナルとして光検出器6bに集光される。光検出器6bは、蛍光F1のGMIシグナルを光信号として検出して電気信号に変換する。光検出器6は、一例として、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)である。
 なお、構造化されたスポット光L2により発出した蛍光F1は、第1の実施形態と同様の検出光学系5を用いて検出することもできる。その場合、回折格子54において分離された各スペクトル成分が、分離後、個別成分毎のGMIシグナルとして独立した複数の光検出器6によって検出される。
 一方、本実施形態に係るフローサイトメータ1bでは、構造化検出の構成によりGMIシグナルとして蛍光を検出する構成とすることができる。その場合、フローサイトメータ1bの構成において、照明光学系4bから空間光変調器46bを除くことができる。また、フローサイトメータ1bは、蛍光F1の光路上においてマスクと、マスク結像用レンズとが、検出光学系5bに追加される。当該マスクと当該マスク結像用レンズとは、例えば、ダイクロイックミラー44とレンズ51との間に備えられる。その構成により、本実施形態に係るフローサイトメータ1bでは、照明光学系4bによってスポット光L2が細胞C1に照射されて細胞C1から発出される蛍光F1は、マスク結像用レンズを介してマスクに照射され構造化される。光信号(つまり、蛍光F1)を構造化するとは、光信号のマスクの入射面に含まれる複数の領域ごとに当該光信号の光学特性を変調することである。
 上述の構造化検出に用いるマスクは、マスクに光が入射する面に複数の領域を有している空間フィルターである。当該マスクの複数の領域は、光を透過させる領域(光透過領域)と、光を遮断させる領域(光遮断領域)とからなっており、入射する蛍光F1の光学特性をマスクの複数の領域ごとに変調する。
 なお別の例として、検出光学系5bは、マスクの代わりに、光透過領域と光遮断領域とを有して空間フィルターとして機能するミラーが備えられてもよい。
 マスク結像用レンズは、細胞C1から発出された蛍光F1を集光し、マスク上に結像させる。光検出器6は、検出光学系5bに含まれるマスクの光透過領域を介して構造化された蛍光を検出する。
 なおゴーストサイトメトリー技術を用いて蛍光を検出する場合には、信号強度取得部81が取得した光検出器6がGMIシグナルとして検出する構造化された蛍光の信号強度を時間ごとに示した電子データが、スペクトル情報A1の代わりに機械学習に用いられる。即ち、本実施形態に係るフローサイトメータ1bでは、蛍光の信号強度を時間ごとに示した電子データと識別情報とを組み合わせた学習データを用いた機械学習により判別のための学習済みモデルB1が生成され、当該学習済みモデルB1に基づいて、測定対象である細胞C1から検出した蛍光GMIシグナルの信号強度を時間ごとに示した電子データから、細胞C1の判別が行なわれる。
 また、本実施形態に係るフローサイトメータ1bでは、GMI法により検出されたGMIシグナルに含まれる測定対象の形態情報のうち解像度が所定の解像度よりも高い形態情報を画像に再構成して細胞C1の判別に利用してもよい。所定の解像度は照明光の波長により異なるが、ここで所定の解像度とは、例えば、0.5μm程度である。また、第2の実施形態におけるフローサイトメータ1aと同様に、本実施形態に係るフローサイトメータ1bにおいても、ゴーストサイトメトリー技術を用いた蛍光F1のGMIシグナルとしての検出を、蛍光F1以外の散乱光の検出と同時に行う構成とすることができる。
(各実施形態のまとめ)
 以上に説明したように、各実施形態に係るフローサイトメータ1、1a、1bは、流路20と、光源3と、照明光学系4と、検出光学系5、5bと、光検出器6と、判別部83と、を備える。
 流路20は、蛍光染色剤によって標識されていない測定対象(本実施形態において、細胞C1)を流体とともに流通させる。
 光源3は、照明光L1を照射する。
 照明光学系4、4a、4bは、光源3が照射する照明光L1を、流路20における照射位置において流路20の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について集光させた照明光であるスポット光L2として流路20を流通する測定対象(本実施形態において、細胞C1)に照射する。
 光検出器6、6bは、測定対象(本実施形態において、細胞C1)が固有に有する分子から照明光学系4、4a、4bによるスポット光L2の照射によって発出される蛍光F1を検出する。
 検出光学系5、5bは、蛍光F1を光検出器6、6bに伝搬させる。
 判別部83は、光検出器6、6bによって検出された蛍光F1の情報(本実施形態において、スペクトル情報A1、または蛍光F1の信号強度)に基づいて、当該測定対象(本実施形態において、細胞C1)が目的の対象か否かについて判別を行う。
