WO2023148884A1 - 操舵制御装置、および操舵制御方法 - Google Patents

操舵制御装置、および操舵制御方法 Download PDF

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隆志 小寺
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D6/00Arrangements for automatically controlling steering depending on driving conditions sensed and responded to, e.g. control circuits

Definitions

  • the pinion angle ⁇ p is positive when the angle is on the right side of the rack neutral position, and is negative when the angle is on the left side.
  • the steering motor 60 and the pinion shaft 52 are interlocked via a speed reduction mechanism 56 . Therefore, there is a one-to-one correspondence between the integrated value of the rotation angle ⁇ b of the steering motor 60 and the pinion angle ⁇ p. Using this correspondence relationship, the pinion angle ⁇ p can be obtained from the rotation angle ⁇ b of the steering motor 60 .
  • the pinion shaft 52 is meshed with the steered shaft 40 . Therefore, there is also a one-to-one correspondence between the pinion angle ⁇ p and the amount of movement of the steering shaft 40 . That is, the pinion angle ⁇ p is a value that reflects the steering angle of the steerable wheels 44 .
  • the axial force calculation process M19 includes a process of calculating the axial force Taf using the steering torque command value Tt* as an input.
  • the axial force Taf is an axial force applied to the steered shaft 40 .
  • the base target torque calculation process M20 is a process of calculating a base target torque Thb*, which is a base value of the target steering torque Th* that the driver should input to the steering shaft 14 via the steering wheel 12, based on the axial force Taf. be. Since the axial force Taf has an amount corresponding to the lateral force acting on the steered wheels 44, the lateral force can be grasped from the axial force Taf.
  • FIGS. 6A and 6B show Bode diagrams when the controllers of this embodiment and the comparative example are used.
  • FIG. 6A is a gain diagram.
  • FIG. 6B is a phase diagram.
  • solid lines indicate the gain diagram and the phase diagram according to this embodiment.
  • dashed-dotted lines indicate gain diagrams and phase diagrams in the comparative example.
  • a comparative example is a case without the proportional phase controller M54 and the differential phase controller M66.
  • the comparative example is an example in which the gain is reduced by, for example, reducing the proportional gain Kp in order to suppress instability due to resonance.
  • the phase of the proportional element M50 is retarded in order to suppress vibration, while the phase of the differential element M60 is advanced in order to improve responsiveness.
  • the actual phase advance degree of the differential element M60 with respect to the proportional element M50 is expanded with respect to the phase advance degree of the differential element M60 with respect to the proportional element M50 determined by the proportional gain Kp and the differential gain Kd. This makes it possible to achieve both stability and responsiveness.
