WO2022079982A1

WO2022079982A1 - コネクタ

Info

Publication number: WO2022079982A1
Application number: PCT/JP2021/028815
Authority: WO
Inventors: 彩香二戸
Original assignee: 住友電装株式会社
Priority date: 2020-10-14
Filing date: 2021-08-03
Publication date: 2022-04-21
Also published as: CN116508213A; JP2022064366A

Abstract

本開示の一態様は、組み付け性を向上できるコネクタを提供する。本開示の一態様に従うコネクタ（１）は、電線（Ｗ（Ｗ１，Ｗ２））が貫通する収容部（１１）を有するハウジング（１０）と、収容部（１１）の内面と電線（Ｗ（Ｗ１，Ｗ２））の外周面との間をシールするシール部材（２０）と、ハウジング（１０）に固定され、シール部材（２０）を抜け止めするリテーナ（３０）と、を備える。リテーナ（３０）は、シール部材（２０）に対して電線（Ｗ（Ｗ１，Ｗ２））の長さ方向に重なる第１リテーナ（４０）及び第２リテーナ（５０）を含む。

Description

コネクタ

　本開示は、コネクタに関する。

　例えば、特許文献１に開示された防水コネクタは、電線の端末に接続される端子金具と、端子金具が挿入されるコネクタハウジングと、コネクタハウジングに挿入され、電線の外周面に密着可能な電線挿通孔を有するゴム栓と、ゴム栓を抜け止めするゴム栓カバーとを備える。ゴム栓カバーは、電線挿通孔と対応する位置毎に、電線を挿通可能な電線通し穴を有している。

特開２０１０－１５８３４号公報

　ところで、上述したコネクタでは、ハウジングにゴム栓を固定するリテーナの組み付け性の向上が望まれており、この点において改善の余地があった。

　本開示の目的は、組み付け性を向上できるコネクタを提供することにある。

　本開示のコネクタは、電線が貫通する収容部を有するハウジングと、前記収容部の内面と前記電線の外周面との間をシールするシール部材と、前記ハウジングに固定され、前記シール部材を抜け止めするリテーナと、を備え、前記リテーナは、前記シール部材に対して前記電線の長さ方向に重なる第１リテーナ及び第２リテーナを含む。

　本開示によれば、組み付け性を向上できるコネクタを提供することが可能となる。

図１は、実施形態にかかるコネクタの斜視図である。図２は、電線の側から視たコネクタの正面図である。図３は、図２の３－３線断面図である。図４は、コネクタの分解斜視図である。図５は、ハウジングに対するリテーナの取り付けを示す説明図である。図６は、ハウジングに対するリテーナの取り付けを示す説明図である。図７は、第１リテーナと第２リテーナの係合部分を示すコネクタの一部断面図である。図８は、変更例のコネクタを示す斜視図である。

　［本開示の実施形態の説明］
　最初に本開示の実施態様を列記して説明する。

　［１］本開示のコネクタは、電線が貫通する収容部を有するハウジングと、前記収容部の内面と前記電線の外周面との間をシールするシール部材と、前記ハウジングに固定され、前記シール部材を抜け止めするリテーナと、を備え、前記リテーナは、前記シール部材に対して前記電線の長さ方向に重なる第１リテーナ及び第２リテーナを含む。

　この構成によれば、シール部材を抜け止めするリテーナを、電線の長さ方向に重なる第１リテーナと第２リテーナとにより構成することで、組み付け性を向上できる。

　［２］前記第１リテーナは、前記電線が挿通される第１挿通孔と、前記第１挿通孔から前記本体部の端部まで延びる第１導入溝とを備え、前記第２リテーナは、前記電線が挿通される第２挿通孔と、前記第２挿通孔から前記第１導入溝と異なる方向に延びる第２導入溝とを備えることが好ましい。

　この構成によれば、第１リテーナに対して電線を第１導入溝から第１挿通孔に挿通でき、第２リテーナに対して電線を第２導入溝から第２挿通孔に挿通できるため、ハウジングに電線を貫通させた後に第１リテーナと第２リテーナとをハウジングに取着でき、組み付け性を向上できる。

　［３］前記ハウジングは、周面に第１係止突部と第２係止突部とを有し、前記第１リテーナは、前記シール部材と前記電線の長さ方向に重なる第１本体部と、前記第１係止突部と係合して前記第１本体部を前記ハウジングに取り付ける第１取付部とを備え、前記第２リテーナは、前記第１本体部と前記電線の長さ方向に重なる第２本体部と、前記第２係止突部と係合して前記第２本体部を前記ハウジングに取り付ける第２取付部とを備えることが好ましい。

　この構成によれば、電線の長さ方向に第１リテーナと第２リテーナとを重ねる構成とすることができ、第１リテーナと第２リテーナとを容易にハウジングに取り付けることができる。

　［４］前記第１係止突部と前記第２係止突部は、前記ハウジングの周方向にずれて配置されており、前記第１取付部と前記第２取付部は、前記ハウジングの周方向にずれて配置されていることが好ましい。

