WO2021210602A1 - レーザ溶接方法 - Google Patents

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Abstract

レーザ溶接方法は、試験溶接ステップと本溶接ステップとを備えている。試験溶接ステップは、レーザ光Lと測定光Sとを同軸に重ね合わせて、複数の溶接方向にそれぞれに沿って、本溶接ステップにおける溶接速度で移動しながら溶接部35に照射するステップと、溶接部35で反射した測定光Sに基づいて、溶接部35の溶け込み深さを測定するステップと、を備えている。また、複数の測定値の相対比較により、溶接部35の溶接中心37bに対して測定光Sが光軸ずれしたずれ量を導出するステップと、ずれ量に基づいて、測定光Sの照射位置を溶接中心37bに一致させるように修正するステップと、を備えている。

Description

レーザ溶接方法
 本開示は、レーザ溶接方法に関する。
 従来より、溶接部の溶け込み深さを直接測定することで、溶接部の品質を評価するようにしたレーザ溶接装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
 特許文献1には、レーザ光と測定光とを同軸上に重ね合わせて溶接部のキーホール内部に照射して、キーホールの底部で反射した測定光を、ビームスプリッタを介して光干渉計に入射させるようにした構成が開示されている。ここで、光干渉計では、測定光の光路長を測定できるため、測定した光路長からキーホールの深さを、溶接部の溶け込み深さとして特定するようにしている。
特開2012-236196号公報
 しかしながら、例えば、ビームスプリッタが熱によって歪んでしまい、レーザ光と測定光との光軸ずれが生じた場合には、キーホールの深さを正確に特定することができなくなるおそれがある。
 具体的に、キーホールの底部の断面は、溶接方向の前方の部分で溶け込みが浅い湾曲形状となっている。ここで、レーザ光よりも溶接方向の前方に測定光が光軸ずれした場合には、キーホールの最深部ではなく、最深部よりも溶け込みの浅い湾曲部分に測定光が照射されることとなる。そのため、キーホールの実際の最深部よりも浅い深さが測定されてしまうおそれがあった。
 本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶接部の溶け込み深さを精度良く特定可能なレーザ溶接方法を提供することにある。
 上記目的を達成するため、本開示に係るレーザ溶接方法は、レーザ光で溶接対象物の溶接部を溶接するレーザ溶接方法であって、試験溶接ステップと、前記試験溶接ステップでの評価結果に基づいて行われる本溶接ステップと、を備え、前記試験溶接ステップは、前記レーザ光と、該レーザ光とは波長の異なる測定光とを同軸に重ね合わせて、複数の溶接方向にそれぞれに沿って、前記本溶接ステップにおける溶接方向の溶接速度で移動しながら前記溶接部に照射する溶接ステップと、前記溶接ステップの実行中に、前記溶接部で反射した前記測定光に基づいて、複数の溶接方向における該溶接部の溶け込み深さを測定する測定ステップと、測定された複数の測定値の相対比較により、前記溶接部の溶接中心に対して前記測定光が光軸ずれしたずれ量を導出する評価ステップと、前記評価ステップでの評価結果に基づいて、前記測定光の照射位置を、前記溶接中心に一致させるように修正する照射位置修正ステップと、を備えたことを特徴とする。
 本開示によれば、溶接部の溶け込み深さを精度良く特定することができる。
一実施形態に係るレーザ溶接装置の模式図である。 レーザ照射ヘッドの構成を示す模式図である。 レーザ光、測定光、キーホールの位置関係を示す側面断面図である。 測定光の光軸ずれが生じたときのレーザ光、測定光、キーホールの位置関係を示す側面断面図である。 光軸ずれが生じていない場合と、光軸ずれが生じている場合とで、溶け込み深さの測定結果を比較したグラフ図である。 キーホールの中心に対し測定光の照射位置を変化させた状態を示す図である。 レーザ光の出力が一定で溶接速度と溶接方向を変えた場合の、キーホールの深さの測定位置と測定深さとの関係を示す図である。 レーザ光の溶接速度が一定で出力と溶接方向を変えた場合の、キーホールの深さの測定位置と測定深さとの関係を示す図である。 試験溶接における測定光の移動方向を示す図である。 本実施形態に係るレーザ溶接手順を示すフローチャートである。 補正テーブルの一例を示す図である。 実施例に係る測定光の照射位置調整前の溶接方向と溶け込み深さとの関係を示す図である。 実施例に係る測定光の照射位置調整後の溶接方向と溶け込み深さとの関係を示す図である。
 以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
 図1に示すように、レーザ溶接装置10は、レーザ光Lを出力するレーザ発振器11と、測定光Sを出力する光干渉計12と、レーザ光L及び測定光Sを溶接対象物30に向けて照射するレーザ照射ヘッド20(照射部)と、レーザ照射ヘッド20が取り付けられてレーザ照射ヘッド20を移動させるロボット50と、レーザ照射ヘッド20やロボット50の動作を制御してレーザ溶接を行う制御装置16とを備えている。