 この構成により、各実施形態に係るフローサイトメータ1、1a、1bは、流路20の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について集光させたスポット光L2を流路20を流通する測定対象に照射することによって、自家蛍光である蛍光F1の強度に対する感度を向上させることができるため、フローサイトメータによる測定において、自家蛍光に基づいて測定対象の判別ができる。
 なお、上述した各実施形態に係るフローサイトメータは、セルソータの機能を備えていてもよい。フローサイトメータは、情報処理装置8によって生成される光学的情報に含まれる細胞の形態を示す情報に基づいて、細胞をソーティングする。ソーティングとは、流路を流れる測定対象のうちから、目的の測定対象を分取することである。この目的の測定対象は、例えば、ユーザによって予め選択される。
 フローサイトメータがセルソータの機能を備える場合、フローサイトメータは、例えば、分取部を備える。分取部は流路20を流れる測定対象のうちから、目的の測定対象を分取する。分取部は、判別部83による判別結果に基づいて目的の測定対象を分取する。
 なお、上述した実施形態における情報処理装置8が備える機能のうち一部あるいは全部が、情報処理装置8とは別体の外部の情報処理装置に備えられてもよい。外部の情報処理装置は、例えば、情報処理装置8とは別体のPCである。また、情報処理装置8が備える機能のうち一部あるいは全部が、クラウドサーバに備えられてもよい。
 なお、上述した各実施形態に係るフローサイトメータは、自家蛍光を検出する低速モードと、自家蛍光以外の種類の光を検出する高速モードとが切替可能な構成とされてもよい。例えば、自家蛍光を検出する低速モードでは、マイクロ流体装置2は、流路20を流れる流体の流速を所定の速度(例えば、5m/s)未満に制御する。自家蛍光以外の種類の光を検出する高速モードでは、マイクロ流体装置2は、当該流速を当該所定の速度以上に制御する。
 低速モードと高速モードとの切り替えは、例えば、入力装置からユーザによる操作によって行われる。当該操作は、情報処理装置8によって受け付けられて、情報処理装置8によってマイクロ流体装置2が制御される。
 なお、上述した各実施形態では、自家蛍光に基づいて測定対象の判別ができるフローサイトメータの構成を中心に説明を行ってきたが、当該フローサイトメータの構成に基づいて測定対象の自家蛍光の強度を示すデータの取得することにより、取得したデータに基づいて測定対象の自家蛍光の情報を生成し、生成された測定対象の自家蛍光の情報に基づいて、当該測定対象が目的の対象か否かについて判別を行う判別方法も、この発明の範囲に同様に含まれる。
(実施例)
 以下では、上記の各実施形態に係る実施例について説明する。
[測定対象の調整方法]
 本実施例では、測定対象として凍結ヒト末梢血単核細胞から単離したリンパ球(T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー細胞(NK細胞))を、蛍光色素蛍光染色剤により標識せずに用い、各細胞から発出される自家蛍光に基づいて、異なる2細胞間の二クラス分類を行ないその分類精度を試験的に確認した。
[細胞処理]
 凍結ヒト末梢血単核細胞(STEMCELL Technologies社製)からMACS Microbeads(Miltenyi Biotec社Pan T cell Isolation Kit、NK Cell Isolation Kit、B cell Isolation Kit)を用いて各リンパ球(T細胞、B細胞、及びNK細胞)を分離し、洗浄後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS溶液ともいう)中で1x10cells/mlの濃度となるように調整した。精製した各リンパ球試料の純度は、試料の一部を採取して、蛍光標識された抗体(BioLegend社製 FITC標識 anti-human CD3抗体、PE標識 anti-human CD19抗体、APC標識 anti-human CD56抗体)による染色を施し、Attune NxT Flow Cytometer(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて確認した。その結果、調整後の各リンパ球試料に含まれるリンパ球細胞の純度は、それぞれT細胞で99.3%、B細胞で98.2%、NK細胞で93.9%であった。
[自家蛍光の測定]
 自家蛍光を用いた細胞サンプルの判別には、フローサイトメータ1a1を用いた。フローサイトメータ1a1の構成は、第2の実施形態において説明したフローサイトメータ1aの構成に準じている。フローサイトメータ1a1では、光源は複数の光源から構成される。フローサイトメータ1a1は、フローサイトメータ1a(光源は1つの光源から構成される)と、光源の構成が異なっているが、それ以外の構成は同様である。