　この構成によれば、第１係止突部と第２係止突部、第１取付部と第２取付部とがハウジングの周方向に重なっている場合と比べて、コネクタの形状の大型化を抑制できる。

　［５］前記第２リテーナは、前記第１リテーナの前記第１取付部を覆う係止被覆部を備えることが好ましい。

　この構成によれば、第２リテーナの係止被覆部によって覆われる第１取付部が第１係止突部から外れることを抑制でき、リテーナの脱落を抑制できる。

　［６］前記第２リテーナは、前記電線の径方向から前記電線を挟む第１分割リテーナ及び第２分割リテーナを備え、前記第１分割リテーナ及び前記第２分割リテーナは同一形状であることが好ましい。

　この構成によれば、１種類の分割リテーナを第１分割リテーナと第２分割リテーナとして第２リテーナを構成することができるため、部品コストの増加を抑制できる。

　［７］前記第１分割リテーナと前記第２分割リテーナの各々は、第３係止突部と、前記第３係止突部と係合する第３取付部と、前記第３係止突部及び前記第３取付部を覆う係止被覆部とを備えることが好ましい。

　この構成によれば、第３取付部が意図せずに撓んで第３係止突部から外れることを防止できるため、第１分割リテーナと第２分割リテーナとが離隔することを抑制でき、第２リテーナの脱落をより抑制できる。

　［本開示の実施形態の詳細］
　本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

　（コネクタの全体構成）
　図１から図７に示すコネクタ１は、複数（本実施形態では８本）の電線Ｗを電気機器等の対象物に接続する。各図において、電線Ｗの長さ方向をＸ方向とし、Ｘ方向と直交する方向をＹ方向、Ｘ方向及びＹ方向と直交する方向をＺ方向とする。

　コネクタ１は、ハウジング１０、複数のシール部材２０と、リテーナ３０とを有している。

　ハウジング１０は、例えば絶縁性を有する樹脂材料により形成された部材である。ハウジング１０は、Ｙ方向に長い直方体状に形成されている。ハウジング１０は、Ｚ方向において互いに反対方向を向く一対の第１側面１０ａと、Ｙ方向において互いに反対方向を向く一対の第２側面１０ｂと、電線Ｗの側を向く第３側面１０ｃとを有している。

　図２、図４に示すように、ハウジング１０は、複数（本実施形態では４つ）の収容部１１を備えている。収容部１１は、Ｙ方向に沿って配設されている。各収容部１１は、電線Ｗの側から視て、Ｚ方向に長い長方形状に形成されている。各収容部１１には、シール部材２０が収容される。

　シール部材２０は、ゴム等の弾性部材によって形成されている。シール部材２０の外形は、収容部１１の内周面の内側寸法よりも大きい。したがって、シール部材２０は収容部１１の内周面に密着した状態で収容部１１に収容される。

　シール部材２０は、電線Ｗが貫通する２つの貫通孔２１，２２を有している。２つの貫通孔２１，２２は、Ｚ方向に並んでいる。各貫通孔２１，２２の内径は、電線Ｗの外径よりも小さい。このため、シール部材２０は、電線Ｗの外周面に密着した状態で電線Ｗに外嵌めされる。

　Ｙ方向に配置された４つのシール部材２０は、それぞれ２つの貫通孔２１，２２を有し、各貫通孔２１，２２を電線Ｗが貫通する。したがって、ハウジング１０及び４つのシール部材２０は、ハウジング１０の長手方向であるＹ方向に並ぶ２列の電線Ｗを保持する。各列は４本の電線Ｗにより構成される。本実施形態において、シール部材２０の第１貫通孔２１を貫通する電線Ｗの列を第１列の電線Ｗ１、シール部材２０の第２貫通孔２２を貫通する電線Ｗの列を第２列の電線Ｗ２とする。

　電線Ｗは、導体よりなる芯線Ｗａと、芯線Ｗａの外周を被覆する絶縁被覆Ｗｂとを有する。芯線Ｗａは、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚り線、内部が中実構造をなす柱状の１本の金属棒からなる柱状導体や内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。芯線Ｗａとしては、例えば、撚り線、柱状導体や筒状導体を組み合わせて用いてもよい。柱状導体としては、例えば、単芯線やバスバなどを挙げることができる。本実施形態の芯線Ｗａは、撚り線である。芯線Ｗａの材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。各電線Ｗは、自身に電磁シールド構造を有するシールド線であってもよいし、自身に電磁シールド構造を有しないノンシールド電線であってもよい。

　図３に示すように、ハウジング１０は、貫通部１２を有している。貫通部１２は、ハウジング１０において、収容部１１の内面１１ａからＸ方向に延びる。貫通部１２は、電線Ｗが貫通される貫通孔１２ａを有している。貫通孔１２ａの内径は、収容部１１の内径よりも小さい。したがって、収容部１１に収容されたシール部材２０は、貫通孔１２ａの内周面と収容部１１の内周面との段差であり得る収容部１１の内面１１ａに当接する。

