WO2021029388A1

WO2021029388A1 - 光コネクタ用清掃具

Info

Publication number: WO2021029388A1
Application number: PCT/JP2020/030462
Authority: WO
Inventors: 鈴木　正義; 後藤　誠
Original assignee: 株式会社巴川製紙所
Priority date: 2019-08-14
Filing date: 2020-08-07
Publication date: 2021-02-18
Also published as: TW202119069A; CN114096906A; US20220317385A1; JPWO2021029388A1

Abstract

簡素な構造で、伝達力を十分に伝えることができる光コネクタ用清掃具を提供する。清掃体が送り出し可能に巻回された供給リールと、清掃ヘッドを経た清掃体を巻回する巻取りリールと、操作者による操作によって揺動可能な操作体と、操作体と係合することで操作体の動作が伝達されて、巻取りリールを回転させる回転係合体と、を備え、操作体の揺動による円弧と、回転係合体の回転による円弧とが内接して、操作体と回転係合体とが係合する。

Description

光コネクタ用清掃具

　光コネクタのフェルールの端面を清掃するための光コネクタ用清掃具に関する。

　光コネクタを清掃するための光コネクタ用清掃具として、操作ボタンを操作することで、清掃テープを移動させるものが知られている（例えば、特許文献１参照）。

特開２００７－３９０１号公報

　先述した光コネクタ用清掃具は、ラック・アンド・ピニオン機構とによって、操作ボタンの動作を清掃テープの巻取りリールに伝達させるものである。この光コネクタ用清掃具では、操作ボタンのラックの回転による円弧と、巻取りリールのピニオンギアの回転による円弧とが外接するものであった。このため、ラックとピニオンギアとが係合する領域が小さく、伝達力（操作ボタンの動作を）を十分に伝えることが困難となり、清掃テープを十分に移動させるためにラックの歯を多くせざるを得なかった。

　本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡素な構造で、伝達力（操作体の動作を）を十分に伝えることで清掃体を的確に移動させることができる光コネクタ用清掃具を提供することにある。

　本発明による光コネクタ用清掃具の特徴は、
　光コネクタの端面を清掃するための清掃体が保持される本体と、
　清掃体が送り出し可能に巻回された供給リールと、
　前記供給リールから送り出された清掃体が案内される清掃ヘッドと、
　前記清掃ヘッドを経た清掃体を巻回する巻取りリールと、
　操作者による操作によって揺動可能な操作体と、
　前記操作体と係合することで前記操作体の動作が伝達されて、前記巻取りリールを回転させる回転係合体と、を備え、
　前記操作体の揺動による円弧と、前記回転係合体の回転による円弧とが内接して、前記操作体と前記回転係合体とが係合することである。

　簡素な構造で、伝達力を十分に伝えることができる。

本実施の形態による清掃具１０の全体の概略を示す斜視図である。本実施の形態による清掃具１０の全体の概略を示す斜視図である。本実施の形態による清掃具１０の右ハウジング１１０Ｒを外した状態を示す斜視図である。本実施の形態による清掃具１０の右ハウジング１１０Ｒを外した状態の一部を示す側面図である。本実施の形態による清掃具１０の左ハウジング１１０Ｌを外した状態を示す斜視図である。本実施の形態による清掃具１０の左ハウジング１１０Ｌを外した状態を示す側面図である。本実施の形態による清掃具１０のヘッド部４００の構成を示す斜視図（ａ）と、ヘッド部４００における清掃体ＣＴの経路を示す斜視図（ｂ）と、清掃ヘッド保持体４１０の構成を示す斜視図（ｃ）とである。本実施の形態による清掃具１０のラチェット歯車３２２と弾性係合部５６０とを示す概略図である。ラチェット歯車３２２の円周Ｃ１と、巻取操作レバー５００のラック部５６４の円周Ｃ２とが内接する状態を示す概略図である。本実施の形態による清掃具１０の巻取操作レバー５００が変位したときの状態を示す概略図である。他の実施の形態による保持アダプタ４５００を示す斜視図である。別の実施の形態による巻取操作レバー５００－１の概略を示す斜視図である。巻取操作レバー５００－１が第１の回転角度に位置するときの状態を示す概略図である。巻取操作レバー５００－１が第２の回転角度に位置するときの状態を示す概略図である。

＜＜＜＜本実施の形態の概要＞＞＞＞
＜＜第１の実施の態様＞＞
　第１の実施の態様によれば、
　光コネクタの端面を清掃するための清掃体（例えば、後述する清掃体ＣＴなど）が保持される本体（例えば、後述する収納部１６０など）と、
　清掃体が送り出し可能に巻回された供給リール（例えば、後述する供給リール２００など）と、
　前記供給リールから送り出された清掃体が案内される清掃ヘッド（例えば、後述する清掃ヘッド部４１２など）と、
　前記清掃ヘッドを経た清掃体を巻回する巻取りリール（例えば、後述する巻取リール３００など）と、
　操作者による操作によって揺動可能な操作体（例えば、後述する巻取操作レバー５００など）と、
　前記操作体と係合することで前記操作体の動作が伝達されて、前記巻取りリールを回転させる回転係合体（例えば、後述するラチェット歯車３２２など）と、を備え、
　前記操作体の揺動による円弧（例えば、後述する巻取操作レバー５００のラック部５６４の円周Ｃ２など）と、前記回転係合体の回転による円弧（例えば、後述するラチェット歯車３２２の円周Ｃ１など）とが内接して、前記操作体と前記回転係合体とが係合する光コネクタ用清掃具が提供される。

　光コネクタ用清掃具は、本体と供給リールと巻取りリールと清掃ヘッドと操作体と回転係合体とを備える。

　本体は、清掃体が収納される。清掃体は、光コネクタの端面を清掃するための部材である。清掃体は、汚染体を保持可能な層（以下、保持可能層と称する）を有する。例えば、清掃体は、光コネクタの端面を拭き取って清掃するものがある。この清掃体は、不織布や織布などからなり、光コネクタの端面を拭き取ることで、塵埃やゴミ等を除去して捕捉し、塵埃やゴミ等が離脱しにくいものを採用することができる。また、清掃体は、光コネクタの端面に保持可能層を押圧することで、光コネクタの端面に存在する汚染体（塵埃など）を保持可能層に転着させて、光コネクタの端面から汚染体を除去できるものも採用することができる。清掃体がいずれの場合であっても、供給保持体には、清掃体が供給可能（送り出し可能）に保持される。

　清掃体は、長尺な形状を有するものが好ましい。また、清掃体は、可撓性を有するものが好ましい。例えば、テープ状や糸状の形状にすることができる。清掃体は、供給保持体に供給可能に収納できるものであればよい。清掃体の大きさ及び形状は、本体から清掃ヘッドに供給して光コネクタの端面を清掃できるものであれば、適宜に選択することができる。

　清掃ヘッドは、本体から離隔しかつ本体に対して一定の保持位置に保持される。清掃ヘッドは、ゴムやバネなどの各種の弾性体によって保持され、振動や衝撃や加えられた場合でも、清掃ヘッドは、本体に対して一定の位置に戻るのが好ましい。清掃ヘッドには、本体から供給された清掃体が位置づけられる。このようにしたことで、清掃作業の際に、清掃ヘッドは、本体との相対位置や相対距離がほとんど変化しないので、光コネクタ用清掃具（本体や清掃ヘッドなど）を一定の姿勢に保ちつつ、光コネクタの端面に清掃体を押圧することができ、光コネクタの端面から汚染体を保持可能層に的確に除去して補足したり転着させたりすることができる。

　光コネクタの端面とは、光コネクタのフェルールの端面である。光コネクタ内で光ファイバを保持するための部品である。フェルールの端面には、光ファイバの端面が配置されている。光コネクタの光ファイバの端面と、光ケーブルの光ファイバの端面とを向かい合わせることによって、通信を行うことができる。光コネクタの光ファイバの端面と、光ケーブルの光ファイバの端面との間に塵埃などの汚染体が存在するときには、汚染体によって光損失（ロス）が大きくなり、一方の光ファイバから他方の光ファイバに情報を的確に伝えることが困難になる場合がある。汚染体とは、向かい合わされた光ケーブル間の通信を屈折率変化や物理的な遮断により妨げる異物をいう。例えば、汚染体には、わずかな汚れや小さなゴミ（繊維屑など）やアルコールなどの拭きスジなどが含まれる。

　本体は、清掃体を保持する。清掃体は、供給リールに巻回されている。清掃体は、供給リールから送り出される。巻取りリールは、清掃ヘッドを経た清掃体を巻回する。

　操作体は、操作者によって操作することができる。操作者の操作によって操作体を揺動させることができる。揺動とは、３６０度以下の角度で正逆回転することをいう。例えば、時計回りに回転したり反時計回りに回転したりすることができる。

　回転係合体は、操作体と係合することができる。操作体は、常に回転係合体と係合している必要はない。操作体は、操作者によって操作されたときに、回転係合体と係合し、操作が終了したときに、回転係合体との係合が解除するようにできる。

　回転係合体は、操作体と係合することで操作体の動作が伝達され、巻取りリールを回転させる。

　操作体が揺動することで、操作体は、円弧（円周の一部）の軌跡を形成する。回転係合体が回転することで、円周の軌跡を形成する。操作体の円弧と、回転係合体の円周とが内接する。操作体の円弧と回転係合体の円周とが内接することにより、操作体と回転係合体とが係合する。

　操作体の円弧と回転係合体の円周とを内接させることにより、操作体は、回転係合体に沿うように移動させることができ、操作体は、回転係合体に近づいたり接触したりする領域を長くできる。このため、操作体と回転係合体とが係合する領域を拡大することができ、操作体の動作を回転係合体に的確に伝えることができる。

　操作体の動作は、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構などによって、回転係合体に伝えることができる。操作体と回転係合体との係合領域を拡げることができるので、ラック側の歯の数を少なくしても、係合状態が維持され続けるので、操作体の動作を的確に伝えることができ、伝達機構の構成を簡素にできる。

＜＜第２の実施の態様＞＞
　第２の実施の態様は、第１の実施の態様において、
　前記操作体は、第１の端部（例えば、後述する第１の端部５４０など）と前記第１の端部と向かい合う第２の端部（例えば、後述する第２の端部５５０など）とを有し、
　前記操作体は、前記第１の端部を中心にして揺動可能であり、
　前記操作体は、第２の端部に伸縮可能な弾性体（例えば、後述するコイルバネ５８０など）が設けられている。

　操作体は、第１の端部と第２の端部とを有する。第２の端部は、第１の端部から離隔している。操作体は、操作者の操作によって、第１の端部を中心にして揺動することができる。操作体の第２の端部に伸縮可能な弾性体が設けられている。操作体は、第１の端部を中心にして揺動するので、第１の端部から離隔した第２の端部は、最も力を加えやすくできる部分となる。第２の端部に伸縮可能な弾性体を設けたことにより、弾性体の付勢力を効率よく操作体に加えることができる。例えば、操作が終わった後に、弾性体の付勢力を効率よく加えることで、操作体を元の位置（後述する基準位置）に的確に戻すことができる。

＜＜第３の実施の態様＞＞
　第３の実施の態様は、第１の実施の態様において、
　前記回転係合体の回転によって形成される外周の直径が、前記巻取りリールの直径と同じである。

　回転係合体の回転によって形成される外周の直径が、巻取りリールの直径と同じであるので、回転係合体の回転の外周を最も大きくすることができ、中心から最も離れた位置で操作体からの力を伝達するので、小さな力で、回転係合体を回転させることができ、操作性をさらに高めることができる。

＜＜第４の実施の態様＞＞
　第４の実施の態様は、第１の実施の態様において、
　前記本体は、前記操作体を操作可能に突出させる開口部（例えば、後述する巻取操作レバー用開口部１７０など）を有し、
　前記操作体は、前記開口部の端部（例えば、後述する係合端部１７４など）と向かい合う凹部（例えば、後述する凹部５２０など）を有し、
　前記開口部の端部が前記凹部に収容されたときが、前記操作体の基準位置であり、
　操作者によって前記操作体が操作されたときに、前記凹部の少なくとも一部が、前記開口部の端部によって覆われる（例えば、後述する図１０の状態など）。

　操作体は、開口部を出入りすることができる。例えば、操作体は、開口部を介して押し込まれたり突出したりすることができる。操作体は凹部を有し、凹部には、開口部の端部と向い合う。開口の端部が凹部に収容された状態を操作体の基準位置にすることができる。具体的には、開口の端部が凹部の底部などと当接して操作体の一定の位置を画定できる状態を、操作体の基準位置にすることができる。

　操作体が操作されたときには、操作体が移動するため、凹部は、開口の端部から離隔する場合がある。開口の端部から離隔した状態となっても、凹部の少なくとも一部が、開口の端部によって覆われる。操作体を設けるためには、開口部は必須であるが、操作によって、開口部が開放された状態になることも想定される。開口部が開放されたときには、塵埃が内部に進入して清掃体が汚染される可能性が生ずる。しかしながら、凹部の少なくとも一部が、開口の端部によって覆われるので、埃が内部に進入することを防止することができる。

＜＜第５の実施の態様＞＞
　第５の実施の態様は、第１の実施の態様において、
　前記供給リールから送り出され前記清掃ヘッドに至る清掃体を案内する案内体（例えば、後述する清掃体案内板１５６など）を更に備える。