  • a processing circuit comprising a processing device and a program storage device for executing part of the above processing according to a program, and a dedicated hardware circuit for executing the remaining processing.
  • processing circuitry comprising dedicated hardware circuitry for performing all of the above processing;
  • a plurality of dedicated hardware circuits may be provided.
  • the steering actuator At is not limited to a configuration in which the right steered wheel 44 and the left steered wheel 44 are interlocked. In other words, the right steerable wheel 44 and the left steerable wheel 44 may be independently controlled.

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Abstract

操舵トルク制御処理(M26)は、操舵トルクを目標操舵トルクに制御するための操作量を、操舵トルクと目標操舵トルクとの差に応じた比例要素(M50)と、微分要素(M60)とを用いて算出する処理を含み、比例要素および微分要素の2つの要素のうちの少なくとも1つの要素には、拡大用位相制御器が設けられており、拡大用位相制御器(M54,M66)は、比例要素の位相に対する微分要素の位相の進み度合いを拡大する制御器である。

Description

操舵制御装置、および操舵制御方法
 本開示は、操舵制御装置、および操舵制御方法に関する。
 たとえば下記特許文献1には、フィードバック制御によってステアリングホイールに加わるトルクである操舵トルクを目標値に制御する制御装置が記載されている。
特開2014-223832号公報
 上記トルクのフィードバック制御をする場合、安定性と応答性との両立が課題となる。
 本開示の一態様では、運転者が車両を操舵するために操作する操作部材に機械的に連結されたモータを操作する操舵制御装置が提供される。操舵制御装置は、操舵トルク制御処理、および操作処理を実行するように構成され、前記操舵トルク制御処理は、操舵トルクを目標操舵トルクに制御するための操作量を、前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差に応じた比例要素と、微分要素とを用いて算出する処理を含み、前記操作処理は、前記モータのトルクを前記操作量に応じて制御すべく前記モータの駆動回路を操作する処理であり、前記操舵トルクは、前記操作部材に入力されるトルクであり、前記比例要素および前記微分要素の2つの要素のうちの少なくとも1つの要素には、拡大用位相制御器が設けられており、前記拡大用位相制御器は、前記比例要素の位相に対する前記微分要素の位相の進み度合いを拡大するように構成されている。
 本開示の別の態様では、運転者が車両を操舵するために操作する操作部材に機械的に連結されたモータを操作する操舵制御方法が提供される。操舵制御方法は、操舵トルク制御処理を実行すること、および操作処理を実行することを含み、前記操舵トルク制御処理は、操舵トルクを目標操舵トルクに制御するための操作量を、前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差に応じた比例要素と、微分要素とを用いて算出する処理を含み、前記操作処理は、前記モータのトルクを前記操作量に応じて制御すべく前記モータの駆動回路を操作する処理であり、前記操舵トルクは、前記操作部材に入力されるトルクであり、前記操舵トルク制御処理は、前記比例要素および前記微分要素の2つの要素のうちの少なくとも1つの要素に、拡大用位相制御器を設けることによって、前記比例要素の位相に対する前記微分要素の位相の進み度合いを拡大する処理を含む。
第1の実施形態にかかる操舵システムの構成を示す図である。 第1の実施形態にかかる制御装置が実行する処理を示すブロック図である。 第1の実施形態にかかる制御装置が実行する一部の処理の詳細を示すブロック図である。 第1の実施形態にかかるフィルタの特性を示す図である。 図5Aおよび図5Bは、第1の実施形態の応答特性を示すタイムチャートである。 図6Aおよび図6Bは、第1の実施形態の効果を示す図である。 図7Aは、第1の実施形態の特性を示すタイムチャートである。図7Bは、比較例の特性を示すタイムチャートである。 図8Aおよび図8Bは、第1の実施形態の効果を示す図である。 図9Aは、第1の実施形態の特性を示すタイムチャートである。図9Bは、比較例の特性を示すタイムチャートである。 第2の実施形態にかかる制御装置が実行する一部の処理の詳細を示すブロック図である。 図11Aおよび図11Bは、第2の実施形態の効果を示す図である。 第3の実施形態にかかる制御装置が実行する一部の処理の詳細を示すブロック図である。 図13Aおよび図13Bは、第3の実施形態の効果を示す図である。 第4の実施形態にかかる制御装置が実行する一部の処理の詳細を示すブロック図である。 第5の実施形態にかかる制御装置が実行する一部の処理の詳細を示すブロック図である。
 <第1の実施形態>
 以下、操舵制御装置の第1の実施形態を図面に従って説明する。
 「前提構成」
 図1に示すように、車両の操舵システム10は、反力アクチュエータArと、転舵アクチュエータAtとを備えている。本実施形態の操舵システム10は、ステアリングホイール12と、転舵輪44との間の動力伝達路が機械的に遮断された構造を有している。すなわち、操舵システム10は、ステアバイワイヤ式の操舵装置を備える。
 ステアリングホイール12には、ステアリングシャフト14が連結されている。反力アクチュエータArは、ステアリングホイール12に操舵反力を付与するためのアクチュエータである。操舵反力とは、運転者によるステアリングホイール12の操作方向と反対方向へ向けて作用する力をいう。操舵反力をステアリングホイール12に付与することにより、運転者に適度な手応え感を与えることが可能である。反力アクチュエータArは、減速機構16、反力モータ20、および反力用インバータ22を備えている。