　本実施形態において、ハウジング１０は、電線Ｗの先端に取着された接続端子Ｔを収容する。接続端子Ｔは、例えば雌端子であり、電気機器等の接続対象が有する端子と接続される。なお、接続端子Ｔは、適宜変更が可能であり、例えばネジ等により接続対象の端子に接続されるものとしてもよい。また、接続端子Ｔがハウジング１０の外部に位置するものであってもよい。また、接続端子Ｔは省略され、ハウジング１０を貫通する電線Ｗの先端がハウジング１０の外部に位置する状態であってもよい。

　ハウジング１０の第３側面１０ｃの側の外周面には、第１係止突部１３ａ，１３ｂと第２係止突部１４ａ，１４ｂとが形成されている。第１係止突部１３ａは、一対の第１側面１０ａにおいて、Ｙ方向の中央部分に形成されている。第１係止突部１３ｂは、一対の第２側面１０ｂにおいてＺ方向の中央部分に形成されている。第２係止突部１４ａ，１４ｂは、一対の第１側面１０ａにおいて、第１係止突部１３ａを挟む位置に形成されている。第１係止突部１３ａ，１３ｂ及び第２係止突部１４ａ，１４ｂは、第３側面１０ｃに向けて徐々に高さ寸法が低くなる形状に形成されている。リテーナ３０は、第１係止突部１３ａ，１３ｂ及び第２係止突部１４ａ，１４ｂにより、ハウジング１０に取り付けられる。

　（リテーナ）
　リテーナ３０は、ハウジング１０に取着され、シール部材２０を抜け止めする。リテーナ３０は、絶縁性の樹脂材料等により形成されている。リテーナ３０は、第１リテーナ４０と第２リテーナ５０とを備える。第１リテーナ４０と第２リテーナ５０は、電線Ｗの長さ方向、つまりＸ方向において互いに重なる。

　（第１リテーナ）
　第１リテーナ４０は、第１係止突部１３ａ，１３ｂによりハウジング１０に取着される。第１リテーナ４０は、第１本体部４１と、第１取付部４４ａ，４４ｂと、を備える。

　図２、図４、図５に示すように、第１本体部４１は、Ｙ方向に長い長方形の板状に形成されている。第１本体部４１は、電線Ｗが挿通される第１挿通孔４２ａ，４２ｂと、第１挿通孔４２ａ，４２ｂから第１本体部４１の端部まで延びる第１導入溝４３ａ，４３ｂと、を有している。図３に示すように、第１列の電線Ｗ１が挿通される第１挿通孔４２ａは、シール部材２０の第１貫通孔２１と連通するように形成されている。第２列の電線Ｗ２が挿通される第１挿通孔４２ｂは、シール部材２０の第２貫通孔２２と連通するように形成されている。第１挿通孔４２ａ，４２ｂは、挿通される電線Ｗ（Ｗ１，Ｗ２）の径よりも少し大きい径を有している。

　第１挿通孔４２ａから延びる第１導入溝４３ａは、各第１挿通孔４２ａからＺ方向においてハウジング１０の上方に向かって延びている。第１挿通孔４２ｂから延びる第１導入溝４３ｂは、各第１挿通孔４２ｂからＺ方向においてハウジング１０の下方に向かって延びている。つまり、第１導入溝４３ａ，４３ｂは、第１挿通孔４２ａ，４２ｂから、互いに反対方向に延びている。第１導入溝４３ａ，４３ｂの幅は、第１挿通孔４２ａ，４２ｂの径と同一に設定されている。

　第１列の電線Ｗ１は、第１本体部４１の上方から、つまり第１導入溝４３ａの開口側から、第１導入溝４３ａを介して第１挿通孔４２ａに配置される。第２列の電線Ｗ２は、第１本体部４１の下方から、つまり第１導入溝４３ｂの開口側から、第１導入溝４３ｂを介して第１挿通孔４２ｂに配置される。

　第１取付部４４ａ，４４ｂは、第１本体部４１からハウジング１０の外側面と平行に延びている。第１取付部４４ａ，４４ｂは、細長板状に形成されている。第１取付部４４ａは、ハウジング１０の第１係止突部１３ａに対応する部分から、第１係止突部１３ａに向けて、第１係止突部１３ａを超えるように延出している。第１取付部４４ｂは、ハウジング１０の第１係止突部１３ｂに対応する部分から、第１係止突部１３ｂに向けて、第１係止突部１３ｂを超えるように延出している。第１取付部４４ａ，４４ｂは、幅方向の中間部に、基端部から先端部の手前に至る部分に係止溝４５ａ，４５ｂを有している。

　第１リテーナ４０をハウジング１０に取り付ける際に、第１取付部４４ａ，４４ｂをハウジング１０の外周面に沿って移動させる。第１取付部４４ａ，４４ｂは、第１係止突部１３ａ，１３ｂに接触して外向きに弾性変形する。そして、第１取付部４４ａ，４４ｂは、第１取付部４４ａ，４４ｂの先端部が第１係止突部１３ａ，１３ｂを乗り越えると、元の形状に弾性復帰する。これにより、第１取付部４４ａ，４４ｂの係止溝４５ａ，４５ｂに、ハウジング１０の第１係止突部１３ａ，１３ｂが嵌り込む。

