JP7156465B2 - 燃料燃焼装置 - Google Patents
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Description
セメントクリンカ焼成に伴う二酸化炭素の排出量削減対策として、バイオマス等の可燃性廃棄物を燃料として利用する技術が提唱されている(例えば、特許文献1参照)。セメント分野以外では燃焼ガスから二酸化炭素を回収する技術が提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、上述の課題を考慮してなされたものであり、バイオマス燃料又は二酸化炭素回収技術を用いずに二酸化炭素の排出量削減が可能で、且つ、窒素酸化物の生成を抑制可能な燃料燃焼装置を提供することを目的とする。
図1はセメントの中間製品であるセメントクリンカを製造するセメントクリンカ製造システムを示す図である。
セメントクリンカ製造システム1は、原料供給設備2と、予熱設備3と、燃焼設備4と、冷却設備5と、集塵設備6と、燃料供給設備7とを備えている。原料供給設備2は、セメントクリンカの原料である石灰石、粘土、珪酸原料、酸化鉄原料及び他の原料からなる原料を供給する設備である。他の原料は、例えば、高炉スラグ、石炭灰、汚泥、スラッジ、ボタ、製鋼スラグ、鋳物砂などである。
ニューサスペンションプレヒータ100では、投入口101から投入された原料が、燃焼設備4のバーナー部141、及び冷却設備5から仮焼炉103に集められた高温排ガスにより、順次下方のサイクロン102a~102dへと落下するにつれて、徐々に高温になるように予熱される。その後、原料は、仮焼炉103で仮焼されて脱炭酸が促進され、最下段のサイクロン101eから燃焼設備4に供給される。この予熱設備3によって、粉体原料が所定温度(例えば800℃~850℃)に予熱される。なお、予熱設備3は、ニューサスペンションプレヒータ100に限定されず、公知の他の構成を適用してもよい。
これに対し、補助燃料は、二酸化炭素の排出量低減に有利な材料であり、本実施形態ではアンモニア(NH3)である。
なお、アンモニア含有ガス中の気体は、例えば空気である。この空気は、燃焼排ガス又は酸素を付加した空気でもよいし、空気以外の気体でもよい。また、気体は、圧縮空気であってもよい。
燃焼設備4に使用する燃料にアンモニアを使用することによって、アンモニアを使用しない場合と比べて、二酸化炭素の排出量を削減可能になる。したがって、バイオマス燃料を用いたり、二酸化炭素回出技術などを用いたりしなくても、二酸化炭素の排出量の削減が可能になる。
補助燃料供給設備172は、バーナー部141の異なる供給口にそれぞれアンモニア含有ガスを供給する2系統の補助燃料供給部173、174を備えている。
第1の補助燃料供給部173は、気体の供給経路173aと、この供給経路173aに混合設備173bを介してアンモニアを供給するアンモニア供給源173cとを備えている。気体の圧力、及び混合設備173bによるアンモニアの供給量を調整することによって、気体とアンモニアの濃度比、及びアンモニア含有ガスの供給量をそれぞれ可変可能である。
これら第1及び第2の補助燃料供給部173、174によって、異なる濃度比でアンモニア含有ガスをバーナー部141に供給可能である。
バーナー部141は、正面視で円形に形成されており、複数の同心円に沿って配置される多数の燃料供給口141a~141fを有している。詳述すると、バーナー部141は、バーナー部141の中心軸C1を中心とする環状の開口を有する第1主燃料供給口141aを有し、この第1主燃料供給口141aの内周側領域に、複数(3つ)の第2主燃料供給口141b、141c、141dを有している。第1主燃料供給口141aは、主燃料供給設備171から供給される主燃料を環状(筒状とも称する)に噴射する。また、第2主燃料供給口141b~141dは、第1主燃料供給口141aから噴射される環状の主燃料の内周側領域に向けて主燃料供給設備171からの主燃料を噴射する。
第1補助燃料供給口141fは、バーナー部141の中心軸C1を中心とする所定半径の円に沿って間隔を空けて配置された円形の流路であり、本実施形態では等角度間隔で18個設けられている。
また、第2補助燃料供給口141eは、第1補助燃料供給口141fよりも内周側にて、バーナー部141の中心軸C1を中心とする所定半径の円に沿って間隔を空けて配置された円形の流路であり、本実施形態では等角度間隔で18個設けられている。
ここで、図3は第2補助燃料供給口141eを有するバーナー部分を正面側から見た図であり、図4は図3のIV-IV断面図である。また、図5はバーナー部141の側断面視において各燃料供給口141a~141fから噴射される燃料の流れを模式的に示した図である。
