本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
吸収性物品、及び、包装材を有し、前記吸収性物品が折り部にて前記包装材と共に折り畳まれた吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品の非肌側面には、物品側粘着部が設けられており、前記吸収性物品が前記物品側粘着部にて前記包装材に直接固定されているか、又は、前記物品側粘着部に剥離紙が固定され、前記剥離紙に設けられた紙側粘着部に前記包装材が固定され、前記吸収性物品が前記剥離紙を介して前記包装材に固定されており、前記物品側粘着部と前記紙側粘着部の少なくとも一方の粘着部は、所定方向に離間して配置された第1粘着部、及び、第2粘着部を有し、前記第1粘着部と前記第2粘着部の間には、前記所定方向に直交する前記折り部が設けられており、前記包装材において前記第1粘着部が固定された領域を第1領域とし、前記包装材において前記第2粘着部が固定された領域を第2領域とした場合、前記吸収性物品包装体が展開されて、前記吸収性物品が固定されたままで前記吸収性物品包装体が伸張された第1状態における、前記第1領域と前記第2領域の、前記所定方向の離間距離が、前記吸収性物品包装体が展開されて、前記吸収性物品が取り外された前記包装材が伸張された第2状態における、前記第1領域と前記第2領域の、前記所定方向の離間距離よりも短いことを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、包装時の折り部において、吸収性物品に対して包装材を弛ませたり、吸収性物品に対して包装体及び剥離紙を弛ませたり、吸収性物品及び剥離紙に対して包装材を弛ませたりすることができる。そのため、折り部において、包装材が吸収性物品を強く押し付けてしまうことを抑制でき、折り部による折り皺を軽減できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記折り部により前記所定方向に折り返された前記吸収性物品包装体の部位と重なる前記吸収性物品包装体の部位の、最大厚さをtとした場合、前記第1状態における前記離間距離と前記第2状態における前記離間距離との差が、πt/2−t以上であることを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、折り部において、外側に膨らんだ吸収性物品の湾曲部を包装材で覆うことができ、包装材が吸収性物品を強く押し付けてしまうことを抑制できる。よって、折り部による折り皺を軽減できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記第1状態における前記離間距離と前記第2状態における前記離間距離との差が、πt−2t以上であることを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、折り部において、外側に膨らんだ吸収性物品の湾曲部を包装材で覆うことができ、包装材が吸収性物品を強く押し付けてしまうことを抑制できる。よって、折り部による折り皺を軽減できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記第1状態における前記離間距離と前記第2状態における前記離間距離との差が、πt以下であることを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、折り部において包装材が必要以上に弛んでしまうことを防止でき、個包装体の外観の低下を抑制できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記折り部により前記所定方向に折り返された前記吸収性物品包装体の部位と重なる前記吸収性物品包装体の部位の、最大厚さをtとした場合、前記第1状態における前記離間距離が、πt以上であることを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、折り部に第1粘着部及び第2粘着部が位置しないようにすることができる。よって、折り部において包装材を弛ませることができ、折り皺を軽減できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品は、所定の機能を発揮する剤が配置された配置領域を有し、前記第1状態における前記吸収性物品包装体を平面視したとき、前記第1粘着部と前記第2粘着部の間の前記折り部は、前記配置領域と重ならないことを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、折り部において、吸収性物品を構成する資材の繊維が剤によりへたることがなく、吸収性物品のクッション性が保たれるため、折り部による折り皺を軽減できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記第1状態における前記吸収性物品包装体を平面視したとき、前記第1粘着部と前記第2粘着部の間の前記折り部は、前記ナプキンの厚さが変わる部分と重なる領域を有することを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、吸収性物品は折り部において折れやすくなり、綺麗に折り返されるため、折り部による折り皺を軽減できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記第1状態における前記吸収性物品包装体を平面視したとき、前記第1粘着部と前記第2粘着部の間の前記折り部は、前記第1粘着部と前記第2粘着部をそれぞれ覆う剥離紙と重ならないことを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、折り部において、剥離紙が吸収性物品を強く押し付けてしまうことがなく、折り部による折り皺を軽減できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体よりも非肌側に配置された液不透過性のシートと、を有し、前記所定方向における前記包装材の引張強度が、前記所定方向における前記シートの引張強度よりも高いことを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、所定方向に伸び難い包装材で吸収性物品を所定方向に折り畳む場合であっても、折り部において包装材を弛ませることで、折り皺を軽減できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品は、幅方向及び長手方向を有し、前記吸収性物品の前記幅方向の両側部が、前記長手方向に沿う前記折り部にて折り畳まれており、前記吸収性物品の前記長手方向の両端部が、前記幅方向に沿う前記折り部にて折り畳まれていることを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、折り部の数が多い場合であっても、折り部において包装材を弛ませることで、折り皺を軽減することで、折り皺を目立ちにくくすることができる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記第1粘着部と前記第2粘着部の間の前記折り部は、前記長手方向に沿う前記折り部であり、前記幅方向に沿う前記折り部は、前記粘着部を跨いでいることを特徴とする吸収性物品包装体である。
