WO2021095145A1 - 発光素子、発光デバイス - Google Patents

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Abstract

発光素子(6R、6G、6B)は、少なくとも、陽極(8)と、陰極(20)と、前記陽極と前記陰極との間の発光層(14)と、前記陽極と前記発光層との間の正孔輸送層(10)とを備える。前記正孔輸送層は、正孔輸送材料と、ポリシロキサン系ポリマーとを含む混合膜である。前記発光素子は、さらに、前記発光層と前記陰極との間の第1電子輸送層(16)と、該第1電子輸送層と前記陰極との間の第2電子輸送層(18)を備える。前記第1電子輸送層のLUMO準位の値は、前記第2電子輸送層のLUMO準位の値以上であり、前記第1電子輸送層のLUMO準位の値は、前記第1電子輸送層と接する前記発光層のLUMO準位の値よりも大きい。

Description

発光素子、発光デバイス
 本発明は、発光素子、および当該発光素子を備えた発光デバイスに関する。
 特許文献1は、電極間に有機層を備えた有機発光装置において、各有機層へのドーパントの添加により、発光層の高効率の発光と、発光層の劣化の抑制とを実現する方法について開示している。
日本国再公表特許「国際公開番号2012/039213」
 特許文献1に記載の発光装置においても、各電極から、電極間の有機層に注入されたキャリアの、有機層における滞留、あるいは、発光層におけるキャリアバランスの偏りにより、当該発光装置の寿命の短縮が生じる。
 上記課題を解決するために、本発明の発光素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間の発光層と、前記陽極と前記発光層との間の正孔輸送層とを備えた発光素子であって、前記正孔輸送層が、ポリシロキサン系ポリマーと、正孔輸送材料とを含む混合膜である。
 また、上記課題を解決するために、本発明の発光素子は、陽極と、陰極とを備え、前記陽極と前記陰極との間に、前記陽極側から順に、正孔輸送層と、発光層と、第1電子輸送層と、第2電子輸送層とを備えた発光素子であって、前記第1電子輸送層のLUMO準位の値が、前記第2電子輸送層のLUMO準位の値以上であり、前記第1電子輸送層のLUMO準位の値が、前記第1電子輸送層と接する前記発光層のLUMO準位の値よりも大きい。
 上記構成により、発光層におけるキャリアバランスが改善し、長寿命化した発光素子、ならびに、当該発光素子を備えた発光デバイスを提供できる。
本発明の実施形態1に係る発光デバイスの概略断面図である。 本発明の実施形態1に係る発光デバイスの概略上面図である。 本発明の実施形態1に係る第1正孔輸送層の拡大断面図である。 本発明の実施形態1に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 本発明の実施形態1に係る発光デバイスの他の発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 本発明の実施形態1に係る発光デバイスの他の発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 比較形態に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 比較形態に係る発光デバイスの他の発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 比較形態に係る発光デバイスの他の発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 実施例31に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 実施例32に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 実施例33に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 実施例34に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 比較例6に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 比較例7に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 比較例8に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。 本発明の実施形態2に係る発光デバイスの概略断面図である。 本発明の実施形態2に係る発光デバイスの発光素子における各層のフェルミ準位、またはLUMO準位とHOMO準位との例を示すエネルギー図である。
 〔実施形態1〕
 図2は、本実施形態に係る発光デバイス2の概略上面図である。図1は、図2における、A-A線矢視断面図である。
 図2に示すように、本実施形態に係る発光デバイス2は、発光が取り出される発光領域DAと、当該発光領域DAの周囲を囲う額縁領域NAとを備える。額縁領域NAにおいては、後に詳述する発光デバイス2の各発光素子を駆動するための信号が入力される端子Tが形成されていてもよい。
 平面視において発光領域DAと重畳する位置において、図1に示すように、本実施形態に係る発光デバイス2は、アレイ基板4と、当該アレイ基板4上の発光素子層6とを備える。特に、発光デバイス2は、図示しないTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)が形成されたアレイ基板4上に、発光素子層6の各層が積層された構造を備える。なお、本明細書においては、発光デバイス2の発光素子層6からアレイ基板4への方向を「下方向」、発光デバイス2の発光素子層6から発光デバイス2の発光面への方向を「上方向」として記載する。
 発光素子層6は、陽極8上に、正孔輸送層としての第1正孔輸送層10および第2正孔輸送層12と、発光層14と、電子輸送層として第1電子輸送層16および第2電子輸送層18と、陰極20とを、下層から順次積層して備える。アレイ基板4の上層に形成された発光素子層6の陽極8は、アレイ基板4のTFTと電気的に接続されている。なお、発光デバイス2は、陰極20の上層側に、キャッピングレイヤを備えていてもよく、あるいは、封止材を含む封止層を備えていてもよい。
 なお、本実施形態において、第1正孔輸送層10と、第2正孔輸送層12と、発光層14と、第1電子輸送層16と、第2電子輸送層18とは、何れも、有機材料を含む有機層である。
 本実施形態において、発光素子層6は、発光素子6Rと、発光素子6Gと、発光素子6Bとを備える。発光素子6Rと、発光素子6Gと、発光素子6Bとは、発光層14に、有機蛍光材料または有機りん光材料を備えた、有機EL素子、すなわち、OLED素子であってもよい。また、この他に、発光素子6Rと、発光素子6Gと、発光素子6Bとは、発光層14に、半導体ナノ粒子材料、すなわち、量子ドット材料を備えた、QLED素子であってもよい。しかしながら、本実施形態において、発光素子6Rと、発光素子6Gと、発光素子6Bとは、OLED素子またはQLED素子には限られず、種々の発光素子を採用できる。
 ここで、陽極8、第2正孔輸送層12、および発光層14のそれぞれは、エッジカバー22によって分離されている。特に、本実施形態においては、陽極8は、エッジカバー22によって、発光素子6R用の陽極8R、発光素子6G用の陽極8G、および発光素子6B用の陽極8Bに分離されている。また、第2正孔輸送層12は、エッジカバー22によって、発光素子6R用の第2正孔輸送層12R、発光素子6G用の第2正孔輸送層12G、および発光素子6B用の第2正孔輸送層12Bに分離されている。さらに、発光層14は、エッジカバー22によって、発光層14R、発光層14G、および発光層14Bに分離されている。
 さらに、発光層14Gは、陽極8側から、第1発光層14GHと、第2発光層14GEとを積層して備える。第1発光層14GHは、正孔輸送性タイプの発光層であり、第2発光層14GEは、電子輸送性タイプの発光層である。
 なお、第1正孔輸送層10と、第1電子輸送層16と、第2電子輸送層18と、陰極20とは、エッジカバー22によって分離されず、共通して形成されている。
 エッジカバー22は、図1の(b)に示すように、陽極8の側面と上面の周囲端部付近とを覆う位置に形成されていてもよい。
 本実施形態において、発光素子6Rは、陽極8R、第1正孔輸送層10と、第2正孔輸送層12Rと、発光層14Rと、第1電子輸送層16と、第2電子輸送層18と、陰極20とからなる。また、発光素子6Gは、陽極8Gと、第1正孔輸送層10と、第2正孔輸送層12Gと、発光層14Gと、第1電子輸送層16と、第2電子輸送層18と、陰極20とからなる。さらに、発光素子6Bは、陽極8Bと、第1正孔輸送層10と、第2正孔輸送層12Bと、発光層14Bと、第1電子輸送層16と、第2電子輸送層18と、陰極20とからなる。
 本実施形態においては、発光層14Rと、発光層14Gと、発光層14Bとは、それぞれ、赤色光と、緑色光と、青色光とを発する。すなわち、発光素子6Rと、発光素子6Gと、発光素子6Bとは、それぞれ、赤色光と、緑色光と、青色光とを発する発光素子である。
 ここで、青色光とは、例えば、400nm以上500nm以下の波長帯域に発光中心波長を有する光である。また、緑色光とは、例えば、500nm超600nm以下の波長帯域に発光中心波長を有する光のことである。また、赤色光とは、例えば、600nm超780nm以下の波長帯域に発光中心波長を有する光のことである。
 本実施形態においては、発光層14Rと、発光層14Bとは、陽極8側において第2正孔輸送層12と接し、陰極20側において第1電子輸送層16と接する。すなわち、単層の発光層14Rおよび発光層14Bは、第2正孔輸送層12と第1電子輸送層16との双方と接する。
 一方、第1発光層14GHは、陽極8側において第2正孔輸送層12と接し、陰極20側において第2発光層14GEと接する。また、第2発光層14GEは、陽極8側において第1発光層14GHと接し、陰極20側において第1電子輸送層16と接する。
