WO2021177334A1 - 新規なフルオロアルカン誘導体及びそれらを用いたゲル化剤 - Google Patents

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Definitions

  • Formylation group C1-6 alkylcarbonyl groups such as acetyl and propionyl groups; Formyloxy group; C1-6 alkylcarbonyloxy groups such as acetyloxy groups and propionyloxy groups; C6-10 arylcarbonyl groups such as benzoyl groups; Carboxy group; C1-6 alkoxycarbonyl groups such as methoxycarbonyl group, ethoxycarbonyl group, n-propoxycarbonyl group, i-propoxycarbonyl group, n-butoxycarbonyl group, t-butoxycarbonyl group; C1-6 alkoxycarbonyloxy groups such as methoxycarbonyloxy group, ethoxycarbonyloxy group, n-propoxycarbonyloxy group, i-propoxycarbonyloxy group, n-butoxycarbonyloxy group, t-butoxycarbonyloxy group;
  • Examples of the C1 to 30 hydrocarbon groups having an alkyl group in which 60% or more of hydrogen atoms are substituted with fluorine atoms include 4- (1H, 1H, 2H, 2H-perfluorohexyl) phenyl group and 4- (1H,). 1H, 2H, 2H-perfluorohexyloxy) phenyl group, 2- (1H, 1H, 2H, 2H-perfluorohexyloxy) ethyl group, 1H, 1H, 2H, 3H-perfluoro-3-decenyl group, etc. Can be mentioned.
  • the alkylsulfanyl group of C1 to 20 may be a straight chain or a branched chain, and may be a methylsulfanyl group, an ethylsulfanyl group, an n-propylsulfanyl group, an n-butylsulfanyl group, an n-pentylsulfanyl group, an n-.
  • R 4 and R 5 represent alkylene groups or arylene groups of C2 to 20, respectively, t represents an integer of 1 to 5, and when t is 2 or more, R 4 represents. , May be the same or different.
  • Examples of the group represented by the formula (6) include the groups shown below.

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Abstract

本発明は、分子内に水素結合性官能基を有しない低分子量型であって、低濃度で幅広い有機溶媒をゲル化でき、熱安定性や強度が十分なゲルが得られるゲル化剤となり得る新規なフルオロアルカン誘導体を提供すること課題とする。 下記式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体をゲル化剤として用いる。 式(1)中、Rは、水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基又は水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を有するC1~30の炭化水素基を表し、Arは、無置換又は置換C3~20の2価の芳香族基を表し、Rは、無置換若しくは置換C1~30の炭化水素基又は下記式(2)(式(2)中、Yは、シアノ基、ニトロ基、無置換若しくは置換C1~20のアルキル基、無置換若しくは置換C1~20のアルコキシ基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルファニル基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルフィニル基、又は無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルホニル基を表し、Arは、無置換又は置換C3~20の2価の芳香族基を表し、Lは、2価の連結基を表す。)で表される基を表し、nは、1又は2を表す。

Description

新規なフルオロアルカン誘導体及びそれらを用いたゲル化剤
 本発明は、様々な有機溶媒をゲル化することができる新規なフルオロアルカン誘導体、該誘導体を含有するゲル化剤、及び該誘導体と有機溶媒を含むゲル状組成物に関する。
各種産業分野(例えば、塗料、化粧品、医薬医療、石油流出処理、電子・光学分野、環境分野など)において、液体状物質を固化、すなわちゼリー状に固めたり、又は、増粘したりする目的でゲル化剤が用いられている。
 これらのゲル化剤の構造としては、高分子量型と低分子量型とに大別することができる。低分子量型のゲル化剤の中でも、分子内には水素結合性官能基が存在しないゲル化剤は、形成した有機ゲル電解質が高い電気化学的安定性を保持できることから、高いイオン伝導度と機械的強度が両立した次世代の有機ゲル電解質が構築できると期待されている。そのような分子内に水素結合性官能基を有しない低分子量型のゲル化剤として、下記に示す式(I)~(III)で表される化合物が知られている(特許文献1及び2参照)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
国際公開2009-078268号公報 特開2016-175873号公報
 従来知られている低分子量型のゲル化剤では、フルオラス溶媒や疎水性イオン液体をゲル化する能力が低かったり、生成するゲルの熱安定性や強度が不十分であったりして必ずしも満足できる性能ではなかった。
 本発明は、分子内に水素結合性官能基を有しない低分子量型であって、低濃度で幅広い有機溶媒をゲル化でき、熱安定性や強度が十分なゲルが得られるゲル化剤となり得る新規なフルオロアルカン誘導体を提供することを課題とする。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(フルオロアルキル鎖を有するスルホキシド基又はスルホニル基で置換された)アルキル基置換芳香族炭化水素、又は(フルオロアルキル鎖を有するスルホキシド基又はスルホニル基で置換された)安息香酸誘導体をゲル化剤に用いることで上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、以下に示す事項で特定される次のとおりのものである。
[1]下記式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 (式(1)中、Rは、水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基又は水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を有するC1~30の炭化水素基を表し、Arは、無置換又は置換C3~20の2価の芳香族基を表し、Rは、無置換若しくは置換C1~30炭化水素基又は下記式(2)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 (式(2)中、Yは、シアノ基、ニトロ基、無置換若しくは置換C1~20のアルキル基、無置換若しくは置換C1~20のアルコキシ基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルファニル基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルフィニル基、又は無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルホニル基を表し、Arは、無置換又は置換C3~20の2価の芳香族基を表し、Lは、2価の連結基を表す。)で表される基を表し、nは、1又は2を表す。)
[2]式(2)中、Lが、酸素原子又は下記式(3)で表される2価の連結基である[1]に記載のフルオロアルカン誘導体。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
 (式(3)中、Xは、酸素原子、硫黄原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)を表し、Lは、鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい無置換若しくは置換C2~20の2価の炭化水素基を表し、Lは、2価の連結基を表す。)
[3]式(1)中、Rが、下記式(4)で表される基である[1]又は[2]に記載のフルオロアルカン誘導体。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 (式(4)中、mは、1~20のいずれかの整数を表し、kは、1~6のいずれかの整数を表し、lは、0又は1を表す。)
[4]式(2)中のArが、1,4-フェニレン基、4,4’-ビフェニレン基又は2,6-ナフタレン基である[1]~[3]のいずれか1つに記載のフルオロアルカン誘導体。
[5]式(3)中、Lは、下記式(5a)、(5b)又は(5c)で表される基である[1]~[4]のいずれか1つに記載のフルオロアルカン誘導体。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
 (式(5a)、(5b)及び(5c)中、*1は、Lと結合する位置を表し、*2は、Arと結合する位置を表す。)
[6][1]~[5]のいずれか1つに記載のフルオロアルカン誘導体を含むゲル化剤。
[7][1]~[5]のいずれか1つに記載のフルオロアルカン誘導体及び有機溶媒を含むゲル状組成物。
[8]有機溶媒が、イオン液体である[7]に記載のゲル状組成物。
 本発明のフルオロアルキル誘導体を用いることによって、従来ゲル化が困難であったフルオラス溶媒や、疎水性イオン液体についてもゲル化することができる。また、様々な有機溶媒を低濃度でゲル化でき、生成したゲルのゾルへの相転移温度を、従来得られなかった150℃以上とすることができ、ゲルの熱安定性を高めることができる。
エチレンカーボネート(以下、「EC」と表すことがある。)とエチルメチルカーボネート(以下、「EMC」と表すことがある。)との混合液、LiPF4及び化合物No(2e-2)からなるゲル電解質(a1)のゾルへの相転移温度と化合物No(2e-2)の濃度との関係を示す。 プロピレンカーボネート(以下、「PC」と表すことがある。)、LiClO及び化合物No(2e-2)からなるゲル電解質のゾルへの相転移温度と化合物No(2e-2)の濃度との関係を示す。 ECとEMCとの混合液、化合物No(2e-2)及びLiPFからなるゲル電解質(a2及びa3)を用いたセルのイオン伝導度と温度の関係を示す。 EC、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(以下、「DMC」と表すことがある。)及びEMCとの混合液、化合物No(2f-2)及びLiPFからなるゲル電解質(a4)を用いたセルのイオン伝導度と温度の関係を示す。 1-ブチル-3-メチルイミダソリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド(以下、「[BMIM][TFSA]」と表すことがある。)、化合物No(2e-2)及びLiPFからなるゲル電解質(a5)を用いたセルのイオン伝導度と温度の関係を示す。 EC、PC、DMC及びEMCとの混合液、化合物No(2f-2)及びLiPFからなるゲル電解質(a6)を用いたセルの電位窓の測定結果を示す。 [BMIM][TFSA]、化合物No(2e-2)又は(2j-2)及びLiPFからなるゲル電解質(a7及びa8)を用いたセルの電位窓の測定結果を示す。 EC及びEMCとの混合液、化合物No(2e-2)及びLiPFからなるゲル電解質を用いたセルの電位窓の測定結果を示す。 PCと化合物No(1a-2)、(1b-2)、(1c-2)、(1d-2)、(1e-2)及び(1f-2)からなるゲル((b2)~(b7))の各周波数でのtanδを示す。
 本発明のフルオロアルカン誘導体は、式(1)で表される。