このような吸収性物品包装体によれば、目立ちやすい長手方向に沿う長い折り皺を軽減できる。一方、粘着部を長手方向に長く連続して設けることができ、剥離紙を包装材にしっかりと固定したり、吸収性物品を下着にしっかりと固定したりすることができる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品は、幅方向及び長手方向を有し、かつ前記吸収性物品が厚さ方向に窪んだ圧搾部を有し、前記圧搾部は、前記吸収性物品の肌面側から視認可能な、前記長手方向の前後を示す表示圧搾部を有し、前記表示圧搾部が、前記第1粘着部と前記第2粘着部の間の前記折り部を跨いでいることを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品包装体によれば、正しい前後の向きで吸収性物品が装着されやすくなる。また、折り部による折り皺によって、表示圧搾部の視認性が低下してしまうことを防止できる。
かかる吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品は、幅方向及び長手方向を有し、かつ前記吸収性物品が厚さ方向に窪んだ圧搾部を有し、前記圧搾部は、前記吸収性物品の肌面側から視認可能な、前記長手方向の前後を示す表示圧搾部を有し、前記表示圧搾部が、前記第1粘着部と前記第2粘着部の間の前記折り部を跨いでいないことを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品包装体によれば、正しい前後の向きで吸収性物品が装着されやすくなる。また、折り部を跨ぐ表示圧搾部によって折り部が展開しやすくなり、展開時の吸収性物品の平坦性が向上する。
以下、本実施形態に係る吸収性物品包装体が有する吸収性物品の一例として、生理用ナプキンを例に挙げて説明する。ただし、吸収性物品は生理用ナプキンに限定されず、他の吸収性物品として、例えば、パンティライナーや失禁パッド等が挙げられる。
===吸収性物品包装体10の基本構成===
図1は、展開状態の吸収性物品包装体10を内側から見た平面図である。図2は、展開状態の吸収性物品包装体10を外側から見た平面図である。図3は、生理用ナプキン1(以下「ナプキン」とも呼ぶ)の前後方向に沿う概略断面図である。図4Aは、展開途中の吸収性物品包装体10の平面図であり、図4Bは、吸収性物品包装体10の平面図である。
吸収性物品包装体10(以下「個包装体」とも呼ぶ)は、ナプキン1と、包装材11と、止着テープ12と、剥離紙13を備える。図1に示すように、包装材11の内側面上に、ナプキン1がその肌側面を上にして配置され、ナプキン1は折り部F1〜F4にて包装材11と共に折り畳まれている。
ナプキン1は、互いに直交する前後方向(長手方向)と幅方向と厚さ方向を有する。前後方向において着用者の腹側となる側が前側であり、着用者の背側となる側が後側である。厚さ方向において着用者の肌に当接する側が肌側であり、その反対側が非肌側である。
包装材11は、互いに直交する長手方向と幅方向を有する。包装材11の長手方向がナプキン1の前後方向に対応し、包装材11の幅方向がナプキン1の幅方向に対応している。また、包装材11において止着テープ12が取り付けられている側(つまり個包装体10の開封端10a側)が、ナプキン1の前側に対応している。
包装体10は、包装時の折り部として、ナプキン1の前後方向に沿う2つの折り部F1,F2と、ナプキン1の幅方向に沿う2つの折り部F3,F4を有する。前後方向に沿う折り部F1,F2により、ナプキン1の幅方向の両側部が中央部に重なるように折り畳まれる。また、幅方向に沿う折り部F3,F4により、ナプキン1の前方部と後方部が中央部に重なるように折り畳まれる。
ナプキン1の使用時に、着用者が止着テープ12を把持して、個包装体10の幅方向に沿う折り部F3,F4での折りを展開すると、個包装体10は図4Aの状態になる。さらに、着用者が前後方向に沿う折り部F1,F2での折りを展開すると、個包装体10は図1の展開状態となる。
次に、ナプキン1の基本構成について説明する。ナプキン1は、吸収体2、肌側シート3、中間シート4、非肌側シート5、一対のサイドシート6、及び、温感剤30が配置された温感剤保持シート7を有する。
肌側シート3は、吸収体2より肌側に配置された液透過性のシートである。中間シート4は、肌側シート3と吸収体2の間に配置された液透過性のシートである。液透過性のシートとしては、不織布や開孔フィルム等を例示できる。非肌側シート5は、吸収体2(吸収性コア)よりも非肌側に配置された液不透過性のシートである。非肌側シート5としては、合成樹脂フィルム等を例示できる。非肌側シート5を合成樹脂フィルムのような非通気性のシートとすることで、温感剤30の効果で温められた空気が散逸し難くなる。サイドシート6は、肌側シート3の肌側面の幅方向の両側部から外側に延出したシートである。サイドシート6としては、肌側シート3と同じ柔軟な不織布や疎水性の不織布等を例示できる。温感剤保持シート7は、温感剤30を保持可能なシートであれば特に制限されず、不織布等が挙げられる。
吸収体2は、吸収性コアと、吸収性コアを覆う液透過性のコアラップシートを有する。吸収性コアとしては、パルプ繊維やセルロース系吸収性繊維等の液体吸収性繊維に、高吸収性ポリマー(SAP)が加えられ、所定の形状に成形されたもの等を例示できる。なお、吸収体はコアラップシートを有さなくてもよい。
また、ナプキン1は、前後方向において、吸収体2の前端2aより前側の前方領域1Aと、前方領域1Aより後側の後方領域1Bとに区画される。温感剤保持シート7は、主に前方領域1Aに配置されている。図1に例示するナプキン1では、温感剤保持シート7の後端部が、吸収体2の前端部と重複し、後方領域1Bに配置されている。ただし、これに限定されず、温感剤保持シート7の後端が、吸収体2の前端2aと接するか、又は前側に離間していてもよい。
本実施形態の温感剤保持シート7は、図2に示すように、3枚のシートが厚さ方向に積層されて構成されている。また、温感剤保持シート7は、中間シート4及び吸収体2より非肌側であり、非肌側シート5より肌側に配置されている。ただし上記に限定されず、温感剤保持シート7は、1枚のシートで構成されていてもよいし、3枚以外の複数枚のシートが積層されて構成されていてもよい。