　案内体は、供給リールから送り出され清掃ヘッドに至る清掃体を案内する。例えば、光コネクタ用清掃具が振動したり、光コネクタ用清掃具に衝撃が加えられたりして、供給リールから送り出された清掃体が緩んだ場合であっても、案内体を設けたことにより、清掃体同士が接触等して絡むことを防止することができ、清掃体を清掃ヘッド部に円滑に供給することができる。また、供給リールから送り出された清浄な清掃体が、他の部材と接触することで汚染されることを防止することもできる。

＜＜＜＜本実施の形態の詳細＞＞＞＞
　以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。

＜＜＜＜＜清掃具１０＞＞＞＞
　清掃具１０は、清掃体ＣＴを用いて、光コネクタのフェルールの端面を清掃するための光コネクタ用の清掃具（清掃工具）である。

＜＜＜方向＞＞＞
　本明細書で用いる方向について、説明する。

＜前・後・長手＞
　清掃具１０のヘッド部４００が位置する側や方向を前側や前方向と称し、ヘッド部４００に対してハウジング１００が位置する側や方向を後側や後方向とする。なお、前後方向は、長手方向と称する場合もある。

＜右・左＞
　後側から前側に向かって右の側や方向を右側や右方向と称し、後側から前側に向かって左の側や方向を左側と称する。なお、左右方向を短手方向と称してもよい。左右方向は、長手方向に対して垂直となる。

＜下・上＞
　巻取操作レバー５００がハウジング１００から突出する側や方向を上側や上方向や上部と称する。巻取操作レバー５００がハウジング１００から突出する側の反対側や方向を下側や下方向や下部と称する。なお、下側や下方向や下部を底部と称してもよい。上下方向は、前後方向や左右方向に対して垂直となる。

＜上流・下流＞
　清掃体ＣＴを送り出して供給する側を上流と称し、清掃体ＣＴが巻き取られる側が下流と称する。後述する供給リール２００が上流となり、巻取リール３００が下流となる。

＜正回転・逆回転＞
　後述する供給リール２００及び巻取リール３００の正回転とは、清掃体ＣＴを清掃ヘッド部４１２に供給するとともに清掃体ＣＴを回収できる方向の回転である。具体的には、後述する図４では、供給リール２００は反時計方向の回転が、正回転であり、巻取リール３００は、時計方向の回転が、正回転である。また、図６で、供給リール２００は時計方向の回転が、正回転であり、巻取リール３００は、反時計方向の回転が、正回転である。

　また、供給リール２００及び巻取リール３００の逆回転とは、清掃体ＣＴを清掃ヘッド部４１２に供給できない方向の回転であり、清掃体ＣＴを回収できない方向の回転である。

＜清掃体ＣＴ＞
　清掃体ＣＴは、長尺で可撓性を有し、少なくとも樹脂層を有しており、樹脂層が、コネクタ端面及びガイドピンＧＰに接触することで塵埃などの汚れを除去することができる。また、清掃体ＣＴは、長尺で可撓性を有し、不織布や織布などの繊維からなり、塵埃やゴミ等を除去して捕捉し、塵埃やゴミ等を絡めて保持することができる。清掃体ＣＴは、例えば、テープ状の形状や糸状などの一体で連続した形状を有する。

　清掃体ＣＴの幅は、特に限定されないが、少なくとも清掃対象である、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳの幅以上か、または、さらにガイドピンＧＰを含んだ幅以上とすることができる。

　清掃体ＣＴの厚みは、特に限定されないが、例えば、０．０５ｍｍ～２ｍｍとすることができる。

　清掃体ＣＴは、樹脂層単独であってもよく、基材上に積層されていてもよい。また、剥離フィルムが積層されていてもよい。基材は、樹脂層だけで清掃体ＣＴとして支持ができない場合に、支持材として用いることができる。剥離フィルムは、本発明の清掃具１０を使用していない期間に、清掃体ＣＴの清掃面を汚れや破損から保護するために用いることができる。

　清掃体ＣＴは、清掃体ヘッドに送られ、清掃体ヘッド上で光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳ及びガイドピンＧＰに接触させられる。このとき、基材は、樹脂層の清掃体ヘッドに接する表面に積層される。また、剥離フィルムは、樹脂層の基材とは反対側の表面に積層される。剥離フィルムは、清掃体ＣＴが清掃体ヘッドに到達する前に、剥離され、清掃体ＣＴから除外される。

　樹脂層は、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳ及びガイドピンＧＰとの接触により、汚れが除去できる限りにおいて、特に限定されず、例えば、粘着剤、樹脂フォーム（発泡体）、ガイドピンＧＰが埋設、刺突又は貫通できる柔軟性を有する樹脂、不織布、織布等を挙げることができる。

　粘着剤の材質としては、公知のものを用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。これら粘着剤には、粘着付与剤、充填剤等の添加剤が配合されていてもよい。公知の粘着剤は、容易に入手が可能であり、粘着力や糊残り防止効果を容易に改変することができるという利点を有する。

　粘着剤は、接触により汚れを清掃体ＣＴに付着させる機能があれば接着剤でもよく、例えば、弱い粘着性を有するオレフィン系接着剤等を用いることが可能である。接着剤は、コネクタ端面及びガイドピンＧＰに接触したときに、糊残り等コネクタ端面への汚染を抑制又は防止対策を施したものが好ましい。

　樹脂フォーム（発泡体）は、公知のものを使用することができる。樹脂フォーム（発泡体）が形成する清掃面に汚れを捕捉できるメカニズムは解明のための検証が必要ではあるが、例えば、柔軟な清掃面に押し付けられた汚れが樹脂フォーム（発泡体）に埋没（あるいは半埋没）して清掃面から離脱しにくくなり、樹脂フォーム（発泡体）に捕捉されることが、一例として考えられる。

　別の考察例としては、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳやガイドピンＧＰを樹脂フォーム（発泡体）に押し付けた際、樹脂フォーム（発泡体）中の気泡が圧し潰されて、内部の大気が外部に押し出される。さらに、連続気泡の一部が圧し潰されて、遮断される。この際、樹脂フォーム（発泡体）表面と、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳやガイドピンＧＰの表面は、減圧されて吸着される。さらに、小さなゴミは気泡内に吸い込まれ、気泡よりも大きなゴミは、気泡内が減圧することにより吸着されることも一例として考えられる。

　また、種々検証の結果、樹脂フォーム（発泡体）はガイドピンＧＰを貫通させてもガイドピンＧＰへの異物の付着が生じないことを把握した。これは、樹脂フォーム（発泡体）は、気泡を有するため、非常に柔軟な材質であるとともに、ガイドピンＧＰが刺突、貫通し易い。従って、ガイドピンＧＰが、樹脂フォーム（発泡体）に刺突、貫通した際、樹脂フォーム（発泡体）が、ガイドピンＧＰの側面部に絡みつき、ガイドピンＧＰの側面部のゴミを効率よく除去できると考えられる。樹脂フォーム以外であっても貫通によりガイドピンＧＰへの異物の付着が生じないものであれば好適に用いることができる。

　樹脂フォーム（発泡体）の材質は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、ウレタン樹脂、（メタ）アクリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹、エポキシ系樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂フェノール樹脂、シリコーン樹脂等を含む樹脂フォーム（発泡体）を挙げることができる。これらの材質は、少なくとも１つ又は複数組み合わせて用いることができる。これらのうち、柔軟性が優れ、圧縮残留歪みが低くなることからウレタンフォームが好適である。また、強度に優れるとともに軽量性、断熱性に優れていることから、（メタ）アクリルフォームを用いることも好適である。また樹脂フォーム（発泡体）は、ウレタンフォームと、（メタ）アクリルフォームとを混合して用いる場合には、その混合比により、ウレタンフォームの特性と、アクリルフォームの特性を、用途などに合わせて調整することが可能であることから好適である。

　樹脂フォーム（発泡体）に含まれる気泡の構造は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。気泡の構造としては、各気泡が樹脂フォーム（発泡体）中で、独立して存在する独立気泡構造、又は、各気泡が樹脂フォーム（発泡体）中で連続的に繋がっている連続気泡構造を有することができる。連続気泡構造は、各気泡が、連通貫通孔によって接続されている場合や、独立気泡の壁部を破壊して接続されている場合を含む。前述したようにガイドピンＧＰが樹脂フォーム（発泡体）を刺突又は貫通し易くなり、効率よくゴミを除去することができるため連続気泡構造を有する樹脂フォーム（発泡体）が好ましい。

　樹脂フォーム（発泡体）の製造方法は特に限定されず、公知の方法により、発泡体を製造することができる。例えば、樹脂フォーム（発泡体）は、化学発泡、物理発泡のいずれの製法のものでもよく、独立気泡を形成後、物理的に気泡を粉砕して連通した連続気泡発泡体でもよい。例えば、特開２０１２－５６９８５号公報に開示されている発泡体の製造方法などが好適である。

　柔軟性を有する樹脂としては、公知のものを用いることができ、例えば、ポリウレタン樹脂やポリアクリル樹脂を挙げることができる。またそれらをゲル化したゲル材を含むことができる。ゲル材としては、一般にポリウレタンゲルと呼ばれる、軟質ポリウレタン樹脂などを用いることができる。ゲル材は、変形しやすいと同時に、ガイドピンＧＰが、容易に、埋設、刺突又は貫通することができる。この場合にゲル材の粘着力が弱い場合でも、軟質ポリウレタンのもつ柔らかさによる埋設効果や、刺突や貫通することで、光コネクタの端面やガイドピンＧＰから、汚れを除去することができる。

　また、ゲル材は微粘着であるため、光コネクタの脱着が容易であり、糊残り等を生じず、さらに汚れが付着した軟質ポリウレタンの表面を水で濡らした無塵布で清掃することで、再利用が可能である。軟質ポリウレタンとしては、例えば、特開２００１－３１６４４８号公報に開示されている軟質組成物などを好適に用いることができる。

　基材の材質は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、合成樹脂、天然樹脂等の樹脂類、天然のゴム類や合成ゴム等のゴム類、天然繊維や合成繊維、繊維、紙、をシート状に形成したものを用いることができる。これらの材質は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、いずれのものも使用可能である。例えば、樹脂の押出成形シート、樹脂シートの細幅切断加工、繊維の撚合せ、繊維の編込み（メッシュ材や織布など）、積層布，不織布、紙等を用いることができる。

　繊維の編込みとしては、例えば、目開き０．５～２．０ｍｍ程度の網目構造のメッシュ材を用いることができる。

　清掃体ＣＴと、光コネクタとが、接触する際、清掃体ＣＴがガイドピンＧＰ及び孔の形状を追従するように変形する場合には、清掃体ＣＴは、柔軟性を有する必要があるため、基材はオレフィン系やポリ塩化ビニル系の合成樹脂が好適である。

　一方、清掃体ＣＴと、光コネクタとが、接触する際、ガイドピンＧＰが清掃体ＣＴを貫通する場合には、貫通が容易な構造や貫通が容易な材質の基材を用いることが好適であり、例えば、網状に構成された繊維の編込み、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、積層布、不織布等を好適に用いることができる。

　基材として、繊維の編込みや、積層布、不織布等の空隙を含む材質を用いる場合には、樹脂層の一部を、基材の空隙内に侵入（含浸）した状態とすることができる。このような状態とすることで、基材と樹脂層の密着が強固なものとなる。従って、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳやガイドピンＧＰを清掃体ＣＴから取り外す際に、樹脂層が基材から脱離して、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳやガイドピンＧＰに付着するという、糊残りが生じにくくなるという利点もある。

　貫通が容易な材質の基材としては、紙、不織布、織布や樹脂のフィルムを好適に用いることができる。貫通が容易な樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂などのように一定の伸びを示した後に容易に破断する樹脂や、一軸延伸又は二軸延伸されたポリプロピレン樹脂（ＰＰ）やポリエチレンテレフタレート樹脂（ＰＥＴ）などの様に易切断性加工を施した樹脂などを好適に用いることができる。

　剥離フィルムの材質は、公知のものを用いることができ、特に限定されない。樹脂フィルムや紙などのシート状の材質の樹脂層側の面に剥離加工が施されていればよい。剥離加工は、特に限定されないが、例えば、ジメチルシロキサンなどの剥離剤を塗布するなどの方法を挙げることができる。

＜＜＜＜清掃具１０の構成＞＞＞
　清掃具１０は、主に、ハウジング１００と供給リール２００と巻取リール３００とヘッド部４００と巻取操作レバー５００とを備える。これらのハウジング１００、供給リール２００、巻取リール３００、ヘッド部４００、巻取操作レバー５００は、ＡＢＳ樹脂（アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂）やＰＯＭ（ポリアセタール）樹脂などによって形成される。

＜＜＜ハウジング１００の概要＞＞＞
　ハウジング１００は、供給リール２００と巻取リール３００とを回転可能に収容する。供給リール２００には、未使用の清掃体ＣＴが巻回される。巻取リール３００には、使用済みの清掃体ＣＴが巻回される。供給リール２００から未使用の清掃体ＣＴが、清掃ヘッド部４１２に案内され、光コネクタのフェルールの端面と接触して端面を清掃し、使用済みの清掃体ＣＴが、巻取リール３００に巻き取られる。

　ハウジング１００は、全体として長尺な形状を有する。ハウジング１００は、供給リール２００と巻取リール３００とを長手方向に沿って収納する。ハウジング１００では、巻取リール３００が前側に位置し、供給リール２００が後側に位置する。なお、巻取リール３００を後側に位置づけ、供給リール２００を後側に位置づけてもよい。ハウジング１００は、全体として長尺な形状を有する。

