WO2021084851A1

WO2021084851A1 - パンツ型吸収性物品

Info

Publication number: WO2021084851A1
Application number: PCT/JP2020/031231
Authority: WO
Inventors: 高橋　雄二; ▲異▼ 史
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2019-10-30
Filing date: 2020-08-19
Publication date: 2021-05-06
Also published as: CN112741729A; KR20220088849A

Abstract

吸収性本体（２０）と、胴回り部材（１０）と、を有し、胴回り開口（１ａ）を備えたパンツ型吸収性物品であって、胴回り部材（１０）の上端部（ＵＡ）には、左右方向に沿った弾性部材（１０ｇｍ）が設けられており、胴回り部材（１０）には、温感剤（２６）が設けられており、上下方向において、弾性部材（１０ｇｍ）よりも温感剤（２６）の方が下側に設けられていることを特徴とする。

Description

パンツ型吸収性物品

　本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。

　着用者等が感じる不快感を低減するための揮発性物質が設けられたパンツ型吸収性物品（以下、単に吸収性物品ともいう）として、例えば、特許文献１には、着用者の腰回りに対応するウエスト域１０の外表面又は内表面に香料を設けることによって、排泄物由来の不快な臭気を低減させる技術が開示されている。

特開２０１８－１０２６１２号公報

　その他の揮発性物質を備えた吸収性物品としては、着用者の温度感覚を刺激するものが知られている。例えば、着用者の生理痛や冷え症状を緩和するための温感剤を備えた吸収性物品や、着用者の蒸れやべたつきによる不快感を低減するための冷感剤を備えた吸収性物品である。

　そして、温感剤又は冷感剤を備える吸収性物品においては、着用者の腰回りに対応するウエスト域１０に温感剤又は冷感剤を設けると、着用者が下腹部において温感又は冷感を十分に感じることができず、かつ、胴回り開口から気化した温感剤又は冷感剤が排出されやすい問題があった。

　本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、温感又は冷感効果を促進させて、温感又は冷感効果を持続させることである。

　上記目的を達成するための主たる発明は、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向を有し、吸収性本体と、胴回り部材と、を有し、胴回り開口を備えたパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材の上端部には、前記左右方向に沿った弾性部材が設けられており、前記胴回り部材には、温感剤又は冷感剤が設けられており、前記上下方向において、前記弾性部材よりも前記温感剤又は前記冷感剤の方が下側に設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品である。

　本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

　本発明によれば、温感又は冷感効果を促進させて、温感又は冷感効果を持続させることが可能となる。

パンツ型吸収性物品１の概略斜視図である。展開状態におけるパンツ型吸収性物品１の平面図及び断面模式図である。吸収性物品１に設けられた温感剤２６を示した平面図及び断面模式図である。温感剤２６が塗布された場所の特定方法を示したフロー図である。パンツ型吸収性物品１の伸長状態及び自然状態を示した図である。脚回り開口部１ｂにおける伸縮性シート１２と非伸縮性シート１４の状態を示した概略図である。パンツ型吸収性物品１の折り畳み方を示した概略図である。第２実施形態に係るパンツ型吸収性物品１００の平面図である。

　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。

　互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向を有し、吸収性本体と、胴回り部材と、を有し、胴回り開口を備えたパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材の上端部には、前記左右方向に沿った弾性部材が設けられており、前記胴回り部材には、温感剤又は冷感剤が設けられており、前記上下方向において、前記弾性部材よりも前記温感剤又は前記冷感剤の方が下側に設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、温感又は冷感効果が促進されて、温感又は冷感効果を持続させることが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記弾性部材は、開口部糸ゴムであり、前記開口部糸ゴムは、接着剤によって前記胴回り部材の前記上端部に接合されていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、開口部糸ゴムのゴム抜けが抑制されるので、パンツ型吸収性物品のズレ落ちを抑制することができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、複数のシートを備えており、前記胴回り部材の複数のシートのうちの最も肌側のシートに、前記温感剤又は前記冷感剤が設けられていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、温感剤又は冷感剤が着用者の肌に近いので、温感又は冷感効果を大きくすることが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材には、図柄が印刷された印刷領域が設けられており、前記上下方向において、前記温感剤又は前記冷感剤よりも前記印刷領域の方が上側に設けられていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、印刷領域によって印刷領域よりも上側への気化した温感剤又は冷感剤の排出が抑制されるので、温感又は冷感効果を持続させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材には、図柄が印刷された印刷領域が設けられており、前記上下方向において、前記温感剤又は前記冷感剤よりも前記印刷領域の方が下側に設けられていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、印刷領域が気化した温感剤の下側への移動を抑制し、上側においては開口部糸ゴムが気化した温感剤の外部への排出を抑制するので、温感剤を塗布した位置で温感効果を高めることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材には、図柄が印刷された印刷領域が設けられており、前記前後方向に見たときに、前記印刷領域と前記温感剤又は前記冷感剤の少なくとも一部が重複していることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、印刷領域が気化した温感剤又は冷感剤の肌側から非肌側への排出を抑制する（気密性が高くなる）ので、温感又は冷感効果を持続させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性本体に、前記温感剤又は前記冷感剤が備えられており、前記前後方向に見たときに、前記吸収性本体の前記温感剤又は前記冷感剤と、前記胴回り部材の前記温感剤又は前記冷感剤とが重複する部分を有することが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、下腹部中央において、胴回り部材と吸収性本体の２か所の温感剤又は冷感剤が温感又は冷感効果を発揮するので、温感又は冷感効果を高めることが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、複数のシートを備え、前記複数のシートのうち、少なくとも１つが前記左右方向に伸縮性を有し、前記複数のシートは、前記前後方向に重ねられた状態で、点在する複数の超音波接合部によって接合され、前記前後方向に見たときに、前記胴回り部材は、前記吸収性本体と重複する重複領域と、前記吸収性本体と重複しない非重複領域と、を有しており、前記非重複領域の単位面積あたりの前記超音波接合部の面積が、前記重複領域の単位面積あたりの前記超音波接合部の面積よりも、小さいことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、フィット性が向上して快適な装着感を実現しつつ、温感又は冷感効果を高めることが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記左右方向に伸長させた状態の前記パンツ型吸収性物品を３等分した際の中央領域において、前記パンツ型吸収性物品の背側部における前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計よりも、前記腹側部における前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計の方が、多いことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者の下腹部及び臀部において効果的に温感又は冷感効果を発現することが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材の背側部における前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計よりも、前記腹側部における前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計の方が、多いことが望ましい。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記上端部における前記胴回り部材の前記左右方向の寸法が、前記胴回り部材を前記左右方向に伸長させた伸長状態においてＬ０であり、自然状態でＬ１であって、前記上端部よりも下側の領域における前記胴回り部材の前記左右方向の寸法が、前記伸長状態において前記Ｌ０であり、前記自然状態においてＬ２であって、前記Ｌ２よりも前記Ｌ１の方が小さいことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性物品の内部における気化した温感剤又は冷感剤が胴回り開口部から外部へ抜けにくくなり、温感剤又は冷感剤の排出を抑制することができ、温感又は冷感効果を持続させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、ウレタンが混合された不織布シート及びフィルムシートのうち少なくとも一方のシートを備えていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、揮発した温感剤又は冷感剤の肌側から非肌側への排出を抑制するので、温感又は冷感効果を持続させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記パンツ型吸収性物品は、前記左右方向において伸長させた状態の前記パンツ型吸収性物品を３等分した際の中央領域と、前記中央領域の両側に位置する両側領域とを有し、前記温感剤又は前記冷感剤が、前記胴回り部材の前記中央領域の少なくとも一部に設けられており、前記パンツ型吸収性物品の腹側部において、前記中央領域に設けられた前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計は、前記両側領域の左側の領域に設けられた前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計、及び前記両側領域の右側の領域に設けられた前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計の少なくともいずれか一方よりも多いことが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、温感又は冷感効果が促進され、快適な装着感を実現することが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、少なくとも１枚の不織布シートを含む複数のシートを備えており、前記複数のシートは、前記前後方向に重ねられた状態で、点在する複数の超音波接合部によって接合されていることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、揮発した温感剤の肌側から非肌側への排出を抑制すること（気密性を高くすること）ができ、温感又は冷感効果を持続させることができる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、前記吸収性本体の左側端よりも左側に位置する左側延出部と、前記吸収性本体の右側端よりも右側に位置する右側延出部と、を有し、前記パンツ型吸収性物品の包装状態において、前記左側延出部が前記吸収性本体の左側端よりも右側に折り畳まれ、前記右側延出部が前記吸収性本体の右側端よりも左側に折り畳まれており、前記包装状態において、前記前後方向に見たときに、前記温感剤又は前記冷感剤の少なくとも一部が、前記左側延出部及び前記右側延出部のうち少なくとも一方と重複していることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、左側延出部及び右側延出部のうち少なくとも一方が蓋となって、気化した温感剤又は冷感剤の排出を抑制することが可能となる。

　かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴回り部材は、複数のシートを備えており、前記パンツ型吸収性物品の脚回り開口部において、前記複数のシートのうちの最も非肌側のシートの端部の少なくとも一部が、肌側へ傾斜していることが望ましい。

　このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用時において、非伸縮性シートの端部が脚回り開口部の蓋として機能して気密性を向上させるので、温感又は冷感効果を持続させることができる。
　＝＝＝第１実施形態＝＝＝

　第１実施形態に係る揮発性物質を備えた吸収性物品の一例として、温感剤２６（詳しくは後述する）を備えたパンツ型吸収性物品１について説明する。なお、以下の説明では生理用の吸収性物品１について説明するが、本実施形態の吸収性物品１には、例えば、大人用、乳児用のおむつ等も含まれており、生理用に用途が限定されるものではない。

　＜吸収性物品１の基本構成＞
　図１は、パンツ型吸収性物品１の概略斜視図であり、図２は、展開状態におけるパンツ型吸収性物品１の平面図及び断面模式図である。

　図１に示すパンツ型状態において、吸収性物品１は、互いに交差する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」を有している。そして、図１の縦方向を上下方向として上側（下側）を上下方向の「上」（「下」）とし、横方向を左右方向として左側（右側）を左右方向の左（右）とする。また、前後方向においては、着用する際に着用者の腹側となる方を「前側」とし、着用者の背側となる方を「後側」とする。

　図２に示す吸収性物品１の展開状態（パンツ型吸収性物品１がパンツ型に成形される前の平面上に広がった状態）において、吸収性物品１は、互いに交差する「長手方向」と「幅方向」と「厚さ方向」とを有している。そして、図２の縦方向を長手方向として上側（下側）を長手方向の「前（腹側）」（「後（背側）」）とし、長手方向と紙面上で直交する方向（横方向）を幅方向として左側（右側）を幅方向の左（右）とする。また、長手方向及び幅方向と直交する方向（紙面を貫通する方向）を厚さ方向とし、厚さ方向においては、着用者の肌と当接する側を「肌側」、その逆側を「非肌側」とする。

　なお、本実施の形態に係る平面図（例えば、図２）は、対象物の伸長状態を示している。ここで「伸長状態」とは、吸収性物品１が備える各弾性体（例えば、後述する伸縮性シート１２等）を伸長させることにより、平面図に示す部材を皺なく伸長させた状態である。例えば、図２においては、吸収性物品１を構成する後述する胴回り部材１０と吸収性本体２０の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態のことをいう。そして、非伸長状態であって、各弾性体が自然に収縮して各部材に皺等が生じている状態のことを「自然状態」という。

　本実施の形態に係る吸収性物品１は、胴回り部材１０と、吸収性本体２０とを備えている。胴回り部材１０は、図２に示すように、展開状態において、平面視で略砂時計形状をしている。つまり、長手方向の中央部が幅方向の内側へ窪んでおり、この窪んだ部分は、パンツ型に成形されると、図１に示す一対の脚回り開口部１ｂを形成する。

　また、胴回り部材１０は、長手方向において吸収性物品１の中心に位置する中心線ＣＬより前側の前側胴回り部材１０ｆと後側の後側胴回り部材１０ｂを有している。なお、本実施形態においては、図２において、前側胴回り部材１０ｆが示す範囲（中心線ＣＬからパンツ型吸収性物品１の前側端（前側の上端１０ｅｔ）までの腹側の範囲）が腹側部であり、後側胴回り部材１０ｂが示す範囲（中心線ＣＬからパンツ型吸収性物品１の後側端（後側の上端１０ｅｔ）までの背側の範囲）が背側部である。

　前側胴回り部材１０ｆは、前側の端部において幅方向に沿った胴回り前端部１０ｆｆと、左右の両端部に設けられた長手方向に沿った前側接合部１０ｆｅ（図２の右下がり斜線部）を有しており、後側胴回り部材１０ｂは、後側の端部において幅方向に沿った胴回り後端部１０ｂｆと、左右の両端部に設けられた長手方向に沿った後側接合部１０ｂｅ（図２の右下がり斜線部）を有している。そして、前側接合部１０ｆｅと後側接合部１０ｂｅは、パンツ型に成形される際に接合されて係止部を形成する。

　すなわち、胴回り部材１０は、左右方向の両端部において、胴回り部材１０の前側胴回り部材１０ｆ（前側接合部１０ｆｅ）と後側胴回り部材１０ｂ（後側接合部１０ｂｅ）が上下方向に沿って接合された係止部を有している。

　また、本実施の形態に係る胴回り部材１０は、胴回り部材１０の形状をした左右方向にほぼ伸縮性の無い非伸縮性シート１４と、非伸縮性シート１４の肌側面の一部に積層され、左右方向に伸縮性を有する伸縮性シート１２（前側伸縮性シート１２ｆ及び後側伸縮性シート１２ｂ）と、を備えている。そして、胴回り部材１０は、前側胴回り部材１０ｆの最も肌側に伸縮性シート１２及び非伸縮性シート１４とは異なる緩衝シート１５をさらに備えている。緩衝シート１５は、吸収性本体２０の前側の外側端２０ｅｔが着用者の肌に強く当たることを緩和等するために設けられる。

　非伸縮性シート１４は、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等により形成される。そして、非伸縮性シート１４の一部は、長手方向（上下方向）において吸収性本体２０の外側端２０ｅｔよりも外側に延出され、長手方向の上端１０ｅｔにおいて長手方向の内側かつ厚さ方向の肌側に折り返されて接合され、前側（後側）の折り返し部は、前側端部（後側端部）において上記した胴回り前端部１０ｆｆ（胴回り後端部１０ｂｆ）を形成している。

　そして、胴回り前端部１０ｆｆ及び胴回り後端部１０ｂｆには、左右方向に伸縮する開口部糸ゴム１０ｇｍ（弾性部材に相当）が、それぞれの折り返し部の内側に接着剤で接合されて設けられている。すなわち、胴回り部材１０の上端部には、左右方向に沿った開口部糸ゴム１０ｇｍが設けられており、開口部糸ゴム１０ｇｍは、接着剤によって胴回り部材１０の上端部に接合されている。なお、本実施形態における「上端部」とは、パンツ型吸収性物品１を上下方向に４等分した際の最も上側の部分（図２に示すＵＡの部分）、又は、上下方向の上端から３０ｍｍ程度（着用時に左右方向に伸ばすために手で掴む部分）にあって、左右方向の伸縮力（着用者への締め付け力）が胴回り部材１０の上下方向の中央部の伸縮力よりも大きい部分である。

