WO2023188122A1 - 配線シート - Google Patents

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Abstract

複数の導電性線状体(21)が間隔をもって配列された疑似シート構造体(2)と、導電性線状体(21)に直接的に接触する一対の電極(4)とを備える配線シート(100)であって、電極(4)のヤング率が、1×10Pa超100×10Pa以下である、配線シート(100)。

Description

配線シート
 本発明は、配線シートに関する。
 複数の金属ワイヤーが間隔をもって配列された疑似シート構造体を有する配線シートが知られている。この配線シートは、例えば、発熱するテキスタイルの材料、種々の物品を発熱させる部材、および発熱装置の発熱体に利用できる。
 発熱体の用途に用いるシートとして、例えば、特許文献1には、一方向に延びた複数の線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体を有するシートが記載されている。そして、複数の線状体の両端に、一対の電極が設けられることで、発熱体として用いることができる配線シートが得られる。
国際公開第2017/086395号
 しかしながら、特許文献1に記載のシートにおいては、導電性線状体と電極との接触抵抗により、配線シートの抵抗値が計算値よりも高くなってしまうことが分かった。
 本発明の目的は、導電性線状体と電極との接触抵抗を小さくできる配線シートを提供することである。
 本発明の一態様によれば、複数の導電性線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体と、前記導電性線状体に直接的に接触する一対の電極とを備える配線シートであって、前記電極のヤング率が、1×10Pa超100×10Pa以下である、配線シートが提供される。
 本発明の一態様に係る配線シートにおいて、前記電極の軸方向における抵抗値Rと、前記導電性線状体の軸方向における全体の抵抗値rとの関係が、下記数式(F1)で表される条件を満たすことが好ましい。
r>R・・・(F1)
 本発明の一態様に係る配線シートにおいて、前記電極の厚さが、40μm以下であることが好ましい。
 本発明の一態様に係る配線シートにおいて、前記電極は、金めっき処理が施されていることが好ましい。
 本発明の一態様に係る配線シートにおいて、前記電極は、ヤング率が1×10Pa超100×10Pa以下である導体のみからなることが好ましい。
 本発明の一態様に係る配線シートにおいて、前記疑似シート構造体を支持する樹脂層を備えることが好ましい。
 本発明の一態様に係る配線シートにおいて、前記疑似シート構造体を支持する基材を備えることが好ましい。
 本発明の一態様によれば、前記本発明の一態様に係る配線シートを製造する方法であって、前記疑似シート構造体の上に、前記導電性線状体に直接的に接触するように、ヤング率が1×10Pa超100×10Pa以下である導体からなる、一対の電極を形成する工程を備える、配線シートの製造方法が提供される。
 本発明の一態様によれば、導電性線状体と電極との接触抵抗を小さくできる配線シートを提供できる。
本発明の実施形態に係る配線シートを示す概略図である。 図1のII-II断面を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る配線シートを製造する方法を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る配線シートを製造する方法を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る配線シートを製造する方法を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る配線シートを製造する方法を説明するための図である。
 以下、本発明について実施形態を例に挙げて、図面に基づいて説明する。本発明は実施形態の内容に限定されない。なお、図面においては、説明を容易にするために拡大又は縮小をして図示した部分がある。
(配線シート)
 本実施形態に係る配線シート100は、図1及び図2に示すように、複数の導電性線状体21が間隔をもって配列された疑似シート構造体2と、一対の電極4とを備えている。疑似シート構造体2は、電極4と電気的に接続されている。
 そして、電極4のヤング率が、1×10Pa超100×10Pa以下である。
 本実施形態に係る配線シート100によれば、導電性線状体21と電極4との接触抵抗を小さくできる理由は、必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。
 すなわち、導電性線状体21と電極4との接触抵抗は、導電性線状体21を電極4に圧着した場合における導電性線状体21の電極4へのくい込みやすさと関係するものと推察する。そして、電極4が硬すぎる場合(電極4のヤング率が高すぎる場合)には、導電性線状体21の電極4へ殆どくい込まない。一方で、本実施形態に係る配線シート100においては、電極4のヤング率が前記範囲内であるため、導電性線状体21の電極4への適度のくい込みが生ずる。このようにして、導電性線状体21と電極4との接触抵抗を小さくできるものと本発明者らは推察する。
(基材)
 基材1は、疑似シート構造体2を直接的または間接的に支持できる。なお、基材1は、必ずしも備えていなくてもよい。基材1は必要に応じて設けられる部材である。
 基材1としては、例えば、樹脂フィルム、紙、金属箔、不織布、布及びガラス等が挙げられる。
 基材1は、透明、又は視認性を有することが好ましい。このような構成にすれば、配線シート100の光線透過性を向上できる。
