WO2023022021A1 - スポンジ及びその製造方法 - Google Patents

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義之 小山
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Abstract

水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジであって、カルボキシル基を有する重合体(A)と、カルボキシル基と水素結合を形成し得る官能基を有する重合体(B)(ただし、重合体(A)を除く)と、を含み、電界放射走査型電子顕微鏡により測定されるスポンジ内部の平均細孔径が150μm以下であるスポンジとする。

Description

スポンジ及びその製造方法
[関連出願の相互参照]
 本出願は、2021年8月17日に出願された日本特許出願番号2021-132862号に基づく優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
 本開示は、スポンジ及びその製造方法に関し、より詳細には、水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジ及びその製造方法に関する。
 生体組織に接着するハイドロゲルは、癒着防止材や止血材、創傷被覆材等に適用可能であり、従来、種々の検討が行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ポリアクリル酸とポリビニルピロリドンとの水素結合によりハイドロゲルを形成する医療用のスポンジが提案されている。特許文献1に記載の技術では、ポリアクリル酸及びポリビニルピロリドンのいずれかの水溶液をフィルム状に乾燥させておき、このフィルムに対して、他方の重合体を含む水溶液を接触させた後、凍結乾燥することにより、水分の吸収によりハイドロゲルを形成可能な乾燥状態のスポンジを得ている。このようにして得られたスポンジは、傷口や止血部位等のような濡れた生体組織上で、血液や組織液等の水分を速やかに吸収して膨潤し、生体組織に接着する機能を持つ。
特開2014-100462号公報
 本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載のスポンジは、生体組織への接着性及び力学的強度が十分であるとは必ずしもいえず、更なる改善の余地がある。
 本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体組織に対する接着性及び力学的強度に優れ、水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジを提供することである。
 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジを凍結乾燥により製造する際、凍結時に所定の工程を経ることにより生体組織に対する接着性及び力学的強度を改善できることを見出した。具体的には、本開示によれば以下の手段が提供される。
〔1〕 水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジであって、カルボキシル基を有する重合体(A)と、カルボキシル基と水素結合を形成し得る官能基を有する重合体(B)(ただし、前記重合体(A)を除く)と、を含み、電界放射走査型電子顕微鏡により測定されるスポンジ内部の平均細孔径が150μm以下である、スポンジ。
〔2〕 前記重合体(A)は架橋重合体である、上記〔1〕のスポンジ。
〔3〕 前記重合体(A)はポリ(メタ)アクリル酸である、上記〔1〕又は〔2〕のスポンジ。
〔4〕 前記重合体(B)はアミド基を有する、上記〔1〕~〔3〕のいずれかのスポンジ。
〔5〕 前記重合体(B)は、ポリビニルピロリドン及びポリ(メタ)アクリルアミドよりなる群から選択される少なくとも1種である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかのスポンジ。
〔6〕 前記重合体(B)の重量平均分子量が1万以上である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかのスポンジ。
〔7〕 医療用処置材として用いられる、上記〔1〕~〔6〕のいずれかのスポンジ。
〔8〕 水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジの製造方法であって、カルボキシル基を有する重合体(A)、及びカルボキシル基と水素結合を形成し得る官能基を有する重合体(B)(ただし、前記重合体(A)を除く)のうち一方の重合体を含むフィルム状固形物を得る工程と、前記フィルム状固形物と、前記重合体(A)及び前記重合体(B)のうち他方の重合体を含む重合体溶液とを接触させる工程と、前記フィルム状固形物と前記重合体溶液とを接触させることにより得られた生成物を過冷却の状態にした後、凍結させる工程と、前記生成物の凍結物を乾燥させる工程と、を含む、スポンジの製造方法。
〔9〕 前記凍結させる工程は、前記生成物を0℃以下-10℃以上の温度で冷却する第1冷却工程と、前記第1冷却工程後の前記生成物を-10℃よりも低い温度で冷却する第2冷却工程と、を含む、上記〔8〕のスポンジの製造方法。
〔10〕 前記第1冷却工程は、第1温度で冷却する工程と、前記第1温度よりも低温の第2温度で冷却する工程と、を含む、上記〔9〕のスポンジの製造方法。
 本開示によれば、水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジにおいて、上記重合体(A)と重合体(B)とを含み、かつスポンジ内部の平均細孔径を150μm以下とすることにより、力学的強度が高く、しかも生体組織に対する接着性に優れたスポンジを得ることができる。
 以下、本開示について詳しく説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
《スポンジ》
 本開示のスポンジは、水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジ状のハイドロゲル形成材(以下、「ハイドロゲル形成用スポンジ」ともいう)である。このハイドロゲル形成用スポンジは、カルボキシル基を有する重合体(A)と、カルボキシル基と水素結合を形成し得る官能基(以下、「官能基E」ともいう)を有する重合体(B)(ただし、重合体(A)を除く)と、を含む。ハイドロゲル形成用スポンジは、重合体(A)が有するカルボキシル基と、重合体(B)が有する官能基Eとの水素結合により形成された架橋構造を有し、これにより吸水作用を示す。
<重合体(A)>
