WO2021210528A1 - 気密端子、これを用いた電動圧縮機および接続方法 - Google Patents

Abstract

気密端子（１０）は、導電性材料により形成されたリード部材（１１）と、リード部材（１１）を保持する外環ベース（１２）と、リード部材（１１）と外環ベース（１２）との間に設けられ、リード部材（１１）と外環ベース（１２）との間を絶縁する絶縁材（１３）と、少なくとも外環ベース（１２）の片面に固着したカバー部材（１４ａ）とを備えている。リード部材（１１）の端部は、絶縁材（１３）から露出した露出部（１５）を有している。カバー部材（１４ａ）は、リード部材（１１）の露出部（１５）を囲む周壁部（１４ｂ）を有する。

Description

気密端子、これを用いた電動圧縮機および接続方法

　本開示は気密端子、これを用いた電動圧縮機および接続方法に関する。より詳細には、車載用の気密端子、これを用いた電動圧縮機および接続方法に関する。

　気密端子は、金属製の外環ベース（アイレット）の挿通孔にガラス絶縁材を介してリードを気密に封着したものである。気密端子は、気密容器内に収容された電気機器や素子に電流を供給したり、電気機器や素子から信号を外部に導出したりする場合に用いられる。

　例えば、冷蔵庫やエアコンの圧縮機に用いられる気密端子が国際公開ＷＯ２０１０／１１７０００号（特許文献１）に示される。この気密端子の外環ベースは、天板部と、この天板部の外周端から下方に向かって延びる筒状部と、この筒状部の下端から斜め外方に広がったフランジ部と、天板部から内方側に向かって延びるリード封着孔を形成する３個の小筒部とを備えている。この外環ベースのリード封着孔の各々には、封着用のガラス絶縁材を介してリードが気密に封着される。

　ハイブリッド自動車では、エンジンによる環境への影響を軽減するために、自動車が信号などで一時停止する場合にはエンジンをが停止する構成となっているものがある。このような場合、エンジンで駆動する圧縮機を用いていると、車が停止する度に空調が止まることになり、夏季や冬季において、特に極暑や厳冬期には問題になる。

　ハイブリッド自動車や電気自動車では、エンジンで駆動する圧縮機ではなく電動モータで駆動する圧縮機が用いられる。屋内用エアコンの圧縮機と同様に、圧縮機構を電動モータとともに気密容器に内蔵した圧縮機が採用されている。

　車載用の電動圧縮機は、狭いエンジンルームへの設置を考慮して、出来るだけ省スペースかつ小型軽量のものが好ましい。電動モータは、気密容器の端子取付孔に取付けた気密端子を通じて供給される電気により駆動される。車載用の電動圧縮機に用いられる気密端子は、例えば、中国実用新案登録ＣＮ２０６０９８７６９Ｕ号（特許文献２）に示されるように、省スペースに有利な直列一線状にピンを配置したものが多い。

国際公開ＷＯ２０１０／１１７０００号 中国実用新案登録ＣＮ２０６０９８７６９Ｕ号

　車載用の電動圧縮機においては、冷媒および潤滑油と電動モータを収容した密閉容器の端子取付孔に気密端子を取付けている。電源から気密端子を通して電動モータに電気を供給して、冷媒を圧縮および循環させること車内と車外の間の熱交換に利用している。車載用の電動圧縮機には、潤滑油にＰＡＧ（ポリアルキレングリコール）系合成オイルを用いたものがある。ＰＡＧ系合成オイルは電気絶縁性が低く通電性を有している。従来の気密端子は、リード部材間にオイルが侵入することを許容する構成であったため電気絶縁上好ましくなかった。

　従来の車載用の電動圧縮機の気密端子において、電気絶縁性を向上させる目的で密閉容器外側の外環ベース表面およびアウタリードにシリコーンゴム製の絶縁被覆を設けることがある。しかし、シリコーンゴムは、耐冷媒性および耐油性を備えておらず密閉容器内側に適用することは難しい。また、気密端子のインナリードをゴムで被覆したとしても、その気密端子が挿入される配線ソケットが水密構造でないため、ソケット内にオイルが浸潤するのを防止できない。

