WO2023188333A1

WO2023188333A1 - スライダー及びスライドファスナー

Info

Publication number: WO2023188333A1
Application number: PCT/JP2022/016704
Authority: WO
Inventors: 貴敬小澤
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2022-03-31
Filing date: 2022-03-31
Publication date: 2023-10-05
Also published as: TW202339640A; TWI814420B

Abstract

【課題】　カバーの耐衝撃性を向上できるとともに、良好な組立性が実現できるスライダー及びスライドファスナーを提供する。【解決手段】　前後方向Ｆ－Ｂに直交する断面において、カバー体４０の当接部４５ａと一対の第１対向壁２４ａの第１被当接部２４ａ４との間隙ｔ１１のうち少なくとも一部は、カバー体４０の上壁部４１の下面４１ａと一対の第１対向壁２４ａの第１対向壁上面部２４ａ３との間隙ｔ１２よりも短く、カバー体４０の当接部４５ａと一対の第２対向壁２５ａの第２被当接部２５ａ４との間隙ｔ２１のうち少なくとも一部は、カバー体４０の上壁部４１の下面４１ａと一対の第２対向壁２５ａの第２対向壁上面部２５ａ３との間隙ｔ２２よりも短い。

Description

スライダー及びスライドファスナー

本発明は、一対のファスナーストリンガーを開閉するスライダー及びスライドファスナーに関する。

　従来から、スライドファスナーは、例えば衣服や鞄等の開閉部に、多く用いられている。スライドファスナーは、一対のファスナーストリンガーとスライダーを含む。一対のファスナーストリンガーは、スライダーによって開閉される。スライダーは、基本的に、案内柱により所定の間隔をおいて前端部が連結された上下翼板を有するスライダー胴体、及び、スライダー胴体を引く引手により構成されている（特許文献１参照）。

特許４１５２２５４号公報

　近年、スライダー胴体の上面との間で引手を移動及び回動可能に保持するカバー体を取り付けるスライダーがある。このようなスライダーは、カバー体を押圧した時の変形を利用して、スライダー本体に引手を取り付けるものが多い。カバー体の変形を利用するため、カバー体を厚くすると、変形しづらくなり、組立性が悪くなってしまう。また、組立性を良くするためカバー体を薄くすると、衝撃が加わった際に大きく変形し過ぎてしまい、割れてしまうおそれがある。

　本発明は、上記課題に対してなされたものであり、カバー体の耐衝撃性及び組立性を向上することができるスライダー及びスライドファスナーを提供することにある。

本発明に係るスライダーは、胴体と、引手と、カバー体と、を備えるスライダーであって、
　前記スライダーの前記引手が存在する側を上方、その反対側を下方とし、前記スライダーをファスナーチェーンに装着した際に前記スライダーを摺動して左右の連続エレメント列を噛合させる方向を前方、分離させる方向を後方とし、前記スライダーを上方から見て前後方向の左側を左方、その反対側を右方とすると、
　前記胴体は、上翼板と、前記上翼板の下方に所定の間隔で設置される下翼板と、前記上翼板と前記下翼板を前方で連結する案内柱と、前記上翼板の上面の前部から上方へ向けて突出して設置される第１柱部と、前記上翼板の上面の後部から上方へ向けて突出して設置される第２柱部と、を有し、
　前記第１柱部は、左右方向に対向する一対の第１対向壁を含み、
　前記第２柱部は、左右方向に対向する一対の第２対向壁を含み、
　前記引手は、前記第１柱部と前記第２柱部の間に設置される枢軸を含み、
　前記カバー体は、前記第１柱部、前記第２柱部及び前記枢軸を覆う上壁部と、前記上壁部から前方且つ下方、後方且つ下方にそれぞれ湾曲して延びる湾曲部と、それぞれの前記湾曲部から下方に延びて前記第１柱部及び前記第２柱部に支持される支持部と、前記上壁部から下方に延びる延出部と、を有し、
　前記延出部は、前記上壁部の前方及び後方からそれぞれ下方に延びる２つの当接部を含み、
　前記一対の第１対向壁は、前記当接部に対向する第１被当接部と、前記上壁部の下面に対向する第１対向壁上面部と、を含み、
　前記一対の第２対向壁は、前記当接部に対向する第２被当接部と、前記上壁部の下面に対向する第２対向壁上面部と、を含み、
　前後方向に直交する断面において、
　前記当接部と前記第１被当接部との間隙のうち少なくとも一部は、前記上壁部の下面と前記第１対向壁上面部との間隙よりも短く、
　前記当接部と前記第２被当接部との間隙のうち少なくとも一部は、前記上壁部の下面と前記第２対向壁上面部との間隙よりも短い
ことを特徴とする。

　本発明のスライダー及びスライドファスナーによれば、カバー体の耐衝撃性及び組立性を向上することができる。

本実施形態のスライダーの斜視図を示す。本実施形態のスライダーを構成する部品の分離した状態を示す。本実施形態のスライダーの側面図を示す。図３のIV－IV線の矢視断面拡大図を示す。図３のV－V線の矢視断面拡大図を示す。他の実施形態のスライダーの側面図を示す。本実施形態のスライダーを用いたスライドファスナーを示す。

