WO2020179674A1

WO2020179674A1 - 構造体

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Publication number: WO2020179674A1
Application number: PCT/JP2020/008370
Authority: WO
Inventors: 民和西宮
Original assignee: 株式会社北川鉄工所
Priority date: 2019-03-06
Filing date: 2020-02-28
Publication date: 2020-09-10
Also published as: TW202045277A; US20220203458A1; CN113453830A; EP3936266A4; JP6823227B1; KR20210134617A; EP3936266B1; EP3936266A1; JPWO2020179674A1

Abstract

【課題】２つの部材の相対位置を過去にならって再現する際にヒューマンエラーリスクを低減することができる構造体を提供すること。【解決手段】本発明の一態様によれば、構造体であって、第１及び第２の部材と、固定部材と、位置決め機構とを備え、前記第１及び第２の部材は、山及び谷が連続してなるセレーションをそれぞれ有し、互いの前記山及び谷の噛み合わせによって当該第１及び第２の部材どうしの相対位置を調節方向に調節可能に構成され、ここで前記調節方向とは、前記セレーションの前記山及び谷が連続する方向で、前記固定部材は、規定状態を維持するように構成され、ここで前記規定状態とは、前記山及び谷が噛み合わさって前記第１及び第２の部材どうしの相対位置が固定された状態で、前記位置決め機構は、前記第２の部材又は前記固定部材に設けられ、当接部を備え、この当接部が前記規定状態において前記第１の部材と当接するように構成される、構造体が提供される。

Description

構造体

　本発明は、構造体に関する。

　産業機械等の分野において、２つの部材の相対位置を、山及び谷が連続してなるセレーションによって決定する構造体が用いられることがある。例えば、特許文献１には、セレーションを有する構造体の一例として、ワーク（被加工物）を把持するチャックが開示されている。

実開平４－１９７０３号公報

　ところで、顧客からの再注文等を契機として、かかる構造体における２つの部材の相対位置を過去にならって再現しなければならない場合がある。しかし、セレーションのピッチは、人間が無意識に差を感じることができるような大きさではないため、再現に非常に神経を要する手作業を強いられ、ヒューマンエラーが発生するリスクも高い。

　本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、２つの部材の相対位置を過去にならって再現する際にヒューマンエラーリスクを低減することができる構造体を提供することを目的とする。

　本発明の一態様によれば、構造体であって、第１及び第２の部材と、固定部材と、位置決め機構とを備え、前記第１及び第２の部材は、山及び谷が連続してなるセレーションをそれぞれ有し、互いの前記山及び谷の噛み合わせによって当該第１及び第２の部材どうしの相対位置を調節方向に調節可能に構成され、ここで前記調節方向とは、前記セレーションの前記山及び谷が連続する方向で、前記固定部材は、規定状態を維持するように構成され、ここで前記規定状態とは、前記山及び谷が噛み合わさって前記第１及び第２の部材どうしの相対位置が固定された状態で、前記位置決め機構は、前記第２の部材又は前記固定部材に設けられ、当接部を備え、この当接部が前記規定状態において前記第１の部材と当接するように構成される、構造体が提供される。

　本発明に係る構造体は、それぞれ山及び谷が連続してなるセレーションを有する第１及び第２の部材を具備し、前記山及び谷の噛み合わせによって当該第１及び第２の部材どうしの相対位置は規則的且つ離散的に調節可能であり、当該第１及び第２の部材の相対位置関係の規定状態を維持する当接部及び固定部材をさらに具備する。これにより、作業実績を有する作業内容に対する当該第１及び第２の部材の相対位置を短時間で且つ誤る事無く設定することができる、という有利な効果を奏する。

［図１Ａ］第１の実施形態に係る構造体の一例であるチャックの斜視図、［図１Ｂ］図１Ａにおける領域Ｐの部分拡大図。［図２Ａ］第１の実施形態に係るチャックの正面図。［図２Ｂ］図２ＡにおけるＢ－Ｂ断面図。［図３Ａ］小さい把握径で調節加工されたチャックの正面図。［図３Ｂ］図３ＡにおけるＢ－Ｂ断面図。マスタージョーの斜視図。トップジョーの斜視図。Ｔナットの斜視図。第２の実施形態に係るチャックの斜視図。［図８Ａ］第２の実施形態に係るチャックの正面図。［図８Ｂ］図８ＡにおけるＣ－Ｃ断面図。図８Ｂにおける領域Ｑの部分拡大図。変形例１に係る位置決め機構を備えるチャックの側面図。［図１１Ａ］変形例２に係る位置決め機構を備えるチャックの側面図。［図１１Ｂ］図１１ＡにおけるＤ－Ｄ断面図。［図１２Ａ］変形例３に係る位置決め機構を備えるチャックの正面図。［図１２Ｂ］図１２ＡにおけるＥ－Ｅ断面の部分拡大図。