 フローサイトメータ1a1では、光源は、波長の異なる照明光を照射する複数のレーザー光源により構成される。光源は、蛍光測定用の光源と、散乱光測定用の光源とから構成される。蛍光測定用の光源として、波長360nmの照明光を照射するレーザー光源、及び375nmの照明光を照射するレーザー光源を使用した。散乱光測定用の光源として、405nmの照明光を照射するレーザー光源を使用した。
 また、フローサイトメータ1a1では、流路の照射位置におけるスポット光の大きさを、流路の幅方向に10μm未満の幅となるように、流路の垂直方向に1μm未満の幅となるように集光した。フローサイトメータ1a1では、自家蛍光を検出する光検出器にマルチアノードPMT(Hamamatsu photonics製)を用いた。対物レンズに入射する蛍光のうち、ダイクロイックミラーで420nm以下の波長をカットした420nm以上の波長の光を細胞由来の自家蛍光として取得した。ここで波長360nmの励起光により励起された蛍光、及び波長375nmの励起光により励起された蛍光は、それぞれマルチアノードPMTによって15チャネルに分画して検出された。
 なお、フローサイトメータ1a1では、アコースティックフォーカシングの手法により、測定対象である細胞を流路の中央部付近に収束させており、0.5ml/min(~50cps)の流速で細胞を分散させた流体を流通させて細胞由来の蛍光を散乱光(BSC)と同時に測定した。
[細胞の判別]
 図11は、本実施例に係る測定結果のまとまりを示す図である。上述したように、本実施例では、3種類のリンパ球(T細胞、B細胞、及びNK細胞)を測定対象として用い、連続的に繰り返して測定を行った。
 ここで図11を用いて、複数の測定についてのまとまり(集団)について説明する。本実施例において、各リンパ球の測定は、3万個から4万個程度の個数の細胞について連続的に行われた。このリンパ球について連続的に行われる測定(3万回から4万回程度)の1つのまとまりを以降ではイベントと記載する。また本実施例の測定は、T細胞、B細胞、NK細胞の順で連続して行われ、3種類のリンパ球について連続的に実施された3つのイベントからなる測定のまとまりを以降ではセットと記載する。
 本実施例では、図11に示すように、第1セットから第5セットまで連続して5セットの測定が実施された。各セットには3種類のリンパ球について1つずつイベントが含まれるため、これらの5セットには、合計15個のイベントが含まれる。
 各イベントでは、個別細胞ごとに蛍光情報及び散乱光(BSC)情報が測定データとして取得された。図11に示すように、例えば第3イベントでは、NK細胞について蛍光情報及び散乱光情報が取得されている。
 なお本実施例では、蛍光情報について、それぞれの励起波長について、個別のチャネルで取得した蛍光強度の総量をその各励起波長において得られた最大の蛍光強度の総量で規格化した特徴量が、以下に説明するリンパ球間の判別に用いられた。すなわち、規格化した蛍光情報について15×2個の特徴量(波長360nmの励起光、及び波長375nmの励起光それぞれについてマルチアノードPMTの15チャネル分)と、BSC1個の特徴量とが、以下に説明するリンパ球間の学習と検証に用いられている。
 リンパ球間の判別とは、特定の2種のリンパ球間で2つのクラスに分類する二クラス分類である。図12は、本実施例に係るリンパ球間の判別の方法を説明する図である。図12では、一例として、T細胞とB細胞についての二クラス分類を行う場合について説明している。特定の2種のリンパ球間の判別では、第1セットから第5セットまでの測定データのうち、ある1つのセットで取得された2種の細胞についての測定データを学習データとして用い判別器が作成される。次に、他の4つのセットで取得された同じ2種の細胞の測定データを検証データとして用い、作成した判別器による判別が検証のために行われる。この一連の手順が、判別器を作成するために用いる学習データのセットを変えながら繰り返し実施される。なお、この繰り返しの単位を以降ではラウンドと記載する。
 例えば図12では、第1ラウンドの検証で、第1セットにおいて測定したT細胞とB細胞の測定データを学習データとして用いて判別器が作成される。第1セットの測定データを学習データとして利用して作成した判別器について、第2セットから第5セットにおいて測定したT細胞とB細胞のデータを検証データとして用いた判別を行う検証が、それぞれのセット(第2セットから第5セット)について行われる。ここで学習データとして用いられる2種のリンパ球のデータは、検証データとして用いられる2種のリンパ球のデータと、リンパ球の種類が同じである。
