WO2022004534A1

WO2022004534A1 - パンツ型吸収性物品

Info

Publication number: WO2022004534A1
Application number: PCT/JP2021/023862
Authority: WO
Inventors: 雄二高橋; ▲異▼ 史; ▲亜▼男唐
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2020-06-30
Filing date: 2021-06-23
Publication date: 2022-01-06
Also published as: CN113855396A

Abstract

吸収性本体（２０）と、吸収性本体（２０）の非肌側に重ねて配置された胴回り部材（１０）と、を有するパンツ型吸収性物品（１）であって、吸収性本体（２０）及び胴回り部材（１０）には、温感剤または冷感剤（２６，２７）が設けられており、着用者がパンツ型吸収性物品（１）を着用した際の、吸収性本体（２０）における温感剤または前記冷感剤（２７）の体感強度と、胴回り部材（１０）における温感剤または冷感剤（２６）の体感強度とが異なる。

Description

パンツ型吸収性物品

　本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。

　着用時において、香料や温感剤／冷感剤等、着用者に刺激を感じさせる物質が設けられたパンツ型吸収性物品（以下、単に吸収性物品ともいう）が知られている。例えば、特許文献１には、着用者の腰回りに対応するウエスト域１０の外表面又は内表面に香料を設けることによって、排泄物由来の不快な臭気を低減させる技術が開示されている。

特開２０１８－１０２６１２号公報

　しかしながら、パンツ型吸収性物品を着用する際に、着用者に適切な刺激を感じさせることが困難な場合があった。例えば、着用者の身体のうち脂肪が多い部位（例えば胴回り）と、脂肪が少ない部位（例えば膣口周辺）とでは温感剤等の感じ方が異なるため、脂肪が多い部位では刺激が弱すぎ、脂肪が少ない部位では刺激が強すぎるといったことが生じるおそれがある。また、着用者の姿勢によっても刺激の感じ方が異なる場合があった。例えば、着用者が仰向けに寝ている場合とうつ伏せに寝ている場合とでは、体圧のかかり方によって胴回り部と股下部とで刺激の感じ方が異なるため、このような場合も着用者に適切な刺激を感じさせることが困難であった。

　本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、着用者に適切な刺激を感じさせることが可能なパンツ型吸収性物品を提供することにある。

　上記目的を達成するための主たる発明は、互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、液吸収性の吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌側に重ねて配置された胴回り部材と、を有するパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体及び前記胴回り部材には、温感剤または冷感剤が設けられており、着用者が前記パンツ型吸収性物品を着用した際の、前記吸収性本体における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度と、前記胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度とが異なる、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品である。

　本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

　本発明によれば、着用者に適切な刺激を感じさせることが可能なパンツ型吸収性物品を提供することが可能となる。

パンツ型吸収性物品１の概略斜視図である。展開且つ伸長状態におけるパンツ型吸収性物品１の平面図及び断面模式図である。吸収性本体２０の平面図である。図３のＡ－Ａ断面を示した、吸収性本体２０の断面模式図である。展開且つ伸長状態の吸収性物品１における、温感剤２６，２７の配置について説明する図である。パンツ型状態の吸収性物品１を着用した際の、着用者の身体と温感剤２６，２７との位置関係について説明する図である。パンツ型吸収性物品１の折り畳み方を示した概略図である。

　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。

　互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、液吸収性の吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌側に重ねて配置された胴回り部材と、を有するパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体及び前記胴回り部材には、温感剤または冷感剤が設けられており、着用者が前記パンツ型吸収性物品を着用した際の、前記吸収性本体における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度と、前記胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度とが異なる、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者の身体の異なる部位に異なる刺激（温感効果、冷感効果）を与えることができる。例えば、着用者の身体の各部位における脂肪量や、着用時に想定される着用者の姿勢等に応じて、温感剤（冷感剤）の体感強度を調整することで、着用者に適切な刺激を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体は、液不透過性シートを備えており、前記温感剤または前記冷感剤は揮発性物質であり、前記吸収性本体の厚さ方向において、前記液不透過性シートよりも肌側に、前記温感剤または前記冷感剤が設けられている、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、揮発した温感剤（冷感剤）は吸収性本体の非肌側には透過し難く、肌側に拡散しやすくなる。したがって、揮発した温感剤が着用者の身体に到達しやすくなり、膣口周辺に、適度な刺激を与えることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記吸収性本体における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、脂肪の多い胴回り周辺では着用者に適切な刺激を感じさせやすくして、脂肪の少ない膣口周辺では着用者に過度な刺激を感じさせにくくすることができる。したがって、吸収性物品の全体として、着用者に適度な刺激（温感効果、冷感効果）を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、前記前側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が座った姿勢を取っている場合、前側胴回り部材が着用者の身体に押し付けられにくくなるので、前側胴回り領域における温感剤の体感強度を強くすることで、着用者に適度な刺激を感じさせやすくすることができる。また、吸収性本体が着用者の股下部に押し付けられやすくなるので、下腹部（膣口）周辺において温感剤の体感強度を弱くすることで、着用者に過度な刺激を感じさせることを抑制できる。これにより、胴回り及び膣口周辺で着用者に適度な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、前記後側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者がうつ伏せ姿勢を取っている場合、後側胴回り部材が着用者の身体に押し付けられにくくなるので、後側胴回り領域において温感剤の体感強度を強くすることで、着用者に適度な刺激を感じさせやすくすることができる。また、吸収性本体が着用者の下腹部に押し付けられやすくなるので、膣口周辺において温感剤の体感強度を弱くすることで、着用者に過度な刺激を感じさせることを抑制できる。これにより、胴回り及び膣口周辺で着用者に適度な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、前記前側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が仰向け姿勢を取っている場合、前側胴回り部材が着用者の身体に押し付けられにくくなるので、前側胴回り領域において温感剤の体感強度を強くすることで、着用者に適度な刺激を感じさせやすくすることができる。また、着用者の股下部において、揮発した温感剤が臀部の溝を通って膣口周辺に到達して刺激を与えやすくなるため、温感剤の体感強度を弱くすることで、着用者に過度な刺激を感じさせることを抑制できる。これにより、胴回り及び膣口周辺で着用者に適度な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、前記後側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者がうつ伏せ姿勢を取っている場合、後側胴回り部材が着用者の身体に押し付けられにくくなるので、後側胴回り領域において温感剤の体感強度を強くすることで、着用者に適度な刺激を感じさせやすくすることができる。また、着用者の股下部において、揮発した温感剤が臀部の溝を通って膣口周辺に到達して刺激を与えやすくなるため、温感剤の体感強度を弱くすることで、着用者に過度な刺激を感じさせることを抑制できる。これにより、胴回り及び膣口周辺で着用者に適度な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記前側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者がうつ伏せ姿勢を取っている場合、前側胴回り部材が着用者の身体に押し付けられやすいため、前側胴回り領域において温感剤の体感強度を弱くしても、着用者に刺激を感じさせやすくすることができる。また、吸収性本体が着用者の腹部に押し付けられることにより股下部の生地が余り、着用者の股間部と吸収性本体との間に隙間（空間）が形成されやすくなるため、着用者の股下部に温感剤が接触し難くなる。そこで、吸収性本体の前側における温感剤の体感強度を強くすることで、膣口周辺に適度な刺激を与えやすくすることができる。これにより、着用者に適切な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記後側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が仰向け姿勢を取っている場合、後側胴回り部材が着用者の身体に押し付けられやすいため、後側胴回り領域において温感剤の体感強度を弱くしても、着用者に刺激を感じさせやすくすることができる。また、吸収性本体が着用者の臀部に押し付けられることにより股下部の生地が余り、着用者の股間部と吸収性本体との間に隙間（空間）が形成されやすくなるため、着用者の股下部と温感剤とが接触し難くなる。そこで、吸収性本体の前側における温感剤の体感強度を強くすることで、膣口周辺に適度な刺激を与えやすくすることができる。これにより、着用者に適切な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記前側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者がうつ伏せ姿勢を取っている場合、前側胴回り部材が着用者の身体に押し付けられやすいため、前側胴回り領域において温感剤の体感強度を弱くしても、着用者に刺激を感じさせやすくすることができる。また、吸収性本体の後側の領域は、着用者の膣口との距離が遠いため、膣口周辺に温感剤による刺激を与え難いので、吸収性本体の後側における温感剤の体感強度を強くすることにより、着用者の膣口周辺に適度な刺激を与えやすくなる。これにより、着用者に適切な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記後側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者が仰向け姿勢を取っている場合、後側胴回り部材が着用者の身体に押し付けられやすいため、後側胴回り領域において温感剤の体感強度を弱くしても、着用者に刺激を感じさせやすくすることができる。また、吸収性本体の後側の領域は、着用者の膣口との距離が遠いため、膣口周辺に温感剤による刺激を与え難いので、吸収性本体の後側における温感剤の体感強度を強くすることにより、着用者の膣口周辺に適度な刺激を与えやすくなる。これにより、着用者に適切な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記温感剤または前記冷感剤は揮発性物質であり、前記吸収性本体は、液体吸収性素材を含んだ吸収性コアを備えており、前記吸収性本体の厚さ方向に見たときに、前記吸収性コアと重複する領域の少なくとも一部に、前記温感剤または前記冷感剤が設けられている、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性コアに含まれる液体吸収性素材に温感剤の一部が染み込みやすくなり、染み込んだ温感剤が吸収性コアから少しずつ揮発するようになる。したがって、吸収性物品を着用した際に、吸収性コアからじわじわと温感剤が染み出して、温感効果が長時間持続しやすくなる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用時において、吸収性本体の後側領域は前側領域と比較して着用者の膣口からの距離が遠いため、後側領域における温感剤の体感強度を、前側領域における温感剤の体感強度よりも弱くしたとしても、着用者が膣口周辺で感じる温感効果に差は生じ難い。したがって、後側領域において温感剤の体感強度を弱めることで、適切な温感効果を維持しつつ、吸収性物品の製造コストを低減することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記長手方向において、前記中心位置よりも後側における前記吸収性本体の長さは、前記中心位置よりも前側における前記吸収性本体の長さ以上である、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性本体の長手方向の前側において温感剤が設けられる領域が広くなりすぎないので、着用者の下腹部に過度な刺激が加えられることを抑制しやすい。一方、長手方向の後側において吸収性本体が着用者の臀部に広く当接しやすくなり、排泄漏れを抑制し易くすると共に、着用者の仙骨付近にまで温感効果を感じさせやすくすることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体の前記左右方向における中央部には、前記左右方向に所定の幅を有する弱体感領域が設けられており、前記弱体感領域における前記温感剤及び前記冷感剤の体感強度は、前記弱体感領域の前記左右方向の両側に隣接する領域における前記温感剤及び前記冷感剤の体感強度よりも弱い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性物品を着用した際に、温感剤が直接膣口と接触することを抑制できる。これにより、膣口に過度な刺激を与えることが抑制される。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材の最も肌側に配置されたシート部材の肌側面における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記シート部材の非肌側面における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、脂肪が多く刺激が伝わりにくい胴回り周辺において、温感剤が着用者の肌と接触しやすくなるため、着用者に温感効果を感じさせやすくすることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体の最も肌側に配置された肌側シートの非肌側面における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記肌側シートの肌側面における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、脂肪が少なく刺激に敏感な膣口周辺において、温感剤が着用者の肌と直接接触し難くなるため、着用者に過度な刺激を与えることを抑制することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材の肌側面には、前記上下方向に沿って厚さ方向に凸となった凸部が、前記左右方向に複数並んで設けられている、ことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用時において、凸部に設けられた温感剤が着用者の肌と接触しやすくなる。また、左右方向に隣り合う凸部と凸部との間を揮発した温感剤が通過して拡散しやすくなるため、胴回り部の広い範囲で温感剤による温感効果を着用者に感じさせることができる。
　＝＝＝第１実施形態＝＝＝