 また、基材1は、伸縮性を有していてもよい。基材1が伸縮性を有することで、疑似シート構造体2を基材1上に設けた場合でも、配線シート100の伸縮性を確保できる。
 樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、及びポリイミドフィルム等、又はこれらの架橋フィルム及び積層フィルム等が挙げられる。
 また、不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブロー不織布、及びスパンレース不織布等が挙げられる。布としては、例えば、織物及び編物等が挙げられる。ガラスとしては、ガラス板、ガラス繊維、及びガラスフィルム等が挙げられる。
 上述の理由から基材1としては、樹脂フィルム、不織布、布、又はガラスが好ましく、樹脂フィルム、ガラスがよりさらに好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、又はガラス板が特に好ましい。
 基材1の厚さは特に限定されない。基材1の厚さは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、基材1の厚さは、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい。
(疑似シート構造体)
 疑似シート構造体2は、複数の導電性線状体21が、互いに間隔をもって配列された構造とされている。すなわち、疑似シート構造体2は、複数の導電性線状体21が、互いに間隔をもって、平面又は曲面を構成するように配列された構造体である。導電性線状体21は、配線シート100の平面視において、一方向に延び、直線又は波形状を成している。そして、疑似シート構造体2は、導電性線状体21が、導電性線状体21の軸方向と直交する方向に、複数配列された構造としている。
 なお、導電性線状体21は、配線シート100の平面視において、直線状であってもよいが、波形状を成していてもよい。波形状としては、例えば、正弦波、矩形波、三角波、及びのこぎり波等が挙げられる。疑似シート構造体2が、このような構造であれば、導電性線状体21の軸方向に、配線シート100を伸張した際に、導電性線状体21の断線を抑制できる。
 導電性線状体21の体積抵抗率は、1×10-9Ω・m以上であることが好ましく、1×10-8Ω・m以上であることがより好ましい。導電性線状体21の体積抵抗率は、1×10-3Ω・m以下であることが好ましく、1×10-4Ω・m以下であることがより好ましい。導電性線状体21の体積抵抗率を前記範囲にすると、疑似シート構造体2の面抵抗が低下しやすくなる。
 導電性線状体21の体積抵抗率の測定方法は、次の通りである。導電性線状体21の両端に銀ペーストを塗布し、端部からの長さが300mmの部分の抵抗を測定した。そして、導電性線状体21の断面積(単位:m)を前記の抵抗値に乗じ、得られた値を前記の測定した長さ(0.3m)で除して、導電性線状体21の体積抵抗率を算出する。
 導電性線状体21の断面の形状は、特に限定されず、多角形、扁平形、楕円形、又は円形等を取り得るが、樹脂層3との馴染み等の観点から、楕円形、円形であることが好ましい。
 導電性線状体21の断面が円形である場合には、導電性線状体21の太さ(直径)D(図2参照)は、3μm以上75μm以下であることが好ましい。シート抵抗の上昇抑制と、配線シート100を発熱体として用いた場合の発熱効率及び耐絶縁破壊特性の向上との観点から、導電性線状体21の直径Dは、5μm以上であることがより好ましく、8μm以上であることがさらに好ましい。また、導電性線状体21の直径Dは、60μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることがさらに好ましいく、25μm以下であることが特に好ましい。
 導電性線状体21の断面が楕円形である場合には、長径が前記の直径Dと同様の範囲にあることが好ましい。
 導電性線状体21の直径Dは、デジタル顕微鏡を用いて、疑似シート構造体2の導電性線状体21を観察し、無作為に選んだ5箇所で、導電性線状体21の直径を測定し、その平均値とする。
 導電性線状体21の間隔L(図2参照)は、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、0.8mm以上であることがさらに好ましい。また、導電性線状体21の間隔Lは、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、20mm以下であることがさらに好ましい。
 導電性線状体21同士の間隔が前記範囲であれば、導電性線状体がある程度密集しているため、疑似シート構造体の抵抗を低く維持し、配線シート100を発熱体として用いる場合の温度上昇の分布を均一にする等の、配線シート100の機能の向上を図ることができる。
 導電性線状体21の間隔Lは、デジタル顕微鏡を用いて、疑似シート構造体2の導電性線状体21を観察し、隣り合う2つの導電性線状体21の間隔を測定する。
 なお、隣り合う2つの導電性線状体21の間隔とは、導電性線状体21を配列させた方向に沿った長さであって、2つの導電性線状体21の対向する部分間の長さである(図2参照)。間隔Lは、導電性線状体21の配列が不等間隔である場合には、全ての隣り合う導電性線状体21同士の間隔の平均値である。
 導電性線状体21は、特に制限はないが、金属ワイヤーを含む線状体(以下「金属ワイヤー線状体」とも称する)であることがよい。金属ワイヤーは高い熱伝導性、高い電気伝導性、高いハンドリング性を有するため、導電性線状体21として金属ワイヤー線状体を適用すると、疑似シート構造体2の抵抗値を低減しつつ、光線透過性が向上しやすくなる。また、配線シート100(疑似シート構造体2)を発熱体として適用したとき、速やかな発熱が実現されやすくなる。さらに、上述したように直径が細い線状体を得られやすい。
