WO2020251047A1

WO2020251047A1 - ワークサポート装置およびワーク吸着固定方法

Info

Publication number: WO2020251047A1
Application number: PCT/JP2020/023309
Authority: WO
Inventors: 黒田　一徹; 吉昭 ▲濱▼小路
Original assignee: パスカルエンジニアリング株式会社
Priority date: 2019-06-13
Filing date: 2020-06-12
Publication date: 2020-12-17
Also published as: EP3984692A1; CN114555286A; JPWO2020251047A1; US20220241915A1; TW202106435A; EP3984692A4

Abstract

吸着と剛体支持とを同じ位置で行い装置をコンパクト化し、ビビリ振動を防止しうるワークサポート装置とするため、ワーク２を支持するワーク支持部１に設けられる、軸心４を有したケース部材３と、該ケース部材３に該軸心方向移動自在に設けられ、一端部が該ケース部材３から外方に突出して該ワーク２を支持する突出端部６とされたサポート部材５と、該突出端部６に同心状に設けられ、該ワーク２に吸着する吸着パッド７と、該サポート部材５の該ワーク２への当接圧を調整すべく、該サポート部材５と該ケース部材３との間に設けられた調整装置８と、該ワーク２に当接している該吸着パッド７内を負圧にして、該突出端部６を該ワーク２に吸着固定すべく設けられた吸気口１０と該ケース部材３に設けられた吸引ポート１１との間を連通る吸気通路９と、該吸着固定状態において該サポート部材５を該ケース部材３に固定する固定装置１３と、を有するものとする。

Description

ワークサポート装置およびワーク吸着固定方法

　本発明は、ワークサポートに吸着機能を兼ね備え、コンパクトにワークを吸着ロック、保持できるワークサポート装置、及び、ワーク吸着固定方法に関する。

　薄板ワークを加工する際、加工によりワークが変形しやすいため、ワークサポートによって受け止める必要がある。また、加工時の振動によって浮き上がりが生じるため吸着クランプによる引き込みも必要になる。

　例えば、特許文献１（特開２００２－２８３１６１）に記載のものは、ワークの下面を下方から支承するものであるので、ビビリ振動を防止することができなかった。

　特許文献２（特開２００８-８７１２５）に記載のものは、吸着パッドによりワーク下面を吸着保持するものであるが、弾性部材で構成されている吸着パッドの弾性変形により、ビビリ振動を防止することができなかった。

　特許文献３（特開平１－１０９０４２）に記載のものは、吸盤と支持体とを別位置に設けて、吸着と剛体支持との支持機能を分散してワークをサポートして、ワークの振動を防止しようとするものであるが、機能が分散しているため、ビビリ振動を十分に防止できなかった。

　上記従来のものは、ビビリ振動を防止できないという問題を有するほか、以下の問題も有していた。
　吸着クランプとワークサポートを別に設置するため、コンパクトにできず、ワークサポートを多点で当てることができなかった。

　ワークサポートのヘッドキャップを真空パッド（吸着パッド）とする場合、配管等も必要なため重量が重くなり、上昇バネが強くなる。そうするとワークを大きく変形させてしまう。

　吸着クランプ装置だけで多点で支えても受座がないため負荷による変形は抑えられない。吸着クランプと多点の着座面で保持した場合、ワーク素材の歪等が生じるため、多点で受けることができない。

　フラットな面はフラットな吸着クランプ装置でクランプ、保持できるが、両端が湾曲しているワーク、段差が生じているワークではフラットな吸着クランプ装置を使用することができない。

特開２００２－２８３１６１号公報特開２００８－８７１２５号公報特開平０１－１０９０４２号公報

　本発明は、前記従来技術の課題を解決しようとするものであり、吸着と剛体支持とを同じ位置で行って装置のコンパクト化を図り、ビビリ振動を防止することのできるワークサポート装置を提供することを目的とする。