 なお、本実施形態に係る発光デバイス2は、上記構成に限られず、第2正孔輸送層12と発光層14との間、または、発光層14と第1電子輸送層16との間の何れか一方に、他の層を備えていてもよい。
 陽極8および陰極20は導電性材料を含み、それぞれ、第1正孔輸送層10および第2電子輸送層18と電気的に接続されている。陽極8と陰極20とのうち、発光デバイス2の発光面に近い電極は半透明電極である。
 陽極8は、例えばAg‐Pd‐Cu合金上にITO(Indium Tin Oxide,インジウムスズ酸化物)が積層された構成を有する。上記構成を有する陽極8は、発光層14から発せられた光を反射する反射性電極である。したがって、発光層14から発せられた光のうち、下方向に向かう光が、陽極8によって反射される。
 これに対して、陰極20は、例えば半透明のMg‐Ag合金によって構成されている。つまり、陰極20は、発光層14から発せられた光を透過する透過性電極である。したがって、発光層14から発せられた光のうち、上方向に向かう光が、陰極20を透過する。このように、発光デバイス2は、発光層14から発せられた光を上方向に出射できる。
 以上のとおり、発光デバイス2においては、発光層14から上方向に発せられた光、および下方向に発せられた光の両方を、陰極20(上方向)へと向かわせることができる。すなわち、発光デバイス2は、トップエミッション型の発光デバイスとして構成されている。
 また、本実施形態において、半透明電極である陰極20は、発光層14から発せられた光を、一部反射してもよい。加えて、反射電極である陽極8と、半透明電極である陰極20との間において、発光層14から発せられた光のキャビティが形成されてもよい。陽極8と陰極20との間においてキャビティを形成することにより、発光層14から発せられた光の色度を改善することができる。
 なお、上述した陽極8と陰極20との構成は一例であり、別の構成を有していてもよい。
 発光層14は、陽極8から輸送された正孔と、陰極20から輸送された電子との再結合が発生することにより、光を発する層である。なお、発光素子6Gにおいて、第1発光層14GHに輸送された正孔と、第2発光層14GEに輸送された電子とは、第1発光層14GHと第2発光層14GEとの界面まで輸送され、当該界面付近において再結合する。
 第1正孔輸送層10および第2正孔輸送層12は、陽極8からの正孔を発光層14へと輸送する層である。第2正孔輸送層12は、陰極20からの電子の輸送を阻害する機能を有していてもよい。第1電子輸送層16および第2電子輸送層18は、陰極20からの電子を発光層14へと輸送する層である。第1電子輸送層16は、陽極8からの正孔の輸送を阻害する機能を有していてもよい。
 ここで、本実施形態に係る第1正孔輸送層10の組成について、図3を参照し、より詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る第1正孔輸送層10の拡大断面図である。
 本実施形態において、第1正孔輸送層10は、図3に示すように、ポリシロキサン系ポリマー24と、正孔輸送材料26とを含む混合膜である。
 ポリシロキサン系ポリマー24は、一般的なアクリル系ポリマーと比較して分子剛直性が高く、熱耐性が高いポリマーである。本実施形態において、例えば、ポリシロキサン系ポリマー24は、以下の一般式(1)、または、以下の一般式(2)によって示される高分子である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 ここで、xは0以上1以下の実数であり、pは重合度を示す1以上の整数である。また、αは、水素基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、Cが3以上6以下のアルキル基、または、アルコキシ基を示す。また、βは、Cが3以上6以下の、飽和、不飽和、または環状のアルキル基を示す。
 なお、本実施形態において、ポリシロキサン系ポリマー24は、上述した一般式(1)または一般式(2)の前記βのアルキル基において、少なくとも1つのHを、FまたはClに置き換えた高分子であってもよい。
 ポリシロキサン系ポリマー24は、以下の化学式(3)、または、以下の化学式(4)によって示される高分子であってもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 すなわち、上記化学式(3)は、上記一般式(1)において、xを0.5、αをOCH、βをC17とした高分子に相当する。また、上記化学式(4)は、上記一般式(2)において、xを0.3、αをOC、βをC10とした高分子に相当する。
 正孔輸送材料26は、ポリシロキサン系ポリマー24と比較して、分子柔軟性が高く、正孔伝導性の高い材料である。本実施形態において、正孔輸送材料26は、フェニルアミン、および、カルバゾール系化合物のうち、少なくとも一種以上を含む。また、正孔輸送材料26は、フェニルアミン系骨格を有することが好ましい。
 フェニルアミン、および、カルバゾール系化合物は、共に正孔輸送機能を有するため、正孔輸送材料26が、フェニルアミン、および、カルバゾール系化合物を含むことにより、正孔輸送材料26における正孔輸送の効率が向上する。また、フェニルアミン系骨格を有する材料は、カルバゾール系骨格を有する材料と比較して、柔軟性が高く、ゆえに、正孔輸送が生じやすい傾向にある。一方、カルバゾール系骨格を有する材料は、フェニルアミン系骨格を有する材料と比較して、剛直性が高く、ゆえに、熱安定性および耐熱性が高い傾向にある。
 具体的には、正孔輸送材料26は、以下の化学式(5)に示す、N,N‘-ジ-1-ナフチル-N,N’-ジフェニルベンジジン(NPD)であってもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
 あるいは、正孔輸送材料26は、以下の化学式(6)に示す、N,N‘-ビス(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(BMMD)であってもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 ポリシロキサン系ポリマー24は、正孔輸送材料26との親和性を有する。このため、ポリシロキサン系ポリマー24と正孔輸送材料26との混合膜の均質性は、他の高分子と正孔輸送材料26との混合膜の均質性よりも高くなる。また、ポリシロキサン系ポリマー24と正孔輸送材料26との親和性が高いために、第1正孔輸送層10は、ポリシロキサン系ポリマー24と正孔輸送材料26との共蒸着によって形成することができる。
 第1正孔輸送層10、第2正孔輸送層12、発光層14、第1電子輸送層16、および第2電子輸送層18は、従来公知の手法によって形成されてもよく、例えば、蒸着マスクを使用した蒸着によって形成してもよい。特に、第1正孔輸送層10は、上述したように、ポリシロキサン系ポリマー24と正孔輸送材料26との共蒸着によって形成されてもよい。
 なお、本実施形態に係る発光デバイス2は、陽極8と第1正孔輸送層10との間に、正孔注入材料を含む、図示しない正孔注入層を備えていてもよい。同様に、本実施形態に係る発光デバイス2は、陰極20と第2電子輸送層18との間に、電子注入材料を含む、図示しない電子注入層を備えていてもよい。
 本実施形態において、第1正孔輸送層10は、耐熱性の高いポリシロキサン系ポリマー24と、正孔輸送性の高い正孔輸送材料26との混合膜である。このため、第1正孔輸送層10は、正孔輸送材料のみを備えた従来の正孔輸送層と比較して、正孔輸送性を担保しつつ、耐熱性を向上させることができる。
 したがって、第1正孔輸送層10を備える発光素子6R、発光素子6G、および発光素子6Bは、駆動時の昇温に対する耐性が高くなる。具体的には、各発光素子の駆動時の昇温による、第1正孔輸送層10の劣化がより抑制される。このため、各発光素子において、陽極8から発光層14への正孔の輸送効率が低下することを抑制する。
 したがって、本実施形態に係る発光デバイス2は、発光層14における電子過多を抑制し、キャリアバランスを改善できる。このために、発光層14において、電子過多に起因する非発光の過程が生じることを抑制し、各発光素子の寿命を改善する。
 また、第1正孔輸送層10は、耐熱性の高いポリシロキサン系ポリマー24を備えるため、本実施形態において、発光デバイス2は、高温下において各発光素子を駆動した場合における、第1正孔輸送層10の劣化を抑制することができる。
 なお、ポリシロキサン系ポリマー24の分子剛直性および耐熱性を担保する観点から、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量は、5000以上であることが好ましい。また、ポリシロキサン系ポリマー24と正孔輸送材料26との親和性を担保する観点から、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量は、65000以下であることが好ましい。換言すれば、上述した一般式(1)、一般式(2)、化学式(3)、および化学式(4)において、pの値は、5000以上65000以下であることが好ましい。
 さらに、第1正孔輸送層10の耐熱性を担保する観点から、正孔輸送材料26に対する、ポリシロキサン系ポリマー24の重量比は、1/1000以上であることが好ましい。また、第1正孔輸送層10の正孔輸送性を担保する観点から、正孔輸送材料26に対する、ポリシロキサン系ポリマー24の重量比は、1/1以下であることが好ましい。
 次に、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子層6が備える、各発光素子の各層におけるエネルギーバンドについて、図4から図6を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Bの各層におけるフェルミ準位、またはバンドギャップの例を示すエネルギーバンド図である。図5は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Gの各層におけるフェルミ準位、またはバンドギャップの例を示すエネルギーバンド図である。図6は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Rの各層におけるフェルミ準位、またはバンドギャップの例を示すエネルギーバンド図である。