＜＜＜ハウジング１００の構成＞＞＞
　ハウジング１００は、右ハウジング１１０Ｒと左ハウジング１１０Ｌとを有する。ハウジング１００の右側の部分を構成するハウジングが右ハウジングであり、ハウジング１００の左側の部分を構成するハウジングが左ハウジングである。右ハウジング１１０Ｒは、係止爪１５４を有し、左ハウジング１１０Ｌは、係止孔１５２を有する。右ハウジング１１０Ｒの外形と、左ハウジング１１０Ｌの外形とは、おおよそ線対称に形成されている。右ハウジング１１０Ｒと左ハウジング１１０Ｌとを向かい合わせにして、右ハウジング１１０Ｒの係止爪を左ハウジング１１０Ｌの係止孔に係止させることで、一体化してハウジング１００を形成することができる。

＜＜右ハウジング１１０Ｒ＞＞
　右ハウジング１１０Ｒは、ハウジング１００の右側の部分を構成するハウジングである。

＜残量確認用窓１２０＞
　右ハウジング１１０Ｒには、残量確認用窓１２０が形成されている。残量確認用窓１２０は、供給リール２００に巻回されている残りの清掃体ＣＴの量（残量）を視認するための貫通孔である。供給リール２００の半径方向に沿って形成されている。操作者は、清掃体ＣＴの残量を確認して、操作を進めることができる。

＜供給リール保持突出部１１８＞
　供給リール保持突出部１１８は、右ハウジング１１０Ｒに形成されている。供給リール保持突出部１１８は、右ハウジング１１０Ｒから左ハウジング１１０Ｌに向かって突出する。供給リール保持突出部１１８は、供給リール２００を回転可能に保持する。

＜巻取リール保持突出部１１６＞
　巻取リール保持突出部１１６は、右ハウジング１１０Ｒに形成されている。巻取リール保持突出部１１６は、右ハウジング１１０Ｒから左ハウジング１１０Ｌに向かって突出する。巻取リール保持突出部１１６は、巻取リール３００を回転可能に保持する。

＜係止爪１５４＞
　係止爪１５４は、右ハウジング１１０Ｒの外周に沿って、複数個所に設けられている。係止爪１５４は、左ハウジング１１０Ｌに設けられている係止孔１５２と係合して、右ハウジング１１０Ｒと左ハウジング１１０Ｌとを連結する。

＜清掃体案内板１５６＞
　右ハウジング１１０Ｒは、清掃体案内板１５６を有する。清掃体案内板１５６は、右ハウジング１１０Ｒの下部に設けられている。清掃体案内板１５６は、板状の形状を有する。清掃体案内板１５６と右ハウジング１１０Ｒとの間に間隙１５８を有する。間隙１５８には、供給リール２００から送り出された清掃体ＣＴが移動可能に案内される。清掃具１０が振動したり、清掃具１０に衝撃が加えられたりして、供給リール２００から送り出された清掃体ＣＴが緩んだ場合であっても、清掃体ＣＴ同士が接触等して絡むことを防止することができ、清掃体ＣＴを清掃ヘッド部４１２に円滑に供給することができる。また、供給リール２００から送り出された清浄な清掃体ＣＴが、他の部材と接触することで汚染されることを防止することもできる。さらに、清掃体案内板１５６を設けたことによって、右ハウジング１１０Ｒの収納部１６０を補強することができ、耐久性を高めることができる。

＜＜左ハウジング１１０Ｌ＞＞
　左ハウジング１１０Ｌは、ハウジング１００の左側の部分を構成するハウジングである。

＜係止孔１５２＞
　係止孔１５２は、左ハウジング１１０Ｌに設けられている。係止孔１５２は、左ハウジング１１０Ｌの外周に沿って、右ハウジング１１０Ｒの係止爪１５４に対応する位置に設けられている。係止孔１５２は、右ハウジング１１０Ｒの係止爪１５４と係合して、右ハウジング１１０Ｒと左ハウジング１１０Ｌとを連結する。

＜＜巻取操作レバー用開口部１７０、収納部１６０、清掃体案内部１８０＞＞
　ハウジング１００は、巻取操作レバー用開口部１７０と収納部１６０と清掃体案内部１８０とを有する。

＜巻取操作レバー用開口部１７０＞
　右ハウジング１１０Ｒ及び左ハウジング１１０Ｌは、切り欠き部を有する。右ハウジング１１０Ｒの切り欠き部と左ハウジング１１０Ｌの切り欠き部とが向い合い、これらの切り欠き部によって、ハウジング１００の巻取操作レバー用開口部１７０が構成される。

　巻取操作レバー用開口部１７０を形成したことにより、巻取操作レバー５００の一部がハウジング１００から突出した状態にできる。操作者は、巻取操作レバー５００をハウジング１００内に押し込むように巻取操作レバー５００を操作することができる。

　巻取操作レバー用開口部１７０は、供給リール２００の上方ではなく、巻取リール３００の上方に設けられている。このようにしたことで、巻取操作レバー用開口部１７０を介して、外部から塵埃が進入した場合であっても、供給リール２００の未使用の清掃体ＣＴを汚染されにくくすることができる。

＜開口壁部１７２＞
　左ハウジング１１０Ｌに開口壁部１７２が形成されている。開口壁部１７２は、巻取操作レバー用開口部１７０の開口壁として形成される。開口壁部１７２は、後述する揺動用突出ピン５４４を中心にした円弧状の形状を有する。

＜係合端部１７４＞
　右ハウジング１１０Ｒ及び左ハウジング１１０Ｌは、巻取操作レバー用開口部１７０の端部に、係合端部１７４を有する。係合端部１７４は、平坦の形状を有し、後述する巻取操作レバー５００の凹部５２０に進入することができる。

＜＜収納部１６０＞＞
　収納部１６０は、一定の幅Ｗ１を有する（図２参照）。収納部１６０は、供給リール２００及び巻取リール３００を回転可能に収納する。前述したように、巻取リール３００が前側（ヘッド部４００に近い側）に位置し、供給リール２００が後側（ヘッド部４００から遠い側）に位置する。収納部１６０によって、外部からの塵埃で清掃体ＣＴが汚染されないように全体を覆う。

＜＜清掃体案内部１８０＞＞
　清掃体案内部１８０は、収納部１６０から突出して延在する。清掃体案内部１８０は、長尺な形状を有する。清掃体案内部１８０は、拡幅部１８４と縮幅部１８６と遷移接続部１８８とを有する。拡幅部１８４は、収納部１６０と連結する。拡幅部１８４は、収納部１６０と同じ幅Ｗ１を有する。

　清掃体案内部１８０は、清掃体ＣＴを収納部１６０から清掃ヘッド部４１２に案内し（往路）、清掃ヘッド部４１２から収納部１６０に案内する（復路）。清掃体案内部１８０は、清掃体ＣＴの往路と復路とを形成する。清掃体ＣＴの往路と復路とは、ヘッド部４００を挟んで形成される。

　長尺な形状を有する清掃体案内部１８０を設けたことにより、設置されている機器に接続されている多数の光ファイバを潜らせて、ヘッド部４００を光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳに到達させることができる。このようにして、清掃ヘッド保持体４１０の清掃ヘッド部４１２を、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳと向かい合わせることができる。

＜拡幅部１８４＞
　拡幅部１８４は、往路及び復路の清掃体ＣＴを収納する。拡幅部１８４は、長尺な柱状の形状を有する。

＜遷移接続部１８８＞
　遷移接続部１８８は、拡幅部１８４から突出して延在する。遷移接続部１８８の幅は、Ｗ１からＷ２に徐々に変化し、縮幅部１８６が連結される。

　拡幅部１８４及び遷移接続部１８８は、リブ１８５Ｒ及び１８５Ｌを有する。リブ１８５Ｒは、右ハウジング１１０Ｒに設けられ、リブ１８５Ｌは、左ハウジング１１０Ｌに設けられる。リブ１８５Ｒ及び１８５Ｌは、長尺な板状の形状を有する。リブ１８５Ｒ及び１８５Ｌは、拡幅部１８４及び遷移接続部１８８の長手方向に沿って設けられる。

　リブ１８５Ｒ及び１８５Ｌの下方に、往路の清掃体ＣＴが案内され、リブ１８５Ｒ及び１８５Ｌの上方に、復路の清掃体ＣＴが案内される。リブ１８５Ｒ及び１８５Ｌによって、往路の清掃体ＣＴと復路の清掃体ＣＴとの接触を防止することができる。塵埃が付着した復路の清掃体ＣＴによって、清浄な復路の清掃体ＣＴが汚染されることを防止することができる。

　また、リブ１８５Ｒ及び１８５Ｌによって、長尺な拡幅部１８４及び遷移接続部１８８を補強することができ、拡幅部１８４及び遷移接続部１８８の変形を防止して、清掃体ＣＴを円滑に案内することができる。さらに、拡幅部１８４及び遷移接続部１８８の耐久性を高めることができる。

＜縮幅部１８６＞
　縮幅部１８６は、遷移接続部１８８から突出して延在する。縮幅部１８６は、拡幅部１８４よりも狭い幅Ｗ２を有する（図１参照）。縮幅部１８６は、後述するヘッド部４００の保持アダプタ４５０を保持する。

＜保持アダプタ用開口１８２＞
　縮幅部１８６の先端部（光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳと向かい合う側）に、保持アダプタ用開口１８２が形成されている。保持アダプタ用開口１８２の近くに、ヘッド部保持係止孔１８９が形成されている。ヘッド部保持係止孔１８９に保持アダプタ４５０の保持突出部４５２（図７（ａ））を係合させることで、保持アダプタ４５０を清掃体案内部１８０に保持して、保持アダプタ４５０を保持アダプタ用開口１８２から突出させることができる。

＜清掃体供給案内ローラ１３０ａ、清掃体供給案内ローラ１３０ｂ＞
　清掃体供給案内ローラ１３０ａ及び清掃体供給案内ローラ１３０ｂは、右ハウジング１１０Ｒと左ハウジング１１０Ｌとに亘って回転可能に設けられている。清掃体供給案内ローラ１３０ａ及び清掃体供給案内ローラ１３０ｂは、略円筒状の形状を有する。清掃体供給案内ローラ１３０ａ及び清掃体供給案内ローラ１３０ｂは、清掃体ＣＴと当接して清掃体ＣＴを湾曲させて、清掃体ＣＴの移動方向を変更する。

　清掃体供給案内ローラ１３０ａ及び清掃体供給案内ローラ１３０ｂは、供給リール２００から送り出された清掃体ＣＴをヘッド部４００に向かって案内する。清掃体供給案内ローラ１３０ａ及び清掃体供給案内ローラ１３０ｂは、供給リール２００に巻回されている清掃体ＣＴの残量（清掃体ＣＴの半径）によることなく、ヘッド部４００に対する清掃体ＣＴの向きを一定の方向となるように調整して、清掃体ＣＴをヘッド部４００に案内することができる。清掃体供給案内ローラ１３０ａ及び清掃体供給案内ローラ１３０ｂは、清掃体ＣＴと接触しつつ案内するので、移動によって清掃体ＣＴに生ずる振動などを抑えて、清掃体ＣＴを安定した状態にしてヘッド部４００に案内することができる。

＜清掃体巻取り案内ローラ１３０ｃ＞
　清掃体巻取り案内ローラ１３０ｃは、ヘッド部４００から巻取リール３００に向かう清掃体ＣＴを案内する。清掃体巻取り案内ローラ１３０ｃは、右ハウジング１１０Ｒと左ハウジング１１０Ｌとに亘って回転可能に設けられている。清掃体巻取り案内ローラ１３０ｃは、略円筒状の形状を有する。清掃体巻取り案内ローラ１３０ｃは、清掃体ＣＴと当接して清掃体ＣＴを湾曲させて、清掃体ＣＴの移動方向を変更する。

　清掃体巻取り案内ローラ１３０ｃは、清掃体ＣＴと接触しつつ案内するので、移動によって清掃体ＣＴに生ずる振動などを抑えて、清掃体ＣＴを安定した状態にして巻取リール３００に案内することができる。

＜＜＜供給リール２００＞＞＞
　供給リール２００は、主に、右供給リール枠２１０Ｒ及び左供給リール枠２１０Ｌを有する。右供給リール枠２１０Ｒと左供給リール枠２１０Ｌとの間に、未使用の清掃体ＣＴが送り出し可能（供給可能）に巻回される。清掃体ＣＴは、右供給リール枠２１０Ｒと左供給リール枠２１０Ｌとの間に保持される。このため、安定した姿勢で清掃体ＣＴを清掃ヘッド部４１２に供給でき、他の部材などとの接触を防止し、清浄な状態のまま清掃ヘッド部４１２に供給することができる。

　右供給リール枠２１０Ｒ及び左供給リール枠２１０Ｌは、略円盤状の形状を有する。右供給リール枠２１０Ｒ及び左供給リール枠２１０Ｌは、中心に貫通孔を有する。右供給リール枠２１０Ｒ及び左供給リール枠２１０Ｌの貫通孔に、前述した供給リール保持突出部１１８が挿通されて、供給リール２００は、回転可能に保持される。

　右供給リール枠２１０Ｒは、逆転防止爪２１２を有する。逆転防止爪２１２は、右ハウジング１１０Ｒに設けられているリブ（図示せず）と係合する。逆転防止爪２１２がリブと係合することによって、右供給リール枠２１０Ｒの逆回転を防止する。さらに、逆転防止爪２１２は、清掃体ＣＴの弛みを防止する機能も有するため、清掃体ＣＴが伸張した状態を維持して、巻取操作レバー５００の操作による清掃体ＣＴの供給のための伝達を確実なものにすることができる。