 レーザ発振器11は、制御装置16からの指令に基づいて、レーザ光Lを出力する。レーザ発振器11とレーザ照射ヘッド20とは、光ファイバ40で接続されている。レーザ光Lは、光ファイバ40を介して、レーザ発振器11からレーザ照射ヘッド20に伝送される。
 光干渉計12は、レーザ光Lとは波長の異なる測定光Sを出力する測定光発振器13と、後述する溶接部35の溶け込み深さを測定する測定部14とを有する。測定光発振器13は、制御装置16からの指令に基づいて、測定光Sを出力する。光干渉計12とレーザ照射ヘッド20とは、光ファイバ40で接続されている。測定光Sは、光ファイバ40を介して、光干渉計12からレーザ照射ヘッド20に伝送される。
 レーザ照射ヘッド20は、ロボット50のアーム先端部分に取り付けられており、制御装置16からの指令に基づいて、レーザ光L及び測定光Sを溶接対象物30で結像する。
 ロボット50は、制御装置16からの指令に基づいて、レーザ照射ヘッド20を指定された位置まで移動させ、レーザ光L及び測定光Sを走査する。
 制御装置16は、レーザ発振器11、光干渉計12、ロボット50と接続されており、レーザ照射ヘッド20の移動速度の他に、レーザ光Lの出力開始や停止、レーザ光Lの出力強度などを制御する機能も備えている。詳しくは後述するが、制御装置16は、測定部14で測定された複数の測定値に基づいて、溶接部35の溶け込み深さを算出する演算部17を有する。また、制御装置16は、互いに異なる溶接方向に対して試験溶接を行う場合に、各方向での測定値に基づいて、後で述べる溶接中心37bに対する測定光Sの光軸ずれ方向及びずれ量を導出する判定部18を有している。また、ずれ量を導出するにあたって参照される補正テーブル(図9参照)を保存する記憶部19を有する。
 溶接対象物30は、上下に重ね合わされた上側金属板31と下側金属板32とを有する。レーザ溶接装置10は、上側金属板31の上面にレーザ光Lを照射することで、上側金属板31と下側金属板32とを溶接する。
 ここで、本実施形態に係るレーザ溶接装置10では、レーザ溶接と同時に溶接部35の溶け込み深さの測定を行うことができるようになっている。
 具体的に、図2に示すように、レーザ照射ヘッド20は、レーザ光Lが通過する第1のコリメートレンズ21及び第1のフォーカスレンズ22と、測定光Sが通過する第2のコリメートレンズ23及び第2のフォーカスレンズ24と、レーザ光Lと測定光Sとを同軸の光束に結合するビームスプリッタ25と、第1の平行平板26と、第2の平行平板27とを有する。
 ビームスプリッタ25は、ダイクロイックミラーであり、レーザ発振器11からのレーザ光Lを透過し、光干渉計12からの測定光Sを反射するように、透過・反射させる波長が設定されている。
 このとき、ビームスプリッタ25で、レーザ光Lと測定光Sとを十分に分離するために、レーザ光Lと測定光Sとの波長差を100nm以上とすることが望ましい。
 第1の平行平板26及び第2の平行平板27は、図示しないモータに接続され、制御装置16からの指令に従って回転する。
 レーザ発振器11から出力されたレーザ光Lは、光ファイバ40を通ってレーザ照射ヘッド20に送られる。レーザ照射ヘッド20に入ったレーザ光Lは、第1のコリメートレンズ21によって平行化され、第1のフォーカスレンズ22によって集光される。第1のフォーカスレンズ22で集光されたレーザ光Lは、ビームスプリッタ25を透過する。
 一方、光干渉計12から出力された測定光Sは、光ファイバ40を通ってレーザ照射ヘッド20に送られる。レーザ照射ヘッド20に入った測定光Sは、第2のコリメートレンズ23によって平行化され、第2のフォーカスレンズ24によって集光される。その後、測定光Sは、ビームスプリッタ25によって、レーザ光Lと同心・同軸上に重ね合わされる。
 なお、第2のフォーカスレンズ24は、溶接部35から反射した測定光Sを、ビームスプリッタ25を介して、光干渉計12に再度、入射させる機能も有している。
 そして、同軸に重ね合わされたレーザ光Lと測定光Sとは、制御装置16によって制御された第1の平行平板26及び第2の平行平板27を通ることによって、レーザ光L及び測定光Sの照射位置(焦点距離)が決定され、溶接対象物30の溶接部35にレーザ光L及び測定光が照射される。
 このとき、レーザ照射ヘッド20は、第1の平行平板26及び第2の平行平板27を回転させることにより、レーザ光Lと測定光Sとが円軌道となるように回転させ、旋回移動させることができる。つまり、第1の平行平板26及び第2の平行平板27は、レーザ光L及び測定光Sの照射位置を変更可能な照射位置変化部を構成している。
 また、ロボット50によって、レーザ照射ヘッド20を移動させることで、溶接対象物30における溶接領域において、レーザ光L及び測定光Sの照射位置を移動させることができる。
 図3に示すように、レーザ溶接装置10では、上側金属板31と下側金属板32とを有する溶接対象物30の溶接部35を溶接するにあたり、溶接対象物30の上方から上側金属板31の上面にレーザ光Lが照射される。