 重合体(A)としては、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(ma)」ともいう)に由来する構造単位を主体とする重合体を好ましく使用できる。不飽和単量体(ma)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、桂皮酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、4-カルボキシスチレン等が挙げられる。生体組織に対する接着性をより高くできる点で、不飽和単量体(ma)は、中でも(メタ)アクリル酸を好ましく使用できる。
 重合体(A)において、不飽和単量体(ma)に由来する構造単位の含有量は、重合体(A)を構成する全構造単位に対して、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、80質量%以上が一層好ましく、90質量%以上がより一層好ましい。重合体(A)における不飽和単量体(ma)に由来する構造単位が上記範囲であると、生体組織に対する接着性がより高いハイドロゲルを得ることができる点で好適である。なお、重合体(A)を構成する不飽和単量体(ma)は、1種のみでもよく2種以上でもよい。
 生体組織に対する接着性に優れている点において、重合体(A)は中でも、ポリ(メタ)アクリル酸が好ましい。重合体(A)がポリ(メタ)アクリル酸である場合、重合体(A)は、(メタ)アクリル酸単位を70質量%以上有することが好ましく、80質量%以上有することがより好ましく、90質量%以上有することが更に好ましく、95質量%以上有することがより更に好ましい。
 なお、重合体(A)を得る方法は不飽和単量体(ma)を用いる方法に限定されない。例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合した後、加水分解することによって重合体(A)を得てもよい。あるいは、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロニトリル等の窒素含有モノマーを重合した後、強アルカリで処理する方法や、水酸基を有する重合体に酸無水物を反応させる方法等により重合体(A)を得てもよい。
 重合体(A)としては、架橋重合体、及び重量平均分子量が180万以上の重合体(以下、「高分子量重合体(AH)」ともいう)の少なくともいずれかを好ましく用いることができる。これらのうち、水分との接触による膨潤性及び生体組織に対する接着性により優れている点で、重合体(A)は架橋重合体であることが特に好ましい。
 架橋重合体を製造する方法は特に限定されない。架橋重合体の製造方法としては、例えば以下の方法(1)及び方法(2)が挙げられる。
(1)架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(mc)」ともいう)と、不飽和単量体(ma)とを共重合する方法
(2)反応性官能基を有する重合体を合成し、必要に応じて架橋剤を添加して架橋させる方法
これらのうち、操作が簡便であり、かつ架橋の程度を制御しやすい点で、方法(1)によることが好ましい。
 不飽和単量体(mc)としては、エチレン性不飽和基を2個以上有する多官能重合性単量体、及び自己架橋可能な架橋性官能基(例えば、加水分解性シリル基等)を有する自己架橋性単量体等が挙げられる。多官能重合性単量体の具体例としては、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能アルケニル化合物、(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物等が挙げられる。不飽和単量体(mc)は、これらのうち、均一な架橋構造を得やすい点で、アルケニル基含有化合物(多官能アルケニル化合物、(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物)が好ましく、多官能アルケニル化合物がより好ましい。
 多官能アルケニル化合物の具体例としては、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、ポリアリルサッカロース等の多官能アリルエーテル化合物;ジアリルフタレート等の多官能アリル化合物;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物等を挙げることができる。(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸イソプロペニル、(メタ)アクリル酸ブテニル、(メタ)アクリル酸ペンテニル、(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル等のアルケニル基含有(メタ)アクリル酸化合物等を挙げることができる。多官能アルケニル化合物としては、これらの中でも、分子内に複数のアリルエーテル基を有する多官能アリルエーテル化合物が特に好ましい。
 また、自己架橋性単量体の具体例としては、加水分解性シリル基含有ビニル単量体等が挙げられる。加水分解性シリル基含有ビニル単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランン等のビニルシラン類;(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等が挙げられる。
 重合体(A)が構造単位(mc)を含む場合、重合体(A)に含まれる構造単位(mc)の量は、重合体(A)を構成する全構造単位に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、重合体(A)に含まれる構造単位(mc)の量は、重合体(A)を構成する全構造単位に対して、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。重合体(A)が含む構造単位(mc)は、1種のみでもよく2種以上でもよい。
 なお、重合体(A)は、本開示の効果を損なわない範囲において、不飽和単量体(ma)及び不飽和単量体(mc)とは異なる単量体(以下、「その他の単量体(md)」ともいう)に由来する構造単位を更に有していてもよい。その他の単量体(md)としては、エチレン性不飽和単量体を好ましく用いることができ、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸の脂肪族環式エステル、(メタ)アクリル酸の芳香族エステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 これらの具体例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
