WO2022025286A1

WO2022025286A1 - 乗り物用シート

Info

Publication number: WO2022025286A1
Application number: PCT/JP2021/028480
Authority: WO
Inventors: 貢載山口; 正人田代; 和也河田; 和也宮脇; 喜赫朴; 健太菊地; 直人山内; 直也松本; 裕之郭; 広馬場; 仁一田辺
Original assignee: テイ・エステック株式会社
Priority date: 2020-07-31
Filing date: 2021-07-30
Publication date: 2022-02-03
Also published as: US20230278473A1; CN116033851A; JPWO2022025286A1

Abstract

シート本体の表面にシワやダブつきが生じることを抑制可能な乗り物用シートを提供する。　乗り物用シートＳは、シートバック（２）と、シートバック（２）の内部に取り付けられ、シートバック２の中央部（２Ａ）よりも外側位置に配置され、シートバック（２）のサイド部（２Ｂ）を着座者側（シート前方側）へ突出させるために可動する可動体（４０）と、を備えている。可動体（４０）は、サイド部（２Ｂ）においてクッション材（２ａ）の裏面に配置されている。可動体（４０）の着座者側とは反対側の端部（後端部）は、シートバック（２）の中央部の着座面よりも着座者側（シート前方側）に配置されている。

Description

乗り物用シート

　本発明は、乗り物用シートに係り、シート本体の一部を通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動する可動体を備えた乗り物用シートに関する。

　従来、着座者が着座するシート本体の内部に取り付けられ、シート本体の一部（例えば、サイド部）を通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動する可動体（例えば、サイドサポート部材）を備えた車両用シートが知られている（例えば、特許文献１参照）。
　当該可動体を備えていることで、着座者の体格や嗜好に応じて車両用シートのホールド性を高めることができる。

特開２０１４－１４８２３５号公報

　ところで、特許文献１のような車両用シートでは、可動体がシート本体の一部を着座者側へ突出させたときに、意図せずにシート本体の表面に（具体的には、表皮材に）シワやダブつきが生じてしまうことがあり、そうすると車両用シートの外観を損なう虞があった。
　例えば、車両用シートが、シートバックのサイド部を着座者側へ突出させるサイドサポート部材を備え、サイドサポート部材がシートバックの中央部の着座面よりもシート後方位置に配置されている場合を想定する。そうすると、サイドサポート部材の動作に伴って、シートバックの中央部とサイド部の境界部分（具体的には、吊り込み溝に相当する部分）において表皮材のシワやダブつきが顕著に生じる虞があった。

　また例えば、車両用シートが、シートバックの中央部をシート前方側へ突出させるランバサポート部材と、シート本体のサイド部を着座者側へ突出させるサイドサポート部材とを備え、これらサポート部材がシート幅方向に並んで配置されている場合を想定する、そうすると、これらサポート部材の動作に伴ってシート本体の表面に複数の方向から力が加わってしまい、シワやダブつきが生じ易くなる虞があった。

　本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、シート本体の一部を着座者側へ突出させた場合であっても、シート本体の表面にシワやダブつきが生じてしまうことを抑制することが可能な乗り物用シートを提供することにある。
　また、本発明の他の目的は、シート本体の中央部とサイド部の境界部分（吊り込み溝に相当する部分）において表皮材のシワやダブつきが生じることを抑制することが可能な乗り物用シートを提供することにある。

　前記課題は、着座者が着座するシート本体と、前記シート本体の内部に取り付けられ、前記シート本体のシート幅方向の中央部よりも外側位置に配置され、前記シート本体の一部を通常位置よりも前記着座者側へ突出させるために可動する可動体と、を備え、前記可動体の前記着座者側とは反対側の端部が、前記シート本体の中央部の着座面よりも前記着座者側に配置されていること、により解決される。
　上記構成により、シート本体の表面にシワやダブつきが生じてしまうことを抑制することが可能な乗り物用シートを実現することができる。
　具体的には、可動体の着座者側とは反対側の端部が、シート本体の中央部の着座面よりも着座者側に配置されている。そのため、可動体が可動した場合であっても、シート本体の中央部と外側部の境界部分において表皮材のシワやダブつきが生じることを従来よりも抑制することができる。

　このとき、前記シート本体は、背もたれ部となるシートバックを有し、前記シートバックは、クッション材と、前記クッション材を被覆する表皮材と、を有し、前記可動体は、前記シートバックのシート幅方向のサイド部において前記クッション材の裏面に配置され、前記サイド部をシート前方側へ突出させるために可動すると良い。
　上記構成により、シートバックの表皮材にシワ等が生じることを抑制することができる。具体的には、可動体が可動した場合であっても、シートバックの中央部とサイド部の境界部分（吊り込み溝に相当する部分）において表皮材のシワ等が生じることを抑制することができる。

　このとき、前記可動体は、前記シートバックの前記サイド部をシート前方側へ突出させるために回動する回動部材を有し、前記回動部材の後端部が、前記シートバックの中央部の着座面よりもシート前方側に配置されていると良い。
　上記のように回動部材を備えていることで、可動体の可動動作を一層安定させることができる。
　また上記のように、回動部材の後端部が、シートバックの中央部の着座面よりもシート前方側に配置されているため、シートバックの中央部とサイド部の境界部分において表皮材のシワ等が生じることを一層抑制することができる。

　このとき、前記シートバックは、骨格となるバックフレームを備え、前記バックフレームは、シート幅方向の左右側方に配置され、上下方向に延びているサイドフレームを有し、前記可動体は、前記サイドフレームよりもシート前方位置に配置され、前記可動体は、前記サイドフレームに支持されるベース部材と、前記ベース部材に対して回動軸を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材と、を有していると良い。
　上記構成により、可動体がサイドフレームに好適に支持される。その結果、可動体の可動動作を安定させることができる。また、可動体の可動動作が安定することで、シートバックの表皮材にシワ等が生じることを抑制するように調整することもできる。

　このとき、前記シートバックにおいて前記中央部の着座面と、前記サイド部の突出面とが連続して形成され、前記サイド部において前記クッション材の裏面が、前記サイド部の前記突出面に沿うようにして傾斜面を形成し、前記可動体は、前記サイド部において前記クッション材と前記サイドフレームの間に形成された内部空間に配置され、前記ベース部材のうち、前記サイド部の前記クッション材に対応する部分が、前記サイド部の前記クッション材の裏面に沿って傾斜するように延びていると良い。
　また、前記回動部材のうち、前記サイド部の前記クッション材に対向する部分が、前記サイド部の前記クッション材の裏面に沿って傾斜するように延びていると良い。
　上記構成により、可動体によってシートバックのサイド部を好適に突出させることができる。すなわち、可動体が、シートバックのサイド部のクッション材に対してより均一に圧力をかけることができる。

　このとき、前記クッション材の表面には、前記表皮材の端末を吊りこむための吊り込み溝が形成され、前記吊り込み溝は、前記シートバックにおいて前記中央部と前記サイド部を区画する位置に設けられ、上下方向に延びており、前記クッション材の裏面において前記吊り込み溝に対応する部分には、前記吊り込み溝の周辺において前記クッション材の変形を抑制するためのクッション変形抑制部が形成されていると良い。
　上記のようにクッション変形抑制部を備えていることで、シートバックの所定部位においてクッション材の変形を抑制し、シートバックの表皮材にシワ等が生じることを抑制することができる。
　特に、可動体がシートバックのサイド部を着座者側へ突出させるとき、シートバックの中央部とサイド部の境界部分（吊り込み溝に相当する部分）において表皮材にシワやダブつきが顕著に生じることが分かっている。そのため、当該境界部分において表皮材にシワ等が生じないように対策することができる。

　このとき、前記可動体は、流体が封入されることで膨出する複数の袋体を有し、前記複数の袋体は、シート前後方向において異なる位置に配置され、前記シートバックの中央部の着座面よりもシート前方側に配置されていると良い。
　また、前記可動体は、流体が封入されることで膨出する複数の袋体を有し、前記複数の袋体は、シート前後方向において異なる位置に配置され、前記複数の袋体のうち、最もシート前方側に位置する第１袋体が、その他の袋体よりも最も容量が小さく構成されていると良い。
　上記構成により、位置及び大きさの異なる複数の袋体を膨出させることで、可動体によるシートバックの突出向きや突出量を調整することができる。
　また上記構成により、シートバックのサイド部の突出向きや突出量を調整することで、シートバックの表皮材にシワ等が生じることを抑制することができる。

　このとき、前記クッション材の表面には、前記表皮材の端末を吊りこむための吊り込み孔が形成され、前記吊り込み孔は、前記シートバックにおいて前記中央部と前記サイド部を区画する位置に設けられ、上下方向に延びており、前記表皮材の端末には、前記吊り込み孔を通過し、前記シートバックの内部に設けられた掛け止め部に掛け止めされる表皮吊り込み部が取り付けられ、前記表皮吊り込み部は、前記シートバックの内部に設けられた引き込み部によってシート幅方向の外側に引き込まれた状態で前記掛け止め部に掛け止めされていると良い。
　上記のように、表皮吊り込み部は、シートバックの内部に設けられた引き込み部によってシート幅方向の外側に引き込まれた状態で掛け止め部に掛け止めされている。そのため、表皮材の張力（テンション）を上げることができ、可動体が可動した場合であっても、表皮材のシワ等が生じることを抑制することができる。
　特に、シートバックの中央部の表皮材においてシート幅方向の張力を強くすることができ、シートバックの中央部とサイド部の境界部分において表皮材のシワ等が生じることを一層抑制できる。

　このとき、前記シートバックの内部において前記吊り込み孔と、前記引き込み部とが、シート前後方向において重なる位置に配置されていると良い。
　上記構成により、引き込み部（表皮材の張力を上げる部分）が、シートバックの前後方向においてシートバックの表面に比較的近い位置に配置されることになる。そのため、表皮材の張力を効率良く上げることができ、表皮材にシワ等が発生することを効率良く抑制することができる。

　このとき、前記可動体は、前記サイド部において前記クッション材の裏面に形成された内部空間に配置され、前記サイド部において前記クッション材の外側面には、前記クッション材の外側面から前記内部空間まで貫通する貫通穴が形成され、前記貫通穴は、シート前後方向において前記可動体と重なる位置に配置され、上下方向に延びていると良い。
　上記のように、サイド部のクッション材に貫通穴を形成することで、サイド部のクッション材が好適に撓み易くなる。そのため、可動体がサイド部のクッション材を突出させ易くなり、シートバックの表皮材に余計な力が加わることがなくなる。その結果、表皮材にシワ等が生じることを抑制し易くなる。

　このとき、前記シートバックの内部に取り付けられ、前記シートバックのシート幅方向の中央部を通常位置よりも前記着座者側へ突出させるために可動するランバサポート部材を備え、前記ランバサポート部材が前記シートバックの中央部をシート前方側に最も突出させたときに、前記可動体の後端部が、前記シートバックの中央部の着座面よりもシート前方側に配置されていると良い。
　上記構成により、可動体とランバサポート部材がシート幅方向において異なる位置に配置され、かつ、シート前後方向において異なる位置に配置されることになる。そのため、可動体とランバサポート部材が同時に可動した場合であっても、シートバックの表面にそれぞれ加わる力の向きや位置を異ならせることができる。その結果、シートバックの表面にシワ等が生じることを抑制することができる。

　このとき、前記シートバックの内部に取り付けられ、前記シートバックのシート幅方向の中央部を通常位置よりも前記着座者側へ突出させるために可動するランバサポート部材と、前記シートバックの内部に取り付けられ、前記ランバサポート部材を駆動する駆動装置と、を備え、前記可動体は、前記駆動装置よりもシート前方側に配置されていると良い。
　上記構成により、可動体と、ランバサポート部材と、駆動装置とが、それぞれシートバック内において異なる位置に取り付けられる。そのため、可動体及びランバサポート部材を好適に動作させることが可能となる。
　特に、可動体は、シート前後方向において駆動装置よりもシート前方側に配置されているため、シートバックのサイド部をシート前方側へ突出させるために可動体が好適に可動することが可能となる。
　また上記構成により、乗り物用シートの各構成部品を極力コンパクトに配置することも可能となる。

　このとき、前記シートバックは、骨格となるバックフレームを備え、前記バックフレームは、シート幅方向の左右側方に配置され、所定方向に延びているサイドフレームと、左右の前記サイドフレームの延出方向の端部を連結する連結フレームと、前記連結フレームとは前記サイドフレームの延出方向において異なる位置に配置され、左右の前記サイドフレームを連結する第２連結フレームと、前記連結フレーム及び前記第２連結フレームを連結する連結部材と、を有し、前記可動体は、前記連結部材に取り付けられていると良い。
　上記構成により、可動体が、バックフレームにおいて比較的剛性が高い構成部品となる連結部材に取り付けられている。そのため、可動体に対して着座者による荷重が加わった場合であっても、可動体の変形を抑制することができる。その結果、可動体を安定して動作させることができる。

　本発明によれば、シート本体の表面にシワやダブつきが生じてしまうことを抑制することが可能な乗り物用シートを実現できる。具体的には、可動体が可動した場合であっても、シート本体の中央部と外側部の境界部分において表皮材のシワ等が生じることを従来よりも抑制することができる。
　また本発明によれば、可動体が可動した場合であっても、シートバックの中央部とサイド部の境界部分（吊り込み溝に相当する部分）において表皮材のシワ等が生じることを抑制することができる。
　また本発明によれば、可動体の可動動作を一層安定させることができる。可動体の可動動作が安定することで、シートバックの表皮材にシワ等が生じることを抑制するように調整することもできる。
　また本発明によれば、可動体が、シートバックのサイド部のクッション材に対してより均一に圧力をかけることができる。
　また本発明によれば、シートバックの所定部位においてクッション材の変形を抑制し、シートバックの表皮材にシワ等が生じることを抑制できる。
　また本発明によれば、可動体によるシートバックの突出向きや突出量を調整することができる。その結果、シートバックの表皮材にシワ等が生じることを抑制できる。
　また本発明によれば、表皮材の張力（テンション）を上げることができ、可動体が可動した場合であっても、表皮材のシワ等が生じることを抑制できる。
　また本発明によれば、サイド部のクッション材が好適に撓み易くなる。そのため、可動体がサイド部のクッション材を突出させ易くなり、シートバックの表皮材に余計な力が加わることがなくなくる。その結果、表皮材にシワ等が生じることを抑制し易くなる。
　また本発明によれば、可動体とランバサポート部材が同時に可動した場合であっても、シートバックの表面にそれぞれ加わる力の向きや位置を異ならせることができる。その結果、シートバックの表面にシワ等が生じることを抑制できる。
　また本発明によれば、可動体及びランバサポート部材を好適に動作させることが可能となる。また、乗り物用シートの各構成部品を極力コンパクトに配置することも可能となる。
　また本発明によれば、可動体に対して着座者による荷重が加わった場合であっても、可動体の変形を抑制できる。その結果、可動体を安定して動作させることができる。

本実施形態の乗り物用シートの外観斜視図である。骨格となるシートフレームを示す斜視図である。図１のＩＩＩ－ＩＩＩ断面図であって、可動体、第２可動体が可動した状態を説明する図である。可動体、第２可動体、作動装置を示す概略図である。シートバックの断面図であって、可動体が可動しておらず、シートバックのサイド部が「通常位置」にいる状態を説明する図である。可動体が可動し、シートバックのサイド部が「突出位置」にいる状態を説明する図である。可動体の変形例１を示す図であって、シートバックの断面図である。可動体の変形例２を示す図であって、シートバックの断面図である。可動体の変形例３を示す図であって、シートバックの断面図である。可動体の変形例４を示す図であって、シートバックの断面図である。第２実施形態の乗り物用シートの外観斜視図である。図１０のＸＩ－ＸＩ断面図であって、シートバックの断面図である。可動体の変形例５を示す図であって、シートバックのサイド部が「通常位置」にいる状態を説明する断面図である。シートバックのサイド部が「突出位置」にいる状態を説明する断面図である。可動体の変形例６を示す図であって、シートバックの断面図である。可動体の変形例７を示す図であって、シートバックの断面図である。可動体の変形例８を示す図であって、シートバックの断面図である。第３実施形態の乗り物用シートの外観斜視図である。骨格となるシートフレームを示す斜視図である。可動体、作動装置を示す概略図である。図１６のＸＩＸ－ＸＩＸ断面図であって、シートバックのサイド部が「通常位置」にいる状態を説明する図である。可動体が可動し、シートバックのサイド部が「突出位置」にいる状態を説明する図である。乗り物用シートの外観斜視図である。図２０のＸＸＩ矢視図であって、スリット部を示す要部拡大図である。サイドフレーム、サイドサポート部材を示す側面図である。サイドサポート部材の斜視図である。サイドフレーム、サイドサポート部材の断面図である。第４実施形態の乗り物用シートの外観斜視図である。乗り物用シートの断面図であって、クッション前後調製装置、エア配管、作動装置を示す図である。シートフレームの平面図であって、クッション前後調製装置、エア配管を示す図である。クッション長さ調製装置を示す図であって、突出体が「通常位置」にいる状態を説明する図である。突出体が「突出位置」にいる状態を説明する図である。シートクッションが「通常位置」、クッション長さ調整装置（回動体）が「係合解除位置」にいる状態を説明する図である。シートクッションが「通常位置」、回動体が「係合位置」にいる状態を説明する図である。シートクッションが「突出位置」、回動体が「係合位置」にいる状態を説明する図である。第５実施形態の乗り物用シートのシートフレームを示す斜視図である。図２８のＸＸＩＸ－ＸＸＩＸ断面図であって、可動体、第２可動体、第３可動体の位置関係を説明する図である。第６実施形態の乗り物用シートのシートフレームを示す正面図である。図３０のＸＸＸＩ－ＸＸＸＩ断面図であって、シートバックのサイド部が「通常位置」いる状態を説明する図である。可動体が可動し、シートバックのサイド部が「突出位置」にいる状態を説明する図である。第７実施形態の乗り物用シートの外観斜視図である。骨格となるシートフレームを示す斜視図である。ランバサポート、空気制御ユニット及び空気ポンプを示す概略図である。可動体、駆動装置を示す斜視図である。可動体を示す要部拡大図である第８実施形態の乗り物用シートのシートフレームを示す斜視図である。第９実施形態の乗り物用シートの外観斜視図である。骨格となるシートフレームを示す斜視図である。シートフレームを示す正面図である。乗り物用シートを示す正面図であって、可動体及び連結部材と、表皮吊り込み溝との位置関係を説明する図である。図３８のＸＬＩＩ－ＸＬＩＩ断面図であって、シートバックのサイド部が「通常位置」にいる状態を説明する図である。可動体が可動し、シートバックのサイド部が「突出位置」にいる状態を説明する図である。可動体の変形例９を示す図であって、シートバックのサイド部が「通常位置」にいる状態を説明する図である。シートバックのサイド部が「突出位置」にいる状態を説明する図である。可動体の変形例１０を示す図であって、シートバックのサイド部が「通常位置」にいる状態を説明する図である。シートバックのサイド部が「突出位置」にいる状態を説明する図である。第１０実施形態の乗り物用シートを示す外観斜視図である。骨格となるシートフレームを示す斜視図である。シートバックの断面図（図４５のＸＬＶＩＩ－ＸＬＶＩＩ断面図）であって、サイド部が「通常位置」にいる状態を示す図である。可動部材（エアセル）が可動し、サイド部が「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。第１１実施形態の乗り物用シートを示す外観斜視図である。第１２実施形態の乗り物用シートを示す外観斜視図である。骨格となるシートフレームを示す斜視図である。図４９のＬＩ－ＬＩ断面図であって、サイドサポートの位置関係を説明する図である。第１３実施形態の乗り物用シートの外観図である。乗り物用シートが備えるシートフレームの斜視図である。シートバックサイドフレームの側面図である。図５４のＬＶ－ＬＶ断面図である。第１４実施形態の乗り物用シートのシートフレームの斜視図である。シートバックサイドフレームの側面図である。図５７のＬＶＩＩＩ－ＬＶＩＩＩ断面図である。第１５実施形態の乗り物用シートのシートフレームの斜視図である。シートクッションサイドフレームの側面図である。図６０のＬＸＩ－ＬＸＩ断面図である。第１６実施形態の乗り物用シートの側面図であって、通常状態を示す図である。チップアップ状態を示す図である。シートフレームの底面図であって、クッションフレーム、支持脚及び脚回動装置を示す図である。

　以下、本発明に係る実施形態について図１～図６４を参照して説明する。
　本実施形態は、シート本体と、シート本体の内部に取り付けられ、シート本体のシート幅方向の中央部よりも外側位置に配置され、シート本体のサイド部を着座者側（シート前方側）へ突出させるために可動する可動体とを備えており、可動体の着座者側とは反対側の端部（後端部）が、シート本体の中央部の着座面よりも着座者側（シート前方側）に配置されていることを主な特徴とする乗り物用シートの発明に関するものである。
　なお、乗り物用シートのシートバックに対して着座者が着座する側がシート前方側となる。

　＜第１実施形態＞
　第１実施形態の乗り物用シートＳ１は、図１、図２に示すように、車両用シートであって、シートクッション１と、シートバック２と、ヘッドレスト３とを有するシート本体と、シートバック２の内部に取り付けられ、シートバック２の中央部２Ａを通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動するランバサポート部材３０と、シート本体の内部に取り付けられ、シートバック２のサイド部２Ｂを通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動する可動体４０（サイドサポート部材）と、ランバサポート部材３０及び可動体４０を可動させるために作動する作動装置５０（流体供給装置）と、を備えている。