発明の実施の形態

　以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。

　図１は、本実施形態のスライダーの斜視図を示す。図２は、本実施形態のスライダーを構成する部品の分離した状態を示す。図３は、本実施形態のスライダーの側面図を示す。図４は、図３のIV－IV線の矢視断面拡大図を示す。図５は、図３のV－V線の矢視断面拡大図を示す。

　なお、以下の実施形態における方向は、スライダー１０の引手３０が存在する側を上方Ｕとし、その反対側を下方Ｄとする。また、他の方向は、案内柱２３が存在する側を前方Ｆとし、その反対側を後方Ｂとする。さらに、他の方向は、スライダー１０を上方Ｕから見て、前方Ｆを上、後方Ｂを下に向けた時の左を左方Ｌ、右を右方Ｒとする。いずれも矢印Ｕは上方、矢印Ｄは下方、矢印Ｆは前方、矢印Ｂは後方、矢印Ｌは左方、矢印Ｒは右方を表す。

　本実施形態のスライドファスナーに用いられるスライダー１０は、胴体２０、引手３０、カバー体４０、ロック体５０の四部材により構成されている。胴体２０、引手３０、カバー体４０、の三部材は、それぞれポリアミド、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂や耐摩耗性強化材を添加した熱可塑性樹脂材料などを使って射出成形により製造される。なお、胴体２０、引手３０、カバー体４０の三部材は、樹脂材料に代えて、それぞれアルミニウム合金、亜鉛合金などの金属材料が使用され、ダイキャスト成形によって製造することができる。

　本実施形態のロック体５０は、銅合金やステンレス鋼等により製造されるとよい。なお、ロック体５０は、設置しなくてもよい。

　胴体２０は、上翼板２１と、下翼板２２と、上下翼板２１，２２の前部を連結する案内柱２３とを有している。上翼板２１は、その後端から略中央位置にかけて、左右端に下方Ｄに延びるフランジ２１ａを有する。下翼板２２は、その後端から略中央位置にかけて、左右端に上方Ｕに延びるフランジ２２ａを有する。胴体２０は、上下翼板２１，２２の間に、Ｙ字形の噛合エレメント案内通路を有する。

　胴体２０の上翼板２１の上面には、前方Ｆに第１柱部２４、後方Ｂに第２柱部２５が、起立している。第１柱部２４と第２柱部２５は、それぞれ上翼板２１と一体に形成されてよい。第１柱部２４と第２柱部２５との間には引手の枢軸３１を収容するための空間６０が形成される。すなわち、引手３０を上翼板２１の上面に載置する前の状態で、第１柱部２４と第２柱部２５は対向している。胴体２０の上翼板２１の上面には、第１柱部２４と第２柱部２５との間においてそれらの対向を妨げるものは形成されない。

　第１柱部２４は、左右方向Ｌ－Ｒに対向する一対の第１対向壁２４ａが並設される。図３に示すように第１柱部２４を側方から見ると、一対の第１対向壁２４ａはそれぞれ、前方Ｆから後方Ｂに向けて、上翼板２１に対して垂直に延びる立ち上り部２４ａ１と、上方Ｕに凸状の湾曲形状の一部を形成する凸湾曲部２４ａ２と、略水平な第１対向壁上面部２４ａ３と、下方Ｄに向けて傾斜する第１被当接部２４ａ４と、上方Ｕに凹状の湾曲形状の一部を形成する凹湾曲部２４ａ５と、を有する。なお、立ち上り部２４ａ１は、後述するカバー体４０の係脱を妨げない程度であれば、上翼板２１に対して傾斜するように設けられていてもよい。また、凹湾曲部２４ａ５は、引手の枢軸３１の収容を妨げない程度に空間６０が形成できれば、湾曲の程度は問わないし直線状であっても良い。

　図２に示すように、第１柱部２４の前面には、一対の第１対向壁２４ａの対向面にわたり延びる直線状の第１係止部２４ｂが一体に形成されている。第１係止部２４ｂは、一対の第１対向壁２４ａの立ち上がり部２４ａ１よりも前方に突出するとともに、その前面が滑らかに下傾斜する第１傾斜部２４ｂ１と、第１傾斜部２４ｂ１の下端においてカバー体４０に係脱する第１係合部２４ｂ２とを有する。

　上翼板２１上面の左右方向Ｌ－Ｒの中央の前端から第１柱部２４の前端にかけて第１凹溝部２１ｂが形成される。第１凹溝部２１ｂは、第１柱部２４の第１係合部２４ｂ２の下方Ｄの空間を拡大させる。

　第２柱部２５は、左右方向Ｌ－Ｒに対向する一対の第２対向壁２５ａが並設される。図３に示すように第２柱部２５を側方から見ると、一対の第２対向壁２５ａはそれぞれ、後方Ｂから前方Ｆに向けて、上翼板２１に対して垂直に延びる立ち上り部２５ａ１と、上方Ｕに凸状の湾曲形状の一部を形成する凸湾曲部２５ａ２と、略水平な第２対向壁上面部２５ａ３と、下方Ｄに向けて傾斜する第２被当接部２５ａ４と、上方Ｕに凹状の湾曲形状の一部を形成する凹湾曲部２５ａ５と、を有する。なお、立ち上り部２５ａ１は、後述するカバー体４０の係脱を妨げない程度であれば、上翼板２１に対して傾斜するように設けられていてもよい。また、凹湾曲部２５ａ５は、引手の枢軸３１の収容を妨げない程度に空間６０が形成できれば、湾曲の程度は問わないし直線状であっても良い。

