WO2023021935A1

WO2023021935A1 - カテーテル用バルーン

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Publication number: WO2023021935A1
Application number: PCT/JP2022/028565
Authority: WO
Inventors: 光正岡本; 拓馬宮村; 静也吉永; 彰真近藤; 修平山本; 祐太中村
Original assignee: 株式会社グッドマン
Priority date: 2021-08-16
Filing date: 2022-07-25
Publication date: 2023-02-23
Also published as: JPWO2023021935A1; US20240181225A1; CN117042831A; EP4389187A1

Abstract

バルーンカテーテル（１Ａ）は、延伸方向に延びる筒状を有する膨張部（３Ｂ）と、膨張部（３Ｂ）の先端部（３０Ｄ）から膨張部（３Ｂ）と反対側に延びる先端連結部（３Ａ）と、膨張部（３Ｂ）の基端部（３０Ｐ）から、膨張部（３Ｂ）と反対側に延びる基端連結部（３Ｃ）とを備える。バルーン（３）は、それぞれの厚さが異なる内側厚膜部（４Ａ）及び薄膜部（４０）を有する。内側厚膜部（４Ａ）の方が薄膜部（４０）よりも厚さが大きい。膨張部（３Ｂ）の中心を通って延伸方向に延びる中心軸（Ｃ１）から外面（３０２）までの径方向の距離である外径は、薄膜部（４０）と内側厚膜部（４Ａ）とで同一となる。中心軸（Ｃ１）から内面（３０１）までの径方向の距離である内径は、薄膜部（４０）よりも内側厚膜部（４Ａ）の方が小さい。

Description

カテーテル用バルーン

　本発明は、カテーテル用バルーンに関する。

　バルーンカテーテルにおいて、バルーンの高耐圧化が要求されており、バルーンを高耐圧化する為の方法が各種提案されている。例えば、特許文献１に記載のバルーンカテーテルでは、ベースバルーンの外側面に補強部を設けることにより、ベースバルーンを強高度化し、ベースバルーンの加圧時における過拡張を抑制する。

特許第６２５９５６０号公報

　バルーンが外部に厚みを有する構造を有する場合、血管内でのバルーンの通過性が低下するという問題点がある。又、ステントを血管内に貯留する為にバルーンが用いられる場合、バルーンの外部に設けられた厚みにより、バルーンがステントに引っ掛り易くなる。この場合、血管内に留置されたステントをバルーンが通過するときの通過性が低下したり、バルーンによるステントの拡張後にステントからバルーンを脱離し難くなったりする可能性があるという問題点がある。

　本発明の目的は、高耐圧化を実現しつつ、血管内での通過性を維持できるカテーテル用バルーンを提供することである。

　本発明に係るカテーテル用バルーンは、延伸方向に延びる筒状を有する膨張部と、前記膨張部の前記延伸方向における一方側の端部である第１先端部から、前記膨張部と反対側に延びる部分であって、前記膨張部に接続する端部の径が、前記膨張部に接続する端部と反対側の端部である第２先端部の径よりも大きい先端連結部と、前記膨張部の前記延伸方向における他方側の端部である第１基端部から、前記膨張部と反対側に延びる部分であって、前記膨張部に接続する端部の径が、前記膨張部に接続する端部と反対側の端部である第２基端部の径よりも大きい基端連結部と、を備えたカテーテル用バルーンであって、それぞれの厚さが異なる内側厚膜部及び薄膜部を有し、前記内側厚膜部の方が前記薄膜部よりも厚さが大きく、前記内側厚膜部における内面は、前記薄膜部における内面よりも、前記膨張部の中心を通って前記延伸方向に延びる中心軸を中心とした径方向の内側に向けて突出し、前記内側厚膜部における外面は、前記薄膜部における外面に対し、前記径方向の外側に向けて突出しないことを特徴とする。

　カテーテル用バルーンは、急激な膨張を内側厚膜部により抑制できるので、高耐圧化が可能となる。内側厚膜部における外面は、薄膜部における外面よりも径方向の外側に突出しない。このため、カテーテル用バルーンは、血管内での通過性を良好に維持できる。

　本発明において、前記中心軸から外面までの前記径方向の距離である外径は、前記薄膜部と前記内側厚膜部とで同一となり、前記中心軸から内面までの前記径方向の距離である内径は、前記薄膜部よりも前記内側厚膜部の方が小さくてもよい。カテーテル用バルーンの外径は、内側厚膜部と薄膜部とで同一となり、厚さが大きい内側厚膜部でも外方に突出しない。このため、カテーテル用バルーンは、血管内の通過性を更に良好に維持できる。

　本発明において、前記内側厚膜部は、前記延伸方向に沿って延びてもよい。カテーテル用バルーンは、収縮時及び膨張時において延伸方向に急激に伸縮することを、内側厚膜部により抑制できる。このため、カテーテル用バルーンは、延伸方向の伸長に応じて径方向に急激に広がることを抑制できるので、高耐圧化が可能となる。

　本発明において、前記膨張部に前記内側厚膜部が設けられ、前記内側厚膜部は、前記延伸方向に沿って前記第１先端部から前記第１基端部に亘って延びてもよい。カテーテル用バルーンは、収縮時及び拡張時において延伸方向に急激に伸縮することを、膨張部の全域に亘って抑制できる。

　本発明において、前記膨張部に、前記薄膜部よりも厚さが大きい外側厚膜部と、前記内側厚膜部とが設けられ、前記内径は、前記薄膜部と前記外側厚膜部とで同一となり、前記外径は、前記薄膜部よりも前記外側厚膜部の方が大きく、前記内側厚膜部と前記外側厚膜部とは、前記延伸方向に並び、且つ、前記内側厚膜部は前記外側厚膜部よりも前記第１先端部に近接し、前記外側厚膜部は前記内側厚膜部よりも前記第１基端部に近接してもよい。カテーテル用バルーンは、膨張部の先端側に外側厚膜部を有さない。このため、膨張部の延伸方向の全域に亘って外側厚膜部を有する場合と比べて、カテーテル用バルーンは、延伸方向に伸び切った状態で保持され難い。このため例えば、ステントが留置された血管内にバルーンを挿入する段階で、外側厚膜部がステントに引っかかった場合でも、カテーテル用バルーンが延伸方向に伸び切った状態で保持されことを抑制できる。従って、カテーテル用バルーンからステントに不要な力が加わることを抑制できる。

　本発明において、前記膨張部、前記先端連結部、及び前記基端連結部に前記内側厚膜部が設けられ、前記内側厚膜部は、前記延伸方向に沿って前記第２先端部から前記第２基端部に亘って延びてもよい。カテーテル用バルーンは、収縮時及び拡張時において延伸方向に急激に伸縮することを、膨張部、先端連結部、及び基端連結部の全域に亘って抑制できる。