　シートクッション１は、図１に示すように、着座者を下方から支持する着座部であって、骨格となる図２に示すクッションフレーム１０上にクッション材１ａを載置して表皮材１ｂで被覆されて構成されている。
　シートクッション１は、シート幅方向の中央部分にある中央部１Ａと、中央部１Ａのシート幅方向の外側にある左右のサイド部１Ｂ（サイドボルスター部）と、から構成されている。
　クッション材１ａは、発泡ウレタン等からなるパッド部材である。
　クッション材１ａの表面上には、中央部１Ａと左右のサイド部１Ｂを区分けするようにシート前後方向に延びている左右の吊り込み溝１ａａが形成されている。

　シートバック２は、図１に示すように、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となる図２に示すバックフレーム２０にクッション材２ａを載置して表皮材２ｂで被覆されて構成されている。
　シートバック２は、シート幅方向の中央部分にある中央部２Ａと、中央部２Ａのシート幅方向の外側にある左右のサイド部２Ｂ（サイドボルスター部）と、から構成されている。
　クッション材２ａの表面上には、中央部２Ａと左右のサイド部２Ｂを区分けするように上下方向に延びている左右の吊り込み溝２ａａが形成されている。
　なお、図１、図３に示すように、中央部２Ａの表面（着座面）と、サイド部２Ｂの表面（突出面）とが連続して形成されている。また、図５Ａに示すように、サイド部２Ｂのクッション材２ａの裏面が、サイド部２Ｂの表面（突出面）に沿うようにして傾斜面を形成している。

　ヘッドレスト３は、図１に示すように、着座者の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となるピラー３ｃにクッション材３ａを載置して表皮材３ｂで被覆されて構成されている。
　なお、バックフレーム２０の上部には、ヘッドレスト３の本体を支持するピラー３ｃを取り付けるためのピラー取り付け部材２６が組み付けられている。

　クッションフレーム１０は、図２に示すように、矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるクッションサイドフレーム１１と、各クッションサイドフレーム１１の前端部分に架設される板状のパンフレーム１２（架設フレーム）と、各クッションサイドフレーム１１の後方部分を連結する後方連結フレーム１３と、パンフレーム１２及び後方連結フレーム１３に掛け止めされ、シート前後方向に延びている複数の弾性部材１４（弾性バネ）と、から主に構成されている。

　クッションサイドフレーム１１は、シート前後方向に長尺な板状フレームである。
　なお、クッションサイドフレーム１１の後方部分にはリクライニング装置４が取り付けられており、その下方部分にはハイトリンク装置５を介してレール装置６が取り付けられている。

　バックフレーム２０は、図２、図３に示すように、矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるバックサイドフレーム２１と、各バックサイドフレーム２１の上端部分を連結する逆Ｕ字形状の上部フレーム２２と、各バックサイドフレーム２１の下端部分を連結するプレート形状の下部フレーム２３と、各バックサイドフレーム２１にそれぞれ掛け止めされ、シート幅方向に蛇状に延びている複数のワイヤ部材２４（弾性ワイヤ）と、複数のワイヤ部材２４によって保持され、着座者を支持する支持プレート２５と、から主に構成されている。
　なお、バックフレーム２０は、上部フレーム２２のシート幅方向の中央部分に取り付けられ、ヘッドレスト３のピラー３ｃを取り付けるためのピラー取り付け部材２６をさらに備えている。

　バックサイドフレーム２１は、上下方向に延出し、横断面略Ｃ字形状からなる板金部材であって、その下端部分がリクライニング装置４を介してクッションサイドフレーム１１の後端部分に連結されている。
　上記構成においてバックフレーム２０は、クッションフレーム１０に対して相対回動することが可能となっている。

　上記構成において、図２に示すように、支持プレート２５の下方部分の前面には、ランバサポート部材３０が取り付けられている。
　また、図２、図３に示すように、左右のバックサイドフレーム２１の下方部分の前面には、左右の可動体４０が取り付けられている。

　ランバサポート部材３０は、図２～図５Ａ、Ｂに示すように、流体が封入されることで膨出する袋体（エアセル）を有し、流体としての圧縮空気が封入されることで着座者側へ膨出し（通常位置から突出位置へ突出し）、封入された圧縮空気が排出されることで収縮する（通常位置へ戻る）ものである。
　具体的には、ランバサポート部材３０は、着座者の腰部を支持する部材であって、シートバック２の下方部分の中央部２Ａにおいてクッション材２ａと支持プレート２５の間に配置されている。そして、中央部２Ａ（クッション材２ａ）を着座者側へ突出させるために可動する部材である。
　ランバサポート部材３０は、折り畳まれた状態で支持プレート２５の前面に取り付けられている。

　ランバサポート部材３０は、シート幅方向に長尺な矩形状を有しており、支持プレート２５に支持されるベース部材３１（ベースプレート）と、ベース部材３１の前面に支持される袋体３２と、から主に構成されている。
　袋体３２は、折り畳まれた状態から圧縮空気が封入されることでシート前方側に膨出することができる。

　可動体４０は、図２～図５Ａ、Ｂに示すように、袋体（エアセル）を有し、圧縮空気が封入されることで着座者側へ膨出し（通常位置から突出位置へ突出し）、封入された圧縮空気が排出されることで収縮する（通常位置へ戻る）ものである。
　具体的には、可動体４０は、着座者を側方から支持するサイドサポート部材であって、シートバック２の下方部分のサイド部２Ｂにおいてクッション材２ａとバックサイドフレーム２１の間に配置されている。そして、サイド部２Ｂ（クッション材２ａ）を着座者側（シート前方側かつシート幅方向の内側）へ突出させるために可動する部材である。
　可動体４０は、折り畳まれた状態でバックサイドフレーム２１の前面に取り付けられている。

　可動体４０は、上下方向に長尺な略五角形状を有しており、バックサイドフレーム２１に支持されるベース部材４１と、ベース部材４１よりもシート前方位置に配置され、ベース部材４１に対して回動軸４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材４３と、ベース部材４１及び回動部材４３の間に配置され、ベース部材４１の前面に支持される複数の袋体４４と、から主に構成されている。

　ベース部材４１は、バックサイドフレーム２１の前面に取り付けられ、バックサイドフレームの前面に沿ってシート幅方向に突出するように延びている。
　回動軸４２は、ベース部材４１の前面のうち、シート幅方向の内側端部に取り付けられている。
　回動部材４３は、ベース部材４１に対してシート前後方向に回動可能に取り付けられており、シート前方に向かって回動することでシートバック２のサイド部２Ｂをシート前方側へ突出させる（押し出す）ことができる。
　なお、回動部材４３は、シートバック２が通常位置のときには、ベース部材４１側に寄らせた位置に配置されている。不図示の付勢バネ（付勢部材）によってベース部材４１側に付勢された状態となっていても良い。

　複数の袋体４４は、ベース部材４１によって支持されており、圧縮空気が封入されることでシート前方側に膨出し、回動部材４３をシート前方に向かって押し出すことができる。すなわち、回動部材４３をシート前方に回動させることができる。

　複数の袋体４４は、シート前後方向及びシート幅方向において異なる位置に配置され、それぞれ異なる大きさから構成されている。
　詳しく述べると、複数の袋体４４は、３つの袋体から構成され、複数の袋体４４のうち、最もシート前方側に位置する第１袋体４４ａが、その他の袋体よりも容量が最も小さく構成されている。そして、第２袋体４４ｂの容量が最も大きく構成されており、第３袋体４４ｃの容量が中程度となっている。
　上記構成により、位置及び大きさの異なる複数の袋体４４を膨出させることで、シートバック２（サイド部２Ｂ）の突出向きや突出量を調整することができる。
　また、シートバック２のサイド部２Ｂの突出向きや突出量を調整することで、シートバック２の表皮材２ｂにシワやダブつきが生じることを抑制できる。

　上記構成において、図５Ａに示すように、可動体４０は、サイド部２Ｂにおいてクッション材２ａとバックサイドフレーム２１の間に形成された内部空間に配置されている。
　そして、ベース部材４１のうち、サイド部２Ｂのクッション材２ａに対応する部分が、当該クッション材２ａの裏面に沿って傾斜するように延びている。
　また、回動部材４３のうち、サイド部２Ｂのクッション材２ａに対向する部分が、当該クッション材２ａの裏面に沿って傾斜するように延びている。
　そのため、可動体４０が、シートバック２のサイド部２Ｂのクッション材２ａに対してより均一に圧力をかけることができる。すなわち、可動体４０によってシートバック２のサイド部２Ｂを好適に突出させることが可能となる。

　作動装置５０は、図２、図４に示すように、シート本体の内部に取り付けられ、ランバサポート部材３０（袋体３２）及び可動体４０（袋体４４）に対し圧縮空気を供給するための流体供給装置である。
　作動装置５０は、バックサイドフレーム２１の外側面に取り付けられた空気制御ユニット５１と、クッションフレーム１０（パンフレーム１２）の裏面に取り付けられ、圧縮空気を供給（給気）及び排出（排気）するための空気ポンプ５２と、空気ポンプ５２及びランバサポート部材３０（可動体４０）を接続する空気配管５３と、から主に構成されている。

　空気制御ユニット５１は、例えば、着座者による所定のユーザ操作の選択を受け付けて所定の制御信号を受信し、袋体３２、４４に圧縮空気を供給することや、袋体３２、４４から圧縮空気を排出するように空気ポンプ５２を制御する。
　そうすることで、着座者の体格に応じてランバサポート部材３０、可動体４０の可動範囲を調整することができる。

　上記構成において、図３に示すように、ランバサポート部材３０がシートバック２の中央部２Ａをシート前方側に最も突出させたときに、可動体４０の後端部が、シートバック２の中央部２Ａの着座面よりもシート前方側に配置されている。
　言い換えれば、複数の袋体４４が、シートバック２の中央部２Ａの着座面よりもシート前方側に配置されている。
　そのため、シートバック２の表皮材２ｂにシワやダブつきが生じてしまうことを抑制することができる。
　詳しく説明すると、ランバサポート部材３０と可動体４０が、シート幅方向において異なる位置に配置され、かつ、シート前後方向において異なる位置に配置されることになる。そうすることで、ランバサポート部材３０、可動体４０が同時に可動した場合であっても、シートバック２の表皮材２ｂにそれぞれ加わる力の向きや位置を異ならせることができる。その結果、シートバック２の表皮材２ｂにシワ等が生じることを抑制できる。

　次に、図５Ａ、Ｂに基づいて、可動体４０の動作を詳しく説明する。
　可動体４０は、シートバック２のサイド部２Ｂを、図５Ａに示す「通常位置」から図５Ｂに示す「突出位置」へ移動させるために可動する（膨出する）ことができる。

　図５Ａは、シートバック２の横断面図であって、シートバック２のサイド部２Ｂが「通常位置」にいる状態を示す図である。
　可動体４０は、シート前後方向においてバックフレーム２０と表皮材２ｂの間に配置されている。具体的には、バックサイドフレーム２１の前面に取り付けられており、クッション材２ａの裏面に対向する位置に配置されている。

　図５Ｂは、可動体４０（回動部材４３）がシート前方へ突出し、シートバック２のサイド部２Ｂが「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。
　具体的には、作動装置５０から圧縮空気の供給を受けることで、折り畳まれた状態の袋体４４がシート前方へ膨出展開し、回動部材４３をシート前方に向かって押し出すことで、サイド部２Ｂがシート前方へ移動する。その結果、サイド部２Ｂが「突出位置」に移動する。
　なお、作動装置５０によって袋体４４の内部にある圧縮空気が排出されることで、膨らんだ状態の袋体４４が収縮し、サイド部２Ｂがシート後方へ下がる。その結果、シートバック２のサイド部が「突出位置」から「通常位置」に戻る。

　上記構成において、図５Ｂに示すように、可動体４０（袋体４４）の可動動作に伴って、シートバック２のサイド部２Ｂがシート前方かつシート幅方向の内側に突出するように構成されている。
　そうすることで、着座者の着座フィーリングを高めることができる。

　　＜＜可動体の変形例１～４＞＞
　次に、可動体の変形例１～４について、図６～図９に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１と重複する内容については説明を省略する。

　変形例１の可動体４０は、図６に示すように、バックサイドフレーム２１に支持されるベース部材４１と、ベース部材４１の前面に支持される複数の袋体４４と、から構成されている。
　複数の袋体４４は、ベース部材４１によって支持されており、折り畳まれた状態から圧縮空気が封入されることでシート前方側に膨出することができる。
　なお、複数の袋体４４は、ベース部材４１の前面のうち、シート幅方向の内側端部に設けられた取り付け部材４５によってベース部材４１に取り付けられている。

　図６は、可動体４０（袋体４４）がシート前方へ突出し、シートバック２のサイド部２Ｂが「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。
　具体的には、作動装置５０から圧縮空気の供給を受けることで、折り畳まれた状態の袋体４４がシート前方へ膨出展開し、サイド部２Ｂを直接シート前方へ押し出す。その結果、シートバック２のサイド部２Ｂが「突出位置」に移動する。

　上記構成において、図６に示すように、クッション材２ａの裏面において吊り込み溝２ａａに対応する部分には、吊り込み溝２ａａの周辺においてクッション材２ａの変形を抑制するためのクッション変形抑制部４６が取り付けられている。
　なお、「吊り込み溝２ａａの周辺」とは、厳密には、吊り込み溝２ａａよりもシート幅方向の外側の位置である。
　クッション変形抑制部４６は、クッション材２ａの裏面に取り付けられた樹脂プレートであって、可動体４０の後端部よりもシート後方位置に配置され、かつ、可動体４０のシート幅方向の内側端部よりもシート幅方向の内側に配置されている。
　そのため、シートバック２の表皮材２ｂにシワやダブつきが生じることを抑制できる。特に、シートバック２の中央部２Ａとサイド部２Ｂの境界部分（吊り込み溝２ａａに相当する部分）において表皮材２ｂのシワやダブつきが生じることを抑制できる。
　なお、クッション変形抑制部４６が、樹脂プレートの代わりに不織布等の布状部材であっても良い。

　変形例２の可動体４０は、図７に示すように、ベース部材４１と、ベース部材４１に対して回動軸４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材４３と、ベース部材４１及び回動部材４３の間に配置され、ベース部材４１の前面に支持される１つの袋体４４と、から構成されている。
　なお、回動部材４３は、やや湾曲した湾曲形状を有するプレート体となっている。そのため、回動部材４３とクッション材２ａの接触面積が幾分小さくなって、回動部材４３の押し出し力がクッション材２ａに効率良く伝わることになる。

　上記構成において、図７に示すように、クッション材２ａの裏面において吊り込み溝２ａａに対応する部分には、吊り込み溝２ａａの周辺においてクッション材２ａの変形を抑制するためのクッション変形抑制部４６が取り付けられている。
　クッション変形抑制部４６は、クッション材２ａの裏面に設けられたクッション肉厚部であって、可動体４０よりもシート後方位置に配置され、かつ、可動体４０よりもシート幅方向の内側に配置されている。
　そのため、シートバック２の中央部２Ａとサイド部２Ｂの境界部分（吊り込み溝２ａａに相当する部分）において表皮材２ｂのシワやダブつきが生じることを抑制できる。
　なお、クッション変形抑制部４６が、クッション肉厚部の代わりに硬度の高い部分（クッション高硬度部）として形成されていても良い。

　変形例３の可動体４０は、図８に示すように、ベース部材４１と、ベース部材４１の前面に支持される複数の袋体４４と、から構成されている。
　図８は、可動体４０（袋体４４）がシート前方へ突出し、シートバック２のサイド部２Ｂが「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。

　上記構成において、図８に示すように、クッション材２ａの裏面において可動体４０に対向する部分には、クッション材２ａよりも硬度の高いクッション高硬度部４７が設けられている。
　クッション高硬度部４７は、クッション材２ａの裏面においてクッション材２ａとともに一体成形されたものであって、シートバック２の中央部２Ａの着座面よりもシート前方位置に配置されており、可動体４０によって直接押圧される部分である。
　そのため、可動体４０が、シートバック２のサイド部２Ｂを好適に突出させるように押し出すことができる。
　また、サイド部２Ｂを好適に突出させることで、シートバック２の表皮材２ｂにシワ等が生じることを抑制できる。

　変形例４の可動体４０は、図９に示すように、ベース部材４１と、ベース部材４１に対して回動軸４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材４３と、ベース部材４１及び回動部材４３の間に配置され、ベース部材４１の前面に支持される１つの袋体４４と、から構成されている。

　上記構成において、図９に示すように、クッション材２ａの裏面において可動体４０よりも外側に位置する部分には、クッション材２ａの変形を促進するためのクッション変形促進部４８が形成されている。
　クッション変形促進部４８は、クッション材２ａの裏面に設けられたクッション肉薄部であって、可動体４０よりもややシート前方位置に配置され、かつ、可動体４０よりもシート幅方向の外側に配置されている。
　そのため、サイド部２Ｂのクッション材２ａが好適に撓み易くなり、可動体４０がサイド部２Ｂのクッション材２ａを突出させ易くなる。その結果、シートバック２の表皮材２ｂに余計な力が加わることがなくなり、表皮材２ｂにシワ等が生じることを抑制できる。

　　＜＜その他＞＞
　上記実施形態では、図１に示すように、ランバサポート部材３０が、シートバック２に取り付けられているが、特に限定されることなく、シートクッション１に取り付けられていても良い。

　上記実施形態では、図５Ａ、Ｂに示すように、ランバサポート部材３０が袋体（エアセル）、作動装置５０が流体供給装置として構成されているが、特に限定されることなく変更可能である。
　例えば、「可動体」及び「作動装置」が、機械的機構によって構成されていても良い。具体的には、「可動体」がリンク機構やヒンジ機構等によって可動するように構成され、「作動装置」がモータ式や油圧式の駆動装置等によって構成されていても良い。

　上記実施形態では、図５Ａ、Ｂに示すように、ランバサポート部材３０がクッション材２ａの裏面側に配置されているが、特に限定されることなく、クッション材２ａの表面側に配置されていても良い。

　上記実施形態では、図５Ｂに示すように、可動体４０が、シートバック２のサイド部２Ｂをシート前方側かつシート幅方向の内側へ突出させているが、特に限定されることなく、シート前方側のみへ突出させても良いし、シート幅方向の内側のみに突出させても良い。

　＜乗り物用シートの第２実施形態＞
　次に、第２実施形態の乗り物用シートＳ２について、図１０～図１５に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ２は、図１０に示すように、シートクッション１０１と、シートバック１０２と、ヘッドレスト１０３とを有するシート本体と、可動体１４０（サイドサポート部材）と、を備えている。

　シートバック１０２のクッション材１０２ａの表面上には、中央部１０２Ａと左右のサイド部１０２Ｂを区分けするように上下方向に延びている左右の吊り込み溝１０２ａａ、左右の吊り込み孔１０２ａｂがそれぞれ形成されている。
　吊り込み孔１０２ａｂは、クッション材１０２ａをシート前後方向に貫通した貫通孔であって、上下方向及びシート前後方向において可動体１４０に対応する位置（重なる位置）に形成されており、上下方向に長尺となるように延びている。
　なお、吊り込み溝１０２ａａは、吊り込み孔１０２ａｂよりも上方位置及び下方位置に形成されており、吊り込み溝１０２ａａと吊り込み孔１０２ａｂとが上下方向に連続して形成されている。

　可動体１４０は、図１１に示すように、バックサイドフレーム１２１に支持されるベース部材１４１と、ベース部材１４１に対して回動軸１４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材１４３と、ベース部材１４１及び回動部材１４３の間に配置され、ベース部材４１の前面に支持される１つの袋体１４４と、から構成されている。
　図１１は、可動体１４０（袋体１４４）がシート前方へ突出し、シートバック１０２のサイド部１０２Ｂが「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。

　上記構成において、図１１に示すように、吊り込み孔１０２ａｂは、クッション材１０２ａの裏面から表面に向かうに従って幅広となるように形成されている。
　詳しく述べると、吊り込み孔１０２ａｂの内側面のうち、シート幅方向の外側に位置する内側面が、クッション材１０２ａの裏面から表面に向かうに従って傾斜しながら広がっている。
　つまり、シートバック１０２の中央部１０２Ａのクッション材１０２ａ（表皮材１０２ｂ）と、サイド部１０２Ｂのクッション材１０２ａ（表皮材１０２ｂ）とが幾分離れた位置に配置される。
　そうすることで、可動体１４０によってサイド部１０２Ｂをシート前方側へ突出させたときに、クッション材１０２ａ同士及び表皮材１０２ｂ同士の意図しない接触を抑えることができる。その結果、中央部１０２Ａとサイド部１０２Ｂの境界部分において表皮材１０２ｂのシワ等が生じることを抑制できる。
　また、シートバック２の剛性を低下させることなく、クッション材１０２ａを撓み易くすることができる。

　なお、吊り込み孔１０２ａｂは、必ずしも貫通孔として形成されている必要はなく、例えば、吊り込み溝１０２ａａよりも深さの大きい孔として形成されていても良い。

　　＜＜可動体の変形例５～８＞＞
　次に、可動体の変形例５～８について、図１２Ａ、Ｂ～図１５に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ２と重複する内容については説明を省略する。

　変形例５の可動体１４０は、図１２Ａに示すように、ベース部材１４１と、ベース部材１４１に対して回動軸１４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材１４３と、ベース部材１４１及び回動部材１４３の間に配置される１つの袋体１４４と、から構成されている。
　図１２Ｂは、可動体１４０がシート前方へ突出し、シートバック１０２のサイド部１０２Ｂが「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。