　本開示は、車載電動圧縮機用の気密端子において電極表面にオイルが接触しない気密端子、その気密端子を用いた電動圧縮機および配線方法を提供することにある。

　本開示に係る気密端子は、導電性材料により形成されたリード部材と、上記リード部材を保持する外環ベースと、上記リード部材と上記外環ベースとの間に設けられ、上記リード部材と上記外環ベースとの間を絶縁する絶縁材と、少なくとも上記外環ベースの片面に固着したカバー部材とを備えている。上記リード部材の端部は、上記絶縁材から露出した露出部を有している。上記カバー部材は、上記リード部材の上記露出部を囲む周壁部を有している。

　上記気密端子において、上記カバー部材は、耐冷媒性および耐油性を有する電気絶縁性材料で構成してもよい。

　上記気密端子において、上記カバー部材は、上記外環ベースに硬化性樹脂で固着されていてもよい。

　上記気密端子において、上記カバー部材の上記周壁部は、上記露出部の周囲を矩形に囲むようにしてもよい。

　上記気密端子において、上記カバー部材の上記周壁部の全部または一部は脱着可能としてもよい。

　本開示に係る電動圧縮機は、上記の気密端子と、圧縮機構と、上記圧縮機構を駆動する電動モータと、上記電動モータと上記気密端子とを接続する配線コードと、上記電動モータを駆動するインバータ装置と、上記電動モータおよび上記圧縮機構を収納する密閉容器と、上記密閉容器に接合され上記インバータ装置を収容するインバータハウジングと、上記配線コードと上記露出部とを電気的に接続する接続部と、上記周壁部の内部に充填された封止樹脂を備えている。上記露出部および上記接続部は上記封止樹脂に封入されている。

　上記電動圧縮機において、上記接続部は、上記配線コードの端部に設けられ、上記配線コードを上記リード部材の上記露出部に接続するコネクタを有してもよい。

　本開示に係る接続方法は、上記の気密端子と、電動圧縮機の配線コードとを接続する接続方法であって、上記電動圧縮機は、圧縮機構と、上記圧縮機構を駆動する電動モータと、上記電動モータと上記気密端子とを接続する上記配線コードと、上記電動モータを駆動するインバータ装置と、上記電動モータおよび上記圧縮機構を収納する密閉容器と、上記密閉容器に接合され上記インバータ装置を収容するインバータハウジングと、上記配線コードと上記露出部とを電気的に接続する接続部とを備えている。上記接続方法は、上記気密端子の上記周壁部に囲まれた上記リード部材の上記露出部に上記電動モータの上記配線コードを上記接続部で接続する工程と、上記周壁部内に封止樹脂を充填して上記露出部および上記接続部を上記封止樹脂に封入する工程と、上記封止樹脂を硬化させる工程と、を備えている。

　上記接続方法において、上記封止樹脂を硬化させる工程の後に、上記電動モータを構成する各部品を組立てる工程をさらに備えてもよい。

　上記接続方法において、上記周壁部の一部または全部が着脱可能に構成されており、上記接続部で接続する工程の後に、取り外された上記周壁部の一部または全部を取り付ける工程をさらに備え、上記封止樹脂を充填する工程は、上記周壁部の一部または全部を取り付ける工程の後に行なわれるようにしてもよい。

　本開示によれば、車載電動圧縮機用の気密端子において電極表面にオイルが接触しない気密端子、その気密端子を用いた電動圧縮機および配線方法を提供することができる。

本開示に係る気密端子を示し、（ａ）はインナ側を示す平面図、（ｂ）は（ａ）のＩｂ－Ｉｂ線に沿って気密端子を切断した正面部分断面図、（ｃ）はアウタ側を示す下面図、（ｄ）は側面図である。 本開示に係る気密端子を示し、（ａ）はインナ側を示す平面図、（ｂ）は（ａ）のＩＩｂ－ＩＩｂ線に沿って切断した正面部分断面図、（ｃ）はアウタ側を示す下面図、（ｄ）は側面図である。 本開示に係る気密端子の接続工程を示すフロー図である。 本開示に係る電動圧縮機の断面図である。 本開示に係る気密端子の取付け状態を示し、（ａ）は電動圧縮機の密閉容器のインナ側から見た平面図、（ｂ）は（ａ）のＶ－Ｖ線に沿って切断した部分断面図である。