 本発明において、用語「無置換(unsubstituted)」は、母核となる基のみであることを意味する。母核となる基の名称のみで記載しているときは、別段の断りがない限り「無置換」の意味である。
 一方、用語「置換(substituted)」は、母核となる基のいずれかの水素原子が、母核と同一又は異なる構造の基で置換されていることを意味する。したがって、「置換基」は、母核となる基に結合した他の基である。置換基は1個であってもよいし、2個以上であってもよい。2個以上の置換基は同一であってもよいし、異なるものであってもよく、2個以上の置換基は同じ原子に結合していても、異なる原子に結合していてもよい。
 「置換基」は化学的に許容され、本発明の効果を有する限りにおいて特に制限されない。
 「置換基」となり得る基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。
 メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などのC1~6アルキル基;
 ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、プロペン-2-イル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基などのC2~6アルケニル基;
 エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基などのC2~6アルキニル基;
 シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、キュバニル基などのC3~8シクロアルキル基;
 フェニル基、ナフチル基などのC6~10アリール基;
 ベンジル基、フェネチル基などのC6~10アリールC1~6アルキル基;
 3~6員ヘテロシクリル基;
 3~6員へテロシクリルC1~6アルキル基;
 オキソ基;
 水酸基;
 メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1~6アルコキシ基;
 ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、プロペン-2-イルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基などのC2~6アルケニルオキシ基;
 エチニルオキシ基、プロパルギルオキシ基などのC2~6アルキニルオキシ基;
 フェノキシ基、ナフトキシ基などのC6~10アリールオキシ基;
 ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのC6~10アリールC1~6アルコキシ基;
 チアゾリルオキシ基、ピリジルオキシ基などの5~6員ヘテロアリールオキシ基;
 チアゾリルメチルオキシ基、ピリジルメチルオキシ基などの5~6員ヘテロアリールC1~6アルキルオキシ基;
 ホルミル基;
 アセチル基、プロピオニル基などのC1~6アルキルカルボニル基;
 ホルミルオキシ基;
 アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのC1~6アルキルカルボニルオキシ基;
 ベンゾイル基などのC6~10アリールカルボニル基;
 カルボキシ基;
 メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基などのC1~6アルコキシカルボニル基;
 メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n-プロポキシカルボニルオキシ基、i-プロポキシカルボニルオキシ基、n-ブトキシカルボニルオキシ基、t-ブトキシカルボニルオキシ基などのC1~6アルコキシカルボニルオキシ基;
 フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、イオド基などのハロゲノ基;
 フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル基、パーフルオロイソプロピル基、4-フルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、1-クロロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、4-クロロブチル基、パークロロヘキシル基、2,4,6-トリクロロヘキシル基などのC1~6ハロアルキル基;
 2-クロロ-1-プロペニル基、2-フルオロ-1-ブテニル基などのC2~6ハロアルケニル基;
 4,4-ジクロロ-1-ブチニル基、4-フルオロ-1-ペンチニル基、5-ブロモ-2-ペンチニル基などのC2~6ハロアルキニル基;
 トリフルオロメトキシ基、2-クロロ-n-プロポキシ基、2,3-ジクロロブトキシ基などのC1~6ハロアルコキシ基;
 2-クロロプロペニルオキシ基、3-ブロモブテニルオキシ基などのC2~6ハロアルケニルオキシ基;
 クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基などのC1~6ハロアルキルカルボニル基;
 アミノ基;
 メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのモノC1~6アルキル置換アミノ基又はジC1~6アルキル置換アミノ基(後者の場合、C1~6アルキルは同一であっても異なっていてもよい);
 アニリノ基、ナフチルアミノ基などのC6~10アリールアミノ基;
 ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基などのC6~10アリールC1~6アルキルアミノ基;
 ホルミルアミノ基;
 アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ブチリルアミノ基、i-プロピルカルボニルアミノ基などのC1~6アルキルカルボニルアミノ基;
 メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n-プロポキシカルボニルアミノ基、i-プロポキシカルボニルアミノ基などのC1~6アルコキシカルボニルアミノ基;
S,S-ジメチルスルホキシイミノ基などのC1~6アルキルスルホキシイミノ基;
 アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、N-フェニル-N-メチルアミノカルボニル基などの無置換もしくは置換基を有するアミノカルボニル基;
 イミノメチル基、1-イミノエチル基、1-イミノ-n-プロピル基などのイミノC1~6アルキル基;
 N-ヒドロキシ-イミノメチル基、1-(N-ヒドロキシイミノ)エチル基、1-(N-ヒドロキシイミノ)プロピル基、N-メトキシイミノメチル基、1-(N-メトキシイミノ)エチル基などの置換もしくは無置換のN-ヒドロキシイミノC1~6アルキル基;
 ヒドロキシイミノ基;
 メトキシイミノ基、エトキシイミノ基、n-プロポキシイミノ基、i-プロポキシイミノ基、n-ブトキシイミノ基などのC1~6アルコキシイミノ基;
 アミノカルボニルオキシ基;
 エチルアミノカルボニルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルオキシ基などのモノC1~6アルキル置換アミノカルボニルオキシ基又はジC1~6アルキル置換アミノカルボニルオキシ基(後者の場合、C1~6アルキルは同一であっても異なっていてもよい);
 チオキソ基;
 チオール(メルカプト)基;
 メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、i-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、i-ブチルチオ基、s-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などのC1~6アルキルチオ基;
 トリフルオロメチルチオ基、2,2,2-トリフルオロエチルチオ基などのC1~6ハロアルキルチオ基;
 フェニルチオ基、ナフチルチオ基などのC6~10アリールチオ基;
 チアゾリルチオ基、ピリジルチオ基などの5~6員ヘテロアリールチオ基;
 メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基などのC1~6アルキルスルフィニル基;
 トリフルオロメチルスルフィニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルフィニル基などのC1~6ハロアルキルスルフィニル基;
 フェニルスルフィニル基などのC6~10アリールスルフィニル基;
 チアゾリルスルフィニル基、ピリジルスルフィニル基などの5~6員ヘテロアリールスルフィニル基;
 メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基などのC1~6アルキルスルホニル基;
 トリフルオロメチルスルホニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニル基などのC1~6ハロアルキルスルホニル基;
 フェニルスルホニル基などのC6~10アリールスルホニル基;
 チアゾリルスルホニル基、ピリジルスルホニル基などの5~6員ヘテロアリールスルホニル基;
 スルホ基;
 メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、t-ブチルスルホニルオキシ基などのC1~6アルキルスルホニルオキシ基;
 トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニルオキシ基などのC1~6ハロアルキルスルホニルオキシ基;
 トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基などのトリC1~6アルキル置換シリル基;
 トリフェニルシリル基などのトリC6~10アリール置換シリル基;
 アリルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基などのC2~C6アルケニルC1~C6ジアルキル置換シリル基;
 t-ブチルジフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基などのC1~C6アルキル
ジC6~C10アリール置換シリル基;
 ジメチルフェニルシリル基などのジC1~C6アルキルC6~C10アリール置換シリル基;
 ベンジルジメチルシリル基、3-フェニルプロピルジメチルシリル基などの(C6~C10フェニルC1~C6アルキル)ジC1~C6アルキルシリル基;
 メチルフェニルビニルシリル基などのC1~C6アルキルC6~C10アリールC2~C6アルケニルシリル基、
 トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などのトリC1~C6アルコキシ置換シリル基;
 ジメチルシリル基、ジエチルシリル基などのジC1~C6アルキル置換シリル基;
 ジメトキシシリル基、ジエトキシシリル基などのジC1~C6アルコキシ置換シリル基;
 メトキシジメチルシリル基などのC1~C6アルコキシジC1~C6アルキル置換シリル基;
 t-ブトキシジフェニルシリル基などのC1~C6アルコキシジC6~C10アリール置換シリル基;
 メチルジメトキシシリル基などのC1~C6アルキルジC1~C6アルコキシ置換シリル基;
 シアノ基;
 ニトロ基。
 また、上記の「3~6員ヘテロシクリル基」とは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1~4個のヘテロ原子を環の構成原子として含むものである。ヘテロシクリル基は、単環及び多環のいずれであってもよい。多環ヘテロシクリル基は、少なくとも一つの環がヘテロ環であれば、残りの環が飽和脂環、不飽和脂環又は芳香環の炭化水素環いずれであってもよい。「3~6員ヘテロシクリル基」としては、3~6員飽和ヘテロシクリル基、5~6員ヘテロアリール基、5~6員部分不飽和ヘテロシクリル基などを挙げることができる。
 3~6員飽和ヘテロシクリル基としては、アジリジニル基、エポキシ基、ピロリジニル基、テトラヒドロフリル基、チアゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などを挙げることができる。
 5員ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基、インドニル基、イソインドリニル基、インドリジニル基、ベンツイミダゾリル基、カルバゾリル基などを挙げることができる。
 6員ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサリニル基、シノリニル基、キナゾリル基、フタラジニル基、アクリジニル基、ナフタジニル基、フェナジニル基などを挙げることができる。
 5~6員部分不飽和ヘテロシクリル基としては、イソオキサゾリニル基、ピラゾリニル基などを挙げることができる。