　第１実施形態に係るパンツ型（ショーツ型）吸収性物品の一例として、温感剤２６（若しくは冷感剤、詳しくは後述する）を備えたパンツ型吸収性物品１（以下、単に「吸収性物品１」とも呼ぶ）について説明する。なお、以下の説明では生理用の吸収性物品１について説明するが、本実施形態の吸収性物品１には、例えば、大人用、乳児用のおむつ等も含まれており、生理用に用途が限定されるものではない。

　＜吸収性物品１の基本構成＞
　図１は、パンツ型吸収性物品１の概略斜視図であり、図２は、展開且つ伸長状態におけるパンツ型吸収性物品１の平面図及び断面模式図である。本実施形態の吸収性物品１は、胴回り部材１０と、吸収性本体２０とを備えている。

　図１に示すパンツ型状態において、吸収性物品１は、互いに交差する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」を有している。そして、図１の縦方向を上下方向として上側（下側）を上下方向の「上」（「下」）とし、横方向を左右方向として左側（右側）を左右方向の左（右）とする。また、前後方向においては、着用する際に着用者の腹側となる方を「前側」とし、着用者の背側となる方を「後側」とする。

　図２に示す吸収性物品１の展開状態（パンツ型吸収性物品１がパンツ型に成形される前の平面上に広がった状態）において、吸収性物品１は、互いに交差する「長手方向」と「幅方向」と「厚さ方向」とを有している。長手方向は、上述の上下方向に沿った方向であり、図２において、長手方向の一方側を「前側（腹側）」とし、他方側を「後側（背側）」とする。幅方向は、上述の左右方向に沿った方向である。また、長手方向及び幅方向と直交する方向（紙面を貫通する方向）を厚さ方向とし、厚さ方向においては、着用者の肌と当接する側を「肌側」、その逆側を「非肌側」とする。

　なお、本実施の形態に係る平面図（例えば、図２）は、対象物の伸長状態を示している。ここで「伸長状態」とは、吸収性物品１が備える各弾性体（例えば、後述する伸縮性シート１２等）を伸長させることにより、平面図に示す部材を皺なく伸長させた状態である。例えば、図２においては、吸収性物品１を構成する胴回り部材１０や吸収性本体２０の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態のことをいう。そして、非伸長状態であって、各弾性体が自然に収縮して各部材に皺等が生じている状態のことを「自然状態」という。

　（胴回り部材１０）
　胴回り部材１０は、吸収性物品１の外装を構成する外装体である。図２に示すように、本実施形態の胴回り部材１０は、展開状態において、平面視で略砂時計形状をしている。つまり、長手方向の中央部が幅方向の内側へ窪んでおり、この窪んだ部分は、パンツ型に成形されると、図１に示す一対の脚回り開口部１ｂを形成する。

　また、胴回り部材１０は、長手方向において吸収性物品１の中心に位置する中心線ＣＬより前側の前側胴回り部材１０ｆと後側の後側胴回り部材１０ｂを有している。なお、本実施形態においては、図２において、前側胴回り部材１０ｆが示す範囲（中心線ＣＬからパンツ型吸収性物品１の前側端（前側の上端１０ｅｔ）までの腹側の範囲）が腹側部であり、後側胴回り部材１０ｂが示す範囲（中心線ＣＬからパンツ型吸収性物品１の後側端（後側の上端１０ｅｔ）までの背側の範囲）が背側部である。

　前側胴回り部材１０ｆは、前側の端部において幅方向に沿った胴回り前端部１０ｆｆと、左右の両端部に設けられた長手方向に沿った前側接合部１０ｆｅ（図２の右下がり斜線部）を有しており、後側胴回り部材１０ｂは、後側の端部において幅方向に沿った胴回り後端部１０ｂｆと、左右の両端部に設けられた長手方向に沿った後側接合部１０ｂｅ（図２の右下がり斜線部）を有している。

　また、本実施の形態に係る胴回り部材１０は、胴回り部材１０の形状をした左右方向にほぼ伸縮性を有していない低伸縮性シート１４と、低伸縮性シート１４の肌側面の一部に積層され、左右方向に伸縮性を有する伸縮性シート１２（前側伸縮性シート１２ｆ及び後側伸縮性シート１２ｂ）と、を備えている。そして、胴回り部材１０は、前側胴回り部材１０ｆの最も肌側に伸縮性シート１２及び低伸縮性シート１４とは異なる緩衝シート１５をさらに備えている。緩衝シート１５は、吸収性本体２０の長手方向における前側端２０ｅｔ（すなわち、吸収性本体２０の前側上端部のエッジ）を厚さ方向の肌側から覆うようにして設けられており、緩衝シート１５によって前側端２０ｅｔが着用者の肌に強く当たることを抑制できる。

　低伸縮性シート１４は、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等により形成される。そして、低伸縮性シート１４の一部は、長手方向の上端１０ｅｔにおいて長手方向の内側かつ厚さ方向の肌側に折り返されて接合され、前側（後側）の折り返し部は、前側端部（後側端部）において上記した胴回り前端部１０ｆｆ（胴回り後端部１０ｂｆ）を形成している。

　そして、胴回り前端部１０ｆｆ及び胴回り後端部１０ｂｆには、左右方向に伸縮する開口部糸ゴム１０ｇｍ（弾性部材に相当）が、それぞれの折り返し部の内側に接着剤で接合されて設けられている。すなわち、胴回り部材１０の上端部には、左右方向に沿った開口部糸ゴム１０ｇｍが設けられており、開口部糸ゴム１０ｇｍは、接着剤によって胴回り部材１０の上端部に接合されている。なお、本実施形態における「上端部」とは、パンツ型吸収性物品１を上下方向に４等分した際の最も上側の部分（図２に示すＵＡの部分）、又は、上下方向の上端から３０ｍｍ程度（着用時に左右方向に伸ばすために手で掴む部分）にあって、左右方向の伸縮力（着用者への締め付け力）が胴回り部材１０の上下方向の中央部の伸縮力よりも大きい部分である。

　なお、本実施形態においては、胴回り前端部１０ｆｆ及び胴回り後端部１０ｂｆに開口部糸ゴム１０ｇｍを設けているが、これに限るものではなく、例えば、帯状の伸縮する部材である伸縮不織布や伸縮フィルム等を設けても構わない。