　第１リテーナ４０は、第１取付部４４ａ，４４ｂの係止溝４５ａ，４５ｂにハウジング１０の第１係止突部１３ａ，１３ｂが嵌り込むことで、ハウジング１０に取り付けられる。図５に示すように、第１リテーナ４０は、第１本体部４１がハウジング１０の第３側面１０ｃの側において、複数の収容部１１を跨いでＹ方向に延びている。したがって、第１リテーナ４０の第１本体部４１は、各収容部１１に収容されたシール部材２０と電線Ｗの長さ方向であるＸ方向において重なり、シール部材２０を抜け止めする。

　（第２リテーナ）
　第２リテーナ５０は、第２係止突部１４ａ，１４ｂにより、ハウジング１０に取着される。第２リテーナ５０は、第２本体部５１と、第２取付部５４ａ，５４ｂと、被覆部５６ａ，５６ｂと、延出部５７Ａ、５７Ｂとを備える。

　第２本体部５１は、第１リテーナ４０の第１本体部４１と、電線Ｗの長さ方向（Ｘ方向）において重なる。

　第２取付部５４ａ，５４ｂは、第２本体部５１の端部から、ハウジング１０の外周面と平行に延びている。第２取付部５４ａ，５４ｂは、細長板状に形成されている。第２取付部５４ａは、ハウジング１０の第２係止突部１４ａに対応する部分から、第２係止突部１４ａに向けて、第２係止突部１４ａを超えるように延出している。第２取付部５４ｂは、ハウジング１０の第２係止突部１４ｂに対応する部分から、第２係止突部１４ｂに向けて、第２係止突部１４ｂを超えるように延出している。第２取付部５４ａ，５４ｂは、幅方向の中間部に、基端部から先端部の手前に至る部分に係止溝５５ａ，５５ｂを有している。

　第２取付部５４ａ，５４ｂは、第１取付部４４ａ，４４ｂと同様に、第２係止突部１４ａ，１４ｂにより弾性変形し、第２取付部５４ａ，５４ｂの先端部が第２係止突部１４ａ，１４ｂを乗り越えた後に弾性復帰する。これにより、第２取付部５４ａ，５４ｂの係止溝５５ａ，５５ｂに、ハウジング１０の第２係止突部１４ａ，１４ｂが嵌り込む。第２リテーナ５０は、第２取付部５４ａ，５４ｂの係止溝５５ａ，５５ｂにハウジング１０の第２係止突部１４ａ，１４ｂが嵌り込むことで、ハウジング１０に取り付けられる。

　被覆部５６ａ，５６ｂは、第２本体部５１の端部から、ハウジング１０の外周面と平行に延びている。被覆部５６ａ，５６ｂは、ハウジング１０の第２側面１０ｂの第１係止突部１３ｂと係合する第１リテーナ４０の第１取付部４４ｂを覆うように形成されている。被覆部５６ａ，５６ｂは、第１取付部４４ｂの弾性変形を抑制する。これにより、被覆部５６ａ，５６ｂは、第１リテーナ４０の第１取付部４４ｂがハウジング１０の第１係止突部１３ｂから外れることを抑制する。つまり、第２リテーナ５０は、ハウジング１０から第１リテーナ４０が外れることを抑制する。

　延出部５７Ａ，５７Ｂは、第２本体部５１の端部から、ハウジング１０の外周面と平行に延びている。

　延出部５７Ａ，５７Ｂは、ハウジング１０の第１側面１０ａの第１係止突部１３ａと係合する第１リテーナ４０の第１取付部４４ａと第２リテーナ５０の第２取付部５４ａ，５４ｂとの間に配設されている。したがって、延出部５７Ａ，５７Ｂの間の第１取付部４４ａは、第２リテーナ５０に覆われていない。つまり、第１取付部４４ａは、第２リテーナ５０から露出している。これにより、Ｚ方向において、第１リテーナ４０の第１取付部４４ａと第２リテーナ５０とが重ならないため、Ｚ方向におけるコネクタ１の大型化を抑制できる。

　本実施形態において、第２リテーナ５０は、コネクタ１の幅方向に沿って分割された第１分割リテーナ５０Ａ及び第２分割リテーナ５０Ｂにより構成される。コネクタ１の幅方向は、ハウジング１０を貫通する電線Ｗが並ぶ列方向である。第２リテーナ５０は、第１列の電線Ｗ１と第２列の電線Ｗ２との間で分割されている。第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂとは同一形状である。

　第１分割リテーナ５０Ａは、第１分割本体５１Ａと、第２取付部５４ａと、第１分割被覆部５６Ａａと、第２分割被覆部５６Ａｂと、延出部５７Ａと、を備える。第２分割リテーナ５０Ｂは、第２分割本体５１Ｂと、第２取付部５４ｂと、第１分割被覆部５６Ｂａと、第２分割被覆部５６Ｂｂと、延出部５７Ｂと、を備える。第２本体部５１は、第１分割リテーナ５０Ａの第１分割本体５１Ａと第２分割リテーナ５０Ｂの第２分割本体５１Ｂとにより構成される。第１被覆部５６ａは、第１分割被覆部５６Ａａと第１分割被覆部５６Ｂａとにより構成され、第２被覆部５６ｂは、第２分割被覆部５６Ａｂと第２分割被覆部５６Ｂｂとにより構成される。