 (メタ)アクリル酸の脂肪族環式エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸tert-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル及び(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸の芳香族エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシメチル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシエチル及び(メタ)アクリル酸3-フェノキシプロピル等が挙げられる。
 (メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n-プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸n-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸n-プロポキシプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、(メタ)アクリル酸n-プロポキシブチル及び(メタ)アクリル酸n-ブトキシブチル等が挙げられる。
 (メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、及び(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 重合体(A)において、その他の単量体(md)に由来する構造単位の含有量は、重合体(A)を構成する全構造単位に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましい。重合体(A)を構成するその他の単量体は、1種のみでもよく2種以上でもよい。
 重合体(A)として架橋重合体を用いる場合、架橋重合体としては市販品を使用することもできる。このような市販品としては、例えば、商品名で、ジュンロン(登録商標)PW-120、ジュンロンPW-121、ジュンロンPW-312S(以上、東亞合成社製)、Carbopol 934P NF、Carbopol 981、Carbopol Ultrez10、Carbopol Ultrez30(以上、Lubrizol社製)等が挙げられる。
 重合体(A)として高分子量重合体(AH)を用いる場合、高分子量重合体(AH)の重量平均分子量(Mw)は、生体組織に対する接着性を十分に高くする観点から、好ましくは180万以上である。また、取り扱い性の観点から、高分子量重合体(AH)のMwは、好ましくは5,000万以下であり、より好ましくは3,000万以下であり、更に好ましくは1,000万以下である。なお、高分子量重合体(AH)の分子量は、カルボキシル基をトリメチルシリルジアゾメタンによりメチル化処理した後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりテトラヒドロフラン溶離液を用いて測定されるポリスチレン換算値である。
<重合体(B)>
 重合体(B)は、重合体(A)が有するカルボキシル基と水素結合を形成し得る官能基(官能基E)を有し、かつ重合体(A)とは異なる重合体である限り、特に限定されない。官能基Eとしては、例えばアミド基、シアノ基、カルボニル基、アミノ基、水酸基等が挙げられる。重合体(B)が有する官能基Eは、1種でもよく2種以上でもよい。
 重合体(A)が有するカルボキシル基と、官能基Eとの水素結合の形成によって水膨潤性に優れたハイドロゲル形成材を得ることができる点において、官能基Eは、中でも、アミド基及び/又は水酸基が好ましく、アミド基が特に好ましい。
 アミド基を有する重合体(B)は、例えば、アミド基を有するエチレン性不飽和単量体を用いて重合することにより製造することができる。アミド基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、1-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
 水酸基を有する重合体(B)としては、ポリエチレングリコール(市販品として、例えば日油社製のマクロゴール4000、マクロゴール6000及びマクロゴール20000)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(市販品として、例えばBASF社製のクレモファーRH40、日光ケミカルズ社製のHCO-40及びHCO-60)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(市販品として、例えばADEKA社製のプルロニック(登録商標)F68)、ポリビニルアルコール等が挙げられる。水酸基を有する重合体(B)は、これらの中でも、ポリエチレングリコールが好ましい。
 重合体(B)において、官能基Eを有するエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位の含有量は、重合体(B)を構成する全構造単位に対し、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、97質量%以上であることがより更に好ましい。
 重合体(B)としては、架橋重合体、及び重量平均分子量が1万以上の重合体(以下、「高分子量重合体(BH)」ともいう)の少なくともいずれかを好ましく用いることができ、高分子量重合体(BH)をより好ましく用いることができる。また、水分との接触により膨潤性の高いハイドロゲルを形成できるスポンジを得る観点から、重合体(B)は、ポリビニルピロリドン及びポリ(メタ)アクリルアミドよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、構成単量体の重合性に優れ、重合体(B)の製造が容易である点において、重合体(B)は、ポリビニルピロリドン及びポリアクリルアミドの少なくとも1種であることがより好ましい。
 ポリビニルピロリドンは、典型的には、N-ビニル-2-ピロリドンからなる重合体である。ただし、本開示の効果を損なわない範囲において、N-ビニル-2-ピロリドンとは異なる単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。N-ビニル-2-ピロリドンとは異なる単量体の具体例としては、重合体(A)を構成していてもよいその他の単量体として例示した化合物等が挙げられる。ポリビニルピロリドンにおいて、N-ビニル-2-ピロリドンとは異なる単量体に由来する構造単位の含有量は、ポリビニルピロリドンを構成する全構造単位に対して、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