　前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。即ち、本件発明のワークサポート装置は、ワークを支持するワーク支持部に設けられる、軸心を有したケース部材と、該ケース部材に前記軸心方向移動自在に設けられ、一端部が前記ケース部材から外方に突出して前記ワークを支持する突出端部とされたサポート部材と、前記突出端部に同心状に設けられ、前記ワークに吸着する吸着パッドと、前記サポート部材の前記ワークへの当接圧を調整すべく、前記サポート部材と前記ケース部材との間に設けられた調整装置と、前記ワークに当接している前記吸着パッド内を負圧にして、前記突出端部を前記ワークに吸着固定すべく設けられた吸気口と前記ケース部材に設けられた吸気ポートとの間を連通る吸気通路と、前記吸着固定状態において前記サポート部材を前記ケース部材に固定する固定装置と、を有する。

　前記調整装置は、前記サポート部材を突出方向に付勢するダンパー部材を有するのが好ましい。

　前記調整装置は、前記ダンパー部材を突出方向に移動させるシリンダ装置を有するのが好ましい。

　前記サポート部材は、前記ケース部材内に位置するロッド部を有し、該ロッド部の中心部に、前記突出端部とは反対側の端面に開口する中心孔が設けられ、該中心孔に前記ダンパー部材が収納されているのが好ましい。

　前記固定装置は、前記サポート部材の軸方向移動を許容すべくサポート部材の外周面側に配置されて、前記サポート部材の外周面に圧接することによりサポート部材の軸方向移動を拘束する圧接部材と、該圧接部材を前記サポート部材の外周面に圧接させる加圧部とを有するのが好ましい。

　前記突出端部の吸気通路に開閉弁が設けられ、該開閉弁を突出方向側に付勢して閉弁する弁バネが設けられ、前記吸着固定状態において、前記開閉弁は、前記弁バネに抗して開弁状態を維持して前記突出端部に当接固定されるのが好ましい。

　前記突出端部の先端面と、前記吸着パッドの先端面との軸方向の相対位置が調整可能に構成されているのが好ましい。

　前記突出端部の先端面は、前記吸着パッドの先端面より下方に位置しているのが好ましい。

　本発明のワーク吸着固定方法は、ケース部材に移動自在に設けられたサポート部材の突出端部に吸着パッドが設けられたワークサポート装置を用い、前記吸着パッドをワークに当接させ、前記吸着パッド内を負圧にすることにより、前記突出端部の先端面を前記ワークの外面に当接させた後、前記サポート部材を前記ケース部材に固定する。

　本件発明によれば、吸着固定を同じ位置で行うものであるので、コンパクトになり、ビビリ振動を防止できる。

本発明の実施の形態に係るワークサポート装置の使用状態の説明図。本発明の一実施の形態を示し、調整装置として流体圧リフトを採用し、サポート部材が下降位置にあるフリー状態の断面図。図２の装置の使用状態図であり、（ａ）は、サポート部材が上昇して吸着パッドがワークに接触した状態、（ｂ）は吸着固定状態を示す。本発明の他の一実施の形態を示し、調整装置としてスプリングリフトを採用し、サポート部材が上昇位置にあるフリー状態の断面図。図４の装置の使用状態図であり、（ａ）は、ワークが下降して吸着パッドがワークに接触した状態、（ｂ）は吸着固定状態を示す。本発明の他の一実施の形態を示し、調整装置として流体圧リフトを採用し、負圧装置に開閉弁を採用したもので、サポート部材が下降位置にあるフリー状態の断面図。図６の装置の使用状態図であり、（ａ）は、サポート部材が上昇して吸着パッドと開閉弁がワークに接触した状態、（ｂ）は吸着固定状態を示す。本発明の他の一実施の形態を示し、調整装置として流体圧リフトを採用し、突出端部がねじ調整で高さ調整自在としたもので、サポート部材が下降位置にあるフリー状態の断面図。図８の装置の使用状態図であり、（ａ）は、サポート部材が上昇して吸着パッドがワークに接触した状態、（ｂ）は吸着固定状態を示す。本発明の他の一実施の形態を示し、調整装置として流体圧リフトを採用し、突出端部がねじ調整で高さ調整自在としたもので、サポート部材が下降位置にあるフリー状態の断面図。図１０に示すワークサポート装置の使用状態を示す説明図。

