WO2023068292A1

WO2023068292A1 - 肌質改善用食品組成物

Info

Publication number: WO2023068292A1
Application number: PCT/JP2022/038912
Authority: WO
Inventors: 悟史神足; 友輝小黒; 千恵子林; 英一郎埴岡; 卓夫築野
Original assignee: 築野ライスファインケミカルズ株式会社
Priority date: 2021-10-20
Filing date: 2022-10-19
Publication date: 2023-04-27

Abstract

本発明は、γ－オリザノール高含有芽油を有効成分として含み、角質水分量の増加、皮脂分泌量の抑制および肌の脂っぽさの改善からなる群から選択される少なくとも１つの作用を有する、肌質改善用食品組成物を提供する。　

Description

肌質改善用食品組成物

　本発明は、肌質改善用食品組成物に関するものである。

　γ－オリザノールは、トリテルペンアルコールや各種植物ステロールのフェルラ酸エステルの総称であり、米油の原料となる米糠に多く含まれる生理活性成分の一種である。γ－オリザノールの作用としては、例えば、外用剤として、抗酸化作用、紫外線吸収作用、チロシナーゼ活性抑制作用、皮膚温上昇作用、皮脂腺賦活作用などが報告されている。また、薬理作用として、成長促進作用、性腺刺激作用、ビタミンＥ様作用、抗ストレス作用、脱コレステロール作用、抗高脂血症などが報告されている。γ－オリザノールは、食品添加物、化粧品素材、医薬品素材、サプリメント、飼料などに広く利用されている。

　特許文献１には、アシル化ステロール配糖体を２．７～４．１質量％、γ－オリザノールを１．４～２．１質量％、ステアロ・オレオ・レシチン換算で、リン脂質を１８～２８質量％含有し、加水分解したときに、加水分解前の質量に対して２０～３０質量％のリノール酸、２４～３７質量％のオレイン酸、１１～１７質量％のパルミチン酸、１．７～２．６質量％の植物ステロールを含有する米糠抽出物を含有する皮膚外用剤は、血色を改善し、肌状態改善作用に優れることが開示されている。

　特許文献２には、脱脂米糠等の米糠由来物のγ－オリザノールを有効成分として含有する肌保湿用食品組成物を経口摂取することで、肌の保湿効果が得られることが開示されている。

　γ－オリザノールを外部から油脂に添加して、任意の濃度のγ－オリザノールを含有する油脂を製造することは可能である。しかし、γ－オリザノールは厚生労働省の「専ら医薬品として使用される成分本質（原材料）リスト」に掲載されているため、γ－オリザノールを原材料として使用したものは医薬品と判断される。したがって、薬理作用が期待される量でγ－オリザノールを添加した油脂は、食品と称することができない。

特開２０１６－１３８０４６号公報特開２０２０－２０２８３５号公報

　本発明は、γ－オリザノール高含有米油の新たな用途を見出し、γ－オリザノール高含有米油の経口摂取により肌質改善に有用な食品組成物を提供することを課題とする。

　本発明は、上記の課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
［１］γ－オリザノール高含有米油を有効成分として含む肌質改善用食品組成物。
［２］前記γ－オリザノール高含有米油が、γ－オリザノールを外部から添加されていない、前記［１］に記載の肌質改善用食品組成物。
［３］前記γ－オリザノール高含有米油が、γ－オリザノールを２０質量％以上含有する、前記［１］または［２］に記載の肌質改善用食品組成物。
［４］前記γ－オリザノール高含有米油が、γ－オリザノールを２０質量％以上６０質量％以下含有する、前記［１］～［３］のいずれかに記載の肌質改善用食品組成物。
［５］角質水分量の増加、皮脂分泌量の抑制および肌の脂っぽさの改善からなる群から選択される少なくとも１つの作用を有する、前記［１］～［４］のいずれかに記載の肌質改善用食品組成物。
［６］γ－オリザノール高含有米油を有効成分として含む角質水分量増加用食品組成物。
［７］γ－オリザノール高含有米油を有効成分として含む皮脂分泌量抑制用食品組成物。

　本発明により、γ－オリザノール高含有米油を有効成分として含む肌質改善用食品組成物を提供することができる。本発明の肌質改善用食品組成物は、角質水分量の増加、皮脂分泌量の抑制および肌の脂っぽさの改善に有用である。