ナプキン1の後方領域1Bは、概ね一般的な生理用ナプキンの形状であり、前後方向の中央部において、幅方向の外側に延出した一対のウィング部1wを有する。ウィング部1wは、サイドシート6と非肌側シート5によって形成されている。また、後方領域1Bにおいて、前後方向の中央やや前方寄りの領域(前後方向におけるウィング部1wの中央)が、着用者の排泄口に当接するように想定されている。なお、ナプキンはウィング部を有さなくてもよい。
ナプキン1の前方領域1Aの形状は特に限定はなく、例えば、三角形や矩形や多角形(角が丸い場合や辺が曲線の場合を含む)、円形や楕円形、生物の形状、又はそれらの組み合わせが挙げられる。本実施形態の前方領域1Aは、一対のウィング部1wを除いた後方領域1Bの最大幅よりも大きい幅を有する。また、前方領域1Aは、その前端部から後端部に向かって幅が狭くなった略三角形の形状である。温感剤保持シート7も前方領域1Aの形状を相似的に縮小した略三角形の形状である。ただし上記に限定されず、温感剤保持シート7が例えば矩形形状等であり、前方領域1Aと異なる形状であってもよい。
ナプキン1は、その非肌側面(つまり非肌側シート5の非肌側面)に、ずれ止め部8が設けられている。ずれ止め部8は、接着剤が塗布された粘着部(物品側粘着部)であり、図2に示すように、中央ずれ止め部81と、前方ずれ止め部82と、ウィングずれ止め部83を有する。
中央ずれ止め部81は、ナプキン1の本体部を下着の内側面に貼付するためのものであり、ナプキン1の前方から後方にかけて、ナプキン1の幅方向の中央部に設けられている。中央ずれ止め部81では、前後方向に長辺を有する長方形状の粘着部が幅方向に間隔をあけて8個並んでいる。
前方ずれ止め部82は、幅広な前方領域1Aの幅方向の両端部を下着の内側面に貼付するためのものであり、前方領域1Aの幅方向の両側に一対設けられている。各前方ずれ止め部82では、前後方向に長辺を有する長方形状の粘着部が幅方向に間隔をあけて3個並んでいる。前方ずれ止め部82は、中央ずれ止め部81に比べて前後方向の長さが短い。また、前方ずれ止め部82は、前後方向において中央ずれ止め部81と一部が重複しつつ、中央ずれ止め部81よりも前側に延びて配置されている。
ウィングずれ止め部83は、下着の外側に折り返されたウィング部1wを下着の外側面に貼付するためのものであり、一対のウィング部1wにそれぞれ設けられている。各ウィングずれ止め部83では、前後方向に長辺を有する長方形状の粘着部が幅方向に間隔をあけて3個並んでいる。
なお、各ずれ止め部81〜83の形状や数や配置位置は、図2に例示するものに限定されない。
また、個包装体10は剥離紙13を有する。剥離紙13は、ナプキン1の非肌側面のずれ止め部8に剥離可能に固定されている。また、包装材10と対向する剥離紙13の面には、接着剤が塗布された紙側粘着部14(後述の図7参照)が設けられている。剥離紙13は、その紙側粘着部14にて包装材11が固定されている。つまり、本実施形態の個包装体10では、ナプキン1が剥離紙13を介して包装材11に固定されている。
具体的に、剥離紙13は、中央ずれ止め部81を覆う中央剥離紙131と、一対の前方ずれ止め部82をそれぞれ覆う前方剥離紙132と、一対のウィングずれ止め部83をそれぞれ覆う一対のウィング剥離紙133を有する。中央剥離紙131と、一対の前方剥離紙132と、一対のウィング剥離紙133は、それぞれ分離されたシートである。つまり、包装材11には6枚の剥離紙13が固定されている。
また、ナプキン1は、ナプキン1が厚さ方向に窪んだ圧搾部20を有する。圧搾部20は、前後方向や幅方向に連続して厚さ方向に窪んでいる(溝状の)圧搾部であってもよいし、非連続に厚さ方向に窪んだ点状の圧搾部であってもよい。圧搾部20によって、吸収体2の型崩れを防止したり、ナプキン1の液拡散性を向上させたりすることができる。本実施形態のナプキン1は、図1に示すように、点状の圧搾部が離散的に配置された圧搾部や、点状の圧搾部が線状に並んで配置された圧搾部や、点状の圧搾部が図柄(例えば熊の目や鼻)を形成するように配置された圧搾部や、文字の形状に圧搾された圧搾部を有する。
圧搾部20では、周囲に比べてナプキン1の厚さが薄く、ナプキン1の繊維密度が高くなっている。これらの比較は周知の方法で行うとよい。ナプキン1の厚さの比較としては、目視で比較する方法や、ミツトヨ(株)製のダイアルシックネスゲージID−C1012C又はそれと同等のものを使用し、対象部位を例えば3.0gf/cm2で加圧して測定した値を取得して比較する方法を例示できる。ナプキン1の密度の比較としては、ナプキン1を厚さ方向に切った断面を電子顕微鏡等で拡大した画像に基づき比較する方法を例示できる。
本実施形態では、前方領域1Aの幅方向の中央部に設けられた圧搾部20は、肌側シート3及び温感剤保持シート7が肌側から圧搾されている。後方領域1Bの幅方向の中央部に設けられた圧搾部20は、肌側シート3から吸収体2まで肌側から圧搾された圧搾部と、吸収体2のみが圧搾された圧搾部(不図示)とする。
また、サイドシート6の幅方向の内側端部には、前後方向に長く延びたサイド圧搾部21が設けられている。サイド圧搾部21では、少なくともサイドシート6及び肌側シート3が厚さ方向に窪んでいる。サイド圧搾部21よって、サイドシート6は肌側シート3に固定される。
===温感剤30、及び、香料剤31===
図5は、温感剤配置領域301の説明図である。図6は、香料剤配置領域311の説明図である。本実施形態のナプキン1は、温感剤30が配置された温感剤配置領域301と、香料剤31が配置された香料剤配置領域311を有する。温感剤30及び香料剤31の配置は、噴霧法やローラーコート法、刷毛塗り法等の各種公知の塗布方法で行ったり、シートを浸漬したりする方法や、粒子状の剤をシートの繊維に混在させる方法等が挙げられる。また、温感剤配置領域301及び香料剤配置領域311の大きさや形状や配置位置は、図5及び図6に示すものに限定されない。
温感剤30は、例えば、TRPチャネル(温度受容器(温熱知覚受容器))を活性化する温感成分と、溶媒成分とを含む。ナプキン1に温感剤30が配置されていることで、ナプキン1の着用者のTRPチャネルが刺激される。その結果、交感神経系を介して、温感剤30の接触部分から熱が生じ、温感剤30の接触部分の温度を上昇させることが期待できる。なお、温感剤30は、着用者の肌と直接接触する場所に配置されていない場合にも、着用時に温感剤30が溶出したり揮発したりすることで、着用者の肌に到達し、着用者のTRPチャネルを活性化する。このように、温感剤30は、剤自体が発熱する発熱剤とは異なるため、低温やけどを起こし難い。また、ナプキン1を下着に貼付するためのずれ止め部8が軟化し難いので、ナプキン1を下着から取り外す際にずれ止め部8が下着に残り難く、好ましい。