　以下本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
　図１において、本実施の形態のワークサポート装置は、ワーク支持部１に設けられる。ワーク支持部１にワーク２が取り付けられる。ワークサポート装置は、ワーク２の下面を同一位置において吸着固定して、切削などの加工時における振動を防止するものである。

　ワークサポート装置はケース部材３を有する。ケース部材３はワーク支持部１に設けられる。ケース部材３は、軸心４を有する。

　ケース部材３をワーク支持部１に設ける構造は特に限定されない。例えば、ケース部材３を筒状体に形成し、筒状体の外周面にネジを形成し、このネジでワーク支持部１にネジ締結する。または、ケース部材３にフランジを設けて、このフランジをワーク支持部１に固定する（仮想線で示す態様参照）。ネジ結合によれば、ワークサポート装置の軸心方向取付位置を調整可能とできる。

　ワークサポート装置はサポート部材５を有する。サポート部材５はケース部材３に軸心方向移動自在に設けられている。サポート部材５の軸心方向一端は、ケース部材３から外方に突出する突出端部６とされている。

　ワークサポート装置は吸着パッド７を有する。吸着パッド７は、サポート部材５の突出端部６に同心状に設けられている。吸着パッド７は、ワーク２に吸着するもので、ゴムなどの弾性部材で構成されている。吸着パッド７の形状は特に限定されないが、例えば、突出端部６に固定される基部を有し、基部から上方に向かってラッパ状に開口する開口周縁を有し、この周縁により吸着面が形成されている。

　ワークサポート装置は調整装置８を有する。調整装置８は、サポート部材５のワーク２への当接圧を調整すべく、サポート部材５とケース部材３との間に設けられる。この調整装置８は、サポート部材５が大きな力でワーク２を押し上げ、ワーク２を変形させないようにするものである。

　調整装置８の具体例としては、弱いバネの弾性部材等をサポート部材５とケース部材３間に介在させることにより構成することができる。

　ワークサポート装置は吸気通路９を有する。吸気通路９は、吸着パッド７内の突出端部６に設けた吸気口１０と、ケース部材３に設けた吸引ポート１１とを連通するものとして構成することができる。吸引ポート１１に真空ポンプ等の負圧発生装置１２が接続される。

　この吸気通路９により、吸着パッド７内を負圧にすることにより、突出端部６の先端面をワーク２の外面に当接させて、吸着固定状態を維持する。

　ワークサポート装置は固定装置１３を有する。固定装置１３は、前記吸着固定状態においてサポート部材５をケース部材３に固定するものである。

　上記構成のワークサポート装置の作用を説明する。
　ワークサポート装置の吸着パッド７と、ワーク２とが相対接近し、吸着パッド７の上端の吸着面がワーク２の下面に当接する。この当接圧は調整装置８により調整され、サポート部材５が大きな力でワーク２を押し上げてワーク２を変形させることはない。

　負圧発生装置１２により吸気通路９内を負圧にし、吸着パッド７内を負圧にすることにより、吸着パッド７が変形してサポート部材５をワーク２側に引き寄せ、突出端部６の先端面がワーク２下面に強固に吸着固定される。

　固定装置１３により、サポート部材５をケース部材３に固定する。これによりワークの２下面は、ケース部材３に固定され、ワーク支持部１に固定されたワーク２の上下方向の振動（ビビリ振動）が、吸着パッド７の一か所において防止される。

　なお、上記説明で明らかなように、本発明の「吸着固定」は、調整装置８により軽く押し当てた状態のサポート部材５をワーク２に固定するものであり、サポート部材５を強く押し当てた状態での「押付固定」とは異なるものである。すなわち、「吸着固定」では、ケース部材からワークに作用する押上力は調整装置による押し上げ力であるのに対し、「押付固定」は、ケース部材からの直接の押し上げ力となるものである。

　図１を用いて、ワーク吸着固定方法につき説明する。
　この方法は、ケース部材３に移動自在に設けられたサポート部材５の突出端部６に吸着パッド７が設けられたワークサポート装置を用いて行うものである。吸着パッド７をワーク２に当接させ、吸着パッド７内を負圧にすることにより、突出端部６の先端面をワーク２の外面に当接させた後、サポート部材５をケース部材３に固定する。

