WO2021187297A1

WO2021187297A1 - 内視鏡

Info

Publication number: WO2021187297A1
Application number: PCT/JP2021/009728
Authority: WO
Inventors: 原田　高志
Original assignee: 富士フイルム株式会社
Priority date: 2020-03-18
Filing date: 2021-03-11
Publication date: 2021-09-23

Abstract

円滑な手技が可能で、人体内接触領域から体液等が漏れ出すこと防止できる内視鏡を提供する。内視鏡は、挿入部の先端部に設けられた処置具起立台と、処置具起立台を動作させる起立操作ワイヤと、摺動規制管に沿って摺動部材を操作するリンク部材が連結された操作部材と、摺動規制管に挿入される管路シースと、摺動部材の基端側で、起立操作ワイヤと摺動部材とを固定する固定部材と、摺動部材のワイヤチャンネルの内面と管路シースとの外面との間に設けられた第１シール部材と、起立操作ワイヤが挿通され人体内接触領域を構成する内部空間と固定部材の外部空間との間をシールする第２シール部材と、を備える。

Description

内視鏡

　本発明は内視鏡に係り、特に挿入部の先端側に処置具の導出方向を変更する起立台を備える内視鏡に関する。

　内視鏡では、操作部に設けられた処置具導入口から各種の処置具を導入し、この処置具を、挿入部の先端部に開口した処置具導出口から外部に導出して処置に用いている。例えば、十二指腸鏡ではガイドワイヤ又は造影チューブ等の処置具が使用される。超音波内視鏡では穿刺針等の処置具が使用される。その他の直視鏡及び斜視鏡においては鉗子又はスネア等の処置具が使用される。このような処置具は、被検体内の所望の位置を処置するために先端部において導出方向を変更する必要がある。このため、先端部の先端部本体には、処置具の導出方向を変更する起立台が設けられる。内視鏡には、起立台の姿勢を起立位置と倒伏位置との間で変位させる処置具起立機構が設けられる。

　特許文献１の内視鏡は、挿入部の先端部分に設けられた方向変換部と、方向変換部に接続されたワイヤと、ワイヤを挿通し、操作部の内部に設けられた案内管と、ワイヤが接続され、案内管内を摺動する摺動部材と、摺動部材を案内管に対して移動させるリンク部材と、を備える。ワイヤの基端と摺動部材の基端とが、キャップを締め付けることで、コレットチャックにより、着脱自在に固定される。

国際公開第２０１８／２３０１３５号

　特許文献１に示される内視鏡のように、起上台操作レバーに連動するリンク部材が、操作部の外周に配置されている場合、医師などの術者による手技が、リンク部材により円滑に操作できない懸念がある。

　また、内視鏡において、人体内接触領域から体液等が外部に漏れ出すことを防止する必要がある。

　本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、円滑な手技が可能で、人体内接触領域から体液等が漏れ出すことを防止できる内視鏡を提供することを目的とする。

　本発明の第１態様の内視鏡は、操作部材が設けられた操作部と、操作部の先端側に設けられ、被検体内に挿入される挿入部と、挿入部の先端部に設けられた処置具起立台と、先端側が処置具起立台に連結され、操作部材の動作に応じて押し引きされることにより処置具起立台を動作させる起立操作ワイヤと、起立操作ワイヤが挿通するワイヤチャンネルを備える摺動部材と、摺動部材を摺動自在に収容する摺動規制管と、摺動規制管の基端側で固定され、摺動部材のワイヤチャンネルに挿入され、かつ起立操作ワイヤが挿通する管路シースと、ワイヤチャンネルの内面と管路シースとの外面との間に設けられた第１シール部材と、操作部の内部に配置され、操作部材の動作に応じて摺動部材を摺動規制管に沿って移動させるリンク部材と、摺動部材の基端側で、起立操作ワイヤと摺動部材とを固定する固定部材と、起立操作ワイヤが挿通され人体内接触領域を構成する内部空間と固定部材の外部空間との間をシールする第２シール部材と、を備える。第１態様によればリンク部材が操作部の内部に配置されるので円滑な手技が可能であり、第１シール部材と第２シール部材とにより人体内接触領域から体液等が漏れ出すことを防止できる。

　本発明の第２態様の内視鏡において、固定部材が、摺動部材の基端側で、起立操作ワイヤを挿通する長手軸方向に長さを持った貫通孔が形成され、外周面に貫通孔に沿ったスリットを有する筒形状のワイヤ把持部材と、摺動部材の基端側で、ワイヤ把持部材のスリットの隙間を縮め、貫通孔を縮径させて起立操作ワイヤを固定させる、起立操作ワイヤと摺動部材とを固定する保持部材と、により構成される。第２態様によれば、簡単な構成で起立操作ワイヤと摺動部材とを固定できる。

　本発明の第３態様の内視鏡において、保持部材が、ワイヤ把持部材と、ワイヤ把持部を収容する締め付け部材とを一体的に保持し、ワイヤ把持部材と締め付け部材とが相対的に移動することにより、締め付け部材がワイヤ把持部材のスリットの隙間を縮める。第３態様によれば、締め付け部材によりワイヤ把持部材を締め付けることができる。

　本発明の第４態様の内視鏡において、ワイヤ把持部材は外周面に第１テーパー面を有し、締め付け部材は内周面に第２テーパー面を有し、第１テーパー面と第２テーパー面とが接することにより、締め付け部材がワイヤ把持部材のスリットを縮める。第４態様によれば、簡単な構成によりワイヤ把持部材を締め付けることができる。

　本発明の第５態様の内視鏡において、摺動部材が突起を有し、保持部材がカム溝を有し、突起とカム溝とを係合することにより固定部材と摺動部材とを固定する。第５態様によれば、固定部材と摺動部材とを容易に固定できる。

　本発明の第６態様の内視鏡において、管路シースは、操作部の基端から外部に突出する。第６態様によれば、摺動部材のワイヤチャンネルを人体内接触領域から独立できる。

　本発明の第７態様の内視鏡において、摺動規制管は長手方向に沿ったガイド溝を備え、摺動部材はガイド溝に案内されるガイド突起を備える。第７態様によれば、摺動部材の移動を規制できる。

　本発明の第８態様の内視鏡において、第１シール部材がパッキンで構成され、第２シール部材がパッキンにより構成される。第８態様は、第１シール部材及び第２シール部材の好ましい構成を規定する。