 なお、本明細書のエネルギーバンド図においては、各層の、真空準位を基準としたエネルギー準位を示している。また、本明細書のエネルギーバンド図においては、付した部材番号と対応する部材のフェルミ準位、またはバンドギャップを示す。陽極8および陰極20についてはフェルミ準位を、第1正孔輸送層10、第2正孔輸送層12、発光層14、第1電子輸送層16、および第2電子輸送層18については、LUMO準位からHOMO準位までのバンドギャップをそれぞれ示す。
 ここで、本実施形態に係る発光素子層6における、各層間のHOMO準位およびLUMO準位の差について、図4から図6を参照して説明する。本明細書においては、第1層のHOMO準位の値から、第2層のHOMO準位の値を引いた値を、第1層のHOMO準位と第2層のHOMO準位とのエネルギー準位差とする。一方、本明細書においては、第2層のLUMO準位の値から、第1層のLUMO準位の値を引いた値を、第1層のLUMO準位と第2層のLUMO準位とのエネルギー準位差とする。
 図4から図6において、H1は、各発光素子における、第1正孔輸送層10のHOMO準位と第2正孔輸送層12のHOMO準位とのエネルギー準位差を示す。H2は、各発光素子における、第2正孔輸送層12のHOMO準位と発光層14のHOMO準位とのエネルギー準位差を示す。H3は、各発光素子における、発光層14のHOMO準位と第1電子輸送層16のHOMO準位とのエネルギー準位差を示す。H4は、各発光素子における、第1電子輸送層16のHOMO準位と第2電子輸送層18のHOMO準位とのエネルギー準位差を示す。
 また、図4から図6において、E1は、各発光素子における、第2電子輸送層18のLUMO準位と第1電子輸送層16のLUMO準位とのエネルギー準位差を示す。E2は、各発光素子における、第1電子輸送層16のLUMO準位と発光層14のLUMO準位とのエネルギー準位差を示す。E3は、各発光素子における、発光層14のLUMO準位と第2正孔輸送層12のLUMO準位とのエネルギー準位差を示す。E4は、各発光素子における、第2正孔輸送層12のLUMO準位と第1正孔輸送層10のLUMO準位とのエネルギー準位差を示す。
 特に、図5におけるエネルギー準位差H2は、発光素子6Gにおける、第2正孔輸送層12GのHOMO準位と第1発光層14GHのHOMO準位とのエネルギー準位差を示す。また、図5におけるエネルギー準位差E2は、発光素子6Gにおける、第1電子輸送層16のLUMO準位と第2発光層14GEのLUMO準位とのエネルギー準位差を示す。
 また、図5において、H5は、発光素子6Gにおける、第1発光層14GHのHOMO準位と第2発光層14GEのHOMO準位とのエネルギー準位差を示す。E5は、発光素子6Gにおける、第2発光層14GEのLUMO準位と第1発光層14GHのLUMO準位とのエネルギー準位差を示す。
 図4に示すように、発光素子6Bにおいて、第1電子輸送層16のLUMO準位の値は、第2電子輸送層18のLUMO準位の値以上である。また、本実施形態において、第1電子輸送層16および第2電子輸送層18は、発光素子6R、発光素子6G、および発光素子6Bに、共通して形成されている。したがって、図5および図6にそれぞれ示すように、発光素子6Gおよび発光素子6Rのそれぞれにおいても、第1電子輸送層16のLUMO準位の値は、第2電子輸送層18のLUMO準位の値以上である。
 さらに、図4に示すように、発光素子6Bにおいて、第1電子輸送層16のLUMO準位の値は、発光層14BのLUMO準位の値よりも大きい。同様に、図6に示すように、発光素子6Rにおいて、第1電子輸送層16のLUMO準位の値は、発光層14RのLUMO準位の値よりも大きい。また、図5に示すように、発光素子6Gにおいて、第1電子輸送層16のLUMO準位の値は、発光層14Gのうち、第1電子輸送層16と接する、第2発光層14GEのLUMO準位の値よりも大きい。換言すれば、本実施形態に係る各発光素子において、第1電子輸送層16のLUMO準位の値は、当該第1電子輸送層16が接する発光層14のLUMO準位の値よりも大きい。
 したがって、本実施形態に係る発光デバイス2においては、各発光素子の駆動時における、第2電子輸送層18から第1電子輸送層16への電子注入の効率が低い。このため、第1電子輸送層16における電子濃度が低くなり、さらに、第1電子輸送層16から発光層14へ注入される電子の濃度も低くなるため、発光層14における電子濃度が低くなる。
 一般に、従来の積層型の電界発光素子においては、発光層におけるキャリア密度の向上の観点から、正孔輸送層から発光層への正孔注入、および、電子輸送層から発光層への電子注入、それぞれの効率を、可能な限り大きく設計することが要求されている。しかしながら、一般に、正孔の移動度は、電子の移動度と比較すると小さく、陽極から正孔輸送層、および正孔輸送層から発光層への正孔注入の効率は低い。
 このため、従来の積層型の電界発光素子を駆動すると、発光層における電子の濃度が高くなり、電子過多の状態となる。したがって、発光層におけるキャリアバランスが崩れ、発光層における非発光過程の発生、および、発光層における電子の、さらなる陽極側への輸送が生じ、発光素子の寿命が悪化する。
 本実施形態に係る発光デバイス2においては、従来の発光素子よりも、各発光素子の駆動時における、発光層14における電子濃度を低くできる。このため、本実施形態に係る発光デバイス2は、発光層14における電子過多を抑制し、キャリアバランスを改善する。したがって、本実施形態に係る発光デバイス2は、発光層14における非発光過程の発生、および、発光層14における電子の、さらなる陽極8側への輸送を抑制し、各発光素子の寿命を改善する。
 特に、LUMO準位における、第1電子輸送層16と第2電子輸送層18とのエネルギー準位差は、0.35eV以上であり、換言すれば、エネルギー準位差E1は、0.35eV以上である。上記構成により、本実施形態に係る各発光素子において、第2電子輸送層18から第1電子輸送層16への電子の輸送効率はさらに低くなる。
 したがって、上記構成により、本実施形態に係る発光デバイス2は、各発光素子の駆動時における、発光層14における電子濃度をより低くでき、より効率的に各発光素子の発光層14における電子過多を抑制できる。
 次いで、図4を参照して、本実施形態に係る発光素子6Bの各層のエネルギー準位について、より詳細に説明する。
 図4に示すように、第1電子輸送層16のHOMO準位の値は、発光層14BのHOMO準位の値以下である。また、HOMO準位における、第1電子輸送層16と発光層14Bとのエネルギー準位差は、0.25eV以上であり、換言すれば、エネルギー準位差H3は、0.25eV以上である。本実施形態において、発光素子6Bのエネルギー準位差H3は、0.45eV以上であることがより好ましい。
 上記構成によれば、発光層14Bから第1電子輸送層16への正孔注入の効率は低くなる。このために、発光層14Bに輸送された正孔が、さらに陰極20側に流出することを抑制でき、発光層14Bにおける正孔の濃度が向上する。したがって、上記構成によれば、発光層14Bにおけるキャリアバランスが改善し、発光素子6Bの寿命がさらに改善する。
 図4に示すように、第2正孔輸送層12BのLUMO準位の値は、発光層14BのLUMO準位の値以上である。また、LUMO準位における、第2正孔輸送層12Bと発光層14Bとのエネルギー準位差は、0.25eV以上であり、換言すれば、エネルギー準位差E3は、0.25eV以上である。本実施形態において、発光素子6Bのエネルギー準位差E3は、0.45eV以上であることがより好ましい。
 上記構成によれば、発光層14Bから第2正孔輸送層12Bへの電子注入の効率は低くなる。このために、発光層14Bからさらに陽極8側へ電子が注入されることを抑制し、発光層14Bよりも陽極8側の層において、電子と正孔とが再結合することを抑制でき、発光層14Bにおける正孔の濃度が向上する。したがって、上記構成によれば、発光層14Bにおけるキャリアバランスが改善し、発光素子6Bの寿命がさらに改善する。
 図4に示すように、第2正孔輸送層12BのHOMO準位の値は、第1正孔輸送層10のHOMO準位の値と、発光層14BのHOMO準位の値との間の値である。また、本実施形態において、HOMO準位における、第1正孔輸送層10と発光層14Bとのエネルギー準位差は、0.2eV以下である。換言すれば、エネルギー準位差H1と、エネルギー準位差H2との合計値は、0.2eV以下である。
 あるいは、本実施形態において、HOMO準位における、第1正孔輸送層10と第2正孔輸送層12Bとのエネルギー準位差と、第2正孔輸送層12Bと発光層14Bとのエネルギー準位差とが、共に0.1eV以下である。換言すれば、エネルギー準位差H1と、エネルギー準位差H2とは、共に0.1eV以下である。
 上記構成によれば、第1正孔輸送層10から第2正孔輸送層12Bへ、および、第2正孔輸送層12Bから発光層14Bへ正孔注入の効率は高くなり、発光層14Bにおける正孔の濃度が向上する。したがって、上記構成によれば、発光層14Bにおけるキャリアバランスが改善し、発光素子6Bの寿命がさらに改善する。
 なお、本実施形態において、発光層14BのHOMO準位の値は、第2正孔輸送層12BのHOMO準位の値以下であり、第2正孔輸送層12BのHOMO準位の値は、第1正孔輸送層10のHOMO準位の値以下である。
 発光素子6Bにおいて、正孔と電子との再結合は、発光層14Bにおいて発生する。このため、発光層14BのLUMO準位の値と、発光層14BのHOMO準位の値との差に相当するエネルギーを有した光が、発光層14Bから発生する。発光層14BのLUMO準位の値と、発光層14BのHOMO準位の値との差は、2.7eVより大きく、3.1eV以下であることが好ましい。
 次いで、図5を参照して、本実施形態に係る発光素子6Gの各層のエネルギー準位について、より詳細に説明する。
 図5に示すように、第2発光層14GEのHOMO準位の値は、第1発光層14GHのHOMO準位の値以下である。また、HOMO準位における、第2発光層14GEと第1発光層14GHとのエネルギー準位差は、0.25eV以上であり、換言すれば、エネルギー準位差H5は、0.25eV以上である。本実施形態において、発光素子6Gのエネルギー準位差H5は、0.45eV以上であることがより好ましい。