　本発明において、前記先端連結部の前記内側厚膜部の厚さは、前記膨張部の前記第１先端部と連結する部分から前記第２先端部に向けて薄くなり、前記基端連結部の前記内側厚膜部の厚さは、前記膨張部の前記第１基端部と連結する部分から前記第２基端部に向けて薄くなってもよい。カテーテル用バルーンは、先端連結部の第２先端部、及び、基端連結部の第２基端部を柔らかくできるので、これらの部分がステントや硬い病変等に接触した場合において、カテーテル用バルーンが延伸方向に伸び切った状態で保持されることを抑制できる。

　本発明において、前記内側厚膜部に少なくとも１つのスリットが設けられていてもよい。カテーテル用バルーンは、スリットにより内側厚膜部を容易に曲折させることができるので、蛇行した血管内でも良好に変形可能となる。このため、血管に対してカテーテル用バルーンを良好に追従させることができる。

　本発明において、前記延伸方向に配列した複数のスリットが設けられ、前記複数のスリットの各々の前記延伸方向の間隔は、前記第２先端部に近接する程狭くなってもよい。カテーテル用バルーンは、複数のスリットの間隔が狭い先端側程、曲がり易くなる。この場合、蛇行した血管等にカテーテル用バルーンが進入する場合において、カテーテル用バルーンは血管に追従し易くなる。従ってユーザは、目的とする部位までカテーテル用バルーンを適切に到達させることができる。一方、カテーテル用バルーンは、複数のスリットの間隔が広い基端側程、剛性が大きくなる。この場合、カテーテル用バルーンが血管の病変部に与える応力を大きくできるので、治療効率を向上させることができる。

　本発明において、前記延伸方向に配列した複数のスリットが設けられ、前記複数のスリットの各々の深さは、前記第２先端部に近接する程深くなってもよい。カテーテル用バルーンは、複数のスリットの深さが深い先端側程、曲がり易くなる。この場合、蛇行した血管等にカテーテル用バルーンが進入する場合において、カテーテル用バルーンは血管に追従し易くなる。従ってユーザは、目的とする部位までカテーテル用バルーンを適切に到達させることができる。一方、カテーテル用バルーンは、複数のスリットの深さが浅い基端側程、剛性が大きくなる。この場合、カテーテル用バルーンが血管の病変部に与える応力を大きくできるので、治療効率を向上させることができる。

　本発明において、前記内側厚膜部は、前記中心軸を中心とした周方向に沿って延びる環状であってもよい。カテーテル用バルーンは、薄膜部の厚さが薄い場合でも、高耐圧性を維持できる。又、カテーテル用バルーンは、延伸方向と交差する方向に屈曲する場合の柔軟性を向上させることができる。

　本発明において、前記内側厚膜部は、前記中心軸を中心とした周方向に沿って延びる螺旋状であり、前記第１先端部と前記第１基端部との間に亘って設けられてもよい。カテーテル用バルーンは、膨張部の延伸方向に亘って継ぎ目なく内側厚膜部を配置させることができるので、膨張部の延伸方向に亘って高耐圧性を維持できる。又、カテーテル用バルーンの柔軟性を向上させることができる。

　本発明において、前記内側厚膜部は、前記第２先端部と前記第２基端部との間に亘って設けられてもよい。カテーテル用バルーンは、第２先端部と第２基端部との間に亘る全域で、継ぎ目なく内側厚膜部を配置させることができるので、延伸方向のより広い範囲で高耐圧性を維持できる。

　本発明において、前記内側厚膜部に少なくとも１つのスリットが設けられてもよい。カテーテル用バルーンは、スリットにより内側厚膜部を曲折させることができるので、蛇行した血管内でも良好に変形可能となる。このため、血管に対してカテーテル用バルーンを良好に追従させることができる。

　本発明において、前記内側厚膜部の延びる方向に配列した複数のスリットが設けられ、前記延伸方向から視た場合において、前記複数のスリットの各々が、他のスリットの少なくとも１つと重なる位置に配置されてもよい。カテーテル用バルーンは、周方向において屈曲性の高い部分と屈曲性の低い部分を設けることができる。この場合、蛇行した血管等にカテーテル用バルーンが進入する場合において、カテーテル用バルーンは血管に追従し易くなる。従ってユーザは、目的とする部位までカテーテル用バルーンを適切に到達させることができる。

バルーンカテーテル１Ａを示す図、及び、バルーンカテーテル１Ａを延伸方向と直交する平面で切断した断面図である。バルーンカテーテル１Ｂを示す図、及び、バルーンカテーテル１Ｂを延伸方向と直交する平面で切断した断面図である。バルーンカテーテル１Ｃを示す図、及び、バルーンカテーテル１Ｃを延伸方向と平行な平面で切断した断面図である。バルーンカテーテル１Ｄを示す図、及び、バルーンカテーテル１Ｄを延伸方向と平行な平面で切断した断面図である。バルーンカテーテル１Ｅを示す図、及び、バルーンカテーテル１Ｅを延伸方向と直交する平面で切断した断面図である。バルーンカテーテル１Ｆを示す図、及び、バルーンカテーテル１Ｆを延伸方向と平行な平面で切断した断面図である。バルーンカテーテル１Ｇを示す図、及び、バルーンカテーテル１Ｇを延伸方向と直交する平面で切断した断面図である。

　本発明に係るバルーンカテーテル１の実施形態（１Ａ～１Ｇ）について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。バルーンカテーテル１は、血管に形成された狭窄性の病変を、バルーン３により拡張したり、血管内でステントを拡張させたりできる。

＜第１実施形態（バルーンカテーテル１Ａ）＞
　図１を参照し、バルーンカテーテル１Ａについて説明する。バルーンカテーテル１Ａは、カテーテルシャフト２及びバルーン３を有する。

＜カテーテルシャフト２＞
　バルーン３は、管状のカテーテルシャフト２の一方側の端部に接続される。バルーンカテーテル１Ａは、カテーテルシャフト２の他方側の端部に非図示のハブが接続された状態で使用される。ハブは、カテーテルシャフト２を介してバルーン３に圧縮流体を供給可能である。