　以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組合せ可能である。以下、簡単のため、構造体の一例としてチャックについて説明するが、マシニングセンタで使用するセレーションを採用した把持具等他の構造体にも適用可能である。

１．第１の実施形態
　第１節では、第１の実施形態に係るチャック１について説明する。図１Ａは、第１の実施形態に係る構造体の一例であるチャック１の斜視図を示し、図１Ｂは、図１Ａにおける領域Ｐの部分拡大図を示している。また、図２Ａは、第１の実施形態に係るチャック１の正面図を示し、図２Ｂは、図２ＡにおけるＢ－Ｂ断面図を示している

１．１　全体構成
　チャック１は、ボデー２を備え、ボデー２は、マスタージョー３（特許請求の範囲における「第１の部材」の一例）と、マスタージョー３上に取り付けられ且つワーク（不図示）を把握するトップジョー４（特許請求の範囲における「第２の部材」の一例）と、逆Ｔ字形状を有してマスタージョー３における溝３１内を摺動可能に構成されるＴナット５（特許請求の範囲における「固定部材」の一例）と、トップジョー４をＴナット５とともにマスタージョー３に固定するためのトップジョーボルト６とを備える。ここでは、１つのトップジョー４に２本のトップジョーボルト６が挿し込まれているが、本数はこれに限定されるものではない。

　図２Ｂでは、ワークを把握するトップジョー４の把握面ＨＦが、外周側に近い位置に加工された状態を示している。一方、小さいワークに合わせて把握径を小さく加工することもできる。かかる場合のチャック１の正面図を図３Ａに示し、図３ＡにおけるＢ－Ｂ断面図を図３Ｂに示している。図３Ｂのトップジョー４における把握面ＨＦは、図２Ｂの把握面ＨＦに比してチャック１の内側に位置している。

　本実施形態では、図示されるように、３つのマスタージョー３及びこれに対応する３つのトップジョー４を有するものとして説明しているが、把握するワークの形状、把握方法、チャック１の大きさ、トップジョー４の大きさ等によっては、一対の、又は４つ以上のマスタージョー３及びトップジョー４を有するものとして実施してもよい。特に、チャック１は、正面（図２Ａ参照）からみて３等分した位置ごとにマスタージョー３、トップジョー４、Ｔナット５及びトップジョーボルト６が配置されていることに留意されたい。これらは同一のため、その内の一箇所のみについて説明するものとする。

　図４～図６は、マスタージョー３、トップジョー４、及びＴナット５の斜視図をそれぞれ示している。マスタージョー３及びトップジョー４は、山及び谷が交互に連続してなるセレーションＳＲをそれぞれ有する。隣接する山どうしの間隔であるピッチは、マスタージョー３とトップジョー４とで同一となるように構成されている。ピッチの値は、例えば、０．５～５．０ｍｍであり、具体的には例えば、０．５、０．６、０．７、０．８、０．９、１．０、１．１、１．２、１．３、１．４、１．５、１．６、１．７、１．８、１．９、２．０、２．１、２．２、２．３、２．４、２．５、２．６、２．７、２．８、２．９、３．０、３．１、３．２、３．３、３．４、３．５、３．６、３．７、３．８、３．９、４．０、４．１、４．２、４．３、４．４、４．５、４．６、４．７、４．８、４．９、５．０ｍｍであり、ここで例示した数値の何れか２つの間の範囲内であってもよい。

　マスタージョー３は、逆Ｔ字形状の溝３１を備える。Ｔナット５は、マスタージョー３における溝３１に対して挿入可能に構成される。

　トップジョー４は、トップジョーボルト６を挿通させるための貫通孔４１を有している。また、Ｔナット５は、トップジョー４を固定する際に、トップジョーボルト６と螺合させるためのボルト穴５１を有している。図５及び図６では、例として貫通孔４１及びボルト穴５１ともに２つの場合を示しているが、これに限定されるものではない。さらに、トップジョー４は、後述の位置決め機構７におけるボルト７２を螺合させるボルト穴４３を２つ備える。