　この方法により、「押付固定」でない「吸着固定」を行うことができ、ワークサポート装置によるワークの変形を防止して、上下方向の振動を防止することができる。

　図２に示すものは、更に具体的な構成を特定した実施の形態であり、ワーク２をサポートする前の自由状態における本実施の形態のワークサポート装置の断面図である。なお、図１に示すものと同じ構成要素は同じ符号を用いて説明する。

　ケース部材３は、筒状体に形成され、その外周面にネジ１４が形成されている。ケース部材３は、このネジ１４でワーク支持部１にネジ締結されている。

　ケース部材３の中心部に、サポート部材挿通孔１５が上下方向に貫通して設けられている。この挿通孔１５の軸心がケース部材３の軸心４とされている。

　この挿通孔１５は、その上端部から下端部に至るに従い、小径部１６、中径部１７、大径部１８とされて、穴径が変化している。大径部１８の下端に蓋体１９が螺合されて、挿通孔１５を塞いでいる。

　サポート部材５は、軸心方向他端がケース部材３内に位置するロッド部２０を有する。ロッド部２０の中心部に軸心方向他端面に開口する中心孔２１が設けられている。このロッド部２０の一端部に突出端部６が接続固定されている。

　ロッド部２０は、ケース部材３のサポート部材挿通孔１５の小径部１６に摺動自在に挿通される。小径部１６には、シール部材２２が設けられている。このシール部材２２は、小径部１６とロッド部２０との間の隙間から異物が侵入するのを防止するものである。特に、ケース部材３内が負圧になった時、異物侵入しないようにするスクレーパシールとされるのが好ましい。

　突出端部６は、ロッド部２０の端部にネジにより結合されている。突出端部は６、中心部に上下方向に貫通する貫通孔２３が形成されている。貫通孔２３の途中にフィルタ２４が設けられている。このフィルタ２４は、フィルタ固定部材２５により貫通孔２３に着脱自在に固定されている。このフィルタ２４よりも上方位置において、突出端部６の側面に開口する吸気口１０が設けられ、吸気口１０と貫通孔２３が連通している。貫通孔２３は、ロッド部２０の中心孔２１に連通している。吸気口１０、貫通孔２３、中心孔２１が吸気通路９を形成している。

　突出端部６に吸着パッド７が固定されている。吸着パッド７は、基部２６から上方にラッパ状に開口する開口周縁２７を有し、この周縁２７が吸着面を形成する。吸着面の中心部に、突出端部６の先端面が位置している。突出端部６の先端面は、吸着面よりも下方に位置している。突出端部６の側面に開口する吸気口１０は、吸着パッド７内に於いて開口している。

　吸着パッド７の基部２６は、突出端部６の下部に設けられた小径部に、気密状に嵌合して、小径段部２８により上方への移動が防止されている。吸着パッド７の基部２６の下端は、突出端部に設けられた皿状受け部材２９により支持されて、下方への移動が防止されている。

　調整装置８は、サポート部材５を突出方向に付勢するダンパー部材３０と、ダンパー部材３０を突出方向に移動させるシリンダ装置３１を有する。

　ダンパー部材３０は、圧縮コイルスプリングからなる上昇バネで構成されている。この上昇バネ３０は、弱いバネとされている。ダンパー部材３０である上昇バネは、ロッド部２０の中心孔２１に収納されている。

　シリンダ装置３１は、ケース部材３に形成されたシリンダ室３２と、シリンダ室３２に摺動自在に収納されたピストン３３と、ピストン３３に設けられてシリンダ室３２から上方に突出するピストンロッド３４とを有する。

　シリンダ室３２は、蓋体１９に形成されている。蓋体１９は上方に突出する凸部３５を有する。この凸部３５がロッド部２０の中心孔２１に内嵌合して、サポート部材５の上下方向移動をガイドしている。