　第２柱部２５の後面には、一対の第２対向壁２５ａの対向面にわたり延びる直線状の図示しない第２係止部２５ｂが一体に形成されている。第２係止部２５ｂは、図示しないが、一対の第２対向壁２５ａの立ち上がり部２５ａ１よりも後方に突出するとともに、その後面が滑らかに下傾斜する第２傾斜部２５ｂ１と、第２傾斜部２５ｂ１の下端においてカバー体４０に係脱する第２係合部２５ｂ２とを有する。

　上翼板２１の上面の左右方向Ｌ－Ｒの中央の後端から第２柱部２５の後端にかけて図示しない第２凹溝部２１ｃが形成される。第２凹溝部２１ｃは、第２柱部２５の第２係合部２５ｂ２の下方Ｄの空間を拡大させる。

　カバー体４０は、上面を形成する上壁部４１と、上壁部４１の前方Ｆ及び後方Ｂから下方Ｄに湾曲して形成された前後の湾曲部４２と、湾曲部４２から下方Ｄに向けて延びる支持部４３と、上壁部４１の下面４１ａの左右方向Ｌ－Ｒに対する中央を含み下方Ｄに向けて延びる膨出部４４と、上壁部４１の前後方向Ｆ－Ｂに対する中央を含む左右端部からそれぞれ下方Ｄに延びる一対の延出部４５と、を有する。

　本実施形態の上壁部４１は、上面が上方Ｕに向けて滑らかな凸曲面を有する。滑らかな凸曲面とすることで、第１柱部２４及び第２柱部２５への組み付け時に上面を押圧した際、前後の支持部４３の間隔が開き易くなる。その結果、カバー体４０を第１柱部２４及び第２柱部２５へ、迅速に組み付けることができる。なお、上面は平面又は凹曲面等でもよい。

　本実施形態の湾曲部４２は、上壁部４１の前方Ｆ及び後方Ｂから下方Ｄに滑らかに湾曲して形成される。支持部４３は、湾曲部４２の下方Ｄに形成され、第１柱部２４及び第２柱部２５に組み付けられる。本実施形態の前方Ｆと後方Ｂの湾曲部４２及び支持部４３は、同じ形状であり、第１柱部２４及び第２柱部２５へ前後の区別なく迅速に組み付けることができる。なお、前方Ｆと後方Ｂの湾曲部４２及び支持部４３は、異なる形状で形成してもよい。

　両支持部４３の下端には、第１係止部２４ｂの第１係合部２４ｂ２及び第２係止部２５ｂの第２係合部２５ｂ２に対して弾性的に係脱する係合片４３ａが内側に向けて突出されている。この係合片４３ａの先端下面はカバー体４０の内部に向けて上傾斜する傾斜面に形成されると好ましい。

　係合片４３ａの先端下面を上傾斜する傾斜面に形成することで、係合片４３ａは、第１柱部２４の第１係止部２４ｂに形成された第１傾斜部２４ｂ１及び第２柱部２５の第２係止部２５ｂに形成された第２傾斜部２５ｂ１に対して円滑且つ安定に案内されて、第１係合部２４ｂ２及び第２係合部２５ｂ２に容易且つ正確に係合することができる。

　図４に示すように、本実施形態の膨出部４４は、上壁部４１の裏面の左右方向Ｌ－Ｒに対する中央を含み下方Ｄに向けて形成される。膨出部４４の左右方向Ｌ－Ｒの長さは、上壁部４１の左右方向Ｌ－Ｒの長さより短く、膨出部４４の幅は、一対の第１対向壁２４ａ及び一対の第２対向壁２５ａの肉厚分だけ、上壁部４１の幅よりも小さく設定されている。

　膨出部４４の一部は、第１柱部２４の一対の第１対向壁２４ａの間及び第２柱部２５の一対の第２対向壁２５ａの間の空隙部に嵌挿される。この部分の前後方向Ｆ－Ｂに直交する断面では、カバー体４０は、略Ｔ字状に形成され、上壁部４１の下面４１ａが第１柱部２４の一対の第１対向壁２４ａの上面及び第２柱部２５の一対の第２対向壁２５ａの上面に対向する。

　このように、膨出部４４の一部が第１柱部２４の一対の第１対向壁２４ａの間及び第２柱部２５の一対の第２対向壁２５ａの間に嵌挿されるので、カバー体４０は、第１柱部２４及び第２柱部２５に対して左右への移動を抑えることができる。

　図３に示すように、本実施形態の一対の延出部４５はそれぞれ、上壁部４１の前後から下方Ｄに傾斜して延びる当接部４５ａと、前後方向Ｆ－Ｂにおける中央部分に略水平状に形成される中央部４５ｂと、を有し、左右端部からそれぞれ壁状に下方Ｄへ突出する。当接部４５ａが傾斜することにより、延出部４５の前後方向の長さは下方に向かうにつれて短くなる。中央部４５ｂは、第１柱部２４と第２柱部２５の間に形成される空間６０に向けて突出することとなる。延出部４５の前方Ｆの当接部４５ａの一部は第１柱部２４の一対の第１対向壁２４ａの第１被当接部２４ａ４に対向し、延出部４５の後方Ｂの当接部４５ａの一部は第２柱部２５の一対の第２対向壁２５ａの第２被当接部２５ａ４の上面に対向する。