 レーザ光Lの照射された溶接部35は、その上部から溶融し、溶接部35に溶融池36が形成される。溶接部35が溶融する際に、溶融池36から溶融金属が蒸発し、蒸発時に生じる蒸気の圧力によってキーホール37が形成される。ここでは、溶融池36とキーホール37とを合わせて溶接部35として扱う。溶融池36の溶接方向の後方には、溶融池36が凝固することで凝固部38が形成される。
 このとき、光干渉計12から出射される測定光Sが、ビームスプリッタ25により、レーザ発振器11からのレーザ光Lと同心・同軸上に重ね合わされ、キーホール37の内部に照射される。照射された測定光Sは、キーホール37の底部37aで反射し、ビームスプリッタ25を介して、光干渉計12に入射する。
 光干渉計12に入射した測定光Sの光路長は、測定部14で測定される。測定部14では、測定した光路長からキーホール37の深さを、溶接部35の溶け込み深さとして特定する。レーザ溶接装置10では、特定した溶け込み深さに基づいて、溶接部35の良否を判断するようにしている。
 以上の構成により、レーザ溶接装置10は、溶け込み深さ測定機能と、レーザ溶接機能とを同時に行うことを可能とする。
 [本願発明に至った知見]
 ところで、例えば、ビームスプリッタ25が熱によって歪んでしまい、レーザ光Lと測定光Sとの光軸ずれが生じることがある。そして、レーザ光Lと測定光Sとの光軸ずれが生じた場合には、光干渉計12が、キーホール37の深さを実際の深さよりも浅く測定してしまい、溶け込み深さを精度良く測定することができない場合がある。
 具体的に、キーホール37は、溶接部35で溶融した金属が蒸発し、蒸発時の蒸気の圧力によって形成される。形成されるキーホール37の形状は、レーザ光Lの照射時間や溶融池36の状態によって変化する。
 ここで、キーホール37の溶接方向の前方の内壁部は、レーザ照射ヘッド20の溶接方向への移動速度(溶接速度)が速くなるほど、キーホール37の後方に向かって湾曲した形状となる傾向を示す。そこで、キーホール37の底部37aの湾曲部分の曲率を低減するために、溶接速度を適切に設定するのが好ましい。
 しかしながら、溶接速度を適切に設定したとしても、キーホール37の開口径と底部37aの孔径とを略等しくするのは困難であり、キーホール37の溶接方向の前方の内壁部では、溶け込みが浅い湾曲形状が生じてしまうこととなる。
 そのため、図4の仮想線で示すように、測定光Sが、レーザ光Lに対して溶接方向の前方に光軸ずれした場合には、キーホール37の底部37aの位置と、測定光Sのスポットの中心の位置とが一致しなくなり、測定光Sが底部37aに照射されない状態が生じ得る。
 底部37aに測定光Sが照射されない状態、例えば、測定光Sが、レーザ光Lに対して溶接方向の前方に光軸ずれして、キーホール37の前側の内壁部に測定光Sが照射された状態では、測定光Sの反射した位置を底部37aの位置として、光干渉計12は、キーホール37の深さを測定する。
 つまり、キーホール37の実際の深さとしての底部37aに測定光Sが照射されなければ、光干渉計12は、キーホール37の深さを実際の深さよりも浅く測定してしまう。図4に示す例では、キーホール37の実際の深さDminよりも浅い深さDを測定することと
なる。このように、実際の深さよりも浅く測定したキーホール37の深さからは、精度良く溶接部35の検査を行うことはできない。
 以下、光軸ずれが生じていない場合と、光軸ずれが生じている場合とで、溶接部35の溶け込み深さ、つまり、キーホール37の深さの測定値がどのように変化するのかについて説明する。
 図4に示す例では、上側金属板31の板厚が1mm、下側金属板32の板厚が4.3mmであり、測定光Sの光軸が、レーザ光Lの光軸よりも溶接方向の前方に100μmずれているものとする。
 図5は、溶接対象物30の表面または基準となる仮想の面からの、溶接部35の溶け込み深さとして、キーホール37の深さを測定したときのグラフ図である。図5に示すように、光軸ずれが生じている方向に移動させながら溶け込み深さを測定した場合には、キーホール37の深さの測定値が3mm付近を推移している。これに対し、光軸ずれが生じていない場合には、キーホール37の深さの測定値が4mm付近を推移している。
 なお、測定値が浅くなるのは、測定光Sがレーザ光Lに対して溶接方向の前方に光軸ずれしている場合なので、例えば、レーザ光Lの溶接方向の後方向や左右方向に測定光Sが光軸ずれしている場合は、キーホール37の深さの測定値が4mm付近を推移することとなる。