　本実施の形態に係る気密端子は、導電性材料により形成されたリード部材と、上記リード部材を保持する外環ベースと、上記リード部材と上記外環ベースとの間に設けられ、上記リード部材と上記外環ベースとの間を絶縁する絶縁材と、上記外環ベースの片面に固着したカバー部材とを備えている。上記リード部材の端部は上記絶縁材から突出した露出部を有している。上記カバー部材は、上記リード部材の上記露出部を囲む周壁部を有している。

　カバー部材は、耐冷媒性および耐油性を有する電気絶縁材で構成してもよい。カバー部材の上記周壁部は、必要に応じて一部または全部が脱着できるようにしても良い。気密端子が電動圧縮機に用いられた場合、カバー部材は電動モータを収容した密閉容器の内側に配置される。

　カバー部材は少なくとも外環ベースの片面およびリード部材のインナ側の一部を覆うようにして固着されている。周壁部の内側にリード部材のインナ側またはリード部材に接続された電極が露出するように設けられている。リード部材またはリード部材に接続された電極の露出部の周囲に設けた周壁部内に耐冷媒性および耐油性を有する絶縁封止材を充填し硬化させる。これによりリード部材に接続する電動モータの配線コードの接続部を含むインナ側の通電部分を全て絶縁被覆する。

　絶縁被覆する場合には、先ず気密端子の露出部に電動モータの配線コードを電気的に接続する。次いで周壁部内に封止樹脂を周壁部の上端まで満たし、これを硬化させる。これにより、配線コードの接続部およびリード部材の露出部を全て絶縁被覆することができる。封止樹脂で被覆することで、電気絶縁性が低いオイルのリード部材への侵入を完全に遮断でき、気密端子の通電部分がオイルと接触しなくなる。

　本実施の形態の気密端子の接続方法は、周壁部の内側に設けたインナ側のリード部材の露出部またはこれに接続された電極板などを含むリード部材の露出部に、車載用の電動圧縮機の圧縮機構を駆動する電動モータの配線コードを接続させる方法である。

　すなわち、本実施の形態の接続方法は、先ず気密端子の周壁部に囲まれたリード部材の露出部に電動モータの配線コードを接続させる。次いで周壁部の内部を封止樹脂で満たし、これを硬化させる。これにより露出部および配線コードの接続部を全て封止樹脂の中に封入する。

　気密端子は、周壁部の一部または全部を脱着できるようにしても良い。露出部の側面に対向する周壁部の一部を取り外すことができるようにすることで、周壁部に邪魔されることなく露出部に対して電動モータの配線コードを取り付けることができ、配線コードの接続作業が容易になる。配線コードの接続作業が完了した後、再び取り外した周壁部を取り付ける。上記と同様の手順で周壁部内に封止樹脂を充填して露出部および配線コードの接続部を全て樹脂封止する。

　本実施の形態の車載用の電動圧縮機は、圧縮機構と、上記圧縮機構を駆動する電動モータと、上記電動モータを駆動するインバータと、上記電動モータおよび圧縮機構を収納する密閉容器と、上記密閉容器に接合され上記インバータを収容するインバータハウジングと、上記密閉容器に設けられ上記インバータと上記電動モータとを電気的に接続するための気密端子とを有している。

　上記気密端子は、導電性材料により形成されたリード部材と、上記リード部材を保持する外環ベースと、上記リード部材と上記外環ベースとの間を絶縁する絶縁材と、少なくとも上記外環ベースの片面に固着したカバー部材とを備えている。上記カバー部材は、上記リード部材の露出部を囲む周壁部を有している。上記露出部に上記電動モータの上記配線コードが接続部で接続されている。上記周壁部の内部には封止樹脂が充填されており、上記露出部および配線コードの接続部は封止樹脂の中に封入されている。

