WO2021095438A1

WO2021095438A1 - 塗布具包装体とその製法

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Publication number: WO2021095438A1
Application number: PCT/JP2020/039058
Authority: WO
Inventors: 嘉光栗林; 敏夫遠藤; 勇人守安; 中村　興司
Original assignee: 株式会社タイキ
Priority date: 2019-11-15
Filing date: 2020-10-16
Publication date: 2021-05-20
Also published as: JP7348614B2; JPWO2021095438A1; CN114449922A

Abstract

塗布具包装体は、皮膚に液体を塗布するための塗布面を有し、塗布面に液体が含浸したパフ２と、パフ２を収容する収容室を有する容器３と、容器３を密封包装する包装袋８と、を備え、液体は、液体化粧料であり、収容室と包装袋８の内部空間とが連通し、包装袋８の内部空間は、減圧状態にあり、容器３は、容器本体と蓋体とを備え、容器本体と蓋体とにより収容室が形成され、容器本体と蓋体との間において、収容室と包装袋８の内部空間とが連通している。

Description

塗布具包装体とその製法

　本発明は、液体が予め塗布具に含浸した塗布具包装体とその製法に関する。

　下記特許文献１には、パフ及びファンデーションがコンパクト容器に収容された塗布具包装体が開示されている。ユーザは、容器を開けてパフを取り出す。ユーザは、パフを持ち、パフにファンデーションを付ける。そして、ユーザは、パフを顔に接触させることで、ファンデーションを顔に塗布する。しかしながら、パフにファンデーションを付けるという手間がかかる。

特開２０００－２６２３２２号公報

　本発明は、使い勝手を向上させることができる塗布具包装体とその製法を提供することを課題とする。

　本発明に係る塗布具包装体は、塗布具と容器と包装袋を備えている。塗布具は、皮膚に液体を塗布するための塗布面を有している。塗布具の塗布面には、液体が含浸している。容器は、収容室を有している。収容室には、塗布具が収容されている。容器は、包装袋により密封包装されている。

　この構成によれば、ユーザは、包装袋を開封し、容器の収容室から塗布具を取り出す。塗布具の塗布面には、既に液体が含浸しているので、ユーザは、その塗布具を持って、液体を顔等に塗布することができる。

　好ましくは、液体は、液体化粧料である。収容室と包装袋の内部空間とが連通している。包装袋の内部空間は、減圧状態にある。この構成によれば、包装袋の内部空間が減圧状態にあって且つ収容室と包装袋の内部空間とが連通しているので、液体化粧料が塗布具の塗布面に均一に浸透する。包装袋の内部空間と収容室が減圧状態であるため、塗布具を滅菌することができる。そのため、防腐剤を使用していない液体化粧料や、防腐剤の使用量を抑制した液体化粧料を使用することができる。

　好ましくは、容器は、容器本体と蓋体とを備えている。容器本体と蓋体とにより収容室が形成されている。容器本体と蓋体との間において、収容室と包装袋の内部空間とが連通している。この構成によれば、収容室と包装袋の内部空間とを簡単な構成で連通させることができる。

　好ましくは、容器本体は、底面部を備えている。底面部に、液体化粧料を溜めるための貯留凹部が設けられている。この構成によれば、液体化粧料が容器本体内において過度に広がることが防止される。また、液体化粧料を効率良く塗布具に含浸させることができる。

　好ましくは、蓋体は、容器本体の底面部と対向する天面部を備えている。天面部に、押圧凸部が設けられている。押圧凸部は、塗布具を容器本体の底面部に向けて押す。この構成によれば、閉蓋状態において塗布具が蓋体の押圧凸部によって押されるので、塗布具の位置が安定しやすい。そのため、液体化粧料のはみ出しが抑制される。

　好ましくは、押圧凸部は、環状である。押圧凸部は、塗布具の周縁部を全周に亘って押す。この構成によれば、塗布具をより一層安定させることができ、液体化粧料のはみ出しが抑制される。

　好ましくは、容器本体と蓋体は、合成樹脂製のシートからなり、包装袋の内部空間の減圧状態により、容器本体の底面部と蓋体の天面部は、容器内側に弾性変形している。この構成によれば、容器本体の底面部と蓋体の天面部の弾性変形によって収容室内の塗布具が安定しやすい。

　好ましくは、塗布具の表面のうち液体を塗布する際に手が触れる部分に、保護フィルムが剥離可能に貼着されている。この構成によれば、保護フィルムが、塗布具の表面のうち手が触れる部分を覆っている。塗布具の表面のうち手が触れる部分に液体が含浸することが保護フィルムによって抑制される。使用に際して保護フィルムは剥離される。