　本実施形態の当接部４５ａと第１被当接部２４ａ４及び当接部４５ａと第２被当接部２５ａ４は、通常時、間隙を有して設置され、上壁部４１が例えば上方から押圧されると当接する。なお、当接部４５ａと第１被当接部２４ａ４及び当接部４５ａと第２被当接部２５ａ４は、通常時から当接していてもよい。

　また、本実施形態の第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４は、上翼板２１に対して４５度以下で傾斜状に形成されている。そして、当接部４５ａは、カバー体４０が第１柱部２４と第２柱部２５に装着された状態で、第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４に対向するように形成される。

　第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４は、上翼板２１に対して４５度以下で傾斜状に形成されることで、当接部４５ａとの当接角度が水平に近くなり、当接部４５ａを安定して保持することができる。また、カバー体４０を胴体２０に取り付ける際に、組立者は、延出部４５を第１柱部２４と第２柱部２５の間へ、迅速且つ正確に挿入することができる。

　本実施形態のスライダー１０は、ロック体５０を備える。ロック体５０は、弾性板材が用いられる板バネ５１と、板バネ５１に押圧される爪部材５２と、を有する。板バネ５１は、両端を第１柱部２４及び第２柱部２５に支持される。爪部材５２は、板バネ５１の下方Ｄに設置される。

　爪部材５２は、掛止部５２ａ及び爪５２ｂを含む。掛止部５２ａは、爪部材５２の一端から下方Ｄに突出して形成される。掛止部５２ａは、第１柱部２４に形成された図示しない保持部に掛け止められる。爪５２ｂは、爪部材５２の他端から下方Ｄに突出して形成される。爪５２ｂは、第２柱部２５に形成された孔部２５ｃから上翼板２１を貫通するように設置される。

　引手３０は、一端側に形成される把持部３１と、他端側に形成される環状保持部３２と、を有する。把持部３１は、周囲に厚みを有する長尺状の短冊状板材により構成されている。環状保持部３２は、第１柱部２４又は第２柱部２５が嵌装できる長手方向に長い略楕円形の孔部を有する。環状保持部３３の先端部は、第１柱部２４及び第２柱部２５の間に形成された空間６０に移動あるいは回動自在に配される枢軸３２ａとして架橋状に形成されている。枢軸３２ａは一対の第１対向壁２４ａ及び一対の第２対向壁２５ａの左右方向Ｌ－Ｒの幅寸法よりも大きく設定されている。なお、引手３０は、この構造に限らず、その他の構造でもよい。

　次に、スライダー１０の組み立てについて説明する。まず、組立者は、引手３０の環状保持部３２を胴体２０の第２柱部２５を跨いで挿入し、引手３０全体を略水平姿勢に載置する。次に、組立者は、引手３０の枢軸３２ａを跨ぐように、爪部材５２を上方Ｕから設置する。爪部材５２の掛止部５２ａは保持部に掛け止められ、爪５２ｂは孔部２５ｃから下方Ｄに貫通される。次に、組立者は、板バネ５１を爪部材５２の上方Ｕに設置する。板バネ５１は、両端を第１柱部２４及び第２柱部２５に噛み合わせればよい。この状態で、爪部材５２は、板バネ５１によって下方Ｄに付勢される。

　次に、組立者は、カバー体４０を引手３０の上方Ｕから第１柱部２４及び第２柱部２５に嵌め込む。カバー体４０の上壁部４１が下方Ｄに押圧されると、支持部４３の係合片４３ａが第１傾斜部２４ｂ１及び第２傾斜部２５ｂ１に接触する。さらに上壁部４１が押圧されると、支持部４３が第１傾斜部２４ｂ１及び第２傾斜部２５ｂ１に摺動し、上壁部４１が弾性変形して、前後の支持部４３の間隔が徐々に開く。その後、係合片４３ａが第１傾斜部２４ｂ１及び第２傾斜部２５ｂ１を通過すると、上壁部４１が弾性復帰し、支持部４３の係合片４３ａが第１柱部２４の第１係合部２４ｂ２及び第２柱部２５の第２係合部２５ｂ２に係合する。この状態で、スライダー１０の組立が完成する。

　従来のスライダーは、組立時又は使用時に、カバー体４０の上壁部４１を押圧すると、上壁部４１の薄肉部分が一対の第１対向壁２４ａ及び一対の第２対向壁２５ａに接触する。薄肉部分とは、図４において上壁部４１の左右方向Ｌ－Ｒの端部であって、膨出部４４の左右方向外側に位置する部分である。薄肉部分の上下方向の厚さは、カバー体４０における膨出部４４が形成される位置での上下方向の厚さよりも薄くなっている。上壁部４１の薄肉部分が一対の第１対向壁２４ａ及び一対の第２対向壁２５ａに接触したままさらに押圧すると、強度の弱い上壁部４１の薄肉部分に過度の荷重がかかり、上壁部４１が破壊してしまうおそれがあった。

　本実施形態のスライダー１０は、この課題を解決するため、カバー体４０に延出部４５を設ける。本実施形態のスライダー１０の前後方向Ｆ－Ｂに直交する断面において、図５に示す延出部４５の当接部４５ａと一対の第１対向壁２４ａの第１被当接部２４ａ４との間隙ｔ１１のうち少なくとも一部は、図４に示す上壁部４１の下面４１ａと一対の第１対向壁２４ａの第１対向壁上面部２４ａ３との間隙ｔ１２よりも短い。また、図示しない延出部４５の当接部４５ａと一対の第２対向壁２５ａの第２被当接部２５ａ４との間隙ｔ２１のうち少なくとも一部は、上壁部４１の下面４１ａと一対の第２対向壁２５ａの第２対向壁上面部２５ａ３との間隙ｔ２２よりも短い。