　図１２Ａ、Ｂに示す断面位置（吊り込み孔１０２ａｂが形成された断面位置）において、サイド部１０２Ｂの表皮材１０２ｂの裏面には、サイド部１０２Ｂの突出方向をガイドする布状のガイド部材１４６が取り付けられている。
　ガイド部材１４６は、その一端部が表皮材１０２ｂの裏面に縫製によって取り付けられ、クッション材１０２ａの吊り込み孔１０２ａｂを通過し、その他端部が可動体１４０（回動軸１４２）に取り付けられて構成されている。
　そうすることで、可動体１４０の動作に伴ってシートバック１０２のサイド部１０２Ｂがシート前方側へ突出するときに、サイド部１０２Ｂが意図せずに中央部１０２Ａ側（シート幅方向の内側）へ突出してしまうことを抑制することができる。
　その結果、中央部１０２Ａとサイド部１０２Ｂの境界部分において表皮材１０２ｂのシワ等が生じることを抑制できる。

　変形例７の可動体１４０は、図１３に示すように、ベース部材１４１と、ベース部材１４１に対して回動軸１４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材１４３と、ベース部材１４１及び回動部材１４３の間に配置される１つの袋体１４４と、から構成されている。
　図１３に示す断面位置では、中央部１０２Ａの表皮材１０２ｂと、サイド部１０２Ｂの表皮材１０２ｂとが分離して形成されている。
　すなわち、中央部１０２Ａの表皮材１０２ｂが、中央部１０２Ａのクッション材１０２ａを独立して被覆するように形成されており、またサイド部１０２Ｂの表皮材１０２ｂが、サイド部１０２Ｂのクッション材１０２ａを独立して被覆するように形成されている。
　なお、表皮材１０２ｂのうち、クッション材１０２ａの吊り込み孔１０２ａｂを通過し、クッション材１０２ａの裏面へ回り込む部分については、表皮材１０２ｂの代わりに布状のガイド部材１４６を設けることで代用しても良い。

　そうすることで、可動体１４０の動作に伴ってシートバック１０２のサイド部１０２Ｂがシート前方側へ突出するときに、サイド部１０２Ｂが意図せずに中央部１０２Ａ側へ突出してしまうことを抑制できる。
　その結果、中央部１０２Ａとサイド部１０２Ｂの境界部分において表皮材１０２ｂのシワ等が生じることを抑制できる。
　また、中央部１０２Ａとサイド部１０２Ｂの境界部分において表皮材１０２ｂの端末部が意匠面から浮き出てしまう等の影響を避けることができる。

　変形例８の可動体１４０は、図１４に示すように、ベース部材１４１と、ベース部材１４１に対して回動軸１４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材１４３と、ベース部材１４１及び回動部材１４３の間に配置される１つの袋体１４４と、から構成されている。
　図１４に示す断面位置において、表皮材１０２ｂの端末部には、吊り込み孔１０２ａｂを通過し、シートバック１０２の内部に設けられた掛け止めワイヤ１０２ａｃ（掛け止め部）に掛け止めされる表皮吊り込み部１４７が取り付けられている。

　表皮吊り込み部１４７は、シートバック１０２の内部に設けられた引き込みワイヤ１０２ａｄ（引き込み部）によってシート幅方向の外側に引き込まれた状態で掛け止めワイヤ１０２ａｃに掛け止めされている。
　具体的には、表皮吊り込み部１４７は、表皮材１０２ｂの端末部に取り付けられ、当該端末部から吊り込み孔１０２ａｂを通過して延びている布状の吊り込み本体１４７ａと、吊り込み本体１４７ａの延出端部に取り付けられる吊り込みフック１４７ｂと、を有している。
　吊り込み本体１４７ａは、クッション材１０２ａの内部に設けられた引き込みワイヤ１０２ａｄによって支持され、シート幅方向の外側に引っ張られた状態となっている。
　吊り込みフック１４７ｂは、引き込みワイヤ１０２ａｄよりもシート後方位置に配置され、かつ、シート幅方向の内側に配置された掛け止めワイヤ１０２ａｃに掛け止めされている。

　上記構成により、表皮材１０２ｂの張力（テンション）を上げることができ、可動体１４０が可動した場合であっても、表皮材１０２ｂのシワ等が生じることを抑制することができる。特に、中央部１０２Ａの表皮材１０２ｂにおいてシート幅方向の張力を強くすることができ、中央部１０２Ａとサイド部１０２Ｂの境界部分において表皮材１０２ｂのシワ等が生じることを一層抑制できる。

　変形例９の可動体１４０は、図１５に示すように、ベース部材１４１と、ベース部材１４１に対して回動軸１４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材１４３と、ベース部材１４１及び回動部材１４３の間に配置される１つの袋体１４４と、から構成されている。
　図１５に示す断面位置において、表皮材１０２ｂの端末部には、変形例８と同様に表皮吊り込み部１４７が取り付けられている。
　また、サイド部１０２Ｂにおいてクッション材１０２ａの外側面には、クッション材１０２ａの外側面から内部空間まで貫通する貫通孔１４８が形成されている。
　貫通孔１４８は、シート前後方向において可動体１４０と重なる位置に配置されており、上下方向に長尺となるように延びている。

　上記のように貫通孔１４８が形成されることで、サイド部１０２Ｂのクッション材１０２ａが好適に撓み易くなる。
　そのため、可動体１４０がサイド部１０２Ｂのクッション材１０２ａを突出させ易くなり、シートバック１０２の表皮材１０２ｂに余計な力が加わることがなくなる。その結果、表皮材１０２ｂにシワ等が生じることを抑制し易くなる。

　＜乗り物用シートの第３実施形態＞
　次に、第３実施形態の乗り物用シートＳ３について、図１６～図２２Ｃに基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１、Ｓ２と重複する内容については説明を省略する。

　乗り物用シートＳ３は、図１６、図１７に示すように、シートクッション２０１と、シートバック２０２と、ヘッドレスト２０３とを有するシート本体と、シートバック２０２の内部に取り付けられ、シートバック２０２の中央部２０２Ａを通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動するランバサポート部材２３０と、ランバサポート部材２３０を駆動する駆動装置２３１（アクチュエータ）と、シートバック２０２の内部に取り付けられ、シートバック２のサイド部２Ｂを通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動する可動体２４０（ショルダサポート部材）と、可動体２４０を可動させるために作動する作動装置２５０（流体供給装置）と、を備えている。
　また、乗り物用シートＳ３は、シートバック２０２の左右側方に配置され、着座者をシート幅方向の側方から支持するサイドサポート部材２６０と、シートクッション２０１の内部に取り付けられ、着座者の生体電位に応じた電気信号（生体信号）を検出するシート状の着座センサ２７０と、着座センサ２７０によって検出された生体信号を受信し、受信した生体信号を外部へ送信する制御装置２８０と、を備えている。

　バックフレーム２２０は、図１７に示すように、矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるバックサイドフレーム２２１と、各バックサイドフレーム２２１の上端部分を連結する逆Ｕ字形状の上部フレーム２２２と、各バックサイドフレーム２１の下端部分を連結するプレート形状の下部フレーム２２３と、上部フレーム２２２の左右の延出部分を連結するプレート状の連結フレーム２２７（クロスメンバ）と、連結フレーム２２７及び下部フレーム２２３にそれそれ掛け止めされ、上下方向に延びている左右のワイヤ部材２２４（弾性ワイヤ）と、左右のワイヤ部材２２４によって保持され、着座者を支持する支持プレート２２５と、から主に構成されている。

　上記構成において、図１７に示すように、支持プレート２２５の前面には、ランバサポート部材２３０が取り付けられており、右側のバックサイドフレーム２２１の内側面には、ランバサポート部材２３０を駆動する駆動装置２３１が取り付けられている。
　また、左右のワイヤ部材２２４の上方部分の前面には、左右の可動体２４０が取り付けられており、左側のバックサイドフレーム２２１の外側面には、可動体２４０を可動させるための作動装置２５０が取り付けられている。
　さらに、左右のバックサイドフレーム２２１の前面には、左右のサイドサポート部材２６０が取り付けられている。

　ランバサポート部材２３０は、図１７に示すように、シートバック２０２の下方部分に配置され、着座者の腰部を支持するランバサポート部材である。
　ランバサポート部材２３０は、クッション材２０２ａと支持プレート２２５の間に配置されており、シートバック２０２の中央部２０２Ａ（クッション材２０２ａ）を着座者側へ突出させるために可動する部材である。
　具体的には、ランバサポート部材２３０は、支持プレート２２５の前面に支持され、シート前方側に突出するように湾曲することが可能な略矩形状の可動プレートである。
　ランバサポート部材２３０は、平板形状で支持プレート２２５の前面に取り付けられ、駆動装置２３１が駆動することで上下方向に撓むように湾曲し、シートバック２０２の中央部２０２Ａをシート前方側へ突出させることができる。

　駆動装置２３１は、図１７に示すように、バックサイドフレーム２２１の内側面に固定され、可動体２４０をシート前後方向及び上下方向に可動させるために駆動するアクチュエータである。
　具体的には、駆動装置２３１は、駆動本体部２３２と、駆動本体部２３２及びランバサポート部材２３０を連結し、駆動本体部２３２の動作に伴ってランバサポート部材２３０を可動させるように作用する複数のケーブル２３３、２３４、２３５と、を有している。

　第１ケーブル２３３は、駆動本体部２３２の上端部から上方に向かって延出し、支持プレート２２５の裏面に回り込むように屈曲し、下方に向かって延びてランバサポート部材２３０の下端部の裏面に接続されている。
　駆動本体部２３２の駆動に伴って第１ケーブル２３３が牽引されることで、ランバサポート部材２３０は、上下方向に撓むように湾曲し、シート前方側へ可動することができる。また、第１ケーブル２３３の牽引が解除されることで、ランバサポート部材２３０は、再び平板形状に戻ることができる。

　第２ケーブル２３４は、駆動本体部２３２の上端部からシート後方に向かって延出し、支持プレート２２５の裏面に回り込むように屈曲し、シート幅方向の内側に向かって延びてランバサポート部材２３０の上端部の裏面に接続されている。
　また、第３ケーブル２３５は、駆動本体部２３２の下端部からシート後方に向かって延出し、支持プレート２２５の裏面に回り込むように屈曲し、シート幅方向の内側に向かって延びてランバサポート部材２３０の上端部の裏面に接続されている。
　駆動本体部２３２の駆動に伴って第２ケーブル２３４、第３ケーブル２３５が牽引されることで、ランバサポート部材２３０は、上方へ可動することができる。また、第２、第３ケーブル２３４、２３５の牽引が解除されることで、ランバサポート部材２３０は、下方へ可動することができる。

　可動体２４０は、図１７～図１９Ａ、Ｂに示すように、袋体（エアセル）を有し、流体としての圧縮空気が袋体に封入されることで着座者側へ膨出し（通常位置から突出位置へ突出し）、封入された圧縮空気が袋体から排出されることで収縮する（通常位置へ戻る）ものである。
　具体的には、可動体２４０は、シートバック２０２の上方部分のサイド部２０２Ｂにおいてクッション材２０２ａの裏面に取り付けられ、サイド部２０２Ｂを着座者側へ突出させるために可動するショルダサポート部材である。

　可動体２４０は、シート幅方向に所定の間隔を空けて左右に配置され、それぞれワイヤ部材２２４及び上部フレーム２２２の前面に取り付けられている。
　なお、可動体２４０は折り畳まれた状態で取り付けられている。

　可動体２４０は、シート幅方向に長尺な略五角形状を有しており、ワイヤ部材２２４からシート幅方向の外側に突出するように延びている。
　詳しく述べると、可動体２４０は、ワイヤ部材２２４及び上部フレーム２２２に支持されるベース部材２４１と、ベース部材２４１よりも前方位置に配置され、ベース部材２４１に対して回動軸２４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材２４３と、ベース部材２４１の前面に支持される袋体２４４と、から主に構成されている。

　ベース部材２４１は、シート幅方向に長尺なプレート部材であって、ワイヤ部材２２４の前面と、上部フレーム２２２の前面とに架け渡されている（連結されている）。
　回動軸２４２は、ベース部材２４１の前面のうち、シート幅方向の内側端部に取り付けられている。言い換えれば、ベース部材２４１とワイヤ部材２２４が重なった部分に取り付けられている。
　回動部材２４３は、ベース部材２４１に対してシート前後方向に回動可能に取り付けられており、シート前方に向かって回動することでシートバック２０２のサイド部２０２Ｂをシート前方側へ突出させることができる。
　袋体２４４は、ベース部材２４１によって支持されており、圧縮空気が封入されることでシート前方側に膨出し、回動部材２４３をシート前方に向かって押し出すことができる。

　図１９Ｂは、可動体２４０（回動部材２４３）がシート前方へ突出し、シートバック２０２のサイド部２０２Ｂが「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。
　具体的には、作動装置２５０から圧縮空気の供給を受けることで、折り畳まれた状態の袋体２４４がシート前方へ膨出展開し、回動部材２４３をシート前方に向かって押し出すことで、サイド部２０２Ｂがシート前方へ移動する。その結果、サイド部２０２Ｂが「突出位置」に移動する。
　なお、作動装置２５０は、図１７、図１８に示すように、バックサイドフレーム２１の外側面に取り付けられた空気制御ユニット２５１と、空気ポンプ２５２と、空気ポンプ２５２及び可動体２４０を接続する空気配管２５３と、から主に構成されている。

　上記構成において、図１９Ａ、Ｂに示すように、クッション材２０２ａの裏面において可動体２４０よりも前側に位置する部分には、クッション材２０２ａの変形を促進するためのクッション変形促進部２４８（クッション薄肉部）が形成されている。
　クッション変形促進部２４８は、クッション材２０２ａの裏面に設けられたクッション肉薄部であって、可動体２４０よりもシート前方位置に配置され、かつ、可動体２４０よりもややシート幅方向の外側に配置されている。
　そのため、サイド部２０２Ｂのクッション材２０２ａが好適に撓み易くなり、可動体２４０がサイド部２０２Ｂのクッション材２０２ａを突出させ易くなる。その結果、シートバック２０２の表皮材２０２ｂに余計な力が加わることがなくなり、表皮材２０２ｂにシワ等が生じることを抑制できる。

　クッション変形促進部２４８は、回動部材２４３の延出端部に対応する位置（重なる位置）に形成されており、回動部材２４３の延出端部に沿うように形成されている。
　そのため、クッション材２０２ａのうち、回動部材２４３に対向する部分の変形自由度を局所的に上げることができる。その結果、着座者の体格差を吸収するようにシートバック２０２の形状を調整することができる。
　特に、着座者の体格差によって隙間が生じ易いサイド部２０２Ｂに対しクッション変形促進部２４８を形成することで、着座者の体格差を好適に吸収するように可動体２４０を可動させることができる。

　また上記構成において、図２０、図２１に示すように、クッション材２０２ａの裏面のうち、可動体２４０（回動部材２４３）に対応する位置（対向する位置）には、回動部材２４３の外形に沿うようにスリット孔２４９が形成されている。
　スリット孔２４９は、回動部材２４３の外縁に沿って所定の間隔を空けながら複数形成されている。言い換えれば、回動部材２４３の外縁に沿って不連続で延びている。
　そのため、クッション材２０２ａのうち、回動部材２４３に対向する部分の変形自由度を局所的に上げることができる。その結果、着座者の体格差を吸収するようにシートバック２０２の形状を調整することができる。また、着座者の体格差を吸収するように可動体２４０を可動させることができる。

　サイドサポート部材２６０は、図１７、図２２Ａ、Ｂ、Ｃに示すように、バックサイドフレーム２２１に沿って上下方向に長尺となるように延びており、シート幅方向の側方から加わる外力に対し着座者を保持するための部材であって、例えば樹脂材料から形成されている。

　サイドサポート部材２６０は、バックサイドフレーム２２１及び上部フレーム２２２の内側に配置される内側壁部２６１と、バックサイドフレーム２２１及び上部フレーム２２２の外側に配置される外側壁部２６２と、バックサイドフレーム２２１及び上部フレーム２２２の前側に配置され、内側壁部２６１及び外側壁部２６２を連結する連結壁部２６３と、内側壁部２６１、外側壁部２６２及び連結壁部２６３によって囲まれ、内側壁部２６１、外側壁部２６２及び連結壁部２６３を連結する複数の補強リブ２６４と、から主に構成されている。

　内側壁部２６１は、屈曲形状を有し、その前端部からその後端部に向かうに従って外側壁部２６２との間隔が広がるように形成されている。言い換えれば、シート幅方向の内側に傾斜しながらシート後方に向かって延びている。
　外側壁部２６２は、略平板形状を有し、内側壁部２６１よりも上下方向において長尺となるように延びている。
　連結壁部２６３は、シート前方側に湾曲した湾曲形状を有し、内側壁部２６１の前端部と、外側壁部２６２の上方部分における前端部とを連結するように配置されている。

　補強リブ２６４は、平板形状を有し、内側壁部２６１、外側壁部２６２及び連結壁部２６３によって囲まれた領域内で、上下方向に所定の間隔を空けながら複数配置されている。
　なお、補強リブ２６４のシート前後方向の長さは、内側壁部２６１及び外側壁部２６２よりも短く形成されている。そして、補強リブ２６４の後方位置において内側壁部２６１及び外側壁部２６２の間には所定の空間が形成されている。当該空間には、バックサイドフレーム２２１及び上部フレーム２２２が連結された部分が収容されることになる。

　内側壁部２６１の側面には、図２２Ａ、Ｂ、Ｃに示すように、バックフレーム２２０（上部フレーム２２２）の内側面に設けられた取り付け穴２２２ａ（被り付け部）に取り付けるためのフレーム取り付け穴２６１ａが形成されている。
　フレーム取り付け穴２６１ａは、上下方向に所定の間隔を空けて複数配置されている。
　詳しく述べると、取り付け穴２２２ａと、フレーム取り付け穴２６１ａとが連通した状態で、取り付け部材２６５が組み付けられている。
　外側壁部２６２の外側面にも同様に、上下方向に所定の間隔を空けてフレーム取り付け穴２６２ａが形成されている。

　上記構成において、図１７に示すように、可動体２４０と、サイドサポート部材２６０とが上下方向において異なる位置（重ならない位置）に配置されており、かつ、シート幅方向において重なる位置に配置されている。
　そうすることで、可動体２４０が可動したときに、可動体２４０とサイドサポート部材２６０とが干渉することを避けることができる。また、シートバック２０２のサイド部２０２Ｂによって着座者を好適に保持することができる。

　なお、上記位置関係のほか、可動体２４０とサイドサポート部材２６０の位置関係を適宜変更することとしても良い。
　例えば、可動体２４０と、サイドサポート部材２６０とがシート幅方向において異なる位置（重ならない位置）に配置されており、かつ、上下方向において重なる位置に配置されていても良い。
　その場合であっても、可動体２４０とサイドサポート部材２６０とが干渉することを避けることができ、またサイド部２０２Ｂによって着座者を好適に保持することができる。
　このとき、可動体２４０の前面と、サイドサポート部材２６０の前面とがバックフレーム２２０に対して略等しい張り出し面（突出面）となるように構成されていると良い。言い換えれば、可動体２４０の前面と、サイドサポート部材２６０の前面とで同一平面を形成するように構成されていると良い。
　そうすることで、着座者をより好適に保持することが可能となる。

　着座センサ２７０は、図１７に示すように、着座者がシート本体に着座した際にシートクッション２０１の着座面に加わる着座圧を検出するシート状の圧力センサであって、クッション材２０１ａと表皮材２０１ｂの間に取り付けられている。
　着座センサ２７０は、クッション中央部２０１Ａの中央部に所定の間隔を空けて複数取り付けられている。

　具体的には、着座センサ２７０は、着座者による着座圧を検出するセンサ検出部２７１と、センサ検出部２７１が着座圧を検出した際に検出信号を出力するための伝送路２７２と、を有している。
　センサ検出部２７１は、導電シート上に接着される感圧スイッチである。
　伝送路２７２は、導電シート上に伝送路となる導電線が接着されたものである。

　制御装置２８０は、図１７に示すように、着座センサ２７０によって検出された検出信号を処理する装置であって、クッションフレーム２１０の底面に不図示のホルダーを介して取り付けられている。
　制御装置２８０は、着座センサ２７０によって検出された検出信号を受信し、外部へ無線送信するための通信部と、着座センサ２７０で検出された検出信号を通信部へ送信する処理を行う制御部と、を有している。
　通信部は、無線通信技術を利用して外部の端末と接続し、電気信号（データ信号）の送受信をするものである。
　制御部は、マイクロコンピュータに相当し、電気制御を総合的に実行するものである。

　上記構成において、制御装置２８０は、駆動装置２３１及び作動装置２５０とネットワークを通じて接続されており、着座センサ２７０からの検出信号を受信して、駆動装置２３１の駆動制御を行うとともに、作動装置２５０の作動制御を行う。
　制御装置２８０は、駆動装置２３１を制御することで、ランバサポート部材２３０の可動量（突出量）を調整することができる。また、作動装置２５０を制御することで、可動体２４０の可動量（突出量）を調整することができる。