　伸縮性シート１２は、前側胴回り部材１０ｆに設けられた前側伸縮性シート１２ｆと、後側胴回り部材１０ｂに設けられた後側伸縮性シート１２ｂとを有する。本実施形態に係る伸縮性シート１２は、伸縮フィルム（例えば、ウレタンやスチレンのようなエストラマー樹脂を溶融し、均一厚さのシート状とした伸縮性を有する部材であり、フィルムシートに相当）であり、伸縮不織布シートに比べると、気密性が高くなっている。胴回り部１０に気密性の高い伸縮性シート１２が設けられていることにより、揮発した温感剤２６の肌側から非肌側への排出を抑制するので、温感効果を持続させることができる。

　なお、気密性の観点からいうと、伸縮性シート１２を最も肌側に配置してもよいが、伸縮フィルムを用いる場合には、伸縮フィルムに直接温感剤２６を塗布しても、温感剤２６の保持性が悪く、また身体に伸縮フィルムが接触すると肌触りが良くない。そのため、伸縮性シート１２と着用者の肌とに間には、少なくとも１枚のシート部材（低伸縮性シート１４や緩衝シート１５）が設けられていることが望ましい。

　また、本実施形態に係る伸縮性シート１２は、伸縮フィルムの代わりにウレタンが混合された伸縮不織布シート（例えば、弾性を有する熱可塑性エラストマーの一種であるポリウレタン系エラストマーの伸縮性繊維が混合された伸縮不織布シート）でもよい。かかるシートは、ウレタンが混合されていない不織布シート（例えば、１００％ポリプロピレンの不織布シート）と比べて気密性が高いので、伸縮フィルムと同じような効果（温感効果の持続）が得られる。すなわち、胴回り部材１０は、ウレタンが混合された不織布シート及び伸縮フィルムのうち少なくとも一方のシートを備えている。

　緩衝シート１５は、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布やＳＭＳ不織布等により形成され、厚さ方向において、最も肌側であって吸収性本体２０の前側の外側端２０ｅｔを上下方向（長手方向）に跨ぐように左右方向に沿って設けられる。

　また、緩衝シート１５には、左右方向に沿って図柄（文字、記号、画像、色等のその周囲と外観が異なるもの）が印刷された印刷領域１５ｐが設けられている。すなわち、前側胴回り部材１０ｆには、図柄が印刷された印刷領域１５ｐが設けられている。なお、印刷領域１５ｐには、印刷する際に図柄が滲む等の問題が発生しないように（印刷しやすいように）、下地処理がされており、下地処理がされていない部分に比べて肌側から非肌側への気密性が高くなっている。下地処理の方法としては、例えば、公知のコロナ放電処理等を例示できる。

　また、詳細については後述するが、吸収性物品１の緩衝シート１５には、温感剤２６が設けられている。本実施形態においては、緩衝シート１５の厚さ方向における肌側面の所定の領域に温感剤２６が塗布されている。なお、緩衝シート１５において、温感剤２６が肌側面に塗布されている場合、印刷領域１５ｐは非肌側面に設けられていることが望ましい。高濃度の温感剤２６と印刷領域１５ｐを形成しているインクとが直接接触すると、インクが溶け出すおそれがあるため、かかる位置関係とすることにより、溶解物が身体に接着することを抑制することができる。

　また、前側胴回り部材１０ｆにおいて、緩衝シート１５を設けずに低伸縮性シート１４の折り返しを延長してもよい。すなわち、図２に示す低伸縮性シート１４の後側の折り返しのように、前側の折り返しを吸収性本体２０の前側端２０ｅｔ（前側上端）に重なるようにして折り返し部を形成し、吸収性本体２０の前側端２０ｅｔが着用者の肌に強く当たることを緩和してもよい。かかる場合には、折り返し部に印刷領域１５ｐや温感剤２６を設けることにより、上記した緩衝シート１５と同様の効果が得られる。

　伸縮性シート１２と低伸縮性シート１４は、厚さ方向に重ねられた状態で接合されており、かかる接合は、超音波振動及び圧力を加えた超音波接合（超音波シール）により、点在する複数の超音波接合部を形成することで行われる。低伸縮性シート１４の超音波接合部は溶融してフィルム状になるので、超音波接合部が無い状態の低伸縮性シート１４に比べて、揮発した温感剤２６の肌側から非肌側への排出を抑制すること（気密性を高くすること）ができ、温感効果を持続させることができる。なお、詳しくは後述するが、本実施形態に係る超音波接合部は、全て同じ超音波接合部に形成されるのではなく、図２のＹ部拡大図に示す超音波接合部ＹＳと、図２のＺ部拡大図に示す超音波接合部ＺＳとに形成される。

　一方、緩衝シート１５は、伸縮性シート１２及び低伸縮性シート１４とは異なり、接着剤により接合されている。そして、かかる接着剤が塗布される領域は、緩衝シート１５の非肌側の上下方向における中央部であり、単位面積あたりでみると、超音波接合部ＹＳ、ＺＳの面積よりも大きい。すなわち、前後方向に見たときに、複数のシート（伸縮性シート１２及び低伸縮性シート１４）の単位面積あたりの超音波接合部ＹＳ、ＺＳの面積よりも、緩衝シート１５の単位面積あたりの接着剤が塗布された面積の方が大きい。

　緩衝シート１５の接着剤は固まって気密性が高い層を形成するので、接着剤の塗布面積を超音波接合部ＹＳ、ＺＳの面積より大きくすることにより、小さい場合に比べて、揮発した温感剤２６の肌側から非肌側への排出を抑制することができ、温感効果を持続させることができる。また、超音波接合部ＹＳ、ＺＳは溶融して伸縮性が低いフィルム状になるので、超音波接合部ＹＳ、ＺＳの面積を接着剤の塗布面積より小さくすることにより、大きい場合に比べて、胴回り部材１０の伸縮力を大きくしてフィット性を向上させることができ、快適な装着感を実現することができる。

　また、伸縮性シート１２は伸び縮みするが、低伸縮性シート１４は伸び縮みしないので、低伸縮性シート１４の非肌側の面には、規則正しい凸状であって内部に空洞を有する皺が形成される。ここで、伸縮性シート１２が伸縮不織布（通気性がある部材）の場合、気化した温感剤２６が伸縮不織布を通過して上記した皺の内部の空洞部分に保持される。そうすると、例えば、身体の動きに応じて皺の内部の空洞部分が小さくなる際に、空洞部分で保持している気化した温感剤２６の一部が伸縮不織布を通過して内部へ移動する。つまり、気化した温感剤２６が肌側へ移動するので、温感剤２６をより感じやすくすることができる。

　（吸収性本体２０）
　図３は、吸収性本体２０の平面図である。図４は、図３のＡ－Ａ断面を示した、吸収性本体２０の断面模式図である。

　吸収性本体２０は、経血等の排泄液を吸収する液吸収性の部材であり、図３に示すように、展開かつ伸長状態における長手方向（すなわち吸収性本体２０の長辺方向）が吸収性物品１の上下方向に沿った平面視略長方形状である。吸収性本体２０は、吸収性コア２２と、吸収性コア２２よりも肌側に配置された肌側シート２４と、吸収性コア２２よりも非肌側に配置された非肌側シート２５と、を有している。また、吸収性本体２０の所定の領域には、温感剤２７が設けられている。

　吸収性コア２２は、液体吸収性素材が所定の形状に成形されたものであり、本実施の形態においては、平面視で略矩形状（図３の斜線部）、断面視で凸部形状（図４の斜線部）に成形されている。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマー（所謂ＳＡＰ）等が含有されたものを例示できる。なお、吸収性コア２２は、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性のシート部材（コアラップシート２２ａ）によって、外周面が覆われていても良い。

　肌側シート２４は、着用時において着用者の肌に接触し得る液透過性のシート部材であり、例えば親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等により形成される。また、肌側シート２４は２層以上の構成であっても良い。例えば、肌側シート２４の非肌側に肌側シートとほぼ同等の機能及び構成を有するシート部材であるセカンドシート（図４では不図示）を有していても良い。

　非肌側シート２５は、吸収性コア２２に吸収された経血等の排泄液が外部に漏れ出すことを抑制するための液不透過性シート２５ａと、液不透過性シート２５ａの非肌側に配置されたｃと、を備えた二層構造で形成されている。液不透過性シート２５ａとしては、例えばポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等の樹脂フィルム等が用いられ、疎水性シート２５ｂとしては、例えば柔軟性を有する不織布等が用いられる。なお、肌側シート２４及び非肌側シート２５の大きさは、いずれも吸収性コア２２の全体を覆う大きさである。

　非肌側シート２５のうち疎水性シート２５ｂは、幅方向において吸収性本体２０の両端２０ｅｓよりも外側まで延出した延出部２５ｃを有している。延出部２５ｃは、吸収性本体２０の幅方向における両端２０ｅｓにおいて、支点５０Ｂを折れ曲がり起点として厚さ方向の肌側に折り曲げられ、肌側シート２４よりも肌側に位置する頂点５０Ｓにて非肌側に折り返されることにより、立体ギャザー５０を形成している（図５参照）。立体ギャザー５０の頂点５０Ｓには吸収性本体２０の長手方向に沿った糸ゴム等の立体ギャザー弾性部材５１が長手方向に伸長した状態で配置されており、吸収性物品１の着用時には、該立体ギャザー弾性部材５１が発現する収縮力によって頂点５０Ｓが着用者の肌側に起立する。これにより、立体ギャザー５０は排泄液等の横漏れを抑制するための防漏壁として機能する。