　本発明の内視鏡によれば、円滑な手技が可能で、人体内接触領域から体液等が漏れ出すことを防止できる。

図１は第１実施形態に係る内視鏡を備えた内視鏡システムの構成図である。図２は第１実施形態の先端部を拡大して示した斜視図である。図３は図２に示した先端部本体の斜視図である。図４は図２に示したキャップの斜視図である。図５は第１実施形態の操作部の部分拡大図である。図６は第１実施形態の操作部の部分拡大図である。図７は固定部材の組立図である。図８は図５の部分断面図である。図９は図６の部分断面図である。図１０は固定部材による起立操作ワイヤと摺動部材との固定手順を示す図である。図１１は固定部材による起立操作ワイヤと摺動部材との固定手順を示す図である。図１２は固定部材による起立操作ワイヤと摺動部材との固定手順を示す図である。図１３は固定部材による起立操作ワイヤと摺動部材との固定手順を示す図である。図１４は固定部材による起立操作ワイヤと摺動部材との固定手順を示す図である。図１５は固定部材による起立操作ワイヤと摺動部材との固定手順を示す図である。図１６はワイヤの引き上げ操作を説明するための図面である。図１７はワイヤの引き上げ操作を説明するための図面である。図１８は第２実施形態の操作部の部分断面図である。図１９は第２実施形態の操作部の部分断面図である。図２０は第２実施形態の操作部の部分断面図である。

　以下、添付図面にしたがって本発明の内視鏡の好ましい実施形態について説明する。

　（第１実施形態）
　図１は、本発明の実施形態に係る内視鏡１０を備えた内視鏡システム１２の構成図である。内視鏡システム１２は、内視鏡１０、内視鏡用プロセッサ装置１４、及びディスプレイ１８を備えている。

　内視鏡１０は、操作部材である起立操作レバー２０が設けられた操作部２２と、操作部２２の先端側に設けられ、被検体内に挿入される挿入部２４と、を備える。

　挿入部２４は、基端から先端に向かう長軸方向Ａｘを有し、基端から先端に向って順に軟性部２６と、湾曲部２８と、先端部３０とを備えている。先端部３０の詳細な構成については後述するが、まず、先端部３０の概略構成について説明する。

　図２は、先端部３０を拡大して示した斜視図である。ここで、実施形態の内視鏡１０（図１参照）は、例えば十二指腸鏡として用いられる側視内視鏡であり、図２の先端部３０は側視内視鏡における構成を有している。

　また、図３は、先端部３０を構成する先端部本体３２の斜視図である。図４は、先端部３０を構成するキャップ３４の斜視図である。図２に示すように、先端部３０は、先端部本体３２とキャップ３４とを有する。キャップ３４は先端部本体３２に着脱自在に装着される。先端部本体３２は、挿入部２４（図１参照）の先端側に設けられている。このキャップ３４には処置具誘導面３６Ａを有する起立台３６が設けられる。図２及び図４では、起立台３６が倒伏位置に位置された状態が示されている。

　また、図２では、内視鏡１０（図１参照）の挿入部２４の内部に配設される各種の内容物が示されている。具体的には、処置具（不図示）の先端部を、先端部本体３２から導出される処置具の先端部の導出方向を変更する操作を行うための処置具起立台３６（以下、起立台３６）及び起立操作ワイヤ４０（以下、ワイヤ４０と称する。）と、送気送水チューブ４２とが設けられる。ワイヤ４０は起立台３６に直接連結される。また、図２で示すように、先端部本体３２に導く処置具チャンネル３８と、湾曲部２８（図１参照）の湾曲方向を変更する操作を行うためのアングルワイヤと、画像信号を送信する信号ケーブルと、照明用光を伝送するライトガイド等の内容物も設けられる。

　なお、本明細書では、３軸方向（Ｘ軸方向、Ｙ軸方向、Ｚ軸方向）の三次元直交座標系を用いて説明する。すなわち、操作部２２から先端部３０を見て、起立台３６によって処置具（不図示）が導出される方向を上方向とした場合に、上方向をＺ（＋）方向とし、その反対方向である下方向をＺ（－）方向とする。また、そのときにおける右方向をＸ（＋）方向とし、左方向をＸ（－）方向とする。また、そのときにおける前方向（挿入部２４の長軸方向Ａｘの方向の先端側の方向）をＹ（＋）方向とし、後方向（挿入部２４の長軸方向Ａｘの方向の基端側の方向）をＹ（－）方向とする。なお、Ｙ（＋）方向とＹ（－）方向を包含するＹ軸方向は、挿入部２４の長軸方向Ａｘの方向と平行である。Ｚ軸方向は長軸方向Ａｘの方向と直交する方向である。Ｘ軸方向はＺ軸方向に直交する方向である。

　図１に戻り、操作部２２は、全体として略円筒状に構成されている。この操作部２２は、起立操作レバー２０が回転自在に設けられた操作部本体４６と、操作部本体４６に連接された把持部４８とを有する。挿入部２４の基端部が把持部４８の先端側に折れ止め管５０を介して設けられる。この把持部４８は、内視鏡１０の操作時に術者によって把持される部分である。

　また、操作部本体４６には、ユニバーサルケーブル５２が備えられる。このユニバーサルケーブル５２の先端側には、コネクタ装置５４が設けられる。コネクタ装置５４は、内視鏡用プロセッサ装置１４に接続される。内視鏡用プロセッサ装置１４は、光源装置１５と、画像処理装置１６とを備えている。光源装置１５には、コネクタ装置５４が接続されるプロセッサ側コネクタ１５Ａが備えられている。また、画像処理装置１６には、画像処理装置１６にて画像処理された画像を表示するディスプレイ１８が接続されている。この内視鏡システム１２は、内視鏡１０と内視鏡用プロセッサ装置１４との間で、コネクタ装置５４とプロセッサ側コネクタ１５Ａとから構成されるコネクタ部を介して、電力及び光信号等を非接触で伝送する構成を備えている。

　また、操作部本体４６には、送気送水ボタン５７と吸引ボタン５９とが並設されている。送気送水ボタン５７を操作すると、図２の送気送水チューブ４２にエアと水が供給されて、先端部本体３２に設けられた送気送水ノズル５８からエアと水とを噴出できる。図１の送気送水ボタン５７は、２段階の操作となっている。１段階の操作によって、エアが送気送水チューブ４２に供給される。２段階の操作によって、水が送気送水チューブ４２に供給される。

　また、図１の吸引ボタン５９を操作すると、図２の先端部本体３２に設けられた処置具導出口６０を兼ねる吸引口から血液等の体液を、処置具チャンネル３８を介して吸引できる。

　図１に示すように、操作部本体４６には、湾曲部２８を湾曲操作する一対のアングルノブ６２、６２が配置される。一対のアングルノブ６２、６２は、同軸上で回動自在に設けられる。

　起立操作レバー２０は、アングルノブ６２、６２と同軸上で回転自在に設けられる。起立操作レバー２０は、把持部４８を把持する術者の手によって回転操作される。起立操作レバー２０が回転操作されると、起立操作レバー２０の回転操作に連動して図２のワイヤ４０が押し引き操作される。このようなワイヤ４０の操作によって、ワイヤ４０の先端側に連結された起立台３６の姿勢が、図２に示される倒伏位置と、不図示の起立位置との間で変更される。