　なお、本実施形態においては、胴回り前端部１０ｆｆ及び胴回り後端部１０ｂｆに開口部糸ゴム１０ｇｍを設けているが、これに限るものではなく、例えば、帯状の伸縮する部材である伸縮不織布や伸縮フィルム等を設けても構わない。

　伸縮性シート１２は、前側胴回り部材１０ｆに設けられた前側伸縮性シート１２ｆと、後側胴回り部材１０ｂに設けられた後側伸縮性シート１２ｂと、を有する。そして、本実施形態に係る伸縮性シート１２は、伸縮フィルム（例えば、ウレタンやスチレンのようなエストラマー樹脂を溶融し、均一厚さのシート状とした伸縮性を有する部材であり、フィルムシートに相当）であり、伸縮不織布シートに比べると、気密性が高くなっている。すなわち、伸縮フィルムは、伸縮不織布や２枚の非伸縮不織布の間に左右方向に伸縮する部材を挟んで製作した部材と比べて、揮発した温感剤２６の肌側から非肌側への排出を抑制するので、温感効果を持続させることができる。

　なお、気密性の観点からいうと、伸縮性シート１２を最も肌側に配置してもよいが、伸縮フィルムを用いる場合には、伸縮フィルムに直接温感剤２６を塗布しても、温感剤２６の保持性が悪く、また身体に伸縮フィルムが接触すると肌触りが良くない。そのため、伸縮フィルムを用いる場合には、非肌側から順に非伸縮不織布-伸縮フィルム-非伸縮不織布の構成が良い。

　また、本実施形態に係る伸縮性シート１２は、伸縮フィルムの代わりにウレタンが混合された伸縮不織布シート（例えば、弾性を有する熱可塑性エラストマーの一種であるポリウレタン系エラストマーの伸縮性繊維が混合された伸縮不織布シート）でもよい。かかるシートは、ウレタンが混合されていない不織布シート（例えば、１００％ポリプロピレンの不織布シート）と比べて気密性が高いので、伸縮フィルムと同じような効果（温感効果の持続）が得られる。すなわち、胴回り部材１０は、ウレタンが混合された不織布シート及び伸縮フィルムのうち少なくとも一方のシートを備えている。

　緩衝シート１５は、例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布やＳＭＳ不織布等により形成され、厚さ方向において、最も肌側であって吸収性本体２０の前側の外側端２０ｅｔと重複するように左右方向に沿って設けられる。

　また、緩衝シート１５には、左右方向に沿って図柄（文字、記号、画像、色等のその周囲と外観が異なるもの）が印刷された印刷領域１５ｐが設けられている。すなわち、前側胴回り部材１０ｆには、図柄が印刷された印刷領域１５ｐが設けられている。なお、印刷領域１５ｐには、印刷する際に図柄が滲む等の問題が発生しないように（印刷しやすいように）、下地処理がされており、下地処理がされていない部分に比べて肌側から非肌側への気密性が高くなっている。

　また、緩衝シート１５には、温感剤２６が塗布されている。そして、温感剤２６が肌側に塗布されている場合、印刷領域１５ｐは非肌側に設けられている。温感剤２６の揮発性物質によって印刷領域１５ｐの印刷が溶けることがあるので、かかる位置関係とすることにより、溶解物が身体に接着することを抑制することができる。なお、温感剤２６については、後に項を設けて説明する。

　なお、緩衝シート１５を設けずに　非伸縮性シート１４の折り返しを延長してもよい。すなわち、図２に示す非伸縮性シート１４の後側の折り返しのように、前側の折り返しを吸収性本体２０の肌側に重なるようにして折り返し部を形成し、吸収性本体２０の前側の外側端２０ｅｔが着用者の肌に強く当たることを緩和等してもよい。かかる場合には、折り返し部に印刷領域１５ｐや温感剤２６を設けることにより、上記した緩衝シート１５と同様の効果が得られる。

　伸縮性シート１２と非伸縮性シート１４は、厚さ方向に重ねられた状態で接合されており、かかる接合は、超音波振動及び圧力を加えた超音波接合（超音波シール）により、点在する複数の超音波接合部を形成することで行われる。すなわち、胴回り部材１０は少なくとも１枚の不織布シート（非伸縮性シート１４）を含む複数のシートを備えており、複数のシートは、厚さ方向（前後方向）に重ねられた状態で、点在する複数の超音波接合部によって接合されている。

　そして、非伸縮性シート１４の超音波接合部は溶融してフィルム状になるので、超音波接合部が無い状態の非伸縮性シート１４に比べて、揮発した温感剤２６の肌側から非肌側への排出を抑制すること（気密性を高くすること）ができ、温感効果を持続させることができる。なお、詳しくは後述するが、本実施形態に係る超音波接合部は、全て同じ超音波接合部に形成されるのではなく、図２のＹ部拡大図に示す超音波接合部ＹＳと、図２のＺ部拡大図に示す超音波接合部ＺＳとに形成される。

　緩衝シート１５は、伸縮性シート１２及び非伸縮性シート１４とは異なり、接着剤により接合されている。つまり、緩衝シート１５は、接着剤によって複数のシート（伸縮性シート１２及び非伸縮性シート１４）の最も肌側のシート（伸縮性シート１２）に接合されている。

　そして、かかる接着剤が塗布される領域は、緩衝シート１５の非肌側の上下方向における中央部であり、単位面積あたりでみると、超音波接合部ＹＳ、ＺＳの面積よりも大きい。すなわち、前後方向に見たときに、複数のシート（伸縮性シート１２及び非伸縮性シート１４）の単位面積あたりの超音波接合部ＹＳ、ＺＳの面積よりも、緩衝シート１５の単位面積あたりの接着剤が塗布された面積の方が大きい。

　緩衝シート１５の接着剤は固まって気密性が高い層を形成するので、接着剤の塗布面積を超音波接合部ＹＳ、ＺＳの面積より大きくすることにより、小さい場合に比べて、揮発した温感剤２６の肌側から非肌側への排出を抑制することができ、温感効果を持続させることができる。また、超音波接合部ＹＳ、ＺＳは溶融して伸縮性が低いフィルム状になるので、超音波接合部ＹＳ、ＺＳの面積を接着剤の塗布面積より小さくすることにより、大きい場合に比べて、胴回り部材１０の伸縮力を大きくしてフィット性を向上させることができ、快適な装着感を実現することができる。

　また、伸縮性シート１２は伸び縮みするが、非伸縮性シート１４は伸び縮みしないので、非伸縮性シート１４の非肌側の面には、規則正しい凸状であって内部に空洞を有する皺が形成される。ここで、伸縮性シート１２が伸縮不織布（通気性がある部材）の場合、気化した温感剤２６が伸縮不織布を通過して上記した皺の内部の空洞部分に保持される。そうすると、例えば、身体の動きに応じて皺の内部の空洞部分が小さくなる際に、空洞部分で保持している気化した温感剤２６の一部が伸縮不織布を通過して内部へ移動する。つまり、気化した温感剤２６が肌側へ移動するので、温感剤２６をより感じやすくすることができる。