　間隙ｔ１１、ｔ２１が間隙ｔ１２、ｔ２２よりも小さいことにより、上壁部４１が押圧されると、当接部４５ａと第１被当接部２４ａ４又は当接部４５ａと第２被当接部２５ａ４は、上壁部４１の下面４１ａと第１対向壁上面部２４ａ３又は上壁部４１の下面４１ａと第２対向壁上面部２５ａ３より先に当接して荷重を受ける。これにより、延出部４４により肉厚になった部分は、上壁部４１の薄肉部分よりも先に荷重を受けることになり、上壁部４１の薄肉部分の下面４１ａに過度の荷重がかかることがなくなり、カバー体４０の破損を格別顕著に低減することができる。

　なお、当接部４５ａと一対の第１対向壁２４ａの第１被当接部２４ａ４との間隙ｔ１１は、当接部４５ａと一対の第２対向壁２５ａの第２被当接部２５ａ４との間隙ｔ２１と同一でもよく、異なってもよい。また、上壁部４１の下面４１ａと一対の第１対向壁２４ａの第１対向壁上面部２４ａ３との間隙ｔ１２は、上壁部４１の下面４１ａと一対の第２対向壁２５ａの第２対向壁上面部２５ａ３との間隙ｔ２２と同一でもよく、異なってもよい。さらに、当接部４５ａと一対の第１対向壁２４ａの第１被当接部２４ａ４、及び、当接部４５ａと一対の第２対向壁２５ａの第２被当接部２５ａ４は、通常時に接触していてもよい。この場合、当接部４５ａと一対の第１対向壁２４ａの第１被当接部２４ａ４との間隙ｔ１１、及び、当接部４５ａと一対の第２対向壁２５ａの第２被当接部２５ａ４との間隙ｔ２１は、０でもよい。

　図６は、他の実施形態のスライダーの側面図を示す。

　当接部４５ａ、第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４は、この形状に限らず、図６に示すように、曲面状で形成してもよく、段差状で形成してもよい。また、第１被当接部２４ａ４の形状は、第２被当接部２５ａ４の形状と異ならせてもよい。第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４の形状が異なる場合、当接部４５ａの形状は、第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４の形状にあわせて形成すればよい。また、一対の第１対向壁２４ａのそれぞれで、第１被当接部２４ａ４の形状を変更してもよい。その場合、一対の延出部４５のそれぞれの当接部４５ａの形状は、それらと対向する一対の第１対向壁２４ａの第１被当接部２４ａ４の形状にあわせて形成されればよい。一対の第２対向壁２５ａについても同様のことが言える。

　当接部４５ａ、第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４の形状を様々に異ならせることができるので、カバー体４０の設計を多様化させることができる。例えば、当接部４５ａ、第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４を傾斜状に形成することにより、荷重を均一に受けることができ、上翼板２１に対して４５度以下に形成することにより、荷重を水平面に近い状態で受けることができる。また、当接部４５ａ、第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４を段差状に形成することにより、水平面でより強い荷重を受けることができる。

　図６に示す実施形態も、スライダー１０の前後方向Ｆ－Ｂに直交する断面において、延出部４５の当接部４５ａと一対の第１対向壁２４ａの第１被当接部２４ａ４との間隙ｔ３１のうち少なくとも一部は、上壁部４１の下面４１ａと一対の第１対向壁２４ａの第１対向壁上面部２４ａ３との間隙ｔ３２よりも短い。また、延出部４５の当接部４５ａと一対の第２対向壁２５ａの第２被当接部２５ａ４との間隙ｔ４１のうち少なくとも一部は、上壁部４１の下面４１ａと一対の第２対向壁２５ａの第２対向壁上面部２５ａ３との間隙ｔ４２よりも短い。

　間隙ｔ３１、ｔ４１が間隙ｔ３２、ｔ４２よりも小さいことにより、上壁部４１が押圧されると、当接部４５ａと第１被当接部２４ａ４又は当接部４５ａと第２被当接部２５ａ４は、上壁部４１の下面４１ａと第１対向壁上面部２４ａ３又は上壁部４１の下面４１ａと第２対向壁上面部２５ａ３より先に当接して荷重を受けるため、上壁部４１の薄肉部の下面４１ａに過度の荷重がかかることがなくなり、カバー体４０の破損を格別顕著に低減する。このように、薄肉部分よりも先に延出部４５により肉厚になった部分が柱部に当接する形状であればよい。

　図７は、本実施形態のスライダーを用いたスライドファスナーを示す。

　本実施形態のスライドファスナー１は、複数の第１エレメント３ａ１からなる第１エレメント列３ａが第１ファスナーテープ２ａに固定された第１ファスナーストリンガー１ａ並びに複数の第２エレメント３ｂ１からなる第２エレメント列３ｂが第２ファスナーテープ２ｂに固定された第２ファスナーストリンガー１ｂを有する左右一対のファスナーチェーン１ａｂと、左右の連続エレメント列３ａ，３ｂに沿って摺動し、同連続エレメント列３ａ，３ｂのエレメント３ａ１，３ｂ１を噛合及び分離させるスライダー１０とを有している。