　シリンダ室３１に収納されたピストン３３の上面に圧縮スプリング３６が当接して、ピストン３３は、常時下方に付勢されている。

　ピストン３３の下方のシリンダ室３２は、下方に開口する流体圧供給ポート３７とされている。この流体圧供給ポート３７は、ワーク支持部１に形成された加圧流体通路３８に連通している。この加圧流体通路３８は、図示省略のポンプやコンプレッサー等の圧力発生装置に連通している。加圧流体は、液体または気体の何れであっても良い。

　ロッド部２０の中心孔２１に収納されている上昇バネ３０は、その下端がピストンロッド３４の上端に当接し、その上端が突出端部６の下端に当接している。

　したがって、サポート部材５は、ピストン３３の上昇と、上昇バネ３０の付勢力により上方に移動する。

　蓋体１９には、吸引ポート１１と、吸引ポート１１からロッド部２０の中心孔２１に連通する吸気通路９が設けられている。吸引ポート１１は、ワーク支持部１に設けられた吸引通路３９に連通し、この吸引通路３９は負圧発生装置１２（図１参照）に連通している。

　固定装置１３は、サポート部材５の軸方向移動を許容すべくサポート部材５の外周面側に配置された圧接部材４０を有する。圧接部材４０は、サポート部材５の外周面に圧接することによりサポート部材５の軸方向移動を拘束する。

　固定装置１３は、圧接部材を４０サポート部材５の外周面に圧接させる加圧部４１を有する。加圧部４１による圧接部材４０の圧接で、サポート部材５はケース部材３に固定される。

　圧接部材４０は、ロッド部２０に外嵌して縮径自在な筒状部材からなる。筒状部材はテーパスリーブ４２に形成されている。テーパスリーブ４２の外周面が、下方に至るに従い径大となるテーパ面に形成されている。テーパスリーブ４２の下端が蓋体１９の上面に当接して、下方への移動が防止されている。

　加圧部４１はテーパスリーブ４２に外嵌して軸心方向移動自在なテーパピストン４３に形成されている。テーパピストン４３は、ケース部材３の挿通孔１５の中径部１７と大径部１８にわたって内嵌されている。中径部１７にシール材４４が設けられ、気密が保たれている。テーパピストン４３の下端は、蓋体１９に外嵌している。蓋体１９にシール材４５が設けられ、テーパピストン４３と蓋体１９の気密が保たれている。

　テーパピストン４３と大径部１８内面との間には、隙間４６が形成されている。この隙間４６に連通する加圧通路４７が蓋体１９に形成されている。この加圧通路４７は、シリンダ室３２の下端に連通している。

　テーパピストン４３は、蓋体１９上面に当接する圧縮スプリング４８により上方に付勢されている。中径部１７と大径部１８の境界の段部に位置するテーパピストン４３の肩部が加圧面４９とされる。隙間４６から供給される加圧媒体により加圧面４９が下方に押され、テーパピストン４３は、圧縮スプリング４８に抗して下方に移動する。

　テーパピストン４３の内面が、テーパスリーブ４２と同じテーパ角度のテーパ面に形成されている。このテーパピストン４３のテーパ面とテーパスリーブ４２のテーパ面との間に多数の鋼球５０が介在されている。

　テーパピストン４３の下降により、テーパスリーブ４２が鋼球５０を介して締め付けられ、縮径してロッド部２０をケース部材３にロックする。

　図３の（ａ）は、図２の装置において、ピストン３３が上昇し、吸着パッド７の先端の開口周縁２７がワーク２下面に接した状態を示し、同（ｂ）は、吸着パッド７とサポート部材５による同一位置におけるワーク２を吸着固定した状態を示す。

　図３（ａ）において、ワーク２はワーク支持部１に固定されている。流体圧供給ポート３７に加圧媒体が供給され、ピストン３３が上昇し、上昇バネ３０を介してサポート部材５が上昇し、吸着パッド７の開口周縁２７がワーク２の下面に当接する。この当接状態においては、突出端部６の先端面は、ワーク２下面に当接していない。

　ピストン３３はさらに上昇するが、上昇バネ３０が縮小してサポート部材５はさほど上昇しない。すなわち、ダンパー部材３０である上昇バネは非常に弱いものとされ、ワークを押し上げて変形させるのを防止している。