　吸収性本体２０は、生理用の吸収性物品であり、例えば、生理用ナプキンである。本実施の形態に係る吸収性本体２０は、展開かつ伸長状態における長手方向（すなわち吸収性本体２０の長辺方向）が吸収性物品１の上下方向に沿った平面視略長方形状である。

　そして、吸収性本体２０は、左右方向の略中央に長手方向（上下方向）に沿って所定の形状に成形された吸収性コア（液体吸収性素材（例えば、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマー（所謂ＳＡＰ）等）が含有されたものであり、液体を吸収する部分）を有している。吸収性コアは、液透過性のシート部材である肌側シートと、排泄液の外部への漏れを抑制する液不透過性のシート部材を含んだ非肌側シートとで覆われて形成されている。そして、吸収性本体２０は、図２に示す位置に配置されて胴回り部材１０と接合されている。

　なお、吸収性本体２０の肌側には、温感剤２６が塗布されている。温感剤２６については、後に項を設けて説明する。

　次に、吸収性物品１を展開状態からパンツ型に生成する過程を説明する。吸収性物品１をパンツ型に生成する過程においては、先ず、上記したようにそれぞれの部材を配置して接合し、図２に示すような展開状態の吸収性物品１を生成する。

　そして、展開状態の吸収性物品１が、長手方向に折り曲げられる。すなわち、図２に示す長手方向の中心線ＣＬを折り目として、前側胴回り部材１０ｆの肌側と、後側胴回り部材１０ｂの肌側と、が向かい合わせになるように、吸収性物品１が、長手方向に折り曲げられる。

　そうしたら、胴回り部材１０の前側接合部１０ｆｅと後側接合部１０ｂｅが近づくので、左右の前側接合部１０ｆｅと後側接合部１０ｂｅをそれぞれ接合して、係止部を形成する。

　係止部を形成すると、胴回り部材１０の左右両端部が長手方向に沿って接合されるので、胴回り部材１０の胴回り前端部１０ｆｆと胴回り後端部１０ｂｆが胴回り部材１０の上側に胴回り開口部１ａ（胴回り開口を有する部位）を形成する。すなわち、胴回り部材１０の上端部には、胴回り開口部１ａが設けられ、胴回り開口部１ａ（胴回り前端部１０ｆｆと胴回り後端部１０ｂｆ）には開口部糸ゴム１０ｇｍが設けられている。そのため、胴回り開口部１ａは、左右方向に伸縮性を有する。

　パンツ型吸収性物品１は、胴回り部材１０が着用者の身体の前側（腹部）と後側（背中部）に当接して（着用者の胴回りに当接して）、胴回り部材１０の左右方向への伸縮（開口部糸ゴム１０ｇｍ及び伸縮性シート１２による伸縮）により、着用時に落下しない（ズレ落ちない）構成である。したがって、胴回り部材１０に接合された吸収性本体２０は、着用者の股下部（吸収性本体２０が着用時に着用者の肌に当接する部分であり、下腹部から股間部を介して臀部（おしり）の仙骨部に至る部分）に当接した状態で胴回り部材１０により上下方向に支持される。

　なお、「当接」とは、当たり接していることを意味し、部材の少なくとも一部が着用者に当接していれば、当該部材は着用者に当接している状態となる。例えば、胴回り部材１０のうちの伸縮する部分が着用者と接して、伸縮しない部分が着用者と接していない状態は、胴回り部材１０が着用者に当接している状態である。

　また、上記では、接合方法として超音波接合、接着剤を用いているが、これに限るものではなく、例えば、ヒートシール、公知の接合の組み合わせ等、を用いてもよい。

　＜温感剤２６について＞
　次に、温感剤２６について説明する。温感剤２６は、着用者の生理痛や冷え症状を緩和するために設けられており、着用者の温度感覚に刺激を与えることにより、刺激を受けた着用者が温かく感じる温感刺激剤を含み、温感刺激剤は揮発性を有する溶媒と混合されている（又は、温感刺激剤が揮発性を有している）。なお、本実施形態においては、胴回り部材１０と吸収性本体２０に温感剤２６が設けられている。

　温感刺激剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。温感刺激剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン（ＬＤ５０：４７ｍｇ／ｋｇ，分子量：３０５）、カプサイシノイド類（ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等）、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル（ＬＤ５０：２，１８８ｍｇ／ｋｇ，分子量：２１３）、ニコチン酸β－ブトキシエチル、Ｎ－アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体（例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル（ＬＤ５０：４，９００ｍｇ／ｋｇ，分子量：２１０）、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル）、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール（ＬＤ５０：２５０ｍｇ／ｋｇ，分子量：２９４）、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。

　なお、本実施形態に係る温感刺激剤は、温度感受性ＴＲＰチャネルの１つであるＴＲＰＶ１を刺激して活性化させるものであり、カプサイシン、バニリルブチルエーテル等である。すなわち、着用者のＴＲＰＶ１を活性化して、交換神経系を介して着用者に産熱（着用者が体内で熱を作り出す）を引き起こすものである。

　換言すれば、携帯用使い捨てカイロのようにそれ自身が高温になって着用者を温めるのではなく、カプサイシン等のようにそれ自身が高温になることなく着用者を温めるものである。そのため、着用者は、低温火傷や火傷することなく、冷たさや温かさを感じることができる。

　溶媒は、温感刺激剤を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。溶媒は、温感刺激剤を、例えば、溶解、分散等することができる。なお、温感刺激剤が揮発性物質の場合、溶媒を必ずしも必要とせず、温感刺激剤のみを用いてもよい。

　親油性溶媒としては、油脂、例えば、天然油（例えば、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油、トリ（カプリル／カプリン酸）グリセリル等）、炭化水素（例えば、パラフィン、例えば、流動パラフィン）等が挙げられる。

　親水性溶媒は、水及びアルコールが挙げられる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。

　また、温感剤２６は、着用者の肌と直接触れなければ、効果が発生しにくい。つまり、例えば、香料のような揮発性物質は、気体になれば周辺の臭気を抑制する効果を発揮することができるが、温感剤２６は気化した後に着用者の肌と直接触れて、その主たる効果を発揮する。そのため、温感剤２６が不織布等を介して着用者の皮膚と接触することにより、着用者は、徐々に温感剤２６の効果を肌で感じることができる。

　＜温感剤２６の具体的な配置について＞
　次に、吸収性物品１の温感剤２６の具体的な配置（設けられている位置）について説明する。図３は、吸収性物品１に設けられた温感剤２６を示した平面図及び断面模式図である。なお、パンツ型吸収性物品１は、図３に示すように、左右方向において伸長させた状態のパンツ型吸収性物品１を３等分した際の中央領域ＭＡと、中央領域ＭＡの両側に位置する両側領域ＳＡとを有している。

　温感剤２６は、胴回り部材１０と吸収性本体２０に塗布されて設けられており、どちらの部材においても所定の塗布領域を有している。

　胴回り部材１０の塗布領域２６ｐ１（図３の右上がり斜線部）は、上下方向に所定の寸法を有し、左右方向に沿った略矩形状の領域であり、緩衝シート１５の肌側に設けられている。

　そして、塗布領域２６ｐ１は、上下方向において、開口部糸ゴム１０ｇｍの下側に設けられている。そのため、温感効果が促進されて、温感効果を持続させることが可能となる。

　例えば、特許文献１に記載のパンツ型使い捨ておむつ１と同じように、着用者の腰回りに対応するウエスト域１０に温感剤２６を設けると、着用者が下腹部において温感を十分に感じることができず、かつ、胴回り開口部１ａから気化した温感剤２６が排出されやすい。