　なお、立体ギャザー５０は、温感剤２７が外に漏れてしまうことを防ぐため、支点５０Ｂから頂点５０Ｓまで不織布が同数枚で構成されていることが好ましく、具体的には、２枚以上であることが好ましい。また、温感剤が外に漏れないようにするため、立体ギャザー５０の不織布の密度は、肌側シート２４の不織布の密度よりも密であることが好ましい。

　また、吸収性コア２２よりも厚さ方向の非肌側において、液不透過性シート２５ａと疎水性シート２５ｂとの間の所定位置には、長手方向に伸縮可能な股下糸ゴム３０が複数設けられている。股下糸ゴム３０は、図３及び図４に示すように、吸収性本体２０の左右方向（幅方向）の中央部において、下腹部が当接する前側から股間部を介して臀部が当接する後側に至るまで設けられている。

　また、吸収性本体２０（吸収性コア２２）の肌側には、複数のヒンジ４０が形成されている。ヒンジ４０は、着用者が吸収性物品１を着用した際に、吸収性本体２０が着用者の身体に沿って変形するように（変形の折り目となるように）設けられており、図４に示すように、吸収性本体２０（吸収性コア２２）の肌側において、肌側から非肌側へ窪んだ凹部形状をしている。ヒンジ４０の凹部形状は、例えば、吸収性本体２０（吸収性コア２２）を肌側から圧搾することにより形成された圧搾部であり、吸収性コア２２の密度がその周囲の密度よりも高い高密度部となっている。

　吸収性本体２０のうち、厚さ方向における肌側シート２４と吸収性コア２２との間には、揮発性物質である温感剤２７が設けられている。本実施形態においては、肌側シート２４の非肌側面の所定の領域に温感剤２７が塗布されている。また、吸収性本体２０の幅方向における中央部には、左右方向に所定の幅を有する弱体感領域２８が設けられている。温感剤２７及び弱体感領域２８の詳細については、後で説明する。

　なお、温感剤２７は、各種部材を接着する接着剤と混ざらないようにして設けられていることが好ましい。例えば、股下糸ゴム３０を接着する接着剤と温感剤２７が混合してしまうと、股下糸ゴム３０の接着強度が低下してしまい、本来の弾性効果が発揮できなくなる恐れがある。そのため、温感剤２７と接着剤とが混ざる恐れがある領域においては、接着剤による接合ではなく、前述した超音波接合等の別の接合手段を用いるのが良い。

　吸収性物品１は、図２の展開状態から長手方向の中心線ＣＬを折り目として、前側胴回り部材１０ｆの肌側と後側胴回り部材１０ｂの肌側とが対向するように二つ折りにされ、左右方向の両端部にて互いに接合されることにより、前側接合部１０ｆｅ及び後側接合部１０ｂｅが形成される。これにより、前側胴回り部材１０ｆと後側胴回り部材１０ｂとが環状に繋がって、図１に示すような胴回り開口１ａ及び一対の脚回り開口１ｂが形成されたパンツ型状態となる。なお、接合部１０ｆｅ，１０ｂｅの接合方法としては、例えば、超音波接合や接着剤を用いた接着を行おうことが一般的であるが、これに限るものではなくヒートシール、公知の接合の組み合わせ等、を用いてもよい。

　＜温感剤２６，２７について＞
　次に、温感剤２６及び温感剤２７について説明する。温感剤２６，２７は、着用者の生理痛や冷え症状を緩和するために設けられており、着用者の温度感覚に刺激を与えることにより、刺激を受けた着用者が温かく感じる温感刺激剤を含み、温感刺激剤は揮発性を有する溶媒と混合されている（又は、温感刺激剤が揮発性を有している）。なお、本実施形態においては、胴回り部材１０に温感剤２６が設けられ、吸収性本体２０に温感剤２７が設けられているが、両者は同じ種類の温感剤であっても良いし、異なる種類の温感剤であっても良い。

　温感刺激剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。温感刺激剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン（ＬＤ５０：４７ｍｇ／ｋｇ，分子量：３０５）、カプサイシノイド類（ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等）、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル（ＬＤ５０：２，１８８ｍｇ／ｋｇ，分子量：２１３）、ニコチン酸β－ブトキシエチル、Ｎ－アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体（例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル（ＬＤ５０：４，９００ｍｇ／ｋｇ，分子量：２１０）、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル）、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール（ＬＤ５０：２５０ｍｇ／ｋｇ，分子量：２９４）、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。

　なお、本実施形態に係る温感刺激剤は、温度感受性ＴＲＰチャネルの１つであるＴＲＰＶ１を刺激して活性化させるものであり、カプサイシン、バニリルブチルエーテル等である。すなわち、着用者のＴＲＰＶ１を活性化して、交換神経系を介して着用者に産熱（着用者が体内で熱を作り出す）を引き起こすものである。

　換言すれば、携帯用使い捨てカイロのようにそれ自身が高温になって着用者を温めるのではなく、カプサイシン等のようにそれ自身が高温になることなく着用者を温めるものである。そのため、着用者は、低温火傷や火傷することなく、冷たさや温かさを感じることができる。

　溶媒は、温感刺激剤を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。溶媒は、温感刺激剤を、例えば、溶解、分散等することができる。なお、温感刺激剤が揮発性物質の場合、溶媒を必ずしも必要とせず、温感刺激剤のみを用いてもよい。

　親油性溶媒としては、油脂、例えば、天然油（例えば、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油、トリ（カプリル／カプリン酸）グリセリル等）、炭化水素（例えば、パラフィン、例えば、流動パラフィン）等が挙げられる。

　親水性溶媒は、水及びアルコールが挙げられる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。

　また、温感剤は、一般に、着用者の肌と触れなければ効果が発生しにくい。例えば、香料のような揮発性物質は、気体になれば周辺の臭気を抑制する効果を発揮することができるが、温感剤は気化した後に着用者の肌と直接触れて、その主たる効果を発揮する。そのため、温感剤２６，２７が不織布等を介して着用者の皮膚と接触することにより、着用者は、徐々に温感剤２６，２７の効果を肌で感じることができる。

　また、本明細書中では、着用者に刺激を付与する揮発性物質の一例として、温感剤２６，２７について説明を行うが、温感剤に限るものではなく、例えば、冷感剤を用いてもよい。冷感剤を用いた場合には、着用者の蒸れやべたつきによる不快感を低減することが可能となる。

　かかる冷感剤の例としては、メントール（例えば、ｌ－メントール）及びその誘導体（例えば、乳酸メンチル）、サリチル酸メチル、カンファー、植物（例えば、ミント、ユーカリ）由来の精油等が挙げられる。なお、冷感剤は、温感剤２６，２７と同様に、温度感受性ＴＲＰチャネルを刺激するものが好ましい。

　また、温感効果を高めるため、温感剤内に微量の冷感剤を混ぜたり、冷感効果を高めるため、冷感剤内に微量の温感剤を混ぜたりして、温感又は冷感効果を高めてもよい。

　＜温感剤２６，２７（冷感剤）の配置について＞
　図５は、展開且つ伸長状態の吸収性物品１における、温感剤２６，２７の配置について説明する図である。図６は、パンツ型状態の吸収性物品１を着用した際の、着用者の身体と温感剤２６，２７との位置関係について説明する図である。

　温感剤２６は、胴回り部材１０（前側胴回り部材１０ｆ）の最も肌側に配置された緩衝シート１５の肌側面において、図５に示されるように、印刷領域１５ｐよりも上下方向の上側（長手方向の前側）で、左右方向に所定の長さ（幅）Ｗ２６を有する矩形状の領域に塗布されている。なお、温感剤２６は上述のように揮発性を有しており、不織布製の緩衝シート１５を厚さ方向に透過しやすい。そのため、緩衝シート１５の肌側に塗布された温感剤２６の少なくとも一部は、緩衝シート１５の非肌側にも存在している。

　また、吸収性物品１が長手方向の中心位置ＣＬにて二つ折りにされて図１のようなパンツ型に形成される際に、前側胴回り部材１０ｆの肌側面と、後側胴回り部材１０ｂの肌側面とが厚さ方向に対向するように重なりあう。このとき、緩衝シート１５（前側胴回り部材１０ｆ）の肌側に塗布された温感剤２６の一部が、後側胴回り部材１０ｂに付着する場合がある。すなわち、後側胴回り部材１０ｂの肌側面において、緩衝シート１５に塗布された温感剤２６と対向する領域（図５において、破線で囲まれた矩形状の領域）にも、温感剤が設けられる場合がある。以下では、後側胴回り部材１０ｂに設けられた温感剤を、温感剤２６ｍとする。

　前側胴回り部材１０ｆ（緩衝シート１５）で温感剤２６が設けられている領域は、吸収性物品１の着用時において、着用者の腸骨の位置に対応する位置である（図６参照）。したがって、温感剤２６によって、着用者の腹側の腸骨周辺に温感効果を付与することができる。また、後側胴回り部材１０ｂで温感剤２６ｍが設けられている領域は、吸収性物品１の着用時において、着用者の仙骨の位置に対応する位置である（図６参照）。したがって、温感剤２６ｍによって、着用者の背側の仙骨周辺に温感効果を付与することができる。