　マスタージョー３及びトップジョー４は、セレーションＳＲの山と谷を互いに噛み合わせて、ピッチ単位で、その相対位置を調節することができる。山及び谷が連続する方向が、トップジョー４の位置を調節する調節方向（すなわち径方向）となる。セレーションＳＲによってマスタージョー３とトップジョー４の相対位置を確定させた後、Ｔナット５にトップジョーボルト６を螺合させることで、マスタージョー３に対するトップジョー４の相対位置を固定することができる。本実施形態では、このように固定された状態を「規定状態」と呼ぶものとする。

　また、チャック１における内部の構成要素については、特に限定されるものではない。例えば、図２Ａ及び図２Ｂに示されるように、チャック１は、回転軸Ｒの軸線方向に移動可能なプランジャ２１を備える。そして、プランジャ２１の回転軸Ｒの軸線方向の並進移動がマスタージョー３の径方向の並進移動に変換可能であるように、内部の構成要素が連関的に配置されている。

１．２　位置決め機構７
　続いて、チャック１に用いられる位置決め機構７について説明する。図１Ｂに示されるように、トップジョー４の側面４２には、位置決め機構７が配置される。位置決め機構７は、板状部材７１と、ボルト７２とから構成される。板状部材７１は、長孔７１ａを有し、長孔７１ａの長手方向がトップジョー４の調節方向に一致するように設けられている。ボルト７２を長孔７１ａに挿通させて所望の位置でトップジョー４におけるボルト穴４３にネジ止めすることによって、板状部材７１がトップジョー４に固定される。

　板状部材７１の端部７１ｂには、トップジョー４からマスタージョー３に向かう方向に板状突出片７３（特許請求の範囲における「当接部」の一例）が張り出し、マスタージョー３の端面３２と当接可能に構成される。図１Ｂにおいては、板状突出片７３は板状部材７１に対して折れ曲がって形成されているが、あくまでも一例でありこの限りではない。板状突出片７３がマスタージョー３の端面３２と当接可能に構成されれば、どのような形状であってもよい。

　換言すると、位置決め機構７は、トップジョー４に設けられ、長孔７１ａを有する板状部材７１を備え、板状部材７１の端部７１ｂに板状突出片７３が設けられ、長孔７１ａは、調節方向が長手方向となるように設けられ、これにボルト７２を挿通させて板状部材７１をトップジョー４における所望の位置で固定することで、板状突出片７３の相対位置を調節方向に調節可能に構成される。そして、板状突出片７３が既定状態においてトップジョー４と当接するように、板状部材７１の位置を調節方向に調節可能に構成される。

　第１の実施形態において、トップジョー４をマスタージョー３に初めて取り付けるときは、前述のトップジョー４の位置調節を実施し、トップジョーボルト６をトップジョー４の貫通孔４１を挿通させＴナット５に設けられたボルト穴５１にネジ止めする。これにより、トップジョー４がマスタージョー３に対する所定位置に強固に固定される。これがマスタージョー３及びトップジョー４に係る規定状態である。

　続いて、板状突出片７３がマスタージョー３の端面３２に当接するように板状部材７１を配置し、ボルト７２を長孔７１ａに挿通させてトップジョー４におけるボルト穴４３にネジ止めする。特に安定性向上のため、ボルト７２は２つ又はそれ以上（複数）設けられることが好ましい。本作業により、板状部材７１とトップジョー４との位置関係が固定される。このように固定された板状部材７１の板状突出片７３が次回以降の位置決めの基準となる。

　２回目以降のトップジョー４の取付作業では、すでに板状突出片７３を含む板状部材７１がトップジョー４に固定されている。このため、板状突出片７３をマスタージョー３の端面３２に当接する位置にトップジョー４を配置した後、トップジョーボルト６をＴナット５におけるボルト穴５１にネジ止めすることにより、トップジョー４をマスタージョー３に固定することができる。この際、トップジョー４のマスタージョー３に対する相対位置は、初回の調節時と同一となり、すなわち過去の再現を容易に実施することができる。

　なお、チャック１の使用に伴ってトップジョー４が摩耗すること等が想定される。かかる場合には、トップジョー４を再度加工し、セレーションＳＲの山と谷の噛み合わせを変更することがある。このような場合にも、板状部材７１の位置を再度調節すれば位置決め機構７の効果を奏することができる。