　さらに、特許文献１のウエスト域１０（本実施形態における上端部）の弾性部材（開口部糸ゴム１０ｇｍ）が吸収性物品１で最も左右方向への伸縮力（着用者への締め付け力）が強いので、かかる部分が最も着用者の身体と密にフィットする。そして、長時間密にフィットする部分に温感剤２６を設けると、温感剤２６が押し当てられ過ぎてしまい、かゆみ等を生じさせる場合がある。そのため、かかる部分よりも下側に温感剤２６を配置することが好ましい。

　これに対し、上記実施形態においては、上下方向において、吸収性物品１の上端部に設けられた開口部糸ゴム１０ｇｍよりも温感剤２６の方が下側に設けられていることとした。

　そのため、皮下脂肪の多い下腹部における温感効果が促進され、かつ、胴回り開口部１ａから気化した温感剤２６が排出されにくくなるので、温感効果を持続させることが可能となる。

　また、上記したように、開口部糸ゴム１０ｇｍは、接着剤によって胴回り部材２０の上端部に接合されている。

　つまり、温感剤２６が開口部糸ゴム１０ｇｍよりも下側に設けられているので、温感剤２６により開口部糸ゴム１０ｇｍの接着剤が溶融されにくく、開口部糸ゴム１０ｇｍのゴム抜けが抑制されるので、パンツ型吸収性物品１のズレ落ちを抑制することができる。

　また、塗布領域２６ｐ１は、上下方向において、緩衝シート１５の印刷領域１５ｐの下側に設けられている。つまり、上下方向において、温感剤２６よりも印刷領域１５ｐの方が上側に設けられている。そのため、印刷領域１５ｐによって印刷領域１５ｐよりも上側への気化した温感剤２６の排出が抑制されるので、温感効果を持続させることができる。

　なお、本実施形態に係る塗布領域２６ｐ１は、前側胴回り部材１０ｆ（腹側）にあって後側胴回り部材１０ｂ（背側）には設けられていないが、これに限るものではなく、背側にも設けてもよい。ただし、背側よりも腹側の方が温感剤２６の量が多くなるように塗布領域２６ｐ１を設ける。つまり、左右方向に伸長させた状態のパンツ型吸収性物品１を３等分した際の中央領域ＭＡにおいて、パンツ型吸収性物品１（胴回り部材１０）の背側部における温感剤２６の量の合計よりも、腹側部における温感剤２６の量の合計の方が多くなるように温感剤２６を設ける。

　そうすると、後側胴回り部材１０ｂの中央領域ＭＡは、寝姿勢時に体重がかかり易く温感効果が発現しやすいので、着用者が温感効果を感じやすく、前側胴回り部材１０ｆの中央領域ＭＡは、温感剤２６が多いので着用者が温感効果を感じやすい。つまり、着用者の下腹部及び臀部において効果的に温感効果を発現することが可能となる。

　また、塗布領域２６ｐ１は、左右方向における中央領域ＭＡに設けられており、中央領域ＭＡの両側に位置する両側領域ＳＡには、左右方向の外端から温感剤２６が塗布されていない非塗布領域２６ｎが設けられている。

　すなわち、温感剤２６が中央領域ＭＡの少なくとも一部に設けられており、前側胴回り部材１０ｆにおいて、中央領域ＭＡに設けられた温感剤２６の量の合計は、両側領域ＳＡの左側の領域に設けられた温感剤２６の量の合計、及び両側領域ＳＡの右側の領域に設けられた温感剤２６の量の合計の少なくともいずれか一方よりも多い。

　そうすると、腹側の中央部において温感効果が大きいので、皮下脂肪の多い下腹部（下腹部中央）に温感剤２６が効果的に作用して着用者の心地よさが促進され、腹側の両端部では温感効果が小さいので、皮下脂肪の少ない腰骨等のかゆみが抑制される。つまり、着用者の適切な部分に温感効果が作用するので、温感効果が促進され、快適な装着感を実現することが可能となる。

　また、温感剤２６は、胴回り部材１０の複数のシートのうち、緩衝シート１５に設けられている。すなわち、胴回り部材１０の複数のシートのうち、最も肌側のシートに温感剤２６が設けられている。

　つまり、温感剤２６が着用者の肌に近いので、温感効果を大きくすることが可能となる。

　吸収性本体２０の塗布領域２６ｐ２（図３の右下がり斜線部）は、吸収性本体２０の幅方向（短手方向）に所定の寸法を有し、吸収性本体２０の長手方向の前端から後端まで連続した長手方向に沿った一対の塗布領域２６ｐ２として塗布される。

　そうすると、上記したように、塗布領域２６ｐ１は、吸収性本体２０の前側の外側端２０ｅｔと重複しているので、厚さ方向に見たときに、塗布領域２６ｐ１と塗布領域２６ｐ２が重複する（図３の塗布領域２６ｐ３）。すなわち、前後方向に見たときに、吸収性本体２０の温感剤２６と、胴回り部材１０の温感剤２６とが重複する部分を有する。

　つまり、下腹部中央において、胴回り部材１０と吸収性本体２０の２か所の温感剤２６が温感効果を発揮するので、温感効果を高めることが可能となる。

　＜温感剤２６の塗布部材及び塗布位置の特定方法について＞
　次に、温感剤２６が塗布されている部材及び位置の特定方法について図４を用いて説明する。本実施の形態においては、官能検査によりかかる特定を行う。図４は、温感剤２６が塗布された場所の特定方法を示したフロー図である。

　本実施の形態に係る胴回り部材１０は、複数のシート部材（伸縮性シート１２、非伸縮性シート１４、及び緩衝シート１５）を有していることは既に述べたが、このように複数のシート部材が積層されている場合、どのシート部材のどの位置に温感剤２６が塗布されているかについては、例えば、以下のようにして特定することができる。

　先ず、胴回り部材１０を展開状態で区画分けし、区画毎に胴回り部材１０を切り出す（ステップＳ１）。例えば、展開状態の胴回り部材１０を長手方向及び幅方向に１０等分して切り出す。

　次に、区画分けして切り出した胴回り部材１０を所定のサイズで複数枚切り出す。例えば、長手方向の前端から２番目、かつ、幅方向の左端から５番目の区画の部材を約３×３ｃｍの同一サイズで４枚切り出す。

　そして、切り出した積層シート部材を１枚ずつ例えばコールドスプレーで剥がして各サンプルシート（分解された伸縮性シート１２、非伸縮性シート１４、及び緩衝シート１５）を製作する（ステップＳ２）。例えば、４枚切り出した積層シートを１枚ずつ剥がして、４枚×３層＝１２枚のサンプルシートを製作する。

　次に、サンプルシートと同じサイズのＰＥシート（ポリエチレンシート。一例であって、気密性の高いシートであればよい）をサンプルシート分用意する（ステップＳ３）。例えば、約３×３ｃｍのＰＥシートを１２枚用意する。

　続けて、１枚目のサンプルシートにＰＥシートを重ね、１枚目のサンプルシートを官能検査における検査者の二の腕の内側にあてる（ステップＳ４）。例えば、１２枚のうちの１枚のサンプルシート（例えば、緩衝シート１５）とＰＥシートを重ねて、官能検査における検査者の二の腕の内側にあてる。

　そうしたら、当該検査者は、１枚目のサンプルシートの温感剤２６の温感効果を感じるまでの時間Ｔ１を計測して記録する（ステップＳ５）。

　そして、かかる官能試験（Ｓ４、Ｓ５）を全てのサンプルシートで実行する。つまり、２、３、…、１２枚目のサンプルシートの各々にＰＥシートを重ねて官能検査を行い、全てのサンプルシートについて時間Ｔ２～Ｔ１２を計測して記録する（ステップＳ６）。

