WO2023054478A1 - 粘着剤組成物、粘着シート、及び接合体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高温高湿環境下に保管後においても電圧の印加により十分に接着力が低下する粘着剤組成物を提供することを目的とする。本発明は、第1の重合体と、イオン液体とを含有する粘着剤組成物であって、前記第1の重合体をベースポリマーとして含み、ガラス転移温度Tgが40~180℃である第2の重合体を更に含む粘着剤組成物に関する。

Description

粘着剤組成物、粘着シート、及び接合体
 本発明は、粘着剤組成物、当該粘着剤組成物から形成された粘着剤層を含む粘着シート、及び当該粘着シートと被着体の接合体に関する。
 電子部品製造工程等において、歩留まり向上のためのリワークや、使用後に部品を分解して回収するリサイクル等に関する要望が増している。このような要望に応えるべく、電子部品製造工程等で部材間を接合するうえで、一定の接着力とともに一定の剥離性をも伴った両面粘着シートが利用される場合がある。
 上記の接着力と剥離性を実現する両面粘着シートとして、粘着剤組成物を形成する成分に、カチオンとアニオンからなるイオン液体を使用し、粘着剤層に電圧を印加することにより剥離する粘着シート(電気剥離型粘着シート)が知られている(特許文献1)。
 特許文献1の電気剥離型粘着シートでは、電圧の印加により、陰極側ではイオン液体のカチオンが移動して還元が起こり、陽極側ではイオン液体のアニオンが移動して酸化が起こり、接着界面の接着力が弱くなり、剥離しやすくなるものと考えられる。
 また、特許文献2では、例えば、冬季等の低湿度環境下においても電圧の印加により十分に接着力が低下する粘着剤組成物について検討がされている。
国際公開第2017/064918号 日本国特開2020-164778号公報
 電気剥離型粘着シートは、電圧非印加時には部材を強固に接合し、電圧印加時には少ない力で剥離できることが好ましい。したがって、電気剥離型粘着シートにおいて、電圧印加による接着力の低下率は大きいことが好ましい。
 しかし、従来の粘着剤組成物においては、経時により電圧印加による接着力の低下率が小さくなる場合があった。そして、本発明者等の検討の結果、夏季等の湿度が高く高温の環境に保管した後において、電圧印加による接着力の低下率が小さくなるという新たな課題を見出した。
 本発明は上記に鑑みて完成されたものであり、高温高湿環境下での保管後においても電圧の印加により十分に接着力が低下する、湿熱安定性に優れた粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物、及び当該粘着剤組成物から形成される粘着剤層を備える粘着シートを提供することを目的とする。
 本発明者らの検討によれば、高温高湿環境下での保管後において電圧印加による接着力の低下率が小さくなるのは、高温高湿環境下では粘着剤層の粘度が上昇し、イオン液体のカチオン及びアニオンが移動しにくくなることに起因することが判った。
 本発明者らが更に検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
 ベースポリマーに加え、Tgが40~180℃である重合体を更に含有させることにより、高温高湿環境下での保管後においても電気剥離性が良好であること、即ち、電圧印加による接着力の低下率が大きいことを見出した。
 前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
〔1〕
 第1の重合体と、イオン液体とを含有する粘着剤組成物であって、
 前記第1の重合体をベースポリマーとして含み、
 ガラス転移温度(Tg)が40~180℃である第2の重合体を更に含む、粘着剤組成物。
〔2〕
 前記第1の重合体と前記第2の重合体のHSP値差が0~3である、〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔3〕
 前記第2の重合体が有機高分子化合物を含み、前記第2の重合体における前記有機高分子化合物の含有量は、前記第1の重合体100質量部に対して1~50質量部である、〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔4〕
 前記イオン液体のアニオンは、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔5〕
 前記イオン液体のカチオンは、窒素含有オニウムカチオン、硫黄含有オニウムカチオン、及びリン含有オニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔6〕
 前記イオン液体の含有量は、前記第1の重合体100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下である、〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔7〕
 前記第1の重合体は、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、並びに、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基及び/又はアミド結合を有するアクリル系ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔8〕
 前記第2の重合体が粘着付与樹脂を含む、〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔9〕
 前記粘着付与樹脂の軟化点が100℃以上である、〔8〕に記載の粘着剤組成物。
〔10〕
 前記粘着付与樹脂の含有量は、前記第1の重合体100質量部に対して1~50質量部である、〔8〕に記載の粘着剤組成物。
〔11〕
 前記粘着付与樹脂がテルペン系粘着付与樹脂又はロジン系粘着付与樹脂である、〔8〕に記載の粘着剤組成物。
〔12〕
 電気剥離用である、〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔13〕
 〔1〕~〔12〕のいずれか一つに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備える、粘着シート。
〔14〕
 〔13〕に記載の粘着シートと、導電性の材料とを備え、
 前記粘着剤層が前記導電性の材料に貼着した接合体。
 本発明の粘着剤組成物は、高温高湿環境下での保管後においても電圧の印加により十分に接着力が低下する。
図1は、本発明の粘着シートの一例を示す断面図である。 図2は、本発明の粘着シートの積層構造の一例を示す断面図である。 図3は、本発明の粘着シートの積層構造の他の例を示す断面図である。 図4は、実施例における180°ピール試験の方法の概要を示す断面図である。
 以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
[粘着剤組成物]
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、第1の重合体と、イオン液体とを含有する粘着剤組成物であって、前記第1の重合体をベースポリマーとして含み、更に、Tgが40~180℃である第2の重合体を含む。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、好ましくは電気剥離用である。
 以下、粘着剤組成物について説明する。
 なお、本明細書において第1の重合体のことを「ベースポリマー」ということがある。
 本実施形態に係る粘着剤組成物におけるベースポリマーとは、粘着剤組成物に含まれるポリマーにおける主成分をいう。また、この明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50質量%を超えて含まれる成分を指す。
 なお、本明細書において電圧非印加時の接着力のことを「初期接着力」ということがある。
 また、粘着剤組成物に含まれる成分のうちイオン液体以外の成分からなる組成物のことを「イオン液体非含有粘着剤組成物」ということがある。
 また、イオン液体非含有粘着剤組成物により形成される粘着剤層のことを「イオン液体非含有粘着剤層」ということがある。
 また、電圧印加により接着力が低下する性質のことを「電気剥離性」といい、電圧印加による接着力の低下率が大きいことを「電気剥離性に優れる」などということがある。
<粘着剤組成物の成分>
(第1の重合体(ベースポリマー))
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、ベースポリマーとして第1の重合体を含有する。本発明の実施形態においてベースポリマーは、一般的な有機高分子化合物であれば特に制限されず、たとえば、モノマーの重合物又は部分重合物である。モノマーは、1種のモノマーであっても、2種以上のモノマー混合物であってもよい。なお、部分重合物とは、モノマー又はモノマー混合物のうちの少なくとも一部が部分的に重合している重合物を意味する。
 本発明の実施形態における第1の重合体は、通常粘着剤として使用され、粘着性を有するものである限り特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタン系ポリマー、フッ素系ポリマー、およびエポキシ系ポリマー等が挙げられる。
 上記ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 本発明の実施形態における第1の重合体は、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、並びに、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基及び/又はアミド結合を有するアクリル系ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。ポリエステル系ポリマー及びウレタン系ポリマーは末端に分極しやすい水酸基を有することから、また、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基及び/又はアミド結合を有するアクリル系ポリマーは、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基及び/又はアミド結合が分極しやすいことから、これらのポリマーを用いることで、電圧非印加時に優れた接着力を発揮する粘着剤層を得ることができる。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物に含有される全ポリマー中のベースポリマーの含有量は、合計で60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
 また、特に、コストや生産性、及び初期接着力を大きくするためには、本発明の実施形態におけるポリマーは、アクリル系ポリマーであることが好ましく、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基及び/又はアミド結合を有するアクリル系ポリマーであることがより好ましい。
 すなわち、本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含むアクリル系粘着剤組成物であることが好ましい。
 アクリル系ポリマーは、炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(下記式(1))に由来するモノマーユニットを含むことが好ましい。このようなモノマーユニットは、大きな初期接着力を得るために好適である。さらに、得られる粘着剤層の電圧非印加時の接着力及び電気剥離性を向上させるには下記式(1)におけるアルキル基Rの炭素数は小さいことが好ましく、特に8以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。
  CH=C(R)COOR    (1)
[式(1)中のRは、水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数1~14のアルキル基である]
 炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、1,3-ジメチルブチルアクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、およびn-テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもn-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレートが好ましい。炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100質量%)に対する炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、特に限定されないが、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。アクリル系ポリマーの割合が70質量%以上であると、大きな初期接着力を得やすくなる。
 アクリル系ポリマーとしては、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するモノマーユニットの他に、これと共重合可能な極性基含有モノマーに由来するモノマーユニットを含むことが好ましい。モノマーユニットは、架橋点を付与することができ、大きな初期接着力を得るために好適である。さらに、電圧非印加時の接着力及び電気剥離性を向上させるという観点からも、極性基含有モノマーに由来するモノマーユニットを含むことが好ましい。