 3~6員ヘテロシクリル1~6アルキル基としては、グリシジル基、2-テトラヒドロフリルメチル基、2-ピロリルメチル基。2-イミダゾリルメチル基、3-イソオキサゾリルメチル基、5-イソオキサゾリルメチル基、2-ピリジルメチル基、4-ピリジルメチル基、3-イソオキサゾリニルメチル基などを挙げることができる。
 「C1~6」などの用語は、母核となる基の炭素原子数が1~6個などであることを表している。この炭素原子数には、置換基の中にある炭素原子の数を含まない。例えば、エトキシブチル基は、母核となる基がブチル基であり、置換基がエトキシ基であるので、C2アルコキシC4アルキル基に分類する。
 ただし、「C1~6アルキルカルボニル」、「C6~10アリールカルボニル」の用語を用いる場合には、炭素原子数にカルボニル基の炭素は含まないものとする。
 これらの「置換基」は、当該置換基中のいずれかの水素原子が、異なる構造の基で置換されていてもよい。
 式(1)中、Rは、水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基又は水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を有するC1~30の炭化水素基を表す。「水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基」中のアルキル基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチル-n-ブチル基、i-ヘキシル基、n-ペンチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-テトラデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコサニル基等が挙げられる。
 フッ素原子の置換率は、アルキル基に含まれる水素原子の合計数の60%以上であれば特に限定されず、70%以上、80%以上、90%以上が好ましく、さらに100%(パーフルオロアルキル基に相当する。)であるのがさらに好ましい。
 水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基として具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、1H,1H-パーフルオロ-n-プロピル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-プロパン-2-イル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル基、パーフルオロ-n-プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-n-ブチル基、パーフルオロ-n-ブチル基、1H,1H-パーフルオロ-n-ブチル基、1H,1H,3H-パーフルオロ-n-ブチル基、パーフルオロ-n-ペンチル基、1H,1H,5H-パーフルオロ-n-ペンチル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-n-ヘキシル基、パーフルオロ-n-ヘキシル基、1H,1H,2H,2H,3H,3H-パーフルオロ-n-ヘプチル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-n-オクチル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-n-ノニル基、1H,1H,2H,2H,3H,3H-パーフルオロ-n-ノニル基、1H,1H,2H,2H,3H,3H-パーフルオロ-n-デシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,10,10,10-ヘキサデカフルオロ-9-トリフルオロメチル-n-デシル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-n-デシル基等が挙げられる。
 「水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を有するC1~30の炭化水素基」のC1~30の炭化水素基とは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族炭化水素基、これらの組合せ等を表す。
 アルキル基としては、上記アルキル基で例示されたものと同様のものが挙げられる。
 アルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、プロペン-2-イル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基等が挙げられる。
 アルキニル基としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基等が挙げられる。
 シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、キュバニル基等が挙げられる。
 シクロアルケニル基としては、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
 芳香族炭化水素基としては、単環及び多環のいずれであってもよく、多環芳香族炭化水素基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和脂環、不飽和脂環又は芳香環のいずれであってもよく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、アズレニル基、ピレニル基、フルオレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。
 これらの組合せとは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基及び芳香族炭化水素基からなる群から2種以上を組合せた基をいい、具体的には、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルエチル基等のアルキル基とシクロアルキル基の組合せ、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアルキル基と芳香族炭化水素基の組合せ等が挙げられる。
 「水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を有する」とは、C1~30の炭化水素基上の水素原子が、水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基で置換されている場合のみならず、C1~30の炭化水素基上に化学的に許容される2価の連結基を介して該アルキル基が結合している場合を含む。
 化学的に許容される2価の連結基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-C(=O)-、-NR10-、-C(=NR11)-(R10、R11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)、これらの基の組合せ等が挙げられる。
 これらの基の組合せとしては、2価連結基として例示された基から2種以上を組合せて連結した基をいい、具体的には、ビフェニレン基、-O-アルキレン-、-C(=O)-O-等が挙げられる。
 水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を有するC1~30の炭化水素基としては、4-(1H,1H,2H,2H-パーフルオロヘキシル)フェニル基、4-(1H,1H,2H,2H-パーフルオロヘキシルオキシ)フェニル基、2-(1H,1H,2H,2H-パーフルオロヘキシルオキシ)エチル基、1H,1H,2H,3H-パーフルオロ-3-デセニル基等が挙げられる。
 Rとして、中でも式(4)で表される基が好ましい。
 式(4)中、mは、1~20のいずれかの整数を表し、kは1~6のいずれかの整数を表し、lは0又は1を表す。 m、kは上記条件を満たす範囲で任意に選択することができるが、mは、4以上が好ましく、6以上、8以上、10以上が好ましく、12以下であるのが好ましい。
 m、k、lは、前記条件を満たす範囲であれば、特に制限されないが、以下の式に示す関係を有するのが好ましい。
 (2m+1)/[(2m+1)+2k×l]≧0.6
 式(4)で表される基として、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-n-ヘキシル基、1H,1H,2H,2H,3H,3H-パーフルオロ-n-オクチル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-n-デシル基等が挙げられる。
 式(1)中、nは、1又は2を表す。
 式(1)中、Arは、置換又は無置換のC3~20の2価の芳香族基を表す。なお、「C3~20」は、芳香族基を構成する炭素を表し、芳香族性を満たすために炭素以外の原子(例えば、酸素原子、イオウ原子等)を含んで2価の芳香族基を形成する場合がある。具体的には、フラニレン基、チエニレン基等のように炭素原子4つと酸素原子、イオウ原子から2価の芳香族基を形成する場合等が挙げられる。芳香族基としては、単環及び多環のいずれであってもよく、多環芳香族基は、少なくとも一つの環が芳香環であれば、残りの環が飽和脂環又は不飽和脂環のいずれであってもよい。芳香族基には、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基を含む。具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナントリレン基、アズレニレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、フルオレニレン基、フルオランテニレン基、インデニレン基、インダニレン基、テトラリニレン基等の2価芳香族炭化水素基、ピロリレン基、フリレン基、チエニレン基、イミダゾレン基、ピラゾレン基、オキサゾレン基、イソオキサゾレン基、チアゾレン基、イソチアゾレン基、インドニレン基、イソインドリニレン基、インドリジニレン基、ベンツイミダゾレン基、カルバゾレン基等の2価5員環芳香族複素環基、ピリジレン基、ピラジニレン基、ピリミジレン基、ピリダジレン基、トリアジレン基、キノリレン基、イソキノリレン基、キノキサリレン基、シノリレン基、キナゾリレン基、フタラジレン基、アクリジレン基、ナフタジレン基、フェナジレン基等の2価6員環芳香族複素環基などが挙げられる。
 また、多環芳香族基には、上記のように芳香族環同士が縮合している基以外に、ビフェニレン基のように芳香環同士が直接結合している基、及び化学的に許与される2価の連結基を介して芳香族環同士が結合している基を含む。
 2価の連結基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-C(=O)-、-NR10-、-C(=NR11)-(R10、R11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)、これらの基の組合せ等が挙げられる。
 これらの基の組合せは、2価連結基として例示された基から2種以上を組合せて連結した基をいい、具体的には、ビフェニレン基、-O-アルキレン-、-C(=O)-O-等が挙げられる。
 芳香環同士が直接結合している基、及び化学的に許与される2価の連結基を介して芳香族環同士が結合している基として、具体的には以下に示す基等が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
 式(1)中、Rは、無置換若しくは置換C1~30の炭化水素基又は式(2)で表される基を表す。
 「無置換若しくは置換C1~30の炭化水素基」のC1~30の炭化水素基としては、Rで例示されたものと同様のものが挙げられる。
 式(2)中、Yは、シアノ基、ニトロ基、無置換若しくは置換C1~20のアルキル基、無置換若しくは置換C1~20のアルコキシ基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルファニル基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルフィニル基、又は無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルホニル基を表す。
 C1~20のアルキル基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、2-メチル-n-ブチル基、i-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-テトラデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコサニル基等が挙げられる。
 C1~20のアルコキシ基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンテノキシ基、n-ヘキシルオキシ基、i-プロポキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、i-ペンテノキシ基、ネオペンテノキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、i-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-エイコサニルオキシ基等が挙げられる。