　そうしたら、区画割りした全区画において上記の官能試験（Ｓ２～Ｓ６）を行い、全てのサンプルシートについての時間Ｔを計測して記録する（ステップＳ７）。例えば、１０×１０＝１００の区画（脚回り開口部１ｂ等の胴回り部材１０が無い部分は除く）のそれぞれの１２枚のサンプルシート（緩衝シート１５等が無い区画では枚数が少なくなる）に対して、官能試験を実施して時間Ｔを計測して記録する。

　そして、各々のサンプルシートの時間Ｔを比較することにより、温感剤２６が塗布されていたサンプルシートを特定することができる（ステップＳ８）。例えば、長手方向（上下方向）の位置が印刷領域１５ｐの後側（下側）であり、かつ、幅方向（左右方向）の位置が中央のサンプルシートであって、分解された伸縮性シート１２、非伸縮性シート１４、及び緩衝シート１５のうち最も時間Ｔが短いサンプルシートが緩衝シート１５であれば、本実施形態と同じように、印刷領域１５ｐの下側の中央領域ＭＡに、温感剤２６が塗布されていると特定できる。

　また、上記したサンプルシートの特定は、官能試験に限られるものではなく、例えば、ヘッドスペース固相マイクロ抽出法を用いることができる。具体的には、ガスクロマトグラフ‐質量分析計（島津製作所のＧＣＭＳ－ＱＰ２０１０Ｐｌｕｓ）を用いて、キャリアガスとしてヘリウムを使用し、測定モードを走査法として、電子衝撃イオン化法で測定する。かかる方法においては、各サンプルシートは、折り畳んで小さく丸めた状態としてビーカー内に入れる。ビーカーの上部をアルミ箔で覆い、さらにその上部からプラスチックパラフィンフィルムで覆い、ビーカー内を密封したビーカーを３７度の恒温水槽に入れる。ＳＰＭＥファイバー（シグマアルドリッチ５０／３９μｍＤＶＢ／ＣＡＲ／ＰＤＭＳ、Ｓｔａｂｌｅｆｌｅｘ２ｃｍ）を、アルミ箔を貫通してビーカーに挿入させ、各サンプルシートの香気成分を抽出する。その後、ビーカーから取り出したＳＰＭＥファイバーを、直ちにガスクロマトグラフ‐質量分析計で測定する。これにより得られた各質量をサンプルシートの面積でそれぞれ除した値を算出する。この除した値を比較することで、温感剤２６が塗布されていたサンプルシートを特定することができる。

　＜伸縮力の違いとその効果について＞
　以下では、パンツ型吸収性物品１を生成する際の処置や部材等によって生ずるパンツ型吸収性物品１の左右方向における伸縮力の違いとその効果について説明する。先ず、単位面積あたりの超音波接合部の面積の違いによる伸縮力の違いとその効果について説明する。

　前述した通り、伸縮性シート１２と非伸縮性シート１４は、厚さ方向に重ねられた状態で超音波振動及び圧力を加えた超音波接合にて接合されている。すなわち、胴回り部材１０は複数のシートを備えており、複数のシートのうち、少なくとも１つ（伸縮性シート１２）が左右方向に伸縮性を有し、複数のシートは、厚さ方向（前後方向）に重ねられた状態で、点在する複数の超音波接合部によって接合される。

　換言すると、複数のシートの接合は、そのシートの接合範囲の全てが超音波接合部で構成されているのではなく、点在する超音波接合部と非超音波接合部とで構成されている。そして、超音波接合部は、一定の間隔を置いて設けられており、厚さ方向に見たときに、吸収性本体２０と重複する領域か否かによって、かかる一定の間隔が相違する。

　すなわち、本実施の形態に係る胴回り部材１０は、伸縮性シート１２を厚さ方向（前後方向）に見たときに、吸収性本体２０と重複する重複領域（図２においてＸで示す右上がり斜線の領域）と、吸収性本体２０と重複しない非重複領域（伸縮性シート１２のうちのＸで示す右上がり斜線の領域以外の領域）とを有し、重複領域と非重複領域で超音波接合部の間隔が異なる。

　重複領域においては、図２のＹ部拡大図に示すように、超音波接合部ＹＳがほぼ同一の大きさの略長方形状に形成されており、幅方向に対して当該略長方形状を４５度傾けたものと、－４５度傾けたものが規則正しくそれぞれ略均一に配置されている。そして、非重複領域においては、図２のＺ部拡大図に示すように、超音波接合部ＺＳが略同一の大きさの円形状に形成されており、超音波接合部ＹＳよりも大きい間隔で略均一に分布している。

　そのため、重複領域と非重複領域の単位面積あたりの超音波接合部の面積を比べると、非重複領域の方が小さくなる。すなわち、非重複領域の単位面積あたりの超音波接合部ＺＳの面積が、重複領域の単位面積あたりの超音波接合部ＹＳの面積よりも小さい。

　そして、超音波接合部は溶融して伸縮性が低いフィルム状になるので伸縮力に影響を与える。つまり、単位面積あたりの超音波接合部の面積が小さいほうが伸縮力は大きい。したがって、非重複領域の伸縮力が重複領域の伸縮力より大きくなり、非重複領域において胴回り部材１０と肌との空間を少なくなるので、フィット性が向上して快適な装着感を実現しつつ、下腹部中央部（重複領域）において伸縮力が抑制されるので、肌との空間が多くなって温感剤２６が溜まりやすくなり、温感効果を高めることが可能となる。

　次に、図５を用いて、開口部糸ゴム１０ｇｍと伸縮性シート１２の伸縮力の違いとその効果を説明する。図５は、パンツ型吸収性物品１の伸長状態及び自然状態を示した図であり、左図が伸長状態、右図が自然状態を示している。

　本実施形態においては、伸縮性シート１２の伸縮力よりも開口部糸ゴム１０ｇｍの伸縮力の方が大きい。すなわち、上端部（開口部糸ゴム１０ｇｍの設置部）における胴回り部材１０の左右方向の寸法が、胴回り部材１０を左右方向に伸長させた伸長状態においてＬ０であり、自然状態でＬ１であって、上端部（開口部糸ゴム１０ｇｍの設置部）よりも下側の領域における胴回り部材１０の左右方向の寸法が、伸長状態においてＬ０であり、自然状態においてＬ２であって、Ｌ２よりもＬ１の方が小さい。

　そうすると、胴回り部材１０において上端部（開口部糸ゴム１０ｇｍの設置部）の伸縮力が最も大きいので、着用者の腰部において胴回り部材１０がしっかりと密着してフィットする。すなわち、吸収性物品１の内部における気化した温感剤２６が胴回り開口部１ａから外部へ抜けにくくなり、温感剤２６の排出を抑制することができ、温感効果を持続させることができる。

　次に、図６を用いて、非伸縮性シート１４と伸縮性シート１２の伸縮力の違いとその効果を説明する。図６は、図５の矢視Ａ－Ａであって、脚回り開口部１ｂにおける伸縮性シート１２と非伸縮性シート１４の状態を示した概略図である。

　脚回り開口部１ｂにおいては、非伸縮性シート１４が伸縮性シート１２により引っ張られており、端部１４ｅが肌側へ巻き込むようにカールしている。つまり、パンツ型吸収性物品１の脚回り開口部１ｂにおいて、複数のシートのうちの最も非肌側のシート（非伸縮性シート１４）の端部１４ｅの少なくとも一部が、肌側へ傾斜している。