第2補助燃料供給口141eは、第1主燃料供給口141aと第1補助燃料供給口141fとの間において、アンモニア含有ガスからなる補助燃料を高速で噴射するので、アンモニア含有ガスの濃度を保ったまま、アンモニア含有ガスを流し易くなる。しかも、上記したように第2補助燃料供給口141eから斜めに補助燃料(図5中、符号X2)が噴射されるので、旋回流として流れる。
図6は補助燃料とバーナー部141周辺の温度との関係を示す図である。
図6中、実線矢印X1は、第1補助燃料供給口141fからの補助燃料を示している。また、図6中、符号T1は、主燃料によって最も温度が高くなる領域(以下、第1温度領域)であり、符号T2は、第1温度領域T1の次に温度が高くなる領域(以下、第2温度領域)であり、符号T3は、第2温度領域T2の次に温度が高くなる領域(以下、第3温度領域)である。なお、第3温度領域T3の外周は、温度が相対的に低い領域となる。
第1温度領域T1は、主燃料が燃焼した領域の最外周に相当(バーナーフレームの最外周に相当)し、少なくとも700℃以上の温度である。図6に示すように、第1補助燃料供給口141fは、この第1温度領域T1に向けて補助燃料を噴射する。
本実施形態では、アンモニア含有ガスからなる補助燃料を、第1温度領域T1(第1領域に相当)に向けて噴射するので、アンモニアが迅速に燃焼し、完全燃焼し易くなる。
第1低酸素領域S1は、酸素濃度5%以下であり、第2及び第3低酸素領域S2、S3は、酸素濃度が5%前後若しくはそれを超える領域であり、第3低酸素領域S3外側は第3低酸素領域S3よりも酸素濃度が高い領域である。図7に示すように、第1補助燃料供給口141fは、この第3低酸素領域S3外側に向けて補助燃料を噴射するので、相対的に酸素濃度が高い領域に補助燃料を供給でき、これによってもアンモニアが完全燃料し易くなる。
これらによって、窒素酸化物の発生を抑制しつつアンモニアを効率良く燃焼させることができる。従って、焼成温度の低下が回避され、セメント品質への影響を抑制することができる。
各補助燃料のアンモニア濃度は、補助燃料供給設備172によって17%以上、より好ましくは20%以上、25%以下となるように調整される。アンモニア濃度17%以下だとアンモニア濃度が燃焼下限値未満となり、燃焼性悪化の原因となる。これに対し、上記のアンモニア濃度にすることで、燃焼性悪化を回避できる。
Gφ:燃料供給口を流れる際の旋回方向の運動量(角運動量)
Gx:燃料供給口を流れる際の移動方向の運動量(軸方向運動量)
r:燃料供給口の内面側の半径
これによれば、第1補助燃料供給口141fからの補助燃料を、アンモニアの完全燃焼に有利な領域(第1領域に相当)である高温で、且つ、酸素濃度が相対的に低い領域に効果的に供給できる。この結果、主燃料とアンモニア含有ガスを効率良く燃焼させ、窒素酸化物を抑制し、安定した操業を行い易くなる。
これによれば、第2補助燃料供給口141eからの補助燃料を、窒素酸化物の抑制、及び還元作用に有利な領域(第2領域に相当)である、アンモニアが穏やかに燃焼して還元作用を持つ中間生成物の生成に有利な領域に供給でき、同時に安定した内部循環流形成が可能になる。したがって、窒素酸化物の発生を抑制し、安定した操業を行い易くなる。
また、第2補助燃料供給口141eは、酸素濃度5%以下、且つアンモニア:酸素の濃度比率が1:1.25以下となる第1低酸素領域S1内に向けてアンモニア含有ガスを噴射するので、アンモニア由来の窒素酸化物の抑制と、アンモニア中間生成物質による窒素酸化物の還元作用とを期待できる。
この制御は、作業員が手動で行ってもよいし、コンピュータ構成を備えた制御装置のフィードバック制御で行うようにしてもよい。
図8は第1変形例に係るバーナー部141を正面側から示した図である。
このバーナー部141は、上述の実施形態(図2参照)に対し、第1主燃料供給口141aの位置と、第2補助燃料供給口141eの位置とが入れ替わった構成である。この構成では、第1主燃料供給口141aの内周に第2補助燃料供給口141eが位置するので、バーナーフレーム中心付近の低酸素濃度領域に補助燃料を噴射できる。これにより、脱硝効果を向上でき、つまり、アンモニア由来の窒素酸化物の抑制と、アンモニア中間生成物質による窒素酸化物の還元作用とを期待できる。
このバーナー部141は、図8に示す第1変形例に対し、第2補助燃料供給口141eの噴射方向が異なる構成である。第1変形例では、上述の実施形態と同様に(図2から図4参照)、第2補助燃料供給口141eが中心軸C1の周方向に沿って傾くことで、中心軸C1を中心とした渦状に旋回する方向に補助燃料を噴射している。これに対し、第2変形例では、第2補助燃料供給口141eが中心軸C1の径方向外側に更に傾くことで、補助燃料を旋回させるとともに拡散させている。