 また同様に、ポリアクリルアミドは、典型的には、アクリルアミドからなる重合体である。ただし、本開示の効果を損なわない範囲において、アクリルアミドとは異なる単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。アクリルアミドとは異なる単量体の具体例としては、重合体(A)を構成していてもよいその他の単量体として例示した化合物等が挙げられる。ポリアクリルアミドにおいて、アクリルアミドとは異なる単量体に由来する構造単位の含有量は、ポリアクリルアミドを構成する全構造単位に対して、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
 ポリメタクリルアミドは、典型的には、メタクリルアミドからなる重合体である。ただし、本開示の効果を損なわない範囲において、メタクリルアミドとは異なる単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。メタクリルアミドとは異なる単量体の具体例としては、重合体(A)を構成していてもよいその他の単量体として例示した化合物等が挙げられる。ポリメタクリルアミドにおいて、メタクリルアミドとは異なる単量体に由来する構造単位の含有量は、ポリメタクリルアミドを構成する全構造単位に対して、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
 重合体(B)として高分子量重合体(BH)を用いる場合、高分子量重合体(BH)の重量平均分子量(Mw)は、力学的強度及び増粘効果を確保する観点から、好ましくは1万以上であり、より好ましくは3万以上であり、更に好ましくは5万以上である。また、取り扱い性の観点から、高分子量重合体(BH)のMwは、好ましくは10,000万以下であり、より好ましくは5,000万以下であり、更に好ましくは3,000万以下である。なお、重合体(B)の分子量は、GPCにより測定されるポリスチレン換算値である。
 ハイドロゲル形成用スポンジに含まれる重合体(A)と重合体(B)との合計量は、力学的強度が高く、かつ水分との接触により生体組織に対する接着性に優れたハイドロゲルを得る観点から、ハイドロゲル形成用スポンジの全量に対し、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上がより更に好ましい。
 ハイドロゲル形成用スポンジにおいて、重合体(A)及び重合体(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、重合体(B)が20~500質量部となるように調整することが好ましい。重合体(A)及び重合体(B)の含有量が上記範囲であると、力学的強度の改善効果が高く、また生体組織に対して優れた接着性を示すハイドロゲルを形成できる点で好適である。このような観点から、重合体(A)及び重合体(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、重合体(B)が30~400質量部となる量とすることがより好ましく、50~300質量部となる量とすることが更に好ましい。
 なお、重合体(A)及び重合体(B)を製造するための重合方法は特段制限されるものではない。重合体(A)及び重合体(B)は、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合等の公知のラジカル重合方法を採用して、単量体を重合することにより得ることができる。溶液重合法による場合、例えば、有機溶剤及び単量体を反応器に仕込み、重合開始剤(例えば、アゾ化合物)を添加して、40~250℃に加熱して重合することにより、目的とする重合体を得ることができる。
<その他の成分>
 ハイドロゲル形成用スポンジには、使用する目的等に応じて、重合体(A)及び重合体(B)とは異なる成分(以下、「その他の成分」ともいう)が更に含有されていてもよい。その他の成分としては、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、血液凝固剤、抗凝固剤、局所麻酔剤、血管収縮剤及び血管拡張剤等の各種薬剤、並びに重合体(A)及び重合体(B)とは異なる水溶性重合体(C)等が挙げられる。その他の成分としては、1種又は複数種を含有させることができる。その他の成分の含有量は、本開示の効果を損なわない範囲において、各成分に応じて適宜選択することができる。
 水溶性重合体(C)としては、増粘剤として一般に使用され得る水溶性重合体が挙げられ、具体例として多糖類が挙げられる。多糖類としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸等のムコ多糖類;カラギナン、ペクチン、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム及びウェランガム等の水溶性天然高分子多糖類、並びにこれらの塩(例えば、ナトリウム塩)等が挙げられる。水溶性重合体(C)は、中でも、ヒアルロン酸又はその塩が好ましい。水溶性重合体(C)の数平均分子量は、例えば200,000以上である。なお、水溶性重合体(C)の分子量は、GPCにより測定したポリスチレン換算値である。
 ハイドロゲル形成用スポンジが水溶性重合体(C)を含有する場合、水溶性重合体(C)の含有量は、重合体(A)及び重合体(B)の合計量100質量部に対して、0.01~50質量部とすることが好ましい。水溶性重合体(C)の含有量を上記範囲とすることにより、ハイドロゲルの保水性を改善することが可能である。こうした観点から、水溶性重合体(C)の含有量は、重合体(A)及び重合体(B)の合計量100質量部に対して、0.1質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましい。また、水溶性重合体(C)の含有量の上限については、重合体(A)及び重合体(B)の合計量100質量部に対して、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましい。水溶性重合体(C)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 ハイドロゲル形成用スポンジは、内部に多数の細孔が形成された多孔質構造を有する。ハイドロゲル形成用スポンジにつき、電界放射走査型電子顕微鏡により測定されるスポンジ内部の平均細孔径(以下、「平均内部孔径」ともいう)は、150μm以下である。平均内部孔径が150μmよりも大きいと、ハイドロゲル形成用スポンジの力学的強度が十分でなく、また水分との接触時に、生体組織に対する接着性に劣る傾向がある。このような観点から、ハイドロゲル形成用スポンジの平均内部孔径は、120μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、95μm以下であることが更に好ましい。ハイドロゲル形成用スポンジの平均内部孔径の下限値については特に限定されないが、製造容易性の観点から、例えば30μm以上である。