 極性基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、アルコキシ基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニル基含有モノマー、芳香族ビニルモノマー、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテルモノマー、N-アクリロイルモルホリン、スルホ基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、および酸無水物基含有モノマー等が挙げられる。中でも凝集性に優れる点から、カルボキシル基含有モノマー、アルコキシ基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマーが好ましく、特に、カルボキシル基含有モノマーが好ましい。カルボキシル基含有モノマーは、特に大きな初期接着力を得るために好適である。極性基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、およびイソクロトン酸等が挙げられる。特に、アクリル酸が好ましい。カルボキシル基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 アルコキシ基含有モノマーとしては、例えばメトキシ基含有モノマーやエトキシ基含有モノマーが挙げられる。メトキシ基含有モノマーとしては、例えば、2-メトキシエチルアクリレートが挙げられる。
 ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、およびジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。特に、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。ヒドロキシル基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、およびジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。アミド基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリル等が挙げられる。
 ビニル基含有モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、およびラウリン酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられ、特に酢酸ビニルが好ましい。
 芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α-メチルスチレン、およびその他の置換スチレン等が挙げられる。
 イミド基含有モノマーとしては、例えば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、およびイタコンイミド等が挙げられる。
 アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、およびアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
 ビニルエーテルモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、およびイソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
 アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100質量%)に対する極性基含有モノマーの割合は、0.1質量%以上35質量%以下が好ましい。極性基含有モノマーの割合の上限は、より好ましくは25質量%であり、さらに好ましくは20質量%であり、下限は、より好ましくは0.5質量%であり、さらに好ましくは1質量%であり、特に好ましくは2質量%である。極性基含有モノマーの割合が0.1質量%以上であると、凝集力が得やすくなるため、粘着剤層を剥離した後の被着体表面に糊残りが生じにくくなり、また、電気剥離性が向上する。また、極性基含有モノマーの割合が35質量%以下であると、粘着剤層が被着体に過度に密着し重剥離化することを防ぎやすくなる。特に2質量%以上20質量%以下であると、被着体に対する剥離性と、粘着剤層と他の層との密着性との両立が図りやすくなる。
 また、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、アクリル系ポリマーに架橋構造を導入して、必要な凝集力を得やすくするために、多官能モノマーが含まれていてもよい。
 多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、およびN,N’-メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。多官能モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100質量%)に対する多官能モノマーの含有量は、0.1質量%以上15質量%以下が好ましい。多官能モノマーの含有量の上限は、より好ましくは10質量%であり、下限は、より好ましくは3質量%である。多官能モノマーの含有量が、0.1質量%以上であると、粘着剤層の柔軟性、接着性が向上しやすくなり好ましい。多官能モノマーの含有量が、15質量%以下であると、凝集力が高くなりすぎず、適度な接着性が得やすくなる。
 ポリエステル系ポリマーは、典型的にはジカルボン酸等の多価カルボン酸やその誘導体(以下「多価カルボン酸モノマー」ともいう)と、ジオール等の多価アルコールやその誘導体(以下「多価アルコールモノマー」)とが縮合した構造を有するポリマーである。
 多価カルボン酸モノマーとしては、特に限定されないが例えば、アジピン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、ドデセニル無水コハク酸、フマル酸、コハク酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、およびこれらの誘導体等を用いることができる。
 多価カルボン酸モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 多価アルコールモノマーとしては、特に限定されないが例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチルオクタンジオール、1,10-デカンジオール、およびこれらの誘導体等を用いることができる。
 多価アルコールモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 また、本発明の実施形態に係る第1の重合体は、イオン性ポリマーを含んでもよい。イオン性ポリマーは、イオン性官能基を有するポリマーである。第1の重合体がイオン性ポリマーを含むことで、電気剥離性が向上する。第1の重合体がイオン性ポリマーを含む場合、イオン性ポリマーの含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.05質量部以上2質量部以下が好ましい。
 本発明の実施形態において第1の重合体は、モノマー成分を(共)重合することにより得ることができる。重合方法としては、特に限定されないが、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、光重合(活性エネルギー線重合)法等が挙げられる。特に、コストや生産性の観点から、溶液重合法が好ましい。第1の重合体は、共重合させた場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体等いずれでもよい。
 溶液重合法としては、特に限定されないが、モノマー成分、重合開始剤等を、溶剤に溶解し、加熱して重合し、第1の重合体を含むポリマー溶液を得る方法等が挙げられる。
 溶液重合法に用いられる溶剤としては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤(重合溶剤)としては、例えば、トルエン、ベンゼン、およびキシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、および酢酸n-ブチル等のエステル類;n-ヘキサン、およびn-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、およびメチルイソブチルケトン等のケトン類等の有機溶剤等が挙げられる。溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 溶剤の使用量は、特に限定されないが、第1の重合体を構成する全モノマー成分(100質量部)に対して、10質量部以上1000質量部以下が好ましい。溶剤の使用量の上限は、より好ましくは500質量部であり、下限は、より好ましくは50質量部である。
 溶液重合法に用いられる重合開始剤としては、特に限定されないが、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤等が挙げられる。過酸化物系重合開始剤としては、特に限定されないが、パーオキシカーボネート、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、およびパーオキシエステル等が挙げられ、より具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、および1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン等が挙げられる。アゾ系重合開始剤としては、特に限定されないが、2,2′-アゾビスイソブチロニトリル、2,2′-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2′-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1′-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2′-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、4,4′-アゾビス-4-シアノバレリアン酸、2,2′-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2′-アゾビス(N,N′-ジメチレンイソブチルアミジン)ヒドロクロライド、および2,2′-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート等が挙げられる。重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、第1の重合体を構成する全モノマー成分(100質量部)に対して、0.01質量部以上5質量部以下が好ましい。重合開始剤の使用量の上限は、より好ましくは3質量部であり、下限は、より好ましくは0.05質量部である。
 溶液重合法で、加熱して重合する際の加熱温度は、特に限定されないが、例えば50℃以上80℃以下である。加熱時間は、特に限定されないが、例えば1時間以上24時間以下である。
 第1の重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、10万以上500万以下が好ましい。重量平均分子量の上限は、より好ましくは400万であり、さらに好ましくは300万であり、下限は、より好ましくは20万であり、さらに好ましくは30万である。重量平均分子量が10万以上であると、凝集力が小さくなり、粘着剤層を剥離した後の被着体表面に糊残りが生じるという不具合を効果的に抑制できる。また、重量平均分子量が500万以下であると、粘着剤層を剥離した後の被着体表面の濡れ性が不十分となるという不具合を効果的に抑制できる。
 重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定して得られたものであり、より具体的には、例えば、GPC測定装置として、商品名「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、下記の条件にて測定し、標準ポリスチレン換算値により算出することができる。
(重量平均分子量測定条件)
 ・サンプル濃度:0.2質量%(テトラヒドロフラン溶液)
 ・サンプル注入量:10μL
 ・サンプルカラム:TSKguardcolumn SuperHZ-H(1本)+TSKgel SuperHZM-H(2本)
 ・リファレンスカラム:TSKgel SuperH-RC(1本)
 ・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
 ・流量:0.6mL/min
 ・検出器:示差屈折計(RI)
 ・カラム温度(測定温度):40℃
 第1の重合体のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、0℃以下であると、初期接着力の低下を抑制できるため好ましく、より好ましくは-10℃以下であり、さらに好ましくは-20℃以下である。また、-40℃以下であると電圧印加による接着力の低下率が特に大きくなるため特に好ましく、最も好ましくは-50℃以下である。
 モノマー成分の組成は、該モノマー成分の組成に基づいてFoxの式により求められるガラス転移温度(以下、「重合物のガラス転移温度」ともいう。)が-75℃以上-10℃以下となるように設定され得る。いくつかの態様において、上記重合物(例えばアクリル系重合物、典型的にはアクリル系ポリマー)のガラス転移温度(Tg)は、-15℃以下であることが適当であり、-20℃以下であることが好ましく、-25℃以下であることがより好ましく、-30℃以下であることがさらに好ましく、-40℃以下(例えば-55℃以下)であってもよい。上記重合物のTgが低くなると、粘着剤層の基材層に対する密着性や被着体に対する接着性は概して向上する傾向にある。