＜＜＜巻取リール３００＞＞＞
　巻取リール３００は、右巻取リール枠３１０Ｒ、左巻取リール枠３１０Ｌ及びピニオン体３２０を有する。右巻取リール枠３１０Ｒと左巻取リール枠３１０Ｌとの間に、使用済みの清掃体ＣＴが巻回される。清掃体ＣＴは、右巻取リール枠３１０Ｒと左巻取リール枠３１０Ｌとの間に保持される。このため、長尺な形状を有する清掃体ＣＴが巻き取られる際に、清掃体ＣＴが蛇行することを防止でき、清掃体ＣＴを巻取リール３０００に的確に巻き取ることができる。清掃体ＣＴ同士が巻取リール３００で絡まることを未然に防止して、清掃体ＣＴを最後まで巻き取ることができ、無駄を防止することができる。

　右巻取リール枠３１０Ｒ及び左巻取リール枠３１０Ｌは、略円盤状の形状を有する。右巻取リール枠３１０Ｒ及び左巻取リール枠３１０Ｌは、中心に貫通孔を有する。右巻取リール枠３１０Ｒ及び左巻取リール枠３１０Ｌの貫通孔に、前述した巻取リール保持突出部１１６が挿通されて、巻取リール３００は、回転可能に保持される。

　右巻取リール枠３１０Ｒは、逆転防止爪３１２を有する。逆転防止爪３１２は、右ハウジング１１０Ｒに設けられているリブ（図示せず）と係合する。逆転防止爪３１２がリブと係合することによって、右巻取リール枠３１０Ｒの逆回転を防止する。

　＜ピニオン体３２０＞
　右巻取リール枠３１０Ｒは、ピニオン体３２０を有する。ピニオン体３２０は、右巻取リール枠３１０Ｒの外側（右ハウジング１１０Ｒと面する側）に一体に形成されている。ピニオン体３２０は、高さの低い略円筒状の形状を有する。ピニオン体３２０は、右巻取リール枠３１０Ｒと一体に同軸に形成されている。

　ピニオン体３２０の半径の長さは、右巻取リール枠３１０Ｒの半径と略同じである。すなわち、ピニオン体３２０の半径を可能な範囲で大きくしたことで、後述する巻取操作レバー５００から加える力を小さくすることができる。巻取操作レバー５００の操作を容易にすることができる。

　ピニオン体３２０の外周面に沿ってラチェット歯車（ラチェットギヤ）３２２が形成されている。ラチェット歯車３２２は、非対称の歯面を有する歯の列によって構成される。ラチェット歯車３２２の歯は、歯先を挟んで圧力角が小さい歯面（傾きが急な（傾きが大きい）歯面）（以下、傾斜大歯面と称する）と圧力角が大きい歯面（傾きが緩い（傾きが小さい）歯面）（以下、傾斜小歯面と称する）とによって構成される。傾斜大歯面によって係合面が構成され、傾斜小歯面によってスリップ面、摺動面が構成される。

＜＜＜ヘッド部４００＞＞＞
　ヘッド部４００は、清掃体案内部１８０から前方向に向かって突出して配置される。ヘッド部４００は、主に、清掃ヘッド保持体４１０と保持アダプタ４５０とを有する（図７（ａ）参照）。

＜＜清掃ヘッド保持体４１０＞＞
　清掃ヘッド保持体４１０は、主に、清掃ヘッド部４１２と、収容孔４１４と、保持ピン４１６とを有する（図７（ｃ）参照）。

＜清掃ヘッド部４１２＞
　清掃ヘッド部４１２は、清掃ヘッド保持体４１０の先端に配置される。清掃ヘッド部４１２は、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳに応じた大きさ及び形状を有する。供給リール２００から送り出された清掃体ＣＴは、清掃ヘッド部４１２に案内され（図７（ａ）及び図７（ｂ）参照）、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳと当接することができる。

＜収容孔４１４＞
　清掃ヘッド部４１２には、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳから突出する２本のガイドピンＧＰを収容するための２つの収容孔４１４が形成されている（図７（ｃ））。収容孔４１４を形成したことにより、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳのガイドピンＧＰの根本まで、清掃体ＣＴの樹脂層ＲＬを到達させることができ、ガイドピンＧＰの根本付近の塵埃も的確に除去することができる。

　清掃ヘッド保持体４１０は、長尺で薄く扁平の直方体状の形状を有する。清掃ヘッド保持体４１０は、保持アダプタ４５０の一定の位置に保持される（図７（ａ））。供給リールから送り出された清掃体ＣＴは、清掃ヘッド部４１２に案内されて清掃ヘッド部４１２に位置づけられる。清掃ヘッド保持体４１０は、保持アダプタ４５０に着脱可能に設けることができる。光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳの形状や大きさなどに応じて、対応する清掃ヘッド保持体４１０に適宜に交換することができる。

　清掃ヘッド部４１２に位置づけられた清掃体ＣＴの樹脂層ＲＬは、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳと向かい合わせにされて、樹脂層ＲＬが光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳに当接されることで、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳに存在する塵埃が樹脂層ＲＬに転着される。この転着によって、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳの塵埃を除去することができる。その後、清掃体ＣＴは、清掃ヘッド部４１２から巻取リール３００に向かって巻き取られる。

＜保持ピン４１６＞
　保持ピン４１６は、清掃ヘッド保持体４１０の右側の側面及び左側の側面から２本ずつ突出する。保持ピン４１６は、保持アダプタ４５０のピン保持貫通孔４５４に係合される。

＜＜保持アダプタ４５０＞＞
　保持アダプタ４５０は、長尺な一定の形状を有する（図７（ａ））。保持アダプタ４５０は、長尺な略角筒状の形状を有し、中空の構造を有する。保持アダプタ４５０は、清掃ヘッド保持体４１０を清掃体案内部１８０に対して一定の位置に保持する。すなわち、清掃ヘッド保持体４１０は、保持アダプタ４５０を介して清掃体案内部１８０に保持される。

　保持アダプタ４５０は、供給リール２００から巻取リール３００に至るまでの清掃体ＣＴを移動可能に収容する。具体的には、保持アダプタ４５０は、供給リール２００から送り出され、前述した清掃ヘッド保持体４１０の清掃ヘッド部４１２を経由して、巻取リール３００に巻き取られるまでの清掃体ＣＴを移動可能に収容する。保持アダプタ４５０は、主に、保持突出部４５２と、ピン保持貫通孔４５４とを有する。

＜保持突出部４５２＞
　保持突出部４５２は、保持アダプタ４５０から突出して設けられる。保持突出部４５２を縮幅部１８６の形成されているヘッド部保持係止孔１８９に挿入することで、保持アダプタ４５０を縮幅部１８６（清掃体案内部１８０）に保持することができる。

＜ピン保持貫通孔４５４＞
　保持アダプタ４５０の右側の側面及び左側の側面には、ピン保持貫通孔４５４が２本ずつ形成されている。ピン保持貫通孔４５４には、清掃ヘッド保持体４１０の保持ピン４１６が挿入される。ピン保持貫通孔４５４及び保持ピン４１６によって、清掃ヘッド保持体４１０を保持アダプタ４５０の一定の位置に保持して、清掃ヘッド保持体４１０をヘッド部用開口４６０から突出させることができる。このようにすることで、清掃ヘッド部４１２を光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳと向かい合うように位置づけることができる。

＜＜＜巻取操作レバー５００＞＞＞
　巻取操作レバー５００は、操作者によって操作することができる。光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳを清掃する操作者が、巻取操作レバー５００を操作することで清掃体ＣＴを移動させることができる。清掃体ＣＴを移動させることによって、清掃体ＣＴの清浄な領域を清掃ヘッド部４１２に案内することができ、清掃体ＣＴの清浄な領域をフェルールＦＥの端面ＥＳに押圧して、塵埃などの汚れを除去することができる。また、清掃体ＣＴを移動させることで、塵埃などの汚れによって汚染された清掃体ＣＴの領域を清掃体案内部１８０に収納して巻取リール３００に巻き取ることができる。

　巻取操作レバー５００は、外周面５１０と内周面５３０とを有する。巻取操作レバー５００は、略Ｕ字柱状の形状を有する。外周面５１０及び内周面５３０によって略Ｕ字柱状の形状が形成される。外周面５１０は、外周面５１０ａと外周面５１０ｂと外周面５１０ｃとを有する。

＜＜外周面５１０ａと外周面５１０ｂと外周面５１０ｃと内周面５３０＞＞
　巻取操作レバー５００は、外周面５１０ａと外周面５１０ｂと内周面５３０とによって外形が画定される。

＜外周面５１０ａ＞
　外周面５１０ａは、操作者が巻取操作をするための面である。外周面５１０ａに操作者の指が当接されて巻取操作レバー５００に力が加えられる。巻取リール３００に向かう力が加えられると、巻取操作レバー５００は、巻取リール３００に近づく方向に変位する。なお、後述するように、巻取操作レバー５００は、揺動用突出ピン５４４を中心に回転（揺動）することができる。

＜外周面５１０ｂ＞
　外周面５１０ｂは、外周面５１０ａの端部から第２の端部５５０に向かって延在する。外周面５１０ｂは、第２の端部５５０で内周面５３０と連結する。外周面５１０ｂは、収納部１６０の開口壁部１７２と向かい合う。開口壁部１７２及び外周面５１０ｂは、後述する揺動用突出ピン５４４を中心にした円弧状の形状を有する。開口壁部１７２と外周面５１０ｂとの間は、一定の間隙（空隙）を有する。揺動用突出ピン５４４を中心に巻取操作レバー５００を回転させたときにおいても、開口壁部１７２と外周面５１０ｂとの一定の間隙が保たれる。巻取操作の際に一定の間隙を確保することで、巻取操作レバー５００を円滑に移動させることができる。また、一定の間隙にしたことで、巻取操作の際に、塵埃が間隙から収納部１６０に進入することを防止できる。

＜外周面５１０ｃ＞
　外周面５１０ｃは、外周面５１０ａの端部から第１の端部５４０に向かって延在する。外周面５１０ｃは、第１の端部５４０で内周面５３０と連結する。外周面５１０ｃは、凹部５２０を有する。凹部５２０には、巻取操作レバー用開口部１７０の係合端部１７４が進入して当接することができる。凹部５２０に係合端部１７４が当接することで、巻取操作レバー５００の上限位置を定めることができる。

　後述するように、巻取操作レバー５００は、コイルバネ５８０によって付勢力が加えられる。操作者が巻取操作レバー５００から手を離したときには、コイルバネ５８０の付勢力によって巻取操作レバー５００は上限位置に戻る。前述したように、凹部５２０に係合端部１７４を当接させることで、一定の位置にすることができ、上限位置を基準位置にすることができる。

　また、巻取操作レバー５００が変位したときには、係合端部１７４は凹部５２０から離隔はするが、係合端部１７４が凹部５２０に進入した状態が保たれる（図１０参照）。このため、巻取操作の際に、凹部５２０を介して、塵埃が収納部１６０に進入することを防止できる。

＜内周面５３０＞
　内周面５３０は、巻取リール３００の外周部と向かい合う。内周面５３０及び巻取リール３００の外周部は、巻取リール３００の中心を中心にした円弧状の形状を有する。巻取操作レバー５００が巻取リール３００に最も近づいた状態となっても、内周面５３０と巻取リール３００の外周部とは平行（互いに離隔）となって、内周面５３０と巻取リール３００の外周部との間の間隙が確保される。間隙の確保によって、巻取操作レバー５００が巻取リール３００と衝突したり接触したりすることを未然に防止でき、巻取操作レバー５００の動作を円滑に保つことができる。

＜＜第１の端部５４０及び第２の端部５５０＞＞
　巻取操作レバー５００は、第１の端部５４０及び第２の端部５５０を有する。前述したように、巻取操作レバー５００は、略Ｕ字柱状の形状を有し、Ｕ字に沿った２つの端部が、第１の端部５４０及び第２の端部５５０である。第１の端部５４０及び第２の端部５５０は、巻取リール３００を挟んで位置し、おおよそ巻取リール３００の直径方向に沿って位置する。第１の端部５４０は、供給リール２００と巻取リール３００との間に位置づけられる。第２の端部５５０は、開口壁部１７２に沿った方向に移動することができる。

＜揺動保持部５４２＞
　第１の端部５４０は、揺動保持部５４２を有する。揺動保持部５４２は、略円筒状の形状を有する。揺動保持部５４２は、巻取操作レバー５００の外周面５１０ｃと内周面５３０とを連結する。

＜揺動用突出ピン５４４＞
　揺動保持部５４２は、揺動用突出ピン５４４を有する。揺動用突出ピン５４４は、揺動保持部５４２の中心に形成される。揺動用突出ピン５４４は、揺動保持部５４２から中心軸に沿って突出する。揺動用突出ピン５４４は、揺動保持部５４２の中心軸として機能する。右ハウジング１１０Ｒ及び左ハウジング１１０Ｌは、保持孔（図示せず）を有する。揺動用突出ピン５４４は、右ハウジング１１０Ｒ及び左ハウジング１１０Ｌの保持孔に向かって突出して収容される。保持孔は、右ハウジング１１０Ｒ及び左ハウジング１１０Ｌの双方に形成されている。このようにすることで、巻取操作レバー５００は、揺動用突出ピン５４４を中心に回転（揺動）できる。すなわち、揺動用突出ピン５４４を回転中心にして、巻取操作レバー５００を揺動可能に保持することができる。