　図１に示すように、操作部２２の把持部４８は、処置具を導入する処置具導入口６４を備える。処置具導入口６４から先端部を先頭にして導入された処置具（不図示）は、処置具チャンネル３８（図２参照）に挿通されて、先端部本体３２に設けられた処置具導出口６０から外部に導出される。

　図１に示すように、挿入部２４の軟性部２６は、弾性を有する薄い金属製の帯状板を螺旋状に巻回してなる螺旋管（不図示）を有する。軟性部２６は、この螺旋管の外部に、金属線で編んだ筒状の網体を被覆し、この網体の外周面に樹脂からなる外皮を被覆することにより構成される。

　挿入部２４の湾曲部２８は、複数のアングルリング（不図示）が相互に回動可能に連結されてなる構造体を有する。湾曲部２８は、この構造体の外周に金属線で編んだ筒状の網体を被覆し、この網体の外周面にゴム製の筒状の外皮を被覆することにより構成される。このように構成された湾曲部２８からアングルノブ６２、６２にかけて、例えば４本のアングルワイヤ（不図示）が配設されており、アングルノブ６２、６２の回動操作によって、これらのアングルワイヤが押し引き操作されることにより湾曲部２８が上下左右に湾曲される。

　実施形態の内視鏡１０は、例えば十二指腸鏡として用いられる側視内視鏡であり、挿入部２４が口腔を介して被検体内に挿入される。挿入部２４は、食道から胃を経て十二指腸まで挿入されて、所定の検査又は治療等の処置が行われる。

　なお、実施形態の内視鏡１０で使用される処置具としては、先端部に生体組織を採取可能なカップを有する生検鉗子、ＥＳＴ（Endoscopic Sphincterotomy：内視鏡的乳頭切開術）用ナイフ又は造影チューブ等の処置具を例示できる。

　次に、先端部３０の構造について、図２、図３及び図４を参照して説明する。

　図２に示すように、先端部３０は、先端部本体３２と、先端部本体３２に着脱自在に装着されるキャップ３４と、を備えている。図３に示すように、先端部本体３２は、Ｙ（＋）方向に向けて突設された隔壁６８を有する。キャップ３４が先端部本体３２に装着されることにより、先端部本体３２の隔壁６８とキャップ３４の壁部３４Ｂとにより起立台収容空間６６が形成される。起立台収容空間６６は隔壁６８のＸ（＋）方向で、処置具導出口６０のＹ（＋）方向の位置に配置される。先端部本体３２は、耐食性を有する金属材料で構成される。

　図２及び図３に示すように、隔壁６８のＺ（＋）側の上面６８Ａには、照明窓７４と観察窓７６とがＹ方向に隣接して配設されている。観察窓７６は、Ｚ（＋）方向の視野領域を観察することを可能にする。

　送気送水ノズル５８は、観察窓７６に向けて先端部本体３２に設けられる。観察窓７６は、送気送水ノズル５８から噴射されるエアと水とにより洗浄される。

　図３に示すように、隔壁６８は、内部に光学系収容室７２を備える。光学系収容室７２は、照明部（不図示）と撮影部（不図示）とを収容する。照明部は、照明窓７４の光学系収容室７２の側に配置された照明レンズ（不図示）と、照明レンズに先端面が臨むように配置されたライトガイド（不図示）とを備える。ライトガイドは、内視鏡１０（図１参照）の挿入部２４から操作部２２を介してユニバーサルケーブル５２に配設される。ライトガイドの基端が光源コネクタ５４に接続される。光源コネクタ５４が光源装置１６に接続されると、光源装置１６からの照射光がライトガイドを介して照明レンズに伝達される。照射光が、照明窓７４からＺ（＋）方向に存する視野領域に照射される。

　撮影部は、観察窓７６の内部に配設された撮影光学系（不図示）と、ＣＭＯＳ（complementary metal oxide semiconductor）型又はＣＣＤ（charge coupled device）型の撮像素子（不図示）と、を備える。撮像素子には信号ケーブル（不図示）の先端が接続される。信号ケーブルは、内視鏡１０（図１参照）の挿入部２４から操作部２２を介してユニバーサルケーブル５２に配設される。信号ケーブルの基端がコネクタ装置５４に接続される。コネクタ装置５４が内視鏡用プロセッサ装置１４に接続されると、撮影部によって得られた被写体像の撮像信号が、信号ケーブルを介して画像処理装置１６に送信される。撮像信号は、画像処理装置１６によって画像処理された後、ディスプレイ１８に被写体像として表示される。

　先端部本体３２には、ワイヤ４０（不図示）を挿通するための、貫通孔６１が設けられる。

　図４に示すように、キャップ３４は、先端側が封止された略筒状に形成された壁部３４Ｂを備える。キャップ３４の外周面の一部には、略矩形状の開口窓３４Ａが壁部３４Ｂにより画定される。Ｙ（＋）方向（長軸方向Ａｘに延びる方向）に延びる軸受３４Ｃが、キャップ３４の内部に形成される。軸受３４Ｃは、Ｚ（＋）方向に高さを有する板形状を有している。キャップ３４は、弾性力のある材質、例えばフッ素ゴム又はシリコンゴム等のゴム材料、及びポリサルフォン又はポリカーボネート等の樹脂材料によって構成される。

　起立台３６の回転軸３６Ｂが軸受３４Ｃの貫通孔（不図示）に支持される。回転軸３６Ｂは、軸受３４Ｃと直交するＸ軸方向に長さを有する棒形状の部材である。起立台３６は回転軸３６Ｂを中心に倒伏位置と起立位置との間で回転自在である。

　ワイヤ４０が、起立台３６に連結される。ワイヤ４０は、起立台３６の先端側で回転軸３６Ｂが形成される側と反対側で、処置具誘導面３６Ａに隣接する位置に取り付けられる。

　本実施形態においては、起立台３６は、図４に示すキャップ３４に取り付けられており、起立台３６付きのキャップ３４として、全体として一部品として使用される。なお、ワイヤ４０は、起立台３６に連結されている。起立台３６は、先端部本体３２に設けることもできる。

　なお、キャップ３４の開口窓３４Ａは、Ｚ（＋）方向に向けて開口される。すなわち、キャップ３４の開口窓３４Ａの開口方向は、挿入部の長軸方向Ａｘの方向に直交し、かつ回転軸３６Ｂの軸方向（Ｘ軸方向）に直交する方向である。

　ワイヤ４０及び起立台３６を含むキャップ３４は、内視鏡１０の処置が終了すると、先端部本体３２から取り外されて、例えば、ディスポーザブルとして廃棄される。

　キャップ３４が先端部本体３２に装着されると、図２に示すように、キャップ３４が起立台収容空間６６を形成し、開口窓３４ＡがＺ（＋）方向に向けて開口される。先端部本体３２の処置具導出口６０が起立台収容空間６６を介して開口窓３４Ａに連通される。