 ここで、上記Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
   1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
 なお、上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。
 Tgの算出に使用するホモポリマーのガラス転移温度としては、公知資料に記載の値を用いるものとする。例えば、以下に挙げるモノマーについては、該モノマーのホモポリマーのガラス転移温度として、以下の値を使用する。
  n-ブチルアクリレート         -55℃
  メチルメタクリレート          105℃
  メチルアクリレート             8℃
  シクロヘキシルメタクリレート       66℃
  N-ビニル-2-ピロリドン        54℃
  4-ヒドロキシブチルアクリレート    -40℃
  イソボルニルメタクリレート       180℃
  アクリル酸               106℃
  アクリロイルモルフォリン(ACMO)  145℃
 上記で例示した以外のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons, Inc., 1989)に記載の数値を用いるものとする。本文献に複数種類の値が記載されている場合は、最も高い値を採用する。
 上記Polymer Handbookにもホモポリマーのガラス転移温度が記載されていないモノマーについては、以下の測定方法により得られる値を用いるものとする(日本国特許出願公開2007-51271号公報参照)。具体的には、温度計、攪拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた反応器に、モノマー100重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部および重合溶媒として酢酸エチル200重量部を投入し、窒素ガスを流通させながら1時間攪拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33重量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液をはく離ライナー上に流延塗布し、乾燥して厚さ約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ARES、レオメトリックス社製)を用いて周波数1Hzのせん断歪みを与えながら、温度領域-70~150℃、5℃/分の昇温速度でせん断モードにより粘弾性を測定し、tanδのピークトップ温度をホモポリマーのTgとする。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物における第1の重合体の含有量は、粘着剤組成物全量(100質量%)に対して、50質量%以上99.9質量%以下が好ましく、上限は、より好ましくは99.5質量%、さらに好ましくは99質量%であり、下限は、より好ましくは60質量%、さらに好ましくは70質量%である。
(第2の重合体)
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、更に、ガラス転移温度(Tg)が40~180℃である第2の重合体を含む。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物において、第2の重合体は、ガラス転移温度(Tg)が40~180℃である必要がある。また、第1の重合体と異なるものであればよい。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、ガラス転移温度(Tg)が40~180℃である第2の重合体を含むことにより、弾性率向上の効果が得られ、電圧非印加時には優れた接着力を発揮し、高温高湿環境下での保管後においても電圧の印加により十分に接着力が低下する、湿熱安定性に優れた粘着剤層を形成することができる。
 第2の重合体のガラス転移温度(Tg)は、粘着特性の観点から40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましく、70℃以上であることが特に好ましい。また、粘着特性の観点から180℃以下である必要があり、160℃以下であることがさらに好ましく、140℃以下であることがさらに好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、100℃以下であることが特に好ましい。
 第2の重合体におけるガラス転移温度(Tg)については、第1の重合体におけるガラス転移温度(Tg)と同様の方法により算出できる。
 また、第2の重合体におけるガラス転移温度(Tg)は、第2の重合体を構成するモノマーの種類や配合量等により調整することができる。
 本発明の実施形態において第2の重合体は、Tgが上記特定の範囲を満たすものであれば特に制限されず、一般的な有機高分子化合物を用いることができ、モノマーの重合物又は部分重合物が挙げられる。上記モノマーは、1種のモノマーであっても、2種以上のモノマー混合物であってもよい。なお、上記部分重合物とは、モノマー又はモノマー混合物のうち1又は2以上の成分が部分的に重合している重合物を意味する。
 また、上記第2の重合体としては、粘着性を有するものであってもよく、粘着付与樹脂であってもよい。第2の重合体は粘着付与樹脂を含むことが好ましく、有機高分子化合物に加えて、粘着付与樹脂をさらに含むことがより好ましい。第2の重合体が粘着付与樹脂を含むことにより、高温高湿環境下での保管後における電圧印加による接着力低下率がさらに改善された粘着剤層を形成することができるため、好ましい。
 第2の重合体に含まれる有機高分子化合物としては、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタン系ポリマー、フッ素系ポリマー、エポキシ系ポリマー等が挙げられる。
 なお、本明細書において、第2の重合体における有機高分子化合物とは、モノマーの重合物又は部分重合物である化合物を指し、粘着付与樹脂及び第1の重合体とは異なる成分を指す。
 また、粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン樹脂、ロジンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂等のロジン系粘着付与樹脂;これらロジン系樹脂を水素化した水素化ロジン系粘着付与樹脂;テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂等のテルペン系粘着付与樹脂;これらテルペン系樹脂を水素化した水素化テルペン系粘着付与樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1,3-ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂及びこのC5系石油樹脂の水素化石油粘着付与樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂及びこのC9系石油樹脂の水素化石油粘着付与樹脂;フェノール系粘着付与樹脂;炭化水素系粘着付与樹脂等が挙げられる。
 フェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂などが挙げられる。
 テルペンフェノール樹脂とは、テルペン残基およびフェノール残基を含むポリマーを指し、テルペン類とフェノール化合物との共重合体(テルペン-フェノール共重合体樹脂)と、テルペン類の単独重合体または共重合体をフェノール変性したもの(フェノール変性テルペン樹脂)との双方を包含する概念である。このようなテルペンフェノール樹脂を構成するテルペン類としては、例えば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(d体、l体およびd/l体(ジペンテン)を包含する)などのモノテルペン類などが挙げられる。
 水素添加テルペンフェノール樹脂とは、このようなテルペンフェノール樹脂を水素化した構造を有する水素添加テルペンフェノール樹脂をいい、水添テルペンフェノール樹脂と称されることもある。
 アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドから得られる樹脂(油性フェノール樹脂)である。アルキルフェノール樹脂としては、例えば、ノボラックタイプおよびレゾールタイプが挙げられる。
 ロジンフェノール樹脂としては、例えば、ロジン類または各種ロジン誘導体(ロジンエステル類、不飽和脂肪酸変性ロジン類および不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類を包含する)のフェノール変性物などが挙げられる。ロジンフェノール樹脂としては、例えば、ロジン類または各種ロジン誘導体にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合する方法等により得られるロジンフェノール樹脂などが挙げられる。
 テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂などが挙げられる。
 テルペン樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、d-リモネン、l-リモネン、ジペンテンなどのテルペン類(典型的にはモノテルペン類)の重合体などが挙げられる。1種のテルペン類の単独重合体としては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体などが挙げられる。
 ロジン系粘着付与樹脂の概念には、ロジン類およびロジン誘導体樹脂の双方が包含される。
 ロジン類としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水素添加、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジンなど);などが挙げられる。
 ロジン誘導体樹脂としては、例えば、未変性ロジンとアルコール類とのエステルである未変性ロジンエステル、変性ロジンとアルコール類とのエステルである変性ロジンエステルなどのロジンエステル類;ロジン類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;ロジン類やロジン誘導体樹脂(ロジンエステル類、不飽和脂肪酸変性ロジン類、不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類など)のカルボキシ基を還元処理したロジンアルコール類;ロジンフェノール類;これらの金属塩;などが挙げられる。
 ロジンエステル類としては、例えば、未変性ロジンまたは変性ロジン(例えば、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)のメチルエステル、トリエチレングリコールエステル、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、マレイン酸エステルなどが挙げられる。
 炭化水素系粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂(例えば、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂など)、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体など)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂などが挙げられる。
 なかでも、テルペン系粘着付与樹脂、又はロジン系粘着付与樹脂であることが好ましい。粘着付与樹脂は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
 粘着付与樹脂の軟化点は100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましく、130℃以上であることが最も好ましい。軟化点を100℃以上とすることにより、樹脂の凝集力を向上させることができ、その結果、電圧非印加時の接着力、すなわち初期接着力をより向上させることができる。また、粘着付与樹脂の軟化点の上限としては、200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましく、160℃以下であることがさらに好ましく、140℃以下であることが最も好ましい。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物中の粘着付与樹脂の含有量は、第1の重合体100質量部に対して1~50質量部であることが好ましく、1~30質量部であることがより好ましく、1~20質量部であることがさらに好ましく、1~15質量部であることが最も好ましい。第1の重合体100質量部に対する含有量を1質量部以上とすることにより、粘着付与剤添加効果、すなわち、初期接着力と電気剥離性とを両立させる効果が得られやすい。また、第1の重合体100質量部に対する含有量を50質量部以下とすることにより、樹脂中の粘着付与剤の分散性を保つことができ、初期接着強度が得られやすい。