＜弾性係合部５６０＞
　第２の端部５５０は、巻取操作レバー５００の外周面５１０ｂと内周面５３０とを連結する。第２の端部５５０は、弾性係合部５６０を有する。弾性係合部５６０は、付勢力発生部５６２とラック部５６４とを有する。

＜ラック部５６４＞
　ラック部５６４は、ラチェット歯車３２２の歯と同様に、非対称の歯面を有する歯によって構成される。なお、本実施の形態では、ラック部５６４の歯が１つである場合を示したが、複数の歯によって、ラック部５６４を構成してもよい。ラック部５６４の歯は、傾斜大歯面（歯先を挟んで圧力角が小さい歯面（傾きが急な（大きい）歯面））と、傾斜小歯面（圧力角が大きい歯面（傾きが緩い（小さい）歯面））とによって構成される。傾斜大歯面によって係合面が構成され、傾斜小歯面によってスリップ面や摺動面が構成される。

　ラチェット歯車３２２とラック部５６４とによって、ラチェット機構（戻り防止機構）を構成する。ピニオン体３２０のラチェット歯車３２２の傾斜大歯面と、巻取操作レバー５００のラック部５６４の傾斜大歯面とが係合する状態によって、巻取リール３００の回転を許可する回転方向（回転許可方向（例えば、図８における時計回り（矢印Ａ２）））を規定することができる。ピニオン体３２０のラチェット歯車３２２の傾斜小歯面と、巻取操作レバー５００のラック部５６４の傾斜小歯面とが係合する状態（摺動可能な状態）によって、巻取リール３００の回転を禁止する回転方向（回転禁止方向（例えば、図８における反時計回り（矢印Ｂ２）））を規定することができる。

　ラック部５６４の傾斜大歯面は、巻取操作レバー５００の移動に応じて、巻取リール３００のピニオン体３２０のラチェット歯車３２２の傾斜大歯面と係合して、巻取操作レバー５００の移動に伴って巻取リール３００を回転許可方向に回転させる。巻取リール３００が回転することによって、巻取リール３００に清掃体ＣＴが巻き取られて（図９の矢印Ａ２）、清掃体ＣＴを変位させることができる（図９の矢印ＰＡ１及びＰＡ２）。清掃によって塵埃で汚染された清掃体ＣＴを清掃ヘッド部４１２から変位させて清掃体案内部１８０に収納するとともに、清浄な清掃体ＣＴを清掃ヘッド部４１２に案内することができる。清掃体ＣＴの変位の詳細については、後述する。

＜付勢力発生部５６２＞
　付勢力発生部５６２は、弾性変形可能であり、ラック部５６４に付勢力を加える。ラック部５６４は、付勢力発生部５６２が弾性変形することにより、巻取リール３００から離隔する方向に変位することができる（図８の矢印Ｃ１参照）。また、ラック部５６４は、付勢力発生部５６２に生じた付勢力によって、巻取リール３００に近づく方向に変位することができる（図８の矢印Ｃ２参照）。

＜コイルバネ係止用突起５７０＞
　第２の端部５５０は、コイルバネ係止用突起５７０を有する。コイルバネ係止用突起５７０は、コイルバネ５８０の第１の端部５８２を係止する。なお、コイルバネ５８０の第２の端部５８４は、右ハウジング１１０Ｒの係止孔（図示せず）に係止されている。右ハウジング１１０Ｒの係止孔は、収納部１６０の最前側の下部に設けられている。コイルバネ５８０は、操作者による巻取操作レバー５００の操作に応じて伸縮することができる。操作者が巻取操作レバー５００を収納部１６０に押し込んだときには、コイルバネ５８０が縮み、付勢力が大きくなる。操作者が巻取操作レバー５００から手を離したときには、コイルバネ５８０が伸びようとする付勢力が巻取操作レバー５００に加わり、コイルバネ５８０の伸びとともに、巻取操作レバー５００が基準位置に向かって移動する。

　このようにすることで、コイルバネ５８０を収納部１６０の最前側に配置されて伸縮変形することになる。すなわち、巻取リール３００を挟んで供給リール２００から最も離隔した位置でコイルバネ５８０を設けることができる。このため、巻取操作レバー５００の操作によって、コイルバネ５８０が伸縮することで、塵埃などが生ずる場合でも、供給リール２００から離れているので、清浄な清掃体ＣＴを汚染させることを防ぐことができる。

＜＜＜ラチェット機構の動作＞＞＞
＜＜巻取操作レバー５００に力が加えられたとき＞＞
＜ラチェット歯車３２２とラック部５６４との係合＞
　操作者によって巻取操作レバー５００が収納部１６０に押し込まれたときには、弾性係合部５６０が徐々に下方に移動する（図８の矢印Ａ１参照）。弾性係合部５６０が下方に移動することで、巻取リール３００のラチェット歯車３２２の傾斜大歯面と、巻取操作レバー５００のラック部５６４の傾斜大歯面とが係合する（図８のＰ１参照）。この傾斜大歯面同士の係合により、弾性係合部５６０の下方の移動とともに（図８のＰ１→Ｐ２→Ｐ３）、巻取操作レバー５００のラック部５６４から巻取リール３００のラチェット歯車３２２へ、巻取リール３００が回転し得る力が伝達される。弾性係合部５６０が下方に移動することで（図８の矢印Ａ１参照）、巻取リール３００が時計回り（図８及び図９の矢印Ａ２参照）に回転し得る力が伝達される。図８に示す例では、時計回りが回転許可方向となる。巻取操作レバー５００のラック部５６４の傾斜大歯面と、巻取リール３００のラチェット歯車３２２の傾斜大歯面とによって、ラック・アンド・ピニオン機構が構成され、力が伝達される。

＜清掃体ＣＴの牽引及び供給＞
　このように、巻取操作レバー５００が収納部１６０に押し込まれる方向に移動するときには、ラック・アンド・ピニオン機構によって、巻取リール３００に力が伝達されて、巻取リール３００が回転する（図８及び図９の矢印Ａ２参照）。巻取リール３００が回転することで、清掃体ＣＴが牽引されて（図９の矢印ＰＡ１参照）巻取リール３００に巻回される。清掃体ＣＴが牽引されることで、供給リール２００から清掃体ＣＴが新たに送り出され、清掃体ＣＴの清浄な樹脂層ＲＬが清掃ヘッド保持体４１０の清掃ヘッド部４１２に供給される（図７（ａ）の矢印ＰＡ３参照）。

＜＜巻取操作レバー５００への力が弱まったとき（加えられなくなったとき）＞＞
＜ラチェット歯車３２２とラック部５６４との係合＞
　巻取操作レバー５００への力が弱まったときには、前述したように、コイルバネ５８０の付勢力によって、巻取操作レバー５００は、基準位置に向かって移動しようとする（図８の矢印Ｂ１参照）。このとき、巻取操作レバー５００のラック部５６４の傾斜小歯面が、巻取リール３００のラチェット歯車３２２の傾斜小歯面と係合する。巻取操作レバー５００のラック部５６４は、付勢力発生部５６２の弾性変形によって、巻取リール３００のラチェット歯車３２２から離隔する方向に変形可能である（図８の矢印Ｃ１参照）。このため、ラック部５６４の傾斜小歯面が、ラチェット歯車３２２の傾斜小歯面を摺動しつつ、巻取操作レバー５００のラック部５６４は、巻取リール３００のラチェット歯車３２２の歯から離隔する方向（図８の矢印Ｃ１参照）に移動することで、巻取操作レバー５００が基準位置に向かうことができる。

＜清掃体ＣＴの牽引及び供給＞
　巻取操作レバー５００への力が弱まったときには、ラック部５６４の傾斜大歯面は、ラチェット歯車３２２の傾斜大歯面と係合しないので、巻取操作レバー５００から巻取リール３００に力が伝達されることはなく、巻取リール３００は回転しない（図８の矢印Ｂ２参照）。このため、巻取操作レバー５００への力がなくなったときには、清掃体ＣＴは牽引されることがなく、清掃体ＣＴは一定の位置に保持される。

＜＜＜清掃体ＣＴの牽引＞＞＞
　前述したように、操作者によって巻取操作レバー５００が収納部１６０に押し込まれることで巻取リール３００が回転し、清掃体ＣＴは巻取リール３００に巻き取られる。巻取操作レバー５００から操作者の手が離されることで、巻取操作レバー５００が基準位置に戻る。このときは、巻取リール３００は回転せず、清掃体ＣＴは移動しない。このように、清掃具１０では、巻取操作レバー５００が押し込まれるときのみに、清掃体ＣＴは巻取リール３００に巻き取られる。

＜＜＜接近領域ＣＲ（係合領域）の拡大＞＞＞
　巻取リール３００のラチェット歯車３２２は、巻取リール保持突出部１１６（以下、回転中心Ｏ１と称する。）を中心にして回転する。ラチェット歯車３２２は、円周Ｃ１に沿って移動する。ラチェット歯車３２２の回転半径は、Ｒ１である（図９の一点破線参照）。また、巻取操作レバー５００のラック部５６４は、揺動用突出ピン５４４（以下、回転中心Ｏ２と称する。）を中心に回転（揺動）する。巻取操作レバー５００のラック部５６４は、円弧Ｃ２に沿って移動する。ラック部５６４の回転半径は、Ｒ１よりも大きいＲ２である（図９の破線参照）。なお、以下では、円弧Ｃ２によって形成される円の周を円周Ｃ２と称する。

　ラチェット歯車３２２の円周Ｃ１と、巻取操作レバー５００のラック部５６４の円周Ｃ２とが内接する位置関係にある。すなわち、ラチェット歯車３２２の円周Ｃ１が、巻取操作レバー５００のラック部５６４の円周Ｃ２に含まれ、かつ、円周Ｃ２の半径よりも半径が大きい円周Ｃ１の内側（中心Ｏ１が存在する側）に円周Ｃ２が接触する。このとき、ラチェット歯車３２２の回転中心Ｏ１の位置と、揺動用突出ピン５４４の回転中心Ｏ２の位置とを近づけ、ラチェット歯車３２２の回転半径Ｒ１の大きさと、揺動用突出ピン５４４の回転半径Ｒ２の大きさとを近づけることで、ラチェット歯車３２２の円周Ｃ１と、巻取操作レバー５００の円周Ｃ２が接近する接近領域ＣＲを大きくすることができる。

　具体的には、揺動用突出ピン５４４の回転半径Ｒ２は、ラチェット歯車３２２の回転半径Ｒ１の２倍（直径）より大きく、かつラチェット歯車３２２の回転半径Ｒ１の３倍以下である（２×Ｒ１＜Ｒ２≦３×Ｒ１）のが好ましい。この関係を満たすことにより、ラチェット歯車３２２の円周Ｃ１と、巻取操作レバー５００の円周Ｃ２とを互いに接近させて、ラック部５６４がラチェット歯車３２２と係合する領域を広げることができる。

　接近領域ＣＲを大きくすることで、揺動用突出ピン５４４がラチェット歯車３２２と係合する領域を広げることができる。揺動用突出ピン５４４からラチェット歯車３２２へ力を伝達する距離を長くでき、清掃体ＣＴの移動長さを長くすることができる。また、的確に係合させることによって、揺動用突出ピン５４４からの力をラチェット歯車３２２に十分に伝達させることができる。

　なお、ラチェット歯車３２２の円周Ｃ１と、巻取操作レバー５００のラック部５６４の円周Ｃ２とが外接する位置関係にある場合には、ラチェット歯車３２２の円周Ｃ１と、巻取操作レバー５００のラック部５６４の円周Ｃ２とが、互いに向かい合って外側で接触することになり、揺動用突出ピン５４４がラチェット歯車３２２と係合する領域は、狭くならざるを得ず、揺動用突出ピン５４４からの力をラチェット歯車３２２に十分に伝達させることが困難となる。

＜＜＜変形例＞＞＞
　前述した例では、回転可能な供給リール２００に巻回されている清掃体ＣＴを清掃ヘッド部４１２に案内し、使用後の清掃体ＣＴを回転可能な巻取リール３００に巻回する構成を示した。清掃体ＣＴを巻回した状態で保持する場合だけでなく、折り畳んだ状態にしたりランダムに収納したりするようにしてもよい。

＜＜＜＜＜他の実施の形態＞＞＞＞＞
　図１１は、他の実施の形態による保持アダプタ４５００を示す斜視図である。

＜＜開口部４５８＞＞
　図１１に示すように、保持アダプタ４５００は、清掃体ＣＴの移動方向に沿って、２つの開口部４５８を有する。保持アダプタ４５００は、いわゆる肉抜きした形状を有する。２つの開口部４５８を設けたことにより、清掃体ＣＴが保持アダプタ４５００の内部を移動する際に、保持アダプタ４５００と接触することを防止して、清掃体ＣＴの清浄状態を保つことができる。また、保持アダプタ４５００との接触を防止することで、清掃体ＣＴを安定して移動させることができる。開口部は２つに限られない。

＜＜＜＜清掃体ＣＴの別の形態＞＞＞＞
　次に、本発明の光コネクタ用清掃具の構成部材として特に適する清掃体ＣＴについて詳述する。清掃体ＣＴについて既に説明された事項については、ここでは説明を省略する場合がある。ここで説明された事項は、矛盾の生じない範囲で、本発明に係る全ての実施の形態に対して適用することが可能である。