　実施の形態の気密端子１０は、図１に示すように、導電性材料により形成されたリード部材１１と、リード部材１１を保持する外環ベース１２と、リード部材１１と外環ベース１２との間に設けられこれらの間を絶縁する絶縁材１３と、外環ベース１２の片面に硬化性樹脂で固着したカバー部材１４ａとを備えている。カバー部材１４ａは、露出部１５の周囲を囲む周壁部１４ｂを有している。

　カバー部材１４は、耐冷媒性および耐油性を有する電気絶縁性材料からなる。周壁部１４ｂは、必要に応じて一部を脱着できるようにしても良い。カバー部材１４は、電動圧縮機に用いられた場合、電動モータを収容した密閉容器の内側に配置される。カバー部材１４は少なくとも外環ベース１２の片面およびインナ側のリード部材１１の一部を覆う。

　周壁部１４ｂの内側にリード部材１１のインナ側が露出する。リード部材１１は図示しない電極板を有してもよい。カバー部材１４ａは、リード部材１１の露出部１５またはリード部材１１に接続された電極板の露出部の周囲を、周壁部１４ｂが囲むように設けられている。

　カバー部材１４ａは、リード部材１１に電気接続された電動モータの配線コードまたはコネクタの接続部を含むインナ側の通電部分を全て絶縁被覆するために設けられる。すなわち、リード部材１１に電動モータの配線コードの接続部を接続した後、周壁部１４ｂの中に耐冷媒性および耐油性を有する絶縁封止材を充填し硬化させる。これによりリード部材１１に電気的に接続された電動モータの配線コードまたはコネクタの接続部を含むインナ側の通電部分の全てを絶縁被覆する。

　本開示の気密端子２０は、図２示すように、導電性材料の電極板２１ａとリード２１ｂとを含むリード部材２１と、リード部材２１を保持する外環ベース２２と、リード部材２１と外環ベース２２との間に設けられこれらの間を絶縁する絶縁材２３と、外環ベース２２の片面に硬化性樹脂で固着したカバー部材２４とを備えている。

　カバー部材２４は、リード部材２１の露出部２５を囲む周壁部２４ｂ，２４ｄを有する。図２のカバー部材２４（２４ａ，２４ｂ，２４ｃ，２４ｄ）は、耐冷媒性および耐油性を有する電気絶縁性の材料からなる。周壁部２４ｂ，２４ｄのうち、必要に応じて周壁部２４ｄを脱着できるようにしても良い。

　カバー部材２４は、電動圧縮機に用いられた場合、電動モータを収容した密閉容器の内側に配置される。カバー部材２４は、露出部２５を除いたインナ側のリード部材２１および外環ベース２２の一部を覆うようにして固着されている。周壁部２４ｂ，２４ｄの内側にインナ側のリード２１ｂまたはリード２１ｂに接続された電極板２１ａが露出するように取り付けられている。なお、図２（ａ）において、カバー部材２４に隠れたリード部材２１を破線で示している。

　リード２１ｂの露出部またはリード２１ｂに接続された電極板２１ａの露出部２５の周囲に周壁部２４ｂ，２４ｄが設けられる。周壁部２４ｂ，２４ｄの中に耐冷媒性および耐油性を有する絶縁封止材を充填し硬化させることにより、リード部材２１に電気的に接続する電動モータの配線コードまたはコネクタの接続部を含むインナ側の通電部分を全て絶縁被覆する。

　本開示の気密端子を接続する接続方法は、本開示に係る気密端子のリード部材と車載用の電動圧縮機の電動モータの配線コードまたはコネクタとを接続し、その接続部およびリード部材の露出部を絶縁封止する接続方法である。

　図３の工程フロー図に示すように、本実施の形態の接続方法においては、先ず気密端子の周壁部に囲まれたリード部材の露出部に電動モータの配線コードを接続し（電気接続工程３１）、次に周壁部内を封止樹脂で満たし（樹脂充填工程３２）、さらに封止樹脂を硬化させる（樹脂硬化工程３３）。その後、気密端子および固定子、回転子などのモータの各部品が組み付けられて電動圧縮機が組み立てられる（モータ組立工程３４）。

　本実施の形態の接続方法により、電動モータの密閉容器の内側に配置された気密端子のインナ側の通電部分（露出した金属部分など）を配線コードまたはコネクタの接続部を含めて全てが封止樹脂の中に封入される。

