WO2022239061A1 - 太陽光パネル用分離装置及び貴金属の分離方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、加熱対象太陽光パネル部分から比較的簡単に太陽電池セルや太陽電池セルに含まれる貴金属を分離することができる太陽光パネル用分離装置を提供することを目的とする。本開示において、セル分離用加熱室(21)及び局所加熱機構(23)を含む第1の加熱機構は、加熱対象PVパネル部分(90)に対し第1の局所加熱処理を実行することにより、加熱対象PVパネル部分(90)から複数の太陽電池セル(1)を分離する。貴金属分離用加熱室(22)及び局所加熱機構(24)を含む第2の加熱機構は、太陽電池セル(1)に対し第2の局所加熱処理を実行することにより、太陽電池セル(1)から貴金属(8)である銀を分離する。

Description

太陽光パネル用分離装置及び貴金属の分離方法
 本開示は、太陽光パネルから太陽電池セルまたは太陽電池セルが有する貴金属を選択的に分離する太陽光パネル用分離装置、及び太陽光パネルから貴金属を選択的に分離する貴金属の分離方法に関する。
 地球温暖化問題を背景に、再生可能エネルギーのひとつである太陽光発電システムの普及が進んでいる。特にさまざまな国で再生可能エネルギーの普及促進を目的としたFIT(Feed-in Tariff)制度が導入されており、日本においても2012年の固定買取制度の施行を境として太陽光パネルの敷設量が顕著に増加した。
 図16は太陽光パネルが廃棄対象となる予測を示すグラフである。横軸に年度、縦軸に廃棄見込み量(t)を示している。図16では、太陽光パネルは発電量が10kW以上の非住宅タイプと発電量が10kW未満の住宅タイプとに分類されている。
 同図に示すように、固定買取制度の制度施行以降に敷設された太陽光パネルが耐用年数を迎える2030年代の後半から太陽光パネルの廃棄見込み量が飛躍的に増加することが予測されている。
 図17は各種の太陽光パネルにおける材料構成比を表形式で示す説明図である。同図において、太陽光パネルの種別として単結晶系、多結晶系、薄膜系(アルミナ等)、薄膜系(ソード石灰)、及びCIGS系が示され、各種の太陽光パネルそれぞれの構成材料比(%)を示している。
 同図に示すように、太陽光パネルの種類によって、含まれる銀の割合は異なる。太陽光パネルにおけるシェアの大部分を占める単結晶方式(単結晶系)あるいは多結晶方式(多結晶系)の場合、太陽光パネルの1tあたり0.74~1.33kg程度の比較的多くの銀が含まれている。
 現在、廃棄対象となる太陽光パネル(以下、単に「廃パネル」と略記する場合あり)の大半は埋立処分されているが、一部ではガラス回収を目的にしたリサイクル処理が行われている。太陽光パネルのリサイクル技術は例えば、特許文献1~特許文献4に開示されている。
特開2020-110743号公報 特開2019-209219号公報 特開2012-79948号公報 国際公開第2016/163535号
 特許文献1には、破砕ローラを用いて廃パネルを粉砕し、粉砕物を回収する第1のリサイクル方法が示されている。
 特許文献2には、高圧エアを用いてガラスと同材質のビーズをガラス層に向かって投射して、廃パネルを粉砕し、粉砕物を回収する第2のリサイクル方法が示されている。第1及び第2のリサイクル方法は、いずれもガラスのみを純度と高くして回収することを目的にした方法であり、ガラス以外の材料の回収については考慮していない。
 特許文献3には、裏面側EVA(Ethylene Vinyl Acetate)シートとセルとの間に非接着性フィルムをはさむことにより、ガラス、表面側EVA及びセルが付着した上層部分と、裏面EVA及びバックシートが付着した下層部分とを容易に分離する第3のリサイクル方法が示されている。
 特許文献4には、100~300℃の条件下で有機溶媒を用いた湿式処理によってEVAを可溶化し、太陽電池セルを容易に回収する第4のリサイクル方法が示されている。
 しかしながら、第3及び第4のリサイクル方法は、いずれも太陽電池セルからの銀等の貴金属を分離する方法については何ら考慮されていない。加えて、第4のリサイクル法では太陽電池セル自体も有機溶媒を用いた湿式処理の処理対象となるため、太陽電池セルに悪影響を与える可能性があった。
 このように、従来の太陽光パネルに対する第1~第4のリサイクル方法は、太陽電池セルからの銀等の貴金属を分離する方法については何ら考慮されていない問題点があった。さらに、従来の第4のリサイクル方法では、太陽電池セルに悪影響を与えることなく太陽電池セルを分離することができないという問題点があった。
 本開示では、上記のような問題点を解決し、太陽電池セルに悪影響を与えることなく、加熱対象太陽光パネル部分から、比較的簡単に太陽電池セルや太陽電池セルに含まれる貴金属を分離することができる太陽光パネル用分離装置を提供することを目的とする。
 本開示の太陽光パネル用分離装置は、廃棄対象の太陽光パネルの一部である加熱対象太陽光パネル部分に対する太陽光パネル用分離装置であって、前記加熱対象太陽光パネル部分は複数の太陽電池セルが残存封止材により封止されており、前記加熱対象太陽光パネル部分を搬送する第1の搬送機構と、前記第1の搬送機構で搬送される前記加熱対象太陽光パネル部分の前記残存封止材に対し、第1の加熱対象領域を第1の温度で局所加熱する第1の局所加熱処理を実行する第1の加熱機構とを備え、前記第1の加熱対象領域は前記残存封止材における前記複数の太陽電池セルとの接触領域を含み、前記第1の局所加熱処理は前記加熱対象太陽光パネル部分と非接触状態で実行され、前記第1の温度は前記残存封止材が分解する温度に設定される。