　以下、カテーテルシャフト２の両端のうち一方側を、「先端側」という。カテーテルシャフト２の両端のうち他方側を、「基端側」という。カテーテルシャフト２に沿って延びる方向を、「延伸方向」という。カテーテルシャフト２の中心を通って延伸方向に延びる軸を、中心軸Ｃ１という。中心軸Ｃ１と直交する平面において切断した場合の断面（以下、単に「断面」という。）において、中心軸Ｃ１を中心とする半径方向のうち、中心軸Ｃ１に近接する側を「内側」といい、中心軸Ｃ１から離隔する側を「外側」という。

　カテーテルシャフト２は、外側チューブ２１及び内側チューブ２２を有する。外側チューブ２１及び内側チューブ２２は、それぞれ可撓性を有する。外側チューブ２１の内径は、内側チューブ２２の外径よりも大きい。内側チューブ２２は、先端側の所定部分を除き、外側チューブ２１の内腔に配置される。内側チューブ２２の先端側の所定部分は、外側チューブ２１の先端側の端（以下、「先端２１１」という。）から先端側に向けて突出する。内側チューブ２２の先端側の端（以下、「先端２２１」という。）は、外側チューブ２１の先端２１１よりも先端側に配置される。以下、内側チューブ２２の先端側の所定部分を、「突出部分２２５」という。外側チューブ２１及び内側チューブ２２の材料は特に限定されないが、一例としてポリアミド系樹脂が用いられる。

　外側チューブ２１の内腔のうち、内側チューブ２２の内腔以外の空間には、ハブから供給される圧縮流体が通流する。内側チューブ２２の内腔には、非図示のガイドワイヤが挿通される。

＜バルーン３＞
　バルーン３は、非図示のハブによる圧縮流体の供給の有無に応じて内圧が変化することにより、収縮状態と膨張状態との間で変形可能である。図１は、膨張状態のバルーン３を示す。バルーン３は、先端側の端部（以下、「先端部３Ｄ」という。）が、内側チューブ２２の突出部分２２５のうち先端２２１の近傍に熱溶着によって接続される。又、バルーン３は、基端側の端部（以下、「基端部３Ｐ」という。）が、外側チューブ２１の先端２１１の近傍に熱溶着によって接続される。バルーン３は、内側チューブ２２の突出部分２２５を外側から覆う。バルーン３の材料は特に限定されないが、一例としてポリアミド系樹脂が用いられる。

　バルーン３において、先端連結部３Ａ、膨張部３Ｂ、及び基端連結部３Ｃが定義される。先端連結部３Ａは、膨張状態のバルーン３において先端部３Ｄから基端部３Ｐに向けて拡径しながら延びる領域である。基端連結部３Ｃは、膨張状態のバルーン３において基端部３Ｐから先端部３Ｄに向けて拡径しながら延びる領域である。膨張部３Ｂは、膨張状態のバルーン３において先端連結部３Ａと基端連結部３Ｃとの間に挟まれた領域であり、延伸方向に亘って径が略同一となる。膨張状態において、膨張部３Ｂは延伸方向に延びる筒状となる。バルーン３は、内面３０１及び外面３０２を有する。中心軸Ｃ１と内面３０１との間の半径方向の距離を、内径Ｒｉ（ｎ）（ｎは整数）という。中心軸Ｃ１と外面３０２との間の半径方向の距離を、外径Ｒｏ（ｎ）という。

　膨張部３Ｂの先端側の端部を「先端部３０Ｄ」といい、基端側の端部を「基端部３０Ｐ」という。先端連結部３Ａは、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと連結する端部から先端部３Ｄに向けて、先端側に延びる。先端連結部３Ａの断面の直径は、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと連結する端部において最も大きく、先端部３Ｄにおいて最も小さくなる。基端連結部３Ｃは、膨張部３Ｂの基端部３０Ｐと連結する端部から基端部３Ｐに向けて、基端側に延びる。基端連結部３Ｃの断面の直径は、膨張部３Ｂの基端部３０Ｐと連結する端部において最も大きく、基端部３Ｐにおいて最も小さくなる。

　膨張部３Ｂは、内側厚膜部４１、４２、４３（以下、夫々を区別しない場合、「内側厚膜部４Ａ」という。）及び薄膜部４０を有する。内側厚膜部４Ａと薄膜部４０とでは、厚さが相違する。内側厚膜部４Ａの厚さの方が、薄膜部４０の厚さよりも大きい。膨張部３Ｂの外径Ｒｏ（１）は、内側厚膜部４Ａと薄膜部４０とで同一である。このため膨張部３Ｂの外面３０２は凹凸のない滑らかな状態となる。一方、膨張部３Ｂの内径Ｒｉ（ｎ）は、内側厚膜部４Ａと薄膜部４０とで相違する。内側厚膜部４Ａにおける内径Ｒｉ（１）は、薄膜部４０における内径Ｒｉ（２）よりも小さい。このため、膨張部３Ｂの内面３０１は、内側厚膜部４Ａにおいて内側に向けて突出する。以下、この部分を「突出部３００」という。突出部３００は、中心軸Ｃ１に向けて凸状に湾曲する。

　内側厚膜部４Ａは、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄから基端部３０Ｐに亘って、延伸方向に沿って延びる。内側厚膜部４１、４２、４３は、中心軸Ｃ１を中心とした周方向に等間隔に配置される。内側厚膜部４Ａにおける内径Ｒｉ（１）は、先端部３０Ｄから基端部３０Ｐに亘って均一である。つまり、内側厚膜部４Ａにおいて内面３０１に形成される突出部３００の中心軸Ｃ１に向けた突出量は、先端部３０Ｄから基端部３０Ｐに亘って均一である。

　薄膜部４０は、周方向における内側厚膜部４１、４２の間、内側厚膜部４２、４３の間、及び、内側厚膜部４３、４１の間に配置される。

＜第１実施形態の作用、効果＞
　バルーンカテーテル１Ａにおいて、バルーン３の膨張部３Ｂの厚さは、内側厚膜部４Ａの方が薄膜部４０よりも大きい。このため、バルーン３は、急激な膨張を内側厚膜部４Ａにより抑制できるので、高耐圧化が可能となる。バルーン３の外径Ｒｏ（１）は、内側厚膜部４Ａと薄膜部４０とで同一となり、厚さが大きい内側厚膜部４Ａでも外側に突出しない。このため、バルーンカテーテル１Ａは、血管内におけるバルーン３の通過性を良好に維持できる。

　膨張部３Ｂに設けられる内側厚膜部４Ａは、収縮時及び膨張時においてバルーン３が延伸方向に急激に伸縮することを抑制できる。このため、バルーンカテーテル１Ａは、バルーン３の延伸方向の伸長に応じて先端連結部３Ａ、膨張部３Ｂ、基端連結部３Ｃが径方向に急激に広がることを抑制できるので、高耐圧化が可能となる。