 なお、導電性線状体21としては、金属ワイヤー線状体の他に、カーボンナノチューブを含む線状体、及び、糸に導電性被覆が施された線状体が挙げられる。
 金属ワイヤー線状体は、1本の金属ワイヤーからなる線状体であってもよいし、複数本の金属ワイヤーを撚った線状体であってもよい。
 金属ワイヤーとしては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、金等の金属、又は、金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、及びレニウムタングステン等)を含むワイヤーが挙げられる。また、金属ワイヤーは、金、錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、ニッケルクロム合金、又は、はんだ等でめっきされたものであってもよく、後述する炭素材料又はポリマーにより表面が被覆されたものであってもよい。特に、タングステン及びモリブデン並びにこれらを含む合金から選ばれる一種以上の金属を含むワイヤーが、細くて高強度であり、低い体積抵抗率の導電性線状体21とする観点から好ましい。
 また、金属ワイヤーは金めっき処理が施されていることが特に好ましい。この金めっき処理により、金属ワイヤーのマイグレーションを抑制できる。
 金属ワイヤーとしては、炭素材料で被覆された金属ワイヤーも挙げられる。金属ワイヤーは、炭素材料で被覆されていると、金属光沢が低減し、金属ワイヤーの存在を目立たなくすることが容易となる。また、金属ワイヤーは、炭素材料で被覆されていると金属腐食も抑制される。
 金属ワイヤーを被覆する炭素材料としては、非晶質炭素(例えば、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、及びカーボンファイバー等)、グラファイト、フラーレン、グラフェン及びカーボンナノチューブ等が挙げられる。
 導電性線状体21は、糸に導電性被覆が施された線状体であってもよい。糸としては、ナイロン、ポリエステル等の樹脂から紡糸した糸等が挙げられる。導電性被覆としては、金属、導電性高分子、炭素材料等の被膜等が挙げられる。導電性被覆は、めっき又は蒸着法等により形成することができる。糸に導電性被覆が施された線状体は、糸の柔軟性を維持しつつ、線状体の導電性を向上させることができる。つまり、疑似シート構造体2の抵抗を、低下させることが容易となる。
(樹脂層)
 樹脂層3は、樹脂を含む層である。この樹脂層3により、疑似シート構造体2を直接または間接的に支持できる。なお、樹脂層3は、必ずしも備えていなくてもよい。樹脂層3は必要に応じて設けられる部材である。また、樹脂層3は、接着剤を含む層であることが好ましい。樹脂層3に疑似シート構造体2を形成する際に、接着剤により、導電性線状体21の樹脂層3への貼り付けが容易となる。なお、樹脂層3は、伸縮性を有することが好ましい。このような場合には、配線シート100の伸縮性を確保できる。
 樹脂層3に接着剤が含まれる場合、樹脂層3に適用される接着剤は、特に限定されない。接着剤は、例えば、乾燥固化性の接着剤、加熱溶融性の接着剤、硬化性の接着剤(硬化性接着剤)、及び感圧性の接着剤等を用いることができる。乾燥固化性の接着剤は、接着剤組成物を塗布した後、乾燥させることで水分又は溶剤を取り除き、固体化する接着剤であることを表す。硬化性の接着剤は、接着剤組成物を塗布し、任意に乾燥させた後、化学反応をさせることで、固体化する接着剤を表す。硬化性の接着剤は、(1)加熱処理、及びエネルギー線の照射処理の少なくともいずれかの処理を施して重合反応等の化学反応をさせることで、固体化する接着剤、並びに、(2)湿気(水分)と反応することで、固体化する接着剤などが含まれる。加熱溶融性の接着剤は、熱により溶融し、冷却されることにより接着する接着剤を表す。感圧性の接着剤は、粘着剤(感圧性接着剤)の粘着性により接着する接着剤(粘着剤)を表す。樹脂層3の接着剤は、例えば、湿潤させて貼付性を発現させる接着剤等も挙げられる。
 樹脂層3は、粘着剤(感圧性接着剤)を含む層であってもよい。粘着剤層の粘着剤は、特に限定されない。例えば、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、及びポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着剤は、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びゴム系粘着剤からなる群から選択される少なくともいずれかであることが好ましく、アクリル系粘着剤であることがより好ましい。
 アクリル系粘着剤としては、例えば、直鎖のアルキル基又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系重合体(つまり、アルキル(メタ)アクリレートを少なくとも重合した重合体)、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系重合体(つまり、環状構造を有する(メタ)アクリレートを少なくとも重合した重合体)等が挙げられる。ここで「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
 アクリル系重合体(単独重合体及び共重合体を含む)は架橋剤により架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、及び金属キレート系架橋剤等が挙げられる。アクリル系重合体を架橋する場合には、アクリル系重合体の単量体成分に由来する官能基として、これらの架橋剤と反応する水酸基、及びカルボキシ基の少なくとも1種等をアクリル系重合体に導入することができる。