　具体的には、制御装置２８０は、着座センサ２７０の検出信号に基づいて着座者がシート本体に着座していないと判定した場合には、可動体２４０の可動量を制限するように調整する（可動体２４０の可動量を小さくする。可動体２４０を通常位置に戻す）。
　また、制御装置２８０は、着座者がシート本体に着座していないと判定した場合には、ランバサポート部材２３０及び可動体２４０の少なくとも一方（あるいは両方）の可動量を制限する。

　制御装置２８０は、着座センサ２７０の検出信号に基づいて着座者が乗降動作をしたものと判定した場合に、ランバサポート部材２３０及び可動体２４０の少なくとも一方（あるいは両方）の可動量を制限する。
　また、制御装置２８０は、着座センサ２７０の検出信号に基づいて着座者がシート本体に着座していないと判定した場合であって、かつ、ランバサポート部材２３０が既にシート前方側へ可動している場合には、ランバサポート部材２３０が可動していない場合と比較して、可動体２４０の可動量を制限する（可動体２４０の可動量を一層小さくする。可動体２４０を通常位置に戻す）。
　また、制御装置２８０は、着座センサ２７０の検出信号に基づいて着座者が乗降動作をしたものと判定した場合であって、かつ、ランバサポート部材２３０が既にシート前方側へ可動している場合には、ランバサポート部材２３０が可動していない場合と比較して、可動体２４０の可動量を制限する。
　上記のように、制御装置２８０が駆動装置２３１及び作動装置２５０を制御することで、着座者による着座感をより高めることができる。

　＜乗り物用シートの第４実施形態＞
　次に、第４実施形態の乗り物用シートＳ４について、図２３～図２７Ａ、Ｂに基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ３と重複する内容については説明を省略する。

　従来、シートクッションのシート前後方向の長さを調整することが可能なクッション長さ調整装置を備えた車両用シートが知られている。
　例えば、特許文献（特開２０１５－４７３８４号公報）に記載の車両用シートは、複数の袋体（エアセル）を有し、袋体に圧縮空気が封入されることで又は袋体から圧縮空気が排出されることでシートクッションの長さを調整可能なクッション長さ調整装置を備えていることが開示されている。
　そうした場合には、上記袋体に圧縮空気を供給及び排出するための空気配管をシート本体の内部に好適に配置する必要があった。例えば、空気配管と他の構成部品との接触に伴って、空気配管の損傷や接触音が発生してしまうことを抑制する必要があった。

　そこで、乗り物用シートＳ４は、シート本体の内部に空気配管を好適に配置することが可能なクッション長さ調整装置を備えた乗り物用シートを実現するものである。

　乗り物用シートＳ４は、図２３に示すように、シートクッション３０１と、シートバック３０２と、ヘッドレスト３０３とを有するシート本体と、シートバック３０２の内部に取り付けられ、シートバック３０２のサイド部３０２Ｂを通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動する可動体３４０（ショルダサポート部材）と、シートクッション３０１の内部に取り付けられ、シートクッション３０１のシート前後方向の長さを調整することが可能なクッション長さ調整装置３６０と、可動体３４０及びクッション長さ調整装置３６０を可動させるために作動する作動装置３５０（流体供給装置）と、を備えている。
　なお、可動体３４０については、上述した可動体２４０と同様の構成であるため、説明を省略する。

　クッションフレーム３１０は、図２４、図２５に示すように、矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるクッションサイドフレーム３１１と、各クッションサイドフレーム３１１の前端部分に架設される板状のパンフレーム３１２と、各クッションサイドフレーム３１１の前方部分を連結するパイプ状の前方連結フレーム３１５と、各クッションサイドフレーム３１１の後方部分を連結するパイプ状の後方連結フレーム３１３と、前方連結フレーム３１５及び後方連結フレーム３１３に掛け止めされ、着座者を支持する支持プレート３１４と、から主に構成されている。
　なお、パンフレーム３１２の上面には、クッション長さ調整装置３６０が取り付けられている。

　支持プレート３１４は、図２５に示すように、矩形状のプレート体であって、その前端部分においてシート幅方向に間隔を空けて設けられ、前方連結フレーム３１５に掛け止めされる前方掛け止め部３１４ａと、支持プレート３１４の後端部分においてシート幅方向に間隔を空けて設けられ後方連結フレーム３１３に掛け止めされる後方掛け止め部３１４ｂと、を有している。
　上記構成において、支持プレート３１４の本体部と、複数の前方掛け止め部３１４ａと、前方連結フレーム３１５とで囲まれた領域には、上下方向に開放された開口部３１６が形成されている。

　バックフレーム３２０は、上述したバックフレーム２２０と同様に（図１７参照）、左右のバックサイドフレーム３２１と、上部フレーム３２２と、下部フレーム３２３と、上部フレーム３２２の左右の延出部分を連結するプレート状の連結フレーム３２７と、連結フレーム３２７及び下部フレーム３２３にそれそれ掛け止めされ、上下方向に延びている左右のワイヤ部材３２４（弾性ワイヤ）と、左右のワイヤ部材３２４によって保持され、着座者を支持する支持プレート３２５と、から主に構成されている。

　作動装置３５０は、図２４、図２５に示すように、シート本体の内部に取り付けられ、可動体３４０（袋体３４４）及びクッション長さ調整装置３６０（袋体３６１、３６２）に対し圧縮空気を供給するための流体供給装置である。

　作動装置３５０は、バックフレーム３２０の裏面に取り付けられた空気制御ユニット３５１と、空気ポンプ３５２と、空気制御ユニット３５１及び可動体３４０を接続する第１空気配管３５３と、空気制御ユニット３５１及びクッション長さ調整装置３６０を接続する第２空気配管３５４と、から主に構成されている。
　なお、空気ポンプ３５２は、シート本体の外部に設置されていても良いし、空気制御ユニット３５１に隣接して配置されていても良い。あるいは、シート本体の所定位置に配置されていても良い。

　空気制御ユニット３５１は、図２４に示すように、バックフレーム３２０のうち、左右のワイヤ部材３２４及び支持プレート３２５の裏面に掛け止めされて固定されている。
　そうすることで、乗り物用シートＳ４に対し衝撃が加わった場合であっても、支持プレート３２５が着座者を好適に支持することができる。
　すなわち、空気制御ユニット３５１が支持プレート３２５のシート前後方向の移動を妨げることがない。言い換えれば、空気制御ユニット３５１が支持プレート３２５とともに移動することとなり、支持プレート３２５が着座者を好適に支持することができる。
　上記のことから、従来（例えば、特開２０１８－２４３０１２号公報）の車両用シートと比較して、外部から衝撃が加わった場合であっても作動装置３５０（空気制御ユニット３５１）が着座者の着座姿勢に影響を与えることのない乗り物用シートＳ４を実現することができる。

　第１空気配管３５３は、図２４に示すように、空気制御ユニット３５１の上端部から上方へ延出し、左右の可動体３４０と接続されている。
　第２空気配管３５４は、図２４、図２５に示すように、空気制御ユニット３５１の下端部から下方に延出し、シートクッション３０１の後端部においてシート前方側へ屈曲し、シートクッション３０１に沿ってシート前方へ延出し、クッション長さ調整装置３６０と接続されている。
　詳しく述べると、第２空気配管３５４は、シートクッションの内部において後方連結フレーム３１３よりも後方位置を通過し、支持プレート３１４よりも下方位置を通過しながらシート前方へ延出し、開口部３１６を通過して支持プレート３１４及び前方連結フレーム３１５よりも上方位置を通過し、クッション長さ調整装置３６０と接続されている。

　上記のように第２空気配管３５４を配置することで、シート本体の内部に第２空気配管３５４を好適に配置することができる。
　具体的には、第２空気配管３５４と他の構成部品との接触に伴って、第２空気配管３５４の損傷や接触音が発生してしまうことを抑制することができる。
　また、第２空気配管３５４が開口部３１６を通過することで、第２空気配管３５４を好適に位置決めすることができる。

　クッション長さ調整装置３６０は、図２４、図２５に示すように、クッションフレーム３１０（パンフレーム３１２）の上面に取り付けられ、シートクッション３０１の長さを調整するために可動する装置である。
　クッション長さ調整装置３６０は、図２６Ａ、Ｂに示すように、展開用の袋体に圧縮空気が封入されることで着座者側へ展開し（通常位置から突出位置へ突出し）、収納用の袋体に圧縮空気が封入されることで収縮する（通常位置へ戻る）ものである。

　具体的には、クッション長さ調整装置３６０は、収納用の第１袋体３６１と、展開用の第２袋体３６２と、第１袋体３６１及び第２袋体３６２を収容する筐体３６３と、筐体３６３に収容され、第１袋体３６１及び第２袋体３６２を区画するように配置され、筐体３６３から一部突出していると突出体３６４と、筐体３６３の後面に一体的に取り付けられ、第１袋体３６１、第２袋体３６２及び突出体３６４を上方から覆うカバー体３６５と、から主に構成されている。
　これら構成部品３６１～３６５は、シート方向に長尺な部材となっている。

　第１袋体３６１と第２袋体３６２がシート前後方向に並ぶように配置されている。
　突出体３６４は、第１袋体３６１及び第２袋体３６２を区画する区画壁部３６４ａと、区画壁部３６４ａの上端部からシート前方へ延出し、筐体３６３から一部突出している上壁部３６４ｂと、上壁部３６４ｂの延出端部から下方へ湾曲するように突出し、シートクッション３０１（クッション材３０１ａ）に当接する当接壁部３６４ｃと、を有している。

　クッション長さ調整装置３６０は、突出体３６４を、図２６Ａに示す「通常位置」から図２６Ｂに示す「突出位置」へ移動させるために可動する。
　具体的には、図２６Ａに示すように、作動装置３５０から圧縮空気の供給を受けて第１袋体３６１が膨出し、かつ、第２袋体３６２が収縮した状態となっているとき、突出体３６４は「通常位置」に配置されている。言い換えれば、突出体３６４は、筐体３６３に収容されている。
　一方で、作動装置３５０によって第１袋体３６１の内部にある圧縮空気が排出され、かつ、第２袋体３６２が膨出した状態となっているとき、突出体３６４は「突出位置」に配置されている。言い換えれば、突出体３６４は筐体３６３から突出した状態となっている。

　上記構成により、図２７Ａに示すように、突出体３６４が「通常位置」にいるときには、シートクッション３０１が「通常位置」に配置されている。すなわち、シートクッション３０１のシート前後方向の長さが通常の長さとなっている。
　一方で、図２７Ｃに示すように、突出体３６４が「通常位置」から「突出位置」に移動すると、突出体３６４がシートクッション３０１（クッション材３０１ａ）の前端部を押圧することで、シートクッション３０１が「通常位置」から「突出位置」へ移動する。すなわち、シートクッション３０１がシート前後方向に伸びている状態となる。

　ところで、従来（例えば、特開２０１４－１１８１１４号公報）のクッション長さ調整装置を備えた車両用シートでは、シートクッションを伸縮させたときに表皮材の張力を保持しておくために、表皮材の端末部に巻取装置が取り付けられていた。そのため、シートクッションの内部が比較的複雑な構成になってしまい、またコストが高くなっていた。
　そこで、シートクッションの伸縮動作に伴って動作し、表皮材の張力を好適に保持しておくことが可能なシンプルな機構が求められていた。

　上記に対応すべく、クッション長さ調整装置３６０は、図２７Ａ～Ｃに示すように、シートクッション３０１の伸縮動作に連動し、表皮材３０１ｂの張力を保持することが可能な表皮引き込み部材３６６をさらに備えている。

　表皮引き込み部材３６６は、突出体３６４の前方部分の底面に取り付けられ、シート幅方向に長尺な回動軸３６６ａと、シート幅方向において突出体３６４を挟む位置に配置され、突出体３６４に対して回動軸３６６ａを中心として回動可能に取り付けられる左右の回動体３６６ｂと、を有している。
　回動体３６６ｂは、図２７Ａに示す「係合解除位置」と、図２７Ｂに示す「係合位置」との間で回動可能な平板状の部材である。
　回動体３６６ｂは、不図示の付勢バネによって「係合解除位置」に付勢されており、当該付勢バネの付勢力に抗して「係合位置」まで回転移動させると、突出体３６４の後方部分の底面に設けられた係合部３６４ｄに係合する。

　回動体３６６ｂの下端部分の内側面には、シート幅方向の内側に向かって突出し、表皮材２０１ｂの端末部を引き込むための表皮引き込み部３６６ｃが形成されている。
　また、筐体３６３の前方部分の底面には、シート幅方向に長尺となるように延出し、表皮材２０１ｂの端末部を掛け止めるための表皮掛け止め部３６３ａが形成されている。

　以下、表皮材２０１ｂの端末部を掛け止める方法について説明する。
　まずは、図２７Ａに示すように、表皮引き込み部３６６ｃ及び表皮掛け止め部３６３ａの間に表皮材２０１ｂの端末部を通過させ、当該端末部を表皮掛け止め部３６３ａに掛け止める。
　そして、表皮材２０１ｂの端末部を掛け止めた状態で、回動体３６６ｂを「係合解除位置」から図２７Ｂに示す「係合位置」まで回転移動させることで、表皮引き込み部３６６ｃが表皮材２０１ｂの端末部を引き込むことができる。
　そうすることで、表皮材２０１ｂの張力を好適に保持することができる。

　さらに詳しく述べると、図２７Ｂは、シートクッション２０１が「通常位置」、回動体３６６ｂが「係合位置」にいる状態を説明する図である。
　このとき、表皮材２０１ｂは、回動体３６６ｂ（表皮引き込み部３６６ｃ）によって引き込まれており、表皮材２０１ｂの張力が適正に保持されている。
　そして、クッション長さ調整装置３６０が可動し、突出体３６４が図２７Ｂに示す「通常位置」から図２７Ｃに示す「突出位置」へ移動すると、シートクッション２０１が「通常位置」から「突出位置」へ移動する。
　このとき、突出体３６４に連動して回動体３６６ｂがシート前方へ移動し、表皮引き込み部３６６ｃによる表皮材２０１ｂの引き込み力が小さくなる。その結果、シートクッション２０１が「突出位置」へ移動した場合であっても、表皮材２０１ｂの張力が適正に保持されたままとなる。

　上記構成により、クッション長さ調整装置３６０（表皮引き込み部材３６６）は、シートクッション３０１の伸縮動作に伴って動作し、表皮材３０１ｂの張力を好適に保持しておくことができる。
　また、表皮材３０１ｂにゴム素材等の伸び縮みする部材を別途設けることなく、シンプルな構成で表皮材３０１ｂの張力を保持することができる。

　＜乗り物用シートの第５実施形態＞
　次に、第５実施形態の乗り物用シートＳ５について、図２８、図２９に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ４と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ５は、シート本体の一部を着座者側へ突出させた場合であっても、シート本体の表面にシワやダブつきが生じてしまうことを抑制することが可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ５は、シート本体と、ランバサポート部材４３０と、可動体４４０（サイドサポート部材）と、作動装置４５０（流体供給装置）と、シートバック４０２の上方部分を通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動するショルダサポート部材４６０と、ショルダサポート部材４６０を駆動する駆動装置４７０と、を備えている。

　ショルダサポート部材４６０は、着座者の肩部を支持するための可動体である。
　具体的には、ショルダサポート部材４６０は、バックフレーム４２０の上方部分に配置される可動本体部４６１と、可動本体部４６１及びバックフレーム４２０を接続し、バックフレーム４２０に対して可動本体部４６１とともに回動可能に取り付けられる回動軸４６２と、を備えている。
　駆動装置４７０は、バックサイドフレーム４２１の裏面に固定され、回動軸４６２を回動させるために駆動するアクチュエータである。
　上記構成により、駆動装置４７０を駆動することで、ショルダサポート部材４６０が、バックフレーム４２０に対してシート前後方向に回動することができる。

　上記構成において、図２９に示すように、可動体４４０が、ショルダサポート部材４６０よりもシート前方側に配置されている。
　言い換えれば、可動体４４０が、ショルダサポート部材４６０の回動軸４６２よりもシート前方側に配置されている。
　そのため、可動体４４０とショルダサポート部材４６０の干渉を抑制しながら、これら可動体４４０、４６０を安定して動作させることができる。

　＜乗り物用シートの第６実施形態＞
　次に、第６実施形態の乗り物用シートＳ６について、図３０～図３１Ａ、Ｂに基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ５と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ６は、乗り物用シートの各構成部品をコンパクトに配置し、シート本体の一部を着座者側へ突出させた場合であっても、シート本体の表面にシワやダブつきが生じることを抑制することが可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ６は、シート本体と、ランバサポート部材５３０と、駆動装置５３１（アクチュエータ）と、可動体５４０と、作動装置５５０（流体供給装置）と、シートバック５０２のシート幅方向外側面に取り付けられ、乗り物の側方から加えられる衝撃を緩和するためのサイドエアバッグ装置５７０と、を備えている。

　可動体５４０は、折り畳まれた状態でランバサポート部材５３０の前面に取り付けられている。
　具体的には、可動体５４０は、ランバサポート部材５３０のシート幅方向の外側端部に支持されるベース部材５４１と、ベース部材５４１よりもシート前方位置に配置され、ベース部材５４１に対して回動軸５４２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材５４３と、ベース部材５４１及び回動部材５４３の間に配置され、ベース部材５４１の前面に支持される１つの袋体５４４と、から主に構成されている。

　サイドエアバッグ装置５７０は、バックサイドフレーム５２１の外側面に取り付けられており、バックサイドフレーム５２１に沿って上下方向に延びている。
　このとき、可動体５４０は、バックサイドフレーム５２１においてサイドエアバッグ装置５７０が取り付けられた部分とは異なる位置に取り付けられ、前記サイドエアバッグ装置よりもシート前方側に配置されている。
　そのため、可動体５４０とサイドエアバッグ装置５７０の干渉を抑制し、可動体５４０を一層好適に動作させることができる。

　上記構成において、図３０、図３１Ａ、Ｂに示すように、バックサイドフレーム５２１の前面のうち、上下方向において可動体５４０と重なる位置には、バックサイドフレーム５２１よりもシート前方側へ突出している線状部材５８０が取り付けられている。
　線状部材５８０は、上下方向に長尺なワイヤ部材である。
　このとき、可動体５４０は、シート幅方向において線状部材５８０よりも内側に配置されている。
　そうすることで、可動体５４０が線状部材５８０によって外部から保護されることになる。そのため、可動体５４０を好適に動作させることができる。
　なお、線状部材５８０の代わりとして、金属材料や樹脂材料からなる板状プレートを採用しても良い。

　また上記構成において、図３１Ａ、Ｂに示すように、線状部材５８０と、線状部材５８０よりもシート幅方向の外側に位置するクッション材５０２ａとの間に所定の内部空間が形成されている。
　そうすることで、可動体５４０がシート前方側（厳密には、シート前方側かつシート幅方向の内側）に突出し、クッション材５０２ａがシート前方側に押し出されたときに、線状部材５８０とクッション材５０２ａ（線状部材５８０よりもシート幅方向の外側に位置するクッション材５０２ａ）が干渉することを抑制することができる。すなわち、線状部材５８０がクッション材５０２ａの変形を阻害することがなくなる。
　その結果、可動体５４０が、シートバック５０２のサイド部５０２Ｂ（クッション材５０２ａ）を好適に押し出すことができる。

　＜乗り物用シートの第７実施形態＞
　次に、第７実施形態の乗り物用シートＳ７について、図３２～図３６に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ６と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ７は、シート本体に取り付けられた可動体を作用させたときに着座者のホールド性を高めることが可能な乗り物用シートを提供するものである。
　また、乗り物用シートの構成部品をコンパクトに配置することが可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ７は、図３２に示すように、車両用シートであって、シートクッション６０１と、シートバック６０２と、ヘッドレスト６０３とを備えるシート本体と、シートバック６０２の内部に取り付けられ、シートバック６０２の下方部分を通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動するランバサポート部材６３０と、ランバサポート部材６３０を可動させるために作動する作動装置６４０（流体供給装置）と、シートバック６０２の内部に取り付けられ、シートバック６０２の上方部分を通常位置よりも着座者側へ突出させるために可動する可動体６５０（ショルダサポート）と、可動体６５０を駆動する駆動装置６６０（アクチュエータ）と、を備えている。

　シートクッション６０１は、図３２に示すように、着座者を下方から支持する着座部であって、骨格となる図３３に示すクッションフレーム６１０上にクッション材６０１ａを載置して表皮材６０１ｂで被覆されて構成されている。
　シートクッション６０１は、シート幅方向の中央部分にある中央部６０１Ａと、中央部６０１Ａのシート幅方向の外側にある左右のサイド部６０１Ｂ（サイドボルスター部）と、から構成されている。
　クッション材６０１ａは、発泡ウレタン等からなるパッド部材である。
　クッション材６０１ａの表面上には、中央部６０１Ａと左右のサイド部６０１Ｂを区分けするようにシート前後方向に延びている左右の吊り込み溝６０１ａａが形成されている。

　シートバック６０２は、図３２に示すように、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となる図３３に示すバックフレーム６２０にクッション材６０２ａを載置して表皮材６０２ｂで被覆されて構成されている。
　シートバック６０２は、シート幅方向の中央部分にある中央部６０２Ａと、中央部６０２Ａのシート幅方向の外側にある左右のサイド部６０２Ｂ（サイドボルスター部）と、から構成されている。
　クッション材６０２ａの表面上には、中央部６０２Ａと左右のサイド部６０２Ｂを区分けするように上下方向に延びている左右の吊り溝サイド部６０２ａａ（表皮吊り込み溝）と、左右の吊り溝サイド部６０２ａａの上部を連結するようにシート幅方向に延びている吊り溝上方部６０２ａｂ（表皮吊り込み溝）とが形成されている。
　なお、吊り溝上方部６０２ａｂは、シートバック６０２の上下方向の中央部又は中央部よりもやや上方位置に形成されている。