　内側厚膜部４Ａは、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと基端部３０Ｐとの間に亘って延伸方向に沿って延びる。従って、バルーンカテーテル１Ａは、収縮時及び拡張時においてバルーン３が延伸方向に急激に伸縮することを、膨張部３Ｂの全域に亘って抑制できる。又、バルーンカテーテル１Ａは、特に膨張部３Ｂにおいて膨張時のバルーン３の径の増加を抑制することにより、正常な状態の血管に与えるストレスを軽減できる。更に、バルーンカテーテル１Ａは、バルーン３の膨張部３Ｂの耐久性を向上させることができる。

＜第１実施形態の特記事項＞
　バルーン３の膨張部３Ｂは筒状に限定されない。膨張部３Ｂの径は、延伸方向に亘って変化してもよい。膨張部３Ｂの断面形状は円形に限定されず、楕円形や多角形でもよい。この場合、膨張部３Ｂの外径Ｒｏ（１）は、内側厚膜部４Ａと薄膜部４０とで同一とならなくてもよい。

　内側厚膜部４Ａの形状は、上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。延伸方向に延びる内側厚膜部４Ａの数は３つに限定されず、１、２、４以上でもよい。内側厚膜部４Ａは、膨張部３Ｂのうち先端部３０Ｄと基端部３０Ｐとの間に亘って設けられていなくてもよい。例えば内側厚膜部４Ａは、延伸方向の一部で分断されていてもよい。

　内側厚膜部４Ａの内面３０１に形成される突出部３００のうち、中心軸Ｃ１に近接する先端部は尖っていてもよいし、平滑でもよい。内側厚膜部４Ａの厚さは、先端部３０Ｄに近接する程小さくなってもよい。内側厚膜部４Ａの厚さは、基端部３０Ｐに近接する程小さくなってもよい。

＜第２実施形態（バルーンカテーテル１Ｂ）＞
　図２を参照し、バルーンカテーテル１Ｂについて説明する。バルーンカテーテル１Ｂは、バルーン３の膨張部３Ｂだけでなく、先端連結部３Ａ及び基端連結部３Ｃにも内側厚膜部４Ｂが設けられる点で、バルーンカテーテル１Ａと相違する。

　先端連結部３Ａ、膨張部３Ｂ、及び基端連結部３Ｃは、内側厚膜部４４、４５、４６（以下、夫々を区別しない場合、「内側厚膜部４Ｂ」という。）及び薄膜部４０を有する。内側厚膜部４Ｂは、先端連結部３Ａの先端部３Ｄから、基端連結部３Ｃの基端部３Ｐに亘って、延伸方向に沿って延びる。膨張部３Ｂにおける内側厚膜部４Ｂの厚さは、先端部３０Ｄから基端部３０Ｐに亘って均一である。このため、内側厚膜部４Ｂの内径Ｒｉ（１）は、先端部３０Ｄから基端部３０Ｐに亘って均一となる。つまり、内側厚膜部４Ｂの内面３０１に形成される突出部３００の内側に向けた突出量は、先端部３０Ｄから基端部３０Ｐに亘って均一である。

　一方、先端連結部３Ａにおける内側厚膜部４Ｂの厚さは、先端連結部３Ａのうち膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと連結する部分から先端部３Ｄに向けて、次第に薄くなる。つまり、内側厚膜部４Ｂの内面３０１に形成される突出部３００の内側に向けた突出量は、先端部３０Ｄから先端部３Ｄに向けて、次第に小さくなる。

　又、基端連結部３Ｃにおける内側厚膜部４Ｂの厚さは、基端連結部３Ｃのうち膨張部３Ｂの基端部３０Ｐと連結する部分から基端部３Ｐに向けて、次第に薄くなる。つまり、内側厚膜部４Ｂの内面３０１に形成される突出部３００の中心軸Ｃ１に向けた突出量は、基端部３０Ｐから基端部３Ｐに向けて、次第に小さくなる。

＜第２実施形態の作用、効果＞
　バルーンカテーテル１Ｂでは、バルーン３のうち先端連結部３Ａの先端部３Ｄから基端連結部３Ｃの基端部３Ｐに亘って内側厚膜部４Ｂが設けられる。この場合、バルーンカテーテル１Ｂは、収縮時及び拡張時において延伸方向に急激に伸縮することを、膨張部３Ｂの全域だけでなく先端連結部３Ａ及び基端連結部３Ｃの全域に亘って抑制できる。

　先端連結部３Ａの内側厚膜部４Ｂの厚さは、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと連結する部分から先端部３Ｄに向けて次第に薄くなる。基端連結部３Ｃの内側厚膜部４Ｂの厚さは、膨張部３Ｂの基端部３０Ｐと連結する部分から基端部３Ｐに向けて次第に薄くなる。この場合、バルーンカテーテル１Ｂは、バルーン３のうち先端連結部３Ａの先端部３Ｄ、及び、基端連結部３Ｃの基端部３Ｐを柔らかくできる。従って、これらの部分がステントや硬い病変等に接触した場合において、バルーン３が延伸方向に伸び切った状態で保持されることを抑制できる。従って、ステントや硬い病変等に対してバルーン３から不要な力が作用することを抑制できる。

＜第２実施形態の特記事項＞
　バルーン３は、先端連結部３Ａにのみ内側厚膜部４Ｂを有し、基端連結部３Ｃに内側厚膜部４Ｂを有さなくてもよい。バルーン３は、基端連結部３Ｃにのみ内側厚膜部４Ｂを有し、先端連結部３Ａに内側厚膜部４Ｂを有さなくてもよい。先端連結部３Ａの内側厚膜部４Ｂの厚さは、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと連結する部分から先端部３Ｄに亘って均一であってもよい。基端連結部３Ｃの内側厚膜部４Ｂの厚さは、膨張部３Ｂの基端部３０Ｐと連結する部分から基端部３Ｐに亘って均一であってもよい。

＜第３実施形態（バルーンカテーテル１Ｃ）＞
　図３を参照し、バルーンカテーテル１Ｃについて説明する。バルーンカテーテル１Ｃは、内側厚膜部４Ａ（図１参照）と異なる形状の内側厚膜部４Ｃを膨張部３Ｂに有するという点で、バルーンカテーテル１Ａと相違する。