 また、このような測定値の差は、前述した溶接方向への移動速度である溶接速度やレーザ光Lの出力に大きく依存している。例えば、溶接速度やレーザ光Lの出力を変えてキーホール37の深さを測定する。また、同じ溶接速度やレーザ光Lの出力において、レーザ光Lの溶接方向として図6Aに示す4方向を選択し、それぞれでキーホール37の深さを測定する。この場合、初期位置(図6Aに示すキーホール37の中心)から0度方向、90度方向、180度方向、270度にそれぞれ向かって、レーザ光Lを移動させる。また、同じ方向において、一回の測定が終了する毎に、図6Aに示すように、測定光Sの照射位置を90度方向から270度方向に沿って、初期位置に対し所定の距離だけ移動させて、再度測定を行う。以下に示す例では、往路として、測定光Sの照射位置を90度方向から270度方向に沿って、25μmずつ移動させて、計7回測定を行った。また、その復路としての逆方向に、測定光Sの照射位置を270度方向から90度方向に沿って、25μmずつ移動させて、計7回測定を行った。また、キーホール37の深さの目標値は2.4mmである。
 図6Bは、レーザ光の出力が一定で溶接速度と溶接方向を変えた場合の、キーホールの深さの測定位置と測定深さとの関係を示す。図6Cは、レーザ光の溶接速度が一定で出力と溶接方向を変えた場合の、キーホールの深さの測定位置と測定深さとの関係を示す。ここで、測定位置の原点(=0)は、前述の初期位置である。図6B,6Cから明らかなように、測定位置が他の位置である場合に比べて、キーホール37の深さの測定値である測定深さが、溶接方向の違いによって大きく変化しない測定位置が初期位置である。言い換えると、例えば、初期位置は、往路として、測定光Sの照射位置を90度方向から270度方向に沿って移動した場合の測定深さと、その復路としての逆方向に、測定光Sの照射位置を270度方向から90度方向に沿って移動した場合の測定深さとの差が0に近い、近似している位置(方向依存性が実質的に無く、溶接方向の違いによってキーホール37の測定深さが大きく変化しない位置)である。なお、この近似している位置とは、測定位置の原点位置となる位置のことである。また、図6Bに示す例では、レーザ光Lの出力が一定(2.5kW)である。図6Cに示す例では、溶接速度が一定(3m/min)である。
 図6Bから明らかなように、測定位置が初期位置から離れるに従い、溶接方向の違いによって測定深さの差が拡大する傾向が見られた。また、この傾向は、溶接速度が高くなるほど大きくなる傾向が見られた。例えば、測定位置を+75μmとすると、溶接方向が90度方向と270度方向とでは、溶接速度が2m/minの場合に、測定深さの差ΔDaが約0.6mmであった。一方、溶接速度が3m/minになると、測定深さの差ΔDbが約0.83mmと拡大した。
 前述したように、キーホール37における溶接方向の前方の内壁部は、溶接速度が速くなるほど、キーホール37の後方に向かって大きく湾曲する。よって、図6Aに示すように、レーザ光Lの溶接方向と測定光Sが初期位置から変位する方向とが同方向または逆方向である場合、溶接速度が高くなるほど、測定光Sは、キーホール37の中心から離れた位置に照射される。また、その位置ずれ量は、初期位置からの測定光Sの変位量に応じて大きくなる。その結果、図6Bに示すように、溶接速度が高くなると、キーホール37の深さの測定値が大きく変動してしまうと考えられる。
 また、図6Cにおいても同様に、測定位置が初期位置から離れるに従い、溶接方向の違いによって測定深さの差が拡大する傾向が見られた。また、この傾向は、レーザ光Lの出力が大きくなるほど大きくなる傾向が見られた。例えば、測定位置を+75μmとすると、溶接方向が90度方向と270度方向とでは、レーザ光Lの出力が2.5kWの場合に、測定深さの差ΔDcが約0.83mmであった。一方、レーザ光Lの出力が3.5kWになると、測定深さの差ΔDdが約1.42mmと拡大した。レーザ光Lの出力が大きくなると、キーホール37の深さ自体が深くなる。このため、同じ溶接速度であっても、レーザ光Lの出力が大きくなると、キーホール37における溶接方向の前方の内壁部は、キーホール37の後方に向かってより大きく湾曲する。その結果、図6Cに示すように、レーザ光Lの出力が大きくなると、キーホール37の深さの測定値が大きく変動してしまうと考えられる。
 [レーザ溶接手順]
  以上の検討から明らかなように、キーホール37の深さの測定値は、溶接方向に影響される。また、溶接速度やレーザ光Lの出力にも影響される。前述の影響を考慮し、試験溶接の溶接速度やレーザ光Lの出力の条件は、本溶接での溶接速度やレーザ光Lの出力の条件で行うのが好ましい。または、本溶接条件の中で、溶接速度やレーザ光Lの出力が最も大きい条件を試験溶接の溶接速度やレーザ光Lの出力の条件に適用して、試験溶接するのがより好ましい。
 そこで、本実施形態では、図7、図8に示すように、レーザ光Lに対してどの方向にどの程度、測定光Sが光軸ずれしているのかを確認するために、レーザ溶接装置10の起動時などに、試験溶接を行い、レーザ光L及び測定光Sの照射位置を互いに異なるn個の方向(nは4以上の整数)にそれぞれ移動させながらレーザ溶接を行うようにした。また、試験溶接での評価結果に基づいて本溶接を行うようにした。なお、試験溶接、本溶接ともに、同じ構造及び材質の溶接対象物30が用いられる。