　また、以下の説明にて、ファスナーチェーン１ａｂの長手方向にて連続エレメント列が設けられる方向を前後方向Ｆ－Ｂとし、スライダー１０を摺動して左右の連続エレメント列３ａ，３ｂを噛合させる方向を前方Ｆ、分離させる方向を後方Ｂとする。そして、左右方向Ｌ－Ｒは、ファスナーチェーン１ａｂの面に水平で前後方向に垂直な方向とする。前後方向Ｆ－Ｂおよび左右方向Ｌ－Ｒで規定される面に垂直な方向を上下方向Ｕ－Ｄとし、ファスナーチェーン１ａｂのスライダー１０の引手３０が存在する側を上方Ｕとし、その反対側を下方Ｄとする。上下方向Ｕ－Ｄを表裏方向として、上方Ｕを表側、下方Ｄを裏側とも言うことができる。

　ファスナーチェーン１ａｂは、一対のファスナーストリンガー１ａ，１ｂからなる。ファスナーストリンガー１ａ，１ｂは、上面と下面を有する一対のファスナーテープ２ａｂと、一対のファスナーテープ２ａｂのそれぞれの縁部２ｃに所定のピッチ毎に固定された複数のエレメント３ａ１，３ｂ１からなるエレメント列３ａ，３ｂと、を有し、各エレメント列３ａ，３ｂが対向するように配置されている。

　また、各連続エレメント列３ａ，３ｂの上端には、上止具４が固定され、連続エレメント列３ａ，３ｂの下端には一つの下止具５が固定されている。これにより、連続エレメント列３ａ，３ｂの上端と下端とからスライダー１０が抜脱することを防いでいる。なお、本実施形態では、下止具５に代えて、蝶棒と箱棒とを有する開き具を固定することも可能である。

　以上、本実施形態のスライダー１０は、胴体２０と、引手３０と、カバー体４０と、を備えるスライダー１０であって、スライダー１０の引手３０が存在する側を上方Ｕ、その反対側を下方Ｄとし、スライダー１０をファスナーチェーン１ａｂに装着した際にスライダー１０を摺動して左右の連続エレメント列３ａ，３ｂを噛合させる方向を前方Ｆ、分離させる方向を後方Ｂとし、スライダー１０を上方Ｕから見て前後方向Ｆ－Ｂの左側を左方Ｌ、その反対側を右方Ｒとすると、胴体２０は、上翼板２１と、上翼板２１の下方Ｄに所定の間隔で設置される下翼板２２と、上翼板２１と下翼板２２を前方Ｆで連結する案内柱２３と、上翼板２１の上面の前部から上方Ｕへ向けて突出して設置される第１柱部２４と、上翼板２１の上面の後部から上方Ｕへ向けて突出して設置される第２柱部２５と、を有し、第１柱部２４は、左右方向Ｌ－Ｒに対向する一対の第１対向壁２４ａを含み、第２柱部２５は、左右方向Ｌ－Ｒに対向する一対の第２対向壁２５ａを含み、引手３０は、第１柱部２４と第２柱部２５の間に設置される枢軸３２ａを含み、カバー体４０は、第１柱部２４、第２柱部２５及び枢軸３２ａを覆う上壁部４１と、上壁部４１から前方Ｆ且つ下方Ｄ、後方Ｂ且つ下方Ｄにそれぞれ湾曲して延びる湾曲部４２と、それぞれの湾曲部４２から下方Ｄに延びて第１柱部２４及び第２柱部２５に支持される支持部４３と、上壁部４１から下方Ｄに延びる延出部４５と、を有し、延出部４５は、上壁部４１の前方Ｆ及び後方Ｂからそれぞれ下方Ｄに延びる２つの当接部４５ａを含み、一対の第１対向壁２４ａは、当接部４５ａに対向する第１被当接部２４ａ４と、上壁部４１の下面４１ａに対向する第１対向壁上面部２４ａ３と、を含み、一対の第２対向壁２５ａは、当接部４５ａに対向する第２被当接部２５ａ４と、上壁部４１の下面４１ａに対向する第２対向壁上面部２５ａ３と、を含み、前後方向Ｆ－Ｂに直交する断面において、当接部４５ａと第１被当接部２４ａ４との間隙ｔ１１のうち少なくとも一部は、上壁部４１の下面４１ａと第１対向壁上面部２４ａ３との間隙ｔ１２よりも短く、当接部４５ａと第２被当接部２５ａ４との間隙ｔ２１のうち少なくとも一部は、上壁部４１の下面４１ａと第２対向壁上面部２５ａ３との間隙ｔ２２よりも短い。

　したがって、上壁部４１が押圧されると、上壁部４１の下面４１ａと第１対向壁上面部２４ａ３又は上壁部４１の下面４１ａと第２対向壁上面部２５ａ３より間隙の短い当接部４５ａと第１被当接部２４ａ４又は当接部４５ａと第２被当接部２５ａ４が、先に当接して荷重を受けるため、上壁部４１の薄肉部の下面４１ａに過度の荷重がかかることがなくなり、カバー体４０の破損を格別顕著に低減することができ、カバー体４０の耐衝撃性を向上することができるとともに、良好な組立性が実現することができる。