このバーナー部141は、上述の実施形態(図2参照)の第1主燃料供給口141aに分割チップ181を設けた構成である。分割チップ181は、第1主燃料供給口141aが有する環状の開口に、中心軸C1を中心とする所定の角度毎に配置され、中心軸C1に対して反対側に行くほど幅広となる形状に形成されている。各分割チップ181によって、第1主燃料供給口141aから噴射された主燃料の濃度の濃淡が生じる。燃料濃度の高い領域では効率よく火炎が伝播し、かつ熱も伝わりやすいため、主燃料の燃焼速度を向上させることができる。なお、各分割チップ181には、冷却のための複数の空気抜き孔を形成してもよい。
これら分割チップ181を設けることにより、外側の第1補助燃料供給口141fから噴射された補助燃料が受ける輻射熱を増大させ、燃焼速度を向上させることができる。
このバーナー部141は、上述の実施形態(図2参照)に対し、補助燃料を噴射する補助燃料供給口141gを追加している。図11に示す例では、第1主燃料供給口141aと、第2主燃料供給口141b~141dとの間に、等角度間隔で補助燃料供給口141gを追加している。この構成によれば、内部循環領域における空気流を強化でき、脱硝効果を向上できる。
なお、補助燃料供給口141gを追加する位置は図11の態様に限定されない。例えば、第1主燃料供給口141aの外周側に設けるようにしてもよく、その場合、主燃料の燃焼性が向上することに伴い、補助燃料の燃焼速度を向上させることができる。
要は、アンモニア含有ガスを上記領域T1、S2の少なくともいずれかに向けて噴射するようにすればよく、二酸化炭素排出量の削減効果を十分に得ることができれば、上記領域T1、S2のいずれかだけに噴射するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、セメントクリンカ焼成用の燃料焼成装置のバーナー部141に本発明を適用するようにしたが、これに限定しなくてもよく、例えば、仮焼炉バーナー104に適用してもよい。
2 原料供給設備
3 予熱設備
4 燃焼設備
5 冷却設備
6 集塵設備
7 燃料供給設備
140 ロータリーキルン
141 バーナー部(燃料供給部)
141a 第1主燃料供給口(主燃料噴射部)
141b、141c、141d 第2主燃料供給口(主燃料噴射部)
141e 第2補助燃料供給口(第2の燃料供給口、アンモニア噴射部)
141f 第1補助燃料供給口(第1の燃料供給口、アンモニア噴射部)
141g 補助燃料供給口
171 主燃料供給設備
172 補助燃料供給設備
173 第1の補助燃料供給部
173a、174a 気体の供給経路
173b、174b 混合設備
173c、174c アンモニア供給源
174 第2の補助燃料供給部
181 分割チップ
C1 バーナー部の中心軸
T1 第1温度領域(第1領域)
S1 第1低酸素領域(第2領域)
S2 第2低酸素領域(第1領域)
S3 第3低酸素領域(第1領域)
Claims (3)
- セメントクリンカ焼成に使用されるバーナー部を有する燃料燃焼装置において、
前記バーナー部は、
当該バーナー部の中心軸を中心とする環状の開口を有し、アンモニアを含まない主燃料を環状に噴射する第1主燃料供給口と、
前記第1主燃料供給口の内周側領域に配置され、前記第1主燃料供給口から噴射される環状の主燃料の内周側領域に向けて、アンモニアを含まない主燃料を噴射する第2主燃料供給口と、
前記第1主燃料供給口の外周側に、当該バーナー部の中心軸を中心とする円弧に沿って間隔を空けて配置され、少なくともアンモニアを含む補助燃料を噴射する第1補助燃料供給口と、
前記第1主燃料供給口と前記第1補助燃料供給口との間に、当該バーナー部の中心軸を中心とする円弧に沿って間隔を空けて配置され、前記補助燃料と同じ燃料を噴射する第2補助燃料供給口と、
前記第1主燃料供給口と前記第2主燃料供給口との間に、当該バーナー部の中心軸を中心とする円弧に沿って間隔を空けて配置され、前記補助燃料と同じ燃料を噴射する他の補助燃料供給口とを有することを特徴とする燃料燃焼装置。 - 前記第1補助燃料供給口は、前記第1及び第2主燃料供給口からの燃料の燃焼により、温度700度以上、且つアンモニア:酸素の濃度比率が1:1.25~0.75となる領域に燃料を噴射することを特徴とする請求項1に記載の燃料燃焼装置。
- 前記第2補助燃料供給口は、前記第1及び第2主燃料供給口からの燃料の燃焼により、酸素濃度5%以下、且つアンモニア:酸素の濃度比率が1:1.25以下となる領域に燃料を噴射することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料燃焼装置。
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