　膨張部３Ｂは、内側厚膜部５１、５２、５３、５４（以下、夫々を区別しない場合、「内側厚膜部４Ｃ」という。）及び薄膜部４０を有する。内側厚膜部４Ｃは、中心軸Ｃ１を中心とした周方向に沿って環状に延びる。内側厚膜部５１、５２、５３、５４は、延伸方向に等間隔に並ぶ。内側厚膜部５１、５２、５３、５４の厚さは、周方向に亘って均一である。このため、内側厚膜部４Ｃの内径Ｒｉ（１）は、周方向に亘って均一となる。つまり、内側厚膜部４Ｃの内面３０１に形成される突出部３００の中心軸Ｃ１に向けた突出量は、周方向に亘って均一である。

＜第３実施形態の作用、効果＞
　バルーンカテーテル１Ｃの内側厚膜部４Ｃは環状に延びるので、薄膜部４０の厚さが薄い場合でも、膨張部３Ｂの周方向の全域でバルーン３の高耐圧性を維持できる。又、バルーンカテーテル１Ｃは、バルーン３が延伸方向と交差する方向に屈曲する場合の柔軟性を向上させることができる。

＜第３実施形態の特記事項＞
　内側厚膜部４Ｃの数は上記実施形態に限定されず、１～３、５以上でもよい。内側厚膜部４Ｃの周方向の一部は分断されていてもよい。内側厚膜部５１～５４の厚さは夫々異なっていてもよい。例えば内側厚膜部５１～５４の厚さは、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄに近接する程薄くなってもよい。内側厚膜部５１～５４の夫々の周方向の厚さは均一でなくてもよい。内側厚膜部５１～５４を連結する内側厚膜部（例えば、第１実施形態における内側厚膜部４Ａ）が、延伸方向に延びてもよい。環状の内側厚膜部４Ｃは、先端連結部３Ａ及び基端連結部３Ｃにも設けられてもよい。

＜第４実施形態（バルーンカテーテル１Ｄ）＞
　図４を参照し、バルーンカテーテル１Ｄについて説明する。バルーンカテーテル１Ｄは、内側厚膜部４Ｂ（図２参照）と異なる形状の内側厚膜部４Ｄを、先端連結部３Ａ、膨張部３Ｂ、及び基端連結部３Ｃに有するという点で、バルーンカテーテル１Ｂと相違する。

　先端連結部３Ａ、膨張部３Ｂ、及び基端連結部３Ｃは、内側厚膜部４Ｄ及び薄膜部４０を有する。内側厚膜部４Ｄは、中心軸Ｃ１を中心とした周方向に沿って螺旋状に延びる。内側厚膜部４Ｄは、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと基端部３０Ｐとの間、先端連結部３Ａのうち膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと連結する部分と先端部３Ｄとの間、及び、基端連結部３Ｃのうち膨張部３Ｂの基端部３０Ｐと連結する部分と基端部３Ｐとの間に亘って設けられる。つまり、内側厚膜部４Ｄは、先端連結部３Ａの先端部３Ｄと基端連結部３Ｃの基端部３Ｐとの間に亘って螺旋状に延びる。

　内側厚膜部４Ｄの厚さは、先端部３Ｄから基端部３Ｐに亘る全域で均一である。このため、内側厚膜部４Ｄの内径Ｒｉ（１）は、先端部３Ｄから基端部３Ｐに亘る全域で均一となる。又、内側厚膜部４Ｄの螺旋ピッチは、先端部３Ｄから基端部３Ｐに亘る全域で均一である。

＜第４実施形態の作用、効果＞
　バルーンカテーテル１Ｄは、膨張部３Ｂに螺旋状の内側厚膜部４Ｄを有する。従って、バルーンカテーテル１Ｄは、膨張部３Ｂの延伸方向に亘って継ぎ目なく内側厚膜部４Ｄを配置させることができる。このため、バルーンカテーテル１Ｄは、膨張部３Ｂの延伸方向に亘ってバルーン３の高耐圧性を維持できる。又、バルーンカテーテル１Ｄは、バルーン３の膨張部３Ｂが延伸方向と交差する方向に屈曲する場合の柔軟性を向上させることができる。

　バルーンカテーテル１Ｄは更に、先端連結部３Ａ及び基端連結部３Ｃにも螺旋状の内側厚膜部４Ｄを有する。このため、内側厚膜部４Ｄは、先端連結部３Ａの先端部３０Ｄと、基端連結部３Ｃの基端部３Ｐとの間に亘って延びる。この場合、バルーンカテーテル１Ｄは、バルーン３のうち先端部３Ｄと基端部３Ｐとの間に亘る延伸方向の全域で、継ぎ目なく内側厚膜部４Ｄを配置させることができる。従って、バルーンカテーテル１Ｄは、延伸方向のより広い範囲でバルーン３の高耐圧性を維持できる。

＜第４実施形態の特記事項＞
　内側厚膜部４Ｄは、膨張部３Ｂにのみ設けられ、先端連結部３Ａ及び基端連結部３Ｃには設けられなくてもよい。内側厚膜部４Ｄの厚さは均一でなくてもよい。例えば、内側厚膜部４Ｄの厚さは、先端部３０Ｄ又は基端部３０Ｐに近接する程小さくなってもよい。内側厚膜部４Ｄの螺旋ピッチは均一でなくてもよい。例えば内側厚膜部４Ｄの螺旋ピッチは、先端部３０Ｄ又は基端部３０Ｐに近接する程小さくなってもよい。

＜第５実施形態（バルーンカテーテル１Ｅ）＞
　図５を参照し、バルーンカテーテル１Ｅについて説明する。バルーンカテーテル１Ｅは、内側厚膜部４Ａ（図１参照）の代わりに内側厚膜部４Ｅ及び外側厚膜部６Ｅを膨張部３Ｂに有するという点で、バルーンカテーテル１Ａと相違する。以下、バルーン３の膨張部３Ｂの延伸方向の中央の位置を、「中央位置Ｐｃ」という。

　膨張部３Ｂは、内側厚膜部６１、６２、６３（以下、夫々を区別しない場合、「内側厚膜部４Ｅ」という。）、外側厚膜部６４、６５、６６（以下、夫々を区別しない場合、「外側厚膜部６Ｅ」という。）、及び薄膜部４０を有する。

　内側厚膜部６１、６２、６３は、中心軸Ｃ１を中心とした周方向に等間隔に配置される。内側厚膜部４Ｅは、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと中央位置Ｐｃとの間に亘って、延伸方向に沿って延びる。つまり、内側厚膜部４Ｅは、中央位置Ｐｃよりも先端部３０Ｄに近接する位置に配置される。膨張部３Ｂのうち、中央位置Ｐｃよりも先端部３０Ｄに近接する部分の外径Ｒｏ（１）は、内側厚膜部４Ｅと薄膜部４０とで同一である。このため、この部分の外面３０２は凹凸のない滑らかな状態となる。一方、膨張部３Ｂのうち、中央位置Ｐｃよりも先端部３０Ｄに近い側の部分の内径Ｒｉ（ｎ）は、内側厚膜部４Ｅと薄膜部４０とで相違する。内側厚膜部４Ｅにおける内径Ｒｉ（１）は、薄膜部４０における内径Ｒｉ（２）よりも小さい。このため、この部分の内面３０１は、内側厚膜部４Ｅにおいて内側に向けて突出し、突出部３００が形成される。

