WO2023095806A1 - 化合物、組成物、表面処理剤、コーティング液、物品、及び物品の製造方法 - Google Patents

化合物、組成物、表面処理剤、コーティング液、物品、及び物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

下記式(1)又は下記式(2)で表される含フッ素エーテル化合物。 A1-(ORf1)y1-R1-Q1-R2-L1-(R3-T1)x1 ・・・式(1) (T3-R9)x3-L3-R8-Q3-R7-Rf-(ORf2)y2-R4-Q2-R5-L2-(R6-T2)x2 ・・・式(2) ただし、式中の各符号は明細書に記載のとおりである。

Description

化合物、組成物、表面処理剤、コーティング液、物品、及び物品の製造方法
 本発明は、化合物、組成物、表面処理剤、コーティング液、物品、及び物品の製造方法に関する。
 フッ素原子を有する含フッ素エーテル化合物は、低屈折率、低誘電率、撥水・撥油性、耐熱性、耐薬品性、化学的安定性、透明性等の諸特性に優れており、電気・電子材料、半導体材料、光学材料、表面処理剤等の多種多様な分野に利用されている。
 例えば、ペルフルオロポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを有する含フッ素エーテル化合物は、高い潤滑性、撥水撥油性等を示す表面層を基材の表面に形成できるため、表面処理剤に好適に用いられる。含フッ素エーテル化合物を含む表面処理剤は、表面層が指で繰り返し摩擦されても撥水撥油性が低下しにくい性能(耐摩擦性)及び拭き取りによって表面層に付着した指紋を容易に除去できる性能(指紋汚れ除去性)が長期間維持されることが求められる用途、例えば、タッチパネルの指で触れる面を構成する部材、メガネレンズ、ウェアラブル端末のディスプレイの表面処理剤として用いられる。
 耐摩擦性に優れる表面層を基材の表面に形成できる含フッ素エーテル化合物としては、ペルフルオロポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを有する含フッ素エーテル化合物が提案されている(特許文献1)。
特開2016-037541号公報
 上述のとおり含フッ素エーテル化合物は、上記各種の物性を付与するための表面処理剤として有用であり、様々な環境下で使用可能な含フッ素エーテル化合物の要求が高まっている。本発明者らは更なる耐摩擦性及び耐光性の向上を目的として検討を行った。
 本発明は、耐摩擦性及び耐光性に優れる化合物、組成物、表面処理剤、コーティング液、物品、及び物品の製造方法の提供を目的とする。
 本発明は、下記[1]~[11]の構成を有する含フッ素エーテル化合物、組成物、表面処理剤、コーティング液、物品、及び物品の製造方法を提供する。
[1] 下記式(1)又は下記式(2)で表される化合物。
 A-(ORf1y1-R-Q-R-L-(R-Tx1 ・・・式(1)
 (T-Rx3-L-R-Q-R-R-(ORf2y2-R-Q-R-L-(R-Tx2 ・・・式(2)
 ただし、
 Aは、炭素数1~20のフルオロアルキル基であり、
 Rf1は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf1が複数ある場合、複数あるRf1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x1価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、もしくは、水酸基又はオキソ基(=O)を有する炭素原子であり、
 Rは、アルキレン基、もしくはL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Tは、-SiRa1 z1a11 3-z1であって、
 Ra1は水酸基又は加水分解性基であって、Ra1が複数ある場合、複数あるRa1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Ra11は非加水分解性基であり、Ra11が複数ある場合、複数あるRa11は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 z1は0~3の整数であって、z1が複数ある場合、複数あるz1は互いに同一であっても異なっていてもよく、ただし、z1のうち少なくとも一つは1~3の整数であり、
 x1は1以上の整数であり、
 y1は1以上の整数であり、
 Rは、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、
 Rf2は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf2が複数ある場合、複数あるRf2は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x2価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、もしくは、水酸基又はオキソ基(=O)を有する炭素原子であり、
 Rは、アルキレン基、もしくはL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Tは、-SiRa2 z2a12 3-z2であって、
 Ra2は水酸基又は加水分解性基であって、Ra2が複数ある場合、複数あるRa2は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Ra12は非加水分解性基であり、Ra12が複数ある場合、複数あるRa12は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 z2は0~3の整数であって、z2が複数ある場合、複数あるz2は互いに同一であっても異なっていてもよく、ただし、z2のうち少なくとも一つは1~3の整数であり、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x3価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、もしくは、水酸基又はオキソ基(=O)を有する炭素原子であり、
 Rは、アルキレン基、もしくはL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Tは、-SiRa3 z3a13 3-z3であって、
 Ra3は水酸基又は加水分解性基であって、Ra3が複数ある場合、複数あるRa3は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Ra13は非加水分解性基であり、Ra13が複数ある場合、複数あるRa13は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 z3は0~3の整数であって、z3が複数ある場合、複数あるz3は互いに同一であっても異なっていてもよく、ただし、z3のうち少なくとも一つは1~3の整数であり、
 x2及びx3は各々独立に1以上の整数であり、
 y2は1以上の整数である。
[2] Q、Q及びQのうち少なくとも一つが、1個の単環又は縮合環を含む2価の基である請求項[1]の化合物。
[3] Q、Q及びQのうち少なくとも一つが、環を構成し互いに隣接する炭素原子に結合手を有する2価の基である[1]又は[2]の化合物。
[4] R、R及びRのうち少なくとも一つが、アルキレン基である[1]~[3]のいずれかの化合物。
[5] R、R及びRのうち少なくとも一つが、単結合又はアルキレン基である[1]~[4]のいずれかの化合物。
[6] [1]~[5]のいずれかの化合物と、他の含フッ素エーテル化合物とを含有する組成物。
[7] [1]~[5]のいずれかの化合物、又は[6]の組成物を含む、表面処理剤。
[8] [1]~[5]のいずれかの化合物、又は[6]の組成物と、液状媒体とを含む、コーティング液。
[9] [1]~[5]のいずれかの化合物、[6]の組成物、又は、[7]の表面処理剤から形成された表面層を基材の表面に有する、物品。
[10] [1]~[5]のいずれかの化合物、[6]の組成物、[7]の表面処理剤、又は[9]のコーティング液を用いて、ドライコーティング法又はウェットコーティング法により、表面層を形成する、物品の製造方法。
[11] 下記式(3)又は(4)で表される化合物。
 A-(ORf1y1-R-Q-R21-D ・・・式(3)
 D-R81-Q-R-R-(ORf2y2-R-Q-R51-D ・・・式(4)
 ただし、
 Aは、炭素数1~20のフルオロアルキル基であり、
 Rf1は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf1が複数ある場合、複数あるRf1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
 R21は、単結合又は2価の基であり、
 Dはハロゲン原子であり、
 y1は1以上の整数であり、
 Rは、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、
 Rf2は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf2が複数ある場合、複数あるRf2は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
 R51は、単結合又は2価の基であり、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
 R81は、単結合又は2価の基であり、
 D及びDは各々独立にハロゲン原子であり、
 y2は1以上の整数である。
 本発明により、耐摩擦性及び耐光性に優れる化合物、組成物、表面処理剤、コーティング液、物品、及び物品の製造方法が提供される。
本発明の物品の一例を示す模式断面図である。
 本明細書において、式(1)で表される化合物を化合物1と記す。他の式で表される化合物等もこれに準ずる。
 「(ポリ)オキシフルオロアルキレン」とは、オキシフルオロアルキレンとポリオキシフルオロアルキレンとの総称である。
 フルオロアルキル基とは、ペルフルオロアルキル基とパーシャルフルオロアルキル基とを合わせた総称である。ペルフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換された基を意味する。またパーシャルフルオロアルキル基とは、水素原子の1個以上がフッ素原子で置換され、かつ、水素原子を1個以上有するアルキル基である。すなわちフルオロアルキル基は1個以上のフッ素原子を有するアルキル基である。
 「反応性シリル基」とは、加水分解性シリル基及びシラノール基(Si-OH)の総称であり、「加水分解性シリル基」とは、加水分解反応してシラノール基を形成し得る基を意味する。
 「有機基」とは、置換基を有していてもよく、炭素鎖中にヘテロ原子又は他の結合を有してもよい炭化水素基を意味する。「炭化水素基」とは、脂肪族炭化水素基(直鎖アルキレン基、分岐を有するアルキレン基、シクロアルキレン基等)、芳香族炭化水素基(フェニレン基等)及びこれらの組み合わせからなる基である。
 「表面層」とは、基材の表面に形成される層を意味する。
 フルオロポリエーテル鎖の「分子量」は、H-NMR及び19F-NMRによって、末端基を基準にしてオキシフルオロアルキレン単位の数(平均値)を求めて算出される数平均分子量である。
 数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
[化合物]
 本発明の化合物は、下記式(1)又は下記式(2)で表されることを特徴とする。
 A-(ORf1y1-R-Q-R-L-(R-Tx1 ・・・式(1)
 (T-Rx3-L-R-Q-R-R-(ORf2y2-R-Q-R-L-(R-Tx2 ・・・式(2)
 ただし、
 Aは、炭素数1~20のフルオロアルキル基であり、
 Rf1は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf1が複数ある場合、複数あるRf1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x1価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、もしくは、水酸基又はオキソ基(=O)を有する炭素原子であり、
 Rは、アルキレン基、もしくはL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Tは、-SiRa1 z1a11 3-z1であって、
 Ra1は水酸基又は加水分解性基であって、Ra1が複数ある場合、複数あるRa1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Ra11は非加水分解性基であり、Ra11が複数ある場合、複数あるRa11は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 z1は0~3の整数であって、z1が複数ある場合、複数あるz1は互いに同一であっても異なっていてもよく、ただし、z1のうち少なくとも一つは1~3の整数であり、
 x1は1以上の整数であり、
 y1は1以上の整数であり、
 Rは、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、
 Rf2は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf2が複数ある場合、複数あるRf2は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x2価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、もしくは、水酸基又はオキソ基(=O)を有する炭素原子であり、
 Rは、アルキレン基、もしくはL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Tは、-SiRa2 z2a12 3-z2であって、