　一方、温感剤２７は、吸収性本体２０の最も肌側に配置されている肌側シート２４の非肌側面において、図５に示されるように、幅方向（左右方向）に所定の寸法を有し、吸収性本体２０の長手方向の前端から後端まで連続した左右一対の矩形状の領域に塗布されている。温感剤２７も、上述の温感剤２６と同様に揮発性を有しており、不織布製の肌側シート２４を厚さ方向に透過しやすい。そのため、肌側シート２４の非肌側に塗布された温感剤２７の少なくとも一部は、肌側シート２４の肌側にも存在している。

　また、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも前側に塗布される温感剤２７と、中心位置ＣＬよりも後側に塗布される温感剤２７とで、単位面積当たりの塗布量や塗布濃度を変更しても良い。以下では、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも前側に設けられている温感剤を温感剤２７ｆ、中心位置ＣＬよりも後側に設けられている温感剤を温感剤２７ｂとして説明を行う。なお、吸収性本体２０において、温感材２７ｆのみが設けられ、温感剤２７ｂは設けられていなくても良い。

　吸収性本体２０で温感剤２７ｆが設けられている領域は、吸収性物品１の着用時において、着用者の股下領域のうち下腹部に対応する位置である（図６参照）。したがって、温感剤２７ｆによって、着用者の下腹部周辺（特に、膣口周辺）に温感効果を付与することができる。また、吸収性本体２０で温感剤２７ｂが設けられている領域は吸収性物品１の着用時において、着用者の股下領域のうち臀部に対応する位置である（図６参照）。したがって、温感剤２７ｂによって、着用者の臀部周辺に温感効果を付与することができる。

　このように、吸収性物品１に設けられた温感剤２６、２６ｍ、２７ｆ、２７ｂの各々によって、着用者の身体の異なる部位に温感効果（冷感効果）を付与することができる。したがって、温感剤２６、２６ｍ、２７ｆ、２７ｂの塗布濃度や塗布量を調整することによって、着用者が吸収性物品を着用した際の、胴回り部材１０及び吸収性本体２０における温感剤（冷感剤）の体感強度を異ならせることができる。例えば、着用者の身体の各部位における脂肪量や、着用時に想定される着用者の姿勢や身体の動きに応じて、温感剤（冷感剤）の体感強度を調整することで、着用者に適切な刺激を感じさせることができる。
に応じて、

　＜温感剤（冷感剤）の体感強度について＞
　第１実施形態の吸収性物品１では、胴回り部材１０における温感剤２６の体感強度が、吸収性本体２０における温感剤２７の体感強度よりも強くなるように調整されている。言い換えると、吸収性物品１の着用時に、胴回り部材１０において着用者が感じる温感剤による刺激の強さの度合いが、吸収性本体２０において着用者が感じる温感剤による刺激の強さの度合いよりも大きくなるようにしている。

　ここで、体感強度は、複数の被験者に対してパッチを用いた官能試験を実施することによって求めることができる。官能試験は、例えば以下の方法で行われる。

　先ず、胴回り部材１から所定の領域を切り出して官能試験に用いるパッチを準備する。例えば、展開かつ伸長状態の前側胴回り部材１０ｆのうち最も肌側に配置されたシート部材（緩衝シート１５）を剥がして、左右方向において両側に位置する前側接合部１０ｆｅ，１０ｆｅの間を６等分に区分して切り出し、６種類のパッチ（前側胴回りパッチ）とする。各パッチについては、肌側と非肌側とを区別できるようにしておく。同様に、後側胴回り部材１０ｂのうち、前側胴回り部材１０ｆに対応する位置の最も肌側に配置されたシート部材（低伸縮性シート１４）を剥がして、左右方向において両側に位置する後側接合部１０ｂｅ，１０ｂｅの間を６等分に区分して切り出し、６種類のパッチ（後側胴回りパッチ）とする。

　次いで、準備した６種類の前側胴回りパッチの肌側面を、それぞれ或る被験者Ａの上腕の内側にあてた状態で所定時間（例えば１時間）放置する。そして、所定時間経過後に被験者Ａが感じた刺激の強さの度合いを記録する。刺激の強さの度合いは、例えば、「段階４：温かいと感じた」、「段階３：やや暖かいと感じた」、「段階２：言われれば暖かかったと思う」、「段階１：何も感じなかった」、「段階０：痒い、痛いと感じた」の５段階とする。そして、６種類の前側胴回りパッチのそれぞれについての評価段階が最も高かったものを、前側胴回り部材１０ｆにおいて被験者Ａが感じた温感剤２６の強さの度合い（すなわち、体感強度）とする。このような試験を複数の被験者（例えば、被験者Ａ～Ｆ）について行い、評価段階の平均を算出して、吸収性物品１の使用者（ユーザー）の、前側胴回り部材１０ｆにおける温感剤２６の体感強度を求める。また、必要に応じて、６種類の前側胴回りパッチの非肌側面についても同様の試験を行い、体感強度を求める。

　同様にして、６種類の後側胴回りパッチについても官能試験を実施し、吸収性物品１の使用者（ユーザー）の、後側胴回り部材１０ｂにおける温感剤２６ｍの体感強度を求める。

　吸収性本体２０に設けられた温感剤２７についての官能試験も同様にして行われる。先ず、展開かつ伸長状態の吸収性本体２０のうち最も肌側に配置されたシート部材（肌側シート２４）を剥がして、長手方向において中心位置ＣＬよりも前側の領域を３等分して切り出し、３種類のパッチ（前側吸収体パッチ）とする。また、長手方向において中心位置ＣＬよりも後側の領域を３等分して切り出し、３種類のパッチ（後側吸収体パッチ）とする。次いで、準備した３種類の前側収体パッチ及び３種類の後側収体パッチの肌側面を、それぞれ或る被験者Ａの上腕の内側にあてた状態で所定時間（例えば１時間）放置する。そして、所定時間経過後に被験者Ａが感じた刺激の強さの度合いを記録する。そして、３種類の前側吸収体パッチのそれぞれについての評価段階が最も高かったものを、吸収性本体２０の前側において被験者Ａが感じた温感剤２７ｆの強さの度合い（すなわち、体感強度）とする。また、３種類の後側吸収体パッチのそれぞれについての評価段階が最も高かったものを、吸収性本体２０の後側において被験者Ａが感じた温感剤２７ｂの強さの度合い（すなわち、体感強度）とする。このような試験を複数の被験者（例えば、被験者Ａ～Ｆ）について行い、評価段階の平均を算出して、吸収性物品１の使用者（ユーザー）の、吸収性本体における温感剤２７ｆ，２７ｂの体感強度を求める。

　また、上記のような官能試験に加えて、胴回り部材１０及び吸収性本体２０にそれぞれ塗布されている温感剤２６，２７の濃度を求めることによって、定量的に体感強度を求めても良い。例えば、以下のような、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法を用いることができる。

　先ず上記の官能試験と同様に複数のパッチを用意して、サンプルシートとする。次いで、各サンプルシートについて、ガスクロマトグラフ‐質量分析計（島津製作所のＧＣＭＳ－ＱＰ２０１０Ｐｌｕｓ）を用いて、キャリアガスとしてヘリウムを使用し、測定モードを走査法として、電子衝撃イオン化法で測定する。かかる方法においては、各サンプルシートは、折り畳んで小さく丸めた状態としてビーカー内に入れる。ビーカーの上部をアルミ箔で覆い、さらにその上部からプラスチックパラフィンフィルムで覆い、ビーカー内を密封したビーカーを３７度の恒温水槽に入れる。ＳＰＭＥファイバー（シグマアルドリッチ５０／３９μｍＤＶＢ／ＣＡＲ／ＰＤＭＳ、Ｓｔａｂｌｅｆｌｅｘ２ｃｍ）を、アルミ箔を貫通してビーカーに挿入させ、各サンプルシートの温感剤成分を抽出する。その後、ビーカーから取り出したＳＰＭＥファイバーを、直ちにガスクロマトグラフ‐質量分析計で測定する。これにより得られた各質量をサンプルシートの面積でそれぞれ除した値を算出する。すなわち、各サンプルシートについて単位面積あたりに設けられている温感剤２６，２７の量が算出され、これにより、吸収性物品１の各領域における温感剤の体感強度を、温感剤の量として定量的に求めることができる。

　第１実施形態では、胴回り部材１０に設けられた温感剤２６の体感強度が、吸収性本体２０に設けられた温感剤２７の体感強度よりも強くなるように、温感剤が調整されている。図６に示すように、温感剤２６が設けられている領域は、着用者の身体のうち、胴回り（特に腹部周辺）で脂肪の量が多くなっている部分と当接する領域であるため、温感剤２６による刺激が着用者に伝わりにくい。そこで、胴回り部材１０における温感剤２６の体感強度がなるべく強くなるようにすることで、脂肪の多い胴回り部であっても着用者に適切な刺激を感じさせやすくすることができる。