　そのため、着用時において、非伸縮性シート１４の端部１４ｅが脚回り開口部１ｂの蓋として機能して気密性を向上させるので、温感効果を持続させることができる。

　＜吸収性物品１の包装について＞
　本実施の形態に係る吸収性物品１は、パンツ型に生成された後に折り畳まれて、１つの吸収性物品１が１つの包装容器に入れられて包装される。すなわち、吸収性物品１は、個包装であって、包装状態においては、折り畳まれた状態となる。

　以下では、包装の際の吸収性物品１の折り畳み方について図７を用いて説明する。図７は、パンツ型吸収性物品１の折り畳み方を示した概略図であり、左図は吸収性物品１を折り畳む前の状態、中央図は左側延出部１０Ｌと右側延出部１０Ｒを折り畳んだ状態、右図は吸収性物品１を折線ＢＬで上下方向に折り畳んだ状態を示している。

　本実施の形態に係る吸収性物品１は、図７の左図に示すように、吸収性本体２０の左側端２０Ｌｅよりも左側に位置する左側延出部１０Ｌと、吸収性本体２０の右側端２０Ｒｅよりも右側に位置する右側延出部１０Ｒと、を有している。そして、先ず、図７の中央図に示すように、左側延出部１０Ｌが吸収性本体２０の左側端２０Ｌｅよりも右側に折り畳まれ、右側延出部１０Ｒが吸収性本体２０の右側端２０Ｒｅよりも左側に折り畳まれる。次に、図７の右図に示すように、折線ＢＬに沿って吸収性物品１が上下方向に折り畳まれ、かかる状態で包装される。

　そうすると、吸収性物品１の包装状態において、温感剤２６（塗布領域２６ｐ１、２６ｐ２）に左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒが前後方向に重複した状態で包装されることとなる。すなわち、包装状態において、前後方向に見たときに、温感剤２６の少なくとも一部が、左側延出部１０Ｌ及び右側延出部１０Ｒのうち少なくとも一方と重複している。

　そのため、包装状態において、前後方向への（肌側から非肌側への）気化した温感剤２６の排出を抑制することが可能となる。

　なお、図７では、左側延出部１０Ｌが右側に折り畳まれてから、右側延出部１０Ｒが左側に折り畳まれて、折線ＢＬに沿って吸収性物品１が上下方向に折り畳まれているが、この順番に限るものではなく、例えば、右側延出部１０Ｒを最初に折り畳んでも良い。また、折り畳みの方向は、全て腹側（前側）が向かい合うようにして折り畳まれているが、これに限るものではなく、例えば、折線ＢＬに沿って吸収性物品１の背側（後側）を向かい合うようにして上下方向に折り畳んでも良い。

　＝＝＝第２実施形態＝＝＝
　第１実施形態においては、胴回り部材１０を左右方向に伸縮させる部材として伸縮性シート１２が設けられていたが、これに限るものではない。例えば、伸縮部材として胴回り糸ゴム１６を伸縮性シート１２の代わり、又は同時に用いてもよい。

　図８は、第２実施形態に係るパンツ型吸収性物品１００であり、伸縮性シート１２の代わりに胴回り糸ゴム１６を用いたパンツ型吸収性物品１００の展開状態における平面図である。また、第２実施形態に係るパンツ型吸収性物品１００は、レッグギャザーＬＧを備えている。なお、胴回り糸ゴム１６とレッグギャザーＬＧは、非伸縮性シート１４と非伸縮性シート１４ａにより、肌側と非肌側から挟まれた状態で接着剤により固定されている。

　第２実施形態に係る緩衝シート１５の接着剤は、上下方向において、開口部糸ゴム１０ｇｍより下側であって、レッグギャザーＬＧより上側である。つまり、開口部糸ゴム１０ｇｍとレッグギャザーＬＧの接着剤は、緩衝シート１５の接着剤により溶解しにくくなっており、開口部糸ゴム１０ｇｍとレッグギャザーＬＧのゴム抜けの発生が抑制されている。すなわち、開口部糸ゴム１０ｇｍとレッグギャザーＬＧがしっかりとパンツ型吸収性物品１００を着用者に密着させるので、パンツ型吸収性物品１００のズレ落ちを抑制することができる。

　また、パンツ型吸収性物品１００においては、図８に示すように、重複領域（図２に示すＸの領域）において、胴回り糸ゴム１６と胴回り部材１０を非接着状態として重複領域の胴回り糸ゴム１６を切断することにより、胴回り糸ゴム１６の一部を非伸長状態としている。

　かかる状態によると、胴回り糸ゴム１６が切断箇所から重複領域の左右方向の両端へ収縮するので、重複領域において、胴回り糸ゴム１６が非伸長状態で配置される。一方、非重複領域においては、胴回り糸ゴム１６が伸長状態で配置され接合される。

　つまり、第１実施形態で記載したような重複領域と非重複領域の伸縮力の違いが発生し、かかる相違による効果を得ることができる。

　すなわち、胴回り部材１０の非重複領域の伸縮力を大きくすることにより、胴回り部材１０と肌との空間を少なくしてフィット性を向上させて快適な装着感を実現し、重複領域の伸縮力を小さくすることにより、腹側中央部（下腹部中央）において肌との空間を多くして温感剤２６を溜まりやすくし、温感効果を高めることが可能となる。

　また、本実施形態においては、開口部糸ゴム１０ｇｍの伸縮力よりも、胴回り糸ゴム１６の伸縮力の方が小さい（すなわち、図５に示すように変形する）。そのため、第１実施形態で記載した開口部糸ゴム１０ｇｍと伸縮性シート１２の伸縮力の違いと同様の効果が得られる。

　つまり、胴回り部材１０において胴回り開口部１ａの伸縮力が最も大きいので、胴回り開口部１ａからの気化した温感剤２６の排出を抑制することができ(気密性が高くなり)、温感効果を持続させることができる。

　＝＝＝その他の実施形態＝＝＝
　上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。

　また、上記実施の形態においては、上下方向において、温感剤２６よりも印刷領域１５ｐの方が上側に設けられていたが、これに限るものではない。例えば、上下方向において、温感剤２６よりも印刷領域１５ｐの方が下側に設けられていてもよいし、前後方向に見たときに、印刷領域１５ｐと温感剤２６の少なくとも一部が重複していてもよい。

　温感剤２６よりも印刷領域１５ｐの方が下側に設けられている吸収性物品によれば、印刷領域１５ｐが気化した温感剤２６の下側への移動を抑制し、上側においては開口部糸ゴム１０ｇｍが気化した温感剤２６の外部への排出を抑制するので、温感剤２６を塗布した位置で温感効果を高めることができる。つまり、着用者の温めたい場所に対応する吸収性物品の場所に温感剤２６を塗布することにより、温感効果を高めることが可能となる。

　印刷領域１５ｐと温感剤２６の少なくとも一部が重複する吸収性物品によれば、印刷領域１５ｐが気化した温感剤２６の肌側から非肌側への排出を抑制する（気密性が高くなる）ので、温感効果を持続させることができる。また、印刷領域１５ｐで温感剤２６の位置を示すことができる。

　また、上記実施の形態においては、塗布領域２６ｐ１は、厚さ方向に見たときに、吸収性本体２０の前側の外側端２０ｅｔと重複するように設けられているが、これに限るものではなく、例えば、吸収性本体２０の前側の外側端２０ｅｔよりもさらに前側に設けられていてもよい。

　かかる吸収性物品によれば、吸収性本体２０に塗布された温感剤２６と胴回り部材１０に塗布された温感剤２６とが厚さ方向において重複しないので、温感剤２６の塗布された領域が広くなり、より広い範囲で温感効果を発現できる。