図１は、ＧＸ－Ｎ群（実線）およびプラセボ群（破線）における試験開始前からの角質水分量の変化を示す図である。図２は、ＧＸ－Ｎ群（実線）およびプラセボ群（破線）における試験開始前からの皮脂分泌量の変化を示す図である。図３は、ＧＸ－Ｎ群（実線）およびプラセボ群（破線）における脂っぽさに関する体感の変化を示す図である。

〔肌質改善用食品組成物〕
　本発明は、肌質改善用食品組成物を提供する。本発明の肌質改善用食品組成物は、γ－オリザノール高含有米油を有効成分として含むものであればよい。本発明で用いるγ－オリザノール高含有米油のγ－オリザノール含有量は、例えば、原料である米糠からヘキサン抽出した原油のγ－オリザノール含有量（２．０質量％程度）よりも高い含有量であればよく、好ましくは１０質量％以上、より好ましくは１５質量％以上、さらに好ましくは２０質量％以上、さらに好ましくは２５質量％以上、特に好ましくは３０質量％以上であってもよい。本発明で用いるγ－オリザノール高含有米油のγ－オリザノール含有量の上限は、特に限定されず、例えば６０質量％であってもよい。本発明で用いるγ－オリザノール高含有米油は、γ－オリザノール高含有米胚芽油であってもよい。

　本発明で用いるγ－オリザノール高含有米油は、γ－オリザノールが外部から添加されていない米油であってもよい。そのようなγ－オリザノール高含有米油の製造方法は特に限定されないが、例えば、国際公開第２０１２／０６３７９４号に記載の方法で製造することができる。具体的には、（Ａ）油層と、γ－オリザノール塩を含有するアルカリ油滓層とを有する油脂処理物を得る工程、ならびに（Ｂ）（Ａ）で得られた油脂処理物に酸を添加し、γ－オリザノールをアルカリ油滓層から油層に移行させ、γ－オリザノール含量が増加した油脂を回収する工程を包含する製造方法を利用するものであってもよい。当該製造方法を利用すれば、約６０質量％程度のγ－オリザノールを含有する米油を製造することができる。

　本発明で用いるγ－オリザノール高含有米油は、市販のγ－オリザノール高含有米油であってもよい。市販のγ－オリザノール高含有米油としては、例えば、築野食品工業株式会社製の米胚芽油ＧＸ－Ｎ等が挙げられる。

　米油中のγ－オリザノール含有量は、公知の方法で測定することができる。例えば、以下の方法で行うことができる。ただし、この方法に限定されない。
　油脂を２～５ｇ秤量し、ｎ－ヘキサンで１００ｍＬとする。このうちの２ｍＬを取り、ｎ－ヘキサンで１００ｍＬに希釈したものについて、３１５ｎｍの吸光度を測定する。油脂重量をＸ（ｇ）、吸光度をＡとすると、γ－オリザノール含有量Ｇ（質量％）は、以下の式で算出される。
　　Ｇ＝（Ａ×５０００）／（Ｘ×３５９）

　本発明で用いるγ－オリザノール高含有米油は、γ－オリザノールの他に、一般的な米油に含有される成分である、フェルラ酸、ステロール、ワックス、グルコシドセラミド、トコフェノール（ビタミンＥ）、トコトリエノール等を含有している。したがって、本発明の肌質改善用食品組成物は、高含有するγ－オリザノールと、米油に含有される他の成分との相乗効果により、優れた肌質改善作用を奏していると考えられる。

　本発明の肌質改善用食品組成物は食用油脂として実施することができる。食用油脂としては、γ－オリザノール高含有米油を含むものであれば特に限定されず、γ－オリザノール高含有米油とそれ以外の食用油脂を混合したブレンド油であってもよい。γ－オリザノール高含有米油以外の食用油脂としては、例えば、パーム油、ナタネ油、大豆油、ゴマ油、コーン油、綿実油、ココナッツ油、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、モンゴンゴ油、ペカン油、松の実油、クルミ油、ツバキ油、茶油、牛脂、ラード、鶏油、馬油、魚油などが挙げられる。ブレンド油は、γ－オリザノール高含有米油とそれ以外の食用油脂を２種以上混合したものあってもよい。