 反力モータ20は、3相のブラシレスモータである。反力モータ20の回転軸は、減速機構16を介して、ステアリングシャフト14に連結されている。反力用インバータ22は、直流電圧源であるバッテリ24の電圧を交流電圧に変換して反力モータ20に印加する電力変換回路である。
 一方、転舵シャフト40は、図1中の左右方向である車幅方向に沿って延びる。転舵シャフト40の両端には、それぞれタイロッド42を介して左右の転舵輪44が連結されている。転舵シャフト40が直線運動することにより、転舵輪44の転舵角が変更される。
 転舵アクチュエータAtは、減速機構56、転舵モータ60、および転舵用インバータ62を備えている。転舵モータ60は、3相のブラシレスモータである。転舵モータ60の回転軸は、減速機構56を介してピニオンシャフト52に連結されている。ピニオンシャフト52のピニオン歯は、転舵シャフト40のラック歯54に噛み合わされている。ピニオンシャフト52とラック歯54が設けられた転舵シャフト40とによって、ラックアンドピニオン機構が構成されている。転舵モータ60のトルクは、転舵力としてピニオンシャフト52を介して転舵シャフト40に付与される。転舵モータ60の回転に応じて、転舵シャフト40は図1中の左右方向である車幅方向に沿って移動する。
 操舵システム10は、制御装置70を備えている。
 制御装置70は、操舵装置を制御対象とする。詳しくは、制御装置70は、操舵装置のステアリングホイール12を制御対象とする。制御装置70は、制御対象の制御量である操舵反力を制御すべく、反力アクチュエータArを操作する。図1には、反力用インバータ22への操作信号MSsを記載している。また、制御装置70は、操舵装置の転舵輪44を制御対象とする。制御装置70は、制御対象の制御量である転舵輪44の転舵角を制御すべく、転舵アクチュエータAtを操作する。転舵角は、タイヤの切れ角のことである。図1には、転舵用インバータ62への操作信号MStを記載している。
 制御装置70は、制御量を制御すべく、トルクセンサ80によって検出される、ステアリングシャフト14への入力トルクである操舵トルクThを参照する。トルクセンサ80は、ステアリングシャフト14に連結されたトーションバーと、トーションバーのねじれ角を検知する感知素子とを備えている。また、制御装置70は、回転角センサ82によって検出される反力モータ20の回転軸の回転角θaを参照する。また、制御装置70は、反力モータ20に流れる電流iu1,iv1,iw1を参照する。電流iu1,iv1,iw1は、反力用インバータ22の各レッグに設けられたシャント抵抗の電圧降下量として定量化されている。制御装置70は、制御量を制御すべく、回転角センサ84によって検出される転舵モータ60の回転軸の回転角θbを参照する。また、制御装置70は、転舵モータ60に流れる電流iu2,iv2,iw2を参照する。電流iu2,iv2,iw2は、転舵用インバータ62の各レッグに設けられたシャント抵抗の電圧降下量として定量化されている。また、制御装置70は、車速センサ86によって検出される車速Vを参照する。
 制御装置70は、PU72、記憶装置74および周辺回路76を備えている。PU72は、CPU、GPU、およびTPU等のソフトウェア処理装置である。記憶装置74は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ、およびディスク媒体等の記憶媒体を備える。記憶装置74には、操舵制御プログラム74aが記憶されている。周辺回路76は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路、電源回路、およびリセット回路等を含む。制御装置70は、記憶装置74に記憶された操舵制御プログラム74aをPU72が実行することにより制御量を制御する。
 「制御」
 図2に、制御装置70によって実行される処理の一部を示す。
 操舵角算出処理M10は、回転角θaを入力として、ステアリングホイール12の回転角である操舵角θhを算出する処理である。操舵角算出処理M10は、回転角θaを、たとえば、車両が直進しているときのステアリングホイール12の位置であるステアリング中立位置からの反力モータ20の回転回数をカウントすることにより、360°を超える範囲を含む積算角に換算する処理を含む。操舵角算出処理M10は、換算して得られた積算角に減速機構16の回転速度比に基づく換算係数を乗算することで、操舵角θhを演算する処理を含む。なお、操舵角θhは、たとえば、ステアリング中立位置よりも右側の角度である場合に正、左側の角度である場合に負とする。
 ピニオン角算出処理M12は、回転角θbを入力として、ピニオンシャフト52の回転角度であるピニオン角θpを算出する処理である。ピニオン角算出処理M12は、たとえば、車両が直進しているときの転舵シャフト40の位置であるラック中立位置からの転舵モータ60の回転回数をカウントすることにより、360°を超える範囲を含む積算角に換算する処理を含む。ピニオン角算出処理M12は、換算して得られた積算角に減速機構56の回転速度比に基づく換算係数を乗算することで、ピニオンシャフト52の実際の回転角であるピニオン角θpを演算する処理を含む。なお、ピニオン角θpは、たとえば、ラック中立位置よりも右側の角度である場合に正、左側の角度である場合に負とする。転舵モータ60と、ピニオンシャフト52とは、減速機構56を介して連動する。このため、転舵モータ60の回転角θbの積算値と、ピニオン角θpとの間には1対1の対応関係がある。この対応関係を利用して転舵モータ60の回転角θbからピニオン角θpを求めることができる。また、ピニオンシャフト52は、転舵シャフト40に噛合されている。このため、ピニオン角θpと転舵シャフト40の移動量との間にも1対1の対応関係がある。すなわち、ピニオン角θpは、転舵輪44の転舵角を反映する値である。
 目標ピニオン角算出処理M14は、操舵角θhおよび車速Vを入力として、目標ピニオン角θp*を算出する処理である。目標ピニオン角θp*は、運転者によるステアリングホイール12の操作に応じたピニオン角θpの目標値である。目標ピニオン角算出処理M14は、車速Vに応じて舵角比を可変設定する処理を含む。そのため、目標ピニオン角算出処理M14が出力する目標ピニオン角θp*は、入力される操舵角θhが同一であっても、車速Vに応じて異なる値となる。
 ピニオン角フィードバック処理M16は、ピニオン角θpを目標ピニオン角θp*にフィードバック制御すべく、転舵モータ60のトルクの指令値である転舵トルク指令値Tt*を算出する処理である。