 本開示の貴金属の分離方法は、廃棄対象の太陽光パネルから貴金属を分離する貴金属の分離方法であって、(a) 前記太陽光パネルに対し、複数の太陽電池セルの上方に設けられた透明基板を除去して加熱対象太陽光パネル部分を得るステップを備え、前記加熱対象太陽光パネル部分は前記複数の太陽電池セルが残存封止材により封止されており、(b) 前記加熱対象太陽光パネル部分の前記残存封止材に対し第1の加熱対象領域を第1の温度で局所加熱する第1の局所加熱処理を実行するステップをさらに備え、前記第1の加熱対象領域は、前記残存封止材における前記複数の太陽電池セルとの接触領域を含み、前記ステップ(b)は、前記加熱対象太陽光パネル部分と非接触状態で実行され、前記第1の温度は前記残存封止材が分解する温度に設定され、前記ステップ(b)の実行後、前記加熱対象太陽光パネル部分から前記複数の太陽電池セルが分離され、前記複数の太陽電池セルはそれぞれ表面に前記貴金属が設けられる貴金属形成領域を有し、前記貴金属の分離方法は、(c) 前記複数の太陽電池セルそれぞれに対し第2の加熱対象領域を第2の温度で局所加熱する第2の局所加熱処理を実行するステップさらに備え、前記第2の加熱対象領域は前記貴金属形成領域を含み、前記ステップ(c)は、前記複数の太陽電池セルそれぞれと非接触状態で実行され、前記第2の温度は前記貴金属が溶解する温度に設定され、前記第1の温度は前記貴金属が溶解しない温度に設定される。
 本開示の太陽光パネル用分離装置の第1の加熱機構は、加熱対象太陽光パネル部分に対し第1の局所加熱処理を実行することにより、複数の太陽電池セルそれぞれの周辺に存在する残存封止材を分解または溶解させ、加熱対象太陽光パネル部分から複数の太陽電池セルを分離することができる。
 この際、第1の局所加熱処理は、加熱対象太陽光パネル部分と非接触状態で実行されるため、第1の局所加熱処理によって複数の太陽電池セルに悪影響を与えることはない。
 本開示の貴金属の分離方法におけるステップ(b)は、加熱対象太陽光パネル部分に対し第1の局所加熱処理を実行することにより、複数の太陽電池セルの周辺に存在する残存封止材を分解または溶解させ、残存封止材から複数の太陽電池セルを分離することができる。
 この際、ステップ(b)は、加熱対象太陽光パネル部分と非接触状態で実行されるため、複数の太陽電池セルに悪影響を与えることはない。
 本開示の貴金属の分離方法におけるステップ(c)は、複数の太陽電池セルそれぞれに対し第2の局所加熱処理を実行することにより、貴金属を溶解させて、前記太陽電池セルの表面から貴金属を分離することができる。
 また、ステップ(b)が実行する第1の局所加熱処理の第1の温度は残存封止材が分解し、かつ、貴金属が溶解しない温度に設定されている。このため、ステップ(b)の実行時に複数の太陽電池セルから貴金属が分離されることはなく、ステップ(c)の実行時に複数の太陽電池セルから貴金属を確実に分離することができる。
 本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
PVパネルの全体構造を模式的に示す斜視図である。 PVパネルの断面構造を示す断面図である。 太陽電池セル群の平面構成を示す平面図である。 太陽電池セルの表面電極構造を示す平面図である。 太陽電池セルの全体構造を模式的に示す斜視図である。 実施の形態の貴金属回収システムの構成を模式的に示す説明図である。 実施の形態における貴金属の分離方法の処理の流れを模式的に示す説明図である。 廃PVパネル部分の断面構造を示す断面図である。 廃PVパネル部分の搬送動作を模式的に示す説明図である。 廃PVパネル部分に対する剥離動作を模式的に示す説明図である。 上下反転状態の加熱対象PVパネル部分を示す説明図である。 セル分離用加熱室内にて行われる局所加熱処理の処理内容を模式的に示す説明図である。 太陽電池セルの分離内容を模式的に示す説明図である。 貴金属分離用加熱室内にて行われる局所加熱処理の処理内容を模式的に示す説明図である。 貴金属の回収後の太陽電池セルの状態を模式的に示す説明図である。 太陽光パネルが廃棄対象となる予測を示すグラフである。 各種の太陽光パネルにおける材料構成比を表形式で示す説明図である。
 <太陽光パネルの基本構造>
 図1はPVパネル100の全体構造を模式的に示す斜視図である。図2はPVパネル100の断面構造を模式的に示す断面図である。図3は太陽電池セル群10の平面構成を模式的に示す平面図である。図1~図3それぞれにXYZ直交座標系を記している。なお、図2は説明の都合上、5つの太陽電池セル1を示している。
 これらの図に示すように、太陽光パネルであるPVパネル100は太陽電池セル群10、封止材11、ガラスパネル12、アルミフレーム13、封止材16、バックシート17及びジャンクションボックス18を主要構成要素として含んでいる。なお、「PV」は"Photovoltaic(フォトボルタイク)"を意味する。
 図1~図3に示すように、太陽電池セル群10は複数の太陽電池セル1はマトリクス状に配置されることにより構成される。そして、図2に示すように、複数の太陽電池セル1は封止材11及び16内で互いに分離した状態で封止されている。