　本発明の肌質改善用食品組成物は、経口摂取により肌質改善作用が得られることを特徴とする。肌質改善作用としては、肌の不調（肌荒れ、乾燥、しわ、ニキビ、吹き出物等）を改善および／または治癒するものであってもよく、肌の健康状態を向上させるものであってもよい。具体的な作用としては、例えば、角質水分量の増加、皮脂分泌量の抑制、肌の脂っぽさの改善等が挙げられる。

　出願人は、本発明の肌質改善用食品組成物を経口摂取することにより、肌の角質水分量を有意に増加させることを確認している（実施例参照）。したがって、本発明の肌質改善用食品組成物は、角質水分量増加用食品組成物と称することができる。また、出願人は、本発明の肌質改善用食品組成物を経口摂取することにより、皮脂分泌量を有意に抑制することを確認している（実施例参照）。したがって、本発明の肌質改善用食品組成物は、皮脂分泌量抑制用食品組成物と称することができる。肌の角質水分量を測定する方法および肌の皮脂分泌量を測定する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、実施例に記載の方法を用いることができる。

　本発明の肌質改善用食品組成物に含まれるγ－オリザノール高含有米油の含有量は、経口摂取により肌質改善作用が得られる程度に含まれていれば特に限定されず、例えば、本発明の肌質改善用食品組成物全体に対して、５質量％以上、１０質量％以上、２０質量％以上、３０質量％以上、４０質量％以上、５０質量％以上であってもよい。γ－オリザノール高含有米油の含有量の上限は、特に限定されず、本発明の肌質改善用食品組成物全体に対して、１００質量％であってもよい。

　本発明により肌質改善作用が得られる肌の部位としては、特に限定されず、例えば、顔（額、頬等）、腕、足等が挙げられる。

　本発明の肌質改善用食品組成物の摂取頻度としては、特に限定されず、例えば、１日１回以上、１日１～３回の範囲内等が挙げられる。

　本発明の肌質改善用食品組成物の摂取期間としては、特に限定されず、例えば、１週間以上、２週間以上、４週間以上であってもよい。

　本発明の肌質改善用食品組成物の１日の摂取量としては、特に限定されず、例えば、γ－オリザノール高含有米油換算量で２０ｍｇ以上、５０ｍｇ以上、１００ｍｇ以上等であってもよい。１日の摂取目安量の上限としては、特に限定されず、例えば、γ－オリザノール高含有米油換算量で１０００ｍｇであってもよい。

　以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

〔実施例１：経口摂取による皮膚の改善効果〕
［試験材料および試験方法］
１　被験物質および試薬
１．１　被験物質
　被験物質１および２として以下を使用した。
・被験物質１：米胚芽油ＧＸ－Ｎ（γ－オリザノール含有量：約３０質量％）（製造元：築野食品工業株式会社）
・被験物質２：こめサラダ油（γ－オリザノール含有量：約０．２質量％）（製造元：築野食品工業株式会社）

１．２　試薬
　試薬として以下を使用した。
・ＯＶＡＬ５　ゼラチン皮膜ソフトカプセル（内容量：２５０ｍｇ）（製造元：富士カプセル株式会社）

２　試料の調製
　外部カプセル充填工場に以下のようなカプセル調製を委託した。

３　試験方法
３．１　試験概要
　以下の条件で試験を実施した。
試験方法　：　プラセボ対照単盲検試験
試験参加者：　男女２０代～５０代
被験者数　：　２８人
試料　　　：　ＧＸ－Ｎ含有カプセル（米胚芽油ＧＸ－Ｎ１００ｍｇ、こめサラダ油１５０ｍｇ）またはプラセボカプセル（こめサラダ油２５０ｍｇ）
服用方法　：　１日１回１カプセル
服用期間　：　３ヶ月
検査回数　：　５回（試験開始前(０週目)、試験中(１週目、４週目、８週目、１２週目)）

３．２　評価方法
　皮膚データの取得を以下の方法で実施した。

３．２．１　肌の順化
　被験者は、クレンジングオイル（商品名：カウブランド無添加メイク落としオイル、牛乳石鹸共進社）でメイクを落とし、洗顔料（商品名：カウブランド無添加泡の洗顔料、牛乳石鹸共進社）で皮膚上の皮脂や汚れを落としたうえで、乾いたタオルで水分を拭き取り、恒温恒湿室（温度２２℃、湿度５０％）に入室した。入室後３０分間待機し、肌を順化した。