 Ra2は水酸基又は加水分解性基であって、Ra2が複数ある場合、複数あるRa2は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Ra12は非加水分解性基であり、Ra12が複数ある場合、複数あるRa12は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 z2は0~3の整数であって、z2が複数ある場合、複数あるz2は互いに同一であっても異なっていてもよく、ただし、z2のうち少なくとも一つは1~3の整数であり、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
 Rは、単結合又は2価の基であり、
 Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x3価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、もしくは、水酸基又はオキソ基(=O)を有する炭素原子であり、
 Rは、アルキレン基、もしくはL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Tは、-SiRa3 z3a13 3-z3であって、
 Ra3は水酸基又は加水分解性基であって、Ra3が複数ある場合、複数あるRa3は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Ra13は非加水分解性基であり、Ra13が複数ある場合、複数あるRa13は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 z3は0~3の整数であって、z3が複数ある場合、複数あるz3は互いに同一であっても異なっていてもよく、ただし、z3のうち少なくとも一つは1~3の整数であり、
 x2及びx3は各々独立に1以上の整数であり、
 y2は1以上の整数である。
 化合物1は、概略すると「フルオロポリエーテル鎖-環構造を含む連結基-反応性シリル基」の構造を有する。また、化合物2は、概略すると「反応性シリル基-環構造を含む連結基-フルオロポリエーテル鎖-環構造を含む連結基-反応性シリル基」の構造を有する。
 本化合物はフルオロポリエーテル鎖を有するため、本化合物を用いて得られる表面層は、撥水撥油性、指紋汚れ除去性に優れる。
 本化合物は反応性シリル基を有する。当該反応性シリル基は基材と強固に化学結合するため得られる表面層は耐摩擦性などの耐久性に優れる。
 化合物1及び2は、環構造を含む連結基によって、フルオロエーテル鎖と、反応性シリル基とが連結されている。環構造を含む連結基は、例えば、摩擦や光の照射によって環構造に含まれる結合の一部が切断されたとしても、ポリフルオロエーテル鎖と、反応性シリル基との連結を維持できる。従って、本化合物により形成された表面層は、撥水撥油性、指紋汚れ除去性に優れ、耐摩擦性及び耐光性に優れる。
 以下、各化合物の構成について説明するが、同様の構造を有する符号についてはそのことを示し、適宜読み替えて参照できるものとする。
<化合物1>
 化合物1は、下記式(1)で表される構造を有する。
 A-(ORf1y1-R-Q-R-L-(R-Tx1 ・・・式(1)
 ただし、式(1)中の各符号は上述の通りである。
 Aは、炭素数1~20のフルオロアルキル基である。当該フルオロアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐及び/又は環構造を有するアルキル基であってもよい。耐摩耗性の点から直鎖フルオロアルキル基が好ましい。また、合成の容易性等の観点から、フルオロアルキル基の炭素数は1~6が好ましく、1~3がより好ましい。
 Rf1は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf1が複数ある場合、複数あるRf1は互いに同一であっても異なっていてもよい。(ORf1y1は、フルオロポリエーテル鎖であり、y1は1以上の整数である。
 (ORf1y1におけるフルオロポリエーテル鎖は、下記式(G1)で表される構造を有することが好ましい。
 -[(OGf1m1(OGf2m2(OGf3m3(OGf4m4(OGf5m5(OGf6m6]- ・・・式(G1)
 ただし、
 Gf1は、炭素数1のフルオロアルキレン基であり、
 Gf2は、炭素数2のフルオロアルキレン基であり、
 Gf3は、炭素数3のフルオロアルキレン基であり、
 Gf4は、炭素数4のフルオロアルキレン基であり、
 Gf5は、炭素数5のフルオロアルキレン基であり、
 Gf6は、炭素数6のフルオロアルキレン基であり、
 m1、m2、m3、m4、m5、m6は、それぞれ独立に0又は1以上の整数を表し、 m1+m2+m3+m4+m5+m6は1~200の整数である。
 なお、式(G1)における(OGf1)~(OGf6)の結合順序は任意である。式(G1)のm1~m6は、それぞれ、(OGf1)~(OGf6)の個数を表すものであり、配置を表すものではない。例えば、(OGf5m5は、(OGf5)の数がm5個であることを表し、(OGf5m5のブロック配置構造を表すものではない。同様に、(OGf1)~(OGf6)の記載順は、それぞれの単位の結合順序を表すものではない。
 また上記炭素数3~6のフルオロアルキレン基は、直鎖フルオロアルキレン基であってもよく、分岐、又は環構造を有するフルオロアルキレン基であってもよい。
 Gf1の具体例としては、-CF-、-CHF-が挙げられる。
 Gf2の具体例としては、-CFCF-、-CHFCF-、-CHFCHF-、-CHCF-、-CHCHF-などが挙げられる。
 Gf3の具体例としては、-CFCFCF-、-CFCHFCF-、-CFCHCF-、-CHFCFCF-、-CHFCHFCF-、-CHFCHFCHF-、-CHFCHCF-、-CHCFCF-、-CHCHFCF-、-CHCHCF-、-CHCFCHF-、-CHCHFCHF-、-CHCHCHF-、-CF(CF)-CF-、-CF(CHF)-CF-、-CF(CHF)-CF-、-CF(CH)-CF-、-CF(CF)-CHF-、-CF(CHF)-CHF-、-CF(CHF)-CHF-、-CF(CH)-CHF-、-CF(CF)-CH-、-CF(CHF)-CH-、-CF(CHF)-CH-、-CF(CH)-CH-、-CH(CF)-CF-、-CH(CHF)-CF-、-CH(CHF)-CF-、-CH(CH)-CF-、-CH(CF)-CHF-、-CH(CHF)-CHF-、-CH(CHF)-CHF-、-CH(CH)-CHF-、-CH(CF)-CH-、-CH(CHF)-CH-、-CH(CHF)-CH-などが挙げられる。
 Gf4の具体例としては、-CFCFCFCF-、-CHFCFCFCF-、-CHCFCFCF-、-CFCHFCFCF-、-CHFCHFCFCF-、-CHCHFCFCF-、-CFCHCFCF-、-CHFCHCFCF-、-CHCHCFCF-、-CHFCFCHFCF-、-CHCFCHFCF-、-CFCHFCHFCF-、-CHFCHFCHFCF-、-CHCHFCHFCF-、-CFCHCHFCF-、-CHFCHCHFCF-、-CHCHCHFCF-、-CFCHCHCF-、-CHFCHCHCF-、-CHCHCHCF-、-CHFCHCHCHF-、-CHCHCHCHF-、-cycloC-などが挙げられる。
 Gf5の具体例としては、-CFCFCFCFCF-、-CHFCFCFCFCF-、-CHCHFCFCFCF-、-CFCHFCFCFCF-、-CHFCHFCFCFCF-、-CFCHCFCFCF-、-CHFCHCFCFCF-、-CHCHCFCFCF-、-CFCFCHFCFCF-、-CHFCFCHFCFCF-、-CHCFCHFCFCF-、-CHCFCFCFCH-、-cycloC-などが挙げられる。
 Gf6の具体例としては、-CFCFCFCFCFCF-、-CFCFCHFCHFCFCF-、-CHFCFCFCFCFCF-、-CHFCHFCHFCHFCHFCHF-、-CHFCFCFCFCFCH-、-CHCFCFCFCFCH-、-cycloC10-などが挙げられる。
 ここで、-cycloC-は、ペルフルオロシクロブタンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロブタン-1,2-ジイル基が挙げられる。-cycloC-は、ペルフルオロシクロペンタンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロペンタン-1,3-ジイル基が挙げられる。-cycloC10-は、ペルフルオロシクロヘキサンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロヘキサン-1,4-ジイル基が挙げられる。
 (ORf1y1は、撥水撥油性、耐摩擦性、指紋汚れ除去性により優れる点から、中でも、下式(G2)~下式(G4)で表される構造を有することが好ましい。
  (OGf1m1-(OGf2m2 ・・・式(G2)
  (OGf2m2-(OGf4m4 ・・・式(G3)
  (OGf3m3 ・・・式(G4)
 ただし、式(G2)~式(G4)の各符号は、前記式(G1)と同様である。
 式(G2)及び式(G3)において、(OGf1)と(OGf2)、(OGf2)と(OGf4)の結合順序は各々任意である。例えば(OGf1)と(OGf2)が交互に配置されてもよく、(OGf1)と(OGf2)が各々ブロックに配置されてもよく、またランダムであってもよい。式(G3)においても同様である。
 式(G2)において、m1は1~50が好ましく、1~30がより好ましい。またm2は1~50が好ましく、1~30がより好ましい。
 式(G3)において、m2は1~50が好ましく、1~30がより好ましい。またm4は1~50が好ましく、1~30がより好ましい。
 式(G4)において、m3は1~50が好ましく、1~30がより好ましい。
 前記フルオロポリエーテル鎖(ORf1y1中のフッ素原子の割合[{フッ素原子数/(フッ素原子数+水素原子数)}×100(%)]は、撥水撥油性及び指紋除去性に優れる点から、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
 また、フルオロポリエーテル鎖(ORf1y1部分の分子量は、耐摩耗性の点から、200~30,000が好ましく、600~25,000がより好ましく、1,000~20,000が更に好ましい。
 なお、Rf1中のR又はQと結合する炭素原子は、少なくとも1個のフッ素原子と結合する。
 Rは、単結合又は2価の基である。
 Rが単結合である場合、本化合物は、フルオロアルキレン鎖の末端に位置するRf1が、Qに直接結合した構造を有する。
 Rが2価の基である場合、Rは、例えば、-O-、-S-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)-より選択される結合B、もしくは、Rf1側末端、Q側末端、又は炭素-炭素原子間に、前記結合Bを有していてもよいアルキレン基などが挙げられる。
 ただし、Rは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基である。
 上記アルキレン基は、直鎖であってもよく、分岐を有してもよい。耐摩耗性の点から直鎖アルキレン基が好ましい。また、合成の容易性等の観点から、アルキレン基の炭素数は1~6が好ましく、1~3がより好ましい。また、アルキレン基が有していてもよい結合Bとしては、-O-が好ましい。Rは合成容易性の点から、下記式(g1)で表される基が好ましい。
 *-R31-(O-R32a1-** ・・・式(g1)
 ただし、
 R31は単結合又は炭素数1~6の直鎖アルキレン基であり、
 R32は炭素数1~6の直鎖アルキレン基であり、
 a1は0~3の整数であり、
 *はRf1側結合手であり、**はQ側結合手である。
 なお、R31がアルキレン基の場合、Rf1の、R31と結合する炭素原子は1個以上のフッ素原子と結合しているものとする。
 更に、Rは合成容易性の点から、下記式(g1a)で表される基がより好ましい。
 *-(O)a2-R33-** ・・・式(g1a)
 ただし、
 R33は炭素数1~6の直鎖アルキレン基であり、
 a2は0又は1の整数であり、
 *はRf1側結合手であり、**はQ側結合手である。
 なお、a2が0の場合、Rf1の、R33と結合する炭素原子は1個以上のフッ素原子と結合しているものとする。
 更に合成の容易性等の観点から、Rはアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~3の直鎖アルキレン基がより好ましい。
 Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基である。具体的にQは、下記式(Q1)で表すことができる。
 *-J-(RJ1-Jk1-** ・・・式(Q1)
 ただし、
 J及びJは各々独立に環構造であり、Jが複数ある場合、当該Jは互いに同一であっても異なっていてもよく、
 RJ1は単結合又は2価の基であり、RJ1が複数ある場合、当該RJ1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 k1は0以上の整数であり、
 *はR側結合手であり、**はR側結合手である。
 Qが含む環構造J及びJとしては、単環構造、縮合環構造のいずれであってもよく、ヘテロ原子を有していてもよく環構造内に更に架橋構造を有していてもよい。ヘテロ原子としては、O、N、S、Siなどが挙げられる。各環構造は、当該環構造の安定性の観点から、3~11員環であることが好ましく、4~8員環であることがより好ましく、5~8員環であることが更に好ましい。
 上記単環構造としては、例えば、ベンゼン、フラン、チオフェン、ピロール、ピラン、ピリジン、ピラゾール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール等の芳香族環由来の構造;シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の二重結合を有していてもよい脂肪族環由来の構造;オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル由来の構造;ピロリジン、ピロリドン、ピペリジンなどの環状アミン由来の構造などが挙げられる。