　上述したように、第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂは同一形状であるため、共通する部分については第２分割リテーナ５０Ｂの説明の一部を省略する。そして、第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂとが協働する部分については双方を用いて説明する。

　図１、図２、図６に示すように、第１分割本体５１Ａは、電線Ｗ１が挿通される第２挿通孔５２Ａと、第２挿通孔５２Ａから延びる第２導入溝５３Ａとを備えている。第２挿通孔５２Ａは、挿通される電線Ｗ１の径よりも少し大きい径を有している。第２導入溝５３Ａの幅は、第２挿通孔５２Ａの径と同一に設定されている。第２分割本体５１Ｂは、電線Ｗ２が挿通される第２挿通孔５２Ｂと、第２挿通孔５２Ｂから延びる第２導入溝５３Ｂとを備えている。

　図６に示すように、第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂとが組み合わされた状態において、第１分割リテーナ５０Ａの第１分割本体５１Ａの第２導入溝５３Ａは、第２分割リテーナ５０Ｂの側に延び、第２分割リテーナ５０Ｂの第２分割本体５１Ｂの第２導入溝５３Ｂは第１分割リテーナ５０Ａの側に延びている。つまり、第１分割リテーナ５０Ａの第２導入溝５３Ａと第２分割リテーナ５０Ｂの第２導入溝５３Ｂは、互いに反対方向であって、向き合う方向に延びている。

　電線Ｗ１が挿通される第１リテーナ４０の第１挿通孔４２ａから延びる第１導入溝４３ａは、第１分割本体５１Ａの第２導入溝５３Ａと異なる方向に延びている。本実施形態において、第１導入溝４３ａと第２導入溝５３Ａとは、互いに反対方向に延びている。そして、第１挿通孔４２ａと第２挿通孔５２Ａは、電線Ｗ１の長さ方向から視て、円形の挿通孔を構成する。

　電線Ｗ２が挿通される第１リテーナ４０の第１挿通孔４２ｂから延びる第１導入溝４３ｂは、第２分割本体５１Ｂの第２導入溝５３Ｂと異なる方向に延びている。本実施形態において、第１導入溝４３ｂと第２導入溝５３Ｂとは、互いに反対方向に延びている。そして、第１挿通孔４２ｂと第２挿通孔５２Ｂは、電線Ｗ２の長さ方向から視て、円形の挿通孔を構成する。

　図５に示すように、第１分割リテーナ５０Ａの第１分割被覆部５６Ａａは、第３係止突部６１Ａと、係止被覆部６２Ａとを備えている。第１分割リテーナ５０Ａの第２分割被覆部５６Ａｂは、第３取付部６３Ａを備えている。図４、図５に示すように、第３係止突部６１Ａは、第１分割リテーナ５０Ａの外側に向けて突出している。係止被覆部６２Ａは、第３係止突部６１Ａを覆うように形成されている。

　第２分割リテーナ５０Ｂの第１分割被覆部５６Ｂａは、第３取付部６３Ｂを備えている。第２分割リテーナ５０Ｂの第２分割被覆部５６Ｂｂは、第３係止突部６１Ｂと、係止被覆部６２Ｂとを備えている。

　第３取付部６３Ａは、Ｚ方向に延びるように形成されている。第３取付部６３Ａは、細長板状に形成されている。第３取付部６３Ａは、第２分割被覆部５６Ｂｂの第３係止突部６１Ｂに対応する部分から、第３係止突部６１Ｂに向けて、第３係止突部６１Ｂを超えるように延出している。第３取付部６３Ａは、幅方向の中間部に、基端部から先端部の手前に至る部分に係止溝６４Ａを有している。

　第３取付部６３Ａ，６３Ｂは、第１取付部４４ａ，４４ｂ、第２取付部５４ａ，５４ｂと同様に、第３係止突部６１Ｂ，６１Ａにより弾性変形し、第３取付部６３Ａ，６３Ｂの先端部が第３係止突部６１Ｂ，６１Ａを乗り越えた後に弾性復帰する。これにより、第３取付部６３Ａ，６３Ｂの係止溝６４Ａ，６４Ｂに、第３係止突部６１Ｂ，６１Ａが嵌り込む。第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂは、それぞれの第３取付部６３Ａ，６３Ｂの係止溝６４Ａ，６４Ｂに第３係止突部６１Ｂ，６１Ａが嵌り込むことで互いに組み付けられ、第２リテーナ５０を形成する。

　係止被覆部６２Ａ，６２Ｂは、第３係止突部６１Ａ，６１Ｂを覆うように形成されている。したがって、第３取付部６３Ｂ，６３Ａが意図せずに撓んで第３係止突部６１Ａ，６１Ｂから外れることを防止できる。これにより、互いに組み付けられた第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂとが互いに離隔することを防止できる。