　ワイヤ４０及び起立台３６を含むキャップ３４を先端部本体３２に装着する際、ワイヤ４０が、挿入部２４及び操作部２２に挿通されたワイヤ挿通チャンネル（不図示）の中を、挿入部２４から操作部２２に向けて挿通される。ワイヤ４０が操作部２２の基端の側で、固定部材８０により固定される。

　次に、図５から図９を参照して、起立台３６の操作、及び固定部材８０の構造を説明する。

　図５、及び図６は、操作部２２の拡大図である。なお、理解を容易にするため一部の部材を省略している。なお、「収容」は、完全に収容する場合、一部だけを収容する場合を含む。

　図５及び図６に示されるように、操作部２２の内部に、回転軸１０２と、回転軸１０２に一定角度範囲内で回転自在に保持される回転環１０４と、を備えている。回転軸１０２はＸ軸方向に対して平行に配置される。クランク部材１０６が、その一端の側で回転環１０４に連結されている。起立操作レバー２０が、回転環１０４に、ネジ等により連結されている。

　クランク部材１０６は、その他端の側で、リンク部材１０８の先端の側と連結される。リンク部材１０８は、その基端の側で、摺動部材１２０の先端の側に設けられたガイド突起１２２にネジＳＣにより連結される。

　摺動規制管１４０は、その内部に摺動部材１２０を摺動自在に収容する。摺動規制管１４０は、Ｙ軸方向に沿う方向に配置される。摺動規制管１４０には、摺動規制管１４０の長手方向に沿うガイド溝１４２が設けられる。摺動部材１２０のガイド突起１２２はガイド溝１４２に案内され、ガイド突起１２２はガイド溝１４２に沿って、ガイド溝１４２の先端側と基端側との間を移動できる。ガイド突起１２２に連結された摺動部材１２０は、ガイド突起１２２の移動に同期して、摺動規制管１４０の先端側と基端側との間を移動できる。ガイド突起１２２をガイド溝１４２に案内することにより、ガイド突起１２２に連結された摺動部材１２０の回転が規制される。リンク部材１０８、摺動部材１２０及び摺動規制管１４０により、起立操作レバー２０の回転運動が、クランク部材１０６を介して直線運動に変換される。リンク部材１０８は、起立操作レバー２０の動作に応じて摺動部材１２０を摺動規制管１４０に沿って移動できる。

　固定部材８０が、摺動部材１２０の基端の側で、ワイヤ４０と摺動部材１２０と、を固定する。ワイヤ４０は、摺動部材１２０の移動に同期して、シース１４６の中を移動する。

　次に、固定部材８０の構造を図７の組立図に基づいて説明する。図７において、「先端の側」、及び「基端の側」の用語は、固定部材８０が内視鏡１０の操作部２２に取り付けられた際の位置関係を意味する。

　７－１に示されるように、固定部材８０は、ワイヤ把持部材８２と、ワイヤ把持部材８２を収容する締め付け部材８６と、締め付け部材８６の先端の側の溝８６Ａに配置されるパッキン８４、締め付け部材８６の基端の側に配置されたパッキン８８と、移動規制部である移動規制部材９０と、備える。固定部材８０は、ワイヤ把持部材８２、パッキン８４、締め付け部材８６、パッキン８８、及び移動規制部材９０を一体的に保持する保持部材９２を有する。図７においては、保持部材９２は、第１半割体９２Ａと第２半割体９２Ｂとから構成される。パッキン８４及びパッキン８８はゴム等で構成される。パッキン８４は例えばＯリング等であり、パッキン８８はゴムリング等で構成される。実施形態では、移動規制部が保持部材９２とは別体の移動規制部材９０である場合を示す。移動規制部は別体に限定されず、移動規制部と保持部材９２とを一体で成形できる。

　ワイヤ把持部材８２には、概略筒形状を有し、先端の側と基端の側との間でワイヤ４０（不図示）を挿通する長手方向に長さを持った貫通孔が形成される。したがって、ワイヤ把持部材８２は、ワイヤ４０を挿通できる。ワイヤ把持部材８２は、外周面に基端の側に向けて拡径する第１テーパー面８２Ａを有する。ワイヤ把持部材８２の外周面には、基端の側から先端の側に延びる複数のスリット８２Ｂが形成される。複数のスリット８２Ｂの隙間を縮めることにより、ワイヤ把持部材８２はワイヤ４０を固定できる。ワイヤ把持部材８２として、例えば、コレットチャックのような構成を例示できる。

　締め付け部材８６は概略筒形状を有し、先端の側と基端の側との間で貫通する貫通孔を有し、ワイヤ把持部材８２を収容できる。後述するが、ワイヤ把持部材８２と締め付け部材８６とが相対的な位置関係を変更することにより、ワイヤ把持部材８２の複数のスリット８２Ｂの隙間の縮拡が実行される。隙間の縮拡により、ワイヤ把持部材８２はワイヤ４０の固定と開放とを可能にする。

　締め付け部材８６は、締め付け部材８６の外周面から突出する２本の突起８６Ｂを有する。各突起８６Ｂは、互いに平行で、締め付け部材８６の外周から異なる方向に向けて突出する。突起８６Ｂは締め付け部材８６の長手方向に対して直交する方向に延びる。

　パッキン８８は概略筒形状を有し、先端の側と基端の側との間で貫通する貫通孔を有し、移動規制部材９０を収容できる。

　移動規制部材９０は、先端の側が開口する有底の孔の形成された概略筒形状を有し、基端の側にフランジ９０Ａを有する。フランジ９０Ａがパッキン８８と当接し、パッキン８８と移動規制部材９０との位置関係が決定される。

　第１半割体９２Ａと第２半割体９２Ｂのそれぞれには、締め付け部材８６、パッキン８８及び移動規制部材９０を収容するための窪みが形成されている。

　７－２に示されるように、ワイヤ把持部材８２、パッキン８４、締め付け部材８６、パッキン８８及び移動規制部材９０が組み立てられ、第１半割体９２Ａの窪みに収容される。

　７－３に示されるように、第１半割体９２Ａと第２半割体９２Ｂとを互いに固定した保持部材９２は、ワイヤ把持部材８２、パッキン８４、締め付け部材８６、パッキン８８及び移動規制部材９０と一体的に保持する。

　保持部材９２は、突起８６Ｂを移動可能に収容するカム溝９４を備える。２つの突起８６Ｂを収容できるよう２つのカム溝９４が保持部材９２に形成されている。締め付け部材８６の突起８６Ｂが第２係合部を構成し、保持部材９２のカム溝９４が第２被係合部を構成する。カム溝９４は、保持部材９２の外周面に沿って、保持部材９２の長手方向に対して斜めに形成されている。第２係合部が突起８６Ｂ、第２被係合部がカム溝９４の場合を示したが、第２係合部がカム溝、第２被係合部が突起であってもよい。