　このように、第１の実施形態に係るチャック１では、過去に位置決めの実績を有するトップジョー４の取付作業に際して、マスタージョー３とトップジョー４の端面段差を改めて計測する等の追加作業が不要である。すなわち、ヒューマンエラーを避けながら短時間且つ規定状態に確実に、トップジョー４の取付作業を実施することが可能となる。特に、工作図で人間がセレーションの噛み合いについての位置を確認する必要がなく、つけ間違いやそれに起因する不具合発生を抑制することができるという有利な効果を奏する。また、本実施形態では、特に位置決め機構７を構成する部品が軽量且つ安価であり、位置決め機構７そのものがチャック１の外周からはみ出す量が少ないことに留意されたい。

２．第２の実施形態
　第２節では、第２の実施形態に係るチャック１について説明する。ただし、第１の実施形態に係るチャック１との共通部分についてはその説明を省略する。図７は、第２の実施形態に係るチャック１の斜視図を示している。また、図８Ａは、第２の実施形態に係るチャック１の正面図を示し、図８Ｂは、図８ＡにおけるＣ－Ｃ断面図を示している。また、図９は、図８Ｂにおける領域Ｑの部分拡大図を示している。

　第２の実施形態に係るチャック１は、フランジ状に形成された位置決め機構８を備える。より具体的には、位置決め機構８は、フランジ部８１（特許請求の範囲における「当接部」の一例）と、ネジ山を有する軸部８２とから構成される。フランジ部８１は、ストッパとなるボルト８３を挿通させるための貫通孔８１Ｈを備える。また、Ｔナット５は、軸部８２を螺合可能なボルト穴５２と、ストッパとなるボルト８３を螺合可能なボルト穴５３とを備える。フランジ部８１がマスタージョー３の端面３２に当接する位置まで軸部８２をボルト穴５２に螺合させ、さらにボルト８３を、貫通孔８１Ｈを介してボルト穴５３に螺合させて軸部８２の回転を防止する。このような状態を実現することによって、位置決め機構８が機能する。

　換言すると、第２の実施形態に係るチャック１では、Ｔナット５がボルト穴５２を備え、位置決め機構８がＴナット５に設けられ、且つ位置決め機構８はネジ山を有する軸部８２とその端部にフランジ状のフランジ部８１が設けられ、軸部８２をボルト穴５２に螺合させることでフランジ部８１の相対位置を可変させ、所望の位置で軸部８２の回転をボルト８３で防止することによって、フランジ部８１の相対位置を調節方向に調節可能に構成される。

　第２の実施形態では、図７、図８Ａ及び図８Ｂに示されるように、１つのトップジョー４に対して１本のトップジョーボルト６を用いてネジ止めしている例を示している。１本であるため、トップジョーボルト６の脱着時間を半分にすることができる。なお、安定性向上のために、２本以上のトップジョーボルト６を用いてもよい。また、図７、図８Ａ、図８Ｂ、及び図９では、軸部８２の回転を防止するボルト８３を３本としているが、あくまでも一例でありこれに限定されない。

　第２の実施形態において、トップジョー４をマスタージョー３に初めて取り付けるときは、前述のトップジョー４の位置調節を実施し、トップジョーボルト６をトップジョー４の貫通孔４１に挿通させＴナット５に設けられたボルト穴５１にネジ止めする。これにより、トップジョー４がマスタージョー３に対する所定位置に強固に固定される。これがマスタージョー３及びトップジョー４に係る規定状態である。

　続いて、位置決め機構８における軸部８２をボルト穴５２に螺合させることにより、フランジ部８１がマスタージョー３の端面３２に当接する位置までフランジ部８１を移動させる。そして、軸部８２の回転をボルト８３で防止するように固定する。フランジ部８１が次回以降の位置決めの基準となる。ところで、ボルト８３を固定するには、フランジ部８１の貫通孔８１ＨとＴナット５のボルト穴５３の位置を整合させる必要がある。したがって、フランジ部８１に関して、マスタージョー３の端面３２に当接した状態から回転位置を少し戻す必要がある。その結果、フランジ部８１と端面３２とには、最大で軸部８２のネジピッチをボルト穴５３の個数（本実施形態においては３）で割った隙間が生じることになるが、その隙間がセレーションのピッチより十分小さければ、当接した状態からＴナット５にトップジョーボルト６を螺合させても、セレーションＳＲの噛み合いにより、規定状態が再現される。