 図1及び図2に示すように、複数の太陽電池セル1は全体が封止材11及び16により封止されている。封止材11は太陽電池セル群10の上部を封止する上部封止材として機能し、封止材16は太陽電池セル群10の下部を封止する下部封止材として機能する。
 図1及び図2に示すように、封止材11の上面上にガラスパネル12が設けられ、封止材16の下面上にバックシート17が設けられる。さらに、バックシート17の下面上の一部にジャンクションボックス18が設けられ、封止材11、ガラスパネル12、封止材16及びバックシート17を含む積層構造の側面に、外枠として機能するアルミフレーム13が設けられる。
 ガラスパネル12は太陽光の受光面となる透明基板として機能し、封止材11及び16はそれぞれEVA(Ethylene Vinyl Acetate)を構成材料とした、EVA樹脂シートとして機能し、太陽電池セル群10を上下から封止している。バックシート17は背面シートとして機能する。
 図4は太陽電池セル1の表面電極構造を示す平面図であり、図5は太陽電池セル1の全体構造を模式的に示す斜視図である。図4及び図5それぞれにXYZ直交座標系を記している。
 図4及び図5に示すように、太陽電池セル1は、シリコン等の酸化シリコン層6の表面(表層)に電子回路部5が設けられる。太陽電池セル1は10×10(cm)程度の平面形状を呈している。前述したように、マトリクス状に太陽電池セル1が配置されることにより、太陽電池セル群10が構成され、太陽電池セル群10により1単位(1モジュール)のPVパネル100が構成される。
 図4に示すように、太陽電池セル1の表面(上面)における電極構造は、各々がX方向に延びて形成される複数のバスバー電極2と、複数のバスバー電極2それぞれから各々がY方向に延びる複数のフィンガー電極3とを含んでいる。バスバー電極2の形成幅はフィンガー電極3の形成幅より太い。フィンガー電極3は金属粒子を含んだ導電性ペーストが細線状に塗布されることにより得られる。金属粒子には体積抵抗率の低い銀が採用されている。
 一般に複数のフィンガー電極3は、銀等の貴金属を構成材料としている。一方、複数のバスバー電極2はアルミニウム、銅または銀を構成材料としている。このように、複数の太陽電池セル1はそれぞれ表面に貴金属である銀が設けられる貴金属形成領域を有している。例えば、フィンガー電極3の構成材料が銀であり、バスバー電極2の構成材料がアルミニウムである場合、太陽電池セル1のフィンガー電極3の形成領域が太陽電池セル1の表面に形成される貴金属形成領域となる。
 このように、PVパネル100に含まれる複数の太陽電池セル1はそれぞれの表面に貴金属である銀が設けられている。この銀を回収することを最終目的として、実施の形態の貴金属回収システム20が構築される。
 <実施の形態1>
 図6は実施の形態1の貴金属回収システム20の構成を模式的に示す説明図である。図6にXYZ直交座標系を記す。貴金属回収システム20は、廃棄対象のPVパネル100の一部である加熱対象PVパネル部分90に対する太陽光パネル用分離装置として機能する。
 後に詳述する図10及び図11に示すように、加熱対象太陽光パネル部分となる加熱対象PVパネル部分90は、図2で示す太陽光パネルであるPVパネル100から、ガラスパネル12、アルミフレーム13及びジャンクションボックス18が除去された構造を呈している。
 すなわち、加熱対象PVパネル部分90は残存封止材である封止材11及び16によって複数の太陽電池セル1が封止された構造を呈している。
 図6に示すように、貴金属回収システム20は、セル分離用加熱室21、貴金属分離用加熱室22、局所加熱機構23、局所加熱機構24、貴金属回収機構25、パネル用搬送機構31及びセル用搬送機構32を主要構成要素として含んでいる。
 パネル用搬送機構31は加熱対象PVパネル部分90を搬送する第1の搬送機構として機能する。加熱対象PVパネル部分90は加熱対象太陽光パネル部分となる。
 パネル用搬送機構31によって加熱対象PVパネル部分90は搬送方向D1(+X方向に向かう水平方向)に沿って搬送される。この際、加熱対象PVパネル部分90は、図11に示すように、複数の太陽電池1それぞれの表面が下方に位置する上下反転状態で搬送される。すなわち、上下反転状態の太陽電池セル1は、貴金属形成領域を有する表面が下面となる。
 パネル用搬送機構31によって、上下反転状態の加熱対象PVパネル部分90はセル分離用加熱室21内に搬送される。セル分離用加熱室21内において、パネル用搬送機構31の下方にパネル用搬送機構31と接触することなく局所加熱機構23が設けられる。
 すなわち、局所加熱機構23はパネル用搬送機構31によって搬送される太陽電池セル1の下方となる下方位置条件を満足するように設けられる。なお、局所加熱機構23は上記下方位置条件を満足する範囲で、セル分離用加熱室21外に設けても良い。
 セル分離用加熱室21内において、局所加熱機構23は加熱対象PVパネル部分90の封止材16に対し、第1の加熱対象領域を第1の温度で局所加熱する第1の局所加熱処理を実行する。
 第1の加熱対象領域は残存封止材である封止材11及び16における複数の太陽電池セル1との接触領域を含み、第1の温度は封止材11及び16が分解または溶解する温度に設定される。第1の温度として例えば、250~450(℃)に設定される。
 このように、セル分離用加熱室21及び局所加熱機構23によって、上述した第1の局所加熱処理を実行する第1の加熱機構が構成される。