　ヘッドレスト６０３は、図３２に示すように、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となるピラー６０３ｃにクッション材６０３ａを載置して表皮材６０３ｂで被覆されて構成されている。
　なお、バックフレーム６２０の上部には、ヘッドレスト６０３の本体を支持するピラー６０３ｃを取り付けるためのピラー取り付け部材６２６が組み付けられている。

　クッションフレーム６１０は、図３３に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるクッションサイドフレーム６１１と、各クッションサイドフレーム６１１の前端部分に架設される板状のパンフレーム６１２（架設フレーム）と、各クッションサイドフレーム６１１の後方部分を連結する後方連結フレーム６１３と、パンフレーム６１２及び後方連結フレーム６１３に掛け止めされ、シート前後方向に蛇状に延びている複数の弾性バネ６１４（弾性支持部材）と、から主に構成されている。

　クッションサイドフレーム６１１は、シート前後方向に長尺な板状フレームである。
　なお、クッションサイドフレーム６１１の後方部分にはリクライニング装置６０４が取り付けられており、その下方部分にはハイトリンク装置６０５を介してレール装置６０６が取り付けられている。

　バックフレーム６２０は、図３３に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるバックサイドフレーム６２１と、各バックサイドフレーム６２１の上端部分を連結する逆Ｕ字形状の上部フレーム６２２と、各バックサイドフレーム６２１の下端部分を連結するプレート形状の下部フレーム６２３と、各バックサイドフレーム６２１にそれぞれ掛け止めされ、シート幅方向に蛇状に延びている複数のワイヤ部材６２４（弾性ワイヤ）と、複数のワイヤ部材６２４によって保持され、着座者を支持する支持プレート６２５と、から主に構成されている。
　なお、バックフレーム６２０は、上部フレーム６２２のシート幅方向の中央部分に取り付けられ、ヘッドレスト６０３のピラー６０３ｃを取り付けるためのピラー取り付け部材６２６をさらに備えている。

　バックサイドフレーム６２１は、上下方向に延出し、横断面略Ｃ字形状からなる板金部材であって、その下端部分がリクライニング装置６０４を介してクッションサイドフレーム６１１の後端部分に連結されている。
　上記構成においてバックフレーム６２０は、クッションフレーム６１０に対して相対回動することが可能となっている。

　上記構成において、図３３に示すように、支持プレート６２５の前面には、ランバサポート部材６３０が取り付けられており、バックサイドフレーム６２１の外側面には、作動装置６４０が取り付けられている。
　また、バックフレーム６２０の上方部分には、可動体６５０が取り付けられており、バックサイドフレーム２１の後面には、駆動装置６６０が取り付けられている。

　ランバサポート部材６３０は、図３３、図３４に示すように、流体が封入されることで膨出する袋体（エアセル）を有し、流体としての圧縮空気が封入されることで着座者側へ膨出し（通常位置から突出位置へ突出し）、封入された圧縮空気が排出されることで収縮する（通常位置へ戻る）ものである。
　具体的には、ランバサポート部材６３０は、着座者の腰部を支持する部材であって、シートバック６０２の下方部分の中央部６０２Ａにおいてクッション材６０２ａと支持プレート６２５の間に配置されている。そして、中央部６０２Ａ（クッション材６０２ａ）を着座者側へ突出させるために可動する部材である。
　ランバサポート部材６３０は、折り畳まれた状態で支持プレート６２５の前面に取り付けられている。

　ランバサポート部材６３０は、シート幅方向に長尺な略矩形状を有しており、支持プレート６２５に支持されるベース部材６３１（ベースプレート）と、ベース部材６３１の前面に支持される袋体６３２と、から主に構成されている。
　袋体６３２は、折り畳まれた状態から圧縮空気が封入されることでシート前方側に膨出することができる。

　作動装置６４０は、図３３、図３４に示すように、シート本体の内部に取り付けられ、ランバサポート部材６３０（袋体６３２）に対し圧縮空気を供給するための流体供給装置である。
　作動装置６４０は、バックサイドフレーム６２１の外側面に取り付けられた空気制御ユニット６４１と、クッションフレーム６１０（パンフレーム６１２）の裏面に取り付けられ、圧縮空気を供給及び排出するための空気ポンプ６４２と、空気ポンプ６４２及びランバサポート部材６３０を接続する空気配管６４３と、から主に構成されている。

　空気制御ユニット６４１は、例えば、着座者による所定のユーザ操作の選択を受け付けて所定の制御信号を受信し、袋体６３２に圧縮空気を供給することや、袋体６３２から圧縮空気を排出するように空気ポンプ６４２を制御する。
　そうすることで、着座者の体格に応じてランバサポート部材６３０の可動範囲を調整することができる。

　可動体６５０は、図３３、図３５に示すように、シートバック６０２の内部においてシートバック６０２の上方部分に配置され、着座者の肩部を支持するショルダサポート部材である。
　具体的には、可動体６５０は、バックフレーム６２０の上方部分に取り付けられる可動本体部６５１と、可動本体部６５１及びバックフレーム６２０を接続し、バックフレーム６２０に対して可動本体部６５１とともに回動可能に取り付けられる回動軸６５２と、を備えている。

　可動本体部６５１は、湾曲した樹脂プレートからなり、可動本体部６５１のシート幅方向の中央部に配置される中央可動部６５１ａと、中央可動部６５１ａのシート幅方向の左右両端部にそれぞれ取り付けられるサイド可動部６５１ｂ、６５１ｃと、を有している。
　中央可動部６５１ａは、シート幅方向に長尺なプレート体であって、その上端部から下端部に向かうに従ってシート幅方向の全長が短くなるように形成されている。
　サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃは、中央可動部６５１ａに対して取り付け軸６５１ｄを介して回動可能となるように取り付けられている。
　サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃは、中央可動部６５１ａからシート幅方向の外側かつ下方に向かって突出するように延びている。
　なお、取り付け軸６５１ｄは、シート正面視において上方から下方に向かうに従ってシート幅方向の内側に傾斜するように延びている。

　回動軸６５２は、略逆Ｕ字形状を有し、シート幅方向に長尺となるように延びている。
　具体的には、回動軸６５２は、可動本体部６５１（中央可動部６５１ａ）の下端部に接続され、シート幅方向に延びている軸本体部６５２ａと、軸本体部６５２ａの左右両端部からそれぞれ屈曲して下方に延びている左右の第１軸延出部６５２ｂと、左右の第１軸延出部６５２ｂからそれぞれ屈曲してシート幅方向の外側に延びている左右の第２軸延出部６５２ｃと、を有している。そして、第２軸延出部６５２ｃの延出端部が駆動装置６６０に接続されている。

　駆動装置６６０は、バックサイドフレーム６２１の後面に固定され、回動軸６５２を回動させるために駆動動作するアクチュエータである。
　駆動装置６６０が順方向に駆動することで、回動軸６５２がシート前方側に倒れるように回動し、可動本体部６５１が回動軸６５２とともにシート前方側に向かって回動する。
　また、駆動装置６６０が逆方向に駆動することで、回動軸６５２がシート後方側に復帰するように回動し、可動本体部６５１が回動軸６５２とともにシート後方側に向かって回動する。

　　＜＜可動体の撓み促進部＞＞
　中央可動部６５１ａ、サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃには、図３５、図３６に示すように、着座者がシート本体に着座したときに可動体６５０を撓み易くするための撓み促進部６５３、６５４が形成されている。
　撓み促進部６５３、６５４は、中央可動部６５１ａ、サイド可動部６５１ｂそれぞれの外縁部に形成されたスリット溝である。

　撓み促進部６５３は、シート幅方向に所定の間隔を空けて左右に形成され、中央可動部６５１ａの下端から上方へ向かって延びるように切り欠き形成されている。具体的には、撓み促進部６５３は、中央可動部６５１ａの下端から上下方向の中間部を越えて上方へ延びている。
　撓み促進部６５４は、サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃの下端から上方へ向かって延びるように切り欠き形成されている。具体的には、撓み促進部６５４は、サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃの下端から、中央可動部６５１ａの下端部に達する位置まで延びている。あるいは、中央可動部６５１ａの下端部を越えて上方へ延びている。
　そのため、着座者に対して可動体６５０を作用させたときに、着座者の体格に応じた着座荷重が可動体６５０に加わって、可動体６５０を好適に撓ませる（移動させる）ことができる。その結果、着座者のホールド性を高めることができる。

　上記構成において、図３６に示すように、撓み促進部６５４は、回動軸６５２（第１軸延出部６５２ｂ）の延出方向に沿って延びている。
　そのため、撓み促進部６５４（スリット溝）が、比較的剛性が高い回動軸６５２の延出方向に沿って形成されることとなり、撓み促進部６５４によって可動体６５０の撓み方向を安定させることができる。

　また上記構成において、図３６に示すように、中央可動部６５１ａ、サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃの外縁部において撓み促進部６５３、６５４（スリット溝）が形成された部分には、スリット溝を境目として部分的に撓んだときに干渉を抑制する切り欠き部６５５（えぐり部）が形成されている。
　切り欠き部６５５は、撓み促進部６５３、６５４の基端部に形成され、基端部から延出端部に向かうに従って幅狭となるように形成されている。具体的には、切り欠き部６５５は、略三角形状の切り欠き部となっている。
　そのため、中央可動部６５１ａ、サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃがスリットを境目として部分的に撓んだときに部分的に干渉してしまうことを抑制できる。

　また上記構成において、図３３に示すように、撓み促進部６５３、６５４は、矩形枠状のバックフレーム６２０によって囲まれた領域に位置している。
　そのため、シンプルな構成で可動体６５０を一層好適に撓ませることができる。その結果、着座者のホールド性を高めることができる。

　また上記構成において、図３２に示すように、可動本体部６５１は、吊り溝上方部６０２ａｂ（表皮吊り込み溝）よりも上方位置に配置されている。
　そのため、シートバック６０２の表皮材６０２ｂにシワやダブつきが生じることを抑制することができる。
　詳しく説明すると、可動体６５０がシートバック６０２を着座者側へ突出させるとき、一般に表皮吊り込み溝の周辺において表皮材６０２ｂにシワやダブつきが顕著に生じることが分かっている。そのため、当該周辺において表皮材６０２ｂにシワやダブつきが生じないように配慮することができる。

　また上記構成において、サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃに形成された撓み促進部６５４は、シート幅方向において左右の表皮吊り込み溝（吊り溝サイド部）よりも外側位置に配置されている。
　そのため、着座者の体に可動体６５０を追従させ易くなる。

　本発明の乗り物用シートＳ７によれば、着座者が着座するシート本体と、前記シート本体の内部に取り付けられ、前記シート本体の一部を前記着座者側へ突出させるために可動する可動体と、を備え、前記可動体は、前記可動体のシート幅方向の中央部に配置される中央可動部と、前記中央可動部のシート幅方向の左右両端部にそれぞれ取り付けられるサイド可動部と、を有し、前記中央可動部及び前記サイド可動部の少なくとも一方には、前記着座者が前記シート本体に着座したときに前記可動体を撓み易くするための撓み促進部が形成されていると良い。
　そうすることで、シート本体に取り付けられた可動体を作用させたときに着座者のホールド性を高めることが可能な乗り物用シートを実現できる。
　具体的には、可動体（中央可動部及びサイド可動部）には、着座者がシート本体に着座したときに可動体を撓み易くするための撓み促進部が形成されている。そのため、着座者に対して可動体を作用させたときに、着座者の体格に応じた着座荷重が可動体に加わって、可動体を好適に撓ませることができる。その結果、着座者のホールド性を高めることができる。
　また、可動体が撓み易くなることで、着座者に対し過大荷重が外部から加わったときに着座者の体をシート本体に沈み込ませることもできる。

　このとき、前記可動体は、シートバックの内部において前記シートバックの上方部分に取り付けられ、前記着座者を後方から支持するためのサポート部材であって、前記着座者が前記シート本体に着座したときに、前記中央可動部と、左右の前記サイド可動部とが、それぞれ前記シート本体に加わる着座荷重に応じて移動すると良い。
　そうすることで、着座者に対して可動体を作用させたときに、着座者の体格に合わせて可動体を好適に撓ませることができ、着座者の体格に追従させることができる。

　　＜＜その他＞＞
　上記実施形態では、図３２に示すように、可動体６５０が、シートバック６０２に取り付けられているが、特に限定されることなく、シートクッション６０１に取り付けられていても良い。

　上記実施形態では、図３３、図３４に示すように、ランバサポート部材６３０が袋体（エアセル）、作動装置６４０が流体供給装置として構成されているが、特に限定されることなく変更可能である。
　例えば、「ランバサポート部材」及び「作動装置」が、機械的機構によって構成されていても良い。具体的には、「ランバサポート部材」がリンク機構やヒンジ機構等によって可動するように構成され、「作動装置」がモータ式や油圧式の駆動装置等によって構成されていても良い。

　上記実施形態では、図３２、図３３に示すように、ランバサポート部材６３０、可動体６５０がクッション材６０２ａの裏面側に配置されているが、特に限定されることなく、クッション材６０２ａの表面側に配置されていても良い。

　上記実施形態では、図３５に示すように、中央可動部６５１ａ、サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃそれぞれに撓み促進部６５３、６５４が形成されているが、特に限定されることなく、どちらか一方に形成されていても良い。

　上記実施形態では、図３５に示すように、撓み促進部６５３、６５４がスリット溝として形成されているが、特に限定されることなく、スリット溝以外であっても良い。
　例えば、撓み促進部６５３、６５４が、単純な切れ目からなるスリットであっても良いし、肉厚が部分的に薄い肉薄部であっても良い。あるいは、部分的に硬度を低くした低硬度部や部分的に軟らかくした（柔軟部）であっても良い。

　上記実施形態では、図３５に示すように、サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃは、中央可動部６５１ａに対して取り付け軸６５１ｄを介して回動可能に取り付けられているが、特に限定されることなく、取り付け軸６５１ｄを有していなくても良い。
　その場合、中央可動部６５１ａとサイド可動部６５１ｂ、６５１ｃの連結部分に撓み促進部（例えば、スリット溝）が形成されていると好ましい。
　そうすることで、シンプルな構成で、サイド可動部６５１ｂ、６５１ｃが中央可動部６５１ａに対して好適に撓むように構成することができる。

　上記実施形態のほか、クッション材６０２ａのうち、可動体６５０に対向する部分には、シート前後方向に貫通した複数の貫通穴が形成されていても良い。
　このとき、複数の貫通穴と、可動体６５０の撓み促進部６５３、６５４とが、上下方向において重なる高さ位置に配置されていると好ましい。
　そうすることで、着座者の体に可動体６５０を追従させ易くなる。

　＜乗り物用シートの第８実施形態＞
　次に、第８実施形態の乗り物用シートＳ８について、図３７に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ７と重複する内容については説明を省略する。

　乗り物用シートＳ８は、シート本体と、シートバック７０２の上方部分を着座者側へ突出させるために可動する可動体７５０（ショルダサポート）と、可動体７５０を駆動する駆動装置７６０（アクチュエータ）と、シートバック７０２のシート幅方向の外側面に取り付けられ、乗り物の側方から加えられる衝撃を緩和するためのサイドエアバッグ装置７７０と、を備えている。

　サイドエアバッグ装置７７０は、バックサイドフレーム７２１の外側面に取り付けられており、バックサイドフレーム７２１に沿って上下方向に延びている。
　このとき、可動本体部７５１は、サイドエアバッグ装置７７０よりも上方位置に配置されており、かつ、シート幅方向においてサイドエアバッグ装置７７０よりも内側に配置されている。
　そのため、可動体７５０とサイドエアバッグ装置７７０の干渉を抑制し、可動体７５０を好適に動作させることが可能となる。

　なお、サイドエアバッグ装置７７０は、エアバッグモジュールの膨出方向をガイドする力布を有している。そして、バックサイドフレーム７２１の所定位置には、力布を取り付けるための不図示の力布取り付け部が固定されることになる。
　このとき、可動本体部７５１が、力布取り付け部よりも上方位置に配置されている。
　そうすることで、可動体７５０を好適に撓ませることができる。

　上記構成において、図３７に示すように、可動体７５０の前面には、ヘッドレストのピラーを取り付けるためのピラー取り付け部材７２６が取り付けられている。
　そして、可動体７５０は、ヘッドレストとともに、バックフレーム７２０に対して回動軸７５２を中心としてシート前後方向に回動可能となるように構成されている。
　そのため、バックフレームに対してヘッドレストを好適に回動させることができる。

　＜乗り物用シートの第９実施形態＞
　次に、第９実施形態の乗り物用シートＳ９について、図３８～図４４Ａ、Ｂに基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ８と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ９は、シート本体に取り付けられた可動体を安定して動作させることが可能な乗り物用シートを提供するものである。
　また、乗り物用シートの構成部品をコンパクトに配置することが可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ９は、図３８に示すように、車両用シートであって、シートクッション８０１と、シートバック８０２と、ヘッドレスト８０３とを備えるシート本体と、シートバック８０２の内部に取り付けられ、シートバック８０２のサイド部８０２Ｂを「通常位置」と、通常位置よりも着座者側へ突出させた「突出位置」との間で移動させるために可動する可動体８３０（ショルダサポート部材）と、可動体８３０を可動させるために作動する作動装置８４０（流体供給装置）と、を備えている。

　シートクッション８０１は、図３８に示すように、着座者を下方から支持する着座部であって、骨格となる図３９に示すクッションフレーム８１０上にクッション材８０１ａを載置して表皮材８０１ｂで被覆されて構成されている。
　シートクッション８０１は、シート幅方向の中央部分にある中央部８０１Ａと、中央部８０１Ａのシート幅方向の外側にある左右のサイド部８０１Ｂ（サイドボルスター部）と、から構成されている。
　クッション材８０１ａは、発泡ウレタン等からなるパッド部材である。
　クッション材８０１ａの表面上には、中央部１Ａと左右のサイド部１Ｂを区分けするようにシート前後方向に延びている左右の吊り込み溝８０１ａａが形成されている。

　シートバック８０２は、図３８、図４１に示すように、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となる図３９に示すバックフレーム８２０にクッション材８０２ａを載置して表皮材８０２ｂで被覆されて構成されている。
　シートバック８０２は、シート幅方向の中央部分にある中央部８０２Ａと、中央部８０２Ａのシート幅方向の外側にある左右のサイド部８０２Ｂ（サイドボルスター部）と、から構成されている。
　クッション材８０２ａの表面上には、中央部８０２Ａと左右のサイド部８０２Ｂを区分けするように上下方向に延びている左右の吊り溝サイド部８０２ａａ（吊り込み溝）と、左右の吊り溝サイド部８０２ａａの上部を連結するようにシート幅方向に延びている吊り溝上方部８０２ａｂ（吊り込み溝）とが形成されている。

　ヘッドレスト８０３は、図３８、図４１に示すように、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となるピラー８０３ｃにクッション材８０３ａを載置して表皮材８０３ｂで被覆されて構成されている。
　なお、図４１に示すように、バックフレーム８２０の上部には、ヘッドレスト８０３の本体を支持するピラー８０３ｃを取り付けるためのピラー取り付け部材８２９が組み付けられている。

　クッションフレーム８１０は、図３９に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるクッションサイドフレーム８１１と、各クッションサイドフレーム８１１の前端部分に架設される板状のパンフレーム８１２（架設フレーム）と、各クッションサイドフレーム８１１の後方部分を連結する後方連結フレーム８１３と、パンフレーム８１２及び後方連結フレーム８１３に掛け止めされ、シート前後方向に蛇状に延びている複数の弾性バネ８１４（弾性支持部材）と、から主に構成されている。

　クッションサイドフレーム８１１は、シート前後方向に長尺な板状フレームである。
　なお、クッションサイドフレーム８１１の後方部分にはリクライニング装置８０４が取り付けられており、その下方部分にはハイトリンク装置８０５を介してレール装置８０６が取り付けられている。

　バックフレーム８２０は、図３９～図４１に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるバックサイドフレーム８２１と、各バックサイドフレーム８２１の上端部分を連結する逆Ｕ字形状の上部フレーム８２２と、各バックサイドフレーム８２１の下端部分を連結するプレート形状の下部フレーム８２３と、上下方向に延出し、下部フレーム８２３に掛け止めされる複数のワイヤ部材８２４（弾性ワイヤ）と、複数のワイヤ部材８２４によって保持され、着座者を支持する支持プレート８２５と、から主に構成されている。
　また、バックフレーム８２０は、上部フレーム８２２とはバックサイドフレーム８２１の延出方向において異なる位置に配置され、左右のバックサイドフレーム８２１の上方部分を連結する第２連結フレーム８２６（クロスメンバ）と、上部フレーム８２２及び第２連結フレーム８２６を連結する連結部材８２７（連結ブラケット）と、上下方向に延出し、第２連結フレーム８２６及び支持プレート８２５を連結する第２ワイヤ部材８２８と、を備えている。
　さらに、バックフレーム８２０は、上部フレーム８２２のシート幅方向の中央部分に取り付けられ、ヘッドレスト８０３のピラー８０３ｃを取り付けるためのピラー取り付け部材８２９をさらに備えている。

　バックサイドフレーム８２１は、上下方向に延出し、横断面略Ｃ字形状からなる板金部材であって、その下端部分がリクライニング装置８０４を介してクッションサイドフレーム８１１の後端部分に連結されている。
　上記構成においてバックフレーム８２０は、クッションフレーム８１０に対して相対回動することが可能となっている。