 上記の中でも、粘着特性の観点からアクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、を用いることが好ましい。
 本発明の実施形態において、第2の重合体における有機高分子化合物として用いるアクリル系ポリマーは、市販のものを使用してもよいが、アクリル系のモノマー成分を重合して得てもよい。
 第2の重合体における有機高分子化合物として用いるアクリル系ポリマーの市販品としては、例えば、ARUFON UH2170、UC3000(東亞合成株式会社製)、等が挙げられる。
 アクリル系のモノマー成分としては、任意のアクリル系モノマーを用いることができ、例えば、水酸基含有アクリル系モノマー、重合性アクリル系モノマー等が挙げられる。
 第2の重合体における有機高分子化合物を構成するアクリル系モノマー成分は、好ましくは、重合性アクリル系モノマーを含む。アクリル系モノマー成分に含まれる重合性アクリル系モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
 重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸(AA)、N-ビニル-2-ピロリドン、ジシクロペンタニルメタクリレート、メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボニルアクリレート(IBXMA)、β-カルボキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシブチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン(ACMO)、1-ビニルイミダゾールなどが挙げられ、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、アクリル酸、メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボニルアクリレート(IBXMA)およびアクリロイルモルフォリン(ACMO)から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、アクリル酸(AA)、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボニルアクリレート(IBXMA)およびから選ばれる少なくとも1種である。
 アクリル系モノマー成分中の重合性モノマーの含有割合は、粘着特性の観点から1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
 水酸基含有モノマーとしては、具体的には、例えば、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどのその他の水酸基含有モノマー;などが挙げられる。
 水酸基含有モノマーとしては、これらの中でも、取り扱い性の点および本発明の効果をより発現し得る点で、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数2~6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、具体的には、好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)である。
 アクリル系モノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合は、粘着特性の観点から1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。また、粘着特性の観点から30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
 本発明の実施形態に係る第2の重合体における有機高分子化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合によって製造し得る。
 本発明の実施形態に係る第2の重合体における有機高分子化合物を重合する方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、塊状重合方法、溶液重合方法であり、より好ましくは、溶液重合方法である。
 重合において用い得る溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
 重合においては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合開始剤(例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤など)を採用し得る。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、溶液重合を行う場合には、油溶性の重合開始剤を使用することが好ましい。
 熱重合開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な熱重合開始剤を採用し得る。熱重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。熱重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(AMBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系開始剤などが挙げられる。
 熱重合開始剤の使用量としては、例えば、第2の重合体における有機高分子化合物を構成するために用い得る全モノマー(モノマー組成物)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~15質量部である。
 光重合開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な光重合開始剤を採用し得る。光重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤などが挙げられる。
 光重合開始剤の使用量としては、例えば、第2の重合体における有機高分子化合物を構成するために用い得る全モノマー(モノマー組成物)100質量部に対して、好ましくは0.001質量部~0.5質量部である。
 第2の重合体における有機高分子化合物の重合に際しては、分子量を調整するために、連鎖移動剤が使用されていてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、2-メルカプトエタノール、α-チオグリセロール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、オクチルメルカプタン、t-ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン(ラウリルメルカプタン)、t-ドデシルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t-ブチル、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル、α-メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の両面粘着テープの白化を抑制する等の観点から、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸メチルが好ましく、2-メルカプトエタノールが特に好ましい。連鎖移動剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
 連鎖移動剤の使用量は、例えば、第2の重合体における有機高分子化合物を構成するために用い得る全モノマー(モノマー組成物)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~20質量部であり、より好ましくは0.2質量部~15質量部であり、さらに好ましくは0.3質部~10質量部である。
 第2の重合体における有機高分子化合物の重量平均分子量は、特に限定されないが、500以上100万以下が好ましい。重量平均分子量の上限は、より好ましくは80万であり、さらに好ましくは60万であり、さらに好ましくは40万、さらに好ましくは20万、さらに好ましくは10万、さらに好ましくは1万、下限は、より好ましくは1000であり、さらに好ましくは2000であり、さらに好ましくは3000であり、さらに好ましくは4000である。重量平均分子量が500以上であると、表面偏析による粘着剤層を剥離した後の被着体表面が汚染されるという不具合を効果的に抑制できる。また、重量平均分子量が100万以下であると、粘着剤層の凝集力が低下して剥離した後の被着体に糊残りが発生するという不具合を効果的に抑制できる。
 上記第2の重合体は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物において、第2の重合体における有機高分子化合物の含有量は、第1の重合体100質量部もしくは第1の重合体の原料である単量体混合物100質量部に対して、粘着特性の観点から1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましく、25質量部以上であることがさらに好ましく、30質量部以上であることがよりさらに好ましい。また、粘着特性の観点から80質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることがさらに好ましく、50質量部以下であることがよりさらに好ましい。
 第2の重合体における有機高分子化合物の含有量は、第1の重合体100質量部に対して1~50質量部であってもよい。
 これらの第2の重合体は、第1の重合体を得た後に添加してもよく、第1の重合体を得る前に第1の重合体の原料である単量体混合物と共に配合して重合反応を経てもよいが、第1の重合体、及び第2の重合体はそれぞれ重合反応を経た後に配合することが好ましい。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物において、第1の重合体と第2の重合体のHSP値差が0~3であることが好ましく、第1の重合体と第2の重合体における有機高分子化合物のHSP値差が0~3であることがより好ましい。
 第1の重合体と第2の重合体とのHSP値差(ΔHSP値)とは、第1の重合体のHSP値と第2の重合体のHSP値との差である。
 HSP値差が小さいと、第1の重合体と第2の重合体との相溶性が良好になり、HSP値差が大きいと、第1の重合体と第2の重合体との相溶性が悪くなる傾向にある。第1の重合体と第2の重合体とのHSP値差は相溶性の観点から、3以下であることが好ましく、より好ましくは、2.5以下であり、さらに好ましくは2以下である。
 ここで、ハンセン溶解度パラメーター(HSP値)は、ある物質が有する物性値を、分子間の分散力に由来するエネルギーである分散項(δD)、分子間の極性力に由来するエネルギーである分極項(δP)、分子間の水素結合力に由来するエネルギーである水素結合項(δH)で表したものであり、類似のHSP値を有する物質は、互いに近い物性を示すことが知られている。
 HSP値は、公知の値を用いてもよいし、パソコンソフトHSPiP(出典:http://www.hansen-solubility.com/index.html)等を使用して算出してもよい。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物において、第1の重合体と第2の重合体のHSP値差は、用いる第1の重合体及び第2の重合体の種類や、配合量等により調整することができる。
(イオン液体)
 本発明の実施形態におけるイオン液体は、一対のアニオンとカチオンから構成され、25℃で液体である溶融塩(常温溶融塩)であれば特に限定されない。以下にアニオン及びカチオンの例を挙げるが、これらを組み合わせて得られるイオン性物質のうち、25℃で液体であるものがイオン液体であり、25℃で固体であるものはイオン液体ではなく、後述のイオン性固体である。
 イオン液体のアニオンは、例えば、(FSO、(CFSO、(CFCFSO、(CFSO、Br、AlCl 、AlCl 、NO 、BF 、PF 、CHCOO、CFCOO、CFCFCFCOO、CFSO 、CF(CFSO 、AsF 、SbF 、およびF(HF) 等が挙げられる。なかでもアニオンとしては、(FSO[ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン]、および(CFSO[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン]などのスルホニルイミド系化合物のアニオンが、化学的に安定であり、電気剥離性を良好にするために好適であることから好ましい。すなわち、イオン液体のアニオンは、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
 イオン液体におけるカチオンは、窒素含有オニウム、硫黄含有オニウム、およびリン含有オニウムカチオンが、化学的に安定であり、電気剥離性を良好にするために好適であることから好ましく、イミダゾリウム系、アンモニウム系、ピロリジニウム系、およびピリジニウム系カチオンがより好ましい。