　一方、温感剤２７が設けられている領域は、着用者の身体のうち、股下部（特に膣口周辺）で脂肪の量が少ない部分と当接する領域であるため、温感剤２７による刺激が着用者に伝わりやすい。仮に、温感剤２７の体感強度が温感剤２６の体感強度と同程度に強い場合、温感剤２７によって膣口周辺に過度な刺激が与えられ、着用者に不快感を生じさせるおそれがある。これに対して、第１実施形態の吸収性物品１では、吸収性本体２０における温感剤２７の体感強度を、胴回り部材１０における温感剤２６の体感強度よりも小さくすることで、脂肪の少ない膣口周辺で着用者に過度な刺激を感じさせにくくすることができる。したがって、吸収性物品１の全体として、着用者に適度な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　なお、上述したように、温感剤２７は揮発性を有する物質である。そして、温感剤２７は、吸収性本体２０を構成する液不透過性シート２５ａよりも厚さ方向の肌側に設けられている。そのため、揮発した温感剤２７は吸収性本体２０の非肌側には透過し難く、肌側に拡散しやすい。したがって、体感強度を過度に強くしないために、吸収性本体２０に塗布される温感剤２７の濃度や量を小さくしたとしても、揮発した温感剤２７は着用者に股下部に到達しやすくなり、膣口周辺に、適度な刺激を与えることが可能である。

　また、吸収性物品１の着用時における着用者の姿勢を考慮して、温感剤２６，２７の体感強度を調整しても良い。例えば、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも前側に設けられた温感剤２７ｆの体感強度が、前側胴回り部材１０ｆに設けられた温感剤２６の体感強度よりも弱くなるようにしても良い。このようにすれば、着用者が座った姿勢を取っている場合に、適切な刺激を与えやすくすることができる。

　着用者が座った姿勢を取っている場合、着用者の腹側の胴回りには体圧がかかりにくいため、前側胴回り部材１０ｆのうち温感剤２６が設けられた領域が着用者の身体に押し付けられにくくなる（図６参照）。したがって、腹側胴回り領域において着用者に適度な刺激を感じさせるためには、温感剤２６の体感強度をなるべく強くしておくことが望ましい。一方、着用者の股下部において膣口周辺に体圧がかかりやすくなるため、吸収性本体２０のうち温感剤２７ｆが設けられた領域は着用者の身体に押し付けられやすくなる（図６参照）。したがって、膣口周辺において着用者に適度な刺激を感じさせるためには、温感剤２７ｆの体感強度は、少なくとも温感剤２６の体感強度よりも弱いことが望ましい。これにより、着用者が座った姿勢を取っている場合において、胴回り及び膣口周辺で着用者に適度な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　また、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも前側に設けられた温感剤２７ｆの体感強度が、後側胴回り部材１０ｂに設けられた温感剤２６ｍの体感強度よりも弱くなるようにしても良い。このようにすれば、着用者がうつ伏せの姿勢で寝ている場合に、適切な刺激を与えやすくすることができる。

　着用者がうつ伏せの姿勢を取っている場合、着用者の背側の胴回りには体圧がかかりにくいため、後側胴回り部材１０ｂのうち温感剤２６ｍが設けられた領域が着用者の身体に押し付けられにくくなる（図６参照）。したがって、背側胴回り領域において着用者に適度な刺激を感じさせるためには、温感剤２６ｍの体感強度をなるべく強くしておくことが望ましい。一方、着用者の股下部において下腹部（膣口）周辺に体圧がかかりやすくなるため、吸収性本体２０のうち温感剤２７ｆが設けられた領域は着用者の身体に押し付けられやすくなる（図６参照）。したがって、膣口周辺において着用者に適度な刺激を感じさせるためには、温感剤２７ｆの体感強度は、少なくとも温感剤２６ｍの体感強度よりも弱いことが望ましい。これにより、着用者がうつ伏せ姿勢を取っている場合において、胴回り及び膣口周辺で着用者に適度な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　また、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも後側に設けられた温感剤２７ｂの体感強度が、前側胴回り部材１０ｆに設けられた温感剤２６の体感強度よりも弱くなるようにしても良い。このようにすれば、着用者が仰向けの姿勢で寝ている場合に、適切な刺激を与えやすくすることができる。

　着用者が仰向けの姿勢を取っている場合、着用者の腹側の胴回りには体圧がかかりにくいため、前側胴回り部材１０ｆのうち温感剤２６が設けられた領域が着用者の身体に押し付けられにくくなる（図６参照）。したがって、腹側胴回り領域において着用者に適度な刺激を感じさせるためには、温感剤２６の体感強度をなるべく強くしておくことが望ましい。一方、着用者の臀部には体圧がかかりやすいため、臀部側において吸収性本体２０のうち温感剤２７ｂが設けられた領域が着用者の身体に押し付けられやすくなる。この場合、揮発した温感剤２７ｂが臀部の溝を通って股下部の前側に移動して、膣口周辺に到達し、膣口周辺部に刺激を与えやすくなる。したがって、膣口周辺において着用者に適度な刺激を感じさせるためには、温感剤２７ｂの体感強度は、少なくとも温感剤２６の体感強度よりも弱いことが望ましい。これにより、着用者が仰向けの姿勢を取っている場合において、胴回り及び膣口周辺で着用者に適度な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　また、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも後側に設けられた温感剤２７ｂの体感強度が、後側胴回り部材１０ｂに設けられた温感剤２６ｍの体感強度よりも弱くなるようにしても良い。このようにすれば、着用者がうつ伏せの姿勢で寝ている場合に、適切な刺激を与えやすくすることができる。

　着用者がうつ伏せの姿勢を取っている場合、着用者の背側の胴回りには体圧がかかりにくいため、後側胴回り部材１０ｂのうち温感剤２６ｍが設けられた領域が着用者の身体に押し付けられにくくなる（図６参照）。したがって、背側胴回り領域において着用者に適度な刺激を感じさせるためには、温感剤２６ｍの体感強度をなるべく強くしておくことが望ましい。一方、着用者の股下部では、揮発した温感剤２７ｂが臀部の溝を通って膣口周辺に到達して膣口周辺部に刺激を与えるおそれがある。したがって、膣口周辺において着用者に適度な刺激を感じさせるためには、温感剤２７ｂの体感強度は、少なくとも温感剤２６ｍの体感強度よりも弱いことが望ましい。これにより、着用者がうつ伏せの姿勢を取っている場合において、胴回り及び膣口周辺で着用者に適度な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　また、図３に示されるように、温感剤２７は、厚さ方向に見たときに、吸収性コア２２と重複する部分を有するように設けられている。このような構成であれば、吸収性コア２２に含まれる液体吸収性素材に温感剤２７の一部が染み込みやすくなり、染み込んだ温感剤２７が吸収性コア２２から少しずつ揮発するようになる。したがって、吸収性物品１を着用した際に、吸収性コア２２からじわじわと温感剤２７が染み出して、温感効果を長時間持続させることができる。

　また、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも後側における温感剤２７ｂの体感強度が、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも前側における温感剤２７ｆの体感強度よりも弱くなるようにしても良い。吸収性物品１の着用時において、吸収性本体２０の後側領域は、前側領域と比較して着用者の膣口からの距離が遠いため、後側領域における温感剤２７ｂの体感強度を、前側領域における温感剤２７ｆの体感強度よりも弱くしたとしても、着用者が膣口周辺で感じる温感効果に差は生じ難い。したがって、後側領域において温感剤２７ｂの塗布濃度を少なくしたり塗布量を削減したりすることによって、吸収性物品１の製造コストを低減しつつ、吸収性物品１の適切な温感効果を維持することが可能となる。

　このとき、吸収性本体２０は、長手方向において、中心位置ＣＬよりも後側における長さが、中心位置ＣＬよりも前側における長さ以上であることが望ましい。図５では、中心位置ＣＬよりも前側における吸収性本体２０の長さＬ２０ｆよりも、中心位置ＣＬよりも後側における吸収性本体２０の長さＬ２０ｂの方が長くなっている（Ｌ２０ｆ≦Ｌ２０ｂ）。上述のように、吸収性本体２０の前側領域における温感剤２７ｆの体感強度が、吸収性本体２０の後側領域における温感剤２７ｂの体感強度よりも強い場合、当該吸収性本体２０の前側領域の面積が大きいと、温感剤２７ｆが設けられる領域が広くなるため、着用者の下腹部への刺激が強くなりすぎるおそれがある。そこで、長手方向の前側における吸収性本体２０の長さＬ２０ｆを、後側における吸収性本体２０の長さＬ２０ｂよりも短くすることで、温感剤２７ｆが設けられる領域が広くなりすぎてしまうことを抑制できる。一方、長手方向の後側における吸収性本体２０の長さＬ２０ｂを長くすることにより、吸収性物品１の着用時に吸収性本体２０が着用者の臀部に広く当接しやすくなり（図６参照）、排泄液の後漏れを抑制し易くすると共に、着用者の仙骨付近にまで温感効果を感じさせやすくすることができる。