 EVAの分解する温度が250~450℃程度であり、銀の融点が961.8℃であるため、第1の加熱機構による第1の局所加熱処理によって、太陽電池セル1の貴金属形成領域に設けられる複数のフィンガー電極3(銀)を溶解させることなく、封止材16のみを選択的に分解または溶解させることができる。
 セル分離用加熱室21及び局所加熱機構23を含む第1の加熱機構が上述した第1の局所加熱処理を実行することにより、加熱対象PVパネル部分90から複数の太陽電池セル1が分離される。この際、複数の太陽電池セル1はセル単位に分離される。
 一方、セル用搬送機構32によって、複数の太陽電池セル1はセル単位に独立した状態で搬送方向D2(+X方向に向かう水平方向)に沿って搬送される。この際、複数の太陽電池セル1はそれぞれ、表面が下方に位置する上下反転状態で搬送される。セル用搬送機構32は第2の搬送機構として機能する。
 セル用搬送機構32によって、上下反転状態の太陽電池セル1は貴金属分離用加熱室22内に搬送される。貴金属分離用加熱室22内において、セル用搬送機構32の下方にセル用搬送機構32と接触することなく局所加熱機構24及び貴金属回収機構25が設けられる。
 すなわち、局所加熱機構24及び貴金属回収機構25はセル用搬送機構32によって搬送される太陽電池セル1の下方となる下方位置条件を満足するように設けられる。なお、局所加熱機構24は上記下方位置条件を満足する範囲で、貴金属分離用加熱室22外に設けても良い。
 貴金属分離用加熱室22内において、局所加熱機構24は複数の太陽電池セル1それぞれに対し、第2の加熱対象領域を第2の温度で局所加熱する第2の局所加熱処理を実行する。
 第2の加熱対象領域は貴金属形成領域(銀形成領域)を含み、第2の温度は貴金属である銀を構成材料としたフィンガー電極3が溶解する温度に設定される。第2の温度として例えば、961.8~1085(℃)の範囲に設定される。
 銀の融点が961.8℃であるため、第2の加熱機構による第2の局所加熱処理によって、太陽電池セル1の貴金属形成領域に設けられる複数のフィンガー電極3を選択的に溶解させることができる。
 貴金属回収機構25は、溶解して太陽電池セル1から下方に落下する銀を回収する。このように、貴金属分離用加熱室22、局所加熱機構24及び貴金属回収機構25によって、上述した第2の局所加熱処理を実行し、かつ、貴金属である銀の回収処理を行う第2の加熱機構が構成される。
 (貴金属の回収方法)
 図7は、廃棄対象のPVパネル100から貴金属である銀を分離して回収する貴金属の回収方法の処理の流れを模式的に示す説明図である。なお、貴金属の回収方法に含まれる一部の処理は、図6で示した貴金属回収システム20を用いて実行される。以下、図7を参照して、本実施の形態の貴金属の回収方法の処理手順を説明する。
 なお、本実施の形態において、貴金属は銀であり、貴金属形成領域はフィンガー電極3の形成領域とする。
 まず、ステップS1において、PVパネル100からアルミフレーム13及びジャンクションボックス18を取り外し、廃PVパネル部分100Bを得る。ステップS1は、例えば、人手によって実行される。
 取り外されたアルミフレーム13はアルミリサイクルに利用され、ジャンクションボックス18は金属スクラップリサイクルに利用される。
 図8は廃PVパネル部分100Bの断面構造を示す断面図である。図8にXYZ直交座標系を記す。同図に示すように、廃PVパネル部分100Bは、PVパネル100からガラスパネル12及びジャンクションボックス18から取り外された構造を呈している。
 次に、ステップS2において、廃PVパネル部分100Bを剥離室36に向けて搬送する搬送動作を実行する。廃PVパネル部分100Bの搬送は例えばローラコンベアにて行われる。なお、ローラコンベアは多数のローラ(円筒ころ)を平行に並べた構造のコンベアである。
 図9は廃PVパネル部分100Bの搬送動作を模式的に示す説明図である。図9にXYZ直交座標系を記す。
 同図に示すように、複数の搬送用ローラ40を含むローラコンベアにより実現される搬送機構30によって、廃PVパネル部分100Bは剥離室36に向けて、搬送方向D0に沿って搬送される。搬送方向D0は+X方向に向かう水平方向となる。
 その後、ステップS3において、剥離室36内において、ホットナイフ法によって、複数の太陽電池セル1の上方に設けられ、受光面の透明基板となるガラスパネル12を選択的に剥離する。
 図10は廃PVパネル部分100Bに対する剥離動作を模式的に示す説明図である。図10にXYZ直交座標系を記す。
 図9に示すように、ホットナイフ37の先端が封止材11とガラスパネル12との界面に位置する状態で、搬送機構30によって廃PVパネル部分100Bを搬送方向D1に沿って搬送することにより、図10に示すように、廃PVパネル部分100Bからガラスパネル12を剥離することができる。なお、ホットナイフ37を用いたホットナイフ法が既存技術であるため、詳細な説明は省略する。
 その結果、図10に示すように、廃PVパネル部分100Bからガラスパネル12が選択的に剥離された加熱対象PVパネル部分90を得ることができる。この加熱対象PVパネル部分90が図6で示した貴金属回収システム20の加熱対象物となる。
 加熱対象PVパネル部分90において、ステップS3の剥離工程後に残存する封止材11と封止材16との組合せ構造が残存封止材となる。一方、剥離されたガラスパネル12はガラスリサイクルに利用される。
 図7に戻って、ステップS4において、加熱対象PVパネル部分90を上下反転状態にする。この作業は例えば人手による手作業にて実行される。