　保持部材９２は、摺動部材１２０に設けられた２つの突起１２６（図８、図９参照）を移動可能に収容するカム溝９６を有する。

　保持部材９２にはカム溝９６の側に開口が形成され、保持部材９２の内部には摺動部材１２０の一部を収容する空間が形成される。

　カム溝９６は、先端の側に形成された開口９６Ａと、開口９６Ａから基端の側に長手方向に平行に延びる直線溝９６Ｂと、直線溝９６Ｂに連続し先端の側に向けて斜めに延びる傾斜溝９６Ｃと、傾斜溝９６Ｃに連続する受け溝９６Ｄ（図１０参照）を有する。

　固定部材８０は、保持部材９２がワイヤ把持部材８２、パッキン８４、締め付け部材８６、パッキン８８及び移動規制部材９０と一体的に保持するので、一部品として構成される。

　図８は図５の状態における概略断面図である。図９は図６の状態における概略断面図である。図８及び図９に示されるように、リンク部材１０８とガイド突起１２２とがネジＳＣにより連結されている。摺動部材１２０の内部には、ワイヤ４０が挿通されるワイヤチャンネル１２４が形成される。ワイヤチャンネル１２４は、摺動部材１２０の先端の側と基端の側との間で貫通する貫通孔である。

　管路シース１４４が摺動規制管１４０の基端側でネジＳＣ１により固定され、かつ摺動部材１２０のワイヤチャンネル１２４に中に挿入される。管路シース１４４は、先端の側と基端の側との間で貫通する貫通孔を有し、ワイヤ４０を挿通できる。管路シース１４４は、先端の側で、シース１４６とネジＳＣ２により連結される。ワイヤ４０がシース１４６の内部に挿通される。

　第１シール部材１５０がワイヤチャンネル１２４の内面と管路シース１４４との外面との間に設けられる。第１シール部材１５０は、例えば、管路シース１４４の外周に配置されたパッキンであり、Ｏリング等が使用できる。Ｏリングはゴム等で構成される。ワイヤチャンネル１２４はワイヤ４０が挿通されるので、ワイヤチャンネル１２４は人体内接触領域を構成する。第１シール部材１５０は、人体内接触領域であるワイヤチャンネル１２４から体液等が漏れ出すことを防止する。

　図８及び図９に示されるように、ワイヤ把持部材８２を収容した締め付け部材８６が、摺動部材１２０の基端の側でワイヤチャンネル１２４に挿入される。ワイヤ４０が、シース１４６、管路シース１４４、ワイヤチャンネル１２４、及びワイヤ把持部材８２に挿通され、移動規制部材９０に達する。図８の部分拡大図に示されるように、締め付け部材８６は内周面に第２テーパー面８６Ｃを備えている。ワイヤ把持部材８２の第１テーパー面８２Ａと締め付け部材８６の第２テーパー面８６Ｃとが接することにより、締め付け部材８６がワイヤ把持部材８２を締め付ける。ワイヤ把持部材８２の複数のスリット８２Ｂの隙間が狭められる。ワイヤ把持部材８２がワイヤ４０を把持し固定する。

　摺動部材１２０は、外周面から突出する２つの突起１２６を備える。突起１２６は、摺動部材１２０の長手方向に対して直交する方向に延びる。２つの突起１２６は互いに反対方向に延びる。摺動部材１２０の突起１２６と保持部材９２のカム溝９６とが係合される。突起１２６が第１係合部を構成し、カム溝９６が第１被係合部を構成する。第１係合部が突起１２６、第１被係合部がカム溝９６を示したが、第１係合部がカム溝、第１被係合部が突起であってもよい。

　ワイヤ４０がワイヤ把持部材８２により固定される。カム溝９６と突起１２６とを係合することにより、ワイヤ把持部材８２を保持する保持部材９２と摺動部材１２０とが固定される。その結果、固定部材８０が、摺動部材１２０の基端側で、ワイヤ４０と摺動部材１２０とを固定する。

　摺動部材１２０の突起１２６と、保持部材９２のカム溝９６とを係合又は非係合にすることにより、保持部材９２と摺動部材１２０との固定状態及び分離状態を切り替えできる。また、保持部材９２と摺動部材１２０とが分離状態になると、ワイヤ把持部材８２と締め付け部材８６とが相対的に移動し、第１テーパー面８２Ａと第２テーパー面８６Ｃとの接触が開放される。ワイヤ把持部材８２の締め付け力が失われ、ワイヤ把持部材８２はワイヤ４０への把持を開放する。固定部材８０がワイヤ４０及び摺動部材１２０から取り外しできる。

　図８及び図９に示されるように、ワイヤ４０が挿通され、人体内接触領域となる内部空間を構成するワイヤチャンネル１２４の内部空間と固定部材８０の外部空間とをシールするため、締め付け部材８６に設けられたパッキン８４と締め付け部材８６の基端の側に配置されたパッキン８８とが固定部材８０に配置される。パッキン８４はワイヤチャンネル１２４の内周面と締め付け部材８６の外周面との間に配置される。パッキン８８は締め付け部材８６の基端の側をシールする位置に配置される。保持部材９２と摺動部材１２０とが固定されると、パッキン８８は先端の側に向けて押圧力が加えられる。パッキン８８が締め付け部材８６の開口に押し付けられることにより、シールをより確実にできる。実施形態では、パッキン８４とパッキン８８とが第２シール部材を構成する。

　図５、図６、図８及び図９を参照して、起立台を起立又は倒伏させる操作を説明する。図５に示されるように、起立操作レバー２０は基端の側（Ｙ（－）の側）に位置している。回転環１０４に連結されたクランク部材１０６は先端の側（Ｙ（＋）の側）に位置する。図５及び図８示されるように、クランク部材１０６に連結されたリンク部材１０８、リンク部材１０８に連結された摺動部材１２０、及びワイヤ４０と摺動部材１２０とを固定する固定部材８０は、先端の側（Ｙ（＋）の側）に位置する。図５及び図８では、ワイヤ４０は、先端の側に押された状態になり、ワイヤ４０に連結された起立台３６（不図示）は倒伏状態に位置する。

　図６に示されるように、起立操作レバー２０は先端の側（Ｙ（＋）の側）に位置している。回転環１０４に連結されたクランク部材１０６は基端の側に位置する。図６及び図９示されるように、クランク部材１０６に連結されたリンク部材１０８、リンク部材１０８に連結された摺動部材１２０、及びワイヤ４０と摺動部材１２０とを固定する固定部材８０は、基端の側（Ｙ（－）の側）に位置する。図６及び図９では、ワイヤ４０は、基端の側（Ｙ（－）の側）に引かれた状態になり、ワイヤ４０に連結された起立台３６（不図示）は起立状態に位置する。

　術者は、起立操作レバー２０を操作することにより、起立台３６を倒伏位置と起立位置との間の任意の位置に移動できる。リンク部材１０８が操作部２２の内部に配置されているので、手技を円滑に行うことができる。