温感成分としては、TRPチャネルを活性化するものであれば、特に制限されず、液体状であっても、固体状(ペースト状、粉体状等を含む)であってもよい。また、温感成分は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。温感刺激剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン(LD50:47mg/kg,分子量:305)、カプサイシノイド類(ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等)、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル(LD50:2,188mg/kg,分子量:213)、ニコチン酸β−ブトキシエチル、N−アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル(LD50:4,900mg/kg,分子量:210)、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール(LD50:250mg/kg,分子量:294)、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
溶媒成分としては、温感成分を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。このような溶媒成分は、温感成分を溶解、分散等することができる。親油性溶媒としては、油脂、例えば、天然油(例えば、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル等)、炭化水素(例えば、パラフィン、例えば、流動パラフィン)等が挙げられる。親水性溶媒は、水及びアルコールが挙げられる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。それらの中でも、溶媒成分としては、揮発性を制御しやすい、特に揮発性を下げやすい観点からは、油脂(親油性溶媒)又はアルコール(親水性溶媒)が好ましい。また、ナプキン1では、吸収性を阻害しにくい観点から、上記溶媒成分は親油性溶媒であることが好ましい。
温感剤30における温感成分の濃度は、温感効果の観点から、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜55質量%であるとよい。また、着用者に温感を付与する観点から、ナプキン1では、温感剤30における温感成分の坪量は、好ましくは0.001〜40g/m2であり、より好ましくは0.1〜30g/m2であり、さらに好ましくは1〜20g/m2であるとよい。
図2に示すように、本実施形態のナプキン1では、肌側シート3の非肌側面、及び、3枚の温感剤保持シート7のうち最も肌側のシート7aの肌側面に、それぞれ温感剤配置領域301が設けられている。また、図5に示すように、温感剤配置領域301は、ナプキン1の前後方向において中央部から前側にかけて設けられている。プキン1の排泄口当接領域が着用者の排泄口に対応するようにナプキン1が装着されると、ナプキン1の前方領域1Aが着用者の下腹部に対応する。そのため、温感剤30により着用者の下腹部のTRPチャネルが活性化され、着用者の下腹部に温感を付与できる。着用者の下腹部、すなわち着用者の子宮に近い部分が温められることによって、着用者の生理痛を緩和したり、月経前症候群や冷え性、更年期障害などの症状を軽減したりすることが期待される。
また、香料剤配置領域311は、図2に示すように、3枚の温感剤保持シート7のうち最も肌側のシート7aの非肌側面に設けられている。香料剤31としては、当技術分野で使用されているものであれば特に制限されず、例えば、バラ、ラベンダー、ジャスミン、イランイラン様香気、グリーンハーバル様香気等が挙げられる。ナプキン1に香料剤31が配置されていることで、生理期間における着用者の憂鬱な気分を緩和できる。また、排泄物(経血等)の不快な臭いを香料剤31によってマスキングできる。
===個包装体10の特徴部===
図7は、第1状態における紙側粘着部14の固定領域15の説明図である。図8は、第2状態における紙側粘着部14の固定領域15の説明図である。図9は、第2状態におけるずれ止め部8の固定領域16の説明図である。図10は、個包装体10の折り部F1,F2の説明図である。図11は、展開状態の変形例の個包装体10を内側から見た平面図である。
個包装体10の折り部F1〜F4では、包装材11がナプキン1を包むようにして、ナプキン1は折り畳まれている。また、ナプキン1は厚さを有するため、折り部F1〜F4ではナプキン1の厚みによりナプキン1が外側に湾曲して膨らむ。そのため、折り部F1〜F4では包装材11からナプキン1に力がかかり、ナプキン1は包装材10に押し付けられながら折り畳まれている。よって、ナプキン1には折り部F1〜F4による折り皺が付きやすい。特に、折りの内側となるナプキン1の肌面側に折り皺が付きやすい。
また、一般に、個包装体10の製造ラインでは、包装材11の連続体がその連続する方向に搬送されながら、包装材11の連続体にナプキン1が合流して固定される。つまり、ナプキン1は、包装材11の連続体に張力が付与された状態で固定され、その後に折り畳まれる。そのため、包装材11からナプキン1に力がより作用し、ナプキン1は包装材11に強く押し付けられながら折り畳まれる。このことからも、ナプキン1には折り皺が付きやすいといえる。
そこで、本実施形態では、ナプキン1の折り皺を軽減するために、個包装体10の折り部F1,F2において包装材10が若干弛むようにした。本実施形態の個包装体10は、ナプキン1の前後方向に沿う折り部F1,F2と、幅方向に沿う折り部F3,F4を有するが、前後方向に沿う折り部F1,F2において包装材10が弛むようにした。
本実施形態では、ナプキン1が剥離紙13を介して包装材11に固定される。この場合、個包装体10の製造ラインでは、ナプキン1のずれ止め部8に剥離紙13が固定された状態で、ナプキン1が包装材11の連続体に合流することが多い。そうすることで、ずれ止め部8と剥離紙13の位置ずれ防止を防止できる。つまり、搬送時の張力が付与されている包装材11の連続体に、剥離紙13の紙側粘着部14が固定されることが多い。そこで、本実施形態では、剥離紙13及びナプキン1に対して包装材11が弛むように、剥離紙13の紙側粘着部14を図7に示すように配置した。
以下の説明のため、中央剥離紙131を包装材11に固定する紙側粘着部14を中央粘着部141と呼び、前方剥離紙132を包装材11に固定する紙側粘着部14を前方粘着部142と呼び、ウィング剥離紙133を包装材11に固定する紙側粘着部14をウィング粘着部143と呼ぶ。各紙側粘着部14では、ライン状に接着剤が塗布された粘着部が幅方向に間隔をあけて複数並んでいるが、紙側粘着部14の大きさ、形状、配置位置は図7に示すものに限定されない。