　以下、清掃体ＣＴを形成する樹脂層がポリウレタン樹脂である場合について説明する。

＜＜＜物性＞＞＞
　以下、清掃体ＣＴの各物性について説明する。清掃性能評価（ピン転写、ゴミ除去、ファイバ部転写）については、清掃体が樹脂層と基材とを含む場合、樹脂層と基材とを含んだ状態にて評価を行う。物性評価（引張強度、引裂き強度、伸び、伸び率、ヒステリシスロス、硬度）については、清掃体が樹脂層と基材とを含む場合、基材から樹脂層を分離して、樹脂層単独（単層）にて評価、測定を行う。

＜＜アスカーＣ硬度＞＞
　清掃体ＣＴの樹脂層のアスカーＣ硬度は、好ましくは４０～９０であり、より好ましくは６５～８５である。清掃体ＣＴの樹脂層のアスカーＣ硬度が、かかる範囲にあることで清掃対象表面の形状を追従することができ、汚染物質の捕集性能が高くなる。特にガイドピンが突設された光ファイバ用の光コネクタの接続端面に用いた場合には、ガイドピンの形状を追従することが可能となり、ガイドピン及び光コネクタ接続端面の清掃効果が著しくできる。

　清掃体ＣＴの樹脂層のアスカーＣ硬度は、ＪＩＳ　Ｋ７３１２：１９９６「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に記載の方法で測定される。測定は、アスカーゴム硬度計Ｃ型を用いて行われる。なお、測定においては、ポリウレタン樹脂の硬化完了後、２５℃、５０％ＲＨの環境下で２４時間保存した清掃体ＣＴの樹脂層を用いるものとする。

＜＜引張強度等の引張特性＞＞
　清掃体ＣＴの樹脂層の引張強度は、好ましくは０．５５～３０ＭＰａであり、より好ましくは０．６～３０ＭＰａであり、特に好ましくは０．６５～２２ＭＰａである。

　清掃体ＣＴの樹脂層の引張強度が、かかる範囲にあることで清掃対象表面の形状を追従することができ、汚染物質の捕集性能が高くなる。特にガイドピンが突設された光ファイバ用の光コネクタの接続端面に用いた場合には、ガイドピンの形状を追従することが可能となり、ガイドピン及び光コネクタ接続端面の清掃効果が著しくできる。

　清掃体ＣＴの樹脂層の破断伸びは、好ましくは１００～１５０ｍｍであり、より好ましくは１０５～１４０ｍｍでる。清掃体ＣＴの樹脂層の破断伸びが、かかる範囲にあることで清掃対象表面の形状を追従することができ、汚染物質の捕集性能が高くなる。特にガイドピンが突設された光ファイバ用の光コネクタの接続端面に用いた場合には、ガイドピンの形状を追従することが可能となり、ガイドピン及び光コネクタ接続端面の清掃効果が著しくできる。

　清掃体ＣＴの樹脂層の破断伸び率は、好ましくは２００～７００％であり、より好ましくは４００～６５０％である。清掃体ＣＴの樹脂層の破断伸び率が、かかる範囲にあることで清掃対象表面の形状を追従することができ、汚染物質の捕集性能が高くなる。特にガイドピンが突設された光ファイバ用の光コネクタの接続端面に用いた場合には、ガイドピンの形状を追従することが可能となり、ガイドピン及び光コネクタ接続端面の清掃効果が著しくできる。

　清掃体ＣＴの樹脂層の引張強度は、ＪＩＳ　Ｋ７３１２：１９９６「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム－引張特性の求め方」に記載の、ダンベル試験片を用いた測定方法で測定される。ダンベル試験片形状は、ダンベル状３号形試験片とする。測定は、材料試験機を用いて行う。材料試験機のクロスヘッド速度は、１００ｍｍ／ｍｉｎとする。引張強度、破断伸び及び破断伸び率は、同時に測定することができる。

＜＜引裂強度＞＞
　清掃体ＣＴの樹脂層の引裂強度は、好ましくは３Ｎ～３０Ｎであり、より好ましくは５Ｎ～１６Ｎである。清掃体ＣＴの樹脂層の引裂強度が、かかる範囲にあることで清掃対象表面の形状を追従することができ、汚染物質の捕集性能が高くなる。特にガイドピンが突設された光ファイバ用の光コネクタの接続端面に用いた場合には、ガイドピンの形状を追従することが可能となり、ガイドピン及び光コネクタ接続端面の清掃効果が著しくできる。

　清掃体ＣＴの樹脂層の引裂強度は、ＪＩＳ　Ｋ７３１２：１９９６「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム－引裂強さの求め方」に記載の、アングル形試験片を用いた測定方法で測定される。測定は、材料試験機を用いて行う。材料試験機のクロスヘッド速度は、１００ｍｍ／ｍｉｎとする。

＜＜ヒステリシスロス＞＞
　清掃体ＣＴの樹脂層のヒステリシスロスは、好ましくは３～６０％以下であり、より好ましくは５～５０％である。清掃体ＣＴの樹脂層のヒステリシスロスが、かかる範囲にあることで清掃対象表面の形状を追従することができ、汚染物質の捕集性能が高くなる。特にガイドピンが突設された光ファイバ用の光コネクタの接続端面に用いた場合には、ガイドピンの形状を追従することが可能となり、ガイドピン及び光コネクタ接続端面の清掃効果が著しくできる。

　清掃体ＣＴのヒステリシスロスは、ＪＩＳ　Ｋ７３１２：１９９６「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に記載の方法で測定される。測定は、材料試験機を用いた引張ヒステリシス試験により行う。試験片形状は、ダンベル状３号形試験片とする。材料試験機のクロスヘッド速度を１０００ｍｍ／ｍｉｎとし、引張・圧縮を３０サイクル繰り返した後のヒステリシスロスを測定する。

　清掃体ＣＴの樹脂層がこのような特性を有する場合、清掃体ＣＴが清掃対象表面の形状を追従することができ、特にガイドピンが突設された光ファイバ用の光コネクタの接続端面に用いた場合には、ガイドピンの形状を追従することが可能となり、ガイドピン及び光コネクタ接続端面への清掃効果が著しく高い。また、一度清掃体ＣＴに捕集された汚染体が、再度清掃対象表面に付着する再付着も起こらないため、清掃効果を著しく向上させることが可能である。

＜＜＜樹脂層の材質＞＞＞
＜＜ポリウレタン樹脂＞＞
　ポリウレタン樹脂は、ポリオールと、ポリイソシアネートとを有するポリウレタン樹脂組成物から形成され、その組成中に、その他の成分を含んでいてもよい。

＜ポリオール＞
　ポリオールの、１分子の構造内に含まれる水酸基数（以降、官能基数とする場合がある）は、好ましくは２～５であり、より好ましくは２～３である。ポリオールの水酸基数が、かかる範囲にある場合には、伸びが良く、破断し難い、形状追従性の高いポリウレタン樹脂物とすることができる。ポリオールとして複数種類のポリオールを含む場合は、各ポリオールの割合と各ポリオールの水酸基数とを乗じた値を算出し、それらの値を加算することで、ポリオールの水酸基数を計算することができる。

　ポリオールの数平均分子量は、好ましくは１００～６０００である。ポリオールの数平均分子量がかかる範囲にある場合には、伸びが良く、破断し難い、形状追従性の高いポリウレタン樹脂物とすることができる。

　具体的なポリオールとしては、特に限定されないが、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリジエン系ポリオール、水添ポリジエンポリオール、及び、これらのポリマーポリオール等が挙げられる。ポリオールは、単独で用いてもよく、２種以上を用いてもよい。

　ポリエステルポリオールとしては、ポリオールとポリカルボン酸を脱水縮合反応して得られるポリエステルポリオールや、ε－カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。

　ポリエステルポリオールを形成するポリオールは、特に限定されない。ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、１，３－プロピレングリコール、１，２－プロピレングリコール、１，３－ブタンジオール、１，４－ブタンジオール、１，５－ペンタンジオール、１，６－ヘキサンジオール、３－メチル－１，５－ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、１，８－オクタンジオール、１，９－ノナンジオール、１，４－テトラコサンジオール、１，６－テトラコサンジオール、１，４－ヘキサコサンジオール、１，６－オクタコサンジオールグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール；１，２－シクロヘキサンジオール、１，４－シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール，トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、２，５－ノルボルナンジオール、１，３－アダマンタンジオール、ダイマージオール等の脂環族ポリオール；ビスフェノールＡ、ビスフェノールＦ、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の芳香族ポリオール；等を挙げることができる。これらは１つ又は複数を組み合せて用いることができる。

　ポリエステルポリオールを形成するポリカルボン酸は、その分子構造中にカルボキシル基を複数有する物であれば特に限定されない。ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ポリカルボン酸；フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸；ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ポリカルボン酸；又はこれらの酸エステル；等を挙げることができる。これらは、１つ又は複数を組み合せて用いることができる。

　ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、１，２－プロピレングリコール、１，３－プロピレングリコール、１，３－ブタンジオール、１，４－ブタンジオール、１，５－ペンタンジオール、１，６－ヘキサンジオール、３－メチル－１，５－ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、１，８－オクタンジオール、１，９－ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールと、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等と、を反応させて得られるものが挙げられる。

　ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルを重合させて得られる、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。

　ポリエステルエーテルポリオールとしては、ポリカルボン酸と、ジエチレングリコール、又はプロピレンオキシド付加物等のグリコール等とを脱水縮合反応で得られるもの等が挙げられる。

　ポリエステルエーテルポリオールを形成するポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ポリカルボン酸；フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸；ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ポリカルボン酸；又はこれらの酸エステル；を挙げることができる。これらは、１つ又は複数を組み合せて用いることができる。

　ポリマーポリオールは、ポリオール中でエチレン性不飽和モノマーを重合させることにより得られる。

　エチレン性不飽和モノマーとしては、
　アクリル系モノマー、例えば、（メタ）アクリロニトリル、メチルメタクリレート等のアルキル（メタ）アクリレート（アルキル部分は、炭素数１～２０、又は、それ以上であってもよい）；
　炭化水素系モノマー、例えば、スチレン等の芳香族不飽和炭化水素、α－オレフィン、ブタジエン等の脂肪族不飽和炭化水素（炭素数２～２０又はそれ以上の炭素数のアルケン、アルカジエン等）；
　並びにこれらの２種以上の併用［例えばアクリロニトリル／スチレンの併用（重量比１００／０～８０／２０）］；
が挙げられる。

　これらポリオールのうち、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオールをポリオールとして含むことが好ましく、これらのうち二つ以上をポリオールとして含むことがより好ましい。これらのポリオールを用いた場合には、伸びが良く、破断し難い、形状追従性の高いポリウレタン樹脂物を得ることができる。

＜ポリイソシアネート＞
　具体的なポリイソシアネートとしては特に限定されず、２官能のポリイソシアネートであっても３官能以上のポリイソシアネートであってもよい。

　２官能のポリイソシアネートとしては、
　２，４－トルエンジイソシアネート（２，４－ＴＤＩ）、２，６－トルエンジイソシアネート（２，６－ＴＤＩ）、ｍ－フェニレンジイソシネート、ｐ－フェニレンジイソシアネート、４，４'－ジフェニルメタンジイソシアネート（４，４'－ＭＤＩ）、２，４'－ジフェニルメタンジアネート（２，４'－ＭＤＩ）、２，２'－ジフェニルメタンジイソシアネート（２，２'－ＭＤＩ）、水素添加ＭＤＩ、モノメリックジフェニルメタンジイソシアネート（モノメリックＭＤＩ）、キシリレンジイソシアネート、３，３'－ジメチル－４，４'－ビフェニレンジイソネート、３，３'－ジメトキシ－４，４'－ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、１，５－ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート（ＸＤＩ）、水素添加ＸＤＩ、テトラメチルキシレンジイソシアネート（ＴＭＸＤＩ）、等の芳香族系のもの；
　シクロヘキサン－１，４－ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン－４，４'－ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族のもの；ブタン－１，４－ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のアルキレン系のもの；
等が挙げられる。

　３官能以上のポリイソシアネートとしては、
　１－メチルベンゾール－２，４，６－トリイソシアネート、１，３，５－トリメチルベンゾール－２，４，６－トリイソシアネート、ビフェニル－２，４，４'－トリイソシアネート、ジフェニルメタン－２，４，４'－トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン－４，６，４'－トリイソシアネート、４，４'－ジメチルジフェニルメタン－２，２'，５，５'テトライソシアネート、トリフェニルメタン－４，４'，４"－トリイソシアネート、ポリメリックＭＤＩ、リジンエステルトリイソシアネート、１，３，６－ヘキサメチレントリイソシアネート、１，６，１１－ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、１，８－ジイソシアナトメチルオクタン等；
が挙げられる。

　ポリイソシアネートは、これらのポリイソシアネートの変性体や誘導体であってもよい。また、イソシアネートは、１つ又は複数を組み合せて用いることができる。

　ポリイソシアネートは、芳香族系及び脂肪族のものを含むことが好ましく、芳香族系のものを含むことがより好ましい。ポリイソシアネートは、４，４'－ジフェニルメタンジイソシアネート（４，４'－ＭＤＩ）、２，４'－ジフェニルメタンジアネート（２，４'－ＭＤＩ）、２，２'－ジフェニルメタンジイソシアネート（２，２'－ＭＤＩ）、水素添加ＭＤＩ、モノメリックジフェニルメタンジイソシアネート（モノメリックＭＤＩ）、ヘキサメチレンジイソシアネートを含むことが特に好ましい。