　次に、図１０から図１５を参照して、ワイヤ４０と摺動部材１２０とを固定部材８０により固定する手順を説明する。

　最初に、ワイヤ４０が連結された起立台３６付きのキャップ３４が準備される（図４参照）。起立台３６に連結されたワイヤ４０が、先端部本体３２の貫通孔６１（図３参照）から基端の側に向けて挿入される。ワイヤ４０は、シース１４６、管路シース１４４、及び摺動部材１２０のワイヤチャンネル１２４を通して操作部２２の基端の側へと案内される。この後、起立台３６付きのキャップ３４が先端部本体３２に装着される。

　図１０において、摺動部材１２０が摺動規制管１４０（不図示）の開口筒１３０から基端の側に向けて突出している。摺動部材１２０の基端の側の開口からワイヤ４０が突出している状態を示す。摺動部材１２０は、摺動部材１２０の長手方向に対して直交する２つの突起１２６を備える。摺動部材１２０には、開口から先端の側に延び底を有する回転規制部を構成する回転規制溝１２８が形成される。

　固定部材８０が準備される。保持部材９２のカム溝９６の側と摺動部材１２０の開口とが対向する向きに、固定部材８０は摺動部材１２０対して位置決めされる。カム溝９６の開口９６Ａと摺動部材１２０の突起１２６とが、摺動部材１２０の長手方向に平行である位置に位置決めされることが好ましい。固定部材８０と摺動部材１２０とは相対的に近づく向きに移動される。

　図１０に示されるように、カム溝９６には、開口９６Ａと、直線溝９６Ｂと、傾斜溝９６Ｃと、受け溝９６Ｄとが形成されている。

　図１１は、固定部材８０が摺動部材１２０に取り付け始めた状態を示す。１１－２に示されるように、摺動部材１２０の一部が固定部材８０に挿入され、摺動部材１２０の突起１２６と、カム溝９６の開口９６Ａとが近づく。

　１１－１に示されように、摺動部材１２０の基端の側が、保持部材９２の開口を介して内部の空間に挿入される。ワイヤ把持部材８２を収容する締め付け部材８６が、摺動部材１２０のワイヤチャンネル１２４に挿入される。ワイヤ４０がワイヤ把持部材８２の貫通孔に挿入される。ワイヤ把持部材８２と移動規制部材９０とは一定の距離だけ離れた位置にある。

　図１２は、固定部材８０が、図１１と比較して、更に摺動部材１２０の側に移動した状態を示す。１２－２に示されるように、摺動部材１２０の突起１２６が保持部材９２の直線溝９６Ｂに収容される。固定部材８０が、カム溝９６の直線溝９６Ｂと突起１２６とに案内され、摺動部材１２０の側に移動される。

　１２－１に示されるように、ワイヤ４０がワイヤ把持部材８２の貫通孔を通過し、移動規制部材９０の有底の孔に達する。締め付け部材８６の突起８６Ｂが、回転規制溝１２８（図１０参照）に沿って案内され、突起８６Ｂと摺動部材１２０（回転規制溝１２８の底）とが接触する。突起８６Ｂと回転規制溝１２８とにより、締め付け部材８６が先端の側に移動すること、及び締め付け部材８６が回転することが規制される。突起８６Ｂは回転規制溝１２８で回転が規制されているので、締め付け部材８６は回転規制溝１２８に沿って、ワイヤ４０の軸線方向にのみ移動可能である。ワイヤ把持部材８２と移動規制部材９０とは一定の距離だけ離れた位置にある。実施形態では回転規制部が回転規制溝１２８である場合を示した。ただし、第２係合部が突起８６Ｂではなく溝の場合、回転規制部が突起であってもよい。

　図１３は、固定部材８０が、図１２と比較して、更に摺動部材１２０の側に移動した状態を示す。１３－２に示されるように、摺動部材１２０の突起１２６が保持部材９２の直線溝９６Ｂの最終端で接触している。突起１２６により、固定部材８０が先端の側に移動するのを規制される。固定部材８０の先端の側への移動に伴って、締め付け部材８６の突起８６Ｂが、カム溝９４に沿って相対的に基端の側に移動する。

　１３－１に示されるように、突起８６Ｂと回転規制溝１２８とにより、締め付け部材８６と締め付け部材８６に収容されたワイヤ把持部材８２の先端の側への移動が規制されている。したがって、固定部材８０の移動に伴って、移動規制部材９０とパッキン８８とが、ワイヤ把持部材８２と締め付け部材８６の側に近づく方向に移動する。

　図１３におけるワイヤ把持部材８２と移動規制部材９０との距離は、図１２に示されるワイヤ把持部材８２と移動規制部材９０との距離と比較して短くなっている。

　図１４は、固定部材８０が、矢印の方向に回転させた状態を示す。１４－２に示されるように、突起１２６が、カム溝９６の直線溝９６Ｂから傾斜溝９６Ｃに位置している。摺動部材１２０は、操作部２２の内部で摺動規制管１４０に収容され、リンク部材１０８と連結されているので、回転が規制されている。

　保持部材９２の回転操作により、保持部材９２の斜めに形成されたカム溝９４に沿って、締め付け部材８６の突起８６Ｂは先端の側から基端の側に移動する。突起８６Ｂの移動に伴い締め付け部材８６全体も基端の側に移動する。なお、突起８６Ｂは、摺動部材１２０の回転規制溝１２８で回転が規制されているので、締め付け部材８６はワイヤ４０の軸線方向に基端の側に移動する。

　１４－１に示されるように、保持部材９２の回転操作により、カム溝９４と突起８６Ｂとにより、締め付け部材８６とワイヤ把持部材８２とが基端の側に移動する。しかしながら、締め付け部材８６に収容されたワイヤ把持部材８２は、その後、移動規制部材９０に接触するため、基端の側への移動が規制される。ワイヤ把持部材８２と締め付け部材８６とは相対的に離れる方向に移動する。その結果、図８に示されるように、ワイヤ把持部材８２の外周面に形成された第１テーパー面８２Ａと、締め付け部材８６の内周面に形成された第２テーパー面８６Ｃとが接し、締め付け部材８６がワイヤ把持部材８２を締め付ける。この締め付けにより、ワイヤ把持部材８２のスリット８２Ｂが縮みワイヤ４０を把持し固定する。

　図１５は、固定部材８０が、終端に位置まで回転された状態を示す。１５－２に示されるように、摺動部材１２０の突起１２６は、カム溝９６の傾斜溝９６Ｃを経由して受け溝９６Ｄに位置している。意図しない保持部材９２の回転により固定部材８０が摺動部材１２０から分離することを防止するため、受け溝９６Ｄは段差を有し、段差が突起１２６の傾斜溝９６Ｃの側に移動することを抑制する。