 上記縮合環構造としては、ナフタレン、アントラセン、ベンゾフラン、チオナフテン、カルバゾール、ベンゾ-ピロン、キノリン、アクリジン、フタラジン、キノキサリンなどの多環芳香族環由来の構造;デカヒドロナフタレンなどの縮合脂肪族環由来の構造;テトラリンなどの芳香族環と脂肪族環との縮合環などが挙げられる。
 また、環構造内に架橋構造を有する構造としては、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、アダマンタン等が挙げられる。
 なお上記J及びJにおける環構造は上記環の任意の2つの水素原子が結合手となった構造をいう。
 RJ1が2価の基である場合、RJ1は、例えば、-O-、-S-、-C(=O)NRN1-、-NRN1C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)-より選択される結合B、もしくは、J側末端、J側末端、又は炭素-炭素原子間に、前記結合Bを有していてもよく、炭素-炭素二重結合を有していてもよいアルキレン基などが挙げられる。
 ただし、RN1は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。
 k1は0以上の整数である。k1が0の場合、Qは環構造Jのみからなる基、すなわち、1個の単環構造又は縮合環構造を含む基である。k1が1以上の場合、Qは複数の環構造が連結した基である。このようなQの具体例としては、ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、スチルベン、ジフェニルエーテル由来の構造などが挙げられる。
 合成容易性の点及び耐摩擦性、耐光性の点から、k1は0~2が好ましく、0~1がより好ましく、0が更に好ましい。
 Qが含む環構造は、耐摩擦性及び耐光性等の観点から、ヘテロ原子を有しない炭素環構造であることが好ましい。
 合成の容易性や、耐摩擦性、耐光性の観点から、Qが含む環構造は、環を構成し互いに隣接する炭素原子に結合手を有する2価の基であることが好ましい。ただし、Qが含む環構造は、環を構成し互いに隣接する炭素原子が結合手を有する構造に限定されず、例えば、環を構成し互いに隣接していない炭素原子が結合手を有する構造であってもよい。
 Qが含む環構造の具体例としては、例えば以下の構造が挙げられる。
 ただし、Rは、環構造中に含まれるアミノ基を保護する保護基でもよいし、1価の炭化水素基であってもよいし、R又はRと結合する結合手であってもよい。また、n1は各々独立に1~3の整数である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 Rは、単結合又は2価の基である。
 Rが単結合である場合、本化合物は、QがLに直接結合した構造を有する。
 Rが2価の基である場合、Rは、例えば、-O-、-S-、-C(=O)NRN2-、-NRN2C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-C(=O)-、-NR-、-SONRN2-、-Si(RN2-、-OSi(RN2-より選択される結合B、もしくは、Q側末端、L側末端、又は炭素-炭素原子間に、前記結合Bを有していてもよいアルキレン基である。
 ただし、RN2は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基である。
 上記アルキレン基は、直鎖であってもよく、分岐を有してもよい。耐摩耗性の点から直鎖アルキレン基が好ましい。また、合成の容易性等の観点から、アルキレン基の炭素数は1~6が好ましく、1~3がより好ましい。また、アルキレン基が有していてもよい結合Bとしては、-O-が好ましい。Rは合成容易の点から下記式(g2)で表される基が好ましい。
 *-R34-(O-R35a3-** ・・・式(g2)
 ただし、
 R34は炭素数1~6の直鎖アルキレン基であり、
 R35は炭素数1~6の直鎖アルキレン基であって、R34が複数ある場合、当該R34は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 a3は0~3の整数であり、
 *はQ側結合手であり、**はL側結合手である。
 さらに、合成の容易性等の観点から、Rはアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~3の直鎖アルキレン基がより好ましい。
 Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x1価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、もしくは、水酸基又は分岐点を構成する炭素原子である。
 Lが単結合の場合、式(1)のRとRは直接結合する。
 Lが3価以上の基の場合、LはC、N、Si、環構造及び(1+x1)価のオルガノポリシロキサン残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の分岐点(以下、「分岐点P」と記す。)を有する。
 Nが分岐点Pとなる場合、分岐点Pは、例えば*-N(-**)で表される。ただし、*はR側の結合手であり、**はR側の結合手である。
 Cが分岐点Pとなる場合、分岐点Pは、例えば*-C(-**)又は*-CR29(-**)で表される。ただし、*はR側の結合手であり、**はR側の結合手であり、R29は1価の基であり、水素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
 Siが分岐点Pとなる場合、分岐点Pは、例えば*-Si(-**)又は*-SiR29(-**)で表される。ただし、*はR側の結合手であり、**はR側の結合手であり、R29は1価の基であり、水素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
 分岐点Pを構成する環構造としては、本化合物を製造しやすい点、及び表面層の耐摩擦性、耐光性及び耐薬品性がさらに優れる点から、3~8員環の脂肪族環、3~8員環の芳香族環、3~8員環のヘテロ環、及びこれらの環のうちの2つ以上からなる縮合環からなる群から選ばれる1種が好ましく、下式に挙げられる環構造が特に好ましい。環構造は、ハロゲン原子、アルキル基(炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)、シクロアルキル基、アルケニル基、アリル基、アルコキシ基、オキソ基(=O)等の置換基を有してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 分岐点Pを構成するオルガノポリシロキサン残基としては、例えば、下記の基が挙げられる。ただし、下式におけるR25は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はフェニル基である。R25のアルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、1~10が好ましく、1がより好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 2価以上のLは、-C(O)N(R26)-、-N(R26)C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-、-O-、-N(R26)-、-S-、-OC(O)O-、-NHC(O)O-、-OC(O)NH-、-NHC(O)N(R26)-、-SON(R26)-、-N(R26)SO-、-Si(R26-、-OSi(R26-、-Si(CH-Ph-Si(CH-及び2価のオルガノポリシロキサン残基からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合(以下、「結合B」と記す。)を有していてもよい。
 ただし、R26は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であり、Phは、フェニレン基である。R26のアルキル基の炭素数は、本化合物を製造しやすい点から、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
 2価のオルガノポリシロキサン残基としては、例えば、下式の基が挙げられる。ただし、下式におけるR27は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はフェニル基である。R27のアルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、1~10が好ましく、1がより好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 結合Bとしては、本化合物を製造しやすい点から、-C(O)NR26-、-N(R26)C(O)-、-C(O)-、及び-NR26-からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合が好ましく、表面層の耐光性及び耐薬品性がさらに優れる点から、-C(O)NR26-、-N(R26)C(O)-又は-C(O)-がより好ましい。
 3価以上のLは、RおよびRに結合する原子が、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、またはオキソ基(=O)を有する炭素原子である。すなわち、RおよびRに隣接する原子が各々結合Bまたは分岐点Pの構成元素である。3価以上のLの具体例としては、1個以上の分岐点P(例えば{*-P(-**)x1})、1個以上の分岐点Pと1個以上の結合Bとの組み合わせ(例えば、{*-B-R28-P(-**)x1}、{*-B-R28-P(-R28-B-**)x1})などが挙げられる。ただし、R28は単結合または2価の有機基であり、*はR側の結合手であり、**はR側の結合手である。
 また、2価のLとしては、RおよびRに結合する原子が、各々独立に、N、O、S、Si原子またはオキソ基(=O)を有する炭素原子である。すなわち、RおよびRに隣接する原子が各々結合Bの構成元素である。2価以上のLの具体例としては、単結合、1個以上の結合B(例えば、*-B-**、*-B-R28-B-**)などが挙げられる。ただし、R28は単結合または2価の有機基であり、*はR側の結合手であり、**はR側の結合手である。
 上記R28における2価の有機基としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基(アルキレン基、シクロアルキレン基等)、2価の芳香族炭化水素基(フェニレン基等)が挙げられ、炭素数2以上の炭化水素基の炭素-炭素原子間に結合Bを有していてもよい。2価の有機基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が更に好ましい。
 前記Lとしては、本化合物を製造しやすい点から、下式(E1)~(E7)のいずれかで表される基が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 ・・・式(E1)
 -E-C(RE23-e3(-E22-)e3 ・・・式(E2)
 -E-N(-E23-) ・・・式(E3)
 -E-Z(-E24-)e4 ・・・式(E4)
 -E-Si(RE33-e3(-E25-)e3 ・・・式(E5)
 -E-E26- ・・・式(E6)
 -E-CH(-E22-)-Si(RE33-e5(-E25-)e5 ・・・式(E7)
 ただし、式(E1)~式(E7)においては、E、E又はE側が式(1)のRと接続し、E22、E23、E24、E25又はE26側がRに接続する。
 ここで、Eは、単結合、-B-、-B-R40-、又は-B-R40-B-であって、R40はアルキレン基、又は炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NRE6-、-C(O)-、-NRE6-、又は-O-を有する基であり、  Bは、-C(O)NRE6-、-C(O)-、-NRE6-又は-O-であり、
  Bは-C(O)NRE6-、-C(O)-、又は-NRE6-であり、
 Eは、単結合又は-B-R40-であり、
 Eは、Eが結合するZにおける原子が炭素原子の場合、Eであり、Eが結合するZにおける原子が窒素原子の場合、Eであり、
 E11は、単結合、-O-、アルキレン基、又は炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NRE6-、-C(O)-、-NRE6-又は-O-を有する基であり、
 E22は、単結合、-B-、-R40-B-又は-B-R40-B-であり、E22を2以上有する場合、2以上のQ22は同一であっても異なっていてもよく、
 E23は、単結合又は-R40-B-であり、2個のE23は同一であっても異なっていてもよく、
 E24は、E24が結合するZにおける原子が炭素原子の場合、E22であり、E24が結合するZにおける原子が窒素原子の場合、E23であり、E24を2以上有する場合、2以上のE24は同一であっても異なっていてもよく、
 E25は、単結合、又は-R40-B-であり、E25を2以上有する場合、2以上のE25は同一であっても異なっていてもよく、
 E26は、単結合又は-R40-B-であり、
 Zは、Eが直接結合する炭素原子又は窒素原子を有しかつE24が直接結合する炭素原子又は窒素原子を有する(e4+1)価の環構造を有する基であり、
 RE1は、水素原子又はアルキル基であり、RE1を2以上有する場合、2以上のRE1は同一であっても異なっていてもよく、
 RE2は、水素原子、水酸基、アルキル基又はアシルオキシ基であり、
 RE3は、アルキル基であり、
 RE6は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であり、
  e1は0~3の整数であり、e2は0~3の整数であって、e1+e2は1~6の整数であり、
  e3は、1~3の整数であり、
  e4は、1以上の整数であり、
  e5は、1~3の整数である。
 なお、e1+e2=x1、e3=x1、e4=x1、e5=x1である。
 R40のアルキレン基の炭素数は、本化合物を製造しやすい点、及び表面層の耐摩擦性、耐光性及び耐薬品性がさらに優れる点から、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が更に好ましい。ただし、炭素-炭素原子間に特定の結合を有する場合のアルキレン基の炭素数の下限値は2である。