　図５、図６に示すように、第１分割リテーナ５０Ａは、第１列の電線Ｗ１に対して、第１列の電線Ｗ１の上方から第２分割リテーナ５０Ｂに向けて移動される。第１列の電線Ｗ１は、第１分割リテーナ５０Ａの第２導入溝５３Ａから第２挿通孔５２Ａに配置される。第２分割リテーナ５０Ｂは、第２列の電線Ｗ２に対して、第２列の電線Ｗ２の下方から第１分割リテーナ５０Ａに向けて移動される。第２列の電線Ｗ２は、第２分割リテーナ５０Ｂの第２導入溝５３Ｂから第２挿通孔５２Ｂに配置される。

　図５、図６、図７に示すように、第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂは、それぞれの第３取付部６３Ａ，６３Ｂと第３係止突部６１Ａ，６１Ｂとによって互いに組み付けられ、第２リテーナ５０を形成する。この第２リテーナ５０は、複数の電線Ｗ（第１列の電線Ｗ１及び第２列の電線Ｗ２）が第２挿通孔５２Ａ，５２Ｂに挿通される。

　（作用効果）
　次に、上記のコネクタ１の作用効果を説明する。

　（１）コネクタ１は、電線Ｗ（Ｗ１，Ｗ２）が貫通する収容部１１を有するハウジング１０と、収容部１１の内面と電線Ｗ（Ｗ１，Ｗ２）の外周面との間をシールするシール部材２０と、ハウジング１０に固定され、シール部材２０を抜け止めするリテーナ３０と、を備える。リテーナ３０は、シール部材２０に対して電線Ｗ（Ｗ１，Ｗ２）の長さ方向に重なる第１リテーナ４０及び第２リテーナ５０を含む。したがって、シール部材２０を抜け止めするリテーナ３０を、電線の長さ方向に重なる第１リテーナ４０と第２リテーナ５０とにより構成することで、組み付け性を向上できる。

　（２）第１リテーナ４０は、電線Ｗが挿通される第１挿通孔４２ａ，４２ｂと、第１挿通孔４２ａ，４２ｂから第１本体部４１の端部まで延びる第１導入溝４３ａ，４３ｂと、を備える。第２リテーナ５０は、電線Ｗが挿通される第２挿通孔５２Ａ，５２Ｂと、第２挿通孔５２Ａ，５２Ｂから第１導入溝４３ａ，４３ｂと異なる方向に延びる第２導入溝５３Ａ，５３Ｂとを備える。したがって、第１リテーナ４０に対して電線Ｗを第１導入溝４３ａ，４３ｂから第１挿通孔４２ａ，４２ｂに挿通できる。また、第２リテーナ５０に対して電線Ｗを第２導入溝５３Ａ，５３Ｂから第２挿通孔５２Ａ，５２Ｂに挿通できる。このため、ハウジング１０に電線Ｗを貫通させた後に第１リテーナ４０と第２リテーナ５０とをハウジング１０に取着でき、組み付け性を向上できる。

　（３）ハウジング１０は、周面に第１係止突部１３ａ，１３ｂと第２係止突部１４ａ，１４ｂとを有し、第１リテーナ４０は、シール部材と電線Ｗの長さ方向に重なる第１本体部４１と、第１係止突部１３ａ，１３ｂと係合して第１本体部４１をハウジング１０に取り付ける第１取付部４４ａ，４４ｂとを備える。第２リテーナ５０は、第１本体部４１と電線Ｗの長さ方向に重なる第２本体部５１と、第２係止突部１４ａ，１４ｂと係合して第２本体部５１をハウジング１０に取り付ける第２取付部５４ａ，５４ｂとを備える。したがって、電線Ｗの長さ方向に第１リテーナ４０と第２リテーナ５０とを重ねる構成とすることができ、第１リテーナ４０と第２リテーナ５０とを容易にハウジング１０に取り付けることができる。

　（４）第１係止突部１３ａ，１３ｂと第２係止突部１４ａ，１４ｂは、ハウジング１０の周方向にずれて配置されている。第１取付部４４ａ，４４ｂと第２取付部５４ａ，５４ｂは、ハウジング１０の周方向にずれて配置されている。したがって、第１係止突部１３ａ，１３ｂと第２係止突部１４ａ，１４ｂ、第１取付部４４ａ，４４ｂと第２取付部５４ａ，５４ｂとがハウジング１０の周方向に重なっている場合と比べて、コネクタの形状の大型化を抑制できる。

　（５）第２リテーナ５０は、第１リテーナ４０の第１取付部４４ｂを覆う被覆部５６ａ，５６ｂを備える。したがって、第２リテーナ５０の被覆部５６ａ，５６ｂによって覆われる第１取付部４４ｂが第１係止突部１３ｂから外れることを抑制でき、リテーナ３０の脱落を抑制できる。