 図7は、試験溶接における測定光の移動方向を示す図である。なお、図示しないが、レーザ光Lも測定光Sと同軸にかつ同じ方向に移動する。また、図7には、説明を容易にするために、レーザ光Lの照射方向から見た平面視でのキーホール37の外形を破線で示している。図7に示す例では、キーホール37の中心(以下、溶接中心37bという)から90度方向に測定光Sが光軸ずれしている。なお、溶接中心37bは、キーホール37の深さを測定した場合、溶接方向の違いによる測定値の変化が最も小さくなる位置である。つまり、溶接中心37bは、前述の初期位置に対応している。また、溶接中心37bは、通常、キーホール37の最深部の近傍に位置している。溶接中心37bは、溶接部35の溶接中心(加工中心)37bと呼ぶことがある。
 また、本実施形態では、レーザ光Lの溶接方向は第1~第8方向の計8方向であり、図7に示す位置P0から位置P1~P8までそれぞれ放射状に延びている。また、第1~第8方向は、位置P0を中心として等角度間隔、この場合は45度ピッチで配置されている。なお、第1方向が図6Aに示す0度方向に、第2方向が180度方向に、第3方向が90度方向に、第4方向が270度方向にそれぞれ対応している。第2方向は、第1方向とは逆向きの方向であり、第3方向と第1方向と交差する方向である。第4方向は、第3方向とは逆向きの方向である。
 図8に示すように、試験溶接ステップは、ステップS1~S8を含んでおり、ステップS9が本溶接ステップである。
 ステップS1では、レーザ光Lと測定光Sとを同軸に重ねるようにして、溶接対象物30に照射する。さらに、第1~第8方向のそれぞれに沿って、レーザ光Lと測定光Sとを所定の溶接速度で移動させながら、レーザ溶接を行う(ステップS2)。また、溶接部35で反射された測定光Sの反射光に基づいて、キーホール37の深さ、つまり、溶接部35の溶け込み深さを測定する(ステップS3)。このとき、各方向において、キーホール37の深さを連続してまたは複数回測定する。測定回数は、後で述べる光軸ずれ量(以下、単にずれ量という)を導出できる程度に設定される。また、レーザ光Lと測定光Sとは、同じ相対位置を保ったまま移動する。また、ステップS2での溶接速度は、後で述べるステップS9(本溶接ステップ)で溶接対象物30を溶接する際の溶接速度と同じ値(同等の値)に設定している。なお、ステップS2とステップS3は同時に実行される。
 次に、各方向での溶接部35の溶け込み深さの平均値を算出する(ステップS4)。このステップは、制御装置16の演算部17で実行される。さらに、各方向で測定された溶け込み深さの平均値を相対比較し、溶接中心37bに対する測定光Sの光軸ずれ方向を判定する(ステップS5)。このステップは、制御装置16の判定部18で実行される。また、ステップS5では、他の方向に比べて、溶け込み深さの平均値が小さい方向が光軸ずれ方向であると判定される。
 また、各方向で測定された溶け込み深さの平均値に基づいて、溶接中心37bに対する測定光Sのずれ量を導出する(ステップS6)。このステップは、制御装置16の記憶部19に保存された補正テーブルに基づいて、判定部18で実行される。これについてさらに説明する。
 記憶部19には、図9に示す複数の補正テーブルが保存されている。補正テーブルは、キーホール37の深さの実測値(実測深さD)と前述のずれ量(ずれ量d)との関係を予め実験的に求め、この関係を複数の溶接パラメータに関連付けたものである。溶接パラメータとしては、以下に示すものが代表的に挙げられるが、これ以外のパラメータと関連付けられていてもよい。
 (1)単位時間当たりの入熱エネルギー量
 (2)溶接対象物30の構造、具体的には、板材の重ね合わせ構造やT字型に配置された板材のコーナー部等である。
 (3)溶接対象物30の材質
 (4)レーザ光L及び測定光Sの波長
 このうち、単位時間当たりの入熱エネルギー量は、レーザ光Lの出力と溶接速度との積に相当する。つまり、溶け込み深さの測定値とずれ量との関係は、レーザ光Lの出力及び溶接速度に関連付けられて、補正テーブルが構成される。なお、図9に示す補正テーブルの構成は、あくまで例示であり、他の形式であってもよい。例えば、図9に示す複数のテーブルが、1つの溶接パラメータに対してまとめられ、パラメータの値に対して分類されるようにしてもよい。
 例えば、ステップS6では、ステップS4で算出された各方向の平均値を補正テーブルと比較し、各方向に関するずれ量を導出する。
 ステップS6で導出されたずれ量が所定の許容範囲内にあるか否かを判断する(ステップS7)。なお、この許容範囲は、補正テーブルやレーザ溶接に要求される加工公差、また、測定公差の設定値等に応じて適宜決定される。ステップS7での判断結果が肯定的であれば、試験溶接を終了し、本溶接ステップに移行する(ステップS9)。
 一方、ステップS7での判断結果が否定的であれば、ステップS5及びステップS6での評価結果に基づいて、測定光Sの照射位置を溶接中心37bに一致させるように修正する(ステップS8)。このステップは、制御装置16からの制御信号に基づいて、レーザ照射ヘッド20の内部の第1の平行平板26及び第2の平行平板27の回転方向や回転量を調整することにより実行される。また、制御装置16からの制御信号に基づいて、ロボット50を介してレーザ照射ヘッド20を移動させる等のオフセット(補正)をすることで、測定光Sの照射位置を所望の位置に変化させてもよい。なお、ステップS8では、測定光Sの照射位置を溶接中心37bに必ずしも完全に一致させることまでは要求されない。