　この状態において、流体圧供給ポート３７に供給された加圧媒体は、加圧通路４７及び隙間４６を通ってテーパピストン４３の肩部の加圧面４９にも作用するが、テーパピストン４３は圧縮スプリング４８の付勢力などにより、いまだ下方に移動しない。

　この状態において、吸着パッド７内を負圧にする。すなわち、負圧発生装置１２（図１参照）により、吸着パッド７内を負圧にする。負圧発生装置１２による負圧により、ワーク支持部１の吸引通路３９、ケース部材３の吸引ポート１１、蓋体１９に形成された吸気通路９、サポート部材５の中心孔２１、突出端部６の貫通孔２３、及び、吸気口１０が負圧になり、吸着パッド７の内部が負圧になる。

　図３（ｂ）において、吸着パッド７内が負圧になることにより、吸着パッド７は弾性変形してサポート部材５を引き上げ、突出端部６の先端面がワーク２の下面に「吸着固定」される。この吸着固定は、（ａ）の状態においてサポート部材５を上昇させてワーク２下面を押圧して突出端部６の先端面を当接させる「押圧固定」とは異なり、ワーク２の上方への押圧力は発生していないので、ワーク２を変形させる恐れがない。すなわち、「押圧固定」と「吸着固定」とは、異なるものである。

　吸着パッド７の吸着固定により突出端部６の先端面がワーク２の下面に吸着固定されたとき、テーパピストン４３に作用する加圧媒体の圧力が高まり、テーパピストン４３は、圧縮スプリング４８に抗して下方に移動する。このテーパピストン４３の下方移動により、鋼球５０を介してテーパスリーブ４２が縮径してロッド部２０を締め付け、サポート部材５をケース部材３に固定する。

　しかして、ワーク２は、ワークサポート装置により吸着固定されて、上下の振動が防止される。
　なお、負圧発生装置１２の作動は、図３（ａ）に至る前から行われていても良い。この場合、吸気通路９内にフィルタ２４が設けられているので、異物の吸い込みが阻止される。

　図４は、本発明の他の実施の形態を示し、調整装置８として、シリンダ装置を有せず、ダンパー部材３０のみで構成したものである。
　この実施の形態では、蓋体１９には、シリンダ装置が設けられていない。蓋体１９に上昇バネ支持体５１が立設されている。この上昇バネ支持体５１に、調整装置８のダンパー部材３０である上昇バネの下端が支持されている。

　固定装置１３のテーパピストン４３と大径部１８内面との間に形成された隙間４６に連通する加圧通路４７が、蓋体１９に形成されている。加圧通路４７に連通する流体圧供給ポート３７が蓋体１９の下面に設けられている。
　その他の構成は、前記図２に示すものと同じである。

　図５の（ａ）は、図４の装置において、ワーク２が下降して、吸着パッド７の先端の吸着面がワーク２下面に接した状態を示し、同（ｂ）は、吸着パッド７とサポート部材５による同一位置におけるワークを吸着固定した状態を示す。

　（ａ）において、ワーク２を下降させてワーク支持部１に固定するとき、ワーク２の下面が吸着パッド７の開口周縁２７に当接する。このとき、調整装置８のダンパー部材３０である上昇バネが圧縮され、当接圧が所定の圧になるまで、サポート部材５はワーク２の下降に伴って下降する。上昇バネ３０は、当接圧によりワークを変形させない強さに設定されている。

　（ｂ）に示すように、吸着パッド７内を負圧にし、突出端部６の先端面がワーク２下面に引き寄せられて当接し、ワーク２に吸着固定される。

　固定装置１３が作動して、サポート部材５をケース部材３に固定する。これによりワーク２の下面は、吸着パッド７とサポート部材５とにより吸着固定され、固定装置１３を介してケース部材３に固定される。

　図６は、本発明の他の実施の形態を示し、突出端部６の先端面に吸気口１０が設けられている。この吸気口１０を開閉自在とする開閉弁５２が設けられている。開閉弁５２は、吸気口１０より外方に突出して閉弁するよう、弁バネ５３により突出方向側に付勢されている。

　吸気口１０の下面が弁座５４に形成されている。開閉弁５２は、この弁座５４に密着するフランジ５５を有する。弁バネ５３は、フランジ５５を弁座５４に密着させて吸気通路９を閉じる。

