WO2022138816A1

WO2022138816A1 - 錠剤排出装置及び錠剤分包装置

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Publication number: WO2022138816A1
Application number: PCT/JP2021/047854
Authority: WO
Inventors: 直樹小池; 光弘見谷
Original assignee: 株式会社湯山製作所
Priority date: 2020-12-25
Filing date: 2021-12-23
Publication date: 2022-06-30
Also published as: JPWO2022138816A1

Abstract

【課題】錠剤案内溝を構成する壁部の間に隙間が生じない錠剤カセットを提供する。【解決手段】錠剤を収容する錠剤容器５と、錠剤容器に回転可能に設けられたロータ８とを備え、錠剤容器に収容された錠剤を錠剤容器に形成された錠剤排出孔９に案内する錠剤案内溝８ｂがロータに形成されている。錠剤案内溝８ｂは、第１壁部７２と第２壁部８１を有する。第１壁部と第２壁部は相対的に移動可能である。第１壁部７２と第２壁部８２の間に、第１壁部７２と第２壁部８１の相対的な移動により形成される隙間に錠剤が進入するのを防止する錠剤進入防止部材１０１ａ、１０１ｂが設けられている。

Description

錠剤排出装置及び錠剤分包装置

　本発明は多数の錠剤を収容して１錠ずつ連続して排出することができる錠剤排出装置及び錠剤分包装置に関する。

　処方箋に応じて必要な種類と錠数の錠剤を排出する錠剤排出装置には、種類の異なる錠剤を種類別に収容した複数の錠剤カセットと、該錠剤カセットが装着される棚状のモータベースとを備えている。錠剤カセットは、錠剤出口を有するカセット本体と、該カセット本体に回転可能に設けられ、錠剤案内溝を有するロータと、カセット本体の錠剤出口の上方に設けられた仕切部材とから構成されている。ロータはモータベースから供給される動力により回転可能になっている。ロータの回転により錠剤案内溝が錠剤出口に近づいてくると、仕切部材の上方にある錠剤と仕切部材の下方にある錠剤とが仕切部材で分離され、仕切部材の上方にある錠剤は仕切部材により落下が阻止され、仕切部材の下方にある錠剤は錠剤出口から排出され、モータベースの錠剤排出路を通って所定の位置に排出される。

　特許文献１には、錠剤案内溝の両側面を形成する第１と第２の壁部を相対的に移動させて錠剤案内溝の幅を調整可能とした錠剤カセットが記載されている。この錠剤カセットでは、第１と第２の壁部を離間させて錠剤案内溝の幅を拡大すると、錠剤案内溝の第３壁部と第１及び第２の壁部との間に隙間が生じ、この隙間に錠剤が挟まることがある。特に、幅広で厚みの薄い錠剤の場合、錠剤案内溝の幅を広くするので、隙間が大きくなる結果、この隙間に錠剤が挟まりやすい。

特許第６２２２４１４号明細書

　本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、錠剤案内溝を構成する壁部に隙間が生じない錠剤排出装置及び錠剤分包装置を提供することを課題とする。

　前記課題を解決するための手段として、本発明に係る錠剤排出装置は、
（１）錠剤を収容する錠剤容器と、前記錠剤容器に回転可能に設けられたロータとを備え、
　前記錠剤容器に収容された錠剤を前記錠剤容器に形成された錠剤排出孔に案内する錠剤案内溝が前記ロータに形成され、
　前記錠剤案内溝は、第１壁部と第２壁部とを有し、
　前記第１壁部と前記第２壁部が相対的に移動可能である錠剤排出装置において、
　前記第１壁部と前記第２壁部の間に、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動により形成される隙間に錠剤が進入するのを防止する錠剤進入防止部材が設けられていることを特徴とする。
　なお、本発明において、「錠剤進入防止部材」は、隙間を完全に塞ぐだけでなく、錠剤が進入しない程度に隙間を狭めたり、隙間を埋めること、さらに少なくとのその一部が隙間に近接することで、隙間に錠剤が進入するのを防止する部材も含む。

（２）前記錠剤案内溝は、前記第１壁部と前記第２壁部の間に位置する第３壁部を有し、
　前記錠剤進入防止部材は、前記第３壁部と前記第１壁部の間に位置する第１錠剤進入防止部材と、前記第３壁部と前記第２壁部の間に位置する第２錠剤進入防止部材とからなることが好ましい。
（３）この場合、前記第１錠剤進入防止部材は、前記第１壁部又は前記第３壁部に向かって付勢され、前記第１壁部の移動に追従して移動し、
　前記第２錠剤進入防止部材は、前記第２壁部又は前記第３壁部に向かって付勢され、前記第２壁部の移動に追従して移動することが好ましい。
（４）また、前記第１錠剤進入防止部材と前記第２錠剤進入防止部材は、弾性部材で連結され、前記弾性部材により、前記第１錠剤進入防止部材は前記第１壁部又は前記第３壁部に向かって付勢され、前記第２錠剤進入防止部材は前記第２壁部又は前記第３壁部に向かって付勢されていることが好ましい。
（５）前記錠剤案内溝は、前記第１壁部と前記第２壁部の間に位置する第３壁部を有し、
　前記錠剤進入防止部材は、前記第１壁部又は前記第２壁部のいずれか一方と前記第３壁部との間に位置するようにしてもよい。
（６）この場合、前記錠剤進入防止部材は、前記第１壁部又は前記第３壁部に向かって付勢され、前記第１壁部の移動に追従して移動することが好ましい。
（７）また、前記錠剤進入防止部材は、前記第２壁部又は前記第３壁部に向かって付勢され、前記第２壁部の移動に追従して移動することが好ましい。

（８）前記錠剤進入防止部材は、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動により形成される前記隙間に配設され、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動に伴って、前記第１壁部と前記第２壁部の移動方向の寸法が可変である。
（９）前記錠剤進入防止部材は、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動により形成される前記隙間に配設され、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動に伴って、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動方向の一側端から他側端に向かって寸法が可変である。
（１０）本発明に係る錠剤分包装置は、前記錠剤排出装置が複数配置され、前記錠剤排出装置から排出される錠剤を包装して払い出すことを特徴とする。

　本発明によれば、第１壁部と第２壁部の間に錠剤進入防止部材が設けられているので、第１壁部と第２壁部の相対的な移動により形成される隙間が大きくなっても、この隙間に錠剤が挟まって、錠剤の排出を妨げたり、挟まった錠剤と次の錠剤が同時に排出されたり、ロータの回転を阻止することがなくなる。特に、幅広で厚みの薄い錠剤の場合、適切に排出することができるという効果を有している。

錠剤案内溝調整装置を備えた錠剤分包装置の斜視図。第１実施形態に係る錠剤カセットとベースの斜視図。錠剤カセットの蓋を取り外した状態の斜視図。錠剤カセットの底から見た斜視図。カセット本体の断面図。錠剤カセットのロータを取り外した状態の斜視図。カセット本体のロータ駆動部の分解斜視図。カセット本体の仕切調整機構の分解斜視図。仕切部材の進入位置を示すカセット本体の断面図。ロータの全体斜視図。ロータの底から見た斜視図。深さ調整機構の分解斜視図。高さ調整機構の分解斜視図。幅調整機構の分解斜視図。深さ調整機構による深さの調整状態を説明するカセット本体の断面図。高さ調整機構による高さの調整状態を説明するカセット本体の断面図。幅調整機構による幅の調整状態を説明する可動部材と幅調整部材の平面図（ａ）及び底面図（ｂ）。錠剤進入防止部材を有するロータ本体の分解斜視図。幅小時の錠剤進入防止部材の動作を示すロータの正面図（ａ）及び断面図（ｂ）。幅大時の錠剤進入防止部材の動作を示すロータの正面図（ａ）及び断面図（ｂ）。第２実施形態に係る錠剤カセットの分解斜視図。カセット本体の断面図。仕切部材切換機構を取り外したカセット本体の後部を示す斜視図。ロータカバーを取り外したロータの斜視図。深さ調整機構を示す斜視図。深さ調整機構の分解斜視図。図２５Ａの深さ調整ガイドの下方から見た斜視図（ａ）及び可動部材の斜視図（ｂ）。深さ調整機構による深さの調整状態を説明するロータの断面図。第４ベース、第５ベース及び幅調整機構を示す斜視図。幅調整機構の分解斜視図。図２８Ａの第２可動部材の下方から見た斜視図（ａ）及び幅調整部材の拡大平面図（ｂ）。幅調整機構による幅の調整状態を説明するロータの断面図。仕切部材交換機構の分解斜視図（ａ）、仕切部材の平面図（ｂ）。仕切部材の非動作状態（ａ）と動作状態（ｂ）を示す断面図。仕切部材の動作を示す水平断面図。仕切部材の動作を示す垂直断面図（ａ）及び仕切部材による仕切位置を示す拡大断面図（ｂ）。錠剤進入防止部材を有する可動部材の分解斜視図。幅小時の錠剤進入防止部材の動作を示すロータの正面図（ａ）及び断面図（ｂ）。幅大時の錠剤進入防止部材の動作を示すロータの正面図（ａ）及び断面図（ｂ）。第３実施形態に係る錠剤カセットにおける錠剤進入防止部材の動作を示す一部破断平面図。弾性変形部材からなる錠剤進入防止部材の動作を示すロータの断面図、図３８の弾性変形部材からなる錠剤進入防止部材の変形例を示すロータの断面図。錠剤進入防止部材を第１壁部と第３壁部の間に設けた変形例を示すロータの断面図。

　以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。

１．第１実施形態
　図１は、処方に応じた種類と個数の錠剤を包装して払い出すことができる錠剤分包装置１を示す。錠剤分包装置１には、多数の錠剤カセット２がそれぞれのベース３に着脱可能に設けられている。錠剤カセット２は、本発明の錠剤排出装置の一実施形態である。錠剤分包装置１の横に設けられた台４には、錠剤カセット２の錠剤案内溝を自動的に調整する錠剤案内溝調整装置１００が設置されている。なお、本発明でいう「錠剤」には、狭義の錠剤のほか、カプセル、糖衣錠など錠剤カセット２で排出可能な薬剤を含む。

　図２は、錠剤分包装置１に装着される本発明の第１実施形態に係る錠剤カセット２とそのベース３を示す。錠剤カセット２は、カセット本体５と、該カセット本体５の上方開口を開閉かつ着脱可能に覆う蓋６と、カセット本体５の下部に設けられたスカート部７と、図３に示すようにカセット本体５に収容されたロータ８とからなっている。カセット本体５は、本発明の錠剤容器の一実施形態である。

　蓋６の上面とスカート部７の正面には、錠剤カセット２に収容される錠剤を識別することができるラベル又はカードが収容されるポケット６ａ、７ａが形成されている。図４に示すように、スカート部７の内側面には、図２に示すベース３の装着ガイド３ａに摺接するスライド部７ｂと、装着ガイド３ａの係止部３ｂに係合する弾性係合片７ｃが設けられている。

＜カセット本体の構造＞
　図５に示すように、カセット本体５は、上方に開口する矩形の上部５ａと、逆円錐状の傾斜部５ｂと、円筒状部５ｃと、底部５ｄとから構成されている。底部５ｄから傾斜部５ｂまでの内部空間には、ロータ８が収容されるとともに、ロータ８より上方に多数の錠剤Ｔが収容可能になっている。傾斜部５ｂの下部から底部５ｄにかけて錠剤排出孔９が形成されている。錠剤排出孔９は、図２に示すベース３に形成された錠剤排出路３ｃに連通している。カセット本体５の外側には、仕切部材２０と、該仕切部材２０の位置を調整する後述する仕切調整機構Ｍ１が取り付けられている。該仕切部材２０の先端は傾斜部５ｂの外側から錠剤排出孔９の上方に形成された図６に示すスリット９ａを介して内側に差し込まれている。底部５ｄの中央には、図６に示すロータ駆動部１０が収容されるロータ軸孔１１が形成されている。

＜ロータ駆動部＞
　図７に示すように、ロータ駆動部１０は、ロータ軸孔１１に貫通する駆動軸１２と、該駆動軸１２の上端に係合して該駆動軸１２と一体に回転する係合軸１３と、駆動軸１２の下端に係合して該駆動軸１２と一体に回転する駆動ギア１４と、係合軸１３、駆動軸１２及び駆動ギア１４を貫通してこれらを一体化する中心軸１５とから構成されている。係合軸１３は、駆動軸１２の上端面に当接する円形の基部１３ａと、該基部１３ａの外周縁から下方に突出する周６等配位置にある係合片１３ｂと、隣接する係合片１３ｂの下端を連結する連結部１３ｃとからなっている。係合片１３ｂ及び連結部１３ｃの内面は、リング１６を介して、ロータ軸孔１１の縁に設けられた環状突起１１ａの外周面に摺動自在に設けられている。係合片１３ｂは、ロータ８を装着したときに、図１０に示すロータ８の係合凹部４１ａの係合片４４間のスリット４４ａに係合して、ロータ駆動部１０の回転力をロータ８に伝達する。中心軸１５の上端には、鍔１５ａと孔１５ｂが形成されている。中心軸の孔１５ｂには、環状の磁石１５ｃが３個の積重ねられた状態で挿入され、ねじ１５ｄで固定されている。磁石１５ｃは、１個の円柱状のものでもよい。中心軸１５の下端は、図４に示すカセット本体５の底部５ｄに取り付けられたギアカバー１７を貫通してＣ形止め輪１５ｅにより抜け止めされている。駆動ギア１４は、図４に示す中間ギア１８を介して、図２に示すベース３のモータギア３ｄに係合して駆動されるようになっている。