 次に、ステップS1に戻って、以降のステップを実行する。このルーチンは、ステップS7での判断結果が肯定的になるまで繰り返し実行する。
 また、ステップS8を実行した後の本溶接ステップ(ステップS9)では、測定光Sの照射位置をステップS8で修正された位置に合わせながら、レーザ光Lと測定光Sとを同軸に重ね合わせて溶接部35に照射し、溶接部35を溶接する。
 [効果等]
 以上説明したように、レーザ光Lで溶接対象物30の溶接部35を溶接する本実施形態のレーザ溶接方法は、試験溶接ステップと、試験溶接ステップでの評価結果に基づいて行われる本溶接ステップと、を備えている。
 試験溶接ステップは、レーザ光Lと、レーザ光Lとは波長の異なる測定光Sとを同軸に重ね合わせて、互いに異なる方向である複数の方向にそれぞれに沿って、本溶接ステップ(ステップS9)で溶接対象物30を溶接する際の溶接方向の溶接速度で移動しながら、言い換えると、複数の溶接方向にそれぞれに沿って、本溶接ステップにおける溶接方向の溶接速度で移動しながら、溶接部35に照射する溶接ステップ(ステップS1,ステップS2)と、溶接ステップの実行中に、溶接部35で反射した測定光Sに基づいて、溶接部35の溶け込み深さを測定する測定ステップ(ステップS3)と、を備えている。
 なお、ここで本溶接ステップにおける溶接方向の溶接速度とは、本溶接ステップにおける溶接方向の溶接速度と同等な溶接速度も含まれる。具体的には、試験溶接ステップでの溶接方向の溶接速度は、本溶接ステップにおける溶接速度の±3~5%以内の溶接速度であれば良い。
 また、測定された複数の測定値の相対比較により、溶接部35の溶接中心37bに対して測定光Sが光軸ずれしたずれ量を導出する評価ステップ(ステップS6)と、ステップS6で導出されたずれ量が所定の許容範囲内にあるか否かを判断する判断ステップ(ステップS7)と、評価ステップ(ステップS6)での評価結果に基づいて、測定光Sの照射位置を、溶接中心37bに一致させるように修正する照射位置修正ステップ(ステップS8)と、を備えている。
 本実施形態によれば、互いに異なる方向である複数の溶接方向にそれぞれに沿って、本溶接ステップで溶接対象物30を溶接する際の溶接速度で移動しながら溶接部35に照射して、溶接中心37bと測定光Sの照射位置とのずれ量を導出し、この結果に基づいて、測定光Sの照射位置を溶接部35に形成されたキーホール37の溶接中心37bに一致させている。このことにより、溶接部35の溶け込み深さを精度よく特定することができる。
 溶接ステップでは、レーザ光L及び測定光Sの照射位置を、互いに異なる方向であるn個の方向(nは4以上の整数)にそれぞれ移動させてレーザ溶接を行う。測定ステップでは、n個の方向のそれぞれで溶接部35の溶け込み深さを測定する。
 n個の方向は、第1方向、第1方向とは逆向きの第2方向、第1方向と交差する第3方向、第3方向とは逆向きの第4方向を少なくとも含んでいる。
 このようにすることで、溶接中心37bに対して測定光Sがどの方向に光軸ずれしているのかを特定することができる。また、各方向での溶け込み深さの測定値に基づいて、溶接中心37bに対する測定光Sのずれ量を精度よく導出できる。
 なお、溶接方向の個数nを増やすことで、光軸ずれ方向の特性精度及びずれ量の導出精度が高められ、ひいては、溶け込み深さの測定精度が高められることは言うまでもない。ただし、個数nを増やすことで、試験溶接における溶接回数及び測定回数が増加し、工数が増加するため、工数増加との兼ね合いで、個数nは適宜決定される。
 測定ステップでは、互いに異なる方向であるn個の方向のそれぞれで溶け込み深さを複数回測定し。評価ステップでは、n個の方向のそれぞれでの複数の測定値の平均値を算出することが好ましい。
 このようにすることで、溶接中心37bに対して測定光Sがどの方向に光軸ずれしているのかをより精度よく特定することができる。また、各方向での溶け込み深さの測定値に基づいて、溶接中心37bに対する測定光Sのずれ量をより精度よく導出できる。このことにより、溶け込み深さの測定精度がより高められる。
 溶け込み深さの測定値とずれ量との関係が示された補正テーブルが予め準備されており、評価ステップでは、補正テーブルに基づいてずれ量を導出する。
 このようにすることで、簡便にずれ量を導出することができる。
 補正テーブルは、少なくとも単位時間当たりの入熱エネルギー量と溶接対象物30の構造及び材質とレーザ光L及び測定光Sの波長とにそれぞれ関連付けられている。
 単位時間当たりの入熱エネルギー量が同じであっても、溶接対象物30の構造や材質が異なっていれば、レーザ光Lの実効的な吸収率が異なる。よって、溶接部35の溶け込み深さが異なってくる。また、溶接対象物30の構造や材質が同じであっても、レーザ光Lの波長が異なれば、レーザ光Lの吸収率が異なる。よって、溶接部35の溶け込み深さが異なってくる。また、測定光Sの波長が異なれば、溶け込み深さの測定値が異なる場合がある。