 上記構成によれば、第1発光層14GHから第2発光層14GEへの正孔注入の効率は低くなる。このために、発光層14Gに輸送された正孔が、さらに陰極20側に流出することを抑制でき、発光層14Gにおける正孔の濃度が向上する。したがって、上記構成によれば、発光層14Gにおけるキャリアバランスが改善し、発光素子6Gの寿命がさらに改善する。
 図5に示すように、第1発光層14GHのLUMO準位の値は、第2発光層14GEのLUMO準位の値以上である。また、LUMO準位における、第1発光層14GHと第2発光層14GEとのエネルギー準位差は、0.25eV以上であり、換言すれば、エネルギー準位差E3は、0.25eV以上である。本実施形態において、発光素子6Gのエネルギー準位差E3は、0.45eV以上であることがより好ましい。
 上記構成によれば、第2発光層14GEから第1発光層14GHへの電子注入の効率は低くなる。このために、発光層14Gからさらに陽極8側へ電子が注入されることを抑制し、発光層14Gよりも陽極8側の層において、電子と正孔とが再結合することを抑制でき、発光層14Gにおける正孔の濃度が向上する。したがって、上記構成によれば、発光層14Gにおけるキャリアバランスが改善し、発光素子6Gの寿命がさらに改善する。
 図5に示すように、第2正孔輸送層12GのHOMO準位の値は、第1正孔輸送層10のHOMO準位の値と、第1発光層14GHのHOMO準位の値との間の値である。また、本実施形態において、HOMO準位における、第1正孔輸送層10と第1発光層14GHとのエネルギー準位差は、0.2eV以下である。換言すれば、エネルギー準位差H1と、エネルギー準位差H2との合計値は、0.2eV以下である。
 あるいは、本実施形態において、HOMO準位における、第1正孔輸送層10と第2正孔輸送層12Gとのエネルギー準位差と、第2正孔輸送層12Gと第1発光層14GHとのエネルギー準位差とが、共に0.1eV以下である。換言すれば、エネルギー準位差H1と、エネルギー準位差H2とは、共に0.1eV以下である。
 上記構成によれば、第1正孔輸送層10から第2正孔輸送層12Gへ、および、第2正孔輸送層12Gから第1発光層14GHへ正孔注入の効率は高くなり、発光層14Gにおける正孔の濃度が向上する。したがって、上記構成によれば、発光層14Gにおけるキャリアバランスが改善し、発光素子6Gの寿命がさらに改善する。
 なお、本実施形態において、第1発光層14GHのHOMO準位の値は、第2正孔輸送層12GのHOMO準位の値以下であり、第2正孔輸送層12GのHOMO準位の値は、第1正孔輸送層10のHOMO準位の値以下である。
 発光素子6Gにおいて、正孔と電子との再結合は、第1発光層14GHと第2発光層14GEとの界面において発生する。このため、第2発光層14GEのLUMO準位の値と、第1発光層14GHのHOMO準位の値との差に相当するエネルギーを有した光が、発光層14Gから発生する。発光層14BのLUMO準位の値と、第2発光層14GEのLUMO準位の値と、第1発光層14GHのHOMO準位の値との差は、2.4eV以上、2.7eV以下であることが好ましい。
 なお、本実施形態に係る発光素子6Rは、発光層14Rからの光が赤色光であることを除いて、発光素子6Rと同一の構成を備えていてもよい。例えば、図6に示すように、発光素子6Rの各層のLUMO準位の値およびHOMO準位の値の大小関係は、発光素子6Bと同一であってもよい。
 具体的には、発光素子6Rのエネルギー準位差H3は、0.25eV以上であり、0.45eV以上であることがより好ましい。また、発光素子&Rのエネルギー準位差E3は、0.25eV以上であり、0.45eV以上であることがより好ましい。
 さらに、第2正孔輸送層12RのHOMO準位の値は、第1正孔輸送層10のHOMO準位の値と、発光層14RのHOMO準位の値との間の値であり、発光素子6Rのエネルギー準位差H1と、エネルギー準位差H2との合計値は、0.2eV以下である。あるいは、発光素子6Rの、エネルギー準位差H1と、エネルギー準位差H2とは、共に0.1eV以下である。このため、上述した理由と同一の理由から、発光素子6Rの寿命もより長期化する。
 なお、本実施形態において、発光層14RのHOMO準位の値は、第2正孔輸送層12RのHOMO準位の値以下であり、第2正孔輸送層12RのHOMO準位の値は、第1正孔輸送層10のHOMO準位の値以下である。
 なお、上述したように、本実施形態において、第1正孔輸送層10と、第2正孔輸送層12と、発光層14と、第1電子輸送層16と、第2電子輸送層18とは、何れも、有機材料を含む有機層である。このため、本実施形態に係る発光デバイス2は、各発光素子の各層が電子輸送性の高い無機材料を含む無機層である場合と比較して、各発光素子の各層の電子輸送性を低く構成できる。したがって、本実施形態に係る発光デバイス2は、より発光層14における電子過多を抑制し、キャリアバランスを改善する。
 なお、本実施形態において、発光層14Gが、第1発光層14GHと、第2発光層14GEとの二層の積層構造を備えている構成について説明したが、これに限られない。例えば、発光層14Gは、正孔輸送性材料と、電子輸送性材料と、ドーパントとの3材料の共蒸着によって形成された、単一の発光層であってもよい。
 本実施形態に係る発光デバイス2の実施例を、以下の比較形態に係る発光デバイスの比較例と対比して説明する。はじめに、比較形態に係る発光デバイスについて、図7から9を参照して説明する。
 比較形態に係る発光デバイスは、本実施形態に係る発光デバイス2と比較して、第1正孔輸送層10の材料、および、発光素子層6の各層のエネルギーバンドのみが異なっている。すなわち、比較形態に係る発光デバイスは、本実施形態に係る発光デバイス2と、同一の構造を備えている。
 比較形態に係る発光デバイスの第1正孔輸送層10は、正孔輸送材料26のみからなる。換言すれば、比較形態に係る第1正孔輸送層10は、ポリシロキサン系ポリマー24を含まない。
 このため、比較形態に係る第1正孔輸送層10の耐熱性は、本実施形態に係る第1正孔輸送層10と比較して低くなる。このため、比較形態に係る発光素子6R、発光素子6G、および発光素子6Bは、駆動時の昇温に対する耐性が低くなる。具体的には、比較形態における各発光素子の駆動時の昇温による、第1正孔輸送層10の劣化がより進行しやすくなり、各発光素子において、陽極8から発光層14への正孔の輸送効率が低下する。
 次に、比較形態に係る発光デバイスの発光素子層6が備える、各発光素子の各層におけるエネルギーバンドについて説明する。図7は、比較形態に係る発光デバイスの発光素子6Bの各層におけるフェルミ準位、またはバンドギャップの例を示すエネルギーバンド図である。図8は、比較形態に係る発光デバイスの発光素子6Gの各層におけるフェルミ準位、またはバンドギャップの例を示すエネルギーバンド図である。図9は、比較形態に係る発光デバイスの発光素子6Rの各層におけるフェルミ準位、またはバンドギャップの例を示すエネルギーバンド図である。
 図7から図9のそれぞれに示すように、比較形態において、LUMO準位における、第1電子輸送層16と第2電子輸送層18とのエネルギー準位差は、本実施形態における、第1電子輸送層16と第2電子輸送層18とのエネルギー準位差よりも小さい。換言すれば、比較形態におけるエネルギー準位差E1は、本実施形態におけるエネルギー準位差E1よりも小さい。
 特に、比較形態において、LUMO準位における、第1電子輸送層16と第2電子輸送層18とのエネルギー準位差は、0.35eV未満であり、換言すれば、エネルギー準位差E1は、0.35eV未満である。
 したがって、比較形態に係る発光デバイスにおいては、各発光素子の駆動時における、第2電子輸送層18から第1電子輸送層16への電子注入の効率が、本実施形態に係る発光デバイス2と比較して高い。このため、比較形態においては、第1電子輸送層16における電子濃度が高くなり、さらに、第1電子輸送層16から発光層14へ注入される電子の濃度も高くなるため、発光層14における電子濃度が高くなる。
 以上より、比較形態に係る発光デバイスにおいては、各発光素子の駆動時における、発光層14における電子濃度が高くなり、発光層14における電子過多が生じる。ゆえに、比較形態に係る発光デバイスにおいては、本実施形態に係る発光デバイス2と比較して、発光層14におけるキャリアバランスが崩れ、各発光素子の寿命の短縮が生じる。
 本実施形態に係る発光デバイス2の各発光素子と、比較形態に係る発光デバイスの各発光素子とを比較するべく、以下の実施例1から34、および比較例1から8のそれぞれに掛かる発光素子を作成し、物性を測定した。
 〔実施例1から25〕
 実施例1から15のそれぞれに係る発光素子は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Bと同一の構造を備える。実施例16から20のそれぞれに係る発光素子は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Gと同一の構造を備える。実施例21から25のそれぞれに係る発光素子は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Rと同一の構造を備える。
 実施例1から25のそれぞれに係る発光素子の製造において、はじめに、ITOを形成し、陽極8とした。
 次いで、当該陽極8上に、ポリシロキサン系ポリマー24と、正孔輸送材料26との共蒸着により、第1正孔輸送層10を形成した。
 ここで、実施例1から5、および実施例11から25において、ポリシロキサン系ポリマー24は、上述した化学式(3)に示す高分子を採用し、重量平均分子量を、約30000とした。また、実施例6から10において、ポリシロキサン系ポリマー24は、上述した化学式(4)に示す高分子を採用し、重量平均分子量を、約25000とした。
 また、実施例1から10、および実施例16から25において、正孔輸送材料26は、上述した化学式(5)に示すNPDを採用し、実施例11から15において、正孔輸送材料26は、上述した化学式(6)に示すBMMDを採用した。