 イミダゾリウム系カチオンとしては、例えば、1-メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ペンチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-へプチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ノニル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ウンデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-トリデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ペンタデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ヘプタデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-オクタデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ウンデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、および1,3-ビス(ドデシル)イミダゾリウムカチオン等が挙げられる。
 ピリジニウム系カチオンとしては、例えば、1-ブチルピリジニウムカチオン、1-ヘキシルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムカチオン、および1-オクチル-4-メチルピリジニウムカチオン等が挙げられる。
 ピロリジニウム系カチオンとしては、例えば、1-エチル-1-メチルピロリジニウムカチオンおよび1-ブチル-1-メチルピロリジニウムカチオン等が挙げられる。
 アンモニウム系カチオンとしては、例えば、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、メチルトリオクチルアンモニウムカチオン、テトラデシトリヘキシルアンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオンおよびトリメチルアミノエチルアクリレートカチオン等が挙げられる。
 イオン液体としては、電圧印加時の接着力の低下率を大きくするという観点から、構成するカチオンとしては分子量160以下のカチオンを選択することが好ましく、上記の(FSO[ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン]又は(CFSO[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン]と分子量160以下のカチオンとを含むイオン液体が特に好ましい。分子量160以下のカチオンとしては、例えば、1-メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ペンチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチルピリジニウムカチオン、1-ヘキシルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-エチル-1-メチルピロリジニウムカチオン、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、およびトリメチルアミノエチルアクリレートカチオン等が挙げられる。
 また、イオン液体のカチオンとしては、下記式(2-A)~(2-D)で表されるカチオンも好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 式(2-A)中のRは、炭素数4~10の炭化水素基(好ましくは炭素数4~8の炭化水素基、より好ましくは炭素数4~6の炭化水素基)を表し、ヘテロ原子を含んでも良く、R及びRは、同一又は異なって、水素原子若しくは炭素数1~12の炭化水素基(好ましくは炭素数1~8の炭化水素基、より好ましくは炭素数2~6の炭化水素基、さらに好ましくは炭素数2~4の炭化水素基)を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。但し、窒素原子が隣接する炭素原子と2重結合を形成する場合、Rは存在しない。
 式(2-B)中のRは、炭素数2~10の炭化水素基(好ましくは炭素数2~8の炭化水素基、より好ましくは炭素数2~6の炭化水素基)を表し、ヘテロ原子を含んでも良く、R、R、及びRは、同一又は異なって、水素原子若しくは炭素数1~12の炭化水素基(好ましくは炭素数1~8の炭化水素基、より好ましくは炭素数2~6の炭化水素基、さらに好ましくは炭素数2~4の炭化水素基)を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。
 式(2-C)中のRは、炭素数2~10の炭化水素基(好ましくは炭素数2~8の炭化水素基、より好ましくは炭素数2~6の炭化水素基)を表し、ヘテロ原子を含んでも良く、R、R10、及びR11は、同一又は異なって、水素原子若しくは炭素数1~16の炭化水素基(好ましくは炭素数1~10の炭化水素基、より好ましくは炭素数1~8の炭化水素基)を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。
 式(2-D)中のXは、窒素、硫黄、又はリン原子を表し、R12、R13、R14、及びR15は、同一又は異なって、炭素数1~16の炭化水素基(好ましくは炭素数1~14の炭化水素基、より好ましくは炭素数1~10の炭化水素基、さらに好ましくは炭素数1~8の炭化水素基、特に好ましくは炭素数1~6の炭化水素基)を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。但し、Xが硫黄原子の場合、R12は存在しない。
 本発明の実施形態において、イオン液体のカチオンは、窒素含有オニウムカチオン、硫黄含有オニウムカチオン、及びリン含有オニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
 イオン液体におけるカチオンの分子量は、例えば500以下、好ましくは400以下、より好ましくは300以下、さらに好ましくは250以下、特に好ましくは200以下、最も好ましくは160以下である。また、通常は50以上である。イオン液体におけるカチオンは、粘着剤層中で電圧印加時に陰極側に移動して、粘着剤層と被着体の界面付近に偏る性質を有すると考えられる。本発明では、このため初期接着力に対して電圧印加中の接着力が低下し、電気剥離性が生じる。分子量が500以下といった分子量が小さいカチオンは、粘着剤層中の陰極側へのカチオンの移動がより容易になり、電圧印加時における接着力の低下率を大きくするうえで好適である。
 イオン液体の市販品としては、例えば、第1工業製薬株式会社製の「エレクセルAS-110」、「エレクセルMP-442」、「エレクセルIL-210」、「エレクセルMP-471」、「エレクセルMP-456」、「エレクセルAS-804」、三菱マテリアル株式会社製の「HMI-FSI」、日本カーリット株式会社製の「CIL-312」、および「CIL-313」等が挙げられる。
 イオン液体のイオン伝導率は、0.1mS/cm以上であることが好ましい。より好ましくは1mS/cm以上であり、さらに好ましくは3mS/cm以上であり、いっそう好ましくは5mS/cm以上であり、さらにいっそう好ましくは10mS/cm以上であり、特別に好ましくは15mS/cm以上であり、最も好ましくは20mS/cm以上である。上限は特に問わないが、上記のイオン伝導率を有することで、低い電圧であっても十分に接着力が低下する。なお、イオン伝導率は、例えば、Solartron社製1260周波数応答アナライザを用い、ACインピーダンス法により測定することができる。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物におけるイオン液体の含有量(配合量)は、第1の重合体100質量部に対して、0.5質量部以上であることが電圧印加中の接着力を低下させる観点から好ましく、30質量部以下であることが初期接着力を高くする観点から好ましい。同様の観点から20質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることがさらに好ましく、10質量部以下であることが特に好ましく、5質量部以下であることが最も好ましい。また、0.6質量部以上であることがより好ましく、0.8質量部以上であることがさらに好ましく、1.0質量部以上であることが特に好ましく、1.5質量部以上であることが最も好ましい。
(その他の成分)
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、ポリマー及びイオン液体以外の成分(以下、「その他の成分」と称する場合がある)を1種又は2種以上含有することができる。以下、本発明の実施形態に係る粘着剤組成物に含有され得るその他の成分について説明する。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、電気剥離力を制御する目的でイオン性添加剤を含有してもよい。イオン性添加剤としては、例えばイオン性固体を用いることができる。
 イオン性固体は、25℃で固体であるイオン性物質である。イオン性固体は特に限定されないが、例えば、先述のイオン液体の説明の欄において例示したアニオンとカチオンを組み合わせて得られるイオン性物質のうち、固体であるものを用いることができる。粘着剤組成物がイオン性固体を含有する場合、イオン性固体の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、また、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下がさらに好ましい。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、ポリマーを架橋させることによりクリープ性やせん断性を改良する目的で、必要に応じて架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤や、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、およびアミン系架橋剤等が挙げられる。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トルエンジイソシアネート、およびメチレンビスフェニルイソシアネート等が挙げられる。エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンおよび1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。架橋剤を含有する場合の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.7質量部以上がより好ましく、また、50質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、電圧印加時のイオン液体の移動を助ける目的で必要に応じて、ポリエチレングリコールやテトラエチレングリコールジメチルエーテルを含有してもよい。ポリエチレングリコールやテトラエチレングリコールジメチルエーテルとしては、100~6000の数平均分子量を有するものを使用できる。これらの成分を含有する場合の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、また、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、粘着剤組成物に導電性を付与する目的で必要に応じて、導電性フィラーを含有してもよい。導電性フィラーとしては、特に限定されず、一般的な公知乃至慣用の導電性フィラーを用いることができ、例えば、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、銀や銅等の金属粉等を用いることができる。導電性フィラーを含有する場合の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.1質量部以上200質量部以下が好ましい。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、金属被着体の腐食を抑制する目的で必要に応じて、腐食防止剤を含有してもよい。腐食防止剤としては、特に限定されず、一般的な公知乃至慣用の腐食防止剤を用いることができ、例えば、カルボジイミド化合物、吸着型インヒビター、キレート形成型金属不活性剤等を用いることができる。
 カルボジイミド化合物としては、例えば、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-tert-ブチルカルボジイミド、N-シクロヘキシル-N’-(2-モルホリノエチル)カルボジイミド、N,N’-ジ-tert-ブチルカルボジイミド、1,3-ビス(p-トリル)カルボジイミド、およびこれらをモノマーとするポリカルボジイミド樹脂等が挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明の実施形態に係る粘着剤組成物にカルボジイミド化合物を含有させる場合の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましい。
 吸着型インヒビターとしては、例えばアルキルアミン、カルボン酸塩、カルボン酸誘導体、アルキルリン酸塩などが挙げられる。吸着型インヒビターは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明の実施形態に係る粘着剤組成物に吸着型インヒビターとしてアルキルアミンを含有させる場合の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましい。本発明の実施形態に係る粘着剤組成物に吸着型インヒビターとしてカルボン酸塩を含有させる場合の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましい。本発明の実施形態に係る粘着剤組成物に吸着型インヒビターとしてカルボン酸誘導体を含有させる場合の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましい。本発明の実施形態に係る粘着剤組成物に吸着型インヒビターとしてアルキルリン酸塩を含有させる場合の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましい。