 図11は上下反転状態の加熱対象PVパネル部分90を示す説明図である。図11にXYZ直交座標系を記す。同図に示す様に、上下反転状態の加熱対象PVパネル部分90において、上方に封止材16が下方に封止材11が位置し、複数の太陽電池セル1の表面が下面となる。
 その後、ステップS5において、セル分離用加熱室21内において、加熱対象PVパネル部分90に対する局所加熱処理が第1の局所加熱処理として実行される。
 図12はセル分離用加熱室21内にて行われる局所加熱処理の処理内容を模式的に示す説明図である。図12にXYZ直交座標系を記している。
 同図に示すように、加熱対象PVパネル部分90をセル分離用加熱室21内に搬送するためのパネル用搬送機構31が設けられる。パネル用搬送機構31は、複数の搬送用ローラ41を含むローラコンベアである。なお、上下反転状態の加熱対象PVパネル部分90は、例えばスライドコンベアを用いて、パネル用搬送機構31の複数の搬送用ローラ41上に配置される。
 パネル用搬送機構31によって、上下反転状態の加熱対象PVパネル部分90が搬送方向D1に沿って搬送され、加熱対象PVパネル部分90の一部がセル分離用加熱室21内に導かれる。搬送方向D1は+X方向に向かう水平方向である。
 セル分離用加熱室21内において、パネル用搬送機構31で搬送される加熱対象PVパネル部分90の残存封止材(封止材11+封止材16)に対し、第1の加熱対象領域を第1の温度で局所加熱する第1の局所加熱処理が実行される。
 第1の加熱対象領域は封止材11及び16における複数の太陽電池セル1との接触領域を含んでいる。第1の局所加熱処理は、パネル用搬送機構31の下方に設けられた局所加熱機構23(図12では図示せず)から加熱対象PVパネル部分90と非接触状態で実行される。加熱方向H1は+Z方向に向かう垂直方向となる。
 この際、第1の温度は{250~450(℃)}の範囲に設定される。封止材11及び16の構成材料であるEVAの分解する温度が250℃以上であるため、第1の局所加熱処理によって、第1の加熱対象領域に存在する封止材11及び16を分解または溶解して、複数の太陽電池セル1を封止材11及び16から分離可能状態にする。一方、貴金属である銀の融点は961.8℃であるため、第1の局所加熱処理によってフィンガー電極3が溶解することはない。
 図13は太陽電池セル1の分離内容を模式的に示す説明図である。同図にXYZ直交座標系を記している。
 セル分離用加熱室21及び局所加熱機構23を含む第1の加熱機構による第1の局所加熱処理が実行されると、複数の太陽電池セル1それぞれの周辺に存在する封止材11及び16が分解または溶解する。その結果、太陽電池セル1は、封止材11及び16から分離され最下方に位置する。なお、図13では、封止材11に相当する領域が分解または溶解した状態を模式的に示している。
 このように、セル分離用加熱室21及び局所加熱機構23を含む第1の加熱機構による第1の局所加熱処理が加熱対象PVパネル部分90に対し実行されることにより、加熱対象PVパネル部分90から複数の太陽電池セル1を分離することができる。
 なお、加熱対象PVパネル部分90から複数の太陽電池セル1が分離された後、封止材16及びバックシート17を含む残存PVパネル部分90Bが残る。なお、図13では、図示していないが、封止材11の一部が残存する場合もある。
 残存PVパネル部分90Bは、パネル用搬送機構31によってセル分離用加熱室21外に排出された後、封止材16とバックシート17とに分別される。分別された封止材16及びバックシート17はそれぞれマテリアルリサイクルに利用される。
 図7に戻って、ステップS6において、準備処理が実行される。準備処理は、複数の太陽電池1それぞれの表面が下方に位置する上下反転状態にする処理である。
 次に、ステップS7において、上下反転状態の太陽電池セル1をセル用搬送機構32に載置する投入処理が実行される。ステップS6及びステップS7の処理は例えば人手による手作業により実行される。
 図13で示した構成では、パネル用搬送機構31の一部に太陽電池セル1が落下可能なセル落下用空間SP1が設けられている。したがって、加熱対象PVパネル部分90が搬送方向D1に搬送される際、加熱対象PVパネル部分90から分離された太陽電池セル1がセル落下用空間SP1から落下方向F1(-Z方向)に落下する。
 一方、図13で示す構成では、セル落下用空間SP1の下方にセル用搬送機構32を配置される。
 したがって、パネル用搬送機構31による加熱対象PVパネル部分90の搬送時に、セル落下用空間SP1から落下した太陽電池セル1をセル用搬送機構32にて受けとめることができる。
 この際、落下した太陽電池セル1は、上下反転状態でセル用搬送機構32に受けとめられる。したがって、図13で示したように、太陽電池セル1の受け渡しが可能なようにパネル用搬送機構31とセル用搬送機構32とを配置することにより、ステップS6及びステップS7の処理の自動化を図ることができる。
 セル用搬送機構32として、例えば、複数の搬送用ローラ42及び図示しないメッシュベルトを含むメッシュ(ベルト)コンベアが考えられる。メッシュベルトは溶解した銀が落下できる網目構造を呈している。このメッシュベルト上に上下反転状態の太陽電池セル1が載置された状態で搬送される。
 図7に戻って、ステップS8において、貴金属分離用加熱室22内における局所加熱処理が第2の局所加熱処理として実行される。ステップS8は以下に述べるステップS81~83を含んでいる。