 このように、溶接部35の溶け込み深さ及びその測定値は、レーザ溶接に関する複数のパラメータが関連して変動する。よって、前述のように、複数のパラメータにそれぞれ関連付けて整理された補正テーブルを準備することで、溶接対象物30の構造や材質、また、レーザ光Lの出力を変更した場合にも、溶接中心37bに対する測定光Sのずれ量を簡便に導出することができる。
 単位時間当たりの入熱エネルギー量は、少なくともレーザ光Lの出力及び溶接速度に関連付けられており、少なくとも溶接速度を変更する毎に試験溶接ステップが実行される。
 単位時間当たりの入熱エネルギー量は、溶接部35の溶け込み深さを決定する上で重要なパラメータである。この値が変化すると溶け込み深さが大きく変化する。また、キーホール37の底部37aの形状も変化する。また、前述したように、溶接速度が変更されると、キーホールの溶接方向の前方の内壁部は、その湾曲形状が大きく変化する。したがって、溶け込み深さの測定誤差も大きく変化する。
 よって、溶け込み深さの測定精度を高めるには、単位時間当たりの入熱エネルギー量を変更する毎に試験溶接ステップが実行されるのが好ましく、溶接速度を変更する毎に試験溶接ステップが実行されるのがより好ましい。
 評価ステップでは、n個の方向のそれぞれで測定された複数の測定値の平均値を算出し、平均値が小さい方向を光軸ずれ方向と判定する。
 前述したように、キーホール37の溶接方向の前方の内壁部は、湾曲しているため、この部分に測定光Sが照射されると、実際の溶け込み深さよりも測定値が小さく出てしまう。このことを利用して、光軸ずれ方向を簡便に特定できる。
 照射位置修正ステップの後に、溶接ステップと測定ステップと評価ステップとを再度実行し、評価ステップで導出されたずれ量が所定の許容範囲内であれば、本溶接ステップに進む。
 このようにすることで、本溶接において、溶接部35の溶け込み深さを精度よく特定できるとともに、試験溶接の回数を適正化できる。
 本溶接ステップでは、測定光Sの照射位置を照射位置修正ステップで修正された位置に合わせながら、レーザ光Lと測定光Sとを同軸に重ね合わせて溶接部35に照射し、溶接部35を溶接する。
 このようにすることで、レーザ溶接を行いつつ、溶接部35の溶け込み深さを精度よく特定できる。
 以下に実施例を説明するが、本開示はこの実施例に特に限定されるものではない。
 表1に示す条件で対象溶接物30のレーザ溶接を行った。なお、試験溶接におけるレーザ光Lの溶接方向は、図7に示す測定光Sの移動方向と同じである。つまり、第1~第8方向のそれぞれにレーザ光L及び測定光Sを移動させながら、試験溶接を行った。なお、最初の試験溶接の前段階で、測定光Sの照射位置は、レーザ光Lの照射位置と大まかに合わせているが、細かい位置調整は行っていない。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 試験溶接において、図8のステップS1~S4に示す手順で、第1~第8方向におけるキーホール37の深さの平均値をそれぞれ算出した。また、図8のステップS5及びS6に示す手順で、キーホール37の溶接中心37bに対する測定光Sの光軸ずれ方向を特定し、また、ずれ量を導出した。
 図10Aに示すように、レーザ光Lの溶接方向が変化すると、キーホール37の深さ、つまり、溶接部35の溶け込み深さの平均値がそれぞれ変化した。また、測定光Sの照射位置を溶接中心37bに合わせる前では、図10Aから明らかなように、溶接方向が90度の場合に、溶け込み深さの平均値が最も小さく、270度の場合に、溶け込み深さの平均値が最も大きくなっていた。このことから、光軸ずれ方向は、90度方向の近傍であると特定できた。
 次に、図8のステップS8に示す手順で、測定光Sの照射位置を修正し、再度、試験溶接を行った。この場合、測定光Sの照射位置以外のパラメータは変更していない。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2は、測定光Sの照射位置の修正前後での光軸ずれ方向及びずれ量並びに測定値ばらつきを示し、測定光Sの照射位置の修正前は、溶接中心37bに対する測定光Sのずれ量は、27.7μmで、測定値ばらつきは0.52mmであった。なお、本実施例では、第1~第8方向でのキーホール37の深さの平均値の標準偏差をσとし、その3倍の値3σを平均値ばらつきとした。
 一方、このデータに基づき、前述したように測定光Sの照射位置を修正すると、図10Bに示すように、第1~第8方向での溶け込み深さの平均値ばらつきを小さくすることができた。
 具体的には、表2に示すように、測定光Sの照射位置の修正後には、第1~第8方向での溶け込み深さの平均値ばらつきは、0.18mmとなり、修正前の約1/3にすることができた。また、溶接中心37bに対する測定光Sのずれ量は、7.0μmとなり、修正前の約1/4に小さくすることができた。
 (その他の実施形態)
 なお、前述の実施形態では、光軸ずれ方向を判定するために、試験溶接での溶接経路を放射状に設定したが、例えば、n角形状の溶接経路に沿ってレーザ光L及び測定光Sの照射位置を移動させながら試験溶接を行うようにしてもよい。
