WO2021024425A1

WO2021024425A1 - セメント焼成装置

Info

Publication number: WO2021024425A1
Application number: PCT/JP2019/031190
Authority: WO
Inventors: 山本　泰史
Original assignee: 太平洋エンジニアリング株式会社
Priority date: 2019-08-07
Filing date: 2019-08-07
Publication date: 2021-02-11

Abstract

【課題】セメント焼成装置の安定運転を維持しながら、可燃性廃棄物を効率よく燃焼させて有効利用すると共に、既設のセメント焼成装置を改造する際の工期を短縮する。【解決手段】上方へ延設された後垂下する３次空気ダクト６ａと、３次空気ダクトの垂下したダクトの下端部に上端部が接続される仮焼炉３と、仮焼炉の下端部と、セメントキルン５の窯尻５ａから最下段サイクロン２Ａに向かって立ち上がる立上りダクト４とを接続する接続ダクト３ａとを備え、３次空気ダクトに、最下段サイクロンの上段のサイクロン２Ｂからの原料Ｒ２及び可燃性廃棄物Ｗが供給され、原料等は、仮焼炉、接続ダクト及び立上りダクトを経てセメントキルンに導入され、３次空気ダクトを流れるガスＧ２は、仮焼炉、接続ダクト及び立上りダクトを経て最下段サイクロンへ導入され、セメントキルンの排ガスは、立上りダクトを経て最下段サイクロンへ導入されるセメント焼成装置１。

Description

セメント焼成装置

　本発明は、セメント焼成装置に関し、特に廃プラスチック等の可燃性廃棄物をセメント焼成装置で有効利用するための技術に関する。

　従来、廃プラスチック、廃タイヤ、もみがら、木屑、ＰＫＳ、ＲＤＦ、汚泥等の可燃性廃棄物をセメント焼成装置の仮焼炉等に投入して燃焼させて有効利用している。しかし、仮焼炉は微粉炭燃焼用に設計されているため、燃焼ガスの滞留時間が２～３秒と短く、これらの可燃性廃棄物を効率よく燃焼させるのは困難である。

　そこで、燃焼ガスの滞留時間を長くするため、ループダクトが用いられている。このループダクトは、既設の仮焼炉とプレヒータ最下段サイクロンの間に設置され、セメントキルン窯尻上部の空間に設置されるが、設置のための工期が２ヶ月以上必要となるため、セメントキルンの通常の休転期間に設置することができず実現困難である。

　一方、ＭＦＣ仮焼炉のようなセパレートタイプの仮焼炉を用いて廃プラスチック等の可燃性廃棄物を燃焼させると、炉底にコーチングが堆積し、運転に支障を来すという問題があった。

　そこで、本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであって、セメント焼成装置の安定運転を維持しながら、廃プラスチック等の可燃性廃棄物を効率よく燃焼させて有効利用することができると共に、既設のセメント焼成装置を改造する場合でも工期を大幅に短縮することのできるセメント焼成装置を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するため、本発明のセメント焼成装置は、上方へ延設された後垂下する３次空気ダクトと、該３次空気ダクトの垂下したダクトの下端部に上端部が接続される仮焼炉と、該仮焼炉の下端部と、セメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに向かって立ち上がる立上りダクトとを接続する接続ダクトとを備え、前記３次空気ダクトに、前記最下段サイクロンの上段に位置するサイクロンからの原料及び可燃性廃棄物が供給され、該原料及び可燃性廃棄物は、前記仮焼炉、前記接続ダクト及び前記立上りダクトを経て前記セメントキルンに導入され、前記３次空気ダクトを流れるガスは、前記仮焼炉、前記接続ダクト及び前記立上りダクトを経て前記最下段サイクロンへ導入され、前記セメントキルンの排ガスは、前記立上りダクトを経て前記最下段サイクロンへ導入されることを特徴とする。

　本発明によれば、３次空気ダクトをループ状に形成した後仮焼炉に接続することで、熱ガスの滞留時間を５～８秒と長くすることができ、廃プラスチック等の可燃性廃棄物を効率よく燃焼させて有効利用することができる。また、セメント焼成装置の運転中にループ状の３次空気ダクトと仮焼炉を設置し、休転中に既存のダクトと接続するだけで済むため、工期を大幅に短縮することができる。さらに、仮焼炉にコーチングが生成されても、セメントキルン内に落下するため、セメント焼成装置の安定運転を維持することができる。

　前記セメント焼成装置において、前記接続ダクトを水平面に対して４０度以上６０度以下傾斜した角ダクトとすることで、仮焼した原料をセメントキルンの排ガス中に分散させて最下段サイクロンへ導入することができる。

　以上のように、本発明によれば、セメント焼成装置の安定運転を維持しながら、廃プラスチック等の可燃性廃棄物を効率よく燃焼させて有効利用することができると共に、既設のセメント焼成装置を改造する場合でも工期を大幅に短縮することができる。

本発明に係るセメント焼成装置の一実施の形態を示す概略図であって、（ａ）は全体構成図、（ｂ）はセメントキルンの窯尻、仮焼炉及び最下段サイクロンを示す側面図である。

　図１は、本発明に係るセメント焼成装置の一実施の形態を示し、このセメント焼成装置１は、セメント原料（以下「原料」という。）Ｒ１を予熱するプレヒータ２と、クリンカクーラ６からから延設され、下から２段目のサイクロン２Ｂからの原料Ｒ２（全量又は一部でもよい）及び可燃性廃棄物Ｗが供給される３次空気ダクト６ａと、３次空気ダクト６ａに供給された原料Ｒ２を仮焼すると共に、可燃性廃棄物Ｗを燃焼させる仮焼炉３と、プレヒータ２の最下段サイクロン２Ａからの原料Ｒ３を主バーナー７から吹き込まれた燃料Ｆ１によって焼成するセメントキルン５と、セメントキルン５で焼成されたセメントクリンカを冷却するクリンカクーラ６等で構成される。