 Zにおける環構造としては、上述した分岐点Pを構成する環構造の(e4+1)価の残基が挙げられ、好ましい形態も同様である。なお、Zにおける環構造にはE24が直接結合するため、環構造に例えばアルキレン基が連結して、そのアルキレン基にE24が連結することはない。
 RE1、RE2又はRE3のアルキル基の炭素数は、本化合物を製造しやすい点から、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
 RE2のアシルオキシ基のアルキル基部分の炭素数は、化合物1を製造しやすい点から、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
 g4は、本化合物を製造しやすい点、及び表面層の耐摩擦性及び指紋汚れ除去性がさらに優れる点から、2~6が好ましく、2~4がより好ましく、2又は3が更に好ましい。
 前記Lの他の形態としては、下式(E11)~(E17)のいずれかで表される基が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
・・・式(E11)
 -E-C(RE23-e3(-E22-Ee3 ・・・式(E12)
 -E-N(-E23-E ・・・式(E13)
 -E-Z(-E24-Ee4 ・・・式(E14)
 -E-Si(RE33-e3(-E25-Ee3 ・・・式(E15)
 -E-E26-E ・・・式(E16)
 -E-CH(-E22-)-Si(RE33-e5(-E25-Ee5 ・・・式(E17)
 ただし、式(E11)~式(E17)においては、E、E又はE側が式(1)のRと接続し、E22、E23、E24、E25又はE26側がRに接続する。Eは、下記式(E)であり、Lが有する2以上のEは同一であっても異なっていてもよい。G以外の符号は、式(E1)~式(E7)における符号と同じである。
 -Si(R233-k(-E-) 式(E
 ただし、式(E)において、Si側がE22、E23、E24、E25又はE26に接続し、E側がRに接続する。R23は、アルキル基である。Eは、単結合、又は-R45-B-であって、R45は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間に-C(O)NR46-、-C(O)-、-NR46-又は-O-を有する基、又は-(OSi(R24-O-であり、2以上のEは同一であっても異なっていてもよい。kは、2又は3である。R46は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基である。R24は、アルキル基、フェニル基又はアルコキシ基であり、2個のR24は同一であっても異なっていてもよい。pは、0~5の整数であり、pが2以上の場合、2以上の(OSi(R24)は同一であっても異なっていてもよい。
 Eのアルキレン基の炭素数は、本化合物を製造しやすい点、及び表面層の耐摩擦性、耐光性及び耐薬品性がさらに優れる点から、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が更に好ましい。ただし、炭素-炭素原子間に特定の結合を有する場合のアルキレン基の炭素数の下限値は2である。
 R23のアルキル基の炭素数は、本化合物を製造しやすい点から、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
 R24のアルキル基の炭素数は、本化合物を製造しやすい点から、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
 R24のアルコキシ基の炭素数は、本化合物の保存安定性に優れる点から、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
 pは、0又は1が好ましい。
 Rは、Lに結合する原子がエーテル性酸素原子でもよく、炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有してもよいアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよい。当該Rとしては、下式(g5)で表わす基であることが好ましい。
 *-(O)a4-(Rg1O)a5-Rg2-** ・・・(g5)
 ただし、
 Rg1は、炭素数1~12のアルキレン基であり、複数あるRg1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
 Rg2は、炭素数1~18のアルキレン基であり、
 a4は0又は1であり、
 a5は0以上の整数であり、
 *はL結合する結合手であり、
 **はTに結合する結合手である。
 a4が0の場合は結合手*を有する原子が炭素原子となり、a3が1の場合は結合手*を有する原子が酸素原子となる。本化合物においてa3は0又は1のいずれでもよく、合成などの点から適宜選択すればよい。
 a5はRg1Oの繰り返し数であり、表面層としての耐久性などの点から、0~6が好ましく、0~3がより好ましく、0~1が更に好ましい。
 Rg1のアルキレン基は炭素数1~12の直鎖又は分岐を有するアルキレン基であればよく、炭素数1~6のアルキレン基が好ましく、炭素数1~3のアルキレン基がより好ましい。又当該アルキレン基は直鎖アルキレン基が好ましい。
 Rg2のアルキレン基は、炭素数1~18の直鎖又は分岐を有するアルキレン基であればよく、炭素数1~12のアルキレン基が好ましく、炭素数1~8のアルキレン基がより好ましく、炭素数2~6のアルキレン基が更に好ましく、炭素数2~3のアルキレン基が特に好ましい。又当該アルキレン基は直鎖アルキレン基が好ましい。
 Tは、-SiRa1 z1a11 3-z1である。
 Ra1は水酸基又は加水分解性基であって、Ra1が複数ある場合、複数あるRa1は互いに同一であっても異なっていてもよく、Ra11は非加水分解性基であり、Ra11が複数ある場合、複数あるRa11は互いに同一であっても異なっていてもよい。
 z1は0~3の整数であって、z1が複数ある場合、複数あるz1は互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、z1のうち少なくとも一つは1~3の整数である。
 Ra1が水酸基の場合、Si原子と共にシラノール(Si-OH)基を構成する。また、加水分解性基は加水分解反応によって水酸基となる基である。シラノール基は、さらに分子間で反応してSi-O-Si結合を形成する。また、シラノール基は、基材の表面の水酸基(基材-OH)と脱水縮合反応して、化学結合(基材-O-Si)を形成する。本化合物A1はTを1以上有することにより、表面層形成後の耐摩耗性に優れる。
 Ra1の加水分解性基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イソシアナート基(-NCO)等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1~4のアルコキシ基が好ましい。アシル基としては、炭素数1~6のアシル基が好ましい。アシルオキシ基としては、炭素数1~6のアシルオキシ基が好ましい。
 Ra1は、本化合物の製造のしやすさの点から、中でも、炭素数1~4のアルコキシ基又はハロゲン原子が好ましい。Ra1におけるアルコキシ基は、本化合物の保存安定性に優れ、反応時のアウトガスが抑制される点から、中でも、炭素数1~4のアルコキシ基が好ましく、長期の保存安定性の点からはエトキシ基が特に好ましく、加水分解反応委時間を短時間にする点からはメトキシ基が特に好ましい。又はロゲン原子としては、中でも塩素原子が好ましい。
 Ra11の非加水分解性基としては、水素原子又は1価の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリル基等が挙げられ、製造の容易性などの点から、アルキル基が好ましい。また、製造の容易性などの点から、炭化水素基の炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましい。
 1つのT内における、Ra1の数z1は、1~3であればよく、基材との密着性の点からは、2又は3が好ましく、3がより好ましい。
 Tの具体例としては、-Si(OCH、-SiCH(OCH、-Si(OCHCH、-SiCl、-Si(OCOCH、-Si(NCO)などが挙げられる。製造における取扱いやすさの点から、-Si(OCHが特に好ましい。
 化合物1の1分子中のTの数x1は、1~20であればよく、合成の容易性や、化合物A1の取り扱いの容易性などの点から、x1は1~12が好ましく、1~6がより好ましい。
 化合物1の1分子中に2個以上のTがある場合、当該Tは、互いに同一の構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
 化合物1の具体例としては、例えば下記が挙げられる。
 ただし、nは各々独立に1以上の整数であり、n1は各々独立に1~3の整数である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
<化合物2>
 化合物2は、下記式(2)で表される化合物である。
 (T-Rx3-L-R-Q-R-R-(ORf2y2-R-Q-R-L-(R-Tx2 ・・・式(2)
 ただし、式中の各符号は上述の記載のとおりである。
は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基である。当該フルオロアルキレン基はRf1と同様であり、好ましい態様も同様である。
 Rf2および(ORf2y2は、化合物1のR、及び(ORf1y1に対応する。Rf2および(ORf2y2の構造は、各々独立にR、及び(ORf1y1と同様であり、好ましい態様も同様である。
 (T-Rx3及び(R-Tx2は、化合物1の(R-Tx1に対応する。(T-Rx3及び(R-Tx2の構造は、各々独立に(R-Tx1と同様であり、好ましい態様も同様である。
 R及びRは、化合物1のRに対応する。R及びRの構造は、各々独立にRと同様であり、好ましい態様も同様である。
 Q及びQは、化合物1のQに対応する。Q及びQの構造は、各々独立にQと同様であり、好ましい態様も同様である。
 R及びRは、化合物1のRに対応する。R及びRの構造は、各々独立にRと同様であり、好ましい態様も同様である。
 L及びLは、化合物1のLに対応する。L及びLの構造は、各々独立にLと同様であり、好ましい態様も同様である。
 化合物2の具体例としては、例えば下記が挙げられる。
 ただし、nは各々独立に1以上の整数である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
(化合物1及び化合物2の製造方法)
 化合物1及び化合物2の製造方法は特に限定されるものではないが、高収率が得られる点から、例えば、下記式(5)で表される化合物又は下記式(6)で表される化合物と、下記式(101)で表される化合物101とをヒドロシリル化反応させる方法が好ましい。
 A-(ORf1y1-R-Q-R-L-(RC1-CH=CHx1 ・・・式(5)
 (CH=CH-RC3x3-L-R-Q-R-R-(ORf2y2-R-Q-R-L-(RC2-CH=CHx2 ・・・式(6)
 HSiRa1 z1a11 3-z1 ・・・式(101)
 ただし、
 RC1、RC2及びRC3は、各々独立に、L、L又はL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有していてもよいアルキレン基であって、RC1、RC2又はRC3が複数ある場合、当該RC1、RC2又はRC3は各々独立に互いに同一であっても異なっていてもよく、
 他の各符号は、前記式(1)又は式(2)における各符号と同様であり好ましい態様も同様である。
 なお、RC1-CH=CHは、反応後に式(1)におけるRに対応し、RC1-CH=CHは反応後に式(2)におけるRに対応し、CH=CH-RC3は反応後に式(2)におけるRに対応する。
 前記化合物5及び化合物6は、例えば、下記式(3)で表される化合物又は下記式(4)で表される化合物と、下記式(102)で表される化合物とを、遷移金属触媒及び配位子の存在下でカップリング反応させることで製造することができる。
 A-(ORf1y1-R-Q-R21-D ・・・式(3)
 D-R81-Q-R-R-(ORf2y2-R-Q-R51-D ・・・式(4)
 D11-R22-L-(RC1-CH=CHx1 ・・・式(102)
 ただし、
 D、D及びDは、各々独立にハロゲン原子であり、
 D11は、R22と直接結合している、Mg、Zn、Sn、B、Si、及びAlから成る群から選ばれるいずれか1つの原子を含む原子団であり、
 R22は、単結合又はアルキレン基であり、
 他の符号は前述の通りである。ただし、式(102)を式(4)と反応させた場合、式(102)のLはL又はLに相当し、RC1はRC2又はRC3に相当し、x1はx2又はx3に相当する。
 なお、反応後、-R21-R22-が-R-に対応し、-R51-R22-が-R-に対応し、-R81-R22-が-R-に対応する。
 前記遷移金属触媒としては、例えば、CuCl等の銅塩などが挙げられる。また、前記配位子としては、例えば、1-フェニル-1-プロピン等の炭素-炭素多重結合が金属原子に配位するパイ配位子などが挙げられる。
 化合物102は、例えば、国際公開第2021/054413号公報の方法等を参照して合成することができる。
 化合物3及び化合物4はフルオロポリエーテル鎖の少なくとも一方の末端に環構造が結合する新規化合物である。化合物3及び化合物4は、上記化合物1及び化合物2の製造に適した化合物である。
 A-(ORf1y1-R-Q-R21-D ・・・式(3)
 D-R81-Q-R-R-(ORf2y2-R-Q-R51-D ・・・式(4)
 ただし、式中の各符号は前述の通りであり、
 D、D及びDにおけるハロゲン原子は、反応性の点から、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれかであることが好ましく、ヨウ素原子であることが特に好ましい。
 R21が単結合である場合、本化合物は、QがDに直接結合した構造を有する。