 樹脂層3は、特に限定されず、例えば、硬化性であるか、又は硬化性でなくてもよい。例えば、樹脂層3が接着剤を含む場合、又は樹脂層3が粘着剤を含む場合も同様に、樹脂層3は、硬化性であるか、又は硬化性でなくてもよい。樹脂層3は、樹脂層3が配線シート100の最表層を構成できる観点で、硬化性樹脂層であることが好ましい。樹脂層3が硬化性樹脂層であれば、樹脂層3の表面は、優れた耐擦傷性が得られやすい。また、樹脂層3は、適用の簡便さの観点で、エネルギー線硬化性の硬化性樹脂層であることがより好ましい。エネルギー線硬化性の硬化性樹脂層は、紫外線、可視光線、赤外線、及び電子線等のエネルギー線硬化性の硬化性樹脂層が挙げられる。なお、「エネルギー線硬化」には、エネルギー線を用いた加熱による熱硬化も含まれる。
 本明細書において、硬化とは、単に硬化性樹脂が反応することのみを指すのではない。硬化は、硬化した樹脂層3の表面のタック性が抑制される(好ましくはタック性がなくなる)こと、及び硬化した樹脂層3の表面が優れた耐擦傷性が得られることも含み得る概念である。
 また、樹脂層3が配線シート100の最表層を構成する場合、樹脂層3は、タック性が小さいほうが好ましく、タック性を有さないことがより好ましい。さらに、この観点で、樹脂層3は、硬化性樹脂であることが好ましく、エネルギー線硬化性樹脂を含む硬化性の接着剤層であることがより好ましい。
 本明細書において、タック性とは、物質の表面に生じるベタつき感を意味する。本実施形態では、タック性は、樹脂層3の表面に生じるベタつき感を意味する。
 樹脂層3がエネルギー線硬化性の樹脂層である場合、エネルギー線硬化性樹脂を含有していてもよい。例えば、樹脂層3が粘着剤を含む層である場合、樹脂層3は、粘着剤の他に、さらに、エネルギー線硬化性樹脂を含有する粘着剤組成物から形成される。また、例えば、樹脂層3が接着剤を含む層である場合、樹脂層3は、エネルギー線硬化性樹脂を含有する接着剤組成物から形成される。エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物であることが好ましい。前記アクリレート系化合物としては、例えば、鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート、環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート、及びイタコン酸オリゴマー等が挙げられる。エネルギー線硬化性樹脂は、一種単独で、又は二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。エネルギー線硬化性樹脂が二種以上を含んでいる場合、エネルギー線硬化性樹脂の組み合わせ、及びその比率は、目的に応じて選択できる。
 エネルギー線硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましい。また、エネルギー線硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましい。
 樹脂層3が、エネルギー線硬化性の樹脂層である場合、エネルギー線硬化性樹脂と、後述する熱可塑性樹脂とを組み合わせてもよく、エネルギー線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組み合わせ、及びその比率は、目的に応じて選択できる。
 樹脂層3が熱硬化性の樹脂層である場合、樹脂層3は、熱硬化性樹脂を含んでいる。樹脂層3に用いられる熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノキシ樹脂、アミン系化合物、及び酸無水物系化合物等が挙げられる。これらは一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イミダゾール系硬化触媒を使用した硬化に適するという観点から、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物、及び酸無水物系化合物の一種単独、又は二種以上を使用することが好ましい。特に、優れた硬化性を示すという観点から、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、それらの混合物、又は、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミン系化合物、及び酸無水物系化合物からなる群から選択される少なくとも一種との混合物を使用することが好ましい。
 樹脂層3が湿気硬化性の樹脂層である場合、樹脂層3は、湿気硬化性樹脂を含んでいる。樹脂層3に用いられる湿気硬化性樹脂としては、特に限定されず、湿気硬化性ウレタン樹脂(イソシアネート基が湿気で硬化して生成する樹脂)、及び変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
 樹脂層3に、エネルギー線硬化性樹脂、及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方が用いられる場合、樹脂層3は、光重合開始剤、及び熱重合開始剤等が用いられることが好ましい。樹脂層3が、エネルギー線硬化性樹脂を含む場合には、光重合開始剤等が用いられることにより、樹脂層3には、架橋構造が形成される。また、樹脂層3が、熱硬化性樹脂を含む場合には、熱重合開始剤等が用いられることにより、樹脂層3には、架橋構造が形成される。このため、導電性線状体21が、樹脂層3によって、より強固に保護されやすくなる。