　また、本実施形態のスライダー１０は、当接部４５ａと第１被当接部２４ａ４が当接する時、上壁部４１の下面４１ａと第１対向壁上面部２４ａ３は、間隙を有し、当接部４５ａと第２被当接部２５ａ４が当接する時、上壁部４１の下面４１ａと第２対向壁上面部２５ａ３は、間隙を有する。

　当接部４５ａと第１被当接部２４ａ４又は当接部４５ａと第２被当接部２５ａ４が、当接して荷重を受けるため、上壁部４１の薄肉部の下面４１ａに過度の荷重がかかることがなくなり、カバー体４０の破損をより顕著に低減することができ、カバー体４０の耐衝撃性をより向上することできる。

　また、本実施形態のスライダー１０は、カバー体４０は、上壁部４１の下面４１ａの左右方向Ｌ－Ｒに対する中央を含み下方Ｄに向けて延びる膨出部４４を有し、膨出部４４の一部は、一対の第１対向壁２４ａの間、及び、一対の第２対向壁２５ａの間に配置され、延出部４５は、上壁部４１の下面４１ａの左右端部から下方Ｄに延びる。

　したがって、膨出部４４の一部が第１柱部２４の一対の第１対向壁２４ａの間及び第２柱部２５の一対の第２対向壁２５ａの間に嵌挿されるので、カバー体４０の第１柱部２４及び第２柱部２５に対する左右への移動を抑えることができる。

　また、本実施形態のスライダー１０は、当接部４５ａ、及び、第１被当接部２４ａ４と第２被当接部２５ａ４のうち少なくとも１つは、上翼板２１に対して傾斜した傾斜形状である。したがって、当接部４５ａ、第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４を傾斜状に形成することにより、荷重を均一に受けることができる。

　また、本実施形態のスライダー１０は、傾斜形状の上翼板２１に対する傾斜角度は、４５度以下である。したがって、上翼板２１に対して４５度以下に形成することにより、荷重を水平面に近い状態で受けることができる。

　また、本実施形態のスライダー１０は、当接部４５ａ、及び、第１被当接部２４ａ４と第２被当接部２５ａ４のうち少なくとも１つは、階段状に形成される。したがって、当接部４５ａ、第１被当接部２４ａ４及び第２被当接部２５ａ４を段差状に形成することにより、水平面でより強い荷重を受けることができる。

　以上、本実施形態のスライドファスナー１は、複数の第１エレメント３ａ１からなる第１エレメント列３ａが第１ファスナーテープ２ａに固定された第１ファスナーストリンガー１ａ並びに複数の第２エレメント３ｂ１からなる第２エレメント列３ｂが第２ファスナーテープ２ｂに固定された第２ファスナーストリンガー１ｂを有する左右一対のファスナーチェーン１ａｂと、左右の連続エレメント列３ａ，３ｂに沿って摺動し、同連続エレメント列３ａ，３ｂのエレメント３ａ１，３ｂ１を噛合及び分離させる前記スライダー１０と、を備える。

　したがって、上壁部４１が押圧されると、上壁部４１の下面４１ａと第１対向壁上面部２４ａ３又は上壁部４１の下面４１ａと第２対向壁上面部２５ａ３より間隙の短い当接部４５ａと第１被当接部２４ａ４又は当接部４５ａと第２被当接部２５ａ４が、先に当接して荷重を受けるため、上壁部４１の薄肉部の下面４１ａに過度の荷重がかかることがなくなり、カバー体４０の破損を格別顕著に低減することができ、スライドファスナー１としての耐衝撃性を向上することができるとともに、良好な組立性が実現することができる。

１…スライドファスナー、１ａｂ…ファスナーチェーン、１ａ，１ｂ…ファスナーストリンガー、２ａｂ…ファスナーテープ、３ａ１，３ｂ１…エレメント、３ａ，３ｂ…エレメント列
１０…スライダー、２０…胴体、２１…上翼板、２１ａ，２２ａ…フランジ、２２…下翼板、２３…案内柱、
２４…第１柱部、２４ａ…第１対向壁、２４ａ３…第１対向壁上面部、２４ａ４…第１被当接部、２４ｂ…第１係止部、
２５…第２柱部、２５ａ…第２対向壁、２５ａ３…第２対向壁上面部、２５ａ４…第２被当接部、２５ｂ…第２係止部、
３０…引手、３１…把持部、３２…環状保持部、３３…枢軸、
４０…カバー体、４１…上壁部、４１ａ…下面、４２…湾曲部、４３…支持部、４４…膨出部、
４５…延出部、４５ａ…当接部、
５０…ロック体、５１…板バネ、５２…爪部材