　内側厚膜部４Ｅの厚さは、先端部３０Ｄから中央位置Ｐｃに亘って均一である。このため、内側厚膜部４Ｅにおける内径Ｒｉ（１）は、先端部３０Ｄから中央位置Ｐｃに亘って均一となる。つまり、内側厚膜部４Ｅの内面３０１に形成される突出部３００の中心軸Ｃ１に向けた突出量は、先端部３０Ｄから中央位置Ｐｃに亘って均一である。

　外側厚膜部６Ｅは、厚さが薄膜部４０と相違し、内側厚膜部４Ｅと一致する。外側厚膜部６Ｅの厚さの方が、薄膜部４０の厚さよりも大きい。外側厚膜部６４、６５、６６は、中心軸Ｃ１を中心とした周方向に等間隔に配置される。

　外側厚膜部６Ｅは、中央位置Ｐｃよりも基端部３０Ｐに近接する位置に配置される。膨張部３Ｂのうち、中央位置Ｐｃよりも基端部３０Ｐに近接する部分の内径Ｒｉ（２）は、外側厚膜部６Ｅと薄膜部４０とで同一である。このため、この部分の内面３０１は、凹凸のない滑らかな状態となる。一方、膨張部３Ｂのうち、中央位置Ｐｃよりも基端部３０Ｐに近接する部分の外径Ｒｏ（ｎ）は、外側厚膜部６Ｅと薄膜部４０とで相違する。外側厚膜部６Ｅの外径Ｒｏ（２）は、薄膜部４０における外径Ｒｏ（１）よりも大きい。このため、この部分の外面３０２は、外側厚膜部６Ｅにおいて外側に向けて突出する。以下、この部分を「突出部６００」という。外側厚膜部６Ｅは、膨張部３Ｂの中央位置Ｐｃと基端部３０Ｐとの間に亘って、延伸方向に沿って延びる。

　外側厚膜部６Ｅの厚さは、中央位置Ｐｃから基端部３０Ｐに亘って均一である。このため、外側厚膜部６Ｅの外径Ｒｏ（２）は、中央位置Ｐｃから基端部３０Ｐに亘って均一となる。つまり、外側厚膜部６Ｅにおいて外面３０２に形成される突出部６００の外側に向けた突出量は、中央位置Ｐｃから基端部３０Ｐに亘って均一である。

＜第５実施形態の作用、効果＞
　バルーンカテーテル１Ｅのバルーン３は、中央位置Ｐｃよりも先端部３０Ｄに近接する位置に内側厚膜部４Ｅが設けられ、中央位置Ｐｃよりも基端部３０Ｐに近接する位置に外側厚膜部６Ｅが設けられる。バルーン３の膨張部３Ｂのうち先端部３０Ｄに近接する位置に外側厚膜部６Ｅが設けられない。このため、膨張部３Ｂの延伸方向の全域に亘って外側厚膜部６Ｅが設けられる場合と比べて、バルーン３は延伸方向に伸び切った状態で保持され難い。このため例えば、ステントが留置された血管内にバルーン３を挿入する段階で、外側厚膜部６Ｅがステントに引っかかった場合でも、バルーン３が延伸方向に伸び切った状態で保持されることを抑制できる。従って、バルーンカテーテル１Ｅは、バルーン３からステントに不要な力が作用することを抑制できる。又、バルーンカテーテル１Ｅは、バルーン３の拡張時において外側厚膜部６Ｅを血管内の病変に作用させることができる。

＜第５実施形態の特記事項＞
　内側厚膜部４Ｅと外側厚膜部６Ｅとの境界部分は、中央位置Ｐｃに限定されない。例えば、膨張部３Ｂを延伸方向に３等分する２つの等分線のうち、先端部３０Ｄに近接する等分線の位置に、内側厚膜部４Ｅと外側厚膜部６Ｅとの境界部分が位置してもよい。又、例えば、膨張部３Ｂを延伸方向に３等分する２つの等分線のうち、基端部３０Ｐに近接する等分線の位置に、内側厚膜部４Ｅと外側厚膜部６Ｅとの境界部分が位置してもよい。

　内側厚膜部４Ｅは、先端連結部３Ａにも設けられてもよい。この場合、内側厚膜部４Ｅは、先端連結部３Ａのうち膨張部３Ｂの先端部３０Ｄと連結する部分と先端部３Ｄとの間を延伸方向に沿って延びてもよい。外側厚膜部６Ｅは、基端連結部３Ｃにも設けられてもよい。この場合、外側厚膜部６Ｅは、基端連結部３Ｃのうち膨張部３Ｂの基端部３０Ｐと連結する部分と基端部３Ｐとの間を延伸方向に沿って延びてもよい。

　内側厚膜部４Ｅの厚さ、及び、外側厚膜部６Ｅの厚さは、延伸方向において均一でなくてもよい。例えば内側厚膜部４Ｅ及び外側厚膜部６Ｅの夫々の厚さは、中央位置Ｐｃに向けて次第に小さくなってもよい。内側厚膜部４Ｅの厚さは、先端部３０Ｄに向けて次第に小さくなってもよい。外側厚膜部６Ｅの厚さは、基端部３０Ｐに向けて次第に小さくなってもよい。

　膨張部３Ｂの内面３０１は、外側厚膜部６Ｅで内側に突出してもよい。つまり、外側厚膜部６Ｅでは、外面３０２が外側に突出し、且つ、内面３０１が内側に突出してもよい。

＜第６実施形態（バルーンカテーテル１Ｆ）＞
　図６を参照し、バルーンカテーテル１Ｆについて説明する。バルーンカテーテル１Ｆは、内側厚膜部４Ａにスリット７Ａが設けられるという点で、バルーンカテーテル１Ａと相違する。

　バルーンカテーテル１Ｆでは、内側厚膜部４１～４３の各々にスリット７１、７２、７３、７４（以下、夫々を区別しない場合、「スリット７Ａ」という。）が設けられる。スリット７Ａは、内側厚膜部４Ａの突出部３００に設けられた切れ込み又は切り欠きである。スリット７Ａは、延伸方向に対向する一対の内壁７０１を有する。一対の内壁７０１は、深さが最も深い部分（以下、「底部７００」という。）で連結する。スリット７Ａが切れ込みである場合、一対の内壁７０１は互いに接触する。スリット７Ａが切り欠きである場合、一対の内壁７０１は延伸方向に離隔する。又、スリット７Ａが切り欠きである場合、一対の内壁７０１の延伸方向の間隔は、スリット７Ａの深さが深くなる程小さくなる。図６では、切り欠きのスリット７Ａが例示されている。