 光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、2-クロロアントラキノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキサイド等が挙げられる。
 熱重合開始剤としては、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸塩(ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、及びペルオキソ二硫酸カリウム等)、アゾ系化合物(2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等)、及び有機過酸化物(過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、及びクメンヒドロパーオキサイド等)等が挙げられる。
 これらの重合開始剤は、一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの重合開始剤を用いて架橋構造を形成する場合、重合開始剤の使用量は、エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方の樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。また、重合開始剤の使用量は、エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方の樹脂100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
 樹脂層3は、硬化性でなく、例えば、熱可塑性樹脂組成物からなる層であってもよい。そして、熱可塑性樹脂組成物中に溶媒(水、溶剤等)を含有させることで、熱可塑性樹脂層を軟化させることができる。これにより、樹脂層3に導電性線状体21を形成する際に、導電性線状体21の樹脂層3への配置が容易となる。一方で、熱可塑性樹脂組成物中の溶媒を揮発させることで、熱可塑性樹脂層を乾燥固化させることができる。
 熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、及びアクリル樹脂等が挙げられる。溶媒としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びハロゲン化アルキル系溶媒等の溶剤、並びに、水等が挙げられる。
 樹脂層3は、無機充填材を含有していてもよい。無機充填材を含有することで、硬化後の樹脂層3の硬度をより向上させることができる。また、樹脂層3の熱伝導性が向上する。
 無機充填材としては、例えば、無機粉末(例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、金属、及び窒化ホウ素等の粉末)、無機粉末を球形化したビーズ、単結晶繊維、及びガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、無機充填材としては、シリカフィラー及びアルミナフィラーであることが好ましい。無機充填材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
 樹脂層3には、その他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、例えば、有機溶媒、難燃剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、及び濡れ性調整剤等の周知の添加剤が挙げられる。
 樹脂層3の厚さは、配線シート100の用途に応じて適宜決定される。例えば、接着性の観点から、樹脂層3の厚さは、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。また、樹脂層3の厚さは、150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
(電極)
 電極4は、導電性線状体21に電流を供給するために用いられる。電極4は、導電性線状体21に直接的に接触する。そして、電極4は、導電性線状体21の両端部に電気的に接続されて配置される。
 本実施形態において、電極4のヤング率が、1×10Pa超100×10Pa以下であることが必要である。
 電極4のヤング率が1×10Pa以下であると、電極4が変形しやすくなり、その結果として体積抵抗率が高くなり過ぎる傾向にあり、電極4の抵抗値が高くなり過ぎるおそれがある。他方、電極4のヤング率が100×10Paを超えると、導電性線状体21と電極4との接触抵抗を小さくできない。
 同様の観点から、電極4のヤング率は、10×10Pa以上であることが好ましく、20×10Pa以上であることがより好ましく、30×10Pa以上であることがさらに好ましく、50×10Pa以上であることが特に好ましい。また、電極4のヤング率は、90×10Pa以下であることが好ましく、80×10Pa以下であることがより好ましく、70×10Pa以下であることが特に好ましい。
 電極4のヤング率は、連続剛性測定法により測定できる。具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
 電極4は、ヤング率が前記範囲内の公知の電極材料を用いて形成できる。電極材料としては、導電性ペースト(銀ペースト等)、及び金属箔(はんだ合金の箔等)等が挙げられる。