　連結部材８２７は、上下方向に延出し、横断面略矩形状からなるブラケットであって、上部フレーム８２２の前面と第２連結フレーム８２６の前面とに架け渡されている。
　連結部材８２７は、シート幅方向に所定の間隔を空けて左右に配置されている。
　左右の連結部材８２７の前面には、それぞれ左右の可動体８３０が取り付けられている。

　上記構成において、図４０に示すように、連結部材８２７は、シート幅方向においてピラー取り付け部材８２９よりも外側位置に配置されている。
　そのため、連結部材８２７に取り付けられる可動体８３０と、ピラー取り付け部材８２９に取り付けられるピラー８０３ｃとの干渉を抑制することができる。また、乗り物用シートＳ９のシート前後方向の大型化を抑制することもできる。

　上記構成において、図４０に示すように、連結部材８２７は、シート幅方向において第２ワイヤ部材８２８よりも内側に配置されている。
　そのため、連結部材２７に取り付けられる可動体８３０と、第２ワイヤ部材８２８との干渉を抑制することができる。また、乗り物用シートＳ９のシート前後方向の大型化を抑制することもできる。

　上記構成において、図４１に示すように、連結部材８２７は、吊り溝上方部８０２ａｂよりも上方位置に配置されている。
　そのため、連結部材８２７に取り付けられる可動体８３０と、表皮吊り込み溝（吊り溝上方部８０２ａｂ）とが上下方向において離れた位置に配置されることになる。そのため、シートバック８０２の表皮材８０２ｂにシワやダブつきが生じることを抑制できる。
　詳しく説明すると、可動体８３０がシートバック８０２のサイド部８０２Ｂをシート前方側へ突出させるとき、一般に表皮吊り込み溝の周辺において表皮材８０２ｂにシワやダブつきが顕著に生じることが分かっている。そのため、当該周辺において表皮材８０２ｂにシワやダブつきが生じないように配慮することができる。

　可動体８３０は、図３９～図４２Ａ、Ｂに示すように、流体が封入されることで膨出する袋体（エアセル）を有し、流体としての圧縮空気が封入されることで着座者側へ膨出し（通常位置から突出位置へ突出し）、封入された圧縮空気が排出されることで収縮する（通常位置へ戻る）ものである。
　具体的には、可動体８３０は、シートバック８０２の上方部分のサイド部８０２Ｂにおいてクッション材８０２ａの裏面に取り付けられ、サイド部８０２Ｂを着座者側へ突出させるために可動するショルダサポート部材である。
　可動体８３０は、シート幅方向に所定の間隔を空けて左右に配置され、それぞれ連結部材８２７の前面に取り付けられている。詳しく述べると、連結部材８２７の前面のうち、第２連結フレーム８２６が連結された重なり部分に取り付けられている。
　なお、可動体８３０は折り畳まれた状態で取り付けられている。

　可動体８３０は、シート幅方向に長尺な略五角形状を有しており、連結部材８２７からシート幅方向の外側に突出するように延びている。
　詳しく述べると、可動体８３０は、連結部材８２７に支持されるベース部材８３１と、ベース部材８３１よりもシート前方位置に配置され、ベース部材８３１の前面に支持される複数の袋体８３４と、から主に構成されている。

　ベース部材８３１は、シート幅方向に長尺なプレート部材であって、連結部材８２７の前面と、バックサイドフレーム８２１の前面とに架け渡されている（連結されている）。
　複数の袋体８３４は、ベース部材８３１によって支持されており、折り畳まれた状態から圧縮空気が封入されることでシート前方側に膨出することができる。
　なお、複数の袋体８３４は、ベース部材８３１の前面のうち、シート幅方向の内側端部に設けられた取り付け部材８３２によってベース部材８３１に取り付けられている。

　複数の袋体８３４は、シート前後方向及びシート幅方向において異なる位置に配置され、それぞれ異なる大きさから構成されている。
　詳しく述べると、複数の袋体８３４は、３つの袋体から構成され、複数の袋体８３４のうち、最もシート前方側に位置する第１袋体８３４ａが、その他の袋体よりも容量が最も小さく構成されている。そして、第２袋体８３４ｂの容量が最も大きく構成されており、第３袋体８３４ｃの容量が中程度となっている。
　上記構成により、位置及び大きさの異なる複数の袋体８３４を膨出させることで、シートバック８０２（サイド部８０２Ｂ）の突出向きや突出量を調整することができる。
　また、シートバック８０２のサイド部８０２Ｂの突出向きや突出量を調整することで、シートバック８０２の表皮材８０２ｂにシワやダブつきが生じることを抑制できる。

　上記構成において、可動体８３０は、シートバック８０２のサイド部８０２Ｂ（肩部）を、図４２Ａに示す「通常位置」から図４２Ｂに示す「突出位置」へ移動させるために可動する（膨出する）ことができる。以下、詳しく説明する。

　図４２Ａは、シートバック８０２の横断面図であって、シートバック８０２のサイド部８０２Ｂが「通常位置」にいる状態を示す図である。
　可動体８３０は、シート前後方向においてバックフレーム８２０と表皮材８０２ｂの間に配置されている。具体的には、連結部材８２７の前面に取り付けられており、クッション材８０２ａの裏面に配置されている。

　シートバック８０２の内部においてクッション材８０２ａよりも後方位置には、複数の袋体８３４（エアセル）に対し圧縮空気を供給する作動装置８４０（流体供給装置）が配置されている。
　作動装置８４０は、バックフレーム８２０の中央部分の所定位置に取り付けられている。具体的には、圧縮空気を供給（給気）及び排出（排気）可能な空気ポンプ８４１と、空気ポンプ８４１及び可動体８３０（袋体８３４）を接続する空気配管８４２と、から主に構成されている。

　なお、作動装置８４０は、例えば不図示の制御装置から所定の制御信号を受信することで、袋体８３４に圧縮空気を供給することや、袋体８３４から圧縮空気を排出することができる。このとき、制御装置は、着座者による所定のユーザ操作の選択を受け付けて上記制御信号を送信すると良い。
　そうすることで、着座者の体格に応じて可動体８３０の可動範囲を調整することが可能となる。

　図４２Ｂは、可動体８３０（袋体８３４）がシート前方へ突出し、シートバック８０２のサイド部８０２Ｂが「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。
　具体的には、作動装置８４０から圧縮空気の供給を受けることで、折り畳まれた状態の袋体８３４がシート前方へ膨出展開することで、サイド部８０２Ｂがシート前方へ移動する。その結果、シートバック８０２のサイド部８０２Ｂが「突出位置」に移動する。
　なお、作動装置８４０によって袋体８３４の内部にある圧縮空気が排出されることで、膨らんだ状態の袋体８３４が収縮し、サイド部８０２Ｂがシート後方へ下がる。その結果、シートバック８０２のサイド部が「突出位置」から「通常位置」に戻る。

　上記構成において、図４２Ｂに示すように、可動体８３０（袋体８３４）によって、シートバック８０２のサイド部がシート前方かつシート幅方向の内側に突出するように構成されている。
　特に、シートバック８０２の左右の肩部が、シート前方かつシート幅方向の内側斜め下側に突出するように構成されている。
　そうすることで、着座者の着座フィーリングを高めることができる。

　本発明の乗り物用シートＳ９によれば、着座者が着座するシート本体と、前記シート本体の内部に取り付けられ、前記シート本体の一部を前記着座者側へ突出させるために可動する可動体と、を備えた乗り物用シートであって、前記シート本体は、骨格となるシートフレームを備え、前記シートフレームは、シート幅方向の左右側方に配置され、所定方向に延びているサイドフレームと、左右の前記サイドフレームの延出方向の端部を連結する連結フレームと、前記連結フレームとは前記サイドフレームの延出方向において異なる位置に配置され、左右の前記サイドフレームを連結する第２連結フレームと、前記連結フレーム及び前記第２連結フレームを連結する連結部材と、を有し、前記可動体は、前記連結部材に取り付けられていると良い。
　そうすることで、シート本体に取り付けられた可動体を安定して動作させることが可能な乗り物用シートを実現することができる。
　具体的には、可動体が、シートフレームにおいて比較的剛性が高い構成部品となる連結部材に取り付けられている。そのため、可動体に対して着座者による荷重が加わった場合であっても、可動体の変形を抑制することができる。その結果、可動体を安定して動作させることができる。

　このとき、前記シート本体は、前記シートフレームにクッション材を載置して表皮材で被覆されて構成され、前記可動体は、前記シート本体のシート幅方向のサイド部において前記クッション材の裏面に設けられ、前記シート本体のサイド部を前記着座者側へ突出させるために可動し、前記連結部材のうち、前記第２連結フレームが連結された部分に取り付けられていると良い。
　上記構成により、可動体が、シートフレームにおいて一層剛性が高い部分に取り付けられることになる。そのため、可動体を一層安定して動作させることができる。

　　＜＜可動体の変形例９、１０＞＞
　次に、可動体の変形例９、１０について、図４３Ａ、Ｂ、図４４Ａ、Ｂに基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ９と重複する内容については説明を省略する。

　変形例９の可動体８３０は、図４３Ａ、Ｂに示すように、ベース部材８３１と、ベース部材８３１よりもシート前方位置に配置され、ベース部材８３１に対して回動軸８３２を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材８３３と、ベース部材８３１及び回動部材８３３の間に配置され、ベース部材８３１の前面に支持される１つの袋体８３４と、から主に構成されている。

　ベース部材８３１は、連結部材８２７の前面と、バックサイドフレーム８２１の前面とに架け渡されている。
　回動軸８３２は、ベース部材８３１の前面のうち、シート幅方向の内側端部に取り付けられている。言い換えれば、ベース部材８３１と連結部材８２７が重なった部分に取り付けられている。
　回動部材８３３は、ベース部材８３１に対してシート前後方向に回動可能に取り付けられており、シート前方に向かって回動することでシートバック８０２のサイド部８０２Ｂをシート前方側へ突出させる（押し出す）ことができる。
　なお、回動部材８３３は、シートバック８０２が通常位置のときには、ベース部材８３１側に寄らせた位置に配置されている。不図示の付勢バネ（付勢部材）によってベース部材８３１側に付勢されていても良い。

　袋体８３４は、ベース部材８３１によって支持されており、圧縮空気が封入されることでシート前方側に膨出し、回動部材８３３をシート前方に向かって押し出すことができる。すなわち、回動部材８３３をシート前方に回動させることができる。

　図４３Ｂは、可動体８３０（回動部材８３３）がシート前方へ突出し、シートバック８０２のサイド部８０２Ｂが「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。
　具体的には、作動装置８４０から圧縮空気の供給を受けることで、折り畳まれた状態の袋体８３４がシート前方へ膨出展開し、回動部材８３３をシート前方に向かって押し出すことで、サイド部８０２Ｂがシート前方へ移動する。その結果、サイド部８０２Ｂが「突出位置」に移動する。

　変形例１０の可動体８３０は、図４４Ａ、Ｂに示すように、連結部材８２７の前面に支持される複数の袋体８３４から構成されている。
　複数の袋体８３４は、連結部材８２７の前面と、バックサイドフレーム８２１の前面とに架け渡されている。
　このとき、連結部材８２７は、可動体８３０（袋体８３４）を支持する支持面８２７ａを有しており、支持面８２７ａが、袋体８３４の延出方向に沿って延びて袋体８３４を支持している。言い換えれば、支持面８２７ａと袋体８３４が、シート幅方向に沿って重なるように配置されている。

　複数の袋体８３４は、３つの袋体からなり、シート前後方向及びシート幅方向において異なる位置に配置され、それぞれ異なる大きさから構成されている。
　なお、複数の袋体８３４は、連結部材８２７の支持面８２７ａのうち、シート幅方向の内側端部に設けられた取り付け部材８３２によって連結部材８２７に取り付けられている。

　図４４Ｂは、可動体８３０（袋体８３４）がシート前方へ突出し、シートバック８０２のサイド部８０２Ｂが「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。
　具体的には、折り畳まれた状態の袋体８３４がシート前方へ膨出展開することで、サイド部８０２Ｂがシート前方へ移動する。その結果、シートバック８０２のサイド部８０２Ｂが「突出位置」に移動する。

　　＜＜その他＞＞
　上記実施形態のほか、クッション材８０２ａのうち、可動体８３０に対向する部分には、シート前後方向に貫通した複数の貫通穴が形成されていても良い。
　このとき、複数の貫通穴と、連結部材８２７とが、シート幅方向において重なる位置に設けられていると好ましい。あるいは、複数の貫通穴が、シート幅方向において連結部材８２７よりも外側位置に配置されていると好ましい。
　そうすることで、クッション材８０２ａが好適に撓み易くなって、可動体８３０を安定して動作させることができる。　　　　　　　　　　　　　

　上記実施形態のほか、左右の連結部材８２７と、左右の表皮吊り込み溝（吊り溝サイド部８０２ａａ）とが、シート幅方向において重なる位置に設けられていると好ましい。あるいは、左右の連結部材８２７が、シート幅方向において左右の表皮吊り込み溝（吊り溝サイド部８０２ａａ）よりも外側位置に配置されていると好ましい。
　そうすることで、クッション材８０２ａが好適に撓み易くなって、可動体８３０を安定して動作させることができる。　　　　　　　　　　　　　

　＜乗り物用シートの第１０実施形態＞
　次に、第１０実施形態の乗り物用シートＳ１０について、図４５～図４７Ａ、Ｂに基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ９と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ１０は、着座者と生体センサの密着性を確保することが可能な乗り物用シートを提供するものである。
　また、既存の構成部品を利用して生体センサのセンシング性能を高めることが可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ１０は、図４５に示すように、車両用シートであって、シートクッション９０１と、シートバック９０２と、ヘッドレスト９０３とを備えるシート本体と、シート本体の内部に取り付けられ、シート本体に着座している着座者の生体電位に応じた電気信号（生体信号）を検出するシート状の生体センサ９３０、９４０と、生体センサ９３０、９４０によって検出された生体信号を受信し、受信した生体信号を外部（例えば、着座者が所有する携帯端末）へ送信する制御装置９５０と、から主に構成されている。
　また、乗り物用シートＳ１０は、シート本体の内部に取り付けられ、シート本体のサイド部を「通常位置」と、通常位置よりも着座者側へ突出させた「突出位置」との間で移動させるために可動する可動部材９６０（袋体）と、可動部材９６０を可動させるために作動する作動装置９８０（流体供給装置）と、を備えている。

　生体センサ９３０は、図４５に示すように、着座者がシートに着座した際にシートクッション９０１の着座面に加わる着座圧を検出するシート状の圧力センサであって、クッション材９０１ａと表皮材９０１ｂの間に取り付けられている。具体的には、クッション中央部９０１Ａの中央部と、左右のクッションサイド部９０１Ｂの中央部と、クッション中央部９０１Ａの正面部（前面部）とにそれぞれ取り付けられている。
　また、生体センサ９４０は、シートバック９０２の着座面に加わる着座圧を検出する圧力センサであって、クッション材９０２ａと表皮材９０２ｂの間に取り付けられている。具体的には、クッション中央部９０２Ａの中央部と、左右のクッションサイド部９０２Ｂの中央部と、左右のクッションサイド部９０２Ｂの上端部（肩部）とにそれぞれ取り付けられている。
　ここで「着座圧」とは、着座者がシートクッション９０１上に着座した状態において当該着座者の生理的活動、具体的には呼吸に応じて周期に変化する値であり、圧力センサによって検出される対象値である。

　生体センサ９３０は、複数からなり、クッション中央部９０１Ａの中央部分に配置される前方生体センサ９３０ａと、クッション中央部９０１Ａの後方部分に配置される後方生体センサ９３０ｂと、左右のクッションサイド部９０１Ｂにそれぞれ配置される右側生体センサ９３０ｃ及び左側生体センサ９３０ｄと、クッション中央部９０１Ａの正面部分に配置される正面生体センサ９３０ｅと、を有している。
　生体センサ９３０ａ～３０ｄは、着座者のヒップポイントの位置又はヒップポイント近辺に相当する位置にそれぞれ配置されている。正面生体センサ９３０ｅは、着座者の腿の位置又は腿近辺に相当する位置に配置されている。また、それぞれ独立して着座圧を検出し、当該着座圧の検出結果に基づく検出信号を出力する。

　可動部材９６０、９７０は、図４６、図４７Ａ、Ｂに示すように、流体が封入されることで膨出する袋体であって、具体的には、流体としての圧縮空気が封入されることで着座者側へ膨出し（通常位置から突出位置へ突出し）、封入された圧縮空気が排出されることで収縮する（通常位置へ戻る）エアセルである。

　可動部材９６０は、クッションフレーム９１０上に取り付けられており、具体的には、左右のクッションサイドフレーム９１１の上面に配置される第１可動部材９６１及び第２可動部材９６２と、パンフレーム９１２の上端部の上面に配置される第３可動部材９６３及び第４可動部材９６４と、から主に構成されている。
　言い換えれば、第１可動部材９６１及び第２可動部材９６２は、シートクッション９０１の左右のサイド部の内部に配置され、左右のクッションサイド部９０１Ｂの裏面（底面）に配置されている。第３可動部材９６３及び第４可動部材９６４は、シートクッション９０１の中央部の前端部の内部に配置され、クッション中央部９０１Ａの前端部の裏面に配置されている。
　なお、可動部材９６１～９６４は折り畳まれた状態で取り付けられており、第１可動部材９６１及び第２可動部材９６２はシート前後方向に長尺な略矩形状を有しており、第３可動部材９６３及び第４可動部材９６４はシート幅方向に長尺な略五角形状を有している。

　可動部材９７０は、バックフレーム９２０上に取り付けられており、具体的には、左右のバックサイドフレーム９２１の前面に配置される第１可動部材９７１及び第２可動部材９７２と、上部フレーム９２２の左右両端部の前面に配置される第３可動部材９７３及び第４可動部材９７４と、から主に構成されている。
　言い換えれば、第１可動部材９７１及び第２可動部材９７２は、シートバック９０２の左右のサイド部の内部に配置され、左右のクッションサイド部９０２Ｂの裏面（後面）に配置されている。第３可動部材９６３及び第４可動部材９６４は、シートバック９０２の左右のサイド部の上端部（肩部）の内部に配置され、左右のクッションサイド部９０２Ｂの上端部の底面に配置されている。
　なお、可動部材９７１～９７４は折り畳まれた状態で取り付けられており、第１可動部材９６１及び第２可動部材９６２はシート前後方向に長尺な略矩形状を有しており、第３可動部材９６３及び第４可動部材９６４はシート幅方向に長尺な略五角形状を有している。

　可動部材９６０、９７０（エアセル）は、シート本体のサイド部と、肩部と、前端部とを、「通常位置」から、通常位置よりも着座者側へ突出させた「突出位置」へ移動させるために可動する（膨出する）部材となっている。
　以下、シートバック９０２の肩部に配置された可動部材９７０（第３、第４可動部材９７３、９７４）を代表例として、図４７Ａ、Ｂに基づいて説明する。

　図４７Ａは、シートバック９０２の横断面図であって、シートバック９０２のサイド部が「通常位置」にいる状態を示す図である。
　可動部材９７０は、シート前後方向においてバックフレーム９２０と表皮材９０２ｂの間に配置されている。具体的には、バックサイドフレーム９２１の前面に取り付けられており、クッションサイド部９０２Ｂの裏面に配置されている。
　このとき、生体センサ９４０は、可動部材９７０よりもシート本体の表面側（前面側）に配置されており、センサ検出部９４１と、可動部材９７０とが、シート前後方向（可動部材９７０の突出方向）で重なる位置に配置されていることが分かる。

　シートバック９０２の内部においてクッション材９０２ａ（クッション中央部９０２Ａ）よりも後方位置には、可動部材９７０（エアセル）に対し圧縮空気を供給する作動装置９８０（流体供給装置）が配置されている。
　作動装置９８０は、バックフレーム９２０の中央部分の所定位置に取り付けられている。具体的には、圧縮空気を供給（給気）及び排出（排気）可能な空気ポンプ９８１と、空気ポンプ９８１及び可動部材９７０を接続する空気配管９８２と、から主に構成されている。

　なお、作動装置９８０は、例えば制御装置９５０から所定の制御信号を受信することで、可動部材９７０に圧縮空気を供給することや、可動部材９７０から圧縮空気を排出することができる。制御装置９５０は、着座者による所定のユーザ操作の選択を受け付けて上記制御信号を送信すると良い。
　そうすることで、着座者の体格に応じて可動部材９７０の可動範囲を調整することが可能となる。

　図４７Ｂは、可動部材９７０がシート前方へ突出し、シートバック９０２のサイド部が「通常位置」から「突出位置」に移動した状態を示す図である。
　具体的には、作動装置９８０から圧縮空気の供給を受けることで、折り畳まれた状態の可動部材９７０がシート前方へ膨出展開し、クッションサイド部９０２Ｂがシート前方へ移動する。その結果、シートバック９０２のサイド部が「突出位置」に移動する。
　なお、作動装置９８０によって可動部材９７０の内部にある圧縮空気が排出されることで、膨らんだ状態の可動部材９７０が収縮し、クッションサイド部９０２Ｂがシート後方へ下がる。その結果、シートバック９０２のサイド部が「突出位置」から「通常位置」に戻る。