　また、本発明に係る塗布具包装体の製法は、容器の収容室に液体化粧料を入れる工程と、塗布具を容器の収容室に入れる工程と、液体化粧料と塗布具が収容室に入れられた容器を包装袋に入れる工程と、容器が入れられた包装袋の内部を減圧して包装袋を密封する工程と、を備えている。

　以上のように、塗布具の塗布面に予め液体が含浸しているので、使用に際して従来のように塗布具に液体を付けるという手間は不要であり、従来に比して使い勝手を向上させることができる。

本発明の第一の実施形態における塗布具包装体を示す斜視図。同塗布具包装体を示す平面図。図２のＡ－Ａ断面図。同塗布具包装体のパフを示す斜視図。同パフの平面図。図５のＢ－Ｂ断面図。同塗布具包装体の容器の開蓋状態を示す斜視図。同容器の開蓋状態を示す平面図。図８のＣ－Ｃ断面図。同容器にパフを収容した状態を示す断面図。同塗布具包装体の包装工程を示す平面図。本発明の第二の実施形態における塗布具包装体を示す斜視図。同塗布具包装体を示す平面図。図１３のＤ－Ｄ断面図。同塗布具包装体の容器の開蓋状態を示す斜視図。同容器の開蓋状態を示す平面図。図１６のＥ－Ｅ断面図。同容器にパフを収容した状態を示す断面図。本発明の第三の実施形態における塗布具包装体の容器の開蓋状態を示す斜視図。同容器の開蓋状態を示す図１７に対応した断面図。同容器にパフを収容した状態を示す断面図。

＜第一の実施形態＞
　以下、本発明の第一の実施形態に係る塗布具包装体について図１～図１１を参酌しつつ説明する。図１～図３に、本実施形態における塗布具包装体１を示している。塗布具包装体１は、液体と、パフ２と、容器３と、包装袋８を備えている。尚、図３では、包装袋８が省略されている。液体とパフ２は、容器３に収容されている。容器３は、包装袋８に収容されている。包装袋８は、密封されている。包装袋８の内部空間は、減圧状態にある。容器３は、包装袋８により真空包装されている。

＜液体＞
　液体は、顔等の皮膚に塗布される。液体は、例えば高粘度のものであってもよい。液体は、例えば液体化粧料や薬液である。液体化粧料は、例えば、液体のファンデーションやチーク、美容液、乳液等である。薬液には、医薬品や医薬部外品が含まれる。薬液は、例えば、皮膚の塗り薬等である。本実施形態では、液体が液体化粧料であって、具体的には液体のファンデーションである場合を例にして説明する。本実施形態における塗布具包装体１は、化粧品である。化粧料は容器３に所定量入れられている。また、化粧料は、パフ２に含浸している。化粧料の量は、例えば、顔に数回塗布できる程度の量である。

＜パフ２＞
　図４～図６に、塗布具包装体１に用いられているパフ２を単体の状態で示している。パフ２は、塗布具である。塗布具は、液体を顔等の皮膚に塗布するための用具である。パフ２は、化粧料を皮膚に塗布するための化粧用の塗布具である。パフ２は、クッション性を有するパフ本体２０と、パフ本体２０に取り付けられた帯体２１とを備えている。パフ本体２０は、扁平状である。パフ本体２０は、平面視において例えば円形状や矩形状である。本実施形態では、パフ本体２０は平面視円形状である。従って、パフ本体２０は、円板状である。パフ本体２０の上面が被支持面２０ａであり、パフ本体２０の下面が塗布面２０ｂである。被支持面２０ａは、塗布面２０ｂとは反対側の面である。塗布面２０ｂに化粧料が含浸する。ファンデーションを顔に塗布する際に、塗布面２０ｂが顔に当てられ、被支持面２０ａが手の平や指の裏面で支持される。被支持面２０ａは、手が触れる部分である。

　パフ本体２０は、単層であってもよいし多層であってもよい。本実施形態では、パフ本体２０は二層構造である。パフ本体２０は、本体層２２と、カバー層２３を備えている。本体層２２は塗布面２０ｂ側に位置し、カバー層２３は被支持面２０ａ側に位置する。換言すれば、カバー層２３は本体層２２の上側に積層されている。本体層２２が塗布面２０ｂを有し、カバー層２３が被支持面２２ａを有する。本体層２２は、パフ本体２０の主要部である。本体層２２に化粧料が含浸する。本体層２２は、クッション性を有する層である。本体層２２は、柔らかい軟質のものである。本体層２２は、例えばスポンジ等の多孔質の発泡樹脂製のものの他、シリコン製の非発泡のものであってもよい。スポンジは、例えばポリウレタンやアクリロニトリル・ブタジエンゴム（ＮＢＲ）等を発泡させたものである。本体層２２の下面が塗布面２０ｂである。カバー層２３は、本体層２２の上面の全体を被覆している。カバー層２３は、本体層２２よりも薄い。カバー層２３の上面が被支持面２０ａである。カバー層２３は、シートから構成される。カバー層２３を構成するシートには、例えば織物や編み物等の各種の生地が使用される。尚、カバー層２３は、本体層２２の全体を覆っていてもよい。