　駆動ギア１４には、図４に示すように、カセット本体５の底面に設けられた係止レバー１９の一端の係止爪１９ａが係止している。係止レバー１９の他端の作動部１９ｂは錠剤カセット２の装着方向に延びている。錠剤カセット２をベース３に装着すると、係止レバー１９の作動部１９ｂが図２に示すベース３の所定の当接部３ｅに当接して係止レバー１９をばね１９ｃの付勢力に抗して回動させ、係止爪１９ａが駆動ギア１４から離脱して、駆動ギア１４が回転駆動可能となる。また、錠剤カセット２をベース３から引き出すと、係止レバー１９の作動部１９ｂがベース３の当接部３ｅから離れ、係止レバー１９がばね１９ｃの付勢力で回動し、係止爪１９ａが駆動ギア１４に係止して、駆動ギア１４の回転が阻止される。この結果、引き出した錠剤カセット２のロータ８の不意の回転により錠剤Ｔが落下するのを防止することができる。

＜仕切調整機構＞
　図８Ａに示すように、仕切部材２０は、上に凸に湾曲した櫛状に形成されている。仕切部材２０は、仕切調整機構Ｍ１によりロータ８に対して進退移動可能になっている。仕切調整機構Ｍ１は、第１固定部材２１と、第２固定部材２２と、可動部材２３と、調整部材２４とからなっている。

　第１固定部材２１の中央には、可動部材２３のスライド部２３ｃとストッパ２８が収容される上ケース部２１ａが形成されている。第１固定部材２１の上ケース部２１ａの両側には取付孔２１ｂが形成されている。第１固定部材２１の下面には、可動部材２３を押圧して安定させる１対の弾性片２１ｃが形成されている。弾性片２１ｃの先端には、可動部材２３の溝２３ｄに係合する突部２１ｄが形成されている。

　第２固定部材２２の中央には、可動部材２３のスライド部２３ｃとストッパ２８が収容される下ケース部２２ｂが形成されている。第２固定部材２２の下ケース部２２ａの両側の下縁には、逆Ｕ字形の切欠き２２ｂが形成されている。第１固定部材２１の上ケース部２１ａと第２固定部材２２の下ケース部２２ａは、互いに組み合わされると、可動部材２３のスライド部２３ｃを収容する下方に開口した可動部材収容部２５と、ストッパ２８が収容されるストッパ収容部２６を形成する。可動部材収容部２５の上ケース部２１ａの下縁と下ケース部２２ａの上縁には、調整部材２４の軸方向の両端を軸方向に移動不能に支持する半円の切欠き２７が形成されている。

　可動部材２３は、下端に仕切部材２０を保持する保持部２３ａと、上端にねじ孔２３ｂを有するスライド部２３ｃが形成されている。可動部材２３の上面両端部には、溝２３ｄが形成されている。

　調整部材２４は、可動部材２３のスライド部２３ｃのねじ穴２３ｂに螺合するねじ部２４ａと係合ギア２４ｂを有している。係合ギア２４ｂにはストッパ２８が係止して所要位置に固定できるようになっている。可動部材２３の溝２３ｄと、第１固定部材２１の突部２１ｄが係合することにより、可動部材２３は調整部材２４の回転方向に固定されているので、調整部材２４が回転すると、可動部材２３が調整部材２４の軸方向に移動するようになっている。

　仕切調整機構Ｍ１を組み立てるには、まず、可動部材２３のスライド部２３ｃを、第２固定部材２２の下ケース部２２ａに下方から収容し、調整部材２４をスライド部２３ｃに螺合して貫通させた後、調整部材２４の両端を下ケース部２２の切欠き２７に載置する。また、第２固定部材２２の下ケース部２２ａにストッパ２８を収容する。この状態で、調整部材２４が第１固定部材２１と第２固定部材の切欠き２７が形成する孔を貫通するように第２固定部材２２に第１固定部材２１を重ね合わせると、上ケース部２１ａに設けられた弾性係止片２２ｅの爪２２ｆが下ケース部２２ａの下縁に係止して一体に組み付けられる。また、係合ギア２４ｂよりも切欠き２７の大きさが小さいので、係合ギア２４ｂは軸方向に移動不能に上ケース部２２ａと下ケース部２２ｂに固定される。続いて、第２固定部材２２の切欠き２２ｂと第１固定部材２１の取付孔２１ｂに固定ねじ２９を通してカセット本体５の背面のねじ穴５ｅにねじ込むことで、カセット本体５に固定される。

　仕切調整機構Ｍ１の調整部材２４を回転させると、スライド部２３ｃが第１固定部材２１の上ケース２１ａと第２固定部材２２の下ケース２２ｂの可動部材収容部２５内で移動するので、図８Ｂに示すように、可動部材２３に保持した仕切部材２０がカセット本体５内のロータ８に向かって前進又は後退して、仕切部材２０の先端位置２０ａを調整することができる。すなわち、図８Ｂ（ａ）に示すように、錠剤Ｔの厚さが厚い場合は、後に詳述するようにロータ８のロータ本体３１を上昇させて下部傾斜外面３５ｃとカセット本体５の傾斜部５ｂとの間の錠剤案内溝８ｂの溝の深さＤを大きくするが、これに伴って、仕切部材２０の先端もロータ８に向かって前進させる。図８Ｂ（ｂ）に示すように、錠剤Ｔの厚さが薄い場合は、ロータ８のロータ本体３５を下降させて下部傾斜外面３５ｃとカセット本体５の傾斜部５ｂとの間の錠剤案内溝８ｂの溝の深さＤを小さくするが、これに伴って、仕切部材２０の先端もロータ８にから後退させる。

＜ロータの全体構造＞
　ロータ８は、図９，１０に示すように、概略、上面が円錐形、側面が逆円錐形、底面が平坦な形状を有している。ロータ８の側面上部には、周方向に錠剤ポケット８ａが設けられ、該錠剤ポケット８ａから下方に延びる複数の錠剤案内溝８ｂが周方向に等間隔に設けられている。

　錠剤ポケット８ａは、後述するロータ本体３５の外周面と、後述する第１可動部材６０の第１水平突片７３と第２可動部材６１の第２水平突片８２とで形成され、カセット本体５の傾斜部５ｂに囲まれて、カセット本体５内に収容された錠剤Ｔを受け入れて周方向に整列させる。

　錠剤案内溝８ｂは、後述するロータ本体３５の下部傾斜外面３５ｃと、後述する第１可動部材６０の第１垂直突片７２、後述する第２可動部材６１の第２垂直突片８１と、後述する環状昇降部材５１の錠剤支持台５５とで溝状に形成され、カセット本体５の傾斜部５ｂに覆われて、錠剤ポケット８ａに整列している錠剤Ｔを受け入れて下方に案内する。

　錠剤案内溝８ｂは、錠剤カセットに収容される錠剤の形状又は大きさに応じて、溝の深さ、高さ、幅を調整し、錠剤が円滑に錠剤案内溝８ｂを通過し、図５に示す錠剤排出孔９から排出されるようにする必要がある。ここで、錠剤案内溝８ｂの溝の「深さ」は、錠剤案内溝８ｂを通る錠剤の厚さ方向の寸法であって、カセット本体５の傾斜部５ｂとロータ本体３１の下向き突部３５の下部傾斜外面３５ｃとの間の寸法Ｄである。溝の「高さ」は、錠剤案内溝８ｂを通る錠剤の高さ方向の寸法であって、仕切部材２０とロータ８の環状昇降部材５１の錠剤支持台５５との間の寸法Ｈである。溝の「幅」は、錠剤案内溝８ｂを通る錠剤の幅方向の寸法であって、第１可動部材６０の第１垂直突片７２と第２可動部材６１の第２垂直突片８１との間の寸法Ｗである。

　ロータ８は、錠剤案内溝８ｂの溝形状を調整するために、深さ調整機構Ｍ２、高さ調整機構Ｍ３、幅調整機構Ｍ４を有している。以下、これらを順に説明する。

＜深さ調整機構＞
　図１１は、深さ調整機構Ｍ２を構成する部材を示す。深さ調整機構Ｍ２は、ロータカバー３０と、ロータ本体３１と、ロータベース３２と、深さ調整部材３３とから構成されている。

　ロータカバー３０は、全体的に傘形状を有している。ロータカバー３０の上面は円錘形に形成されている。

　ロータ本体３１は、円形の基部３４と、下向き突部３５と、環状部３６と、ガイド部３７とを有している。

　基部３４にはその中央に軸部３８が設けられ、該軸部３８に図示しないねじ孔が形成されている。基部３４の上面には、後述する高さ調整部材５２と幅調整部材６４が露出する２つの孔３４ａ，３４ｂが形成されている。

　下向き突部３５は、基部３４の外周縁の６等配位置から下方に延びている。下向き突部３５は、垂直な内面３５ａと、基部３４の外周縁から外方に下向きに傾斜する上部傾斜外面３５ｂと、該上部傾斜外面３５ｂの下端から内方に下向きに傾斜する下部傾斜外面３５ｃと、両側面３５ｄとからなり、側面から見て三角形に形成されている。下部傾斜外面３５ｃは錠剤案内溝８ｂの溝の底面を形成している。下向き突部３５の下端には、スリット３５ｅが形成されている。

　環状部３６は、基部３４の外側に同心に形成され、下向き突部３５を介して基部３４と接続されている。

　ガイド部３７は、下向き突部３５の間で、基部３４の外周縁の６等配位置から下方に延びている。ガイド部３７の内面の両側には、後述するロータベース３２のガイド片４０がスライド可能に係合するガイド縁３７ａが形成されている。ガイド片４０とガイド縁３７ａが係合することによって、ロータ本体３１とロータベース３２は一体的に回転する。６個のガイド部３７の内いずれか１のガイド部３７の下端には、ゼロ点を検出する検出部となる突起３７ｂが形成されている。

　ロータベース３２は、環状の基部３９と、ガイド片４０と、係合部４１とを有している。

　基部３９は、上面に環状壁４２が形成されている。環状壁４２には、周６等配位置に軸方向に延びる垂直スリット４２ａが形成されている。

　ガイド片４０は、基部３９の外周縁の周６等配位置であって、かつ、隣接する垂直スリット４２ａの間に、上方に突出している。ガイド片４０はロータ本体３１のガイド部３７のガイド縁３７ａにスライド可能に係合するように形成されている。ガイド片４０と環状壁４２の間には補強リブ４３が設けられている。

　係合部４１は、基部３９の内周縁の周６等配位置から上方に立ち上がる係合片４４と、該係合片４４の上端に設けられた円形突部４５を有している。係合部４１は、裏面からみると、図１０に示すように、ロータ駆動部１０が係合する係合凹部４１ａを形成している。隣接する係合片４４の間のスリット４４ａには、ロータ駆動部１０の係合片１３ｂが係合している。円形突部４５の内部には、ロータ駆動部１０の中心軸１５に設けられた磁石１５ｃに吸着する磁性板４６が埋設されている。円形突部４５の上面の中心には深さ調整部材３３が支持されている。円形突部４５には、深さ調整部材３３の自由な回転を防止するストッパ４８を収容する穴４５ａと、後述する第２支持部材６３の２つのねじ挿通孔９３に挿通された図示しないねじが螺合する２つのねじ孔４５ｂが形成されている。

　円形突部４５と環状壁４２との間には、後述する高さ調整機構Ｍ３を収容する環状凹部４７が形成されている。

　深さ調整部材３３は、雄ねじ部３３ａと下端のギア部３３ｂとを有している。雄ねじ部３３ａはロータ本体３１の軸部３８の図示しないねじ孔に螺合し、下端のギア部３３ｂはロータベース３２の円形突部４５に支持されている。雄ねじ部３３ａの上端は、係合部３３ｃが形成され、ロータ本体３１の軸部３８から突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。ギア部３３ｂの歯間には弾性片からなるストッパ４８の先端が係止している。