　スリット７１、７２、７３、７４は、この順で延伸方向に並ぶ。スリット７１は、バルーン３の膨張部３Ｂの先端部３０Ｄに最も近接する。スリット７４は、バルーン３の膨張部３Ｂの基端部３０Ｐに最も近接する。スリット７１、７２間の延伸方向の間隔を、ｓ１と表記する。スリット７２、７３間の延伸方向の間隔を、ｓ２と表記する。スリット７３、７４間の延伸方向の間隔を、ｓ３と表記する。間隔ｓ１よりも間隔ｓ２の方が大きく、間隔ｓ２よりも間隔ｓ３の方が大きい。つまり、スリット７１～７４間の延伸方向の間隔ｓは、バルーン３の膨張部３Ｂの先端部３０Ｄに近接する程狭くなる。

　スリット７１の深さを、ｄ１と表記する。スリット７２の深さを、ｄ２と表記する。スリット７３の深さを、ｄ３と表記する。スリット７４の深さを、ｄ４と表記する。スリット７Ａの深さｄは、バルーン３の内面３０１から底部７００までの間の半径方向の長さに対応する。深さｄ１よりも深さｄ２の方が小さい。深さｄ２よりも深さｄ３の方が小さい。深さｄ３よりも深さｄ４の方が小さい。つまり、スリット７１～７４の各々の深さｄは、バルーン３の膨張部３Ｂの先端部３０Ｄに近接する程、深くなる。

＜第６実施形態の作用、効果＞
　バルーンカテーテル１Ｆでは、スリット７Ａにより内側厚膜部４Ａを曲折させることができるので、蛇行した血管内でもバルーン３を良好に変形可能となる。このため、バルーンカテーテル１Ｆは、血管に対してバルーン３を良好に追従させることができる。

　スリット７１～７４の各々の延伸方向の間隔ｓは、膨張部３Ｂの先端部３０Ｄに近接する程狭くなる。ここで、バルーン３は、スリット７１～７４の間隔ｓが狭い先端部３０Ｄ程、曲がり易くなる。この場合、蛇行した血管等に向けてバルーン３が進入する場合において、バルーン３は血管に追従し易くなる。従ってユーザは、目的とする部位までバルーン３を適切に到達させることができる。一方、バルーン３は、スリット７１～７４の間隔ｓが広い基端部３０Ｐ程、剛性が大きくなる。この場合、バルーン３が血管の病変部に与える応力を大きくできるので、バルーン３の膨張による治療効率を向上させることができる。

　スリット７１～７４の各々の深さｄは、先端部３０Ｄに近接する程深くなる。ここで、バルーン３は、スリット７１～７４トの深さｄが深い先端部３０Ｄ程、曲がり易くなる。この場合、蛇行した血管等に向けてバルーン３が進入する場合において、バルーン３は血管に追従し易くなる。従ってユーザは、目的とする部位までバルーン３を適切に到達させることができる。一方、バルーン３は、スリット７１～７４の深さｄが浅い基端部３０Ｐ側程、剛性が大きくなる。この場合、バルーン３が血管の病変部に与える応力を大きくできるので、バルーン３の膨張による治療効率を向上させることができる。

＜第６実施形態の特記事項＞
　スリット７Ａの数は、上記実施形態に限定されず、１～３、５以上でもよい。内側厚膜部４１～４３毎に異なる数のスリット７Ａが設けられてもよい。スリット７１～７４の延伸方向の位置は、内側厚膜部４１～４３の夫々で異なっていてもよい。深さｄがそれぞれ相違するスリット７１～７４が、延伸方向に等間隔に配置されてもよい。間隔ｓがそれぞれ異なるように配置されたスリット７１～７４の深さｄが、スリット７１～７４で同一であってもよい。深さｄが同じスリット７１～７４が、延伸方向に等間隔に配置されてもよい。

＜第７実施形態（バルーンカテーテル１Ｇ）＞
　図７を参照し、バルーンカテーテル１Ｇについて説明する。バルーンカテーテル１Ｇは、環状の内側厚膜部４Ｃにスリット７Ｂが設けられるという点で、バルーンカテーテル１Ｃ（図３参照）と相違する。

　膨張部３Ｂの内側厚膜部５１に、スリット７６Ａ、７６Ｂ、７６Ｃが設けられる。内側厚膜部５２に、スリット７７Ａ、７７Ｂ、７７Ｃが設けられる。内側厚膜部５３に、スリット７８Ａ、７８Ｂ、７８Ｃが設けられる。内側厚膜部５４に、スリット７９Ａ、７９Ｂ、７９Ｃが設けられる。スリット７６Ａ～７６Ｃ、７７Ａ～７７Ｃ、７８Ａ～７８Ｃ、７９Ａ～７９Ｃの夫々を区別しない場合、「スリット７Ｂ」という。

　スリット７６Ａ～７６Ｃ、スリット７７Ａ～７７Ｃ、スリット７８Ａ～７８Ｃ、スリット７９Ａ～７９Ｃは、各々、中心軸Ｃ１を中心とした周方向に等間隔に並ぶ。スリット７６Ａ、７７Ａ、７８Ａ、７９Ａの夫々の周方向における位置は一致する。スリット７６Ｂ、７７Ｂ、７８Ｂ、７９Ｂの夫々の周方向における位置は一致する。スリット７６Ｃ、７７Ｃ、７８Ｃ、７９Ｃの夫々の周方向における位置は一致する。このため、スリット７Ｂを、延伸方向から視た場合、スリット７６Ａ、７７Ａ、７８Ａ、７９Ａの位置は互いに重複し、スリット７６Ｂ、７７Ｂ、７８Ｂ、７９Ｂの位置は互いに重複し、スリット７６Ｃ、７７Ｃ、７８Ｃ、７９Ｃの位置は互いに重複する。

＜第７実施形態の作用、効果＞
　バルーンカテーテル１Ｇは、環状の内側厚膜部４Ｃをスリット７Ｂにより曲折させることができるので、蛇行した血管内でも良好に変形可能となる。このため、血管に対してバルーン３を良好に追従させることができる。