 なお、本実施形態では、互いに異なる溶接方向に対して、溶け込み深さを複数回測定し、その平均値を算出するようにしたが、各方向に対して溶け込み深さを1回測定し、その測定値を用いてもよい。各方向に対して複数回の測定を行うことで、ずれ量の導出精度を高められる。
 また、本実施形態では、照射位置修正ステップの後に、溶接ステップと測定ステップと評価ステップとを再度実行し、評価ステップで導出されたずれ量が所定の許容範囲内であれば、本溶接ステップに進むようにしたが、各方向での溶け込み深さの平均値の差が許容範囲内であれば。本溶接ステップに進むようにしてもよい。
 10  レーザ溶接装置
 14  測定部
 17  演算部
 18  判定部
 19  記憶部
 20  レーザ照射ヘッド
 35  溶接部
 37  キーホール
 37b 溶接中心
  L  レーザ光
  S  測定光

Claims (10)

  1.  レーザ光で溶接対象物の溶接部を溶接するレーザ溶接方法であって、
     試験溶接ステップと、
     前記試験溶接ステップでの評価結果に基づいて行われる本溶接ステップと、を備え、
     前記試験溶接ステップは、
      前記レーザ光と、該レーザ光とは波長の異なる測定光とを同軸に重ね合わせて、複数の溶接方向にそれぞれに沿って、前記本溶接ステップにおける溶接方向の溶接速度で移動しながら前記溶接部に照射する溶接ステップと、
      前記溶接ステップの実行中に、前記溶接部で反射した前記測定光に基づいて、複数の溶接方向における該溶接部の溶け込み深さを測定する測定ステップと、
      測定された複数の測定値の相対比較により、前記溶接部の溶接中心に対して前記測定光が光軸ずれしたずれ量を導出する評価ステップと、
      前記評価ステップでの評価結果に基づいて、前記測定光の照射位置を、前記溶接中心に一致させるように修正する照射位置修正ステップと、を備えたことを特徴とするレーザ溶接方法。
  2.  請求項1に記載のレーザ溶接方法において、
     前記溶接ステップでは、前記レーザ光及び前記測定光の照射位置を、互いに異なる方向であるn個の方向(nは4以上の整数)にそれぞれ移動させてレーザ溶接を行い、
     前記測定ステップでは、前記n個の方向のそれぞれで前記溶け込み深さを測定し、
     前記n個の方向は、第1方向、該第1方向とは逆向きの第2方向、該第1方向と交差する第3方向、該第3方向とは逆向きの第4方向を少なくとも含むことを特徴とするレーザ溶接方法。
  3.  請求項2に記載のレーザ溶接方法において、
     前記測定ステップでは、前記n個の方向のそれぞれで前記溶け込み深さを複数回測定し、
     前記評価ステップでは、前記n個の方向のそれぞれでの複数の測定値の平均値を算出することを特徴とするレーザ溶接方法。
  4.  請求項2または3に記載のレーザ溶接方法において、
     前記溶接部の溶け込み深さの測定値と前記ずれ量との関係が示された補正テーブルが予め準備されており、
     前記評価ステップでは、前記n個の方向のそれぞれで測定された測定値と前記補正テーブルとに基づいて前記ずれ量を導出することを特徴とするレーザ溶接方法。
  5.  請求項4に記載のレーザ溶接方法において、
     前記補正テーブルは、少なくとも単位時間当たりの入熱エネルギー量と前記溶接対象物の構造及び材質と前記レーザ光及び前記測定光の波長とにそれぞれ関連付けられていることを特徴とするレーザ溶接方法。
  6.  請求項5に記載のレーザ溶接方法において、
     前記単位時間当たりの入熱エネルギー量は、少なくとも前記レーザ光の出力及び溶接速度に関連付けられており、
     少なくとも前記溶接速度を変更する毎に前記試験溶接ステップが実行されることを特徴とするレーザ溶接方法。
  7.  請求項3に記載のレーザ溶接方法において、
     前記平均値が小さい方向を前記光軸ずれ方向と判定することを特徴とするレーザ溶接方法。
  8.  請求項1ないし7のいずれか1項に記載のレーザ溶接方法において、
     前記照射位置修正ステップの後に、
     前記溶接ステップと前記測定ステップと前記評価ステップとを再度実行し、
     前記評価ステップで導出された前記ずれ量が所定の許容範囲内であれば、前記本溶接ステップに進むことを特徴とするレーザ溶接方法。
  9.  請求項8に記載のレーザ溶接方法において、
     前記本溶接ステップでは、前記測定光の照射位置を前記照射位置修正ステップで修正された位置に合わせながら、前記レーザ光と前記測定光とを同軸に重ね合わせて前記溶接部に照射し、前記溶接部を溶接することを特徴とするレーザ溶接方法。
  10.  請求項1ないし9のいずれか1項に記載のレーザ溶接方法において、
     前記レーザ光の照射方向から見て、前記溶接中心は、前記溶接部に形成されたキーホールの最深部の近傍に位置していることを特徴とするレーザ溶接方法。
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