　気密端子においては、周壁部の一部を脱着できるようにしてもよい。露出部の側面に対向する周壁部の一部を取り外せるようにすることで、周壁部に邪魔されることがなく、露出部に電動モータの配線コードを接続する作業が容易となる。配線コードまたはコネクタの接続部で接続作業が完了した後、再び取り外した周壁部を取り付る。上述した手順で周壁部内に封止樹脂を充填して、露出部や電動モータの配線コードまたはコネクタの接続部を全て樹脂封止する。

　車載用の電動圧縮機の一例として、スクロール式の電動圧縮機の概要について図４を参照しながら説明する。車載用の電動圧縮機４０は、フロント側の密閉容器４１とリア側の密閉容器４２とを、ボルト締結などにより気密性を保って一体に固定した密閉容器を有する。密閉容器４１，４２は、通常アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属材料により形成されている。密閉容器４２に冷媒およびオイルの吸入口４３と、密閉容器４１に吐出口４４とを有する。吸入口４３および吐出口４４はそれぞれ図示しない外部の冷媒循環回路に接続されている。

　密閉容器４１，４２の内側４２ａには、スクロール式の圧縮機構４５および圧縮機構４５を駆動する電動モータ４６が収納されている。電動モータ４６は、密閉容器４２に軸受を介して回転可能に保持した回転軸４７と、回転軸４７に固定された回転子４８と、回転子４８の外周に配置され密閉容器４２の内壁に固定された固定子４９とにより構成されている。回転子４８は複数の永久磁石４０１を有し、固定子４９は三相に巻線されたコイル４０２を有する。

　圧縮機構４５は、主要部として密閉容器４１，４２の内壁に固定された固定スクロール４０３と、これと対向配置された可動スクロール４０４とにより構成されている。固定スクロール４０３と可動スクロール４０４との間には、冷媒を圧縮するための容積可変の圧縮室４０５を備える。可動スクロール４０４は、軸受および偏心ブッシュ４０６を介して回転軸４７の偏心ピン４０７に連結される。可動スクロール４０４は、回転軸４７の回転に応じて揺動され、圧縮室４０５の容積を変化させて冷媒を圧縮できる。

　一方、密閉容器４２の外周壁の一部には、インバータ装置４０８を収容するインバータハウジング４０９が設けられている。インバータハウジング４０９内には、密閉容器４２の挿着孔に外部電源となるインバータ装置４０８および気密端子４１０が取り付けられている。気密端子４１０は、インバータハウジング４０９内で、インバータ側のコネクタ４１１を介してインバータ装置４０８と電気的に接続されている。また、気密端子４１０は、密閉容器４２の内側４２ａで電動モータ４６の配線コードまたはコネクタからなる接続部４１２を介して固定子４９のコイル４０２と電気的に接続されている。すなわち、インバータ装置４０８から気密端子４１０を介して電動モータ４６のコイル４０２に通電すると、回転子４８が回転され、回転軸４７によって圧縮機構４５が作動する。

　本実施の形態の車載用の電動圧縮機４０は、図４に示したように、圧縮機構４５と、圧縮機構４５を駆動する電動モータ４６と、電動モータ４６を駆動するインバータ装置４０８と、電動モータ４６および圧縮機構４５を収納する密閉容器４１，４２と、密閉容器４１，４２に接合されインバータ装置４０８を収容するインバータハウジング４０９と、密閉容器４１，４２に設けられインバータ装置４０８と電動モータ４６とを電気的に接続するための気密端子４１０とを有している。

　気密端子４１０は、図１または図２に示したように、導電性材料により形成されたリード部材１１，２１と、リード部材１１，２１を保持する外環ベース１２，２２と、リード部材１１，２１と外環ベース１２，２２との間に設けられてこれらの間を絶縁する絶縁材１３，２３と、外環ベース１２，２２の片面に固着したカバー部材１４，２４とを備えている。