　また、上記実施の形態においては、左右方向に伸縮する胴回り部材１０の部材によりパンツ型吸収性物品１が着用者からズレ落ちない構成であったが、これに限るものではない。例えば、さらにファスニングテープを備えた吸収性物品であり、胴回り部材をファスニングテープで固定することにより、吸収性物品が着用者からさらにズレ落ち難くした構成としてもよい。

　また、上記実施の形態においては、揮発性物質の一例として、温感剤２６を用いていたが、温感剤２６に限るものではなく、例えば、冷感剤を用いてもよい。冷感剤を用いた場合には、着用者の蒸れやべたつきによる不快感を低減することが可能となる。

　かかる冷感剤の例としては、メントール（例えば、ｌ－メントール）及びその誘導体（例えば、乳酸メンチル）、サリチル酸メチル、カンファー、植物（例えば、ミント、ユーカリ）由来の精油等が挙げられる。なお、冷感剤は、温感剤２６と同様に、温度感受性ＴＲＰチャネルを刺激するものが好ましい。

　なお、冷感剤においては、暖めるのではなく冷やすという観点から、腹側の塗布量よりも背側の塗布量の方が多いことが好ましい。例えば、寝姿姿勢で使用する場合において、最も蒸れやすい臀部に冷感剤を多くすることにより、蒸れによる不快感を低減させることができる。

　また、温感効果を高めるため、温感剤２６内に微量の冷感剤を混ぜたり、冷感効果を高めるため、冷感剤内に微量の温感剤２６を混ぜたりして、温感又は冷感効果を高めてもよい。

１　パンツ型吸収性物品、１ａ　胴回り開口部、１ｂ　脚回り開口部、１０　胴回り部材
１０ｆ　前側胴回り部材、１０ｆｅ　前側接合部
１０ｆｆ　胴回り前端部、１０ｂ　後側胴回り部材
１０ｂｅ　後側接合部、１０ｂｆ　胴回り後端部、１０ｅｔ　上端
１０ｇｍ　開口部糸ゴム（弾性部材）、１０Ｌ　左側延出部、１０Ｒ　右側延出部
１２　伸縮性シート（フィルムシート）、１２ｆ　前側伸縮性シート
１２ｂ　後側伸縮性シート、１４　非伸縮性シート、１４ｅ　端部、１５　緩衝シート
１５ｐ　印刷領域、１６　胴回り糸ゴム、２０　吸収性本体、２０ｅｔ　外側端
２０Ｌｅ　左側端、２０Ｒｅ　右側端
２６　温感剤、２６ｐ１　塗布領域、２６ｐ２　塗布領域、２６ｐ３　塗布領域
２６ｎ　非塗布領域、１００　パンツ型吸収性物品
ＣＬ　中心線、ＹＳ　超音波接合部、ＺＳ　超音波接合部、ＵＡ　上端部
ＭＡ　中央領域、ＳＡ　両側領域、ＬＧ　レッグギャザー、ＢＬ　折線

Claims

　互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向を有し、
　吸収性本体と、胴回り部材と、を有し、胴回り開口を備えたパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材の上端部には、前記左右方向に沿った弾性部材が設けられており、
　前記胴回り部材には、温感剤又は冷感剤が設けられており、
　前記上下方向において、前記弾性部材よりも前記温感剤又は前記冷感剤の方が下側に設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記弾性部材は、開口部糸ゴムであり、
　前記開口部糸ゴムは、接着剤によって前記胴回り部材の前記上端部に接合されていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１又は請求項２に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、複数のシートを備えており、
　前記胴回り部材の複数のシートのうちの最も肌側のシートに、前記温感剤又は前記冷感剤が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項３のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材には、図柄が印刷された印刷領域が設けられており、
　前記上下方向において、前記温感剤又は前記冷感剤よりも前記印刷領域の方が上側に設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項３のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材には、図柄が印刷された印刷領域が設けられており、
　前記上下方向において、前記温感剤又は前記冷感剤よりも前記印刷領域の方が下側に設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項３のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材には、図柄が印刷された印刷領域が設けられており、
　前記前後方向に見たときに、前記印刷領域と前記温感剤又は前記冷感剤の少なくとも一部が重複していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項６のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記吸収性本体に、前記温感剤又は前記冷感剤が備えられており、
　前記前後方向に見たときに、前記吸収性本体の前記温感剤又は前記冷感剤と、前記胴回り部材の前記温感剤又は前記冷感剤とが重複する部分を有することを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項７のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、複数のシートを備え、
　前記複数のシートのうち、少なくとも１つが前記左右方向に伸縮性を有し、
　前記複数のシートは、前記前後方向に重ねられた状態で、点在する複数の超音波接合部によって接合され、
　前記前後方向に見たときに、前記胴回り部材は、前記吸収性本体と重複する重複領域と、前記吸収性本体と重複しない非重複領域と、を有しており、
　前記非重複領域の単位面積あたりの前記超音波接合部の面積が、前記重複領域の単位面積あたりの前記超音波接合部の面積よりも、小さいことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項８のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記左右方向に伸長させた状態の前記パンツ型吸収性物品を３等分した際の中央領域において、
　前記パンツ型吸収性物品の背側部における前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計よりも、前記胴回り部材の腹側部における前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計の方が、多いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項９に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材の背側部における前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計よりも、前記胴回り部材の腹側部における前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計の方が、多いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項１０のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記上端部における前記胴回り部材の前記左右方向の寸法が、前記胴回り部材を前記左右方向に伸長させた伸長状態においてＬ０であり、自然状態でＬ１であって、
　前記上端部よりも下側の領域における前記胴回り部材の前記左右方向の寸法が、前記伸長状態において前記Ｌ０であり、前記自然状態においてＬ２であって、
　前記Ｌ２よりも前記Ｌ１の方が小さいことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項１１のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、ウレタンが混合された不織布シート及びフィルムシートのうち少なくとも一方のシートを備えていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項１２のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記パンツ型吸収性物品は、前記左右方向において伸長させた状態の前記パンツ型吸収性物品を３等分した際の中央領域と、前記中央領域の両側に位置する両側領域とを有し、
　前記温感剤又は前記冷感剤が、前記胴回り部材の前記中央領域の少なくとも一部に設けられており、
　前記パンツ型吸収性物品の腹側部において、前記中央領域に設けられた前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計は、前記両側領域の左側の領域に設けられた前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計、及び前記両側領域の右側の領域に設けられた前記温感剤又は前記冷感剤の量の合計の少なくともいずれか一方よりも多い、ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項１３のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、少なくとも１枚の不織布シートを含む複数のシートを備えており、
　前記複数のシートは、前記前後方向に重ねられた状態で、点在する複数の超音波接合部によって接合されていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項１４のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、前記吸収性本体の左側端よりも左側に位置する左側延出部と、前記吸収性本体の右側端よりも右側に位置する右側延出部と、を有し、
　前記パンツ型吸収性物品の包装状態において、前記左側延出部が前記吸収性本体の左側端よりも右側に折り畳まれ、前記右側延出部が前記吸収性本体の右側端よりも左側に折り畳まれており、
　前記包装状態において、前記前後方向に見たときに、前記温感剤又は前記冷感剤の少なくとも一部が、前記左側延出部及び前記右側延出部のうち少なくとも一方と重複していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
　請求項１～請求項１５のいずれか１項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
　前記胴回り部材は、複数のシートを備えており、
　前記パンツ型吸収性物品の脚回り開口部において、前記複数のシートのうちの最も非肌側のシートの端部の少なくとも一部が、肌側へ傾斜していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。