　バルーン３を延伸方向から視た場合、スリット７６Ａ、７７Ａ、７８Ａ、７９Ａの位置は互いに重複し、スリット７６Ｂ、７７Ｂ、７８Ｂ、７９Ｂの位置は互いに重複し、スリット７６Ｃ、７７Ｃ、７８Ｃ、７９Ｃの位置は互いに重複する。このため、バルーンカテーテル１Ｇは、バルーン３の周方向においてスリット７Ｂが設けられる部分を、屈曲性の高い部分とし、スリット７Ｂが設けられない部分を屈曲性の低い部分とすることができる。この場合、屈曲性の高い部分でバルーン３を屈曲させることにより、蛇行した血管等にバルーン３が進入する場合においてバルーン３は血管に追従し易くなる。従ってユーザは、目的とする部位までバルーン３を適切に到達させることができる。

＜第７実施形態の特記事項＞
　内側厚膜部５１～５４の各々に設けられるスリット７Ｂの数及び位置は、互いに相違してもよい。内側厚膜部５１～５４のうち一部（例えば、基端部３Ｐに最も近接する内側厚膜部５４）には、スリット７Ｂが設けられなくてもよい。スリット７Ｂの全てが重複しなくてもよい。例えば、スリット７６Ａ、７７Ａ、７８Ａ、７９Ａの位置のみ互いに重複し、スリット７６Ｂ、７７Ｂ、７８Ｂ、７９Ｂ、及び、スリット７６Ｃ、７７Ｃ、７８Ｃ、７９Ｃの位置は重複しなくてもよい。

＜その他＞
　バルーン３は、本発明の「カテーテル用バルーン」の一例である。先端部３０Ｄは、本発明の「第１先端部」の一例である。基端部３０Ｐは、本発明の「第１基端部」の一例である。先端部３Ｄは、本発明の「第２先端部」の一例である。基端部３Ｐは、本発明の「第２基端部」の一例である。

Claims

　延伸方向に延びる筒状を有する膨張部と、
　前記膨張部の前記延伸方向における一方側の端部である第１先端部から、前記膨張部と反対側に延びる部分であって、前記膨張部に接続する端部の径が、前記膨張部に接続する端部と反対側の端部である第２先端部の径よりも大きい先端連結部と、
　前記膨張部の前記延伸方向における他方側の端部である第１基端部から、前記膨張部と反対側に延びる部分であって、前記膨張部に接続する端部の径が、前記膨張部に接続する端部と反対側の端部である第２基端部の径よりも大きい基端連結部と、
を備えたカテーテル用バルーンであって、
　　それぞれの厚さが異なる内側厚膜部及び薄膜部を有し、
　　前記内側厚膜部の方が前記薄膜部よりも厚さが大きく、
　　前記内側厚膜部における内面は、前記薄膜部における内面よりも、前記膨張部の中心を通って前記延伸方向に延びる中心軸を中心とした径方向の内側に向けて突出し、
　　前記内側厚膜部における外面は、前記薄膜部における外面に対し、前記径方向の外側に向けて突出しない
ことを特徴とするカテーテル用バルーン。
　前記中心軸から外面までの前記径方向の距離である外径は、前記薄膜部と前記内側厚膜部とで同一となり、
　前記中心軸から内面までの前記径方向の距離である内径は、前記薄膜部よりも前記内側厚膜部の方が小さい
　ことを特徴とする請求項１に記載のカテーテル用バルーン。
　前記内側厚膜部は、前記延伸方向に沿って延びることを特徴とする請求項１又は２に記載のカテーテル用バルーン。
　前記膨張部に前記内側厚膜部が設けられ
　前記内側厚膜部は、前記延伸方向に沿って前記第１先端部から前記第１基端部に亘って延びることを特徴とする請求項３に記載のカテーテル用バルーン。
　前記膨張部に、前記薄膜部よりも厚さが大きい外側厚膜部と、前記内側厚膜部とが設けられ、
　前記内径は、前記薄膜部と前記外側厚膜部とで同一となり、
　前記外径は、前記薄膜部よりも前記外側厚膜部の方が大きく、
　前記内側厚膜部と前記外側厚膜部とは、前記延伸方向に沿って延び且つ前記延伸方向に並び、
　前記内側厚膜部は前記外側厚膜部よりも前記第１先端部に近接し、前記外側厚膜部は前記内側厚膜部よりも前記第１基端部に近接する
ことを特徴とする請求項２に記載のカテーテル用バルーン。
　前記膨張部、前記先端連結部、及び前記基端連結部に前記内側厚膜部が設けられ、
　前記内側厚膜部は、前記延伸方向に沿って前記第２先端部から前記第２基端部に亘って延びることを特徴とする請求項１から５の何れかに記載のカテーテル用バルーン。
　前記先端連結部の前記内側厚膜部の厚さは、前記膨張部の前記第１先端部と連結する部分から前記第２先端部に向けて薄くなり、
　前記基端連結部の前記内側厚膜部の厚さは、前記膨張部の前記第１基端部と連結する部分から前記第２基端部に向けて薄くなる
ことを特徴とする請求項６に記載のカテーテル用バルーン。
　前記内側厚膜部に少なくとも１つのスリットが設けられていることを特徴とする請求項１から７の何れかに記載のカテーテル用バルーン。
　前記延伸方向に配列した複数のスリットが設けられ、
　前記複数のスリットの各々の前記延伸方向の間隔は、前記第２先端部に近接する程狭くなることを特徴とする請求項８に記載のカテーテル用バルーン。
　前記延伸方向に配列した複数のスリットが設けられ、
　前記複数のスリットの各々の深さは、前記第２先端部に近接する程深くなることを特徴とする請求項８又は９に記載のカテーテル用バルーン。
　前記内側厚膜部は、前記中心軸を中心とした周方向に沿って延びる環状であることを特徴とする請求項１に記載のカテーテル用バルーン。
　前記内側厚膜部は、前記中心軸を中心とした周方向に沿って延びる螺旋状であり、前記第１先端部と前記第１基端部との間に亘って設けられたことを特徴とする請求項１に記載のカテーテル用バルーン。
　前記内側厚膜部は、前記第２先端部と前記第２基端部との間に亘って設けられたことを特徴とする請求項１２に記載のカテーテル用バルーン。
　前記内側厚膜部に少なくとも１つのスリットが設けられていることを特徴とする請求項１１から１３の何れかに記載のカテーテル用バルーン。
　前記内側厚膜部の延びる方向に配列した複数のスリットが設けられ、
　前記延伸方向から視た場合において、前記複数のスリットの各々が、他のスリットの少なくとも１つと重なる位置に配置されたことを特徴とする請求項１４に記載のカテーテル用バルーン。