 R21が2価の基である場合、R21は、例えば、-NRC(=O)-、-OC(=O)-、-C(=O)-、又はアルキレン基である。
 Rがアルキレン基である場合、Qと結合する側の末端、あるいは炭素-炭素結合間のいずれかに-O-、-S-、-C(=O)NR-、-NRC(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、又はC(=O)-を有してもよく、Dと結合する側の末端に-NRC(=O)-、-OC(=O)-、又はC(=O)-を有していてもよい。
 合成の容易性等の観点から、R21はアルキレン基であることが好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
 化合物4におけるR51及びR81は、化合物3のR21と同様であり好ましい態様も同様である。
 Dは、ハロゲン原子である。
 反応性等の観点から、Dは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれかであることが好ましく、ヨウ素原子であることが特に好ましい。
 化合物4におけるD及びDは、化合物3のDと同様であり、好ましい態様も同様である。
(化合物3及び化合物4の製造方法)
 化合物3及び化合物4の合成方法としては、例えば、(I)フルオロポリエーテル鎖の末端に反応性基を導入し、当該反応性基と付加反応する置換基と環構造とを有する化合物とを付加反応する方法や、(II)下記式(7)で表される化合物又は下記式(8)で表される化合物と、ジエンとを、ラジカル開始剤存在下で、ラジカル環化反応させる方法などが挙げられる。
 A-(ORf1y1-D ・・・式(7)
 D-R-(ORf2y2-D ・・・式(8)
 ただし、式中の各符号は前述の通りである。
 なお、化合物7及び化合物8は、例えば、国際公開第2019/163282号に記載の製造方法によって製造できる。
 前記ラジカル開始剤としては、例えば、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物や、有機過酸化物などが挙げられる。
 上記ジエンとして、例えば、下記式(103)で表される化合物が挙げられる。
 例えば、当該化合物103と上記化合物7を用いた場合、反応生成物として下記式(3A)及び式(3B)で表される化合物3A及び化合物3Bが混合物として得られる場合がある。
 化合物3A及び3Bは、いずれも化合物3として用いることができる。化合物3A及び3Bは、分離精製して用いてもよいし、2種類の化合物3を含んだ混合物として用いてもよい。
 CH=CH-R103-CH=CH ・・・式(103)
 ただし、R103は、エーテル性酸素もしくは-NR-を有していてもよいアルキレン基であり、合成の容易性等の観点から、主鎖に含まれる原子が3~6個であることが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
・・・式(3A)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
・・・式(3B)
 また、化合物3における基Qがアリール基である場合、化合物7と、下記式(104)で表される化合物104とを、適切な遷移金属触媒及び適切な配位子の存在下でカップリング反応させることによって化合物3を製造してもよい。
 A-(ORf1y1-R-D13 ・・・式(7)
 D14-Q-R21-D ・・・式(104)
 ただし、
 Dは、ハロゲンであり、
 D13は、Rと直接結合している、Mg、Zn、Sn、B、Si、及びAlから成る群から選ばれるいずれか1つの原子を含む原子団であり、
 D14は、ハロゲン原子、又は-OTs等の脱離基であり、
 Tsはトシル基である。
[含フッ素化合物含有組成物]
 本発明の含フッ素化合物含有組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、本化合物である含フッ素エーテル化合物の1種以上と、本化合物以外の他の含フッ素エーテル化合物とを含む。本組成物は本化合物として、例えば、化合物1と化合物2の両方を含んでいてもよい。また、化合物3Aから合成された化合物1と、化合物3Bから合成された化合物1との両方を含んでいてもよい。なお、本組成物は、後述する液状媒体を含まない。
 他の含フッ素エーテル化合物としては、不可避的に含まれる化合物、用途等に応じて組み合わせて用いる化合物の両方が挙げられる。
 本化合物と組み合わせて用いる化合物としては、公知の含フッ素エーテル化合物、含フッ素オイルが挙げられる。
 含フッ素オイルとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)が挙げられる。
 また、公知の含フッ素エーテル化合物としては、例えば、表面処理剤として市販されている含フッ素エーテル化合物が挙げられる。本組成物が公知の含フッ素エーテル化合物を含む場合、本化合物の特性を補う等の新たな作用効果が発揮される場合がある。
 公知の含フッ素エーテル化合物としては、例えば、下記の文献に記載のものが挙げられる。
 日本特開平11-029585号公報に記載のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、
 日本特許第2874715号公報に記載のケイ素含有有機含フッ素ポリマー、
 日本特開2000-144097号公報に記載の有機ケイ素化合物、
 日本特開2000-327772号公報に記載のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、
 日本特表2002-506887号公報に記載のフッ素化シロキサン、
 日本特表2008-534696号公報に記載の有機シリコーン化合物、
 日本特許第4138936号公報に記載のフッ素化変性水素含有重合体、
 米国特許出願公開第2010/0129672号明細書、国際公開第2014/126064号、日本特開2014-070163号公報に記載の化合物、
 国際公開第2011/060047号、国際公開第2011/059430号に記載のオルガノシリコン化合物、
 国際公開第2012/064649号に記載の含フッ素オルガノシラン化合物、
 日本特開2012-72272号公報に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー、
 国際公開第2013/042732号、国際公開第2013/121984号、国際公開第2013/121985号、国際公開第2013/121986号、国際公開第2014/163004号、日本特開2014-080473号公報、国際公開第2015/087902号、国際公開第2017/038830号、国際公開第2017/038832号、国際公開第2017/187775号に記載の含フッ素エーテル化合物、
 日本特開2014-218639号公報、国際公開第2017/022437号、国際公開第2018/079743号、国際公開第2018/143433号に記載のパーフルオロ(ポリ)エーテル含有シラン化合物、
 日本特開2015-199906号公報、日本特開2016-204656号公報、日本特開2016-210854号公報、日本特開2016-222859号公報に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン
 国際公開第2018/216630号、国際公開第2019/039226号、国際公開第2019/039341号、国際公開第2019/039186号、国際公開第2019/044479号、日本特開2019-44158号公報、国際公開第2019/044479号、国際公開第2019/163282号に記載の含フッ素エーテル化合物。
 また、含フッ素化合物の市販品としては、信越化学工業社製のKY-100シリーズ(KY-178、KY-185、KY-195等)、AGC社製のSURECO(登録商標) 2101SなどのSURECO AFシリーズ、ダイキン工業社製のオプツール(登録商標)DSX、オプツール(登録商標)AES、オプツール(登録商標)UF503、オプツール(登録商標)UD509等が挙げられる。
 本組成物において、本化合物に公知の含フッ素エーテル化合物を組み合わせる場合、含有比率は用途等に応じて、適宜調整すればよい。本組成物中の本化合物の含有割合は、中でも、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、25~75質量%がさらに好ましい。上記範囲とすることで、本化合物の特性を十分に発揮するとともに、組み合わせて用いる含フッ素エーテル化合物の特性も十分に得られる。
 不可避的に含まれる化合物としては、本化合物の製造工程で副生する含フッ素エーテル化合物(以下、「副生含フッ素エーテル化合物」とも記す。)が挙げられる。
 副生含フッ素エーテル化合物としては、例えば、未反応の含フッ素化合物(例えば、化合物3又は化合物4)、本化合物の製造におけるヒドロシリル化の際にアリル基の一部がインナーオレフィンに異性化した含フッ素エーテル化合物が挙げられる。
 本組成物が副生含フッ素エーテル化合物を含む場合、当該副生含フッ素エーテル化合物は精製により除去することも可能であるが、本化合物の特性を十分に発揮できる範囲で、本組成物中に含有していてもよい。これにより、副生含フッ素エーテル化合物の精製工程を簡略化することができる。
 公知の含フッ素エーテル化合物を組み合わせない場合、
 本組成物中の本化合物の含有量は、本組成物のうち、60質量%以上100質量%未満が好ましく、70質量%以上100質量%未満がより好ましく、80質量%以上100質量%未満が特に好ましい。
 副生含フッ素エーテル化合物の含有量は、本組成物のうち、0質量%超40質量%以下が好ましく、0質量%超30質量%以下がより好ましく、0質量%超20質量%以下が特に好ましい。
 本化合物の含有量及び副生含フッ素エーテル化合物の含有量が前記範囲内であれば、表面層の初期の撥水撥油性、耐摩擦性、指紋汚れ除去性、耐光性及び耐薬品性がさらに優れる。
 また、不可避的に含まれる化合物として、加水分解性シリル基の加水分解と縮合反応を促進する酸触媒や塩基性触媒等の添加剤が挙げられる。酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、酢酸、硫酸、燐酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸が挙げられる。塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアが挙げられる。
 これらの含有量は、本組成物のうち、0~9.999質量%が好ましく、0~0.99質量%が特に好ましい。
[表面処理剤]
 本含フッ素エーテル化合物を含む表面処理剤(以下、本表面処理剤ともいう。)は、表面層が指で繰り返し摩擦されても撥水撥油性が低下しにくい性能(耐摩擦性)及び拭き取りによって表面層に付着した指紋を容易に除去できる性能(指紋汚れ除去性)が長期間維持されることが求められる用途、例えば、タッチパネルの指で触れる面を構成する部材、メガネレンズ、ウェアラブル端末のディスプレイの表面処理剤として好適に用いられる。
[コーティング液]
 本発明のコーティング液(以下、本コーティング液ともいう。)は、本含フッ素エーテル化合物と液状媒体とを含む。本コーティング液は、液状であればよく、溶液であってもよく、分散液であってもよい。
 本コーティング液は、本含フッ素エーテル化合物を含んでいればよく、本含フッ素エーテル化合物の製造工程で生成した副生物等の不純物を含んでもよい。
 本含フッ素エーテル化合物の濃度は、本コーティング液中、0.001~40質量%が好ましく、0.01~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。
 液状媒体としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒は、含フッ素系有機溶媒であってもよく、非フッ素系有機溶媒であってもよく、両溶媒を含んでもよい。
 含フッ素系有機溶媒としては、フッ素化アルカン、フッ素化芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フッ素化アルキルアミン、フルオロアルコール等が挙げられる。
 フッ素化アルカンとしては、炭素数4~8の化合物が好ましい。市販品としては、たとえばC13H(AGC社製、アサヒクリン(登録商標)AC-2000)、C13(AGC社製、アサヒクリン(登録商標)AC-6000)、CCHFCHFCF(ケマーズ社製、バートレル(登録商標)XF)等が挙げられる。
 フッ素化芳香族化合物としては、たとえばヘキサフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロトルエン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
 フルオロアルキルエーテルとしては、炭素数4~12の化合物が好ましい。市販品としては、たとえばCFCHOCFCFH(AGC社製、アサヒクリン(登録商標)AE-3000)、COCH(3M社製、ノベック(登録商標)7100)、COC(3M社製、ノベック(登録商標)7200)、CCF(OCH)C(3M社製、ノベック(登録商標)7300)等が挙げられる。
 フッ素化アルキルアミンとしては、たとえばペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン等が挙げられる。
 フルオロアルコールとしては、たとえば2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
 非フッ素系有機溶媒としては、水素原子及び炭素原子のみからなる化合物と、水素原子、炭素原子及び酸素原子のみからなる化合物が好ましく、炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒が挙げられる。
 本コーティング液は、液状媒体を75~99.999質量%含むことが好ましく、85~99.99質量%含むことが好ましく、90~99.9質量%含むことが特に好ましい。
 本コーティング液は、本含フッ素エーテル化合物と液状媒体の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、それら以外の他の成分を含んでいてもよい。