 さらに、各実施例において、正孔輸送材料26に対する、ポリシロキサン系ポリマー24の重量比を都度変更した。実施例1、6、11、16、および21においては、当該重量比を1/1000とした。実施例2、7、12、17、および22においては、当該重量比を1/100とした。実施例3、8、13、18、および23においては、当該重量比を1/10とした。実施例4、9、14、19、および24においては、当該重量比を1/2とした。実施例5、10、15、20、および25においては、当該重量比を1/1とした。
 次いで、第1正孔輸送層10の上層に、第2正孔輸送層12、発光層14、第1電子輸送層16、および第2電子輸送層18を、各材料の蒸着により形成した。さらに、本実施例においては、さらに、第2電子輸送層18の上層に、フッ化リチウムを蒸着し、電子注入層とした。次いで、電子注入層の上層に、Mg-Agの合金を蒸着し、陰極20を形成した。
 ここで、実施例1から15においては、青色光を発する有機発光材料を、ホスト材料と共蒸着することにより、発光層14を形成した。また、実施例16から20においては、緑色光を発する有機発光材料を、ホスト材料と共蒸着することにより、発光層14を形成した。さらに、実施例21から25においては、赤色光を発する有機発光材料を、ホスト材料と共蒸着することにより、発光層14を形成した。
 本実施例においては、さらに、陰極20の上層に、芳香族アミン基を含む化合物からなるキャッピングレイヤを蒸着により形成した。キャッピングレイヤの構成材料の一例としては、芳香族アミン基を含む化合物が挙げられる。次いで、無機-有機複合材料を含む封止材による発光素子の封止を行った。以上により、各実施例に係る発光素子を得た。
 〔比較例1から5〕
 比較例1から3のそれぞれに係る発光素子は、比較形態に係る発光デバイスの発光素子6Bと同一の構造を備える。比較例4に係る発光素子は、比較形態に係る発光デバイスの発光素子6Gと同一の構造を備える。比較例5に係る発光素子は、比較形態に係る発光デバイスの発光素子6Rと同一の構造を備える。
 比較例1から3のそれぞれに係る発光素子は、第1正孔輸送層10の形成工程を除き、実施例1から15のそれぞれに係る発光素子と同一の手法によって得た。同様に、比較例4に係る発光素子は、第1正孔輸送層10の形成工程を除き、実施例16から20のそれぞれに係る発光素子と同一の手法によって得た。同様に、比較例5に係る発光素子は、第1正孔輸送層10の形成工程を除き、実施例21から25のそれぞれに係る発光素子と同一の手法によって得た。
 比較例1から5においては、正孔輸送材料26のみを、陽極8上に蒸着することにより、第1正孔輸送層10を形成した。このため、比較例1から5において、正孔輸送材料26に対する、ポリシロキサン系ポリマー24の重量比は0である。なお、比較例1、2、4、5において、正孔輸送材料26はNPDを採用し、比較例3において、正孔輸送材料26はBMMDを採用した。このため、事実上、比較例1に係る発光素子と、比較例2に係る発光素子とは、同一の発光素子である。
 〔実施例26から30〕
 実施例26から30のそれぞれに係る発光素子は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Bと同一の構造を備える。実施例26から30のそれぞれに係る発光素子は、第1正孔輸送層10の形成工程における、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子を除き、実施例1から5のそれぞれに係る発光素子と同一の手法によって得た。
 ここで、実施例26から30において、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量を都度変更した。実施例26において、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量を、約5000とした。実施例27において、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量を、約15000とした。実施例28において、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量を、約30000とした。実施例29において、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量を、約50000とした。実施例30において、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量を、約65000とした。このため、事実上、実施例3に係る発光素子と、実施例28に係る発光素子とは、同一の発光素子である。
 〔発光素子の物性の測定結果〕
 次いで、実施例1から30および比較例1から5のそれぞれに係る発光素子の物性の測定を行った。具体的には、摂氏25度の環境温度下、または、摂氏90度の環境温度下において、各発光素子の電極間に、電流密度が50mA/cmの電流が発生する電圧を印加し、寿命の測定を行った。また、各発光素子を、摂氏120度の環境温度下に1000時間放置し、放置前後の当該発光素子の外部量子効率を測定した。
 なお、本明細書において、発光素子の「寿命」とは、当該発光素子の輝度が、製造直後の初期輝度に対し、90%に到達するまでの時間を示す。
 測定された、実施例1から30、および比較例1から5のそれぞれに係る発光素子の物性を、下記表1から表6に記載した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
 ここで、表1から表6において、「実施例1」から「実施例30」、「比較例1」から「比較例5」の欄は、それぞれの実施例または比較例に係る発光素子の物性を示している。
 また、表1から表5において、「重量比」の欄は、各発光素子の第1正孔輸送層10における、正孔輸送材料26に対する、ポリシロキサン系ポリマー24の重量比を示す。表6において、「重量平均分子量」の欄は、各発光素子の第1正孔輸送層10における、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量を示す。
 さらに、表1から表6において、「常温寿命」の欄は、上記電圧の印加下、および、摂氏25度の環境温度下における、各発光素子の寿命を、時間(h)を単位に示す。「高温寿命」の欄は、上記電圧の印加下、および、摂氏90度の環境温度下における、各発光素子の寿命を、時間(h)を単位に示す。「EQE」の欄は、上記電圧の印加下における、各発光素子の外部量子効率の百分率を示す。「EQE」の欄のうち、「放置前」の欄は、製造直後の各発光素子の外部量子効率の百分率を、「放置後」の欄は、摂氏120度の環境温度下に1000時間放置した後の各発光素子の外部量子効率の百分率を示す。
 表1から表5から明らかであるように、同一発光色の発光素子を比較すると、各実施例に係る発光素子の常温寿命と高温寿命とのそれぞれは、各比較例に係る発光素子の常温寿命と高温寿命とのそれぞれよりも長い。このことは、各実施例に係る発光素子の第1正孔輸送層10が、耐熱性を有するポリシロキサン系ポリマー24を含有するために、各実施例に係る発光素子の、駆動時の昇温に対する熱耐性が向上したためであると推察できる。特に、各比較例に係る発光素子に対する、各実施例に係る発光素子の、高温寿命の改善は著しい。
 また、各実施例に係る発光素子において、正孔輸送材料26に対する、ポリシロキサン系ポリマー24の重量比が高くなるにつれて、常温寿命と高温寿命とのそれぞれは、長期化する傾向にある。このことは、各実施例に係る発光素子の第1正孔輸送層10における、耐熱性を有するポリシロキサン系ポリマー24の含有量が高くなるについて、当該発光素子の耐熱性も向上するためであると推察できる。
 また、表1から表5から明らかであるように、各実施例に係る発光素子の外部量子効率の高温環境下放置前後における変化は、各比較例に係る発光素子の外部量子効率の高温環境下放置前後における変化と比較して小さい。このことも、各実施例に係る発光素子の、駆動時の昇温に対する熱耐性が向上したためであると推察できる。
 なお、各実施例に係る発光素子において、正孔輸送材料26に対する、ポリシロキサン系ポリマー24の重量比が低くなるにつれて、当該発光素子の外部量子効率が向上する傾向にある。このことは、各実施例に係る発光素子の第1正孔輸送層10における、正孔輸送性が高い正孔輸送材料26の含有量が高くなるにつれて、当該第1正孔輸送層10における正孔輸送性も向上するためであると推察できる。
 表6から明らかであるように、実施例26から30のそれぞれに係る発光素子の常温寿命と高温寿命とのそれぞれは、同構成である比較例1に係る発光素子の常温寿命と高温寿命とのそれぞれよりも長い。また、実施例26から30のそれぞれに係る発光素子の外部量子効率の高温環境下放置前後における変化は、比較例1に係る発光素子の外部量子効率の高温環境下放置前後における変化と比較して小さい。
 ここで、実施例26から30のそれぞれに係る発光素子において、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量が小さくなるにつれて、当該発光素子の当該発光素子の外部量子効率が向上する傾向にある。このことは、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量が小さくなるにつれて、当該ポリシロキサン系ポリマー24の分子柔軟性が向上し、ひいては、正孔輸送性が向上したためであると推察できる。
 また、実施例26から30のそれぞれに係る発光素子において、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量が小さくなるにつれて、当該発光素子の常温寿命および高温寿命が長期化する傾向にある。ここで、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量が小さくなるにつれて、当該ポリシロキサン系ポリマー24の分子柔軟性が向上し、ひいては、正孔輸送材料26との親和性が向上する。このために、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量が小さくなるにつれて、第1正孔輸送層10の均質性が向上し、ひいては、各発光素子の寿命が長期化したと推察できる。