　帯体２１は、パフ本体２０の被支持面２０ａに取り付けられている。帯体２１の両端部がパフ本体２０の被支持面２０ａの周縁部に取り付けられる。帯体２１とパフ本体２０の被支持面２０ａとの間には、数本の指が挿入可能な孔が形成されている。帯体２１のパフ本体２０への取付方法は種々であってよい。例えば、帯体２１はパフ本体２０に縫合される。帯体２１は、パフ本体２０のカバー層２３に取り付けられている。帯体２１は、パフ本体２０の被支持面２０ａの中央を横断している。帯体２１は、両端部を除いて、パフ本体２０の被支持面２０ａから離れている。帯体２１とパフ本体２０の被支持面２０ａとの間に指が挿入されて、パフ２が手で支持される。

　パフ本体２０の被支持面２０ａには、保護フィルム２４が剥離可能に貼着されていることが好ましい。保護フィルム２４は、例えば透明な合成樹脂製のフィルムである。保護フィルム２４は、使用開始時にパフ本体２０から剥離除去される。保護フィルム２４は、被支持面２０ａの略全体を覆う。好ましくは、保護フィルム２４は、被支持面２０ａのうち周縁部を除く全体を覆う。保護フィルム２４の周縁部のうち１８０度対向する二箇所には、切欠部２４ａが形成されている。一対の切欠部２４ａは、帯体２１の両端部に対応している。切欠部２４ａにより、帯体２１の両端部と保護フィルム２４との干渉が回避される。

＜容器３＞
　容器３は、化粧料とパフ２を収容する。図７～図９に容器３を単体の状態で示している。容器３の形状は、種々であってよく、平面視円形状であってもよいし、平面視矩形状であってもよい。容器３の形状はパフ２の形状に対応していることが好ましい。本実施形態では、容器３は、平面視円形状である。また、容器３は、例えば射出成形やシート成形等によって形成される。本実施形態の容器３は、シート成形によって形成されたものである。容器３は、シート成形品である。

　容器３は、容器本体４と蓋体５とを備えている。容器本体４と蓋体５は、互いに別体の構成であってもよいが、本実施形態では一体の構成である。容器本体４と蓋体５は互いにヒンジ連結されている。蓋体５は、容器本体４にヒンジ部６を介して連結されている。蓋体５は、ヒンジ部６を支点として、容器本体４に対して回動可能である。容器本体４と蓋体５は、一枚の合成樹脂製のシートから構成されている。容器本体４と蓋体５は、シート成形によって一体的に形成されている。シートの材質は、種々の合成樹脂であってよく、特に、ポリプロピレン系樹脂（ＰＰ）や非晶性ポリエチレンテレフタレート（Ａ－ＰＥＴ）が好ましい。シートの厚さは、例えば０．３～１．０ｍｍとすることができる。

　容器本体４は、上側に開口する開口部を有している。容器本体４は、パフ２が載置される底面部４０と、底面部４０の周縁部から上側に延びる本体側面部４１と、本体側面部４１の上端部から外側に延びる本体フランジ部４２を備えている。底面部４０は、パフ２の形状に対応して、円形状である。底面部４０の直径はパフ２の直径よりも大きい。但し、底面部４０の直径がパフ２の直径と略同じであってもよい。底面部４０の上面（内面）の中央部には、一段下がった貯留凹部４３が形成されている。貯留凹部４３に化粧料を溜めることができる。貯留凹部４３に、一回分又は数回分の量の化粧料が入れられる。貯留凹部４３の深さは、例えば、０．１～１ｍｍ程度である。貯留凹部４３の深さ寸法は、例えば容器３を形成しているシートの厚さよりも小さくすることができる。貯留凹部４３の形状は種々でよい。本実施形態では貯留凹部４３は円形状である。貯留凹部４３は底面部４０の中央部に一箇所設けられていてもよいし、底面部４０に複数設けられていてもよい。底面部４０の中央部に貯留凹部４３が形成されることにより、底面部４０の上面は、貯留凹部４３と、貯留凹部４３の周囲に位置する所定幅の環状の載置面４４とに区画される。載置面４４は、平坦面である。尚、図８において、パフ２の外縁を二点鎖線で示している。本体側面部４１は、底面部４０の周縁部から上側に向けて、略垂直あるいは若干拡開しつつ延びている。本体側面部４１は円筒状である。