 他の成分としては、たとえば、加水分解性シリル基の加水分解と縮合反応を促進する酸触媒や塩基性触媒等の公知の添加剤が挙げられる。
 本コーティング液における、他の成分の含有量は、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
 本コーティング液の本含フッ素エーテル化合物と他の成分の合計の濃度(以下、固形分濃度ともいう。)は、0.001~40質量%が好ましく、0.01~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が更に好ましく、0.01~1質量%が特に好ましい。
 コーティング液の固形分濃度は、加熱前のコーティング液の質量と、120℃の対流式乾燥機にて4時間加熱した後の質量とから算出する値である。
[物品]
 図1は本発明の物品の一例を示す模式断面図である。本発明の第1の物品は、基材12と、下地層14と、表面層22とをこの順で有する物品20であって、下地層14がケイ素を含む酸化物を含有し、表面層22が、前記本組成物の縮合体を含有する。
 上記第1の物品における基材12の材質及び形状は、本物品20の用途等に応じて適宜選択すればよい。基材12の材質としては、ガラス、樹脂、サファイア、金属、セラミック、石、これらの複合材料が挙げられる。ガラスは化学強化されていてもよい。特に、撥水撥油性が求められる基材12として、タッチパネル用基材、ディスプレイ用基材、電子機器の筐体を構成する基材などが挙げられる。タッチパネル用基材、ディスプレイ用基材は、透光性を有する。「透光性を有する」とは、JIS R3106:1998(ISO 9050:1990)に準じた垂直入射型可視光透過率が25%以上であることを意味する。タッチパネル用基材の材料としては、ガラス又は透明樹脂が好ましい。
 基材12は、下地層14が設けられる面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、プラズマグラフト重合処理等の表面処理を施したものであってもよい。表面処理を施した表面は、基材12と下地層14の接着性がさらに優れ、その結果、表面層22の耐摩耗性がさらに向上する。表面処理としては、表面層22の耐摩耗性がさらに優れる点から、コロナ放電処理又はプラズマ処理が好ましい。
 下地層14は少なくともケイ素を含む酸化物を含有する層であり、更に他の元素を有していてもよい。下地層14が酸化ケイ素を含有することで、前記本組成物のTが脱水縮合し、下地層14との間でSi-O-Si結合が形成され摩耗耐久性に優れた表面層22が形成される。
 下地層14中の酸化ケイ素の含有量は、65質量%以上であればよく、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。酸化ケイ素の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、下地層14においてSi-O-Si結合が充分に形成され、下地層14の機械特性が充分に確保される。酸化ケイ素の含有量は、他の元素の合計の含有量(酸化物の場合は酸化物換算した量)の合計を下地層14の質量から除いた残部である。
 表面層22の耐久性の点から、下地層14中の酸化物は、さらに、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、白金族元素、ホウ素、アルミニウム、リン、チタン、ジルコニウム、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、及びタングステンより選択される1種以上の元素を含有することが好ましい。これらの元素を含有することで、下地層14と前記本組成物との結合が強くなり耐摩耗性が向上する。
 下地層14が、鉄、ニッケル及びクロムより選択される1種以上を含む場合、これらの合計の含有量は、酸化ケイ素に対する割合で10~1100質量ppmが好ましく、50~1100質量ppmがより好ましく、50~500質量ppmが更に好ましく、50~250質量ppmが特に好ましい。
 下地層14が、アルミニウム及びジルコニウムより選択される1種以上を含む場合、これらの合計の含有量は、10~2500質量ppmが好ましく、15~2000質量ppmがより好ましく、20~1000質量ppmが更に好ましい。
 下地層14が、アルカリ金属元素を含む場合、これらの合計の含有量は、0.05~15質量%が好ましく、0.1~13質量%がより好ましく、1.0~10質量%が更に好ましい。なお、アルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムが挙げられる。
 下地層14が、白金族元素を含む場合、これらの合計の含有量は、0.02質量ppm以上800質量ppm以下が好ましく、0.04質量ppm以上600質量ppm以下がより好ましく、0.7質量ppm以上200質量ppm以下がさらに好ましい。なお白金族元素としては、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムが挙げられる。
 下地層14が、ホウ素及びリンより選択される1種以上を含む場合、これらの合計の含有量は、表面層22の耐摩耗性の点から、ケイ素のモル濃度に対する、ホウ素及びリンの合計のモル濃度の比として0.003~9が好ましく、0.003~2が好ましく、0.003~0.5が更に好ましい。
 下地層14が、アルカリ土類金属元素を含む場合、これらの合計の含有量は、表面層22の耐摩耗性の点から、ケイ素のモル濃度に対する、アルカリ土類金属元素の合計のモル濃度の比として0.005~5が好ましく、0.005~2が好ましく、0.007~2が更に好ましい。なお、アルカリ土類金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムが挙げられる。
 本組成物の接着性を向上し、物品20の撥水撥油性及び耐摩耗性の向上の点から、下地層14は、アルカリ金属原子を含む酸化ケイ素層であることが好ましい。中でも当該酸化ケイ素層において、表面層22と接する面からの深さが0.1~0.3nmの領域におけるアルカリ金属原子の濃度の平均値が、2.0×1019atoms/cm以上であることが好ましい。一方、酸化ケイ素層の機械特性を充分に確保する点から、前記アルカリ金属原子の濃度の平均値は、4.0×1022atoms/cm以下であることが好ましい。
 下地層14の厚さは、1~200nmが好ましく、2~20nmが特に好ましい。下地層14の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、下地層14による接着性の向上効果が充分に得られやすい。下地層14の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、下地層14自体の耐摩耗性が高くなる。下地層14の厚さを測定する方法としては、電子顕微鏡(SEM、TEM等)による下地層14の断面観察による方法や、光干渉膜厚計、分光エリプソメータ、段差計等を用いる方法が挙げられる。
 下地層14の形成方法は、例えば、基材12の表面に、所望の下地層14の組成を有する蒸着材料を蒸着する方法などが挙げられる。
 蒸着法は一例として、真空蒸着法が挙げられる。真空蒸着法は、蒸着材料を真空槽内で蒸発させ、基材12の表面に付着させる方法である。
 蒸着時の温度(例えば、真空蒸着装置を用いる際には、蒸着材料を設置するボートの温度)は、100~3000℃が好ましく、500~3000℃が特に好ましい。
 蒸着時の圧力(例えば、真空蒸着装置を用いる際には、蒸着材料を設置する槽内の絶対圧は、1Pa以下が好ましく、0.1Pa以下が特に好ましい。
 蒸着材料を用いて下地層14を形成する場合、1つの蒸着材料を用いてもよいし、異なる元素を含む2つ以上の蒸着材料を用いてもよい。
 蒸着材料の蒸発方法としては、高融点金属製の抵抗加熱用ボート上で蒸着材料を溶融し、蒸発させる抵抗加熱法、電子ビームを蒸着材料に照射し、蒸着材料を直接加熱して表面を溶融し、蒸発させる電子銃法等が挙げられる。蒸着材料の蒸発方法としては、局所的に加熱できるため高融点物質も蒸発できる点、電子ビームが当たっていないところは低温であるため容器との反応や不純物の混入のおそれがない点から、電子銃法が好ましい。電子銃法に用いる蒸着材料としては、気流が生じても飛散しにくい点から、溶融粒状体又は焼結体が好ましい。
 下地層14上の表面層22は、本組成物に含まれる化合物の縮合体を含有する。本化合物の縮合体は、本組成物に含まれる化合物中の加水分解性シリル基が加水分解反応することによってシラノール基(Si-OH)が形成され、シラノール基が分子間で縮合反応してSi-O-Si結合が形成されたもの、及び、本化合物中のシラノール基が下地層14の表面のシラノール基又はSi-OM基(ただし、Mはアルカリ金属元素である。)と縮合反応してSi-O-Si結合が形成されたものを含む。また、表面層22は本組成物に含まれる化合物以外の含フッ素化合物の縮合体を含んでいてもよい。すなわち、表面層22は、反応性シリル基を有する含フッ素化合物を、含フッ素化合物の反応性シリル基の一部又は全部が縮合反応した状態で含む。
 表面層22の厚さは、1~100nmが好ましく、1~50nmが特に好ましい。表面層22の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、表面層22による効果が充分に得られる。表面層22の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、利用効率が高い。
 表面層22の厚さは、薄膜解析用X線回折計で得られた厚さである。表面層22の厚さは、薄膜解析用X線回折計を用いて、X線反射率法によって反射X線の干渉パターンを得て、干渉パターンの振動周期から算出できる。
 本発明の第2の物品は、下地層付き基材10と、表面層22とをこの順で有する物品20であって、下地層付き基材10がケイ素を含む酸化物を含有し、表面層22が、前記本組成物の縮合体を含有する。
 第2の物品は、下地層付き基材10が前記第1の物品における下地層14の組成を有するため、下地層付き基材10に直接表面層22を形成しても表面層22の摩耗耐久性に優れている。
 第2の物品における下地層付き基材10の材質は、下地層14の組成を有するものであればよく、例えば、ガラス基材などであってもよい。下地層付き基材10の材質の詳細は、基材12及び下地層14の材質と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、表面層22の構成も前記第1の物品と同様であるため、ここでの説明は省略する。
[物品の製造方法]
 本発明にかかる物品の製造方法は、前記含フッ素エーテル化合物、前記表面処理剤、又は前記コーティング液を用いて、ドライコーティング法又はウェットコーティング法により、表面層を形成する方法である。
 本含フッ素エーテル化合物及び本表面処理剤は、ドライコーティング法にそのまま用いることができる。また、本組成物及び本表面処理剤は、ドライコーティング法によって密着性に優れた表面層を形成するのに好適である。ドライコーティング法としては、真空蒸着、CVD、スパッタリング等の手法が挙げられる。本組成物の分解を抑える点、及び装置の簡便さの点から、真空蒸着法が好適に利用できる。
 真空蒸着には、鉄や鋼等の金属材料からなる金属多孔体に本組成物を担持させたペレット状物質を使用してもよい。本組成物を担持させたペレット状物質は、金属多孔体に本組成物の溶液を含浸し、乾燥して液状媒体を除去することにより製造できる。本組成物の溶液としては、本コーティング液を用いることができる。
 本コーティング液は、ウェットコーティング法に好適に用いることができる。ウェットコーティング法としては、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、グラビアコート法等が挙げられる。
 表面層の耐摩擦性を向上させるために、必要に応じて、本組成物と基材との反応を促進するための操作を行ってもよい。該操作としては、加熱、加湿、光照射等が挙げられる。
 たとえば、水分を有する大気中で表面層が形成された基材を加熱して、加水分解性基の加水分解反応、基材の表面の水酸基等とシラノール基との反応、シラノール基の縮合反応によるシロキサン結合の生成、等の反応を促進できる。
 表面処理後、表面層中の化合物であって他の化合物や基材と化学結合していない化合物は、必要に応じて除去してもよい。具体的な方法としては、たとえば、表面層に溶媒をかけ流す方法、溶媒をしみ込ませた布でふき取る方法等が挙げられる。
 以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において「%」は特に断りのない限り「質量%」である。なお、例1~例5が実施例であり、例6~例7が比較例である。
[例1]
(合成例1-1)
 国際公開第2019/163282号の例2-2に記載の合成方法に従い、下記化合物1-1を得た。
 CF-O-(CFCFO-CFCFCFCFO)n2CFCFO-CFCFCF-I ・・・式7-1
 ただし、繰り返し単位n2の平均値は13である。
(合成例1-2)
 国際公開第2021/054413号の例2に記載の合成方法に従い、下記化合物1-2を得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
 ・・・式1-2
(合成例1-3)
 50mLのナスフラスコに、合成例1-1で得た化合物1-1の5g、ジアリルエーテルの0.36g、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)の0.23g、AC-6000の7.2gを入れ、80℃で3時間攪拌した。ナスフラスコ内を25℃にし、アセトンを加えて分液し、下相を取り、溶媒を除去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、化合物1-3の2.4gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
・・・式(1-3)
 化合物3-1のNMRスペクトル;