 C1~20のアルキルスルファニル基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、n-プロピルスルファニル基、n-ブチルスルファニル基、n-ペンチルスルファニル基、n-ヘキシルスルファニル基、i-プロピルスルファニル基、i-ブチルスルファニル基、s-ブチルスルファニル基、t-ブチルスルファニル基、i-ペンチルスルファニル基、ネオペンチルスルファニル基、2-メチル-n-ブチルスルファニル基、i-ヘキシルスルファニル基、n-オクチルスルファニル基、n-デシルスルファニル基、n-テトラデシルスルファニル基、n-オクタデシルスルファニル基、n-エイコサニルスルファニル基等が挙げられる。
C1~20のアルキルスルフィニル基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n-プロピルスルフィニル基、n-ブチルスルフィニル基、n-ペンチルスルフィニル基、n-ヘキシルスルフィニル基、i-プロピルスルフィニル基、i-ブチルスルフィニル基、s-ブチルスルフィニル基、t-ブチルスルフィニル基、i-ペンチルスルフィニル基、ネオペンチルスルフィニル基、2-メチル-n-ブチルスルフィニル基、i-ヘキシルスルフィニル基、n-オクチルスルフィニル基、n-デシルスルフィニル基、n-テトラデシルスルフィニル基、n-オクタデシルスルフィニル基、n-エイコサニルスルフィニル基等が挙げられる。
 C1~20のアルキルスルホニル基としては、直鎖でも、分岐鎖であってもよく、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n-プロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、n-ペンチルスルホニル基、n-ヘキシルスルホニル基、i-プロピルスルホニル基、i-ブチルスルホニル基、s-ブチルスルホニル基、t-ブチルスルホニル基、i-ペンチルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、2-メチル-n-ブチルスルホニル基、i-ヘキシルスルホニル基、n-オクチルスルホニル基、n-デシルスルホニル基、n-テトラデシルスルホニル基、n-オクタデシルスルホニル基、n-エイコサニルスルホニル基等が挙げられる。
 式(2)中のY中の「無置換若しくは置換C1~20のアルキル基、無置換若しくは置換C1~20のアルコキシ基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルファニル基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルフィニル基、又は無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルホニル基」の置換基としては、上記置換基として例示したものが挙げられるが、中でも、フッ素原子、クロル原子、ブロム原子、ヨウ素原子等ハロゲン原子が好ましく挙げられ、中でもフッ素原子が好ましく挙げられる。
 フッ素原子置換した基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチル基、パーフルオロイソプロピル基、4-フルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロヘキシル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、3,3,3-トリフルオロプロポキシ基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ基、パーフルオロプロポキシ基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエトキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基、4-フルオロブトキシ基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロペンチルオキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルオキシ基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロヘキシルオキシ基、フルオロメチルスルファニル基、ジフルオロメチルスルファニル基、トリフルオロメチルスルファニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルファニル基、ペンタフルオロエチルスルファニル基、3,3,3-トリフルオロプロピルスルファニル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルスルファニル基、パーフルオロプロピルスルファニル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチルスルファニル基、パーフルオロイソプロピルスルファニル基、4-フルオロブチルスルファニル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルスルファニル基、パーフルオロブチルスルファニル基、パーフルオロペンチルスルファニル基、パーフルオロヘキシルスルファニル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルスルファニル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロヘキシルスルファニル基、フルオロメチルスルホニル基、ジフルオロメチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、2,2,2-トリフルオロエチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、3,3,3-トリフルオロプロピルスルホニル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルスルホニル基、パーフルオロプロピルスルホニル基、2,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルエチルスルホニル基、パーフルオロイソプロピルスルホニル基、4-フルオロブチルスルホニル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルスルホニル基、パーフルオロブチルスルホニル基、パーフルオロペンチルスルホニル基、パーフルオロヘキシルスルホニル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルスルホニル基、1H,1H,2H,2H-パーフルオロヘキシルスルホニル基等が挙げられる。
 式(2)中、Arは、無置換又は置換C3~20の2価の芳香族基を表し、C3~20の2価の芳香族基としては、式(1)中のAr中のC3~20の2価の芳香族基と同様の意味を表し、具体的にはArで例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、フェニレン基、ビフェニレン基又はナフタレン基が好ましく、1,4-フェニレン基、4,4’-ビフェニレン基、2,6-ナフタレン基が特に好ましく挙げられる。
 式(2)中、Lは、2価の連結基を表し、化学的に許容される2価の基であれば特に制限されず、具体的には、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、-O-、-S-、-S(O)-、-SO-、-C(=O)-、-NR10-、-C(=NR11)-(R10、R11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す)、これらの基の組合せ等が挙げられる。
 これらの基の組合せは、2価連結基として例示された基から2種以上を組合せて連結した基をいい、具体的には、ビフェニレン基、-O-アルキレン-、-C(=O)-O-等が挙げられる。
 Lとして、中でも、酸素原子又は式(3)で表される連結基が好ましい。
 式(3)中、Xとしては、酸素原子、硫黄原子、NRを表し、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基等を表す。R中、アルキル基、アリール基としては、Rで例示したものと同様のものが挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
 式(3)中、Lは、2価の連結基を表し、具体的には、Lで例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、式(5a)、(5b)又は(5c)で表される基が、好ましく挙げられる。
 式(3)中、Lは、鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい無置換若しくは置換C2~20の2価の炭化水素基を表す。2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、これらを組み合わせた2価の基を表す。
 2価の脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、これらの基の組合せ等を例示することができる。
 アルキレン基としては、エチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、1,4-ブチレン基、1,3-ブチレン基等が挙げられる。
 アルケニレン基としては、エテニレン基、1,3-プロペニレン基、1,2-プロピニレン基、1-ブテン-1,4-ニレン基、1-ブテン-1,3-ニレン基、1,3-ブタジエン-1,4-ニレン基等が挙げられる。
 アルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、1-ブチン-1,4-ニレン基、1-ブチン-1,3-ニレン基等が挙げられる。
 シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、1,3-シクロブチレン基、1,4-シクロヘキシレン基等が挙げられる。
 シクロアルケニレン基としては、シクロプロペニレン基、1,3-シクロブテニレン基、2-シクロヘキセン-1,4-ニレン基等が挙げられる。
 2価の芳香族炭化水素基としては、式(1)中のArの2価の芳香族炭化水素基と同様の意味を表し、具体的にはArの2価の芳香族炭化水素基と例示されたものと同様のものが挙げられる。
 これらを組み合わせた2価の基とは、2価の脂肪族炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる2以上の2価の基を組み合わせた2価の基を表す。具体的には下記に示す基が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
 「鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい無置換若しくは置換C2~20の2価の炭化水素基」中の鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよいC2~20の2価の炭化水素基として、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンチオアルキレン基、アリーレンオキシアリーレン基、アリーレンチオアリーレン基、アリーレンオキシアルキレン基、アリーレンチオアルキレン基、アリーレンオキシアルキレンオキシアリーレン基等が挙げられるが、中でも下記式(6)で表される基が好ましく挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
 式(6)中、R及びRは、それぞれC2~20のアルキレン基又はアリーレン基を表し、tは、1~5のいずれかの整数を表し、tが2以上のとき、Rは、同一でも相異なっていてもよい。式(6)で表される基として以下に示す基が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体(以下、「化合物(1)」ということがある。)として、具体的には、以下に示す化合物が挙げられる。
 表1~表3中、nC4H9O-:n-ブトキシ基、nC5H11O-:n-ペンチルオキシ基、nC6H13O-:n-ヘキシルオキシ基、nC7H15O-:n-ヘプチルオキシ基、nC8H17O-:n-オクチルオキシ基、nC9H19O-:n-ノニルオキシ基、nC10H21O-:n-デシルオキシ基、-Ph-:1,4-フェニレン基、-BiPh-:4,4’-ビフェニレン基、-NaPh-:2,6-ナフチレン基、-Ph-Py-:1,4-フェニレン-3,6-ピリジレン基を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000019