 しかしながら、表6より明らかであるように、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量が5000程度となると、当該発光素子の常温寿命および高温寿命が短縮している。このことは、ポリシロキサン系ポリマー24が耐熱性を有するためには、ポリシロキサン系ポリマー24の分子剛直性が必要であり、ひいては、ポリシロキサン系ポリマー24の重量平均分子量がある程度大きい必要があるためであると推察できる。
 〔実施例31〕
 本実施例に係る発光素子は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Bと同一の構造を備える。
 本実施例に係る発光素子の製造において、はじめに、ITOを形成し、陽極8とした。
 次いで、当該陽極8上に、当該陽極8上に、ポリシロキサン系ポリマー24と、正孔輸送材料26との共蒸着により、第1正孔輸送層10(HOMO:-5.55eV、LUMO:-2.45eV)を形成した。
 ここで、実施例31において、ポリシロキサン系ポリマー24は、上述した化学式(3)に示す高分子を採用し、重量平均分子量を、約30000とした。また、実施例31において、正孔輸送材料26は、上述した化学式(5)に示すNPDを採用した。
 次いで、第1正孔輸送層10の上層に、電子ブロック材料として、カルバゾール骨格を有する材料を含む第2正孔輸送層12B(HOMO:-5.65eV、LUMO:-2.46eV)を、当該電子ブロック材料の蒸着により形成した。
 次いで、第2正孔輸送層12Bの上層に、発光層14Bを形成した。発光層14Bは、ホスト材料と、蛍光発光性のドーパントとの共蒸着により形成した。当該ホスト材料には、アントラセン-アダマンタン系化合物(HOMO:-5.74eV、LUMO:-2.80eV)を採用した。また、当該蛍光発光性のドーパントには、アントラセン-ナフタレン系化合物(HOMO:-5.85eV、LUMO:-2.90eV)を採用した。
 次いで、発光層14Bの上層に、正孔ブロック材料として、トリアゾール系化合物を含む第1電子輸送層16(HOMO:-6.01eV、LUMO:-2.57eV)を、当該正孔ブロック材料の蒸着により形成した。
 次いで、第1電子輸送層16の上層に、電子輸送材料として、オキサジアゾール系化合物を含む第2電子輸送層18(HOMO:-6.41eV、LUMO:-2.98eV)を、当該電子輸送材料の蒸着により形成した。
 本実施例においては、さらに、陰極20の上層に、芳香族アミン基を含む化合物からなるキャッピングレイヤを蒸着により形成し、次いで、無機-有機複合材料を含む封止材による発光素子の封止を行った。さらに、第2電子輸送層18の上層に、フッ化リチウムを蒸着し、電子注入層とした。次いで、電子注入層の上層に、Mg-Agの合金を蒸着し、陰極20を形成した。
 本実施例において、CIEの色度座標における、(x,y)=(0.140,0.045)の光を発する発光素子が得られた。なお、本実施例において、発光層14BのLUMO準位の値と、発光層14BのHOMO準位の値との差は、2.94eVであった。
 〔実施例32〕
 本実施例に係る発光素子は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Bと同一の構造を備える。
 本実施例に係る発光素子は、発光層14Bの形成工程において、異なるホスト材料(HOMO:-5.73eV、LUMO:-2.81eV)を採用したことを除き、前実施例に係る発光素子と同一の手法によって得た。
 なお、本実施例においては、さらに、第2電子輸送層18の上層に、イッテルビウム(Yb)を蒸着し、電子注入層とした。
 電子注入層の上層の、陰極20およびキャッピングレイヤの形成と、封止材による発光素子の封止とは、前実施例と同一の方法により実行した。
 本実施例において、CIEの色度座標における、(x,y)=(0.145,0.046)の光を発する発光素子が得られた。なお、本実施例において、発光層14BのLUMO準位の値と、発光層14BのHOMO準位の値との差は、2.92eVであった。
 〔実施例33〕
 本実施例に係る発光素子は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Gと同一の構造を備える。
 本実施例に係る発光素子の製造において、はじめに、ITOを形成し、陽極8とした。
 次いで、当該陽極8上に、当該陽極8上に、ポリシロキサン系ポリマー24と、正孔輸送材料26との共蒸着により、第1正孔輸送層10(HOMO:-5.55eV、LUMO:-2.45eV)を形成した。
 ここで、実施例31において、ポリシロキサン系ポリマー24は、上述した化学式(3)に示す高分子を採用し、重量平均分子量を、約30000とした。また、実施例31において、正孔輸送材料26は、上述した化学式(5)に示すNPDを採用した。
 次いで、第1正孔輸送層10の上層に、電子ブロック材料として、カルバゾール系化合物を含む第2正孔輸送層12G(HOMO:-5.62eV、LUMO:-2.46eV)を、当該電子ブロック材料の蒸着により形成した。
 次いで、第2正孔輸送層12Gの上層に、第1発光層14GHと第2発光層14GEとを順に形成することにより、発光層14Gを形成した。発光層14Gは、正孔輸送性材料と、電子輸送性材料と、燐光発光性のドーパントとの3材料の共蒸着により形成した。正孔輸送性材料には、ルブレン系化合物(HOMO:-5.64eV、LUMO:-2.40eV)を採用した。電子輸送性材料には、アルミナム-キノリノレート錯体系材料(HOMO:-5.98eV、LUMO:-2.90eV)を採用した。燐光発光性のドーパントには、イリジウム錯体(HOMO:-5.60eV、LUMO:-2.90eV)を採用した。
 次いで、発光層14Gの上層に、正孔ブロック材料として、トリアゾール系化合物を含む第1電子輸送層16(HOMO:-6.01eV、LUMO:-2.57eV)を、当該正孔ブロック材料の蒸着により形成した。
 次いで、第1電子輸送層16の上層に、電子輸送材料として、オキサジアゾール系化合物を含む第2電子輸送層18(HOMO:-6.41eV、LUMO:-2.98eV)を、当該電子輸送材料の蒸着により形成した。
 本実施例においては、さらに、第2電子輸送層18の上層に、フッ化リチウムを蒸着し、電子注入層とした。
 電子注入層の上層の、陰極20およびキャッピングレイヤの形成と、封止材による発光素子の封止とは、前実施例と同一の方法により実行した。
 本実施例において、CIEの色度座標における、(x,y)=(0.220,0.733)の光を発する発光素子が得られた。なお、本実施例において、第2発光層14GEのLUMO準位の値と、第1発光層14GHのHOMO準位の値との差は、2.72eVであった。
 〔実施例34〕
 本実施例に係る発光素子は、本実施形態に係る発光デバイス2の発光素子6Gと同一の構造を備える。
 本実施例に係る発光素子の製造において、はじめに、ITOを形成し、陽極8とした。
 次いで、当該陽極8上に、当該陽極8上に、ポリシロキサン系ポリマー24と、正孔輸送材料26との共蒸着により、第1正孔輸送層10を形成した。
 ここで、実施例31において、ポリシロキサン系ポリマー24は、上述した化学式(3)に示す高分子を採用し、重量平均分子量を、約30000とした。また、実施例31において、正孔輸送材料26は、上述した化学式(5)に示すNPDを採用した。
 次いで、第1正孔輸送層10の上層に、電子ブロック材料として、カルバゾール系化合物を含む第2正孔輸送層12R(HOMO:-5.70eV、LUMO:-2.46eV)を、当該電子ブロック材料の蒸着により形成した。
 次いで、第2正孔輸送層12Rの上層に、発光層14Rを形成した。発光層14Rは、ホスト材料と、蛍光発光性のドーパントとの共蒸着により形成した。当該ホスト材料には、アルミナム-キノリノール錯体系材料(HOMO:-5.70eV、LUMO:-2.58eV)を採用した。また、当該蛍光発光性のドーパントには、イリジウム錯体(HOMO:-5.50eV、LUMO:-2.98eV)を採用した。
 次いで、発光層14Rの上層に、正孔ブロック材料として、トリアゾール系化合物を含む第1電子輸送層16(HOMO:-6.01eV、LUMO:-2.57eV)を、当該正孔ブロック材料の蒸着により形成した。
 次いで、第1電子輸送層16の上層に、電子輸送材料として、オキサジアゾール系化合物を含む第2電子輸送層18(HOMO:-6.41eV、LUMO:-2.98eV)を、当該電子輸送材料の蒸着により形成した。
 本実施例においては、さらに、第2電子輸送層18の上層に、フッ化リチウムを蒸着し、電子注入層とした。
 電子注入層の上層の、陰極20およびキャッピングレイヤの形成と、封止材による発光素子の封止とは、前実施例と同一の方法により実行した。
 本実施例において、CIEの色度座標における、(x,y)=(0.695,0.305)の光を発する発光素子が得られた。なお、本実施例において、発光層14RのLUMO準位の値と、発光層14RのHOMO準位の値との差は、2.52eVであった。
 〔比較例6〕
 本比較例に係る発光素子は、比較形態に係る発光デバイスの発光素子6Bと同一の構造を備える。また、本比較例に係る発光素子は、実施例31に係る発光素子と比較して、第1正孔輸送層10と第1電子輸送層16とのそれぞれの材料が異なる点を除いて、同一の構成を備える。このため、本比較例に係る発光素子は、実施例31に係る発光素子と比較して、第1正孔輸送層10と第1電子輸送層16とのそれぞれの形成方法を除いて、同一の方法により形成される。
 特に、本比較例に係る発光素子の形成工程において、第1正孔輸送層10は、正孔輸送材料26(HOMO:-5.55eV、LUMO:-2.45eV)のみの蒸着により形成する。また、本比較例に係る発光素子の形成工程において、発光層14Bの上層に、正孔ブロック材料として、トリアゾール系化合物を含む第1電子輸送層16(HOMO:-6.11eV、LUMO:-2.89eV)を、当該正孔ブロック材料の蒸着により形成した。