　傾斜溝９６Ｃは、直線溝９６Ｂから先端の側に向けて斜めに延びる。保持部材９２を回転させて、カム溝９６と突起１２６と相対的に移動させると、保持部材９２が摺動部材１２０に対し基端の側に移動する。

　１５－１に示されるように、開口筒１３０から保持部材９２までの距離Ｌは、１４－１に示される開口筒１３０から保持部材９２までの距離より大きくなる。

　図１５の操作では、ワイヤ把持部材８２がワイヤ４０を固定した状態で、保持部材９２が基端の側に移動するので、ワイヤ４０は基端の側に引き上げられる。

　固定部材８０による摺動部材１２０とワイヤ４０との固定を解除するためには、図１１から図１５で示した手順の逆を実施すればよい。保持部材９２を反対方向に回転させると締め付け部材８６とワイヤ把持部材８２とは、突起８６Ｂとカム溝９４との相対的な移動により、先端の側に移動する。ワイヤ把持部材８２がワイヤチャンネル１２４の中で摺動部材１２０に接触する。ワイヤ把持部材８２の移動が規制される。一方、締め付け部材８６は保持部材９２の回転により、先端の側に移動する。締め付け部材８６がワイヤ把持部材８２に相対的に近づくことにより、第１テーパー面８２Ａと第２テーパー面８６Ｃとが離間する。ワイヤ把持部材８２への締め付けが解除される。

　ワイヤ保持部を引き合上げるとワイヤが外れる。摺動部材１２０の突起１２６は傾斜溝９６Ｃから直線溝９６Ｂに位置する。保持部材９２を基端の側に移動させることにより、固定部材８０を取外して、保持部材９２が摺動部材１２０から分離できる。

　実施形態では、一部品として構成され固定部材８０を摺動部材１２０に対して押し込んで回転させるだけ、固定部材８０によりワイヤ４０と摺動部材１２０と簡単に固定できる。また、一部品として構成され固定部材８０を摺動部材１２０に対して回転させ引き離すことにより、ワイヤ４０と摺動部材１２０とを簡単に分離できる。

　次に、図１５で説明したワイヤ４０の基端の側への引き上げについて、図１６及び図１７を参照して説明する。

　１６－１は固定部材８０が取り付けられる前で、起立台３６が倒伏位置にある状態を示す。１６－１では、軟性部２６（不図示）がループされた状態にある。軟性部２６がループされると、ワイヤ４０を挿通する密着バネで構成されるシースが延び、ワイヤ４０の挿通経路が長くなる。そのため、ワイヤ４０が相対的に短くなる。操作部２２の操作部本体４６から突出されるワイヤ４０の基端の側の端部ＥＮが、基準位置ＳＴに達しない場合がある。

　起立台３６の操作では、基準位置ＳＴでワイヤ４０を固定することを前提に起立操作レバー２０の可動と、起立台３６の起立位置及び倒伏位置との関係が決定される。１６－１の状態でワイヤ４０の端部を固定することは好ましくない。

　実施形態では、１６－２に示されるように、端部ＥＮが基準位置ＳＴに達していない状態で、固定部材８０がワイヤ４０を固定する。

　次に、１６－３に示されるように、固定部材８０が、ワイヤ４０を固定した状態で、基端の側に移動され、固定部材８０と摺動部材１２０（不図示）とが固定される。最終的に、固定部材８０はワイヤ４０の端部ＥＮが基準位置ＳＴで固定できる。

　図１７は固定部材８０が取り付けられる前で、起立台３６が倒伏位置にある状態を示す。１７－１では、軟性部２６（不図示）が直線の状態にある。操作部２２の操作部本体４６から突出されるワイヤ４０の基端の側の端部ＥＮが、基準位置ＳＴに達している。

　実施形態では、１７－２に示されるように、固定部材８０によりワイヤ４０の端部ＥＮを基準位置ＳＴから先端の側に移動させる。ワイヤ４０が、例えば、シースの内部で蛇行する。端部ＥＮが基準位置ＳＴに達していない状態になる。この状態で固定部材８０がワイヤ４０を固定する。

　次に、１７－３に示されるように、固定部材８０が、ワイヤ４０を固定した状態で、基端の側に移動され、固定部材８０と摺動部材１２０（不図示）とが固定される。最終的に、固定部材８０はワイヤ４０の端部ＥＮが基準位置ＳＴで固定できる。

　軟性部２６の状態にかかわらず、固定部材８０はワイヤ４０の端部ＥＮを基準位置ＳＴで固定できる。

　（第２実施形態）
　次に、図１８から図２０を参照して、第２実施形態の内視鏡を説明する。なお、第１実施形態と同様の構成には、同様の符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。なお、第１実施形態と第２実施形態の違いの一つは管路シースの形状である。第１実施形態と第２実施形態とは、同様の先端部を適用できる。

　図１８は、リンク部材１２０により固定部材８０が先端の側（Ｙ（＋））に移動された状態を示し、起立台３６（不図示）が倒伏位置にある。図１９は、リンク部材１２０により固定部材８０が基端の側（Ｙ（－））に移動された状態を示し、起立台３６（不図示）が起立位置にある。図１８及び図１９に示されるように、固定部材８０は、保持部材９２と、保持部材９２に一体的に保持されたワイヤ把持部材８２、パッキン８４、締め付け部材８６、パッキン８８及び移動規制部材９０と、を備える。パッキン８４及びパッキン８８が第２シール部材を構成する。締め付け部材８６は突起８６Ｂ、及び保持部材９２はカム溝９４を備える。

　操作部２２の内部には、摺動規制管１４０、摺動規制管１４０に摺動可能に収容される摺動部材１２０が備えられる。摺動部材１２０の内部には、ワイヤ４０が挿通されるワイヤチャンネル１２４が形成される。

　図１８に示されるように、管路シース１６０がネジＳＣ１により摺動規制管１４０に固定され、かつワイヤチャンネル１２４が挿入される。第２実施形態では、管路シース１６０の形状が、第１実施形態の管路シース１４４の形状と異なる。管路シース１６０は、操作部本体４６から突出している。管路シース１６０は先端の側と基端の側との間で貫通する貫通孔を有する。管路シース１６０の貫通孔に、ワイヤ把持部材８２を収容する締め付け部材８６、及び移動規制部材９０が収容される。第２実施形態では、ワイヤ４０は、管路シース１６０の貫通孔に挿通することにより、ワイヤチャンネル１２４に挿通される。図１９に示されるように、起立台３６を起立位置に移動させる場合、摺動部材１２０は管路シース１６０の外面を摺動して移動する。摺動部材１２０に固定される固定部材８０は、基端の側へと移動する。固定部材８０の保持部材９２に保持されるワイヤ把持部材８２、パッキン８４、締め付け部材８６、パッキン８８及び移動規制部材９０も基端の側へと移動する。図１９の状態では、移動規制部材９０は管路シース１６０より外側に位置する。