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000020
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000022
 式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体の製法は特に限定されるものでないが、例えば、下記のスキーム又はそれに準じたスキームによって合成することができる。なお、より詳細には実施例に記載の方法により合成することができる。また、各式中の符号のうち上記式(1)と同じ符号は、その式(1)におけるものと同義であり、各式同士で互いに同じ符号がある場合は、それらの符号は互いに同義である。R20は、カルボキシ基の保護基を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
 本発明の化合物(1)は、有機溶媒をゲル化するゲル化剤として用いることができる。本発明の化合物(1)は、多様な有機溶媒を少量の添加によりゲル化又は固化できる点で有利である。また、本発明のゲル状組成物は、1種又は2種以上の化合物(1)と有機溶媒とを含有する。
 本発明のゲル状組成物に含まれる有機溶媒は、有機溶媒であれば特に限定されず、室温で液体である有機溶媒が好ましく挙げられる。
 そのような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等のエステル類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、3-ペンタノン等のケトン類;ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、パーフルオロデカリン、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン等のフッ素原子を有してもよい炭化水素類;ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、クラウンエーテル類、グライム類、テトラヒドロフラン、フルオロアルキルエーテル等のエーテル類;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド等のアミド類;エチレンジアミン、ピリジン、パーフルオロトリブチルアミン等のフッ素原子を有していてもよいアミン類;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類;アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル類;N-メチルピロリドン(NMP)等のラクタム類;スルフォラン等のスルホン類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;シリコンオイル、石油等の工業オイル類;食用油などが挙げられる。
 また、有機溶媒としてイオン液体を用いることもできる。イオン液体は、溶融した塩を指すが、より具体的には、室温付近で液体状になるイオン塩を示す。イオン液体は、イオンだけから構成される液体であり、イオン液体を構成するカチオンは、特定のカチオンに限定されない。当該カチオンとして、窒素をイオン中心とするもの、リンをイオン中心とするもの、硫黄をイオン中心とするもの、窒素と硫黄をイオン中心とするもの等が挙げられる。
 窒素をイオン中心とするカチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、チアゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、グアニジウムカチオン、4-アザ-1-アゾニア-ビシクロ-[2,2,2]オクタニウム等があげられ、これらのカチオンは、任意の位置にアルキル基に代表される置換基を有していてもよく、置換基の数は複数でもよい。
 イミダゾリウムカチオンとしては、1-メチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-プロピルイミダゾリウム、1-ブチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム[BMIM]、1-エチル-3メチルイミダゾリウム[EMIM]、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジアリルイミダゾリウム、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム等の1,2,3-トリアルキルイミダゾリウム、1-シアノプロピル-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ビスシアノメチルイミダゾリウム、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウム、1-メトキシエチル-3-メチルイミダゾリウム、1-[2-(2-メトキシエトキシ)-エチル]-3-メチルイミダゾリウム、1,3-ジエトキシイミダゾリウム、1,3-ジメトキシイミダゾリウム、1,3-ジヒドロキシイミダゾリウム、1-メチル-3-(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルイミダゾリウム、1-メチル-3-[(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリウム等が挙げられる。
 アンモニウムカチオンとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラへキシルアンモニウム、トリヘキシルテトラデシルアンモニウム、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルアンモニウム[DEME]、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウム[TMPA]、トリメチル(1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル)アンモニウム、トリメチル-(4-ビニルベンジル)アンモニウム、トリブチル-(4-ビニルベンジル)アンモニウム、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム、ベンジルジメチル(オクチル)アンモニウム、N,N-ジメチル-N-(2-フェノキシエチル)-1-ドデシルアンモニウム等が挙げられる。
 ピリジニウムカチオンとしては、1-エチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-(3-ヒドロキシプロピル)ピリジニウム、1-エチル-3-メチルピリジニウム
、1-ブチル-3-メチルピリジニウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウム等が挙げられる。
 ピロリジニウムカチオンとしては、1-メチル-1-プロピルピロリジニウム[P13]、1-ブチル-1-メチルピロリジニウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルピロリジニウム、1-エチル-1-メチルピロリジニウム等が挙げられる。
 ピペリジニウムカチオンとしては、1-メチル-1プロピルピペリジニウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-(2-ヒドロキシエチル)-1-メチルピペリジニウム、1-エチル-1-メチルピペリジニウム等が挙げられる。
 リンをイオン中心とするカチオンは、一般的にホスホニウムカチオンと呼ばれ、具体的には、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、(2-シアノエチル)トリエチルホスホニウム、(3-クロロプロピル)トリオクチルホスホニウム、トリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム、トリイソブチルメチルホスホニウム、トリエチルメチルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホン酸等が挙げられる。
 硫黄をイオン中心とするカチオンは、一般的にスルホニウムカチオンと呼ばれ、具体的には、トリエチルスルホニウム、トリブチルスルホニウム、1-エチルテトラヒドロチオフェニウム、1-ブチルテトラヒドロチオフェニウム等が挙げられる。
 カチオンの対となるアニオンとしては、フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、ジシアナミド、ビス(フルオロスルホニル)アミド[FSA]、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド[TFSA]、ビス(トリフルオロエチルスルホニル)アミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド、ビス(ノナフルオロブチルスルホニル)アミド、テトラフルオロボレート[BF]、ビス(トリフルオロメチル)ジフルオロボレート、(トリフルオロメチル)トリフルオロボレート、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、メタンスルホネート、ブチルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネート、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホネート、スチレンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、3-スルホプロピルメタクリレート、3-スルホプロピルアクリレート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、オクチルスルフェート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルスルフェート、ハイドロジェンスルフェート、ヘキサフルオロホスフェート[PF]、トリス(トリフルオロメチル)トリフルオロホスフェート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジハイドロジェンホスフェート、ジブチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジメチルホスフェート、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィネート、メチルホスホネート、メチルメチルホスホネート、フォルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、トリフルオロアセテート、ヒドロキシアセテート、パーフルオロノナノエート、デカノエート、マンデレート、チオサリチレート、ベンゾエート、サリチレート、フルオロハイドロジェネート、ラクテート、グリシネート、アラニネート、ロイシネート、バリネート、トリフルオロメタンスルホニルロイシネート、トリフルオロメタンスルホニルバリネート、ナイトレート、パークロレート、フェノキシド、チオシアネート、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、アセスルファメート、サッカリネート、ピラゾレート、イミダゾレート、チアゾレート、トリアゾレート、テトラゾレート、インダゾレート、ベンゾチアゾレート、ヘキサフルオロアスタチネート、ヘキサフルオロアンチモネート、チオシアネート、テトラクロロアルミネート、テトラクロロフェレート[FeCl]、カルボネート、メチルカルボネート、カルバメート等が挙げられる。
 これらの有機溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
 本発明のゲル状組成物は、その全量に対して化合物(1)を0.05~10.0質量%含有すると好ましく、0.1~8.0質量%含有するとより好ましく、0.3~5.0質量%含有するとさらに好ましい。この含有量が上記下限値以上であることにより、化合物(1)がゲル化剤としてより十分に機能する傾向にあり、上記上限値以下であることにより、経済性及びハンドリング性がさらに向上する傾向にあると共に、ゲル化剤が不純物となるのを一層抑制し、有機溶媒が有する性能の低下をさらに防止することができる。同様の観点から、本発明のゲル状組成物は、その全量に対して有機溶媒を90~99.95質量%含有すると好ましく、92~99.9質量%含有するとより好ましく、95~99.7質量%含有するとさらに好ましい。
 本発明のゲル状組成物は、化合物(1)と有機溶媒に加えて、化合物(1)のゲル化剤としての機能を阻害しない範囲において他の成分を含有してもよい。そのような成分としては、例えば、化合物(1)以外のゲル化剤、凝固剤、増粘剤、安定剤、酸化防止剤、乳化剤、潤滑剤及び安全性向上添加剤などが挙げられる。