 H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):4.1~4.0(2H)、3.8~3.6(2H)、3.0~2.7(2H)、2.6~2.3(2H)、2.3~2.1(2H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-111.0~-114.9(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n3の平均値:13。
(合成例1-4)
 20mLのナスフラスコに、合成例1-3で得た化合物1-3の2g、1-フェニル-1-プロピンの4.9mg、CuClの2.8mg、AE-3000の4g、合成例1-2で得た化合物1-2の0.26gを入れ、40度で20時間攪拌した。ナスフラスコ内を25℃にし、塩酸を入れ、分液し、有機層を回収して溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムで精製し、化合物1-4の1.3gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
・・・式(1-4)
 化合物1-4のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):5.9~5.7(3H)、5.1~4.9(6H)、4.1~4.0(2H)、3.8~3.6(2H)、2.5~1.1(14H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.7~-114.9(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n4の平均値:13。
(合成例1-5)
 10mLのナスフラスコに、合成例1-4で得た化合物1-4の1g、トリメトキシシランの0.11g、アニリンの1.3mg、AC-6000の1g、白金/1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体の3.6mgを入れ、40℃で攪拌した。溶媒を減圧留去し、化合物(I)の1.1gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
・・・式(I)
 化合物(I)のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):4.1~4.0(2H)、3.8~3.6(2H)、3.6(27H)、2.6~0.8(20H)、0.6(6H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.5~-114.7(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n5の平均値:13。
[例2]
(合成例2-1)
 前記合成例1-3において、ジアリルエーテルを、1,6-ヘプタジエンの0.21gに変更した以外は、前記合成例1-3と同様にして、化合物2-1の4.2gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
・・・式(2-1)
 化合物2-1のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):3.5~3.0(2H)、2.6~1.3(10H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-111.0~-114.9(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n6の平均値:13。
(合成例2-2)
 前記合成例1-4において、化合物1-3を、上記化合物2-1に変更した以外は、合成例1-4と同様にして、化合物2-2の1.6gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
・・・式(2-2)
 化合物2-2のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):5.9~5.7(3H)、5.1~4.9(6H)、2.5~1.1(20H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.7~-114.9(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n7の平均値:13。
(合成例2-3)
 前記合成例1-5において、化合物1-4を、上記化合物2-2に変更した以外は、合成例1-5と同様にして、化合物(II)の1.1gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
・・・式(II)
 化合物(II)のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):3.6(27H)、2.6~0.8(26H)、0.6(6H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.5~-114.7(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n8の平均値:13。
[例3]
(合成例3-1)
 前記合成例1-3において、ジアリルエーテルを、1,5-ヘキサジエンの0.28gに変更した以外は、前記合成例1-3と同様にして、化合物3-1の2.6gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
・・・式(3-1)
 化合物3-1のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):3.2~2.7(2H)、2.5~1.9(8H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.4~-114.9(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n9の平均値:13。
(合成例3-2)
 前記合成例1-4において、化合物1-3を、上記化合物3-1に変更した以外は、合成例1-4と同様にして、化合物3-2の1.4gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
・・・式(3-2)
 化合物5-3のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):5.9~5.7(3H)、5.1~4.9(6H)、2.5~1.1(18H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.2~-114.9(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n10の平均値:13。
(合成例3-3)
 前記合成例1-5において、化合物1-4を、上記化合物3-2に変更した以外は、合成例1-5と同様にして、化合物(III)の1.1gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
・・・式(III)
 化合物(III)のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):3.6(27H)、2.6~0.8(24H)、0.6(6H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.1~-114.6(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n11の平均値:13。
[例4]
(合成例4-1)
 前記合成例1-3において、ジアリルエーテルを、1,7-オクタジエンの0.36gに変更した以外は、合成例1-3と同様にして、化合物4-1の2.7gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
・・・式(4-1)
 化合物4-1のNMRスペクトル; 
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):3.1~2.7(2H)、2.5~1.2(12H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.6~-114.9(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n12の平均値:13。
(合成例4-2)
 前記合成例1-4において、化合物1-3を、上記化合物4-1に変更した以外は、合成例1-4と同様にして、化合物4-2の1.3gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
・・・式(4-2)
 化合物4-2のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):5.9~5.7(3H)、5.1~4.9(6H)、2.5~1.1(22H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.4~-114.9(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n13の平均値:13。
(合成例4-3)
 前記合成例1-5において、化合物1-4を上記化合物4-2に変更した以外は、合成例1-5と同様にして、化合物(IV)の1.0gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
・・・式(IV)
 化合物(IV)のNMRスペクトル;
H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):3.6(27H)、2.6~0.8(28H)、0.6(6H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-55.2(3F)、-82.3(54F)、-87.8(54F)、-89.9(2F)、-110.2~-114.6(2F)、-124.8(52F)、―125.4(2F)
 n14の平均値:13。
[例5]
 上記化合物(II)と化合物(III)を50:50の質量比で混合し、例5の組成物を得た。
[例6]
 特開2014-218639号公報の実施例に記載の合成方法に従い、下記化合物(VI)を得た。
 ただし、n15の平均値は13である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
・・・式(VI)
[例7]
 国際公開第2017/038830号の実施例に記載の合成方法に従い、下記(VII)を得た。

 ただし、n16の平均値は13である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
・・・式(VII)
[物品の製造及び評価]
 上記製法にて得られた組成物及び化合物を用いて基材を表面処理し物品を得た。表面処理方法として、各例について下記のドライコーティング法及びウェットコーティング法をそれぞれ用いた。基材としては化学強化ガラスを用いた。得られた物品について、下記の方法で評価した。結果を表に示す。
[ドライコーティング法]
 ドライコーティングは、真空蒸着装置(ULVAC社製、VTR350M)を用いて行った(真空蒸着法)。各化合物の0.5gを真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに充填し、真空蒸着装置内を1×10-3Pa以下に排気した。化合物を配置したボートを昇温速度10℃/分以下の速度で加熱し、水晶発振式膜厚計による蒸着速度が1nm/秒を超えた時点でシャッターを開けて基材の表面への製膜を開始させた。
 膜厚が約50nmとなった時点でシャッターを閉じて基材の表面への製膜を終了させた。化合物が堆積された基材を、200℃で30分間加熱処理し、ジクロロペンタフルオロプロパン(AGC社製、AK-225)にて洗浄して、基材の表面に表面層を有する物品を得た。
[ウェットコーティング法]
 各化合物と、媒体としてのCOC(3M社製、ノベック(登録商標)7200)とを混合して、固形分濃度0.05%のコーティング液を調製した。コーティング液に基材をディッピングし、30分間静置後、基材を引き上げた(ディップコート法)。
 塗膜を200℃で30分間乾燥させ、AK-225にて洗浄して、基材の表面に表面層を有する物品を得た。
(評価方法)
 <接触角の測定方法>
 表面層の表面に置いた約2μLの蒸留水又はn-ヘキサデカンの接触角を、接触角測定装置(協和界面科学社製、DM-500)を用いて測定した。表面層の表面における異なる5箇所で測定し、その平均値を算出した。接触角の算出には2θ法を用いた。
 <初期接触角>
 表面層について、初期水接触角及びn-ヘキサデカン接触角を前記測定方法により測定した。評価基準は下記のとおりである。
 A(優) :115度以上である。
 B(良) :110度以上115度未満である。
 C(可) :100度以上110度未満である。
 D(不可):100度未満である。
 <耐摩擦性(スチールウール)>
 表面層について、JIS L0849:2013(ISO 105-X12:2001)に準拠して往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用い、スチールウールボンスター(♯0000)を圧力:98.07kPa、速度:320cm/分で1万回往復させた後、前記方法により水接触角を測定した。摩擦後の撥水性(水接触角)の低下が小さいほど摩擦による性能の低下が小さく、耐摩擦性に優れる。評価基準は下記のとおりである。
 A(優) :1万5千回往復後の水接触角の変化が2度以下である。
 B(良) :1万5千回往復後の水接触角の変化が2度超5度以下である。
 C(可) :1万5千回往復後の水接触角の変化が5度超10度以下である。
 D(不可):1万5千回往復後の水接触角の変化が10度超である。
 <耐摩擦性(スチールウール)>
 表面層について、卓上型キセノンアークランプ式促進耐光性試験機(東洋精機社製、SUNTEST XLS+)を用い、ブラックパネル温度:63℃にて、光線(650W/m、300~700nm)を1000時間照射した後、前記方法により水接触角を測定した。光線照射後の撥水性(水接触角)の低下が小さいほど光による性能の低下が小さく、耐光性に優れる。評価基準は下記のとおりである。