　２回目以降のトップジョー４の取付作業では、すでに位置決め機構８が取り付けられたＴナット５を配置することとなり、フランジ部８１がマスタージョー３に当接される状態でＴナット５がマスタージョー３の溝３１に収まる。最後に、トップジョーボルト６をＴナット５におけるボルト穴５１にネジ止めすることにより、トップジョー４をマスタージョー３に固定することができる。この際、トップジョー４のマスタージョー３に対する相対位置は、初回の調節時と同一となる。

　なお、チャック１の使用に伴ってトップジョー４が摩耗すること等が想定される。かかる場合には、トップジョー４を再度加工し、セレーションＳＲの山と谷の噛み合わせを変更することがある。このような場合にも、フランジ部８１の位置を再度調節することで位置決め機構８の効果を奏することができる。

　このように、第２の実施形態に係るチャック１でも第１の実施形態に係るチャック１と同様に、過去に位置決めの実績を有するトップジョー４の取付作業に際して、マスタージョー３とトップジョー４の端面段差を改めて計測する等の追加作業が不要である。すなわち、ヒューマンエラーを避けながら短時間且つ高精度に、トップジョー４の取付作業を実施することが可能となる。特に、工作図で人間がセレーションの噛み合いについての位置を確認する必要がなく、つけ間違いやそれに起因する不具合発生を抑制することができるという有利な効果を奏する。また、本実施形態では、位置決め機構８そのものがチャック１の外周からはみ出す量が少ないことに留意されたい。

３．変形例
　第３節では、前述の実施形態に係るチャック１の変形例について説明する。すなわち、以下のような態様で、チャック１を実施してもよい。

　変形例１として、鉤形に形成された位置決め機構９ａ（鉤形ブロック）がトップジョー４に固定される（図１０参照）。かかる位置決め機構９ａは、セレーションＳＲのピッチ単位で複数種類が用意されることが好ましい。初回作業時に所望の位置決め機構９ａを選別することで、当接部９１ａがマスタージョー３の端部３２に当接して既定状態を実現し、２回目以降の再現を容易に実施することができる。

　変形例２として、位置決め機構９ｂは、本体９０ｂと、本体９０ｂに対して調節方向に位置を可変に構成される当接部９１ｂとを備える。このような位置決め機構９ｂがトップジョー４に固定される（図１１Ａ及び図１１Ｂ参照）。より詳細には、当接部９１ｂが本体９０ｂに設けられた貫通孔９０ｂＨを貫通しており、これをボルト９２ｂで押し止めることで、当接部９１ｂの位置を調節することができる。すなわち、当接部９１ｂがマスタージョー３の端部３２に当接して既定状態を実現し、２回目以降の再現を容易に実施することができる。

　変形例３として、位置決め機構９ｃは、Ｔナット５に固定されたボルト９０ｃと、ボルト９０ｃに螺合されたナット９１ｃ，９２ｃ（ダブルナット）とからなる。このような位置決め機構９ｃがＴナット５に固定される（図１２Ａ及び図１２Ｂ参照）。ナット９１ｃを回転させることで、ボルト９０ｃに対するナット９１ｃの位置を調節し、さらにナット９１ｄを回転させて、すでに位置調節されたナット９１ｃに接触させることで、ナット９１ｃ，９２ｃの位置を固定することができる。このナット９１ｃをマスタージョー３の端面３２と当接させる当接部として機能させることで、前述の実施形態や変形例と同様に、既定状態を実現し、２回目以降の再現を容易に実施することができる。

　ところで、前述の第１及び第２の実施形態、及び変形例１～３に示した構造体は、一例としてチャック１が挙げられ、第１の部材は、径方向に開閉可能に構成される複数のマスタージョー３であり、第２の部材は、マスタージョー３に着脱可能に構成される複数のトップジョー４であり、固定部材は、逆Ｔ字形状を有するＴナット５である。もちろん、あくまでも例示であり、別の構造体、例えば、マシニングセンタで使用するセレーションＳＲを採用した把持具として実施してもよい。

４．結言
　以上のように、本実施形態によれば、過去に実績を有する作業を再度実行する際に、ヒューマンエラーリスクを低減することができる構造体を実施することができる。