　（６）第２リテーナ５０は、電線Ｗの径方向から電線Ｗを挟む第１分割リテーナ５０Ａ及び第２分割リテーナ５０Ｂを備え、第１分割リテーナ５０Ａ及び第２分割リテーナ５０Ｂは同一形状である。したがって、１種類の分割リテーナを第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂとして第２リテーナ５０を構成することができるため、部品コストの増加を抑制できる。

　（７）第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂは、第３係止突部６１Ａ，６１Ｂと、第３係止突部６１Ａ，６１Ｂと係合する第３取付部６３Ｂ，６３Ａと、第３係止突部６１Ａ，６１Ｂ及び第３取付部６３Ｂ，６３Ａを覆う係止被覆部６２Ａ，６２Ｂとを備える。したがって、第３取付部６３Ａ，６３Ｂが意図せずに撓んで第３係止突部６１Ｂ，６１Ａから外れることを防止できるため、第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂとが離隔することを抑制でき、第２リテーナ５０の脱落をより抑制できる。

　（変更例）
　本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。

　・上記実施形態に対し、ハウジング１０は、導電性を有する金属材料により形成された部材としてもよい。また、ハウジング１０は、樹脂材料により形成された部材と、その部材を覆う金属材料により形成された部材とにより構成されてもよい。また、ハウジング１０は、電気機器を構成する筐体に接続されるもの、電気機器を構成する筐体の一部、又は電気機器に接続されるコネクタの一部であってもよい。例えば、図８に示すハウジング１０は、フランジ８０を備え、フランジ８０によって電気機器に取着される。

　・コネクタ１を貫通する電線Ｗの本数は、７本以下、又は９本以上に適宜変更されてもよい。

　・シール部材２０を貫通する電線Ｗの本数は、１本、又は３本以上に適宜変更されてもよい。

　・第１分割リテーナ５０Ａと第２分割リテーナ５０Ｂは、例えばヒンジによって互いに接続されていてもよい。

　・図示した実施形態のように、電線Ｗの長さ方向から見て、第１挿通孔４２ａは、ハウジング１０の上方へ開口してよい。第１導入溝４３ａは、第１挿通孔４２ａの開口端からハウジング１０の上方へ延びてよい。第１挿通孔４２ｂは、ハウジング１０の下方へ開口してよい。第１導入溝４３ｂは、第１挿通孔４２ｂの開口端からハウジング１０の下方へ延びてよい。

　・図示した実施形態のように、電線Ｗの長さ方向から見て、第２挿通孔５２Ａは、ハウジング１０の下方へ開口してよい。第２導入溝５３Ａは、第２挿通孔５２Ａの開口端からハウジング１０の下方へ延びてよい。第２挿通孔５２Ｂは、ハウジング１０の上方へ開口してよい。第２導入溝５３Ｂは、第２挿通孔５２Ｂの開口端からハウジング１０の上方へ延びてよい。

　・図示した実施形態のように、第２挿通孔５２Ａと第１挿通孔４２ａとは、第１列の電線Ｗ１を上下から挟むように構成されてよい。第１挿通孔４２ｂと第２挿通孔５２Ｂとは、第２列の電線Ｗ２を上下から挟むように構成されてよい。第２挿通孔５２Ａと第２挿通孔５２Ｂとは、電線Ｗを上下から挟むように構成されてよい。

　・図示した実施形態のように、第１係止突部１３ａ，１３ｂおよび対応する第１取付部４４ａ，４４ｂは、２つ以上であってもよい。第２係止突部１４ａ，１４ｂおよび対応する第２取付部５４ａ，５４ｂは、１つまたは３つ以上であってもよい。

　・図示した実施形態のように、電線Ｗは、ハウジング１０から後方に延出されてよい。第３側面１０ｃは、後面として参照することがある。図３に示す例のように、電線Ｗの前端および／または接続端子Ｔは、ハウジング１０内に配置されハウジング１０に覆われてよい。図３に示す例では、電線Ｗの前端および／または接続端子Ｔは、シール部材２０よりも前方に配置されてよい。図３に示す例のように、複数の電線Ｗの各々は、前端と、当該前端から後方に離間または隣接する第１の軸方向位置と、当該第１の軸方向位置から後方に離間または隣接する第２の軸方向位置と、当該第２の軸方向位置から後方に離間または隣接する第３の軸方向位置とを有することができる。電線Ｗの第１の軸方向位置と第２の軸方向位置と第３の軸方向位置は、電線Ｗの長さ方向における３つの連続する筒状領域であってよい。図示した実施形態では、図３に示すように、シール部材２０は、一電線Ｗ（例えば電線Ｗ１）の第１の軸方向位置において当該電線Ｗの径方向最外面に対面または直接接触してよく、第１リテーナ４０の一挿通孔（例えば第１挿通孔４２ａ）は、当該電線Ｗ（例えば電線Ｗ１）の第２の軸方向位置において当該電線Ｗの径方向最外面に対面または直接接触してよく、第２リテーナ５０の一挿通孔（例えば第２挿通孔５２Ａ）は、当該電線Ｗ（例えば電線Ｗ１）の第３の軸方向位置において当該電線Ｗの径方向最外面に対面または直接接触してよい。