　ポリイソシアネートのＮＣＯ％は、好ましくは１０～７０であり、より好ましくは２０～６０であり、特に好ましくは３０～５５である。

　ポリイソシアネートのＮＣＯ％が、かかる範囲にある場合には、伸びが良く、破断し難い、形状追従性の高いポリウレタン樹脂物を得ることができる。

　このような成分を含むポリウレタン樹脂組成物をシート状等に成形したのち、光や熱などにより硬化させて、樹脂層を製造することができる。

＜＜＜＜清掃具１０の別の形態＞＞＞＞
　次に、本発明の光コネクタ用清掃具の特に適する構成部材について詳述する。ここで説明された事項は、矛盾の生じない範囲で、本発明に係る全ての実施の形態に対して適用することが可能である。

　清掃体ＣＴと接触し得る部材（例えば、清掃体案内部１８０、清掃ヘッド保持体４１０、保持アダプタ４５０など）は、フィラーを含有することが好ましい。一部の部材がフィラーを含有してもよいし、全ての部材がフィラーを含有してもよい。また、各部材は、一部の領域のみフィラーを含むように形成されてもよいし、部材全体がフィラーを含むように形成されてもよい。

　清掃体ＣＴと接触し得る部材がフィラーを含有することで、当該部材の清掃体ＣＴと接触し得る箇所（清掃体ＣＴと接触し得る面）に、フィラーが表出することにより凹凸が形成される、乃至は、部材の肉厚部に埋設されたフィラーに沿った凹凸が形成される。この凹凸によって、清掃体ＣＴと部材との密着が防止され、清掃体ＣＴを滑らかに繰り出すことができる。

　なお、このようなフィラーを各部材に含有させる方法としては特に限定されず、（１）部材を製造する際に予めフィラーを練り込んでおく方法、（２）熱や溶剤等により部材表面の粘度を下げた状態で、部材表面にフィラーを埋設させる方法、（３）フィラーを含む接着剤や樹脂材料を部材表面に塗布する方法、等が挙げられる。

　フィラーの材質としては、特に限定されず、樹脂フィラーや無機フィラーを使用することができる。部材成型用の材料がマイナスに帯電しやすいところ、相対的にプラスに帯電しやすいフィラーを導入した場合、部材の帯電を防止し、清掃体ＣＴと部材との密着が防止され、清掃体ＣＴを滑らかに繰り出すことができる。このような観点としては、フィラーは、ＰＯＭフィラー、ＰＰフィラー、ＰＥＴフィラー、アクリル樹脂フィラー、ガラスフィラーであることが好ましく、ガラスフィラーであることがより好ましい。フィラーは、１種単独で用いてもよく、２種以上を用いてもよい。

　このようなフィラーの粒径は特に限定されないが、例えば、０．１～１０００μｍ、好ましくは１～１００μｍとすることができる。

　また、清掃体ＣＴと接触し得る部材は、清掃体ＣＴと接触し得る箇所を粗面化してもよいし、構成部材そのものによって凹凸を施してもよい。これにより、清掃体ＣＴと部材との密着が防止され、清掃体ＣＴを滑らかに繰り出すことができる。

＜＜＜＜本実施の形態の範囲＞＞＞＞
　上述したように、本発明は、本実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記載及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきでない。このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことはもちろんである。

　特に、本実施の形態によって記載された所定の清掃具は、使用済みの清掃体ＣＴを交換可能とする形態、および、使用済みの清掃体ＣＴを交換不可能とする形態（使い捨ての形態）のいずれも含むものである。使用済みの清掃体ＣＴを交換可能とする形態において、清掃体ＣＴの交換方法は、従来公知の方法を採用可能であり、例えば、供給リールおよび／または巻取リールごと、使用済みの清掃体ＣＴを交換可能としてもよい。

　また、このような観点によれば、本発明を、所定の機構を有する所定の光コネクタ用清掃具で使用されるのに適した所定の清掃体ＣＴと解することが可能である。特に、所定の機構を有する所定の光コネクタ用清掃具が清掃体ＣＴを交換可能である場合、交換用の清掃体ＣＴも本発明に含まれるものと解することが可能である。

　また、別の観点によれば、本発明を、所定の清掃体ＣＴを使用するのに適した所定の光コネクタ用清掃具とすることも可能である。

　次に、本発明に係る清掃具１０の構成材料として好ましく使用される清掃体ＣＴの具体例を、実施例および参考例により詳細に説明する。なお、本発明はこの実施例には何ら限定されない。

＜＜＜＜清掃体ＣＴの製造＞＞＞＞
　以下のようにして、実施例１～８、および、参考例１～３に係る清掃体ＣＴを得た。

＜＜＜実施例１＞＞＞
　数平均分子量１５００のエステル系ジオール１０質量％と、数平均分子量２０００のエーテル系ジオール８０質量％と、数平均分子量１５００のエーテル系トリオール質量１０％と、を合わせた混合物を調整し主剤とした。
　モノメリックジフェニルメタンジイソシアネートカルボジイミド変性イソシアネートと、数平均分子量３０００のエーテル系のトリオールと、数平均分子量５００のエステル系ジオールと、の混合物を８０℃で２時間反応させ、ＮＣＯ約１８．９％のプレポリマーを硬化剤とした。
　硬化剤を容器に移し、主剤のポリオールが有する水酸基と、硬化剤のポリイソシアネートが有するイソシアネート基を当量比１．２（イソシアネート基の当量／水酸基の当量）となるように主剤を秤取り、撹拌しながら硬化剤に滴下した。
　滴下完了後触媒（ジブチルチンジラウレート　０．３ｇ）を添加し、十分に混合した後、真空下で脱泡したものを、実施例１に係る混合液とした。

＜＜清掃性能評価用の清掃体ＣＴ＞＞
　次に、清掃性能評価用の清掃体ＣＴを以下のように製造した。
　得られた混合液を、離型処理を施した厚み２５μｍのＰＥＴフィルム（東レフィルム加工；セラピールＢＫＥ-ＲＸ）の非離型面上に流し、アプリケーター（フィルムアプリケーターＮｏ．３５０ＦＡ；コーティングテスター工業）を用いて３５０μｍの膜厚のフィルム状物とした。
　フィルム状物を乾燥炉にて１００℃で６０分間加熱し、ウレタン化反応を起こし、硬化を完了させた。

　以上のようにして、３５０μｍの厚さのシート状物である清掃体ＣＴを得た。なお、ＰＥＴフィルムは、清掃体ＣＴの基材としてそのまま用いた。

＜＜樹脂層の物性評価用の清掃体ＣＴ（物性評価用サンプル）＞＞
　また、樹脂層の物性評価用の清掃体ＣＴ（物性評価用サンプル）を以下のように製造した。
　得られた混合液を、離型処理を施した厚み２５μｍのＰＥＴフィルム（東レフィルム加工；セラピールＢＫＥ-ＲＸ）の離型面上に流し、アプリケーター（フィルムアプリケーターＮｏ．３５０ＦＡ；コーティングテスター工業）を用いて３５０μｍの膜厚のフィルム状物とした。
　フィルム状物を乾燥炉にて１００℃で６０分間加熱し、ウレタン化反応を起こし、硬化を完了させた。

＜＜＜実施例２～８、参考例１～３＞＞＞
　表１、２に記載の各種条件にて実施例１と同様に、実施例２～８、及び、参考例１～３に係る清掃体ＣＴ、清掃体CTの樹脂層を得た。

　なお、各実施例および参考例で使用した、主剤および硬化剤の組み合わせは以下の通りである。

＜＜＜＜評価＞＞＞＞
　得られた各実施例及び参考例の清掃体ＣＴについて、以下の評価試験を実施した。各評価結果を表２に示す。

＜＜＜樹脂層の物性評価＞＞＞
＜＜アスカーＣ硬度＞＞
　アスカーＣ硬度を、ＪＩＳ　Ｋ７３１２：１９９６「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に記載の方法に準じて測定した。
（試験片の作製）
　アルミカップの容器内に各混合液を入れ、１０ｍｍ厚さの樹脂層が得られるように調整し、１００℃６０分間で硬化させた後、２５℃、５０％ＲＨの環境下で２４時間保存した、測定サンプルを作製した。
（測定条件）
　測定は、高分子計器株式会社製アスカーゴム硬度計Ｃ型を用いて行った。

＜＜引張強度等の引張特性＞＞
＜引張強度、破断伸び、破断伸び率＞
　引張強度、破断伸び、破断伸び率を、ＪＩＳ　Ｋ７３１２：１９９６「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に記載の、ダンベル試験片を用いた測定方法に準じて測定した。
（試験片の作製）
　各清掃体ＣＴの樹脂層（厚み３５０μｍのシート）を、ダンベル状３号形試験片形状に成形し、ダンベル試験片を作製した。
（測定条件）
　測定は、島津製作所製材料試験機ＡＧＳ－Ｘ（ロードセル：５ｋＮ）を用いて、基材から樹脂層を剥離、分離し、樹脂層単層での測定を行った。
　材料試験機のクロスヘッド速度を１００ｍｍ／ｍｉｎとし、サンプルが破断した際の荷重とクロスヘッドの変位量から、引張強度、破断伸び及び破断伸び率を測定した。

＜引裂強度＞
　引裂強度を、ＪＩＳ　Ｋ７３１２：１９９６「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に記載の、アングル形試験片を用いた測定方法に準じて測定した。
（試験片の作製）
　各清掃体ＣＴの樹脂層（厚み３５０μｍのシート）を、アングル形試験片形状に成形し、アングル型試験片を作製した。
（測定条件）
　測定は、島津製作所製材料試験機ＡＧＳ－Ｘ（ロードセル：５ｋＮ）を用いて、基材から樹脂層を剥離、分離した樹脂層単層での測定を行った。
　材料試験機のクロスヘッド速度は、１００ｍｍ／ｍｉｎとして測定を行った。

＜＜ヒステリシスロス＞＞
　ヒステリシスロスは、ＪＩＳ　Ｋ７３１２：１９９６「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に記載のダンベル試験片を用いた測定方法に準じて測定した。
（試験片の作製）
　各清掃体ＣＴの樹脂層（厚み３５０μｍのシート）を、ダンベル状３号形試験片形状に成形し、ダンベル試験片を作製した。
（測定条件）
　測定は、島津製作所製材料試験機ＡＧＳ－Ｘ（ロードセル：５ｋＮ）を用いて、基材から樹脂層を剥離、分離した樹脂層単層での測定を行った。
　材料試験機のクロスヘッド速度を１０００ｍｍ／ｍｉｎとして、引張・圧縮を３０サイクル繰り返した後のヒステリシス損失を測定した。クロスヘッドの変位量と荷重を測定し、サイクル試験後の荷重と変位量曲線から測定した。

＜＜＜清掃性能評価＞＞＞
＜＜ピン転写性、ゴミ除去性の評価＞＞
　ピン転写性及びゴミ除去性の評価を下記の方法で行った。
　評価には、（株）扇港産業社製のＭＰＯジャンパーコード、両端１２ＭＰＯ付、ＯＭ３コード型、全長１ｍ、フラット研磨又は、ＡＰＣ８度研磨、オス‐メスを用い、予め接続点面に、紙粉やＡＣダストＦＩＮＥを付着させて評価用コネクタとした。
　コネクタの接続端面を、各清掃体ＣＴの表面に当接させたのち、コネクタの接続端面のガイドピン及び表面を観察し、ピンへのゴミ転写汚染の有無、コネクタの接続端面のゴミ除去性を確認した。
　観察は、キーエンス社製マイクロスコープ（型式ＶＨＸ－５００Ｆ）にて任意の倍率で行った。またＳｕｍｉｘ社製のＭａｎｔａ＋を用いて測定した。
　ピン転写性及びゴミ除去性の判定は、以下のように行った。
◎：ガイドピン及びコネクタ接続端面のゴミが完全に除去された。
○：接続端面上には一部ゴミが残っていたが、ファイバ上のゴミは除去され、接続自体には問題が生じなかった。
×：ゴミが完全に除去されなかった。

＜＜光ファイバ部転写性評価＞＞
　得られた各実施例及び参考例の汚染物質捕集体について、ファイバ部転写性の評価を下記の方法で行った。
　評価には、（株）扇港産業社製のＭＰＯジャンパーコード、両端１２ＭＰＯ付、ＯＭ３コード型、全長1ｍ、フラット研磨又は、ＡＰＣ8度研磨、オス－メスを用い、予め接続点面に、紙粉やＡＣダストＦＩＮＥを付着させて評価用コネクタとした。
　コネクタの接続端面（光ファイバ部を含む）を、各汚染物質捕集体に表面に当接させたのち、コネクタの接続端面の光ファイバ部の表面を観察し、異物と転写物の有無を確認した。
　観察は、Ｓｕｍｉｘ社製のＭａｎｔａ＋を用いてコネクタの光ファイバの観察を行った。
　光ファイバ部の転写性の判定は、以下のように行った。
◎：光ファイバ部のゴミが完全に除去された。
○：接続端面上には一部ゴミが残っていたが、ファイバ上のゴミは除去され、接続自体には問題が生じなかった。
×：ゴミが完全に除去されなかった。

　また、各実施例に係る清掃体ＣＴを実際に清掃具１０に組み込んで使用したところ、清掃具の動作を阻害することなく、光コネクタの端面の汚染体を容易に捕集可能であることが確かめられた。