そして、図7に示すように、中央粘着部141(第1粘着部)と前方粘着部142(第2粘着部)を幅方向(所定方向)に離間して配置した。同様に、中央粘着部141(第1粘着部)とウィング粘着部143(第2粘着部)を幅方向に離間して配置した。また、幅方向における、中央粘着部141と前方粘着部142の間であり、中央粘着部141とウィング粘着部143の間に、前後方向に沿う折り部F1,F2(所定方向に直交する折り部)を設けた。つまり、剥離紙13の紙側粘着部14が折り部F1,F2を跨がないようにした。そうすることで、折り部F1,F2において剥離紙13及びナプキン1が包装材11に固定されず、包装材11を弛ませることができる。ただし、本実施形態の剥離紙13は分離されており、折り部F1,F2に剥離紙13は存在しない。
また、本実施形態では、剥離紙13の紙側粘着部14とナプキン1のずれ止め部8が概ね同じ位置に配置されている。そのため、ずれ止め部8も折り部F1,F2を跨がない。しかし、折り部F1,F2において剥離紙13及びナプキン1に対して包装材11を弛ませる場合、折り部F1,F2において剥離紙13がずれ止め部8を覆っていれば、ずれ止め部8は折り部F1,F2を跨いでいてもよい。
また、ナプキン1は厚さを有する。そのため、ナプキン1の前後方向に沿う折り部F1,F2はナプキン1の幅方向に幅を持った領域となる。本明細書では、個包装体10において山型に折り曲げられた折り部F1,F2の頂点(例えば図9のFe)となる位置を折り部F1,F2の中央線とする。具体的には、個包装体10の平面よりも大きい板を介して、個包装体10の平面上に重り(例えば200g)を載せた状態において、個包装体10が最も突出する位置が折り部F1,F2の中央線として得られる。そして、折り部F1,F2により幅方向に折り返された個包装体10の部位(幅方向の側部)と重なる個包装体10の部位(幅方向の中央部)の、最大厚さをtとする(ナプキン1+剥離紙13+包装材11の厚さ)。その場合、折り部F1,F2の中央線からナプキン1の幅方向の両側にそれぞれπt/2離れた領域を、折り部F1,F2とする。
同様に、ナプキン1の幅方向に沿う折り部F3,F4はナプキン1の前後方向に幅を持った領域となる。そのため、折り部F3,F4の頂点となる位置を折り部F3,F4の中央線とする。そして、折り部F3,F4により長手方向に折り返された個包装体10の部位(長手方向の端部)と重なる個包装体10の部位(長手方向の中央部)の、最大厚さをtとする。その場合、折り部F3,F4の中央線からナプキン1の長手方向の両側にそれぞれπt/2離れた領域を、折り部F3,F4とする。本実施形態では、幅方向の折り部F3,F4の方が、長手方向の折り部F1,F2よりも後の折り部となる。そのため、幅方向の折り部F3,F4では、折り部F1,F2により折り重ねられた部位がさらに折り重ねられるため、tの値が大きくなり、折り部F3,F4の湾曲部も大きくなる。
個包装体10の厚さtは、個包装体10を該当する折り部F1〜F4までを開いた状態で、下側(幅方向や長手方向の中央側)となる個包装体10の部位の厚さを測定する。例えば、ミツトヨ(株)製のダイアルシックネスゲージID−C1012C又はそれと同等のものを使用し、対象部位を例えば3.0gf/cm2で加圧して測定した値として得られる。
また、包装材11において剥離紙13の紙側粘着部14が固定された領域を固定領域15と呼ぶ。具体的には、包装材11において中央粘着部141が固定された領域を中央固定領域151(第1領域)と呼ぶ。包装材11において、前方粘着部142が固定された領域を前方固定領域152(第2領域)と呼び、ウィング粘着部143が固定された領域をウィング固定領域153(第2領域)と呼ぶ。
また、図7に示すように、個包装体10が展開されて(個包装体10が有する全ての折り部F1〜F4が展開されて)、包装材11にナプキン1が固定されたままで個包装体10が伸張された状態を第1状態とする。図8に示すように、個包装体10が展開されて、ナプキン1が取り外された包装材11が伸張された状態を第2状態とする。個包装体10が伸張された状態、及び、包装材11が伸張された状態とは、包装材11に皺が生じないように包装材11がピンと張られた状態である。
そして、第1状態(図7)における中央固定領域151と前方固定領域152の幅方向の離間距離W1を、第2状態(図8)における中央固定領域151と前方固定領域152の幅方向の離間距離W2よりも短くする。同様に、第1状態における中央固定領域151とウィング固定領域153の幅方向の離間距離W3を、第2状態における中央固定領域151とウィング固定領域153の幅方向の離間距離W4よりも短くする。
ナプキン1及び剥離紙13が固定されたままの第1状態において固定領域15の離間距離W1,W3が短いということは、折り部F1,F2において包装材11が弛んでいるということである。そのため、折り部F1,F2においてナプキン1の厚みにより外側に膨らんだナプキン1の湾曲部を、弛んだ包装材11で覆うことができる。よって、折り部F1,F2において包装材11がナプキン1を強く押し付けてしまうことを抑制でき、折り部F1,F2によるナプキン1の折り皺を軽減できる。その結果、ナプキン1の外観を向上させることができる。また、折り皺による着用時の違和感を防止したり、折り皺による着用者とナプキン1の間の隙間の発生を抑えて漏れを防止したりすることができる。
折り部F1,F2において包装材11に弛みを持たせる方法(第1状態において固定領域15の離間距離W1,W3を短くする方法)としては、例えば、個包装体10の製造ラインにおいて、包装材11の連続体にナプキン1が合流して固定される際に、包装材11の連続体にかかる搬送方向の張力を軽減する方法が挙げられる。
また、本実施形態では、中央粘着部141に対して2つの粘着部(前方粘着部142及びウィング粘着部143)が幅方向に離間して配置されているが、これに限らない。例えば、ウィング部1wを有さず、ウィング粘着部143を有さないナプキン1であってもよいし、ナプキン1の前方領域1Aが幅広ではなく、前方粘着部142を有さないナプキン1であってもよい。逆に、ナプキン1の後方領域が幅広なナプキン1であり、幅広な後方領域の幅方向の両端部を固定する粘着部(第2粘着部)と中央粘着部141(第1粘着部)の間に折り部F1,F2を設けてもよい。
また、個包装体10が剥離紙13を有しておらず、ナプキン1がずれ止め部8にて包装材11に直接固定されていてもよい。この場合、折り部F1,F2において、ナプキン1に対して包装材11を弛ませる。また、個包装体10の製造ラインにおいて、剥離紙13が固定された包装材11の連続体に、ナプキン1が合流してもよい。この場合、折り部F1,F2において、ナプキン1に対して包装材11及び剥離紙13を弛ませる。これらの場合、折り部F1,F2にナプキン1のずれ止め部8(物品側粘着部)を設けないようにする。