 キレート形成型金属不活性剤としては、例えば、トリアゾール基含有化合物またはベンゾトリアゾール基含有化合物を用いることができる。これらは、ステンレスやアルミニウムなどの金属の表面を不活性化する作用が高く、また粘着成分中に含有させても接着性に影響を及ぼしにくいことから好ましい。キレート形成型金属不活性剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明の実施形態に係る粘着剤組成物にキレート形成型金属不活性剤を含有させる場合の含有量は、第1の重合体100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましい。
 腐食防止剤の総含有量(配合量)は、第1の重合体100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下が好ましい。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、他にも充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤)、防錆剤、および帯電防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。これらの成分の総含有量は、本発明の効果を奏する限りにおいて特に制限されないが、第1の重合体100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
 充填剤としては、例えば、シリカ、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー、および焼成クレー等が挙げられる。
 可塑剤は、一般的な樹脂組成物等に用いられる公知慣用の可塑剤を用いることができ、例えば、パラフィンオイル、プロセスオイル等のオイル、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状エチレン-プロピレンゴム等の液状ゴム、テトラヒドロフタル酸、アゼライン酸、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸、およびこれらの誘導体、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、およびコハク酸イソデシル等を用いることができる。
 老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、脂肪族および芳香族のヒンダードアミン系等の化合物が挙げられる。
 酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、およびブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
 顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ顔料、および銅フタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられる。
 防錆剤としては、例えば、ジンクホスフェート、タンニン酸誘導体、リン酸エステル、塩基性スルホン酸塩、および各種防錆顔料等が挙げられる。
 接着付与剤としては、例えば、チタンカップリング剤、およびジルコニウムカップリング剤等が挙げられる。
 帯電防止剤としては、一般的に、第4級アンモニウム塩、あるいはポリグリコール酸やエチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
<初期接着力、電圧印加による接着力の低下率>
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物の接着力は種々の方法で評価することができるが、例えば実施例の欄に記載の180°ピール試験により評価できる。
 本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、実施例の欄に記載のように粘着シートを形成し、180°ピール試験を行って測定される初期接着力が1.5N/cm以上であることが好ましく、2.0N/cm以上であることがより好ましく、2.5N/cm以上であることがさらに好ましく、3.0N/cm以上であることが特に好ましく、3.5N/cm以上であることが最も好ましい。初期接着力が1.5N/cm以上であると、被着体との接着が十分であり、被着体が剥がれたり、ずれたりしにくい。
 また、本発明の実施形態に係る粘着剤組成物は、実施例の欄に記載のように粘着シートを形成し、所定の温度及び湿度の環境下で所定の期間放置し、30Vの電圧を30秒間印加した後に30Vの電圧を印加しながら180°ピール試験で測定した接着力が、初期接着力に対して十分に小さいことが好ましい。
 即ち、上記の方法で測定された接着力(下式(C)において単に「電圧印加中の接着力」と表記する)と、初期接着力とから下式(C)で求められる接着力低下率が、75%以上であることが好ましく、80%以上であることが好ましい。上記所定の温度及び湿度並びに期間は、60℃90%RH168時間が好ましく、60℃90%RH500時間が特に好ましい。60℃90%RH500時間経過後の接着力が、初期接着力に対して十分に小さければ、高温高湿環境下での保管後においても湿熱安定性に優れる。
 接着力低下率(%)={1-(電圧印加中の接着力/初期接着力)}×100  (C)
 なお、電気剥離の際の印加電圧及び電圧印加時間は上記のものに限定されず、粘着シートの剥離ができる限り特に限定されない。これらの好適な範囲について以下に示す。
 印加電圧は、1V以上であることが好ましく、3V以上であることがより好ましく、6V以上であることがさらに好ましい。また、100V以下であることが好ましく、50V以下であることがより好ましく、30V以下であることがさらに好ましく、15V以下であることが特に好ましい。
 電圧印加時間は、60秒以下であることが好ましく、40秒以下であることがより好ましく、20秒以下であることがさらに好ましく、10秒以下であることが特に好ましい。このような場合、作業性に優れる。また、印加時間は短いほどよいが、通常1秒以上である。
<粘着剤組成物の製造方法>
 本発明の粘着剤組成物は、特に制限されないが、ポリマー、イオン液体、添加剤、および必要に応じて配合する、架橋剤、ポリエチレングリコール、導電性フィラー等を適宜撹拌して混合することで製造することができる。
[粘着シート]
(粘着シートの構成)
 本発明の実施形態に係る粘着シートは、上述の本発明の実施形態に係る粘着剤組成物から形成される粘着剤層(以下「電気剥離型粘着剤層」ともいう)を少なくとも一層有する限り特に制限されない。本発明の実施形態に係る粘着シートは、電気剥離型粘着剤層以外の、イオン液体を含有しない粘着剤層(以下、「その他の粘着剤層」と称する場合がある)を有していてもよい。本発明の実施形態に係る粘着シートは、上記以外に基材、導電層、通電用基材、中間層、および下塗り層等を有していてもよい。本発明の実施形態に係る粘着シートは、例えば、ロール状に巻回された形態や、シート状の形態であってもよい。なお、「粘着シート」には、「粘着テープ」の意味も含むものとする。即ち、本発明の実施形態に係る粘着シートは、テープ状の形態を有する粘着テープであってもよい。
 本発明の実施形態に係る粘着シートは、基材を有さず電気剥離型粘着剤層のみからなる、即ち、基材層を含まない(基材レス)両面粘着シートであってもよい。本発明の実施形態に係る粘着シートは、基材を有し、当該基材の両面が粘着剤層(電気剥離型粘着剤層、又はその他の粘着剤層)である両面粘着シートであってもよい。また、本発明の実施形態に係る粘着シートは、基材を有し、当該基材の片面のみが粘着剤層(電気剥離型粘着剤層、又はその他の粘着剤層)である片面粘着シートであってもよい。なお、本発明の実施形態に係る粘着シートは、粘着剤層表面を保護する目的のはく離ライナーを有していてもよいが、当該はく離ライナーは、本発明の実施形態に係る粘着シートに含まれないものとする。
 本発明の実施形態に係る粘着シートの構造としては、特に制限されないが、図1に示す粘着シートX1、図2に積層構造を示す粘着シートX2、図3に積層構造を示す粘着シートX3が好ましく挙げられる。粘着シートX1は、電気剥離型粘着剤層1のみからなる基材レス両面粘着シートである。粘着シートX2は、粘着剤層2、通電用基材5(基材3及び導電層4)、電気剥離型粘着剤層1の層構成を有する基材付き両面粘着シートである。粘着シートX3は、粘着剤層2、通電用基材5(基材3及び導電層4)、電気剥離型粘着剤層1、通電用基材5(基材3及び導電層4)、粘着剤層2の層構成を有する基材付き両面粘着シートである。図2及び3に示す粘着シートX2及びX3の通電用基材5において、基材3は必須ではなく、導電層4のみであってもよい。また、図2の粘着シートX2において、粘着剤層2を設けない片面粘着シートであってもよい。
 基材3としては、特に限定されないが、紙等の紙系基材、布、不織布等の繊維系基材、各種プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂等)によるフィルムやシート等のプラスチック系基材、これらの積層体等が挙げられる。基材は単層の形態を有していてもよく、また、複層の形態を有していてもよい。なお、基材には、必要に応じて、背面処理、帯電防止処理、下塗り処理等の各種処理が施されていてもよい。
 導電層4としては、導電性を有する層である限り特に限定されないが、金属(例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、スズ、金等)箔、金属板(例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、スズ、銀等)等の金属系基材、導電性ポリマー、などであってもよく、また、基材3上に設けられた金属蒸着膜などであってもよい。
 通電用基材5としては、導電層を有する(通電する)基材である限り特に限定されないが、基材の表面に金属層を形成させたもの等が挙げられ、例えば、上記に例示した基材の表面に、メッキ法、化学蒸着法、スパッタリング等の方法により金属層を形成させたものが挙げられる。金属層としては、上記に例示した金属、金属板、導電性ポリマー等が挙げられる。
 粘着シートX1においては、両面の被着体が、金属被着面を有する被着体であることが好ましい。粘着シートX2においては、電気剥離型粘着剤層1側の被着体が金属被着面を有する被着体であることが好ましい。
 金属被着面としては、導電性を有する、例えば、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、スズ、金、銀、および鉛等を主成分とする金属からなる面が挙げられ、なかでも鉄又はアルミニウムを含む金属(例えばステンレス等)からなる面が好ましい。金属被着面を有する被着体としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、スズ、金、銀、および鉛等を主成分とする金属からなるシート、部品、および板等が挙げられる。金属被着面を有する被着体以外の被着体としては、特に限定されないが、紙、布、および不織布等の繊維シート、各種プラスチックのフィルムやシート等が挙げられる。
 電気剥離型粘着剤層1の厚みは1μm以上1000μm以下であることが、初期接着力の観点から好ましい。電気剥離型粘着剤層1の厚みの上限は、より好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μmであり、さらに好ましくは200μmであり、さらに好ましくは150μmであり、さらに好ましくは100μmであり、さらに好ましくは80μmであり、さらに好ましくは70μmであり、さらに好ましくは60μmであり、さらに好ましくは50μmであり、下限は、より好ましくは5μmであり、さらに好ましくは10μmであり、さらに好ましくは20μmであり、さらに好ましくは30μmである。
 本実施形態の電気剥離型粘着シートの厚みは、20μm以上3000μm以下が好ましい。厚みの上限は、より好ましくは1000μmであり、さらに好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μmであり、さらに好ましくは250μmであり、さらに好ましくは200μmであり、さらに好ましくは150μmであり、さらに好ましくは100μmであり、下限は、より好ましくは30μm、さらに好ましくは50μmである。
 粘着剤層2の厚みは1μm以上2000μm以下であることが、接着力の観点から好ましい。粘着剤層2の厚みの上限は、より好ましくは1000μmであり、さらに好ましくは500μmであり、特に好ましくは100μmであり、下限は、より好ましくは3μmであり、さらに好ましくは5μmであり、特に好ましくは8μmである。
 基材3の厚みは、10μm以上1000μm以下が好ましい。厚みの上限は、より好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μmであり、特に好ましくは100μmであり、下限は、より好ましくは12μmであり、さらに好ましくは25μmである。
 導電層4の厚みは、0.001μm以上1000μm以下が好ましい。厚みの上限は、より好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μmであり、さらに好ましくは50μmであり、さらに好ましくは10μmであり、下限は、より好ましくは0.01μmであり、より好ましくは0.03μmであり、さらに好ましくは0.05μmである。