　深さ調整部材３３は、ギア部３３ｂが第１支持部材６２とロータベース３２によって軸方向の移動が拘束され、またロータ本体３１のガイド縁３７ａがロータベース３２のガイド片４０と係合することによってロータ本体３１がロータベース３２に対して回転することが拘束されている。このように、ロータベース３２が回転しない状態で、深さ調整部材３３を回転させると、深さ調整部材３３の雄ねじ部３３ａと螺合する図示しないねじ孔を有するロータ本体３１がロータ４の回転軸方向に上昇又は下降する。これに伴い、錠剤案内溝８ｂの底面を形成するロータ本体３１の下向き突部３５の下部傾斜外面３５ｃも上昇又は下降する。

　図１４を参照すると、下向き突部３５の下部傾斜外面３５ｃは、上から下に向かうにつれて径方向に外方から内方に向かって傾斜し、カセット本体５の逆円錐状の傾斜部５ｂと平行になっている。このため、ロータ本体３１の下向き突部３５の下部傾斜外面３５ｃが下降すると、下向き突部３５の下部傾斜外面３５ｃとカセット本体５の円錐状の傾斜部５ｂとの間の距離が縮小し、錠剤案内溝８ｂの深さを浅く（Ｄ１）することができる。逆に、ロータ本体３１の下向き突部３５の下部傾斜外面３５ｃが上昇すると、下向き突部３５の下部傾斜外面３５ｃとカセット本体５の逆円錐状の傾斜部５ｂとの間の距離が拡大し、錠剤案内溝８ｂの深さを深く（Ｄ２）することができる。このように、深さ調整部材３３を左又は右に回転することで、錠剤案内溝８ｂを通る錠剤Ｔの厚さに応じて、錠剤案内溝８ｂの深さを調整することができる。なお、図１１に示す深さ調整部材３３のギア部３３ｂが回転する毎に、ストッパ４８の先端がギア部３３ｂの歯を乗り越えて歯間に係合するので、深さ調整部材３３を適当な位置で止めて、ロータ本体３５を所望の高さ位置に固定することができる。

＜高さ調整機構＞
　図１２は、高さ調整機構Ｍ３を構成する部材を示す。高さ調整機構Ｍ３は、筒状回転部材５０と、環状昇降部材５１と、高さ調整部材５２とから構成されている。

　筒状回転部材５０は、外周下部に雄ねじ部５０ａが形成され、内周上部に従動ギア５０ｂが形成されている。従動ギア５０ｂには筒状回転部材５０の自由な回転を防止するストッパ５３が係合している。

　環状昇降部材５１は、外周の６等配位置に放射状にアーム５４が突設され、各アーム５４の先端に錠剤支持台５５が形成されている。錠剤支持台５５は、錠剤案内溝８ｂ内の最下位の錠剤Ｔを支持できるように、錠剤案内溝８ｂに直交するように傾斜している。環状昇降部材５１の内面には筒状回転部材５０の雄ねじ部５０ａと螺合する雌ねじ部５１ａが形成されている。

　高さ調整部材５２は、下端に筒状回転部材５０の従動ギア５０ｂに噛み合う駆動ギ５２ａを有している。高さ調整部材５２の上端は、係合部５２ｂが形成され、ロータ本体３１の基部３４の上面の孔３４ａから突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。高さ調整部材５２は、後述する第２支持部材６３の孔９０の縁に上下方向に移動不能に保持されている。

　筒状回転部材５０と環状昇降部材５１は互いに螺合した状態で、ロータベース３２の環状凹部４７に収容され、環状昇降部材５１のアーム５４がロータベース３２の環状壁４２のスリット４２ａにスライド可能に嵌入し、錠剤支持台５５がロータベース３２の環状壁４２の外側に突出し、錠剤案内溝８ｂ内の最下位の錠剤Ｔを支持するようになっている。

　図１５に示すように、錠剤Ｔの高さに相当する錠剤案内溝８ｂの高さＨを調整するには、高さ調整機構Ｍ３の高さ調整部材５２を左又は右に回転させる。本発明では、仕切部材２０はカセット本体５に対して高さ方向に固定されているので、錠剤案内溝８ｂの高さＨを調整するのに、仕切部材２０自体を移動させるのではなく、仕切部材２０の下方にある錠剤支持台５５を昇降させ、仕切部材２０と錠剤支持台５５との間の距離を調整することで、錠剤案内溝８ｂの錠剤支持台５５から仕切部材２０の高さＨを調整するのである。

　高さ調整部材５２を回転させると、筒状回転部材５０が回転する。筒状回転部材５０は、第２支持部材６３とロータベース３２により上下の移動が拘束されている。筒状回転部材５０の雄ねじ部５０ａに螺合する雌ねじ部５１ａを有する環状昇降部材５１はアーム５４がロータベース３２の環状壁４２のスリット４２ａを貫通していて回転が拘束されている。このため、筒状回転部材５０の回転により、環状昇降部材５１が昇降し、環状昇降部材５１の錠剤支持台５５が昇降する。

　すなわち、図１５に示すように、筒状回転部材５０が一方に回転すると、環状昇降部材５１の錠剤支持台５５が上昇し、錠剤支持台５５に対する仕切部材２０の位置、すなわち、高さが低く（Ｈ１）なる。逆に、筒状回転部材５０が他方に回転すると、環状昇降部材５１の錠剤支持台５５が下降し、錠剤支持台５５に対する仕切部材２０の位置、すなわち、高さが高く（Ｈ２）なる。なお、高さ調整部材５２の回転により筒状回転部材５０が回転する毎に、ストッパ５３の先端が筒状回転部材５０の従動ギア５０ｂの歯を乗り越えて歯間に係合するので、高さ調整部材５２を適当な位置で止めて、錠剤支持台５５を所望の高さ位置に固定することができる。

＜幅調整機構＞
　図１３は、幅調整機構Ｍ４を構成する部材を示す。幅調整機構Ｍ４は、第１可動部材６０と、第２可動部材６１と、第１支持部材６２と、第２支持部材６３と、幅調整部材６４とから構成されている。

　図１３に示すように、第１可動部材６０は、上部材６０ａと下部材６０ｂからなるが、上部材６０ａの係合突部６５と下部材６０ｂの係合突部６６が係合して両者は一体に回転可能である。

　第１可動部材６０の上部材６０ａには、環状の基部６７の内周に略半円型の切欠き６８と長孔６９が隣り合って形成されている。第１可動部材６０を上から見て切欠き６８の中心に対して対向する切欠き６８の縁には、第１可動部材６０の円周方向に対向するＡ突起６８ａとＢ突起６８ｂが形成されている。Ａ突起６８ａとＢ突起６８ｂは、後述する第１調整軸９４のＡカム９４ａとＢカム９４ｂに摺接するカムフォロアとなる。

　第１可動部材６０の下部材６０ｂは、円環状の基部７０と、６つの壁部７１と、第１垂直突片７２と、第１水平突片７３とを有している。６つの壁部７１は、基部７０の外周縁の周６等配位置から下向きに突出している。第１垂直突片７２は、壁部７１の正面から見て左側端から外方に突出し、前述した錠剤案内溝８ｂの右側面を形成するものである。第１垂直突片７２には仕切部材２０が嵌入する切欠き７２ａが形成されている。第１水平突片７３は、第１垂直突片７２の上端から周方向に水平に正面から見て右側に向かって延び、前述した錠剤ポケット８ａの底面を形成するものである。

　第２可動部材６１は、第１可動部材６０と同様に、上部材６１ａと下部材６１ｂからなるが、上部材６１ａの係合突部７４と下部材６１ｂの係合凹部７５が係合して両者は一体に回転可能である。

　第２可動部材６１の上部材６１ａには、環状の基部７６の内周に略半円型の切欠き７７と長孔７８が隣り合って形成されている。第２可動部材６１を上から見て対向する切欠き７７の縁には、第２可動部材６１の円周方向に対向するＡ突起７７ａとＢ突起７７ｂが形成されている。Ａ突起７７ａとＢ突起７７ｂは、後述する第２調整軸のＡカム９５ａとＢカム９５ｂに摺接するカムフォロアとなる。

　第２可動部材６１の下部材６１ｂは、円環状の基部７９と、６つの壁部８０と、第２垂直突片８１と、第２水平突片８２とを有している。６つの壁部８０は、基部７９の外周縁の周６等配位置から下向きに突出している。第２垂直突片８１は、壁部８０の正面から見て右側端から外方に突出し、前述した錠剤案内溝８ｂの左側面を形成するものである。第２垂直突片８１には仕切部材２０が嵌入する切欠き８１ａが形成されている。第２水平突片８２は、第２垂直突片８１の上端から周方向に水平に正面から見て左側に向かって延び、第１可動部材６０の第１水平突片７３ととともに、前述した錠剤ポケット８ａの底面を形成するものである。第２可動部材６１の第２水平突片８２の先端部は、第１可動部材６０の第１水平突片７３の先端部の下に重なるように形成されている。

　第１支持部材６２は、第１可動部材６０の上部材６０ａの内径より大きい外径を有する円形形状を有し、下面に円形の突部８３を有している。第１支持部材６２の中央には、後述する幅調整部材６４が貫通する孔８４、８４ａと、深さ調整機構Ｍ２の深さ調整部材３３が貫通する孔８５と、高さ調整機構Ｍ３の高さ調整部材５２が貫通する孔８６と、２つのねじ挿通孔８７とが形成されている。

　第２支持部材６３は、第１可動部材６０の上部材６０ａの内径より大きい外径を有する円形形状を有し、上面に第１支持部材６２の円形の突部８３が嵌合する環状突部８８が形成されている。第２支持部材６３の中央には、深さ調整機構Ｍ２の深さ調整部材３３が貫通する孔８９と、高さ調整機構Ｍ３の高さ調整部材５２が貫通する孔９０及び切欠き９０ａと、後述する幅調整部材６４の第１調整軸９４が貫通する孔９１ａと、第２調整軸９５が嵌合する孔９１ｂと、第１支持部材６２の２つのねじ挿通孔８７に挿通される図示しないねじが螺合する２つのねじ孔９２と、２つのねじ挿通孔９３が形成されている。

　第１支持部材６２のねじ挿通孔８７から第２支持部材６３のねじ孔９２に図示しないねじを挿入して締め付けることで、第１支持部材６２と第２支持部材６３は第１可動部材６０、第２可動部材６１を挟持した状態で一体とになっている。
　また、第２支持部材６３のねじ挿通孔９３からロータベース３２のねじ孔４５ｂに図示しないねじを挿入して締め付けることで、第２支持部材６３がロータベース３２に固定されるとともに、第２支持部材６３とロータベース３２の間に高さ調整機構Ｍ３の筒状回転部材５０が保持され、軸方向の移動が拘束される。

　幅調整部材６４は、第１調整軸９４と第２調整軸９５からなっている。第１調整軸９４は、切欠き６８内に配置されている。第２調整軸９５は、長孔６９内に配置されている。第２調整軸９５には、幅調整部材６４の自由な回転を防止するストッパ９６が設けられている。

　第１調整軸９４は、上端から順にＡカム９４ａ、Ｂカム９４ｂ、ギア９４ｃが形成されている。Ａカム９４ａは、図１６に示すように、幅調整部材６４を上から見て時計回りに３６０°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第１可動板６０のＡ突起６８ａと摺接するようになっている。Ｂカム９４ｂは、幅調整部材６４を上から見て反時計回りに３６０°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第１可動板６０のＢ突起６８ｂと摺接するようになっている。Ａカム９４ａの最大半径部とＢカム９４ｂの最大半径部は１８０°離れて位置する。第１調整軸９４の上端は第１支持部材６２の孔８４ａに支持され、下端は第２支持部材６３の孔９１ａに支持されている。

　同様に、第２調整軸９５は、下端から順にＡカム９５ａ、Ｂカム９５ｂ、ギア９５ｃ、係合部９５ｄが形成されている。Ａカム９５ａは、幅調整部材６４を下から見て時計回りに３６０°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第２可動部材６１のＡ突起７７ａと摺接するようになっている。Ｂカム９５ｂは、幅調整部材６４を下から見て反時計回りに３６０°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第２可動板６１のＢ突起７７ｂと摺接するようになっている。Ａカム９５ａの最大半径部とＢカム９５ｂの最大半径部は１８０°離れて位置する。第２調整軸９５のギア９５ｃは、ギア９４ｃと噛合して連動するように構成されている。第２調整軸９５の上端は第１支持部材６２の孔６９を貫通してロータ本体３１から突出して孔３４ａから露出し、外部から回転調整可能になっている。第２調整軸９５の下端は第２支持部材６３の孔９１ｂに支持されている。なお、第１調整軸９４の上端が第１支持部材６２を貫通してロータ本体３５から突出して露出し、外部から回転調整可能にしてもよい。