 電極4は、ヤング率が1×10Pa超100×10Pa以下である導体のみからなることが好ましい。このような電極4を用いれば、より確実に、導電性線状体21と電極4との接触抵抗を小さくできる。また、同様の観点から、電極4は、導電性ペーストから形成される導体のみからなることが好ましい。
 導電性ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、及びカーボンペーストなどが挙げられる。これらの中でも、低い体積抵抗率の観点から、銀ペーストが好ましい。
 電極4は、金めっき処理が施されていることが好ましい。この金めっき処理により、電極4のマイグレーションを抑制できる。
 一対の電極4の一方の電極の幅は、疑似シート構造体2の平面視において、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい。また、一対の電極4の一方の電極の幅の下限値は、例えば、0.1mm以上であってもよい。
 電極4の厚さは、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。電極4の厚さが前記上限以下であれば、導電性線状体21と電極4とを接触させた際に、導電性線状体21の変形が小さく、導通が安定化しやすい傾向にある。また、電極4の厚さの下限値は、例えば、1μm以上であってもよい。
 電極4の軸方向における抵抗値Rと、導電性線状体21の軸方向における全体の抵抗値rとの関係は、下記数式(F1)で表される条件を満たすことが好ましい。
r>R・・・(F1)
 数式(F1)で表される条件を満たす場合には、電極4の発熱を小さくできる。
 また、R/rの値は、0.0001以上であることが好ましく、0.0005以上であることがより好ましい。また、R/rは、0.3以下であることが好ましく、0.0.15以下であることがより好ましい。配線シート100を発熱体として用いる場合、疑似シート構造体2を発熱させるため、疑似シート構造体2はある程度の抵抗を有する必要がある一方、電極4は可能な限り電流が流れやすいことが好ましい。
 電極4の軸方向における抵抗値Rと、導電性線状体21の軸方向における全体の抵抗値rは、テスターを用いて測定することができる。まず電極4の軸方向における抵抗値Rと導電性線状体21の軸方向における抵抗値(1本あたり)を測定する。導電性線状体21の軸方向における抵抗値は、導電性線状体21の断面積に反比例することから、導電性線状体21の軸方向における抵抗値(1本あたり)を導電性線状体21の本数で割ることで、導電性線状体21の軸方向における全体の抵抗値rを算出する。
(配線シートの製造方法)
 次に、本実施形態に係る配線シートの製造方法について、説明する。
 本実施形態に係る配線シートの製造方法により、前述の本実施形態に係る配線シート100を作製できる。配線シートの製造方法は特に限定されない。
 本実施形態に係る配線シートの製造方法の一態様としては、疑似シート構造体2の上に、導電性線状体21に直接的に接触するように、ヤング率が1×10Pa超100×10Pa以下である導体からなる、一対の電極4を形成する工程(電極形成工程)を備える方法が挙げられる。
 また、本実施形態に係る配線シートの製造方法は、疑似シート構造体2を形成する工程(疑似シート構造体形成工程)を、さらに備えていてもよい。そして、疑似シート構造体形成工程および電極形成工程を、この順で実施することで、配線シート100を作製できる。
 疑似シート構造体形成工程においては、まず、図3Aに示すように、剥離フィルム5の上に、樹脂層3を形成するための接着剤を塗布し、塗膜を形成する。次に、塗膜を乾燥させて、樹脂層3を作製する。次に、樹脂層3上に、導電性線状体21を配列しながら配置して、疑似シート構造体2を形成する。例えば、ドラム部材の外周面に剥離フィルム5付きの樹脂層3を配置した状態で、ドラム部材を回転させながら、樹脂層3上に導電性線状体21を螺旋状に巻き付ける。その後、螺旋状に巻き付けた導電性線状体21の束をドラム部材の軸方向に沿って切断する。これにより、疑似シート構造体2を形成すると共に、樹脂層3上に配置する。そして、疑似シート構造体2が形成された剥離フィルム5付きの樹脂層3をドラム部材から取り出し、疑似シート構造体2の上に、別の剥離フィルム5’を貼り合わせることで、図3Aに示すような、疑似シート構造体2を備える積層体が得られる。この方法によれば、例えば、ドラム部材を回転させながら、導電性線状体21の繰り出し部をドラム部材の軸と平行な方向に沿って移動させることで、疑似シート構造体2における隣り合う導電性線状体21の間隔Lを調整することが容易である。
 剥離フィルム5は、特に限定されず、剥離性を有するフィルムであればよい。剥離フィルム5は、例えば、剥離基材と、剥離基材の上に剥離剤が塗布されて形成された剥離剤層とを備える剥離シートでもよい。剥離基材の上に設けられる剥離剤層は、剥離基材の片面のみに設けられていてもよく、剥離基材の両面に備えていてもよい。剥離基材としては、例えば、紙基材、紙又は不織布等の基材に熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、及び熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられる。剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、ゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、及びシリコーン系樹脂等が挙げられる。
 電極形成工程においては、まず、図3Aに示すように、積層体から片方の剥離フィルム5’を剥離する。また、図3Bに示すように、基材1上の両端部に、それぞれ帯状の導電性ペーストを塗布して、硬化させて、2本の電極4を形成して、電極4付きの基材1を作製する。