　本体フランジ部４２は、上フランジ部４２ａと、スカート壁部４２ｂと、下フランジ部４２ｃとを備えている。上フランジ部４２ａは、本体側面部４１の上端部から外側に向けて略水平に延びている。上フランジ部４２ａは環状である。スカート壁部４２ｂは、上フランジ部４２ａの外縁部から下側に延びている。スカート壁部４２ｂは、本体側面部４１の外側を周回している。スカート壁部４２ｂは、本体側面部４１の外側に離間している。スカート壁部４２ｂは、円筒状である。スカート壁部４２ｂの外周面には、係止凸部４５が形成されている。係止凸部４５は、径方向外側に突出している。係止凸部４５は、閉蓋状態を維持するためのものである。係止凸部４５の形状や配置、個数は任意である。係止凸部４５は、好ましくは複数箇所に設けられる。本実施形態では、係止凸部４５は周方向に間隔をあけて三箇所形成されている。係止凸部４５は、ヒンジ部６とは反対側に設けられることが好ましく、ヒンジ部６に対して１８０度対向した位置に設けられることが好ましい。併せて、係止凸部４５は、ヒンジ部６に近い位置に設けられることが好ましい。下フランジ部４２ｃは、スカート壁部４２ｂの下端部から外側に向けて略水平に延びている。下フランジ部４２ｃは、底面部４０と同一の高さとすることができる。下フランジ部４２ｃの外縁部にヒンジ部６が形成されている。下フランジ部４２ｃの外縁部に開封用の摘み部４６が形成されている。摘み部４６は、ヒンジ部６とは反対側に設けられている。摘み部４６は、径方向外側に突出している。

　蓋体５は、容器本体４の開口部を閉じる。蓋体５の形状は、容器本体４の形状に対応している。蓋体５は、天面部５０と、蓋側面部５１と、蓋フランジ部５２を備えている。閉蓋状態において、天面部５０は、容器本体４の開口部を覆う。容器本体４の底面部４０及び本体側面部４１と蓋体５の天面部５０とにより、パフ２を収容するための収容室７が形成される。閉蓋状態において、天面部５０は、容器本体４の底面部４０に対向する。天面部５０と容器本体４の底面部４０が対向する方向は、パフ２の厚さ方向である。天面部５０は、本実施形態では平坦面であるが、湾曲形状等、種々の形状であってよい。天面部５０は、円形状である。閉蓋状態において、天面部５０の周縁部は、上フランジ部４２ａの上側に重なる。

　蓋側面部５１は、天面部５０の周縁部から下側に略垂直に延びている。蓋側面部５１は、円筒状である。閉蓋状態において、蓋側面部５１は、容器本体４のスカート壁部４２ｂの外側に係合して重なる。蓋側面部５１の内周面には、係止凹部５３が形成されている。係止凹部５３は、容器本体４の係止凸部４５と共に閉蓋状態を維持する。閉蓋状態において、蓋体５の係止凹部５３は容器本体４の係止凸部４５に係止する。係止凹部５３の個数及び配置は、係止凸部４５の個数及び配置に対応している。蓋フランジ部５２は、蓋側面部５１の下端部から外側に向けて略水平に延びている。閉蓋状態において、蓋フランジ部５２は、下フランジ部４２ｃの上側に重なる。蓋フランジ部５２の外縁部にヒンジ部６が形成されている。蓋フランジ部５２の外縁部に開封用の切欠部５４が形成されている。切欠部５４は、ヒンジ部６とは反対側に設けられている。閉蓋状態において、容器本体４の摘み部４６は、蓋体５の切欠部５４から表出する。

　閉蓋状態において、蓋体５の天面部５０と容器本体４の上フランジ部４２ａとの間、蓋体５の蓋側面部５１と容器本体４のスカート壁部４２ｂとの間、及び、蓋体５の蓋フランジ部５２と容器本体４の下フランジ部４２ｃとの間には、若干の隙間が形成される。隙間は、全周に亘って形成されていてもよいし、全周のうちの一部のみに形成されていてもよい。この隙間を介して、容器３の収容室７（容器３の内部）と容器３の外部とが連通される。即ち、閉蓋状態において、収容室７は密封状態ではない。容器本体４と蓋体５との間の隙間は、容器３の収容室７と容器３の外部とを連通する連通路である。

＜容器３への収容状態＞
　図１０に、容器３にパフ２が収容された状態を示している。図１０において、化粧料の図示は省略されている。パフ２は、容器３の収容室７に収容されている。パフ２は、容器本体４の底面部４０の載置面４４に載置される。パフ２の塗布面２０ｂが貯留凹部４３に対向する。パフ２は、貯留凹部４３の開口部よりも大きい。パフ２の直径は、貯留凹部４３の開口部の直径よりも大きい。パフ２の塗布面２０ｂの周縁部が、載置面４４に当接する。パフ２は、貯留凹部４３の開口部の全体を覆って閉じる。収容室７の高さ寸法は、パフ２の厚さよりも大きい。但し、収容室７の高さ寸法は、パフ２の厚さと同じであってもよいし、パフ２の厚さよりも小さくてもよい。