 本比較例において、CIEの色度座標における、(x,y)=(0.137,0.051)の光を発する発光素子が得られた。なお、本比較例において、発光層14BのLUMO準位の値と、発光層14BのHOMO準位の値との差は、2.94eVであった。
 〔比較例7〕
 本比較例に係る発光素子は、比較形態に係る発光デバイスの発光素子6Gと同一の構造を備える。また、本比較例に係る発光素子は、実施例33に係る発光素子と比較して、第1正孔輸送層10と第1電子輸送層16とのそれぞれの材料が異なる点を除いて、同一の構成を備える。このため、本比較例に係る発光素子は、実施例33に係る発光素子と比較して、第1正孔輸送層10と第1電子輸送層16とのそれぞれの形成方法を除いて、同一の方法により形成される。
 特に、本比較例に係る発光素子の形成工程において、第1正孔輸送層10は、正孔輸送材料26(HOMO:-5.55eV、LUMO:-2.45eV)のみの蒸着により形成する。また、本比較例に係る発光素子の形成工程において、発光層14Gの上層に、正孔ブロック材料として、トリアゾール系化合物を含む第1電子輸送層16(HOMO:-6.11eV、LUMO:-2.89eV)を、当該正孔ブロック材料の蒸着により形成した。
 本比較例において、CIEの色度座標における、(x,y)=(0.232,0.725)の光を発する発光素子が得られた。なお、本比較例において、第2発光層14GEのLUMO準位の値と、第1発光層14GHのHOMO準位の値との差は、2.72eVであった。
 〔比較例8〕
 本比較例に係る発光素子は、比較形態に係る発光デバイスの発光素子6Rと同一の構造を備える。また、本比較例に係る発光素子は、実施例34に係る発光素子と比較して、第1正孔輸送層10と第1電子輸送層16とのそれぞれの材料が異なる点を除いて、同一の構成を備える。このため、本比較例に係る発光素子は、実施例34に係る発光素子と比較して、第1正孔輸送層10と第1電子輸送層16とのそれぞれの形成方法を除いて、同一の方法により形成される。
 特に、本比較例に係る発光素子の形成工程において、第1正孔輸送層10は、正孔輸送材料26(HOMO:-5.55eV、LUMO:-2.45eV)のみの蒸着により形成する。また、本比較例に係る発光素子の形成工程において、発光層14Rの上層に、正孔ブロック材料として、トリアゾール系化合物を含む第1電子輸送層16(HOMO:-6.11eV、LUMO:-2.89eV)を、当該正孔ブロック材料の蒸着により形成した。
 本比較例において、CIEの色度座標における、(x,y)=(0.692,0.310)の光を発する発光素子が得られた。なお、本比較例において、発光層14RのLUMO準位の値と、発光層14BのHOMO準位の値との差は、2.52eVであった。
 〔発光素子の物性の測定結果〕
 次いで、実施例31から34および比較例6から8のそれぞれに係る発光素子の、外部量子効率と寿命との測定を行った。
 はじめに、各発光素子の各層のHOMO準位およびLUMO準位の値を測定し、各層間のHOMO準位差およびLUMO準位差を測定した。具体的には、光電子収量分光(PYS)装置(AC-3、理研計機社製)を使用して、各発光素子の各層のHOMO準位の値を確定させた。さらに、紫外線スペクトル測定により、各発光素子の各層のバンドギャップを測定することにより、LUMO準位の値を確定させた。
 上記測定の結果に基づく、各実施例および各比較例のそれぞれに係る発光素子の、各層のエネルギー図を、図10から図16に示す。図10、図11、図12、および図13のそれぞれは、実施例31、実施例32、実施例33、および実施例34のそれぞれに係る発光素子の、各層のエネルギー図を示す。また、図14、図15、および図16のそれぞれは、比較例6、比較例7、および比較例8のそれぞれに係る発光素子の、各層のエネルギー図を示す。
 次いで、摂氏25度の環境温度下において、各発光素子の電極間に、電流密度が10mA/cmの電流が発生する電圧を印加し、外部量子効率、および寿命の測定を行った。
 測定された、各実施例および各比較例に係る発光素子の物性を、下記表7に記載した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
 表7において、「実施例31」から「実施例34」、「比較例6」から「比較例8」の欄は、それぞれの実施例または比較例に係る発光素子の物性を示している。
 表7において、「H1」から「H5」、および「E1」から「E5」の欄は、それぞれ、エネルギー準位差H1からH5、およびエネルギー準位差E1からE5のエネルギーの値を、eVを単位として示している。なお、各実施例および各比較例において、E2の欄の数値が負号であることは、第1電子輸送層16のLUMO準位の値が、当該第1電子輸送層16と接する発光層のLUMO準位の値よりも大きいことを示す。なお、各実施例および各比較例において、E3の欄の数値が負号であることは、第2正孔輸送層12のLUMO準位の値が、当該第2正孔輸送層12と接する発光層のLUMO準位の値よりも小さいことを示す。
 表7において、「電圧」の欄は、各発光素子の電極間に、電流密度が10mA/cmの電流を発生させるために必要な電圧の大きさを、Vを単位として示す。「EQE」の欄は、上記電圧の印加下における、各発光素子の外部量子効率の百分率を示す。「寿命」の欄は、上記電圧の印加下における、各発光素子の寿命を、時間(h)を単位に示す。
 表7、図10、および図11から明らかであるように、実施例31および実施例32のそれぞれに係る発光素子においては、いずれも、エネルギー準位差E1が正の値であり、エネルギー準位差E2が負の値である。また、実施例31および実施例32のそれぞれに係る発光素子においては、いずれも、エネルギー準位差E1が0.35eV以上である。このために、当該発光素子において、第2電子輸送層18から第1電子輸送層16への、電子の輸送効率が低下するため、発光層14Bにおける電子過多が改善し、ひいては、発光層14Bにおけるキャリアバランスが改善する。このために、実施例31および実施例32のそれぞれに係る発光素子は、2000時間以上の寿命を有する。
 一方、表7および図14から明らかであるように、比較例6に係る発光素子においては、エネルギー準位差E2が正の値である。また、比較例6に係る発光素子においては、エネルギー準位差E1が0.35eV未満である。このために、当該発光素子において、第2電子輸送層18から第1電子輸送層16への、電子の輸送効率が向上するため、発光層14Bにおける電子過多が発生し、ひいては、発光層14Bにおけるキャリアバランスが崩れる。このために、比較例6に係る発光素子は、1000時間未満の寿命しか得られない。
 同様に、表7、および図12から明らかであるように、実施例33に係る発光素子においても、エネルギー準位差E1が正の値であり、エネルギー準位差E2が負の値である。また、実施例33に係る発光素子においても、エネルギー準位差E1が0.35eV以上である。このために、当該発光素子において、第2電子輸送層18から第1電子輸送層16への、電子の輸送効率が低下するため、発光層14Gにおける電子過多が改善し、ひいては、発光層14Gにおけるキャリアバランスが改善する。このために、実施例33に係る発光素子は、3000時間以上の寿命を有する。
 一方、表7および図15から明らかであるように、比較例7に係る発光素子においては、エネルギー準位差E2が0.00eVである。また、比較例7に係る発光素子においては、エネルギー準位差E1が0.35eV未満である。このために、当該発光素子において、第2電子輸送層18から第1電子輸送層16への、電子の輸送効率が向上するため、発光層14Gにおける電子過多が発生し、ひいては、発光層14Gにおけるキャリアバランスが崩れる。このために、比較例7に係る発光素子は、2000時間未満の寿命しか得られない。
 さらに、表7、および図13から明らかであるように、実施例34に係る発光素子においても、エネルギー準位差E1が正の値であり、エネルギー準位差E2が負の値である。また、実施例34に係る発光素子においても、エネルギー準位差E1が0.35eV以上である。このために、当該発光素子において、第2電子輸送層18から第1電子輸送層16への、電子の輸送効率が低下するため、発光層14Rにおける電子過多が改善し、ひいては、発光層14Rにおけるキャリアバランスが改善する。このために、実施例34に係る発光素子は、4000時間以上の寿命を有する。
 一方、表7および図16から明らかであるように、比較例8に係る発光素子においては、エネルギー準位差E2が正の値である。また、比較例8に係る発光素子においては、エネルギー準位差E1が0.35eV未満である。このために、当該発光素子において、第2電子輸送層18から第1電子輸送層16への、電子の輸送効率が向上するため、発光層14Rにおける電子過多が発生し、ひいては、発光層14Rにおけるキャリアバランスが崩れる。このために、比較例8に係る発光素子は、3000時間程度の寿命しか得られない。
 以上より、実施例31から34のそれぞれに係る発光素子は、比較例6から8のそれぞれに係る発光素子と比較して、より長い寿命を有する。
 〔実施形態2〕
 図17は、本実施形態に係る発光デバイス2の、図1と対応する位置における断面図である。本実施形態に係る発光デバイス2は、図17に示すように、前実施形態に係る発光デバイス2と比較して、発光層14Rが、陽極8側から、第1発光層14RHと、第2発光層14REとを含む点において、構成が異なっている。以上を除いて、本実施形態に係る発光デバイス2は、前実施形態に係る発光デバイス2と同一の構成を備える。
 本実施形態において、第1発光層14RHは正孔輸送性タイプの赤色発光層であり、第2発光層14REは電子輸送性タイプの赤色発光層である。本実施形態に係る発光素子6Rは、第1発光層14RHおよび第2発光層REからの光が赤色光であることを除いて、発光素子6Bと同一の構成を備えていてもよい。
 特に、本実施形態においても、第1正孔輸送層10は、ポリシロキサン系ポリマー24と、正孔輸送材料26とを含む。ゆえに、本実施形態に係る発光デバイス2は、各発光素子の駆動時の昇温に対する、第1正孔輸送層10の熱耐性が高くなるため、各発光素子の寿命が長期化する。