 通電用基材5の厚みは、10μm以上1000μm以下が好ましい。厚みの上限は、より好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μmであり、特に好ましくは100μmであり、下限は、より好ましくは12μmであり、さらに好ましくは25μmである。
 本発明の実施形態に係る粘着シートの電気剥離型粘着剤層、及びその他の粘着剤層の表面は、はくはく離ライナー離ライナーはく離ライナーによって保護されていてもよい。はく離ライナーはく離ライナーとしては、特に限定されないが、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がシリコーン処理されたはく離ライナー、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がポリオレフィン系樹脂によりラミネートされたはく離ライナー等が挙げられる。はく離ライナーはく離ライナーの厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下が好ましい。
 本発明の実施形態に係る粘着シートの厚みは、20μm以上3000μm以下が好ましい。厚みの上限は、より好ましくは1000μmであり、さらに好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μmであり、さらに好ましくは250μmであり、さらに好ましくは200μmであり、さらに好ましくは150μmであり、さらに好ましくは100μmであり、下限は、より好ましくは30μm、さらに好ましくは50μmである。
 特に、図2に示す粘着シートX2である場合、粘着シートの厚みは、50μm以上2000μm以下が好ましい。厚みの上限は、より好ましくは1000μmであり、さらに好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μmであり、さらに好ましくは250μmであり、さらに好ましくは200μmであり、さらに好ましくは150μmであり、下限は、より好ましくは80μmであり、さらに好ましくは100μmである。
 特に、図3に示す粘着シートX3である場合、粘着シートの厚みは、20μm以上3000μm以下が好ましい。厚みの上限は、より好ましくは1000μmであり、さらに好ましくは500μmであり、さらに好ましくは300μmであり、さらに好ましくは250μmであり、さらに好ましくは200μmであり、さらに好ましくは150μmであり、下限は、より好ましくは50μmであり、さらに好ましくは80μmであり、さらに好ましくは100μmである。
 本発明の実施形態に係る粘着シートは、さらにコート層を備えていてもよい。コート層は、電気剥離型粘着剤層と、導電層との間に設けることが好ましい。
 本実施形態の電気剥離型粘着シートは、さらにコート層を備えることにより電気剥離型粘着剤層に含まれるイオン液体が電圧印加により導電層へ侵入する障壁となり、導電層が基材から剥がれることを防ぐ効果を奏する。
 また、コート層が電気剥離型粘着剤層と接していることにより電気剥離型粘着剤層と導電層との密着力を向上させることとなり、高温環境下に曝された電気剥離型粘着剤層の熱硬化により、電気剥離型粘着剤層と導電性の材料(例えば被着体等)との界面接着力が低下し電気剥離型粘着シート内で剥がれてしまうことを防ぐ効果を奏する。
 コート層は、樹脂あるいは無機物を主成分とする層であり、樹脂成分を主体とする樹脂組成物や無機物質を主体とする組成物により形成することができる。
 コート層はポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂より選択される少なくとも一種の樹脂、又はSiNx、SiOx、Al、Ni、NiCrより選択される少なくとも一種の無機物を含むことが好ましい。
(粘着シートの製造方法)
 本発明の実施形態に係る粘着シートの製造方法は、公知乃至慣用の製造方法を用いることができる。本発明の実施形態に係る粘着シートにおける電気剥離型粘着剤層は、本発明の実施形態に係る粘着剤組成物を必要に応じて溶剤に溶した溶液を、はく離ライナー上に塗布し、乾燥及び/又は硬化する方法等が挙げられる。また、その他の粘着剤層は、イオン液体及び添加剤を含まない粘着剤組成物を必要に応じて溶剤に溶した溶液を、はく離ライナー上に塗布し、乾燥及び/又は硬化する方法等が挙げられる。なお、溶剤及びはく離ライナーは、上記で挙げたものを使用することができる。
 塗布に際しては、慣用のコーター(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーロールコーター等)を用いることができる。
 上記方法により、電気剥離型粘着剤層、およびその他の粘着剤層を製造することができ、適宜、基材、導電層、通電用基材に電気剥離型粘着剤層、およびその他の粘着剤層を積層させることで、本発明の実施形態に係る粘着シートを製造することができる。なお、はく離ライナーの代わりに、基材、導電層、通電用基材を用いて、粘着剤組成物を塗布して粘着シートを製造してもよい。
(粘着シートの電気剥離方法)
 本発明の実施形態に係る粘着シートの被着体からの剥離は、電気剥離型粘着剤層への電圧の印加により、電気剥離型粘着剤層の厚み方向に電位差を生じさせることにより行うことができる。
 例えば、粘着シートX1を導電性の被着体に貼付した接合体は、導電性の被着体に通電し、電気剥離型粘着剤層に電圧を印加することにより剥離することができる。
 粘着シートX2において電気剥離型粘着剤層側が金属被着面を有する被着体である場合、該導電性被着体と導電層4に通電し、電気剥離型粘着剤層に電圧を印加することにより剥離することができる。
 粘着シートX3の場合、両面の導電層4に通電し、電気剥離型粘着剤層に電圧を印加することにより剥離することができる。
 通電は、電気剥離型粘着剤層全体に電圧がかかるよう、粘着シートの一端と他方の端に端子をつないで行うことが好ましい。なお、上記の一端と他方の端は、被着体が金属被着面を有する場合、金属被着面を有する被着体の一部であってもよい。なお、剥離の際に、金属被着面と電気剥離型粘着剤層の界面に水を添加してから電圧を印加してもよい。
(粘着シートの用途)
 従来の再剥離技術としては、紫外線(UV)照射により硬化させて剥離する粘着剤層や熱により剥離する粘着剤層がある。このような粘着剤層を用いた粘着シートでは、紫外線(UV)照射が困難である場合や熱により被着体である部材にダメージが生じる場合などは使用できない。上記電気剥離型粘着剤層を備える本発明の実施形態に係る粘着シートは、紫外線や熱を使用しないため、被着体である部材を傷めずに、電圧を印加することで容易に剥離が可能である。
 上記特性により、本発明の実施形態に係る粘着シートは、スマートフォン、携帯電話、ノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のモバイル端末に使用される二次電池(例えば、リチウムイオン電池パック)の筐体への固定用途に好適である。また、本発明の実施形態に係る粘着シートは、車載用部材(例えば、電池、モーター等)の固定用途に好適である。そして、本発明の実施形態に係る粘着シートは、半導体製造プロセス及び検査における固定用途(例えば、セラミックコンデンサやリチウムイオンバッテリー等)に好適である。さらに、本発明の実施形態に係る粘着シートは、金属加工プロセスにおける保護用途(例えば、鉄道向けステンレス板等)に好適である。
 また、本発明の実施形態に係る粘着シートによる接合の対象としての剛性部材としては、例えば、半導体ウエハ用途のシリコン基板、LED用のサファイア基板、SiC基板および金属ベース基板、ディスプレイ用のTFT基板およびカラーフィルター基板、並びに有機ELパネル用のベース基板が挙げられる。両面粘着シートによる接合の対象としての脆弱部材としては、例えば、化合物半導体基板などの半導体基板、MEMSデバイス用途のシリコン基板、パッシブマトリックス基板、スマートフォン用の表面カバーガラス、当該カバーガラスにタッチパネルセンサーが付設されてなるOGS(One Glass Solution)基板、シルセスキオキサンなどを主成分とする有機基板および有機無機ハイブリッド基板、フレキシブルディスプレイ用のフレキシブルガラス基板、並びにグラフェンシートが挙げられる。
[接合体]
 本発明の実施形態に係る接合体は、本発明の実施形態に係る粘着シートと、導電性の材料とを備え、粘着シートにおける電気剥離型粘着剤層が導電性の材料に貼着した接合体である。
 導電性の材料は金属被着面を有する被着体であることが好ましく、金属被着面を有する被着体としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、スズ、金、銀、および鉛等を主成分とする金属からなるものが挙げられ、なかでもアルミニウムを含む金属が好ましい。
 本実施形態の接合体としては、例えば、粘着シートX1と、粘着シートX1の電気剥離型粘着剤層1側を、例えば金属被着面等を有する導電性の被着体に貼着した接合体等が挙げられる。
 本実施形態の接合体としては、例えば、粘着シートX3における両面のその他の粘着剤層2を、例えば金属被着面等を有する導電性の材料に貼着した接合体、粘着シートX3におけるいずれかのその他の粘着剤層2を、非導電性の材料に貼着した接合体等が挙げられる。
 本発明の実施形態に係る接合体としては、例えば、粘着シートX1であって、電気剥離型粘着剤層1の両面に金属被着面を有する被着体を備える接合体、粘着シートX2であって、電気剥離型粘着剤層1側に金属被着面を有する被着体を備え、粘着剤層2側に被着体を備える接合体、粘着シートX3であって粘着剤層2の両面に被着体を備える接合体等が挙げられる。
 以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
<1>
 第1の重合体と、イオン液体とを含有する粘着剤組成物であって、
 前記第1の重合体をベースポリマーとして含み、
 ガラス転移温度(Tg)が40~180℃である第2の重合体を更に含む、粘着剤組成物。
<2>
 前記第1の重合体と前記第2の重合体のHSP値差が0~3である、<1>に記載の粘着剤組成物。
<3>
 前記第2の重合体が有機高分子化合物を含み、前記第2の重合体における前記有機高分子化合物の含有量は、前記第1の重合体100質量部に対して1~50質量部である、<1>又は<2>に記載の粘着剤組成物。
<4>
 前記イオン液体のアニオンは、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>~<3>のいずれか一つに記載の粘着剤組成物。
<5>
 前記イオン液体のカチオンは、窒素含有オニウムカチオン、硫黄含有オニウムカチオン、及びリン含有オニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>~<4>のいずれか一つに記載の粘着剤組成物。
<6>
 前記イオン液体の含有量は、前記第1の重合体100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下である、<1>~<5>のいずれか一つに記載の粘着剤組成物。
<7>
 前記第1の重合体は、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、並びに、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基及び/又はアミド結合を有するアクリル系ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<6>のいずれか一つに記載の粘着剤組成物。
<8>
 前記第2の重合体が粘着付与樹脂を含む、<1>~<7>のいずれか一つに記載の粘着剤組成物。
<9>
 前記粘着付与樹脂の軟化点が100℃以上である、<8>に記載の粘着剤組成物。
<10>
 前記粘着付与樹脂の含有量は、前記第1の重合体100質量部に対して1~50質量部である、<8>又は<9>に記載の粘着剤組成物。
<11>
 前記粘着付与樹脂がテルペン系粘着付与樹脂又はロジン系粘着付与樹脂である、<8>~<10>のいずれか一つに記載の粘着剤組成物。
<12>
 電気剥離用である、<1>~<11>のいずれか一つに記載の粘着剤組成物。
<13>
 <1>~<12>のいずれか一つに記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備える、粘着シート。
<14>
 <13>に記載の粘着シートと、導電性の材料とを備え、
 前記粘着剤層が前記導電性の材料に貼着した接合体。
 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。下記の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定されたものである。
<第1の重合体>
(アクリル系ポリマー1溶液の作製)
 モノマー成分として、n-ブチルアクリレート(BA):87質量部、2-メトキシエチルアクリレート(MEA):10質量部、アクリル酸(AA):3質量部、及び重合溶媒として酢酸エチル:150質量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.2質量部を加え、63℃に昇温して6時間反応させた。その後、酢酸エチルを加え、固形分濃度40質量%のアクリル系ポリマー1溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー1の重量平均分子量は、75万であった。また、Tgは-45℃であった。
(アクリル系ポリマー2溶液の作製)