 次に、図3Cに示すように、電極4付きの基材1上に、片方の剥離フィルム5を剥離した積層体を、一対の電極4が疑似シート構造体2における導電性線状体21の両端部に配置するようにして、貼り合わせ、次いで、もう一方の剥離フィルム5を剥離する。
 以上のようにして、図3Dに示すような、配線シート100を作製できる。
(実施形態の作用効果)
 本実施形態によれば、次のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、電極4のヤング率が、1×10Pa超100×10Pa以下であるので、導電性線状体21と電極4との接触抵抗を小さくできる。
[実施形態の変形]
 本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
 例えば、前述の実施形態では、配線シート100は、基材1を備えているが、これに限定されない。例えば、配線シート100は、基材1を備えていなくてもよい。このような場合には、樹脂層3により、配線シート100を被着体に貼り付けて使用できる。
 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
[調製例1]
 フェノキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「YX7200B35」)100質量部に、多官能水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ化合物(三菱ケミカル株式会社製、製品名「YX8000」)170質量部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM-4803」)0.2質量部、熱カチオン重合開始剤(三新化学工業株式会社製、製品名「サンエイドSI-B3」)2質量部、及び、熱カチオン重合開始剤(三新化学工業株式会社製、製品名「サンエイドSI-B7」)2質量部を配合して、硬化性の接着剤を得た。
[実施例1]
(疑似シート構造体の作製)
 厚さ38μmの剥離フィルム(リンテック株式会社製、商品名「SP-PET382150」)上に、調製例1で得られた接着剤を塗布し乾燥し、乾燥後の厚さが15μmの樹脂層を形成し、250mm×320mmの長方形に裁断し、接着シートを作製した。
 導電性線状体として、金めっきタングステンワイヤー(直径10μm、株式会社トクサイ製、製品名「Au(0.1)-TWG」、以下、「ワイヤー」と称する。)を準備した。
 次に、外周面がゴム製のドラム部材に前記接着シートを、感圧接着剤層の表面が外側を向き、しわのないように巻きつけ、円周方向における前記接着シートの両端部を両面テープで固定した。ボビンに巻き付けた前記ワイヤーを、ドラム部材の端部付近に位置する接着シートの感圧接着剤層の表面に付着させた上で、ワイヤーを繰り出しながらドラム部材で巻き取り、少しずつドラム部材をドラム軸と平行な方向に移動させていき、ワイヤーが等間隔3mmでらせんを描きながらドラム部材に巻きつくようにした。これにより、ワイヤーが接着剤層の表面に80本並べられた状態で疑似シート構造体を形成した。その後、ワイヤーを切断し、ドラム部材上から、疑似シート構造体を取り外した。ワイヤー12本分が取り出されるように、40mm×82mmの長方形に疑似シート構造体を裁断し、疑似シート構造体が形成された積層体を作製した。
(電極付き基材の作製)
 基材としてのガラス板(厚さ2mm)に対して、銀ペースト(十条ケミカル株式会社製、製品名「#2 TF銀ペースト」)を2mm幅で電極間距離78mmになるようにスクリーン印刷した後、150℃、30分間の条件にて乾燥させて、膜厚が17μmの2本の帯状の電極(抵抗値:0.74Ω)を形成した。その後、無電解めっきにより、銀ペースト上にニッケル層(厚さ:1μm)及び金層(厚さ:50nm)をこの順に積層し、電極(抵抗値:0.56Ω)付き基材を作製した。
(配線シートの作製)
 得られた電極付き基材上に、得られた積層体を、2本の電極が疑似シート構造体における導電性線状体の両端部に配置するようにして、貼り合わせ、次いで、剥離フィルムを剥離した。その後、120℃、0.5MPa、30分間の条件で加熱圧着し、配線シートを得た。
[実施例2]
 電極付き基材の作製にあたり、帯状電極に無電解めっきを施さなかった以外は、実施例1と同様にして、配線シートを得た。
[比較例1]
(電極付き基材の作製)
 基材としてのガラス板に対して、15μmの調製例1で得られた接着剤の塗膜付きの銅箔(厚さ:18μm、JX金属株式会社製、製品名「BHY-82F-HA」)を2mm幅で電極間距離70mmになるように貼付した後、120℃、30分間の条件にて、調製例1で得られた接着剤を硬化させ、2本の電極(抵抗値:0.04Ω)を形成して、電極付き基材を作製した。
(配線シートの作製)
 厚さ38μmの剥離フィルム(リンテック株式会社製、商品名「SP-382150」)上に、調製例1で得られた接着剤を塗布し乾燥し、乾燥後の厚さが15μmの樹脂層を形成し、250mm×320mmの長方形に裁断し、接着シートを作製した。
 導電性線状体として、金めっきタングステンワイヤー(直径12μm、株式会社トクサイ製、製品名「Au(0.1)-TWG」、以下、「ワイヤー」と称する。)を準備した。
 次に、外周面がゴム製のドラム部材に前記接着シートを、感圧接着剤層の表面が外側を向き、しわのないように巻きつけ、円周方向における前記接着シートの両端部を両面テープで固定した。ボビンに巻き付けた前記ワイヤーを、ドラム部材の端部付近に位置する接着シートの感圧接着剤層の表面に付着させた上で、ワイヤーを繰り出しながらドラム部材で巻き取り、少しずつドラム部材をドラム軸と平行な方向に移動させていき、ワイヤーが等間隔4mmでらせんを描きながらドラム部材に巻きつくようにした。これにより、ワイヤーが接着剤層の表面に60本並べられた状態で疑似シート構造体を形成した。その後、ワイヤーを切断し、ドラム部材上から、疑似シート構造体を取り外した。ワイヤー8本分が取り出されるように、36mm×74mmの長方形に疑似シート構造体を裁断し、疑似シート構造体が形成された積層体を作製した。