 転舵操作処理M18は、転舵トルク指令値Tt*、電流iu2,iv2,iw2、および回転角θbを入力として、転舵用インバータ62に対する操作信号MStを出力する処理である。転舵操作処理M18は、転舵トルク指令値Tt*に基づきdq軸の電流指令値を算出する処理を含む。また、転舵操作処理M18は、電流iu2,iv2,iw2および回転角θbに基づき、dq軸の電流を算出する処理を含む。そして、転舵操作処理M18は、dq軸の電流が指令値となるように、転舵用インバータ62を操作すべく操作信号MStを算出する処理を含む。
 軸力算出処理M19は、転舵トルク指令値Tt*を入力として軸力Tafを算出する処理を含む。ここで、軸力Tafは、転舵シャフト40に加わる軸方向の力である。
 ベース目標トルク算出処理M20は、軸力Tafに基づき、ステアリングホイール12を介して運転者がステアリングシャフト14に入力すべき目標操舵トルクTh*のベース値であるベース目標トルクThb*を算出する処理である。軸力Tafは、転舵輪44に作用する横力に応じた量となることから、軸力Tafによって横力を把握することができる。一方、ステアリングホイール12を介して運転者がステアリングシャフト14に入力すべきトルクは、横力に応じて定めることが望ましい。したがって、ベース目標トルク算出処理M20は、軸力Tafから把握される横力に応じてベース目標トルクThb*を算出する処理となっている。
 詳しくは、ベース目標トルク算出処理M20は、軸力Tafの絶対値が同一であっても車速Vに応じてベース目標トルクThb*の絶対値を可変設定する処理である。この処理は、車速Vが小さい場合のベース目標トルクThb*の絶対値を大きい場合のベース目標トルクThb*の絶対値以下に算出する処理としてもよい。これは、たとえば、マップデータが予め記憶装置74に記憶されている状態でPU72によりベース目標トルクThb*をマップ演算することによって実現できる。このマップデータは、軸力Tafまたは軸力Tafから把握される横加速度および車速Vを入力変数とし、ベース目標トルクThb*を出力変数とするデータである。
 なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とする処理とすればよい。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。また、これに代えて、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値のうちの最も近い値に対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とする処理としてもよい。
 ヒステリシス処理M22は、操舵角θhに基づき、ベース目標トルクThb*を補正するヒステリシス補正量Thysを算出して出力する処理である。詳しくは、ヒステリシス処理M22は、操舵角θhの変化等に基づき、ステアリングホイール12の切り込み時および切り返し時を識別し、ヒステリシス補正量Thysを算出する処理を含む。詳しくは、ヒステリシス処理M22は、切り込み時において切り返し時と比較して目標操舵トルクTh*の絶対値がより大きくなるように、ヒステリシス補正量Thysを算出する処理を含む。ヒステリシス処理M22は、車速Vに応じてヒステリシス補正量Thysを可変設定する処理を含む。
 加算処理M24は、ベース目標トルクThb*にヒステリシス補正量Thysを加算することによって、目標操舵トルクTh*を算出する処理である。
 目標反力算出処理M26は、操舵トルクTh、および目標操舵トルクTh*を入力として、ステアリングホイール12に加えるべき操舵反力に応じた、目標反力Ts*を算出する処理である。目標反力Ts*は、実際には反力モータ20に対する指令値である。目標反力Ts*に減速機構16による減速比に応じた係数を乗算した値が、操舵反力となる。
 反力操作処理M30は、目標反力Ts*、電流iu1,iv1,iw1、および回転角θaを入力として、反力用インバータ22に対する操作信号MSsを出力する処理である。反力操作処理M30は、目標反力Ts*に基づきdq軸の電流指令値を算出する処理を含む。また、反力操作処理M30は、電流iu1,iv1,iw1および回転角θaに基づき、dq軸の電流を算出する処理を含む。そして、反力操作処理M30は、dq軸の電流が指令値となるように、反力用インバータ22を操作すべく操作信号MSsを算出する処理を含む。
 図3に、目標反力算出処理M26の詳細を示す。
 偏差算出処理M40は、操舵トルクThから目標操舵トルクTh*を減算した値であるトルク偏差ΔThを算出する処理である。
 比例要素M50は、トルク偏差ΔThを入力とし、トルク偏差ΔThに比例する値を出力する処理である。詳しくは、比例ゲイン乗算処理M52は、トルク偏差ΔThに比例ゲインKpを乗算する処理である。比例用位相制御器M54は、比例ゲイン乗算処理M52の出力値に対してローパスフィルタ処理を施す。詳しくは、比例用位相制御器M54は、下記の1次遅れフィルタである。
 1/(Tp・s+1)
 なお、「Tp」は時定数、「s」は、1階の時間微分を示す線形作用素である。
 比例用位相制御器M54の出力値が、比例要素M50の出力値である。
 微分要素M60は、トルク偏差ΔThを入力とし、トルク偏差ΔThの時間微分値に比例した値を出力する処理である。詳しくは、線形作用素M62は、トルク偏差ΔThを入力とし、トルク偏差ΔThの時間微分値を出力する処理である。微分ゲイン乗算処理M64は、線形作用素M62の出力値に微分ゲインKdを乗算する処理である。微分用位相制御器M66は、微分ゲイン乗算処理M64の出力値の所定の周波数成分の位相を進める処理である。微分用位相制御器M66は、以下に示す次数差ゼロの位相制御器である。
 {ad・Td・s+1}/(Td・s+1)
 ここで、「Td」は、時定数である。また、「ad>1」である。
 図4に、微分用位相制御器M66の位相線図を示す。図4に示すように、微分用位相制御器M66は、所定の中心周波数f1付近の周波数成分の位相を進める。微分用位相制御器M66の出力値が、微分要素M60の出力値である。
 図3に戻り、加算処理M70は、比例要素M50の出力値と、微分要素M60の出力値とを加算した値を、PD操作量Tpdとして出力する処理である。
 第2操作量算出処理M80は、目標反力Ts*を生成するための、PD操作量Tpd以外の操作量を算出する処理である。第2操作量算出処理M80は、たとえば、以下に記載の処理(A)~(H)のうちの少なくとも1つの処理を含んでもよい。
 処理(A)は、推定軸力から操舵トルクThを減算した値の積算値に応じた操作量を算出する処理である。推定軸力は、反力モータ20のトルク相当値である。推定軸力は、PU72によって、電流iu1,iv1,iw1を入力して算出される値である。
 処理(B)は、操舵トルクThと目標操舵トルクTh*との差に積分ゲインを乗算した値の積算値を操作量とする処理である。