　この弁バネ５３に抗して開閉弁５２が下方に移動して弁座５４を開くとき、開閉弁５２の下端面５６は、突出端部６に当接して吸気通路９を塞ぐ。そこで、開閉弁５２には、下端面５６が吸気通路９を閉じた状態において、吸気通路９と吸気口１０とを連通させる吸気通路９が設けられている。

　その他の構成は、図２に示すものと同じである。

　図７の（ａ）は、図６の装置において、サポート部材５が上昇し、吸着パッド７の先端の吸着面がワーク２下面に接した状態を示し、同（ｂ）は、吸着パッド７とサポート部材５による同一位置におけるワーク２を吸着固定した状態を示す。

　（ａ）において、吸着パッド７の先端の吸着面がワーク２下面に接した状態で吸気通路９内を負圧にすると、開閉弁５２は、弁バネ５３に抗して下方に移動し、開弁し、吸着パッド７内が負圧になる。

　（ｂ）に示すように、サポート部材５は引き上げられ、開閉弁５２の先端面はワーク２に当接し、下端面５６は突出端部６に当接する。この状態で固定装置に１３よりサポート部材５がケース部材３に固定される。
　なお、開閉弁５２は、ワーク２に押されて開弁するものであっても良い。

　図８は、本発明の他の実施の形態を示し、突出端部６の先端面と、吸着パッド７の開口周縁２７との軸方向の相対位置が調整可能に構成されている。

　すなわち、突出端部６には、先端部５７がネジ結合により軸方向位置調整自在とされて先端面を構成している。突出端部６と先端部５７との接合部に吸気通路９が形成されている。この吸気通路９に筒状フィルタ５８が設けられ、筒状フィルタ５８は先端部５７で固定される。
　先端部５７の先端面は円弧状または曲線状に形成されている。
　その他の構成は、図２に示すものと同じである。

　図９の（ａ）は、図８の装置において、サポート部材５が上昇し、吸着パッド７の先端の吸着面がワーク２下面に接した状態を示し、同（ｂ）は、吸着パッド７とサポート部材５による同一位置におけるワークを吸着固定した状態を示す。

　この実施の形態では、先端部５７の先端面と、吸着パッド７の開口周縁２７との軸方向の相対位置が調整可能とされているので、ワーク２が変わっても容易に調整できる。

　先端部５７の先端面は円弧状または曲線状に形成されているので、ワーク２の湾曲した面、傾斜面でも吸着固定が行える。

　図１０は、本発明の他の実施の形態を示し、ワーク２に当接する突出端部６の先端面は曲面５９に形成されたものである。

　突出端部６の先端面はＲ面とされ、突出端部６の吸気口１０は側面に開口し、吸気通路９にフィルタは設けられていない。
　その他の構成は図２に示すものと同じである。

　図１１は、図１０に示すワークサポート装置の使用の態様の説明図である。
　ワーク２の周縁が平坦面でなく、湾曲面や傾斜面であっても、突出端部６の先端面が曲面５９であることにより吸着固定することができる。

　なおこの場合、図８に示すように突出端部６の先端面と、吸着パッド７の開口周縁２７との軸方向の相対位置を調整可能に構成すれば、使用の態様の範囲が増える。

　今回開示された実施例の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。例えば、サポート部材５は、ロッド部２０と突出端部６が別部材で構成されたものに限定されず、一体ものであっても良い。固定装置１３は、テーパスリーブ型式に限らず、特開２００２-２８３１６１号公報に記載の様な弾性変形スリーブ型式であっても良い。ダンパー部材３０は、スプリングの様な弾性部材に限らず、ダンパーシリンダーの様なものであっても良く、要は、吸着パッド７を所定の当接圧で当接させるものであれば良い。吸着パッド７の形状も上方ラッパ状に開口したものに限らず、蛇腹状であっても良い。