＜＜＜＜＜別の実施の形態＞＞＞＞＞
＜＜第１０の実施の態様＞＞
　第１０の実施の態様によれば、
　操作者による操作によって回転可能であり、回転の範囲を制限する制限部（例えば、後述する凹部５２０や突出部５９０など）を有する操作体（例えば、後述する巻取操作レバー５００－１など）と、
　光コネクタを清掃するための清掃体が案内される清掃ヘッドを有する本体であって、前記操作体を操作可能に延出させる開口部（例えば、後述する巻取操作レバー用開口部１７０など）を画定する壁部を有し、前記開口部は、互いに向かい合う第１開口端部（例えば、後述する上端部１７３など）と第２開口端部（例えば、後述する係合端部１７４など）とを有する、本体（例えば、後述する収納部１６０など）と、
　前記清掃ヘッドを経た前記清掃体を前記操作体の変位によって牽引する牽引体（例えば、後述する巻取リール３００など）と、を備え、
　前記制限部は、前記開口部よりも突出する突出部（例えば、後述する突出部５９０など）を有し、
　前記操作体の回転により前記突出部が前記第１開口端部と係合することで前記操作体を係止する（例えば、図１４の状態など）。

　突出部が第１開口端部と係合することで操作体を係止するので、操作体を一定の位置に位置付けることができ、清掃体の変位の量を一定にすることができる。操作体の１回の操作による操作体の移動量を一定にできるので、確実に清掃体を変位させることができる。

　また、操作体の移動量を一定にできるので、操作者の技量によることなく、常に一定の量の清掃体を変位させることができる。操作者が不用意に力を加えないようして破損を防止することができる。

　さらに、操作体に制限部を設けた操作体に交換すればよいので、本体を変更したり加工したりする必要がなく、安価に変更することができる。

＜＜第１１の実施の態様＞＞
　第１１の実施の態様は、第１０の実施の態様において、
　前記制限部は、前記突出部とは異なる位置に、凹部（例えば、後述する凹部５２０など）を画定する壁部を有し、
　前記操作体の回転により前記凹部が前記第２開口端部と係合することで前記操作体を係止する（例えば、図１３の状態など）。

　凹部を第２開口端部に係合させた状態と、突出部を第１開口端部と係合させた状態との間で、操作体を回転させることができるので、常に操作体の移動量を一定にできる。

＜＜第１２の実施の態様＞＞
　第１２の実施の態様は、第１１の実施の態様において、
　前記操作体は、第１の方向に付勢する付勢力発生部（例えば、コイルバネ５８０など）を有し、
　前記操作体が前記第１の方向（図１３や図１４の反時計回りなど）に変位したときに、前記凹部が前記第２開口端部と係合し、
　前記操作体が前記第１の方向とは異なる第２の方向（図１３や図１４の時計回りなど）に変位したときに、前記突出部が前記第１開口端部と係合する。

　凹部を第２開口端部に係合させた状態と、突出部を第１開口端部と係合させた状態との間で、操作体を回転させることができるので、常に操作体の移動量を一定にでき、操作者の技量によることなく、清掃体の変位の量を一定にすることができる。

　図１２は、別の実施の形態による巻取操作レバー５００－１の概略を示す斜視図である。図１３は、巻取操作レバー５００－１が第１の回転角度に位置するときの状態を示す概略図である。図１４は、巻取操作レバー５００－１が第２の回転角度に位置するときの状態を示す概略図である。

＜＜＜巻取操作レバー５００－１の構成＞＞＞
　図１２～図１４に示すように、別の実施の形態による清掃具１０は、本実施の形態の巻取操作レバー５００の代わりに巻取操作レバー５００－１を有する。巻取操作レバー５００－１は、突出部５９０を有する。巻取操作レバー５００－１は、突出部５９０を除いて本質的に巻取操作レバー５００と同様の構成を有する。巻取操作レバー５００と同様の構成に対して、同じ符号を付して示した。巻取操作レバー５００－１は、略Ｕ字柱状の形状を有する。

　巻取操作レバー５００と同様に、光コネクタのフェルールＦＥの端面ＥＳを清掃する操作者が、巻取操作レバー５００－１を操作することで清掃体ＣＴを移動させることができる。清掃体ＣＴを移動させることによって、清掃体ＣＴの清浄な領域を清掃ヘッド部４１２に案内することができ、清掃体ＣＴの清浄な領域をフェルールＦＥの端面ＥＳに押圧して、塵埃などの汚れを除去することができる。

＜＜＜突出部５９０＞＞＞
　突出部５９０は、巻取操作レバー用開口部１７０から延在し、清掃具１０の前方に向かって突出する。言い換えれば、突出部５９０は、回転中心Ｏ２である揺動用突出ピン５４４から離れる方向に突出する。

　突出部５９０は、外周面５１０ａと外周面５１０ｂとが交わる部分に設けられている。突出部５９０は、延出面５９２ａと突出面５９２ｂと係止面５９２ｃとを有する。

＜延出面５９２ａ＞
　延出面５９２ａは、外周面５１０ａから前方に延出して延在する面である。より詳細には、延出面５９２ａは、外周面５１０ａと面一になる方向に、かつ、揺動用突出ピン５４４から離れる方向に延出する。

＜突出面５９２ｂ＞
　突出面５９２ｂは、延出面５９２ａと接続して形成される。突出面５９２ｂは、外周面５１０ｂから突出し外周面５１０ｂから離隔した位置に形成される。突出面５９２ｂは、外周面５１０ｂと略平行に形成される。

＜係止面５９２ｃ＞
　係止面５９２は、突出面５９２ｂと外周面５１０ｂとに接続する。係止面５９２は、外周面５１０ｂから離れる方向に突設されている。

＜＜＜巻取操作レバー５００－１の動作＞＞＞
　巻取操作レバー５００－１は、巻取操作レバー５００と同様に、揺動用突出ピン５４４を回転中心Ｏ２にして回転（揺動）することができる。

＜上限位置＞
　巻取操作レバー５００－１の外周面５１０ｃは、凹部５２０を有する。図１３に示すように、凹部５２０には、巻取操作レバー用開口部１７０の係合端部１７４が進入して当接することができる。凹部５２０に係合端部１７４が当接することで、巻取操作レバー５００－１の上限位置（第１の回転角度）を定めることができる。

　巻取操作レバー５００と同様に、巻取操作レバー５００－１は、コイルバネ５８０によって付勢力が加えられる。操作者が巻取操作レバー５００－１から力を緩めたときには、コイルバネ５８０の付勢力によって巻取操作レバー５００－１は反時計回り（第１の方向）に回転し、巻取操作レバー５００－１は上限位置（第１）まで戻る。前述したように、凹部５２０に係合端部１７４を当接させることで、上限位置を一定の位置にすることができ、上限位置を基準位置にすることができる。

＜下限位置＞
　前述したように、巻取操作レバー５００－１の外周面５１０ａと外周面５１０ｂとが交わる部分に突出部５９０が設けられている。突出部５９０は、巻取操作レバー用開口部１７０から突出している。図１４に示すように、突出部５９０の係止面５９２ｃは、左ハウジング１１０Ｌに形成されている開口壁部１７２の上端部１７３と係合することができる。突出部５９０が上端部１７３と係合することで巻取操作レバー５００－１の下限位置（第２の回転角度）を定めることができる。

　操作者が、コイルバネ５８０の付勢力に逆らって巻取操作レバー５００－１に力を加えたときには、操作者が加えた力によって巻取操作レバー５００－１は時計回り（第２の方向）に回転し、巻取操作レバー５００－１は下限位置まで移動することができる。突出部５９０の係止面５９２ｃを上端部１７３と係合させることで、巻取操作レバー５００－１を下限位置に位置付けることができる。上端部１７３を下限位置にすることで、巻取操作レバー５００－１を一定の位置に位置付けることができる。

＜上限位置（第１の回転角度）と下限位置（第２の回転角度）との間で回転＞
　巻取操作レバー５００－１に凹部５２０及び突出部５９０を設けたことにより、操作者の巻取操作レバー５００－１の操作によって、上限位置（第１の回転角度）と下限位置（第２の回転角度）との間で回転（揺動）させることができる。凹部５２０や突出部５９０との係合により操作者に力を加える程度を伝えることができ、操作者の熟練度によることなく、巻取操作レバー５００－１を一定の範囲で回転（揺動）させることができる。

　巻取操作レバー５００と同様に、巻取操作レバー５００－１のラック部５６４の傾斜大歯面と、巻取リール３００のラチェット歯車３２２の傾斜大歯面とによって、ラック・アンド・ピニオン機構が構成される。操作者によって巻取操作レバー５００－１が収納部１６０に押し込まれることで（図８及び図９の矢印Ａ２参照）、ラック・アンド・ピニオン機構によって、巻取リール３００に力が伝達されて、巻取リール３００が回転する。巻取リール３００が回転することで、清掃体ＣＴが牽引されて（図９の矢印ＰＡ１参照）巻取リール３００に巻回される。清掃体ＣＴが牽引されることで、供給リール２００から清掃体ＣＴが新たに送り出され、清掃体ＣＴの清浄な樹脂層ＲＬが清掃ヘッド保持体４１０の清掃ヘッド部４１２に供給される（図７（ａ）の矢印ＰＡ３参照）。

＜＜＜＜別の実施の形態の範囲＞＞＞＞
　上述したように、本発明を別の実施の形態としても記載したが、この開示の一部をなす記載及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきでない。このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含む。

　１０　清掃具
　１００　ハウジング
　１５６　清掃体案内板
　１６０　収納部
　１７０　巻取操作レバー用開口部
　１７３　上端部
　１７４　係合端部
　２００　供給リール
　３００　巻取リール
　３２２　ラチェット歯車
　４１０　清掃ヘッド保持体
　４１２　清掃ヘッド部
　５００　巻取操作レバー
　５００－１　巻取操作レバー
　５２０　凹部
　５９０　突出部
　５４０　第１の端部
　５５０　第２の端部
　５８０　コイルバネ
　ＣＴ　清掃体

Claims

　光コネクタの端面を清掃するための清掃体が保持される本体と、
　清掃体が送り出し可能に巻回された供給リールと、
　前記供給リールから送り出された清掃体が案内される清掃ヘッドと、
　前記清掃ヘッドを経た清掃体を巻回する巻取りリールと、
　操作者による操作によって揺動可能な操作体と、
　前記操作体と係合することで前記操作体の動作が伝達されて、前記巻取りリールを回転させる回転係合体と、を備え、
　前記操作体の揺動による円弧と、前記回転係合体の回転による円弧とが内接して、前記操作体と前記回転係合体とが係合する光コネクタ用清掃具。
　前記操作体は、第１の端部と前記第１の端部と向かい合う第２の端部とを有し、
　前記操作体は、前記第１の端部を中心にして揺動可能であり、
　前記操作体は、前記第２の端部に伸縮可能な弾性体が設けられた請求項１に記載の光コネクタ用清掃具。
　前記回転係合体の回転によって形成される外周の直径が、前記巻取りリールの直径と同じである請求項１に記載の光コネクタ用清掃具。
　前記本体は、前記操作体を操作可能に突出させる開口部を有し、
　前記操作体は、前記開口部の端部と向かい合う凹部を有し、
　前記開口部の端部が前記凹部に収容された状態が、前記操作体の基準位置であり、
　操作者によって前記操作体が操作されたときに、前記凹部の少なくとも一部が、前記開口部の端部によって覆われる請求項１に記載の光コネクタ用清掃具。
　前記供給リールから送り出され前記清掃ヘッドに至る清掃体を案内する案内体を更に備える請求項１に記載の光コネクタ用清掃具。
　前記案内体は、前記清掃体と向かい合う面に少なくとも１つの貫通孔を有する、請求項５に記載の光コネクタ用清掃具。
　前記案内体は、フィラーを含む、請求項５に記載の光コネクタ用清掃具。
　前記巻取りリールは、間隙を有して互いに向かい合う２つのリール枠であって、巻き取った前記清掃体を前記間隙に保持する２つのリール枠を有する、請求項１に記載の光コネクタ用清掃具。
　前記清掃体は、ポリウレタン樹脂を含む樹脂層を有し、
　前記樹脂層は、引張強度が０．６～３０ＭＰａであり、アスカーＣ硬度が４０～９０であり、ヒステリシスロスが５～５３である、請求項１に記載の光コネクタ用清掃具。
　操作者による操作によって回転可能であり、回転の範囲を制限する制限部を有する操作体と、
　光コネクタを清掃するための清掃体が案内される清掃ヘッドを有する本体であって、前記操作体を操作可能に延出させる開口部を画定する壁部を有し、前記開口部は、互いに向かい合う第１開口端部と第２開口端部とを有する、本体と、
　前記清掃ヘッドを経た前記清掃体を前記操作体の変位によって牽引する牽引体と、を備え、
　前記制限部は、前記開口部よりも突出する突出部を有し、
　前記操作体の回転により前記突出部が前記第１開口端部と係合することで前記操作体を係止する光コネクタ用清掃具。
　前記制限部は、前記突出部とは異なる位置に、凹部を画定する壁部を有し、
　前記操作体の回転により前記凹部が前記第２開口端部と係合することで前記操作体を係止する請求項１０に記載の光コネクタ用清掃具。
　前記操作体は、第１の方向に付勢する付勢力発生部を有し、
　前記操作体が前記第１の方向に変位したときに、前記凹部が前記第２開口端部と係合し、
　前記操作体が前記第１の方向とは異なる第２の方向に変位したときに、前記突出部が前記第１開口端部と係合する請求項１１に記載の光コネクタ用清掃具。