　第２調整軸９５を図１６（ａ）において時計回りに回転させると、第２調整軸９５のギヤ９５ｃから第１調整軸９４のギヤ９４ｃに回転力が伝達され、第１調整軸９４は反時計回りに回転する。第１調整軸９４の回転により、第１調整軸９４のＡカム９４ａが第１可動部材６０のＡ突起６８ａに摺接して押圧するので、第１可動部材６０は図１６（ａ）において時計回りに回動する。一方、第２調整軸９５の回転により、図１６（ｂ）に示すように、第２調整軸９５のＡカム９５ａが第２可動部材６１のＡ突起７７ａに摺接して押圧するので、第２可動板６１は図１６（ｂ）において時計回り、図１６（ａ）において反時計回りに回動する。

　続いて、第２調整軸９５を図１６（ａ）において反時計回りに回転させると、第２調整軸９５のギヤ９５ｃから第１調整軸９４のギヤ９４ｃに回転力が伝達され、第１調整軸９４は時計回りに回転する。第１調整軸９４の回転により、第１調整軸９４のＢカム９４ｂが第１可動部材６０のＢ突起６８ｂに摺接して押圧するので、第１可動部材６０は図１６（ａ）において反時計回りに回動する。一方、第２調整軸９５の回転により、図１６（ｂ）に示すように、第２調整軸９５のＢカム９５ｂが第２可動部材６１のＢ突起７７ｂに摺接して押圧するので、第２可動部材６１は図１６（ｂ）において反時計回り、図１６（ａ）において時計回りに回動する。

　このように、第１可動部材６０と第２可動部材６１は互いに反対方向に回転し、第１可動部材６０の第１垂直突片７２と第２可動部材６１の第２垂直突片８１の間隔、すなわち、錠剤案内溝８ｂの幅を拡大したり、縮小することができる。

　次に、以上の構成からなる錠剤カセット２におけるロータ８の動作を説明する。

　既に述べたように、図５に示すカセット本体５とロータ８の間には、ロータ８の側面上部に周方向に延びる錠剤ポケット８ａと、ロータ８の側面上部から下方に延びる複数の錠剤案内溝８ｂを有している。

　図５を参照すると、カセット本体５に収容された錠剤Ｔは、ロータ８の回転により撹拌されながら錠剤ポケット８ａに進入し、錠剤ポケット８ａから錠剤案内溝８ｂに進入し、錠剤案内溝８ｂが錠剤排出孔９に近づくと、錠剤案内溝８ｂの最下位の錠剤Ｔとそれより上の錠剤Ｔとの間にカセット本体５に固定された仕切部材２０が進入する。仕切部材２０より上方の錠剤Ｔは仕切部材２０によって下方に落下するのを阻止される。仕切部材２０より下方の最下位の錠剤Ｔは、錠剤支持台５５にあるが、錠剤支持台５５は傾斜しているので、当該錠剤支持台５５上で錠剤排出孔９に向かって倒れ、錠剤排出孔９から排出される。錠剤排出孔７から排出された錠剤Ｔは、図２に示すベース２の錠剤排出路３ｃを通って配収される。これにより、錠剤案内溝８ｂが錠剤排出孔９に回ってくる毎に、錠剤Ｔが１個ずつ排出される。ロータ８の回転角度を調整することで、処方に応じた数の錠剤Ｔを排出することができる。

　錠剤案内溝８ｂは、前述した仕切調整機構Ｍ１、深さ調整機構Ｍ２、高さ調整機構Ｍ３、幅調整機構Ｍ４を用いて、錠剤Ｔの厚さに対する仕切部材２０の進入位置、錠剤Ｔの厚さに相当する深さＤ、錠剤の高さに相当する高さＨ、錠剤Ｔの幅に相当する幅Ｗを調整することができる。このため、カセット本体５に収容する錠剤Ｔの形状又は大きさに応じて、適切な大きさの錠剤案内溝８ｂにすることができる。錠剤Ｔが異なるごとに、錠剤カセット２全体又はロータ８を交換することなく、同じ錠剤カセット２又はロータ８を用いて、種々の錠剤Ｔに合わせた錠剤案内溝８ｂに調整することで、排出することができる。このような調整は、詳細な説明は省略するが、錠剤案内溝調整装置により自動的に行うことができる。

＜錠剤進入防止部材＞
　図１７は、前述した錠剤案内溝８ｂの第３壁部である下向き突部３５と、錠剤案内溝８ｂの第１壁部である第１垂直突片７２との間の隙間を塞ぐ第１錠剤進入防止部材１０１ａ、及び、錠剤案内溝８ｂの第３壁部である下向き突部３５と、錠剤案内溝８ｂの第２壁部である第２垂直突片８１との間の隙間を塞ぐ第２錠剤進入防止部材１０１ｂを示す。

　下向き突部３５の上部傾斜外面３５ｂには、矩形の切欠き３５ｆが形成されている。切欠き３５ｆは、矩形の蓋１０２が取り付けられている。蓋１０２には、切欠き３５ｆの半径方向外側の外縁と半径方向内側の内縁に係合する係合突起１０２ａ、１０２ｂが形成されるとともに、係合突起１０２ｂの近傍に第１錠剤進入防止部材１０１ａと第２錠剤進入防止部材１０２を取り付ける上取付穴１０２ｃが形成されている。

　下向き突部３５の両側面３５ｄには、略三角形の切欠き３５ｇが形成され、両側面の中間に隔壁３５ｈが形成されている。切欠き３５ｇの下部には、第１錠剤進入防止部材１０１ａと第２錠剤進入防止部材１０１ｂを取り付ける下取付穴３５ｉが形成されている。

　第１錠剤進入防止部材１０１ａと第２錠剤進入防止部材１０１ｂは、互いに対称な形状を有しているので、第１錠剤進入防止部材１０１ａについてのみ説明すると、第１錠剤進入防止部材１０１ａは、下向き突部３５の上部傾斜外面３５ｂに平行な上斜辺１０３ａと、下部傾斜外面３５ｃに平行な下斜辺１０３ｂと、垂直辺１０３ｃとからなり、下向き突部３５の両側面３５ｄの略三角形の切欠き３５ｇに嵌合する略三角形の板形状を有している。第１錠剤進入防止部材１０１ａの第２錠剤進入防止部材１０２ｂと対向する面には、後述するコイルばね１０４が係合する係合突起１０３ｄが形成されている。また、第１錠剤進入防止部材１０１ａの垂直辺１０３ｃの下端には、下取付穴３５ｉに嵌合する下突起１０３ｅが形成され、垂直辺１０３ｃの上端には、蓋１０２の上取付穴１０２ｃに嵌合する上突起１０３ｆが形成されている。

　第１錠剤進入防止部材１０１ａと第２錠剤進入防止部材１０１ｂは、下突起１０３ｅを下向き突部３５の側面３５ｄの下取付穴３５ｉに嵌合した後、蓋１０２の上取付穴１０２ｃに上突起１０３ｆが嵌合するように蓋１０２を上部傾斜外面３５ｂの切欠き３５ｆに装着することにより、下突起１０３ｅと上突起１０３ｆを中心に回動可能に取り付けられている。第１錠剤進入防止部材１０１ａと第２錠剤進入防止部材１０１ｂの係合突起１０３ｄ間にコイルばね１０４を装着することにより、第１錠剤進入防止部材１０１ａと第２錠剤進入防止部材１０１ｂはコイルばね１０４で連結され、互いに離れる方向に付勢されている。すなわち、第１錠剤進入防止部材１０１ａは、第１壁部である第１垂直突片７２に向かって付勢され、第２錠剤進入防止部材１０１ｂは、第２壁部である第２垂直突片８１に向かって付勢されている。

　第１錠剤進入防止部材１０１ａと第２錠剤進入防止部材１０１ｂを有するロータ本体３１を組み付けたロータ８では、図１８に示すように、錠剤案内溝８ｂの幅を小さくすると、第１錠剤進入防止部材１０１ａは第１垂直突片７２により押圧され、コイルばね１０４の付勢力に抗して下向き突部３５の切欠き３５ｇ内に収容される。同様に、第２錠剤進入防止部材１０１ｂは第２垂直突片８１により押圧され、コイルばね１０４の付勢力に抗して下向き突部３５の切欠き３５ｇ内に収容される。

　また、図１９に示すように、錠剤案内溝８ｂの幅を大きくすると、第１錠剤進入防止部材１０１ａはコイルばね１０４の付勢力により第１垂直突片７２の動きに追従し、下向き突部３５と第１垂直突片７２との間の隙間を塞ぐ。同様に、第２錠剤進入防止部材１０１ｂはコイルばね１０４の付勢力により第２垂直突片８１の動きに追従し、下向き突部３５と第２垂直突片８１との間の隙間を塞ぐ。これにより、錠剤案内溝８ｂの幅を大きくしたときの錠剤案内溝８ｂの第３壁部と第１壁部及び第２壁部との間の隙間が無くなるので、錠剤が挟まって、錠剤の排出を妨げたり、挟まった錠剤と次の錠剤が同時に排出されたり、ロータ８の回転を阻止することがなくなる。

２．第２実施形態
　図２０は、錠剤分包装置１に装着される本発明の第２実施形態に係る錠剤カセット２０２を示す。錠剤カセット２０２は、本発明の錠剤排出装置の一実施形態である。

　錠剤カセット２０２は図２に示す第１実施形態の錠剤カセット２のベース３と同様のベースに着脱可能に装着されるので、ベースの構造については説明を省略する。錠剤カセット２０２は、図２に示す第１実施形態の錠剤カセット２と同様に、カセット本体２０５と、蓋２０６と、スカート部２０７と、ロータ２０８とからなっている。蓋２０６及びスカート部２０７の構造は、第１実施形態の錠剤カセット２と同様であるため、説明を省略する。また、カセット本体２０５及びロータ２０８の構造のうち、第１実施形態の錠剤カセット２のカセット本体５とロータ８と同一部分については説明を省略し、相違する部分について以下に説明する。

＜カセット本体の構造＞
　図２１に示すように、カセット本体２０５は、上方に開口する矩形の上部２０５ａと、逆円錐状の傾斜部２０５ｂと、円筒状部２０５ｃと、底部２０５ｄとから構成されている。円筒状部２０５ｃの内部空間には、ロータ２０８が収容されている。

　図２２に示すように、カセット本体２０５の円筒状部２０５ｃの後部外側には、複数の仕切部材２２０を有する後述する仕切部材切換機構Ｍ２０５が取り付けられている。複数の仕切部材２２０の先端は円筒状部２０５ｃの外側から錠剤排出孔２０９の上方に形成された複数のスリット２０９ａを介して内側に差し込み可能になっている。スリット２０９ａの左側には、後述する仕切部材収納部２８０の水平ガイド片２８３ａの受部２８３ｂと対向する突片２８５が形成されている。

＜ロータの全体構造＞
　ロータ２０８は、図２３に示すように、概略、上面が円錐形、側面が円筒形、底面が平坦な形状を有している。ロータ２０８の上面には、着脱可能なロータカバー２３０が設けられている。ロータ２０８には、円錐形の上面から側面にかけて、ロータ２０８の軸芯に平行に上下方向に延びる複数（実施例では４か所）の錠剤案内溝２０８ｂが周方向に等間隔に設けられている。

　錠剤案内溝２０８ｂは、後述する可動部材２３４の第１基部２４５ａと、後述する第１可動部材２６０の第１垂直突片２６６ｂと、後述する第２可動部材２６１の第２垂直突片２６８ｂとで形成されている。錠剤案内溝２０８ｂは、カセット本体２０５の円筒状部２０５ｃに覆われて、カセット本体２０５に収容されている錠剤Ｔを受け入れて下方に案内する。

　錠剤案内溝２０８ｂは、錠剤カセット２０２に収容される錠剤の形状又は大きさに応じて、溝の深さと幅を調整し、錠剤が円滑に錠剤案内溝２０８ｂを通過し、図２１、２２に示す錠剤排出孔２０９から排出されるようにする必要がある。ここで、錠剤案内溝２０８ｂの溝の「深さ」は、錠剤案内溝８ｂを通る錠剤の厚さ方向の寸法であって、カセット本体２０５の円筒状部２０５ｃと可動部材２３４との間の寸法Ｄである。溝の「幅」は、錠剤案内溝２０８ｂを通る錠剤の幅方向の寸法であって、第１可動部材２６０の第１垂直突片２６６ｂと第２可動部材２６１の第２垂直突片２６８ｂとの間の寸法Ｗである。

　ロータ２０８は、錠剤案内溝２０８ｂの溝形状を調整するために、深さ調整機構Ｍ２０２、幅調整機構Ｍ２０４を有している。以下、これらを順に説明する。

＜深さ調整機構＞
　図２４、図２５は、深さ調整機構Ｍ２０２を構成する部材を示す。深さ調整機構Ｍ２０２は、第１ベース２３１、第２ベース２３２、深さ調整ガイド２３３、４つの可動部材２３４、深さ調整部材２３５とから構成されている。