　カバー部材１４，２４は、リード部材１１，２１の露出部１５，２５を囲む周壁部１４ｂまたは周壁部２４ｂ，２４ｄを有する。露出部１５，２５には電動モータ４６の配線コードまたはコネクタが接続部４１２で接続される。周壁部の内部には、耐冷媒性および耐油性の封止樹脂が充填されている。露出部１５，２５および接続部４１２は封止樹脂中に封入されて、露出部１５，２５および接続部４１２が冷媒および潤滑油に触れないように被覆した車載用の電動圧縮機が提供される。

　本実施の形態に係る気密端子５０は、図５に示すように、密閉容器５０２に取り付けられる。密閉容器５０２の内部には電動モータが納められている。電動モータの配線コードまたはモールド型コネクタからなる接続部５１２で気密端子５０のリード部材５１に電気的に接続されている。周壁部５４ｄの内部に耐冷媒性および耐油性の封止樹脂５４ｃが充填されており接続部５１２などの通電部分が全て封止樹脂中に封入されている。硬化した封止樹脂により接続部５１２などの通電部分が冷媒および潤滑油に触れないように被覆されている。気密端子５０は、密閉容器５０２の挿着孔５１０にリード部材が挿入された状態で、ねじ５００などで密閉容器５０２に固定されている。なお、図５（ａ）において、カバー部材５４に隠れたリード部材５１およびリード部材５１と接続したコネクタの接続部５１２は破線で示している。

　本開示に係る実施例１の気密端子１０は、図１に示すように、Ｆｅ－Ｃｒ合金のリード部材１１と、リード部材１１を保持する鉄製の外環ベース１２と、リード部材１１と外環ベース１２との間に設けられてリード部材１１と外環ベース１２との間を絶縁するソーダバリウムガラスの絶縁材１３と、外環ベース１２の片面に熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂で固着した絶縁性プラスチックのカバー部材１４ａとを備えている。

　カバー部材１４ａは、リード部材１１の露出部１５を矩形に囲む周壁部１４ｂを有する。カバー部材１４ａは、耐冷媒性および耐油性を有する電気絶縁性のプラスチック材からなる。カバー部材１４ａは、電動圧縮機に用いられる場合、電動モータを収容した密閉容器の内側に配置される。

　カバー部材１４ａにはリード部材１１のインナ側が貫通しており、カバー部材１４ａは外環ベース１２の一部を覆うようにして固着されている。周壁部１４ｂの内側にリード部材１１のインナ側が露出する。カバー部材１４ａは、リード部材１１に電気的に接続された電動モータの配線コードまたはコネクタの接続部を含むインナ側の通電部分を全て絶縁被覆する。外環ベース１２は締結用の孔１００を有する。

　本開示に係る実施例２の気密端子２０は、図２に示すように、３つのリード部材２１と鉄製の外環ベース２２と、ソーダバリウムガラス製の絶縁材２３と、プラスチック製のカバー部材とを備えている。

　３つのリード部材２１の各々は、Ｆｅ－Ｃｒ合金のリード２１ｂとリード２１ｂの片側に接続された電極板２１ａとからなる。リード部材２１のリード２１ｂが外環ベース２２を貫通する。リード部材２１は外環ベース２２に保持される。絶縁材２３は、リード２１ｂと外環ベース２２との間に設けられこれらの間を絶縁する。

　カバー部材２４は、外環ベース２２上に設けられリード２１ｂおよび絶縁材２３を覆う。外環ベース２２とカバー部材２４とに囲まれる内部空間には硬化性樹脂２４ｃが充填されている。硬化性樹脂２４ｃにより、カバー部材２４は外環ベース２２に固着されている。

　カバー部材２４は、電極板２１ａの露出部２５を矩形に囲む周壁部２４ｂ，２４ｄを有する。周壁部２４ｄは、周壁部２４ｂからスライド式に取り外すことができる。これにより、電気接続工程において、周壁部２４ｄを外した状態でリード部材２１への接続作業をすることができる。周壁部２４ｄに邪魔されることが無いので接続作業が容易となる。