 処理(C)は、外乱オブザーバによって推定された操舵トルクを目標操舵トルクTh*に制御するための操作量を算出する処理である。処理(C)は、操舵角θh、電流iu1,iv1,iw1から算出される反力モータ20のトルク等を入力とする。
 処理(D)は、操舵トルクThを入力とする開ループ操作量を算出する処理である。
 処理(E)は、目標操舵トルクTh*を入力とする開ループ操作量を算出する処理である。
 処理(F)は、ピニオン角θpの大きさが所定値以上となる場合に、ピニオン角θpの大きさがそれ以上大きくなることに抗する力をステアリングシャフト14に付与するための操作量を算出する処理である。
 処理(G)は、操舵角θhの大きさが所定値以上となる場合に、操舵角θhの大きさがそれ以上大きくなることに抗する力をステアリングシャフト14に付与するための操作量を算出する処理である。
 処理(H)は、フィードバック制御によってピニオン角θpを操舵角θhに換算した換算操舵角に操舵角θhを制御するための操作量を算出する処理である。なお、換算操舵角は、目標ピニオン角算出処理M14が車速Vに応じて定める舵角比に基づきPU72によって算出される。
 加算処理M82は、PD操作量Tpdと、第2操作量算出処理M80が出力する第2操作量Ts2とを加算して、目標反力Ts*を算出する処理である。
 <本実施形態の作用および効果>
 図5Aおよび図5Bに、本実施形態の操舵システム10のうちの特に、ステアリングホイール12,ステアリングシャフト14および反力アクチュエータAr部分のボード線図を示す。図5Aは、ゲイン線図である。図5Bは、位相線図である。
 図5Aおよび図5Bに示すように、本実施形態において、プラントの特性は、周波数f2よりもわずかに小さい周波数領域に共振周波数を有する。また、周波数f2は、反共振の周波数になっている。共振および反共振の双方が生じるのは、トルクセンサ80がトーションバーを有することから、トーションバーの両側に接続された慣性系によって2重慣性系が構成されているためである。
 共振および反共振現象は、操舵トルクThの大きさがある程度大きい領域で顕在化している。これは、操舵トルクThの大きさが小さい領域では、ステアリングホイール12を変位させる際に摩擦成分が顕著となり、共振および反共振現象が顕在化しにくいためであると考えられる。また、図5Aおよび図5Bに示すプラント特性は、本実施形態のように、ステアバイワイヤ式の操舵装置の場合に顕在化し易い傾向がある。これは、操舵トルクThの大きさが上記摩擦成分に打ち勝つ大きさとなる場合、ステアリングホイール12に加わる負荷が小さいためであると推察される。すなわち、ステアリングホイール12と転舵輪44とが機械的に連結されている場合には、転舵輪44側からの負荷トルクがステアリングホイール12に加わる。この負荷トルクが共振および反共振現象が顕在化することを抑制する傾向があると推察される。
 共振周波数を有する場合、目標操舵トルクTh*への制御によって振動が生じるおそれがある。これに対処すべく、比例ゲインKpを小さくする場合には、応答性が低下する。
 図6Aおよび図6Bに、本実施形態および比較例の制御器を用いた場合のボード線図を示す。図6Aは、ゲイン線図である。図6Bは、位相線図である。図6Aおよび図6Bにおいて、実線は、本実施形態にかかるゲイン線図および位相線図を示す。図6Aおよび図6Bにおいて、一点鎖線は、比較例におけるゲイン線図および位相線図を示す。比較例は、比例用位相制御器M54および微分用位相制御器M66を備えない場合である。比較例は、共振による不安定性を抑制すべく、比例ゲインKpを小さくするなどしてゲインを小さくした例である。
 比較例では、ゲインを小さくするために、位相遅れが生じる。これに対し、示す本実施形態では、比例用位相制御器M54および微分用位相制御器M66によって、ゲインを大きくして且つ、位相遅れを抑制している。
 図7Aおよび図7Bに、上記図6Aおよび図6Bの特性を有する場合のランプ応答を示す。図7Aは、本実施形態にかかるランプ応答特性を示す。図7Bは、図6Aおよび図6Bに一点鎖線にて示した比較例におけるランプ応答特性を示す。
 図7Aに示すように、本実施形態では、応答性を高めることにより、操舵トルクThが目標操舵トルクTh*に追従している。これに対し、図7Bに示すように、比較例では、応答性が低いために、操舵トルクThの目標操舵トルクTh*への追従性が低い。
 図8Aおよび図8Bに、操舵トルクThのステップ応答特性を示す。詳しくは、図8Aは、本実施形態における操舵トルクThのステップ応答特性を示す。図8Bは、比較例における操舵トルクThのステップ応答特性を示す。比較例は、比例用位相制御器M54および微分用位相制御器M66を備えない場合である。ただし、図8Bに示す比較例は、図6Aおよび図6Bに一点鎖線にて示した比較例よりもゲインを下げていない例である。
 図8Bに示すように、比較例では、ステップ応答に対して振動が発生し、制御が不安定となっている。これは、図5Aおよび図5Bに示したプラント特性に起因した現象である。これに対し、図8Aに示すように、本実施形態では、振動が抑制されている。これは、本実施形態では、比例要素M50の位相を比例用位相制御器M54によって遅らせるとともに、微分要素M60の位相を微分用位相制御器M66によって進めることによって実現したものである。
 すなわち、振動を抑制するために、比例要素M50の位相を遅らせる一方、応答性を高めるために、微分要素M60の位相を早めた。換言すれば、比例ゲインKpおよび微分ゲインKdによって定まる比例要素M50に対する微分要素M60の位相の進み度合いに対して、比例要素M50に対する微分要素M60の実際の位相の進み度合いを拡大した。これにより、安定性と応答性との両立を図ることができる。
 図9Aおよび図9Bに、カラムシャフトトルク、比例要素M50の出力値、および微分要素M60の出力値の推移を示す。カラムシャフトトルクとは、操舵トルクThと反力モータ20のトルクとの和に応じたトルクである。図9Aは、本実施形態に関する推移を示す。図9Bは、比較例における推移を示す。この比較例は、図6Aおよび図6Bに一点鎖線にて示した比較例よりもゲインを下げていない例である。特に比較例は、ステアリングホイール12が転舵輪44と機械的に連結されている操舵システムにおいて振動が生じない設定を流用したものである。
 図9Bに示すように、比較例では、カラムシャフトトルクが大きくなるのに応じて、カラムシャフトトルク、比例要素M50の出力値、および微分要素M60の出力値が振動する。カラムシャフトトルクがゼロから大きく離れるのは、ステアリングシャフト14に生じる摩擦を振り切った状態である。摩擦を振り切った状態において、カラムシャフトトルク、比例要素M50の出力値、および微分要素M60の出力値が振動する。これは、ステアバイワイヤ式の操舵システム10の場合、摩擦を振り切った状態において、ステアリングシャフト14が無負荷に近い状態となることに起因したものと推察される。