　プレヒータ２は、４段のサイクロン２Ａ～２Ｄからなり、図１（ｂ）に示すように、セメントキルン５の窯尻５ａから最下段サイクロン２Ａに向かって立ち上がる立上りダクト４において、セメントキルン５の排ガスＧ１と、仮焼炉３からの排ガスＧ３とが合流し、排ガスＧ４として最下段サイクロン２Ａに導入される。

　クリンカクーラ６の３次空気ダクト６ａは、クリンカクーラ６の天井部から立ち上がり、水平方向に延設された後、一旦斜め下方に向かい、上方に折り返した後垂下してループ状に形成され、最終的に仮焼炉３の上端部に接続される。仮焼炉３に向かって斜め上方に延設されたダクトの下部に、サイクロン２Ｂからの原料Ｒ２及び可燃性廃棄物Ｗが供給される。尚、３次空気ダクト６ａの全体的な形状は図示例に限定されず、仮焼炉３に隣接する部分がループ状に形成され、最終的に仮焼炉３の上端部に接続されればよい。

　仮焼炉３は、上述のように上端部が３次空気ダクト６ａに接続され、下端部が接続ダクト３ａによって立上りダクト４に接続される。仮焼炉３には微粉炭、重油等を燃料とするバーナー（不図示）が設けられる。

　仮焼炉３の下端部と立上りダクト４を接続する接続ダクト３ａは、水平面に対して４０度以上６０度以下傾斜した角ダクトとすることで、仮焼した原料をセメントキルン５の排ガスＧ１中に分散させて最下段サイクロンへ導入することができて好ましい。接続ダクト３ａは、図示例では１本であるが、２本以上配置してもよい。

　セメントキルン５及びクリンカクーラ６は、一般的なセメント焼成装置に設置されているものと同様の構成を有するが、セメントキルン５の排ガスＧ１が仮焼炉３に導入されずに、最下段サイクロン２Ａに導入される点が一般的なものと異なる。

　尚、既存のセメント焼成装置を改造する場合には、セメント焼成装置の運転中にループ状の３次空気ダクト６ａと仮焼炉３を設置し、休転中に既存のダクトと接続するだけで済むため、工期を大幅に短縮することができ、通常の休転期間でも十分に対応することができる。

　次に、上記構成を有するセメント焼成装置１の動作について図１を参照しながら説明する。

　セメント焼成装置１のプレヒータ２でセメントキルン５からの排ガスＧ１を用いて原料Ｒ１を予熱する。一方、３次空気ダクト６ａにサイクロン２Ｂからの原料Ｒ２、及び廃プラスチック、廃タイヤ、もみがら、木屑、ＰＫＳ、ＲＤＦ、汚泥等の可燃性廃棄物Ｗを供給し、クリンカクーラ６から抽気した熱ガスＧ２によってこれらを加熱しながら仮焼炉３まで搬送する。３次空気ダクト６ａをループ状に形成することで、後段の仮焼炉３と合わせて熱ガスの滞留時間を５～８秒と長くすることができ、原料Ｒ２を十分に加熱すると共に、可燃性廃棄物Ｗを効率よく燃焼させることができる。

　仮焼炉３において原料Ｒ２を仮焼し、可燃性廃棄物Ｗを燃焼させた後、仮焼された原料を伴う排ガスＧ３を接続ダクト３ａ及び立上りダクト４を経て最下段サイクロン２Ａに導入する。また、同時にセメントキルン５の排ガスＧ１も立上りダクト４を経て最下段サイクロン２Ａに導入する。

　排ガスＧ３とセメントキルン５の排ガスＧ１とが合流した排ガスＧ４が最下段サイクロン２Ａに導入され、最下段サイクロン２Ａで回収された原料Ｒ３をセメントキルン５で焼成し、生成されたセメントクリンカをクリンカクーラ３に供給して冷却する。

　尚、上記セメント焼成装置１の運転を継続すると、仮焼炉３にコーチングが生成されるが、コーチングはセメントキルン５内に落下するため、セメント焼成装置の安定運転を維持することができる。

１　セメント焼成装置
２　プレヒータ
３　仮焼炉
４　立上りダクト
５　セメントキルン
６　クリンカクーラ
７　主バーナー

Claims

　上方へ延設された後垂下する３次空気ダクトと、
　該３次空気ダクトの垂下したダクトの下端部に上端部が接続される仮焼炉と、
　該仮焼炉の下端部と、セメントキルンの窯尻から最下段サイクロンに向かって立ち上がる立上りダクトとを接続する接続ダクトとを備え、
　前記３次空気ダクトに、前記最下段サイクロンの上段に位置するサイクロンからの原料及び可燃性廃棄物が供給され、該原料及び可燃性廃棄物は、前記仮焼炉、前記接続ダクト及び前記立上りダクトを経て前記セメントキルンに導入され、前記３次空気ダクトを流れるガスは、前記仮焼炉、前記接続ダクト及び前記立上りダクトを経て前記最下段サイクロンへ導入され、前記セメントキルンの排ガスは、前記立上りダクトを経て前記最下段サイクロンへ導入されることを特徴とするセメント焼成装置。
　前記接続ダクトは、水平面に対して４０度以上６０度以下傾斜した角ダクトであることを特徴とするセメント焼成装置。