＜包装袋８＞
　図１１に、包装袋８を単体の状態で示している。包装袋８は、種々の柔軟なフィルムからなる。フィルムは、透明であってもよいし、不透明であってもよい。フィルムには、各種の合成樹脂製のフィルムを用いることができる。合成樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン（ＰＣＴＦＥ）樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体（ＦＥＰ）樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂よりなる群から選ばれた１種又は２種以上の樹脂を用いることができる。フィルムは、単層、多層の何れであってもよい。特に、フィルムは、内面を構成する層がヒートシール層であるラミネートフィルム（多層フィルム）が好ましい。また、包装袋８のバリア性を向上するために、これら合成樹脂製のフィルムにアルミニウムやシリカ等を蒸着したフィルムを好ましく使用することができる。また、アルミニウム等の金属箔を中間部に積層したラミネートフィルムも好ましく使用できる。フィルムの厚さは、３０～１２０μｍが好ましく、５０～８０μｍがより好ましい。

　また、包装袋８の袋形態も任意であるが、本実施形態では平袋である。包装袋８は、互いに対向する一対のフィルム片８０を備えている。一対のフィルム片８０の内面同士がヒートシールされている。一対のフィルム片８０間に包装袋８の内部空間が形成される。包装袋８の形状は種々であってよい。本実施形態では、包装袋８は、矩形状であり、詳細には長方形状である。包装袋８は、三方シールの平袋である。図１１においてヒートシールされた三つのヒートシール部８３ａ，８３ｂ，８３ｃには多数のドットを付して示している。三方シールの包装袋８は、包装袋８の四辺のうち三辺がヒートシールされたものである。包装袋８の四辺のうち残る一辺はヒートシールされずに開口している。その袋開口部８１から容器３が包装袋８に入れられる。包装袋８に容器３を入れた後、袋開口部８１である一辺がヒートシールされて密封される。包装袋８の側縁部には、開封用のノッチ８２が設けられることが好ましい。ノッチ８２は、袋開口部８１とは反対側に設けられることが好ましいが、袋開口部８１側に設けられてもよい。

＜真空包装状態＞
　図１～図３に、容器３が包装袋８によって密封包装された状態を示している。包装袋８の四辺は何れもヒートシールされている。図１～図３において、四つのヒートシール部８３ａ，８３ｂ，８３ｃ，８３ｄには多数のドットを付して示している。包装袋８の四辺のヒートシール部８３ａ，８３ｂ，８３ｃ，８３ｄのうち一辺のヒートシール部８３ｄは、容器３を収容した後に、袋開口部８１がヒートシールされたものである。容器３は、包装袋８によって真空包装されている。そのため、包装袋８の内部空間は、減圧状態にある。真空包装には、種々の真空包装機が使用される。包装袋８の一方のフィルム片８０が容器本体４の底面部４０の外側に重なり、他方のフィルム片８０が蓋体５の天面部５０の外側に重なる。

　包装袋８の内部空間に残存する空気の残存率は、５％以下が好ましく、２％以下がより好ましい。空気残存率は、例えば以下の方法で測定することができる。まず、真空包装された塗布具包装体１を水中で開封する。包装袋８内に残存している空気を、メスシリンダー等の容量が測定できる器具に回収して測定し、その量を「容量１」とする。次に同型、同寸法の空の包装袋８に空気を一杯になるように入れる。この包装袋８を水中で開放して、包装袋８から放出された空気量を器具に回収して測定し、その量を「容量２」とする。そして、空気残存率（％）＝「容量１」／「容量２」×１００による算出式によって空気残存率を求める。

　包装袋８の内部空間と容器３の収容室７は連通している。そのため、容器３の収容室７は、包装袋８の内部空間と同様に減圧状態にある。図３のように、容器３は、包装袋８の内部空間の減圧状態の影響により、内側に向けて弾性変形している。具体的には、容器本体４の底面部４０と蓋体５の天面部５０は、容器３の内側に向けて弾性変形している。容器本体４の底面部４０と蓋体５の天面部５０は、それぞれ容器３の内側に向けて湾曲している。図３において、容器本体４の底面部４０と蓋体５の天面部５０の変形前の状態を二点鎖線で示している。蓋体５の天面部５０の変形量は、容器本体４の底面部４０の変形量よりも大きい。弾性変形している容器本体４の底面部４０は、パフ２を蓋体５の天面部５０に向けて押圧している。弾性変形している蓋体５の天面部５０は、パフ２の上面を容器本体４の底面部４０に向けて押圧している。容器本体４の天面部５０と蓋体５の天面部５０が容器３の内側に向けて弾性変形していることにより、パフ２は、容器本体４の底面部４０と蓋体５の天面部５０によって、上下方向即ちパフ２の厚さ方向に挟まれている。パフ２は、容器本体４の底面部４０と蓋体５の天面部５０に挟まれて圧縮状態にある。尚、包装袋８が開封されると、包装袋８の内部空間の減圧状態が解除され、容器３の収容室７の減圧状態も解除される。そのため、容器３は、開封後においては、弾性変形前の状態に戻る。