 以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
 (1-1)微分用位相制御器M66を、所定の周波数成分の位相を進める位相制御器とした。そして中心周波数f1を反共振現象を示す周波数「f2」付近の値に設定することにより、反共振現象を示す周波数「f2」付近の応答性を高めつつも、それ以外の周波数帯の応答性を過度に高めることを抑制できる。なお、中心周波数f1は、反共振現象を示す周波数「f2」以上の周波数であってもよい。
 (1-2)比例用位相制御器M54を、1次遅れ要素とした。これにより、比例用位相制御器M54による調整要素が、単一のカットオフ周波数となることから、比例要素M50の応答性を低下させたい周波数帯の応答性を簡易に低下させることができる。
 (1-3)微分用位相制御器M66を、相対次数が「0」であって且つ分子および分母の次数が「1」の位相制御器とした。これにより、適合するパラメータ数が過度に多くなることを抑制できる。
 (1-4)PU72は、ステアリングホイール12と転舵輪44とが機械的に切り離された状態で、反力用インバータ22を操作した。換言すれば、ステアバイワイヤ式の操舵装置において、図3の制御を採用した。ステアリングホイール12と転舵輪44とが機械的に連結された操舵装置において振動が生じない制御器であっても、ステアバイワイヤ式の操舵装置においては振動が生じるおそれがある。そのため、図3の制御の利用価値が特に大きい。
 <第2実施形態>
 以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
 図10に、本実施形態にかかる目標反力算出処理M26の詳細を示す。なお、図10において、図3に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一の符号を付している。
 図10に示すように、本実施形態では、比例用位相制御器M54を備えない。しかし、本実施形態でも、微分用位相制御器M66を備えている。そのため、比例用位相制御器M54および微分用位相制御器M66の双方を備えない場合と比較すると、比例要素M50の位相に対する微分要素M60の位相の進み度合いを拡大することができる。
 <第2実施形態の作用および効果>
 図11Aおよび図11Bに、本実施形態および比較例におけるステップ応答特性を示す。詳しくは、図11Aは、本実施形態における操舵トルクThのステップ応答特性を示す。図11Bは、比較例における操舵トルクThのステップ応答特性を示す。比較例は、図8Bにおけるものと同様である。
 図11Aおよび図11Bに示すように、本実施形態においても、応答性を下げることなく安定性を高めることができる。
 <第3実施形態>
 以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
 図12に、本実施形態にかかる目標反力算出処理M26の詳細を示す。なお、図12において、図3に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一の符号を付している。
 図12に示すように、本実施形態では、微分用位相制御器M66を備えない。しかし、本実施形態でも、比例用位相制御器M54を備えている。そのため、比例用位相制御器M54および微分用位相制御器M66の双方を備えない場合と比較すると、比例要素M50の位相に対する微分要素M60の位相の進み度合いを拡大することができる。
 <第3実施形態の作用および効果>
 図13Aおよび図13Bに、本実施形態および比較例におけるステップ応答特性を示す。詳しくは、図13Aは、本実施形態における操舵トルクThのステップ応答特性を示す。図13Bは、比較例における操舵トルクThのステップ応答特性を示す。比較例は、図8Bにおけるものと同様である。
 図13Aおよび図13Bに示すように、本実施形態においても、応答性を下げることなく安定性を高めることができる。
 <第4実施形態>
 以下、第4の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
 図14に、本実施形態にかかる目標反力算出処理M26の詳細を示す。なお、図14において、図3に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一の符号を付している。
 図14に示すように、本実施形態では、第1微分用位相制御器である微分用位相制御器M66に加えて第2微分用位相制御器である微分用位相制御器M68を備えている。微分用位相制御器M68は、下記に示す一次遅れ要素である。
 1/(Td1・s+1)
 微分用位相制御器M68のカットオフ周波数は、図4に示した中心周波数f1よりも高い周波数である。すなわち、微分用位相制御器M68は、微分用位相制御器M66によって位相を進めたい周波数よりも高周波の周波数帯の位相を遅らせる位相制御器である。
 <第4実施形態の作用および効果>
 微分用位相制御器M66は、反共振による位相遅れが生じる周波数帯の位相を進める。ただし、微分用位相制御器M66は、反共振による位相遅れが生じる周波数帯よりも高い周波数領域の位相をも進める。高い周波数帯の位相を過度に進める場合、操舵システム10に騒音が生じやすくなる。そこで、本実施形態では、反共振による位相遅れが生じる周波数帯よりも高い周波数領域について、微分用位相制御器M66によって進められた位相を、微分用位相制御器M68によって遅らせる。これにより、操舵システム10に騒音が生じることを抑制できる。
 <第5実施形態>
 以下、第5の実施形態について、第4の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
 図15に、本実施形態にかかる目標反力算出処理M26の詳細を示す。なお、図15において、図14に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一の符号を付している。
 図15に示すように、本実施形態では、微分要素M60の入力を、操舵トルクThとする。そのため、線形作用素M62は、操舵トルクThの1階の時間微分値を算出する処理となる。また、微分ゲイン乗算処理M64は、操舵トルクThの1階の時間微分値に微分ゲインKdを乗算する処理となる。また、PD操作量は、減算処理M70aにおいて、比例要素M50の出力値から微分要素M60の出力値が減算された値とされる。
 このように、本実施形態にかかるPD操作量Tpdは、先行微分型PD制御の操作量である。
 <その他の実施形態>
 なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
 「比例要素について」