 なお、「細孔径」とは、ハイドロゲル形成用スポンジを垂直方向又は水平方向に切断することにより形成された断面を電界放射走査型電子顕微鏡により撮影し、得られた撮影画像上のスポンジ断面に存在する各細孔の外周上の2点を結ぶ距離のうち最大の距離をいう。「平均内部孔径」とは、スポンジ断面に存在する複数個の細孔の細孔径を平均した値をいう。細孔径及び平均内部孔径の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載の方法に従う。
<スポンジの製造方法>
 本開示のハイドロゲル形成用スポンジを製造するための方法は特段制約されるものではないが、平均内部孔径が150μm以下であることにより、力学的強度が高く、生体組織に対する接着性に優れたハイドロゲル形成用スポンジを簡便な方法により得ることができる点において、以下の工程1~工程4を含む方法(以下、「本製造方法」ともいう)によることが好ましい。
工程1:重合体(A)及び重合体(B)のうち一方の重合体を含むフィルム状固形物を得る工程
工程2:上記フィルム状固形物と、重合体(A)及び重合体(B)のうち他方の重合体を含む重合体溶液とを接触させる工程
工程3:上記フィルム状固形物と上記重合体溶液とを接触させることにより得られた生成物を過冷却の状態にした後、凍結させる工程
工程4:工程3により得られた凍結物を乾燥させる工程
 ここで、重合体(A)の水溶液と重合体(B)の水溶液とを単に混合するものとすると、重合体(A)が有するカルボキシル基と、重合体(B)が有する官能基Eとの水素結合により非常に速やかにハイドロゲルが形成される。しかしながら、重合体(A)の水溶液と重合体(B)の水溶液とを単に混合することにより得られるハイドロゲルを乾燥して作製した乾燥体は、水に対する溶解性及び膨張性が十分でなく、また生体組織に対する接着性に劣る。これに対し、本製造方法によれば、優れた水溶性及び水膨潤性を示すとともに、力学的強度が高く、かつ生体組織に対する接着性に優れたハイドロゲル形成用スポンジを製造することができる。以下、本製造方法の各工程について説明する。
(工程1:準備工程)
 本製造方法では、まず、重合体(A)及び重合体(B)のうち一方の重合体(以下、「第1重合体」ともいう)を含むフィルム状固形物を調製する。フィルム状固形物を調製するには、例えば溶液乾燥法、熱プレス法等が挙げられる。これらのうち、気泡の発生を抑制でき、平滑なフィルムを作製できる点で溶液乾燥法が好ましい。溶液乾燥法によりフィルム状固形物を製造する場合、第1重合体を溶媒に溶解してなる重合体溶液(以下、「第1重合体溶液」ともいう)を調製し、次いで、第1重合体溶液を支持体に塗工し、乾燥することが好ましい。なお、フィルム状固形物を構成する第1重合体は、重合体(A)でもよく、重合体(B)でもよい。
 第1重合体を溶解する溶媒としては、水のほか、水に溶解可能な有機溶媒と水との混合液、及び水に溶解可能な有機溶媒が挙げられる。水に溶解可能な有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。第1重合体を溶解する溶媒としては、これらのうち、水、エタノール、又は水とエタノールとの混合液が好ましく、工程3において過冷却状態を形成しやすく、また乾燥工程を効率良く実施できる点において、水が特に好ましい。第1重合体溶液における重合体濃度は、特に限定されないが、例えば0.01~10質量%であり、好ましくは0.1~5質量%である。
 支持体上にフィルム状固形物を形成する方法は特段制限されるものではなく、公知の成膜方法を採用することができる。例えば、第1重合体溶液を支持体上に塗工し、好ましくは加熱して溶媒を除去することにより、第1重合体を含むフィルム状固形物を支持体上に形成することができる。加熱処理を行う場合、その加熱温度は、例えば50~120℃であり、加熱時間は、例えば0.1~5時間である。また、加熱処理は、減圧下あるいは送風下において実施されてもよい。支持体上に形成されるフィルム状固形物の厚みは、例えば1~5,000μmである。フィルム状固形物の水分含有量は、例えば10質量%以下である。
(工程2:接触工程)
 続く工程2では、支持体上に形成されたフィルム状固形物と、重合体(A)及び重合体(B)のうち第1重合体とは異なる重合体(以下、「第2重合体」ともいう)を溶媒に溶解してなる重合体溶液(以下、「第2重合体溶液」ともいう)とを接触させる。第2重合体を溶解する溶媒としては、第1重合体を溶解する溶媒として例示したものと同様の溶媒が挙げられる。工程3において過冷却状態を形成しやすい点及び乾燥工程を効率良く行うことができる点において、中でも水が好ましい。第2重合体溶液における重合体濃度は、例えば0.1~30質量%であり、好ましくは1~20質量%である。
 第1重合体を含むフィルム状固形物と第2重合体溶液とを接触させる方法は特に制限されない。フィルム状固形物と第2重合体溶液とを接触させる方法としては、例えば、フィルム状固形物の表面に第2重合体溶液を塗布、滴下又は噴霧する方法、フィルム状固形物を第2重合体溶液に浸漬する方法等が挙げられる。好ましい一態様としては、フィルム状固形物の表面に第2重合体溶液を滴下等することにより、第2重合体溶液からなる液体層をフィルム状固形物上に形成し、所定時間(例えば、10~180分)静置する。液体層の厚みは特に限定されないが、例えば0.1~50,000μmである。これにより、フィルム状固形物中の第1重合体が第2重合体溶液に徐々に溶解し、フィルム状固形物と第2重合体溶液との接触による生成物としてハイドロゲルが形成される。
 第1重合体を含むフィルム状固形物と第2重合体溶液とを接触させる場合、フィルム状固形物に対し接触させる第2重合体溶液の量は、得られるハイドロゲルにおいて架橋構造が適度に形成されるように選択することが好ましい。具体的には、重合体(A)が有するカルボキシル基1モルに対し、重合体(B)が有する官能基Eのモル数が、好ましくは0.1~10モル、より好ましくは0.2~8モル、更に好ましくは0.5~2モルとなるように、フィルム状固形物及び第2重合体溶液の量及び重合体濃度を調整することが好ましい。
 ハイドロゲル形成用スポンジとして、水溶性重合体(C)を含む乾燥体を得る場合、水溶性重合体(C)は、フィルム状固形物が含んでいてもよく、第2重合体溶液が含んでいてもよい。水溶性重合体(C)を第2重合体溶液が含む場合、水溶性重合体(C)を予め第2重合体溶液に配合しておき、水溶性重合体(C)を含む第2重合体溶液をフィルム状固形物と接触させてもよく、あるいは、フィルム状固形物と第2重合体溶液とを接触させた後、水溶性重合体(C)を第2重合体溶液に添加してもよい。ハイドロゲルの形成を好適に行わせる観点から、これらのうち、第2重合体溶液が水溶性重合体(C)を含むことが好ましく、水溶性重合体(C)を予め含む第2重合体溶液を調製し、水溶性重合体(C)を含む第2重合体溶液とフィルム状固形物とを接触させることがより好ましい。