 さらに第2ラウンドから第5ラウンドの検証では、他の4セット(第2セットから第5セット)において、それぞれのセットで取得された測定データを学習データとして用い作成した判別器について、他のセットにおいて取得された測定データを検証データとして用いた判別が同様に繰り返し行われる。
 上記の通り、本実施例では、クロスオーバーで合計20個のROC-AUC値がそれぞれの2種のリンパ球間の判別について計算され、その平均値により当該2種のリンパ球間についての二クラス分類の精度を評価した。なお、判別器の作成にはランダムフォレストアルゴリズムを用いた。
[判別結果]
 リンパ球間の判別の結果、T細胞、B細胞、及びNK細胞の各二クラス間のROC-AUCの平均値(AUC値)として以下の値が得られた。T細胞とB細胞間の判別におけるAUC値は0.87であり、T細胞とNK細胞間の判別におけるAUC値は0.90であり、B細胞とNK細胞間の判別におけるAUC値は0.95であった。一方、同様の評価を、同じ細胞種タイプの測定時間が近い2つのセットの測定データ(規格化した蛍光情報とBSC)について行った場合には、AUC値は0.5程度と算出された。このAUC値によって、測定間誤差は十分に小さいことが示された。
 上記のとおり、本実施例の結果から、自家蛍光を用いた測定により、T細胞、B細胞、及びNK細胞のいずれの2種細胞間においても高い分類精度(特定の2種のリンパ球間における二クラス分類の精度)が得られていることが確認された。
 なお、上述した実施形態における情報処理装置8に備えられる制御部80の一部、例えば、信号強度取得部81、スペクトル情報生成部82、判別部83、及び学習部84をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、情報処理装置8に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
 また、上述した実施形態における情報処理装置8の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。情報処理装置8の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
 以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
1、1a、1b…フローサイトメータ、20…流路、3…光源、4、4a、4b…照明光学系、5、5b…検出光学系、6、6b…光検出器、83…判別部、C1…細胞、L1…照明光、L2…スポット光、F1…蛍光、SP1…スペクトル成分、A1…スペクトル情報、B1…学習済みモデル

Claims (12)

  1.  蛍光染色剤によって標識されていない測定対象を流体とともに流通させる流路と、
     照明光を照射する光源と、
     前記光源が照射する前記照明光を、前記流路における照射位置において前記流路の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について集光させた照明光であるスポット光として前記流路を流通する前記測定対象に照射する照明光学系と、
     前記測定対象が固有に有する分子から前記照明光学系による前記スポット光の照射によって発出される蛍光を検出する光検出器と、
     前記蛍光を前記光検出器に伝搬させる検出光学系と、
     前記光検出器によって検出された前記蛍光の情報に基づいて、当該測定対象が目的の対象か否かについて判別を行う判別部と、
     を備えるフローサイトメータ。
  2.  前記照明光学系は、前記光源が照射する前記照明光を、前記照射位置において前記測定対象の大きさに集光させて前記スポット光として前記流路を流通する前記測定対象に照射する
     請求項1に記載のフローサイトメータ。
  3.  前記流路を流通する前記測定対象のサンプル流を前記流路の幅方向に所定の範囲に収束させるフォーカシング機構をさらに備え、
     前記照明光学系は、前記スポット光の幅の前記流路の幅に対する割合を所定の割合以下にして、前記照射位置において前記スポット光を前記測定対象に照射する
     請求項1に記載のフローサイトメータ。
  4.  前記流路を流通する前記測定対象のサンプル流を前記流路の深さ方向に所定の範囲に収束させるフォーカシング機構をさらに備え、
     前記照明光学系は、前記スポット光を前記流路の深さ方向について特定の位置に集光させ、前記照射位置において前記スポット光を前記測定対象に照射する
     請求項1に記載のフローサイトメータ。
  5.  前記流路は、所定の速度未満の速度において前記測定対象を流体とともに流通させる
     請求項1に記載のフローサイトメータ。
  6.  前記検出光学系は、前記蛍光をスペクトル成分に分離させ、