　本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。

　　１　ワーク支持部
　　２　ワーク
　　３　ケース部材
　　４　軸心
　　５　サポート部材
　　６　突出端部
　　７　吸着パッド
　　８　調整装置
　　９　吸気通路
　１０　吸気口
　１１　吸引ポート
　１２　負圧発生装置
　１３　固定装置
　１４　ネジ
　１５　サポート部材挿通孔
　１６　小径部
　１７　中径部
　１８　大径部
　１９　蓋体
　２０　ロッド部
　２１　中心孔
　２２　シール部材
　２３　貫通孔
　２４　フィルタ
　２５　フィルタ固定部材
　２６　基部
　２７　開口周縁
　２８　小径段部
　２９　皿状受け部材
　３０　ダンパー部材（上昇バネ）
　３１　シリンダ装置
　３２　シリンダ室
　３３　ピストン
　３４　ピストンロッド
　３５　凸部
　３６　圧縮スプリング
　３７　流体圧供給ポート
　３８　加圧流体通路
　３９　吸引通路
　４０　圧接部材
　４１　加圧部材
　４２　テーパスリーブ
　４３　テーパピストン
　４４　シール部材
　４５　シール部材
　４６　隙間
　４７　加圧通路
　４８　圧縮スプリング
　４９　加圧面
　５０　鋼球
　５１　上昇バネ支持体
　５２　開閉弁
　５３　弁バネ
　５４　弁座
　５５　フランジ
　５６　下端面
　５７　先端部
　５８　筒状フィルタ
　５９　曲面

Claims

　ワークを支持するワーク支持部に設けられる、軸心を有したケース部材と、
　該ケース部材に前記軸心方向移動自在に設けられ、一端部が前記ケース部材から外方に突出して前記ワークを支持する突出端部とされたサポート部材と、
　前記突出端部に同心状に設けられ、前記ワークに吸着する吸着パッドと、
　前記サポート部材の前記ワークへの当接圧を調整すべく、前記サポート部材と前記ケース部材との間に設けられた調整装置と、
　前記ワークに当接している前記吸着パッド内を負圧にして、前記突出端部を前記ワークに吸着固定すべく設けられた吸気口と前記ケース部材に設けられた吸気ポートとの間を連通る吸気通路と、
　前記吸着固定状態において前記サポート部材を前記ケース部材に固定する固定装置と、
を有するワークサポート装置。
　前記調整装置は、前記サポート部材を突出方向に付勢するダンパー部材を有する請求項１記載のワークサポート装置。
　前記調整装置は、前記ダンパー部材を突出方向に移動させるシリンダ装置を有する請求項２記載のワークサポート装置。
　前記サポート部材は、前記ケース部材内に位置するロッド部を有し、
　該ロッド部の中心部に、前記突出端部とは反対側の端面に開口する中心孔が設けられ、該中心孔に前記ダンパー部材が収納されている請求項２又は３記載のワークサポート装置。
　前記固定装置は、前記サポート部材の軸方向移動を許容すべくサポート部材の外周面側に配置されて、前記サポート部材の外周面に圧接することによりサポート部材の軸方向移動を拘束する圧接部材と、
　該圧接部材を前記サポート部材の外周面に圧接させる加圧部とを有する請求項１～４のいずれか一つに記載のワークサポート装置。
　前記突出端部の吸気通路に開閉弁が設けられ、該開閉弁を突出方向側に付勢して閉弁する弁バネが設けられ、
　前記吸着固定状態において、前記開閉弁は、前記弁バネに抗して開弁状態を維持して前記突出端部に当接固定される請求項１～５のいずれか一つに記載のワークサポート装置。
　前記突出端部の先端面と、前記吸着パッドの先端面との軸方向の相対位置が調整可能に構成されている請求項１～６のいずれか一つに記載のワークサポート装置。
　前記突出端部の先端面は、前記吸着パッドの先端面より下方に位置している請求項１～７のいずれか一つに記載のワークサポート装置。
　ケース部材に移動自在に設けられたサポート部材の突出端部に吸着パッドが設けられたワークサポート装置を用い、前記吸着パッドをワークに当接させ、前記吸着パッド内を負圧にすることにより、前記突出端部の先端面を前記ワークの外面に当接させた後、前記サポート部材を前記ケース部材に固定するワーク吸着固定方法。