また、リチウムイオン二次電池用のゲル電解質として使用する場合は、添加するリチウム塩として、例えば、LiPF、LiBF,LiClO,LiSiF,LiOSO2k+1、LiN(SO22k+1、LiPFn(C2k+14-n、LiB(C22,Li BF2(C22)、LiPF3(C22)などが挙げられる。
 本発明のゲル状組成物の調製法は特に限定されないが、例えば、有機溶媒、化合物(1)及びその他の添加剤などを加熱しながら混合して均一な混合液にした後に当該混合液を降温することで調製できる。各成分の混合順は特に問わないが、あらかじめ有機溶媒と添加剤とからなる溶液を調製した後に、ゲル化剤を混合する方法が、より容易に均一な混合液になるため、好ましい。
 以下に、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術範囲は、これらに限定されない。
 表4に本発明のフルオロアルキル誘導体の具体的態様をまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000024
[化合物(1a-2)の合成]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
 1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルアイオダイド(10.08g、21.3mmol)、4-メチルベンゼンチオール(2.64g、21.3mmol)、炭酸カリウム(2.94g21.3mmol)、3-ペンタノン100mlを300mlナスフラスコに入れて、塩化カルシウム管をつけ、110℃で3日間還流した。反応後、室温まで冷ました反応溶液に水を加え、300mlナスフラスコ内の不溶物を溶解した。その後、分液漏斗に移し、そこへクロロホルムを加えて有機層と水層に分離した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて30分静置した後、有機層をひだ折りろ紙で濾過して濾液をエバポレーターで濃縮した。得られた液体を、展開溶媒としてクロロホルムを使用し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色液体として化合物1a’(収量:6.24g、収率:62.4%)が得られた。
 1a’(1.87g、3.98mmol)と70%メタクロロ過安息香酸(1.96g、16.2mmol)をそれぞれクロロホルムに溶かした後、300mlナスフラスコに入れ、塩化カルシウム管をつけ、80℃で24時間還流した。反応後、室温まで放冷した。その後、反応溶液を分液漏斗に移し、50mlの水に溶かした亜硫酸水素ナトリウムを加え、さらに、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlと水を加えて有機層と水層に分離した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて30分静置した後、有機層をひだ折りろ紙で濾過して濾液をエバポレーターで濃縮した。得られた固体をメタノールに溶かして再結晶を行い、白色固体として化合物1a-1(収量:1.10g、収率:55.0%)を得た。
 [化合物(1b-2)の合成]
 4-メチルベンゼンチオールの代わりに4-エチルベンゼンチオールを用いる以外、実施例1と同様に行い、化合物1b-2を得た。
 [化合物(1c-1)及び(1c-2)の合成]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
 1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルアイオダイド(7.39g、12.9mmol)、4-メチルベンゼンチオ―ル(1.60g、12.9mmol)、炭酸カリウム(1.78g、12.9mmol)、3-ペンタノン100mlを300mlナスフラスコに入れて、塩化カルシウム管をつけ、110℃で3日間還流した。反応後、室温まで冷ました反応溶液に水を加え、300mlナスフラスコ内の不溶物を溶解した。その後、分液漏斗に移し、そこへクロロホルムを加えて有機層と水層に分離した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて30分静置した後、有機層をひだ折ろ紙で濾過して濾液をエバポレーターで濃縮した。その後、得られた固体をクロロホルムとメタノールで再結晶を行い、白色固体として化合物1c’(収量:4.10g、収率:55.8%)を得た。
 クロロホルムに溶かした化合物1c’(1.46g,2.56mmol)を300mlナスフラスコに入れ、10分間氷浴で冷却した。これに、クロロホルムに溶かした70%メタクロロ過安息香酸(0.631g,5.22mmol)を加え、30分間氷浴で撹拌した。反応後、分液漏斗に移し100mlの水に溶かした亜硫酸水素ナトリウム(1.00g,9.61mmol)を加え、さらに、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlと水を加えて有機層と水層に分離した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて30分静置した後、有機層をひだ折リろ紙で濾過して濾液をエバポレーターで濃縮した。その後、得られた固体をメタノールに溶かして再結晶を行い、白色固体として化合物1c-1(収量:1.30g、収率:86.7%)を得た。
 1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルアイオダイドの代わりに、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルアイオダイドを用いる以外は、実施例1と同様に行い、化合物(1c-2)を得た。
 [化合物(1d-1)及び(1d-2)の合成]
4-メチルベンゼンチオールの代わりに、4-エチルベンゼンチオールを用いる以外実施例4と同様に行い、化合物(1d-1)及び化合物(1d-2)を得た。
 [化合物(1e-2)の合成]
 1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルアイオダイドの代わりに、1H,1H,2H,2H-パーフルオロドデシルアイオダイドを用いる以外は、実施例1と同様に行い、化合物1e-2を得た。
 [化合物(1f-2)の合成]
 4-メチルベンゼンチオールの代わりに、4-エチルベンゼンチオールを用いる以外、実施5と同様に行い、化合物1f-2を得た。
 実施例1~6で製造された化合物の物性値を下記表5にまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000027
 本発明の化合物の別の態様の具体例を以下に示す(表6)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000028
 [化合物(2a-1)の合成]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
 1000mlナスフラスコに4-メルカプト安息香酸(10g,0.0644mol)、メタノール200mlを加え、濃硫酸5mlを加えたのち塩化カルシウム管を付け、1日還流した。その後室温放冷し、分液漏斗に移してシクロペンチルメチルエーテル、水、飽和食塩水を加え、洗浄した。分液によって得られた有機層に硫酸マグネシウムを加えて30分静置した後、ひだ折りろ紙で濾過し、溶媒を減圧留去し、得られた固体をメタノールで再結晶して、黄色固体として4-メルカプト安息香酸メチル(収量:9.73g、収率:89%)を得た。
 1000mlナスフラスコに4-メルカプト安息香酸メチル(9.74g,0.0576mol)を加えて3-ペンタノン200mlに溶解した。さらに炭酸カリウム10g、2-(パーフルオロブチル)エチルアイオダイド(21.54g、0.0575mol)を加え、塩化カルシウム管を付け、2日還流した。その後室温で放冷し、ひだ折りろ紙で溶液をろ過した。ろ液をエバポレーターで濃縮し、室温で放冷して、得られた固体をメタノールで再結晶し、褐色固体として、4-(2-(パーフルオロブチル)エチルチオ)安息香酸メチル(収量:16.86g、収率:78.3%)を得た。
 1000mlナスフラスコに化合物4-(2-(パーフルオロブチル)エチルチオ)安息香酸メチル(25g、0.0601mol)を加え、メタノール500mlに溶解した。そこに10N NaOH水溶液60mlを加え、2時間還流した。反応後、氷冷下、12NHCl水溶液を加えて、酸性にし、得られた固体をメタノールを用いて再結晶して、黄色固体として4-(2-(パーフルオロブチル)エチルチオ安息香酸(収量:17.43g、収率:72%)を得た。
 50mlナスフラスコ中、4-(2-(パーフルオロブチル)エチルチオ)安息香酸2.0g(4.99mmol)、塩化チオニル8ml溶液を水浴(80℃)上で40分間撹拌した。溶媒を水浴(80℃)上で減圧留去し、残渣に無水トルエン8mlを加えた。p-ヘキシルオキシフェノール0.97gの無水ピリジン8ml溶液をゆっくりと滴下した。油浴(80℃)上で4時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、残渣をエタノールで洗浄し、無色粉末として2a’(収量:0.81g、収率:37.4%)を得た。
を得た。
 クロロホルムに溶かした化合物2a’(0.81g,1.39mmol)を200mlナスフラスコに投入し、氷浴で冷やした。これに、クロロホルムに溶かした70%メタクロロ過安息香酸0.239gを加え、30分間氷浴で撹拌した。反応後、分液漏斗に移しクロロホルムと水100mlに溶かした亜硫酸水素ナトリウム1.0gを加えて分液操作を行い、有機層を取り出した。さらに、有機層に炭酸水素ナトリウム溶液を加えて有機層と水層に分離した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて30分静置した後、有機層をひだ折りろ紙で濾過して、溶媒を減圧留去し、得られた固体をメタノールから再結晶した。さらにクロロホルムを展開液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色粉末として、化合物2a-1(収量:0.33g、収率:40.1%)を得た。
 [化合物(2b-1)の合成]
 p-ヘキシルオキシフェノールの代わりに、p-オクチルオキシフェノールを用いる以外、実施例7と同様に行い、化合物(2b-1)を得た。
[化合物(2d-1)の合成]
 p-ヘキシルオキシフェノールの代わりに、p-ドデシルオキシフェノールを用いる以外、実施例7と同様に行い、化合物(2d-1)を得た。
 [化合物2a-2の合成]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
 300mlのナスフラスコに4-(2-(パーフルオロブチル)エチルチオ)安息香酸10,00g、酢酸200ml、30wt%のH11.38gを入れ、三日間還流した。室温で放冷し、反応溶液に20wt%の亜硫酸ナトリウム水溶液60mlを加えた後、濾過、水洗し、無色粉末として4-(2-(パーフルオロブチル)エチルスルホニル)安息香酸(収量:10.57g、収率:99.3%)を得た。
 50mlナスフラスコ中、4-(2-(パーフルオロブチル)エチルスルホニル)安息香酸(0.90g,2.08mmol)、五塩化リン0.4g、塩化チオニル8ml溶液を油浴(80℃)上で30分間撹拌した。溶媒を油浴(80℃)上で減圧留去し、残渣に無水トルエン8mlを加えた。これにp-ヘキシルオキシフェノール0.4gの無水ピリジン8ml溶液をゆっくりと滴下した。油浴(80℃)上で4時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、残渣をエタノールで洗浄し、無色粉末として、2a-2(収量:0.29g、収率:23.0%)を得た。
 [化合物(2b-2)、(2c-2)及び(2d-2)の合成]
 p-ヘキシルオキシフェノールの代わりに、それぞれp-オクチルオキシフェノール、p-デシルオキシフェノール、p-ドデシルオキシフェノールを用いる以外、実施例10と同様に行い、化合物(2b-2)、(2c-2)及び(2d-2)を得た。
 [化合物(2e-2)の合成]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
 1000mlのナスフラスコに4-メルカプト安息香酸メチル16.06gを3-ペンタノン400mlに溶解し、KCO 15.00g、2-(パーフルオロヘキシル)
エチルアイオダイド50gを加え、塩化カルシウム管を付け、2日間還流した。その後、室温で放冷し、濾過を行った。得られた濾液を濃縮後、室温で放冷し、黄色固体として4-(2-パーフルオロヘキシル)エチルチオ)安息香酸メチル(収量:42.39g、収率:86.27%)を得た。
 1000mlのナスフラスコに4-(2-(パーフルオロヘキシル)エチルチオ)安息香酸メチル15.02gを、メタノール500mlに溶解し、これに10N NaOH60mlを加え、2時間還流した。反応後、氷冷下、12NHCl水溶液を加えて、酸性にし、得られた固体をメタノールを用いて再結晶して、白色の針状固体として、4-(2-(パーフルオロヘキシル)エチルチオ)安息香酸(収量:10.36g、収率:70.91%)を得た。