　・シール部材２０の貫通孔２１（２２）は、電線Ｗの第１の軸方向位置において電線Ｗの径方向最外面に液密的に接触するように構成されたシーリング孔または第１の電線受け面として参照することがある。第１リテーナ４０の第１挿通孔４２ａ（４２ｂ）は、電線Ｗの第２の軸方向位置において電線Ｗの径方向最外面に対面または直接接触するように構成された第２の電線受け面として参照することがある。第２リテーナ５０の第２挿通孔５２Ａ（５２Ｂ）は、電線Ｗの少なくとも第３の軸方向位置において電線Ｗの径方向最外面に対面または直接接触するように構成された第３の電線受け面として参照することがある。

　・図３に示す例のように、第１リテーナ４０の第１挿通孔４２ａ，４２ｂは、対応する電線Ｗの第２の軸方向位置において当該電線Ｗの第１の周方向サブ面において当該電線Ｗの径方向最外面に対面または直接接触してよい。第２リテーナ５０の第２挿通孔５２Ａ，５２Ｂは、対応する電線Ｗの第３の軸方向位置において当該電線Ｗの径方向最外面に対面または直接接触してよく、さらに、当該電線Ｗの第２の軸方向位置において電線Ｗの第１の周方向サブ面とは異なる第２の周方向サブ面において電線Ｗの径方向最外面に対面または直接接触してよい。

　１　コネクタ
　１０　ハウジング
　１０ａ，１０ｂ，１０ｃ　側面
　１１　収容部
　１２　貫通部
　１３ａ，１３ｂ　第１係止突部
　１４ａ，１４ｂ　第２係止突部
　２０　シール部材
　２１，２２　貫通孔
　３０　リテーナ
　４０　第１リテーナ
　４１　第１本体部
　４２ａ，４２ｂ　第１挿通孔
　４３ａ，４３ｂ　第１導入溝
　４４ａ，４４ｂ　第１取付部
　５０　第２リテーナ
　５０Ａ　第１分割リテーナ
　５０Ｂ　第２分割リテーナ
　５１　第２本体部
　５１Ａ　第１分割本体部
　５１Ｂ　第２分割本体部
　５２Ａ，５２Ｂ　第２挿通孔
　５３Ａ，５３Ｂ　第２導入溝
　５４ａ，５４ｂ　第２取付部
　５６ａ　被覆部（第１被覆部）
　５６ｂ　被覆部（第２被覆部）
　５６Ａａ　第１分割被覆部
　５６Ａｂ　第２分割被覆部
　５６Ｂａ　第１分割被覆部
　５６Ｂｂ　第２分割被覆部
　６１Ａ，６１Ｂ　第３係止突部
　６２Ａ，６２Ｂ　係止被覆部
　６３Ａ，６３Ｂ　第３取付部
　Ｔ　接続端子
　Ｗ，Ｗ１，Ｗ２　電線
　Ｗａ　芯線
　Ｗｂ　絶縁被覆

Claims

　電線が貫通する収容部を有するハウジングと、
　前記収容部の内面と前記電線の外周面との間をシールするシール部材と、
　前記ハウジングに固定され、前記シール部材を抜け止めするリテーナと、
　を備え、
　前記リテーナは、前記シール部材に対して前記電線の長さ方向に重なる第１リテーナ及び第２リテーナを含む、
　コネクタ。
　前記第１リテーナは、前記電線が挿通される第１挿通孔と、前記第１挿通孔から延びる第１導入溝とを備え、
　前記第２リテーナは、前記電線が挿通される第２挿通孔と、前記第２挿通孔から前記第１導入溝と異なる方向に延びる第２導入溝とを備える、
　請求項１に記載のコネクタ。
　前記ハウジングは、周面に第１係止突部と第２係止突部とを有し、
　前記第１リテーナは、前記シール部材と前記電線の長さ方向に重なる第１本体部と、前記第１係止突部と係合して前記第１本体部を前記ハウジングに取り付ける第１取付部とを備え、
　前記第２リテーナは、前記第１本体部と前記電線の長さ方向に重なる第２本体部と、前記第２係止突部と係合して前記第２本体部を前記ハウジングに取り付ける第２取付部とを備える、
　請求項２に記載のコネクタ。
　前記第１係止突部と前記第２係止突部は、前記ハウジングの周方向にずれて配置されており、
　前記第１取付部と前記第２取付部は、前記ハウジングの周方向にずれて配置されている、
　請求項３に記載のコネクタ。
　前記第２リテーナは、前記第１リテーナの前記第１取付部を覆う被覆部を備える、請求項３又は請求項４に記載のコネクタ。
　前記第２リテーナは、前記電線の径方向から前記電線を挟む第１分割リテーナ及び第２分割リテーナを備え、
　前記第１分割リテーナ及び前記第２分割リテーナは同一形状である、
　請求項５に記載のコネクタ。
　前記第１分割リテーナと前記第２分割リテーナの各々は、第３係止突部と、前記第３係止突部と係合する第３取付部と、前記第３係止突部及び前記第３取付部を覆う係止被覆部とを備える、請求項６に記載のコネクタ。