　上記構成において、図４７Ａ、Ｂに示すように、可動部材９７０と、センサ検出部９４１とが、可動部材９７０の突出方向で（シート前後方向で）重なる位置に配置されている。
　また、可動部材９６０と、センサ検出部９３１とが、可動部材９６０の突出方向で（上下方向で）重なる位置に配置されることになる。
　そのため、可動部材９６０、９７０によって複数のセンサ検出部９３１、９４１を好適に支持することができる。その結果、着座者と生体センサ９３０、９４０の密着性を確保することができる。

　上記構成において、図４７Ｂに示すように、可動部材９７０によって、シートバック９０２のサイド部がシート前方かつシート幅方向の内側に突出するように構成されている。
　特に、第３可動部材９７３（第４可動部材９７４）によって、シートバック９０２の左右の肩部が、シート前方かつシート幅方向の内側斜め下側に突出するように構成されている。
　また、可動部材９６０によって、シートクッション９０１のサイド部がシート上方かつシート幅方向の内側に突出するように構成されている。
　特に、第３可動部材９６３（第４可動部材９６４）によって、シートクッション９０１の中央部の前端部が、シート前方かつシート幅方向の内側斜め上側に突出するように構成されている。
　そうすることで、着座者の着座フィーリングを高めることができる。また、着座者と生体センサ９３０、９４０の密着性を高めることができる。

　本発明の乗り物用シートＳ１０によれば、着座者が着座するシート本体と、前記シート本体の内部に取り付けられ、前記着座者の生体信号を検出するセンサ検出部を有する生体センサと、前記シート本体の内部に取り付けられ、前記シート本体の一部を通常位置と、前記通常位置よりも前記着座者側へ突出させた突出位置との間で移動させるために可動する可動部材と、を備えた乗り物用シートであって、前記生体センサは、前記可動部材よりも前記シート本体の表面側に配置され、前記センサ検出部と、前記可動部材とが、前記可動部材の突出方向で重なる位置に配置されていると良い。
　そうすることで、着座者と生体センサ（センサ検出部）の密着性を確保することが可能な乗り物用シートを実現することができる。
　具体的には、センサ検出部と、可動部材とが、可動部材の突出方向で重なる位置に配置されている。そのため、可動部材によってセンサ検出部を好適に支持することができ、着座者と生体センサの密着性を確保することができる。
　また、既存の構成部品（可動部材）を利用して生体センサのセンシング性能を高めることが可能な乗り物用シートを実現できる。

　このとき、前記シート本体は、骨格となるシートフレームにクッション材を載置して、表皮材で被覆されて構成され、前記生体センサは、前記クッション材と前記表皮材の間に取り付けられ、前記可動部材は、前記シートフレームに取り付けられ、前記クッション材の裏面側に配置されていると良い。
　上記構成により、生体センサ及び可動部材をシンプルな構成で取り付けることができる。

　＜乗り物用シートの第１１実施形態＞
　次に、第１１実施形態の乗り物用シートＳ１１について、図４８に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ１０と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ１１は、着座者と生体センサの密着性を確保することが可能な乗り物用シートを提供するものである。
　また、装飾部（装飾ステッチ部）が表面に形成された乗り物用シートにおいて、生体センサのセンシング性能を確保し、かつ、意匠性を高めることが可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ１１は、図４８に示すように、車両用シートであって、シートクッション１００１と、シートバック１００２と、ヘッドレスト１００３とを備えるシート本体と、シート本体の内部に取り付けられ、シート本体に着座している着座者の生体電位に応じた電気信号（生体信号）を検出するシート状の生体センサ１０３０、１０４０と、生体センサ１０３０、１０４０によって検出された生体信号を受信し、受信した生体信号を外部（例えば、着座者が所有する携帯端末）へ送信する制御装置１０５０と、から主に構成されている。
　また、シートクッション１００１、シートバック１００２の表面には、それぞれ装飾ステッチ部１０６０が形成されている。

　装飾ステッチ部１０６０は、図４８に示すように、それぞれシートクッション１００１の表皮材１００１ｂの表面、シートバック１００２の表皮材１００２ｂの表面に形成される装飾部である。
　詳しく述べると、装飾ステッチ部１０６０は、表皮材１００１ｂ、１００２ｂに部分的に糸で縫合することで形成される装飾用の縫い目である。
　装飾ステッチ部１０６０は、シートクッション１００１において第１ステッチ部１０６１と、第２ステッチ部１０６２と、第３ステッチ部１０６３と、を有しており、シート幅方向において左右の表皮吊り込み溝の間に配置されており、それぞれ着座面においてシート幅方向に沿って長尺に延びている。

　本発明の乗り物用シートＳ１１によれば、クッション材と、前記クッション材を被覆する表皮材と、前記クッション材と前記表皮材の間に取り付けられ、着座者の生体信号を検出する生体センサと、を備えた乗り物用シートであって、前記表皮材は、前記乗り物用シートの着座面において前記表皮材の表面に形成される装飾部を有し、前記生体センサは、前記着座者の生体信号を検出するセンサ検出部を有し、前記センサ検出部は、前記着座面において前記装飾部を避けた位置に配置されていると良い。
　そうすることで、着座者と生体センサ（センサ検出部）の密着性を確保することが可能な乗り物用シートを実現することができる。具体的には、装飾部が表面に形成された乗り物用シートにおいて、生体センサのセンシング性能を確保することができる。

　＜乗り物用シートの第１２実施形態＞
　次に、第１２実施形態の乗り物用シートＳ１２について、図４９～図５１に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ１１と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ１２は、着座者と生体センサの密着性を確保することが可能な乗り物用シートを提供するものである。
　また、既存の構成部品を利用して生体センサのセンシング性能を高めることが可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ１２は、図４９に示すように、車両用シートであって、シートクッション１１０１と、シートバック１１０２と、ヘッドレスト１１０３とを備えるシート本体と、シート本体の内部に取り付けられ、シート本体に着座している着座者の生体電位に応じた電気信号（生体信号）を検出するシート状の生体センサ１１３０、１１４０と、生体センサ１１３０、１１４０によって検出された生体信号を受信し、受信した生体信号を外部（例えば、着座者が所有する携帯端末）へ送信する制御装置１１５０と、から主に構成されている。
　また、乗り物用シートＳ１２は、図４９、図５０着座者をシート幅方向の側方から支持するように構成された左右のサポート部材１１６０、１１７０を備えている。

　上記構成において、図５１に示すように、サポート部材１１７０は、着座面側に向かって凸状に突出するように構成されており、サポート部材１１７０の突出先端部と、生体センサ１１４０とが、サポート部材１１７０の突出方向で重なる位置に配置されている。
　また、サポート部材１１７０は、着座面側に向かって湾曲しながら突出するように構成されており、湾曲したサポート部材１１７０のシート幅方向の内側面と、生体センサ１１４０とが、サポート部材１１７０の突出方向で重なる位置に配置されている。
　そのため、サポート部材１１７０によって生体センサ１１４０をより好適に支持することができ、着座者と生体センサ１１４０の密着性を確保することができる。

　本発明の乗り物用シートＳ１２によれば、骨格となるシートフレームにクッション材を載置して、表皮材で被覆されて構成される乗り物用シートであって、前記クッション材と前記表皮材の間に取り付けられ、着座者の生体信号を検出するセンサ検出部を有する生体センサを備え、前記シートフレームは、シート幅方向の左右側方に配置されるサイドフレームと、前記サイドフレームに取り付けられ、前記サイドフレームよりも前記着座者が着座する着座面側へ突出しているサポート部材と、を有し、前記センサ検出部と、前記サポート部材とが、前記サポート部材の突出方向で重なる位置に配置されていると良い。
　そうすることで、着座者と生体センサ（センサ検出部）の密着性を確保することが可能な乗り物用シートを実現することができる。
　具体的には、センサ検出部と、サポート部材とが、サポート部材の突出方向で重なる位置に配置されている。そのため、サポート部材によってセンサ検出部を好適に支持することができ、着座者と生体センサの密着性を確保することができる。
　また上記構成により、既存の構成部品（サポート部材）を利用して生体センサのセンシング性能を高めることが可能な乗り物用シートを実現できる。
と良い。

　＜乗り物用シートの第１３実施形態＞
　次に、第１３実施形態の乗り物用シートＳ１３について、図５２～図５５に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ１２と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ１３は、板厚が異なるサイドフレームを備えるシートフレームに対して適切に架設部材を配置可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ１３は、図５２に図示した外観を有している。
　乗り物用シートＳ１３は、着座者の背部を支える背もたれ部分となるシートバック１２０２、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッション１２０１、及び、シートバック１２０２の上部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレスト１２０３を主な構成要素として有する。図５３に示されるように、乗り物用シートＳ１３は、バックフレーム１２２０及びクッションフレーム１２１０を主構成要素とするシートフレームを骨格として有している。

　図５４に示されるように、バックサイドフレーム１２２１の側板部１２２１ａには、シート幅方向において内側又は外側のいずれか一方に向かって窪んだ補強部である凹部１２２５として、第１凹部１２２５ａ、第２凹部１２２５ｂ及び第３凹部１２２５ｃが設けられている。第１凹部１２２５ａは、側板部１２２１ａの後縁に沿いつつ上下方向に延びて設けられている。第２凹部１２２５ｂおよび第３凹部１２２５ｃは、バックサイドフレーム１２２１の長手方向と交差する方向（換言すると、前後方向）に延びるものであり、第２凹部１２２５ｂは、第１凹部１２２５ａの上下方向中間部から前方に延びて側板部１２２１ａに設けられている。

　第３凹部１２２５ｃは、第１凹部１２２５ａの下端部から前方に向かうにつれて上方に傾斜しつつ前方に延びるように側板部１２２１ａに設けられている。本実施形態において第１凹部１２２５ａ、第２凹部１２２５ｂ及び第３凹部１２２５ｃは、バックサイドフレーム１２２１のプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　第１凹部１２２５ａは、第２境界部Ｌ２を横切って側板部１２２１ａに設けられている。第２凹部１２２５ｂ及び第３凹部１２２５ｃは、第１境界部Ｌ１及び第２境界部Ｌ２を避けた位置に設けられている。換言すると、第２凹部１２２５ｂ及び第３凹部１２２５ｃは、上下方向において第１境界部Ｌ１と第２境界部Ｌ２の間に配置されるようにして側板部１２２１ａに設けられている。

　バックサイドフレーム１２２１の側板部１２２１ａの内側には、第１ワイヤ部材Ｗ１（第１架橋部材）、第２ワイヤ部材Ｗ２（第２架橋部材）及び第３ワイヤ部材Ｗ３（第３架橋部材）の端部を取り付けるための固定部（第１固定部Ｋ１、第２固定部Ｋ２及び第３固定部Ｋ３）が形成されている。

　第１ワイヤ部材Ｗ１（第１架橋部材）を側板部１２２１ａに取り付けるための引っ掛け部である第１固定部Ｋ１が、厚肉部１２２２において第１境界部Ｌ１の下方、つまり、第１境界部Ｌ１を避けた位置おいて側板部１２２１ａに設けられている。また、第２ワイヤ部材Ｗ２（第２架橋部材）を側板部１２２１ａに取り付けるための引っ掛け部である第２固定部Ｋ２が、中肉部１２２３において第１境界部Ｌ１の上方かつ第２境界部Ｌ２の下方、つまり、第１境界部Ｌ１及び第２境界部Ｌ２を避けた位置において側板部１２２１ａに設けられている。さらに、第３ワイヤ部材Ｗ３（第３架橋部材）を側板部１２２１ａに取り付けるための引っ掛け部である第３固定部Ｋ３が、薄肉部１２２４において第２境界部Ｌ２の上方、つまり、第２境界部Ｌ２を避けた位置において側板部１２２１ａに設けられている。

　本発明の乗り物用シートＳ１３によれば、シートフレームを備えた乗り物用シートであって、前記シートフレームは、前記乗り物用シートの側部に配設される一対のサイドフレームと、一対の前記サイドフレームの間に架設された第１架橋部材と、第２架橋部材と、第３架橋部材と、を備え、前記サイドフレームは、第１板厚の厚肉部と、前記厚肉部と連続して形成され前記厚肉部よりも薄い第２板厚の中肉部と、前記中肉部と連続して形成され前記中肉部よりも薄い第３板厚の薄肉部と、を有しており、前記第１架橋部材の前記サイドフレームに対する第１固定部は、前記厚肉部に形成されており、前記第２架橋部材の前記サイドフレームに対する第２固定部は、前記中肉部に形成されており、前記第３架橋部材の前記サイドフレームに対する第３固定部は、前記薄肉部に形成されていると良い。
　そうすることで、板厚が異なるサイドフレームに対してバランスよく荷重をかけることが可能となる。

　＜乗り物用シートの第１４実施形態＞
　次に、第１４実施形態の乗り物用シートＳ１４について、図５６－図５８に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ１３と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ１４は、板厚が異なるサイドフレームを備えるシートフレームに対して適切に補強部としての凹部を配置可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ１４は、着座者の背部を支える背もたれ部分となるシートバック１３０２、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッション１３０１、及び、シートバック１３０２の上部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレスト１３０３を主な構成要素として有する。図５６に示されるように、乗り物用シートＳ１４は、バックフレーム１３２０及びクッションフレーム１３１０を主構成要素とするシートフレームを骨格として有している。

　図５７に示されるように、バックサイドフレーム１３２１の側板部１３２１ａには、シート幅方向において内側又は外側のいずれか一方に向かって窪んだ補強部である凹部１３２５として、第１凹部１３２５ａ、第２凹部１３２５ｂ及び第３凹部１３２５ｃが設けられている。第１凹部１３２５ａ、第２凹部１３２５ｂ及び第３凹部１３２５ｃは、連続して設けられており、バックサイドフレーム１３２１の長手方向に延びている。本実施形態において第１凹部１３２５ａ、第２凹部１３２５ｂ及び第３凹部１３２５ｃは、バックサイドフレーム１３２１のプレス加工時に内側に隆起するように形成される。

　第１凹部１３２５ａ（幅広部）は、第１境界部Ｌ１を横切って側板部１３２１ａに設けられている。換言すると、第１凹部１３２５ａは、第１境界部Ｌ１に跨って、バックサイドフレーム１３２１の厚肉部１３２２及び中肉部１３２３に設けられている。

　第２凹部１３２５ｂ（幅狭部）は、第１境界部Ｌ１及び第２境界部Ｌ２を避けた位置に設けられている。換言すると、第２凹部１３２５ｂは、上下方向において第１境界部Ｌ１と第２境界部Ｌ２の間に配置されるようにしてバックサイドフレーム１３２１の中肉部１３２３に設けられている。

　第３凹部１３２５ｃ（幅中部）は、第２境界部Ｌ２を横切って側板部１３２１ａに設けられている。換言すると、第３凹部１３２５ｃは、第２境界部Ｌ２に跨って、バックサイドフレーム１３２１の中肉部１３２３及び薄肉部１３２４に設けられている。

　バックサイドフレーム１３２１の側板部１３２１ａの内側には、第１ワイヤ部材Ｗ１（第１架橋部材）、第２ワイヤ部材Ｗ２（第２架橋部材）及び第３ワイヤ部材Ｗ３（第３架橋部材）の端部を取り付けるための固定部（第１固定部Ｋ１、第２固定部Ｋ２及び第３固定部Ｋ３）が形成されている。

　第１ワイヤ部材Ｗ１（第１架橋部材）を側板部１３２１ａに取り付けるための引っ掛け部である第１固定部Ｋ１が、厚肉部１３２２において第１境界部Ｌ１の下方、つまり、第１境界部Ｌ１を避けた位置おいて第１凹部１３２５ａ（幅広部）に設けられている。

　また、第２ワイヤ部材Ｗ２（第２架橋部材）を側板部１３２１ａに取り付けるための引っ掛け部である第２固定部Ｋ２が、中肉部１３２３において第１境界部Ｌ１の上方かつ第２境界部Ｌ２の下方、つまり、第１境界部Ｌ１及び第２境界部Ｌ２を避けた位置において第２凹部１３２５ｂ（幅狭部）に設けられている。

　さらに、第３ワイヤ部材Ｗ３（第３架橋部材）を側板部１３２１ａに取り付けるための引っ掛け部である第３固定部Ｋ３が、薄肉部１３２４において第２境界部Ｌ２の上方、つまり、第２境界部Ｌ２を避けた位置において第３凹部１３２５ｃ（幅中部）に設けられている。

　本発明の乗り物用シートＳ１４によれば、シートフレームを備えた乗り物用シートであって、前記シートフレームは、前記乗り物用シートの側部に配設される一対のサイドフレームを備え、前記サイドフレームは、第１板厚の厚肉部と、前記厚肉部と連続して形成され前記厚肉部よりも薄い第２板厚の中肉部と、前記中肉部と連続して形成され前記中肉部よりも薄い第３板厚の薄肉部と、を有しており、前記サイドフレームの側部には、前記サイドフレームの延在方向に延びる凹部が設けられており、前記凹部は、前記厚肉部、前記中肉部及び前記薄肉部に渡って設けられていると良い。
　そうすることで、板厚が異なるサイドフレームに対してバランスよく補強部としての凹部を配置することが可能となる。

　＜乗り物用シートの第１５実施形態＞
　次に、第１５実施形態の乗り物用シートＳ１５について、図５９～図６１に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ１４と重複する内容については説明を省略する。
　乗り物用シートＳ１５は、板厚が異なるサイドフレームを備えるシートフレームに対して適切にワイヤ部材を配置可能な乗り物用シートを提供するものである。

　乗り物用シートＳ１５は、着座者の背部を支える背もたれ部分となるシートバック１４０２、着座者の臀部を支える着座部分となるシートクッション１４０１、及び、シートバック１４０２の上部に配され、着座者の頭部を支えるヘッドレスト１４０３を主な構成要素として有する。図５９に示されるように、乗り物用シートＳ１５は、バックフレーム１４２０及びクッションフレーム１４１０を主構成要素とするシートフレームを骨格として有している。

　図６０に示されるように、クッションサイドフレーム１４１１には、クッションサイドフレーム１４１１から上方に（つまり、着座面側に）突出して設けられたワイヤ部材Ｗが取り付けられている。ワイヤ部材Ｗ（線状部材）は、側面視で下向き略Ｕ字状に屈曲した線状部材であり、シートクッション１４０１の両側部における隆起部（土手部）の形状を保持するための補強部材（サポート部材）である。

　ワイヤ部材Ｗは、後端部Ｗ１０と前端部Ｗ２０の間でクッションサイドフレーム１４１１の延在方向、つまり、前後方向に延びており、後方の後端固定部Ｗ１０ａと前方の前端固定部Ｗ２０ａにおいて、クッションサイドフレーム１４１１に固定されている。そして、後端固定部Ｗ１０ａ及び前端固定部Ｗ２０ａは、第１境界部Ｌ１や第２境界部Ｌ２を避けた位置に設けられている。換言すると、クッションサイドフレーム１４１１の延在方向において、後端固定部Ｗ１０ａ及び前端固定部Ｗ２０ａは、第１境界部Ｌ１や第２境界部Ｌ２とは異なる位置に配置されている。

　具体的には、後端固定部Ｗ１０ａは、中肉部１４１３において第１境界部Ｌ１よりも前方かつ第２境界部Ｌ２よりも後方、つまり、第１境界部Ｌ１及び第２境界部Ｌ２を避けた位置に配置されている。また、前端固定部Ｗ２０ａは、薄肉部１４１４において第２境界部Ｌ２よりも前方、つまり、第２境界部Ｌ２を避けた位置に配置されている。本実施形態の乗り物用シートＳ１５では、ワイヤ部材Ｗの固定部が、強度が低下する第１境界部Ｌ１や第２境界部Ｌ２を避けた位置に配置されていることで、板厚が異なるクッションサイドフレーム１４１１に対するワイヤ部材Ｗの固定性を向上させることが可能となる。

　ワイヤ部材Ｗは、後端固定部Ｗ１０ａ及び前端固定部Ｗ２０ａにおいて、クッションサイドフレーム１４１１に対して溶接されている。このような構成では、ワイヤ部材Ｗが溶接されることでクッションサイドフレーム１４１１に対して適切に固定される。

　本発明の乗り物用シートＳ１５によれば、シートフレームを備えた乗物用シートであって、前記シートフレームは、前記乗物用シートの側部に配設される一対のサイドフレームと、前記サイドフレームから突出して設けられたワイヤ部材と、を備え、前記サイドフレームは、第１板厚の厚肉部と、前記厚肉部と連続して形成され前記厚肉部よりも薄い第２板厚の中肉部と、前記中肉部と連続して形成され前記中肉部よりも薄い第３板厚の薄肉部と、を有しており、前記厚肉部と前記中肉部は、第１境界部で連続しており、前記中肉部と前記薄肉部は、第２境界部で連続しており、前記ワイヤ部材は、前記サイドフレームの延在方向に延びており、前記ワイヤ部材の前記サイドフレームに対する固定部は、前記第１境界部又は前記第２境界部を避けた位置に配置されていると良い。
　そうすることで、強度が低下する境界部を避けることで板厚が異なるサイドフレームに対するワイヤ部材の固定性を向上させることが可能となる。
と良い。

　＜乗り物用シートの第１６実施形態＞
　次に、第１６実施形態の乗り物用シートＳ１６について、図６２～図６４に基づいて説明する。
　なお、上述の乗り物用シートＳ１～Ｓ１５と重複する内容については説明を省略する。