＜塗布具包装体１の製造工程＞
　塗布具包装体１の製造工程の概要について説明する。塗布具包装体１の製造工程は、容器３に化粧料を入れる注入工程と、容器３にパフ２を入れるパフ入れ工程と、容器３を包装袋８に入れる袋入れ工程と、包装袋８の内部を減圧する減圧工程と、包装袋８を密封する密封工程を備えている。以下、より詳細に説明する。

　注入工程では、図７～図９のように、容器３を開蓋状態とする。容器本体４の貯留凹部４３に所定量の化粧料を注入する。化粧料は、貯留凹部４３からはみ出さないようにすることが好ましい。注入工程の後、パフ入れ工程を行う。パフ２を載置面４４に載せて、貯留凹部４３の上にパフ２の塗布面２０ｂを位置させる。貯留凹部４３にパフ２の塗布面２０ｂを対向させる。貯留凹部４３の開口部をパフ２で閉じる。パフ２を載置面４４に載置することにより、パフ２の塗布面２０ｂに化粧料がある程度含浸してもよい。尚、注入工程において貯留凹部４３に化粧料の全量を入れるのではなく、所定量の化粧料のうちの一部のみを貯留凹部４３に入れ、残りの化粧料は、容器３に入れる前のパフ２の塗布面２０ｂに含浸させてもよい。その後、図１０のように、蓋体５を閉じて容器３を閉蓋状態とする。

　パフ入れ工程の後、袋入れ工程を行う。図１１のように、袋入れ工程では、パフ２が収容されて閉蓋状態とされた容器３を、袋開口部８１から包装袋８に入れる。袋入れ工程の後、減圧工程と密封工程を行う。減圧工程と密封工程は、一つの真空包装機によって行うことができる。まず、真空包装機において減圧工程が行われる。減圧工程において、包装袋８の内部を真空引きする。包装袋８の内部空間及び容器３の収容室７における空気が脱気される。減圧工程により、貯留凹部４３に貯まっている化粧料がパフ２の本体層２２に含浸し、化粧料が本体層２２に均一に浸透する。特に、化粧料が高粘度の場合に効果が大きく、本体層２２に高粘度の化粧料が均一に浸透する。また、減圧工程により、パフ２を滅菌することができる。引き続いて、同じ真空包装機において密封工程が行われる。密封工程において、袋開口部８１がヒートシールされて包装袋８が密封される。

　以上のような塗布具包装体１においては、包装袋８の内部空間が減圧状態にある。そして、容器本体４と蓋体５との間の隙間を介して包装袋８の内部空間と収容室７とが連通している。従って、収容室７も減圧状態にある。収容室７が減圧状態にあるため、貯留凹部４３に溜められた化粧料は、パフ本体２０の本体層２２に、効率良く、しかも、均一に浸透する。包装袋８の内部空間と収容室が減圧状態であるため、パフ２を滅菌することができる。そのため、防腐剤を使用していない液体化粧料や、防腐剤の使用量を抑制した液体化粧料を使用することができる。貯留凹部４３に化粧料を溜めることにより、化粧料の不要な広がりが防止され、パフ本体２０の本体層２２に確実に化粧料を含浸させることができる。貯留凹部４３の開口部よりもパフ２の塗布面２０ｂが大きく、塗布面２０ｂが貯留凹部４３の開口部を覆っているので、貯留凹部４３からの化粧料のはみ出しが抑制される。

　容器本体４と蓋体５との間の隙間が連通路となっているので、複雑な連通路を構成する必要がなく、容器３を閉蓋状態とすることによって簡単に連通路を形成できる。容器本体４の底面部４０と蓋体５の天面部５０が容器３の内側に向けて弾性的に凹状に湾曲しているので、パフ２のガタツキが抑制され、パフ２を所定の位置に固定することができる。特に、容器本体４の底面部４０と蓋体５の天面部５０によってパフ２を上下に挟み込んでいると、パフ２の位置ずれが抑制され、化粧料の被支持面２０ａへのはみ出しが抑制される。また、容器本体４の底面部４０と蓋体５の天面部５０でパフ２が狭持されることにより、貯留凹部４３の化粧料がパフ本体２０の本体層２２に効率良く浸透する。蓋体５の天面部５０の変形量が容器本体４の底面部４０の変形量よりも大きいと、蓋体５の天面部５０によってパフ２の塗布面２０ｂを貯留凹部４３に確実に押し付けることができる。