具体的には、図2に示すように、中央ずれ止め部81(第1粘着部)と前方ずれ止め部82(第2粘着部)を幅方向に離間して配置し、中央ずれ止め部81(第1粘着部)とウィングずれ止め部83(第2粘着部)を幅方向に離間して配置する。そして、幅方向における、中央ずれ止め部81と前方ずれ止め部82の間であり、中央ずれ止め部81とウィングずれ止め部83の間に、折り部F1,F2を設けるとよい。
また、包装材11において、ナプキン1のずれ止め部8が固定された固定領域16が前述の固定領域15に相当する。具体的には、包装材11において中央ずれ止め部81が固定された領域を中央固定領域161(第1領域)と呼び、前方ずれ止め部82が固定された領域を前方固定領域162(第2領域)と呼び、ウィングずれ止め部83が固定された領域をウィング固定領域163(第2領域)と呼ぶ。
そして、第1状態(図2)における中央固定領域161と前方固定領域162の幅方向の離間距離W5を、第2状態(図9)における中央固定領域161と前方固定領域162の幅方向の離間距離W6よりも短くする。同様に、第1状態における中央固定領域161とウィング固定領域163の幅方向の離間距離W7を、第2状態における中央固定領域161とウィング固定領域163の幅方向の離間距離W8よりも短くする。
そうすることで、折り部F1,F2において、ナプキン1に対して包装材11が弛んでいるか、ナプキン1に対して剥離紙13及び包装材11が弛んでいることになる。そのため、折り部F1,F2において包装材11及び剥離紙13がナプキン1を強く押し付けてしまうことを抑制でき、折り部F1,F2によるナプキン1の折り皺を軽減できる。
固定領域15,16の離間距離W1〜W8の比較方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、個包装体10の全ての折り部F1〜F4を展開して第1状態にする。そして、包装材11において、中央固定領域151,161の幅方向一方側の端151a,61aの位置と、幅方向一方側の前側固定領域152,162の幅方向他方側の端152b,162bの位置、又は幅方向一方側のウィング固定領域153,163の幅方向他方側の端153b,163bの位置とを確認する。その2つの位置を包装材11の外側面に印す。
次に、第1状態の個包装体10を平台の上に固定する。個包装体10の外側面を上にし、かつ包装材11がピンと張られた状態で、個包装体10を平台の上に固定する。そして、包装材11に印された2つの位置の幅方向の間隔を測定し、第1状態における離間距離W1,W3,W5,W7とする。
次に、包装材11からナプキン1及び剥離紙13を取り外して第2状態にする。剥離紙13はトルエンやコールドスプレーを用いる等して包装材11から取り外すとよい。包装材11の外側面を上にし、かつ包装材11がピンと張られた状態で、包装材11を平台の上に固定する。そして、包装材11に印された2つの位置の幅方向の間隔を測定し、第2状態における離間距離W2,W4,W6,W8とする。こうして得られた離間距離W1〜W8を比較する。
なお、固定領域15,16の内々間の距離を比較するに限らない。個包装体10が剥離紙13を有する場合、包装材11の外側からナプキン1のずれ止め部8を視認しにくい。その場合、ナプキン1のずれ止め部8が包装材11に固定されている位置まで包装材11をめくりながらすれ止め部8(固定領域16)の位置を確認するとよい。その場合、包装材11における各固定領域161〜163の幅方向の外側端161a〜163aの位置が確認しやすので、外側端161a〜163a同士の間隔を比較してもよい。
また、中央固定領域151,161とウィング固定領域153,163の間には、厚みのある吸収体2の幅方向の端2bが位置する。この場合、吸収性コア2の端2bにおける段差が離間距離に影響しないように、吸収体2が存在する個包装体10の領域を浮かせて測定してもよい。具体的には、間隔を空けて配置された2つの平台の上に、吸収体2が存在しない個包装体10の幅方向の両側部をそれぞれ載せて測定するとよい。
また、本実施形態の個包装体10は、ナプキン1の幅方向の両側部が、前後方向(長手方向)に沿う折り部F1,F2にて折り畳まれており、ナプキン1の前後方向の両端部が、幅方向に沿う折り部F3,F4にて折り畳まれている。このように個包装体10の折り部F1〜F4の数が多い場合、ナプキン1における折り皺の数が増えて、折り皺が目立ちやすくなってしまう。そのため、個包装体10が有する少なくとも一部の折り部において(本実施形態では前後方向に沿う折り部F1,F2において)包装材11を弛ませ、折り皺を軽減することで、折り皺を目立ちにくくすることができる。
また、前後方向に沿う折り部F1,F2において包装材11を弛ませ、幅方向に沿う折り部F3,F4においては、包装材11を弛ませないようにするとよい。つまり、剥離紙13の中央粘着部141及びナプキン1の中央ずれ止め部81の少なくとも一方を、幅方向に沿う折り部F3,F4が跨ぐようにするとよい。本実施形態では、幅方向に沿う折り部F3,F4が中央粘着部141及び中央ずれ止め部81の両方を跨いでいる。
そうすることで、前後方向に沿う折り部F1,F2による、長く目立ちやすい折り皺を軽減できる。一方、幅方向に沿う折り部F3,F4による折り皺は軽減されないが、その折り皺は短く目立ちにくい。また、中央粘着部141や中央ずれ止め部81を、ナプキン1の前後方向に長く連続して設けることができる。そのため、剥離紙13を包装材11にしっかりと固定したり、ナプキン1を下着にしっかりと固定したりすることができる。また、中央粘着部141や中央ずれ止め部81をナプキン1の前後方向に連続して配置できるため、製造工程(接着剤の塗布工程)が容易となる。
しかし、上記に限定されない。例えば、個包装体10が有する全ての折り部F1〜F4において包装材11を弛ませてもよいし、前後方向に沿う折り部F1,F2では包装材11を弛ませずに、幅方向に沿う折り部F3,F4において包装材11を弛ませてもよい。また、前後方向に沿う複数の折り部F1,F2の一部でのみ包装材11を弛ませてもよいし、幅方向に沿う複数の折り部F3,F4の一部でのみ包装材11を弛ませてもよい。
また、個包装体10の折り畳み方法も上記に限定されない。例えば、個包装体10が、前後方向に沿う折り部は有さず、幅方向に沿う折り部にて3つ折り又は4つ折りされていてもよい。その場合、幅方向に沿う折り部において包装材11を弛ませるとよい。
幅方向に沿う折り部F3,F4において包装材11を弛ませるためには、粘着部を前後方向(所定方向)に離間して配置し、その間に幅方向に沿う折り部F3,F4を設けるとよい。この粘着部とは、ナプキン1及び剥離紙13に対して包装材11を弛ませる場合には、剥離紙13の紙側粘着部14が相当し、ナプキン1に対して包装材11のみ又は包装材11及び剥離紙13を弛ませる場合には、ナプキン1のずれ止め部8が相当する。そして、第1状態の方が第2状態に比べて、前後方向に離間している粘着部の離間距離が短くなるようにする。