　従来、乗員が着座可能な「通常状態」から、シート本体（シートクッション）を上方に跳ね上げた「チップアップ状態」へ切り替え可能な乗り物用シートが知られている。
　このとき、乗り物用シートの利用状況や利用予定に応じて、シート本体の状態を自動的に切り替え可能であると好適である。
　具体的には乗員が着座しているか否か、あるいは乗員が着座しようとしているか否かを検出し、その検出結果に応じてシート本体の状態を自動切り替え可能であると好適である。

　そこで、乗り物用シートＳ１６は、シートの利用状況（利用予定）に応じてシートクッションの状態を自動的に切り替え可能な乗り物用シートを実現するものである。

　本発明の乗り物用シートＳ１６によれば、シートバック及びシートクッションを有するシート本体を備え、シートクッションを着座可能な「通常状態」と、通常状態から上方に回転させた「チップアップ状態」との間で切り替え可能な乗り物用シートであって、シートクッション側に格納される「格納位置」と、車体フロア側に展開される「展開位置」との間で回動可能に構成され、シートクッションを下方から支持する支持脚と、シート本体に設けられ、前記乗り物用シートの利用状況を検出する検出センサと、検出センサの検出結果に基づいてシートクッションの回動動作を制御する制御装置と、を備えていると良い。
　そうすることで、シートの利用状況、利用予定に応じてシート本体（シートクッション）の状態を自動的に切り替え可能な乗り物用シートを実現することができる。

　乗り物用シートＳ１６は、図６２～６４に示すように、シートクッション１５０１と、シートバック１５０２と、とを備えるシート本体と、車体フロア上に取り付けられ、シート本体（シートバック１５０２）を支持する支持部材１５１０と、支持部材１５１０に対してシートバック１５０２を回動可能に連結するとともに、シートバック１５０２の回動動作をロックするリクライニング装置１５２０と、シートバック１５０２に対してシートクッション１５０１を回動可能に連結するとともに、シートクッション１５０１の回動動作をロックするクッションロック装置１５３０と、を備えている。

　また、乗り物用シートＳ１６は、シートクッション１５０１の裏面に格納される「格納位置」と、車体フロア上に展開され、シートクッション１５０１を支持する「展開位置」との間で移動する支持脚１５４０と、シートクッション１５０１に対して支持脚１５４０を回動可能に連結するとともに、支持脚１５４０の回動動作をロックする脚回動装置１５５０と、車体フロアに設けられ、車体フロア側に展開された支持脚１５４０に着脱可能に係合する脚係合フック１５６０と、をさらに備えている。

　さらに、乗り物用シートＳ１６は、シート本体の内部に取り付けられ、乗員の生体信号を検出するシート状の検出センサ１５７０と、検出センサ１５７０によって検出された生体信号に基づいてシートＳ１６の利用状況を判定し、シートクッション１５０１及び支持脚１５４０の回動動作を制御する制御装置１５８０（ＥＣＵ）と、を備えている。
　「シートの利用状況を判定する」とは、例えば、乗員がシートに着座しているか否かを判定することを意味する。
　なお、検出センサ１５７０は、シート本体（例えば、シートクッション１５０１）の内部のほか、シート本体の周辺に複数取り付けられていても良い。
　その場合に、制御装置２８０は、複数の検出センサ１５７０の検出結果に基づいてシートＳ１６の利用予定を判定し、シートクッション１５０１及び支持脚１５４０の回動動作を制御することとしても良い。
　「シートの利用予定を判定する」とは、例えば、乗員がシートに着座しようとしているか否かを判定することを意味する。具体的には、検出センサ１５７０の検出結果に基づいて、乗員が乗り物用ドアのロックを解除したこと、乗員が乗り物用ドアを開いたこと、乗員が乗り物に乗り込んだこと、あるいは乗員がシートのサイド部に着座荷重を加えたこと等を判断し、乗員がシートに着座しようとしているか否かを判定する。もしくは、複数の乗り物用シートを備え、乗員のライドシェアを可能とした乗り物において、着座を希望する利用者が、利用者の通信端末の予約アプリケーション等を用いて、シートの利用予定を含む予約情報をネットワークを介して外部サーバに送信し、外部サーバが当該予約情報に基づくシートの利用予定を決定し、乗り物の制御装置がネットワークを介してシートの利用予定を受信することで、乗り物用シートの利用予定を判定することとしても良い。

　リクライニング装置１５２０は、車体フロア上に設けられた支持部材１５１０に軸支され、シートバック１５０２を回動可能に連結するバック回動軸１５２１と、バック回動軸１５２１を回動させる第１駆動モータ１５２２と、を有している。
　クッションロック装置１５３０は、シートバック１５０２に軸支され、シートクッション１５０１を回動可能に連結するクッション回動軸１５３１と、クッション回動軸１５３１を回動させる第２駆動モータ１５３２と、を有している。
　脚回動装置１５５０は、シートクッション１５０１に軸支され、支持脚１５４０を回動可能に連結する脚回動軸１５５１と、脚回動軸１５５１を回動させる第３駆動モータ１５５２と、を有している。

　バック回動軸１５２１は、シートバック１５０２の下端部、厳密にはシートバック１５０２よりも下方位置に配置されている。
　バック回動軸１５２１、クッション回動軸１５３１及び脚回動軸１５５１は、それぞれ上下方向及びシート前後方向において異なる位置に配置されている。
　また、第１駆動モータ１５２２、第２駆動モータ１５３２及び第３駆動モータ１５５２は、それぞれ上下方向及びシート前後方向において異なる位置に配置されている。
　なお、バック回動軸１５２１は、シートバック１５０２の上端部に配置されていても良い。その場合、バック回動軸１５２１は、車体フロア上から立ち上がった支持部材１５１０と、シートバック１５０２とに軸支されていると良い。

　制御装置１５８０は、検出センサ１５７０の検出結果に基づいて乗員が着座していないと判定したときに、あるいは乗員が着座する予定がないと判定したときに、クッションロック装置１５３０及び脚回動装置１５５０を制御し、シートクッション１５０１及び支持脚１５４０を図６２に示す「通常状態」から図６３に示す「チップアップ状態」へ切り替える。
　具体的には、制御装置１５８０は、シートクッション１５０１を上方へ回転移動させてシートバック１５０２に当接させた後、シートクッション１５０１の回転動作をロックする。
　また、制御装置１５８０は、支持脚１５４０をシートクッション１５０１の裏面に向かって回転移動させて格納した後、支持脚１５４０の回転動作をロックする。
　なお、制御装置１５８０は、シートクッション１５０１が「チップアップ状態」へ切り替わるときに、リクライニング装置１５２０を制御し、シートバック１５０２を起立位置から所定位置まで回転移動させてロックすることとしても良い。
　なお、制御装置１５８０は、シート本体が「チップアップ状態」に切り替わるときに、脚係合フック１５６０を車体フロア内に格納するように動作させても良い。

　上記構成において、図６４に示すように、乗り物用シートＳ１６は、シートクッション１５０１の裏面において支持脚１５４０とは異なる位置にディスプレイ１５９０をさらに備えていても良い。
　具体的には、ディスプレイ１５９０は、略Ｕ字形状の支持脚１５４０に囲まれた領域に配置されていると良い。
　そうすることで、シート本体が「チップアップ状態」にいるときに、乗員がディスプレイ１５９０に表示された映像を見ることができる。

　以上、上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる車両用シートについて説明したが、特に限定されることなく、二輪車用の二輪シート、電車やバス等の車両用シート、飛行機や船等の乗り物用シートのほか、作業用の事務イス、車イス、ショッピングカートの子供用イス等の種々のシートに対して利用することもできる。

　上記実施形態では、主として本発明に係る乗り物用シートに関して説明した。
　ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。

Ｓ１～Ｓ１６　乗り物用シート
　Ｓａ　シートフレーム
１、１０１、２０１、３０１、６０１、８０１、９０１、１００１、１１０１、１２０１、１３０１、１４０１、１５０１　シートクッション
　１Ａ、２Ａ、１０２Ａ、２０１Ａ、２０２Ａ、６０１Ａ、６０２Ａ、８０１Ａ、８０２Ａ、９０１Ａ、９０２Ａ　中央部
　１Ｂ、２Ｂ、１０２Ｂ、２０２Ｂ、５０２Ｂ、６０１Ｂ、６０２Ｂ、８０１Ｂ、８０２Ｂ、９０１Ｂ、９０２Ｂ　サイド部
　１ａ、２ａ、３ａ、１０２ａ、２０１ａ、２０２ａ、３０１ａ、５０２ａ、６０１ａ、６０３ａ、８０１ａ、８０２ａ、８０３ａ、９０１ａ、９０２ａ、１００１ａ、１００２ａ　クッション材
　　１ａａ、２ａａ、１０２ａａ、２０２ａａ、６０１ａａ、８０１ａａ　吊り込み溝
　　１０２ａｂ　吊り込み孔
　　１０２ａｃ　掛け止めワイヤ
　　１０２ａｄ　引き込みワイヤ
　　８０２ａａ　吊り溝サイド部
　　８０２ａｂ　吊り溝上方部
　１ｂ、２ｂ、３ｂ、１０２ｂ、２０１ｂ、２０２ｂ、３０１ｂ、６０１ｂ、６０３ｂ、８０１ｂ、８０２ｂ、８０３ｂ、９０１ｂ、９０２ｂ、１００１ｂ、１００２ｂ　表皮材
２、１０２、２０２、３０２、４０２、５０２、６０２、７０２、８０２、９０２、１００２、１１０２、１２０２、１３０２、１４０２、１５０２　シートバック
３、１０３、３０３、８０３、９０３、１００３、１１０３、１２０３、１３０３、１４０３　ヘッドレスト
　３ｃ、６０３ｃ、８０３ｃ　ピラー
４、６０４、８０４　リクライニング装置
５、６０５、８０５　ハイトリンク装置
６、６０６、８０６　レール装置
１０、２１０、３１０、６１０、８１０、９１０、１１１０、１２１０、１３１０、１４１０　クッションフレーム
１１、３１１、６１１、８１１、９１１、１４１１　クッションサイドフレーム
１２、３１２、６１２、８１２、９１２　パンフレーム
１３、３１３、６１３、８１３　後方連結フレーム
１４、６１４、８１４　弾性バネ（弾性支持部材）
３１４　支持プレート
　３１４ａ　前方掛け止め部
　３１４ｂ　後方掛け止め部
３１５　前方連結フレーム
３１６　開口部
２０、１２０、２２０、３２０、４２０、６２０、７２０、８２０、９２０、１１２０、１２２０、１３２０、１４２０　バックフレーム
２１、１２１、２２１、３２１、４２１、５２１、６２１、７２１、８２１、９２１、１２１、１３２１、１４２１　バックサイドフレーム
　１２２１ａ、１３２１ａ　側板部
２２、２２２、３２２、６２２、８２２、９２２　上部フレーム（連結フレーム）
　２２２ａ　取り付け穴
２３、２２３、３２３、６２３、８２３　下部フレーム
２４、２２４、３２４、６２４、８２４　ワイヤ部材
２５、２２５、３２５、６２５、８２５　支持プレート
２６、６２６、７２６、８２９　ピラー取り付け部材
２２７、３２７　連結フレーム
８２６　第２連結フレーム
８２７　連結部材
　８２７ａ　支持面
８２８　第２ワイヤ部材
３０、１３０、２３０、４３０、５３０、６３０　ランバサポート部材
３１、６３１　ベース部材
３２、６３２　袋体
２３１、５３１　駆動装置
２３２　駆動本体部
２３３～２３５　第１ケーブル～第３ケーブル
４０、１４０、２４０、３４０、４４０、５４０、８３０　可動体（サイドサポート部材、ショルダサポート部材）
４１、１４１、２４１、５４１、８３１　ベース部材
４２、１４２、２４２、５４２、８３２　回動軸（取り付け部材）
４３、１４３、２４３、５４３　回動部材
４４、１４４、２４４、５４４、８３４　袋体
　４４ａ～４４ｃ、４３４ａ～８３４ｃ　第１袋体～第３袋体
４５　取り付け部材
４６　クッション変形抑制部
４７　クッション高硬度部
４８、２４８　クッション変形促進部
１４６　ガイド部材
１４７　表皮吊り込み部
　１４７ａ　吊り込み本体
　１４７ｂ　吊り込みフック
１４８　貫通孔
２４９　スリット孔
５０、１５０、２５０、３５０、４５０、５５０、６４０、８４０　作動装置（流体供給装置）
５１、２５１、３５１、６４１　空気制御ユニット
５２、２５２、３５２、６４２、８４１　空気ポンプ
５３、２５３、３５３、６４３、８４２　空気配管（第１空気配管）
３５４　第２空気配管
２６０　サイドサポート部材
２６１　内側壁部
　２６１ａ、２６２ａ　フレーム取り付け穴
２６２　外側壁部
２６３　連結壁部
２６４　補強リブ
２６５　取り付け部材
２７０　着座センサ
　２７１　センサ検出部
　２７２　伝送路
２８０　制御装置
３６０　クッション長さ調整装置
３６１　第１袋体
３６２　第２袋体
３６３　筐体
　３６３ａ　表皮掛け止め部
３６４　突出体
　３６４ａ　区画壁部
　３６４ｂ　上壁部
　３６４ｃ　当接壁部
　３６４ｄ　係合部
３６５　カバー体
３６６　表皮引き込み部材
　３６６ａ　回動軸
　３６６ｂ　回動体
　３６６ｃ　表皮引き込み部
４６０　ショルダサポート部材
４６１　可動本体部
４６２　回動軸
４７０　駆動装置
５７０　サイドエアバック装置
５８０　線状部材
６５０、７５０　可動体
６５１、７５１　可動本体部
　６５１ａ　中央可動部
　６５１ｂ、６５１ｃ　サイド可動部
　６５１ｄ　取り付け軸
６５２、７５２　回動軸
　６５２ａ　軸本体部
　６５２ｂ　第１軸延出部
　６５２ｃ　第２軸延出部
６５３、６５４　撓み促進部
６５５　切り欠き部
６６０、７６０　駆動装置（アクチュエータ）
７７０　サイドエアバッグ装置
９３０、９４０、１０３０、１０４０、１１３０、１１４０　生体センサ
　９３０ａ　前方生体センサ（第１生体センサ）
　９３０ｂ　後方生体センサ（第２生体センサ）
　９３０ｃ　右側生体センサ（第３生体センサ）
　９３０ｄ　左側生体センサ（第４生体センサ）
　９３０ｅ　正面生体センサ（第５生体センサ）
９３１、９４１　センサ検出部
９５０、１０５０、１１５０　制御装置
９６０、９７０　可動部材（袋体、エアセル）
９６１、９７１　第１可動部材
９６２、９７２　第２可動部材
９６３、９７３　第３可動部材
９６４、９７４　第４可動部材
９８０　作動装置
９８１　空気ポンプ
９８２　空気配管
１０６０　装飾ステッチ部（装飾部）
１０６１～１０６３　第１～第３ステッチ部
１１６０、１１７０　サポート部材（サイドサポート部材）
１２２２、１３２２、１４１２　厚肉部
１２２３、１３２３、１４１３　中肉部
１２２４、１３２４、１４１４　薄肉部
１２２５、１３２５　凹部（幅中部）
１２２５ａ～１２２５ｃ、１３２５ａ～１３２５ｃ　第１～第３凹部
Ｌ１～Ｌ２　第１～第２境界部
Ｗ、Ｗ１～Ｗ３　ワイヤ部材、第１～第３ワイヤ部材（第１～第３架橋部材）
Ｗ１０　後端部
　Ｗ１０ａ　後端固定部（第１固定部）
Ｗ２０　前端部
　Ｗ２０ａ　前端固定部（第２固定部）
Ｋ１～Ｋ３　第１～第３固定部
１５１０　支持部材
１５２０　リクライニング装置
１５２１　バック回動軸
１５２２　第１駆動モータ
１５３０　クッションロック装置
１５３１　クッション回動軸
１５３２　第２駆動モータ
１５４０　支持脚
１５５０　脚回動装置
１５５１　脚回動軸
１５５２　第３駆動モータ
１５６０　脚係合フック
１５７０　検出センサ
１５８０　制御装置
１５９０　ディスプレイ

Claims

　着座者が着座するシート本体と、
　前記シート本体の内部に取り付けられ、前記シート本体のシート幅方向の中央部よりも外側位置に配置され、前記シート本体の一部を通常位置よりも前記着座者側へ突出させるために可動する可動体と、を備え、
　前記可動体の前記着座者側とは反対側の端部が、前記シート本体の中央部の着座面よりも前記着座者側に配置されていることを特徴とする乗り物用シート。
　前記シート本体は、背もたれ部となるシートバックを有し、
　前記シートバックは、クッション材と、前記クッション材を被覆する表皮材と、を有し、
　前記可動体は、前記シートバックのシート幅方向のサイド部において前記クッション材の裏面に配置され、前記サイド部をシート前方側へ突出させるために可動することを特徴とする請求項１に記載の乗り物用シート。
　前記可動体は、前記シートバックの前記サイド部をシート前方側へ突出させるために回動する回動部材を有し、
　前記回動部材の後端部が、前記シートバックの中央部の着座面よりもシート前方側に配置されていることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。
　前記シートバックは、骨格となるバックフレームを備え、
　前記バックフレームは、シート幅方向の左右側方に配置され、上下方向に延びているサイドフレームを有し、
　前記可動体は、前記サイドフレームよりもシート前方位置に配置され、
　前記可動体は、前記サイドフレームに支持されるベース部材と、前記ベース部材に対して回動軸を介して回動可能となるように取り付けられる回動部材と、を有していることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。
　前記シートバックにおいて前記中央部の着座面と、前記サイド部の突出面とが連続して形成され、
　前記サイド部において前記クッション材の裏面が、前記サイド部の前記突出面に沿うようにして傾斜面を形成し、
　前記可動体は、前記サイド部において前記クッション材と前記サイドフレームの間に形成された内部空間に配置され、
　前記ベース部材のうち、前記サイド部の前記クッション材に対応する部分が、前記サイド部の前記クッション材の裏面に沿って傾斜するように延びていることを特徴とする請求項４に記載の乗り物用シート。
　前記回動部材のうち、前記サイド部の前記クッション材に対向する部分が、前記サイド部の前記クッション材の裏面に沿って傾斜するように延びていることを特徴とする請求項５に記載の乗り物用シート。
　前記クッション材の表面には、前記表皮材の端末を吊りこむための吊り込み溝が形成され、
　前記吊り込み溝は、前記シートバックにおいて前記中央部と前記サイド部を区画する位置に設けられ、上下方向に延びており、
　前記クッション材の裏面において前記吊り込み溝に対応する部分には、前記吊り込み溝の周辺において前記クッション材の変形を抑制するためのクッション変形抑制部が形成されていることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。
　前記可動体は、流体が封入されることで膨出する複数の袋体を有し、
　前記複数の袋体は、
　シート前後方向において異なる位置に配置され、
　前記シートバックの中央部の着座面よりもシート前方側に配置されていることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。
　前記可動体は、流体が封入されることで膨出する複数の袋体を有し、
　前記複数の袋体は、シート前後方向において異なる位置に配置され、
　前記複数の袋体のうち、最もシート前方側に位置する第１袋体が、その他の袋体よりも最も容量が小さく構成されていることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。
　前記クッション材の表面には、前記表皮材の端末を吊りこむための吊り込み孔が形成され、
　前記吊り込み孔は、前記シートバックにおいて前記中央部と前記サイド部を区画する位置に設けられ、上下方向に延びており、
　前記表皮材の端末には、前記吊り込み孔を通過し、前記シートバックの内部に設けられた掛け止め部に掛け止めされる表皮吊り込み部が取り付けられ、
　前記表皮吊り込み部は、
　前記シートバックの内部に設けられた引き込み部によってシート幅方向の外側に引き込まれた状態で前記掛け止め部に掛け止めされていることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。
　前記シートバックの内部において前記吊り込み孔と、前記引き込み部とが、シート前後方向において重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項１０に記載の乗り物用シート。
　前記可動体は、前記サイド部において前記クッション材の裏面に形成された内部空間に配置され、
　前記サイド部において前記クッション材の外側面には、前記クッション材の外側面から前記内部空間まで貫通する貫通穴が形成され、
　前記貫通穴は、シート前後方向において前記可動体と重なる位置に配置され、上下方向に延びていることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。
　前記シートバックの内部に取り付けられ、前記シートバックのシート幅方向の中央部を通常位置よりも前記着座者側へ突出させるために可動するランバサポート部材を備え、
　前記ランバサポート部材が前記シートバックの中央部をシート前方側に最も突出させたときに、前記可動体の後端部が、前記シートバックの中央部の着座面よりもシート前方側に配置されていることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。
　前記シートバックの内部に取り付けられ、前記シートバックのシート幅方向の中央部を通常位置よりも前記着座者側へ突出させるために可動するランバサポート部材と、
　前記シートバックの内部に取り付けられ、前記ランバサポート部材を駆動する駆動装置と、を備え、
　前記可動体は、前記駆動装置よりもシート前方側に配置されていることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。
　前記シートバックは、骨格となるバックフレームを備え、
　前記バックフレームは、
　シート幅方向の左右側方に配置され、所定方向に延びているサイドフレームと、
　左右の前記サイドフレームの延出方向の端部を連結する連結フレームと、
　前記連結フレームとは前記サイドフレームの延出方向において異なる位置に配置され、左右の前記サイドフレームを連結する第２連結フレームと、
　前記連結フレーム及び前記第２連結フレームを連結する連結部材と、を有し、
　前記可動体は、前記連結部材に取り付けられていることを特徴とする請求項２に記載の乗り物用シート。