　塗布具包装体１の使用に際して、ユーザは、包装袋８を開封する。包装袋８が開封されると、包装袋８の内部空間の減圧状態が解除され、収容室７の内部の減圧状態も解除される。容器本体４の底面部４０と蓋体５の天面部５０は、シートの弾性により、ほとんど変形しない元の状態に復帰する。ユーザは、包装袋８から容器３を取り出す。そして、ユーザは、蓋体５を開けて、パフ２を取り出す。塗布面２０ｂから被支持面２０ａ側に向けて仮に化粧料がはみ出していたとしても、被支持面２０ａへの化粧料の含浸が保護フィルム２４によって防止される。また、保護フィルム２４によって、帯体２１への化粧料の付着が防止される。ユーザは、パフ２から保護フィルム２４を剥離する。ユーザは、帯体２１とパフ本体２０の間に指を挿入してパフ２を持ち、塗布面２０ｂに含浸している化粧料を顔等に塗布する。塗布作業が終了した後、ユーザは、パフ２を容器３に戻し、容器３にパフ２を収容することができる。

　このように、塗布面２０ｂに既に化粧料が含浸しているので、塗布面２０ｂに化粧料を含浸させるという手間が省け、使い勝手が向上する。複数回分の化粧料がパフ本体２０の本体層２２に含浸しているので、複数回に亘って繰り返し化粧料を顔等に塗布することができる。

＜第二の実施形態＞
　図１２～図１４に、本発明の第二の実施形態に係る塗布具包装体１を示している。尚、図１４では、包装袋８が省略されている。上記第一の実施形態と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。図１５～図１７に本実施形態の容器３を単体の状態で示している。図１８には、容器３にパフ２が収容された状態を示している。

　本実施形態における蓋体５の天面部５０には、パフ２を容器本体４の底面部４０に向けて押す押圧凸部５５が設けられている。押圧凸部５５は、下側に向けて突出している。押圧凸部５５は、種々の形状であってよいが、好ましくは環状である。即ち、押圧凸部５５は、環状の突条である。尚、押圧凸部５５が周方向に間隔をあけて複数箇所に設けられていてもよい。環状の押圧凸部５５は、外周壁部５５ａと、内周壁部５５ｂと、外周壁部５５ａと内周壁部５５ｂの先端部同士を連結する先端面部５５ｃとを有している。押圧凸部５５の断面形状は、矩形状であり、先端面部５５ｃは、平面状である。但し、押圧凸部５５の断面形状は任意であり、押圧凸部５５の先端面部５５ｃが下側に向けて湾曲した湾曲面であってもよい。

　図１８のように、閉蓋状態において、環状の押圧凸部５５は、載置面４４の上側に所定距離離間して対向する。押圧凸部５５は、容器本体４の本体側面部４１の内側に係合する。押圧凸部５５の外周壁部５５ａは、容器本体４の本体側面部４１の内側に重なる。押圧凸部５５の先端面部５５ｃは、閉蓋状態において、パフ本体２０の被支持面２０ａの周縁部を下側に向けて全周に亘って押す。パフ本体２０の周縁部は、押圧凸部５５と載置面４４とにより上下に挟み込まれて圧縮する。このように、押圧凸部５５がパフ２を押圧することにより、パフ２の位置が安定する。そのため、化粧料がパフ本体２０の塗布面２０ｂからはみ出しにくく、被支持面２０ａに化粧料が含浸しにくい。特に、環状の押圧凸部５５がパフ２の周縁部を全周に亘って押圧すると、化粧料が塗布面２０ｂからはみ出しにくい。

　また、本実施形態では、容器本体４の本体側面部４１の内面に係止凸部４５が形成されている。容器本体４の係止凸部４５は、内側に向けて突出している。容器本体４の係止凸部４５は、本体側面部４１の上部に設けられている。蓋体５の係止凹部５３は、押圧凸部５５の外周壁部５５ａの内面に形成されている。

＜第三の実施形態＞
　図１９～図２１に、本発明の第三の実施形態に係る塗布具包装体１を示している。上記第二の実施形態と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。図１９及び図２０に本実施形態の容器３を単体の状態で示している。図２１には、容器３にパフ２が収容された状態を示している。尚、パフ２には、帯体５と保護フィルム２４が備えられていない。このように、パフ２が帯体５や保護フィルム２４を備えていない構成であってもよい。