 水溶性重合体(C)を含む第2重合体溶液をフィルム状固形物と接触させる場合、第2重合体溶液中における水溶性重合体(C)の含有量は、第2重合体の100質量部に対して、0.01~50質量部とすることが好ましく、0.1~20質量部とすることがより好ましく、0.5~15質量部とすることが更に好ましい。
(工程3:冷却及び凍結工程)
 続く工程3では、第1重合体を含むフィルム状固形物と第2重合体溶液とを接触させることにより得られた生成物(以下、「ハイドロゲル生成物」ともいう)を過冷却の状態にした後、凍結させる。工程3では、冷却温度が異なる複数の工程によりハイドロゲル生成物を冷却することが好ましい。具体的には、工程3は、以下の第1冷却工程及び第2冷却工程を含むことが好ましい。
第1冷却工程:ハイドロゲル生成物を0℃以下-10℃以上の温度で冷却する工程
第2冷却工程:第1冷却工程後のハイドロゲル生成物を-10℃よりも低い温度で冷却する工程
・第1冷却工程(予備冷却工程)
 第1冷却工程では、上記工程2により得られたハイドロゲル生成物を0℃以下-10℃以上の温度で予備冷却することにより、ハイドロゲル生成物(より具体的には、ハイドロゲル生成物に含まれる溶媒)を、凝固点より低温でも凍結していない状態、すなわち過冷却の状態にする。すなわち、第1冷却工程は、ハイドロゲル生成物を過冷却の状態にする工程である。
 ハイドロゲル生成物の過冷却温度は、第2重合体溶液に含まれる溶媒に応じて適宜選択され得る。第2重合体溶液に含まれる溶媒が水の場合、過冷却温度は、0℃未満が好ましく、-1℃以下がより好ましく、-2℃以下が更に好ましく、-3℃以下がより更に好ましく、-4℃以下が一層好ましい。なお、本明細書において「過冷却温度」とは、ハイドロゲル形成用スポンジの凝固時にその凝固熱によってハイドロゲル形成用スポンジの温度の急激な上昇が起こる直前の温度をいう。過冷却温度の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載の方法に従う。
 ハイドロゲル生成物を冷却する際には、上記工程2により得られたハイドロゲル生成物をそのまま冷却してもよいし、あるいは、ハイドロゲル生成物を所望の形状の型に充填した後に冷却してもよい。第1冷却工程での冷却処理において、ハイドロゲル生成物の周囲温度(以下、「冷却温度」ともいう)は、ハイドロゲル生成物の過冷却温度が上記範囲となるように適宜設定され得る。具体的には、冷却温度は、0℃以下-10℃以上であることが好ましく、0℃以下-5℃以上であることがより好ましい。第1冷却工程における冷却処理では、過冷却状態を生じさせる観点から、緩やかに温度を下げていくことが好ましい。第1冷却工程による冷却温度は、例えば15分~5時間であり、好ましくは30分~3時間である。
 生体組織に対する接着力及び力学的強度がより高いハイドロゲル形成用スポンジを得る観点から、第1冷却工程は、第1温度で冷却する工程と、第1温度よりも低温の第2温度で冷却する工程とを含むことが好ましい。第2重合体溶液に含まれる溶媒が水の場合、第1温度を0℃以下-4℃よりも高い温度とし、第2温度を-4℃以下-10℃以上の温度とすることが好ましい。第1温度及び第2温度による冷却時間はそれぞれ、例えば10分~3時間である。
・第2冷却工程
 第2冷却工程では、第1冷却工程後のハイドロゲル生成物を-10℃よりも低い温度で冷却することによりハイドロゲル生成物を凍結させ、凍結物を得る工程である。すなわち、第2冷却工程は、過冷却状態のハイドロゲル生成物を凍結させる工程である。第2冷却工程において、ハイドロゲル生成物の冷却温度(以下、「凍結温度」ともいう)は、所望の大きさの細孔径を内部に多数有するスポンジを得る観点から、-15℃以下であることが好ましく、-20℃以下であることがより好ましく、-25℃以下であることが更に好ましく、-30℃以下であることがより更に好ましい。凍結温度の下限値については特に限定されないが、例えば-70℃以上であり、好ましくは-60℃以上である。第2冷却工程における冷却時間は、例えば5分~5時間であり、好ましくは10分~3時間である。
(工程4:乾燥工程)
 本工程は、上記工程3により得られた凍結物を凍結した状態のまま乾燥させる工程である。これにより、目的物である乾燥体としてハイドロゲル形成用スポンジが得られる。凍結物(すなわち、凍結させたハイドロゲル生成物)を乾燥する方法としては特段の制約はなく、公知の凍結乾燥法を適宜採用することができる。凍結乾燥処理の処理条件は特に限定されないが、室温減圧下で行うことが好ましい。凍結乾燥時の圧力は、例えば50Pa以下であり、好ましくは20Pa以下であり、より好ましくは10Pa以下である。
 なお、本明細書において「乾燥」とは、水分が完全に除去された状態のほか、乾燥過程において水分が残存している状態を含む意味である。乾燥処理により得られる乾燥体の水分含有量は、例えば10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下である。
(ハイドロゲル形成用スポンジを製造する他の方法)
 ハイドロゲル形成用スポンジを製造する方法は上記に限定されず、例えば以下の方法(以下、「他の製法」ともいう)を用いてもよい。
他の製法:水溶性高分子(C)の存在下において、重合体(A)を含む溶液と、重合体(B)を含む溶液とを混合し、乾燥する方法
 他の製法において使用する、重合体(A)を含む溶液(以下、「重合体溶液A」ともいう)、及び重合体(B)を含む溶液(以下、「重合体溶液B」ともいう)につき、重合体を溶解する溶媒としては、第1重合体を溶解する溶媒として例示したものと同様の溶媒が挙げられる。これらのうち、乾燥工程を効率良く行う観点から、水を単独で使用することが好ましい。重合体溶液A及び重合体溶液Bにおいて、重合体濃度は、例えば0.001~5質量%であり、好ましくは0.01~1質量%である。
 また、重合体溶液A及び重合体溶液Bにおいて、重合体(A)及び重合体(B)のそれぞれの含有量は、重合体(A)100質量部に対して、重合体(B)が20~500質量部となるように重合体溶液A及び重合体溶液Bの量及び濃度を調整することが好ましい。重合体(A)及び重合体(B)の量は、重合体(A)100質量部に対して、重合体(B)が30~400質量部となる量とすることがより好ましく、50~300質量部となる量とすることが更に好ましい。
 他の製法において使用される水溶性重合体(C)としては、上記において例示した水溶性重合体(C)の具体例と同様のものを挙げることができる。これらのうち、ヒアルロン酸又はその塩を好ましく使用することができる。水溶性重合体(C)の使用量は、重合体(A)100質量部に対して、0.01~50質量部とすることが好ましく、0.1~20質量部とすることがより好ましく、0.5~15質量部とすることが更に好ましい。水溶性重合体(C)は、水溶液として使用されることが好ましい。