３．２．２　角質水分量
　皮膚測定器(Cutometer DUAL MPA580、Courage+Khazaka社)のプローブ(Corneometer CM825、Courage+Khazaka社)を頬骨の皮膚に接触させ、角質水分量（ＡＵ）を測定した。被験者一人につき左右各３回測定し、平均値を被験者ごとの値とした。統計処理には、Paired t-testを使用した。

３．２．３　皮脂分泌量
　Sebumeter SM815(Courage+Khazaka社)を額に当て、皮脂を採取し、皮脂分泌量（μｇ／ｃｍ^２）を測定した。被験者一人につき２回測定し、平均値を被験者ごとの値とした。統計処理には、Paired t-testおよびU検定を使用した。

３．２．４　顔の脂っぽさの体感
　被験者が恒温恒湿室で３０分間待機し、肌を順化している間にＶＡＳ（ヴィジュアル・アナログ・スケール）アンケートの記入を実施した。長さ１０ｃｍの線（左端が「非常に悪い」、右端が「非常に良い」）を被験者に見せ、検査時の顔の脂っぽさの体感がどの程度かを線上に図示してもらった。各検査日での「非常に悪い」からの平均距離（ｃｍ）を算出した。統計処理には、Paired t-testおよびU検定を使用した。

　試験開始前の角質水分量の結果より、被験者をＧＸ－Ｎ群およびプラセボ群に組分けした。組分け後の各試料群の被験者の詳細を表２に示す。

４　結果
４．１　角質水分量
　図１は、試験開始前の角質水分量を０とした場合の角質水分量の変化量を示した図である。試験開始直後、ＧＸ－Ｎ群（実線）およびプラセボ群（破線）ともに角質水分量の増加が見られた。ＧＸ－Ｎ群では、試験開始直後～１２週目にかけて、試験開始前と比べて角質水分量が有意に上昇していた。群間での有意差は見られなかったが、試験開始前からの角質水分量の変化では、ＧＸ－Ｎ群が、プラセボ群と比較してより顕著に増加している傾向が見られた。

４．２　皮脂分泌量
　図２は、試験開始前の皮脂分泌量を０とした場合の皮脂分泌量の変化量を示した図である。皮脂分泌量は、１週目で試験開始前と比べて有意に低下していたが、ＧＸ－Ｎ群（実線）の方がプラセボ群（破線）に比べて大幅な低下が見られた。また、ＧＸ－Ｎ群では、８週目～１２週目においても試験開始前と比べて有意な皮脂分泌量の低下が確認された一方、プラセボ群では、４週目以降で有意な変化は確認されなかった。さらに、４週目において、群間の皮脂分泌量の変化に有意差が見られた。

４．３　顔の脂っぽさの体感
　図３は、試験開始前の顔の脂っぽさの体感の程度を０とした場合の変化量を示した図である。ＧＸ－Ｎ群（実線）では、８週目～１２週目にかけて、試験開始前と比べて体感される脂っぽさに有意な改善が見られた。このような体感はプラセボ群では確認されず、４週目～１２週目にかけて、プラセボ群に比べてＧＸ－Ｎ群で体感される脂っぽさに有意な改善が見られた。

　なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims

　γ－オリザノール高含有米油を有効成分として含む肌質改善用食品組成物。
　前記γ－オリザノール高含有米油が、γ－オリザノールを外部から添加されていない、請求項１に記載の肌質改善用食品組成物。
　前記γ－オリザノール高含有米油が、γ－オリザノールを２０質量％以上含有する、請求項１または２に記載の肌質改善用食品組成物。
　前記γ－オリザノール高含有米油が、γ－オリザノールを２０質量％以上６０質量％以下含有する、請求項１～３のいずれか１項に記載の肌質改善用食品組成物。
　角質水分量の増加、皮脂分泌量の抑制および肌の脂っぽさの改善からなる群から選択される少なくとも１つの作用を有する、請求項１～４のいずれか１項に記載の肌質改善用食品組成物。
　γ－オリザノール高含有米油を有効成分として含む角質水分量増加用食品組成物。
　γ－オリザノール高含有米油を有効成分として含む皮脂分泌量抑制用食品組成物。