また、本実施形態の個包装体10は剥離紙13を有する。そして、中央ずれ止め部81及び中央粘着部141(第1粘着部)を覆う中央剥離紙131と、前方ずれ止め部82及び前方粘着部142(第2粘着部)を覆う前方剥離紙132と、ウィングずれ止め部83及びウィング粘着部143(第2粘着部)を覆うウィング剥離紙133は、分離されたシートとなっている。
これら分離されたシート131〜133は、第1状態における個包装体10を平面視したとき、前後方向に沿う折り部F1,F2と重ならないことが好ましい。そうすることで、折り部F1,F2において剥離紙13からナプキン1に力がかかることがなく、ナプキン1が剥離紙13に押し付けられながら折り畳まれてしまうことを防止できる。よって、折り部F1,F2による折り皺をより軽減できる。換言すると、折り皺を軽減するために、折り部F1,F2においてナプキン1に対して剥離紙13を弛ませる必要がなくなる。
次に、固定領域15,16の離間距離W1〜W8に関して説明する。以下に説明することは、ナプキン1及び剥離紙13に対して包装材11を弛ませる場合には、少なくとも剥離紙13の紙側粘着部14の固定領域15が満たしていればよい。一方、ナプキン1に対して包装材11のみ又は包装材11及び剥離紙13を弛ませる場合には、少なくともナプキン1のずれ止め部8の固定領域16が満たしていればよい。
そして、折り部F1,F2により幅方向(所定方向)に折り返された個包装体10の部位(幅方向の側部)と重なる個包装体10の部位(幅方向の中央部)の、最大厚さをtとする(厚さtの測定方法は前述の方法と同様である)。その場合、図9に示すように、折り部F1,F2において外側に膨らんだ個包装体10の湾曲部の外側の長さ(Fa〜Fe〜Fb)は「πt」となる。折り部F1,F2以外において重ねられた個包装体10の厚さは「2t」となる。この長さの差「πt−2t」が、折り部F1,F2において個包装体10が外側に膨らんだ分の長さとなる。また、折り部F1,F2における個包装体10の折り起点は、個包装体10の厚さ方向の中間地点(Fa2〜Fe2〜Fb2)となる。この折り起点において個包装体10が外側に膨らんだ分の長さは、上記の長さの半分の長さ「πt/2−t」となる。
そこで、第1状態における固定領域15,16の離間距離W1,W3,W5,W7と、第2状態における固定距離15,16の離間距離W2,W4,W6,W8との差、つまり、包装材11を弛ませる長さを「πt/2−t」以上にするとよく、より好ましくは「πt−2t」以上にするとよい。
そうすることで、折り部F1,F2において外側に膨らんだナプキン1の湾曲部を、弛んだ包装材11で覆うことができる。よって、折り部F1,F2において包装材11がナプキン1を強く押し付けてしまうことを抑制でき、折り部F1,F2によるナプキン1の折り皺を軽減できる。なお、前述したように、幅方向の折り部F3,F4の方が、長手方向の折り部F1,F2よりも後の折り部となるため、折り部F3,F4の湾曲部も大きく、tの値も大きくなる。そのため、包装材11を弛ませる長さもながくなる。
一方で、第1状態における固定領域15,16の離間距離W1,W3,W5,W7と、第2状態における固定距離15,16の離間距離W2,W4,W6,W8との差、つまり、包装材11を弛ませる長さを「πt」以下にすることが好ましい。すなわち、包装材11を弛ませる長さを、折り部F1,F2において外側に膨らんだ個包装体10の湾曲部(Fa〜Fe〜Fb)の長さ「πt」以下にとどめるとよい。そうすることで、折り部F1,F2において包装材11が必要以上に弛んでしまうことを防止できる。よって、個包装体10の外観が低下してしまうことを抑制できる。
また、第1状態における固定領域15,16の離間距離W1,W3,W5,W7が「πt」以上であることが好ましい。そうすることで、折り部F1,F2に剥離紙13の紙側粘着部14が位置せず、ナプキン1及び剥離紙13に対して包装材11を弛ませることができる。また、折り部F1,F2にナプキン1のずれ止め部8が位置せず、ナプキン1に対して包装材11を弛ませたり、包装材11及び剥離紙13を弛ませたりすることができる。よって、折り部F1,F2による折り皺を軽減できる。
また、本実施形態のナプキン1は、図5に示す温感剤配置領域301や図6に示す香料剤配置領域311のように、所定の機能を発揮する剤(以下「機能剤」とも呼ぶ)が配置された配置領域を有する。ナプキン1が有する機能剤は1種類であっても複数種類であってもよい。また、ナプキン1が温感剤30及び香料剤31を有するに限らず、別の機能剤を有してもよい。別の機能剤としては、例えば、冷感剤、漢方薬剤、皮膚収斂剤、抗炎症剤、抗菌剤、pH調整剤、保湿剤等を例示できる。これらは周知のものを採用できる。
また、一般に、ナプキン1に機能剤が定着しやすいように、機能剤は溶媒や接着剤と共に配置(塗布)される。つまり、ナプキン1の製造ラインにおいて、機能剤は、ナプキン1を構成する資材の何れかに液体状で配置される。そのため、機能材が配置された領域では、機能材が配置されていない領域に比べて、ナプキン1を構成する資材の繊維がへたりやすい。繊維がへたった領域では、ナプキン1のクッション性(圧縮回復性)が低下し、折り皺が生じやすくなってしまう。
そのため、第1状態における個包装体10を平面視したとき、前後方向に沿う折り部F1,F2は、機能材の配置領域(本実施形態の温感剤配置領域301及び香料剤配置領域311)と重ならないことが好ましい。そうすることで、折り部F1,F2が位置するナプキン1の部分では、資材がへたらず、ナプキン1のクッション性が保たれる。そのため、折り部F1,F2での折り皺をより軽減できる。ただし、ナプキン1は機能材を有していなくてもよい。
なお、温感剤30等の、機能材の配置領域の確認方法としては次の方法が考えられる。例えば、コールドスプレー等を用いて、厚さ方向に積層されたナプキン1の資材を分解し、各資材に竹炭やココアパウダーなどの有色の細かい粒子を撒いた後に、粒子を払う方法である。機能材が配置された部分には粒子が多く付着するため、機能材の配置領域を特定できる。
その他、温感剤30の配置領域の特定するために、ナプキン1から前後方向及び幅方向に所定のサイズで細かく多数のサンプルを切り出し、官能試験を行ってもよい。例えば検査者の二の腕に切り出したサンプルを当て、その上にPEシート等の気密性の高いシートを重ねる。検査者は、サンプルの温感効果を感じるまでの時間を計測して記録する。サンプルごとの計測時間を比較し、計測時間が短いサンプルを切り出したナプキン1の位置を、温感剤30の配置領域として特定できる。
また、圧搾部20では、周囲に比べてナプキン1の厚みが薄くなる。そのため、圧搾部20は、周囲との剛性差により、折れ起点となりやすい。サイド圧搾部21は、サイドシート6を肌側シート3に固定する圧搾部20であり、ナプキン1の幅方向の両側部において前後方向に長く延びて設けられている。そのため、ナプキン1の幅方向の両側部は、サイド圧搾部21を起点に折れやすい。よって、上記のように、前後方向に沿う折り部F1,F2がサイド圧搾部21と重なることで、ナプキン1は折り部F1,F2にて折れやすくなる。