 他の製法において、続いて、上記により得られた重合体(A)、重合体(B)及び水溶性重合体(C)を含む混合液をモールドに入れて凍結し、その成形された凍結物を乾燥することにより、所望の形状を有する目的物(乾燥体)としてハイドロゲル形成用スポンジを得ることができる。混合液の凍結処理は上記工程3に従い行うことができ、凍結物の乾燥処理は上記工程4に従い行うことができる。乾燥体の水分含有量は、例えば10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下である。
(ハイドロゲル形成用スポンジの用途)
 以上説明したハイドロゲル形成用スポンジは、使用前は乾燥したスポンジ状の固形物であり、水分と接触すると、吸水して膨潤することによりハイドロゲルとなる。すなわち、本開示のハイドロゲル形成用スポンジは、水分との接触前は柔軟性を有する乾燥体であり、水分との接触により乾燥体から膨潤体に変化し、これにより生体組織に対し高い接着性を示す。ここで、水分としては、水、水に溶解可能な有機溶媒(エタノール等)、体液(血液、組織液、唾液等)、及びこれらの混合液を含む。本開示のハイドロゲル形成用スポンジは、生体吸収性を有さず、また生理条件下において徐々に分解して可溶化するため、安全性が高く、生体内に留置することも可能である。こうした本開示のハイドロゲル形成用スポンジは、例えば癒着防止材や止血材、創傷被覆材等の各種医療用処置材として特に好適である。
 ハイドロゲル形成用スポンジは、支持体上に保持された状態で提供されてもよく、フィルム等の包装体に包含された状態で提供されてもよい。支持体の形状及び材質は特に限定されないが、例えば、織布(例えばガーゼ)や不織布等の布地;ポリスチレンやポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基材等が挙げられる。
 以下、実施例に基づいて本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例により限定されるものではない。以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
<重合体の製造>
[合成例1]
 内容積1リットルの4つ口フラスコに、メタクリル酸 76.5質量部、メタクリル酸メチル 8.5質量部、ペンタエスリトールトリアリルエーテル 0.4質量部、n-ヘキサン 200質量部、酢酸エチル 200質量部を仕込み、混合液を調製した。この混合液を窒素ガスのバブリングにより十分に脱気し、混合液の内温を60℃に昇温し、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル) 0.06質量部を仕込み、重合を開始した。重合開始点から10時間経過した時点で重合反応液の冷却を開始し、内温が25℃まで低下した後、重合体を含む反応液を得た。この反応液を、減圧条件下、100℃で24時間乾燥処理を行い、揮発分を除去することで、重合体(以下、「重合体A-1」ともいう)を得た。
<ハイドロゲル形成用スポンジの製造及び評価>
 下記の実施例1~5及び比較例1に記載の方法に従い、ハイドロゲル形成用スポンジを製造した。また、得られた各ハイドロゲル形成用スポンジにつき、平均内部孔径、生体組織(皮膚)に対する接着力及び力学的強度を測定した。測定方法の詳細は以下のとおりである。
(平均内部孔径の測定方法)
 カミソリ刃(フェザー社製)を用いてハイドロゲル形成用スポンジを垂直方向に切断し、断面出しを行った。アルミ試験台にカーボンテープを貼り、切り出したスポンジを貼り付けて固定した。電界放射走査型電子顕微鏡(FE-SEM、日本電子社製、製品名「JSM-7900F」)を用い、加速電圧0.5kV、W.D10mm、照射電流6、検出器・二次電子(LED)、真空モード・高真空、観察倍率35倍(LDFモード)、撮影条件CF1(速度2、アベレージング係数10s)にてスポンジの断面を撮影した。得られた画像を画像解析ソフト(三谷商事社製、WinROOF)にて観察し、無作為に選んだ5つのスポンジ孔について細孔径を測定した。この操作を各例につき3個のスポンジで行い、測定した合計15個の細孔径の平均値を、各例のハイドロゲル形成用スポンジの平均内部孔径として算出した。
(生体組織(皮膚)に対する接着力の測定方法)
 疑似皮膚としてプロテインレザー(イデアテックス ジャパン社製、プロテインレザーPBZ13001-BK)を用い、プロテインレザーに対するハイドロゲル形成用スポンジ(25mm×7mm×7mm)の面接着強度を測定した。まず、瞬間接着剤(東亞合成社製、アロンアルフア(登録商標))を用い、50mL遠沈管の蓋に3cm角のプロテインレザーを貼り付けたものを2本作製した。それぞれのプロテインレザーに綿棒で水を適量塗布し、ハイドロゲル形成用スポンジを間に挟み込んだ後、300gの錘を乗せて1分間放置した。錘を取り除いてから1分後に、引張試験機を用いて、25℃、120mm/minの条件で引っ張りを行った際に発生する最大応力(N/cm)を測定した。この測定を各例において5回ずつ実施し、その平均値を生体組織(皮膚)に対する接着力として評価した。
(力学的強度の測定方法)
 ハイドロゲル形成用スポンジ(25mm×7mm×7mm)の上下を引張試験機に固定し、25℃、70mm/minの条件で引っ張りを行った際に発生する最大応力(N/cm)を測定した。この測定を各例において5回ずつ実施し、その平均値を力学的強度として評価した。
[実施例1]
 50mm×50mmのポリプロピレン製の基材上に、25mm×7mmの開口部を有するシリコンゴムシート(厚み10mm)を設置し、1.2%の架橋ポリアクリル酸(Lubrizol社製、Carbopol 934P NF、以下「PAA」ともいう)水溶液1.5mLをキャストして70℃で20時間乾燥させ、PAAのフィルムを作製した。次に、4.6%のポリビニルピロリドン(BASF社製、Kollidon 90F、ポリスチレン換算重量平均分子量32万(ジメチルホルムアミド溶離液)、以下「PVP」ともいう)水溶液0.6mLと0.4%のヒアルロン酸ナトリウム(キューピー社製、ヒアルロンサンHA-LQH、以下「HA」ともいう)水溶液0.9mLとの混合溶液を、PAAのフィルムの表面に滴下し、60分静置した。その後、PAAのフィルムとPVP及びHAの混合液との接触により得られた生成物(すなわちハイドロゲル生成物)の中心部に熱電対を取り付け、中心部の温度(以下、「品温」ともいう)を確認しながら、0℃×0.5h、-4℃×0.5hの順に冷却(予備冷却)処理を行った後、-35℃×1hの条件により凍結処理を行った。過冷却温度は-5℃であった。なお、サンプル凝固時には、凝固熱により品温が急激に上昇することから、品温の急激な上昇が起こる直前の温度を「過冷却温度」として測定した。