 300mlのナスフラスコに4-(2-(パーフルオロヘキシル)エチルチオ)安息香酸10.00g、30wt%のH11.38g、酢酸200mlを入れ、塩化カルシウム管をつけ、三日間還流した。室温放冷し、反応溶液に20wt%の亜硫酸ナトリウム水溶液60mlを加え、析出した固体をろ過、水洗して、無色固体として、4-(2-(パーフルオロヘキシル)エチルスルホニル)安息香酸(収量:10.57g収率:99.3%)を得た。
 50mlのナスフラスコに4-(2-(パーフルオロヘキシル)エチルスルホニル)安息香酸2.00g、五塩化リン0.80g、塩化チオニル20mlを加え、塩化カルシウム管をつけ、油浴中(80℃)で一時間加熱撹拌した。撹拌後、固体になるまで減圧留去し、4-(2-(パーフルオロヘキシル)エチルスルホニル)安息香酸クロリドを得た。これは、分離精製せずに次の反応に用いた。
 100mlのナスフラスコにp-ブトキシフェノールを0.63g、pyridine10mlを加え、p-ブトキシフェノールを溶解した。4-(2-(パーフルオロヘキシル)エチルスルホニル)安息香酸クロリドをトルエン30mlに溶解し100mlのナスフラスコに加え、塩化カルシウム管をつけ、油浴中(80℃)で4時間加熱撹拌を行った。溶媒を減圧留去により取り除き、エタノールで洗浄し、無色固体として2e-2(収量:2.30g、収率:89.9%)を得た。
[化合物(2f-2)、(2g-2)、(2h-2)及び(2i-2)の合成]
 p-ブトキシフェノールの代わりに、それぞれp-ヘキシルオキシフェノール、p-オクチルオキシフェノール、p-デシルオキシフェノール、p-ドデシルオキシフェノールを用いる以外、実施例12と同様に行い、化合物(2f-2)、(2g-2)、(2h-2)及び(2i-2)を得た。
[化合物(2j-2)、(2k-2)、(2l-2)及び(2m-2)の合成]
 p-ブトキシフェノールの代わりに、それぞれ4-ブトキシ-4’-ヒドロキシビフェニル、4-ヘキシルオキシ-4’-ヒドロキシビフェニル、4-オクチルオキシ-4’-ヒドロキシビフェニル、p-ドデシルオキシ-4’-ヒドロキシビフェニルを用いる以外、実施例12と同様に行い、化合物(2j-2)、(2k-2)、(2l-2)及び(2m-2)を得た。
 以下実施例7~14で製造された化合物の物性値を表7にまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000032
 以下に、本発明の別の態様の化合物の具体例を示す(表8)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000033
 [化合物(3a-2)の合成]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000034
 1Lナスフラスコ中、4-ヒドロキシ安息香酸メチル25.0g(0.164mol)、臭化ベンジル29.25g(0.171mol)の3-ペンタノン(500ml)溶液に炭酸カリウム22.6g(0.164mol)を加え、30時間還流した。反応終了後、室温まで冷却した後、吸引ろ過により沈殿物を濾別し、溶媒を減圧留去した。残渣をトルエンで再結晶して、無色固体として4-ベンジルオキシ安息香酸メチル(収量:24.69g、収率:62.1%)を得た。
 1Lナスフラスコ中、4-ベンジルオキシ安息香酸メチル15.06g(62.6mmol)の2N水酸化ナトリウム水溶液(150ml)、エタノール(600ml)の混合溶媒を三時間還流した。反応終了後、冷却し、濃塩酸で酸性(pH=1)にし、生じた結晶を吸引ろ過した。メタノールから再結晶し、無色針状結晶として、4-ベンジルオキシ安息香酸(収量:10.49g、収率:68.4%)を得た。
 50mlナスフラスコ中、4-ベンジルオキシ安息香酸5.0g(0.0219mol)、五塩化リン4.56g(0.0219mol)の塩化チオニル(10ml)溶液を水浴(80℃)上で40分間撹拌した。溶媒を水浴(80℃)上で減圧留去し、残渣に無水トルエン(20ml)を加えた。これに4-ブトキシフェノール3.64g(0.0219mol)の無水ピリジン(20ml)溶液をゆっくりと滴下した。油浴(80℃)上で4時間攪拌した後、溶媒を減圧留去し、残渣をクロロホルム展開溶液としてシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。その後、クロロホルム-エタノール混合溶媒で再結晶し、無色粉末として、4-ベンジルオキシ安息香酸4-ブトキシフェニル(収量:7.36g、収率:89.2%)を得た。
 水素雰囲気下、1L水添フラスコ中、4-ベンジルオキシ安息香酸4-ブトキシフェニル3.00g(7.97mmol)、パラジウム-炭素(Pd10%)0.50g、エタノール(400ml)、トルエン(200ml)を水素の吸収が停止するまで激しく撹拌した。沈殿物を濾別し溶液を減圧留去した後、残渣をクロロホルム展開液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、エタノールで再結晶し無色針状結晶として、4-ヒドロキシ安息香酸4-ブトキシフェニル(収量:2.34g、収率:73.24%)を得た。
 50mlナスフラスコ中、4-(2-(ペルフルオロヘキシル)エチルチオ)安息香酸1.75g(3.49mmol)、五塩化リン0.73g(3.49mmol)の塩化チオニル(7ml)溶液を水浴(80℃)上で40分間攪拌した。溶媒を水浴(80℃)上で減圧留去し、残渣に無水トルエン(10ml)を加えた。これに4-ヒドロキシ安息香酸4-ブトキシフェニル1.00g(3.49mmol)の無水ピリジン(10ml)溶液をゆっくりと滴下した。油浴(80℃)上で4時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、残渣をエタノールで洗浄し、無色粉末として3a’(収量:2.32g、収率:90.3%)を得た。
 50mlナスフラスコに化合物3a’0.8gをとり、35%過酸化水素水を0.8g、酢酸40mlを加え、3日間120℃で還流した。室温まで放冷した後20wt%亜硫酸ナトリウム水溶液5ml、水を40ml加えた。沈殿物を吸引ろ過で取り出し乾燥して無色の粉末として3a-2(収量:0.77g、収率:94.3%)を得た。
[化合物(3b-2)、(3c-2)、(3d-2)及び(3e-2)の合成]
 4-ヒドロキシ安息香酸4-ブトキシフェニルの代わりに、それぞれ4-ヒドロキシ安息香酸4-ヘキシルオキシフェニル、4-ヒドロキシ安息香酸4-オクチルオキシフェニル、4-ヒドロキシ安息香酸4-ブトキシ-4’-ビフェニル、4-ヒドロキシ安息香酸4-ヘキシルオキシ-4’-ビフェニルを用いる以外、実施例15と同様に行い、化合物(3b-2)、(3c-2)、(3d-2)及び(3e-2)を得た。
 [化合物(3f-2)の合成]
 1Lナスフラスコに、4-ヒドロキシ安息香酸メチル(50.1g,0.330mol)、アセトン(200ml),炭酸カリウム(57.1、0.413mol),1-ブロモヘキサン(60.6g、0.368mol)の順に加え、油浴中110℃で二日間還流した。反応後、アスピレーターを用いて吸引濾過し、沈殿物を濾別した後、濾液をエバポレーターを用いて、減圧留去し、室温で放冷し、無色透明結固体として4-ヘキシルオキシ安息香酸メチル(収量:47.5g、収率:61.1%)を得た。
 1Lナスフラスコに、4-ヘキシルオキシ安息香酸メチル(37.1g、0.157mol),10N水酸化ナトリウム水溶液(100ml),メタノール(400ml)を加え、油浴中100℃で、3時間還流した。反応後、氷冷しながら、pH1になるまで、塩酸を加え、沈澱させる。アスピレーターを用いて吸引濾過し、沈殿物を濾別した後、沈殿物をエタノールで再結晶し、無色粉末として、4-ヘキシルオキシ安息香酸(収量:22.4g、収率:64.2%)を得た。
 100mlナスフラスコに、4-ヘキシルオキシ安息香酸(8.04g、36.2mmol、塩化チオニル(15ml)を加え、油浴中80℃で、1時間30分加熱撹拌した。反応後、エバポレーターを用いて、塩化チオニルを減圧留去し、4-ヘキシルオキシ安息香酸クロリドを得た。100mlナスフラスコに、4-ベンジルオキシフェノール(7.27、36.2mmol)、ピリジン(15ml)を加え、その後、トルエン(40ml)に溶解させた4-ヘキシルオキシ安息香酸クロリド(8.70g、36.2mmol)を加え、油浴中80℃で、一日加熱撹拌した。反応後、溶媒をエバポレーターを用いて、減圧留去し、エタノールを用いてピリジン塩酸塩を溶解して分液し、トルエン層をエバポレーターを用いて、減圧留去した後、残渣をトルエンで再結晶し、無色粉末として、4-ヘキシルオキシ安息香酸4-ベンジルオキシフェニル(収量:13.7g、収率:93.4%)を得た。
 1Lコルク付き三角フラスコに、4-ヘキシルオキシ安息香酸4-ベンジルオキシフェニル(5.00g、12.9mmol)、エタノール(400ml)、トルエン(200ml)、5%パラジウム炭素(0.500g)加え、水素雰囲気下で、4日激しく撹拌した。反応後、5%パラジウム炭素を,濾過し除去した後、エバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、無色粉末として4-ヘキシルオキシ安息香酸4-ヒドロキシフェニル(収量3.72g、収率91.8%)を得た。
 100mlナスフラスコに、4-(2-(ペルフルオロヘキシル)エチルスルホニル)安息香酸(1.00g、1.90mmol、塩化チオニル(15ml)を加え、油浴中80℃で、1時間30分加熱撹拌した。反応後、エバポレーターを用いて、塩化チオニルを0減圧留去し4-(2-(ペルフルオロヘキシル)エチルスルホニル)安息香酸クロリド
を得た。
 100mlナスフラスコに、4-ヘキシルオキシ安息香酸4-ヒドロキシフェニル(0.590g、1.90mmol)、ピリジン(15ml)を加え、その後、トルエン(40ml)に溶解させた4-(2-(ペルフルオロヘキシル)エチルスルホニル)安息香酸クロリドを加え、油浴中80℃で、一日加熱撹拌した。反応後、溶媒をエバポレーターを用いて減圧留去し、エタノールを用いてピリジン塩酸塩を溶解して分液し、トルエン層をエバポレーターを用いて減圧留去した後、残渣をトルエンで再結晶し、無色粉末として、3f-2(収量:1.30g、収率:83.5%)を得た。
 [化合物(3g-2)の合成]
 1-ブロモヘキサンの代わりに、1-ブロモオクタンを用いる以外は、実施例17と同様に行い、化合物(3g-2)を得た。
 [化合物(3i-2)の合成]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000035
 100mlナスフラスコに、4-(2-(ペルフルオロヘキシル)エチルチオ)安息香酸(1.50g、3.0mmol),塩化チオニル(15ml)を加え、油浴中80℃で、1時間30分加熱撹拌した。反応後、エバポレーターを用いて、塩化チオニルを減圧留去し4-(2-(ペルフルオロヘキシル)エチルチオ)安息香酸クロリドを得た。
100mlナスフラスコに、ヒドロキノン(0.170g,1.5mmol),ピリジン(10ml)を加え、その後、トルエン(40ml)に溶解させ、4-(2-(ペルフルオロヘキシル)エチルチオ)安息香酸クロリド加え、油浴中80℃で4時間加熱撹拌した。反応後、溶媒をエバポレーターを用いて、減圧留去し、エタノールを用いてピリジン塩酸塩を溶解し、吸引濾過した後、ろ物をトルエンで再結晶し、無色粉末として3i’(収量:2.23g、収率:69.2%)を得た。
 200mlのナスフラスコに3i’0.50g、酢酸80ml、30wt%の過酸化水素1.60gを油浴中(120℃)で2日間還流した。室温放冷後、反応溶液に20wt%の亜硫酸ナトリウム水溶液100ml加えた後、水洗した。沈殿物を吸引ろ過して、白色固体として、3i-2(収量:0.34g、収率:68%)を得た。
[化合物(3h-2)、(3j-2)、(3k-2)、(3l-2)及び(3m-2)の合成]
 4-(2-(ペルフルオロヘキシル)エチルチオ)安息香酸の代わりに4-(2-(ペルフルオロブチル)エチルチオ)安息香酸を用いる以外、実施例19と同様に行い、化合物(3h-2)を得た。
 ヒドロキノンの代わりに、それぞれ1,4-ブチレングリコール、1,6-へキシレングリコール、1,8-オクチレングリコール、1,10-デシレングリコールを用いる以外は、実施例19と同様に行い、化合物(3j-2)、(3k-2)、(3l-2)及び(3m-2)を得た。
 実施例15~20において合成された化合物の物性値を表9にまとめて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000036
[ゲル化能(最低ゲル化濃度、ゾル-ゲル転移温度)測定]
 ミクロチューブ(マルエム社製、11mmφ)に約3.5mg程度のゲル化剤を量り取った。そこに溶媒を適量加えてサンプル管を加熱し、ボルテックスミキサーを用いて激しく撹拌した。放冷した後、溶液の状態を目視で確認した。このとき、サンプル管を逆さまにしたときに固体状態ならば「ゲル」、液体状態ならば「ゾル」とした。ゲルと判断した場合はさらに溶媒を加えて最低ゲル化濃度を決定した。また、ゲル状態からゾル状態に相転移する際の温度を測定し、これを「ゾル-ゲル転移温度」とした。
 最低ゲル化濃度について、表10~12、ゾル-ゲル転移温度については、表13~15にまとめて示す。なお、表中、「-」は、未測定を表す。