[抵抗値評価]
 配線シートの電極に抵抗計を接続し、配線シートの抵抗値(実測値)を測定した。その後、下記計算式から、抵抗値の実測値と計算値の差異率(単位:%)を求めた。得られた結果を表1に示す。
実測値と計算値の差異率=[(実測値-計算値)/計算値]×100(%)
 ここで、抵抗値の計算値は、導電性線状体の抵抗値および本数、電極の抵抗値から算出される抵抗値のことである。
 具体的な計算方法を以下に示す。
[実施例1]
 ワイヤー抵抗値(1本あたり):59.2Ω、ワイヤー本数:12本、電極抵抗値:0.56Ωより、(59.2/12)Ω+0.56Ωから約5.49Ωと算出した。
[実施例2]
 ワイヤー抵抗値(1本あたり):59.2Ω、ワイヤー本数:12本、電極抵抗値:0.74Ωより、(59.2/12)Ω+0.74Ωから約5.67Ωと算出した。
[比較例1]
 ワイヤー抵抗値(1本あたり):36.9Ω、ワイヤー本数:8本、電極抵抗値:0.04Ωより、(36.9/8)Ω+0.04Ωから約4.65Ωと算出した。
 なお、実測値と計算値の差異率は、電極と導電性線状体の接触抵抗によって生じる。そのため、実測値と計算値の差異率が小さいことは、接触抵抗が小さいことを意味する。
[弾性率測定]
 電極のヤング率は、連続剛性測定法により測定した。具体的には、ナノインデンター(MTSシステムズ社製)を用いて、以下の条件で、ガラス基材上に設けられた電極の25℃でのヤング率を測定した。得られた結果を表1に示す。
圧子形状:三角錐
圧子の最大押し込み深さ:500nm
振動周波数:75Hz
[R/rの値の算出]
 R/rの具体的な計算方法を以下に示す。
[実施例1]
 ワイヤー抵抗値(1本あたり):59.2Ω、ワイヤー本数:12本、電極抵抗値:0.56Ωより、0.56Ω/(59.2/12)Ωから約0.1135と算出した。
[実施例2]
 ワイヤー抵抗値(1本あたり):59.2Ω、ワイヤー本数:12本、電極抵抗値:0.74Ωより、0.74Ω/(59.2/12)Ωから0.1500と算出した。
[比較例1]
 ワイヤー抵抗値(1本あたり):36.9Ω、ワイヤー本数:8本、電極抵抗値:0.04Ωより、0.04Ω/(36.9/8)Ωから約0.0087と算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に示す結果から、電極のヤング率が1×10Pa超100×10Pa以下である場合(実施例1及び2)には、電極のヤング率が高すぎる場合(比較例1)と比較して、実測値と計算値の差異率が小さいことが分かった。このことから、本発明によれば、導電性線状体と電極との接触抵抗を小さくできることが確認された。
 また、実施例1と実施例2とを比較すると、電極のヤング率が比較的高く、かつ電極に金めっき処理が施されている実施例1の方が、実測値と計算値の差異率が小さいことが分かった。
 1…基材、2…疑似シート構造体、21…導電性線状体、3…樹脂層、4…電極、5,5’…剥離フィルム、100…配線シート。

Claims (8)

  1.  複数の導電性線状体が間隔をもって配列された疑似シート構造体と、前記導電性線状体に直接的に接触する一対の電極とを備える配線シートであって、
     前記電極のヤング率が、1×10Pa超100×10Pa以下である、
     配線シート。
  2.  請求項1に記載の配線シートにおいて、
     前記電極の軸方向における抵抗値Rと、前記導電性線状体の軸方向における全体の抵抗値rとの関係が、下記数式(F1)で表される条件を満たす、
     配線シート。
    r>R・・・(F1)
  3.  請求項1又は請求項2に記載の配線シートにおいて、
     前記電極の厚さが、40μm以下である、
     配線シート。
  4.  請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線シートにおいて、
     前記電極は、金めっき処理が施されている、
     配線シート。
  5.  請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線シートにおいて、
     前記電極は、ヤング率が1×10Pa超100×10Pa以下である導体のみからなる、
     配線シート。
  6.  請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の配線シートにおいて、
     前記疑似シート構造体を支持する樹脂層を備える、
     配線シート。
  7.  請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の配線シートにおいて、
     前記疑似シート構造体を支持する基材を備える、
     配線シート。
  8.  請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の配線シートを製造する方法であって、
     前記疑似シート構造体の上に、前記導電性線状体に直接的に接触するように、ヤング率が1×10Pa超100×10Pa以下である導体からなる、一対の電極を形成する工程を備える、
     配線シートの製造方法。
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