Claims

　胴体（２０）と、引手（３０）と、カバー体（４０）と、を備えるスライダー（１０）であって、
　前記スライダー（１０）の前記引手３０が存在する側を上方（Ｕ）、その反対側を下方（Ｄ）とし、前記スライダー（１０）をファスナーチェーン（１ａｂ）に装着した際に前記スライダー（１０）を摺動して左右の連続エレメント列（３ａ，３ｂ）を噛合させる方向を前方（Ｆ）、分離させる方向を後方（Ｂ）とし、前記スライダー（１０）を上方（Ｕ）から見て前後方向（Ｆ－Ｂ）の左側を左方（Ｌ）、その反対側を右方（Ｒ）とすると、
　前記胴体（２０）は、上翼板（２１）と、前記上翼板（２１）の下方（Ｄ）に所定の間隔で設置される下翼板（２２）と、前記上翼板（２１）と前記下翼板（２２）を前方（Ｆ）で連結する案内柱（２３）と、前記上翼板（２１）の上面の前部から上方（Ｕ）へ向けて突出して設置される第１柱部（２４）と、前記上翼板（２１）の上面の後部から上方（Ｕ）へ向けて突出して設置される第２柱部（２５）と、を有し、
　前記第１柱部（２４）は、左右方向（Ｌ－Ｒ）に並設される一対の第１対向壁（２４ａ）を含み、
　前記第２柱部（２５）は、左右方向（Ｌ－Ｒ）に並設される一対の第２対向壁（２５ａ）を含み、
　前記引手（３０）は、前記第１柱部（２４）と前記第２柱部（２５）の間に設置される枢軸（３２ａ）を含み、
　前記カバー体（４０）は、前記第１柱部（２４）、前記第２柱部（２５）及び前記枢軸（３２ａ）を覆う上壁部（４１）と、前記上壁部（４１）から前方（Ｆ）且つ下方（Ｄ）、後方（Ｂ）且つ下方（Ｄ）にそれぞれ湾曲して延びる湾曲部（４２）と、それぞれの前記湾曲部（４２）から下方（Ｄ）に延びて前記第１柱部（２４）及び前記第２柱部（２５）に支持される支持部（４３）と、前記上壁部（４１）から下方（Ｄ）に延びる延出部（４５）と、を有し、
　前記延出部（４５）は、前記上壁部（４１）の前方（Ｆ）及び後方（Ｂ）からそれぞれ下方（Ｄ）に延びる２つの当接部（４５ａ）を含み、
　前記一対の第１対向壁（２４ａ）は、前記当接部（４５ａ）に対向する第１被当接部（２４ａ４）と、前記上壁部（４１）の下面（４１ａ）に対向する第１対向壁上面部（２４ａ３）と、を含み、
　前記一対の第２対向壁（２５ａ）は、前記当接部（４５ａ）に対向する第２被当接部（２５ａ４）と、前記上壁部（４１）の下面（４１ａ）に対向する第２対向壁上面部（２５ａ３）と、を含み、
　前後方向（Ｆ－Ｂ）に直交する断面において、
　前記当接部（４５ａ）と前記第１被当接部（２４ａ４）との間隙（ｔ１１）のうち少なくとも一部は、前記上壁部（４１）の下面（４１ａ）と前記第１対向壁上面部（２４ａ３）との間隙（ｔ１２）よりも短く、
　前記当接部（４５ａ）と前記第２被当接部（２５ａ４）との間隙（ｔ２１）のうち少なくとも一部は、前記上壁部（４１）の下面（４１ａ）と前記第２対向壁上面部（２５ａ３）との間隙（ｔ２２）よりも短い
ことを特徴とするスライダー（１０）。
　前記当接部（４５ａ）と前記第１被当接部（２４ａ４）が当接する時、前記上壁部（４１）の下面（４１ａ）と前記第１対向壁上面部（２４ａ３）は、間隙を有し、
　前記当接部（４５ａ）と前記第２被当接部（２５ａ４）が当接する時、前記上壁部（４１）の下面（４１ａ）と前記第２対向壁上面部（２５ａ３）は、間隙を有する
ことを特徴とする請求項１に記載のスライダー（１０）。
　前記カバー体（４０）は、前記上壁部（４１）の下面（４１ａ）の左右方向（Ｌ－Ｒ）に対する中央を含み下方（Ｄ）に向けて延びる膨出部（４４）を有し、
　前記膨出部（４４）の一部は、前記一対の第１対向壁（２４ａ）の間、及び、一対の第２対向壁（２５ａ）の間に配置され、
　前記延出部（４５）は、前記上壁部（４１）の下面（４１ａ）の左右端部から下方（Ｄ）に延びる
ことを特徴とする請求項１又は請求項２に記載のスライダー（１０）。
　前記当接部（４５ａ）、及び、前記第１被当接部（２４ａ４）と前記第２被当接部（２５ａ４）のうち少なくとも１つは、前記上翼板（２１）に対して傾斜した傾斜形状である
ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のスライダー（１０）。
　前記傾斜形状の前記上翼板（２１）に対する傾斜角度は、４５度以下である
ことを特徴とする請求項４に記載のスライダー（１０）。
　前記当接部（４５ａ）、及び、前記第１被当接部（２４ａ４）と前記第２被当接部（２５ａ４）のうち少なくとも１つは、階段状に形成される
ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のスライダー（１０）。
　複数の第１エレメント（３ａ１）からなる第１エレメント列（３ａ）が第１ファスナーテープ（２ａ）に固定された第１ファスナーストリンガー（１ａ）並びに複数の第２エレメント（３ｂ１）からなる第２エレメント列（３ｂ）が第２ファスナーテープ（２ｂ）に固定された第２ファスナーストリンガー（１ｂ）を有する左右一対のファスナーチェーン（１ａｂ）と、
　左右の連続エレメント列（３ａ，３ｂ）に沿って摺動し、同連続エレメント列（３ａ，３ｂ）のエレメント（３ａ１，３ｂ１）を噛合及び分離させる請求項１乃至６のいずれか１項に記載のスライダー（１０）と、
を備える
ことを特徴とするスライドファスナー（１）