 得られた凍結品を室温減圧(5Pa)下で凍結乾燥することにより、ハイドロゲル形成用スポンジ(大きさ:25mm×7mm×7mm)を得た。なお、混合比は、PAA:PVP:HA=1:1.53:0.2(質量比)とした。得られたハイドロゲル形成用スポンジの平均内部孔径は79μm、生体組織に対する接着力は4.6N/cm、力学的強度は6.9N/cmであった。評価結果を表1に示す。
[実施例2及び3]
 冷却及び凍結条件を表1に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ハイドロゲル形成用スポンジを得た。過冷却温度、並びに得られたハイドロゲル形成用スポンジの平均内部孔径、生体組織に対する接着力及び力学的強度を表1に示す。
[実施例4及び5]
 原料の種類を表1に記載したとおりとし、原料の混合比を重合体(A):重合体(B):HA=1:1.53:0.2(質量比)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ハイドロゲル形成用スポンジを得た。過冷却温度、並びに得られたハイドロゲル形成用スポンジの平均内部孔径、生体組織に対する接着力及び力学的強度を表1に示す。
[実施例6]
 原料の種類を表1に記載したとおりとし、原料の混合比を重合体(A):重合体(B)=1:1.53(質量比)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ハイドロゲル形成用スポンジを得た。過冷却温度、並びに得られたハイドロゲル形成用スポンジの平均内部孔径、生体組織に対する接着力及び力学的強度を表1に示す。
[比較例1]
 冷却及び凍結条件につき、予備冷却を行わずに-35℃×1hの条件に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ハイドロゲル形成用スポンジを得た。この条件では、サンプルの冷却処理時に過冷却の状態は確認されず、凝固温度は0℃であった。得られたハイドロゲル形成用スポンジの平均内部孔径、生体組織に対する接着力及び力学的強度を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1に記載の化合物の詳細を以下に示す。
・PAA:架橋ポリアクリル酸(Lubrizol社製、Carbopol 934P NF)
・A-1:合成例1で製造した重合体A-1
・PVP:ポリビニルピロリドン(BASF社製、Kollidon 90F、ポリスチレン換算重量平均分子量=32万(ジメチルホルムアミド溶離液))
・PAAm:ポリアクリルアミド(MTアクアポリマー社製、アコフロックN-100、ポリスチレン換算重量平均分子量=1,700万(ジメチルホルムアミド溶離液))
・HA:ヒアルロン酸ナトリウム(キューピー社製、ヒアルロンサンHA-LQH)
<評価結果>
 表1の結果から明らかなように、実施例1~6のハイドロゲル形成用スポンジは、皮膚に対する接着力がいずれも3.5N/cm以上と高く、また力学的強度についても3.8N/cm以上と高く、使い勝手に優れるものであった。また、0℃以下の予備冷却の処理を2段階に分けて行った実施例1のハイドロゲル形成用スポンジは、0℃以下の予備冷却の処理を1段階で行った実施例2のハイドロゲル形成用スポンジと比べて平均内部孔径がより小さく、皮膚に対する接着力及び力学的強度がいずれも高く、より優れていた。
 これに対し、平均内部孔径が277μmと大きい比較例1のハイドロゲル形成用スポンジは、皮膚に対する接着力及び力学的強度がいずれも低く、実施例1~6のハイドロゲル形成用スポンジよりも劣っていた。
 以上の結果から、カルボキシル基を有する重合体(A)と、官能基Eを有する重合体(B)とを含み、平均内部孔径が150μm以下であるハイドロゲル形成用スポンジは、生体組織に対する接着性及び力学的強度に優れていることが明らかとなった。
 本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。したがって、上記教示に照らして様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範疇や思想範囲に入るものと理解されるべきである。

Claims (10)

  1.  水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジであって、
     カルボキシル基を有する重合体(A)と、
     カルボキシル基と水素結合を形成し得る官能基を有する重合体(B)(ただし、前記重合体(A)を除く)と、
    を含み、
     電界放射走査型電子顕微鏡により測定されるスポンジ内部の平均細孔径が150μm以下である、スポンジ。
  2.  前記重合体(A)は架橋重合体である、請求項1に記載のスポンジ。
  3.  前記重合体(A)はポリ(メタ)アクリル酸である、請求項1又は2に記載のスポンジ。
  4.  前記重合体(B)はアミド基を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のスポンジ。
  5.  前記重合体(B)は、ポリビニルピロリドン及びポリ(メタ)アクリルアミドよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか一項に記載のスポンジ。
  6.  前記重合体(B)の重量平均分子量が1万以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のスポンジ。
  7.  医療用処置材として用いられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のスポンジ。
  8.  水分との接触によりハイドロゲルを形成するスポンジの製造方法であって、
     カルボキシル基を有する重合体(A)、及びカルボキシル基と水素結合を形成し得る官能基を有する重合体(B)(ただし、前記重合体(A)を除く)のうち一方の重合体を含むフィルム状固形物を得る工程と、
     前記フィルム状固形物と、前記重合体(A)及び前記重合体(B)のうち他方の重合体を含む重合体溶液とを接触させる工程と、
     前記フィルム状固形物と前記重合体溶液とを接触させることにより得られた生成物を過冷却の状態にした後、凍結させる工程と、
     前記生成物の凍結物を乾燥させる工程と、
    を含む、スポンジの製造方法。
  9.  前記凍結させる工程は、
     前記生成物を0℃以下-10℃以上の温度で冷却する第1冷却工程と、
     前記第1冷却工程後の前記生成物を-10℃よりも低い温度で冷却する第2冷却工程と、
    を含む、請求項8に記載のスポンジの製造方法。
  10.  前記第1冷却工程は、
     第1温度で冷却する工程と、
     前記第1温度よりも低温の第2温度で冷却する工程と、
    を含む、請求項9に記載のスポンジの製造方法。
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