　本実施形態における蓋体５の天面部５０には、第二の実施形態と同様に、パフ２を容器本体４の底面部４０に向けて押す押圧凸部５５が設けられている。第二の実施形態とは、押圧凸部５５の形状が異なっている。本実施形態の押圧凸部５５は、円柱状である。押圧凸部５５の直径は、パフ２の直径よりも大きいことが好ましい。押圧凸部５５は、天面部５０から突出する円筒状の周壁部５５ｄと、周壁部５５ｄの先端部に位置する先端面部５５ｃとを有している。周壁部５５ｄの内面に係止凹部５３が形成されている。

　図２１のような閉蓋状態において、押圧凸部５５は、容器本体４の本体側面部４１の内側に係合する。押圧凸部５５の周壁部５５ｄは、容器本体４の本体側面部４１の内側に重なる。押圧凸部５５の先端面部５５ｃは、パフ本体２０の塗布面２０ｂとは反対側の面の全体を下側に向けて全周に亘って押す。パフ２は、全体に亘って、押圧凸部５５と載置面４４によって上下に挟み込まれて圧縮状態となる。

　尚、上記実施形態では、容器本体４に係止凸部４５が設けられ、蓋体５に係止凹部５３が設けられたが、容器本体４に係止凹部５３が設けられ、蓋体５に係止凸部４５が設けられてもよい。

　塗布具は、パフ２以外であってもよい。例えば、塗布具は、ブロック状のスポンジであってもよい。また、塗布具は、チップ等であってもよい。容器３は、蓋体５を備えていなくてもよい。

　１　　塗布具包装体（簡易化粧品）
　２　　パフ（塗布具）
　３　　容器
　４　　容器本体
　５　　蓋体
　６　　ヒンジ部
　７　　収容室
　８　　包装袋
２０　　パフ本体
２０ａ　被支持面
２０ｂ　塗布面
２１　　帯体
２２　　本体層
２３　　カバー層
２４　　保護フィルム
２４ａ　切欠部
４０　　底面部
４１　　本体側面部
４２　　本体フランジ部
４２ａ　上フランジ部
４２ｂ　スカート壁部
４２ｃ　下フランジ部
４３　　貯留凹部
４４　　環状載置面
４５　　係止凸部
４６　　摘み部
５０　　天面部
５１　　蓋側面部
５２　　蓋フランジ部
５３　　係止凹部
５４　　切欠部
５５　　押圧凸部
５５ａ　外周壁部
５５ｂ　内周壁部
５５ｃ　先端面部
５５ｄ　周壁部
８０　　フィルム片
８１　　袋開口部
８２　　ノッチ
８３ａ　ヒートシール部
８３ｂ　ヒートシール部
８３ｃ　ヒートシール部
８３ｄ　ヒートシール部

Claims

　皮膚に液体を塗布するための塗布面を有し、塗布面に液体が含浸した塗布具と、塗布具を収容する収容室を有する容器と、容器を密封包装する包装袋と、を備えている、塗布具包装体。
　液体は、液体化粧料であり、収容室と包装袋の内部空間とが連通し、包装袋の内部空間は、減圧状態にある、請求項１記載の塗布具包装体。
　容器は、容器本体と蓋体とを備え、容器本体と蓋体とにより収容室が形成され、容器本体と蓋体との間において、収容室と包装袋の内部空間とが連通している、請求項２記載の塗布具包装体。
　容器本体は、底面部を備え、底面部に、液体化粧料を溜めるための貯留凹部が設けられている、請求項３記載の塗布具包装体。
　蓋体は、容器本体の底面部と対向する天面部を備え、天面部に、塗布具を容器本体の底面部に向けて押す押圧凸部が設けられている、請求項３又は４記載の塗布具包装体。
　押圧凸部は、環状であり、押圧凸部は、塗布具の周縁部を全周に亘って押す、請求項５記載の塗布具包装体。
　容器本体と蓋体は、合成樹脂製のシートからなり、包装袋の内部空間の減圧状態により、容器本体の底面部と蓋体の天面部は、容器内側に弾性変形している、請求項３乃至６の何れかに記載の塗布具包装体。
　塗布具の表面のうち液体を塗布する際に手が触れる部分に、保護フィルムが剥離可能に貼着されている、請求項１乃至７の何れかに記載の塗布具包装体。
　請求項２記載の塗布具包装体の製法であって、
　容器の収容室に液体化粧料を入れる工程と、塗布具を容器の収容室に入れる工程と、液体化粧料と塗布具が収容室に入れられた容器を包装袋に入れる工程と、容器が入れられた包装袋の内部を減圧して包装袋を密封する工程と、を備えている、塗布具包装体の製法。