 ・たとえば、比例用位相制御器M54を比例ゲイン乗算処理の上流に設けてもよい。
 「微分要素について」
 ・たとえば、微分用位相制御器M66を、線形作用素M62と微分ゲイン乗算処理M64との間に設けてもよい。またたとえば、微分用位相制御器M66を、線形作用素M62の上流に設けてもよい。
 ・たとえば、微分用位相制御器M68を、微分用位相制御器M66と微分ゲイン乗算処理M64との間に設けてもよい。またたとえば、微分用位相制御器M68を、線形作用素M62と微分ゲイン乗算処理M64との間に設けてもよい。
 「比例用位相制御器について」
 ・比例用位相制御器としては、1次遅れ要素に限らない。たとえば、2次遅れ要素であってもよい。また、下記のように相対次数が0の位相制御器であってもよい。
 αp・(Tp2・s+1)/(Tp1・s+1)
 ただし、「αp<1」である。
 「所定の周波数の位相を進める微分用位相制御器について」
 ・所定の周波数の位相を進める微分用位相制御器としては、上記実施形態において例示したものに限らない。
 「第2微分用位相制御器について」
 ・微分用位相制御器M68を設ける実施例としては、比例要素M50に比例用位相制御器M54が設けられる構成に限らない。
 ・位相を遅らせる微分用位相制御器である第2微分用位相制御器としては、1次遅れ要素に限らない。たとえば、2次遅れ要素であってもよい。また、下記のように相対次数が0の位相制御器であってもよい。
 αd1・(Td2・s+1)/(Td1・s+1)
 ただし、「αd1<1」である。
 「拡大用位相制御器について」
 ・PD操作量Tpdが先行微分型PD制御の操作量である場合の拡大用位相制御器としては、図15に例示した制御器に限らない。たとえば、図10、図12等に例示した位相制御器等であってもよい。
 ・拡大用位相制御器としては、上記実施形態およびそれらの変形例に例示した制御器に限らない。たとえば、比例用位相制御器と微分用位相制御器を共に1次遅れ要素としてもよい。ただし、比例用位相制御器による位相遅れ補償の度合いを、微分要素の位相遅れ補償の度合いよりも大きくする。これによっても、比例要素の位相に対する微分要素の位相の進み度合いを拡大する制御器を構成できる。
 「操舵トルクを目標操舵トルクに制御するための操作量について」
 ・操舵トルクを目標操舵トルクに制御するための操作量としては、目標反力Ts*に限らない。換言すれば、反力モータ20に対するトルクの目標値に限らない。たとえば、反力モータ20が表面磁石同期モータである場合、q軸電流の指令値としてもよい。また、反力モータ20が埋込磁石同期モータである場合、d軸電流の指令値とq軸電流の指令値との組であってもよい。
 ・操舵トルクを目標操舵トルクに制御するための操作量としては、ステアリングホイール12に加える反力を示す変数に限らない。たとえば下記「操舵システムについて」の欄に記載したように、ステアリングホイール12と転舵輪44との動力伝達が可能な装置の場合には、運転者がステアリングホイール12に加えるトルクをアシストするトルクを示す変数となる。
 「操舵トルク制御処理について」
 ・操舵トルク制御処理である目標反力算出処理M26が第2操作量算出処理M80を含むことは必須ではない。
 「ベース目標トルクThb*の算出処理について」
 ・軸力Tafを入力としてベース目標トルクThb*を算出する処理としては、軸力Tafに加えて、車速Vを入力とする処理に限らない。
 ・軸力Tafを入力としてベース目標トルクThb*を算出することは必須ではない。たとえば、操舵トルクThおよび車速Vを入力としてベース目標トルクThb*を算出してもよい。これは、たとえば記憶装置74にマップデータが記憶された状態でPU72によってベース目標トルクThb*をマップ演算することにより実現できる。ここで、マップデータは、操舵トルクThおよび車速Vを入力として且つ、ベース目標トルクThb*を出力変数とするデータである。
 「操作処理について」
 ・反力モータ20の制御手法としては、dq軸の電流フィードバック処理に限らない。たとえば、反力モータ20として直流モータを採用して且つ、駆動回路をHブリッジ回路とする場合、単に反力モータ20を流れる電流を制御すればよい。
 ・操作処理が、PD操作量TpdまたはPD操作量と第2操作量Ts2との和を反力モータ20等のモータの指令値とする処理であることは必須ではない。たとえば、PD操作量TpdまたはPD操作量と第2操作量Ts2との和を入力として反力モータ20の回転角の指令値を算出する処理を含んでもよい。これは、たとえば、次のようにして実行できる。すなわち、PU72は、PD操作量TpdまたはPD操作量と第2操作量Ts2との和に応じてステアリングシャフト14に加わるトルクを算出する。この算出処理には、操舵トルクThを加味してもよい。そして、PU72は、ステアリングシャフト14に加わるトルクを操舵装置のモデル式に入力することによってステアリングシャフト14の回転角を算出する。PU72は、この回転角に応じて反力モータ20の回転角の指令値を算出する。
 「転舵角の制御について」
 ・ピニオン角フィードバック処理M16に代えて、フィードバック制御によって転舵シャフト40の移動量の検出値を目標値に制御する処理を用いてもよい。この場合、上記実施形態に対して、ピニオン角θpに関する制御量等は、転舵シャフト40の移動量に関する制御量等に置き換えられることになる。
 ・転舵角の制御が、フィードバック制御によってピニオン角θp等の転舵角を示す制御量を制御するための操作量を算出する処理を含むことは必須ではない。たとえば、転舵角の制御が、開ループ制御によって転舵角を示す制御量を目標値へと制御するための操作量を算出する処理を含んでもよい。またたとえば、転舵角の制御が、開ループ制御のための操作量とフィードバック制御のための操作量との和を算出する処理を含んでもよい。
 ・転舵モータ60の制御手法としては、dq軸の電流フィードバック処理に限らない。たとえば、転舵モータ60として直流モータを採用して且つ、駆動回路をHブリッジ回路とする場合、単に転舵モータ60を流れる電流を制御すればよい。
 「操作部材について」
 運転者が車両を操舵するために操作する操作部材としては、ステアリングホイール12に限らない。たとえば、ジョイスティックであってもよい。
 「操作部材に機械的に連結されたモータについて」
 (a)反力アクチュエータArについて
 ・ステアリングホイール12に機械的に連結される反力モータ20としては、3相ブラシレスモータに限らない。たとえばブラシ付きの直流モータであってもよい。
 (b)モータの駆動回路について
 ・操作部材に機械的に連結されたモータの駆動回路としては、反力用インバータ22に限らない。たとえば、Hブリッジ回路であってもよい。
 (c)そのほか
 ・減速機構16を備えることは必須ではない。
 「操舵制御装置について」