　次に記載の各態様で提供されてもよい。
　前記構造体において、前記位置決め機構は、前記当接部が前記規定状態において前記第１の部材と当接するように、前記第１の部材に対する前記当接部の相対位置を、前記調節方向に調節可能に構成される、構造体。
　前記構造体において、前記位置決め機構は、前記第２の部材に設けられ、長孔を有する板状部材を備え、前記板状部材の端部に前記当接部が設けられ、前記長孔は、前記調節方向が長手方向となるように設けられ、これにネジを挿通させて前記板状部材を前記第２の部材における所望の位置で固定することで、前記当接部の相対位置を前記調節方向に調節可能に構成される、構造体。
　前記構造体において、前記ネジは、複数のネジである、構造体。
　前記構造体において、前記固定部材は、ネジ穴を備え、前記位置決め機構は、前記固定部材に設けられ、ネジ山を有する軸部を備え、この軸部の端部にフランジ状の前記当接部が設けられ、前記軸部を前記ネジ穴に螺合させることで前記当接部の前記相対位置を可変させ、所望の位置で前記軸部の回転をストッパで防止することによって、前記当接部の相対位置を前記調節方向に調節可能に構成される、構造体。
　前記構造体において、前記第２の部材は、１つのネジによって前記固定部材にネジ止めされる、構造体。
　前記構造体において、当該構造体は、チャックであり、前記第１の部材は、径方向に開閉可能に構成される複数のマスタージョーであり、前記第２の部材は、前記マスタージョーに着脱可能に構成される複数のトップジョーであり、前記固定部材は、逆Ｔ字形状を有するＴナットである、構造体。
　もちろん、この限りではない。

　最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

１　　　　：チャック
３　　　　：マスタージョー
４　　　　：トップジョー
５　　　　：Ｔナット
７　　　　：位置決め機構
７１　　　：板状部材
７１ａ　　：長孔
７１ｂ　　：端部
７２　　　：ボルト
７３　　　：板状突出片
８　　　　：位置決め機構
８１　　　：フランジ部
８２　　　：軸部
８３　　　：ボルト
９ａ　　　：位置決め機構
９１ａ　　：当接部
９ｂ　　　：位置決め機構
９１ｂ　　：当接部
９ｃ　　　：位置決め機構
９１ｃ　　：ナット
ＳＲ　　　：セレーション

Claims

構造体であって、
　第１及び第２の部材と、固定部材と、位置決め機構とを備え、
　前記第１及び第２の部材は、
　　山及び谷が連続してなるセレーションをそれぞれ有し、
　　互いの前記山及び谷の噛み合わせによって当該第１及び第２の部材どうしの相対位置を調節方向に調節可能に構成され、ここで前記調節方向とは、前記セレーションの前記山及び谷が連続する方向で、
　前記固定部材は、規定状態を維持するように構成され、ここで前記規定状態とは、前記山及び谷が噛み合わさって前記第１及び第２の部材どうしの相対位置が固定された状態で、
　前記位置決め機構は、
　　前記第２の部材又は前記固定部材に設けられ、
　　当接部を備え、この当接部が前記規定状態において前記第１の部材と当接するように構成される、
構造体。
請求項１に記載の構造体において、
　前記位置決め機構は、前記当接部が前記規定状態において前記第１の部材と当接するように、前記第１の部材に対する前記当接部の相対位置を、前記調節方向に調節可能に構成される、
構造体。
請求項２に記載の構造体において、
　前記位置決め機構は、
　　前記第２の部材に設けられ、
　　長孔を有する板状部材を備え、
　前記板状部材の端部に前記当接部が設けられ、
　前記長孔は、前記調節方向が長手方向となるように設けられ、これにネジを挿通させて前記板状部材を前記第２の部材における所望の位置で固定することで、前記当接部の相対位置を前記調節方向に調節可能に構成される、
構造体。
請求項３に記載の構造体において、
　前記ネジは、複数のネジである、
構造体。
請求項２に記載の構造体において、
　前記固定部材は、ネジ穴を備え、
　前記位置決め機構は、
　　前記固定部材に設けられ、
　　ネジ山を有する軸部を備え、この軸部の端部にフランジ状の前記当接部が設けられ、
　前記軸部を前記ネジ穴に螺合させることで前記当接部の前記相対位置を可変させ、所望の位置で前記軸部の回転をストッパで防止することによって、前記当接部の相対位置を前記調節方向に調節可能に構成される、
構造体。
請求項５に記載の構造体において、
　前記第２の部材は、１つのネジによって前記固定部材にネジ止めされる、
構造体。
請求項１～請求項６の何れか１つに記載の構造体において、
　当該構造体は、チャックであり、
　前記第１の部材は、径方向に開閉可能に構成される複数のマスタージョーであり、
　前記第２の部材は、前記マスタージョーに着脱可能に構成される複数のトップジョーであり、
　前記固定部材は、逆Ｔ字形状を有するＴナットである、
構造体。