 ステップS81において、セル用搬送機構32は複数の太陽電池セル1をセル単位に独立した状態で搬送方向D2に沿って搬送する。搬送方向D2は+X方向に向かう水平方向である。
 その後、ステップS82において、太陽電池セル1が貴金属分離用加熱室22内に導かれ、貴金属分離用加熱室22内において、太陽電池セル1に対する局所加熱処理が第2の局所加熱処理として実行される。
 図14は貴金属分離用加熱室22内にて行われる局所加熱処理の処理内容を模式的に示す説明図である。図14にXYZ直交座標系を記している。
 同図に示すように、貴金属分離用加熱室22内において、セル用搬送機構32で搬送される太陽電池セル1に対し、第2の加熱対象領域を第2の温度で局所加熱する第2の局所加熱処理が実行される。
 第2の加熱対象領域は太陽電池セル1の表面に形成される貴金属形成領域を含んでいる。貴金属形成領域は、前述したように、配線材料であるフィンガー電極3の形成領域である。
 第2の局所加熱処理は、セル用搬送機構32の下方に設けられた局所加熱機構24(図14では図示せず)から、太陽電池セル1と非接触状態で実行される。この際、加熱方向H2は、+Z方向に向かう垂直方向となる。
 この際、第2の温度は{961.8~1085(℃)}の範囲に設定される。貴金属である銀の融点が961.8℃であるため、第2の局所加熱処理によって、第2の加熱対象領域に存在する配線材料であるフィンガー電極3を溶解することができる。図14では、フィンガー電極3の一部が溶解した状態を溶解物3Sとして示している。
 次に、ステップS83において、貴金属の回収処理が実行される。図14に示すように、搬送方向D1において第2の局所加熱処理の加熱点HP2より+X側に、セル用搬送機構32の下方に貴金属回収機構25が設けられている。貴金属回収機構25は+X方向に沿って低くなる傾斜面を有している。
 したがって、太陽電池セル1が搬送方向D2に搬送される際、フィンガー電極3の溶解物3Sが貴金属落下用空間SP2を介して落下方向F2(-Z方向)に落下する。貴金属落下用空間SP2はメッシュベルトの網目に相当する。落下した溶解物3Sは、貴金属回収機構25の傾斜面で受けとめられ、傾斜面に沿って+X方向、かつ下方(-Z方向)に移動する。
 その結果、貴金属回収機構25の傾斜面の下方に溶解物3Sの集合体を回収することができる。貴金属回収機構25によって回収された溶解物3Sの集合体は、貴金属8として回収される。なお、貴金属回収機構25として例えばドレンパンを用いても良い。
 なお、上下反転状態の太陽電池セル1の表面から、溶解物3Sの落下を促進させるべく、溶解物3Sをエアで吹き飛ばす、太陽電池セル1を斜めに傾斜させて搬送する、太陽電池セル1に振動を与える、溶解物3Sの掻き取り機構を設ける等の補助機構を貴金属回収機構25に追加しても良い。
 図15は貴金属8の回収後の太陽電池セル1Bの状態を模式的に示す説明図である。同図に示すように、貴金属8が回収された後、太陽電池セル1Bの主要構成部は酸化シリコン層となる。
 なお、貴金属8は貴金属用のマテリアルリサイクルに利用される。また、銀が分離された太陽電池セル1Bはセル用搬送機構32によって貴金属分離用加熱室22外に排出された後、マテリアルリサイクルに利用される。
 本実施の形態の太陽光パネル用分離装置である貴金属回収システム20は、セル分離用加熱室21及び貴金属分離用加熱室22を含む第1の加熱機構を有している。この第1の加熱機構は、加熱対象PVパネル部分90に対し第1の局所加熱処理を実行することにより、複数の太陽電池セル1それぞれの周辺に存在する残存封止材(封止材11及び16)を分解または溶解させ、加熱対象PVパネル部分90から複数の太陽電池セル1を分離することができる。
 この際、第1の局所加熱処理は、加熱対象太陽光パネル部分である加熱対象PVパネル部分90と非接触状態で実行されるため、第1の局所加熱処理によって複数の太陽電池セル1に悪影響を与えることはない。
 本実施の形態の貴金属回収システム20は、局所加熱機構23及び局所加熱機構24を含む第2の加熱機構を有している。第2の加熱機構は、複数の太陽電池セル1それぞれに対し第2の局所加熱処理を実行することにより、フィンガー電極3の構成材料となる銀を溶解させて、太陽電池セル1の表面から貴金属である銀を分離することができる。
 また、第1の加熱機構が実行する第1の局所加熱処理の第1の温度{250~450(℃)}は残存封止材が分解または溶解し、かつ、銀が溶解しない温度に設定されている。このため、第1の局所加熱処理の実行時に加熱対象PVパネル部分90から銀が分離されることはなく、第2の局所加熱処理の実行時に複数の太陽電池セル1それぞれから銀を貴金属8として確実に分離することができる。
 さらに、第2の加熱機構はセル用搬送機構32によって搬送される複数の太陽電池セル1の下方に設けられる貴金属回収機構25をさらに含んでいる。したがって、貴金属回収機構25によって、太陽電池セル1の表面から落下するフィンガー電極3の溶解物3S(銀)を比較的容易に回収することができる。
 (局所加熱方法)
 第1の加熱機構(セル分離用加熱室21+局所加熱機構23)による第1の局所加熱処理及び、第2の加熱機構(貴金属分離用加熱室22+局所加熱機構24)による第2の局所加熱処理を実行する局所加熱方法として、電磁場加熱方法、水蒸気加熱方法、赤外線加熱方法及び誘導加熱方法のうち、いずれか1つの方法を用いれば良い。上述した加熱方法は、いずれも、加熱対象となる加熱対象PVパネル部分90や太陽電池セル1と接触することなく、局所的な加熱処理を実行することができる。