　また、本実施形態の吸収性本体２０は、左右方向の中央部に、左右方向に所定の幅を有し、且つ、長手方向に沿った弱体感領域２８を備えている（図３参照）。弱体感領域２８には、吸収性物品１の製造時において温感剤２７（冷感剤）が塗布されていない。そのため、弱体感領域２８では、左右方向の両側に隣接する領域（図３や図５において、温感剤２７が塗布されている領域）と比較して、温感剤２７の体感強度が弱くなっている。したがって、吸収性物品１を着用した際に、左右方向の中央部において着用者の膣口に過度な刺激を与えることが抑制される。また、弱体感領域２８の左右方向両側には、温感剤２７が設けられているため、当該温感剤２７によって膣口の周囲に刺激を与えることができる。これにより、着用者に適度な温感効果を感じさせることができる。なお、吸収性物品１の製造後に、揮発した温感剤２７や温感剤２６の一部が弱体感領域２８に付着する場合がある。しかし、このような温感剤２７等の一部が付着していたとしても、温感剤２７が直接塗布されている領域と比較して弱体感領域２８における体感強度は極めて弱いため、着用者（膣口）に不快感を与える等の影響は生じ難い。
　＝＝＝第２実施形態＝＝＝
　第２実施形態では、第１実施形態と同様の吸収性物品１について、胴回り部材１０における温感剤２６の体感強度よりも、吸収性本体２０における温感剤２７の体感強度の方が強くなるように、調整されている場合の例について説明する。吸収性物品１の構成や、温感剤２６，２７が設けられる位置は、第１実施形態とほぼ同様である。

　第２実施形態の吸収性物品１でも、着用時における着用者の姿勢を考慮して、温感剤２６，２７の体感強度を調整することができる。例えば、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも前側に設けられた温感剤２７ｆの体感強度の方が、前側胴回り部材１０ｆに設けられた温感剤２６の体感強度よりも強くなるようにしても良い。このようにすれば、着用者がうつ伏せの姿勢で寝ている場合に、適切な刺激を与えやすくすることができる。

　着用者がうつ伏せの姿勢を取っている場合、着用者の腹側の胴回りに体圧がかかりやすい。したがって、前側胴回り部材１０ｆのうち温感剤２６が設けられた領域が着用者の腹部に押し付けられやすく、温感剤２６の体感強度が小さくても、着用者に温感効果を感じさせやすい。また、着用者の腹部において腸骨の出っ張り部付近では脂肪の量が少ないため（図６参照）、当該領域において、着用者は温感剤２６による刺激を感じやすい。一方、着用者がうつ伏せの姿勢を取っている場合には、吸収性本体２０の腹側（前側）の領域が、着用者の腹部に押し付けられるため、吸収性本体２０の股下部の生地が余り、着用者の身体（股間部）と吸収性本体２０との間に隙間（空間）が形成されやすくなる。そのため、吸収性本体２０に設けられた温感剤２７ｆが着用者の股下部と直接接触し難くなる。そこで、吸収性本体２０の前側における温感剤２７ｆの体感強度を、少なくとも前側胴回り部材１０ｆにおける温感剤２６の体感強度よりも強くしておく。このようにすれば、揮発した温感剤２７ｆが、着用者の股間部と吸収性本体２０との間の空間に溜まりやすくなり、膣口周辺に適度な刺激を与えやすくなる。したがって、着用者に適切な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　また、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも前側に設けられた温感剤２７ｆの体感強度の方が、後側胴回り部材１０ｂに設けられた温感剤２６ｍの体感強度よりも強くなるようにしても良い。このようにすれば、着用者が仰向けの姿勢で寝ている場合に、適切な刺激を与えやすくすることができる。

　着用者が仰向けの姿勢を取っている場合、着用者の背側の胴回りに体圧がかかりやすい。したがって、後側胴回り部材１０ｂのうち温感剤２６ｍが設けられた領域が着用者の背部に押し付けられやすく、温感剤２６ｍの体感強度が小さくても、着用者に温感効果を感じさせやすい。また、着用者の背部において仙骨の出っ張り部付近では脂肪の量が少ないため（図６参照）、当該領域において、着用者は温感剤２６ｍによる刺激を感じやすい。一方、着用者が仰向けの姿勢を取っている場合には、吸収性本体２０の背側（後側）の領域が、着用者の背部に押し付けられるため、吸収性本体２０の股下部の生地が余り、着用者の身体（股間部）と吸収性本体２０との間に隙間（空間）が形成されやすくなる。そのため、吸収性本体２０に設けられた温感剤２７ｆが着用者の股下部と直接接触し難くなる。そこで、吸収性本体２０の前側における温感剤２７ｆの体感強度を、少なくとも背前側胴回り部材１０ｂにおける温感剤２６ｍの体感強度よりも強くしておく。このようにすれば、揮発した温感剤２７ｆが、着用者の股間部と吸収性本体２０との間の空間に溜まりやすくなり、膣口周辺に適度な刺激を与えやすくなる。したがって、着用者に適切な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　また、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも後側に設けられた温感剤２７ｂの体感強度の方が、前側胴回り部材１０ｆに設けられた温感剤２６の体感強度よりも強くなるようにしても良い。このようにすれば、着用者がうつ伏せの姿勢で寝ている場合に、適切な刺激を与えやすくすることができる。

　着用者がうつ伏せの姿勢を取っている場合、着用者の腹側の胴回りに体圧がかかりやすい。したがって、前側胴回り部材１０ｆのうち温感剤２６が設けられた領域が着用者の腹部に押し付けられやすく、温感剤２６の体感強度が小さくても、着用者に温感効果を感じさせやすい。また、着用者の腹部において腸骨の出っ張り部付近では脂肪の量が少ないため（図６参照）、当該領域において、着用者は温感剤２６による刺激を感じやすい。一方、吸収性本体２０の後側の領域は、着用者の膣口との距離が遠いため、膣口周辺に温感剤２７ｂによる刺激を与え難い。また、上述のように、着用者の股間部と吸収性本体２０との間には隙間（空間）が形成されやすい。そのため、吸収性本体２０の後側における温感剤２７ｂの体感強度を、少なくとも前側胴回り部材１０ｆにおける温感剤２６の体感強度よりも強くしておくことにより、着用者の膣口周辺に適度な刺激を与えやすくなる。したがって、着用者に適切な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　また、吸収性本体２０の長手方向における中心位置ＣＬよりも後側に設けられた温感剤２７ｂの体感強度の方が、後側胴回り部材１０ｂに設けられた温感剤２６ｍの体感強度よりも強くなるようにしても良い。このようにすれば、着用者が仰向けの姿勢で寝ている場合に、適切な刺激を与えやすくすることができる。

　着用者が仰向けの姿勢を取っている場合、着用者の背側の胴回りに体圧がかかりやすい。したがって、後側胴回り部材１０ｂのうち温感剤２６ｍが設けられた領域が着用者の背部に押し付けられやすく、温感剤２６ｍの体感強度が小さくても、着用者に温感効果を感じさせやすい。また、着用者の背部において仙骨の出っ張り部付近では脂肪の量が少ないため（図６参照）、当該領域において、着用者は温感剤２６ｍによる刺激を感じやすい。一方、吸収性本体２０の後側の領域は、着用者の膣口との距離が遠いため、膣口周辺に温感剤２７ｂによる刺激を与え難い。また、上述のように、着用者の股間部と吸収性本体２０との間には隙間（空間）が形成されやすい。そのため、吸収性本体２０の後側における温感剤２７ｂの体感強度を、少なくとも後側胴回り部材１０ｂにおける温感剤２６ｍの体感強度よりも強くしておくことにより、着用者の膣口周辺に適度な刺激を与えやすくなる。したがって、着用者に適切な温感（冷感）効果を感じさせることができる。

　＝＝＝その他の実施形態＝＝＝
　上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。

　上述の実施形態では、胴回り部材１０に設けられた温感剤２６及び、吸収性本体２０に設けられた温感剤２７の範囲について説明されていたが、吸収性物品１に設けられる温感剤２６の左右方向における幅は、温感剤２７の左右方向における幅よりも大きいことが望ましい。図５では、温感剤２６の左右方向における幅Ｗ２６が、温感剤２７の左右方向における幅Ｗ２７（左右方向において、温感剤２７の一方側の端と他方側の端との間の距離）よりも大きくなっている。これにより、脂肪が少なく刺激に敏感な膣口周辺では着用者に温感剤２７による温感効果を感じさせる範囲が狭くなり、脂肪の多い胴回り周辺では着用者に温感剤２６による温感効果を感じさせる範囲が広くなる。したがって、着用者により適切な温感効果を感じさせることができる。

　上述の実施形態では、前側胴回り部材１０ｆの厚さ方において、最も肌側に配置された緩衝シート１５の肌側面に温感剤２６が塗布されている例について説明した。このような構成であれば、緩衝シート１５の肌側面における温感剤２６の体感強度が、緩衝シート１５の非肌側面における温感剤２６の体感強度よりも強くなる。つまり、温感剤２６が着用者の肌と接触しやすくなるため、脂肪が多く刺激が伝わりにくい胴回り周辺において、着用者に効果的に温感効果を感じさせやすくすることができる。なお、緩衝シート１５の肌側面若しくは非肌側面における温感剤２６の体感強度は、上述した官能試験において、パッチの肌側面及び非肌側面の両方について試験を行うことで比較することができる。

　但し、温感剤２６が塗布される場所は、上述の例に限られず、前側胴回り部材１０ｆの厚さ方において、最も非肌側に配置された緩衝シート１５の非肌側面に温感剤２６が塗布されているのであっても良いし、他のシート部材に温感剤２６が塗布されているのであっても良い。