　図２５Ａに示すように、第１ベース２３１は、基部２３６と、４つのガイド片２３７と、係合部２３８とを有している。

　基部２３６は、環状で、周４等配位置に切欠き２３６ａが形成されている。基部２３６の外周縁には、後述する幅調整機構Ｍ２０４の第１可動部材２６０と第２可動部材２６１の下端が摺動可能に係合する係合溝２３６ｂが形成されている。

　４つのガイド片２３７は、基部２３６の上面に立設され、上方から見て円筒形に配置されている。各ガイド片２３７の上端には、後述する第２ベース２３２のガイド片２４１の下端の係合部２４１ａが係合する係合部２３７ａが形成されている。対向する２つのガイド片２３７の中央部は外方に突出する突出部２３７ｂが形成され、該突出部２３７ｂの上端に後述する第２ベース２３２の係合爪２４１ｃが係合する係合部２３７ｃが形成されている。

　係合部２３８は、基部２３６の内周縁から上方に立ち上がる外周部２３８ａと、該外周部２３８ａの上端に円形の上壁部２３８ｂとを有している。係合部２３８には、上壁部２３８ｂの外縁から外周部２３８ａの上部にかけて切欠き２３８ｃが形成されている。上壁部２３８ｂの切欠き２３８ｃの縁には、ロータ２０８の径方向に延びるガイド２３８ｄが形成されている。係合部２３８の内部は、図７に示すロータ駆動部１０が係合して、ロータ駆動部１０と第1ベース２３１とを相対回転不能に連結するようになっている。係合部２３８の上壁部２３８ｂの中央内面には、ロータ駆動部１０の中心軸１５に設けられた磁石１５ｃに吸着する磁性板２３９が埋設されている。

　第２ベース２３２は、基部２４０と、４つのガイド片２４１を有している。

　基部２４０は、円形で、中央に貫通孔２４０ａ、周４等配位置に切欠き２４０ｂが形成されている。切欠き２４０ｂの縁には、ロータ２０８の径方向に延びるガイド２４０ｃが形成されている。基部２４０の上面には、４つの係合壁２４０ｄが上方から見て円形に配設されている。対向する２つの係合壁２４０ｄの中央には、後述する第３ベース２６２の嵌合穴２６２ｉが嵌合する嵌合突起２４０ｅが形成されている。基部２４０の上面には、後述する深さ調整部材２３５の駆動軸２４８ａを支持する軸穴２４０ｆと、中間ギア２４９ａの位置決めマーク２４９ｅと合致する三角形の基準マーク２４０ｇが設けられている。

　４つのガイド片２４１は、基部２４０の下面に立設され、上方から見て円筒形に配置されている。各ガイド片２４１の下端には、第１ベース２３１の係合部２３７ａに係合する係合部２４１ａが形成されている。対向する２つのガイド片２４１の下端の切欠き２４１ｂには、先端に第１ベース２３１の係合部２３７ｃに係合する係合爪２４１ｃを有する係合突片２４１ｄが形成されている。対向するもう一方の２つのガイド片の切欠き２４１ｂには、後述する第３ベース２６２の爪２６２ｂが係合する係合部２４１ｅが形成されている。

　深さ調整ガイド２３３は、中心軸２４２と、嵌合軸２４３と、ガイド本体２４４とを有している。中心軸２４２には、後述する中間ギア部２４９の取付ねじ２４９ｃが螺合するねじ孔２４２ａを有している。嵌合軸２４３は、中心軸２４２の周りに円筒状に形成されている。嵌合軸２４３の上端には、中間ギア２４９ａの位置決め孔２４９ｄに嵌合する３つの突起２４３ａが形成されている。ガイド本体２４４は、中心軸２４２を中心とする円盤状である。ガイド本体２４４の上面には４つの円弧上のガイド溝２４４ａが形成されている。ガイド溝２４４ａは、ガイド本体２４４の外周面から嵌合軸２４３に向かう円弧状に形成されている。ガイド本体２４４の下面には、図２５Ｂに示すように、中心軸２４２の周りに円筒状の支持部２４４ｂが形成されている。ガイド本体２４４の下面には、上面のガイド溝２４４ａと対応する位置に、４つの円弧上のガイド溝２４４ｃが形成されている。ガイド溝２４４ｃは、ガイド本体２４４の外周面から支持部２４４ｂに向かう円弧状に形成されている。

　深さ調整ガイド２３３は、第１ベース２３１の係合部２３８の上壁部２３８ｂと第２ベース２３２の基部２４０の間に形成される空間に収容されている。深さ調整ガイド２３３は、そのガイド本体２４４の外周面が第１ベース２３１の４つのガイド片２３７の内面に摺動可能に嵌合し、嵌合軸２４３の外周面が第２ベース２３２の貫通孔２４０ａに嵌合して、ロータ２０８の中心軸の周りに回転可能になっている。

　４つの可動部材２３４は、図２５Ｂに示すように、それぞれ、ロータ２０８の軸芯と平行に上下方向に延びる第１基部２４５ａと、該第１基部２４５ａの上端からロータ２０８の軸芯に向かって上向きに傾斜して延びる第２基部２４５ｂと、第１と第２の２つのアーム部２４６，２４７とを有している。

　第１基部２４５ａの幅は、第１ベース２３１の隣接するガイド片２３７の間、第２ベース２３２の隣接するガイド片２４１の間に収容される大きさになっている。第１基部２４５ａの長さは、後述する第１可動部材２６０の脚部２６６の下端から傾斜上壁２６６ａまでの長さを有している。第１基部２４５ａの外面は、錠剤案内溝２０８ｂの底面を形成している。

　第２基部２４５ｂの幅は、第１基部２４５ａの幅と同じである。第２基部２４５ｂの長さは、後述する第１可動部材２６０の外周面から基部２６５までの長さを有している。第２基部２４５ｂの外面は、第１可動部材２６０傾斜上壁２６６ａと同じ角度で傾斜し、錠剤案内溝２０８ｂの入口部の底面を形成している。第２基部２４５ｂは、錠剤案内溝２０８径方向内側の隙間を上方から覆っている。

　第１アーム部２４６は、ロータ２０８の軸芯に向かって延び、先端両側に第１ベース２３１のガイド２３８ｄに摺動可能に接触する第１ガイド２４６ａが形成されている。第１アーム部２４６の先端上面には、深さ調整ガイド２３３の下面のガイド溝２４４ｃに嵌入する突起２４６ｂが形成されている。

　同様に、第２アーム部２４７は、ロータ２０８の軸芯に向かって延び、先端両側に第２ベース２３２のガイド２４０ｃに摺動可能に接触する第２ガイド２４７ａが形成されている。第２アーム２４７の先端下面には、深さ調整ガイド２３３の上面のガイド溝２４４ａに嵌入する突起２４７ｂが形成されている。

　深さ調整部材２３５は、駆動ギア部２４８と、中間ギア部２４９とからなっている。

　駆動ギア部２４８は、駆動軸２４８ａと駆動ギア２４８ｂとを有し、駆動軸２４８ａの下端は、第２ベース２３２の軸穴２４０ｆに回転可能に挿入されている。駆動軸２４８ａの上端には、ドライバーが係合する溝２４８ｃが形成されている。

　中間ギア部２４９は、中間ギア２４９ａと、該中間ギア２４９ａの自由な回転を阻止するストッパ２４９ｂとを有している。中間ギア２４９ａは、駆動ギア部２４８の駆動ギア２４８ｂと噛み合うとともに、取付ねじ２４９ｃにより深さ調整ガイド２３３の中心軸２４２の軸穴２４２ａに取り付けられている。中間ギア部２４９ａは、３つの位置決め孔２４９ｄが厚さ調整ガイド２３３の位置決め突起２４３ａと嵌合して位置決めされている。中間ギア２４９ａの上面には、第２ベース２３２の基準マーク２４０ｇと対応する位置に位置決めマーク２４９ｅが形成されている。ストッパ２４９ｂは、第２ベース２３２の基部２４０の上面に固定されている。

　以上の構成からなる深さ調整機構Ｍ２０２は、深さ調整部材２３５の駆動ギア部２４８の駆動軸２４８ａをロータ２０８の外部から回転操作すると、駆動ギア２４８ｂが回転し、該駆動ギア２４８ｂに噛み合う中間ギア部２４９の中間ギア２４９ａを介して厚さ調整ガイド２３３が回転する。

　図２６（ａ）に示すように、駆動ギア２４８ａの反時計回りの回転により、中間ギア２４９ａと厚さ調整ガイド２３３が時計回りに回転することにより、厚さ調整ガイド２３３のガイド溝２４４ａ、２４４ｃに係合する４つの可動部材２３４の第１ガイド２４６ａと第２ガイド２４７ａがロータ２０８の半径方向外側に押される結果、４つの可動部材２３４がロータ２０８の半径方向外側に移動する。これにより、錠剤案内溝２０８ｂの深さＤが浅くなる。

　逆に、図２６（ｂ）に示すように、駆動ギア２４８ａの時計回りの回転により、中間ギア２４９ａと厚さ調整ガイド２３３が反時計回りに回転することにより、厚さ調整ガイドのガイド溝２４４ａ、２４４ｃに係合する４つの可動部材２３４の第１ガイド２４６ａと第２ガイド２４７ａがロータの半径方向内側に引き込まれる結果、４つの可動部材２３４がロータ２０８の半径方向内側に移動する。これにより、錠剤案内溝２０８ｂの深さＤが深くなる。

　このように、深さ調整部材２３５の駆動ギア２４８ｂを時計回り又は反時計回りに回転することで、錠剤案内溝８ｂを通る錠剤Ｔの厚さに応じて、錠剤案内溝８ｂの深さを調整することができる。

＜幅調整機構＞
　図２７は、幅調整機構Ｍ２０４を構成する部材を示す。幅調整機構Ｍ２０４は、第１可動部材２６０と、第２可動部材２６１と、第３ベース２６２と、第４ベース２６３と、幅調整部材２６４とから構成されている。

　図２８Ａに示すように、第１可動部材２６０は、円環状の基部２６５と、４つの脚部２６６とを有している。

　基部２６５の上面には、１段低い円形の段部２６５ａが形成されている。基部２６５の内周面には、Ａ突起２６５ｂとＢ突起２６５ｃが形成されている。Ａ突起２６５ｂとＢ突起２６５ｃは、後述する第１調整軸２６９のＡカム２６９ａとＢカム２６９ｂに摺接するカムフォロアとなる。

　４つの脚部２６６は、基部２６５の外周縁の周４等配位置から下向きに突出している。各脚部２６６は、基部２６５の外周縁からロータ２０８の径方向外方に向かって下向きに傾斜する略扇型の傾斜上壁２６６ａと、該傾斜上壁２６６ａの周方向一端から下方に垂直に突出する第１垂直突片２６６ｂと、傾斜上壁２６６ａの周方向他端端から下方に垂直に突出する側壁２６６ｃと、傾斜上壁２６６ａの外周縁と第１垂直突片２６６ｂの外縁と側壁２６６ｃの外縁とに連続する外周壁２６６ｄとを有している。第１垂直突片２６６ｂは、錠剤案内溝２０８ｂの第１壁部を形成している。第１垂直突片２６６ｂの下端には、外周壁２６６ｄの下端より下方に位置し、第１ベース２３１の切欠き２３６ａの縁に係止するストッパ２６６ｅが形成されている。外周壁２６６ｄの外面には、仕切部材２２０が進入する４つの周溝２６６ｆが形成されている。外周壁２６６ｄの下端には、第１ベース２３１の基部２３６の係合溝２３６ｂに摺動可能に係合する円弧状の係合突起２６６ｇが形成されている。

　第２可動部材２６１は、円環状の基部２６７と、４つの脚部２６８とを有している。

　基部２６７の上面には、１段低い円形の段部２６７ａが形成され、基部２６７の下面には、図２８Ｂに示すように、第１可動部材２６１の段部２６５ａに係合する円形の凸部２６７ｂが形成されている。基部２６７の上面には、周４等配位置に４つの係合突片２６７ｃが突設されている。基部２６７の内周面には、図２５Ｂに示すように、Ａ突起２６７ｄとＢ突起２６７ｅが形成されている。Ａ突起２６７ｄとＢ突起２６７ｅは、後述する第２調整軸２７０のＡカム２７０ａとＢカム２７０ｂに摺接するカムフォロアとなる。