 例えば、電磁場加熱方法は、電磁場、すなわち、マイクロ波のうちの磁界を利用した局所加熱方法である。電磁場加熱方法では、XY平面で10cm×1cm程度のスリット状の加熱を比較的浅い加熱深さで実行することができる。
 したがって、図4で示すように、Y方向に沿って延在するフィンガー電極3の形成領域(貴金属形成領域)に適合した、第2の局所加熱処理を精度良く実行することができる。
 水蒸気加熱方法は、過熱状態の水蒸気を用いて加熱する方法である。赤外線加熱方法は赤外線の照射による加熱方法である。誘導加熱方法は、電磁誘導の原理を利用して、金属などを加熱する方法である。なお、上述した4つの局所加熱方法は既存技術であるため、詳細な説明は省略する。
 第1及び第2の加熱機構はそれぞれ上述した4つの局所加熱方法の1つを採用している。したがって、セル分離用加熱室21及び局所加熱機構23を含む第1の加熱機構は、加熱対象PVパネル部分90に接触することなく、第1の温度で第1の局所加熱処理を精度良く実行することができる。
 同様に、貴金属分離用加熱室22及び局所加熱機構24を含む第2の加熱機構は、複数の太陽電池セル1それぞれに接触することなく、第2の温度で第2の局所加熱処理を精度良く実行することができる。
 (貴金属の分離方法)
 図7で示した処理におけるステップS3~S8の処理は、廃PVパネル部分100Bから銀を分離する貴金属の分離方法と考えることができる。
 貴金属の回収方法は、
 (a) 廃PVパネル部分100Bに対し、複数の太陽電池セル1の上方に設けられた透明基板であるガラスパネル12を除去して加熱対象PVパネル部分90を得るステップと、
 (b) 加熱対象PVパネル部分90の残存封止材(封止材11及び16)に対し第1の加熱対象領域を第1の温度で局所加熱する第1の局所加熱処理を実行するステップと、
 (c) 複数の太陽電池セル1それぞれに対し第2の加熱対象領域を第2の温度で局所加熱する第2の局所加熱処理を実行するステップとを備えている。
 上記ステップ(a)は、主として図7で示すステップS3の処理に対応し、上記ステップ(b)は、主として図7で示すステップS5の処理に対応し、上記ステップ(c)は、主として図7で示すステップS8(S81~S83)の処理に対応する。
 加熱対象太陽光パネル部分である加熱対象PVパネル部分90は、複数の太陽電池セル1が残存封止材である封止材11及び16により封止されている。
 前述したように、第1の加熱対象領域は、封止材11及び16における複数の太陽電池セル1との接触領域を含んでいる。上記ステップ(b)は、加熱対象PVパネル部分90と非接触状態で実行され、上記第1の温度は封止材11及び16が分解または溶解する温度に設定される。
 上記ステップ(b)の実行後、加熱対象PVパネル部分90から複数の太陽電池セル1が分離される。複数の太陽電池セル1はそれぞれ表面に貴金属である銀が設けられる貴金属形成領域を有している。本実施の形態では、貴金属形成領域はフィンガー電極3の形成領域となる。
 上記第2の加熱対象領域は貴金属形成領域を含み、上記ステップ(c)は、複数の太陽電池セル1それぞれと非接触状態で実行され、上記第2の温度は貴金属である銀が溶解する温度に設定され、上記第1の温度は銀が溶解しない温度に設定される。
 したがって、本開示の貴金属の分離方法における上記ステップ(b)は、加熱対象PVパネル部分90に対し第1の局所加熱処理を実行することにより、太陽電池セル1の周辺に存在する残存封止材である封止材11及び16を分解または溶解させ、加熱対象PVパネル部分90から複数の太陽電池セル1を分離することができる。
 この際、上記ステップ(b)は、加熱対象太陽光パネル部分である加熱対象PVパネル部分90と非接触状態で実行されるため、複数の太陽電池セル1に悪影響を与えることはない。
 本開示の貴金属の回収方法における上記ステップ(c)は、複数の太陽電池セル1それぞれに対し第2の局所加熱処理を実行することにより、貴金属である銀を溶解させて、太陽電池セル1の表面から貴金属8を分離することができる。
 また、上記ステップ(b)が実行する第1の局所加熱処理の第1の温度は封止材11及び16が分解または溶解し、かつ、銀が溶解しない温度に設定されている。このため、上記ステップ(b)の実行時に複数の太陽電池セル1から銀が分離されることはなく、上記ステップ(c)の実行時に複数の太陽電池セル1から銀を確実に分離することができる。
 (貴金属)
 上述した実施の形態では、貴金属としてフィンガー電極3等の構成材料となる銀を示したが、それ以外に銅、金、パラジウム、白金及び銀パラジウム合金のうち、少なくとも1つが貴金属として考えられる。この場合、第2の温度は貴金属となる構成材料の融点以上に設定される。
 したがって、本実施の形態の貴金属回収システム20によって、銀、銅、金、パラジウム、白金及び銀パラジウム合金のうち、少なくとも1つを含む貴金属を加熱対象PVパネル部分90から分離して回収することができる。
 <その他>
 本開示の貴金属の分離方法では、図3のステップS3において、ガラスパネル12のみを剥離する工程を示した。ステップS3の変形ステップとして、ガラスパネル12と共に封止材11の大部分を剥離する工程が考えられる。変形ステップを採用することにより、加熱対象PVパネル部分90における封止材11の膜厚を薄くして、ステップS5の第1の局所加熱処理の実行時に、加熱対象PVパネル部分90から複数の太陽電池セル1の分離を容易にすることが期待できる。