 A(優) :光線照射後の水接触角の変化が2度以下である。
 B(良) :光線照射後の水接触角の変化が2度超5度以下である。
 C(可) :光線照射後の水接触角の変化が5度超10度以下である。
 D(不可):光線照射後の水接触角の変化が10度超である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000032
 表1に示される通り、本組成物を用いて形成された表面層は、耐摩擦性及び耐光性に優れていることが明らかとなった。
 さらに、種々の含フッ素エーテル化合物を合成した。以下に合成例を示す。
[例8]
 特許第6044211号の実施例1に記載の合成方法に従い、下記化合物8-0を得た。
 CFCF-O-(CFO)m7-(CFCFO)n17-CFCF-I ・・・式(8-0)
 ただし、繰り返し単位m7、n17の平均値はそれぞれ22、24である。
(合成例8-1)
 前記合成例2-1において、化合物1-1を、化合物8-0の5gに変更した以外は、前記合成例2-1と同様にして、化合物8-1の4.1gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000033
・・・式(8-1)
 化合物8-1のNMRスペクトル;
 H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):3.5~3.0(2H)、2.6~1.3(10H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-52.0~-58.2(44F)、-85.8(2F)、-89.2(3F)、-89.6~-92.3(98F)、110.9~-115.8(2F)
 m8の平均値:22、n18の平均値:24。
(合成例8-2)
 前記合成例2-2において、化合物2-1を、上記化合物8-1に変更した以外は、合成例2-2と同様にして、化合物8-2の1.4gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000034
・・・式(8-2)
 化合物8-2のNMRスペクトル;
 H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):5.9~5.7(3H)、5.1~4.9(6H)、2.5~1.1(20H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-52.0~-58.2(44F)、-85.8(2F)、-89.2(3F)、-89.6~-92.3(98F)、110.6~-115.8(2F)
 m9の平均値:22、n19の平均値:24。
(合成例8-3)
 前記合成例2-3において、化合物2-2を、上記化合物8-2に変更した以外は、合成例2-3と同様にして、化合物(VIII)の1.0gを得た。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000035
・・・式(VIII)
化合物(8-3)のNMRスペクトル;
 H-NMR(400MHz、Chloroform-d) δ(ppm):3.6(27H)、2.6~0.8(26H)、0.6(6H)
 19H-NMR(376MHz,Chloroform-d) δ(ppm):-52.0~-58.2(44F)、-85.8(2F)、-89.2(3F)、-89.6~-92.3(98F)、110.4~-115.7(2F)
 m10の平均値:22、n20の平均値:24。
 本化合物を含む表面層を備えた物品は、一例として、下記の製品の部品の一部として使用される光学物品、タッチパネル、反射防止フィルム、反射防止ガラス、SiO処理ガラス、強化ガラス、サファイアガラス、石英基板、金型金属等として有用である。
 製品:カーナビゲーション、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯情報端末(PDA)、ポータブルオーディオプレーヤー、カーオーディオ、ゲーム機器、眼鏡レンズ、カメラレンズ、レンズフィルター、サングラス、医療用器機(胃カメラ等)、複写機、パーソナルコンピュータ(PC)、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、保護フィルム、反射防止フィルム、反射防止ガラス、ナノインプリントのテンプレート、金型等。
 この出願は、2021年11月25日に出願された日本出願特願2021-191387号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
 10:下地層付き基材、   12:基材、   14:下地層、
 20:物品、   22:表面層

Claims (11)

  1.  下記式(1)又は下記式(2)で表される化合物。
     A-(ORf1y1-R-Q-R-L-(R-Tx1 ・・・式(1)
     (T-Rx3-L-R-Q-R-R-(ORf2y2-R-Q-R-L-(R-Tx2 ・・・式(2)
     ただし、
     Aは、炭素数1~20のフルオロアルキル基であり、
     Rf1は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf1が複数ある場合、複数あるRf1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Rは、単結合又は2価の基であり、
     Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
     Rは、単結合又は2価の基であり、
     Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x1価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、もしくは、水酸基又はオキソ基(=O)を有する炭素原子であり、
     Rは、アルキレン基、もしくはL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Tは、-SiRa1 z1a11 3-z1であって、
     Ra1は水酸基又は加水分解性基であって、Ra1が複数ある場合、複数あるRa1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Ra11は非加水分解性基であり、Ra11が複数ある場合、複数あるRa11は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     z1は0~3の整数であって、z1が複数ある場合、複数あるz1は互いに同一であっても異なっていてもよく、ただし、z1のうち少なくとも一つは1~3の整数であり、
     x1は1以上の整数であり、
     y1は1以上の整数であり、
     Rは、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、
     Rf2は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf2が複数ある場合、複数あるRf2は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Rは、単結合又は2価の基であり、
     Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
     Rは、単結合又は2価の基であり、
     Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x2価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、もしくは、水酸基又はオキソ基(=O)を有する炭素原子であり、
     Rは、アルキレン基、もしくはL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Tは、-SiRa2 z2a12 3-z2であって、
     Ra2は水酸基又は加水分解性基であって、Ra2が複数ある場合、複数あるRa2は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Ra12は非加水分解性基であり、Ra12が複数ある場合、複数あるRa12は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     z2は0~3の整数であって、z2が複数ある場合、複数あるz2は互いに同一であっても異なっていてもよく、ただし、z2のうち少なくとも一つは1~3の整数であり、
     Rは、単結合又は2価の基であり、
     Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
     Rは、単結合又は2価の基であり、
     Lは、単結合又は、N、O、S、Siを有していてもよく、分岐点を有していてもよい1+x3価の基であって、R及びRに結合する原子は、各々独立に、N、O、S、Si原子、分岐点を構成する炭素原子、もしくは、水酸基又はオキソ基(=O)を有する炭素原子であり、
     Rは、アルキレン基、もしくはL側の末端又は炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有するアルキレン基であって、Rが複数ある場合、複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Tは、-SiRa3 z3a13 3-z3であって、
     Ra3は水酸基又は加水分解性基であって、Ra3が複数ある場合、複数あるRa3は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Ra13は非加水分解性基であり、Ra13が複数ある場合、複数あるRa13は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     z3は0~3の整数であって、z3が複数ある場合、複数あるz3は互いに同一であっても異なっていてもよく、ただし、z3のうち少なくとも一つは1~3の整数であり、
     x2及びx3は各々独立に1以上の整数であり、
     y2は1以上の整数である。
  2.  Q、Q及びQのうち少なくとも一つが、1個の単環又は縮合環を含む2価の基である請求項1に記載の化合物。
  3.  Q、Q及びQのうち少なくとも一つが、環を構成し互いに隣接する炭素原子に結合手を有する2価の基である請求項1又は2に記載の化合物。
  4.  R、R及びRのうち少なくとも一つが、アルキレン基である請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
  5.  R、R及びRのうち少なくとも一つが、単結合又はアルキレン基である請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
  6.  請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物と、他の含フッ素エーテル化合物とを含有する組成物。
  7.  請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項6に記載の組成物を含む、表面処理剤。
  8.  請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項6に記載の組成物と、液状媒体とを含む、コーティング液。
  9.  請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、請求項6に記載の組成物、又は、請求項7に記載の表面処理剤から形成された表面層を基材の表面に有する、物品。
  10.  請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、請求項6に記載の組成物、請求項7に記載の表面処理剤、又は請求項8に記載のコーティング液を用いて、ドライコーティング法又はウェットコーティング法により、表面層を形成する、物品の製造方法。
  11.  下記式(3)又は(4)で表される化合物。
     A-(ORf1y1-R-Q-R21-D ・・・式(3)
     D-R81-Q-R-R-(ORf2y2-R-Q-R51-D ・・・式(4)
     ただし、
     Aは、炭素数1~20のフルオロアルキル基であり、
     Rf1は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf1が複数ある場合、複数あるRf1は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Rは、単結合又は2価の基であり、
     Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
     R21は、単結合又は2価の基であり、
     Dはハロゲン原子であり、
     y1は1以上の整数であり、
     Rは、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、
     Rf2は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf2が複数ある場合、複数あるRf2は互いに同一であっても異なっていてもよく、
     Rは、単結合又は2価の基であり、
     Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
     R51は、単結合又は2価の基であり、
     Rは、単結合又は2価の基であり、
     Qは、1個以上の環構造を含み、環構造を構成する原子が、R及びRと結合する2価の基であり、
     R81は、単結合又は2価の基であり、
     D及びDは各々独立にハロゲン原子であり、
     y2は1以上の整数である。
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