　４つの脚部２６８は、基部２６７の外周縁の周４等配位置から下向きに突出している。各脚部２６８は、基部２６７の外周縁からロータ２０８の径方向外方に向かって下向きに傾斜する略扇型の傾斜上壁２６８ａと、該傾斜上壁２６８ａの周方向一端から下方に垂直に突出する第２垂直突片２６８ｂと、傾斜上壁２６９ａの外周縁の略半分と第２垂直突片２６８ｂの外縁とに連続する外周壁２６８ｃとを有している。第２垂直突片２６８ｂは、第１可動部材２６１の第１垂直突片２６６ｂと対向し、錠剤案内溝２０８ｂの第２壁部を形成している。第２垂直突片２６８ｂの下端には、外周壁２６８ｃの下端より下方に位置し、第１ベース２３１の切欠き２３６ｂの縁に係止するストッパ２６８ｄが形成されている。外周壁２６８ｃの外面には、仕切部材２２０が進入する４つの周溝２６８ｅが形成されている。周溝２６８ｅは、第１可動部材２６０の周溝２６６ｆと周方向に連続している。外周壁２６８ｃの下端には、第１ベース２３１の基部２３６の係合溝２３６ｂに摺動可能に係合する円弧状の係合突起２６８ｆが形成されている。

　第２可動部材２６１の基部２６７の凸部２６７ｂが第１可動部材２６０の基部２６５の段部２６５ａに嵌合するとともに、第２可動部材２６１の外周壁２６８ｃの係合突起２６８ｆと、第１可動部材２６０の外周壁２６６ｄの係合突起２６６ｇとが第１ベース２３１の係合溝２３６ｂに係合して、第１可動部材２６０と第２回動部材２６１は、ロータ２０８の中心軸の周りに互いに相対的に回転可能になっている。第２可動部材２６１の傾斜上壁２６８ａは、第１可動部材２６０の傾斜上壁２６６ａの上に重なり、第２可動部材２６１の第１垂直突片２６８ｂと第１可動部材２６０の第１垂直突片２６６ｂは互いに対向して錠剤案内溝２０８ｂの第１壁部と第２壁部を形成している。

　第１可動部材２６０の脚部２６６の外周壁２６６ｄ及び第２可動部材２６１の脚部２６８の外周壁２６８ｃと、カセット本体２０５の円筒状部２０５ｃとの隙間の寸法は、可動部材２３４が半径方向外側に最も移動したときの錠剤案内溝２０８ｂの深さＤ以下になっている。この場合、少なくとも外周壁２６６ｄと外周壁２６８ｃの上端と円筒状部２０５ｃとの間の隙間が前記深さＤ以下であればよい。このように、ロータ２０８とカセット本体２０５との間の隙間を設定することで、第１可動部材２６０の脚部２６６、又は第２可動部材２６１の脚部２６８の外周面と円筒状部２０５ｃとの間に錠剤が入らなくなる。仮に、この隙間が錠剤案内溝２０８ｂの深さすなわち錠剤の厚みの１．５倍程度であると、重力によって２つの錠剤がこの隙間に同時に入り込もうとして、これらの錠剤が脚部２６６、２６８の外周面と円筒状部２０５ｃとの間で突っ張り、ロータ２０８が回らなくなる問題や、錠剤落案内溝２０８ｂに錠剤が入らなくなる問題が生じる。上記のようにロータ２０８とカセット本体２０５との隙間を本錠剤カセットで排出可能な錠剤の寸法より小さくしておけば、これから排出する錠剤がどのような寸法であっても上記の隙間に入らず、上記問題が生じない。

　第３ベース２６２は、図２５Ａに示す第２ベース２３２の基部２４０の切欠き２４０ｂと対応するように、周４等配位置に４つの切欠き２６２ａが形成されている。第３ベース２６２の外周縁の１８０度離れた位置には、第２ベース２３２の係合部２４１ｅに係合する爪２６２ｂを有する係合突片２６２ｃが下向きに突設されている。第３ベース２６２の上面には、後述する幅調整部材２６４の第１調整軸２６９と第２調整軸２７０が支持される２つの軸部２６２ｄが突設されている。軸部２６２ｄには、ねじ穴２６２ｅが形成されている。第３ベース２６２の下面には、第２ベース２３２の係合壁２４０ｄに係合する円弧状の４つの係合突起２６２ｆが形成されている。第３ベース２６２には、幅調整部材２６４の駆動軸２７１を支持する軸孔２６２ｇと、深さ調整部材２３５の駆動軸２４８ａが貫通する軸孔２６２ｈとが形成されている。

　図２７に戻ると、第４ベース２６３は、第２可動部材２６１の基部２６７の内側に収容される円形を有している。第４ベース２６３には、２つのねじ挿通孔２６３ａと、図２５Ａに示す深さ調整部材２３５の駆動軸２４８ａが貫通する切欠き２６３ｂと、幅調整部材２６４の駆動軸２７１が貫通する貫通孔２６３ｃとが形成されている。第４ベース２６３は、第３ベース２６２の軸部２６２ｄの上に載置され、固定ねじ２６３ｄをねじ挿通孔２６３ａに通して第３ベース２６２の軸部２６２ｄのねじ穴２６２ｅにねじ込むことにより取り付けられている。

　図２８Ａに示すように、幅調整部材２６４は、第１調整軸２６９と、第２調整軸２７０と、駆動軸２７１とからなっている。第２調整軸２７０には、幅調整部材２６４の自由な回転を防止するストッパ２７２が設けられている。ストッパ２７２は、第３ベース２６２の上面に固定されている。

　図２８Ｂに示すように、第１調整軸２６９は、筒状で、上端から順にＡカム２６９ａ、Ｂカム２６９ｂ、ギア２６９ｃが形成されている。Ａカム２６９ａは、幅調整部材２６４を上から見て時計回りに３６０°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第１可動板２６０のＡ突起２６５ａと摺接するようになっている。Ｂカム２６９ｂは、幅調整部材２６４を上から見て反時計回りに３６０°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第１可動部材２６０のＢ突起２６５ｂと摺接するようになっている。第１調整軸２６９は、第３ベース２６２の第１軸部２６２ｄに回転可能に嵌合している。

　同様に、第２調整軸２７０は、筒状で、上端から順にＡカム２７０ａ、Ｂカム２７０ｂ、ギア２７０ｃが形成されている。Ａカム２７０ａは、幅調整部材２６４を上から見て時計回りに３６０°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第２可動部材２６１のＡ突起２６７ｄと摺接するようになっている。Ｂカム２７０ｂは、幅調整部材２７４を上から見て反時計回りに３６０°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第２可動板２６１のＢ突起２６７ｅと摺接するようになっている。第２調整軸２７０のギア２７０ｃは、ギア２６９ｃと噛合して連動するように構成されている。第２調整軸２７０は、第３ベース２６２の第２軸部２６２ｄに回転可能に嵌合している。

　駆動軸２７１は、第１調整軸２６９のギア２６９ｃに噛合する駆動ギア２７１ａを有している。駆動軸２７１の下端は、第３ベース２６２の軸孔２６２ｈに支持され、駆動軸２７１の上端は、第４ベース２６３の軸孔２６３ｃから突出して、外部から回転調整可能になっている。

　図２９（ａ）に示すように、駆動軸２７１を時計回りに回転させると、駆動軸２７１の駆動ギア２７１ａから、第１調整軸２６９のギヤ２６９ｃに回転力が伝達され、第１調整軸２６９のギヤ２６９ｃから第２調整軸２７０のギヤ２７０ｃに回転力が伝達される。これにより、第１調整軸２６９は反時計回りに回転し、第２調整軸２７０は時計回りに回転する。

　第１調整軸２６９の反時計回りの回転により、第１調整軸２６９のＡカム２６９ａが第１可動部材２６０のＡ突起２６５ｂに摺接して押圧するので、第１可動部材２６０は図２９（ａ）において反時計回りに回動する。一方、第２調整軸２７０の時計回りの回転により、第２調整軸２７０のＢカム２７０ｂが第２可動部材２６１のＢ突起２６７ｄに摺接して押圧するので、第２可動部材２６１は図２９（ｂ）において時計回りに回動する。この結果、図２９（ｂ）に示すように、錠剤案内２０８ｂ溝の幅が広がる。

　続いて、図２９（ｂ）において、駆動軸２７１を反時計回りに回転させると、駆動軸２７１の駆動ギア２７１ａから、第１調整軸２６９のギヤ２６９ｃに回転力が伝達され、第１調整軸２６９のギヤ２６９ｃから第２調整軸２７０のギヤ２６９ｃに回転力が伝達される、これにより、第１調整軸２６９は時計回りに回転し、第２調整軸２７０は反時計回りに回転する。

　第１調整軸２６９の時計回りの回転により、第１調整軸２６９のＢカム２６９ｂが第１可動部材２６０のＢ突起２６５ｃに摺接して押圧するので、第１可動部材２６０は図２９（ｂ）において時計回りに回動する。一方、第２調整軸２６９の反時計回りの回転により、第２調整軸２７０のＡカム２７０ａが第２可動部材６１のＡ突起２６７ｄに摺接して押圧するので、第２可動部材２６１は図２９（ｂ）において反時計回りに回動する。この結果、図２９（ａ）に示すように、錠剤案内溝２０８ｂの幅が狭まる。

　このように、第１可動部材２６０と第２可動部材２６１は互いに反対方向に回転し、第１可動部材２６０の第１垂直突片２６６ｂと第２可動部材２６１の第２垂直突片２６８ｂの間隔、すなわち、錠剤案内溝２０８ｂの幅を拡大したり、縮小することができる。

　図２７に戻ると、第２可動部材２６１の段部２６７ａには、第５ベース２７３が取り付けられている。第５ベース２７３は、環状で、内周縁の周４等配位置に、第２可動部材２６１の係合突片２６７ｃが係止する係止部２７３ａが形成されている。第５ベース２７３の内周縁の対向する位置には、ロータカバー２３０の図示しない係合部が係合する爪２７３ｂを有する係合突片２７３ｃが形成されている。ロータカバー２３０は、図２３に示すように、中央に着脱可能にロータキャップ２３０ａが設けられている。ロータカバー２３０は、ロータキャップ２３０ａに形成された孔２３０ｂから工具を挿入して、第５ベース２７３の係合突片２７３ｃを押圧することで取り外すことができる。

＜仕切部材切換機構＞
　図３０に示すように、仕切部材切換機構Ｍ２０５は、仕切部材収納部２８０と、複数の仕切部材２２０と、ピン２８１と、板ばね２８２とを備えている。

　図３０（ａ）に示すように、仕切部材収納部２８０は、カセット本体２０５に面する前面が開口した箱形状を有している。仕切部材収納部２８０の後面には、図２２に示すように、４つの仕切部材２２０の摘み部２２０ｅが露出する複数のスリット２８０ａが形成されている。仕切部材収納部２８０の上面には、１つの仕切部材２２０-４´の係合部２２０ｆが係合する円柱状の係合部２８０ｂと、当該仕切部材２２０の係止部２２０ｇが係止するＬ字状に配置された第１突部２８０ｃ及び第２突部２８０ｄが形成されている。仕切部材収納部２８０の下面には、カセット本体２０５の錠剤排出孔２０９と対向する切欠き２８ｅが形成されている。仕切部材収納部２８０の左右面には、取付ねじ２８６が挿通される孔２８０ｆを有する突片２８０ｇが形成されている。

　仕切部材収納部２８０の内部には、仕切部材支持部２８３と、板ばね支持部２８４とが形成されている。仕切部材支持部２８３は、各仕切部材２２０を上下から支持する複数の水平ガイド片２８３ａを有している。水平ガイド片２８３ａは、スリット２８０ａの上下に位置し、左右方向に延びている。仕切部材収納部２８０の左壁側に位置する水平ガイド片２８３ａの一端には、ピン２８１の半周分を受け入れるＵ字形の受部２８３ｂが形成されている。板ばね支持部２８４は、水平ガイド片２８３ａの受部２８３ｂと反対側で、上下方向に延びる垂直片２８４ａと、該垂直片２８４ａから切部部材収納部２８０の右壁に向かって突出する複数のリブ２８４ｂと、仕切部材収納部２８０の右壁に形成された係止突部２８４ｃとからなっている。

　図３０（ｂ）に示すように、仕切部材２２０は、細長い水平な基部２２０ａを有している。基部２２０ａの前面には、弓形の仕切ばね２２０ｂが両端のＳ字状部２２０ｃを介して一体に形成されている。仕切ばね２２０ｂは、ロータ２０８の外周面に沿って湾曲している。仕切ばね２２０の中央部には、両端部より厚肉の厚肉部２２０ｄが形成されている。厚肉部２２０ｄの長さは、錠剤排出孔２０９の幅と同じである。厚肉部２２０ｄの断面形状は、図３３（ｂ）に示すように、下部が上部よりもロータ２０８に向かって突出するように傾斜した形状を有している。基部２２０ａの背面には、摘み部２２０ｅが形成されている。基部２２０ａの左端には、Ｃ字形の係合部２２０ｆが形成され、基部２２０ａの右端には、Ｌ字形の係止部２２０ｇが形成されている。仕切部材２２０は、合計４個備えられ、仕切部材収納部２８０に収納されたときに、隣接する仕切部材２２０の摘み部２２０ｅが重ならないように、摘み２２０ｅ部の位置が異なるように形成されている。