 本開示の貴金属の分離方法では、図7におけるステップS3のガラスパネル12の剥離工程としてホットナイフ法を用いた工程を示したがこの方法に限定されない。例えば、ホットナイフ法に代えてブラスト剥離法を採用しても良い。ブラスト剥離法は、ガラスと同質のサンドをガラス面にぶつけてガラスパネル12を破砕する方法である。
 本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本開示がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
 11,16 封止材
 12 ガラスパネル
 13 アルミフレーム
 17 バックシート
 18 ジャンクションボックス
 20 貴金属回収システム
 21 セル分離用加熱室
 22 貴金属分離用加熱室
 23,24 局所加熱機構
 25 貴金属回収機構
 31 パネル用搬送機構
 32 セル用搬送機構

Claims (6)

  1.  廃棄対象の太陽光パネルの一部である加熱対象太陽光パネル部分に対する太陽光パネル用分離装置であって、前記加熱対象太陽光パネル部分は複数の太陽電池セルが残存封止材により封止されており、
     前記加熱対象太陽光パネル部分を搬送する第1の搬送機構と、
     前記第1の搬送機構で搬送される前記加熱対象太陽光パネル部分の前記残存封止材に対し、第1の加熱対象領域を第1の温度で局所加熱する第1の局所加熱処理を実行する第1の加熱機構とを備え、
     前記第1の加熱対象領域は前記残存封止材における前記複数の太陽電池セルとの接触領域を含み、前記第1の局所加熱処理は前記加熱対象太陽光パネル部分と非接触状態で実行され、前記第1の温度は前記残存封止材が分解する温度に設定される、
    太陽光パネル用分離装置。
  2.  請求項1記載の太陽光パネル用分離装置であって、
     前記複数の太陽電池セルはそれぞれ表面に貴金属が設けられる貴金属形成領域を有し、
     前記複数の太陽電池セルをセル単位に独立した状態で搬送する第2の搬送機構と、
     前記第2の搬送機構で搬送される前記複数の太陽電池セルそれぞれに対し、第2の加熱対象領域を第2の温度で局所加熱する第2の局所加熱処理を実行する第2の加熱機構とをさらに備え、
     前記第2の加熱対象領域は前記貴金属形成領域を含み、前記第2の局所加熱処理は前記複数の太陽電池セルそれぞれと非接触状態で実行され、前記第2の温度は前記貴金属が溶解する温度に設定され、前記第1の温度は前記貴金属が溶解しない温度に設定される、
    太陽光パネル用分離装置。
  3.  請求項2記載の太陽光パネル用分離装置であって、
     前記第2の搬送機構は、前記複数の太陽電池それぞれの表面が下方に位置する上下反転状態で前記複数の太陽電池セルを水平方向に沿って搬送し、
     前記第2の加熱機構は、
     前記第2の搬送機構で搬送される前記複数の太陽電池セルの下方に設けられ、溶解して下方に落下する貴金属を回収する貴金属回収機構をさらに備える、
    太陽光パネル用分離装置。
  4.  請求項2または請求項3に記載の太陽光パネル用分離装置であって、
     前記第1及び第2の局所加熱処理はそれぞれ、電磁場加熱方法、水蒸気加熱方法、赤外線加熱方法及び誘導加熱方法のうち、一の加熱方法を採用して実行される、
    太陽光パネル用分離装置。
  5.  請求項2から請求項4のうち、いずれか1項に記載の太陽光パネル用分離装置であって、
     前記貴金属は、銀、銅、金、パラジウム、白金及び銀パラジウム合金のうち、少なくとも1つ含む、
    太陽光パネル用分離装置。
  6.  廃棄対象の太陽光パネルから貴金属を分離する貴金属の分離方法であって、
     (a) 前記太陽光パネルに対し、複数の太陽電池セルの上方に設けられた透明基板を除去して加熱対象太陽光パネル部分を得るステップを備え、前記加熱対象太陽光パネル部分は前記複数の太陽電池セルが残存封止材により封止されており、
     (b) 前記加熱対象太陽光パネル部分の前記残存封止材に対し第1の加熱対象領域を第1の温度で局所加熱する第1の局所加熱処理を実行するステップをさらに備え、
     前記第1の加熱対象領域は、前記残存封止材における前記複数の太陽電池セルとの接触領域を含み、前記ステップ(b)は、前記加熱対象太陽光パネル部分と非接触状態で実行され、前記第1の温度は前記残存封止材が分解する温度に設定され、
     前記ステップ(b)の実行後、前記加熱対象太陽光パネル部分から前記複数の太陽電池セルが分離され、前記複数の太陽電池セルはそれぞれ表面に前記貴金属が設けられる貴金属形成領域を有し、
     前記貴金属の分離方法は、
     (c) 前記複数の太陽電池セルそれぞれに対し第2の加熱対象領域を第2の温度で局所加熱する第2の局所加熱処理を実行するステップをさらに備え、
     前記第2の加熱対象領域は前記貴金属形成領域を含み、前記ステップ(c)は、前記複数の太陽電池セルそれぞれと非接触状態で実行され、前記第2の温度は前記貴金属が溶解する温度に設定され、前記第1の温度は前記貴金属が溶解しない温度に設定される、
    貴金属の分離方法。
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