　上述の実施形態では、吸収性本体２０の厚さ方において、最も肌側に配置された肌側シート２４の非肌側面に温感剤２７が塗布されている例について説明した。このような構成であれば、肌側シート２４の肌側面における温感剤２７の体感強度よりも、肌側シート２４の非肌側面における温感剤２７の体感強度の方が強くなる。つまり、温感剤２７が着用者の肌と直接接触し難くなるため、脂肪が少なく刺激に敏感な膣口周辺において、着用者に過度な刺激を与えることを抑制することができる。なお、肌側シート２４の肌側面若しくは非肌側面における温感剤２７の体感強度は、上述した官能試験において、パッチの肌側面及び非肌側面の両方について試験を行うことで比較することができる。

　但し、温感剤２７が塗布される場所は、上述の例に限られず、吸収性本体２０の厚さ方において、最も肌側に配置された肌側シート２４の肌側面に温感剤２７が塗布されているのであっても良いし、他のシート部材に温感剤２７が塗布されているのであっても良い。

　上述の実施形態では、胴回り部材１０に伸縮性シート１２が設けられていることにより、胴回り部材１０が左右方向に伸縮性を備えている例について説明した。当該伸縮性シート１２が収縮すると、伸縮性の低い低伸縮性シート１４や緩衝シート１５に弛みが生じることにより、胴回り部材１０の表面には、上下方向（長手方向）に沿った複数の細かい皺が形成されやすくなる。すなわち、胴回り部材１０の肌側面には、上下方向に沿って厚さ方向に凸となった凸部（皺）が左右方向に複数並んで形成されている。そのため吸収性物品１の着用時には、凸部に設けられた温感剤２６が着用者の肌と接触しやすくなる。また、左右方向に隣り合う凸部と凸部との間（すなわち凹部）を揮発した温感剤２６が通過して拡散しやすくなるため、着用者は胴回り部の広い範囲で温感剤２６による温感効果を感じやすくなる。

　上述の実施形態では、吸収性本体２０には長手方向に沿って伸縮する股下糸ゴム３０が設けられていたが、厚さ方向に見たときに、温感剤２７の少なくとも一部が、股下糸ゴム３０と重複していることが望ましい。この股下糸ゴム３０が吸収性コア２２よりも非肌側に設けられていることにより、吸収性物品１を着用した際に、股下糸ゴム３０の収縮力によって、吸収性コア２２が着用者の肌側に持ち上げられて股間部に密着しやすくなり、経血等の排泄液が漏れることを抑制し易くなる。そして、当該股下糸ゴム３０と重複する部分において、温感剤２７が着用者の肌と接触しやすくなるため、温感剤２７による温感効果（冷感効果）をより高めることができる。

　上述の実施形態では、伸縮性シート１２と低伸縮性シート１４とが厚さ方向に積層されることによって左右方向に伸縮性を有する胴回り部材１０が構成される例について説明されていたが、他の構成によって胴回り部材１０が左右方向の伸縮性を有しているのであっても良い。例えば、非伸縮性シート部材を２枚積層させ、当該非伸縮性シート部材の間に、左右方向に沿って伸縮可能な糸ゴム等の弾性部材を挟むような構成であっても良い。

　＜吸収性物品１の包装について＞
　本実施の形態に係る吸収性物品１は、パンツ型に生成された後に折り畳まれて、１つの吸収性物品１が１つの包装容器に入れられて包装される。すなわち、吸収性物品１は、個包装であって、包装状態においては、折り畳まれた状態となる。

　図７は、パンツ型吸収性物品１の折り畳み方を示した概略図であり、左図は吸収性物品１を折り畳む前の状態、中央図は左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒを折り畳んだ状態、右図は吸収性物品１を折線ＢＬで上下方向に折り畳んだ状態を示している。

　本実施の形態に係る吸収性物品１は、図７の左図に示すように、吸収性本体２０の左側端２０Ｌｅよりも左側に位置する左側延出部１０Ｌと、吸収性本体２０の右側端２０Ｒｅよりも右側に位置する右側延出部１０Ｒと、を有している。そして、先ず、図７の中央図に示すように、左側延出部１０Ｌが吸収性本体２０の左側端２０Ｌｅよりも右側に折り畳まれ、右側延出部１０Ｒが吸収性本体２０の右側端２０Ｒｅよりも左側に折り畳まれる。次に、図７の右図に示すように、折線ＢＬに沿って吸収性物品１が上下方向に折り畳まれ、かかる状態で包装される。

　そうすると、吸収性物品１の包装状態において、温感剤２６に左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒが前後方向に重複した状態で包装されることとなる。すなわち、包装状態において、前後方向に見たときに、温感剤２６の少なくとも一部が、左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒのうち少なくとも一方と重複している。

　そのため、包装状態において、前後方向への（肌側から非肌側への）気化した温感剤２６の排出を抑制することが可能となる。

　なお、図７では、左側延出部１０Ｌが右側に折り畳まれてから、右側延出部１０Ｒが左側に折り畳まれて、折線ＢＬに沿って吸収性物品１が上下方向に折り畳まれているが、この順番に限るものではなく、例えば、右側延出部１０Ｒを最初に折り畳んでも良い。また、折り畳みの方向は、全て腹側（前側）が向かい合うようにして折り畳まれているが、これに限るものではなく、例えば、折線ＢＬに沿って吸収性物品１の背側（後側）を向かい合うようにして上下方向に折り畳んでも良い。

１　吸収性物品（パンツ型吸収性物品）、
１ａ　胴回り開口部、１ｂ　脚回り開口部、
１０　胴回り部材、
１０ｆ　前側胴回り部材、１０ｆｅ　前側接合部、１０ｆｆ　胴回り前端部、
１０ｂ　後側胴回り部材、１０ｂｅ　後側接合部、１０ｂｆ　胴回り後端部、
１０ｅｔ　上端、
１０ｇｍ　開口部糸ゴム（弾性部材）、１０Ｌ　左側延出部、１０Ｒ　右側延出部、
１２　伸縮性シート（フィルムシート）、
１２ｆ　前側伸縮性シート、１２ｂ　後側伸縮性シート、
１４　低伸縮性シート、
１５　緩衝シート、１５ｐ　印刷領域、
２０　吸収性本体、
２２　吸収性コア、２２ａ　コアラップシート、
２４　肌側シート、
２５　非肌側シート、２５ａ　液不透過性シート、２５ｂ　疎水性シート、
２６　温感剤（冷感剤）、２６ｍ　温感剤（冷感剤）、
２７　温感剤（冷感剤）、２７ｆ　温感剤（冷感剤）、２７ｂ　温感剤（冷感剤）、
２８　弱体感領域、
３０　股下糸ゴム、
４０　ヒンジ、
５０　立体ギャザー、５１　立体ギャザー弾性部材、
ＣＬ　中心線、
ＹＳ　超音波接合部、ＺＳ　超音波接合部

Claims

　互いに交差する上下方向と左右方向とを有し、
　液吸収性の吸収性本体と、
　前記吸収性本体の非肌側に重ねて配置された胴回り部材と、
　を有するパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体及び前記胴回り部材には、温感剤または冷感剤が設けられており、
　着用者が前記パンツ型吸収性物品を着用した際の、前記吸収性本体における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度と、前記胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度とが異なる、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体は、液不透過性シートを備えており、
　前記温感剤または前記冷感剤は揮発性物質であり、
　前記吸収性本体の厚さ方向において、前記液不透過性シートよりも肌側に、前記温感剤または前記冷感剤が設けられている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項２に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、
　前記吸収性本体における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、
　前記前側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、
　展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３または４に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、
　前記後側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、
　展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３～５の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、
　前記前側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、
　展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項３～６の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、
　前記後側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、
　展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項２に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、
　展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、
　前記前側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項２または８に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、
　展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、
　前記後側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項８または９に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、
　展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、
　前記前側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項８～１０の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、前側胴回り部材と後側胴回り部材とを有し、
　展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、
　前記後側胴回り部材における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～１１の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記温感剤または前記冷感剤は揮発性物質であり、
　前記吸収性本体は、液体吸収性素材を含んだ吸収性コアを備えており、
　前記吸収性本体の厚さ方向に見たときに、前記吸収性コアと重複する領域の少なくとも一部に、前記温感剤または前記冷感剤が設けられている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～１２の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　展開状態の前記吸収性本体の長手方向において、中心位置よりも前側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記中心位置よりも後側における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１３に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記長手方向において、前記中心位置よりも後側における前記吸収性本体の長さは、前記中心位置よりも前側における前記吸収性本体の長さ以上である、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～１４の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体の前記左右方向における中央部には、前記左右方向に所定の幅を有する弱体感領域が設けられており、
　前記弱体感領域における前記温感剤及び前記冷感剤の体感強度は、前記弱体感領域の前記左右方向の両側に隣接する領域における前記温感剤及び前記冷感剤の体感強度よりも弱い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～１５の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材の最も肌側に配置されたシート部材の肌側面における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記シート部材の非肌側面における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～１６の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体の最も肌側に配置された肌側シートの非肌側面における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度は、前記肌側シートの肌側面における前記温感剤または前記冷感剤の体感強度よりも強い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～１７の何れか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材の肌側面には、前記上下方向に沿って厚さ方向に凸となった凸部が、前記左右方向に複数並んで設けられている、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。