     前記光検出器は、前記検出光学系によってスペクトル成分に分離された前記蛍光を当該スペクトル成分毎に検出し、
     前記判別部は、前記光検出器によって検出された前記蛍光のスペクトル成分の情報であるスペクトル情報に基づいて当該測定対象について前記判別を行う
     請求項1に記載のフローサイトメータ。
  7.  前記測定対象について前記スペクトル情報が入力されると当該測定対象が前記目的の測定対象であるか否かを判別する学習済みモデルを生成する学習部をさらに備え、
     前記判別部は、前記学習済みモデルに基づいて前記測定対象の前記スペクトル情報から当該測定対象ついて前記判別を行なう
     請求項6に記載のフローサイトメータ。
  8.  前記学習部は、前記測定対象として前記目的の測定対象と前記目的の測定対象以外の測定対象とを含む学習サンプルについて、前記光検出器によって検出されたスペクトル成分の情報と、前記目的の測定対象を識別する情報とを組み合わせた学習データを用いて機械学習を行うことによって前記学習済みモデルを生成し、
     前記判別部は、前記学習部が生成した前記学習済みモデルと、前記流路を流通する前記測定対象について前記光検出器によって検出されたスペクトル成分の情報とに基づいて、当該測定対象について判別を行う
     請求項7に記載のフローサイトメータ。
  9.  前記照明光学系あるいは前記検出光学系の少なくとも1つが、空間光変調器を含み、
     前記光検出器は、前記蛍光を動的ゴーストイメージングシグナルとして検出し、
     前記判別部は、前記動的ゴーストイメージングシグナルに含まれる前記測定対象の形態情報のうち解像度が所定の解像度よりも高い形態情報を利用して測定対象の判別を行なう
     請求項1に記載のフローサイトメータ。
  10.  前記測定対象について、前記動的ゴーストイメージングシグナルが入力されると当該測定対象が前記目的の測定対象であるか否かを判別する学習済みモデルを生成する学習部をさらに備え、
     前記判別部は、前記学習済みモデルに基づいて前記測定対象の前記動的ゴーストイメージングシグナルから当該測定対象について前記判別を行なう
     請求項9に記載のフローサイトメータ。
  11.  蛍光染色剤によって標識されていない測定対象を流体とともに流通させる流路と、
     照明光を照射する光源と、
     前記光源が照射する前記照明光を、前記流路における照射位置において前記流路の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について集光させた照明光であるスポット光として前記流路を流通する前記測定対象に照射する照明光学系と、
     前記測定対象が固有に有する分子から前記照明光学系による前記スポット光の照射によって発出される蛍光を検出する光検出器と、
     前記蛍光を前記光検出器に伝搬させる検出光学系と、
     を備えるフローサイトメータによって検出された結果に基づいて測定対象について判別を行う判別方法であって、
     前記流路を流通する前記測定対象について前記光検出器によって検出された前記蛍光の強度を示すデータを取得する取得ステップと、
     前記取得ステップにおいて取得された前記データに基づいて前記蛍光の情報を生成する生成ステップと、
     前記生成ステップにおいて生成された前記蛍光の情報に基づいて、当該測定対象が目的の対象か否かについて判別を行う判別ステップと、
     を有する判別方法。
  12.  蛍光染色剤によって標識されていない測定対象を流体とともに流通させる流路と、
     照明光を照射する光源と、
     前記光源が照射する前記照明光を、前記流路における照射位置において前記流路の幅方向と深さ方向との少なくとも一方について集光させた照明光であるスポット光として前記流路を流通する前記測定対象に照射する照明光学系と、
     前記測定対象が固有に有する分子から前記照明光学系による前記スポット光の照射によって発出される蛍光を検出する光検出器と、
     前記蛍光を前記光検出器に伝搬させる検出光学系と、
     を備えるフローサイトメータによって検出された結果に基づいて情報処理を行うコンピュータに、
     前記流路を流通する前記測定対象について前記光検出器によって検出された前記蛍光の強度を示すデータを取得する取得ステップと、
     前記取得ステップにおいて取得された前記データに基づいて前記蛍光の情報を生成する生成ステップと、
     前記蛍光の情報に基づいて、当該測定対象が目的の対象か否かについて判別を行う判別ステップと、
     を実行させるためのプログラム。
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