 ・操舵制御装置としては、PU72と記憶装置74とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態において実行される処理の少なくとも一部を実行するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成を備える処理回路を含んでいてもよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶する記憶装置等のプログラム格納装置とを備える処理回路。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える処理回路。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える処理回路。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置は、複数であってもよい。また、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
 「転舵アクチュエータについて」
 ・転舵アクチュエータAtとして、たとえば、転舵シャフト40の同軸上に転舵モータ60を配置するものを採用してもよい。またたとえば、ボールねじ機構を用いたベルト式減速機を介して転舵シャフト40に連結するものを採用してもよい。
 ・転舵アクチュエータAtとしては、右側の転舵輪44と左側の転舵輪44とが連動している構成に限らない。換言すれば、右側の転舵輪44と左側の転舵輪44とを独立に制御できるものであってもよい。
 「操舵装置について」
 ・操舵角と転舵角との関係を変更可能な操舵装置としては、ステアリングホイール12と転舵輪44との動力の伝達が遮断された操舵装置に限らない。たとえば、ステアリングホイール12と転舵輪44との動力伝達を可能とするギアを、可変ギアとすることによって、操舵角と転舵角との関係を変更可能な操舵装置を構成してもよい。さらに、操舵角と転舵角との関係を変更可能な操舵装置に限らない。たとえばステアリングホイール12と転舵輪44とが機械的に連結された操舵装置であってもよい。

Claims (13)

  1.  運転者が車両を操舵するために操作する操作部材に機械的に連結されたモータを操作する操舵制御装置であって、
     前記操舵制御装置は、操舵トルク制御処理、および操作処理を実行するように構成され、
     前記操舵トルク制御処理は、操舵トルクを目標操舵トルクに制御するための操作量を、前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差に応じた比例要素と、微分要素とを用いて算出する処理を含み、
     前記操作処理は、前記モータのトルクを前記操作量に応じて制御すべく前記モータの駆動回路を操作する処理であり、
     前記操舵トルクは、前記操作部材に入力されるトルクであり、
     前記比例要素および前記微分要素の2つの要素のうちの少なくとも1つの要素には、拡大用位相制御器が設けられており、
     前記拡大用位相制御器は、前記比例要素の位相に対する前記微分要素の位相の進み度合いを拡大するように構成されている操舵制御装置。
  2.  前記比例要素は、前記拡大用位相制御器である比例用位相制御器を含み、
     前記比例用位相制御器は、前記比例要素の位相を遅らせるように構成され、
     前記微分要素は、前記拡大用位相制御器である微分用位相制御器を含み、
     前記微分用位相制御器は、前記微分要素の位相を進めるように構成されている請求項1記載の操舵制御装置。
  3.  前記比例要素は、前記拡大用位相制御器である比例用位相制御器を含み、
     前記比例用位相制御器は、前記比例要素の位相を遅らせるように構成されている請求項1記載の操舵制御装置。
  4.  前記微分要素は、前記拡大用位相制御器である微分用位相制御器を含み、
     前記微分用位相制御器は、前記微分要素の位相を進めるように構成されている請求項1記載の操舵制御装置。
  5.  前記微分用位相制御器は、所定の周波数成分の位相を進めるように構成されている請求項2または4記載の操舵制御装置。
  6.  前記微分用位相制御器は、第1微分用位相制御器であり、
     前記微分要素は、前記第1微分用位相制御器に加えて第2微分用位相制御器を含み、
     前記第2微分用位相制御器は、前記微分要素の出力のうち前記所定の周波数成分よりも高い周波成分の位相を遅らせるように構成されている請求項5記載の操舵制御装置。
  7.  前記比例用位相制御器は、1次遅れ要素である請求項2または3記載の操舵制御装置。
  8.  前記微分用位相制御器は、相対次数が0の位相制御器である請求項2または4記載の操舵制御装置。
  9.  前記第2微分用位相制御器は、1次遅れ要素である請求項6記載の操舵制御装置。
  10.  前記微分要素は、前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差を入力とする請求項1,2,4~6,8,9のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
  11.  前記微分要素は、前記操舵トルクを入力とする請求項1,2,4~6,8,9のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
  12.  前記操作部材と前記車両の転舵輪とが機械的に切り離された状態で前記操作処理を実行するように構成されている請求項1~11のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
  13.  運転者が車両を操舵するために操作する操作部材に機械的に連結されたモータを操作する操舵制御方法であって、
     前記操舵制御方法は、操舵トルク制御処理を実行すること、および操作処理を実行することを含み、
     前記操舵トルク制御処理は、操舵トルクを目標操舵トルクに制御するための操作量を、前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差に応じた比例要素と、微分要素とを用いて算出する処理を含み、
     前記操作処理は、前記モータのトルクを前記操作量に応じて制御すべく前記モータの駆動回路を操作する処理であり、
     前記操舵トルクは、前記操作部材に入力されるトルクであり、
     前記操舵トルク制御処理は、前記比例要素および前記微分要素の2つの要素のうちの少なくとも1つの要素に、拡大用位相制御器を設けることによって、前記比例要素の位相に対する前記微分要素の位相の進み度合いを拡大する処理を含む操舵制御方法。
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