　ピン２８１は、仕切部材収納部２８０の受け部２８３ｂと、図２２に示すカセット本体２０５の突片２８５との間に垂直状態で支持される円柱状で、仕切部材２２０の係合部２２０ｆが係合する径を有している。

　板ばね２８２は、細長い垂直な基部２８２ａを有している。基部２８２ａの前縁には、前方に突出し、略１８０度湾曲して後方に突出する複数のばね片２８２ｂが形成されている。ばね片２８２ｂの端部には、仕切部材２２０の係止部２２０ｇが係合する２つの凹部２８２ｃが前後方向に併設されている。

　仕切部材切換機構Ｍ２０５の取り付け及び切り換え方法について説明する。

　まず、仕切部材収納部２８０の板ばね支持部２８４に板ばね２８２を装着する。ばね片２８２ｂが板ばね支持部の２８４の垂直片２８４ａを挟むように、基部２８２ａを板ばね支持部２８４のリブ２８４ｂと仕切部材収納部２８０の右壁との間に挿入して、凹部２８２ｃが垂直片２８４ａよりも仕切部材２２０側に位置するようにする。板ばね２８２の基部２８２ａは、係止突部２８４ｃによって抜け止めされる。次に、仕切部材収納部２８０の仕切部材支持部２８３の受部２８３ｂにピン２８１を収容する。

　続いて、仕切部材収納部２８０に第１から第４の仕切部材２２０を収納する。各仕切部材２２０は、仕切ばね２２０ｂが前方、摘み部２２０ｅが後方を向いた状態で、係合部２２０ｆをピン２８１に係合した後、摘み部２２０ｅが仕切部材収納部２８０の後壁のスリット２８０ａから露出するように、ピン２８１を中心に回しながら、上下の水平ガイド片２８３ａの間に挿入する。仕切部材２２０の係止部２２０ｇは、図３１（ａ）に示すように、板ばね２８２の２つの凹部２８２ｃのうち、後方の凹部２８２ｃに係合する。最下部にある第４の仕切部材２２０は、使用しない場合、仕切部材収納部２８０の上面に固定しておくことが好ましい。この場合、第４の仕切部材２２０は、一端の係合部２２０ｆを仕切部材収納部２８０の上壁の係合部２８０ｂに係合し、他端の係止部２２０ｇを仕切部材収納部２８０の上壁の第１係止部２８０ｃと第２係止部２８０ｄに係止する。

　このように仕切部材２２０を収納した仕切部材収納部２８０を、図２２に示すように、カセット本体２０５に取り付ける。このためには、仕切部材収納部２８０の前面の開口をカセット本体２０５に向けた状態で、仕切部材収納部２８０の左右の突片２８０ｇのねじ穴に取付ねじ２８６を挿通して、カセット本体２０５の取付座２８７にねじ込む。これにより、各仕切部材２００は、カセット本体２０５のスリット２０９ａに対向する。また、仕切部材収納部２８０の水平ガイド片２８３ａの受け部２８３ｂは、カセット本体２０５の突片２８５と当接して、ピン２８１を保持する。仕切部材収納部２８０の後壁には、各仕切部材２２０の摘み部２２０ｅが露出している。

　仕切部材切換機構Ｍ２０５の第１から第４の仕切部材２２０は、いずれか一つの仕切部材２２０の係止部２２０ｇを板ばね２８２の２つの凹部２８２ｃのうち前方の凹部２８２ｃに係合させて、作動状態にする。作動状態にある仕切部材２２０は、錠剤案内溝２０８ｂの下から２番目の錠剤を錠剤案内溝２０８ｂの底に向かって押し付けることで、仕切部材２２０より下方の錠剤を錠剤排出孔２０９から排出し、仕切部材２２０より上方の錠剤の落下を阻止する。錠剤案内溝２０８ｂの下から２番目の錠剤Ｔ２を押し付ける位置は、図３３（ｂ）に示すように、当該錠剤Ｔ２の中心Ｃより下の部分である。

　仕切部材切換機構Ｍ２０５の第１から第４の仕切部材２２０は、錠剤カセット２０２に収容される錠剤の形状、大きさに応じて切り換えることができる。すなわち、錠剤カセット２０２に収容される錠剤の形状、大きさに応じて第１から第４の仕切部材２２０を選択する。例えば、図３３に示すように、一番上の第１の仕切部材２２０を選択した場合、仕切部材収納部２８０の後面のスリット２８０ａより突出している当該仕切部材２２０の摘み部２２０ｅを押すことで、図３１に示すように、仕切部材２２０の係止部２２０ｇを板ばね２８２の前側の凹部２８２ｃに係合させる。これにより、仕切部材２２０の仕切ばね２２０ｂは、ロータ２０８の周溝２６６ｆ、２６８ｅに向かって突出し、錠剤案内溝２０８ｂの錠剤を押圧することができる。

　図３２に示すように、錠剤案内溝２０８ｂが錠剤排出孔２０９に近づき、錠剤案内溝２０８ｂの下から２番目の錠剤Ｔが仕切部材２２０の仕切ばね２２０ｂに接触すると、ロータ２０８の回転方向上流側に位置する仕切ばね２２０ｂのＳ字状部２２０ｃが撓み、その反力で錠剤Ｔが錠剤案内溝２０８ｂの底の可動部材２３４に押し付けられる。錠剤案内溝２０８ｂが錠剤排出孔２０９に至り、仕切ばね２２０ｂに押し付けられた錠剤Ｔが仕切ばね２０８ｂの厚肉部２２０ｄに接触すると、当該厚肉部２２０ｄが撓み、その反力で錠剤が錠剤案内溝２０８ｂの底に押し付けられる。これにより、図３３に示すように、仕切部材２２０より下方に位置する錠剤案内溝２０８ｂの一番下の錠剤Ｔ１が落下して錠剤排出孔２０９より排出され、仕切部材２２０より上方の錠剤Ｔ２は厚肉部２２０ｄに押し付けられて落下が阻止される。錠剤案内溝２０８ｂが錠剤排出孔２０９から遠ざかり、仕切ばね２２０ｂに押し付けられた錠剤が仕切ばね２２０ｂのＳ字状部２２０ｃに接触すると、当該Ｓ字状部２２０ｃが撓み、その反力で錠剤が錠剤案内溝２０８ｂの底に押し付けられる。

　このようにして、錠剤案内溝２０８ｂが錠剤排出孔２０９を通過する間に、錠剤案内溝２０８ｂの下から２番目の錠剤Ｔ２は、仕切ばね２２０ｂの第１端のＳ字状部２２０ｃから、厚肉部２２０ｄを経て、第２端のＳ字状部２２０ｃまで、錠剤案内溝２０８ｂに向かって均一な力で押圧されるので、安定して保持される。また、錠剤案内溝２０８ｂの下から２番目の錠剤Ｔ２は、仕切ばね２２０ｂによって中心Ｃより下の部分を押圧されるので、ずり落ちることなく、確実に保持される。また、本実施形態の仕切部材２２０は、仕切りばね２２０ｂが弓型でロータ２０８の外周に沿って延びているので、錠剤を押さえる範囲が広く、錠剤を落としにくい。さらに、ロータ２０８に周溝２６６ｆ、２６８ｅがあるため、仕切部材２２０の仕切ばね２２０ｂはロータ２０８に接触しない。なお、仕切部材２２０の厚肉部２２０ｄで錠剤を押し付けることができれば、ロータ２０８に周溝２６６ｆ、２６８ｅは、必ずしも必要ではない。

　従来、ブラシな櫛状の仕切部材に代えて、特開２０１５－１２８９３号に記載のような無端ベルトや、特開２０１８－１５２２５号公報に記載の円板を使用することが提案されているが、本実施形態は、錠剤を押さえる範囲が広く、錠剤が落ちにくく、確実に錠剤を保持することができる仕切部材を有する錠剤カセットを提供するという課題を解決することができる。

＜錠剤進入防止部材＞
　図３４は、錠剤案内溝２０８ｂの第３壁部である可動部材２３４と、錠剤案内溝２０８ｂの第１壁部である第１可動部材２６０の第１垂直突片２６６ｂとの間の隙間を塞ぐ第１錠剤進入防止部材３０１ａ、及び、錠剤案内溝２０８ｂの第３壁部である可動部材２３４と、錠剤案内溝２０８ｂの第２壁部である第２可動部材２６１の第２垂直突片２６８ｂとの間の隙間を塞ぐ第２錠剤進入防止部材３０１ｂを示す。

　可動部材２３４の第１基部２４５ａと第２基部２４５ｂの両側面には、錠剤進入防止部材３０１ａ、３０１ｂのリブ３０７ｄが収容される凹部３０２が形成されている。第１アーム２４６の中間部下面には、錠剤進入防止部材３０１ａ、３０１ｂを支持する第１支軸３０３ａが突設されている。第１アーム２４６の付け根下部には、錠剤進入防止部材３０１ａ、３０１ｂの第１コイルばね３０４ａが挿入される孔３０５を有するリブ３０６が形成されている。第２アーム２４７の中間部上面には、錠剤進入防止部材３０１ａ、３０１ｂを支持する第２支軸３０３ｂが突設されている。第２アーム２４７の付け根上部には、錠剤進入防止部材３０１ａ、３０１ｂの第２コイルばね３０４ｂが挿入される孔３０５を有するリブ３０６が形成されている。

　第１錠剤進入防止部材３０１ａと第２錠剤進入防止部材３０１ｂは、互いに対称な形状を有しているので、第１錠剤進入防止部材３０１ａについてのみ説明する。第１錠剤進入防止部材３０１ａは、可動部材２３４の側面と同じ形状の基部３０７ａと、２つのアーム部３０７ｂ、３０７ｃとを有している。可動部材２３４の側面と対向する基部３０７ａの側面には、可動部材２３４の凹部３０２に出入り可能な複数のリブ３０７ｄが設けられている。２つのアーム部３０７ｂ、３０７ｃの先端には、可動部材２３４の第１アーム２４６、第２アーム２４７に設けられた支軸３０３ａ、３０３ｂに係合するＣ字形の係合部３０７ｅが形成されている。

　第１錠剤進入防止部材３０１ａと第２錠剤進入防止部材３０１ｂは、係合部３０７ｅを可動部材２３４のアーム部２４６、２４７の支軸３０３ａ、３０３ｂに係合することにより、可動部材２３４に支軸３０３ａ、３０３ｂを中心に回動可能に取り付けられている。可動部材２３７の孔３０５にはコイルばね３０４が挿通されている。コイルばね３０４の一端は第１錠剤進入防止部材３０１ａの基部３０７ａに当接し、コイルばね３０４の他端は第２閉塞ばね３０１ｂの基部３０７ａに当接して、第１錠剤進入防止部材３０１ａと第２錠剤進入防止部材３０１ｂは、互いに離れる方向に付勢されている。すなわち、第１錠剤進入防止部材３０１ａは、第１壁部である第１可動部材２６０の第１垂直突片２６６ｂに向かって付勢され、第２錠剤進入防止部材３０１ｂは、第２壁部である第２可動部材の第２垂直突片２６８ｂに向かって付勢されている。

　第１錠剤進入防止部材３０１ａと第２錠剤進入防止部材３０１ｂを有する可動部材２３４を組付けたロータ２０８では、図３５に示すように、錠剤案内溝２０８ｂの幅を小さくすると、第１錠剤進入防止部材３０１ａは第１可動部材２６０の第１垂直突片２６６ｂにより押圧され、コイル勢ばね３０４の付勢力に抗して可動部材２３４の側面に当接している。同様に、第２錠剤進入防止部材３０１ｂは第２可動部材２６１の第２垂直突片２６８ｂにより押圧され、コイルばね３０４の付勢力に抗して可動部材２３４の側面に当接している。

　また、図３６に示すように、錠剤案内溝２０８ｂの幅を大きくすると、第１錠剤進入防止部材３０１ａはコイルばね３０４の付勢力により第１可動部材２６０の第１垂直突片２６６ｂの動きに追従し、可動部材２３４と第１可動部材２６０との間の隙間を塞ぎ、第１錠剤進入防止部材３０１ａのリブ３０７ｄが可動部材２３４と第１錠剤進入防止部材３０１ａの基部３０７ａとの間の隙間を塞ぐ。同様に、第２錠剤進入防止部材３０１ｂはコイルばね３０４の付勢力により第２可動部材２６１の動きに追従し、可動部材２３４と第２可動部材２６１との間の隙間を塞ぎ、第２錠剤進入防止部材３０１ｂのリブ３０７ｄが可動部材２３４と第２錠剤進入防止部材３０１ｂの基部３０７ａとの間の隙間を塞ぐ。これにより、錠剤案内溝２０８ｂの幅を大きくしたときの第３壁部と第１壁部及び第２壁部との間の隙間が無くなるので、錠剤が挟まって、錠剤の排出を妨げたり、挟まった錠剤と次の錠剤が同時に排出されたり、ロータの回転を阻止することがなくなる。同様に、第1錠剤進入防止部材３０１ａと第２錠剤進入防止部材３０１ｂの基部３０７ａの折曲した上部は、可動部材２３４の第２基部２４５ｂと、その両側の第1可動部材２６０と第２可動部材２６１の間の隙間を塞ぎ、錠剤案内溝２０８ｂよりも径方向内側の隙間に上方から錠剤が入ることを防止している。