また、ナプキン1を構成する資材の端(例えば幅方向における吸収性コア2の側端や肌側シート3の側端等)においても、ナプキン1の厚さが変わる。そのため、資材の端が位置するナプキン1の部分も、周囲との剛性差により折れ起点となりやすい。よって、前後方向に沿う折り部F1,F2がナプキン1を構成する資材の端と重なることで、ナプキン1は折り部F1,F2にて折れやすくなる。
このように、第1状態における個包装体10を平面視したとき、前後方向に沿う折り部F1,F2は、ナプキン1の厚さが変わる部分と重なる領域を有することが好ましい。そうすることで、ナプキン1は折り部F1,F2において折れやすくなり、綺麗に折り返される。よって、折り部F1,F2による折り皺が軽減される。
また、ナプキン1が温感剤30や香料剤31等の揮発性物質を有する場合、揮発性物質の揮発を抑制する包装材11を用いるとよい。例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の溶着が可能な樹脂を含有するシート層の間に、エチレン‐ビニルアルコール共重合体シート(EVOH)等の揮発性物質の揮発を抑制可能な物質を含有する層を備える包装材を例示できる。このような包装材11を使用することで、個包装体10の開封前に温感剤30等が揮発してしまうことを抑制でき、着用者がナプキン1を使用する際に温感剤30等の機能が発揮される。
上記のような複数層で構成される包装材11の幅方向(所定方向)の引張強度は、合成樹脂フィルム等の非肌側シート5の幅方向の引張強度よりも高くなる。つまり、包装材11は、非肌側シート5に比べて幅方向に伸び難いシートとなる。この場合、前後方向に沿う折り部F1,F2にてナプキン1の幅方向の両側部が幅方向の内側に折り返される際に、ナプキン1は包装材11からより強く押し付けられ、ナプキン1に折り皺が生じやすくなる。しかし、本実施形態では、折り部F1,F2において包装材11に弛みを持たせるため、折り皺を軽減できる。つまり、幅方向に伸び難い包装材11を使用する場合であっても、折り部F1,F2による折り皺を軽減できる。ただし上記に限定されず、SMS不織布等の伸びやすいシートを包装材11に採用してもよい。
包装材11と非肌側シート5の引張強度の測定方法としては、以下の方法を例示できる。まず、個包装体10から包装材11及び非肌側シート5のサンプルを切り取る。サンプルは、ナプキン1の幅方向(所定方向)の長さが80mm、ナプキン1の前後方向の長さが20mm程度の大きさにするとよい。なお、コールドスプレーやトルエン等を用いて各資材を分離し、包装材11からは剥離紙13を取り外す。
次に、ナプキン1の幅方向が引張方向と一致するように、サンプルを引張試験機に取り付ける。引張試験機は、例えばインストロン社製の引張試験機を採用できる。チャック間隔は50mm程度にするとよい。そして、引張速度500mm/minでサンプルを引っ張った時に得られる測定値を引張強度(N)とする。例えば、サンプルを3%伸長させた時の測定値を引張強度にするとよい。また、引張強度は、複数回(例えば5回)測定した値の平均値を採用するとよい。
また、図5に示すように、本実施形態のナプキン1には、前方から中央部にかけて温感剤配置領域301が設けられている。そのため、正しい前後の向きでナプキン1が装着されると、着用者の下腹部に温感を付与できる。このようにナプキン1の機能や形状がナプキン1の前後方向に非対称である場合、着用者に正しい前後の向きでナプキン1を装着してもらう必要がある。
そこで、本実施形態のナプキン1には、ナプキン1の肌面側から視認可能な、ナプキン1の長手方向の前後を示す圧搾部20が設けられている。そのような圧搾部20を表示圧搾部22と呼ぶ。具体的には、図1に示すように、圧搾部20によって形成された熊の図柄23が表示圧搾部22に相当する。熊の図柄23の上下方向がナプキン1の前後方向に沿い、熊の図柄23の頭側(上側)がナプキン1の前側に対応している。ナプキン1の装着時に熊の図柄23を見た着用者は、直感的にナプキン1の前後方向を認識し、熊の図柄23の頭側が自身の腹側に位置するようにナプキン1を装着できる。つまり、正しい前後の向きでナプキン1が装着される。
表示圧搾部22は、ナプキン1の前後方向を示すことのできる表示であれば特に限定されない。熊の図柄23のように上下方向を有する図柄(例えば動物や植物や乗り物等)や、文字(例えば「まえ」等)、数字、上下方向を有する記号、及びこれらの組み合わせ等であってもよい。また、表示圧搾部22の上下方向はナプキン1の前後方向に沿って平行であるに限らない。表示圧搾部22の上下方向がナプキン1の前後方向に対して90度未満で傾いていてもよい。
また、本実施形態のナプキン1は、熊の図柄23の他にも表示圧搾部22を有する。1つは、圧搾部20によって形成された「HOT」という文字24である。もう1つは、圧搾部20によって形成された熊の脚(肉球)の図柄25である。このようにナプキン1が表示圧搾部22を複数有することで、着用者がナプキン1の前後方向をより認識しやすくなる。
また、前述したように、本実施形態では、前後方向に沿う折り部F1,F2において包装材11を弛ませて、折り皺を軽減している。しかし、表示圧搾部22が前後方向に沿う折り部F1,F2を跨いでいないことが好ましい。そうすることで、折り部F1,F2による折り皺によって、表示圧搾部22の視認性が低下してしまうことを防止できる。よって、正しい前後の向きでナプキン1が装着されやすくなる。
また、表示圧搾部22は、図11に示すような、複数の部分26〜28を有するものであってもよい。具体的に、表示圧搾部22は、前側から、熊の頭の図柄26と、蝶ネクタイの図柄27と、熊の脚(肉球)の図柄28を有する。これら3つの図柄26〜28によって、熊の全身が表されている。この場合、表示圧搾部22が有する複数の部分26〜28のうちの2つ以上の部分が、それぞれ前後方向を示すことが好ましい。図11に示す表示圧搾部22では、熊の頭の図柄26と熊の脚の図柄28がナプキン1の前後方向を示している。そうすることで、着用者がナプキン1の前後方向をより認識しやすくなり、正しい前後の向きでナプキン1が装着されやすくなる。
また、図9とは異なり、表示圧搾部22が前後方向に沿う折り部F1,F2を跨いでいてもよい。具体的に、図11では、表示圧搾部22が有する1つの部分である熊の頭の図柄26が折り部F1,F2を跨いでいる。この場合、折り部F1,F2を跨ぐ表示圧搾部22によって折り部F1,F2が展開しやすくなる。そのため、折り部F1,F2での折り癖が軽減され、展開状態でのナプキン1の平坦性が向上する。よって、着用者とナプキン1の間に隙間が生じ難くなり、排泄物の漏れや着用時の違和感を抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。