　リード２１ｂに接続された電極板２１ａの露出部２５の周囲に周壁部２４ｂ，２４ｄは設けられている。周壁部２４ｂ，２４ｄの中に耐冷媒性および耐油性を有する絶縁封止材が充填されて硬化している。リード部材２１に電気的に接続する電動モータの配線コードまたはコネクタの接続部を含むインナ側の通電部分の全てが絶縁封止材で絶縁被覆される。このようにカバー部材２４の周壁部２４ｂ，２４ｄを設けることにより通電部分を絶縁封止材で、絶縁被覆することができる。外環ベース２２は締結用の孔２００を有する。

　本開示に係る実施例３の接続方法においては、図３に示すように、先ず気密端子の周壁部で矩形に囲まれたリード部材の露出部に電動モータの配線コードまたはバスバーなどの接続部を接続させる（電気接続工程３１）。次いで周壁部の内部にエポキシ封止樹脂を満たす（樹脂充填工程３２）。エポキシ封止樹脂を硬化させる（樹脂硬化工程３３）。その後、気密端子および固定子などのモータの各部品が組み付けられてにおいて車載用の電動圧縮機を駆動する電動モータに組み立てられる（モータ組立工程３４）。

　本開示に係る実施例４の車載用の電動圧縮機４０は、図４に示すように、圧縮機構４５と、圧縮機構４５を駆動する電動モータ４６と、電動モータ４６を駆動するインバータ装置４０８と、電動モータ４６および圧縮機構４５を収納する密閉容器４１，４２と、この密閉容器に接合されインバータ装置４０８を収容するインバータハウジング４０９と、密閉容器に設けられインバータ装置４０８と電動モータ４６とを電気的に接続するための気密端子４１０とを有している。

　気密端子４１０は、図２に示したように、導電性材料により形成されたリード部材２１と、リード部材２１を保持する外環ベース２２と、リード部材２１と外環ベース２２との間に設けられこれらの間を絶縁する絶縁材２３と、外環ベース２２の片面に固着したカバー部材２４とを備えている。

　カバー部材２４は、リード部材２１の露出部２５を矩形に囲む周壁部２４ｂ，２４ｄを有している。露出部２５には電動モータ４６のモールド型コネクタが接続部４１２で接続される。周壁部２４ｂ，２４ｄの内部には、耐冷媒性および耐油性の封止樹脂が充填されている。露出部２５および接続部４１２は全て封止樹脂中に封入されて、冷媒および潤滑油に露出部２５および接続部４１２が触れないように被覆した車載用の電動圧縮機が提供される。

　実施例４の気密端子４１０の挿着部周辺を図５に示す。気密端子４１０は、密閉容器５０２に取り付けられる。密閉容器５０２の内部には、電動モータが納められている。電動モータのモールド型のコネクタ５１１にリード部材が電気的に接続されている。矩形の周壁部５４ｄの内部には耐冷媒性および耐油性の封止樹脂５４ｃが充填される。接続部５１２を含む通電部分は封止樹脂５４ｃ中に封入されている。封止樹脂５４ｃにより、通電部分は冷媒および潤滑油に触れないように被覆される。気密端子４１０は密閉容器５０２の挿着孔５１０に挿着されて、ねじ５００で締結されて取付けられている。

　本開示に係る気密端子のリード部材は、その表面に所望のめっき被覆を施すことができる。リード部材および外環ベースは、気密端子に利用可能な金属材であればいずれの材料を用いてもよい。Ｆｅ－Ｃｒ合金に限らず、例えばＦｅ－Ｎｉ合金、炭素鋼、銅合金、アルミニウム合金等を用いてもよい。

　実施例に記載の絶縁材は、リード部材と金属ベースとを電気的に絶縁および気密封止できる材料であればよい。実施例のソーダバリウムガラスに限らず任意のガラス材または樹脂封止材やセラミクス材を用いることができる。例えば、絶縁材は、必要ならば絶縁材の一部を異なるガラス材で形成してもよい。必要ならばガラス材の一部または全部をエポキシ樹脂等の樹脂材に替えてもよい。