 モノマー成分として、n-ブチルアクリレート(BA):95質量部、アクリル酸(AA):5質量部、及び重合溶媒として酢酸エチル:150質量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.2質量部を加え、63℃に昇温して6時間反応させた。その後、酢酸エチルを加え、固形分濃度40質量%のアクリル系ポリマー2溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー2の重量平均分子量は、60万であった。また、Tgは-47℃であった。
<第2の重合体>
(重合体1)
 モノマー成分として、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA):95質量部、アクリル酸(AA):5質量部、重合溶媒として酢酸エチル:300質量部、及び連鎖移動剤として2-メルカプトエタノール(チオグリコール):3質量部をセパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.2質量部を加え、65℃に昇温して3時間反応させ、続いて75℃で2時間反応させて固形分濃度25質量%の重合体1溶液を得た。
(重合体2)
 モノマー成分として、イソボルニルメタクリレート(IBXMA):100質量部、重合溶媒として酢酸エチル:300質量部、及び連鎖移動剤として2-メルカプトエタノール(チオグリコール):3質量部をセパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.2質量部を加え、65℃に昇温して3時間反応させ、続いて75℃で2時間反応させて固形分濃度25質量%の重合体2溶液を得た。
(重合体3)
 モノマー成分として、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA):95質量部、4ヒドロキシルブチルアクリレート(4HBA):5質量部、重合溶媒として酢酸エチル:300質量部、及び連鎖移動剤として2-メルカプトエタノール(チオグリコール):3質量部をセパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.2質量部を加え、65℃に昇温して3時間反応させ、続いて75℃で2時間反応させて固形分濃度25質量%の重合体3溶液を得た。
(重合体4)
 モノマー成分として、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA):85質量部、4ヒドロキシルブチルアクリレート(4HBA):15質量部、重合溶媒として酢酸エチル:300質量部、及び連鎖移動剤として2-メルカプトエタノール(チオグリコール):3質量部をセパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.2質量部を加え、65℃に昇温して3時間反応させ、続いて75℃で2時間反応させて固形分濃度25質量%の重合体4溶液を得た。
(重合体7)
 モノマー成分として、メチルアクリレート(MA):55質量部、N―ビニルピロリドン:45質量部、重合溶媒として酢酸エチル:300質量部、及び連鎖移動剤として2-メルカプトエタノール(チオグリコール):3質量部をセパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.2質量部を加え、65℃に昇温して3時間反応させ、続いて75℃で2時間反応させて固形分濃度25質量%の重合体7溶液を得た。
<Tg(℃)の測定>
 上記の方法に従いFox式を用いて算出した。
<HSP値の測定>
 上記の方法に従いパソコンソフトHSPiPを用いて算出した。
[実施例1~21、比較例1~4]
<粘着剤組成物の作製>
 第1の重合体として上記で得られたアクリル系ポリマー溶液や、上記で得られた第2の重合体、以下に示す第2の重合体、架橋剤、イオン液体、添加剤等の各成分を表1~2に記載のとおり用いて、撹拌、混合し、固形分濃度25質量%に調整した実施例1~21及び比較例1~4の各電気剥離用粘着剤組成物(溶液)を得た。表1~2に各成分の配合量を示す。
 なお、表1~2における各成分の値は、質量部を意味する。また、ポリマーの配合量(質量部)は、ポリマー溶液中の固形分の配合量(質量部)を示す。
<電気剥離型粘着剤層の作製>
 上記で得られた電気剥離用粘着剤組成物(溶液)を、表面が剥離処理されたポリエチレンテレフタレートはく離ライナー(商品名「MRF38」、三菱樹脂株式会社製)の剥離処理面上に、アプリケータを用いて均一な厚みとなるように塗布した。次に、150℃で3分間の加熱乾燥を行い、表面が剥離処理されたポリエチレンテレフタレートはく離ライナー(商品名「MRE38」、三菱樹脂株式会社製)の剥離処理面をハンドローラーを用いて粘着剤層上にラミネートし、厚み50μmの電気剥離型粘着剤層(粘着シート)を得た。
<基材付き片面粘着シートの作製>
 得られた電気剥離型粘着剤層(粘着シート)を10mm×80mmのサイズのシートとし、のMREはく離ライナーを剥がし、露出した電気剥離型粘着剤層面に、金属層つきフィルム(商品名「1005CR」、東レ株式会社製、厚み12μm、サイズ10mm×100mm)を貼り合わせ、基材付き片面粘着シートとした。
<接合体の作製>
 基材付き片面粘着シートのはく離ライナーを剥がし、剥がした面に被着体としてステンレス板(SUS316、サイズ:30mm×120mm)を当該粘着シートの一端が2mm程度被着体からはみ出すように貼り付け、2kgのローラーで1往復押圧し、23℃の環境下で30分間放置し、ステンレス板6/電気剥離型粘着剤層(粘着シート)1’/金属層付きフィルム(通電用基材)5’からなる接合体を得た。当該接合体の概要を図4に示す。
<評価>
(180°剥離力)
 実施例及び比較例の接合体を用いて180°ピール試験を行った。用いた被着材はステンレス板(SUS304、サイズ:30mm×120mm)であった。
 剥離試験機(商品名「変角度ピール試験機YSP」、旭精工株式会社製)にて、図4中の矢印方法にピールし、180°ピール試験(引張速度:300mm/min、剥離温度23℃)における接着力を測定し、180°剥離力を測定し、これを初期接着力とした。測定結果を表1~2に示す。
(初期電気剥離力)
 接合体を2kgのローラーで1往復押圧して作製し23℃の環境下で30分間放置した後に、ピールの前に接合体の図4におけるαとβの箇所に直流電流機のマイナス極及びプラス極の電極をそれぞれ取り付け、電圧30Vにて30秒間電圧印加を行い、そのまま電圧を印加しながら、上記の180°剥離力測定と同様にしてピールし、電圧印加中の接着力を測定し初期電気剥離力とした。測定結果を表1~2に示す。
 また、上記で測定した初期接着力及び電圧印加中の接着力から、下記の式(C)により接着力低下率を算出した。結果を表1~2に示す。
 接着力低下率(%)={1-(電圧印加中の接着力/初期接着力)}×100  (C)
(湿熱保管後の電気剥離力)
 2kgのローラーで1往復押圧した後に、60℃、90%RHの環境下で500時間保管した後に取り出し、熱を冷ますため22℃50%RHに60分静置した後に測定を行った点、及び、ピールの前に接合体の図4におけるαとβの箇所に直流電流機のマイナス極及びプラス極の電極をそれぞれ取り付け、電圧30Vにて30秒間電圧印加を行い、そのまま電圧を印加しながら、上記の180°剥離力測定と同様にしてピールし、電圧印加中の接着力を測定し湿熱保管後の電気剥離力とした。測定結果を表1~2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表1~2における第2の重合体、架橋剤、イオン液体、および添加剤(吸着型インヒビター等)の略称については、以下の通りである。
(第2の重合体)
 重合体5:アクリル系ポリマー、商品名「ARUFON UC3000」、東亞合成株式会社製
 重合体6:アクリル系ポリマー、商品名「ARUFON UH2170」、東亞合成株式会社製
(粘着付与樹脂)
 YSポリスター T-115:テルペン系粘着付与樹脂、ヤスハラケミカル株式会社製、Tg=65℃、軟化点115℃
 YSポリスター U-130:テルペン系粘着付与樹脂、ヤスハラケミカル株式会社製、Tg=80℃、軟化点130℃
 ペンセルD125:ロジン系粘着付与樹脂、荒川化学工業株式会社製、Tg=75℃、軟化点125℃
 ペンセルD160:ロジン系粘着付与樹脂、荒川化学工業株式会社製、Tg=110℃、軟化点160℃
(イオン液体)
 AS-110:カチオン:1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、アニオン:ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、商品名「エレクセルAS-110」、第一工業製薬株式会社製
(架橋剤)
 V-05:ポリカルボジイミド樹脂、商品名「カルボジライト V-05」、日清紡ケミカル株式会社製
(吸着型インヒビター)
 AMINE O:2-(8-ヘプタデセン-1-イル)-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、商品名「AMINE O」、BASFジャパン株式会社製
 Irgacor DSSG:セバシン酸ナトリウム、商品名「Irgacor DSSG」、BASFジャパン株式会社製
(キレート形成型金属不活性剤)
 Irgamet 30:N,N-ビス(2-エチルヘキシル)-[(1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]アミン、商品名「Irgamet 30」BASFジャパン株式会社製
(イオン液体)
 EMIM-MeSO3:東京化成工業株式会社製
 実施例1~21の粘着剤組成物により形成した電気剥離型粘着剤層は、ガラス転移温度(Tg)が40~180℃である第2の重合体を含むため、いずれも高温高湿環境下での保管後においても電圧印加による接着力低下率が大きく、湿熱安定性に優れていた。また、実施例15~21の粘着剤組成物により形成した電気剥離型粘着剤層は、さらに粘着付与樹脂を含むことにより、高温高湿環境下での保管後における電圧印加による接着力低下率のさらなる改善が見られた。
 本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
 以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
 なお、本出願は、2022年2月24日出願の日本特許出願(特願2022-026640)及び2021年9月30日出願の日本特許出願(特願2021-161475)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
X1,X2,X3 粘着シート
1 電気剥離型粘着剤層
2 粘着剤層
3 基材
4 導電層
5 通電用基材

Claims (14)

  1.  第1の重合体と、イオン液体とを含有する粘着剤組成物であって、
     前記第1の重合体をベースポリマーとして含み、
     ガラス転移温度(Tg)が40~180℃である第2の重合体を更に含む、粘着剤組成物。
  2.  前記第1の重合体と前記第2の重合体のHSP値差が0~3である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3.  前記第2の重合体が有機高分子化合物を含み、前記第2の重合体における前記有機高分子化合物の含有量は、前記第1の重合体100質量部に対して1~50質量部である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  4.  前記イオン液体のアニオンは、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  5.  前記イオン液体のカチオンは、窒素含有オニウムカチオン、硫黄含有オニウムカチオン、及びリン含有オニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  6.  前記イオン液体の含有量は、前記第1の重合体100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  7.  前記第1の重合体は、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、並びに、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基及び/又はアミド結合を有するアクリル系ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  8.  前記第2の重合体が粘着付与樹脂を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  9.  前記粘着付与樹脂の軟化点が100℃以上である、請求項8に記載の粘着剤組成物。
  10.  前記粘着付与樹脂の含有量は、前記第1の重合体100質量部に対して1~50質量部である、請求項8に記載の粘着剤組成物。
  11.  前記粘着付与樹脂がテルペン系粘着付与樹脂又はロジン系粘着付与樹脂である、請求項8に記載の粘着剤組成物。
  12.  電気剥離用である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  13.  請求項1~12のいずれか一項に記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備える、粘着シート。
  14.  請求項13に記載の粘着シートと、導電性の材料とを備え、
     前記粘着剤層が前記導電性の材料に貼着した接合体。
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