　図１８及び図１９に示されるように、ワイヤ４０が挿通され人体内接触領域となる内部空間を構成する管路シース１６０の内部空間と、固定部材８０の外部空間と、をシールするため、締め付け部材８６に設けられたパッキン８４と締め付け部材８６の基端の側に配置されたパッキン８８とが固定部材８０に配置される。

　パッキン８４は管路シース１６０の内周面と締め付け部材８６の外周面との間に配置される。パッキン８８は締め付け部材８６の基端の側をシールする位置に配置される。保持部材９２と摺動部材１２０とが固定されると、パッキン８８は先端の側に向けて押圧力が加えられる。パッキン８８が締め付け部材８６の開口に押し付けられることにより、シールをより確実にできる。実施形態では、パッキン８４とパッキン８８とが第２シール部材を構成する。

　図１８及び図１９に示されるように、起立台３６が倒伏位置及び起立位置の何れの状態においても、操作部本体４６から取り外しできない摺動部材１２０の内部は、管路シース１６０を操作部本体４６から突出させることにより、人体内接触領域から独立領域とできる。摺動部材１２０の内部に、汚染領域が広がらないようにできる。

　図２０は、固定部材８０とワイヤ４０とを操作部２２から取り外した状態を示す。管路シース１６０が操作部本体４６から突出するので、人体内接触領域を構成する管路シース１６０の内部を容易に洗浄できる。

　以上、本発明について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよい。本発明は、起立台を先端部本体に備える内視鏡、起立台ワイヤが先端部本体のレバーに連結される内視鏡等に適用できる。

１０　内視鏡
１２　内視鏡システム
１４　内視鏡用プロセッサ装置
１５　光源装置
１５Ａ　プロセッサ側コネクタ
１６　画像処理装置
１８　ディスプレイ
２０　起立操作レバー
２２　操作部
２４　挿入部
２６　軟性部
２８　湾曲部
３０　先端部
３２　先端部本体
３４　キャップ
３４Ａ　開口窓
３４Ｂ　壁部
３４Ｃ　軸受
３６　起立台
３６Ａ　処置具誘導面
３６Ｂ　回転軸
３８　処置具チャンネル
４０　起立操作ワイヤ
４２　送気送水チューブ
４６　操作部本体
４８　把持部
５０　折れ止め管
５２　ユニバーサルケーブル
５４　コネクタ装置
５７　送気送水ボタン
５８　送気送水ノズル
５９　吸引ボタン
６０　処置具導出口
６１　貫通孔
６２　アングルノブ
６４　処置具導入口
６６　起立台収容空間
６８　隔壁
６８Ａ　上面
７２　光学系収容室
７４　照明窓
７６　観察窓
８０　固定部材
８２　ワイヤ把持部材
８２Ａ　第１テーパー面
８２Ｂ　スリット
８４　パッキン
８６　締め付け部材
８６Ａ　溝
８６Ｂ　突起
８６Ｃ　第２テーパー面
８８　パッキン
９０　移動規制部材
９０Ａ　フランジ
９２　保持部材
９２Ａ　第１半割体
９２Ｂ　第２半割体
９４　カム溝
９６　カム溝
９６Ａ　開口
９６Ｂ　直線溝
９６Ｃ　傾斜溝
９６Ｄ　受け溝
１０２　回転軸
１０４　回転環
１０６　クランク部材
１０８　リンク部材
１２０　摺動部材
１２２　ガイド突起
１２４　ワイヤチャンネル
１２６　突起
１２８　回転規制溝
１３０　開口筒
１４０　摺動規制管
１４２　ガイド溝
１４４　管路シース
１４６　シース
１５０　第１シール部材
１６０　管路シース
ＥＮ　端部
Ｌ　距離
ＳＣ　ネジ
ＳＣ１　ネジ
ＳＣ２　ネジ
ＳＴ　基準位置

Claims

　操作部材が設けられた操作部と、
　前記操作部の先端側に設けられ、被検体内に挿入される挿入部と、
　前記挿入部の先端部に設けられた処置具起立台と、
　先端側が前記処置具起立台に連結され、前記操作部材の動作に応じて押し引きされることにより前記処置具起立台を動作させる起立操作ワイヤと、
　前記起立操作ワイヤが挿通するワイヤチャンネルを備える摺動部材と、
　前記摺動部材を摺動自在に収容する摺動規制管と、
　前記摺動規制管の基端側で固定され、前記摺動部材の前記ワイヤチャンネルに挿入され、かつ前記起立操作ワイヤが挿通する管路シースと、
　前記ワイヤチャンネルの内面と前記管路シースとの外面との間に設けられた第１シール部材と、
　前記操作部の内部に配置され、前記操作部材の動作に応じて前記摺動部材を前記摺動規制管に沿って移動させるリンク部材と、
　前記摺動部材の基端側で、前記起立操作ワイヤと前記摺動部材とを固定する固定部材と、
　前記起立操作ワイヤが挿通され人体内接触領域を構成する内部空間と前記固定部材の外部空間との間をシールする第２シール部材と、
　を備える内視鏡。
　前記固定部材が、
　前記摺動部材の基端側で、前記起立操作ワイヤを挿通する長手軸方向に長さを持った貫通孔が形成され、外周面に前記貫通孔に沿ったスリットを有する筒形状のワイヤ把持部材と、
　前記摺動部材の基端側で、前記ワイヤ把持部材の前記スリットの隙間を縮め、前記貫通孔を縮径させて前記起立操作ワイヤを固定させる前記起立操作ワイヤと前記摺動部材とを固定する保持部材と、により構成される、請求項１に記載の内視鏡。
　前記保持部材が、前記ワイヤ把持部材と、前記ワイヤ把持部材を収容する締め付け部材とを一体的に保持し、前記ワイヤ把持部材と前記締め付け部材とが相対的に移動することにより、前記締め付け部材が前記ワイヤ把持部材の前記スリットの隙間を縮める、請求項２に記載の内視鏡。
　前記ワイヤ把持部材は外周面に第１テーパー面を有し、前記締め付け部材は内周面に第２テーパー面を有し、前記第１テーパー面と前記第２テーパー面とが接することにより、前記締め付け部材が前記ワイヤ把持部材の前記スリットの隙間を縮める、請求項３に記載の内視鏡。
　前記摺動部材が突起を有し、前記保持部材がカム溝を有し、前記突起と前記カム溝とを係合することにより前記固定部材と前記摺動部材とを固定する、請求項２から４のいずれか一項に記載の内視鏡。
　前記管路シースは、前記操作部の基端から外部に突出する、請求項１から４のいずれか一項に記載の内視鏡。
　前記摺動規制管は長手方向に沿ったガイド溝を備え、前記摺動部材は前記ガイド溝に案内されるガイド突起を備える、請求項１から５のいずれか一項に記載の内視鏡。
　前記第１シール部材がパッキンで構成され、前記第２シール部材がパッキンにより構成される、請求項１から６のいずれか一項に記載の内視鏡。