　本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

　本開示は、気密端子に利用でき、特に車載用の気密端子に利用できる。

　１０，２０，５０，４１０　気密端子、１１，２１，５１　リード部材、１２，２２　外環ベース、１３，２３　絶縁材、１４，１４ａ，２４，５４　カバー部材、１４ｂ，２４ｂ，２４ｄ，５４ｄ　周壁部、１５，２５　露出部、２１ａ　電極板、２１ｂ　リード、２４ｃ　硬化性樹脂、３１　電気接続工程、３２　樹脂充填工程、３３　樹脂硬化工程、３４　モータ組立工程、４０　電動圧縮機、４１，４２，５０２　密閉容器、４２ａ　内側、４３　吸入口、４４　吐出口、４５　圧縮機構、４６　電動モータ、４７　回転軸、４８　回転子、４９　固定子、５４ｃ　封止樹脂、１００，２００　孔、４０１　永久磁石、４０２　コイル、４０３　固定スクロール、４０４　可動スクロール、４０５　圧縮室、４０６　偏心ブッシュ、４０７　偏心ピン、４０８　インバータ装置、４０９　インバータハウジング、４１１，５１１　コネクタ、４１２，５１２　接続部、５００　ねじ、５１０　挿着孔。

Claims (10)

1. 　導電性材料により形成されたリード部材と、
   　前記リード部材を保持する外環ベースと、
   　前記リード部材と前記外環ベースとの間に設けられ、前記リード部材と前記外環ベースとの間を絶縁する絶縁材と、
   　少なくとも前記外環ベースの片面に固着したカバー部材とを備え、
   　前記リード部材の端部は、前記絶縁材から露出した露出部を有し、
   　前記カバー部材は、前記リード部材の前記露出部を囲む周壁部を有する、気密端子。
2. 　前記カバー部材は、耐冷媒性および耐油性を有する電気絶縁性材料からなる、請求項１に記載の気密端子。
3. 　前記カバー部材は、前記外環ベースに硬化性樹脂で固着されている、請求項１または請求項２に記載の気密端子。
4. 　前記カバー部材の前記周壁部は、前記露出部の周囲を矩形に囲む、請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の気密端子。
5. 　前記カバー部材の前記周壁部の全部または一部は脱着可能である、請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の気密端子。
6. 　請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の気密端子と、
   　圧縮機構と、
   　前記圧縮機構を駆動する電動モータと、
   　前記電動モータと前記気密端子とを接続する配線コードと、
   　前記電動モータを駆動するインバータ装置と、
   　前記電動モータおよび前記圧縮機構を収納する密閉容器と、
   　前記密閉容器に接合され前記インバータ装置を収容するインバータハウジングと、
   　前記配線コードと前記露出部とを電気的に接続する接続部と、
   　前記周壁部の内部に充填された封止樹脂を備え、
   　前記露出部および前記接続部は前記封止樹脂に封入されている、電動圧縮機。
7. 　前記接続部は、前記配線コードの端部に設けられ、前記配線コードを前記リード部材の前記露出部に接続するコネクタを有する、請求項６に記載の電動圧縮機。
8. 　請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の気密端子と、電動圧縮機の配線コードとを接続する接続方法であって、
   　前記電動圧縮機は、圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する電動モータと、前記電動モータと前記気密端子とを接続する前記配線コードと、前記電動モータを駆動するインバータ装置と、前記電動モータおよび前記圧縮機構を収納する密閉容器と、前記密閉容器に接合され前記インバータ装置を収容するインバータハウジングと、前記配線コードと前記露出部とを電気的に接続する接続部とを備え、
   　前記接続方法は、
   　前記気密端子の前記周壁部に囲まれた前記リード部材の前記露出部に前記電動モータの前記配線コードを前記接続部で接続する工程と、
   　前記周壁部内に封止樹脂を充填して前記露出部および前記接続部を前記封止樹脂に封入する工程と、
   　前記封止樹脂を硬化させる工程と、
   　を備える、接続方法。
9. 　前記封止樹脂を硬化させる工程の後に、前記電動モータを構成する各部品を組立てる工程をさらに備える、請求項８に記載の接続方法。
10. 　前記周壁部の一部または全部が着脱可能に構成されており、
    　前記接続部で接続する工程の後に、取り外された前記周壁部の一部または全部を取り付ける工程をさらに備え、
    　前記封止樹脂を充填する工程は、前記周壁部の一部または全部を取り付ける工程の後に行なわれる、請求項８または請求項９に記載の接続方法。

Images