　次に、以上の構成からなる錠剤カセット２０２におけるロータ２０８の動作を説明する。

　既に述べたように、図３３に示すカセット本体２０５とロータ２０８の間には、ロータ２０８の側面上部から下方に延びる複数の錠剤案内溝２０８ｂを有している。

　図３３を参照すると、カセット本体２０５に収容された錠剤Ｔは、ロータ２０８の回転により撹拌されながら錠剤案内溝８ｂに進入し、錠剤案内溝２０８ｂが錠剤排出孔２０９に近づくと、錠剤案内溝２０８ｂの最下位の錠剤Ｔ１の上の錠剤Ｔ２がカセット本体５に固定された仕切部材２２０に押し付けられる。仕切部材２２０に押し付けられた錠剤Ｔ２は下方に落下するのを阻止される。仕切部材２２０に押し付けられた錠剤Ｔ２より下方の最下位の錠剤Ｔ１は、下方に落下して、錠剤排出孔２０９から排出される。錠剤排出孔２０９から排出された錠剤Ｔ１は、図２に示すベース２の錠剤排出路３ｃを通って排出される。仕切部材２２０に押し付けられた錠剤Ｔ２は、錠剤案内溝２０８ｂが錠剤排出孔２０９から離れた時に、仕切部材２２０の押し付けが無くなるので、錠剤案内溝２０８の下方に落下する。これにより、錠剤案内溝２０８ｂが錠剤排出孔２０９に回ってくる毎に、錠剤Ｔが１個ずつ排出される。ロータ２０８の回転角度を調整することで、処方に応じた数の錠剤Ｔを排出することができる。

　錠剤案内溝２０８ｂは、前述した深さ調整機構Ｍ２０２、幅調整機構Ｍ２０４を用いて、錠剤Ｔの厚さに相当する深さＤ、錠剤Ｔの幅に相当する幅Ｗを調整することができるとともに、錠剤Ｔの高さに応じて仕切部材交換機構Ｍ２０５の仕切部材２２０を選択することができる。このため、カセット本体２０５に収容する錠剤Ｔの形状又は大きさに応じて、適切な大きさの錠剤案内溝２０８ｂにすることができるとともに、適切な仕切部材２２０に交換することができる。錠剤Ｔが異なるごとに、錠剤カセット２０２全体又はロータ２０８を交換することなく、同じ錠剤カセット２０２又はロータ２０８を用いて、種々の錠剤Ｔに合わせた錠剤案内溝２０８ｂに調整することで、排出することができる。なお、錠剤案内溝２０８ｂの深さと幅の調整は、詳細な説明は省略するが、錠剤案内溝調整装置１００により自動的に行うことができる。

３．第３実施形態
　以上説明した第１実施形態と第２実施形態では、第１可動部材と第２可動部材を回転させて、第１可動部材の第１垂直突片と第２可動部材の第２垂直突片とを相対的に移動させて錠剤案内溝の幅を調整しているが、錠剤案内溝の幅を規定する第１壁部と第２壁部が平行状態を維持したまま直線的に移動する錠剤カセットにおいても、本発明の錠剤進入防止部材を適用することができる。

　例えば、図３７に示す錠剤カセット４００では、ロータ４０１の錠剤案内溝４０２の幅を規定する第１壁部４０３と第２壁部４０４は、それぞれの先端がロータ４０１の外周面に沿うように平行移動する機構を有するとともに、錠剤案内溝４０２の深さを規定する第３壁部４０５は、ロータ４０１の半径方向に移動する機構を有する。

　この錠剤カセット４００では、第１壁部４０３と第２壁部４０４の間隔が広がると、第１壁部４０３と第３壁部４０５の間の隙間が広くなる。そこで、第１実施形態と第２実施形態と同様に、第３壁部４０５に、第１壁部４０３と第３壁部４０５の間の隙間を塞ぐ第１錠剤進入防止部材４０６ａと、第２壁部４０４と第３壁部４０５の間の隙間を塞ぐ第２錠剤進入防止部材４０６ｂとが設けられている。第１錠剤進入防止部材４０６ａと第２錠剤進入防止部材４０６ｂはそれぞれ第１壁部４０３と第２壁部４０４に向かってコイルばね４０７により付勢されている。これにより、錠剤案内溝４０２の幅を広くしたときの第３壁部４０５と、第１壁部４０３、第２壁部４０４との間の隙間が無くなるので、錠剤が挟まって、錠剤の排出を妨げたり、挟まった錠剤と次の錠剤が同時に排出されたり、ロータ４０１の回転を阻止することがなくなる。

　前記実施形態は、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内で種々変更することができる。
　例えば、以上の実施形態では、錠剤進入防止部材は第３壁部に設けているが、第１壁部と第２壁部に設けてもよい。

　また、前記実施形態では、錠剤進入防止部材は、ばねで付勢された板状の固体であるが、弾性変形部材で構成してもよい。例えば、図３８に示すように、ばね、ゴム、スポンジ等の弾性変形部材あるいはベローズのような伸縮部材からなる錠剤進入防止部材５００ａ、５００ｂが、第１壁部５０１と第２壁部５０２の相対的な移動により形成される隙間に配設されている。錠剤進入防止部材５００ａ、５００ｂは、第１壁部５０１と第２壁部５０２の相対的な移動に伴って、第１壁部５０１と第２壁部５０２の移動方向の寸法が可変である。錠剤進入防止部材５００ａ、５００ｂは、一側端が第３壁部５０３に取り付けられ、他側端は第１壁部５０１又は第２壁部５０２に当接している。第１壁部５０１と第２壁部５０２の相対的な移動により、第３壁部５０３と第１壁部５０１の間の隙間、及び第３壁部５０３と第２壁部５０２の間の隙間が広がるが、錠剤進入防止部材５００ａ、５００ｂがその弾性により第１壁部５０１又は第２壁部５０２の移動に追従して、第１壁部５０１又は第２壁部５０３の移動方向に伸長する。これにより、第３壁部５０３と第１壁部５０１の間の隙間、及び第３壁部５０３と第２壁部５０２の間の隙間に、錠剤案内溝５０４の錠剤Ｔが進入するのが防止される。

　なお、図３８において、錠剤進入防止部材５００ａと５００ｂは一体物であってもよい、例えば、図３９に示すように、第３壁部５０３にロータの周方向に貫通する貫通孔５０３ａを設けて、この貫通孔５０３ａに一体物の錠剤進入防止部材５００を挿通して、両端がそれぞれ第１壁部５０１、第２壁部５０２に当接するようにすることができる。

　また、前記実施形態では、錠剤進入防止部材は、第１壁部と第３壁部の間、及び第２壁部と第３壁部の間に設けているが、図４０に示す錠剤進入防止部材６００のように、第１壁部６０１又は第２壁部６０２のいずれか一方と第３壁部６０３との間に設けてもよい。ロータの回移転中、錠剤案内溝６０４の錠剤Ｔは回転方向上流側に寄せられるので、錠剤進入防止部材６００は、ロータの回転方向上流側にある第１壁部６０１と第３壁部６０３の間に設けて、コイルばね６０５により第１壁部６０１に向かって付勢され、第１壁部６０１の移動に追従して移動することが好ましい。

　さらに、前記実施形態では、錠剤案内溝８ｂ、２０８ｂ、４０２、５０４は、第１壁部と第２壁部と第３壁部を有する断面がＵ字形又は扇型であるが、第１壁部又は第２壁部或いはその両方が第３壁部と一体になった断面Ｌ字形であってもよい。また、錠剤案内溝は、第１壁部と第２壁部を有するＶ字形であってもよい。

　　　２…錠剤カセット（錠剤排出装置）
　　　５…カセット本体（錠剤容器）
　　　８…ロータ
　　８ｂ…錠剤案内溝
　　　９…錠剤排出孔
　　３１…ロータ本体
　　３５…下向き突部（第３壁部）
　　６０…第１可動部材
　　６１…第２可動部材
　　７２…第１垂直突片（第１壁部）
　　８１…第２垂直突片（第２壁部）
１０１ａ…第１錠剤進入防止部材
１０１ｂ…第２錠剤進入防止部材
１０４…コイルばね（弾性部材）
２０２…錠剤カセット
２０５…カセット本体
２０８…ロータ
２０８ｂ…錠剤案内溝
２０９…錠剤案内孔
２３４…可動部材（第３壁部）
２６０…第１可動部材
２６１…第２可動部材
２６６ｂ…第１垂直突片（第１壁部）
２６８ｂ…第２垂直突片（第２壁部）
３０１ａ…第１錠剤進入防止部材
３０１ｂ…第２錠剤進入防止部材
３０４…コイルばね（弾性部材）
４００…錠剤カセット
４０１…ロータ
４０２…錠剤案内溝
４０３…第１壁部
４０４…第２壁部
４０５…第３壁部
４０６ａ…第１錠剤進入防止部材
４０６ｂ…第２錠剤進入防止部材
４０７…コイルばね（弾性部材）
５００ａ…第１錠剤進入防止部材
５００ｂ…第２錠剤進入防止部材
５０１…第１壁部
５０２…第２壁部
５０３…第３壁部
５０４…錠剤案内溝
６００…第１錠剤進入防止部材
６０１…第１壁部
６０２…第２壁部
６０３…第３壁部
６０４…錠剤案内溝
６０５…コイルばね（弾性部材）

Claims

　錠剤を収容する錠剤容器と、前記錠剤容器に回転可能に設けられたロータとを備え、
　前記錠剤容器に収容された錠剤を前記錠剤容器に形成された錠剤排出孔に案内する錠剤案内溝が前記ロータに形成され、
　前記錠剤案内溝は、第１壁部と第２壁部とを有し、
　前記第１壁部と前記第２壁部が相対的に移動可能である錠剤排出装置において、
　前記第１壁部と前記第２壁部の間に、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動により形成される隙間に錠剤が進入するのを防止する錠剤進入防止部材が設けられていることを特徴とする錠剤排出装置。
　前記錠剤案内溝は、前記第１壁部と前記第２壁部の間に位置する第３壁部を有し、
　前記錠剤進入防止部材は、前記第３壁部と前記第１壁部の間に位置する第１錠剤進入防止部材と、前記第３壁部と前記第２壁部の間に位置する第２錠剤進入防止部材とからなることを特徴とする請求項１に記載の錠剤排出装置。
　前記第１錠剤進入防止部材は、前記第１壁部又は前記第３壁部に向かって付勢され、前記第１壁部の移動に追従して移動し、
　前記第２錠剤進入防止部材は、前記第２壁部又は前記第３壁部に向かって付勢され、前記第２壁部の移動に追従して移動することを特徴とする請求項２に記載の錠剤排出装置。
　前記第１錠剤進入防止部材と前記第２錠剤進入防止部材は、弾性部材で連結され、前記弾性部材により、前記第１錠剤進入防止部材は前記第１壁部に向かって付勢され、前記第２錠剤進入防止部材は前記第２壁部に向かって付勢されていることを特徴とする請求項３に記載の錠剤排出装置。
　前記錠剤案内溝は、前記第１壁部と前記第２壁部の間に位置する第３壁部を有し、
　前記錠剤進入防止部材は、前記第１壁部又は前記第２壁部のいずれか一方と前記第３壁部との間に位置することを特徴とする請求項１に記載の錠剤排出装置。
　前記錠剤進入防止部材は、前記第１壁部又は前記第３壁部に向かって付勢され、前記第１壁部の移動に追従して移動することを特徴とする請求項５に記載の錠剤排出装置。
　前記錠剤進入防止部材は、前記第２壁部又は前記第３壁部に向かって付勢され、前記第２壁部の移動に追従して移動することを特徴とする請求項５に記載の錠剤排出装置。
　前記錠剤進入防止部材は、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動により形成される前記隙間に配設され、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動に伴って、前記第１壁部と前記第２壁部の移動方向の寸法が可変であることを特徴とする請求項１に記載の錠剤排出装置。
　前記錠剤進入防止部材は、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動により形成される前記隙間に配設され、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動に伴って、前記第１壁部と前記第２壁部の相対的な移動方向の一側端から他側端に向かって寸法が可変であることを特徴とする請求項１に記載の錠剤排出装置。
　請求項１から９のいずれかに記載の錠剤排出装置が複数配置され、前記錠剤排出装置から排出される錠剤を包装して払い出すことを特徴とする錠剤分包装置。