 また、発光素子6Rの各層のLUMO準位の値およびHOMO準位の値の大小関係は、図18の、本実施形態に係る発光素子6Rの各層のエネルギーバンド図に示すように、発光素子6Gと同一であってもよい。特に、本実施形態においても、第1電子輸送層16のLUMO準位の値は、第2電子輸送層18のLUMO準位の値以上であり、何れの発光素子においても、エネルギー準位差E1は、0.35eV以上である。このため、本実施形態においても、各発光素子の寿命がより長期化する。
 上述した各実施形態に係る発光素子6R、発光素子6G、および発光素子6Bを、発光デバイス2が備えることにより、より寿命が長期化した発光デバイス2が得られる。なお、発光デバイス2は、複数のサブ画素のそれぞれに、上述した発光素子6R、発光素子6G、および発光素子6Bを一つずつ備えた表示デバイスであってもよい。
 なお、本実施形態において、発光層14Rが、第1発光層14RHと、第2発光層14REとの二層の積層構造を備えている構成について説明したが、これに限られない。例えば、発光層14Rは、正孔輸送性材料と、電子輸送性材料と、ドーパントとの3材料の共蒸着によって形成された、単一の発光層であってもよい。
 本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
2         発光デバイス
6         発光素子層
6R、6G、6B  発光素子
8         陽極
10        第1正孔輸送層
12        第2正孔輸送層
14        発光層
14GH、14RH 第1発光層
14GE、14RE 第2発光層
16        第1電子輸送層
18        第2電子輸送層
20        陰極
24        ポリシロキサン系ポリマー
26        正孔輸送材料

Claims (36)

  1.  陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間の発光層と、前記陽極と前記発光層との間の正孔輸送層とを備えた発光素子であって、
     前記正孔輸送層が、ポリシロキサン系ポリマーと、正孔輸送材料とを含む混合膜である発光素子。
  2.  前記ポリシロキサン系ポリマーは、以下の一般式(1)、または、以下の一般式(2)によって示される高分子であり、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
     ここで、xは0以上1以下の実数であり、pは重合度を示す1以上の整数であり、αは、水素基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、Cが3以上6以下のアルキル基、または、アルコキシ基を示し、βは、Cが3以上6以下の、飽和、不飽和、または環状のアルキル基を示し、
     あるいは、前記一般式(1)または前記一般式(2)の前記βのアルキル基において、少なくとも1つのHを、FまたはClに置き換えた高分子である請求項1に記載の発光素子。
  3.  前記ポリシロキサン系ポリマーは、以下の化学式(3)によって示される高分子であり、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
     ここで、pは重合度を示す1以上の整数である請求項2に記載の発光素子。
  4.  前記ポリシロキサン系ポリマーは、以下の化学式(4)によって示される高分子であり、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
     ここで、pは重合度を示す1以上の整数である請求項2に記載の発光素子。
  5.  前記ポリシロキサン系ポリマーの重量平均分子量が、5000以上である請求項1から4の何れか1項に記載の発光素子。
  6.  前記ポリシロキサン系ポリマーの重量平均分子量が、65000以下である請求項1から5の何れか1項に記載の発光素子。
  7.  前記正孔輸送材料が、フェニルアミン、および、カルバゾール系化合物のうち、少なくとも一種以上を含む請求項1から6の何れか1項に記載の発光素子。
  8.  前記正孔輸送材料が、フェニルアミン系骨格を有する請求項1から7の何れか1項に記載の発光素子。
  9.  前記正孔輸送材料が、NPDである請求項1から8の何れか1項に記載の発光素子。
  10.  前記正孔輸送材料に対する、前記ポリシロキサン系ポリマーの重量比が、1/1000以上1/1以下である請求項1から9の何れか1項に記載の発光素子。
  11.  陽極と、陰極とを備え、前記陽極と前記陰極との間に、前記陽極側から順に、正孔輸送層と、発光層と、第1電子輸送層と、第2電子輸送層とを備えた発光素子であって、
     前記第1電子輸送層のLUMO準位の値が、前記第2電子輸送層のLUMO準位の値以上であり、
     前記第1電子輸送層のLUMO準位の値が、前記第1電子輸送層と接する前記発光層のLUMO準位の値よりも大きい発光素子。
  12.  LUMO準位における、前記第1電子輸送層と前記第2電子輸送層とのエネルギー準位差が、0.35eV以上である請求項11に記載の発光素子。
  13.  前記発光層が、単層であり、前記陽極側の前記発光層と、前記陰極側の前記発光層とが同一である請求項11または12に記載の発光素子。
  14.  前記第1電子輸送層のHOMO準位の値が、前記発光層のHOMO準位の値以下であり、
     HOMO準位における、前記第1電子輸送層と前記発光層とのエネルギー準位差が、0.25eV以上である請求項13に記載の発光素子。
  15.  HOMO準位における、前記第1電子輸送層と前記発光層とのエネルギー準位差が、0.45eV以上である請求項14に記載の発光素子。
  16.  前記正孔輸送層が、前記陽極側の第1正孔輸送層と、前記陰極側の第2正孔輸送層とを備えた請求項13から15の何れか1項に記載の発光素子。
  17.  前記第2正孔輸送層のLUMO準位の値が、前記発光層のLUMO準位の値以上であり、
     LUMO準位における、前記第2正孔輸送層と前記発光層とのエネルギー準位差が、0.25eV以上である請求項16に記載の発光素子。
  18.  LUMO準位における、前記第2正孔輸送層と前記発光層とのエネルギー準位差が、0.45eV以上である請求項17に記載の発光素子。
  19.  HOMO準位における、前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層とのエネルギー準位差と、前記第2正孔輸送層と前記発光層とのエネルギー準位差とが、共に0.1eV以下である請求項16から18の何れか1項に記載の発光素子。
  20.  前記第2正孔輸送層のHOMO準位の値が、前記第1正孔輸送層のHOMO準位の値と、前記発光層のHOMO準位の値との間の値であり、
     HOMO準位における、前記第1正孔輸送層と前記発光層とのエネルギー準位差が、0.2eV以下である請求項16から18の何れか1項に記載の発光素子。
  21.  前記発光層のLUMO準位の値と、当該発光層のHOMO準位の値との差が、2.7eVより大きく、3.1eV以下である請求項13から20の何れか1項に記載の発光素子。
  22.  前記発光層が青色光を発する請求項13から21の何れか1項に記載の発光素子。
  23.  前記発光層が赤色光を発する請求項13から21の何れか1項に記載の発光素子。
  24.  前記発光層が、前記陽極側の、正孔輸送性タイプの第1発光層と、前記陰極側の、電子輸送性タイプの第2発光層とを備え、前記第2発光層が前記第1電子輸送層と接する請求項11または12に記載の発光素子。
  25.  前記第1発光層のLUMO準位の値が、前記第2発光層のLUMO準位の値以上であり、
     LUMO準位における、前記第1発光層と前記第2発光層とのエネルギー準位差が、0.25eV以上である請求項24に記載の発光素子。
  26.  前記第2発光層のHOMO準位の値が、前記第1発光層のHOMO準位の値以下であり、
     HOMO準位における、前記第1発光層と前記第2発光層とのエネルギー準位差が、0.25eV以上である請求項24または25に記載の発光素子。
  27.  前記第1電子輸送層のHOMO準位の値が、前記第2発光層のHOMO準位の値以下であり、
     HOMO準位における、前記第1電子輸送層と前記第2発光層とのエネルギー準位差が、0.25eV以上である請求項24から26の何れか1項に記載の発光素子。
  28.  HOMO準位における、前記第1電子輸送層と前記第2発光層とのエネルギー準位差が、0.45eV以上である請求項27に記載の発光素子。
  29.  前記正孔輸送層が、前記陽極側の第1正孔輸送層と、前記陰極側の第2正孔輸送層とを備えた請求項24から28の何れか1項に記載の発光素子。
  30.  HOMO準位における、前記第1正孔輸送層と前記第2正孔輸送層とのエネルギー準位差が、0.1eV以下であり、
     HOMO準位における、前記第2正孔輸送層と前記第1発光層とのエネルギー準位差が、0.1eV以下である請求項29に記載の発光素子。
  31.  前記第2正孔輸送層のHOMO準位の値が、前記第1正孔輸送層のHOMO準位の値と、前記第1発光層のHOMO準位の値との間の値であり、
     HOMO準位における、前記第1正孔輸送層と前記第1発光層とのエネルギー準位差が、0.2eV以下である請求項29に記載の発光素子。
  32.  前記第2発光層のLUMO準位の値と、前記第1発光層のHOMO準位の値との差が、2.4eV以上、2.7eV以下である請求項24から31の何れか1項に記載の発光素子。
  33.  前記第1発光層と前記第2発光層とが緑色光を発する請求項24から32の何れか1項に記載の発光素子。
  34.  前記第1発光層と前記第2発光層とが赤色光を発する請求項24から32の何れか1項に記載の発光素子。
  35.  前記正孔輸送層、前記発光層、前記第1電子輸送層、および前記第2電子輸送層のそれぞれが、有機材料を含む有機層である請求項11から34の何れか1項に記載の発光素子。
  36.  請求項1から35の何れか1項に記載の発光素子を、少なくとも一つ以上備えた発光デバイス。
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