また、
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000037
*1:PC:Propylene carbonate
*2:GBL: γ-Butyrolactone
*3:登録商標
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000038
*1:登録商標
*2:5質量%の濃度において、化合物が全部又は一部溶解してなくゲル化していない状態を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000039
*1:5質量%の濃度において、化合物が全部又は一部溶解してなくゲル化していない状態を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000040
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000041
*1:化合物濃度 3質量%
*2:化合物濃度 4質量%
*3:化合物濃度 2質量%
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000042
*1:化合物濃度 2質量%
*2:化合物濃度 3質量%
[電解液としての評価]
1.ゲル化能の評価1 
 ECとEMCとを質量比で1:2になるように混合し、その混合液に、LiPFを1モル/Lになるように添加してゲル化されていない電解液(A)を作製した。その電解液(A)及びECとEMCの質量比1:2の混合液(B)の全体量に対して、ゲル化剤であるパーフルオロ基含有化合物として化合物No(2e-2)を所定の濃度で添加し、95℃に加熱して均一に混合した後、25℃に降温してゲル電解質(a1)及びゲル(b1)を得た。得られたゲル電解質(a1)及びゲル(b1)を加熱して、ゾルへの相転移温度を求めた。その結果を図1に示す。
 ここで、ゲル(b1)は、LiPFを含まないECとEMCの混合液とゲル化剤である化合物No(2e-2)のみからなるゲルを意味する。
2. ゲル化能の評価2
PCに、LiClOを3モル/Lになるように添加してゲル化されていない電解液(A)を作製した以外は、上記(1)のLiPF/EC-EMCの例の場合と同様にして、ゾルへの相転移温度を求めた。その結果を図2に示す。
比較例として、以下の式で表される化合物(比較化合物θ)をゲル化剤として使用した結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000043
3.ゲル強度測定
 ECとEMCとを質量比で1:2になるように混合し、その混合液に、LiPFを1モル/Lになるように添加してゲル化されていない電解液(A)を作製した。その電解液(A)の全体量に対して、ゲル化剤であるパーフルオロ基含有化合物として化合物No(2e-2)を5質量%となる濃度で添加して、95℃に加熱して均一に混合した後、サンプル瓶につめて、25℃に降温して高さが1cmのゲルを作成した。
 室温(約20℃)で、レオメーター(CR-500DX-SII、(株)サン科学社製;アダプター直径10mm)でゲルに対してアダプターを5mm進入させ、最大荷重(g)からゲル強度(g/cm)を算出した。その結果、ゲルの強度は、342.5kg/cmであった。
4.イオン伝導度の測定1
 ECとEMCとを質量比で1:2になるように混合し、その混合液に、LiPFを1モル/Lになるように添加してゲル化されていない電解液(A)を作製した。その電解液(A)の全体量に対して、ゲル化剤であるパーフルオロ基含有化合物として化合物No(2e-2)を1質量%及び5質量%の濃度で添加し、95℃に加熱して均一に混合した後、グローブボックス内で、ゲル化する前にガラス繊維ろ紙に染み込ませ、その状態でゲル化させ、1質量%濃度のゲル電解質(a2)、5質量%濃度のゲル電解質(a3)を得た。作用極及び対極にPtを使用し、得られたゲル電解質(a2)及び(a3)をセパレーターに用いて二極式セルを組み立てた。二極式セルを恒温槽に入れ、-20℃から50℃の温度範囲で10℃刻みで電気化学測定システム(1280Z、英国ソーラトロン社製)を用いて下記測定条件で、インピーダンスを測定した。測定で得られたインピーダンスからイオン伝導度を算出した。その結果を図3に示す。
 [測定条件]
 周波数範囲:20000-5Hz
 印加電圧(交流振幅):5mVp-p(p-p:ピークとピークの間)
 直流電圧:0mV
 温度:-20~50℃
5.イオン伝導度の測定2
 EC、PC、DMC、EMCを質量比で15:10:65:10になるように混合し、その混合液に、LiPFを1モル/Lになるように添加してゲル化されていない電解液(C)を作製した。その電解液(C)の全体量に対して、ゲル化剤であるパーフルオロ基含有化合物として化合物No(2f-2)を1質量%の濃度で添加し、95℃に加熱して均一に混合した後、グローブボックス内で、ゲル化する前にガラス繊維ろ紙に染み込ませ、その状態でゲル化させ、1質量%濃度のゲル電解質(a4)を得た。作用極及び対極にPtを使用し、得られたゲル電解質(a4)をセパレーターに用いて二極式セルを組み立てた。二極式セルを恒温槽に入れ、0℃から60℃の温度範囲で10℃刻みで電気化学測定システム(1280Z、英国ソーラトロン社製)を用いて下記測定条件で、インピーダンスを測定した。測定で得られたインピーダンスからイオン伝導度を算出した。その結果を図4に示す。
 [測定条件]
 周波数範囲:20000-5Hz
 印加電圧(交流振幅):5mVp-p(p-p:ピークとピークの間)
 直流電圧:0mV
 温度:0~60℃
6.イオン伝導度測定3
 ECとEMCとを質量比で1:2になるように混合した混合液の代わりに、イオン液体である[BMIM][TFSA]を用い、得られたゲル電解質(a5)をセパレーターとする以外、イオン伝導度の測定1と同様に測定をした。その結果を図5に示す。
7.電位窓の測定1
 EC、PC、DMC、EMCを質量比で15:10:65:10になるように混合し、その混合液に、LiPFを1モル/Lになるように添加してゲル化されていない電解液(C)を作製した。その電解液(C)の全体量に対して、ゲル化剤であるパーフルオロ基含有化合物として化合物No(2f-2)を1質量%の濃度で添加し、95℃に加熱して均一に混合した後、グローブボックス内で、ゲル化する前にガラス繊維ろ紙に染み込ませ、その状態でゲル化させ、1質量%濃度のゲル電解質(a6)を得た。
 作用極、対極にPt、参照極にAgを使用し、得られたゲル電解質(a6)をセパレーターに用いて三極式セルを組み立てた。恒温槽に三極式セルを入れ、25℃にした。
 電気化学測定システム(HZ5000(HAG3001)、北斗電工社製)を用いて、自然電位:+4V~自然電位:-4Vの間で電位走査速度1.0mV/sとしてLSV測定を行った。
反応電流が大きく出ていない範囲から電位窓を観察した。その結果を図6に示す。
8.電位窓の測定2
 EC、PC、DMC、EMCを質量比で15:10:65:10になるように混合した混合液の代わりに[BMIM][TFSA]を用い、ゲル化剤として2e-2、2j-2を用い、ゲル化剤の濃度を5質量%として得られたゲル電解質(a7)、(a8)をセパレーターに用い、電位走査範囲を0.3-4.0Vにする以外は、電位窓の測定1と同様に測定を行った。その結果を図7に示す。
9.電位窓の測定3
 電位窓の測定1の条件のうち、混合液をECとEMCを質量比で1:2とした液に代え、またゲル化剤をパーフルオロ基含有化合物である化合物No(2e-2)に代えて使用した以外は、電位窓の測定1と同様に測定を行った。その結果を図8に示す。
 [動的粘弾性の評価]
 プロピレンカーボネートに対して、本発明の化合物である1a-2、1b-2、1c-2、1d-2、1e-2及び1f-2の濃度が3質量となるように配合してゲルを生成した(それぞれ化合物(1a-2)に対してゲル(b2)、化合物(1b-2)に対してゲル(b3)、化合物(1c-2)に対してゲル(b4)、化合物(1d-2)に対してゲル(b5)、化合物(1e-2)に対してゲル(b6)、化合物(1f-2)に対してのゲル(b7)とする。)。得られたゲルに対して、動的粘弾性測定装置(Rheosol-G1000-YM、株式会社UBM製)を用い、周波数範囲0.01~5Hzの範囲で測定し、貯蔵弾性率
(G’)及び損失弾性率(G’’)を求め、得られた値G’,G’’をもとにtanδ(G’’/G’)を求めた。その結果を図9にまとめて示す。
 図9より、本発明のゲル化剤のいずれを用いてもtanδは1以上となり、本発明のゲル化剤を用いたゲルは、粘性の大きいゲルであり、液体的な性質を有しているといえる。
 ゲル化の要求は、水・有機溶媒ともに多くあり、目的・用途に応じて様々なゲル化剤が使用されているので、本発明のゲル化剤は、例えば、化粧品,医薬医療,食品,塗料,接着剤,汚泥処理等の産業分野で利用可能である。
 本発明のフルオロアルカン誘導体をもちいることで、従来技術では困難であった180℃程度の温度までゲル状態を維持したイオン液体ゲルを形成することができた。有機ゲル化剤には水素結合性の官能基を持たないために、電気化学的安定性やpH変化による分解がない。さらに、形成したイオン液体ゲルはイオン液体ゲルのイオン伝導度は、液体状態とほとんど変わりない。よって、本発明のゲル化剤は、高いイオン伝導度と機械的強度が両立した次世代の有機ゲル電解質が構築できる可能性があり、全固体リチウムイオン電池への応用が期待できる。
 また、さらに、本発明のゲル化剤で生成したイオン液体ゲルは、二酸化炭素分離膜への応用が期待されており、CO再利用を最終目的として酸性ガスや水を除去できる革新的なCO分離材料と応用が可能である。

Claims (8)

  1.  下記式(1)で表されるフルオロアルカン誘導体。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
     (式(1)中、Rは、水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基又は水素原子の60%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を有するC1~30の炭化水素基を表し、Arは、無置換又は置換C3~20の2価の芳香族基を表し、Rは、無置換若しくは置換C1~30の炭化水素基又は下記式(2)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
     (式(2)中、Yは、シアノ基、ニトロ基、無置換若しくは置換C1~20のアルキル基、無置換若しくは置換C1~20のアルコキシ基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルファニル基、無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルフィニル基、又は無置換若しくは置換C1~20のアルキルスルホニル基を表し、Arは、無置換又は置換C3~20の2価の芳香族基を表し、Lは、2価の連結基を表す。)で表される基を表し、nは、1又は2を表す。)
  2.  式(2)中、Lが、酸素原子又は下記式(3)で表される2価の連結基である請求項1に記載のフルオロアルカン誘導体。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
     (式(3)中、Xは、酸素原子、硫黄原子又はNR(Rは、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)を表し、Lは、鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい無置換若しくは置換C2~20の2価の炭化水素基を表し、Lは、2価の連結基を表す。)
  3.  式(1)中、Rが、下記式(4)で表される基である請求項1又は2に記載のフルオロアルカン誘導体。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
     (式(4)中、mは、1~20のいずれかの整数を表し、kは、1~6のいずれかの整数を表し、lは、0又は1を表す。)
  4.  式(2)中のArが、1,4-フェニレン基、4,4’-ビフェニレン基又は2,6-ナフタレン基である請求項1~3のいずれか1項に記載のフルオロアルカン誘導体。
  5.  式(3)中、Lは、下記式(5a)、(5b)又は(5c)で表される基である請求項1~4のいずれか1項に記載のフルオロアルカン誘導体。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
     (式(5a)、(5b)及び(5c)中、*1は、Lと結合する位置を表し、*2は、Arと結合する位置を表す。)
  6.  請求項1~5のいずれか1項に記載のフルオロアルカン誘導体を含むゲル化剤。
  7.  請求項1~5のいずれか1項に記載のフルオロアルカン誘導体及び有機溶媒を含むゲル状組成物。
  8.  有機溶媒が、イオン液体である請求項7に記載のゲル状組成物。
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